JP7066327B2 - 改質炭の養生方法 - Google Patents
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改質炭を所定の養生条件で保持する改質炭の養生方法であって、
前記所定の養生条件は、温度-5~40℃、雰囲気相対湿度5~95%で、200日以上であること
を特徴とする改質炭の養生方法に関する。
本発明は、改質炭を所定の養生条件で保持する改質炭の養生方法に関する。養生条件は、温度-5~40℃、相対湿度5~95%で、200日以上であることが好ましく、温度0~40℃、雰囲気相対湿度25~95%、200日以上であることがより好ましい。この条件下で改質炭を養生する工程(以下、「養生工程70」とも記載する。図1及び図2参照。)を含むことにより、改質炭の吸水が抑制されて水中浸漬水分(単に、「浸漬水分」とも記載する)が養生前に比べて低下し、改質炭の品質が改善する。
図1に、実施形態1として改質炭の製造工程の一例を示す。実施形態1における製造工程は、破砕工程10、乾燥工程20、粉砕工程30、成型工程40を有し、原料となる石炭1を破砕した後乾燥させ、乾燥させた石炭を粉砕して石炭粒子4を得る。この石炭粒子4を成型することにより得られた成型体5を改質炭とし、この成型体5を、上述の養生工程70にて養生する。
破砕工程10ではこの石炭1をジョークラッシャーまたはハンマークラッシャーで破砕して破砕済みの石炭2を得、乾燥工程20に移行する。破砕工程10では、後の粉砕工程30で用いるボールミル等に投入できる大きさまでに石炭1が破砕されればよく、特に限定はされないが、破砕済みの石炭2の最大粒子径が、好ましくは70mm以下、より好ましくは50mm以下、さらに好ましくは20mm以下であり、平均粒子径が1mm~20mm程度であることが好ましい。なお、石炭の水分量は、JIS M 8820-2000 (石炭類及びコークス類-ロットの全水分測定方法)に記載の石炭類の全水分測定方法にて計測できる。また、第1破砕工程10により破砕された石炭2の平均粒子径は、JISM8801-2004「5.粒度試験方法」に基づき測定し、各篩目開きの通過篩質量百分率を求め、通過篩質量百分率が50%となる粒子径とする。
乾燥工程20では破砕済みの石炭2を間接乾燥機により乾燥させ、乾燥済みの石炭3を得て粉砕工程30に移行する。間接乾燥機としては例えばスチームチューブドライヤを用いてもよい。固体燃料の製造では大量処理が要求されるため、伝熱面積が大きく大量に乾燥処理可能なスチームチューブドライヤを用いることが好適である。
粉砕工程30では粉砕機により乾燥済みの石炭3の粉砕が行われ、石炭粒子4を得て成型工程40に移行する。粉砕機は乾式粉砕または乾燥粉砕方式であり、例えば微粉砕が可能で大量処理に適したボールミル、ローラーミルが用いられる。乾燥機同様に固体燃料の製造では大量処理が要求されるため、大量処理に適した粉砕機が好適である。この粉砕工程30において、石炭粒子4の平均粒子径を好ましくは10~60μm、より好ましくは10~50μm、さらに好ましくは10~30μmとする。平均径10μm未満に粉砕するには大きな粉砕動力が必要であり、工業プロセスでの製造が困難であることからボールミル粉砕後の平均径は10μm以上が好ましい。本明細書において、粉砕工程30により粉砕された石炭粒子4の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって得られる粒度分布のメディアン径とする。なお、本明細書において、「石炭粒子」と記載したときは、粉砕工程30により粉砕された石炭粒子4を意味するものとする。
成型工程40では成型機により石炭粒子4を成型し、得られた成型体5を改質炭とする。成型機は、原料を加圧成型する成型手段と、成型手段へ原料を供給する供給手段とを有する。成型機としては、例えば、ブリケットマシンを用いることができる。
成型工程40で得られた成型体5につき上述の養生工程70にて養生を行い、実施形態1における養生後の改質炭(以降、製品100とも記載する)を得る。なお成型工程40と養生工程70との間に研磨工程や篩工程等を設けてもよい。
図2に、実施形態2として改質炭の製造工程の他の例を示す。基本構成は実施形態1と同様であるが、実施形態2では実施形態1における成型工程40の後段に第2破砕工程50を設け、さらにその後段に第2成型工程60を設ける点で実施形態1と異なる。実施形態2における養生前の改質炭は第2成型体7であって、この第2成型体7を養生工程70にて養生し、養生後の改質炭(以降、製品200とも記載)を得るものである。
実施形態1の破砕工程10、乾燥工程20、粉砕工程30と同様である。
第1成型工程40では粉砕工程30で得られた石炭粒子4を成型し、第1成型体5を得る。実施形態2における第1成型体5の密度は、実施形態1における成型体5の密度と比べ低いことが好ましく、見掛密度が1.00g/cm3~1.25g/cm3であることが好ましい。見掛密度の低い第1成型体5を得る方法としては、例えば、成型機のロール上部の押込スクリュの回転数低下、ロール回転数増加、ロール支持圧(ローラー間圧力)の低下、ロールポケット容積増加、ロールギャップ増加などの方法が挙げられ、これらを複合させてもよい。圧壊強度は10~800Nであることが好ましい。また、第1成型工程40に用いる石炭粒子4の水分含有量が、5~20wt%であることが好ましく、8~18wt%であることがより好ましく、10~17wt%であることがさらに好ましい。
第2破砕工程50では、破砕機により第1成型体5を破砕し、第1成型体破砕物6を得て第2成型工程60に移行する。破砕機は第1破砕工程10で用いたものと同様である。なお第1成型体破砕物6の平均径は、好ましくは0.1~1.0mm、より好ましくは0.15~0.9mm、さらに好ましくは0.2~0.8mmである。また、第1成型体破砕物6の最大粒子径は、後述の第2成型体7の粒子径の縦横2辺の短いほうの長さ以下であることが好ましい。第1成型体破砕物6が前記平均径の範囲および最大粒子径の範囲になるように第2破砕工程50を調整することで、前記の第2成型工程60の成型時に、ブリケットマシンにおけるロールポケットへの充填率を向上させることができる。この結果として得られる、第2成型体7は実施形態1における成型体5と比べ優れた品質(圧壊強度および見掛密度)を示す。なお、実施形態2において、第1成型工程40と第2成型工程60で使用するロールポケットサイズのポケットサイズは同一であっても異なっていてもよい。第1成型体破砕物6の平均粒子径は、上述の石炭2と同様の方法で測定できる。
第2成型工程60では、成型機により第1成型体破砕物6を成型して第2成型体7を得る。第2成型工程60は、上述の実施態様1で記載した成型工程40と同様に行うことができる。
第2成型工程60で得られた第2成型体7(養生前の改質炭)を上述の養生工程70にて養生を行い、実施形態2における製品200(養生後の改質炭)を得る。なお第2成型工程60と養生工程70との間に研磨工程や篩工程を設けてもよい。研磨や篩にかけることにより、第2成型体7のうち相対的に低強度の部分を削り落とし、相対的に高強度な部分を残すことで、強度を向上させるものである。なお篩工程では、例えば篩目はロールポケットの縦寸法と横寸法の平均寸法の半分程度の目開きの篩を用いてもよい。
なお、実施形態1および2においてそれぞれ得られる、成型体5および第2成型体7の水分含有量を調整する水分調整工程を設けてもよい。水分調整工程は、成型工程40(または第2成型工程60)と養生工程70の間であってもよいし、養生工程70の後であってもよい。水分調整工程により、製品の発塵および自然発熱を防止することができる。
例1~7は、図2に示す実施形態2の製造方法に対応し、第1破砕工程10、乾燥工程20、粉砕工程30、第1成型工程40、第2破砕工程50、第2成型工程60、養生工程70を経て得られた製品200に関するものである。
原料はインドネシア産のB炭、T炭(いずれも褐炭)を用いた。T炭、B炭の性状を表1に示す。表1中、ARは到着ベース、ADは気乾ベース、DBは無水ベースを示す(JIS M8810)。また、表1には、工業分析値(気乾ベース)に基づき算出された燃料比、高位発熱量および元素分析の結果をそれぞれ示す。なお表1における工業分析値、元素分析値はJIS M8812、8813、8814に基づく。表1中、GAR、GAD、DAFは、それぞれ到着ベース高位発熱量、気乾ベース高位発熱量、無水無灰ベース高位発熱量を示す(JIS M8810)。HGI(ハードグローブ指数)はJIS M 8801の「7.粉砕性試験方法(ハードグローブ法」に基づき測定した。
得られた製品200の品質の評価方法は下記のとおりである。
製品200を水中に浸漬する前の全水分、および、製品200の水中浸漬水分を記載した。
本願における厚みとは板状成型体の平滑面同士の距離(凸面を含まない、図4および図5におけるdに相当する部分)であり、ランダムに採取した10個のサンプルの厚みの平均値である。厚み測定は、前記板状成型体の平面同士にノギスを当てて測定した。
製品200の厚みの3乗を製品200の容積と仮定し、下記(式1’):
2 破砕済みの石炭
3 乾燥済みの石炭
4 石炭粒子
5 成型体(第1成型体)
6 第1成型体破砕物
7 第2成型体
10 破砕工程(第1破砕工程)
20 乾燥工程
30 粉砕工程
40 成型工程(第1成型工程)
50 第2破砕工程
60 第2成型工程
70 養生工程
100 製品
200 製品
Claims (4)
- 改質炭を所定の養生条件で保持する改質炭の養生方法であって、
前記所定の養生条件は、温度-5~40℃、相対湿度5~95%で、200日以上であり、
前記改質炭は、バインダーを含まず、かつ
褐炭および/または亜瀝青炭を含む原料を破砕して破砕済みの石炭を得る破砕工程と、
前記破砕済みの石炭を乾燥させて乾燥済みの石炭を得る乾燥工程と、
前記乾燥済みの石炭を粉砕して石炭粒子を得る粉砕工程と、
前記石炭粒子を成型して成型体を得る成型工程と
を含む製造方法により得られた成型体であり、
前記石炭粒子は、平均粒子径10~60μm、水分5~20wt%であり、
養生前の前記改質炭の見掛密度は1.2~1.4g/cm 3 であること
を特徴とする改質炭の養生方法(ただし、前記改質炭は、中低質炭を180~300℃未満に加熱し150℃以下に冷却して得られた改質炭、及び、中低質炭を昇温速度100℃/分以上で300~500℃に加熱し降温速度50℃/分以上で250℃以下に冷却して得られた改質炭を含まない。)。 - 改質炭を所定の養生条件で保持する改質炭の養生方法であって、
前記所定の養生条件は、温度-5~40℃、相対湿度5~95%で、200日以上であり、
前記改質炭は、バインダーを含まず、かつ
褐炭および/または亜瀝青炭を含む原料を破砕して破砕済みの石炭を得る第1破砕工程と、
前記第1破砕工程により得られた破砕済みの石炭を乾燥させて乾燥済みの石炭を得る乾燥工程と、
前記乾燥済みの石炭を粉砕して石炭粒子を得る粉砕工程と、
前記石炭粒子を成型して第1成型体を得る第1成型工程と、
前記第1成型体を破砕して第1成型体破砕物を得る第2破砕工程と、
前記第1成型体破砕物を成型して第2成型体を得る第2成型工程と、
を含む製造方法により得られた第2成型体であり、
前記石炭粒子は、平均粒子径10~60μm、水分5~20wt%であり、
養生前の前記改質炭の見掛密度は1.2~1.4g/cm 3 であること
を特徴とする改質炭の養生方法(ただし、前記改質炭は、中低質炭を180~300℃未満に加熱し150℃以下に冷却して得られた改質炭、及び、中低質炭を昇温速度100℃/分以上で300~500℃に加熱し降温速度50℃/分以上で250℃以下に冷却して得られた改質炭を含まない。)。 - 請求項1または2に記載の改質炭の養生方法において、
養生前の改質炭の水中浸漬水分をWA、養生後の改質炭の水中浸漬水分をWBとすると、WB/WA=0.70~0.90であること
を特徴とする改質炭の養生方法。 - 請求項1~3のいずれか一項に記載の改質炭の養生方法において、
前記改質炭は、石炭粒子を圧縮成型して得られた成型体であって、養生前の改質炭の圧縮方向厚みをTA、養生後の改質炭の圧縮方向厚みをTBとすると、TB/TA=1.0~1.2であること
を特徴とする改質炭の養生方法。
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