JP7066326B2 - 改質炭の養生方法 - Google Patents
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Description
改質炭を所定の養生条件で保持する改質炭の養生方法であって、
前記所定の養生条件は、温度60~120℃、15~60分であること
を特徴とする改質炭の養生方法。
本明細書において、「a~b」と表記した場合、その範囲はa以上b以下であることを意図する。
破砕工程10は、供給された原料としての石炭1を破砕する工程である。破砕には、ジョークラッシャーまたはハンマクラッシャを利用可能である。この工程における破砕の程度は、石炭の最大粒子径が好ましくは70mm以下、より好ましくは50mm以下、より好ましくは20mm以下、さらに好ましくは平均粒子径が1mm~20mm程度となるようなものであってもよい。
乾燥工程20は、上記工程を経た石炭2を乾燥させる工程である。乾燥は、間接乾燥機を用いて実施されるものであってもよい。間接乾燥機としては例えばスチームチューブドライヤを利用可能である。送風乾燥機を用いてもよい。
粉砕工程30は、上記工程を経た石炭3を粉砕機で粉砕する工程である。粉砕機としては、乾式粉砕または乾燥粉砕方式のいずれもあってもよい。ボールミルやローラミルを利用するものであってもよい。粉砕の程度は、平均粒子径を好ましくは10~60μm、より好ましくは10~50μm、さらに好ましくは10~30μmとするようなものであってもよい。平均粒子径が10μm未満となるような粉砕を実施してもよいが、この場合、粉砕に大きな粉砕動力が必要であり工業プロセスでの製造が困難となる傾向がある。よって、ボールミル等を用いた平均粒子径10μm以上の粉砕がプロセスの容易性や効率性等の観点から好ましい。
本実施形態の製造方法は2つの成型工程を含んでいる。1つ目である第1成型工程40は、上記工程を経た石炭4を成型機で成型する工程である。
成型体5は見掛密度が1.00g/cm3~1.25g/cm3であることが好ましく、圧壊強度は10~800Nであることが好ましい。また、成型体5の全水分は5~20wt%であることが好ましく、8~18wt%であることがより好ましく、10~17wt%であることがさらに好ましい。この全水分は石炭粒子4の全水分に由来するものである。見掛密度はJIS Z 8807の「8.液中ひょう量法による密度及び比重の測定方法」に基づき測定できる。
石炭粒子4(石炭4)の全水分は、5~20wt%であることが好ましく、8~18wt%であることがより好ましく、10~17wt%であることがさらに好ましい。上記実施形態では、一例で石炭粒子4の粒子径が10~60μmと微細である。よって、成型時にブリケットマシンにおけるロールポケットへの充填率が増加する。
第2破砕工程50は、上記工程で得た成型体5を再び粉砕する工程である。破砕機としては、第1破砕工程10で用いたものと同様のものを利用してもよい。
第2の成型工程60では、一例で、第1成型工程40と同様の成型機を用いて成型を実施するものであってもよい。この第2成型工程60により得られる成型体7の物性の一例を以下に示す。
成型体7の見掛密度は、一例で、1.20~1.4g/cm3が好ましく、1.25~1.4g/cm3がさらに好ましい。見掛密度は、上記成型体5と同様にJIS Z 8807の「8.液中ひょう量法による密度及び比重の測定方法」に基づき測定できる。
篩工程70は、上記工程を経た石炭の成型体7を篩にかける工程である。篩作業は、例えば、目開き2.0~5.0mm程度の篩を用いるものであってもよい。
加熱養生工程80は、上記工程で篩の上に残った石炭8(成型体)を所定条件下で養生する工程である。
(改質炭の製造)
本実施例では、原料はインドネシア産のB炭を用いた(表1参照)。表1中、「AR」は到着ベース、「AD」は気乾ベース、「DB」は無水ベースを示す(JIS M8810)。また、表1には、工業分析値(気乾ベース)に基づき算出された燃料比、高位発熱量および元素分析の結果もそれぞれ示している。
試料28gを秤量ビンに投入し、全水分の蒸発を抑えることを目的としてアルミ箔で秤量ビンに蓋をしてから送風乾燥機にて加熱養生を行った。送風乾燥機は107℃に設定し、加熱養生時間を20分間とした。加熱養生後の製品を室内で放置し、室温に戻ったものを「実施例1-1」の製品とした。
実施例1-2は、加熱養生工程80の処理方法を除き実施例1-1と同じである。実施例1-2では、試料28gを秤量ビンに投入し、蓋をせずに、送風乾燥機にて加熱養生を行った。送風乾燥機の温度および加熱養生時間は、実施例1-1と同じである(107℃、20分間)。加熱養生後の製品を室内で放置し、室温に戻ったものを「実施例1-2」の製品とした。
比較例1は、加熱養生工程を行わず、実施例1-1の篩工程70で得たものをそのまま製品としたものである。
実施例1-1、実施例1-2、比較例1で得た製品の全水分および水中浸漬水分を測定した。結果を表2に示す。
(全水分について)
「全水分」は、JIS M 8820-2000 (石炭類及びコークス類-ロットの全水分測定方法)に記載の石炭類の全水分測定方法にて測定した。
「水中浸漬水分」は、以下の方法により測定することができる。試料を水中に浸漬し、浸漬開始から7日間経過した時点で改質炭を回収し、表面に付着した水分をウエス等の布で除去した後、JIS M 8820-2000(石炭類及びコークス類-ロットの全水分測定方法)に記載の石炭類の全水分測定方法にて計測して得た全水分を水中浸漬水分とした。
JIS Z 8841-1993の「3.1 圧壊強度試験方法」に基づき測定した。
(見掛密度)
JIS Z 8807の「8.液中ひょう量法による密度及び比重の測定方法」に基づき測定した。
(厚み)
本願における厚みとは板状成型体の凸面同士の距離であり、ランダムに採取した10個のサンプルの厚みの平均値を結果としている。厚み測定は、試料の凸面同士にノギスを当てて測定した。
実施例2は、図1の製造方法に対応し、第1破砕工程10、乾燥工程20、粉砕工程30、第1成型工程40、第2破砕工程50、第2成型工程60、篩工程70、加熱養生工程80の順に処理し、得られる成型体100を石炭成型燃料とするものである。加熱養生工程の方法を除き、実施例1-1と同じである。
比較例2は、実施形態2の加熱養生工程を行わず、篩工程70で得た篩上の石炭8(成型体)をビニル袋に入れて常温で25日間養生したものを用いた。
加熱養生に伴う物性変化を調査するため、全水分、水中浸漬水分のほか見掛密度、厚み、圧壊強度を測定した(表3)。加熱養生前後の全水分はほぼ同じであるが、水中浸漬水分が大きく異なる結果を得た。その他の物性変化として、加熱養生により成型体の厚みが増加(膨張)することが分かった。なお、水中浸漬膨張率Eは以下により求めた:
水中浸漬膨張率E = 水中浸漬後の厚みTw ÷ 厚みT
本出願では少なくとも以下の発明が開示される:
1.改質炭を所定の養生条件で保持する改質炭の養生方法であって、上記所定の養生条件は、温度60~120℃、15~60分であることを特徴とする改質炭の養生方法。このような方法によれば、水中浸漬水分が低下した石炭成型燃料を製造することが可能となる。
40B 原料供給部
41 ロール
42 ホッパ
Claims (6)
- 改質炭を所定の養生条件で保持する改質炭の養生方法であって、
前記所定の養生条件は、水分の蒸発を抑制する容器内に前記改質炭を入れた状態で、温度60~120℃、15~60分であり、
前記改質炭は、石炭を破砕した後に乾燥、粉砕して石炭粒子を得るとともに、この石炭粒子を成型して得られた成型体であること
を特徴とする改質炭の養生方法。 - 請求項1に記載の改質炭の養生方法において、
前記改質炭は、前記成型体をさらに破砕し、再度成型された第2成型体であること
を特徴とする改質炭の養生方法。 - 請求項1に記載の改質炭の養生方法において、
養生前の水中浸漬水分をWA、養生後の水中浸漬水分をWBとすると、WB/WA=0.60~0.95であること
を特徴とする改質炭の養生方法。 - 請求項1または請求項2に記載の改質炭の養生方法において、
養生前の水中浸漬膨張率をEA、養生後の水中浸漬膨張率をEBとすると、EB/EA=0.60~0.99であること
を特徴とする改質炭の養生方法。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の改質炭の養生方法において、
養生前の圧縮方向厚みをTA、養生後の圧縮方向厚みをTBとすると、TB/TA=1.000~1.025であること
を特徴とする改質炭の養生方法。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の改質炭の養生方法において、
前記石炭粒子は、平均粒子径10~60μm、水分5~20%であって、
養生前の前記改質炭の見掛け密度は1.20~1.40g/cm3であること
を特徴とする改質炭の養生方法。
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