JP5651341B2 - セルロース粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
また、機械的処理によりセルロースの微細な粒子を得る方法には、乾式又は湿式で粉砕する方法がある。一般的にセルロースを乾式で粉砕した場合、粉砕が長時間になると再凝集が起こりやすくなる。このような凝集を抑制するために、天然高分子に対して親和性を有する物質を添加して、粉砕処理を行い粒径の揃った微粒子を得る方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、繊維状又は粉末状のセルロースに対して、添加剤として脂肪酸類を加え扁平セルロース粒子を得る方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、特許文献1及び2にはセルロースの結晶化度についての記載はなく、上記の方法は、セルロースの結晶化度及び平均粒子径を低減させるにあたり、効率性及び生産性において満足できるものではない。
また、セルロース含有原料を機械的粉砕処理してセルロースI型結晶化度を低減する非晶化セルロースの製造方法が提案されているが(例えば、特許文献3及び4参照)、特許文献3及び4で得られるセルロースは十分に満足できるほど微細なものではない。
以上のとおり、従来の技術によるセルロースの粉砕処理では、平均粒子径を低減し、且つセルロースI型結晶化度を低減することは困難であった。
すなわち、本発明は、下記式(1)で示されるセルロースI型結晶化度が33%以下の低結晶性セルロース原料100質量部に対して、粉砕助剤として分子内に2個以上のエステル基を有する化合物を0.1〜100質量部添加し、乾式で粉砕機により処理してセルロース粒子を製造する方法であって、セルロース粒子の平均粒子径が25μm以下である、セルロース粒子の製造方法である。
セルロースI結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100 (1)
〔式中、I22.6はX線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度を示し、I18.5はアモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。〕
本発明に使用される低結晶性セルロース原料は、セルロースI型結晶化度を33%以下に低減させたものである。
一般的な市販パルプは、セルロースI型結晶化度が概ね60%以上のいわゆる結晶性セルロースであるが、本発明において原料として使用するセルロースは、セルロースI型結晶化度が33%以下の低結晶性セルロースである。
セルロースI結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100 (1)
〔式中、I22.6はX線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度を示し、I18.5はアモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。〕
また、「低結晶性」とは、セルロースの結晶構造においてアモルファス部の割合が多い状態を示し、具体的には上記式(1)から算出されるセルロースI型結晶化度が33%以下であることを意味し、該結晶化度が0%の完全非晶化の場合を含む。
これに対して、本明細書において、セルロースI型結晶化度が33%を超えるセルロースを総称して、「結晶性セルロース」ということがある。また、本明細書において、セルロースのセルロースI型結晶化度を単に「結晶化度」ということがある。
低結晶性セルロース原料の平均粒子径は、粉砕機処理を効率よく行う観点から、200μm以下が好ましく、5〜150μmがより好ましく、10〜125μmが更に好ましく、15〜95μmが特に好ましい。
本発明における原料として使用される、セルロースI型結晶化度が33%以下の低結晶性セルロース原料の製造方法としては、特に制限はないが、結晶化度を効率的に低下させる観点から、嵩密度が好ましくは50〜1000kg/m3、より好ましくは100〜900kg/m3、更に好ましくは120〜800kg/m3の範囲にあるセルロース含有原料を粉砕処理することにより得ることができる。
市販のパルプの場合、水を除いた残余の成分中のセルロース含有量は、一般には75〜99質量%であり、他の成分はリグニン等を含む。
セルロース含有原料としてパルプ類を使用する場合、結晶化度を効率的に低下させる観点から、セルロース含有原料中のリグニン量は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下である。
セルロース含有原料中の水分含量は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がより好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましく、1質量%以下が特に好ましい。セルロース含有原料中の水分含量が20質量%以下であれば、容易に粉砕できるとともに、粉砕処理により結晶化度及び平均粒子径を容易に低減させることができる。
本発明において、嵩密度が50kg/m3未満のセルロース含有原料を用いる場合は、前処理を行い、嵩密度を50〜1000kg/m3にすることが好ましい。
前処理としては、必要に応じて、粗粉砕処理、押出機処理を行い、セルロース含有原料を適度な嵩密度を有する粉末状にすることができる。
粗粉砕処理は、セルロース含有原料を粉砕機に投入する前に、チップ状に粗粉砕する処理である。この粗粉砕処理を予め行うことにより、粉砕処理をより効率的に行うことができる。粉砕機に供給するセルロース含有原料の大きさは、好ましくは1〜50mm角、より好ましくは1〜30mm角のチップ状である。
セルロース含有原料をチップ状に粗粉砕する方法としては、シュレッダー、ロータリーカッター又はスリッターカッター等の裁断機を使用する方法が挙げられる。
ロータリーカッターを使用する場合、得られるチップ状セルロース含有原料の大きさは、スクリーン(篩)の目開きを変えることにより、制御することができる。スクリーンの目開きは、1〜50mmが好ましく、1〜30mmがより好ましい。スクリーンの目開きが1mm以上であれば、セルロース含有原料が綿状化することがなく、後の押出機処理に用いるセルロース含有原料として適度な嵩高さを有するために取扱い性が向上する。スクリーンの目開きが50mm以下であれば、後の押出機処理に用いるセルロース含有原料として適度な大きさを有するために押出機処理において負荷を低減することができる。
また、シート状のセルロース含有原料を用いる場合、シュレッダー又はスリッターカッターを使用することが好ましく、生産性の観点から、スリッターカッターを使用することがより好ましい。スリッターカッターとしては、ホーライ社製のシートペレタイザを好ましく使用でき、この装置を使用すると、シート状のセルロース含有原料を約1〜20mm角に粗粉砕することができる。
押出機としては、単軸、二軸のどちらの形式でもよいが、搬送能力を高める等の観点から、シリンダの内部に2本のスクリューが回転自在に挿入された公知の二軸押出機を好ましく使用することができる。
また、強い圧縮せん断力を加える観点から、スクリューのいずれかの部分に、いわゆるニーディングディスク部を備えることが好ましい。ニーディングディスク部は、スクリューの回転にともなって、その狭い隙間にセルロース含有原料を強制的に通過させることで極めて強いせん断力を付与することができる。
処理方法としては、セルロース含有原料、好ましくは前記チップ状セルロース含有原料を押出機に投入し、連続的に処理する方法が好ましい。せん断速度としては、10sec-1以上が好ましく、20sec-1以上がより好ましく、50〜3000sec-1が更に好ましい。処理温度は好ましくは5〜200℃である。
また、押出機処理によるパス回数は、生産性の観点からは、1〜10パスが好ましい。
前処理後のセルロース含有原料の水分含量は、前記のとおり20質量%以下が好ましい。
セルロース含有原料の水分含量の調整方法としては、乾燥処理を含む方法であればよく、その処理方法としては特に限定されない。例えば、熱風受熱乾燥法、伝導受熱乾燥法、除湿空気乾燥法、冷風乾燥法、マイクロ波乾燥法、赤外線乾燥法、天日乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法等の公知の方法を適宜採用すればよい。
乾燥処理における温度は、10〜250℃が好ましく、50〜150℃がより好ましく、60〜120℃が更に好ましい。処理時間は、0.01〜15hrが好ましく、0.02〜10hrがより好ましく、0.03〜5hrがより好ましく、0.04〜1hrが更に好ましく、0.05〜0.5hrが特に好ましい。必要に応じて減圧下で乾燥処理を行ってもよく、圧力としては、1〜120kPaが好ましく、5〜105kPaがより好ましい。
なお、市販のパルプ類、紙類、植物穀類等の一般に利用可能なセルロース含有原料は、水分を5質量%以上、通常5〜30質量%程度含有している。
また、水分含量が調整されたセルロース含有原料の嵩密度は、前処理後のセルロース含有原料の嵩密度と同様の値を有することが好ましい。
上記で得られたセルロース含有原料を圧縮せん断力を作用させて機械的に粉砕処理することにより、セルロースI型結晶化度が33%以下の低結晶性セルロース原料を製造することができるが、この粉砕処理は、後述するセルロース粒子を得るための粉砕機処理と同様の方法で行うことができる。
上記の処理方法により、セルロース含有原料から、セルロースI型結晶化度が33%以下の低結晶性セルロース原料を短時間で効率よく得ることができる。また、粉砕機処理の際に、粉砕機の内部にセルロース原料が固着せずに、乾式にて処理することができる。
上記処理方法によれば、好ましくは平均粒子径が200μm以下の範囲にある粒状の低結晶性セルロース原料を効率的に、生産性よく製造することができる。
本発明においては、セルロース同士の凝集を抑制し、平均粒子径が小さく、セルロースI型結晶化度が低いセルロース粒子を得る観点から、上記で得られた低結晶性セルロース原料100質量部に対して、粉砕助剤として分子内に2個以上のエステル基を有する化合物を0.1〜100質量部添加し、乾式で粉砕機により処理して、セルロース粒子を製造する。
粉砕助剤として用いる、分子内に2個以上のエステル基を有する化合物(以下、「化合物(I)」ともいう)としては、分子内に、好ましくは2〜10個、より好ましくは2〜6個、更に好ましくは2〜3個のエステル基を有し、エステルを構成するアルコール成分の少なくとも1種が、水酸基1個当たり炭素数1〜3、好ましくは炭素数2又は3のアルカンジイルオキシ基を平均0.5〜5モル付加したエステル化合物が好ましい。
化合物(I)の中では、下記式(2)で表される化合物(以下、「化合物(II)」ともいう)が、セルロース粒子の平均粒子径を低減する観点から好ましい。
R1−O−(AO)m−CO−(CH2)l−CO−(AO)n−O−R2 (2)
(式中、Aは、炭素数1〜3のアルカンジイル基を示し、R1及びR2は、各々独立して、炭素数1〜10個の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、lは1〜8の数を示し、m及びnは平均付加モル数を意味し、各々独立して1〜8の数である。)
R1及びR2としては、各々独立して、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基がより好ましい。
lとしては、1〜6の数が好ましく、1〜4の数がより好ましい。m及びnとしては、各々独立して、1〜6の数が好ましく、1〜4の数がより好ましい。
上記式(2)で表わされる化合物(II)は、脂肪族ジカルボン酸と、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとを反応させることにより得ることができる。これらの中でも、セルロース粒子の平均粒子径を低減する観点から、(i)コハク酸又はアジピン酸と、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルとを反応させることにより得られるエステル化合物、(ii)酢酸と、グリセリン又はエチレングリコールのエチレンオキサイド付加物とを反応させることにより得られるエステル化合物が好ましく、(i)コハク酸又はアジピン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物がより好ましい。
本発明における粉砕機処理に用いられる粉砕機としては、媒体式粉砕機が好ましく挙げられる。媒体式粉砕機には容器駆動式粉砕機と媒体撹拌式粉砕機とがある。
容器駆動式粉砕機としては、転動ミル、振動ミル、遊星ミル、遠心流動ミル等が挙げられるが、粉砕効率、生産性の観点から、振動ミルが好ましい。
媒体撹拌式粉砕機としては、タワーミル等の塔型粉砕機;アトライター、アクアマイザー、サンドグラインダー等の撹拌槽型粉砕機;ビスコミル、パールミル等の流通槽型粉砕機;流通管型粉砕機;コボールミル等のアニュラー型粉砕機;連続式のダイナミック型粉砕機等が挙げられる。これらの中では、粉砕効率、生産性の観点から、撹拌槽型粉砕機が好ましい。媒体攪拌式粉砕機を用いる場合の攪拌翼の先端の周速は、好ましくは0.5〜20m/s、より好ましくは1〜15m/sである。
粉砕機については「化学工学の進歩 第30集 微粒子制御」(社団法人 化学工学会東海支部編、1996年10月10日発行、槇書店)を参照することができる。
処理方法としては、バッチ式、連続式のどちらでもよい。
粉砕機が振動ミル等の容器駆動式粉砕機であって媒体がボールの場合、ボールの外径は、効率的にセルロースの平均粒子径及び結晶化度を低減させる観点から、好ましくは0.1〜100mm、より好ましくは0.5〜50mmであり、より好ましくは1〜20mmであり、更に好ましくは1〜10mmであり、特に好ましくは1〜6mmである。
ボールの充填率は、媒体式粉砕機の機種により好適な充填率が異なるが、好ましくは10〜97%、より好ましくは15〜95%の範囲である。充填率がこの範囲内であれば、セルロース含有原料とボール、ロッド等の媒体との接触頻度が向上するとともに、媒体の動きを妨げずに、粉砕効率を向上させることができる。ここで充填率とは、媒体式粉砕機の攪拌部の容積に対する媒体の見かけの体積をいう。
ロッドとは棒状の媒体であり、ロッドの断面が四角形、六角形等の多角形、円形、楕円形等のものを用いることができる。
ロッドの外径は、好ましくは0.5〜200mm、より好ましくは1〜100mm、より好ましくは3〜50mmであり、より好ましくは3〜35mmであり、更に好ましくは3〜15mmであり、特に好ましくは3〜8mmである。ロッドの長さは、粉砕機の容器の長さよりも短いものであれば特に限定されない。ロッドの大きさが上記の範囲であれば、所望の粉砕力が得られ、効率的にセルロースの平均粒子径及び結晶化度の低減を実現することができる。
ロッドの材質、充填率は、ボールの場合と同様である。また、セルロース含有原料とロッドとの接触頻度を高め粉砕効率を向上させる観点から、ロッドは複数本使用することが好ましい。
なお、振動ミルとしては、中央化工機株式会社製の振動ミル、ユーラステクノ株式会社製のバイブロミル、株式会社吉田製作所製の小型振動ロッドミル、ドイツのフリッチュ社製の振動カップミル、日陶科学株式会社製の小型振動ミル等が挙げられる。
上記の粉砕機処理方法によれば、微粉砕されたセルロース粒子同士の強い凝集を抑制し、低結晶性セルロース原料から平均粒子径を低減させたセルロース粒子を効率的に、生産性よく製造することができる。また、粉砕機処理の際に、粉砕機の内部に低結晶性セルロース原料が固着せずに、乾式にて処理することができる。
本発明において、上記の方法で得られるセルロース粒子の平均粒子径は25μm以下である。セルロース粒子の平均粒子径が25μm以下であれば、セルロース粒子の凝集を抑制することができる。さらに、例えば、セルロース粒子を樹脂に配合して、均一に分散させることができ、樹脂に耐久性を付与することが可能となる。以上の観点から、セルロース粒子の平均粒子径は、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは18μm以下であり、更に好ましくは10μm以下である。
本発明において、〔セルロース粒子の平均粒子径/低結晶性セルロース原料の平均粒子径〕の比は、セルロース粒子の凝集を抑制し、効率的に平均粒子径を低減させる観点から、好ましくは0.7以下であり、より好ましくは0.6以下であり、より好ましくは0.5以下であり、更に好ましくは0.4以下であり、特に好ましくは0.3以下である。
本発明で得られるセルロース粒子の平均粒子径の下限は、生産性の観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上である。
本発明で得られるセルロース粒子の平均粒子径は、セルロース粒子の凝集抑制及び生産性の観点から、好ましくは0.01〜25μmであり、より好ましくは0.01〜20μmであり、更に好ましくは0.1〜18μm、特に好ましくは0.1〜10μmである。
なお、セルロース粒子及び低結晶性セルロース原料の平均粒子径は、実施例に記載の方法により測定することができる。
また、本発明で得られるセルロール粒子のセルロースI型結晶化度は、好ましくは33%以下、より好ましくは25%以下、更に好ましくは15%以下、特に好ましくは0%である。
本発明で得られるセルロース粒子は、少なくともその一部は化合物(I)と複合化した複合粒子を形成し、セルロース粒子同士の凝集を効果的に抑制することができる。
(1)セルロースI型結晶化度の算出
セルロースI型結晶化度は、サンプルのX線回折強度を「Rigaku RINT 2500VC X-RAY diffractometer」を用いて以下の条件で測定し、前記式(1)に基づいて算出した。
測定は、X線源;Cu/Kα-radiation、管電圧:40kV、管電流:120mA、測定範囲:解析角2θ=5〜45°、X線のスキャンスピード10°/minの条件で行った。測定用サンプルは、面積320mm2×厚さ1mmのペレットを圧縮して作製した。
セルロース粒子の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。粒径測定前に試料を超音波で1分間処理し、試料の分散媒体としてエタノールを用い、体積基準のメジアン径を温度25℃にて測定した。
(3)セルロース原料の水分含有量の測定
セルロース原料の水分含有量は、赤外線水分計(株式会社ケット化学研究所製、「FD−610」)を使用し、150℃にて測定した。
(1)シュレッダー処理
セルロース含有原料として、シート状木材パルプ〔テンベック社製「Bioflo HV10A」、800mm×600mm×1.5mm、結晶化度81%、セルロース含有原料から水を除いた残余成分中のセルロース含有量96質量%、水分含量7質量%〕をシュレッダー(株式会社明光商会製、「MSX2000−IVP440F」)にかけ、約10mm×5mm×1.5mmのチップ状パルプにした。
(2)振動ミル処理
上記(1)で得られたチップ状パルプ50gを振動ミル(中央化工機株式会社製、「MB−1」、容器全容量3.5L)に投入し、ロッド(断面形状:円形、直径:30mm、長さ:218mm、材質:ステンレス)11本を振動ミルに充填(充填率48%)して、振幅8mm、円回転1200cpmの条件で、0.12時間処理を行った。
得られた結晶性セルロース原料の平均粒子径は101μmであり、セルロースI型結晶化度は55%であった。
(3)乾燥処理
上記(2)で得られた結晶性セルロース原料を真空乾燥機(アドバンテック東洋株式会社製、VACUUM DRYING OVEN、DRV320VA)で減圧乾燥(22kPa、80℃、10時間、窒素雰囲気下)して、結晶性セルロース原料の水分含量を0.8質量%まで低減させた。
製造例1の(1)シュレッダー処理により得られたチップ状パルプを、製造例1の(3)と同様にして乾燥処理し、水分含量を低減させた。
(振動ミル処理)
上記で得られた乾燥パルプ50gを振動ミル(中央化工機株式会社製、「MB−1」、容器全容量3.5L)に投入し、ロッド(断面形状:円形、直径:30mm、長さ:218mm、材質:ステンレス)11本を振動ミルに充填(充填率48%)して、振幅8mm、円回転1200cpmの条件で、2.0時間処理を行った。
得られた低結晶性セルロース原料の平均粒子径は40μmであり、セルロースI型結晶化度は0%、水分含量は0.8質量%であった。また、振動ミル処理終了時の低結晶性セルロース原料の温度は、処理に伴う発熱により、85℃であり、処理終了後、振動ミル内の壁面や底部にパルプの固着物等はみられなかった。
製造例2で得られた低結晶性セルロース原料(平均粒子径40μm、セルロースI型結晶化度0%、水分含量0.8質量%)50gとコハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物(以下、[Me(EO)3]2SA、花王株式会社製、改質ポリ乳酸樹脂「ECOLA−10100」という)5gとを混合し、その混合物の全量を振動ミル(中央化工機株式会社製、「MB−1」、容器全容量3.5L)に投入し、ロッド(断面形状:円形、直径:30mm、長さ:218mm、材質:ステンレス)11本を振動ミルに充填して、振幅8mm、回転数1200cpmの条件で0.5時間粉砕を行った。得られた微細セルロース粒子の平均粒子径は15μmであった。結果を表1に示す。
低結晶性セルロース原料の水分含量を6.3質量%に変えたこと以外は、実施例1と同様に粉砕処理を行った。得られた微細セルロース粒子の平均粒子径は23μmであった。結果を表1に示す。
実施例3
化合物(I)をアジピン酸とジエチレングリコールモノメチルエーテル/ベンジルアルコール混合物(以下、[Me(EO)2]2AA、大八化学工業株式会社製、可塑剤「DAIFATTY−101」という)に変えたこと以外は、実施例1と同様に粉砕処理を行った。得られた微細セルロース粒子の平均粒子径は12μmであった。結果を表1に示す。
実施例4
ロッド(断面形状:円形、直径:10mm、長さ:218mm、材質:ステンレス)99本を振動ミルに充填して、振幅8mm、回転数1200cpmの条件で3時間粉砕したこと以外は、実施例1と同様に粉砕処理を行った。得られた微細セルロース粒子の平均粒子径は16μmであった。結果を表1に示す。
実施例5
ロッド(断面形状:円形、直径:5mm、長さ:218mm、材質:ステンレス)330本を振動ミルに充填して、実施例4と同様に粉砕処理を行った。得られた微細セルロース粒子の平均粒子径は16μmであった。結果を表1に示す。
ボール(断面形状:円形、直径:9.5mm、材質:ステンレス)12.4kgを振動ミルに充填して、振幅8mm、回転数1200cpmの条件で3時間粉砕したこと以外は、実施例1と同様に粉砕処理を行った。得られた微細セルロース粒子の平均粒子径は8.1μmであった。結果を表2に示す。
実施例7
ボールの直径を5.5mmに変えた以外は、実施例6と同様に粉砕処理を行った。得られた微細セルロース粒子の平均粒子径は6.0μmであった。結果を表2に示す。
実施例8
ボールの直径を直径:3mmに変えた以外は、実施例6と同様に粉砕処理を行った。得られた微細セルロース粒子の平均粒子径は5.5μmであった。結果を表2に示す。
製造例2で得られた低結晶性セルロース原料(平均粒子径40μm、セルロースI型結晶化度0%、水分含量0.8質量%)50gを振動ミルに投入し、ロッド(断面形状:円形、直径:30mm、長さ:218mm、材質:ステンレス)11本を振動ミルに充填して、振幅8mm、回転数1200cpmの条件で0.5時間粉砕を行った。得られた微細セルロース粒子の平均粒子径は43μmであった。結果を表3に示す。
比較例2
粉砕時間を3.0時間に変えたこと以外は、比較例1と同様に粉砕処理を行った。得られた微細セルロース粒子の平均粒子径は40μmであった。結果を表3に示す。
比較例3
製造例1で得られた結晶性セルロース含有原料(結晶性セルロース、平均粒子径101μm、セルロースI型結晶化度55%、水分含量0.8質量%)を用いたこと以外は、実施例1と同様に粉砕処理を行った。得られた微細セルロース粒子の平均粒子径は30μmであり、セルロースI型結晶化度は32%であった。結果を表3に示す。
Claims (8)
- 下記式(1)で示されるセルロースI型結晶化度が25%以下の低結晶性セルロース原料100質量部に対して、粉砕助剤として下記式(2)で表される分子内に2個以上のエステル基を有する化合物を0.1〜100質量部添加し、乾式で粉砕機により処理してセルロース粒子を製造する方法であって、該低結晶性セルロース原料が、セルロース含有原料を圧縮せん断力を作用させて機械的に粉砕処理することにより製造されたものであり、セルロース粒子の平均粒子径が25μm以下である、セルロース粒子の製造方法。
セルロースI結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100 (1)
〔式中、I22.6はX線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度を示し、I18.5はアモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。〕
R 1 −O−(AO) m −CO−(CH 2 ) l −CO−(AO) n −O−R 2 (2)
(式中、Aは、炭素数1〜3のアルカンジイル基を示し、R 1 及びR 2 は、各々独立して、炭素数1〜10個の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、lは1〜8の数を示し、m及びnは平均付加モル数を意味し、各々独立して1〜8の数である。) - 〔セルロース粒子の平均粒子径/低結晶性セルロース原料の平均粒子径〕が0.7以下である、請求項1に記載のセルロース粒子の製造方法。
- 前記低結晶性セルロース原料が粒状である、請求項1又は2に記載のセルロース粒子の製造方法。
- 前記式(2)で表される化合物が、コハク酸又はアジピン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載のセルロース粒子の製造方法。
- 前記粉砕機が媒体式粉砕機である、請求項1〜4のいずれかに記載のセルロース粒子の製造方法。
- 前記媒体式粉砕機の媒体がボール又はロッドである、請求項5に記載のセルロース粒子の製造方法。
- 前記低結晶性セルロース原料が、嵩密度50〜1000kg/m3のセルロース含有原料を粉砕処理して得られたものである、請求項1〜6のいずれかに記載のセルロース粒子の製造方法。
- 前記低結晶性セルロース原料中の水分含量が20質量%以下である、請求項1〜7のいずれかに記載のセルロース粒子の製造方法。
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