JP5390963B2 - 小粒径セルロースの製造方法 - Google Patents
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これらの工業原料に用いられるセルロースとしては、セルロース含有原料を粉砕機で機械的に処理して、セルロース結晶構造が非晶化されたものが知られている(例えば、特許文献1〜5を参照)。
特許文献1の実施例1及び4には、シート状パルプを振動ボールミル又は二軸押出機で処理する方法、特許文献2の実施例1〜3には、パルプをボールミルで処理する方法、特許文献3の実施例1及び2には、パルプを加水分解等の化学的処理をして得られたセルロース粉体を、ボールミルさらには気流式粉砕機で処理する方法がそれぞれ開示されている。 また、特許文献4及び5には、嵩密度が100〜500kg/m3のセルロース含有原料を、ボール又はロッドを充填した振動ミル等の粉砕機で処理して、非晶化セルロースを製造する方法が開示されている。
しかし、一般にセルロースを乾式で粉砕した場合、粉砕が長時間になるとセルロースが再凝集を起こしやすくなるため、微細な小粒径セルロースを製造することは困難であった。
例えば、特許文献6には、木質材を破砕した後、その破砕物を、粉砕媒体としてロッドを装入した上段の第1粉砕筒、及び粉砕媒体としてボールを装入した下段の第2粉砕筒を備える振動式粉砕機に供して粉砕する方法により、全体の90重量%以上を粒径100μm以下の粉末にまで粉砕できることが開示されている。しかし、特許文献6で得られる木質材は、十分に満足できるほど微細なものではない。
本発明に用いられるセルロース含有原料は、該原料から水を除いた残余の成分中のセルロース含有量が20質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上のものである。
本発明におけるセルロース含有量とは、セルロース量及びヘミセルロース量の合計量を意味する。
前記セルロース含有原料には特に制限はなく、各種木材チップ、各種樹木の剪定枝材、間伐材、枝木材、建築廃材、工場廃材等の木材類;木材から製造されるウッドパルプ、綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプ等のパルプ類;新聞紙、段ボール、雑誌、上質紙等の紙類;稲わら、とうもろこし茎等の植物茎・葉類;籾殻、パーム殻、ココナッツ殻等の植物殻類等が挙げられる。これらの中では、パルプ類や木材類が好ましい。
市販のパルプの場合、水を除いた残余の成分中のセルロース含有量は、通常75〜99質量%であり、他の成分としてリグニン等を含む。
本発明に用いるセルロース含有原料におけるセルロースのセルロースI型結晶化度は、好ましくは33%以下である。なお、一般に、市販のパルプのセルロースI型結晶化度は、通常60%以上である。
セルロースI型結晶化度は、X線回折法による回折強度値からSegal法により算出したもので、下記計算式(1)により定義される。以下、本明細書において、セルロースのセルロースI型結晶化度を単に「結晶化度」ということがある。
セルロースI型結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100 (1)
〔I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す〕
結晶化度が33%以下であれば、セルロースの化学反応性が向上し、例えば、セルロースエーテルの製造において、アルカリを加えた際にアルカリセルロース化が容易に進行し、結果としてセルロースエーテル化反応の反応転化率を向上させることができる。この観点から、結晶化度としては、20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、分析でI型結晶が検出されない0%が特に好ましい。なお、計算式(1)で定義されたセルロースI型結晶化度では、計算上マイナスの値になる場合があるが、マイナスの値の場合は、セルロースI型結晶化度は0%とする。
本発明では、平均粒径が42〜100μmのセルロース含有原料を、外径3〜15mmのロッドを充填した振動ミルで処理して該平均粒径を1〜38μmである小粒径セルロースを製造する(以下、該処理を「微細化処理」という)。
本発明における微細化処理に用いるセルロース含有原料の平均粒径は、微細化処理時の製造負荷を低減する観点から、42〜100μmであり、43〜90μmが好ましく、43〜80μmがより好ましい。なお、上記の平均粒径は、実施例に記載の方法により測定することができる。
以上の観点から、微細化処理に用いるセルロース含有原料中の水分含量は、0.2〜4.3質量%が好ましく、0.3〜4質量%がより好ましく、0.4〜3.5質量%が更に好ましく、0.4〜3質量%が特に好ましい。
この嵩密度が50kg/m3以上であれば、セルロース含有原料が適度な容積を有するために取扱い性が向上する。また、粉砕機へ原料仕込み量を多くすることができるので、処理能力が向上し、粉砕、微細化、及び非晶化をより効率的に行うことができる。この観点から、上記の嵩密度は、より好ましくは65kg/m3以上、さらに好ましくは100kg/m3以上である。一方、この嵩密度の上限は、取扱い性及び生産性の観点から、好ましくは500kg/m3以下、より好ましくは400kg/m3以下、更に好ましくは350kg/m3以下である。これらの観点から、上記の嵩密度は、より好ましくは65〜400kg/m3、更に好ましくは100〜350kg/m3である。なお、上記の嵩密度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
セルロース含有原料を裁断する方法は、セルロース含有原料の種類や形状により適宜の方法を選択することができるが、例えば、シュレッダー、スリッターカッター及びロータリーカッターから選ばれる1種以上の裁断機を使用する方法が挙げられる。
シート状のセルロース含有原料を用いる場合、裁断機としてシュレッダー又はスリッターカッターを使用することが好ましく、生産性の観点から、スリッターカッターを使用することがより好ましい。
スリッターカッターは、シートの長手方向に沿った縦方向にロールカッターで縦切りして、細長い短冊状とし、次に、固定刃と回転刃でシートの幅方向に沿って短く横切りすることにより、さいの目形状のセルロース含有原料を容易に得ることができる。スリッターカッターとしては、株式会社ホーライ社製のシートペレタイザを好ましく使用でき、この装置を使用すると、シート状のセルロース含有原料を約1〜20mm角に裁断することができる。
次に、セルロース含有原料、好ましくは前記裁断処理で得られたセルロース含有原料を必要に応じてさらに粗砕処理することができる。粗砕処理としては押出機処理が好ましく、押出機処理により、圧縮せん断力を作用させ、セルロースの結晶構造を破壊して、セルロース含有原料を粉末化させ、嵩密度をさらに高めることができる。
圧縮せん断力を作用させて機械的に粉砕する方法として、従来よく用いられる衝撃式の粉砕機、例えば、カッターミル、ハンマーミル、ピンミル等では、粉砕物が綿状化して嵩高くなり、取扱い性を損ない、質量ベースの処理能力が低下する。一方、押出機を用いることにより、所望の嵩密度を有する粉砕原料が得られ、取扱い性を向上させることができる。
二軸押出機としては、シリンダの内部に2本のスクリューが回転自在に挿入された押出機であり、従来から公知のものが使用できる。2本のスクリューの回転方向は、同一でも逆方向でもよいが、搬送能力を高める観点から、同一方向の回転が好ましい。
また、スクリューの噛み合い条件としては、完全噛み合い、部分噛み合い、非噛み合いの各形式の押出機のいずれでもよいが、処理能力を向上させる観点から、完全噛み合い型、部分噛み合い型が好ましい。
ニーディングディスク部とは、複数のニーディングディスクで構成され、これらを連続して、一定の位相で、例えば90°ずつに、ずらしながら組み合わせたものであり、スクリューの回転にともなって、ニーディングディスク間あるいはニーディングディスクとシリンダの間の狭い隙間にセルロース含有原料を強制的に通過させることで極めて強いせん断力を付与することができる。スクリューの構成としては、ニーディングディスク部と複数のスクリューセグメントとが交互に配置されることが好ましい。二軸押出機の場合、2本のスクリューが、同一の構成を有することが好ましい。
また、押出機によるパス回数としては、1パスでも十分効果を得ることができるが、セルロースの結晶化度及び重合度を低下させる観点から、1パスで不十分な場合は、2パス以上行うことが好ましい。また、生産性の観点からは、1〜10パスが好ましい。パスを繰返すことにより、粗大粒子が粉砕され、粒径のばらつきが少ない粉末状セルロース含有原料を得ることができる。2パス以上行う場合、生産能力を考慮し、複数の押出機を直列に並べて処理を行ってもよい。
一般に、市販のパルプ類、バイオマス資源として利用される紙類、木材類、植物茎・葉類、植物殻類等の一般に利用可能なセルロース含有原料は、5質量%を超える水分を含有しており、通常5〜30質量%程度の水分を含有している。
したがって、本発明では、セルロース含有原料、好ましくは上記裁断処理及び/又は粗砕処理して得られたセルロース含有原料を用いて乾燥処理を行うことによって、セルロース含有原料中の水分含量を4.5質量%以下に調整することが好ましい。
上記の乾燥方法において、公知の乾燥機を適宜選択して使用することができ、例えば、「粉体工学概論」(社団法人日本粉体工業技術会編集 粉体工学情報センター1995年発行) 176頁に記載の乾燥機等が挙げられる。
これらの乾燥方法及び乾燥機は、1種でも又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。乾燥処理はバッチ処理、連続処理のいずれでも可能である。
乾燥処理における温度は、乾燥手段、乾燥時間等により一概には決定できないが、10〜250℃が好ましく、50〜150℃がより好ましい。処理時間としては0.01〜2hrが好ましく、0.02〜1hrがより好ましい。必要に応じて減圧下で乾燥処理を行なってもよく、圧力としては、1〜120kPaが好ましく、50〜105kPaがより好ましい。
平均粒径が100μmを超えるセルロース含有原料を用いる場合には、微細化処理の前処理として粉砕処理を行い、平均粒径を42〜100μmの範囲に調整することが好ましい。
前処理に使用する粉砕機としては、媒体式粉砕機を好ましく用いることができる。ここでの微細化処理の前処理を効率的に行う観点から、後述する微細化処理に使用される外径3〜15mmのロッドを充填した振動ミル以外の媒体式粉砕機を使用することが好ましい。
媒体式粉砕機には容器駆動式粉砕機と媒体撹拌式粉砕機とがある。
容器駆動式粉砕機としては転動ミル、振動ミル、遊星ミル、遠心流動ミル等が挙げられる。この中で、粉砕効率が高く、生産性の観点から、振動ミルが好ましい。
媒体撹拌式粉砕機としてはタワーミル等の塔型粉砕機;アトライター、アクアマイザー、サンドグラインダー等の撹拌槽型粉砕機;ビスコミル、パールミル等の流通槽型粉砕機;流通管型粉砕機;コボールミル等のアニュラー型粉砕機;連続式のダイナミック型粉砕機等が挙げられる。この中で、粉砕効率が高く、生産性の観点から、撹拌槽型粉砕機が好ましい。媒体攪拌式粉砕機を用いる場合の攪拌翼の先端の周速は、好ましくは0.5〜20m/s、より好ましくは1〜15m/sである。
粉砕機の種類は「化学工学の進歩 第30集 微粒子制御」(社団法人 化学工学会東海支部編、1996年10月10日発行、槇書店)を参照することができる。
処理方法としては、バッチ処理及び連続処理のどちらでもよいが、生産性の観点から連続処理が好ましい。
粉砕機の媒体の材質としては、特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレス、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、チッ化珪素、ガラス等が挙げられる。
ロッドの外径は、好ましくは20〜200mm、より好ましくは20〜100mm、更に好ましくは20〜50mmの範囲である。ロッドの外径が上記範囲であれば、続く微細化処理を効率的に行うことができる。
ロッドの長さは、粉砕機の容器の長さよりも短いものであれば特に限定されないが、例えば、好ましくは50mm〜5m、より好ましくは75mm〜2m、更に好ましくは100mm〜1mのものを使用することができる。ロッドの大きさが上記の範囲であれば、所望の粉砕力が得られるとともに、ロッドのかけら等が混入してセルロース含有原料が汚染されることなく効率的にセルロースを粉砕、及び非晶化することができる。
ロッドの断面は、後述するものを同様に用いることができる。振動ミルの具体例としては、後述で例示するものを挙げることができる。
粉砕機の処理時間としては、粉砕機の種類、ボール、ロッド等の媒体の種類、大きさ及び充填率等により一概に決定できないが、結晶化度を効率的に低下させる観点から、好ましくは0.5〜100分、より好ましくは2〜80分、更に好ましくは3〜60分、特に好ましくは3〜40分である。である。
処理温度は、特に制限はないが、熱によるセルロースの劣化を防ぐ観点から、好ましくは5〜250℃、より好ましくは10〜200℃である。
微細化処理では、媒体として外径が3〜15mmのロッドを充填した振動ミルを用いる。
処理方法としては、バッチ処理及び連続処理のどちらでもよいが、生産性の観点から連続処理が好ましい。
ロッドの材質としては、特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレス、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、チッ化珪素、ガラス等が挙げられる。
振動ミルとしては、中央化工機株式会社製の振動ミル、株式会社吉田製作所製の小型振動ロッドミル1045型、ドイツのフリッチュ社製の振動カップミルP−9型、日陶科学株式会社製の小型振動ミルNB−O型等を用いることができる。
ロッドとは棒状の媒体であり、ロッドの断面が四角形、六角形等の多角形、円形、楕円形等のものを用いることができる。
ロッドの外径は3〜15mmである。ロッドの外径が上記の範囲であれば、効率よく微細化することができる。この観点から、ロッドの外径としては、好ましくは3〜12mm、より好ましくは3〜10mm、更に好ましくは4〜8mmの範囲である。
ロッドの長さとしては、粉砕機の容器の長さよりも短いものであれば特に限定されないが、例えば、好ましくは50mm〜5m、より好ましくは75mm〜2m、更に好ましくは100mm〜1mのものを使用することができる。ロッドの大きさが上記の範囲であれば、所望の粉砕力が得られるとともに、ロッドのかけら等が混入してセルロース含有原料が汚染されることなく効率的にセルロースの平均粒径を低減させることができる。
粉砕機の処理時間としては、粉砕機の種類、ロッドの材質、形状、大きさ及び充填率等により一概に決定できないが、セルロースの平均粒径を効率的に低下させる観点から、好ましくは1〜120分、より好ましくは2〜60分、更に好ましくは3〜30分、特に好ましくは3〜20分である。である。
処理温度は、特に制限はないが、熱によるセルロースの劣化を防ぐ観点から、好ましくは5〜250℃、より好ましくは10〜200℃である。
得られる小粒径セルロースの平均粒径は、この小粒径セルロースを工業原料として用いる際の化学反応性及び取扱い性の観点から、好ましくは2〜38μm、さらに好ましくは3〜35μmである。
(1)嵩密度の測定
嵩密度は、ホソカワミクロン株式会社製の「パウダーテスター」を用いて測定した。測定は、ふるいを振動させて、サンプルをシュートを通じ落下させ、規定の容器(容量100mL)に受け、該容器中のサンプルの質量を測定することにより算出した。
(2)平均粒径の測定
平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。測定条件は、粒径測定前に超音波で1分間処理し、測定時の分散媒体として水を用い、体積基準のメジアン径を、温度25℃にて測定した。
セルロースI型結晶化度は、サンプルのX線回折強度を、株式会社リガク製の「Rigaku RINT 2500VC X-RAY diffractometer」を用いて以下の条件で測定し、前記計算式に基づいて算出した。
測定条件は、X線源:Cu/Kα−radiation,管電圧:40kv,管電流:120mA,測定範囲:回折角2θ=5〜45°、X線のスキャンスピード:10°/minであった。測定用サンプルは面積320mm2×厚さ1mmのペレットを圧縮し作製した。
(4)水分含量の測定
水分含量は、赤外線水分計(株式会社島津製作所製、「MOC−120H」)を使用し、120℃にて測定を行った。
(5)セルロース含有量の測定
セルロース含有量は、社団法人日本分析化学会編、分析化学便覧(改訂四版、平成3年11月30日、丸善株式会社発行)の1081頁〜1082頁に記載のホロセルロース定量法により測定した。
〔裁断処理〕
セルロース含有原料として、シート状木材パルプ〔テンベック社製「Biofloc HV-10A」、800mm×600mm×1.0mm、結晶化度81.5%、セルロース含有量(セルロース含有原料から水を除いた残余の成分中の含有量、以下同じ)96質量%、水分含量8.5質量%〕を、シートペレタイザ(株式会社ホーライ製、「SG(E)−220」)にかけ、約4mm×4mm×1.0mmの大きさに裁断した。裁断処理後に得られたパルプの嵩密度は、200kg/m3であった。
裁断処理により得られたパルプを、棚乾燥機〔アドバンテック(ADVANTEC)社製 真空定温乾燥器「DRV320DA」〕を用いて、乾燥後のパルプの水分含量が、0.4質量%になるように乾燥した。乾燥処理後のパルプの結晶化度は79%であった。
乾燥処理により得られたパルプを、バッチ式振動ミル(中央化工機株式会社製、「MB−1」、容器全容量3.5L)に100g投入し、ロッドとして、直径30mm、長さ218mm、材質ステンレス、断面形状が円形のロッド13本を振動ミルに充填(充填率57%)して、振幅8mm、円回転1200cpmの条件で、15分間処理した。
得られたパルプの平均粒径は45μm、嵩密度は300kg/m3、結晶化度は0%、水分含量は0.4質量%であった。
前処理により得られたパルプを、バッチ式振動ミル(中央化工機株式会社製、「MB−1」、容器全容量3.5L)に50g投入し、ロッドとして、直径10mm、長さ218mm、材質ステンレス、断面形状が円形のロッド114本を振動ミルに充填(充填率56%)して、振幅8mm、円回転1200cpmの条件で、5分間及び10分間処理した。処理終了後、振動ミル内の壁面や底部にパルプの固着物等はみられなかった。
微細化処理を5分間行った後に得られた小粒径セルロースの平均粒径は38μm、結晶化度は0%であった。微細化処理を10分間行った後に得られた小粒径セルロースの平均粒径は30μm、結晶化度は0%であった。結果を表1に示す。
微細化処理において、ロッドとして、直径5.5mm、長さ218mm、材質ステンレス、断面形状が円形のロッド387本を振動ミルに充填し、充填率58%としたこと以外は、実施例1と同様の方法で小粒径化セルロースを得た。
微細化処理を5分間行った後に得られた小粒径セルロースの平均粒径は24μm、結晶化度は0%であった。微細化処理を10分間行った後に得られた小粒径セルロースの平均粒径は24μm、結晶化度は0%であった。結果を表1に示す。
微細化処理において、ロッドとして、直径30mm、長さ218mm、材質ステンレス、断面形状が円形のロッド13本を振動ミルに充填し、充填率57%としたこと以外は、実施例1と同様の方法で微細化処理を行った。
微細化処理を5分間行った後に得られたセルロースの平均粒径は50μm、結晶化度は0%であった。微細化処理を10分間行った後に得られた小粒径セルロースの平均粒径は47μm、結晶化度は0%であった。結果を表1に示す。
微細化処理において、振動ミルに充填する媒体として、直径10mm、材質ステンレスのボール17033個(ボール総質量12.4kg)を用い、充填率57%としたこと以外は、実施例1と同様の方法で微細化処理を行った。
微細化処理を5分間行った後に得られたセルロースの平均粒径は53μm、結晶化度は0%であった。微細化処理を10分間行った後に得られた小粒径セルロースの平均粒径は51μm、結晶化度は0%であった。結果を表1に示す。
微細化処理の前処理において、直径10mm、長さ218mm、材質ステンレス、断面形状が円形のロッド119本を振動ミルに充填し、充填率59%としたこと以外は、実施例1と同様の方法で微細化処理の前処理を行った。得られたパルプの平均粒径は検出上限値の2000μmを超える値であり、嵩密度は280kg/m3、結晶化度は71%、水分含量は0.4質量%であった。
微細化処理において、直径10mm、長さ218mm、材質ステンレス、断面形状が円形のロッド119本を振動ミルに充填し、充填率59%としたこと以外は、実施例1と同様の方法で微細化処理を行った。
微細化処理を5分間行った後に得られたセルロースの平均粒径は検出上限値の2000μmを超える値であり、結晶化度は78%であった。結果を表1に示す。
Claims (6)
- セルロース含有原料から水を除いた残余の成分中のセルロース含有量が20質量%以上であり、平均粒径が42〜100μmのセルロース含有原料を、外径3〜15mmのロッドを充填した振動ミルで処理して該平均粒径を1〜38μmに低減する、小粒径セルロースの製造方法。
- 前記セルロース含有原料の嵩密度が50〜500kg/m3である、請求項1に記載の小粒径セルロースの製造方法。
- 前記セルロース含有原料が、下記計算式(1)で示されるセルロースのセルロースI型結晶化度が33%以下である、請求項1に記載の小粒径セルロースの製造方法。
セルロースI型結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100 (1)
〔I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、及びI18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す〕 - 前記セルロース含有原料の水分含量が4.5質量%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の小粒径セルロースの製造方法。
- 前記セルロース含有原料が、外径3〜15mmのロッドを充填した振動ミルを除く、媒体式粉砕機で処理して得られたものである、請求項1〜4のいずれかに記載の小粒径セルロースの製造方法。
- 前記セルロース含有原料が、外径20〜50mmのロッドを充填した振動ミルで処理して得られたものである、請求項1〜5のいずれかに記載の小粒径セルロースの製造方法。
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