JP7003930B2 - 石炭成型燃料の製造方法および石炭成型燃料 - Google Patents

石炭成型燃料の製造方法および石炭成型燃料 Download PDF

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Description

本発明は、石炭を粉砕後成型した石炭成型燃料の製造方法および石炭成型燃料に関する。
従来、石炭を原料とする燃料を得る技術として、低品位炭を油と混合してスラリーとし、このスラリーを加熱することにより石炭を脱水し、含水量を低下させた後に粉砕及び成型して固体燃料を得る技術が特許文献1に開示されている。特許文献2(WO2015/098935号公報)には、バインダー等を用いずに石炭のみを原料として石炭粒子を成型して得られる石炭成型燃料とその製造方法が開示されている。
特開2011-111529号公報 WO2015/098935号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、石炭を油と混合してスラリーを作製することから、石炭以外の材料が必要となり、このことがコストアップを招いていた。また、成型後の固体燃料をハンドリングする際に固体燃料が崩れない程度の一定の強度が固体燃料に求められるが、特許文献1には固体燃料の強度について記載されていない。
本発明は、低コストで所望の強度を有する石炭成型燃料の製造方法および石炭成型燃料を提供することを目的とする。
本発明の石炭成型燃料の製造方法は、石炭を破砕する破砕工程と、
前記破砕工程で破砕された石炭を乾燥させる乾燥工程と、
前記乾燥工程で乾燥した石炭を粉砕して石炭粒子を得る粉砕工程と、
前記粉砕工程で得られた前記石炭粒子を板状に成型して板状の中間成型体を得る成型工程と、
前記成型工程で得られた前記中間成型体を分断して板状の分断物を得る分断工程と、
前記分断工程で得られた前記板状の分断物を研磨して、研磨体を含む中間研磨体を得る研磨工程と、
前記研磨工程で得られた前記中間研磨体に含まれる粉末を除去する篩工程と、
を有し、
前記粉砕工程で得られる前記石炭粒子の平均粒子径は10~60μmであって、
前記研磨工程で得られ、前記篩工程で前記粉末が除去された前記研磨体を石炭成型燃料とすること
を特徴とする。
また、本発明の石炭成型燃料は、石炭粒子の成型体から得られた石炭成型燃料であって、
前記石炭粒子の平均粒子径が10~60μmであり、
水分が5~20wt%、見掛密度が1.2~1.4g/cm、かさ密度が0.6~0.9であり、かつ、
平滑な成型面が転写された平滑面、および破断面、の2種類の表面を有する第1破断片と、
凹凸を有する成型面が転写された凹凸面、および破断面、の2種類の表面を有する第2破断片と、
前記平滑面、前記凹凸面、および破断面、の3種類の表面を有する第3破断片と、
表面は破断面のみである第4破断片と、
のうちいずれか1種以上の混合物であること
を特徴とする。
本発明の1態様によれば、低コストで所望の強度を有する石炭成型燃料を提供することができる。
本発明の実施形態1による石炭成型燃料の製造工程を示す図である。 成型工程で好適に用いることのできるブリケットマシンの模式図である。 ブリケットマシンのロール表面に形成される溝の配列パターンの他の例を示す図である。 図1-1に示す分断工程で好適に用いることのできるロールクラッシャの模式図である。 図1-1に示す研磨工程で好適に用いることのできる研磨機の模式図である。 第1破断片の断面を模式的に示す図である。 第2破断片の断面を模式的に示す図である。 第3破断片の断面を模式的に示す図である。 第4破断片の断面を模式的に示す図である。 本発明の実施形態2による石炭成型燃料の製造工程を示す図である。 実施例で製造した研磨体(石炭成型燃料)を示す写真画像である。 実施例で製造した研磨体(石炭成型燃料;写真右)と、研磨工程後、篩工程前の中間研磨体(写真左)を示す写真画像である。 実施例1-1~実施例1-4および比較例1の成型工程で用いたブリケットマシンのロール表面に形成されたロールポケット(形状A)の断面形状を示す図である。 図1-8Aに示すロールポケット(形状A)の平面形状を示す図である。 実施例1-1~実施例1-4および比較例1において、成型工程で用いたブリケットマシンのロール表面に形成されたロールポケット(形状B)の断面形状を示す図である。 図1-8Cに示すロールポケット(形状B)の平面形状を示す図である。 実施例1-1~実施例1-4および比較例1において、石炭の自然発熱指数を求めるのに使用した試験装置の構成を示す図である。 実施例1-1~実施例1-4および比較例1における、研磨工程での処理時間と自然発熱指数との関係を示すグラフである。 実施例1-1~実施例1-4および比較例1において、篩工程での収率と自然発熱指数との関係を示すグラフである。 実施形態B1における改質炭(製品100)の製造工程を示す図である。 実施形態B2における改質炭(製品200)の製造工程を示す図である。 成型工程で好適に用いることのできるブリケットマシンの模式図である。 実施例の成型工程で用いたブリケットマシンのロール表面に形成されたロールポケット(形状A)の断面形状を示す図(a)と平面形状を示す図(b)である。 実施例の成型工程で用いたブリケットマシンのロール表面に形成されたロールポケット(形状B)の断面形状を示す図(a)と平面形状を示す図(b)である。 実施例における、養生日数と水中浸漬7日目の水分との関係を示す図である。 実施例における、養生日数と水中浸漬前の成型体の厚みとの関係を示す図である。 実施例における、養生日数と水中に7日間浸漬した後の成型体の膨張率との関係を示す図である。 パートCの発明の一形態に係る改質炭の製造方法を示す図である。 ブリケットマシンの構成を模式的に示す図である。 ロール表面に形成される凹部(ポケット)の形状と、成型された成型体の形状を模式的に示す図である。 実施形態D1における石炭成型燃料の製造工程を示す図である。 実施形態D2における石炭成型燃料の製造工程を示す図である。 成型工程で好適に用いることのできるコンパクタの模式図である。 成型工程で好適に用いることのできるブリケットマシンの模式図である。 実施例および参考例において、石炭の自然発熱指数を求めるのに使用した試験装置の構成を示す図である。 実施例D1の第2破砕物と、参考例D1の第2破砕物の積算篩通過率を示す図である。 パートEの発明の一実施形態による石炭成型体の製造工程を示す図である。 成型工程で好適に用いることのできるブリケットマシンの模式図である。 ブリケットマシンのロール表面に形成されるロールポケットの一例の平面図である。 図5-3Aに示すロールポケットの断面形状を示す図である。 ブリケットマシンのロール表面に形成される溝の配列パターンの一例を示す図である。 パートFの発明の実施形態F1による石炭成型燃料の製造工程を示す図である。 図6-1に示す成型工程で用いることのできる回転式成型機の一例の模式図である。 回転式成型機のロール表面に形成されるロールポケットの一例の平面図である。 図6-2Aに示すロールポケットの断面形状を示す図である。 回転式成型機のロール表面に形成される溝の配列パターンの一例を示す図である。 図6-1に示す成型工程で用いることのできる回転式成型機の他の例の模式図である。 図6-1に示す成型工程で用いることのできるピストン式圧縮成型機の一例の模式図である。 パートFの発明の実施形態F2による石炭成型燃料の製造工程を示す図である。 実施例F2および3における引張強度の測定方法を説明する図である。 実施例F2および3における、成型工程入口温度と引張強度との関係を示すグラフである。 実施例F2および3における、成型工程入口温度と見掛密度との関係を示すグラフである。 実施例F5における、全水分と浸漬水分との関係を示すグラフである。 実施形態Gにおけるプロセスフローである。 第1成型工程および第2成型工程におけるポケット形状の一例である。 第3成型工程におけるポケット形状の一例である。 自然発熱性を評価する装置の一例である。 かさ密度測定方法を示す図である。 改質炭混合体における大粒改質炭の質量比率とカロリー密度との関係である。 改質炭混合体における大粒改質炭の質量比率と自然発熱性との関係である。
上記に係る発明を以下のパートAで説明し、その他の発明をパートB~パートGで説明する。説明は、パートごとに独立しているが、そのパートの発明の趣旨に矛盾しない限り、他のパートの開示事項を参照してもよく、また各パートの発明を組み合わせることもできる。符合については、パートごとに異なる部材や要素を示している場合がある。パートAにおいて、「本発明」はパートAの発明を意味する。
<<パートA>>
前述のとおり、パートAに係る発明の石炭成型燃料の製造方法は、石炭を破砕する破砕工程と、
前記破砕工程で破砕された石炭を乾燥させる乾燥工程と、
前記乾燥工程で乾燥した石炭を粉砕して石炭粒子を得る粉砕工程と、
前記粉砕工程で得られた前記石炭粒子を板状に成型して板状の中間成型体を得る成型工程と、
前記成型工程で得られた前記中間成型体を分断して板状の分断物を得る分断工程と、
前記分断工程で得られた前記板状の分断物を研磨して、研磨体を含む中間研磨体を得る研磨工程と、
前記研磨工程で得られた前記中間研磨体に含まれる粉末を除去する篩工程と、
を有し、
前記粉砕工程で得られる前記石炭粒子の平均粒子径は10~60μmであって、
前記研磨工程で得られ、前記篩工程で前記粉末が除去された前記研磨体を石炭成型燃料とすること
を特徴とする。
また、パートAの発明の石炭成型燃料は、石炭粒子の成型体から得られた石炭成型燃料であって、
前記石炭粒子の平均粒子径が10~60μmであり、
水分が5~20wt%、見掛密度が1.2~1.4g/cm、かさ密度が0.6~0.9であり、かつ、
平滑な成型面が転写された平滑面、および破断面、の2種類の表面を有する第1破断片と、
凹凸を有する成型面が転写された凹凸面、および破断面、の2種類の表面を有する第2破断片と、
前記平滑面、前記凹凸面、および破断面、の3種類の表面を有する第3破断片と、
表面は破断面のみである第4破断片と、
のうちいずれか1種以上の混合物であること
を特徴とする。
パートAの発明によれば、低コストで所望の強度を有する石炭成型燃料を提供することができる。
[実施形態1]
図1-1を参照すると、本発明の実施形態1による石炭成型燃料の製造工程が示されている。実施形態1では、石炭成型燃料の製造工程は、破砕工程10、乾燥工程20、粉砕工程30、成型工程40、分断工程50、研磨工程60および篩工程70を経て得られた研磨体100を石炭成型燃料とする。
原料となる石炭1としては、水分が25wt%以上の褐炭または亜瀝青炭を用いることができる。好ましくは水分30wt%以上の褐炭を用いることができる。石炭成型燃料の一連の製造工程において、原料として用いられるものは石炭のみであり、バインダー等の添加物は使用されない。バインダー等の添加物の使用はコストアップの要因となる。しかし、本形態ではバインダーを添加せず石炭のみを用いるため、低コストで石炭成型燃料を得ることができる。
破砕工程10では、ジョークラッシャまたはハンマークラッシャ等の適宜の破砕手段を用いて、この石炭1を破砕して、破砕済みの石炭2を得る。得られた破砕済みの石炭2は、乾燥工程20に供給される。破砕工程10では、後の粉砕工程30で用いるボールミル等に投入できる大きさまで石炭1が粉砕されればよく、特に限定されないが、破砕済みの石炭2の大きさは、最大粒子径が、好ましくは70mm以下、より好ましくは50mm以下、さらに好ましくは20mm以下であり、特に好ましくは平均粒子径が1mm~20mmである。ここで、破砕工程10により破砕された石炭の平均粒子径は、JIS M 8801-4の「5. 粒度試験方法」に基づいて測定し、各篩目開きの通過篩質量百分率を求め、通過篩質量百分率が50%となる粒子径を平均粒子径とする。
乾燥工程20では、破砕済みの石炭2を、間接乾燥機等の適宜の乾燥機を用いて乾燥させ、乾燥済みの石炭3を得る。得られた乾燥済みの石炭3は、粉砕工程30に供給される。間接乾燥機としては、例えばスチームチューブドライヤを用いることができる。固体燃料の製造では、大量処理が要求されるため、伝熱面積が大きく大量の乾燥処理が可能なスチームチューブドライヤは、乾燥工程20で用いる乾燥機として好適である。
粉砕工程30では、適宜の粉砕機により乾燥済みの石炭3を粉砕して石炭粒子4を得る。得られた石炭粒子4は、成型工程40に供給される。粉砕機としては、乾式粉砕または乾燥粉砕方式の粉砕機を好ましく用いることができ、その中でも特に、微粉砕が可能であり、かつ、大量処理に適したボールミルやロールミルを好ましく用いることができる。固体燃料の製造では、乾燥工程20と同様、粉砕工程30においても大量処理が要求されるからである。
粉砕工程30で得られる石炭粒子4の平均粒子径は、10~60μmであり、好ましくは10~50μm、より好ましくは10~30μmである。石炭粒子4の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって得られる粒度分布のメディアン径で与えられる。なお、本明細書において、「石炭粒子」とは、粉砕工程30により粉砕された石炭粒子4を意味する。
粉砕工程30において得られる石炭粒子4の平均粒子径を上記の範囲とすることにより、第1成型工程40において微細な石炭粒子4を成型する際に型(例えばロールポケット)への充填率が増大し、得られる中間成型体5の密度を向上させて所望の強度を得ることができる。
なお、ボールミルおよびローラミルは、粉砕と同時に乾燥をも行えるため、粉砕工程30においてボールミルあるいはローラミルによる乾燥を行うこともできる。ただし、ボールミルおよびローラミルでの乾燥能力では破砕された石炭2を十分に乾燥させることは困難であるため、本形態では粉砕工程30の前に乾燥工程20を設けて、十分に乾燥した石炭粒子4を得ている。
成型工程40では、成型機により石炭粒子4を板状に成型することを含む。成型機は、原料を加圧成型する成型手段と、成型手段へ原料を供給する供給手段とを有する。このような成型機としては、例えば、ブリケットマシンを用いることができる。図1-2に、成型工程40において好適に用いることのできるブリケットマシンの模式図を示す。図1-2に示すブリケットマシンは、垂直供給方式のブリケットマシンであり、成型手段である一対のロール41と、一対のロール41の上方に配置されて、一対のロール41の間に原料である石炭粒子4を供給する供給手段42と、を有する。供給手段42は、石炭粒子4が供給されるホッパおよびホッパ内の石炭粒子4を下方へ送るスクリュフィーダ等を有している。一対のロール41は、それぞれ適宜の駆動手段で駆動される回転軸を有している。回転軸は、水平方向に延び、かつ、水平方向に間隔をあけて互いに平行に配置されている。また、一対のロール41は隙間をあけて配置されている。ロール41の上方からこの隙間に供給された石炭粒子4を、ロール41の回転駆動によって加圧しながら下方へ送ることで、石炭粒子4の加圧により形成された板状の成型体および加圧されずにロール41間から漏れた石炭粒子4などを含む中間成型体5が得られる。
一対のロール41間の隙間(クリアランス)は、広すぎると、ロール41間からの石炭粒子4の漏れや圧力分散が発生しやすくなり、得られる成型体の密度および強度の低下、並びに収率低下につながる。よって、ロール41間の隙間は3mm以下であることが好ましい。ロール41間の隙間を3mm以下とすることで、十分な強度が確保された板状の中間成型体5を得ることができる。
また、一対のロール41のうち少なくとも一方のロール41の表面には、凹凸が形成されていることが好ましい。これにより、ロール41間に供給された石炭粒子4がロール41の表面から滑り落ちるのが抑制され、石炭粒子4をロール41間に良好に保持することができる。また、凹凸を形成することにより、凹部内にも石炭粒子4が充填されるため、単位時間当たりの処理量を多くすることができる。なお、ロール41の表面に凹凸を有する場合、得られる成型体の表面形状は、ロール41の表面の凹凸が転写される。
ロール41の表面に形成される凹凸の形態は特に限定されず、例えば、ロールポケット(凹部)、溝およびこれらの組み合わせであってよい。
凹凸がロールポケットで形成される場合、ロールポケットの形状は任意とすることができる。
また、凹凸が溝で形成される場合、溝の幅、深さ、配列等は任意とすることができる。溝はロール41の軸方向に対し平行、直交であってもよいし、傾斜していてもよい。図1-3には、ロール41の軸方向Aに平行な複数の溝を配列した例を示す。
分断工程50では、成型工程40で得られた中間成型体5を分断して板状の成型体分断物5aを得る。分断工程50は、成型工程40で得られた板状の中間成型体5を石炭成型燃料として使用するのに適当なサイズに分断することを主たる目的とする。したがって、分断工程50では過度な粉砕および粉化が抑制されるように分断を行う。
分断工程50においても、上述した破砕工程と同様、適宜の破砕機を用いることができる。その中でも特に、本形態ではロールクラッシャを好ましく用いることができる。ロールクラッシャは、例えば図1-4Aに示すように、互いに間隔をあけて対向配置された一対のロール51を有しており、各ロール51の表面には多数の突起が形成されている。適宜の駆動手段で一対のロール51を回転させながら、板状の中間成型体5をロール51の間に供給することで、中間成型体5はロール51の突起によるせん断力を受け、これによって中間成型体5が分断される。ロールクラッシャは、一対のロール51が適度な間隔をあけて配置されているため、過度な粉砕および粉化が抑制され、板状の中間成型体5を効率的に分断することができる。
分断工程50で得られた成型体分断物5aは研磨工程60で研磨され、中間研磨体9を得る。中間研磨体9は、研磨工程60で研磨された研磨体100および石炭の粉末を含んでいる。中間研磨体9に含まれる石炭の粉末は篩工程70で除去され、これにより得られた研磨体100を石炭成型燃料とする。中間研磨体9に含まれる粉末は、成型工程40において成型されずに成型機を通過した石炭粒子4、分断工程50によって生じた石炭の微細な欠片および研磨工程60で生じた研磨粉などを含む。
研磨工程60は、分断工程50で分断された成型体分断物5aを研磨する工程であるが、ここでいう研磨とは、板状の成型体分断物5aに含まれる低強度(低密度)の成型体の部分を削り落とす処理を意味し、一般的な、表面を平滑にする処理とは異なる。
研磨工程60で好ましく用いることのできる研磨機は、上記のように成型体分断物5aに含まれる低強度(低密度)の成型体の部分を削り落とすことができるものであれば特に限定されず、例えば、図1-4Bに示すような、外筒61とロータ62とを有し、これら外筒61とロータ62との間で磨砕を行う磨砕機を研磨機として用いることができる。
ロータ62は、外筒61の内側に外筒61に対して偏心して配置される。外筒61およびロータ62は、少なくとも一方が回転され、これにより外筒61とロータ62とが相対回転する。効率的な処理のためには外筒61とロータ62との相対回転速度が大きいほうが好ましく、大きな相対回転速度を得るためには、外筒61とロータ62とは、図1-4Bに矢印で示すように互いに反対方向に回転されることが好ましい。また、外筒61の内面およびロータ62の外面には、それぞれ多数の突起が形成されている。
上記の研磨機によれば、外筒61とロータ62とが偏心して配置されているため、外筒61とロータ62とが相対回転することによって両者間で成型体分断物5aが圧縮され、また、成型体分断物5a同士のすりもみ作用が促進される。その結果、成型体分断物5aに含まれる低強度(低密度)の成型体の部分を比較的選択的に削り落とすことができる。また、外筒61とロータ62とが互いに反対方向に回転されるようにすることで、研磨処理の時間を短縮することができる。
研磨工程60によって得られた中間研磨体9は篩工程70を経て粉末が除去され、残った研磨体100を石炭成型燃料として得る。篩工程70では、振動篩機を用いることができる。振動篩機としては、円形篩機、トロンメル篩機などを使用で、それらの中でも特に、連続・大量処理できるものが好ましい。
得られた研磨体100の見掛密度1.2~1.4g/cmであり、かさ密度は0.6~0.9である。研磨体100の水分は、5~20wt%、好ましくは8~18wt%、より好ましくは10~17wt%である。この水分は、石炭粒子4の水分に由来するものである。ここで、見掛密度は、JIS Z 8807の「8. 液中ひょう量法による密度及び比重の測定方法」に基づいて測定した値である。
かさ密度は、容積が既知である2~5L程度の容器に試料をすり切り充填し、充填した試料の質量および容器の容積から、下記式1にて算出した。なお、粗充填と密充填では容器に投入する方法が異なる。粗充填は、容器に投入する際、極力試料を圧密させないように充填し、密充填は、容器をタッピングしながら充填した。タッピングの回数は10回とした。
かさ密度=充填した試料の質量÷容器の容積 (式1)
水分は、JIS M 8820-0の「石炭類の全水分測定方法」に基づいて測定した値である。
石炭粒子4由来の水分は成型工程40において結合材の役割を果たすため、研磨体100の水分を上記の範囲に調整することにより、別途結合材やバインダー等を添加することなく効率的な成型が可能となる。特に、成型工程40に用いる石炭粒子4の水分含有量が、5~20wt%であることが好ましく、8~18wt%であることがより好ましく、10~17wt%であることがさらに好ましい。
本形態では、石炭粒子4の平均粒子径が10~60μmと微細であるため、成型時にブリケットマシンのロールポケットや溝への石炭粒子4の充填率が増加する。これにより中間成型体5の密度が向上し、中間成型体5の強度アップに寄与する。このことは、中間成型体5を開始点として最終的に得られる研磨体100にも反映され、結果的に、石炭成型燃料として用いられる研磨体100の強度アップに寄与する。
また、石炭1に含まれる水分を結合材として使用し、好適な水分範囲である5~20wt%にするとともに、研磨体100の密度を規定することにより、さらに好ましくは研磨体100のサイズおよび重量も規定し、研磨体100の圧壊強度が極大となる領域に調整することが可能となる、よって、石炭成型燃料として研磨体100を用いる際に、運搬時の粉化を低減してハンドリング性を向上させることができる。また、粉砕した後に成型することで比表面積も低下し、石炭成型燃料の貯蔵時の発火を低減することができる。さらに、この研磨体100を得る製造プロセスでは全て公知の機械・装置を用いており、また、熱水等も必要としないため、コスト低減を図ることができる。
上述のとおり本形態ではバインダーを用いずに研磨体100を得る。石炭粒子4の粒子径と水分、および研磨体100の密度を上記の範囲に規定することにより、別途バインダーを添加することなく、低コストで研磨体100の強度を所望の値とすることができる。
密度、特にかさ密度に関し、板状の中間成型体5のかさ密度をDA、研磨体100のかさ密度をDBとしたとき、
DB/DA=1.0~2.3
となるように、成型工程40および研磨工程60での処理条件が調整されることが好ましい。中間成型体5と研磨体100とのかさ密度比をこの範囲とすることで、粉化性、自然発火性が抑制された研磨体100(石炭成型燃料)のハンドリング性・輸送コスト削減と歩留まりの両立を図ることができる。
ここで、成型工程40において用いる成型機がスクリュ式の供給手段を有する場合など、成型手段へ原料(本形態では石炭粒子4)を供給する際に、場所によって原料の供給圧力分布にばらつきが生じる。この供給圧力分布のばらつきは中間成型体5の機械的強度に影響を及ぼし、中間成型体5は、その後の分断工程50によって強度の弱い部分で分断され、さらに次の研磨工程60によって強度の弱い部分が削り落とされる。したがって、最終的に石炭形成燃料として得られる研磨体100は、高い機械的強度を有する。
また、成型工程40で得られた中間成型体5は、その後の分断工程50および研磨工程60を経ることによってランダムな形状とされる。しかし、石炭成型燃料は火力発電所にて再度微粉砕されるため、ブリケットのようにすべてが一様な形状である必要はなく、ハンドリング可能な程度の形状を保っていればランダムな形状が混在していてもよい。
しかも、成型工程40では原料を板状に成型しており、これによって、ブリケットなど一様な形状とする場合に比べて成型圧を低減することができる。成型圧を低減できるということは、より少ないエネルギーで成型することができるということであり、結果的に低コストの石炭成型燃料を得ることができる。一方、ハンドリング中に割れることなく一様な形状を維持しうる強度を有する成型体を得ることも可能である。しかし、そのためには高い成型圧で成型したり原料にバインダーを添加したりすることが必要になり、結果的に石炭成型燃料のコストアップを招く。
以上より、上述した一連の工程を経て石炭成型燃料として得られた研磨体100は、石炭粒子4の成型体から得られた、以下の第1~第4破断片のうちいずれか1種以上の混合物であるということができる。第1~第4破断片を図1-5A~図1-5Dに示す。それらの混合物である研磨体100の外観は、後述する研磨体200と同様である(図1-7A参照)。平滑面、凹凸面、破断面については後述する。
第1破断片:図1-5Aに示すように、平滑な成型面が転写された平滑面101および破断面103の2種類の表面を有する。
第2破断片:図1-5Bに示すように、凹凸を有する成型面が転写された凹凸面102および破断面103の2種類の表面を有する。
第3破断片:図1-5Cに示すように、上記平滑面101、上記凹凸面102および破断面103の3種類の表面を有する。
第4破断片:図1-5Dに示すように、表面は破断面103のみである。
また、第3破断片は、
平滑面101と凹凸面102とが互いに対向する第3A破断片と、
平滑面101と凹凸面102とが同一平面内で隣接し、かつ、その対向面が破断面である第3B破断片と、
を有していてもよい。この場合、第3A破断片は、平滑面と凹凸面との厚みが4.0~13.0mmであることが好ましい。
第3A破断片の厚みは、研磨体100の最大厚みを反映している。厚みがこの範囲を超えると、石炭成型燃料としての機械的強度が確保できなくなるおそれがあり、また、厚みがこの範囲よりも薄いと、成型効率が低下する。この範囲内であれば、バインダーを添加することなく、かつ、成型工程40における成型圧を過度に高めることなくハンドリング可能な研磨体100を得ることができる。
また、第1破断片は、
平滑面101同士が互いに対向する第1A破断片と、
平滑面101の対向面が破断面103である第1B破断片と、
を有していてもよい。この場合、第1A破断片は、平滑面101同士の厚みが2~10mmであることが好ましい。
第1A破断片の厚みは、研磨体100のうち凹凸が形成されていない成型手段で挟まれた部分の厚み、例えば、成型手段が、表面が平滑な一対のロールを有している場合はそのロールのクリアランスに対応する。厚みがこの範囲を超えると、石炭成型燃料としての機械的強度が確保できなくなるおそれがあり、また、厚みがこの範囲よりも薄いと、成型効率が低下する。この範囲内であれば、バインダーを添加することなく、かつ、成型工程40における成型圧を過度に高めることなくハンドリング可能な研磨体100を得ることができる。
上記のことは、成型工程40を経た後の板状の中間成型体5についてもいうことができる。板状の中間成型体5は、その後のハンドリング等によって割れることがあり、しかも、板状の中間成型体5はその後の工程(分断工程50)で分断されるため、成型後の形状を維持している必要はないからである。
すなわち、中間成型体5も、上記の第1破断片~第4破断片のうちいずれか1種以上の混合物であるということができる。また、第3破断片が第3A破断片と第3B破断片とを有していてもよいことや、第1破断片が第1A破断片と第1B破断片とを有していてもよいことも、研磨体100と同様である。さらに、上記の破断片が、対向する2つの平滑面を有する場合、これら平滑面同士の厚みは2~10mmであることが好ましい。
さらに、中間成型体5の水分および見掛密度も研磨体100と同様であり、中間成型体5の水分は5~20wt%、見掛密度は1.2~1.4g/cmである。ただし、中間成型体5は、その後の研磨工程60を経ていないため、研磨体100と比較してかさ密度は小さく、中間成型体5のかさ密度は0.4~0.6g/cmである。
ここで、「平滑面」とは、成型工程40における成型の際に、成型手段の表面、例えばロールの表面のうち凹凸が形成されていない部位が加圧されることによって成型された面を意味する。「凹凸面」とは、成型工程40における成型の際に、成型手段の表面、例えばロールの表面のうち凹凸が形成された部分が加圧されることによって成型された面を意味する。「破断面」とは、「平滑面」とも「凹凸面」とも異なる面であって、成型工程40における成型の際に成型手段の表面と接触しておらず、研磨体100の割れによって露出した面、あるいはロール端部であって成型圧が掛かっていない面(ロールを通過する石炭粒子4の集合体における、ロールの軸方向両端側の面)、あるいは一旦成型されたロールポケット由来の凸面のうち強度不十分で脱落した面(剥がれた面)を意味する。
[実施形態2]
図1-6を参照すると、本発明の実施形態2による石炭成型燃料の製造工程が示されている。基本的な製造手順は実施形態1と同じであるが、実施形態2は、実施形態1における成型工程40の後段に第2破砕工程10aを設け、さらにその後段に第2成型工程40aをも設ける点で実施形態1と異なる。言い換えると、実施形態2では、成型工程は、第1成型工程40および第2成型工程40aを含んでおり、第1成型工程40と第2成型工程40aとの間に、第2破砕工程10aをさらに有している。
したがって、実施形態2では、実施形態1と共通の破砕工程および成型工程を、それぞれ第1破砕工程10および第1成型工程40として、上記第2破砕工程10aおよび第2成型工程40aと区別する。また、第1成型工程40で得られたものを第1中間成型体5とする。
このように成型工程が第1成型工程40と第2成型工程40aとを有している場合、粉砕工程30で得られた石炭粒子4は、第1成型工程40において板状に成型され、これによって第1中間成型体5が得られる。第1成型工程40で得られた第1中間成型体5は、第2破砕工程10aにおいて、次工程である第2成型工程40aで成型可能な平均粒子径となるように破砕されて第1成型体破砕物6とされ、さらに第1成型体破砕物6は第2成型工程40aで板状に成型され、第2中間成型体7を得る。得られた第2中間成型体7は、分断工程50で分断されて板状の成型体分断物5aとされる。以降は実施形態1と同様である。
実施形態2における第1中間成型体5の密度は、実施形態1における研磨体100の密度と比べて低いことが好ましく、見掛密度が1.00g/cm~1.25g/cmであることが好ましい。圧壊強度は10~800Nであることが好ましい。また、第1成型工程40に用いる石炭粒子4の水分含有量が、5~20wt%であることが好ましく、8~16wt%であることがより好ましく、10~17wt%であることがさらに好ましい。
実施形態2の第1成型工程40では、原料を水平方向に供給する水平供給方式のコンパクタを好ましく用いることができる。コンパクタもブリケットマシンと同様、原料を成型する成型手段と、成型手段に原料を供給する供給手段とを有する。成型手段は、例えば一対のロールを有することができ、このロール間に原料を供給することで、原料はロールの回転に伴ってロール間で加圧成型される。ただし、水平供給方式のコンパクタでは、2つのロールが上下に配置される。第1成型工程40において水平供給方式のコンパクタを用いることで、得られる第1中間成型体5の収率、すなわち成型効率が向上する。
第2破砕工程10aでは、破砕機により第1中間成型体5を破砕し、第1成型体破砕物6を得る。破砕機は、第1破砕工程10で用いたものと同様であってよい。なお、第1成型体破砕物6は、粒子径が好ましくは0.1~1.0mm、より好ましくは0.15~0.9mm、さらに好ましくは0.2~0.8mmである。また、第1成型体破砕物6の最大粒子径は、後述の研磨体200の粒子径の縦横2辺のうち短いほうの長さ以下であることが好ましい。第1成型体破砕物6が上記平均粒子径の範囲および最大粒子径の範囲になるように第2破砕工程10aを調整することで、第2成型工程40aにおける成型時に、ブリケットマシンにおけるロールポケットへの第1成型体破砕物6の充填率を向上させることができる。この結果として得られる、第2中間成型体7は、実施形態1の最終製品(石炭成型燃料)である研磨体100と比べて優れた品質(圧壊強度および見掛密度)を示す。なお、実施形態2において、第1成型工程40と第2成型工程40aで使用するロールポケットのサイズ(粒子径)は同一でなくてもよい。
第2成型工程40aでは、成型機により第1成型体破砕物6を成型して第2中間成型体7を得る。得られた第2中間成型体7は、実施形態1と同様、分断工程50および研磨工程60を経て中間研磨体9とされ、この中間研磨体9から粉末を除去することにより得られた研磨体200を、石炭成型燃料とする。
第2成型工程40aで用いられる成型機としては、実施形態1で説明したような垂直供給方式のブリケットマシンを用いることができる。あるいは、第1成型工程40と同様、水平供給方式のコンパクタを第2成型工程40aで用いることもできる。
研磨体200の粒子径は5~40mmであることが好ましい。また、研磨体200の見掛密度は1.2~1.4g/cmであり、かさ密度は0.6~0.9g/cmである。研磨体200の重量は0.2~20gであることが好ましい。研磨体200の水分含有量は5~20wt%、好ましくは8~18wt%、さらに好ましくは10~17wt%である。
以上のように、実施形態2では、一度成型した第1中間成型体5を第2破砕工程10aで再度破砕し、第2成型工程40aにおいて改めて成型する。第1中間成型体5は第1成型工程40によって既にある程度密度が高められた状態であり、第1成型体破砕物6も同程度の密度を有する。したがって、第1成型体破砕物6を再度成型することで、第1中間成型体5よりもさらに密度を向上させた成型体を含む第2中間成型体7を得ることが可能となる。そのような第2中間成型体7を分断および研磨し、粉末を除去することで、結果的に得られる研磨体200も密度を向上させたものとなる。実施形態2における成型体分断物5a、中間研磨体9、および研磨体200いずれも、実施形態1の研磨体100と同様に第1~第4破断片のうちいずれか1種以上の混合物である。
また、破砕された石炭粒子4の平均粒子径は10~60μmであり、そのままではブリケットマシン内での流動性が悪く、成型しづらい場合もある。一方、一度成型した第1中間成型体5の破砕物であれば、第1成型工程40によりある程度密度が高められているため、ブリケットマシン内での流動性が向上し、第2成型工程40aにおける成型がスムーズに行われる。これにより、第1中間成型体5よりもさらに密度の高い成型体が得られることとなり、この成型体を分断および研磨して最終的に得られた研磨体200を石炭成型燃料とすることによって、貯蔵・運搬時の粉化がさらに低減され、ハンドリング性を向上させた石炭成型燃料を得ることができる。
なお、実施形態1において最終的に得られる研磨体100および実施形態2において最終的に得られる研磨体200の水分含有量を調整する水分調整工程を設けてもよい。水分調整工程は、篩工程の後に設けることが好ましい。水分調整工程により、製品の発塵および自然発熱を防止することができる。
水分調整工程においては、ベルトコンベアを配しかつベルトコンベア上部に給水ポンプおよびスプレーノズルを含む散水設備を配し、ベルトコンベアによって搬送される、篩工程を経た研磨体100、200に対し、研磨体100、200の水分が好適範囲になるような方法がある。また、篩工程を経た研磨体100、200を山立て(山状に堆積させてパイルを形成)後、給水ポンプおよびスプリンクラを含む散水設備によって、山立てした研磨体100、200の水分を好適範囲に調整する方法であってもよい。
研磨体100、200の水分調整工程の後の水分は、好ましくは10~30wt%であり、より好ましくは10wt%以上25wt%未満である。なお、実施形態2においても、実施形態1と同様にバインダーを添加することなく、低コストで研磨体200の強度を所望の値とすることが可能となっている。
<パートAの開示事項のまとめ>
以上説明したように、本発明の形態によれば、以下の(1)~(4)に記載する石炭成型燃料の製造方法および(5)~(8)に記載する石炭成型燃料が提供される。
(1) 石炭を破砕する破砕工程10と、
前記破砕工程10で破砕された石炭2を乾燥させる乾燥工程20と、
前記乾燥工程20で乾燥した石炭3を粉砕して石炭粒子4を得る粉砕工程30と、
前記粉砕工程30で得られた前記石炭粒子4を板状に成型して板状の中間成型体5を得る成型工程40と、
前記成型工程40で得られた前記中間成型体5を分断して板状の分断物5aを得る分断工程50と、
前記分断工程50で得られた前記板状の分断物5aを研磨して、研磨体100を含む中間研磨体9を得る研磨工程60と、
前記研磨工程60で得られた前記中間研磨体9に含まれる粉末を除去する篩工程70と、
を有し、
前記粉砕工程30で得られる前記石炭粒子4の平均粒子径は10~60μmであって、
前記研磨工程60で得られ、前記篩工程70で前記粉末が除去された前記研磨体100を石炭成型燃料とすること
を特徴とする石炭成型燃料の製造方法。
この製造方法によれば、成型圧を低減することができので、低コストに石炭成型燃料を製造することができる。またハンドリングに適した所望の強度を有する石炭成型燃料を提供することができる。
(2) 上記(1)に記載の石炭成型燃料の製造方法において、
前記分断工程50ではロールクラッシャを用いて前記中間成型体5を分断すること
を特徴とする石炭成型燃料の製造方法。
ロールクラッシャを用いると、過度な粉砕および粉化を抑制しながら、より簡便に適当なサイズに分断することができる。
(3) 上記(1)または(2)に記載の石炭成型燃料の製造方法において、
前記研磨工程60では、外筒61と、前記外筒61の内側に前記外筒61に対して偏心して配置され、前記外筒61に対して相対回転するロータ62との間で前記板状の分断物5aを研磨すること
を特徴とする石炭成型燃料の製造方法。
上記の構造を有する装置を用いると、より効率的に、短時間で研磨処理することができる。
(4) 上記(1)から(3)のいずれかに記載の石炭成型燃料の製造方法において、
前記板状の中間成型体5のかさ密度をDA、前記研磨体9のかさ密度をDBとしたとき、DB/DA=1.1~1.2であること
を特徴とする石炭成型燃料の製造方法。
かさ密度比をこの範囲とすることで、粉化性、自然発火性といった研磨体(石炭成型燃料)のハンドリング性・輸送コスト削減と、歩留まりとの両立を図ることができる。
(5) 石炭粒子4の成型体から得られた石炭成型燃料であって、
前記石炭粒子4の平均粒子径が10~60μmであり、
水分が5~20wt%、見掛密度が1.2~1.4g/cm、かさ密度が0.6~0.9であり、かつ、
平滑な成型面が転写された平滑面、および破断面、の2種類の表面を有する第1破断片と、
凹凸を有する成型面が転写された凹凸面、および破断面、の2種類の表面を有する第2破断片と、
前記平滑面、前記凹凸面、および破断面、の3種類の表面を有する第3破断片と、
表面は破断面のみである第4破断片と、
のうちいずれか1種以上の混合物であること
を特徴とする石炭成型燃料。
低コストに、所望の強度を有する石炭成型燃料を提供することができる。
(6) 上記(5)に記載の石炭成型燃料において、
前記第3破断片は、
前記平滑面と前記凹凸面とが互いに対向する第3A破断片と、
前記平滑面と前記凹凸面とが同一面内で隣接し、かつ、その対向面は破断面である第3B破断片と、
を有し、
前記第3A破断片における前記平滑面と前記凹凸面との厚みは4.0~13.0mmであること
を特徴とする石炭成型燃料。
この特徴を有する石炭成型燃料は、バインダー無しでも、成型圧を過度に高めることなく成型可能で、ハンドリングに有利な強度を有する成型体である。
(7) 上記(5)に記載の石炭成型燃料において、
前記第1破断片は、
前記平滑面同士が互いに対向する第1A破断片と、
前記平滑面の対向面が前記破断面である第1B破断片と、
を有し、前記第1A破断片における前記平滑面同士の厚みは2~10mmであること
を特徴とする石炭成型燃料。
この特徴を有する石炭成型燃料は、バインダー無しでも、成型圧を過度に高めることなく成型可能で、ハンドリングに有利な強度を有する成型体である。
(8) 上記(5)から(7)のいずれかに記載の石炭成型燃料において、
HGIが40以上であること
を特徴とする石炭成型燃料。
パートAの記載にかかわる主要な要素の符合の説明は次のとおりである。
10 破砕工程(第1破砕工程)
20 乾燥工程
30 粉砕工程
40 成型工程(第1成型工程)
41 ロール
42 供給手段
10a 第2破砕工程
40a 第2成型工程
50 分断工程
51 ロール
60 研磨工程
61 外筒
62 ロータ
70 篩工程
100、200 研磨体
次にパートB~Gに異なる発明を開示する。
<<パートB>>
パートBで開示される発明は、改質炭の養生方法に関する。
特許文献1(特開2011-111529号公報)には、低品位炭を油と混合してスラリーとし、このスラリーを加熱することにより石炭を脱水し、含水量を低下させた後に粉砕・成型して固体燃料を得る技術が開示されている。特許文献2(WO2015/098935号公報)には、バインダー等を用いずに石炭のみを原料として石炭粒子を成型して得られる石炭成型燃料とその製造方法が開示されている。
しかしながら上記特許文献1(特開2011-111529号公報)にあっては、油と混合してスラリーを作成する必要があり、コストアップを招いていた。また成型後の固体燃料をハンドリングする際に一定以上の強度が求められるが、特許文献1では強度について記載されていない。特許文献2(WO2015/098935号公報)の石炭成型燃料は、バインダー等を用いる場合に比べてコスト削減はできたものの、製品価値である発熱量は屋外貯蔵時の製品水分に依存することから、貯蔵時の降雨等による吸水量が低下するよう、さらなる改善が求められていた。
パートBの発明は、浸漬水分が低い改質炭を簡便に製造する方法を提供することを目的とする。
パートBの主要な開示事項は、次のとおりである。
(1) 改質炭を所定の養生条件で保持する改質炭の養生方法であって、
前記所定の養生条件は、温度-5~40℃、相対湿度5~95%で、200日以上であること
を特徴とする改質炭の養生方法。
この方法によれば、浸漬水分が低い改質炭を簡便な方法により提供することができる。
(2) 上記(1)に記載の改質炭の養生方法において、
養生前の改質炭の水中浸漬水分をW、養生後の改質炭の水中浸漬水分をWとすると、W/W=0.70~0.90であること
を特徴とする改質炭の養生方法。
この方法によれば、浸漬水分が低い改質炭を簡便な方法により提供することができる。
(3) 上記(1)または上記(2)に記載の改質炭の養生方法において、
前記改質炭は、石炭粒子を圧縮成型して得られた成型体であって、養生前の改質炭の圧縮方向厚みをT、養生後の改質炭の圧縮方向厚みをTとすると、T/T=1.0~1.2であること
を特徴とする改質炭の養生方法。
この方法によれば、養生効果による水中浸漬膨張率の低下が十分であるため好ましい。
(4) 上記(1)ないし上記(3)のいずれか1項に記載の改質炭の養生方法において、
前記改質炭は、石炭粒子を成型して得られ、
前記石炭粒子は、平均粒子径10~60μm、水分5~20%であって、
養生前の前記改質炭の見掛密度は1.2~1.4g/cmであること
を特徴とする改質炭の養生方法。
上記(1)ないし上記(3)の発明は、上記の特性を有する改質炭に適用することができる。
パートBの発明によると、浸漬水分が低い改質炭を簡便な方法により提供することができる。以下、パートBの発明を説明する。
[養生工程]
パートBの発明は、改質炭を所定の養生条件で保持する改質炭の養生方法に関する。養生条件は、温度-5~40℃、相対湿度5~95%で、200日以上であることが好ましく、温度0~40℃、雰囲気相対湿度25~95%、200日以上であることがより好ましい。この条件下で改質炭を養生する工程(以下、「養生工程85」とも記載する。図2-1及び図2-2参照。)を含むことにより、改質炭の吸水が抑制されて水中浸漬水分(単に、「浸漬水分」とも記載する)が養生前に比べて低下し、改質炭の品質が改善する。
養生方法は特に限定されず、上記養生条件を満たす環境下に改質炭を置けばよいが、密閉養生、気乾養生、封緘養生、湿空養生、蒸気養生、およびオートクレーブ養生等が挙げられ、密閉養生が好ましい。これらのうち、2種以上の養生方法を組み合わせてもよい。養生を行っている間、改質炭は静置していることが好ましいが、改質炭が粉化しない程度に振動、攪拌等の外力が加わってもよい。養生を行っている間、改質炭同士が接触していても接触していなくてもよい。
パートBの発明の養生方法において、養生前の改質炭の水中浸漬水分をW、養生後の改質炭の水中浸漬水分をWとすると、W/W=0.70~0.90であることが好ましい。W/Wがこの範囲内にあれば養生による効果が十分であると考えられる。
浸漬水分は、以下の方法により測定することができる。改質炭を水中に浸漬し、浸漬開始から7日間経過した時点で改質炭を回収し、表面に付着した水分をウエス等の布で除去した後、JIS M 8820-2000(石炭類及びコークス類-ロットの全水分測定方法)に記載の石炭類の全水分測定方法にて計測して得た全水分を浸漬水分とする。浸漬水分が低いほど貯蔵時の降雨等による吸水量が低下するため、製品価値である発熱量が高くなるので品質の高い改質炭といえる。
パートBの発明では石炭粒子を成型して改質炭を得ており、したがってパートBの発明においては成型直後(複数の成型工程を有する場合は最終の成型工程の直後)から1日以内であって、上記養生工程85に至る前の改質炭(後述の実施形態B1の成型体5、または実施形態B2の第2成型体7)を「養生前」と定義する。
改質炭(実施形態B1の成型体5、または実施形態B2の第2成型体7)に対して上記養生条件下で養生を行うことにより、養生後の水中浸漬膨張率が養生前の水中浸漬膨張率より低下し、貯蔵中の水分上昇が緩和し、より発熱量の高い改質炭を得ることができる。パートBの発明の一態様として、養生前の改質炭の水中浸漬膨張率をE、養生後の水中浸漬膨張率をEとすると、E/E=0.60~0.80であるのが好ましい。ここで、水中浸漬膨張率は、下記式(1):
Figure 0007003930000001
により算出することができる。
パートBの発明の一態様として、改質炭(実施形態B1の成型体5、または実施形態B2の第2成型体7)は、石炭粒子を圧縮成型して得られた成型炭であって、養生前の圧縮方向厚みをT、養生後の圧縮方向厚みをTとすると、T/T=1.0~1.2であることが好ましい。本明細書において、「圧縮方向厚み」とは、石炭粒子を圧縮成型する際に圧縮力が加わる方向の厚みのことをいう。養生前後の厚みの比(T/T)が該範囲内にあると、養生効果による水中浸漬膨張率の低下が十分であるため好ましい。
パートBの発明の一態様として、改質炭(実施形態B1の成型体5、または実施形態B2の第2成型体7)は、石炭粒子を成型して得られ、石炭粒子は、平均粒子径10~60μm、水分5~20%であって、養生前の改質炭(実施形態B1の成型体5、または実施形態B2の第2成型体7)の見掛密度は1.2~1.4g/cmであることが好ましく、1.25~1.4g/cmであることがより好ましい。石炭粒子がこのような物性を有することにより、水分を結合材として成型炭とすることができ、養生前の改質炭(実施形態B1の成型体5、または実施形態B2の第2成型体7)の見掛密度が該範囲内にあると改質炭のハンドリングがしやすい。
[実施形態B1]
図2-1に、実施形態B1として改質炭の製造工程の一例を示す。実施形態B1における製造工程は、破砕工程10、乾燥工程20、粉砕工程30、成型工程40を有し、原料となる石炭1を破砕した後乾燥させ、乾燥させた石炭を粉砕して石炭粒子4を得る。この石炭粒子4を成型することにより得られた成型体5を改質炭とし、この成型体5を、上述の養生工程85にて養生する。
原料となる石炭1は、好ましくは褐炭および/または亜瀝青炭であり、より好ましくは水分25wt%以上の褐炭または亜瀝青炭であり、さらに好ましくは水分30wt%以上の褐炭である。原料として用いられるものは石炭1のみであり、バインダーや添加物等は使用されない。バインダー等の添加物の使用はコストアップ要因となるが、本実施形態の成型炭はバインダーを添加せず石炭のみを用いるため、低コストで成型炭を得ることができる。
<破砕工程>
破砕工程10ではこの石炭1をジョークラッシャまたはハンマークラッシャで破砕して破砕済みの石炭2を得、乾燥工程20に移行する。破砕工程10では、後の粉砕工程30で用いるボールミル等に投入できる大きさまでに石炭1が破砕されればよく、特に限定はされないが、破砕済みの石炭2の最大粒子径が、好ましくは70mm以下、より好ましくは50mm以下、さらに好ましくは20mm以下であり、平均粒子径が1mm~20mm程度であることが好ましい。なお、石炭の水分量は、JIS M 8820-2000 (石炭類及びコークス類-ロットの全水分測定方法)に記載の石炭類の全水分測定方法にて計測できる。また、第1破砕工程10により破砕された石炭2の平均粒子径は、JISM8801-2004「5.粒度試験方法」に基づき測定し、各篩目開きの通過篩質量百分率を求め、通過篩質量百分率が50%となる粒子径とする。
<乾燥工程>
乾燥工程20では破砕済みの石炭2を間接乾燥機により乾燥させ、乾燥済みの石炭3を得て粉砕工程30に移行する。間接乾燥機としては例えばスチームチューブドライヤを用いてもよい。固体燃料の製造では大量処理が要求されるため、伝熱面積が大きく大量に乾燥処理可能なスチームチューブドライヤを用いることが好適である。
<粉砕工程>
粉砕工程30では粉砕機により乾燥済みの石炭3の粉砕が行われ、石炭粒子4を得て成型工程40に移行する。粉砕機は乾式粉砕または乾燥粉砕方式であり、例えば微粉砕が可能で大量処理に適したボールミル、ローラミルが用いられる。乾燥機同様に固体燃料の製造では大量処理が要求されるため、大量処理に適した粉砕機が好適である。この粉砕工程30において、石炭粒子4の平均粒子径を好ましくは10~60μm、より好ましくは10~50μm、さらに好ましくは10~30μmとする。平均径10μm未満に粉砕するには大きな粉砕動力が必要であり、工業プロセスでの製造が困難であることからボールミル粉砕後の平均径は10μm以上が好ましい。本明細書において、粉砕工程30により粉砕された石炭粒子4の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって得られる粒度分布のメディアン径とする。なお、本明細書において、「石炭粒子」と記載したときは、粉砕工程30により粉砕された石炭粒子4を意味するものとする。
この粉砕工程30において石炭粒子4の平均粒子径を上記の範囲とすることにより、成型工程40において微細な石炭粒子4を成型する際に成型の金型(ロールポケット)への充填率が増大し、後述の成型体5の密度を向上させて所望の強度を得ることができる。
なお、ボールミル、ローラミルは粉砕と同時に乾燥をも行えるため、粉砕工程30においてもボールミル、ローラミルによる乾燥を行ってもよいが、ボールミル、ローラミルでの乾燥能力では不十分であるため、粉砕工程30の前に乾燥工程20を設けて必要な乾燥能力を確保するのが好ましい。
<成型工程>
成型工程40では成型機により石炭粒子4を成型し、得られた成型体5を改質炭とする。成型機は、原料を加圧成型する成型手段と、成型手段へ原料を供給する供給手段とを有する。成型機としては、例えば、ブリケットマシンを用いることができる。
図2-3に、成型工程40において好適に用いることのできるブリケットマシンの模式図を示す。図2-3に示すブリケットマシンは、垂直供給方式のブリケットマシンであり、成型手段である一対のロール41と、一対のロール41の上方に配置されて、一対のロール41の間に原料である石炭粒子4を供給する供給手段42と、を有する。供給手段42は、石炭粒子4が供給されるホッパおよびホッパ内の石炭粒子4を下方へ送るスクリュフィーダ等を有している。一対のロール41は、それぞれ適宜の駆動手段で駆動される回転軸を有している。回転軸は、水平方向に延び、かつ、水平方向に間隔をあけて互いに平行に配置されている。また、一対のロール41は隙間をあけて配置されている。ロール41の上方からこの隙間に供給された石炭粒子4を、ロール41の回転駆動によって加圧しながら下方へ送ることで、石炭粒子4の加圧により形成された板状の成型体5が得られる。
一対のロール41間の隙間(クリアランス)は、広すぎると、ロール41間からの石炭粒子4の漏れや圧力分散が発生しやすくなり、得られる成型体5の密度および強度の低下、並びに収率低下につながる。よって、ロール41間の隙間は3mm以下であることが好ましい。ロール41間の隙間を3mm以下とすることで、十分な強度が確保された板状の成型体を得ることができる。
また、一対のロール41のうち少なくとも一方のロール41の表面には、凹凸が形成されていることが好ましい。これにより、ロール41間に供給された石炭粒子4がロール41の表面から滑り落ちるのが抑制され、石炭粒子4をロール41間に良好に保持することができる。また、凹凸を形成することにより、凹部内にも石炭粒子4が充填されるため、単位時間当たりの処理量を多くすることができる。なお、ロール41の表面に凹凸を有する場合、得られる成型体5の表面形状は、ロール41の表面の凹凸が転写される。
ロール41の表面に形成される凹凸の形態は特に限定されず、例えば、ロールポケット(凹部)、溝およびこれらの組み合わせであってもよい。
凹凸がロールポケットで形成される場合、ロールポケットの形状は任意とすることができる。
また成型体5の見掛密度は1.2~1.4g/cmが好ましく、1.25~1.4g/cmであるのがさらに好ましい。また成型体5の重量は0.2~20gであるのが好ましい。また成型体5の水分は好ましくは5~20wt%、より好ましくは8~18wt%、さらに好ましくは10~17wt%である。この水分は石炭粒子4の水分に由来するものである。なお、見掛密度はJIS Z 8807の「8.液中ひょう量法による密度及び比重の測定方法」に基づき測定できる。
石炭粒子4由来の水分は成型工程40において結合材の役割を果たすため、成型体5の水分を上記の範囲に調整することにより、別途結合材やバインダー等を添加することなく効率的な成型が可能となる。なお、成型工程40に用いる石炭粒子4の水分含有量が、5~20wt%であることが好ましく、8~18wt%であることがより好ましく、10~17wt%であることがさらに好ましい。
実施形態B1では、石炭粒子4の平均粒子径が10~60μmと微細であるため、成型時にブリケットマシンにおけるロールポケットへの充填率が増加する。これにより成型体5の密度が向上し、成型体5の強度アップに寄与する。また、石炭1に含まれる水分を結合材として活用し、好適な水分範囲である5~20wt%にするとともに、成型体5の密度を規定することにより、さらに好ましくは成型体5のサイズおよび重量も規定し、成型体5の圧壊強度(JIS Z 8841-1993の「3.1 圧壊強度試験方法」に基づき測定できる)が極大となる領域に調整することが可能となる。よって、成型体5を用いる際に、運搬時の粉化を低減してハンドリング性を向上させることができる。また粉砕した後に成型することで比表面積も低下し、貯蔵時の発火を低減することができる。さらに、この成型体5を得る製造プロセスでは全て公知の機械・装置を用いており、また熱水等も必要としないため、コスト低減を図ることができる。
なお、上述のとおり実施形態B1ではバインダーを用いていない。石炭粒子4の粒子径と水分、及び成型体5の密度を上記の範囲に規定することにより、別途バインダーを添加することなく、低コストで成型体5を得ることができる。
<養生工程>
成型工程40で得られた成型体5につき上述の養生工程85にて養生を行い、実施形態B1における養生後の改質炭(以降、製品100とも記載する)を得る。なお成型工程40と養生工程85との間に研磨工程や篩工程等を設けてもよい。
[実施形態B2]
図2-2に、実施形態B2として改質炭の製造工程の他の例を示す。基本構成は実施形態B1と同様であるが、実施形態B2では実施形態B1における成型工程40の後段に第2破砕工程10aを設け、さらにその後段に第2成型工程40aを設ける点で実施形態B1と異なる。実施形態B2における養生前の改質炭は第2成型体7であって、この第2成型体7を養生工程85にて養生し、養生後の改質炭(以降、製品200とも記載)を得るものである。
以降、実施形態B2においては、破砕工程10、成型工程40をそれぞれ第1破砕工程10、第1成型工程40として区別する。また、第1成型工程40で得られた成型体5は第1成型体5とする。
<第1破砕工程、乾燥工程、粉砕工程>
実施形態B1の破砕工程10、乾燥工程20、粉砕工程30と同様である。
<第1成型工程>
第1成型工程40では粉砕工程30で得られた石炭粒子4を成型し、第1成型体5を得る。実施形態B2における第1成型体5の密度は、実施形態B1における成型体5の密度と比べ低いことが好ましく、見掛密度が1.00g/cm~1.25g/cmであることが好ましい。見掛密度の低い第1成型体5を得る方法としては、例えば、成型機のロール上部の押込スクリュの回転数低下、ロール回転数増加、ロール支持圧(ロール間圧力)の低下、ロールポケット容積増加、ロールギャップ増加などの方法が挙げられ、これらを複合させてもよい。圧壊強度は10~800Nであることが好ましい。また、第1成型工程40に用いる石炭粒子4の水分含有量が、5~20wt%であることが好ましく、8~18wt%であることがより好ましく、10~17wt%であることがさらに好ましい。
第1成型工程40においては、水平供給方式の成型機(例えばコンパクタ)を用いてもよいし、垂直供給方式の成型機(例えばブリケットマシン)を用いてもよい。
<第2破砕工程>
第2破砕工程10aでは、破砕機により第1成型体5を破砕し、第1成型体破砕物6を得て第2成型工程40aに移行する。破砕機は第1破砕工程10で用いたものと同様である。なお第1成型体破砕物6の平均径は、好ましくは0.1~1.0mm、より好ましくは0.15~0.9mm、さらに好ましくは0.2~0.8mmである。また、第1成型体破砕物6の最大粒子径は、後述の第2成型体7の粒子径の縦横2辺の短いほうの長さ以下であることが好ましい。第1成型体破砕物6が前記平均径の範囲および最大粒子径の範囲になるように第2破砕工程10aを調整することで、前記の第2成型工程40aの成型時に、ブリケットマシンにおけるロールポケットへの充填率を向上させることができる。この結果として得られる、第2成型体7は実施形態B1における成型体5と比べ優れた品質(圧壊強度および見掛密度)を示す。なお、実施形態B2において、第1成型工程40と第2成型工程40aで使用するロールポケットサイズのポケットサイズは同一であっても異なっていてもよい。第1成型体破砕物6の平均粒子径は、上述の石炭2と同様の方法で測定できる。
<第2成型工程>
第2成型工程40aでは、成型機により第1成型体破砕物6を成型して第2成型体7を得る。第2成型工程40aは、上述の実施態様1で記載した成型工程40と同様に行うことができる。
第2成型工程40aにおいては、垂直供給方式の成型機(例えばブリケットマシン)を用いる。
第2成型体7の粒子径は5~40mmであるのが好ましい。また第2成型体7の見掛密度は1.2~1.4g/cmである。また第2成型体7の重量は0.2~20gであるのが好ましい。第2成型体7の水分含有量は好ましくは5~20wt%、より好ましくは8~18wt%、さらに好ましくは10~17wt%である。
実施形態B2では、一度成型した第1成型体5を第2破砕工程10aで再度破砕し、改めて第2成型工程40aにおいて成型する。第1成型体5は第1成型工程40によって既にある程度密度が高められた状態であり、第1成型体破砕物6も同程度の密度を有する。したがって、第1成型体破砕物6を再度成型することで、第1成型体5よりもさらに密度を向上させた第2成型体7を得ることができる。
また、粉砕された石炭粒子4の平均粒子径は10~60μmであり、そのままでは成型機内での流動性が悪く、成型しづらい場合もある。一方、一度成型した第1成型体5の破砕物6であれば、第1成型工程40によりある程度密度が高められているため成型機内での流動性が向上しており、第2成型工程40aにおける成型がスムーズに行われる。これにより、第1成型体5よりもさらに密度の高い第2成型体7が得られることとなり、貯蔵・運搬時の粉化がさらに低減され、第2成型体7及び製品200のハンドリング性を向上させることができる。
<養生工程>
第2成型工程40aで得られた第2成型体7(養生前の改質炭)を上述の養生工程85にて養生を行い、実施形態B2における製品200(養生後の改質炭)を得る。なお第2成型工程40aと養生工程85との間に研磨工程や篩工程を設けてもよい。研磨や篩にかけることにより、第2成型体7のうち相対的に低強度の部分を削り落とし、相対的に高強度な部分を残すことで、強度を向上させるものである。なお篩工程では、例えば篩目はロールポケットの縦寸法と横寸法の平均寸法の半分程度の目開きの篩を用いてもよい。
パートBの発明では、上記のように得られた改質炭にさらに養生工程を施すことにより、浸漬水分が低下して強度が増加し、ハンドリング性がより向上した石炭成型燃料を提供することができる。
<水分調整工程>
なお、実施形態B1および実施形態B2においてそれぞれ得られる、成型体5および第2成型体7の水分含有量を調整する水分調整工程を設けてもよい。水分調整工程は、成型工程40(または第2成型工程40a)と養生工程85の間であってもよいし、養生工程85の後であってもよい。水分調整工程により、製品の発塵および自然発熱を防止することができる。
水分調整工程においては、例えば実施形態B1の成型工程40(または実施形態B2の第2成型工程40a)の後に、ベルトコンベアを配し、かつベルトコンベア上部に給水ポンプおよびスプレーノズルで構成される散水設備を配し、ベルトコンベアによって搬送される成型体5(または第2成型体7)に対し、成型体5(または第2成型体7)の水分が好適範囲になるように散水する方法がある。また、成型体5(または第2成型体7)を山立て(山状に堆積させてパイルを形成)後、給水ポンプおよびスプリンクラによって構成される散水設備によって山立てした成型体の水分を好適範囲になるように調整する方法であってもよい。加えて、成型体5(または第2成型体7)を水中浸漬することで水分を調整してもよい。
パートBの記載にかかわる主要な要素の符合の説明は次のとおりである。
1 石炭
2 破砕済みの石炭
3 乾燥済みの石炭
4 石炭粒子
5 成型体(第1成型体)
6 第1成型体破砕物
7 第2成型体
10 破砕工程(第1破砕工程)
20 乾燥工程
30 粉砕工程
40 成型工程(第1成型工程)
10a 第2破砕工程
40a 第2成型工程
85 養生工程
100 製品
200 製品
<<パートC>>
パートCで開示される発明は、改質炭の養生方法に関する。
従来、石炭を粉砕・成型して固体燃料を得ることが行われており、例えば特許文献2(WO2015/098935)には、ボールミル等で石炭を粉砕して得た石炭粒子4を成型機で成型して固形燃料(石炭成型燃料)を製造する方法が開示されている。
ところで、石炭成型燃料は、屋外にて輸送・貯蔵されることが想定され、降雨や散水等に晒されるため、発熱量は石炭成型燃料の吸水性等に左右される。よって、石炭成型燃料の価値を高めるためには吸水性の定量的な指標である水中浸漬水分が低減されていることが望ましい。特許文献2(WO2015/098935)では、一連の工程で石炭成型燃料を製造したのちに水中浸漬水分の低減を目的とした養生工程を実施することについては何ら言及されていない。
パートCの発明は、水中浸漬水分の低減に寄与する改質炭の養生方法を提供することを目的とする。
パートCの主要な開示事項は、次のとおりである。
(1) 改質炭を所定の養生条件で保持する改質炭の養生方法であって、
前記所定の養生条件は、温度60~120℃、15~60分であること
を特徴とする改質炭の養生方法。
この方法によれば、水中浸漬水分が低下した石炭成型燃料を提供することができる。
(2) 上記(1)に記載の改質炭の養生方法において、
養生前の水中浸漬水分をW、養生後の水中浸漬水分をWとすると、W/W=0.60~0.95であること
を特徴とする改質炭の養生方法。
この方法によれば、水中浸漬水分が低下した石炭成型燃料を提供することができる。
(3) 上記(1)または上記(2)に記載の改質炭の養生方法において、
養生前の水中浸漬膨張率をE、養生後の水中浸漬膨張率をEとすると、E/E=0.60~0.99であること
を特徴とする改質炭の養生方法。
この方法によれば、養生効果による水中浸漬膨張率の低下が十分であるため好ましい。
(4) 上記(1)ないし上記(3)のいずれか1項に記載の改質炭の養生方法において、
前記改質炭は、石炭粒子を圧縮成型して得られた成型炭であって、養生前の圧縮方向厚みをTA、養生後の圧縮方向厚みをTBとすると、TB/TA=1.000~1.025であること
を特徴とする改質炭の養生方法。
この方法によれば、養生効果による水中浸漬膨張率の低下が十分であるため好ましい。
(5) 上記(1)ないし上記(4)のいずれか1項に記載の改質炭の養生方法において、
前記改質炭は、石炭粒子を成型して得られ、
前記石炭粒子は、平均粒子径10~60μm、水分5~20%であって、
養生前の前記改質炭の見掛け密度は1.20~1.40g/cmであること
を特徴とする改質炭の養生方法。
上記(1)ないし上記(4)の発明は、上記の特性を有する改質炭に適用することができる。
(語句の説明)
本明細書において、「a~b」と表記した場合、その範囲はa以上b以下であることを意図する。
以下、パートCの発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図3-1は、パートCの発明の一形態に係る改質炭の製造方法を示す図である。図3-1に示すように、この例の改質炭の製造方法は、第1破砕工程10、乾燥工程20、粉砕工程30、第1成型工程40、第2破砕工程10a、第2成型工程40a、篩工程70、および加熱養生工程85を有している。
以下、それぞれの工程について、順に説明する。なお、図3-1では、各工程はブロックとして示され、各ブロックに向けて引かれた矢印の付近に「1」、「2」のように符号を付している。これらの符号は、それぞれの時点における所定状態の石炭を示している。以下、石炭をこれらの符号を用いて説明するが、特に必要の無い場合には符号を用いずに説明するものとする。
(第1破砕工程:10)
破砕工程10は、供給された原料としての石炭1を破砕する工程である。破砕には、ジョークラッシャまたはハンマークラッシャを利用可能である。この工程における破砕の程度は、石炭の最大粒子径が好ましくは70mm以下、より好ましくは50mm以下、より好ましくは20mm以下、さらに好ましくは平均粒子径が1mm~20mm程度となるようなものであってもよい。
原料である石炭は、褐炭および/または亜瀝青炭である。具体的には、全水分25wt%以上の褐炭または亜瀝青炭であってもよいし、全水分30wt%以上の褐炭であってもよい。
石炭の全水分は、JIS M 8820-2000 (石炭類及びコークス類-ロットの全水分測定方法)に記載の石炭類の全水分測定方法にて計測可能である。石炭の平均粒子径は、JISM8801-2004「5.粒度試験方法」に基づき測定し、各篩目開きの通過篩質量百分率を求め、通過篩質量百分率が50%となる粒子径を求めることで決定可能である。
なお、石炭1に関し、原料として用いられるものは石炭のみであり、バインダーや添加物等は使用されないことが一形態において好ましい。
(乾燥工程:20)
乾燥工程20は、上記工程を経た石炭2を乾燥させる工程である。乾燥は、間接乾燥機を用いて実施されるものであってもよい。間接乾燥機としては例えばスチームチューブドライヤを利用可能である。送風乾燥機を用いてもよい。
(粉砕工程:30)
粉砕工程30は、上記工程を経た石炭3を粉砕機で粉砕する工程である。粉砕機としては、乾式粉砕または乾燥粉砕方式のいずれもあってもよい。ボールミルやローラミルを利用するものであってもよい。粉砕の程度は、平均粒子径を好ましくは10~60μm、より好ましくは10~50μm、さらに好ましくは10~30μmとするようなものであってもよい。平均粒子径が10μm未満となるような粉砕を実施してもよいが、この場合、粉砕に大きな粉砕動力が必要であり工業プロセスでの製造が困難となる傾向がある。よって、ボールミル等を用いた平均粒子径10μm以上の粉砕がプロセスの容易性や効率性等の観点から好ましい。
なお、粉砕された石炭の平均粒子径については、JIS M 8801-2004「5.粒度試験方法」に基づき測定し、各篩目開きの通過篩質量百分率を求め、通過篩質量百分率が50%となる粒子径を平均粒子径とする。粉砕工程30により粉砕された石炭粒子4の平均粒子径はレーザー回折・散乱法によって得られる粒度分布のメディアン径である。本明細書において、「石炭粒子4」と記載したときは、粉砕工程30により粉砕された石炭4の粒子を意味するものとする。
石炭粒子4は、次いで金型で成型されることとなる(詳細後述)。石炭粒子4の平均粒子径が上述したような範囲となっていることは、金型のロールポケットへの充填率を高めることができる点で有利である。これにより、成型される成型体の密度が向上し、強度の増加を図りやすいものとなる。
ボールミルやローラミルの利点について付言すれば、これらは、粉砕と同時に乾燥も実施できるという点で有利である。もっとも、本実施形態では、これらによる乾燥能力を補うために、粉砕工程30の前に、別途、乾燥工程20を設けている。
(第1成型工程:40)
本実施形態の製造方法は2つの成型工程を含んでいる。1つ目である第1成型工程40は、上記工程を経た石炭4を成型機で成型する工程である。
成型機は、原料を加圧成型する成型手段および成型手段へ原料を供給する供給手段を備えるものであり、具体的には、図3-2のようなブリケットマシンを利用してもよい。このブリケットマシンは垂直供給方式のものであり、原料供給部40Bと、その下方の成型部40Aとを備えている。
原料供給部40Bは、一例で、ホッパ42とその内部に配置されたスクリュフィーダ等(不図示)を有している。ホッパ42に石炭粒子4が供給され、スクリュフィーダを回転駆動させることで、ホッパ42内の石炭粒子4が下方へと送られて、ホッパ42の下端部から排出されその下方の成型部40Aに供給されるようになっている。
成型部40Aは、一例で、一対のロール41と、その駆動手段等を有している。限定されるものではないが、各ロール41は、水平方向に延びた回転軸を中心として回転するように構成されていてもよい。回転軸は、水平方向に間隔をあけ、互いに略平行に配置されている。ロール41は、円筒を横向きにしたような形状である。直径が250mm、軸方向長さが50mm程度のものを用いてもよい。二本のロール41は、石炭粒子4が圧縮されながら通過する程度の隙間をあけて互いに平行に配置されている。ロール41どうしの間にホッパ42からの石炭粒子4を供給し、回転させることで、石炭粒子4が成型されて成型体5が得られる。
成型体5の形状は、ロール41の表面に形成する凹部等(詳細下記)の形状に依存するものであるが、一例で板状であってもよい。
ロール41間の隙間は、広すぎるとロール間からの石炭粒子4の漏れや圧力分散が発生しやすくなる。これらは、成型体の密度低下および強度低下、および収率低下につながりうる。よって、本実施形態では、ロール間の隙間は3mm以下であることが一例として好ましい。これによれば、十分な強度が確保された板状の成型体を得ることができる。
一対のロール41のうち少なくとも一方の表面には、凹凸が形成されていることも好ましい。これにより、ロール間に供給された石炭粒子4がロールの表面から滑り落ちるのが防止される。その結果、石炭粒子4をロール間に良好に保持することが可能となる。凹凸が形成されている場合、凹部内にも石炭粒子4が充填されるため、単位時間当たりの処理量を多くすることができる。
なお、成型体の形状は、当然ながら、ロール表面の凹部形状が転写される。ロールの表面の凹部形状は特に限定されず、例えば、ロールポケット(凹部)、溝およびこれらの組み合わせであってよい。凹部だけでなく凹凸状としてもよい。
成型体5の具体的な形状の一例としては、図3-3(b)のような略楕円体であってもよい。成型のために、ロール41の表面に、上記成型体5を半割したような形状の凹部が設けられていてもよい(図3-3(a)参照)。凹部はロール表面に複数並んで形成されていてもよい。
2つのロール間の隙間は1.0mm程度であってもよい。ロール線圧は、0.5~5t/cmに維持してもよい。後述する成型体5の物性が好適範囲となるようにロールおよびスクリュフィーダの回転数が調整されるものであってもよい。
(成型体5の物性の一例)
成型体5は見掛密度が1.00g/cm~1.25g/cmであることが好ましく、圧壊強度は10~800Nであることが好ましい。また、成型体5の全水分は5~20wt%であることが好ましく、8~18wt%であることがより好ましく、10~17wt%であることがさらに好ましい。この全水分は石炭粒子4の全水分に由来するものである。見掛密度はJIS Z 8807の「8.液中ひょう量法による密度及び比重の測定方法」に基づき測定できる。
石炭粒子4由来の全水分は成型工程において結合材の役割を果たす。よって、成型体の全水分を上記の範囲に調整することにより、別途結合材やバインダー等を添加することなく効率的な成型が可能となる。
(石炭粒子4の物性の一例)
石炭粒子4(石炭4)の全水分は、5~20wt%であることが好ましく、8~18wt%であることがより好ましく、10~17wt%であることがさらに好ましい。上記実施形態では、一例で石炭粒子4の粒子径が10~60μmと微細である。よって、成型時にブリケットマシンにおけるロールポケットへの充填率が増加する。
石炭1に含まれる水分を結合材として活用し、好適な全水分の範囲である5~20wt%にするとともに、成型体5の密度を規定することにより、成型体7の圧壊強度が極大となる領域に調整することが可能となる。圧壊強度は、例えばJIS Z 8841-1993の「3.1 圧壊強度試験方法」に基づき測定できる。
(第2破砕工程:10a)
第2破砕工程10aは、上記工程で得た成型体5を再び粉砕する工程である。破砕機としては、第1破砕工程10で用いたものと同様のものを利用してもよい。
ここでの粉砕の程度は、一例で、平均粒子径が好ましくは0.1~1.0mm、より好ましくは0.15~0.9mm、さらに好ましくは0.2~0.8mmとなる程度であってもよい。
(第2成型工程:40a)
第2の成型工程40aでは、一例で、第1成型工程40と同様の成型機を用いて成型を実施するものであってもよい。この第2成型工程40aにより得られる成型体7の物性の一例を以下に示す。
(成型体7の物性の一例)
成型体7の見掛密度は、一例で、1.20~1.4g/cmが好ましく、1.25~1.4g/cmがさらに好ましい。見掛密度は、上記成型体5と同様にJIS Z 8807の「8.液中ひょう量法による密度及び比重の測定方法」に基づき測定できる。
成型体7の1つ当りの重量は、0.2~20gが好ましい。成型体7の全水分は、好ましくは5~20wt%、より好ましくは8~18wt%、さらに好ましくは10~17wt%である。
(篩工程:70)
篩工程70は、上記工程を経た石炭の成型体7を篩にかける工程である。篩作業は、例えば、目開き2.0~5.0mm程度の篩を用いるものであってもよい。
(加熱養生工程:85)
加熱養生工程85は、上記工程で篩の上に残った石炭8(成型体)を所定条件下で養生する工程である。
養生条件としては、石炭を、例えば60~120℃、好ましくは80~120℃の温度範囲で加熱する。加熱時間は、例えば15~60分、好ましくは15~55分であることが好ましい。石炭は、密封状態で処理されてもよいし、開放状態で処理されてもよい。
パートCの記載にかかわる主要な要素の符合の説明は次のとおりである。
40A 成型部
40B 原料供給部
41 ロール
42 ホッパ
<<パートD>>
パートDで開示される発明は、石炭を粉砕後成型する石炭成型燃料の製造方法に関する。
特許文献1(特開2011-111529号公報)には、低品位炭を油と混合してスラリーとし、このスラリーを加熱することにより石炭を脱水し、含水量を低下させた後に粉砕・成型して固体燃料を得る技術が開示されている。特許文献2(WO2015/098935号公報)には、バインダー等を用いずに石炭のみを原料として石炭粒子を成型して得られる石炭成型燃料とその製造方法が開示されている。
しかしながら上記特許文献1にあっては、油と混合してスラリーを作成する必要があり、コストアップを招いていた。また成型後の固体燃料をハンドリングする際に一定以上の強度が求められるが、特許文献1では強度について記載されていない。特許文献2の石炭成型燃料については、コスト削減および製造効率の向上の観点からさらなる改善が求められていた。
パートDの発明は上記問題を解決するためになされたものであり、低コストで所望の強度を有する石炭成型燃料を提供することを目的とする。
パートDの主要な開示事項は、次のとおりである。
(1) 石炭を破砕する第1破砕工程と、
前記第1破砕工程で破砕された石炭を乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥工程で乾燥された石炭を粉砕し、平均粒子径10~60μmの石炭粒子を得る粉砕工程と、
水分含有量が5~20wt%の前記石炭粒子を成型し、第1成型体を得る第1成型工程と、
前記第1成型体を破砕して第2破砕物を生成する第2破砕工程と、
前記第2破砕物を再度成型して、見掛密度1.2~1.4g/cmの第2成型体を生成する第2成型工程と、
を有する石炭成型燃料の製造方法であって、
前記第1成型工程では、水平供給型の成型機が用いられること
を特徴とする石炭成型燃料の製造方法。
この方法は、成型効率がよく、低コストで所望の強度を有する石炭成型燃料を提供できる。
(2) 上記(1)に記載の石炭成型燃料の製造方法であって、
前記粉砕工程で得られた前記石炭粒子の一部を、前記第1成型工程を経由せずに前記第2破砕工程へ供給し、
前記第2破砕工程では、前記第1成型体と、前記石炭粒子の一部を混合して破砕すること
を特徴とする、石炭成型燃料の製造方法。
この方法によれば、製造工程におけるエネルギーおよびコストをさらに低減することができる。
パートDの発明によると、低コストで所望の強度を有する石炭成型燃料を提供できる。以下、パートDの発明を説明する。
[実施形態D1]
図4-1に、パートDの発明の実施形態D1として、石炭成型燃料の製造工程の一例を示す。実施形態D1における製造工程は、第1破砕工程10、乾燥工程20、粉砕工程30、第1成型工程40、第2破砕工程10a、および第2成型工程40aを有し、第1成型工程40において水平供給型の成型機(一例としてコンパクタ400)を用いる。図4-1に示すように、第2成型工程40aの後にさらに篩工程70を有してもよい。なお、以下の説明では、コンパクタ400を用いる場合を記載するが、第1成型工程で用いられる水平供給型の成型機はこれに限定されない。
実施形態D1の石炭成型燃料の製造方法は、以下のとおりである。原料となる石炭1を第1破砕工程10により破砕して第1破砕物2を得た後、乾燥工程20により乾燥させ、乾燥させた石炭3を粉砕工程30により粉砕して石炭粒子4を得る。続いて、この石炭粒子4を第1成型工程40においてコンパクタ400により成型することにより第1成型体5を得る。さらに、第1成型体5を第2破砕工程10aにより破砕して第2破砕物6を得、これを第2成型工程40aにより成型して第2成型体7を得る。さらに篩工程70を経て、粒径の小さい微粉炭を除いた成型体100を得てもよい。第2成型体7または成型体100を石炭成型燃料とすることができる。
原料となる石炭1は、好ましくは褐炭および/または亜瀝青炭であり、より好ましくは水分25wt%以上の褐炭または亜瀝青炭であり、さらに好ましくは水分30wt%以上の褐炭である。原料として用いられるものは石炭1のみであり、バインダーや添加物等は使用されない。バインダー等の添加物の使用はコストアップ要因となるが、パートDの発明の石炭成型燃料はバインダーを添加せず石炭のみを用いるため、低コストで所望の強度を得ることができる。破砕工程10ではこの石炭1をジョークラッシャまたはハンマークラッシャで破砕して第1破砕物2を得、乾燥工程20に移行する。第1破砕工程10では、後の粉砕工程30で用いるボールミル等に投入できる大きさまでに石炭1が破砕されればよく、特に限定はされないが、破砕済みの石炭2の最大粒子径が、好ましくは70mm以下、より好ましくは50mm以下、さらに好ましくは20mm以下であり、平均粒子径が1mm~20mm程度であることが好ましい。なお、石炭の水分量は、JIS M 8820-2000(石炭類及びコークス類-ロットの全水分測定方法)に記載の石炭類の全水分測定方法にて計測できる。また、破砕された石炭(第1破砕物2)の平均粒子径は、JIS M 8801-2004「5.粒度試験方法」に基づき測定し、各篩目開きの通過篩質量百分率を求め、通過篩質量百分率が50%となる粒子径とする。
乾燥工程20では第1破砕物2を好ましくは間接乾燥機により乾燥させ、乾燥済みの石炭3を得て粉砕工程30に移行する。間接乾燥機としては例えばスチームチューブドライヤを用いてもよい。固体燃料の製造では大量処理が要求されるため、伝熱面積が大きく大量に乾燥処理可能なスチームチューブドライヤを用いることが好適である。
粉砕工程30では粉砕機により乾燥済みの石炭3の粉砕が行われ、石炭粒子4を得て第1成型工程40に移行する。粉砕機は乾式粉砕または乾燥粉砕方式であり、例えば微粉砕が可能で大量処理に適したボールミル、ローラミルが用いられる。乾燥機同様に固体燃料の製造では大量処理が要求されるため、大量処理に適した粉砕機が好適である。この粉砕工程30において、石炭粒子4の平均粒子径を好ましくは10~60μm、より好ましくは10~50μm、さらに好ましくは10~30μmとする。本明細書において、粉砕工程30により粉砕された石炭粒子4の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって得られる粒度分布のメディアン径とする。平均径10μm未満に粉砕するには大きな粉砕動力が必要であり、工業プロセスでの製造が困難であることからボールミル粉砕後の平均径は10μm以上が好ましい。なお、本明細書において、「石炭粒子」と記載したときは、粉砕工程30により粉砕された石炭粒子4(後述する実施形態D2においては、石炭粒子4-1および4-2)を意味するものとする。
この粉砕工程30において石炭粒子4の平均粒子径を上記の範囲とすることにより、成型工程40において微細な石炭粒子4を成型する際に成型の金型(ロールポケット)への充填率が増大し、後述の第2成型体7または成型体100の密度を向上させて所望の強度を得ることができる。
なお、ボールミル、ローラミルは粉砕と同時に乾燥をも行えるため、粉砕工程30においてもボールミル、ローラミルによる乾燥を行ってもよいが、ボールミル、ローラミルでの乾燥能力では不十分であるため、粉砕工程30の前に乾燥工程20を設けて必要な乾燥能力を確保するのが好ましい。
第1成型工程40では成型機としてコンパクタ400を用いて石炭粒子4を成型し、第1成型体5を得る。コンパクタ400は、原料を成型する成型手段と、成型手段に原料を供給する供給手段とを有する。コンパクタ400としては、原料を水平方向に供給する水平供給方式が好ましく、水平供給方式のローラコンパクタがより好ましい。図4-3に、第1成型工程40において好適に用いることのできるローラコンパクタの模式図の一例を示す。図4-3に示すコンパクタ400は、水平供給方式であり、成型手段である一対のロール41と、一対のロール41の間に原料である石炭粒子4を供給する供給手段42と、を有する。2つのロールは上下に配置され、供給手段42は、原料の供給口(ホッパ等)43と石炭粒子4を水平方向に送るスクリュフィーダ等を有している。一対のロール41は、それぞれ適宜の駆動手段で駆動される回転軸を有している。回転軸は、水平方向に延び、かつ、水平方向に間隔をあけて互いに平行に配置されている。また、一対のロール41は隙間をあけて配置されている。水平方向からロール41のロール間の隙間に供給された石炭粒子4をロール41の回転駆動によって加圧しながら水平方向へ送ることで石炭粒子4の加圧により形成された板状の第1成型体5が得られる。第1成型工程40において水平供給方式のコンパクタ400を用いることで、微細な石炭粒子4がこぼれにくく、ロールの隙間に石炭粒子4を効率的に供給することができ、成型効率が向上する。
垂直給排方式の成型機では、上方から供給される粉体をロールで加圧した後下方に排出するため、ロールに噛み込まれた空気が上方に逃げて粉体の供給が不連続となり、成型効率が低下するおそれがある。これに対し水平給排方式の成型機ではロールに噛み込まれた空気はロール上方に逃げるのみであり粉体側に逆流することがない。したがって第1成型工程40では水平給排方式のするコンパクタを用いることで、垂直供給方式の成型機に比べて成型効率を高めることができる。
一対のロール41間の隙間(クリアランス)は、広すぎると、ロール41間からの石炭粒子4の漏れや圧力分散が発生しやすくなり、得られる第1成型体5の密度および強度の低下、並びに収率低下につながる。よって、ロール41間の隙間は3mm以下であることが好ましい。ロール41間の隙間を3mm以下とすることで、十分な強度が確保された板状の成型体を得ることができる。コンパクタ400のロール41間の線圧は、特に限定されないが、0.5~3t/cmであるのが好ましい。
また、一対のロール41のうち少なくとも一方のロール41の表面には、凹凸が形成されていることが好ましい。これにより、ロール41間に供給された石炭粒子4がロール41の表面から滑り落ちるのが抑制され、石炭粒子4をロール41間に良好に保持することができる。また、凹凸を形成することにより、凹部内にも石炭粒子4が充填されるため、単位時間当たりの処理量を多くすることができる。なお、ロール41の表面に凹凸を有する場合、得られる第1成型体5の表面形状は、ロール41の表面の凹凸が転写される。
ロール41の表面に形成される凹凸の形態は特に限定されず、例えば、ロールポケット(凹部)、溝およびこれらの組み合わせであってよい。
第1成型体5のサイズは縦横高さの最大長が5~40mmであるのが好ましい。また第1成型体5の見掛密度は1.00g/cm~1.25g/cmであることが好ましい。見掛密度はJIS Z 8807の「8.液中ひょう量法による密度及び比重の測定方法」に基づき測定できる。また第1成型体5の水分は5~20wt%、好ましくは8~18wt%、さらに好ましくは10~17wt%である。この水分は石炭粒子4の水分に由来するものである。
石炭粒子4由来の水分は第1成型工程40において結合材の役割を果たすため、第1成型体5の水分を上記の範囲に調整することにより、別途結合材やバインダー等を添加することなく効率的な成型が可能となる。なお、第1成型工程40に用いる石炭粒子4の水分含有量が、5~20wt%であることが好ましく、8~18wt%であることがより好ましく、10~17wt%であることがさらに好ましい。また、第1成型体5の圧壊強度(JIS Z 8841-1993の「3.1 圧壊強度試験方法」に基づき測定できる)。
石炭粒子4の粒子径が10~60μmと微細であるため、第1成型工程におけるコンパクタ400のロールポケットまたは溝への充填率が増加する。これにより第1成型体5の密度が向上し、第1成型体5の強度アップに寄与する。また、石炭1に含まれる水分を結合材として活用し、石炭粒子4の水分含有量を好ましくは5~20wt%にすると第1成型体5の圧壊強度が極大となる領域に調整することができる。
続いて、第2破砕工程10aでは、破砕機により第1成型体5を破砕し、第2破砕物6を得て第2成型工程40aに移行する。なお、第1成型工程40により、第1成型体5とともに加圧されずにロール間から漏れた石炭粒子4も得られるが、第2破砕工程10aでは、この第1成型体と漏れた石炭粒子4との混合物を破砕してもよい。破砕機は第1破砕工程10で用いたものと同様であってもよい。第2破砕物6は、平均径が好ましくは0.1~1.0mm、より好ましくは0.15~0.9mm、さらに好ましくは0.2~0.8mmである。また、第2破砕物6の最大粒子径は、後述の第2成型体7の粒子径の縦横2辺の短いほうの長さ以下であることが好ましい。第2破砕物6が前記平均径の範囲および最大粒子径の範囲になるように第2破砕工程10aを調整することで、第2成型体7の成型時に、ブリケットマシン等の成型機におけるロールポケットへの充填率を向上させことができる。
第2成型工程40aでは、成型機により第2破砕物6を成型して第2成型体7を得る。成型機は、原料を加圧成型する成型手段と、成型手段へ原料を供給する供給手段とを有する。第2成型工程40aで用いる成型機としては、例えばブリケットマシンまたはコンパクタを用いることが好ましく、ブリケットマシンを用いることがより好ましい。第2成型工程40aにおいて、ブリケットマシンを用いることにより経済性に優れる。また、第2成型工程40aで用いる成型機は垂直供給方式であっても水平供給方式であってもよく、垂直供給方式であるのが好ましい。なお、第1成型工程40で用いる成型機と第2成型工程40aで使用する成型機の、種類およびロールポケット等のサイズは、同一であっても異なっていてもよい。
図4-4に、第2成型工程40aにおいて好適に用いることのできるブリケットマシン600の模式図を示す。図4-4に示すブリケットマシン600は、垂直供給方式であり、成型手段である一対のロール61と、一対のロール61の上方に配置されて、一対のロール61の間に原料である第2破砕物6を供給する供給手段62と、を有する。供給手段62は、第2破砕物6が供給されるホッパおよびホッパ内の第2破砕物6を下方へ送るスクリュフィーダ等を有している。一対のロール61は、それぞれ適宜の駆動手段で駆動される回転軸を有している。回転軸は、水平方向に延び、かつ、水平方向に間隔をあけて互いに平行に配置されている。また、一対のロール61は隙間をあけて配置されている。ロール61の上方からこの隙間に供給された第2破砕物6を、ロール61の回転駆動によって加圧しながら下方へ送ることで、第2破砕物6の加圧により形成された板状の第2成型体7が得られる。
ブリケットマシン600の一対のロール61は、上述の第1成型工程40におけるコンパクタ400中のロール41と同様であってよく、ロールポケットおよび/または溝により凹凸が形成されているのが好ましい。ブリケットマシン600のロール61間の線圧は、特に限定されないが、5~10t/cmであるのが好ましい。
第2成型体7の粒子径は5~40mmであるのが好ましい。また第2成型体7の見掛密度は1.2~1.4g/cmであるのが好ましい。第2成型体7の水分含有量は好ましくは5~20wt%、より好ましくは8~18wt%、さらに好ましくは10~17wt%である。
上記のとおり、本実施形態では、一度成型した第1成型体5を第2破砕工程10aで再度破砕し、改めて第2成型工程40aにおいて成型する。第1成型体5は第1成型工程40によって既にある程度密度が高められた状態であり、第2破砕物6も同程度の密度を有する。したがって、第1成型体破砕物6を再度成型することで、第1成型体5よりもさらに密度を向上させた第2成型体7を得ることが可能となる。
また、粉砕された石炭粒子4の平均粒子径は10~60μmであり、そのままでは成型機内での流動性が悪く、成型しづらい場合もある。一方、一度成型した第1成型体5の破砕物6であれば、第1成型工程40によりある程度密度が高められているため成型機内での流動性が向上しており、第2成型工程40aにおける成型がスムーズに行われる。これにより、第1成型体5よりもさらに密度の高い第2成型体7が得られることとなり、この第2成型体7を石炭成型燃料とすることによって、貯蔵・運搬時の粉化が低減され、ハンドリング性を向上させた石炭成型燃料を得ることができる。
なお、上述のとおり本実施形態ではバインダーを用いていない。石炭粒子4の粒子径と水分、及び第2成型体の密度を上記の範囲に規定することにより、別途バインダーを添加することなく、低コストで第2成型体の強度を所望の値とすることができるものである。また、本実施形態の製造方法においては、粉砕した後に成型することで比表面積も低下し、貯蔵時の発火を低減することができる。さらに、第2成型体を得るまでの製造プロセスでは全て公知の機械・装置を用いており、また熱水等も必要としないため、コスト低減を図ることができる。
[実施形態D2]
図4-2に、実施形態D2の石炭成型燃料の製造工程の一例を示す。実施形態D2においては、実施形態D1の製造工程に加え、粉砕工程30で得られた石炭粒子4の一部(石炭粒子4-2)を、第1成型工程40を経由せずに第2破砕工程10aへ供給するバイパス経路(以下、単に「バイパス経路」とも記載する)を有する。
実施形態D2の石炭成型燃料の製造方法は、まず、実施形態D1と同様に、第1破砕工程10、乾燥工程20、粉砕工程30を行う。粉砕工程30で得られた石炭粒子のうち、一部の石炭粒子4-1は第1成型工程40にて成型されて第1成型体5となり、別の一部の石炭粒子4-2は、第1成型工程40を経ずに石炭粒子の形状のまま第2破砕工程10aに供給される。第2破砕工程10aにおいては、第1成型体5と石炭粒子4-2との混合物を破砕して第2破砕物6を得、これを第2成型工程40aにより成型して第2成型体7を得る。さらに篩工程70を経て、粒径の小さい微粉炭を除いた成型体100を得てもよい。第2成型体7または成型体100を石炭成型燃料とすることができる。
実施形態D2の第2破砕工程10aでは、石炭粒子4-1から第1成型工程により成型された第1成型体5と、第1成型工程40を経ない石炭粒子4-2との混合物が破砕される。第1成型体5には、第1成型工程40において、コンパクタ400で加圧されずにロール間から漏れた石炭粒子4-1が含まれていてもよい。第2破砕工程10aにおける、第1成型体5(ロール間から漏れた石炭粒子4-1も含む)と、バイパス経路による石炭粒子4-2との混合比は特に限定されないが、90:10~60:40(重量比)が好ましく、90:10~70:30(重量比)がより好ましい。混合比が該範囲内にあると第2破砕物6の平均粒子径が第1の実施形態と同様の好適範囲(平均径が好ましくは0.1~1.0mm、より好ましくは0.15~0.9mm、さらに好ましくは0.2~0.8mm)に調整しやすい。この第2破砕物6を用いることにより、実施形態D2の第2成型工程40aは、実施形態D1の第2成型工程と同等の動力で行うことができ、かつ、十分な品質の第2成型体7を得ることができる。
本願発明者らの詳細な検討により、実施形態D2(バイパス経路を有する形態)とバイパス経路を有さない形態とを比べると、実施形態D2で第2破砕工程10aの装置条件を調整することで(例えば、破砕機の回転数等を小さくする)、バイパス経路を有さない形態と同程度の平均粒径の第2破砕物6が得られることがわかった。よって、バイパス経路を有することにより、第2破砕工程10aにおける破砕機の動力を軽減できる。さらに、バイパス経路を有することにより石炭粒子の一部は第1成型工程40を経由しないことから、第1成型工程40におけるコンパクタ400の動力を軽減したりコンパクタ400のサイズを小さくしたりすることができる。したがって、バイパス経路を有することにより、製造工程におけるエネルギーおよびコストの低減が可能となる。
実施形態D2の第2破砕工程10aは、実施形態D1の第2破砕工程と同様の破砕機を用いて行うことができる。第2破砕物6は、平均径が好ましくは0.1~1.0mm、より好ましくは0.15~0.9mm、さらに好ましくは0.2~0.8mmである。また、第2破砕物6の最大粒子径は、第2成型体7の粒子径の縦横2辺の短いほうの長さ以下であることが好ましい。第2破砕物6が前記平均径の範囲および最大粒子径の範囲になるように第2破砕工程10aを調整することで、第2成型体7の成型時に、ブリケットマシン等の成型機におけるロールポケットへの充填率を向上させることができる。実施形態D2の第2成型工程40aは、実施形態D1の第2成型工程40aと同様に行うことで第2成型体7を得ることができる。
石炭成型燃料の製造方法の一態様として、実施形態D1または実施形態D2の第2成型工程40aの後に、篩工程70を設けて、粒径の小さい石炭粒子を除いてもよい。篩により微粉が除去されるとともに、第2成型体7同士が篩上で接触することにより、強度の弱い部分が研磨されて高強度な部分が残存する。これにより第2成型体7の強度が向上する。
<温度調整>
なお、実施形態D1および実施形態D2の第2成型工程40aに供給される石炭6を所定の温度に調整してもよい。所定の温度とは50~100℃であり、石炭6を常温で第2成型工程へ供給するのに比べ、第2成型体7の品質(見掛密度向上や浸漬水分低下)が改善する。品質改善の原理は明らかになっていないが、原料の軟化による充填性の向上や原料の活性化エネルギーの低下などが要因と推察される。
温度調整方法においては、第2成型工程40aに供給される石炭6が前記所定の温度になっていればよく、粉砕工程30から第2破砕工程10aの間の各装置および各装置を結ぶ搬送装置を装置外周から直接温度調整してもよい。また、搬送装置を空気輸送方式として作動用ガスの温度および流量を調整して石炭温度を調整してもよい。また、粉砕工程30の作動用ガスの温度及び流量を調整して石炭6の温度を調整してもよい。
空気輸送方式を用いる場合は、粉塵爆発リスク・発火リスク低減を目的として燃焼排ガス等O濃度が10%以下の作動用ガスを用いてもよい。また、前記温度調整により石炭6の全水分が低下して成形時の好ましい水分範囲から外れることが懸念される場合は、それを見越して乾燥工程20から排出される石炭3の水分を高めにしてもよい。
パートDの記載にかかわる主要な要素の符合の説明は次のとおりである。
1 石炭
2 第1破砕物
3 乾燥済みの石炭
4,4-1,4-2 石炭粒子
5 第1成型体
6 第2破砕物
7 第2成型体
10 第1破砕工程
20 乾燥工程
30 粉砕工程
40 第1成型工程
10a 第2破砕工程
40a 第2成型工程
70 篩工程
100 成型体
<<パートE>>
パートEで開示される発明は、石炭を粉砕した後成型した石炭成型体の製造方法に関する。
従来、石炭成型体を得る技術として、特許文献2(WO2015/098935号公報)に、粉砕した石炭を成型して第1成型体を得た後、この第1成型体を破砕し、再度成型して第2成型体とし、これによって所望の強度を有する石炭燃料を得る方法が記載されている。特許文献2によれば、第1成型体および第2成型体の成型には、成型体の型となるポケットが表面に形成された一対のロールと、一対のロール間に原料を供給するスクリュとを有する成型機(ブリケットマシン)が好適に用いられる。一対のロールの少なくとも一方の表面には、成型体の型となるポケットが形成されており、スクリュによりロール間に供給された原料は、ポケット内に充填され、ポケット内で加圧され、これによって成型体が得られる。
成型機としては、鉛直上方から原料を供給し、成型された成型体を鉛直下方側に排出する鉛直給排型の成型機が一般的である。鉛直給排型の成型機で粉末状の原料を高圧成型すると、スクリュの攪拌により原料中に空気が同伴して原料が浮遊し、それによってロール間への原料の供給が不十分となり、成型が不安定になることがあった。
パートEの発明は、鉛直給排型の成型機を用いた石炭成型体の製造方法において、安定した品質で成型体を製造する、石炭成型体の製造方法を提供することを目的とする。
パートEの主要な開示事項は、次のとおりである。
(1) 鉛直上方から供給された石炭粒子を成型するとともに、成型された石炭成型体を鉛直下方側に排出する鉛直給排型の成型機によって成型される石炭成型体の製造方法であって、
前記石炭粒子は、単位重量あたりの初期容積をVo、N回タッピング時の容積をV、かさ減り度をC=(Vo-V)/Voとすると、
式(1):N/C=(1/ab)+(1/a)N
において、
条件(1):a≦0.29
条件(2):20≦1/b≦60
をいずれも満たすことを特徴とする石炭成型体の製造方法。
この製造方法によれば、安定した品質で石炭成型体を製造することができる。
(2) 上記(1)に記載の石炭成型体の製造方法において、
石炭を破砕する第1破砕工程と、
前記第1破砕工程で破砕された石炭を乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥工程で乾燥された石炭を粉砕し、微粉炭を得る粉砕工程と、
前記微粉炭を成型し、第1成型体を得る第1成型工程と、
前記第1成型体を破砕し、塊状物を生成する第2破砕工程と、
前記塊状物を再度成型し、第2成型体を生成する第2成型工程と、
を有し、
前記塊状物は、前記微粉炭の集合体であって、前記石炭粒子に相当し、
前記第2成型工程では、前記鉛直給排型の成型機が適用されること、
を特徴とする石炭成型体の製造方法。
上記各工程を有する製造方法において、(1)記載の鉛直給排型の成型機を適用することがより効果的である。
(3) 上記(2)に記載の石炭成型体の製造方法において、
前記微粉炭は、平均粒子径が10~60μm、全水分が5~20wt%であって、
前記第2成型体の見掛密度は、1.2~1.4g/cmであること、
を特徴とする石炭成型体の製造方法。
この製造方法によれば、上記記載の微粉炭を使用して、上記の見掛密度を有する第2成型体を製造することができる。
パートEの発明によれば、安定した品質で石炭成型体を製造することができる。以下、パートEの発明を説明する。
図5-1を参照すると、パートEの発明の一実施形態による石炭成型体の製造工程が示されている。本形態では、石炭成型体の製造工程は、第1破砕工程10、乾燥工程20、粉砕工程30、第1成型工程40、第2破砕工程10a、第2成型工程40aおよび篩工程70を有している。原料となる石炭1は、第1破砕工程10で破砕されて破砕物2とされた後、乾燥工程20で乾燥されて乾燥物3とされ、さらに乾燥物3が粉砕工程30で粉砕されて微粉炭4が得られる。この微粉炭4は、第1成型工程40で第1成型体5として成型された後、第2破砕工程10aで再度破砕され、これによって石炭粒子に相当する塊状物である第2破砕物6が得られる。得られた塊状物は、微粉炭4の成型によって得られた第1成型体5を破砕したものであるので、微粉炭4の集合体ということができる。その後、第2成型工程40aで、第2破砕物6から第2成型体7が得られ、さらに篩工程70によって第2成型体7から粉末が除去され、これによって石炭成型体100が得られる。得られた石炭成型体100は、石炭成型燃料として好適に用いることができる。
なお、篩工程70は、パートEの発明において必須の工程ではなく、第2成型工程40aで得られた第2成型体7を石炭成型体100とすることもできる。
原料となる石炭1としては、水分が25wt%以上の褐炭または亜瀝青炭を用いることができる。好ましくは水分30wt%以上の褐炭を用いることができる。石炭成型体の一連の製造工程において、原料として用いられるものは石炭のみであり、バインダー等の添加物は使用されない。バインダー等の添加物の使用は、コストアップの要因となる。しかし、本形態では、バインダーを添加せず石炭のみを用いるため、低コストで石炭成型体を得ることができる。
第1破砕工程10では、ジョークラッシャまたはハンマークラッシャ等の適宜の破砕手段を用いて、この石炭1を破砕して、破砕済みの石炭である第1破砕物2を得る。第1破砕工程10では、後の粉砕工程30で用いるボールミル等の粉砕手段に投入できる大きさまで石炭が破砕されればよく、特に限定されないが、第1破砕物2の大きさは、最大粒子径が、好ましくは70mm以下、より好ましくは50mm以下、さらに好ましくは20mm以下であり、特に好ましくは平均粒子径が1mm~20mmである。ここで、第1破砕工程10により破砕された石炭の平均粒子径は、JIS M 8801-4の「5. 粒度試験方法」に基づいて測定し、各篩目開きの通過篩質量百分率を求め、通過篩質量百分率が50%となる粒子径を平均粒子径とする。
得られた第1破砕物2は、乾燥工程20に供給される。乾燥工程20では、第1破砕物2を、間接乾燥機等の適宜の乾燥機を用いて乾燥させ、乾燥物3を得る。間接乾燥機としては、例えばスチームチューブドライヤを用いることができる。石炭成型体100が好適に用いられる固体燃料の製造では、大量処理が要求されるため、伝熱面積が大きく大量の乾燥処理が可能なスチームチューブドライヤは、乾燥工程20で用いる乾燥機として好適である。
得られた乾燥物3は、粉砕工程30に供給される。粉砕工程30では、適宜の粉砕機により乾燥物3を粉砕して微粉炭4を得る。粉砕機としては、乾式粉砕または乾式粉砕方式の粉砕機を用いることができ、その中でも特に、微粉砕が可能であり、かつ、大量処理に適したボールミルやローラミルを好ましく用いることができる。固体燃料の製造では乾燥工程20と同様、粉砕工程30においても大量処理が要求されるからである。
粉砕工程30で得られる微粉炭4の平均粒子径は、10~60μmであり、好ましくは10~50μm、より好ましくは10~30μmである。微粉炭4の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって得られる粒度分布のメディアン径で与えられる。なお、本明細書において、「微粉炭」とは、粉砕工程30において得られた微粉炭4を意味する。
粉砕工程30で得られる微粉炭4の平均粒子径を上記の範囲とすることにより、第1成型工程40において微細な微粉炭4を成型する際に型(例えばロールポケット)への充填率が増大し、後述する石炭成型体100の密度を向上させて所望の強度を得ることができる。
なお、ボールミルおよびローラミルは、粉砕と同時に乾燥をも行えるため、粉砕工程30においてボールミルあるいはローラミルによる乾燥を行うこともできる。ただし、ボールミルおよびローラミルでの乾燥能力では、第1破砕工程10で得られた破砕物2を十分に乾燥させることは困難であるため、本形態では粉砕工程30の前に乾燥工程20を設けて、十分に乾燥した微粉炭4を得ている。
得られた微粉炭4は、第1成型工程40に供給される。第1成型工程40では、成型機により微粉炭4を板状に成型することを含む。成型機は、原料(本形態では微粉炭4)を加圧成型する成型手段と、成型手段へ原料を供給する供給手段とを有する。このような成型機としては、例えば、ブリケットマシンを用いることができる。
図5-2に、第1成型工程40において好適に用いることのできるブリケットマシンの模式図を示す。図5-2に示すブリケットマシンは、鉛直上方から供給された微粉炭4を成型するとともに、成型された第1成型体5を鉛直下方側へ排出する鉛直給排型のブリケットマシンである。ブリケットマシンは、成型手段である一対のロール41と、一対のロール41の上方に配置されて、一対のロール41の間に原料である微粉炭4を供給する供給手段42と、を有する。供給手段42は、微粉炭4が供給されるホッパ、およびホッパ内の微粉炭4を下方へ送るスクリュフィーダ等を有している。一対のロール41は、それぞれ適宜の駆動手段で駆動される回転軸を有している。回転軸は、水平方向に延び、かつ、一対のロール41が水平方向に隙間をあけて互いに平行に配置されるように配置されている。ロール41の隙間に上方から供給された微粉炭4を、ロール41の回転駆動によって加圧しながら下方へ送ることで、微粉炭4が加圧成型された第1成型体5が得られる。
一対のロール41間の隙間(クリアランス)は、広すぎると、ロール41からの微粉炭4の漏れや圧力分散が発生しやすくなり、得られる第1成型体5の密度および強度の低下、並びに収率低下につながる。よって、ロール41間の隙間は3mm以下であることが好ましい。ロール41間の隙間を3mm以下とすることで、十分な強度が確保された板状の第1成型体5を得ることができる。
また、一対のロール41のうち少なくとも一方のロール41の表面には、凹凸が形成されていることが好ましい。これにより、ロール41間に供給された微粉炭4がロール41の表面から滑り落ちるのが抑制され、微粉炭4をロール41間に良好に保持し、加圧することができる。また、凹凸を形成することにより、凹部内にも微粉炭4が充填されるため、単位時間当たりの処理量を多くすることができる。なお、ロール41の表面に凹凸を有する場合、得られる第1成型体5の表面形状には、ロール41の表面の凹凸が転写される。
ロール41の表面に形成される凹凸の形態は特に制限されず、例えば、ロールポケット(凹部)、溝およびこれらの組み合わせであってよい。
凹凸がロールポケットで形成される場合、ロールポケットの形状は任意とすることができる。ロールポケットの形状の一例を図5-3Aおよび図5-3Bに示す。図示した例は、片側のロールのみに略楕円形のロールポケット形成した例であり、これにより、片側平面アーモンド形状の凸部を有する第1成型体5が得られる。ロールポケットは、両側のロールに形成してもよいし、また、ロールポケットの平面形状は角丸多角形、円形、あるいは長円形などであってもよい。ロールポケットの各部の寸法(縦長さa、横長さb、深さc)、およびロール41間の隙間d(第1成型体5の、凹凸が形成されていない表面の部分で形成された厚さ)の好ましい寸法範囲を表E1に示す。
Figure 0007003930000002
また、凹凸が溝で形成される場合、溝の幅、深さ、配列等は任意とすることができる。例えば、図5-4に示すように、ロール41の軸方向Aに平行な複数の溝および周方向Bに平行な複数の溝を格子状に配列したものとすることができる。また、この他にも、ロール41の軸方向Aに平行な複数の溝を配列したもの、およびロール41の軸方向Aおよび周方向Bに対して斜めの複数の溝を交差して配列したものなども可能である。溝の幅(ロール41の表面において溝の長さの方向に垂直な方向の長さ)は、好ましくは0.5~5mmである。溝の深さは、好ましくは0.5~2mmである。
第1成型工程40で得られる第1成型体5は、見掛密度が1.00g/cm~1.25g/cmであることが好ましく、圧壊強度が10~800Nであることが好ましい。また、第1成型工程40で用いられる微粉炭4の全水分は、5~20wt%であることが好ましく、8~18wt%であることがより好ましく、10~17wt%であることがさらに好ましい。
第1成型工程40では、原料を水平方向に供給し、成型された第1成型体5を水平方向に排出する水平給排型の成型機、例えばコンパクタを用いることもできる。水平給排型のコンパクタも、鉛直給排型のブリケットマシンと同様、原料を成型する成型手段と、成型手段に原料を供給する供給手段とを有する。成型手段は、例えば、一対のロールを有することができ、一対のロールは、ロール間に原料が供給されることで、原料がロールの回転に伴ってロール間で加圧成型されるように配置される。ただし、水平給排型のコンパクタでは、2つのロールが上下に配置される。第1成型工程40において水平給排型のコンパクタを用いることで、得られる第1成型体5の収率、すなわち成型効率を向上させることができる。
第1成型工程40で得られた第1成型体5は、第2破砕工程10aに供給される。第2破砕工程10aでは、破砕機により第1成型体5を破砕し、塊状物である第2破砕物6を得る。第2破砕物6は、微粉炭の集合体であり、この微粉炭は、粉砕工程30で得られた微粉炭4に相当する。したがって、微粉炭は、平均粒子径が10~60μmであることが好ましく、また、全水分が5~20wt%であることが好ましい。
第2破砕工程10aで用いる破砕機は、第1破砕工程10で用いたものと同様であってよい。第2破砕物6は、平均粒子径が好ましくは0.1~1.0mm、より好ましくは0.15~0.9mm、さらに好ましくは0.2~0.8mmである。また、第2破砕物6の最大粒子径は、後述の第2成型体7の粒子径の縦横2辺のうち短い方の長さ以下であることが好ましい。第2破砕物6が上記平均粒子径の範囲および最大粒子径の範囲になるように第2破砕工程10aを調整することで、第2成型工程10aにおける成型時に、成型機における型への第2破砕物6の充填率を向上させることができる。この結果として得られる第2成型体7は第1成型体5と比較して優れた品質(圧壊強度および見掛密度)を有する。なお、第1成型工程40および第2成型工程40aにおいて成型機としてブリケットマシンを用いる場合、ロール表面に形成されるロールポケットのサイズ(粒子径)は、第1成型工程40と第2成型工程40aとで同一であってもよいし同一でなくてもよい。
第2成型工程40aでは、成型機により第2破砕物6を成型して第2成型体7が得られるが、第2成型体7は、ロール間で加圧成型されずにロール間から落下した第2破砕物6および十分に加圧成型されずに第2成型体7から脱落した第2破砕物6も含むこともある。これらの第2破砕物6は、好ましくは第2成型工程40aの後に設けられる篩工程70で除去されて、これにより石炭成型体100が得られる。篩工程70では、振動篩機を用いることができる。振動篩機としては、円形篩機、トロンメル篩機などを使用でき、それらの中でも特に、連続・大量処理できるものが好ましい。
第2成型工程40aで用いる成型機としては、第1成型工程40と同様、鉛直給排型の成型機、例えばブリケットマシンを用いることができる。
一般に、スクリュ式の供給手段を有する鉛直給排型の成型機では、スクリュによる原料である第2破砕物6の撹拌によって、第2破砕物6中に空気が同伴する。第2破砕物6中に同伴する空気の量は、スクリュ回転数が高くなるほど増加する傾向にある。空気を同伴した第2破砕物6がロール間に供給されると、ロールによる第2破砕物6の圧縮に伴い、第2破砕物6から空気が押し出される。押し出された空気は上向きに流れるが、第2破砕物6の供給方向は下向きであるため、空気の発生量が多いと第2破砕物6のフラッシングのような現象が起きる。これにより、ロール間への原料の継続的供給が十分に行われず、第2成型体7が断続的に排出されるなど、安定した品質(圧壊強度および見掛密度)で第2成型体7が成型され難くなる。
これを回避するためには、
(i)第2破砕物6そのものの密度を高くする(重くする)こと、および
(ii)ロール間への第2破砕物6の充填率を高くすること、
などが考えられる。しかし、(i)の場合は、第2破砕物6そのものの密度を高くしすぎると、得られる第2成型体7の品質に影響を及ぼす。また、(ii)の場合、第2破砕物6の粒子径を小さくすることによって充填率を高くする方法があるが、第2破砕物6の粒子径を小さくすることによって、第2破砕物6のフラッシングが発生しやすくなり、逆効果となる場合がある。
そこで、本発明者らが検討を重ねた結果、原料の流動性を特定の指数で表したとき、その指数が、鉛直給排型の成型機の安定した運転と相関があることが分かった。すなわち、第2破砕物6の単位重量当たりの初期容積をVo、N回タッピング後の容積をVとし、タッピング後のかさ減り度C=(Vo-V)/Voとしたとき、
式(1):N/C=(1/ab)+(1/a)N
において、
条件(1):a≦0.29
条件(2):20≦1/b≦60
をいずれも満たすことである。これらの条件(1)および(2)を満たすように、鉛直給排型の成型機に供給する原料の特性を調整することによって、成型機による成型において生じる空気の流れに起因する原料の不安定な供給を抑制し、成型機の安定的な運転による効率的な成型を行うことができる。
上記式(1)は、川北の式と呼ばれ、粉体の圧縮・流動特性を精度良く示すことが知られている。川北の式において、「a」は流動性指数であり、この数値が小さいほど流動性が良いとされる。また、「1/b」は付着力指数であり、この数値が小さいほど付着力が弱いとされる。
ここで、パートEの発明では、成型機が安定的に運転されているか否かは、以下のように判断する。
運転が安定している状態とは、一定量の原料が一定品質の成型体として成型される状況をいう。成型機から排出される成型体の品質(圧壊強度、見掛密度)は、ロールを回転駆動する駆動モータの出力であるロールkWに依存し、ロールkWを一定に維持できれば、一定品質の成型体が排出される。そこで、一定のロール回転数にてロールkWが一定に維持される状態で運転されていれば、成型機が安定的に運転されていると判断する。ロールkWが低いと、成型体の品質が低下したり、圧縮力が足りずに未成型のままの原料の比率が高くなったりする。ここで、ロール回転数およびロールkWが「一定」であるとは、これらの変動が基準値(設定値)に対して±15%の範囲内であることを意味する。
また、実際の運転では、供給される原料の物性(粒度分布、見掛密度および強度など)およびかさ密度が変動することも考えられる。成型機に供給されるおおもとの原料である石炭1は天然物であるため、粒度分布、見掛密度および強度といった物性が採掘地などによって異なるからである。原料の物性の変動は、成型機のロールkWの変動の要因となる。また、成型機に供給される原料のかさ密度の変動も、ロールkWの変動の要因となる。この場合は、スクリュ回転数を制御して、ロール間への原料の供給量を調整することによって、ロールkWを一定に維持することができる。供給される原料の物性等に変動があった場合であっても、一定のロールkWを維持できれば、一定品質の成型体が一定量排出され、結果的に運転が安定しているといえる。
原料の物性によっては、スクリュ回転数を制御してもロールkWを一定に維持できない場合もある。この場合は、成型機の運転が不安定であると判断される。
第2成型工程40aで得られる第2成型体7の粒子径は5~40mmであることが好ましい。また、第2成型体7は、見掛密度が1.2~1.4g/cmであることが好ましく、かさ密度が0.4~0.6であることが好ましい。第2成型体7の重量は0.2~20であることが好ましい。第2成型体7の全水分は5~20wt%、好ましくは8~18wt%、さらに好ましくは10~17wt%である。石炭成型体100の水分は、第2成型工程40aにおける原料である第2破砕物6の水分に由来するものである。
ここで、見掛密度は、JIS Z 8807の「8. 液中ひょう量法による密度及び比重の測定方法」に基づいて測定した値である。かさ密度は、容積が既知である2~5L程度の容器に試料をすり切り充填し、充填した試料の質量および容器の容積から、下記式にて算出した値である。なお、粗充填と密充填では容器に投入する方法が異なる。粗充填は、容器に投入する最、極力試料を圧密させないように充填し、密充填は、容器をタッピングしながら充填した。タッピングの回数は10回とした。
かさ密度=充填した試料の質量÷容器の容積
水分は、JIS M 8820-0の「石炭類の全水分測定方法」に基づいて測定した値である。また、石炭成型体100は、ハードグローブ粉砕性指数(HGI)が40以上であることが好ましい。
以上のように、本形態では、一度成型した第1成型体5を第2破砕工程10aで再度破砕し、第2成型工程40aにおいて改めて成型する。第1成型体5は、第1成型工程40で既にある程度密度が高められた状態であり、第2破砕物6も同程度の密度を有する。したがって、第2破砕物6を再度成型することで、第1成型体5よりもさらに密度を向上させた第2成型体7を得ることが可能となる。
また、粉砕工程30で粉砕された微粉炭4の平均粒子径は10~60μmであり、そのままではブリケットマシン内での流動性が悪く、成型しづらい場合もある。一方、一度成型した第1成型体5の破砕物であれば、第1成型工程40によりある程度密度が高められているため、ブリケットマシン内での流動性が向上し、第2成型工程40aでの成型がスムーズに行われる。これにより、第1成型体5よりもさらに密度の高い第2成型体7が得られることになり、この第2成型体7を石炭成型体100とすることによって、貯蔵・運搬時の粉化がさらに低減され、ハンドリング性を向上させることができ、石炭成型燃料として適したものとなる。
なお、最終的に得られる石炭成型体100の全水分を調整する水分調整工程を設けてもよい。水分調整工程は、篩工程70を有する場合は篩工程70の後に設けることが好ましい。水分調整工程により、石炭成型体100の発塵および自然発熱を防止することができる。
水分調整工程においては、ベルトコンベアを配し、かつ、ベルトコンベア上部に給水ポンプおよびスプレーノズルを含む散水設備を配し、ベルトコンベアによって石炭成型体100が搬送される。篩工程70を経た石炭成型体100に対し、石炭成型体100の水分が好適範囲になるような方法がある。また、篩工程70を経た石炭成型体100を山立て(山状に堆積してパイルを形成すること)後、給水ポンプおよびスプリンクラを含む散水設備によって、山立てした石炭成型体100の水分を好適範囲に調整する方法であってもよい。
石炭成型体100の水分調整工程の後の水分は、好ましくは10~30wt%であり、より好ましくは10wt%以上25wt%未満である。
パートEの記載にかかわる主要な要素の符合の説明は次のとおりである。
1 石炭
2 第1破砕物
3 乾燥物
4 微粉炭
5 第1成型体
6 第2破砕物
7 第2成型体
10 第1破砕工程
20 乾燥工程
30 粉砕工程
40 第1成型工程
10a 第2破砕工程
40a 第2成型工程
70 篩工程
100 成型体
<<パートF>>
パートFで開示される発明は、粉砕した石炭を成型することによって得られる石炭成型燃料の製造方法に関する。
従来、石炭成型燃料を得る技術として、特許文献2(WO2015/098935号公報)に、粉砕した石炭を成型して第1成型体を得た後、この第1成型体を破砕し、再度成型して第2成型体とし、これによって所望の強度を有する石炭燃料を得る方法が記載されている。
特許文献2に記載の技術によれば、低コストで所望の強度を有する石炭成型燃料が得られる。しかし、特許文献2には、成型時の温度および加熱による石炭燃料の品質向上については記載されていない。
パートFの発明は、石炭粒子を常温より高い温度で成型することによって高品質な石炭燃料が得られる石炭成型燃料の製造方法を提供することを目的とする。
パートFの主要な開示事項は、次のとおりである。尚、符合は開示内容を限定するものではない。
(1) 石炭粒子4を、温度50~150℃で成型すること
を特徴とする石炭成型燃料200の製造方法。
石炭粒子4を上記の温度で成型することで、強度が向上し、かつ/または全水分の上昇が抑制され、結果的に高品質な石炭成型燃料を得ることができる。
(2) 上記(1)に記載の石炭成型燃料200の製造方法において、
一対のロールを備えた回転式成型機を用い、線圧5~15t/cmで成型すること
を特徴とする炭成型燃料200の製造方法。
石炭粒子4の成型には回転式成型機を用いることもでき、その場合は、線圧を上記の範囲とすることで、高品質な石炭成型燃料を製造できる。
(3) 上記(2)に記載の石炭成型燃料200の製造方法において、
成型された石炭成型燃料200は、JIS Z 8841に規定された試験方法で測定された圧壊強度を前記石炭成型燃料200の質量で除した値で表される単位質量あたりの圧壊強度が100N/g以上であること
を特徴とする石炭成型燃料200の製造方法。
また、回転式成型機を用いる場合、線圧を上記の範囲とすることで、高強度の石炭成型燃料200を製造することができる。
(4) 上記(1)に記載の石炭成型燃料200の製造方法において、
ピストン式圧縮成型機を用い、面圧0.5~2.5t/cmで成型すること
を特徴とする石炭成型燃料200の製造方法。
石炭粒子4の成型にはピストン式圧縮成型機を用いることもでき、その場合は、面圧を上記の範囲とすることで、高品質な石炭成型燃料を製造できる。
(5) 上記(4)に記載の石炭成型燃料200の製造方法において、
成型後24時間常温で放置した後、72時間以上水中浸漬した際の前記石炭成型燃料200の全水分が30%以下であること
を特徴とする石炭成型燃料200の製造方法。
また、ピストン式圧縮成型機を用いる場合、面圧を上記の範囲とすることで、水分が抑制された石炭成型燃料200を製造することができる。
パートFの発明によれば、石炭粒子を常温より高い温度で成型することによって、強度の向上、見掛密度の向上、および/または屋外貯蔵時の水分上昇の抑制といった、高品質な石炭成型燃料を得ることができる。以下、パートFの発明の実施形態を説明する。
[実施形態F1]
図6-1を参照すると、パートFの発明の実施形態F1による石炭成型燃料の製造工程が示されている。実施形態F1では、石炭成型燃料の製造工程は、破砕工程10、粉砕工程20、乾燥工程30、成型工程40および篩工程70を有し、原料となる石炭1を破砕した後、粉砕および乾燥して石炭粒子4を得る。この石炭粒子4を成型機で成型加工し、成型体5を得る。成型体5は、未成型の石炭粒子4などである石炭粉を含んでおり、この成型体5から石炭粉を除去することにより、石炭成型燃料200を得る。
原料となる石炭1としては、水分が25wt%以上の褐炭または亜瀝青炭を用いることができる。好ましくは水分30wt%以上の褐炭を用いることができる。水分は、JIS M 8820-2000の「石炭類およびコークス類-ロットの全水分測定方法」に記載の「石炭類の全水分測定方法」に基づいて測定した値である。石炭成型燃料の一連の製造工程において、原料として用いられるものは石炭のみであり、バインダー等の添加物は使用されない。バインダー等の添加物の使用は、コストアップの要因となる。しかし、本形態では、バインダーを添加せず石炭のみを用いるため、低コストで石炭成型体を得ることができる。
破砕工程10では、ジョークラッシャまたはハンマークラッシャ等の適宜の破砕手段を用いて、この石炭1を破砕して、破砕済みの石炭である破砕石炭2を得る。破砕工程10では、後の粉砕工程20で用いるボールミル等の粉砕手段に投入できる大きさまで石炭が破砕されればよく、破砕物2の大きさは、特に限定されないが、最大粒子径が、好ましくは70mm以下、より好ましくは50mm以下、さらに好ましくは20mm以下である。また、破砕石炭2の平均粒子径は、好ましくは1mm~20mmである。ここで、破砕工程10により得られた破砕石炭2の平均粒子径は、JIS M 8801-4の「5. 粒度試験方法」に基づいて測定し、各篩目開きの通過篩質量百分率を求め、通過篩質量百分率が50%となる粒子径を平均粒子径とする。
得られた破砕石炭2は、粉砕工程20に供給される。粉砕工程20では、適宜の粉砕機により破砕石炭2を粉砕して粉砕石炭3を得る。粉砕機としては、乾式粉砕または乾式粉砕方式の粉砕機を用いることができ、その中でも特に、微粉砕が可能であり、かつ、大量処理に適したボールミルやローラミルを好ましく用いることができる。固体燃料の製造では乾燥工程30と同様、粉砕工程40においても大量処理が要求されるからである。また、粉砕機としては、ペレットミルを用いることもできる。粉砕工程20で得られる粉砕石炭3の平均粒子径は、10~60μmであり、好ましくは10~50μm、より好ましくは10~30μmである。
得られた粉砕石炭3は、乾燥工程30に供給される。乾燥工程30では、粉砕石炭3を、間接乾燥機等の適宜の乾燥機を用いて乾燥させることによって、乾燥した石炭粒子4を得る。間接乾燥機としては、例えばスチームチューブドライヤを用いることができる。石炭成型燃料200が好適に用いられる固体燃料の製造では、大量処理が要求されるため、伝熱面積が大きく大量の乾燥処理が可能なスチームチューブドライヤは、乾燥工程30で用いる乾燥機として好適である。また、乾燥機としては送風乾燥機を用いることもできる。
粉砕工程20と乾燥工程30は、順番が逆であってもよい。すなわち、破砕工程10の後に乾燥工程30を実施して乾燥石炭3’を得た後、得られた乾燥石炭3’を粉砕工程20にて粉砕することもできる。粉砕工程20および乾燥工程30のどちらを先に実施した場合であっても、粉砕工程20および乾燥工程30を経ることによって、乾燥した石炭粒子4が得られる。
得られた石炭粒子4の平均粒子径は、粉砕工程20によって得られたものに相当する。すなわち、石炭粒子4の平均粒子径は、10~60μmであり、好ましくは10~50μm、より好ましくは10~30μmである。石炭粒子4の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって得られる粒度分布のメディアン径で与えられる。なお、本明細書において、「石炭粒子」とは、粉砕工程20および乾燥工程30を経て得られた石炭粒子4を意味する。
石炭粒子4の平均粒子径を上記の範囲とすることにより、成型工程40において微細な石炭粒子4を成型する際に型への充填率が増大し、後述する石炭成型燃料200の密度を向上させて所望の強度を得ることができる。
なお、ボールミルおよびローラミルは、粉砕と同時に乾燥をも行えるため、粉砕工程20においてボールミルあるいはローラミルによる乾燥を行うこともできる。ただし、ボールミルおよびローラミルでの乾燥能力では、破砕工程で得られた破砕石炭2を十分に乾燥させることは困難である。そこで本形態では、破砕工程10の後、かつ、粉砕工程20の前または後に乾燥工程30を設けて、十分に乾燥した石炭粒子4を得るようにしている。
得られた石炭粒子4は、成型工程40に供給される。成型工程40は、成型機により石炭粒子4を成型することを含む。成型工程40では、石炭粒子4を常温よりも高い温度、具体的には50~150℃で成型する。成型工程40での成型温度は、成型機の設定温度ではなく、成型工程中の石炭粒子4自身の温度である。
したがって、成型機に供給される石炭粒子4が上記の温度範囲外である場合は、成型機は、成型中の石炭粒子4の温度が上記の温度範囲内になるように、加熱器または冷却器を含むことができる。あるいは、成型工程40に供給される石炭粒子4の温度が上記の温度範囲内になるように、成型工程40の直前の工程(粉砕工程20または乾燥工程30)と成型工程40との間に、石炭粒子4の温度を調整する温度調整機能を付与してもよい。例えば、粉砕工程20では、粉砕の条件によっては処理中の石炭が摩擦や加圧等によって昇温することがあり、また、乾燥工程30では加熱を伴うこともある。よって、温度調整機能は、成型工程40の直前の工程から排出された石炭粒子4の温度に応じて、成型工程40に供給される石炭粒子4の温度が上記の温度範囲内になるように石炭粒子4を加熱または冷却できる任意の機能であってよい。
成型工程40における成型機としては、回転式成型機およびピストン式圧縮成型機など任意の成型機を用いることができる。以下、成型工程40で用いることのできる成型機について図面を参照して説明する。
図6-2に、成型工程40で用いることのできる回転式成型機の一例として、ブリケットマシンの模式図を示す。図6-2に示すブリケットマシンは、原料垂直供給方式のブリケットマシンであり、成型手段である一対のロール41と、一対のロール41の上方に配置されて、一対のロール41の間に原料である石炭粒子4を供給する供給手段42と、を有する。供給手段42は、石炭粒子4が供給されるホッパおよびホッパ内の石炭粒子4を下方へ送るスクリュフィーダ等を有している。一対のロール41は、それぞれ適宜の駆動手段で駆動される回転軸を有している。回転軸は、水平方向に延び、かつ、水平方向に間隔をあけて互いに平行に配置されている。また、一対のロール41は隙間をあけて配置されている。ロール41の上方からこの隙間に供給された石炭粒子4を、ロール41の回転駆動によって加圧しながら下方へ送ることで、石炭粒子4の加圧により形成された板状の成型体および加圧されずにロール41間から漏れた石炭粒子4などを含む成型体5が得られる。
一対のロール41間の隙間(クリアランス)は、広すぎると、ロール41間からの石炭粒子4の漏れや圧力分散が発生しやすくなり、最終的に得られる石炭成型燃料200の密度および強度の低下、並びに収率低下につながる。よって、ロール41間の隙間は3mm以下であることが好ましい。ロール41間の隙間を3mm以下とすることで、十分な強度が確保された板状の成型体を得ることができる。また、ロール41間の線圧は、特に限定されないが、5~15t/cmであることが好ましい。
一対のロール41のうち少なくとも一方のロール41の表面には、凹凸が形成されていることが好ましい。これにより、ロール41間に供給された石炭粒子4がロール41の表面から滑り落ちるのが抑制され、石炭粒子4をロール41間に良好に保持することができる。また、凹凸を形成することにより、凹部内にも石炭粒子4が充填されるため、単位時間当たりの処理量を多くすることができる。なお、ロール41の表面に凹凸を有する場合、得られる石炭成型燃料200の表面形状は、ロール41の表面の凹凸が転写される。
ロール41の表面に形成される凹凸の形態は特に限定されず、例えば、ロールポケット(凹部)、溝およびこれらの組み合わせであってよい。
凹凸がロールポケットで形成される場合、ロールポケットの形状は任意とすることができる。ロールポケットの一例を図6-2A、2Bに示す。図6-2A、2Bは、角丸四角形の開口部を有するロールポケットを両側のロールに形成した例であり、これにより角丸ピロー形石炭成型燃料200が得られる。図示したロールポケットの各部の好ましい寸法範囲(設計値)は、
a:5~40mm
b:5~40mm
c:1~15mm
d:1mm
である。
また、凹凸が溝で形成される場合、溝の幅、深さ、配列等は任意とすることができる。溝の配列の一例を図6-2Cに示す。図6-2Cに示す例では、ロール41の軸方向Aに平行な複数の溝が配列されている。溝の幅(ロール41の表面において溝の長さ方向に垂直な方向の長さ)は、好ましくは0.5~5mmである。溝の深さは、好ましくは0.5~2mmである。
図6-3に、成型工程40で用いることのできる回転式成型機の他の例として、コンパクタの模式図を示す。図6-3に示すコンパクタは、水平供給方式であり、成型手段である一対のロール41と、一対のロール41の間に原料である石炭粒子4を供給する供給手段45と、を有する。2つのロール41は上下に配置され、供給手段45は、原料の供給口(ホッパ等)46と石炭粒子4を水平方向に送るスクリュフィーダ等を有している。一対のロール41は、それぞれ適宜の駆動手段で駆動される回転軸を有している。回転軸は、水平方向に延び、かつ、鉛直方向に間隔をあけて互いに平行に配置されている。水平方向からロール41のロール間の隙間に供給された石炭粒子4をロール41の回転駆動によって加圧しながら水平方向へ送ることで石炭粒子4の加圧により形成された板状の成型体5が得られる。成型工程40において水平供給方式の回転式成型機を用いることで、微細な石炭粒子4がこぼれにくく、ロールの隙間に石炭粒子4を効率的に供給することができ、成型効率が向上する。
垂直給排方式の成型機では、上方から供給される粉体をロールで加圧した後下方に排出するため、ロールに噛み込まれた空気が上方に逃げて粉体の供給が不連続となり、成型効率が低下するおそれがある。これに対し水平給排方式の成型機ではロールに噛み込まれた空気はロール上方に逃げるのみであり粉体側に逆流することがない。したがって、水平給排方式のするコンパクタを用いることで、垂直供給方式の成型機に比べて成型効率を高めることができる。
一対のロール41間の隙間(クリアランス)、線圧、およびロール41の表面構造(溝等の凹凸)については、上述したブリケットマシンの場合と同様であるので、ここではそれらの説明は省略する。
図6-4に、成型工程40で用いることのできるピストン式圧縮成型機の一例の模式図を示す。ピストン式圧縮成型機の一例として、タブレットマシンが挙げられる。図6-4に示す成型機は、互いに対向配置された一対の加圧板401、402を有する。加圧板401、402の少なくとも一方は、不図示の駆動手段によって互いの対向方向(矢印A方向)に往復移動可能に設けられている。一方の加圧板401には第1型403が固定されており、他方の加圧板402には第2型404および底板405が固定されている。第1型403および第2型404の形状は、最終的に得られる石炭成型燃料200の形状に従った任意の形状であってよい。例えば、第2型404は円筒形状の部材とし、第1型403は、第2型404の中空部にスライド自在に嵌合するピストン状の部材とすることができる。この場合、底板405は、第2型404の中空部内に配置された円盤状の部材とすることができる。これら第1型403、第2型404および底板405によって成型用の型が構成され、これら第1型403、第2型404および底板405によって囲まれる空間が、成型用のキャビティ406となる。
また、加圧板401、402には、必要に応じて電熱ヒータ等の加熱手段を内蔵することができる。この加熱手段によって、成型中の型温度が所定の温度に保たれ、結果的に、成型中の原料(石炭粒子4)の温度を所定の温度に維持できる。成型機は、型温度測定用の測定手段およびキャビティ406内の原料温度測定用の測定手段として、それぞれ熱電対407および408をさらに備えることができる。原料温度測定用の熱電対408は、原料温度の測定中は測定部がキャビティ406内に位置し(図6-4参照)、原料の加圧の際にはキャビティ406内に突出しないように、キャビティ406内に進退移動可能に設けられる(矢印B方向)。
上記のように構成された成型機では、第2型404から第1型403が抜き出され、第2型404の中空部を開放した状態で、その中空部内に原料が投入される。原料の投入後、第1型403が第2型404に挿入され、かつ、投入された原料が圧縮されるように加圧板401、402を接近させる。またこのとき、加圧板401、402に内蔵された電熱ヒータ等の加熱手段により型の温度が所定の温度に保持されている。所定時間経過すると、キャビティ406内の原料が加熱成型される。原料が加熱成型されたら、第1型403と第2型404とを開いて、加熱成型された成型体をキャビティ406内から取り出す。これによりタブレット状の石炭成型燃料200が得られる。
このようなピストン式圧縮成型機を用いた場合、成型圧力(面圧)が0.5~2.5ton/cmであることが好ましい。また、加圧時間0.5~2.5min、加圧保持時間が1sec~2minであることが好ましい。このような条件で石炭粒子4を成型することにより、得られた石炭成型燃料200の浸漬水分が低下する。それにより、屋外貯蔵時の水分上昇を抑制することができ、結果的に、石炭成型燃料200の屋外貯蔵によるカロリー低下を抑制することができる。ここで、加圧時間とは、加圧開始から所定の成型圧力に到達するまでの時間を意味し、加圧保持時間とは、成型圧力に到達した後、その成型圧力を保持する時間を意味する。
再び図6-1を参照すると、成型工程40によって得られた成型体5は篩工程70に供給される。篩工程70では、成型工程40で成型されずに残った石炭粉が成型体5から除去され、石炭粉が除去された成型体5を石炭成型燃料200として得る。篩工程70では振動篩機を用いることができる。振動篩機としては、円形篩機、トロンメル篩機などを使用でき、それらの中でも特に、連続かつ大量処理できる篩機が好ましい。なお、篩工程70は必要に応じて実施すればよく、パートFの発明においては必須の工程ではない。
以上、一連の工程を経て得られた石炭成型燃料200は、見掛密度が1.0~1.4であることが好ましい。見掛密度は、JIS Z 8807の「8. 液中ひょう量法による密度及び比重の測定方法」に基づいて測定した値である。
また、成型工程40において回転式成型機を用いて成型した場合、得られた石炭成型燃料は単位質量あたりの圧壊強度が100N/g以上であることが好ましい。圧壊強度がこのような値であることにより、輸送時の耐久性が高いといえる。ここで、単位質量当たりの圧壊強度は、JIS Z 8841-1993「造粒物-強度試験方法」の「3.1 圧壊強度試験方法」に規定された試験方法で測定された圧壊強度を石炭成型燃料200の質量で除した値である。
一方、成型工程40においてピストン式圧縮成型機を用いて成型した場合、得られた石炭成型燃料200は、成型直後に水中浸漬した際に崩壊しないことが好ましい。成型工程40においてピストン式圧縮成型機を用いる場合、石炭粒子4を温度50~150℃で成型することで、成型直後に水中浸漬した際に崩壊しない石炭成型燃料200を得ることができる。また、得られた石炭成型燃料200は、成型後24時間常温で保持した後、72時間以上水中浸漬した際の全水分が30wt%以下であることが好ましい。石炭粒子4を温度95~150℃で成型することで、成型後24時間常温で保持した後、72時間以上水中浸漬した際の水分が30wt%以下である石炭成型燃料200を得ることができる。
[実施形態F2]
図6-5を参照すると、パートFの発明の実施形態F2による石炭成型燃料の製造工程が示されている。本形態は、以下(a)~(c)の点で実施形態F1の製造工程と異なっている。
(a)実施形態F1における成型工程40が、第1成型工程40A、第2破砕工程40Bおよび第2成型工程40Cで構成される。
第1成型工程40Aおよび第2成型工程40Cでは、実施形態F1と同様、回転式成型機(例えば、垂直供給型のブリケットマシンおよび水平供給型のコンパクタ)およびピストン式圧縮成型機(例えば、タブレットマシン)のいずれを用いてもよい。
第2成型工程40Cに供給される石炭6の温度を50~100℃、好ましくは80~90℃に調整するための温度調整機能を、粉砕工程20から第2成型工程40Cまでの間のいずれかに付与してもよい。
(b)成型工程(本形態では第2成型工程40C)で得られた成型体7に含まれる品質の悪い成型体を除去することを目的として、成型工程の後に、第3破砕工程45Aおよび研磨工程45Bを有する。この場合、篩工程70によって、第3破砕工程45Aおよび研磨工程45Bで生じた微粉も除去される。
(c)石炭成型燃料の自然発火対策として、篩工程70の後に、冷却工程60Aおよび/または散水工程60Bを有していてもよい。冷却工程60Aでは、空冷方式の冷却装置を用いることが望ましく、冷却後の石炭の温度を40℃以下とすることが望ましい。空冷方式の冷却装置を用いた場合、冷却媒体としては、空気および不活性ガスなどを用いることが望ましい。また、冷却工程60Aの後に散水工程60Bを有することで、石炭成型燃料の品質劣化(強度低下、崩壊など)を抑制することができる。
[温度調整]
成型工程に供給される石炭の温度調整には、温度制御された流体等との熱交換を利用する任意の方法を利用することができる。以下に、石炭の温度調整について、石炭実施形態F2の第2成型工程40Cに供給される石炭6を例に挙げて説明する。以下に述べる例は、単独で実施してもよいし、組み合わせ可能な場合は2つ以上を適宜組み合わせてもよい。
粉砕工程20でローラミルまたはボールミルを用いる場合、ミル作動用ガスの温度および流量を制御して、ミル作動用ガスを粉砕工程20に供給される石炭3’と直接接触させることで温度調整を行うことができる。用いるガスの種類としては、温度調整された空気、燃焼排ガス、スチーム、冷ガスなどを用いることができる。また、これらのガスに常温のガスを混合して温度を微調整してもよい。また、粉体の発火や粉塵爆発の危険性を低減することを目的として、不活性ガス(N、COなど)を用いることもできる。
工程間の石炭6の輸送方式を空気輸送方式とすれば、輸送用ガスの温度および流量を制御して、輸送用ガスを石炭6と直接接触させることで温度調整を行うことができる。用いるガスの種類としては、ミル作動用ガスと同じガスを用いることができる。
熱交換を間接方式で行う場合は、成型工程に供給される温度調整すべき石炭が接触する機器である温度調整石炭接触機器(例えば、成型工程の前工程で使用される装置、工程間での石炭の搬送装置、中間貯蔵装置など)の内部または外周にチューブを配置し、そのチューブを温度調整媒体で温度調整し、温度調整されたチューブに石炭を接触させることで、温度調整を行うことができる。温度調整媒体としては、ガス(スチーム、燃焼排ガス、冷ガスなど)、液体(水、オイルなど)などを用いることができる。
また、上記温度調整石炭接触機器の外周にヒータ(または冷却器)、保温材を設置してもよい。粉体の発火や粉塵爆発の危険性を低減することを目的として、上記機器および中間貯蔵装置の内部に不活性ガス(N、COなど)をパージしてもよい。
温度調整にあたっては、温度調整石炭接触機器に温度計を設置し、温度計によって測定される温度が所望の温度になるように、温度調整媒体の温度を制御してもよい(温度調整媒体がガスの場合は流量の制御でもよい)。また、温度調整機能のある搬送装置の滞留時間を制御して石炭の温度を調整してもよい。
また、処理中の石炭は、温度調整石炭接触機器との接触による摩擦熱、圧縮熱および石炭の自然発熱により温度が上昇する。石炭の温度上昇の影響で、処理中の石炭が通過する機器や中間貯蔵装置等の温度が変動する可能性がある。これらの機器や装置等の温度の変動の度合は、環境条件(気温、湿度)、連続運転時間および石炭の物性値等に左右される。そこで、環境条件を測定し、その測定結果に基づいて、温度調整石炭接触機器の温度を制御してもよい。
温度調整により石炭6の全水分が低下して成型時の好ましい水分範囲から外れることが懸念される場合は、全水分の低下を見越して、乾燥工程30から排出される石炭3’の水分が高めになるように乾燥工程30を実施してもよい。逆に、温度調整の際に、例えば粉砕工程20で用いる作動用ガス中の水分の影響などにより石炭6の水分が上昇する可能性がある場合は、乾燥工程30から排出される石炭3’の水分が低めになるように乾燥工程を実施してもよいし、粉砕工程20で用いる作動用ガスの湿度を低めに調整してもよい。
さらに、上述した温度調整により、各工程で用いる装置、装置間搬送機器および中間貯蔵装置等が変形(膨張、収縮)し、安定運転に支障をきたすおそれのある場合は、温度調整機能を付与する各工程での石炭3’、4、5’、6の温度に応じて、各工程で用いる装置等に変形が生じないように、構成する材料等を選定してもよい。
パートFの記載にかかわる主要な要素の符合の説明は次のとおりである。
10 破砕工程
10A 第1破砕工程
20 粉砕工程
30 乾燥工程
40 成型工程
40A 第1成型工程
40B 第2破砕工程
40C 第2成型工程
41 ロール
42、45供給手段
45A 第3破砕工程
45B 研磨工程
46 供給口
70 篩工程
60A 冷却工程
60B 散水工程
401、402 加圧板
403 第1型
404 第2型
405 底板
406 キャビティ
407、408 熱電対
<<パートG>>
パートGで開示される発明は、石炭を粉砕後成型した改質炭集合体およびその製造方法に関する。
従来、特許文献2(WO2015/098935)にあっては、石炭を破砕した後に乾燥、粉砕して石炭粒子を得るとともに、この石炭粒子を成型して得られた成型体としての石炭成型燃料であって、石炭粒子の平均粒子径、全水分、および石炭成型燃料の見掛密度を規定することで強度を確保する技術が開示されている。
一般に発電所等のボイラでは所定以上のカロリー密度が要求されるため、改質炭、とりわけ褐炭の改質炭においては、主に発電所で利用されている石炭のうち最も低品位な石炭である亜瀝青炭と同等以上のカロリー密度を有することが求められる。またハンドリング性確保のために、自然発熱性の低さについても亜瀝青炭と同等以上のものが要求される。
しかしながら上記特許文献2にあっては、カロリー密度の向上及び自然発熱性低減のための対策には言及されていない。
パートGの発明は上記問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、カロリー密度の向上及び自然発熱性の低減を達成した石炭成型燃料を提供することにある。
パートGの主要な開示事項は、次のとおりである。
(1) 小粒改質炭と、大粒改質炭との混合物であって、
前記小粒改質炭と前記大粒改質炭の粒径比は4以上10以下であって、
前記大粒改質炭の質量比率が0wt%超過90wt%以下である改質炭集合体。
(2) 石炭を破砕する第1破砕工程と、
前記第1破砕工程で破砕された石炭を乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥工程で乾燥された石炭を粉砕し、石炭粒子を得る粉砕工程と、
前記石炭粒子を成型し、第1成型体を得る第1成型工程と、
前記第1成型体を破砕し、塊状物を生成する第2破砕工程と、
前記塊状物を再度成型して、小粒改質炭および/または大粒改質炭を得る第2成型工程と
を有し、
前記小粒改質炭と前記大粒改質炭との粒径比は4以上10以下であって、
前記大粒の改質炭の質量比率が0wt%超過90wt%以下である、改質炭集合体の製造方法。
パートGの発明によれば、カロリー密度の向上及び自然発熱性の低減を達成した石炭成型燃料を提供できる。
以下、パートGの発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施形態G]
図7-1は実施形態Gにおけるプロセスフローである。実施形態Gにおける製造工程は、石炭(褐炭)1を第1破砕工程10にて破砕し、破砕された石炭2を乾燥工程20にて乾燥した後、乾燥された石炭3を粉砕工程30で粉砕する。粉砕された石炭粒子4を第1成型工程40において成型し、得られた第1成型体5を第2破砕工程10aにて再度破砕し、破砕物6を得る。
第2破砕工程10aの下流側には並列の第2成型工程40a及び第3成型工程61が設けられている。この第2成型工程40aと第3成型工程61はそれぞれ異なるサイズのブリケットを成型するものであり、第2成型工程40aは小粒ブリケット7を成型し、第3成型工程61は大粒ブリケット7’を成型する。なお小粒ブリケット7はブリケットのバリ部分が連結された板状成型体を含んでいる。
小粒ブリケット7は第3破砕工程45Aにおいて板状成型体がブリケット単体に破砕される。その後研磨工程60にて研磨された後大粒ブリケット7’と混合され、更に篩工程70(若干の研磨が発生するため小粒径化作用がある)を経て改質炭混合体300となる。
図7-1に示すとおり、発火及び発熱対策のため散水工程91を設けてもよい。
なお、以下では散水工程91を経た改質炭混合体300のうち小粒ブリケット7由来のものを小粒改質炭100、大粒ブリケット7’由来のものを大粒改質炭200とする。また後述の粒径比が所望の範囲内であれば、第3破砕工程45A及び研磨工程60、ならびに篩工程70を省略し、小粒、大粒の各ブリケット7,7’をそのまま小粒改質炭100、大粒改質炭200としてもよい。
改質炭混合体300における小粒改質炭100と大粒改質炭200の質量比率は、大粒改質炭200の割合が0wt%超過90wt%以下、好ましくは20wt%以上85wt%以下となるよう調整される。質量比率の調整は第2成型工程40a及び第3成型工程61への供給量を制御してもよいし、第2成型工程40a及び第3成型工程61における成型機の成型能力に拠ってもよい。また第2成型工程40a及び第3成型工程61の後段に混合手段(不図示)を設け、小粒改質炭100と大粒改質炭200の質量比率を適宜調整してもよい。
小粒改質炭100と大粒改質炭200の粒径比は4以上10以下、好ましくは4以上8以下である。粒径比の調整は第2成型工程40a及び第3成型工程61における成型機の仕様、及び小粒ブリケット7に対する第3破砕工程45A及び研磨工程60での研磨度合いにより調整される。
ここで、小粒改質炭100は粒径の異なる2種の改質炭(中小粒改質炭110、極小粒改質炭120)からなるものとしてもよい。第2成型工程40aにおいては例えばロール表面にポケットを設けたブリケットマシンが用いられ、その際大きさの異なる2種類のポケットをロール表面に設け、中小粒ブリケット71及び極小粒ブリケット72を成型する。
なお中小粒ブリケット71及び極小粒ブリケット72いずれもバリ部分が連結された板状成型体を一部含んでいる。
その後破砕工程45A及び研磨工程60においてこれらの中小粒ブリケット71及び極小粒ブリケット72が破砕・研磨され、篩工程70及び散水工程91を経て小粒改質炭100となる。ロール表面に中小粒ブリケット71用のポケットのみを設けるよりも、ロール表面の一部に極小粒改質炭120を成型するポケットを混在させたほうがロール1回転当たりの成型量を稼ぐことが可能である。
なお上記では小粒改質炭100と大粒改質炭200の粒径比は4以上10以下、好ましくは4以上8以下であるが、この関係は中小粒改質炭110、極小粒改質炭120にも適用される。したがって中小粒改質炭110と大粒改質炭200、極小粒改質炭120と大粒改質炭200の粒径比はいずれも4以上10以下、好ましくは4以上8以下である。以下では中小粒改質炭110、極小粒改質炭120をまとめて小粒改質炭100と表記する。
また、石炭粒子4の性状は平均粒子径が10μm以上60μm以下、全水分が5wt%以上20wt%以下であって、小粒、大粒の各ブリケット7、7’の見掛密度は1.2g/cm以上1.4g/cm以下である。
パートGの記載にかかわる主要な要素の符合の説明は次のとおりである。
4 石炭粒子
5 第1成型体
6 破砕物
7 小粒ブリケット
7’ 大粒ブリケット
10 第1破砕工程
20 乾燥工程
30 粉砕工程
40 第1成型工程
10a 第2破砕工程
40a 第2成型工程
61 第3成型工程
45A 第3破砕工程
60 研磨工程
70 篩工程
91 散水工程
100 小粒改質炭
200 大粒改質炭
300 改質炭集合体
<<パートAの実施例>>
(実施例1-1)
実施例1は、図1-6に示す実施形態2の製造方法に対応し、第1破砕工程10、乾燥工程20、粉砕工程30、第1成型工程40、第2破砕工程10a、第2成型工程40a、分断工程50、研磨工程60および篩工程70を経て得られる研磨体200を石炭成型燃料とするものである。表A1および表A2に、実施例1で用いた石炭の性状を示す。
Figure 0007003930000003
Figure 0007003930000004
図1-7Aおよび図1-7B右図に研磨工程、篩工程を経た研磨体200(石炭成型燃料)の写真、図1-7B左に研磨工程後、篩工程前の中間研磨体9の写真を示す。
原料となる石炭として、インドネシアの褐炭であるB炭を用いた。まず、このB炭を、第1破砕工程10において、ハンマークラッシャを用いて平均粒子径が10mm以下となるように粉砕した。次いで、粉砕したB炭を、乾燥工程20において、スチームチューブドライヤを用いて、乾燥済みの石炭3の全水分が15.2%になるように乾燥させた。続く粉砕工程30では、乾燥したB炭を、ローラミルを用いて平均粒子径が25μmになるように粉砕した。次いで、粉砕工程30によって得られた石炭粒子4を、第1成型工程40において成型し、板状の第1中間成型体5であるフレークを得た。
石炭粒子4の成型には、水平供給式の成型機であるコンパクタを用いた。用いたコンパクタは、成型手段が一対のロールを有し、その表面には図1-3に示すように複数の横溝が形成されていた。得られたフレークは、見掛密度が1.0g/cmであった。
次いで、得られたフレークを、第2破砕工程10aにおいて破砕し、第1成型体破砕物6を得た。フレークの破砕は、2段階で行った。まず、コンパクタの排出口にフレーククラッシャを配置し、このフレーククラッシャを用いてフレークを破砕した。破砕されたフレークの粒子径は30mm以下であった。次いで、フレーククラッシャで破砕されたフレークを、ハンマークラッシャを用いてさらに破砕した。得られた第1成型体破砕物6は、平均粒子径が0.1mmであった。
次いで、得られた破砕物を、第2成型工程40aにおいて再び板状に成型し、第2中間成型体7を得た。第2成型工程40aでは、図1-2に示した垂直供給方式の成型機であるブリケットマシンを用いた。用いたブリケットマシンは、一対のロール41を有しており、そのうち一方のロール41のみにロールポケットが形成され、もう一方のロール41は、凹凸のない平坦な外周面を有していた。一対のロール41は、直径が520mm、軸方向長さが236mmであった。
ロールポケットの形状は、図1-8A、8Bに示す形状A、および図1-8C、8Dに示す形状Bの2種類とした。形状Aのサイズは、縦長さaが6mm、横長さbが9mm、深さcが1.57mm、形状Bのサイズは、縦長さaが2.5mm、横長さbが8mm、深さcが0.6mmであった。一方のロール41の周面には、形状Aを有する5244個のロールポケットおよび形状Bを有する184個のロールポケットが、規則的に分散配置されていた。形状Aの1個当たりの容積は0.035cmであり、形状Bの1個当たりの容積は0.0048cmであった。また、ロール41の隙間が大きいと石炭粒子4の漏れや圧力分散が生じやすくなるため、ロール41の隙間dは設計下限である1mmとした。ロール線圧が7t/cmに維持されるようにロール41およびスクリュフィーダの単位時間当たり回転数を調整した。第2成型工程40aによって、板状の第2中間成型体7が得られた。
第2成型工程40aの後、得られた第2中間成型体7を分断工程50において分断し、成型体分断物5aを得た。分断工程50では、図1-4Aに示したような一対のロール51を有するロールクラッシャを用いた。ロール51の表面に形成された突起の高さは15mmであった。また、ロール51間の隙間は、過度な粉砕が生じないように5mmとした。得られた成型体分断物5aの粒子径は30mm以下であった。
次いで、成型体分断物5aを研磨工程60において研磨し、中間研磨体9を得た。研磨工程60では、図1-4Bに示すように外筒61と、外筒61の内側に、外筒61に対して偏心して配置されたロータ62とを有し、外筒61とロータ62との間で処理物を磨砕する磨砕機を研磨機として用いた。研磨工程60で用いた磨砕機は、外筒61の内面およびロータ62の外面にそれぞれ複数の突起を有していた。また、成型体分断物5aの研磨(磨砕)に際しては、外筒61を26rpmの単位時間当たり回転数で回転させ、ロータ62は外筒61と反対方向に100rpmの回転速度で回転させた。これによる処理時間は1.5分とした。
研磨工程60で得られた中間研磨体9は、板状の成型体が分断されたものである成型体分断物5aを研磨することによって生じた、不定形の粒状物である研磨体200と粉末との混合物である。
研磨工程60の後、篩工程70により中間研磨体9から粉末を除去し、研磨体200を得た。篩工程70では目開き3.35mmの篩を用いた。
(実施例1-2)
研磨工程60において、処理時間を4.5分とした以外は実施例1-1と同様にして研磨体200を得た。
(実施例1-3)
研磨工程60において、ロータ62の単位時間当たり回転数を200rpmとした以外は実施例1-1と同様にして研磨体200を得た。
(実施例1-4)
研磨工程60において、ロータ62の単位時間当たり回転数を200rpmとし、かつ、処理時間を4.5分とした以外は実施例1-1と同様にして研磨体200を得た。
(比較例1)
実施例1-1における一連の工程のうち分断工程50および研磨工程60を省略した以外は実施例1-1と同様の処理を行った。すなわち、比較例1では、第2成型工程40aで得られた第2中間成型体7を篩工程70で処理した。第2成型工程40aで得られた第2中間成型体7は、成型手段で成型された成型体の他に、成型手段から漏れ落ちた石炭粒子4などの粉末を含んでいる。この粉末を篩工程70によって第2中間成型体7から除去し、成型体を得た。
(評価)
実施例1-1~実施例1-4でで得られた研磨体200および比較例1で得られた成型体をそれぞれ試料とし、以下の評価項目により評価した。
[粉化特性]
粉化特性は、試料がバルク輸送(船積み、トラック輸送)時に受ける衝撃力を模擬した以下の手順にて評価を実施した。
試料1kgを強固な土嚢袋に梱包後、研磨体の入った土嚢袋を高さ8.6mの位置から20回落下させた。その後、土嚢袋の中身を取り出し、JIS Z 8841-1993(造粒物の強度試験方法)の「3.2 回転強度試験方法」に記載の試験機にて800回転処理を行った。処理後の試料を目開きが2mmの篩で篩分け、下記の式(2)にて粉化後にこの目開き2mmの篩を通過した割合(以降、-2mmと記載することがある)を求めて得た値を粉化特性の評価に利用した。
Figure 0007003930000005
一般に、石炭をバルクハンドリングする際、2mm篩通過積算率が30%を超える石炭は、ハンドリングトラブル(付着、閉塞)を起こすリスクがある。したがって、本例における石炭成型燃料に要求される粉化特性についてもこの基準に従って、式(2)で求められる値が30%以下であれば問題ないと判断した。
[浸漬水分]
試料を水中に浸漬し、浸漬開始から7日間経過した時点で試料を回収し、表面に付着した水分をウエス等の布で除去した。その後、JIS M 8820-0(石炭類及びコークス類-ロットの全水分測定方法)に記載の石炭類の全水分測定方法に基づいて測定した値を浸漬水分とした。
[自然発熱指数]
試料のバルク輸送時の形態(水分、粒度)における自然発熱リスクを以下の手順で評価した。
試料1kgを強固な土嚢袋に梱包後、試料の入った土嚢袋を高さ8.6mの位置から20回落下させた。その後、土嚢袋の中身を取り出し、JIS Z 8841-1993(造粒物の強度試験方法)の「3.2 回転強度試験方法」に記載の試験機にて800回転処理を行った。処理物を全量(すなわち1kg)回収し、プラスチックバッグに梱包後、処理物の全水分が23%になるように加水した。加水後、プラスチックバッグで2日間、常温にて密閉養生した。
その後、図1-9に示す試験装置に養生後の試料1kgを投入した。試験装置は、恒温槽と、恒温槽内に配置された反応器とを備え、試料は反応器内に投入される。反応器には、窒素ボンベおよび空気ボンベが接続されたガス供給管が連結されている。ガス供給管を介して供給されるガスは三方コックにより切り替えることができる。また、ガス供給管には流量計が設けられ、ガス供給管を流れるガスの流量が測定可能である。反応器内には温度計が設置されている。さらに、反応器には、ガス濃度計が設置されたガスサンプリング管が連結されている。
反応器内への試料の投入後、まず、反応器内に窒素ガスを導入し、窒素ガス雰囲気下で恒温槽を80℃に昇温した。恒温槽の昇温後、反応器に導入するガスを空気に切り替え、反応器内のガスを空気と入れ替えた。反応器内のガスが空気と入れ替わり、300分経過時点で、ガス濃度計にてガス濃度(O濃度、CO濃度、CO濃度)を測定した。ガス濃度の測定後、酸素吸着・酸化反応により発生する熱量相当の自然発熱指数を算出した。
SCI=O吸着熱+CO生成熱+CO生成熱 (式2)
ここで、SCIは自然発熱指数(Spontaneous Combustion Index)である。SCIの評価基準は、通常取り扱っている一般炭の中で、自然発熱リスクが高い亜瀝青炭のSCI測定値(SCI=12)を超えないこととした。
[かさ密度]
容積が既知である2~5L程度の円筒状容器に試料をすり切り充填し、充填した試料の質量および容器の容積から、下記式にて算出した。なお、試料を容器に投入する際、容器をタッピングしながら充填した。タッピングの回数は10回とした。
かさ密度=充填した試料の質量÷容器の容積
[粒度分布]
試料を目開きが16mm、9.5mm、4.75mmおよび3.35mmの篩で篩い落とし、その積算篩通過率(%)で表した。
実施例1-1~実施例1-4および比較例1の評価結果を表A3に示す。また、かさ密度を表A4に示し、粒度分布を表A5に示す。
Figure 0007003930000006
Figure 0007003930000007
Figure 0007003930000008
また、自然発熱指数について、図1-10Aに、研磨工程における処理時間との関係を示し、図1-10Bに、篩工程における収率との関係を示す。
石炭成型燃料はバルク輸送(船積み、トラック輸送)などを想定している。そのため、かさ密度が高いほど、輸送時の耐久性が高く、良好な品質であるといえる。また、粉化後-2mm(粉化特性)、自然発熱指数および浸漬水分については、それぞれ低いほうが良好な品質といえる。
この観点で実施例1-1~1-4と比較例1とを対比すると、実施例1-1~1-4は、比較例1と比べて収率および粉化特性は低下するものの、自然発熱指数および浸漬水分は良好な結果が得られた。
また、研磨工程における研磨条件(実施例1-1~実施例1-4ではロータ62の単位時間当たり回転数および処理時間)を変更することで、収率、粉体特性および自然発熱指数を適宜調整できることが分かる。例えば、収率は、ロータ62の単位時間当たり回転数が小さいほど、また、処理時間が短いほど、向上する(表A3、図1-10B)。自然発熱指数は、ロータ62の単位時間当たり回転速度が小さいほど、また、処理時間が短いほど、良好である(表A3、図1-10A)。粉化特性は、ロータ62の単位時間当たり回転数が大きいほど、また、処理時間が長いほど、良好である(表A3)。このように、研磨条件を変更することにより、所望の品質を有する石炭成型燃料を得ることができる。粒度分布測定結果(表A5)から、発塵や付着の要因である微粉は少ないため、ハンドリングトラブルの心配はないと思われる。
<<パートBの実施例>>
以下、パートBの発明について実施例を用いて具体的に説明するが、パートBの発明はこれらに限定されるものではない。
<例B1~7>
例B1~7は、図2-2に示す実施形態B2の製造方法に対応し、第1破砕工程10、乾燥工程20、粉砕工程30、第1成型工程40、第2破砕工程10a、第2成型工程40a、養生工程85を経て得られた製品200に関するものである。
(改質炭の製造)
原料はインドネシア産のB炭、T炭(いずれも褐炭)を用いた。T炭、B炭の性状を表B1に示す。表B1中、ARは到着ベース、ADは気乾ベース、DBは無水ベースを示す(JIS M8810)。また、表B1には、工業分析値(気乾ベース)に基づき算出された燃料比、高位発熱量および元素分析の結果をそれぞれ示す。なお表B1における工業分析値、元素分析値はJIS M8812、8813、8814に基づく。表B1中、GAR、GAD、DAFは、それぞれ到着ベース高位発熱量、気乾ベース高位発熱量、無水無灰ベース高位発熱量を示す(JIS M8810)。HGI(ハードグローブ指数)はJIS M 8801の「7.粉砕性試験方法(ハードグローブ法)」に基づき測定した。
Figure 0007003930000009
第1破砕工程10ではハンマークラッシャを用い原料のT炭またはB炭を平均粒径10mm以下に破砕した。次いで、乾燥工程20ではスチームチューブドライヤを用い全水分が5~20重量%になるように、破砕したT炭を乾燥した。次いで、粉砕工程30ではボールミルを用い、平均粒子径が約10~60μmになるように粉砕して石炭粒子4を得た。なお、第1破砕工程10により破砕された石炭の平均粒子径はJISM8801-2004「5.粒度試験方法」に基づき測定し、各篩目開きの通過篩質量百分率を求め、通過篩質量百分率が50%となる粒子径を平均粒子径とした。粉砕工程30により粉砕された石炭粒子4の平均粒子径はレーザー回折・散乱法によって得られる粒度分布のメディアン径である。
この石炭粒子4を図2-3に示した垂直供給方式のブリケットマシンに供給し、第1成型工程40を行い、第1成型体5を得た。第1成型工程40に用いた垂直供給型の成型機(ブリケットマシン)は、一対のロール41を有しており、2つのロール41両方にロールポケットが彫られていた。一対のロール41は、それぞれ、直径が250mm、軸方向長さが50mmであった。
第1成型工程40で用いた垂直供給型の成型機のポケット形状は、図2-4に示す形状Aおよび図2-5に示す形状Bの2種類であった。形状Aは、縦長さaが6mm、横長さbが9mm、深さcが1.57mmであり、ポケットBは縦長さaが2.5mm、横長さbが8mm、深さcが0.6mmであった。ロール41の周面には、ロール1個当り、形状Aを有する484個のポケット、および形状Bを有する88個のポケットが、規則的に分散配置されていた。形状Aの1個あたりの容積は0.035cmであり、形状Bの1個当たりの容積は0.0048cmであった。2つのロールの隙間dは1.0mmとし、ロール線圧が5t/cmに維持されるようにロール41およびスクリュフィーダの回転数を調整した。
第1成型工程40により得られた第1成型体5を、第2破砕工程10aにおいてハンマークラッシャで平均粒子径0.05~1.0mmに破砕した。得られた破砕物6を第2成型工程40aの垂直供給型の成型機(ブリケットマシン)で成型し、板状の第2成型体7を得た。第2成型工程40aで用いた成型機のポケット形状は、第1成型工程40で用いたポケット形状と同じである。2つのロールの隙間は1.0mmとし、ロール線圧は5t/cmとなるように調整した。
得られた第2成型体7を篩(目開き3.35mm)で処理し、養生工程85にてビニル袋に密閉して養生(温度:-5~35℃、雰囲気相対湿度:30~90%)を行い、表B3記載の養生日数経過後に製品200を得た。
養生工程前におけるT炭またはB炭の各工程における品質は表B2のとおりである。なお表B2では例B4の第2破砕物6及び第2成型体7の品質の記載が無いが、単に品質の測定を行っていないためであり、実際は他の例と同様に第2破砕工程10a及び第2成型工程40aを経て第2成型体7を得ている。
Figure 0007003930000010
<品質評価>
得られた製品200の品質の評価方法は下記のとおりである。
<水分>
製品200を水中に浸漬する前の全水分、および、製品200の水中浸漬水分を記載した。
<厚み>
本願における厚みとは板状成型体の平滑面同士の距離(凸面を含まない、図2-4および図2-5におけるdに相当する部分)であり、ランダムに採取した10個のサンプルの厚みの平均値である。厚み測定は、前記板状成型体の平面同士にノギスを当てて測定した。
<浸漬時の膨張率>
製品200の厚みの3乗を製品200の容積と仮定し、下記(式1’):
Figure 0007003930000011
により、水中浸漬7日目の膨張率を算出した。
製品200の品質評価結果(浸漬水分、厚み等)を表B3に示す。なお、表B3中の養生日数は、第2成型体7が得られた日からの日数とする。
Figure 0007003930000012
図2-6は、製品200について、養生日数と7日目の浸漬水分(重量%)との関係を示す。保存期間(養生日数)が長くなるほど製品200の浸漬水分が低下すること、および養生日数200日以降は横ばいであることが確認された。
図2-7は、製品200について、養生日数と水中浸漬前の厚み(mm)との関係を示す。養生日数経過に伴い、対向する平滑面同士の厚みが増加することが確認された。
図2-8は、製品200について、養生日数と成型体の水中浸漬7日目の膨張率との関係を示す。図2-8に示す通り、養生前の成型体の浸漬膨張率が1.6に対し、200日以上養生した製品200の浸漬前後の膨張率は1.110~1.231となり、養生に伴い浸漬時の吸水が抑制される。
<<パートCの実施例>>
以下、パートCの発明の一形態について、実施例に基づきさらに詳細に説明する。ただし、パートCの発明は下記実施例の内容に限定されるものではない。
<実施例C1-1>
(改質炭の製造)
本実施例では、原料はインドネシア産のB炭を用いた(表C1参照)。表C1中、「AR」は到着ベース、「AD」は気乾ベース、「DB」は無水ベースを示す(JIS M8810)。また、表C1には、工業分析値(気乾ベース)に基づき算出された燃料比、高位発熱量および元素分析の結果もそれぞれ示している。
工業分析値および元素分析値はJIS M8812、8813、8814に基づく。表C1中、GAR、GAD、DAFは、それぞれ到着ベース高位発熱量、気乾ベース高位発熱量、無水無灰ベース高位発熱量を示す(JIS M8810)。HGI(ハードグローブ指数)はJIS M 8801の「7.粉砕性試験方法(ハードグローブ法)」に基づき測定した。
Figure 0007003930000013
まず、第1破砕工程10において、ハンマークラッシャを用い原料を平均粒径10mm以下に破砕した。次いで、乾燥工程20において、送風乾燥機を用い全水分が5~20wt%になるように乾燥させた。次いで、粉砕工程30において、ボールミルを用い、平均粒子径が約10~60μmになるように石炭を粉砕して石炭粒子4を得た。
次いで、工程30で得た石炭粒子4を、図3-2のブリケットマシンに供給し、第1成型工程40を行い、第1成型体5を得た。次いで、第2破砕工程10aにおいて、第1成型体5を、ハンマークラッシャを用い平均粒子径が0.05~0.5mmになるように粉砕した。
次いで、第2成型工程40aにおいて、上記工程で得られた破砕物を第1成型工程40と同じ型式のブリケットマシンで成型した。ロール間の隙間は1.0mm、ロール線圧は5t/cmとした。それにより、板状の第2成型体7を得た。次いで、篩工程70において、第2成型体7を篩(目開き3.35mm)を用い手動で篩い分け、篩上に残留した製品8を得た。
次いで、加熱養生工程85において、上記工程で得られた篩上を処理した。加熱養生条件は以下のとおりとした。
(加熱養生)
試料28gを秤量ビンに投入し、全水分の蒸発を抑えることを目的としてアルミ箔で秤量ビンに蓋をしてから送風乾燥機にて加熱養生を行った。送風乾燥機は107℃に設定し、加熱養生時間を20分間とした。加熱養生後の製品を室内で放置し、室温に戻ったものを「実施例C1-1」の製品とした。
<実施例C1-2>
実施例C1-2は、加熱養生工程85の処理方法を除き実施例C1-1と同じである。実施例C1-2では、試料28gを秤量ビンに投入し、蓋をせずに、送風乾燥機にて加熱養生を行った。送風乾燥機の温度および加熱養生時間は、実施例C1-1と同じである(107℃、20分間)。加熱養生後の製品を室内で放置し、室温に戻ったものを「実施例C1-2」の製品とした。
<比較例C1>
比較例C1は、加熱養生工程を行わず、実施例C1-1の篩工程70で得たものをそのまま製品としたものである。
<結果>
実施例C1-1、実施例C1-2、比較例C1で得た製品の全水分および水中浸漬水分を測定した。結果を表C2に示す。
実施例C1-1は加熱養生時に秤量ビンにアルミ箔をしたため、加熱養生後の全水分は比較例C1(加熱養生なし)とほぼ同じであった。
実施例C1-1の水中浸漬水分は、比較例C1の水中浸漬水分と比べ約4%程度低く、加熱養生により水中浸漬水分が改善することが確認された。
実施例C1-2は加熱養生時に秤量ビンの蓋をしていないため、加熱養生により全水分が蒸発しており、加熱養生後の全水分は、実施例C1-1および比較例C1の約半分まで低下していた。実施例C1-2の水中浸漬水分は、比較例C1と比べると改善しているが、実施例C1-1の水中浸漬水分よりも2%程度高いため、最終製品の品質としては、加熱養生時に全水分の蒸発を抑えたほうが、水中浸漬水分がより改善するといえる。
Figure 0007003930000014
<分析方法>
(全水分について)
「全水分」は、JIS M 8820-2000 (石炭類及びコークス類-ロットの全水分測定方法)に記載の石炭類の全水分測定方法にて測定した。
(水中浸漬水分)
「水中浸漬水分」は、以下の方法により測定することができる。試料を水中に浸漬し、浸漬開始から7日間経過した時点で改質炭を回収し、表面に付着した水分をウエス等の布で除去した後、JIS M 8820-2000(石炭類及びコークス類-ロットの全水分測定方法)に記載の石炭類の全水分測定方法にて計測して得た全水分を水中浸漬水分とした。
貯蔵時の降雨等による吸水量が低下するため製品価値である発熱量が高くなるため、水中浸漬水分が低いほど燃料としての価値が高い試料といえる。
(圧壊強度)
JIS Z 8841-1993の「3.1 圧壊強度試験方法」に基づき測定した。
(見掛密度)
JIS Z 8807の「8.液中ひょう量法による密度及び比重の測定方法」に基づき測定した。
(厚み)
本願における厚みとは板状成型体の凸面同士の距離であり、ランダムに採取した10個のサンプルの厚みの平均値を結果としている。厚み測定は、試料の凸面同士にノギスを当てて測定した。
<実施例C2>
実施例C2は、図3-1の製造方法に対応し、第1破砕工程10、乾燥工程20、粉砕工程30、第1成型工程40、第2破砕工程10a、第2成型工程40a、篩工程70、加熱養生工程85の順に処理し、得られる成型体200を石炭成型燃料とするものである。加熱養生工程の方法を除き、実施例C1-1と同じである。
加熱養生工程85では、篩工程70で得られた石炭8(成型体)をビニル袋に入れて常温で25日間養生した後、バットに投入し、実施例C1-1と同様にアルミ箔をして送風乾燥機にて加熱養生を行った。送風乾燥機の温度は107℃、養生時間は50分間とした。
<比較例C2>
比較例C2は、実施形態2の加熱養生工程を行わず、篩工程70で得た篩上の石炭8(成型体)をビニル袋に入れて常温で25日間養生したものを用いた。
(結果2)
加熱養生に伴う物性変化を調査するため、全水分、水中浸漬水分のほか見掛密度、厚み、圧壊強度を測定した(表C3)。加熱養生前後の全水分はほぼ同じであるが、水中浸漬水分が大きく異なる結果を得た。その他の物性変化として、加熱養生により成型体の厚みが増加(膨張)することが分かった。なお、水中浸漬膨張率Eは以下により求めた:

水中浸漬膨張率E = 水中浸漬後の厚みTw ÷ 厚みT
Figure 0007003930000015
<<パートDの実施例>>
以下、パートDの発明について実施例を用いて具体的に説明するが、パートDの発明はこれらに限定されるものではない。
以下の例における、原料および製品の評価方法は下記のとおりである。
<評価方法>
<HGI(ハードグローブ指数)>
JIS M 8801 の「7. 粉砕性試験方法(ハードグローブ法)」に基づき測定した。
<嵩密度>
かさ密度は、容積が既知である2-5L程度の容器に試料をすり切り充填し、充填した試料の質量および容器の容積から式(1)にて算出した。なお、粗充填と密充填では容器に投入する方法が異なる。粗充填は、容器に投入する際、極力試料を圧密させないように充填し、密充填は、容器をタッピングしながら充填した。タッピングの回数は10回とした。
かさ密度=充填した試料の質量÷容器の容積 式(1)
<圧壊強度>
JIS Z 8841-1993の「3.1 圧壊強度試験方法」に基づき測定した。
<見掛密度>
JIS Z 8807の「8.液中ひょう量法による密度及び比重の測定方法」に基づき測定した。
<粉化特性>
粉化特性は、試料がバルク輸送時に受ける衝撃力を模擬した以下の手順にて実施した。試料1kgを強固な土嚢袋に梱包後、該試料の入った土嚢袋を高さ8.6mの位置から20回落下させ、JIS Z8841-1993(造粒物の強度試験方法)の「3.2 回転強度試験方法」に記載の回転強度試験機にて800回転処理を行った。処理後の試料を目開きが2mmの篩で篩い分け、下記式(2)にて粉化後-2mmの割合(目開きが2mmの篩を通過した試料の質量割合)を求めて得た値を粉化特性の評価に利用した。なお、式(2)中、「処理後のサンプルの-2mmの質量」とは目開きが2mmの篩を通過した、処理後のサンプルの質量のことである。
Figure 0007003930000016
通常、石炭をバルクハンドリングする際、2mm篩通過積算率が30%を超える石炭は、ハンドリングトラブル(付着、閉塞)を起こす恐れがある。したがって、本例における成型体(あるいは整粒体)に要求される粉化特性についてもこの基準に従って、上記式(2)で求められる値が30%以下であれば問題ないと判断した。
<自然発熱指数>
成型体のバルク輸送時の形態(水分、粒度)における自然発熱リスクを以下の手順にて評価した。成型体1kgを強固な土嚢袋に梱包後、成型体の入った土嚢袋を高さ8.6mの位置から20回落下させ、JIS Z8841-1993(造粒物の強度試験方法)の「3.2 回転強度試験方法」に記載の回転強度試験機にて800回転処理を行い、処理物1kgを全量回収しプラスチックバッグに梱包後、処理物の全水分が23重量%になるように加水した。加水後、プラスチックバッグで2日間、常温(約25℃)にて密閉養生(加水養生)した。
その後、図4-5に示す構成を有する試験装置の恒温層に加水養生後のサンプル1kgを投入した。試験装置は、恒温槽と、恒温槽内に配置された反応器とを備え、試料は反応器内に投入される。反応器には、窒素ボンベおよび空気ボンベが接続されたガス供給管が連結されている。ガス供給管を介して供給されるガスは三方コックにより切り替えることができる。また、ガス供給管には流量計が設けられ、ガス供給管を流れるガスの流量が測定可能である。反応器内には温度計が設置されている。さらに、反応器には、ガス濃度計が設置されたガスサンプリング管が連結されている。
反応器内への試料の投入後、窒素雰囲気下で恒温槽を80℃に昇温した。80℃に昇温した後、ガスを空気に切り替え、所定時間(300分)反応後のガス濃度(O濃度、CO濃度、CO濃度)を測定し、下記式(3)により酸素吸着・酸化反応により発生する熱量相当の自然発熱性指数SCI(Spontaneous Combustion Index)を算出した。
SCI=O吸着熱+CO生成熱+CO生成熱 式(3)
SCIの許容値(判断基準)は、通常取り扱っている一般炭の中で、特に自然発熱リスクが高い亜瀝青炭のSCI測定値(12)を超えないものを問題ないと判断した。
<浸漬水分>
成型体を水中に浸漬し、浸漬開始から7日間経過した時点で成型体を回収し、表面に付着した水分をウエス等の布で除去した後、JIS M 8820-2000 (石炭類及びコークス類-ロットの全水分測定方法)に記載の石炭類の全水分測定方法にて計測して得た全水分を浸漬水分とした。
成型体はバルク輸送(船積み、トラック輸送)などを想定しているため、圧壊強度が高く、見掛密度が高いものほど輸送時の耐久性が高く、良好な品質といえる。また、粉化後-2mmの割合が低く、自然発熱指数が低く、浸漬水分が低いほど、良好な品質といえる。
<参考例D1>
参考例D1における石炭成型燃料の製造方法は、図4-1に対応し、第1破砕工程10、乾燥工程20、粉砕工程30、第1成型工程40、第2破砕工程10a、第2成型工程40a、篩工程70を経て得られた成型体100を石炭成型燃料とするものである。ただし、第1成型工程における成型機は垂直供給方式のブリケットマシンを用いた。
原料はインドネシアの褐炭であるB炭を用いた。B炭の性状を表D1に示す。表D1中、ARは到着ベース、ADは気乾ベース、DBは無水ベースを示す(JIS M8810)。また、表D1には、工業分析値(気乾ベース)に基づき算出された燃料比、高位発熱量および元素分析の結果をそれぞれ示す。なお表D1における工業分析値、元素分析値はJIS M8812、8813、8814に基づく。表D1中、GAR、GAD、DAFは、それぞれ到着ベース高位発熱量、気乾ベース高位発熱量、無水無灰ベース高位発熱量を示す(JIS M8810)。
Figure 0007003930000017
破砕工程10ではハンマークラッシャを用い平均粒径10mm以下に破砕した。次いで、乾燥工程20ではスチームチューブドライヤを用い全水分が12.7重量%になるように乾燥した。続く粉砕工程30ではローラミルを用い、平均粒子径24μmの石炭粒子4を得た。なお、第1破砕工程10により破砕された石炭の平均粒子径はJIS M 8801-2004「5.粒度試験方法」に基づき測定し、各篩目開きの通過篩質量百分率を求め、通過篩質量百分率が50%となる粒子径を平均粒子径とした。粉砕工程30により粉砕された石炭粒子4の平均粒子径はレーザー回折・散乱法によって得られる粒度分布のメディアン径とした。
第1成型工程40は、図4-4に示した垂直供給方式のブリケットマシンを用い、見掛密度1.0g/cmの第1成型体を得た。第1成型工程に用いたブリケットマシンは、一対のロール61を有しており、そのうち一方のロール61のみにロールポケットが形成され、もう一方のロール61は、凹凸のない平坦な外周面を有していた。
第1成型工程40によって、板状の第1成型体5が得られた。また、第1成型工程で得られた第1成型体5を篩目3.35mmで処理したところ、ブリケットマシンに供給した石炭粒子4の全重量に対する、篩上の第1成型体5の重量割合が52.5%であった。
続いて、第2破砕工程10aではハンマークラッシャを用いて、ハンマー回転数750rpmで第1成型体5の破砕を行い、平均粒子径0.12mm、かさ密度0.58g/cmの第2破砕物6を得た。参考例D1における第2破砕物6の粒度分布を図4-6に示す。
得られた第2破砕物6を第2成型工程40aにおいてブリケットマシンで成型した。ブリケットマシンは第1成型工程40で用いたブリケットマシンと同様のものを用いた。第1成型工程40と同様、2つのロール61の隙間は1mmとし、ロール線圧を7t/cmになるよう、ロールおよびスクリュの回転数を調整した。得られた板状の第2成型体7を篩工程70で処理し、篩上を成型体100とした。篩工程70は目開き3.35mmの篩を用いた。篩工程70で得られた成型体100の収率は89.9%であった。成型体100の品質評価結果を表D2に示す。成型体100の品質は良好であった。
Figure 0007003930000018
<実施例D1>
実施例D1は図4-2に記載の製造方法に対応し、まず、破砕工程10、乾燥工程20、粉砕工程30で得られた石炭粒子を4-1と4-2に分けた。続いて、石炭粒子4-1は第1成型工程40により第1成型体5とし、第1成型体5と石炭粒子4-2とを混合して第2破砕工程10aを行い、第2破砕物6を得た。すなわち、粉砕工程30で得られる石炭粒子の一部(4-2)を、第1成型工程40を経ずに直接第2破砕工程10aの原料とした。
原料は、参考例D1と同様、インドネシアの褐炭であるB炭を用いた。破砕工程10ではハンマークラッシャを用い平均粒径10mm以下に破砕した。乾燥工程20ではスチームチューブドライヤを用い全水分が12.7重量%になるように乾燥した。続く粉砕工程30ではローラミルを用い、平均粒子径24μmに粉砕して石炭粒子を得た。この粉砕工程30で得られた石炭粒子を4-1と4-2に分け、石炭粒子4-1のみを第1成型工程40に進めた。
第1成型工程40では水平供給方式のローラコンパクタを用いて、石炭粒子4-1から見掛密度1.0g/cmのフレーク(第1成型体5)を製造した。第1成型工程40で得られた第1成型体5を篩目3.35mmで処理したところ、ローラコンパクタに供給した石炭粒子4の全重量に対する、篩上の第1成型体5の重量割合が90.2%であり、第1成型工程40でブリケットマシンを用いた参考例D1と比べ、高収率で第1成型体5を製造できることが分かった。
得られたフレーク(篩下も含む)(第1成型体5)と粉砕工程30で得られた石炭粒子4-2とを7:3(重量比)で混合して、続く第2破砕工程10aでハンマー回転数500rpmにて破砕し、第2破砕物6を得た。得られた第2破砕物6の平均粒径は0.17mmであり、図4-6に示したとおり、参考例D1の第2破砕物6とほぼ同等の平均粒径を有していることが示された。
実施例D1で得た第2破砕物6を用いての第2成型工程40aは実施していないが、実施例D1の第2破砕物6は参考例D1の第2破砕物6と同等の品質であることから、実施例D1の第2破砕物6に対して第2成型工程40aを行った場合、参考例D1と同等の品質の第2成型体7が得られるものと期待できる。
上記のとおり、実施例D1では、粉砕工程30で得た石炭粒子のうち30重量%を第2破砕工程に直接供給しているため、参考例D1と比べ第1成型工程40で必要な処理能力が30%少なくなり、負荷を軽減できることが示された。また、第2破砕工程10aにおけるハンマークラッシャのハンマー回転数は、参考例D1より実施例D1の方が小さく、第2破砕工程10aにおける破砕機の負荷も軽減できることが示された。
<<パートEの実施例>>
実施例E1~3および比較例E1により、得られた石炭成型体の品質評価を行った。これら実施例E1~3および比較例E1では、図5-1に示したとおり、第1破砕工程10、乾燥工程20、粉砕工程30、第1成型工程40、第2破砕工程10a、第2成型工程40aおよび篩工程70を経て石炭成型体100を得る。表E2および表E3に、実施例E1~3および比較例E1で用いた石炭の性状を示す。
Figure 0007003930000019
Figure 0007003930000020
(実施例E1)
本例では、インドネシアの褐炭であるB炭を、第1破砕工程10において、ハンマークラッシャを用いて平均粒子径が3mm以下となるように破砕した。次いで、破砕したB炭を、乾燥工程20において、スチームチューブドライヤを用いて、乾燥物3の全水分が11.2%になるように乾燥させた。続く粉砕工程30では、乾燥したB炭を、ローラミルを用いて微粉炭4の平均粒子径が19μmになるように粉砕した。次いで、粉砕工程30によって得られた微粉炭4を、第1成型工程40において成型した。
第1成型工程40では、成型機として鉛直給排型のブリケットマシンを用いた。用いたブリケットマシンは、図5-2に示すように一対のロール41を有しており、そのうち一方のロール41のみにロールポケットが形成され、もう一方のロール41は凹凸のない平坦な外周面を有していた。一対のロール41は、直径が520mm、軸方向長さが236mmであった。
ロールポケットの形状は、図5-3Aおよび図5-3Bに示すような、平面視が略楕円形のアーモンド形状とした。ロール41には、寸法の異なる形状Aおよび形状Bの2種類のロールポケットを形成した。表E4に、ロールポケットの寸法を示す。
Figure 0007003930000021
ロール41の周面には、形状Aのロールポケットが5244個、形状Bのロールポケットが184個、規則的に分散配置された。ロールポケットの1個当たりの容積は、形状Aが0.035cmであり、形状Bが0.0048cmであった。また、ロール41の隙間が大きいと、微粉炭4の漏れや圧力分散が生じやすくなるため、ロール41の隙間dは、1mmとした。また、ブリケットマシンは、ロール線圧が1.9t/cmに維持されるように、ロール41およびスクリュの回転数を調整した。
第1成型工程40によって得られた第1成型体5の見掛密度を測定したところ、1.077g/cmであった。
第1成型工程40の後、得られた第1成型体5を、第2破砕工程10aにて破砕し、第2破砕物6を得た。第2破砕工程10aでは、ハンマークラッシャを用いた。
次いで、第2破砕物6を、第2成型工程40aにおいて成型し、第2成型体7を得た。第2成型工程40aでは、第1成型工程40で用いたのと同じブリケットマシンを用い、ロール線圧が7t/cmに維持されるように、ロール41およびスクリュの回転数を調整した。
第2成型工程40aの後、篩工程70において、第2成型体7から微粉炭を除去し、石炭成型体100を得た。篩工程70では、目開き3.35mmの標準篩を用い、手動で篩分けを行った。篩上の割合は93.9%であった。これにより、第2成型工程40aが安定して運転されたこと、および高い収率で石炭成型体100が得られたことが確認できた。
なお、第2破砕工程10aで得られた第2破砕物6の物性を測定したところ、平均粒子径が0.40mm、かさ密度(粗)が0.65g/cm、かさ密度(密)が0.84g/cmであった。
また、タッピングマシンを使用して、第2破砕物6のタッピングを500回行うまでのタップ密度の変化を測定した。タップ密度とは、容器(メスシリンダー)に粉体である試料を静かに充填した後、タッピングを行い、密充填したときの見かけかさ密度である。タッピングは、容器を上方に移動させた後、容器を自由落下させることによって行った。タッピングマシンのストロークは20mm、タッピングスピードは35回/minとした。タッピング回数が0回、5回、10回、25回、75回、100回、250回および500回のそれぞれの時点で試料(第2破砕物6)の容積を(メスシリンダーの目盛りから)記録し、仕込み重量からそれぞれの回数におけるタップ密度を求めた。この結果を、前述した式(1)に当てはめ、第2破砕物6の粉体としての流動性および付着性を評価した。
式(1):N/C=(1/ab)+(1/a)N
流動性の評価は、流動性指数aにより行い、付着性の評価は、付着性指数1/bにより行った。タップ密度の測定結果からこれらの指数を求めたところ、流動性指数aが0.28、付着性指数1/bが53.4であった。
(実施例E2、実施例E3、比較例E1)
実施例E1とはいくつかのパラメータを変更して、実施例E1と同様の手順で石炭成型体100を製造した。変更したパラメータは、乾燥物3の全水分、微粉炭4の平均粒子径および第1成型工程40のロール線圧である。これらのパラメータを変更したことにより、各種評価結果(第2成型工程40aにおける収率、第2成型工程40aの運転安定性、第1成型体5の見掛密度、並びに第2破砕物6の平均粒子径、かさ密度、流動性指数aおよび付着性指数1/b)が変化した、これらの結果を、実施例E1での結果と併せて表E5に示す。
Figure 0007003930000022
(考察)
パラメータの変更は、第2成型工程での運転安定性および収率に影響を及ぼすことが分かった。特に、第2成型工程における原料(第2破砕物)の特性に着目すると、ブリケットマシンを用いた場合、原料(第2破砕物)の流動性指数aが0.29以下であり、かつ、付着性1/bが20≦1/b≦60を満たしていると、ブリケットマシンを安定的に高い収率で運転できるといえる。
<<パートFの実施例>>
以下、パートFの発明の実施例について説明する。表F1に、以下で説明する実施例で用いた石炭の性状を示す。
Figure 0007003930000023
[実施例F1]
(実施例F1)
原料となる石炭として、インドネシア産の褐炭であるBA炭を用い、図6-1に示す工程に従って石炭成型燃料200を製造した(粉砕工程20→乾燥工程30の順番)。
破砕工程10では、ハンマークラッシャを用い、最大粒子径が1mm、平均粒子径が0.3mmの破砕石炭2を得た。次いで、粉砕工程20では、ペレットミルを用いた。破砕石炭2は、ペレットミル内部のローラとリングダイとの間で粉砕され、さらにリングダイの孔から連続的に排出され、適宜長さで切断されることでペレット化された。これにより、平均粒子径10μmの粉砕石炭3で構成された含水ペレット(直径8mm×高さ10~20mmの円柱形)を得た。
乾燥工程30では、乾燥効率を向上させるため、乾燥前にパドル式混合機を用いて、含水ペレットを最大粒径が3mm以下になるように破砕した。含水ペレットの破砕後、スチームチューブドライヤを用い、全水分が15%になるように乾燥させ、乾燥した石炭粒子4を得た。得られた石炭粒子4の温度は90℃であった。
乾燥工程30から成型工程40までの間、石炭粒子4の温度が90℃に維持されるように、乾燥工程30の出口から成型工程40の入口までの搬送機器に保温材を設置した。成型工程40の入口に設置された温度計にて石炭粒子4の温度を測定したところ、90℃であることが確認された。
成型工程40では、図6-2に示したような、垂直供給方式のブリケットマシンを用いた。用いたブリケットマシンは、直径が520mm、幅(軸方向の長さ)が124mmの一対のロール41を有していた。一対のロール41の周面には、図6-2A、2Bに示す形状を有する複数のロールポケットが規則的に分散配置されていた。ロールポケットの各部の寸法は、
a=34.7mm
b=36.6mm
c=9.1mm
であった。また、一対のロール41間の隙間dは、設計下限値である1mmとした。ブリケットマシンは、ロール41による線圧が6t/cmになるように動作が制御され、これによって成型体5を得た。
得られた成型体5は篩工程70に供給され、篩工程70で石炭粉を除去した。篩工程70では、篩目3.35mmの振動篩機を用い、篩上に残った石炭を石炭成型燃料200とした。
(比較例F1)
比較例F1として、成型工程40に供給される石炭粒子4の温度を変更した以外は実施例F1と同様にして石炭成型燃料200を製造した。具体的には、成型工程40に供給される石炭粒子4の温度が25℃となるように、乾燥工程30の出口から成型工程40の入口までの搬送機器で、石炭粒子4の冷却を行った。搬送機器としては、水冷式のジャケット付きのスクリュ式搬送装置を用い、搬送用パドルの回転数で滞留時間を制御して石炭粒子4の温度調整を行った。成型工程40の入口に設置した温度計によって石炭粒子4の温度を測定した結果、25℃であることが確認された。
(評価1)
実施例F1および比較例F1によって得られた石炭成型燃料200について、品質評価を行った。石炭粒子4の代表的な物性、成型工程40の代表的な代表的な成型条件、成型能力、および得られた石炭成型燃料200の品質評価結果を表F2に示す。
Figure 0007003930000024
表F2において、石炭成型燃料200の圧壊強度は、JIS Z 8841-1993の「3.1 圧壊強度試験方法」に基づいて測定した。また、見掛密度は、JIS Z 8807の「8. 液中ひょう量法による密度及び比重の測定方法」に基づいて測定した。
表F2より、実施例F1は、石炭粒子4の全水分および粒度分布が比較例F1と同等であるものの、成型工程40の入口での石炭粒子4の温度を90℃としたことによって、成型工程40の入口での石炭粒子4の温度を25℃とした比較例F1と比較し、圧壊強度がほぼ2倍となったことが分かる。このことから、成型工程40の入口での石炭粒子4の温度を90℃とすること、言い換えれば、石炭粒子4を90℃で成型することによって、高い圧壊強度を有し、ハンドリング性に優れた石炭成型燃料200を製造できるということがいえる。
[実施例F2および3]
(実施例F2-1)
原料となる石炭として、インドネシア産の褐炭であるBM1炭を用い、篩工程70を実施しないこと以外は図6-1に示す工程に従って石炭成型燃料200を製造した(ただし、乾燥工程30→粉砕工程20の順)。
破砕工程10は、実施例F1と同様に実施した。次いで、乾燥工程30では、スチームチューブドライヤを用い、全水分が10~15%になるように、破砕石炭2を乾燥させ、乾燥石炭3’を得た。次に、粉砕工程20では、ボールミルを用いて乾燥石炭3’を平均粒子径が20~30μmになるように粉砕し、石炭粒子4を得た。
次に、得られた石炭粒子4を成型工程40に供給し、成型体5を得た。成型工程40では、図6-4に示したような、一対の加圧板401、402、一対の型403、404および加圧板401、402に内蔵されたヒータを有する、温度調整可能なタブレットマシンを用いた。各型403、404はそれぞれコア型およびキャビティ型を構成し、キャビティ型(404)は、内径が14mmの円筒形のキャビティを有していた。なお、使用したタブレットマシンは、上側の加圧板401が固定圧縮盤、下側の加圧板402が可動圧縮盤であり、下側の加圧板402の上昇によりキャビティ406内の粉体の圧縮成型が成される構造となっている。
まず、型403、404を開いた状態で、型温度測定用の熱電対407によって型403、404の温度を測定し、温度が60℃に達した時点で石炭粒子4をキャビティ406に投入した。石炭粒子4の投入後、型403、404を閉じ、原料温度測定用の熱電対408をキャビティ406内に前進させて石炭粒子4の温度を測定した。
原料温度測定用の熱電対408で測定された温度、すなわち石炭粒子4の温度が60℃に達した時点で熱電対408を後退させ、その後、加圧板402を上昇させ、キャビティ406内の石炭粒子4を圧縮成型した。圧縮成型条件は、成型圧力が1.9t/cm、加圧時間が1分、加圧下の保持時間が1分であった。ここで、「加圧時間」は、加圧開始から成型圧力に達するまでの時間をいい、「加圧下の保持時間」は、成型圧力に達した後、その成型圧力を保持している時間をいう。
圧縮成型後、型403、404を開いてタブレット状(円柱状)の成型体5を取り出し、これを石炭成型燃料200とした。
(実施例F2-2)
圧縮成型時の石炭粒子4の温度を80℃とした以外は実施例F2-1と同様にして石炭成型燃料200を得た。
(比較例F2)
圧縮成型時の石炭粒子4の温度を20℃とした以外は実施例F2-1と同様にして石炭成型燃料200を得た。
(実施例F3-1)
原料である石炭1として、インドネシア産の褐炭であるRM炭を用いた以外は実施例F2-1と同様にして石炭成型燃料を得た。
(実施例F3-2)
原料である石炭1として、インドネシア産の褐炭であるRM炭を用いた以外は実施例F2-2と同様にして石炭成型燃料200を得た。
(比較例F3-1)
原料である石炭1として、インドネシア産の褐炭であるRM炭を用いた以外は比較例F2と同様にして石炭成型燃料200を得た。
(比較例F3-2)
圧縮成型時の石炭粒子4の温度を40℃とした以外は比較例F3-1と同様にして石炭成型燃料200を得た。
(評価)
以上の各実施例および比較離で得られたタブレット状の石炭成型燃料200を、大気中で3分間放置した後、ジッパー付きサンプル袋に保管した。石炭成型燃料200は、成型直後(型から取り出した直後)のサンプル、およびサンプル袋に保管して1日経過後のサンプルについて品質評価を行った。石炭粒子4の代表的な物性、成型工程40の代表的な成型条件、および得られた石炭成型燃料200の品質評価結果を表F3に示す。
Figure 0007003930000025
表F3において、石炭成型燃料200の引張強度は、JIS Z 8841-1993の「3.1 圧壊強度試験方法」で用いる、図6-6に示すような、固定圧縮盤501および可動圧縮盤502を有する試験機を用いた。試験に先だって、サンプルである石炭成型燃料200の直径d(mm)および高さL(mm)をノギス等で測定した。次いで、石炭成型燃料200を、図6-6に示す姿勢で固定圧縮盤501の固定圧縮面501aの中央部に設置した。この状態で可動圧縮盤502を10mm/minで下降させ、石炭成型燃料200に荷重をかけた。石炭成型燃料200が完全に破壊するまでの荷重の最大指示値を記録し、これを石炭成型燃料200の圧壊強度P(N)とした。得られた圧壊強度を用い、以下の式により引張強度を算出した。
Figure 0007003930000026
また、見掛密度はJIS Z 8807の「8. 液中ひょう量法による密度及び比重の測定方法」に基づいて測定した。全水分の測定は、仕込み乾燥重量が不変であるという前提のもと、各時点経過時の試料の重量を測定し、以下の式(2)によって求めた。
(wt1-wload×(1-m/100))/wt1×100 ・・・式(2)
ここで、wt1は所定時間経過時の試料の重量、wloadは仕込み原料湿重量、mは成型直前の原料全水分である。
図6-7に、成型工程入口温度と引張強度との関係を示し、図6-8に、成型工程入口温度と見掛密度との関係を示す。
以上の結果より、全水分および粒度分布がほぼ一定の条件で製造した石炭成型燃料200においては、成型工程入口温度が20~80℃の範囲では、温度が高いほど石炭成型燃料200の引張強度および見掛密度が高くなることが分かった。引張強度および見掛密度が高くなることによって、ハンドリング性に優れた石炭成型燃料200を得ることができる。この傾向は、原料である石炭1の銘柄が異なっても同様である。
[実施例F4]
(実施例F4-1)
以下の点を除いて実施例F2-1と同様にして石炭成型燃料200を得た。
(a)石炭1としてインドネシア産の褐炭であるBM2炭を用いた。
(b)破砕工程10ではジョークラッシャ、ダブルロールクラッシャの順に処理し、平均粒子径が3mm以下になるように石炭1を破砕した。
(c)乾燥工程30ではスチームチューブドライヤを用い、全水分23%になるように破砕石炭2を乾燥させた。
(d)成型工程40で用いたタブレットマシンは、内径が20mmの円筒形のキャビティを有していた。
(e)成型工程40では、圧縮成型時の石炭粒子4の温度を115℃とした。
(f)成型工程40では、成型圧力を1t/cmとした。
(実施例F4-2)
圧縮成型時の石炭粒子4の温度を130℃とした以外は実施例F4-1と同様にして石炭成型燃料200を得た。
(実施例F4-3)
乾燥工程出口における石炭粒子4の全水分が17.0%であること以外は実施例F4-1と同様にして石炭成型燃料200を得た。
(比較例F4)
乾燥工程出口における石炭粒子4の全水分が16.0%であること、および成型工程40において型を加熱しなかった(20℃)こと以外は実施例F4-1と同様にして石炭成型燃料200を得た。
(評価)
以上の各実施例および比較例で得られたタブレット状の石炭成型燃料200について品質評価を行った。品質評価は、石炭成型燃料200を型から取り出した直後の時点、および型から取り出して大気中で10分間放置し、その後、ジッパー付きサンプル袋に保管し、1日経過後の時点で行い、それぞれの時点について評価用のサンプルを用意した。石炭粒子4の代表的な物性、成型工程40の代表的な成型条件、および得られた石炭成型燃料200の品質評価結果を表F4に示す。
Figure 0007003930000027
表F4において、全水分および見掛密度は、実施例F2および3での評価と同様にして求めた。浸漬水分については、測定用のサンプルを水中に浸漬し、浸漬開始から7日間経過した時点でサンプルを回収し、表面に付着した水分をウエス等の布で除去し、その後、JIS M 8820-0(石炭類及びコークス類-ロットの全水分測定方法)に記載の石炭類の全水分測定方法に基づいて測定し、その値を浸漬水分とした。
表F4より、各実施例および比較例とも、成型直後から1日後までの間に全水分が低下することが確認された。見掛密度については、比較例は成型直後から1日後までの間に、比較例は低下したが各実施例は増加したことが確認された。このことから、各実施例については、成型直後から1日経過すると、全水分が低下したため、石炭成型燃料200が収縮することが分かる。また、浸漬水分について、比較例は成型直後の浸漬水分の測定が不可能であったが、各実施例とも成型直後から1日後までの間に浸漬水分が低下することが確認された。浸漬水分が低下することは、耐水性が改善されることを意味する。浸漬水分の値は、実施例F4-1と実施例F4-2との比較では、115℃で成型した場合と130℃で成型した場合との間に優位差は確認できなかった。ただし、これら実施例F4-1および実施例F4-2は比較例F4と比較して浸漬水分(1日後)が著しく小さく、このことから、石炭粒子4を加熱成型することで、耐水性に優れた石炭成型燃料200を製造できるといえる。
[実施例F5]
(実施例F5-2)
以下の点を除いて実施例F2-1と同様にして石炭成型燃料200を得た。
(a)破砕工程10ではジョークラッシャ、ダブルロールクラッシャの順に処理し、平均粒子径が3mm以下になるように石炭1を破砕した。
(b)乾燥工程30では、箱型乾燥機を用いて、乾燥時間を調整して全水分の異なる4種類の乾燥石炭3’を得た。得られた乾燥石炭3’をそれぞれ粉砕工程で粉砕して、全水分11.1~17.5%の石炭粒子4を、(実施例F5-2-1)~(実施例F5-2-4)とした。
(c)成型工程40では、成型圧力を1.95t/cmとした。
(実施例F5-3)
圧縮成型時の石炭粒子4の温度を80℃とした以外は実施例F5-2と同様にして、全水分の異なる石炭粒子4から4種類の石炭成型燃料200を得た((実施例F5-3-1)~(実施例F5-3-4))。
(実施例F5-4)
圧縮成型時の石炭粒子4の温度を95℃とした以外は実施例F5-2と同様にして、全水分の異なる石炭粒子4から4種類の石炭成型燃料200を得た((実施例F5-4-1)~(実施例F5-4-4))。
(比較例F5-1)
圧縮成型時の石炭粒子4の温度を30度とし、全水分を10.5~17.5%とした以外は実施例F5-2と同様にして、全水分の異なる石炭粒子4から5種類の石炭成型燃料200を得た((比較例F5-1-1)~比較例F5-1-5))。
(評価)
以上の各実施例および比較例で得られたタブレット状の石炭成型燃料200について品質評価を行った。品質評価は、石炭成型燃料200を型から取り出して大気中で5分間放置し、その後、ジッパー付きサンプル袋に保管し、1日経過後の時点で行った。石炭粒子4の代表的な物性、成型工程40の代表的な成型条件、および得られた石炭成型燃料200の品質評価結果を表F5~表F8に示す。
Figure 0007003930000028
Figure 0007003930000029
Figure 0007003930000030
Figure 0007003930000031
表F5~8において、全水分、浸漬水分および見掛密度は、実施例F4での評価と同様にして求めた。また、図6-9に、表F5~8に示した全水分と浸漬水分との関係をグラフで表した。
図6-9より、成型時の石炭粒子4の温度が高いほど浸漬水分が低下しており、このことから、成型時の石炭粒子4の温度が高いほど、得られる石炭成型燃料200の耐水性をより向上させることができることが分かる。
<<パートGの実施例>>
以下、パートGの発明の一形態について、実施例に基づきさらに詳細に説明する。ただし、パートGの発明は下記実施例の内容に限定されるものではない。
<実施例G、比較例G>
インドネシア産褐炭であるB炭を原料として実施形態Gにて製造した。第1破砕工程10のハンマークラッシャで平均粒径10mm以下に破砕した。乾燥工程20ではスチームチューブドライヤを用い全水分15%に乾燥した。粉砕工程30ではローラミルを用い、平均粒子径25μmに粉砕した。
原料であるインドネシア産のB炭(褐炭)の性状を表G1に示す。表G1中、ARは到着ベース、ADは気乾ベース、DBは無水ベースを示す(JIS M8810)。また、表G1には、工業分析値(気乾ベース)に基づき算出された燃料比、高位発熱量および元素分析の結果をそれぞれ示す。なお表G1における工業分析値、元素分析値はJIS M8812、8813、8814に基づく。表G1中、GAR、GAD、DAFは、それぞれ到着ベース高位発熱量、気乾ベース高位発熱量、無水無灰ベース高位発熱量を示す(JIS M8810)。HGI(ハードグローブ指数)はJIS M 8801の「7.粉砕性試験方法(ハードグローブ法)」に基づき測定した。
Figure 0007003930000032
第1成型工程40は垂直供給方式のブリケットマシンを用いた。ブリケットマシンのロール径は520mm、ロール巾は236mmである。2つのロールのうち片方は平面であり、もう片方にポケットが彫られている。ポケットのサイズは横6mm×縦9mm×深さ1.57mmの形状A(中小粒ブリケット71用)と横2.5mm×縦8mm×深さ0.6mmの形状B(極小粒ブリケット72用)の2種があり、ロール1個当り形状Aが5244個、形状Bが184個配列されている。
なお第1成型工程40において形状Aと形状Bの2種類のポケット設けた理由は単に成型量を稼ぐためのものである。中小粒及び極小粒ブリケット71,72の成型は後述の第2成型工程40aにて行われる。ポケットA、Bの一例を図7-2に示す。
形状Aの1個あたりの容積は0.035cmであり、形状Bの1個当たりの容積は0.0048cmである。ブリケットマシンのロール間の隙間は設計下限である1mmとした。ロール線圧を0.5t/cmに維持するよう、ロールおよびスクリュの回転数を調整した。得られた第1成型体5は片面にロール形状由来の凸部を含む板状であった。
第2破砕工程10aでは、得られた第1成型体5をハンマークラッシャで平均粒子径0.1mmに破砕した。この第2破砕工程10aの下流側において小粒ブリケット7を成型する第2成型工程40aと、大粒ブリケット7’を成型する第3成型工程61に分岐する。
第2成型工程40aでは、得られた破砕物6をブリケットマシンで成型した。第2成型工程40aでは第1成型工程40と同じ仕様の垂直供給方式のブリケットマシンを用い、ロール線圧を7t/cmに変えたことを除き、第1成型工程40と同じ条件で製造した。この第2成型工程40aにおいて小粒ブリケット7(中小粒及び極小粒ブリケット71,72)が得られる。
第3破砕工程45Aでは、得られた小粒ブリケット7の板状成型体をロールクラッシャで30mm以下に破砕した。ロールクラッシャはロール表面に15mmの突起を有するものを使用し、過度な破砕が起きないようロール間の隙間を5mmとした。
研磨工程60において、破砕された小粒ブリケット7を研磨機で研磨した。用いた研磨機は回転する外筒の内部に外筒とは逆方向に回転する内筒を配置しかつ内筒は外筒の中心軸からずれた位置に配置され、内筒および外筒の内面は複数の突起物を配備している。内筒が外筒の中心軸からずれて配置されているため、板状成型物に含まれる低強度(低密度)の成型体を比較的選択的に削り落とすことができる。また、内筒と外筒の回転が相反しているため、処理時間が短くなる。
第3成型工程61ではブリケットマシンを用いて大粒ブリケット7’を成型した。第3成型工程61のブリケットマシンは垂直供給方式であり、ロール径が520mm、巾は120mmである。第3成型工程61では、2つのロールのうち片方は平面であり、片方にポケットが彫られている。ポケットサイズは横38mm×縦38mm×深さ10mmの形状であり、ロール1個当たり80個配列されている。第3成型工程61におけるポケットの一例を図7-3に示す。ポケット1個当たりの容積は8.08cmである。
篩工程70では小粒ブリケット7(破砕・研磨済み)と大粒ブリケット7’の混合物を目開き3.35mmの篩にかけた。第3破砕工程45Aで破砕され研磨工程60で研磨された小粒ブリケット7は不定形の粒状物(板状成型体が分断されたもの)と研磨で生じた粉の混合物であり、この粉を除去するものである。また篩にかけることで大粒ブリケット7’の研磨も行われる。
散水工程91では篩工程70の篩上として得られた小粒ブリケット7及び大粒ブリケット7’の混合物に対し散水を行なった。散水工程91ではベルトコンベア上に散水装置を設置し、小粒ブリケット7及び大粒ブリケット7’の混合物の全水分が20%になるように搬送量および全水分に合わせて散水量を調整するものである。この散水工程91により小粒ブリケット7は小粒改質炭100となり、大粒ブリケット7’は大粒改質炭200となる。
得られた小粒改質炭100(比較例G1)、大粒改質炭200(比較例G2)、及びインドネシア産亜瀝青炭(比較例G3)の性状を表G2に示す。
小粒改質炭100は全量が篩目10mmの篩を通過しかつ3.35mmの篩上に残った。また大粒改質炭200は全量が篩目35mmの篩を通過し、全量が26.5mmの篩上に残った。見掛密度は散水工程91として小粒及び大粒改質炭100,200の全水分を20%に調整した後に測定した。
Figure 0007003930000033
小粒改質炭100は、全量が篩目10mmの篩を通過しかつ全量が篩目3.35mmの篩上に残ったため、小粒改質炭100の粒径は、両篩目の平均値である6.7mm(=(10+3.35)÷2)とした。
大粒改質炭200は、全量が篩目35mmの篩を通過しかつ全量が篩目26.5mmの篩上に残ったため、大粒改質炭200の粒径は、両篩目の平均値である30.8mm(=(35+26.5)÷2)とした。
[自然発熱性]
ハンドリング性を評価するため、小粒改質炭100、大粒改質炭200、改質炭混合体300及びインドネシア産亜瀝青炭を試料として自然発熱性評価を行った。なお、小粒改質炭100、大粒改質炭200、及び改質炭混合体300については、いずれも散水工程91で水分を調整し、全水分20%としたものを評価した。インドネシア産亜瀝青炭については、国内港で荷揚げした際の全水分(すなわち流通しているものの水分)である28.3%のまま評価した。
その後、図7-4に示す構成を有する試験装置の恒温層内部にある反応器に全水分調整後の試料約1kgを投入した。試験装置は、恒温槽と、恒温槽内に配置された反応器とを備える。反応器の内径は108mm×高さ225mmである。反応器には、窒素ボンベおよび空気ボンベが接続されたガス供給管が連結されて、試料下方よりガスが供給される。ガス供給管を介して供給されるガスは三方コックにより切り替えることができる。また、ガス供給管には流量計が設けられ、ガス供給管を流れるガスの流量を制御する。また、反応器入口には供給ガスを予熱する加熱管を有し、反応器内には温度計が設置されている。さらに、反応器出口には、ガス濃度計が設置されたガスサンプリング管が連結されている。
反応器内へ試料を投入した後、窒素ガスにて反応器内の試料を80℃に昇温した。80℃に昇温した後、ガスを空気(50mL/min)に切り替え、所定時間(300分)反応後のガス濃度(O濃度、CO濃度、CO濃度)を測定し、下記式(1)により単位時間、単位試料重量当たりの酸素吸着・酸化反応により発生する熱量相当の自然発熱性指数SCI(Spontaneous Combustion Index)を算出した。
式(1)中の[CO]、[CO]は出口濃度から算出する単位時間、単位試料重量当たりのCO、CO生成量(単位:mL/(kg・min))、[O]は入口O流量、及び出口ガスのO、CO、CO濃度の収支から求められる単位時間、単位試料重量当たりのO吸着量(単位:mL/(kg・min))を示す。また[H]、[C]は試料の元素分析値(絶乾基準、単位:%-Dry Basis)である。

SCI=O吸着熱+CO生成熱+CO生成熱 式(1)
=[O]×(-2.53)+
[CO]×(3.94+2.86×([H]/([C]/12))/2)+
[CO]×(1.11+2.86×([H]/([C]/12))/2)
SCIの許容値(判断基準)は、通常取り扱っている一般炭の中で、特に自然発熱リスクが高いインドネシア産亜瀝青炭のSCI測定値(12.0)を超えないものを問題ないと判断した。
[カロリー密度]
また、輸送効率を評価するため小粒改質炭100、大粒改質炭200、改質炭混合体300及びインドネシア産亜瀝青炭を試料としてカロリー密度を測定した。カロリー密度は式2により求めた。かさ密度は実測値であるが、試料発熱量は式3を用い、原炭(原料となるB炭)の発熱量、全水分および試料の全水分から求めた計算値である。改質炭の製造プロセスでは化学的な処理はなく、発熱量の変動要因は全水分のみであるため、試料の発熱量は原炭の発熱量の水分補正で計算できると考える。
(式2)カロリー密度 = 試料かさ密度 × 試料発熱量
(式3)試料発熱量 = 原炭のGAR発熱量 × (100-試料の全水分)÷(100-原炭の全水分)
なお式2の試料かさ密度は、下記の方法により測定した(図7-5参照)。
質量が既知である2リットルのビーカー(外径135mm、高さ203mm)に、ビーカーの7~8分目程度に相当する質量既知である試料Mを衝撃を加えないように投入する(図7-5(a))。
試料の最上面が下がらなくなるまでビーカー全体をタッピング(上下に振動)する。その後、試料表面が平らになるようにならし、試料の最上面の位置をビーカー外周にマーキングし、標線Mとする(図7-5(b))。
ビーカーから試料を取り出し、ビーカーを水洗したのち、Mの位置まで水を投入し(図7-5(c))、ビーカーの質量を計測する。ビーカーの風袋を差し引き、投入した水の質量を計量し、水の密度が1kg/リットルとして質量から体積を求め、これを標線Mにおける試料Mの体積Vとする。
(式4)を用いて、かさ密度を計算した。
試料かさ密度= 試料Mの質量 ÷ V
小粒改質炭100と大粒改質炭200の質量比率を変更しながら実施例G1~6の改質炭混合体300を作成した。また、実施例G1~6の改質炭混合体300につき測定された自然発熱性指数、カロリー密度及びその他の性質を下記表G3に示す。表G3の全水分及びGAR発熱量(表G3における各例の全水分ベースの高位発熱量)はB炭と同様にJIS M8812、8813、8814に基づく。また表G3では小粒改質炭100(比較例G1)、大粒改質炭200(比較例G2)、及びインドネシア産亜瀝青炭(比較例G3、表G2のものと同じ)についても併せて示す。
Figure 0007003930000034
褐炭の改質炭を既存の石炭インフラで特別の改良をすることなく利用するためには、亜瀝青炭と同等または優れたカロリー密度と自然発熱性を有することが求められる。一般に発電所等のボイラでは所定値以上のカロリー密度が要求されるとともに、ハンドリング性確保のため所定値以下の自然発熱性が要求されるからである。
比較例G1(小粒改質炭100)は、比較例G3(インドネシア産亜瀝青炭)と比べ自然発熱性指数が低く輸送時の発熱の可能性も低いが、カロリー密度が比較例G3よりも低いため、同一カロリーを得るための量が比較例G3よりも多くなり、輸送コストが高くなる。またカロリー密度が低いため、石炭火力発電所において利用する際に熱負荷低下(ボイラ所定の熱量が得られない)のおそれがある。
比較例G2(大粒改質炭200)は比較例G3(インドネシア産亜瀝青炭)と比べ自然発熱性指数が高く輸送時の発熱のおそれが大きい。またカロリー密度が比較例G3よりも低いため、同一カロリーを得るための量が比較例G3よりも多くなり、輸送コストが高くなる。同様に石炭火力発電所において利用する際に熱負荷低下のおそれがある。以上より、比較例G1および比較例G2は、既存の石炭インフラで利用するために必要な特性(比較例G3のインドネシア産亜瀝青炭相当の自然発熱性とカロリー密度)を満たしていない。
[カロリー密度]
実施例G1~6について、大粒改質炭200の質量比率とカロリー密度との関係を図7-6に示す。大粒改質炭200の質量比率が50wt%以上80wt%以下の範囲において、比較例G3のインドネシア産亜瀝青炭(破線)と同等以上のカロリー密度となる。
[自然発熱性指数]
また実施例G1~6について、大粒改質炭200の質量比率と自然発熱性指数との関係を図7-7に示す。大粒改質炭200の質量比率が0wt%超過87wt%以下の範囲において、比較例G3のインドネシア産亜瀝青炭(一点鎖線)と同等以下の自然発熱性指数となるため、この範囲内では輸送時における発熱リスクが、比較例G3のインドネシア産亜瀝青炭と同等か比較例G3のインドネシア産亜瀝青炭よりも小さくなる。
上記2つの指標(カロリー密度、自然発熱性指数)をいずれも満たす大粒改質炭200の質量比率は0wt%超過90wt%以下、好ましくは50wt%以上80wt%以下であり、この範囲になるように改質炭混合体300を製造することで、亜瀝青炭と同等の輸送効率(カロリー密度)とハンドリング性(自然発熱性)を得ることができ、既存の石炭インフラで特別な改造を要さずとも亜瀝青炭と同等に取り扱うことができる。

Claims (10)

  1. 石炭を破砕する破砕工程と、
    前記破砕工程で破砕された石炭を乾燥させる乾燥工程と、
    前記乾燥工程で乾燥した石炭を粉砕して石炭粒子を得る粉砕工程と、
    前記粉砕工程で得られた前記石炭粒子を板状に成型して板状の中間成型体を得る成型工程と、
    前記成型工程で得られた前記中間成型体を分断して板状の分断物を得る分断工程と、
    前記分断工程で得られた前記板状の分断物を研磨して、研磨体を含む中間研磨体を得る研磨工程と、
    前記研磨工程で得られた前記中間研磨体に含まれる粉末を除去する篩工程と、
    を有し、
    前記粉砕工程で得られる前記石炭粒子の平均粒子径は10~60μmであって、
    前記研磨工程で得られ、前記篩工程で前記粉末が除去された前記研磨体を石炭成型燃料とすること
    を特徴とする石炭成型燃料の製造方法。
  2. 請求項1に記載の石炭成型燃料の製造方法において、
    前記分断工程ではロールクラッシャを用いて前記中間成型体を分断すること
    を特徴とする石炭成型燃料の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の石炭成型燃料の製造方法において、
    前記研磨工程では、外筒と、前記外筒の内側に前記外筒に対して偏心して配置され、前記外筒に対して相対回転するロータとの間で前記板状の分断物を研磨すること
    を特徴とする石炭成型燃料の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の石炭成型燃料の製造方法において、
    前記板状の中間成型体のかさ密度をDA、前記研磨体のかさ密度をDBとしたとき、DB/DA=1.1~1.2であること
    を特徴とする石炭成型燃料の製造方法。
  5. 請求項1に記載の石炭成型燃料の製造方法において、
    前記石炭粒子の平均粒子径が10~60μmであり、
    前記石炭成型燃料は、
    水分が5~20wt%、見掛密度が1.2~1.4g/cm3、かさ密度が0.6~0.9であり、かつ、
    平滑な成型面が転写された平滑面、および破断面、の2種類の表面を有する第1破断片と、
    凹凸を有する成型面が転写された凹凸面、および破断面、の2種類の表面を有する第2破断片と、
    前記平滑面、前記凹凸面、および破断面、の3種類の表面を有する第3破断片と、
    表面は破断面のみである第4破断片と、
    のうちいずれか1種以上の混合物であること
    を特徴とする石炭成型燃料の製造方法
  6. 請求項5に記載の石炭成型燃料の製造方法において、
    前記第3破断片は、
    前記平滑面と前記凹凸面とが互いに対向する第3A破断片と、
    前記平滑面と前記凹凸面とが同一面内で隣接し、かつ、その対向面は破断面である第3B破断片と、
    を有し、
    前記第3A破断片における前記平滑面と前記凹凸面との厚みは4.0~13.0mmであること
    を特徴とする石炭成型燃料の製造方法
  7. 請求項5に記載の石炭成型燃料の製造方法において、
    前記第1破断片は、
    前記平滑面同士が互いに対向する第1A破断片と、
    前記平滑面の対向面が前記破断面である第1B破断片と、
    を有し、前記第1A破断片における前記平滑面同士の厚みは2~10mmであること
    を特徴とする石炭成型燃料の製造方法
  8. 請求項1に記載の石炭成型燃料の製造方法によって得られた石炭成型燃料であって、
    前記石炭粒子の平均粒子径が10~60μmであり、
    水分が5~20wt%、見掛密度が1.2~1.4g/cm3、かさ密度が0.6~0.9であり、かつ、
    平滑な成型面が転写された平滑面、および破断面、の2種類の表面を有する第1破断片と、
    凹凸を有する成型面が転写された凹凸面、および破断面、の2種類の表面を有する第2破断片と、
    前記平滑面、前記凹凸面、および破断面、の3種類の表面を有する第3破断片と、
    表面は破断面のみである第4破断片と、
    のうちいずれか1種以上の混合物であること
    を特徴とする石炭成型燃料。
  9. 請求項8に記載の石炭成型燃料において、
    前記第3破断片は、
    前記平滑面と前記凹凸面とが互いに対向する第3A破断片と、
    前記平滑面と前記凹凸面とが同一面内で隣接し、かつ、その対向面は破断面である第3B破断片と、
    を有し、
    前記第3A破断片における前記平滑面と前記凹凸面との厚みは4.0~13.0mmであること
    を特徴とする石炭成型燃料。
  10. 請求項8に記載の石炭成型燃料において、
    前記第1破断片は、
    前記平滑面同士が互いに対向する第1A破断片と、
    前記平滑面の対向面が前記破断面である第1B破断片と、
    を有し、前記第1A破断片における前記平滑面同士の厚みは2~10mmであること
    を特徴とする石炭成型燃料。
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