JP5426121B2 - 低結晶性セルロースの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、平均粒径の小さい低結晶性セルロースの製造方法に関する。
パルプ等のセルロース含有原料を粉砕して得られるセルロースは、セルロースエーテルの原料、化粧品、食品、バイオマス材料等の工業原料として用いられる。これらの工業原料としては、セルロース結晶構造が低結晶化されたセルロースが特に有用である。
例えば、シート状パルプを粉砕機で機械的に処理して、粉末状パルプを製造する方法が知られている(特許文献1及び2参照)。しかし、これらの特許文献にはセルロースの結晶化度についての記載はない。
また、パルプを粉砕機で機械的に処理して、セルロースの結晶化度を低減する方法が知られている(特許文献3〜6参照)。
特許文献3の実施例1及び4には、シート状パルプを振動ボールミル又は二軸押出機で処理する方法が開示されており、特許文献4の実施例1〜3には、パルプをボールミルで処理する方法が開示されている。
特許文献5の実施例1及び2には、パルプを加水分解等の化学的処理をして得られたセルロース粉体を、ボールミルさらには気流式粉砕機で処理する方法が開示されており、特許文献6には、パルプを水に分散させた状態で振動ボールミル等の媒体ミルで処理する方法が開示されている。
しかし、これらの方法は、セルロースの結晶化度及び平均粒径を低減させるにあたり、効率性及び生産性において満足できるものではない。
特開平5−168969号公報 特開2001−354701号公報 特開昭62−236801号公報 特開2003−64184号公報 特開2004−331918号公報 特開2005−68140号公報
本発明は、セルロース含有原料からセルロースI型結晶化度及びセルロースの平均粒径を低減させた低結晶性セルロースを効率的に得ることができる、生産性に優れた製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、特定のセルロース含有原料を粉砕助剤と共に粉砕機で処理することにより、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、下記式(1)で示されるセルロースのセルロースI型結晶化度が33%を超えるセルロース含有原料から平均粒径10〜200μmの低結晶性セルロースを製造する方法であって、該セルロース含有原料から水を除いた残余の成分中のセルロース含有量が20質量%以上であって、該セルロース含有原料を粉砕助剤と共に粉砕機で処理して、該セルロースI型結晶化度を33%以下に低減する、低結晶性セルロースの製造方法である。
セルロースI型結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100 (1)
〔式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、及びI18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。〕
本発明の低結晶性セルロースの製造方法によれば、セルロース含有原料から、セルロースI型結晶化度及びセルロースの平均粒径を低減させた低結晶性セルロースを効率的に、生産性よく得ることができる。
本発明の低結晶性セルロースの製造方法は、上記式(1)で示されるセルロースのセルロースI型結晶化度が33%を超えるセルロース含有原料から平均粒径10〜200μmの低結晶性セルロースを製造する方法であって、該セルロース含有原料から水を除いた残余の成分中のセルロース含有量が20質量%以上であって、該セルロース含有原料を粉砕助剤と共に粉砕機で処理して、該セルロースI型結晶化度を33%以下に低減することを特徴とする。
〔セルロース含有原料〕
セルロースには幾つかの結晶構造が知られており、結晶領域(アモルファス部と結晶部)の全量に対する結晶部の割合から、一般に結晶化度が算出される。
本発明に用いられるセルロース含有原料は、上記式(1)で示されるセルロースのセルロースI型結晶化度が33%を超えるものである。一般的な市販パルプは、該結晶化度が概ね60%以上のいわゆる結晶性のセルロースである。
また、本発明に用いられるセルロース含有原料は、該原料から水を除いた残余の成分中のセルロース含有量が20質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上のものである。ここで、セルロース含有量とはセルロース量及びヘミセルロース量の合計量を意味する。
市販のパルプの場合、水を除いた残余の成分中のセルロース含有量は、一般には75〜99質量%であり、他の成分はリグニン等を含む。
前記セルロース含有原料には特に制限はなく、各種木材チップ;木材から製造されるウッドパルプ、綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプ等のパルプ類;新聞紙、ダンボール、雑誌、上質紙等の紙類;稲わら、とうもろこし茎等の植物茎・葉類;籾殻、パーム殻、ココナッツ殻等の植物殻類等が挙げられる。
セルロース含有原料中の水分含量は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。セルロース含有原料中の水分含量が20質量%以下であれば、容易に粉砕できるとともに、粉砕処理により結晶化度を容易に低減させることができる。
セルロース含有原料の嵩密度は、好ましくは100kg/m3以上、より好ましくは120kg/m3以上、更に好ましくは150kg/m3以上である。該嵩密度が100kg/m3以上であれば、セルロース含有原料が適度な容積を有するために取扱い性が向上し、また、粉砕機へ原料仕込み量を多くすることができるので処理能力が向上する。一方、該嵩密度の上限は、取扱い性及び生産性の観点から、好ましくは500kg/m3以下、より好ましくは400kg/m3以下、更に好ましくは350kg/m3以下である。これらの観点から、該嵩密度は、好ましくは100〜500kg/m3、より好ましくは120〜400kg/m3、更に好ましくは150〜350kg/m3である。
嵩密度が100kg/m3未満のセルロース含有原料を用いる場合には、後述するように前処理を行うことが好ましい。
また、セルロース含有原料の平均粒径は、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.7mm以下、更に好ましくは0.5mm以下である。該平均粒径が1mm以下であれば、粉砕機中に供給する際に、粉砕機中にセルロース含有原料を効率的に分散させることができ、長時間を要することなく所定の粒径に到達することができる。一方、該平均粒径の下限は、生産性の観点から、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.05mm以上である。これらの観点から、該平均粒径は、好ましくは0.01〜1mm、より好ましくは0.01〜0.7mm、更に好ましくは0.05〜0.5mmである。
なお、セルロース含有原料の嵩密度及び平均粒径は、実施例に記載の方法により測定することができる。
〔低結晶性セルロース〕
本発明方法により製造される低結晶性セルロースは、セルロースI型結晶化度を33%以下に低減させたものである。
一般的な市販パルプは、結晶化度が概ね60%以上のいわゆる結晶性セルロースであるが、本発明により得られるセルロースは低結晶性セルロースである。
ここで、本発明における結晶化度とは、天然セルロースの結晶構造に由来するI型の結晶化度を意味し、粉末X線結晶回折スペクトル法による回折強度値からSegal法により算出したもので、下記式(1)により定義される。
セルロースI型結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100 (1)
〔式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、及びI18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。〕
また、「低結晶性」とは、セルロースの結晶構造においてアモルファス部の割合が多い状態を示し、具体的には上記式(1)から算出されるセルロースI型結晶化度が33%以下であることを意味し、該結晶化度が0%の完全非晶化の場合を含む。
なお、本明細書において、セルロースのセルロースI型結晶化度を単に「結晶化度」ということがある。
結晶化度は、セルロースの物理的、化学的性質とも関係し、その値が大きいほど、セルロースの結晶性が高く、非結晶部分が少ないため、硬度、密度等は増すが、伸び、柔軟性、水や溶媒に対する溶解性、化学反応性は低下する。結晶化度が33%以下であれば、セルロースの化学反応性が十分であり、例えば、セルロースエーテルの製造において、アルカリを加えた際にアルカリセルロース化が容易に進行し、結果としてセルロースエーテル化反応の反応転化率を向上させることができる。この観点から、結晶化度は、25%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、分析でI型結晶が検出されない0%が特に好ましい。なお、式(1)で定義されたセルロースI型結晶化度では計算上マイナスの値になる場合があるが、マイナスの値の場合はセルロースI型結晶化度は0%とする。
本発明により得られる低結晶性セルロースの平均粒径は、低結晶性セルロースを工業原料として用いる際の化学反応性及び取扱い性の観点から、10〜200μmであり、好ましくは12〜150μm、より好ましくは14〜100μm、更に好ましくは15〜75μm、特に好ましくは15〜60μmである。特に平均粒径が10μm以上であれば、低結晶性セルロースを水などの液体と接触させたときに「ママコ」になることを抑えることができる。
〔低結晶性セルロースの製造〕
〔粉砕助剤〕
本発明方法において用いられる粉砕助剤は、多糖類、無機塩、有機酸、有機物、脂肪酸、及び多価アルコールから選ばれる1種以上の化合物である。これらの化合物は、セルロースに対して親和性を有することが好ましい。
多糖類としては、ペンタエリスリトール、グルコース、トレハロース、澱粉等が挙げられ、無機塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。
有機酸としては、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、アスコルビン酸等が挙げられる。有機物としては、ベントナイト、ポリ乳酸等が挙げられ、脂肪酸としては、ステアリン酸、ラウリル酸等が挙げられ、多価アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。
上記の粉砕助剤の中では、多糖類、無機塩がより好ましい。
本発明の粉砕助剤中のセルロースの濃度は、セルロースの凝集抑制の観点から、好ましくは10〜97質量%、より好ましくは50〜97質量%、更に好ましくは75〜95質量%である。
〔前処理〕
本発明において、嵩密度が100kg/m3未満のセルロース含有原料を用いる場合は、前処理を行い、嵩密度を100〜500kg/m3にすることが好ましい。
前処理としては、必要に応じて、粗粉砕処理、押出機処理を行い、セルロース含有原料を適度な嵩密度を有する粉末状にすることができる。
粗粉砕処理は、セルロース含有原料を押出機に投入する前に、チップ状に粗粉砕する処理である。この粗粉砕処理を予め行うことにより、押出機処理をより効率的に行うことができる。押出機に供給するセルロース含有原料の大きさは、好ましくは1〜50mm角、より好ましくは1〜30mm角のチップ状である。
セルロース含有原料をチップ状に粗粉砕する方法としては、シュレッダー、ロータリーカッター等を使用する方法が挙げられる。ロータリーカッターを使用する場合、得られるチップ状セルロース含有原料の大きさは、スクリーンの目開きを変えることにより、制御することができる。スクリーンの目開きは、1〜50mmが好ましく、1〜30mmがより好ましい。スクリーンの目開きが1mm以上であれば、セルロース含有原料が綿状化することがなく、後の押出機処理に用いるセルロース含有原料として適度な嵩高さを有するために取扱い性が向上する。スクリーンの目開きが50mm以下であれば、後の押出機処理に用いるセルロース含有原料として適度な大きさを有するために押出機処理において負荷を低減することができる。
〔押出機処理〕
前記セルロース含有原料を押出機で処理することにより、所望の嵩密度を有するセルロース含有原料を得ることができる。更に押出機で処理することにより、セルロース含有原料に圧縮せん断力を作用させ、セルロースの結晶構造を破壊して粉末化させることができる。
従来よく用いられる衝撃式の粉砕機、例えば、カッターミル、ハンマーミル、ピンミル等は、圧縮せん断力を作用させて機械的に粉砕する装置であるが、これらの粉砕機で処理するとセルロース含有原料が綿状化して嵩高くなり、取扱い性を損ない、質量ベースの処理能力が低下する。これに対して、押出機処理すれば、所望の嵩密度及び平均粒径を有するセルロース含有原料が効率的に得られ、取扱い性が向上する。
押出機としては、単軸、二軸のどちらの形式でもよいが、搬送能力を高める等の観点から、二軸押出機が好ましい。
二軸押出機としては、シリンダの内部に2本のスクリューが回転自在に挿入された公知の押出機を使用することができる。2本のスクリューの回転方向は、同一でも逆方向でもよいが、搬送能力を高める観点から、同一方向の回転が好ましい。
また、スクリューの噛み合い条件としては、完全噛み合い、部分噛み合い、非噛み合いの各形式の押出機のいずれでもよいが、処理能力を向上させる観点から、完全噛み合い型、部分噛み合い型が好ましい。
押出機としては、強い圧縮せん断力を加える観点から、スクリューのいずれかの部分に、いわゆるニーディングディスク部を備えることが好ましい。
ニーディングディスク部とは、複数のニーディングディスクで構成され、これらを連続して、一定の位相でずらしながら組み合わせたものである。例えば3〜20、好ましくは6〜16のニーディングディスクを90°ずつ互い違いにずらしながら組み合わせたものが挙げられる。ニーディングディスク部は、スクリューの回転にともなって、その狭い隙間にセルロース含有原料を強制的に通過させることで極めて強いせん断力を付与することができる。
押出機のスクリューの構成としては、ニーディングディスク部と複数のスクリューセグメントとを交互に配置することが好ましい。また、二軸押出機の場合は、2本のスクリューを同一の構成とすることが好ましい。
処理方法としては、セルロース含有原料、好ましくは前記チップ状セルロース含有原料を押出機に投入し、連続的に処理する方法が好ましい。せん断速度としては、10sec-1以上が好ましく、20〜30000sec-1がより好ましく、50〜3000sec-1が更に好ましい。せん断速度が10sec-1以上であれば、有効に高嵩密度化が進行する。その他の処理条件に特に制限はなく、処理温度は好ましくは5〜200℃である。
また、押出機処理によるパス回数としては、1パスでも十分効果を得ることができるが、セルロース含有原料を高嵩密度化する観点から、1パスで不十分な場合は、2パス以上行うことが好ましい。生産性の観点からは、1〜10パスが好ましい。処理回数を重ねることにより、粗大粒子が粉砕され、粒径のばらつきが少ない粉末状セルロース含有原料を得ることができる。2パス以上行う場合は、生産能力を考慮し、複数の押出機を直列に並べて処理を行ってもよい。
〔粉砕機処理(低結晶化処理)〕
本発明においては、必要に応じて、前記の前処理、押出機処理を行い、セルロース含有原料から水を除いた残余の成分中のセルロース含有量が20質量%以上であるセルロース含有原料を、粉砕助剤と共に粉砕機で処理して、該セルロースの結晶化度を33%以下に低減し、平均粒径を10〜200μmに調整する。
なお、前記のとおり、粉砕機に供給するセルロース含有原料の嵩密度は好ましくは100〜500kg/m3であり、その平均粒径は好ましくは0.01〜1mmであり、かかるセルロース含有原料を粉砕助剤と共に粉砕機で粉砕処理することにより、結晶化度及び平均粒径を低減させ、セルロースを効率的に低結晶化させることができる。
粉砕機としては媒体式粉砕機を好ましく用いることができる。媒体式粉砕機には容器駆動式粉砕機と媒体撹拌式粉砕機とがある。
容器駆動式粉砕機としては、転動ミル、振動ミル、遊星ミル、遠心流動ミル等が挙げられるが、粉砕効率、生産性の観点から、振動ミルが好ましい。
媒体撹拌式粉砕機としては、タワーミル等の塔型粉砕機;アトライター、アクアマイザー、サンドグラインダー等の撹拌槽型粉砕機;ビスコミル、パールミル等の流通槽型粉砕機;流通管型粉砕機;コボールミル等のアニュラー型粉砕機;連続式のダイナミック型粉砕機等が挙げられるが、粉砕効率、生産性の観点から、撹拌槽型粉砕機が好ましい。媒体攪拌式粉砕機を用いる場合の攪拌翼の先端の周速は、好ましくは0.5〜20m/s、より好ましくは1〜15m/sである。
粉砕機については「化学工学の進歩 第30集 微粒子制御」(社団法人 化学工学会東海支部編、1996年10月10日発行、槇書店)を参照することができる。
処理方法としては、バッチ式、連続式のどちらでもよい。
粉砕機に充填する媒体の材質としては、特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレス、アルミナ、ジルコニア、チタニア、炭化珪素、チッ化珪素、ガラス等が挙げられる。
粉砕機が振動ミル等の容器駆動式粉砕機であって媒体がボールの場合、ボールの外径は、効率的にセルロースの結晶化度を低減させる観点から、好ましくは0.1〜100mm、より好ましくは0.5〜50mmである。媒体の形状としては、ボール、ロッド、チューブ等を用いることができる。
媒体の充填率は、媒体式粉砕機の機種により好適な充填率が異なるが、好ましくは10〜97%、より好ましくは15〜95%の範囲である。充填率がこの範囲内であれば、セルロース含有原料とボール、ロッド等の媒体との接触頻度が向上するとともに、媒体の動きを妨げずに、粉砕効率を向上させることができる。ここで充填率とは、媒体式粉砕機の攪拌部の容積に対する媒体の見かけの体積をいう。
上記の媒体式粉砕機の中では、特にロッドを充填した振動ミルがより好ましい。
ロッドとは棒状の媒体であり、ロッドの断面が四角形、六角形等の多角形、円形、楕円形等のものを用いることができる。その材質、媒体の充填率は前記と同じである。
ロッドの外径は、好ましくは0.5〜200mm、より好ましくは1〜100mm、更に好ましくは5〜50mmであり、ロッドの長さは、粉砕機の容器の長さよりも短いものであれば特に限定されない。ロッドの大きさが上記の範囲であれば、所望の粉砕力が得られ、効率的にセルロースを低非晶化させることができる。
なお、振動ミルとしては、中央化工機株式会社製の振動ミル、ユーラステクノ株式会社製のバイブロミル、株式会社吉田製作所製の小型振動ロッドミル、ドイツのフリッチュ社製の振動カップミル、日陶科学株式会社製の小型振動ミル等が挙げられる。
粉砕処理時間は、粉砕機の種類や、粉砕機に充填する媒体の種類、大きさ及び充填率等により適宜調整しうるが、結晶化度を低減させる観点から、好ましくは0.01〜50hr、より好ましくは0.05〜20hr、より好ましくは0.1〜10hr、更に好ましくは0.1〜5hr、特に好ましくは0.1〜3.5hrである。粉砕処理温度は、特に制限はないが、熱劣化を防ぐ観点から、好ましくは5〜250℃、より好ましくは10〜200℃、更に好ましくは15〜150℃である。
上記の処理方法により、セルロース含有原料を出発原料として、セルロースI型結晶化度が33%以下の低結晶性セルロースを効率よく得ることができ、また、粉砕機処理の際に、粉砕機の内部にセルロース含有原料が固着せずに、乾式にて処理することができる。
本発明の製造方法によれば、平均粒径の小さい低結晶性セルロースを効率的に、生産性よく製造することができる。
実施例及び比較例で使用した又は得られたセルロース含有原料又は低結晶性セルロースの平均粒径、嵩密度、結晶化度、水分含量及びセルロース含有量の測定は、下記に記載の方法で行った。
(1)平均粒径の測定
平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。測定条件は、粒径測定前に超音波で1分間処理し、測定時の分散媒体として水を用い、体積基準のメジアン径を、温度25℃にて測定した。
(2)嵩密度の測定
嵩密度は、ホソカワミクロン株式会社製の「パウダーテスター」を用いて測定した。測定は、ふるいを振動させて、サンプルをシュートを通じ落下させ、規定の容器(容量100mL)に受け、該容器中のサンプルの質量を測定することにより算出した。ただし綿状化したサンプルについては、ふるいを通さずにシュートを通じ落下させ、規定の容器(容量100mL)に受け、該容器中のサンプルの質量を測定することにより算出した。
(3)結晶化度の算出
セルロースI型結晶化度は、サンプルのX線回折強度を、株式会社リガク製の「Rigaku RINT 2500VC X-RAY diffractometer」を用いて以下の条件で測定し、前記式(1)に基づいて算出した。
測定条件は、X線源:Cu/Kα−radiation、管電圧:40kv、管電流:120mA、測定範囲:回折角2θ=5〜45°で測定した。測定用サンプルは面積320mm2×厚さ1mmのペレットを圧縮し作製した。X線のスキャンスピードは10°/minで測定した。
(4)水分含量の測定
水分含量は、赤外線水分計(株式会社ケット科学研究所製、「FD−610」)を使用し、150℃にて測定を行った。
(5)セルロース含有量の測定
セルロース含有量は、社団法人日本分析化学会編、分析化学便覧(改訂四版、平成3年11月30日、丸善株式会社発行)の1081頁〜1082頁に記載のホロセルロース定量法により測定した。より具体的には、以下の方法で行った。
粉砕した試料をエタノール・ベンゼン混合溶剤(1:1)で6時間ソックスレー抽出を行い、さらにエタノールで4時間ソックスレー抽出を行って、抽出後の試料を60℃で真空乾燥した。得られた試料2.5gに水150mL、亜塩素酸ナトリウム1.0g及び酢酸0.2mLを加え、70〜80℃で1時間加温した。引き続き亜塩素酸ナトリウム及び酢酸を加えて加温する操作を繰り返し行い、試料が白く脱色するまで3〜4回処理を繰り返した。得られた白色の残渣をグラスフィルター(1G−3)でろ過し、冷水及びアセトンで洗浄した後、105℃で恒量になるまで乾燥し、残渣重量を求め、下記式によりセルロース含有量(%)を算出した。
セルロース含有量(%)=〔残渣重量(g)/真空乾燥後の試料重量(g)〕×100
実施例1
(1)シュレッダー処理(前処理)
セルロース含有原料として、シート状木材パルプ(Borregard社製「Blue Bear Ultra Ether」、800mm×600mm×1.5mm、結晶化度81%、セルロース含有量96質量%(セルロース含有原料から水を除いた残余の成分中の含有量。以下同じ。)、水分含量7質量%)、をシュレッダー(株式会社明光商会製、「MSX2000−IVP440F」)にかけ、約10mm×5mm×1.5mmのチップ状パルプを得た。
(2)押出機処理
上記(1)で得られたチップ状パルプを二軸押出機(株式会社スエヒロEPM製、「EA−20」、完全噛み合い型同方向回転)に2kg/hrで投入し、せん断速度660sec-1、スクリュー回転数300rpm、外部から冷却水を流しながら、1パス処理した。
二軸押出機の処理温度は発熱により30〜70℃であり、得られたパルプは、平均粒径120μm、嵩密度219kg/m3であった。
なお、前記二軸押出機は、スクリュー径40mmのスクリュー部と、互い違い(90°)に12ブロックを組み合わせたニーディングディスク部とを有し、2本のスクリューは、同じ構成を有するものである。
(3)粉砕機処理(振動ミル処理)
上記(2)で得られたパルプとグルコース(粉砕助剤)を混合し、その混合物100gを振動ミル(中央化工機株式会社製、「MB−1」、容器全容量3.5L)に投入し、ロッド(断面形状:円形、直径:30mm、長さ:218mm、材質:ステンレス)11本を振動ミルに充填(充填率49%)して、振幅8mm、回転数1200cpmの条件で0.5時間処理を行った。得られた低結晶性セルロース(粉末パルプ)の結晶化度は22%、平均粒径は56μmであり、その温度は、粉砕処理に伴う発熱により40℃であった。
粉砕処理終了後、振動ミル内の壁面や底部にパルプの固着物等はみられなかった。結果を表1に示す。
実施例2〜6
粉末助剤の種類及び粉砕機処理時間を変えた以外は、実施例1と同様に操作して低結晶性セルロース(粉末パルプ)を得た。結果を表1に示す。
実施例7〜8
粉末助剤の種類と添加量、及び粉砕機の種類と処理時間を変えた以外は、実施例1と同様に操作して低結晶性セルロース(粉末パルプ)を得た。結果を表1に示す。
比較例1
粉砕助剤を添加せず、粉砕機処理も行わなかった以外は、実施例1と同様に操作した結果、低結晶性セルロースは得られず、いわゆる結晶性セルロース(粉末パルプ)が得られた。結果を表1に示す。
比較例2
粉砕助剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様に操作した結果、結晶性セルロース(粉末パルプ)が得られた。結果を表1に示す。
比較例3
押出機処理を行わず、粉砕助剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様に操作した結果、結晶性セルロース(粉末パルプ)が得られた。結果を表1に示す。
比較例4
実施例1と同様にシュレッダー処理、次いで二軸押出機処理を行った後、得られたパルプと澱粉(粉砕助剤)の混合物100gを、粉砕機を用いる代わりにカッターミル(株式会社ダルトン製、「P−02S型」)に投入し、回転数3000rpmの条件で0.5時間処理した。
その結果、低結晶性セルロースではなく結晶性セルロース(粉末パルプ)が得られた。その結晶化度は74%、平均粒径は126μmであり、その温度は、処理に伴う発熱により35℃であった。結果を表1に示す。
比較例5
実施例1と同様にシュレッダー処理、次いで二軸押出機処理を行った。得られた押出機処理したパルプとペンタエリスリトール(砕助剤)の混合物100gを、粉砕機を用いる代わりにカッターミル(株式会社ダルトン製、「P−02S型」)に投入し、回転数3000rpmの条件で0.5時間処理を行った。
その結果、低結晶性セルロースではなく結晶性セルロース(粉末パルプ)が得られた。その結晶化度は75%、平均粒径は154μmであり、その温度は、処理に伴う発熱により31℃であった。結果を表1に示す。
Figure 0005426121
表1から、実施例1〜8の方法によれば、比較例1〜5の方法に比べて、セルロースの結晶化度及び平均粒径を低減させた低結晶性セルロースを効率的に得ることができ、生産性に優れていることが分かる。
本発明の低結晶性セルロースの製造方法は、セルロースI型結晶化度を33%以下に低減させた、平均粒径10〜200μmの低結晶性セルロースを効率的に、生産性よく得ることができる。得られた低結晶性セルロースは、セルロースエーテルの原料、化粧品、食品、バイオマス材料等の工業原料として特に有用である。

Claims (6)

  1. 下記式(1)で示されるセルロースのセルロースI型結晶化度が33%を超えるセルロース含有原料から平均粒径10〜200μmの低結晶性セルロースを製造する方法であって、該セルロース含有原料が押出機で処理された原料であり、該セルロース含有原料の平均粒径が0.01〜1mmであり、該セルロース含有原料から水を除いた残余の成分中のセルロース含有量が20質量%以上であって、該セルロース含有原料を粉砕助剤と共に粉砕機で処理して、該セルロースI型結晶化度を33%以下に低減する、低結晶性セルロースの製造方法。
    セルロースI型結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100 (1)
    〔式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、及びI18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。〕
  2. セルロース含有原料の嵩密度が100〜500kg/m3である、請求項1に記載の低結晶性セルロースの製造方法。
  3. 粉砕助剤が、多糖類、無機塩、有機酸、有機物、脂肪酸、及び多価アルコールから選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の低結晶性セルロースの製造方法。
  4. 粉砕機が媒体式粉砕機である、請求項1〜のいずれかに記載の低結晶性セルロースの製造方法。
  5. 媒体式粉砕機が、容器駆動式粉砕機又は媒体撹拌式粉砕機である、請求項に記載の低結晶性セルロースの製造方法。
  6. セルロース含有原料がパルプである、請求項1〜のいずれかに記載の低結晶性セルロースの製造方法。
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