JP2016117034A - 粉末バイオマスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】木質系バイオマス原料を粉砕する工程を有する粉末バイオマスの製造において、木質系バイオマス原料の粉砕効率及びセルロース部分の非晶化効率に優れ、着色が少なく外観性に優れる粉末バイオマスを製造する方法を提供する。
【解決手段】木質系バイオマス原料を、媒体粉砕機100を用いて粉砕する工程を有する粉末バイオマスの製造方法であって、条件(1)木質系バイオマス原料の水分含量が6.0質量%以上、60質量%以下;条件(2)粉砕時の媒体粉砕機内の温度が120℃以上、250℃以下;及び、条件(3)粉砕時の媒体粉砕機内の相対湿度が50%以上;を満たす粉末バイオマスの製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、粉末バイオマスの製造方法に関する。
物質を小粒径化して比表面積を増大させることにより、その物質の反応性が向上し、また、かさ密度等のハンドリング性に関与する性質が変化することは一般によく知られている。物質を小粒径化する方法において、最も基本的な単位プロセスの一つとして粉砕プロセスが挙げられ、古くは鉱物の粉砕や、炭酸カルシウム等の無機物の粉砕が行われており、その利用分野も非常に多岐にわたる。
また、結晶構造を有する物質は一般に反応性が乏しく、利用が困難であった。特定の粉砕プロセスでは、粉砕と同時に物質を非晶化することが可能となり、その反応性を著しく向上させることができる。その結果、化学反応によって非晶化物に各種の官能基を結合させ、その価値を飛躍的に高めることができる。
近年では、環境問題への意識の高まりからバイオマス材料が注目されており、セルロースを含有するバイオマス原料を粉砕して微粒化したセルロースや非晶化されたセルロースは、セルロースエーテル等のセルロース誘導体の原料や、化粧品、食品、バイオマス材料等の工業原料に用いられている。上記セルロースを含有する木質系バイオマスの様々な粉砕方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、短時間で被粉砕原料を非晶化し、かつ小粒径化することを目的として、振動可能に保持された容器と、円筒状媒体と、円筒状媒体の内部に棒状媒体とを備える振動粉砕機を用いて、被粉砕原料を導入し、容器を振動させて該被粉砕原料を粉砕処理する工程を有する粉砕物の製造方法であって、円筒状媒体の長さの合計と、棒状媒体の長さ、棒状媒体の体積と円筒状媒体の容積の比が特定の値である、粉砕物の製造方法が開示されている。
特許文献2には、分子量の低下を抑制しつつ、低結晶性セルロースを効率的に得ることを目的として、水を除いた残余の成分中のセルロース含有量が20質量%以上、下記セルロースI型結晶化度が33%を超え、セルロースの分子量が10万〜100万、かつ水分含量が4.5質量%以下であるセルロース含有原料を粉砕機で処理して、該粉砕処理前後において該セルロースI型結晶化度を1/2.5〜1/100に低減させる、低結晶性セルロースの製造方法が開示されている。
特許文献3には、含水率の高い木質系バイオマスの微粉砕を、糖化する際に有利となる含水率と平均粒径への到達を、省エネルギーで行うことを目的として、粉砕乾燥室下部で高速回転するバーの衝撃により、処理物の粉砕・乾燥(脱水)を行う衝撃式粉砕・乾燥装置と、振動ベースに円筒形状の粉砕容器を水平に設置し、その粉砕容器の一端に原料供給口と空気導入ノズルを設け、他端に微粉末出口と空気排出ノズルを設け、また、粉砕容器の内側には、リング型粉砕媒体を複数枚装入し、粉砕容器に水平方向の加振力による横方向振動、および垂直方向の加振力による縦方向振動が発生し、これらの加振力により前記リング型粉砕媒体が円筒容器の壁面に沿って与えられた振動の周期に合わせて転動するリング型粉砕媒体利用振動ミルとからなり、衝撃式粉砕・乾燥装置からの粗粉砕物をベルトコンベアーにより、リング型粉砕媒体利用振動ミルの粉砕容器の原料供給口に供給することを特徴とする木質系バイオマス微粉砕装置が開示されている。
特許文献4には、可溶化率の向上を目的として、セルロースを含有するバイオマス原料を、加熱下において粉砕する加熱粉砕工程と、該加熱粉砕工程によって得られた粉砕物に含まれる水可溶性成分を水で抽出する抽出工程とを含むセルロースの可溶化方法が開示されている。
特開2013−132639号公報 特開2011−12134号公報 特開2013−146658号公報 特開2013−111034号公報
このように、セルロースを含有するバイオマスを媒体粉砕機を用いて粉砕することにより、粉末バイオマスを製造することが可能であるが、粉砕によるバイオマスの小粒径化やセルロース部分の非晶化を迅速に進めようとすると、セルロースの変質、劣化が生じ、着色してしまうという問題があった。一方、着色を抑えるためには、セルロースを含有するバイオマスの小粒径化や非晶化に長時間を要してしまい、これらを両立させることは困難であった。
本発明は、木質系バイオマス原料を粉砕する工程を有する粉末バイオマスの製造において、木質系バイオマス原料の粉砕効率及びセルロース部分の非晶化効率に優れ、着色が少なく外観性に優れる粉末バイオマスを製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、特定量の水分を含有する木質系バイオマスを所定の条件下で粉砕することにより、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、下記〔1〕を提供する。
〔1〕木質系バイオマス原料を、媒体粉砕機を用いて粉砕する工程を有する粉末バイオマスの製造方法であって、下記条件(1)〜(3)を満たす粉末バイオマスの製造方法。
(1)木質系バイオマス原料の水分含量が6.0質量%以上、60質量%以下
(2)粉砕時の媒体粉砕機内の温度が120℃以上、250℃以下
(3)粉砕時の媒体粉砕機内の相対湿度が50%以上
本発明の粉末バイオマスの製造方法によれば、木質系バイオマス原料の粉砕時の劣化を抑制しつつ、小粒径化及びセルロース部分の非晶化を効率よく行うことができ、着色が少なく外観性に優れる粉末バイオマスを得ることができる。
本発明に用いる媒体粉砕機の一例を示す斜視図である。 円筒状媒体の一例を示す模式図である。
[粉末バイオマスの製造方法]
本発明の粉末バイオマスの製造方法は、木質系バイオマス原料を、媒体粉砕機を用いて粉砕する工程を有する粉末バイオマスの製造方法(以下「本発明の製造方法」ともいう)であって、下記条件(1)〜(3)を満たすことを特徴とする。
(1)木質系バイオマス原料の水分含量が6.0質量%以上、60質量%以下
(2)粉砕時の媒体粉砕機中の温度が120℃以上、250℃以下
(3)粉砕時の媒体粉砕機中の相対湿度が50%以上
本発明の製造方法により、木質系バイオマス原料の小粒径化及び非晶化を効率よく行うことができ、着色が少なく外観性に優れる粉末バイオマスを得ることができる。この理由については定かではないが、次のように考えられる。
本発明の製造方法は、特定量の水分を含んだ木質系バイオマス原料を、相対湿度が高く、かつ、比較的高温の条件で媒体粉砕機を用いて粉砕する工程を有するものである。このような条件で粉砕すると、粉砕時にバイオマス中の水分がゆっくりと気化し、この際に発生する気化熱が粉砕媒体の衝突などにより発生する熱を奪うことで、粉砕時のバイオマスの温度が局所的に上昇することなく、該温度を一定に保つことができるものと考えられる。
したがって、粉砕時にバイオマスの温度が局所的に上昇することによる変色を起こすことがないため、得られる粉末バイオマスは着色が少なく、外観性に優れるものと考えられる。また、本発明の製造方法では上述のようなバイオマスの局所的な温度上昇が起こらないため、媒体粉砕機内を比較的高温にした状態で木質系バイオマス原料を粉砕することができる。これにより、木質系バイオマス原料の粉砕前の乾燥工程も不要となるため、製造に要する時間も短くなり、着色が少なく外観性に優れる粉末バイオマスを効率よく得ることができるものと考えられる。
<媒体粉砕機>
本発明の製造方法では、木質系バイオマス原料を、媒体粉砕機を用いて粉砕する工程(以下、単に「粉砕工程」ともいう)を有する。木質系バイオマス原料の小粒径化及びセルロース部分の非晶化を効率よく行う観点から、媒体粉砕機は後述する粉砕媒体を備えるものであることが好ましい。
媒体粉砕機としては、転動式、振動式、遊星式等が挙げられる。これらの中でも、粉砕効率の観点から、振動式媒体粉砕機が好ましく、振動ミルがより好ましい。また媒体粉砕機は、バッチ式でも連続式でもよいが、粉末バイオマスの生産性の観点からは連続式媒体粉砕機であることが好ましい。
以下、媒体粉砕機の中でも、本発明に好ましく用いられる振動式媒体粉砕機について詳細を説明する。
振動式媒体粉砕機としては、例えば、内部に円柱形の空間を有し、該円柱形の空間の中心軸が略水平になるように配置され、該中心軸に対し略垂直な面内方向に振動可能に保持された容器1と、該容器1の内部に振動可能に配置された粉砕媒体2とを備えた粉砕機を用いることができる。容器1には、原料投入口及び排出口が連結している。
ここで「円柱形の空間の中心軸」とは、該円柱の円形な2つの底面の重心を通る仮想の直線を意味し、「略水平」とは、水平面となす角度が−10〜+10°であることを指す(以下、「略水平」を単に「水平」ともいう)。容器の材質は特に限定されないが、例えば鉄、鋼鉄、ステンレススチール等の金属や合金を用いることができ、焼入れ等の処理が行われていてもよい。
容器の内部の空間の形状は、均一に粉砕を行う観点から、底面が正円や楕円等の略円形の円柱形であることが好ましい。
容器の大きさは特に限定されない。例えば、容器の内径は、50mm以上が好ましく、80mm以上がより好ましく、100mm以上が更に好ましく、1500mm以下が好ましく、1200mm以下がより好ましく、1000mm以下が更に好ましい。また、容器の内部の円柱形の空間の中心軸(以下、「容器の軸」ともいう。)方向の長さは、100mm以上が好ましく、120mm以上がより好ましく、150mm以上が更に好ましく、10000mm以下が好ましく、8000mm以下がより好ましく、6000mm以下が更に好ましい。本発明において容器の内径とは、容器の軸から容器内面までの最短距離の2倍を意味し、該円柱形の空間の底面が正円形である時は、該正円の直径に等しく、楕円形である時は、該楕円の短径に等しい。
容器は、粉砕時には容器の軸に対し略垂直な面内方向に振動する。本発明における容器の振動とは、容器の軸の軌跡が直線を描く運動だけを指すものでなく、楕円、又は正円を描く運動を含む。
容器1の周囲には、ジャケットを付帯させ、粉砕時に冷却又は加熱を行ってもよい。これにより粉砕時の媒体粉砕機内の温度を調節することができる。また、窒素パージ等を行うノズルを容器の原料投入口及び/又は排出口付近の容器上部に設けてもよい。
また、容器1と粉砕媒体2との衝突による容器内の損傷を防止するため、容器内にライニングとして筒状又は曲板状の鋼板を挿入してもよい。ライニングと粉砕媒体の衝突によりライニングが損傷した場合でも、ライニングは容易に交換することが可能であり、装置メンテナンスの観点からは好ましい。ライニングの厚みは特に限定されないが、耐久性の観点から、好ましくは1mm以上、より好ましくは3mm以上、更に好ましくは5mm以上である。また、好ましくは30mm以下、より好ましくは20mm以下、更に好ましくは16mm以下である。
振動式媒体粉砕機は、同様の形状の容器を上下に2つ有していてもよい。この場合は、上段側の容器の排出口と下段側の容器の原料投入口は連結されている。上段側の原料投入口より導入された木質系バイオマス原料は、上段側の容器で粉砕された後、上段側の容器の排出口、下段側の容器の原料投入口を経由して下段側容器内に導入され、更に下段側の容器内で粉砕されて、下段側の容器の排出口から排出される。
振動式媒体粉砕機が上記態様である場合には、上段側及び下段側のうち少なくとも一方の容器及び該容器内部に粉砕媒体2が配置されていればよい。本発明においては、少なくとも上段側の容器に粉砕媒体2が配置されていることが好ましく、上段側及び下段側の容器に粉砕媒体2が配置されていることがより好ましい。
本発明に用いられる振動式媒体粉砕機としては、振動ミルである、ユーラステクノ株式会社製のYAMT−50、ユーラステクノ株式会社製のバイブロミル、中央化工機株式会社製の振動ミル、株式会社吉田製作所製の小型振動ロッドミル1045型、ドイツのフリッチュ社製の振動カップミルP−9型、日陶科学株式会社製の小型振動ミルNB−O型等が挙げられる。なかでも、連続式振動ミルであるユーラステクノ株式会社製のYAMT−50が好ましい粉砕機として挙げられる。
図1は本発明に用いる媒体粉砕機の一例を示す斜視図である。図1に示す媒体粉砕機100は、振動式媒体粉砕機であり、内部に円柱形の空間を有し、該円柱形の空間の中心軸が略水平になるように配置され、該円柱形の空間の中心軸に対し略垂直な面内方向に振動可能に保持された容器1と、該容器1内部に、該中心軸方向に複数、振動可能に配置された粉砕媒体2とを備える。粉砕媒体については後述するが、図1においては、粉砕媒体として軸方向に分割された複数の円筒状媒体2Aを備え、その内側に複数の円柱形の棒状媒体2Bを備えている。なお図1において、容器1内部に配置される円筒状媒体及び棒状媒体を表示するため、容器1の原料投入口及び排出口を含む一部及び容器1の保持部は省略して図示されている。
<粉砕媒体>
粉砕媒体2としては、棒状媒体(ロッド)、球状媒体(ボール)、及び円筒状媒体(リング)が挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、木質系バイオマス原料の粉砕速度を向上させ、より小粒径化する観点から、粉砕媒体は棒状媒体、球状媒体、並びにこれらと円筒状媒体との組み合わせから選ばれるものが好ましい。すなわち、好ましい粉砕媒体の態様としては、棒状媒体、球状媒体、棒状媒体と円筒状媒体との組み合わせ、並びに球状媒体と円筒状媒体との組み合わせが挙げられる。これらの中でも、粉砕速度及び小粒径化の観点から、粉砕媒体は棒状媒体を含むことがより好ましく、棒状媒体と円筒状媒体との組み合わせが更に好ましい。
棒状媒体又は球状媒体と、円筒状媒体とを組み合わせて用いる場合には、図1に示すように、媒体粉砕機の容器内部に振動可能に配置された円筒状媒体の内側に、棒状媒体又は球状媒体が振動可能に配置されることが好ましい。
粉砕媒体2の材質は特に限定されない。例えば鉄、アルミニウム、鋼鉄、ステンレススチール等の金属や合金、ジルコニア等のセラミクスを用いることができる。鋼鉄は焼入れ等の処理が行われていてもよい。
(棒状媒体)
棒状媒体の形状は、衝突による磨耗を抑制する観点から、円柱状又は四角形以上の多角形の角柱であることが好ましく、円柱状であることがより好ましく、断面が正円である円柱状であることが更に好ましい。
棒状媒体の外径は、衝突力を大きくし、木質系バイオマス原料の粉砕速度を向上する観点から、3mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、7mm以上であることが更に好ましい。また、棒状媒体の数を増やし、衝突力及び衝突回数を増加させて木質系バイオマス原料の粉砕速度を高める観点から、上記外径は60mm以下であることが好ましく、50mm以下であることがより好ましく、45mm以下であることが更に好ましい。
ここで、棒状媒体の外径とは、棒の長さ方向に垂直な断面上にあって、該断面の重心を通り、断面の外周に両端を有する直線の長さをいい、断面の形状が正円である場合は、該正円の直径を、楕円形である場合は、該楕円の長径を意味し、多角形である場合は、該多角形の重心から頂点までの距離の内、最長のものの2倍を意味する。
棒状媒体の長さは、振動式媒体粉砕機が備える容器内部の円柱形の空間の軸方向の長さより短い限り、特に限定されないが、粉砕速度を高める観点から、容器内部の円柱形の空間の軸方向の長さに対する、棒状媒体の長さの比(棒状媒体の長さ/容器内部の円柱形の空間の軸方向の長さ)は、0.80以上であることが好ましく、0.85以上であることがより好ましく、0.90以上であることが更に好ましい。また、0.995以下であることが好ましく、0.99以下であることがより好ましく、0.98以下であることが更に好ましい。
装置のメンテナンスを容易にするために、棒状媒体は、長さ方向に複数に分割されていてもよい。
(球状媒体)
球状媒体の外径は、衝突力を大きくし、粉砕速度を向上する観点から、3mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、7mm以上であることが更に好ましい。また、球状媒体の衝突力及び衝突回数を増加させ、粉砕速度を向上する観点から、上記外径は60mm以下であることが好ましく、50mm以下であることがより好ましく、45mm以下であることが更に好ましい。球状媒体の外径とは、球の直径を意味する。
(円筒状媒体)
円筒状媒体は、円形の底面を有する円柱の内部に、円柱形の空間を有しており、いわゆるドーナツ型の形状をしている。
円筒状媒体は、振動式媒体粉砕機が備える容器1の軸と各円筒状媒体の中心軸(以下「円筒状媒体の軸」ともいう)とを略平行にした状態で、容器内部に、該容器の軸方向に振動可能に配置される。ここで、「円筒状媒体の軸」とは円筒状媒体の内部の円柱形の空間の2つの略円形の底面の中心を通る仮想の直線を意味する。「振動可能に配置」とは、容器を振動させた際に、円筒状媒体が、容器内で容器の軸に対して垂直な面方向、及び軸方向に振動可能な状態に配置されることをいう。
振動式媒体粉砕機の容器1を振動させることにより、円筒状媒体が容器内部で振動する。この円筒状媒体の振動により、容器と円筒状媒体との間隙及び円筒状媒体と円筒状媒体の間隙を通過する木質系バイオマス原料が粉砕される。粉砕媒体として棒状媒体や球状媒体を併用する場合には、円筒状媒体内部に振動可能に配置されたこれらの媒体による粉砕速度も向上する。したがって、木質系バイオマス原料をより効率的に小粒径化及び非晶化することができる。
容器内に導入された木質系バイオマス原料を円筒状媒体内に拡散させ、粉砕物の流動性をよくし、粉砕を効率よく行う観点から、円筒状媒体は、図1に示したように、容器内部に複数配置することが好ましい。これにより、円筒状媒体の外側に存在する木質系バイオマス原料が、複数の円筒状媒体間の間隙を通じて円筒状媒体の外側から内側へ移動することが可能になり、円筒状媒体内側に拡散しやすくなるため、より粉砕速度を高めることができる。
図2に円筒状媒体の一例を示す。1つの円筒状媒体2Aの軸方向の長さ(図2におけるx)に特に制限はないが、強度を確保する観点から、3mm以上であり、5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましい。また、容器内部に設置する円筒状媒体の数を増やし、隣接する円筒状媒体間の間隙数を多くして、容器内部の木質系バイオマス原料の流動性を向上する観点から、円筒状媒体の軸方向の長さは、100mm以下であり、70mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましい。
円筒状媒体の軸方向の長さの総和は、容器内部の円柱形の空間の軸方向の長さより短い限り、特に限定されないが、円筒状媒体と棒状媒体又は球状媒体との接触面積を大きくして粉砕速度を高める観点から、容器内部の円柱形の空間の軸方向の長さに対する、円筒状媒体の軸方向の長さの総和の比(円筒状媒体の軸方向の長さの総和/容器内部の円柱形の空間の軸方向の長さ)は、好ましくは0.80以上、より好ましくは0.85以上、更に好ましくは0.90以上である。また、好ましくは0.995以下、より好ましくは0.99以下、更に好ましくは0.98以下である。
円筒状媒体外部の木質系バイオマス原料を円筒状媒体内部に移動し拡散させ、粉砕を効率よく行う観点から、円筒状媒体には、該円筒状媒体の筒外表面と内表面とを貫通する穴を設けてもよい。穴の形は特に限定されず、例えば円状、三角形以上の多角形状の穴が挙げられる。また、円筒状媒体の筒の縁部に、筒外表面と内表面を結ぶ、中心軸と垂直方向の溝を設けてもよい。
円筒状媒体の形状は、容器内部で円筒状媒体を振動させた際に、容器の振動による運動エネルギーを効率よく円筒状媒体に伝導して円筒状媒体の運動性を向上させる観点、及び、衝突エネルギーを大きくし、粉砕媒体同士の衝突回数を増加させ粉砕速度を向上する観点から、円筒状媒体の内側空間の断面が正円状、楕円状等の略円形状、及び六角形以上の多角形状の筒型であることが好ましく、正円状の筒型がより好ましい。円筒状媒体の外側表面及び内側表面には突起があってもよいが、円筒状媒体の磨耗による粉砕効率の低下を防ぐ観点から、突起がないことが望ましい。
媒体粉砕機が備える容器の内径と、該容器の内部に接する円筒状媒体の外径との差(容器の内径−円筒状媒体の外径)は、3mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、8mm以上であることが更に好ましく、10mm以上であることがより更に好ましい。また、該容器の内部に接する円筒状媒体の外径との差は、60mm以下であることが好ましく、55mm以下であることがより好ましく、50mm以下であることが更に好ましく、45mm以下であることがより更に好ましい。円筒状媒体の外径と容器の内径との差が上記範囲であると、木質系バイオマス原料の粉砕速度を高めることができる。容器内にライニングを挿入した場合には、容器の内径と、該容器の内部に接する円筒状媒体の外径との差から、更にライニングの厚みの2倍の長さを差し引いた値が上記範囲内であることが好ましい。
また、容器と円筒状媒体との接触頻度を高め、木質系バイオマス原料の粉砕速度を高める観点から、容器の内径に対する円筒状媒体の外径の比(円筒状媒体の外径/容器の内径)は0.50を超えることが好ましく、0.70以上がより好ましく、0.80以上が更に好ましい。また、容器内部における円筒状媒体の振動しやすさの観点から、容器の内径に対する円筒状媒体の外径の比は0.95以下が好ましく、0.90以下がより好ましい。
本発明において、円筒状媒体の外径とは、円筒状媒体の軸から円筒状媒体の外側表面までの最長距離の2倍を意味し、例えば円筒状媒体の軸に垂直な断面の外周の形状が正円形である場合は、正円の直径を、楕円形である場合は、該楕円の長径を意味し、多角形である場合は、該多角形の重心から頂点までの距離の内、最長のものの2倍を意味する。
円筒状媒体の強度の観点から、円筒状媒体の外径に対する該円筒状媒体の厚みの比(円筒状媒体の厚み/円筒状媒体の外径)は、0.02以上が好ましく、0.03以上がより好ましく、0.05以上が更に好ましい。
また、円筒状媒体の外径に対する該円筒状媒体の厚みの比は、円筒状媒体間での粉砕を促進し、木質系バイオマス原料の流動性を高める観点から、0.7以下が好ましく、0.6以下がより好ましく、0.5以下が更に好ましい。
ここで「円筒状媒体の厚み」とは、円筒状媒体を形成する部材の厚みを意味し、円筒状媒体の軸方向の長さを意味しない。円筒状媒体の厚みが均一である場合は、円筒状媒体の厚みは(円筒状媒体の外径−内径)/2に等しい。円筒状媒体の厚みが部位によって異なる場合は、円筒状媒体の厚みとは、最も厚い部位の厚みを意味する。
本発明において円筒状媒体の内径とは、円筒状媒体の軸から、円筒状媒体の内面までの最短距離の2倍を意味する。
なお、複数の円筒状媒体の長さ、厚み、内径、外径、形状、材質は互いに同じであることが好ましい。
(棒状媒体又は球状媒体と円筒状媒体との組み合わせ)
粉砕媒体として棒状媒体又は球状媒体と、円筒状媒体とを組み合わせる場合には、棒状媒体又は球状媒体の外径に対する、円筒状媒体の内径の比(すなわち、円筒状媒体の内径/棒状媒体又は球状媒体の外径)が2.1以上であることが好ましい。
図1に示すように、複数配置された円筒状媒体の内部に、円筒状媒体の軸に垂直な面内に複数の棒状媒体又は球状媒体が存在するように配置することにより、相互の衝突力及び衝突回数を増加させ、粉砕速度を向上することができる。この粉砕速度の観点から、前記(円筒状媒体の内径/棒状媒体又は球状媒体の外径)の比は、2.2以上であることがより好ましく、2.5以上であることが更に好ましい。また、当該比は500以下であることが好ましく、350以下であることがより好ましく、100以下であることが更に好ましく、50以下であることがより更に好ましく、25以下であることがより更に好ましい。
さらに、容器を振動させた際に、棒状媒体又は球状媒体が円筒状媒体の内側から外側に出ると容器内部における円筒状媒体の振動を妨げる。よって容器内部の円柱形の空間の軸方向の長さと、円筒状媒体の軸方向の長さとの差が、棒状媒体の軸方向の長さ、又は球状媒体の直径よりも小さくなることが好ましい。
棒状媒体又は球状媒体の体積の積算値は、円筒状媒体内側の空間容積の25%を超える値であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、40%以上であることが更に好ましい。
すなわち、棒状媒体又は球状媒体は、円筒状媒体の内側に、該棒状媒体又は球状媒体の体積の積算値が、該円筒状媒体の内側の空間容積の25%を超える値となるように配置されることが好ましく、該棒状媒体又は球状媒体は複数配置されることが好ましい。これにより、衝突回数が増加するため粉砕速度がより向上する。
また、木質系バイオマス原料を充填する空間を増やし、生産性を向上する観点から、棒状媒体又は球状媒体の体積の積算値は、円筒状媒体の内側の空間容積の90%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましく、70%以下であることが更に好ましい。
なお、円筒状媒体の内側の空間容積とは、円筒状媒体の内側空間の、円筒状媒体の軸に垂直な断面の面積に、円筒状媒体の軸方向の長さを掛けた、円柱状の空間容積のことを指す。
<木質系バイオマス原料>
本発明に用いられる木質系バイオマス原料としては、特に限定されるものではないが、例えば、木材から製造されたウッドパルプ、綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプなどのパルプ類;段ボール、雑誌、上質紙などの紙類;バガス(サトウキビの搾りかす)、パーム空果房(EFB)、稲わら、とうもろこし茎等の植物茎・葉類;籾殻、パーム殻、ココナッツ殻等の植物殻類;各種木材チップ、各種樹木の剪定枝材、間伐材、枝木材、建築廃材、工場廃材などの木材類;等が挙げられる。
木質系バイオマス原料は、これらのうちの1種であってもよく、2種以上を混合したものであってもよい。これらの中では、粉末バイオマスをセルロースエーテル等のセルロース誘導体の原料や、化粧品、食品等の工業原料として用いる場合には、高重合度のセルロースを含有することからパルプ類や木材類が好ましく、粉末バイオマスを糖化の原料として用いる場合には、植物茎・葉類が好ましい。
本発明に用いられる木質系バイオマス原料は、該木質系バイオマス原料から水を差し引いた残余の成分中のセルロース含有量(α−セルロース含有量)が20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましく、70質量%以上がより更に好ましく、75質量%以上がより更に好ましい。α−セルロース含有量の上限は100質量%である。
木質系バイオマス原料中のセルロースは、結晶部位及びアモルファス部位からなる。本発明において、セルロースI型結晶化度とは、X線回折法による回折強度値からSegal法により算出したもので、下記計算式(1)により定義される。具体的なX線回折の測定条件については実施例で示す。
セルロースI型結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100 (1)
〔I22.6は、X線回折におけるセルロースI型結晶の格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度を示し、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す。〕
ここで、セルロースI型とは、天然セルロースの結晶形のことであり、セルロースI型結晶化度とは、セルロースの結晶領域量の全量に対するセルロースI型の割合を意味する。
木質系バイオマス原料中のセルロースのセルロースI型結晶化度には特に限定はない。しかしながら、通常、セルロースの結晶化度を低減するための粉砕においては、セルロース鎖の切断による重合度低下が伴う。この平均重合度が高い粉末バイオマスを得る観点、及び原料コストの観点から、木質系バイオマス原料としては、セルロースI型結晶化度を低減するための粉砕処理に曝されている程度の少ない木質系バイオマス原料を用いることが好ましい。
よって、本発明において被粉砕原料として用いられる木質系バイオマス原料中のセルロースのI型結晶化度は、60%を超えることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、75%以上であることが更に好ましい。
一方、結晶化度が95%を超える、極めて結晶化度の高い木質系バイオマス原料の入手が困難であることから、木質系バイオマス原料中のセルロースのI型結晶化度は、90%以下であることが好ましく、85%以下であることがより好ましい。
木質系バイオマス原料は、種類と大きさにもよるが、後述する裁断処理及び/又は乾燥処理を行ってもよい。
(裁断処理)
本発明において、木質系バイオマス原料は、その形状や大きさによっては、予め裁断処理を行い、チップ状にすることが好ましい。
木質系バイオマス原料を裁断処理する方法としては、木質系バイオマス原料の種類やシートのサイズにより適宜選択することができるが、例えば、シュレッダー、スリッターカッター及びロータリーカッターから選ばれる1種以上の裁断機を使用する方法が挙げられる。これらの中でも、シュレッダー又はスリッターカッターを使用することが好ましく、生産性の観点から、スリッターカッターを使用することがより好ましい。
スリッターカッターとは、シートの長手方向に沿った縦方向にロールカッターで縦切りして、細長い短冊状とし、次に、固定刃と回転刃でシートの幅方向に沿って短く横切りする裁断機であって、スリッターカッターを用いることにより、さいの目形状の木質系バイオマス原料を容易に得ることができる。スリッターカッターとしては、株式会社ホーライ製のシートペレタイザ、株式会社荻野精機製作所製のスーパーカッター等を好ましく使用でき、これらの装置を使用すると、シート状の木質系バイオマス原料を約1〜20mm角に裁断することができる。なお、シート状の木質系バイオマス原料のシートの厚さは、裁断機の性能にもよるが、裁断加工性の観点から0.1mm以上、3mm以下が好ましい。
間伐材、剪定枝材、建築廃材等の木材類、あるいはシート状以外の木質系バイオマス原料を裁断する場合には、ロータリーカッターを使用することが好ましい。ロータリーカッターは、回転刃とスクリーンから構成され、ロータリーカッターを用いることで回転刃によりスクリーンの目開き以下に裁断された木質系バイオマス原料を容易に得ることができる。なお、必要に応じて固定刃を設け、回転刃と固定刃により裁断することもできる。
ロータリーカッターを使用する場合、得られる木質系バイオマス原料の大きさは、スクリーンの目開きを変えることにより、制御することができる。スクリーンの目開きは、1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、3mm以上が更に好ましい。また、70mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましく、40mm以下が更に好ましい。スクリーンの目開きが1mm以上であれば、適度な嵩高さを有するチップ状の木質系バイオマス原料が得られ、取り扱い性が向上する。スクリーンの目開きが70mm以下であれば、後の粉砕工程において、粉砕に要する負荷を軽減することができる。
裁断処理後に得られる木質系バイオマス原料の大きさは、好ましくは1mm角以上、70mm角以下であり、より好ましくは2mm角以上、50mm角以下である。1mm角以上、70mm角以下の大きさに裁断することにより、後の乾燥処理を効率よく容易に行うことができ、また、粉砕に要する負荷を軽減することができる。
(乾燥処理)
本発明で用いる木質系バイオマス原料の水分含量は、6.0質量%以上、60質量%以下である(条件(1))。したがって、裁断処理を行った木質系バイオマス原料の水分含量が60質量%を超える場合には、媒体粉砕機による粉砕前に乾燥処理して、水分含量を60質量%未満に調整することが好ましい。
乾燥方法は、公知の乾燥手段を適宜選択すればよく、例えば、熱風受熱乾燥法、伝導受熱乾燥法、除湿空気乾燥法、冷風乾燥法、マイクロ波乾燥法、赤外線乾燥法、天日乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法等が挙げられる。
前記の乾燥方法において、公知の乾燥機を適宜選択して使用することができ、例えば、「粉体工学概論」(社団法人日本粉体工業技術会編集 粉体工学情報センター1995年発行)176頁に記載の乾燥機等が挙げられる。
これらの乾燥方法及び乾燥機は単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。乾燥処理はバッチ処理、連続処理のいずれでも可能であるが、生産性の観点から連続処理が望ましい。
連続乾燥機は、伝熱効率の観点から伝導受熱型の横型攪拌乾燥機が好ましい。更に、微粉が発生しにくく、また、連続排出の安定性の観点から、二軸の横型攪拌乾燥機が好ましい。二軸の横型攪拌乾燥機としては、株式会社奈良機械製作所製の二軸パドルドライヤーを好ましく使用できる。
(粉砕工程)
本発明の粉末バイオマスの製造方法は、必要に応じて上記裁断処理や乾燥処理を行った木質系バイオマス原料を、上述した媒体粉砕機を用いて粉砕する工程(粉砕工程)を有し、さらに下記条件(1)〜(3)を満たすことを特徴とする。
(1)木質系バイオマス原料の水分含量が6.0質量%以上、60質量%以下
(2)粉砕時の媒体粉砕機内の温度が120℃以上、250℃以下
(3)粉砕時の媒体粉砕機内の相対湿度が50%以上
(条件(1))
本発明の製造方法において、木質系バイオマス原料の水分含量は、水分を含有する該木質系バイオマス原料全量に対して6.0質量%以上、60質量%以下である。木質系バイオマス原料の水分含量が60質量%を超えると、粉砕効率が低下する。この観点から、該水分含量は好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下である。一方、木質系バイオマス原料の水分含量は、6.0質量%以上であり、好ましくは7.0質量%以上である。該水分含量が6.0質量部未満であると、粉砕時の劣化により着色し、得られる粉末バイオマスの外観性が低下するおそれがある。また乾燥処理に長時間を要するため、粉末バイオマスの生産性も低下する。
前記の水分含量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
(条件(2))
本発明の製造方法において、木質系バイオマス原料の粉砕時の媒体粉砕機内の温度は120℃以上、250℃以下である。該温度が120℃未満であると、木質系バイオマス原料の粉砕効率が低下し、小粒径化及び非晶化に時間を要するため生産性が低下する。この観点から、当該温度は好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上である。一方、該温度が250℃を超えると、得られる粉末バイオマスが着色し、外観性が低下する場合がある。この観点から、当該温度は好ましくは240℃以下、より好ましくは230℃以下である。
粉砕時の媒体粉砕機内の温度は、媒体粉砕機内に熱電対を設置して測定することができる。
粉砕時の媒体粉砕機内の温度の調節方法には特に制限はない。経済性の観点からは、木質系セルロース原料の粉砕によって発生する熱を用いて加熱し、粉砕時の媒体粉砕機内の温度を120℃以上、250℃以下に調節することが好ましい。媒体粉砕機の構造によっては、発生する熱によって目的の温度より高くなる場合があるが、その場合は媒体粉砕機外部から冷却して調節することが好ましい。例えば、媒体粉砕機の容器の周囲にジャケットを付帯させ、粉砕時の媒体粉砕機内の温度が120℃以上、250℃以下の範囲となるように冷却する方法等が挙げられる。
(条件(3))
本発明の製造方法において、粉砕時の媒体粉砕機内の相対湿度は50%以上である。該相対湿度が50%未満であると小粒径化の進行が遅く、また得られる粉末バイオマスに着色が生じ外観性が低下する。この観点から、当該相対湿度は、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上である。また当該相対湿度は100%以下であり、好ましくは95%以下である。
粉砕時の媒体粉砕機内の相対湿度の調節方法には特に制限はない。例えば、外部からの低湿度の気流の導入を抑制する方法や、導入する気流の湿度を高湿度に調整する方法等が挙げられる。
粉砕時の媒体粉砕機内の相対湿度は、媒体粉砕機の排出口に湿度計を設置して測定することができる。
粉砕工程は、上記条件(1)〜(3)を満たしていれば特に制限なく行うことができる。
例えば、本発明において振動式媒体粉砕機を用いる場合には、被粉砕原料である木質系バイオマス原料を、該振動式媒体粉砕機が備える容器内部の原料投入口から導入し、該容器を振動させて木質系バイオマス原料を粉砕し、得られた粉末バイオマスを粉砕機の排出口から排出する。
粉砕を連続的に行う場合には、粉砕を行いながら、該容器内部に木質系バイオマス原料を原料投入口から連続的に供給することにより行われる。原料投入口は好ましくは容器上部、より好ましくは容器一端の上部に備え、排出口は、好ましくは原料投入口とは反対側の端の下部に備える。これにより、連続的な粉砕が可能となる。
振動式媒体粉砕機を用いる場合、粉砕工程時において、振動式媒体粉砕機が備える容器の振動数、振幅は特に限定されないが、振動数と振幅を増加させることで、容器、容器内部に配置された粉砕媒体に与えられる加速度を大きくすることができ、木質系バイオマス原料の粉砕速度を高めることができる。
よって、容器の振動数は、8Hz以上であることが好ましく、10Hz以上であることがより好ましく、12Hz以上であることが更に好ましい。該容器の振幅は、粉砕速度の観点から、5mm以上であることが好ましく、6mm以上であることがより好ましく、7mm以上であることが更に好ましい。
一方、装置負荷の観点からは、振動式媒体粉砕機が備える容器の振動数は40Hz以下であることが好ましく、35Hz以下であることがより好ましく、30Hz以下であることが更に好ましい。また該容器の振幅は25mm以下であることが好ましく、20mm以下であることがより好ましく、18mm以下であることが更に好ましく、15mm以下であることが更に好ましい。
容器の軸の軌跡が直線を描かない場合、容器の振動は複数の異なる長さの振幅を有するが、本発明において容器の振動の振幅とは、容器の振動の振幅の内、最も長い振幅を意味し、例えば容器の軸の軌跡が楕円を描く場合、該楕円の長径を意味する。
容器の振動機構は、振動モーター、偏心錘又は偏心加振装置等からなり、これらの機構は周知の機構と同様である。上記機構は、例えば、上述した特開2004−188833号公報の他、特開2008−93534号公報や特開2008−132469号公報等にも開示されている。
(気流量及び移動量)
粉砕時に木質系バイオマス原料が媒体粉砕機中を移動する場合においては、該媒体粉砕機内の気流量は、該木質系バイオマス原料の移動量の50倍以下であることが好ましい。ここで、気流量とは、媒体粉砕機内を一定時間に移動する気体の量のことであり、風速計を用いて、排出口部分の風速を測定することによって求めることができる。
過度な気流により、媒体粉砕機内の相対湿度を低下させたり、乾燥に偏りが出たりしないように、該気流量を木質系バイオマス原料の移動量の50倍以下とすることで、外観色に優れ、十分に乾燥された粉末バイオマスを得ることができる。
なお、木質系バイオマス原料の移動量は、粉末バイオマスを滞りなく排出できた場合は木質系バイオマス原料の供給速度と同一であり、気流量の倍数は、木質系バイオマス原料の移動量の体積(質量(kg)をかさ密度(kg/L)で除した値)に対する気流の体積(L)で示される。
当該気流量は、乾燥を十分に行いつつ、外観色が良好でかつ小粒径の粉末バイオマスを得る観点から、木質系バイオマス原料の移動量の50倍以下が好ましく、40倍以下がより好ましく、35倍以下が更に好ましい。また粉砕時に乾燥を十分に行う観点から、当該気流量は、木質系バイオマス原料の移動量の5倍以上が好ましく、10倍以上がより好ましく、20倍以上が更に好ましい。
木質系バイオマス原料の媒体粉砕機への供給速度によっても、粉砕後の粉末バイオマスの粒径や結晶化度を調整することができる。媒体粉砕機の容積により好ましい供給速度は変わるが、セルロース部分の結晶化度を十分に低下させる観点から、媒体粉砕機が備える容器の底面積に対する供給速度の比(供給速度/容器の底面積)が40kg/(min・m)以下であることが好ましく、30kg/(min・m)以下であることがより好ましく、20kg/(min・m)以下であることが更に好ましい。処理量を維持する観点から、前記容器の底面積に対する供給速度の比は0.5kg/(min・m)以上であることが好ましく、1kg/(min・m)以上であることがより好ましく、3kg/(min・m)以上であることが更に好ましい。
<粉末バイオマス>
本発明の製造方法により製造される粉末バイオマスは、木質系バイオマス原料の水分含量に対する、該粉末バイオマスの水分含量(以下「水分含量比率」ともいう)が45%以下であることが好ましく、35%以下であることがより好ましい。当該水分含量比率が45%以下であると、粉砕効率が向上し、生産性も良好である。該水分含量比率の下限は特に制限はないが、生産性の観点から、好ましくは1%以上、より好ましくは1.5%以上、更に好ましくは5%以上である。
本発明の製造方法により製造される粉末バイオマスは、メジアン径を200μm以下に低減したものであることが好ましい。求められるメジアン径は、使用する木質系バイオマス原料にもよるが、粉砕後の粉末バイオマスのメジアン径が200μm以下になるとハンドリング性が向上すると共に、比表面積が増大し、種々の化学反応性等が向上する。該粉末バイオマスのメジアン径は、実施例で示す測定方法により求めることができる。
本発明の製造方法により製造される粉末バイオマスは、好ましくは、含有されるセルロースの、前記計算式(1)から算出されるセルロースI型結晶化度が68%以下である。
当該結晶化度は、セルロースの物理的、化学的性質とも関係し、その値が大きいほど、セルロースの結晶性が高く、非結晶部分が少ないため、硬度、密度等は増すが、伸び、柔軟性、水や溶媒に対する溶解性、化学反応性は低下する。
セルロースI型結晶化度が68%以下であれば、セルロースの化学反応性は高い。この観点から、本発明の製造方法により製造される粉末バイオマスのセルロースI型結晶化度は、60%以下がより好ましく、50%以下が更に好ましい。
本発明の製造方法により、着色が少なく外観性に優れる粉末バイオマスを製造することができる。本発明の製造方法により製造される粉末バイオマスは、好ましくは、L値が85.0%以上、より好ましくは87.0%以上、更に好ましくは90.0%以上である。当該L値は色彩色差計を用いて測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
上述の実施形態に関し、本発明は粉末バイオマスの製造方法を開示する。
<1>木質系バイオマス原料を、媒体粉砕機を用いて粉砕する工程を有する粉末バイオマスの製造方法であって、下記条件(1)〜(3)を満たす粉末バイオマスの製造方法。
(1)木質系バイオマス原料の水分含量が6.0質量%以上、好ましくは7.0質量%以上であり、60質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下
(2)粉砕時の媒体粉砕機内の温度が120℃以上、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上であり、250℃以下、好ましくは240℃以下、より好ましくは230℃以下
(3)粉砕時の媒体粉砕機内の相対湿度が50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上であり、100%以下、好ましくは95%以下
<2>木質系バイオマス原料が、パルプ類、紙類、植物茎・葉類、植物穀類及び木材類から選ばれる1種以上、好ましくはパルプ類、木材類、及び植物茎・葉類から選ばれる1種以上である、上記<1>に記載の粉末バイオマスの製造方法。
<3>媒体粉砕機が粉砕媒体を備え、該粉砕媒体が、棒状媒体、球状媒体、並びにこれらと円筒状媒体との組み合わせから選ばれる、上記<1>又は<2>に記載の粉末バイオマスの製造方法。
<4>媒体粉砕機が、転動式、振動式、又は遊星式の媒体粉砕機であり、好ましくは振動式媒体粉砕機、より好ましくは振動ミルである、上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
<5>媒体粉砕機が、連続式媒体粉砕機である、上記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
<6>媒体粉砕機が、内部に円柱形の空間を有し、該円柱形の空間の中心軸が略水平になるように配置され、該中心軸に対し略垂直な面内方向に振動可能に保持された容器と、該容器の内部に振動可能に配置された粉砕媒体とを備えた振動式媒体粉砕機である、上記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
<7>容器の内径が50mm以上、好ましくは80mm以上、より好ましくは100mm以上であり、1500mm以下、好ましくは1200mm以下、より好ましくは1000mm以下である、上記<6>に記載の粉末バイオマスの製造方法。
<8>粉砕媒体として棒状媒体又は球状媒体と、円筒状媒体とが組み合わせて用いられ、媒体粉砕機の容器内部に振動可能に配置された円筒状媒体の内側に、棒状媒体又は球状媒体が振動可能に配置される、上記<3>〜<7>のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
<9>棒状媒体又は球状媒体の外径に対する、円筒状媒体の内径の比(円筒状媒体の内径/棒状媒体又は球状媒体の外径)が2.1以上、好ましくは2.2以上、より好ましくは2.5以上であり、500以下、好ましくは350以下、より好ましくは100以下、更に好ましくは50以下、より更に好ましくは25以下である、上記<8>に記載の粉末バイオマスの製造方法。
<10>粉砕媒体が、棒状媒体を含み、好ましくは棒状媒体と円筒状媒体との組み合わせである、上記<3>〜<9>のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
<11>棒状媒体の外径が3mm以上、好ましくは5mm以上、より好ましくは7mm以上であり、60mm以下、好ましくは50mm以下、より好ましくは45mm以下である、上記<3>〜<10>のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。<12>媒体粉砕機が備える容器の内径と、該容器の内部に接する円筒状媒体の外径との差(容器の内径−円筒状媒体の外径)が3mm以上、好ましくは5mm以上、より好ましくは8mm以上、更に好ましくは10mm以上であり、60mm以下、好ましくは55mm以下、より好ましくは50mm以下、更に好ましくは45mm以下である、上記<6>〜<11>のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
<13>媒体粉砕機が備える容器の内径に対する円筒状媒体の外径の比(円筒状媒体の外径/容器の内径)が0.50を超え、好ましくは0.70以上、より好ましくは0.80以上であり、0.95以下、好ましくは0.90以下である、上記<6>〜<12>のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
<14>木質系バイオマス原料の水分含量に対する、粉末バイオマスの水分含量が45%以下、好ましくは35%以下であり、1%以上、好ましくは1.5%以上、より好ましくは5%以上である、上記<1>〜<13>のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
<15>粉砕時の媒体粉砕機内の温度を、木質系バイオマス原料の粉砕によって発生する熱を用いて加熱することにより120℃以上、250℃以下に調節する、上記<1>〜<14>のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
<16>粉砕時に木質系バイオマス原料が媒体粉砕機中を移動する場合において、該媒体粉砕機内の気流量が、該木質系バイオマス原料の移動量の50倍以下、好ましくは40倍以下、より好ましくは35倍以下であり、5倍以上、好ましくは10倍以上、より好ましくは20倍以上である、上記<1>〜<15>のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
<17>媒体粉砕機が備える容器の底面積に対する、木質系バイオマス原料の供給速度の比(供給速度/容器の底面積)が40kg/(min・m)以下、好ましくは30kg/(min・m)以下で、より好ましくは20kg/(min・m)以下であり、0.5kg/(min・m)以上、好ましくは1kg/(min・m)以上、より好ましくは3kg/(min・m)以上である、上記<6>〜<16>のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
<18>粉末バイオマスのメジアン径が200μm以下である、上記<1>〜<17>のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
<19>粉末バイオマスに含有されるセルロースの、下記計算式(1)から算出されるセルロースI型結晶化度が68%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下である、上記<1>〜<18>のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
セルロースI型結晶化度(%)={(I22.6−I18.5)/I22.6}×100(1)
(I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、およびI18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す)
実施例で用いた木質系バイオマス原料の水分含量、セルロース部分の結晶化度、気流量及び移動量、及び粉末バイオマスの水分含量、メジアン径、セルロース部分の結晶化度、L値の測定は以下に記載の方法で行った。
(1)水分含量の測定
水分含量は、赤外線水分計〔株式会社島津製作所製「MOC−120H」〕を使用し、120℃にて測定を行い、30秒間の重量変化率が0.05%以下となる点を測定の終点とした。なお、水分含量はウェットベース(木質系バイオマス原料又は粉砕処理を行った粉末バイオマスと水分量の合計を100%とした値)である。
(2)結晶化度の算出
セルロース部分の結晶化度は、木質系バイオマス原料、又は粉末バイオマスのX線回折強度を、X線回折装置〔株式会社リガク製「MiniFlexII」〕を用いて以下の条件で測定し、下記計算式(1)に基づいて算出した。
測定条件は、X線源:Cu/Kα−radiation,管電圧:30kV,管電流:15mA,測定範囲:回折角2θ=5〜35°、X線のスキャンスピードは40°/minで測定した。測定用サンプルは面積320mm×厚さ1mmのペレットを圧縮し作製した。
セルロースI型結晶化度(%)={(I22.6−I18.5)/I22.6}×100(1)
(I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、およびI18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す)
(3)気流量及び移動量の測定
振動ミル内の気流量は、風速計〔日本カノマックス(株)製「アネモマスターライトModel6006」〕を用いて、該振動ミルの排出口部分の風速を測定することによって求めた。
木質系バイオマス原料の移動量は、粉末バイオマスを滞りなく排出できたため、木質系バイオマス原料の供給速度と同一とした。該移動量に対する前記気流量の倍数は、木質系バイオマス原料の移動量の体積(質量(kg)をかさ密度(kg/L)で除した値)に対する気流の体積(L)から求めた。
(4)メジアン径の測定
粉砕工程後の粉末バイオマスのメジアン径は、レーザ回折散乱法粒度分布測定装置〔ベックマン・コールター株式会社製「LS13 320」〕を用いて測定した。測定条件は、測定時の分散媒体として純水を用い、体積基準のメジアン径を測定した。
(5)L値の測定
粉砕工程後の粉末バイオマスの外観性は、粉末サンプルをスクリュー管(30mL)に2g投入し、色彩色差計〔MINOLTA社製「CR−200」〕を用いて、スクリュー管底部のL値を測定することにより評価した。L値が大きいほど着色が少なく、外観性に優れることを意味する。
(6)サイクルタイム
粉末バイオマスの製造における各工程の処理時間の合計をサイクルタイムとして算出した。連続処理におけるサイクルタイムは平均滞留時間とし、平均滞留時間は以下の式(2)で算出した。サイクルタイムが短いほど、生産効率に優れることを意味する。
平均滞留時間(h)=振動ミル内滞留量(kg)/原料供給速度(kg/h) (2)
実施例1
(裁断処理)
木質系バイオマス原料としてシート状の木材パルプ(Tembec製「HV+」、800mm×600mm×1.0mm、結晶化度81.5%、水分含量7.5質量%)を用いた。該木材パルプをスーパーカッター(株式会社荻野精機製作所製「RK6−800」)にかけ、約3mm×1.5mm×1.0mmの大きさに裁断し、チップ状の木材パルプ(水分含量7.5質量%)を得た。
(粉砕工程)
媒体粉砕機として、上下に同じ形状の容器を2つ有している、連続式振動ミル(ユーラステクノ株式会社製「YAMT−50」、容器内径210mm、容器内部の円柱形の空間の軸方向長さ820mm、容器容量28.4L)を用いた。それぞれの容器内部に、厚さ6mmのステンレス製のライニングを挿入し、この内部に円筒状媒体及び棒状媒体を配置して木材パルプの粉砕を行った。外径182mm、内径152mm、軸方向長さ23.5mmのステンレス製の円筒状媒体を32個、該円筒状媒体の軸方向が容器の軸方向と平行になる向きに配置した。さらに円筒状媒体内部に、外径30mm、長さ800mmのステンレス製の、円柱状の棒状媒体を16本配置した。
裁断処理により得られたチップ状の木材パルプを、供給速度12.5kg/h(7.2kg/(min・m))で振動ミルの上段の投入口より容器内部に連続的に供給し、振幅13.4mm、振動数16.7Hzの条件で容器を振動させてチップ状の木材パルプを粉砕し、下段の排出口から粉末状のパルプを連続的に排出し、粉末バイオマスである粉末パルプを得た。粉砕時の振動ミル内の温度は、粉砕によって発生する熱を用いて加熱し、この際の粉砕時の振動ミル内の温度は160℃、相対湿度は90%であった。製造条件及び評価結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、木質系バイオマス原料として水分含量45質量%の木材パルプを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で粉末バイオマスの製造を行った。製造条件及び評価結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、木質系バイオマス原料として表1に示す水分含量の木材パルプを用いたこと、粉砕媒体として円筒状媒体を使用せず、外径30mm、長さ800mmのステンレス製の、円柱状の棒状媒体のみを29本使用したこと、及び粉砕によって発生する熱を用いて加熱するとともに振動ミルの容器の周囲に付帯させたジャケット内の水温を調節して、粉砕時の振動ミル内の温度を120℃にしたこと以外は、実施例1と同様の方法で粉末バイオマスの製造を行った。製造条件及び評価結果を表1に示す。
実施例4〜5
実施例1において、木質系バイオマス原料として表1に示す水分含量の木材パルプを用いたこと、粉砕時の木材パルプの供給速度、振動ミル内の温度及び相対湿度を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で粉末バイオマスの製造を行った。製造条件及び評価結果を表1に示す。
比較例1
(裁断処理)
実施例1と同様の方法で行い、チップ状の木材パルプを得た。
(乾燥処理)
得られたチップ状の木材パルプを、2軸横型撹拌乾燥機(株式会社奈良機械製作所製、2軸パドルドライヤー「NPD−1.6W(1/2)」)を用いて乾燥した。乾燥温度は140℃とし、あらかじめ前記木材パルプを8kg仕込み、大気圧下において60分間バッチ処理で乾燥して、前記木材パルプの水分含量を0.8質量%とした。その後、装置を2°傾け、連続処理にて前記木材パルプを乾燥した。このとき木材パルプの供給速度は18kg/hであった。連続処理で得られた乾燥した前記木材パルプは、保管中の吸湿を防ぐため、粉砕処理の直前までアルミニウム製の袋で保管した。X線回折強度から算出した乾燥処理後の木材パルプ中のセルロース結晶化度は81%であった。
(粉砕工程)
上記乾燥処理後のチップ状の木材パルプを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で粉末バイオマスの製造を行った。製造条件及び評価結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において、粉砕機としてハンマーミル〔株式会社ダルトン製「サンプルミルKIIW」〕を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で粉末バイオマスの製造を行ったが、粉末状バイオマスが得られなかった。
比較例3
実施例1において、木質系バイオマス原料として表1に示す水分含量の木材パルプを用いたこと、粉砕時の木材パルプの供給速度及び振動ミル内の温度を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で粉末バイオマスの製造を行った。製造条件及び評価結果を表1に示す。
比較例4
実施例3において、振動ミル内に乾燥空気を導入し(流量150mL/分)、粉砕時の振動ミル内の相対湿度を25%に調節したこと、及び粉砕時の振動ミル内の温度を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例3と同様の方法で粉末バイオマスの製造を行った。製造条件及び評価結果を表1に示す。
Figure 2016117034
本発明の粉末バイオマスの製造方法によれば、木質系バイオマス原料の粉砕時の劣化を抑制しつつ、小粒径化及びセルロース部分の非晶化を効率よく行うことができ、着色が少なく外観性に優れる粉末バイオマスを得ることができる。したがって本発明の粉末バイオマスの製造方法は生産性に優れ、工業的製法として有用である。
1 容器
2A 円筒状媒体
2B 棒状媒体
100 振動粉砕機

Claims (12)

  1. 木質系バイオマス原料を、媒体粉砕機を用いて粉砕する工程を有する粉末バイオマスの製造方法であって、下記条件(1)〜(3)を満たす粉末バイオマスの製造方法。
    (1)木質系バイオマス原料の水分含量が6.0質量%以上、60質量%以下
    (2)粉砕時の媒体粉砕機内の温度が120℃以上、250℃以下
    (3)粉砕時の媒体粉砕機内の相対湿度が50%以上
  2. 木質系バイオマス原料が、パルプ類、紙類、植物茎・葉類、植物穀類及び木材類から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の粉末バイオマスの製造方法。
  3. 媒体粉砕機が粉砕媒体を備え、該粉砕媒体が、棒状媒体、球状媒体、並びにこれらと円筒状媒体との組み合わせから選ばれる、請求項1又は2に記載の粉末バイオマスの製造方法。
  4. 媒体粉砕機が、振動ミルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
  5. 媒体粉砕機が、連続式媒体粉砕機である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
  6. 粉砕媒体が、棒状媒体を含む、請求項3〜5のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
  7. 粉砕媒体が、棒状媒体と円筒状媒体との組み合わせである、請求項3〜5のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
  8. 木質系バイオマス原料の水分含量に対する、粉末バイオマスの水分含量が45%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
  9. 木質系バイオマス原料の水分含量に対する、粉末バイオマスの水分含量が35%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
  10. 粉砕時の媒体粉砕機内の温度を、木質系バイオマス原料の粉砕によって発生する熱を用いて加熱することにより120℃以上、250℃以下に調節する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
  11. 粉砕時に木質系バイオマス原料が媒体粉砕機中を移動する場合において、該媒体粉砕機内の気流量が、該木質系バイオマス原料の移動量の50倍以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
  12. 粉砕時の媒体粉砕機内の相対湿度が80%以上である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の粉末バイオマスの製造方法。
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