JPH09143201A - セルロース微粒子の製造方法 - Google Patents

セルロース微粒子の製造方法

Info

Publication number
JPH09143201A
JPH09143201A JP30401895A JP30401895A JPH09143201A JP H09143201 A JPH09143201 A JP H09143201A JP 30401895 A JP30401895 A JP 30401895A JP 30401895 A JP30401895 A JP 30401895A JP H09143201 A JPH09143201 A JP H09143201A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pulp
cellulose
particle size
water
fine particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP30401895A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Suenaga
浩 末永
Yoshihiro Yoshimura
至弘 吉村
Hisao Ishikawa
久夫 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oji Paper Co Ltd filed Critical Oji Paper Co Ltd
Priority to JP30401895A priority Critical patent/JPH09143201A/ja
Publication of JPH09143201A publication Critical patent/JPH09143201A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Paper (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 化学的処理を施すことなく、簡便に、平均粒
径が1〜100μmのセルロース微粒子を得る方法を提
供。 【解決手段】 JAPAN TAPPI No.26-78により規定される
保水度が、210〜400%の微細繊維化パルプをパル
プ濃度0.5〜5%のパルプスラリーの状態で噴霧乾燥
処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、微細繊維化パル
プを使用して、平均粒径が1〜100μmのセルロース
微粒子を製造する方法に関するものである。さらに詳し
く述べるならば、本発明に係るセルロース微粒子は、ろ
過材、ろ過助剤、イオン交換体の担体、クロマトグラフ
ィー用充填材、ゴム・プラスチックの配合用充填剤、感
圧記録紙用充填剤等多様な分野で使用可能なものであ
る。
【0002】
【従来の技術】 現在、セルロース粒子として知られて
いるものは、大きく分けると、セルロース原料を溶解処
理またはセルロース誘導体を作製した後に粒子を作製す
る方法と、セルロース原料を機械的に粉砕処理する方法
とに分けられる。
【0003】セルロース原料を溶解処理またはセルロー
ス誘導体を作製した後に粒子を作製する方法は、古くか
ら研究され、報告されている。例えば、ビスコースを凝
固再生浴中に粒状で落下させて凝固再生を行い、16〜
170メッシュの多孔性再生セルロースの粒子を得る方
法(特開昭48−60753号公報)や、ヒドロキシプ
ロピルセルロース等のセルロース誘導体のゲル微粒子か
ら球状粒子を得る方法(特開平1−152103号公
報)などがある。しかし、これらの微粒子は湿潤状態で
供給されるため、乾燥状態で使用する際、乾燥時に粒径
や比表面積の減少などの物性が変化するという問題や、
化学処理を伴うため、製造工程が複雑となるという問題
があり、これらの化学的処理を施したセルロース粉末
は、その製造工程故に時間とコストがかかり、高価なも
のとなっているのが現状である。
【0004】一方、木材パルプを原料として粉砕処理さ
れた代表的な粉粒体としては、一般にセルロース粉末と
総称されているものがある。このセルロース粉末を製造
方法によって、大きく分けると次の三つに分類すること
ができる。
【0005】第一の方法として、パルプシートまたは紙
を粉砕して得られる粉砕パルプあるいはパルプ綿があ
る。パルプ綿は、パルプを衝撃式粉砕機等によって解砕
して得られるものであるが、繊維の切断はほとんど起こ
らないため、形状は綿状であり、繊維長は1〜5mm程
度である。これは縮合型合成樹脂の充填剤や、紙おむつ
や生理用ナプキンの吸収性部材、壁用材料などに用いら
れている。
【0006】第二の方法として、パルプ繊維、特にパル
プ製造工程で排出される微細な繊維を乾燥状態で機械的
に粉砕することによって得られるセルロース粉末があ
る。現在このような粉末は、粉砕する際の添加助剤や粉
砕方法の違いによって多種多様なものが市販されてい
る。このうち代表的なセルロース粉末の製法の一例を挙
げるならば、広葉樹の木材繊維の構成要素のうちの柔細
胞を主体とした原料を用いて、溶解パルプを製造する際
の精製工程において分別された微細繊維を凝集し、スー
パーデカンターで脱水した後、乾燥、粉砕、分級して得
られるものがある。一般に、セルロース繊維は柔軟であ
るため、機械的処理によって長繊維のパルプから微粉砕
して製造するのは困難であり、種々の方法が提案されて
いる。たとえば、特開昭48−30752号公報には、
セルロースをテトラヒドロフラン中で処理することによ
り繊維を脆くして、乾燥状態において粉砕しやすくする
方法が記載されている。また特開昭48−56745号
公報には、乾燥状態のセルロースを粉砕する際の助剤と
して、多価アルコールの脂肪酸エステル系または窒素、
硫黄を含まない酸化エチレン系の非イオン界面活性剤を
添加する方法、特開昭48−56746号公報には、粉
砕助剤として炭素数10〜28の脂肪酸またはそのアル
カリ金属塩、アルカリ類金属塩を添加する方法、特開昭
48−56747号公報には、粉砕助剤として特殊なシ
リコーンオイルを添加する方法が記載されている。その
他の方法として、熱処理によって角質化したパルプや凍
結したパルプを用いる方法、界面活性剤を添加する方法
等も提案されている。また、特公昭39−9099号公
報に示されているように、パルプをアルカリ処理するこ
とにより、非晶領域の繊維素のみを磨砕し、その後に中
和するという方法も提案されている。
【0007】第三の方法として、酸加水分解またはアル
カリ処理などの化学的な処理の後、粉砕、分級によって
得られるセルロース粉末がある。このような化学的処理
と機械的粉砕によるセルロース粉末が各種市販されてい
る。これらの市販されている粉末の形状は、繊維状から
桿状あるいは微紛状を示す。さらに、再生セルロースの
再生時に急速な力を加えて粉末状セルロースを再生する
方法も提案されている。用途としては感圧記録紙用の配
合剤に用いられ、マイクロカプセルと混合してカプセル
の凝集防止、ストリーク防止、製品のインキ汚れ防止、
鮮明さの増大等に使用されている。また化学的処理した
セルロース粉末の中には、原料セルロースの非晶部分を
完全に加水分解して除き、結晶部分のみからなるいわゆ
る微結晶セルロースを磨砕、乾燥したものがある。微結
晶セルロースはセルロース中の非結晶部分を加水分解す
ることにより得られる結晶部分のコロイドの集合体から
なるセルロース粉末であり、その大きさは長さ1μm、
幅50Å程度のものであり、このセルロース粉末は、コ
ロイドの性質を示す。
【0008】これら木材パルプを原料として粉砕処理し
て得たセルロース粉末は、一般に親水性であるが、水中
に分散させようとすると、膨潤し、繊維状のものは、元
のパルプスラリー状に戻ってしまう欠点があった。
【0009】従来のセルロース粉末は、繊維を乾燥状態
で切断するため、球状粒子を作製することが困難であ
り、不定形のものとなる。また乾燥状態における粉砕の
際に、粉砕助剤として、テトラヒドロフラン、多価アル
コールのエステル類などの薬品を添加しなければならな
い。このため、セルロース粉末の表面が疎水化され、水
中に再分散しにくいという欠点がある。
【0010】さらに、微結晶セルロース等は、非晶部分
を完全に加水分解しなければならず、設備と手間がかか
り、実際に大量に生産する際にコスト高となる問題があ
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】 本発明者らは、かか
る現状に鑑み、化学的処理を施すことなく、簡便に、平
均粒径が1〜100μmのセルロース微粒子を得る方法
を鋭意検討した結果、微細繊維化パルプの繊維長および
繊維幅を小さくし、かつこの微細繊維化パルプを含むパ
ルプスラリーを100〜300℃の温度で噴霧乾燥処理
することによって、微細繊維同士が強力な結合を作るた
めの特殊な薬品を用いることなく、水中に分散させても
容易に膨潤せず、安定な球状または不定形の形状のセル
ロース微粒子を製造する方法を見出し、本発明を完成す
るに至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】 本発明のセルロース微
粒子の製造方法は、JAPAN TAPPI No.26-78により規定さ
れる保水度が、210〜400%の微細繊維化パルプを
パルプ濃度0.5〜5%のパルプスラリーの状態で噴霧
乾燥処理し、平均粒径が1〜100μmとすることを特
徴とするものである。
【0013】本発明で使用される噴霧乾燥機(スプレー
ドライヤー)とは、スラリー状の原液を、遠心回転噴霧
機(ディスク式アトマイザー)、または、圧力ノズル、
二流体ノズル等の噴霧機により微粒子化させることによ
り表面積を増やして、100〜300℃の熱風との瞬間
的な接触によって液状微粒子を乾燥させて、固体微粒子
にする装置である。噴霧乾燥処理と同時に粒子が得られ
る場合には、噴霧乾燥造粒と呼ばれ、生産工程の簡素
化、連続化、品質管理等の面でも有効であるため、食
品、化学、医学、医薬、窯業等各方面で利用されてい
る。
【0014】微細繊維化パルプを噴霧乾燥すると、球状
の粒子が多く得られる理由については明らかではない
が、次のように考えられる。保水度が210〜400%
の微細繊維化パルプは、繊維長が短く、湿潤状態では繊
維幅も0.1〜10μmと小さいものとなっている。遠
心回転噴霧機(アトマイザー)のような噴霧機によっ
て、スラリー濃度0.5〜5%の範囲で微粒子化される
際に、このような細く短い繊維は、水媒体が多量にある
水中に分散されているスラリー状態であり、アトマイザ
ーのような噴霧機によって分散された前記スラリーの水
滴の中に1〜数本のパルプ繊維が存在する状態となり、
噴霧機を用いて水滴の粒径が小さくなるに伴い、水滴の
表面張力により内包されるパルプ繊維も水滴中に収まろ
うとする力が働くため、パルプ繊維が球状となる。この
状態で100〜300℃のドライヤー本体中に送り込ま
れた水滴中のパルプ繊維は、瞬時に乾燥する際、収縮を
起こすと同時に、パルプ繊維のフィブリル化された微細
構造によって、強固な水素結合が発生し、薬品を加える
必要が無く、水中でも元の繊維状の形状に戻らない安定
したセルロース微粒子となるものと考えられる。
【0015】製造されるセルロース微粒子の平均粒径を
小さくするには、原料となる微細繊維化パルプの繊維長
を短くし、フィブリル化も進行させて繊維幅を細くする
ことが好ましい。またアトマイザーのような噴霧機にお
ける微細繊維化パルプスラリーの噴霧化は、原料のパル
プスラリー濃度が低い方が、平均粒径が小さくなる。こ
こで、粘度との関係についてはスラリーの粘度が低いほ
ど、平均粒径が小さくなりやすいが、粘度が低すぎる
と、セルロース微粒子が紡錘状または繊維状になりやす
く、好ましくない。アトマイザーの回転速度は大きいほ
ど、細かい噴霧粒子が作製できる。
【0016】本発明で使用される微細繊維化パルプの保
水度は、210〜400%が好ましく、より好ましくは
280〜400%である。保水度はパルプ繊維などの繊
維の微細化の程度を表わしており、保水度が210%未
満では微細化の程度が充分でなく、繊維が太く、噴霧乾
燥処理をして得られた繊維が球状とはならず、平均粒径
が100μmより大きな粒子しか得ることができない。
保水度は高い程、微細化が進み、より細かい粒子を得る
には好ましいが、保水度が400%より高くなると、微
細化が進みにくくなり、実用的でない。
【0017】本発明に使用される微細繊維化パルプは、
パルプ繊維を微細化したものであり、保水度が210〜
400%のものである。このような微細繊維化パルプを
得るには、パルプ繊維の媒体攪拌ミル処理(特開平4−
18186号公報)、振動ミル処理(特開平6−102
86号公報)、高圧均質化装置での処理(特公昭60−
19921号公報、特公昭63−44763号公報)、
コロイドミル処理(特公昭63−94948号公報)等
により製造されるものであるが、このうち媒体攪拌ミル
は、固定した粉砕容器に挿入した攪拌機を高速で回転さ
せて、粉砕容器内に充填した、例えばガラスビーズやア
ルミナビーズのような媒体とパルプ繊維を攪拌し、剪断
応力によりパルプ繊維を粉砕する装置であり、粉砕方式
には塔式、槽式、流通管式、アニュラー式等があり、何
れも使用可能である。
【0018】また、振動ミルは、粉砕容器を高速振動さ
せて、容器内に充填されたビーズ、ボール、ロッド等に
よってパルプ繊維に衝撃力、剪断力等を作用させて粉砕
処理を行う装置であり、高圧均質化装置は、パルプ繊維
スラリーに高い圧力をかけることによって、小径オリフ
ィスの間を通過させて粉砕、分散させる装置であり、い
ずれもパルプ繊維を微細化することが可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】 本発明に用いる微細繊維化パル
プの原料としては、針葉樹や広葉樹をクラフト蒸解、ソ
ーダ蒸解あるいはサルファイト蒸解して得られる化学パ
ルプ、コットンパルプやリンターパルプ、古紙パルプ等
が挙げられ、これらの漂白パルプあるいは未漂白パルプ
を適宜選択し、単独あるいは混合して用いられるが、特
にこれらに限定されるものではない。
【0020】本発明のセルロース微粒子は、薬品が無添
加の状態で作製されても、水中で安定して存在するが、
さらに耐水性を改善するために、一般に製紙用途に用い
られている紙力増強剤を添加して製造してもよい。
【0021】この紙力増強剤としては、尿素−ホルムア
ルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリ
アミド−尿素−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン樹脂、ポ
リアミド−エピクロルヒドリン樹脂、ポリアミド−ポリ
アミンエピクロルヒドリン樹脂、グリセロール−ポリグ
リシジルエーテル樹脂、ポリエチレン樹脂等を挙げるこ
とができ、これらの紙力増強剤は、単独であるいは適宜
選択されて2種以上を併用してもよい。これらの紙力増
強剤を使用すると、耐水性が向上すると同時に、粒子の
膨潤を完全に押さえることができる。
【0022】さらにセルロース微粒子の疎水化を図る場
合には、撥水剤を微細繊維化パルプスラリーに添加し、
噴霧乾燥処理を行うと効果的である。撥水剤としては、
ワックス類、シリコーン系薬品、石油樹脂系薬品等を用
いることができる。
【0023】また、本発明のセルロース微粒子の粒径を
さらに小さくするには、微細繊維化パルプスラリー中に
分散剤を添加することが好ましい。分散剤としては、一
般に製紙およびその他の用途で使用されている界面活性
剤を使用することが可能であり、セルロース微粒子の粒
径と、水中での安定性を考慮して、分散剤の添加量をコ
ントロールする必要がある。
【0024】界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、アルキ
ルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩、アルキルベ
ンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステ
ル塩等のスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル
塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル
塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルエー
テルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等の
リン酸エステル塩等からなるアニオン性界面活性剤、脂
肪族アミン塩、脂肪族第4級アンモニウム塩、ベンザル
コニウム塩のような芳香族第4級アンモニウム塩、ピリ
ジニウム塩、イミダゾリニウム塩等の複素環第4級アン
モニウム塩等からなるカチオン性界面活性剤、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアル
キルフェニルエーテル等のエーテル型、ポリオキシエチ
レングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソ
ルビタン脂肪酸エステルなどのエーテルエステル型、ポ
リエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン
脂肪酸エステル等のエステル型、ポリオキシエチレン脂
肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の含
窒素型等からなるノニオン(非イオン)性界面活性剤が
挙げられるが、これらの中から1種あるいは2種以上を
適宜選択して用いても良い。
【0025】本発明で使用される噴霧乾燥機は通常、噴
霧器部、乾燥部、捕集部の3つの主要部分に分かれてお
り、そのほかポンプ、ブロワー、製品排出装置、空気輸
送装置、貯蔵槽などの付帯装置から構成されている。
【0026】噴霧器部の選定には、乾燥部の大きさのほ
か、材料の状態、乾燥粒の性状などを加味して考慮され
る。噴霧器の種類には、遠心力を利用して液を飛散させ
る回転円盤、液に旋回流を与えて噴霧する圧力ノズル、
あるいは空気などを用いて液流との相対速度を増加させ
て微粒子化する二流体ノズルの他、高電圧の静電気を与
えて液体分子を離散させる方法、つるまきバネを使用し
て液体に振動を与える方法、圧縮空気を用いて共鳴室に
より音波を発生させ、液流に振動を与えて微粒化する方
法などがある。いずれの方法を用いても良いが、微細繊
維化パルプの噴霧化には回転円盤による方法が特に好ま
しい。噴霧化の条件は、セルロース微粒子に大きな影響
を与える。すなわちパルプスラリー濃度はセルロース微
粒子の嵩密度、水分および粒度に影響を与えるばかりで
なく、乾燥能力にも直接関係するので、最も重要な因子
である。特に微細繊維化パルプの場合には、繊維の微細
化が進むほど、粘度が高くなりやすいため、パルプスラ
リーの濃度をコントロールする必要がある。またパルプ
スラリーの温度は直接、セルロース微粒子の嵩密度に及
ぼす影響は少ない。しかし、液温と粘性がセルロース微
粒子の平均粒径に関係がある場合もある。
【0027】乾燥部では、原料スラリーが噴霧状で送り
込まれた後、乾燥処理が行われるが、一般には乾燥塔と
呼ばれる容器の中に熱風を送り込む方法によって乾燥処
理が行われる。熱風が噴霧微粒子流と接触する方法に
は、水平並流型、垂直下降並流型、垂直上昇向流型、垂
直下降混合型、垂直上昇混合型等の方法があるが、適宜
選択して使用できる。熱風温度が、乾燥したセルロース
微粒子の嵩密度に与える影響は、使用する乾燥塔の形
式、熱風と液滴との混合方法、液滴径および原液の性質
によっても異なるが、一般には熱風入り口温度を上昇さ
せれば、乾燥したセルロース微粒子の嵩密度は減少す
る。
【0028】セルロース微粒子を捕集する一般的な方法
としては、サイクロン型捕集器がある。これは、乾燥さ
れたセルロース微粒子を含む排出ガスを乾燥塔より取り
出し、熱風とセルロース微粒子とをその遠心力の差を利
用して旋回流で分離する方法である。一つのサイクロン
型捕集器のみでも捕集可能であるが、二次、三次サイク
ロン等、複数のサイクロンを設置することによって、セ
ルロース微粒子の分級化や、選別を行うことができる。
また、別の方法としてバグフィルターを用いる捕集方法
がある。この場合には捕集装置によるセルロース微粒子
の分級化が困難であるため、製造されたセルロース微粒
子の分級が必要である場合には、スクリーン等の装置を
用いる必要がある。
【0029】乾燥状態にあるセルロース微粒子の分級方
法としては、サイクロン以外にも多様な方法が知られて
いるが、大きく分けると、ふるい分けによる方法と、風
力による分級法の二つの方法がある。ふるい分け法は、
ふるい網を用いる方法であり、ふるい分け機械(スクリ
ーン)には、網面固定式ふるい、面内運動式ふるい、回
転式ふるい、水平設置式振動ふるい、円運動型傾斜振動
ふるい、振動モーター式ふるい、円形振動ふるい、確率
ふるいなどがあるが、どの方式も使用することができ
る。風力分級法の原理は、流体に作用する重力、慣性
力、遠心力などが考えられるが、実際にはこれらのうち
二つ以上が同時に働くことによる分級方法が多い。具体
的には、重力によるものとして沈降室型分級機やたて型
風選機、慣性力によるものとしてV型分級機、慣性力と
重力によるものとしてジグザグ分級機、ルーバー型分級
機やエアセパレーター、遠心力によるものとして、サイ
クロンや井伊谷式分級機等があるが、本発明のセルロー
ス微粒子を分級して、目的の平均粒径を持つセルロース
微粒子を得るためには、いずれの分級機も使用可能であ
り、適宜選択して使用することができる。
【0030】本発明で、乾燥塔で使用される熱風の温度
としては、100〜300℃が好ましい。100℃未満
では、所定の時間内に噴霧処理された湿潤粒子が完全に
乾燥されず、また300℃より高いと、セルロース繊維
が高温のために黄ばんでしまう。より好ましくは150
〜250℃である。
【0031】
【実施例】 以下に実施例を挙げてより具体的に説明す
るが、勿論本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】実施例1 固形分濃度1%の広葉樹晒クラフトパルプの水スラリー
を、平均粒径2mmのガラスビーズを内容積の80%充
填した1.5リットル容のダイノミル装置(型式:KD
L−PILOT型、シンマル・エンタープライゼス製)
に350ml/分で導入し、通過させることにより微細
繊維化パルプを製造した。このパルプの保水度は280
%であった。
【0033】この微細繊維化パルプを遠心機で2%濃度
に濃縮した後、パイロットスケールのスプレードライヤ
ー(型式:OC−16型、大川原化工機製)にスラリー
を6kg/hrで供給した。微粒子製造方法としては、
ディスク式分散機(アトマイザー)を使用し、20,0
00rpmで回転させることによって微粒子化を行っ
た。ドライヤー本体での入口温度は200℃、出口温度
は140℃であった。
【0034】ドライヤー本体出口から出てきたセルロー
ス微粒子は、サイクロン型捕集器によって回収した。
【0035】得られたセルロース微粒子を顕微鏡で観察
したところ、球状の微粒子がほとんどであった。また少
量のセルロース微粒子を水10ccに分散させて放置
し、直後(2分後)、1時間後、1日後と経時的に顕微
鏡でセルロース微粒子の形状を観察したところ、著しい
膨潤もなく、また球状粒子がほぐれてもとの繊維状に戻
ることもなく、安定した形状であった。この水中に分散
されたセルロース微粒子をレーザー粒度分布計(型式:
SALD−1100、島津製作所製)にて粒度分布を測
定したところ、水分散直後の平均粒径は30.3μmで
あった。この粒度計で測定した、粒度分布の経時変化を
表1に示す。
【0036】本発明で用いた保水度は、JAPAN TAPPI N
o.26-78に準じ、ろ過器としてG3ガラスフィルターを
用いて測定した。
【0037】
【表1】
【0038】実施例2 ダイノミルに100ml/分の処理速度で、広葉樹晒ク
ラフトパルプ1%スラリーを供給すること以外は実施例
1と同様にして微細繊維化パルプを製造した。この微細
繊維化パルプの保水度は380%であった。
【0039】この微細繊維化パルプを遠心機で2.5%
に濃縮したのち、カチオン性界面活性剤(商標:ソフノ
ンSSK−15、東邦化学製)を有効成分換算で、絶乾
パルプ当たり5%添加し、パルプスラリーを濃度2%に
調製した。他は実施例1と同様に噴霧乾燥処理を施し
た。
【0040】得られたセルロース微粒子を顕微鏡で観察
したところ、実施例1と同様に球状であった。
【0041】少量のセルロース微粒子を水10ccに分
散させてレーザー粒度分布計(型式:SALD−110
0、島津製作所製)にて粒度分布を測定したところ、水
分散直後の平均粒径は15.3μmであった。この粒度
計で測定した粒度分布の経時変化を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】実施例3 実施例2と同様にして製造され、2.5%に濃縮された
微細繊維化パルプスラリーに、製紙用湿潤紙力増強剤
(商標:カイメンWS570、日本PMC製)を絶乾パ
ルプに対して1.0%添加し、水を加えてスラリー濃度
を2.0%に調製し、これを噴霧原料としたこと以外は
実施例2と同様にして噴霧乾燥処理を行った。
【0044】少量のセルロース微粒子を水10ccに分
散させてレーザー粒度分布計(型式:SALD−110
0、島津製作所製)にて粒度分布を測定したところ、水
分散直後の平均粒径は15.5μmであった。この粒度
計で測定した粒度分布の経時変化を表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】実施例4 実施例2と同様にして製造され、2.5%に濃縮された
微細繊維化パルプスラリーに、製紙用サイズ剤(商標:
SPK、荒川化学工業製)を絶乾パルプに対して1.0
%添加し、水を加えてスラリー濃度を2.0%に調製
し、これを噴霧原料としたこと以外は実施例2と同様に
して噴霧乾燥処理を行った。
【0047】少量のセルロース微粒子を水10ccに分
散させてレーザー粒度分布計(型式:SALD−110
0、島津製作所製)にて粒度分布を測定したところ、水
分散直後の平均粒径は17.1μmであった。この粒度
計で測定した粒度分布の経時変化を表4に示す。
【0048】
【表4】
【0049】比較例1 広葉樹晒クラフトパルプを2%濃度に調製してカナダ標
準フリーネスが100mlになるまで実験用ナイアガラ
ビーターで叩解し、このパルプの保水度を測定したとこ
ろ、170%であった。この2%濃度のパルプを実施例
1と同様の方法で噴霧乾燥処理を行おうとしたが、アト
マイザーで詰まりが生じ、噴霧化できなかった。その
後、原料を0.3%濃度に調製して噴霧を行ったが、噴
霧乾燥は出来たものの、できたセルロースを顕微鏡で観
察したところ、繊維状でその長さは200μm程度であ
り、微粒子セルロースは得られなかった。
【0050】比較例2 ダイノミルに700ml/分の処理速度で、広葉樹晒ク
ラフトパルプ1%スラリーを供給すること以外は実施例
1と同様にして微細繊維化パルプを製造した。この微細
繊維化パルプの保水度は190%であった。
【0051】この微細繊維化パルプを遠心機で2%に濃
縮したのち、実施例1と同様に噴霧乾燥処理を施した。
【0052】得られたセルロース微粒子を顕微鏡で観察
したところ、繊維状の形態のものが多く、少量のセルロ
ース微粒子を水10ccに分散させてレーザー粒度分布
計(型式:SALD−1100、島津製作所製)にて粒
度分布を測定したところ、水分散直後の平均粒径が10
8μmであった。この粒度計で測定した粒度分布の経時
変化を表5に示す。
【0053】
【表5】
【0054】比較例3 実施例1と同様にして得た微細繊維化パルプを遠心機で
5.5%に濃縮したのち、実施例1と同様に噴霧乾燥処
理を施したが、噴霧器が詰まり気味となり、製造した粒
子は、パルプ塊を含んでいた。この粒子の塊部を除去
し、水10ccに分散させてレーザー粒度分布計(型
式:SALD−1100、島津製作所製)にて粒度分布
を測定したところ、水分散直後の平均粒径が121μm
であった。この粒度計で測定した粒度分布の経時変化を
表6に示す。
【0055】
【表6】
【0056】表1からわかるように、微細繊維化パルプ
を噴霧乾燥処理することによって、球状粒子が多く、水
中でも安定な微粒子を製造することが出来る(実施例
1)。さらに、微細繊維化パルプの微細繊維化の程度を
進め、カチオン性界面活性剤の使用により、粒径の細か
い粒子を製造することが可能である(実施例2)。さら
に、湿潤紙力増強剤を添加すること(実施例3)や、サ
イズ剤を添加すること(実施例4)によって水の中での
安定性が高まる。
【0057】それに対して、微細繊維化パルプを用い
ず、ビーターのような通常の叩解方法でカナダ標準フリ
ーネスが100mlのような低いフリーネス領域まで叩
解を進めたパルプを用いると、噴霧乾燥処理を用いても
微粒子化しにくく、また濃度を薄めて噴霧乾燥処理を行
ったとしても、形状は繊維状のものが多くできてしま
い、粒径の小さな球状粒子を得られない(比較例1)。
保水度が210%に満たない微細繊維化パルプを用いる
と、微細化が不充分なため、粒径の小さな球状粒子を得
られない(比較例2)。また保水度が210〜400%
である微細繊維化パルプを用いても、パルプ濃度が5%
を越えると、噴霧器が詰まり気味となり、噴霧乾燥処理
に支障を来たし、製造した粒子の平均粒径は100μm
より大きくなる(比較例3)。
【0058】
【発明の効果】 以上のように、本発明により、水中に
分散した状態でも安定な形状を示す平均粒径1〜100
μmのセルロース微粒子が、化学的処理を施すことな
く、簡便に得られる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 JAPAN TAPPI No.26-78により規定される
    保水度が、210〜400%の微細繊維化パルプをパル
    プ濃度0.5〜5%のパルプスラリーの状態で噴霧乾燥
    処理し、平均粒径が1〜100μmとすることを特徴と
    するセルロース微粒子の製造方法。
JP30401895A 1995-11-22 1995-11-22 セルロース微粒子の製造方法 Pending JPH09143201A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30401895A JPH09143201A (ja) 1995-11-22 1995-11-22 セルロース微粒子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30401895A JPH09143201A (ja) 1995-11-22 1995-11-22 セルロース微粒子の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09143201A true JPH09143201A (ja) 1997-06-03

Family

ID=17928087

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30401895A Pending JPH09143201A (ja) 1995-11-22 1995-11-22 セルロース微粒子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09143201A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004331918A (ja) * 2003-05-12 2004-11-25 Asahi Kasei Chemicals Corp 非晶質セルロース微粉体
JP2011148927A (ja) * 2010-01-22 2011-08-04 Kao Corp セルロース粒子の製造方法
JP2019516032A (ja) * 2016-04-04 2019-06-13 ファイバーリーン テクノロジーズ リミテッド 強度の上昇した天井、床材、および建材製品を提供するための組成物および方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004331918A (ja) * 2003-05-12 2004-11-25 Asahi Kasei Chemicals Corp 非晶質セルロース微粉体
JP2011148927A (ja) * 2010-01-22 2011-08-04 Kao Corp セルロース粒子の製造方法
JP2019516032A (ja) * 2016-04-04 2019-06-13 ファイバーリーン テクノロジーズ リミテッド 強度の上昇した天井、床材、および建材製品を提供するための組成物および方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102137796B1 (ko) 미세섬유화 셀룰로스를 포함하는 섬유 및 그로부터 제조된 섬유 및 부직포 물질의 제조 방법
US9163095B2 (en) Cellulose powder and processes for its production
WO2017047768A1 (ja) 微細繊維状セルロース含有物
KR101487475B1 (ko) 나노 셀룰로오스 섬유의 제조방법 및 제조장치
KR102125156B1 (ko) 초임계 c02 셀룰로즈 분무건조 방법
KR20180050740A (ko) 조성물, 미세 섬유상 셀룰로오스 함유물 및 미세 섬유상 셀룰로오스 함유물의 제조 방법
EP3511296A1 (en) Method for producing inorganic carbonate
JPH09143201A (ja) セルロース微粒子の製造方法
JP2976116B2 (ja) 球状セルロース粒子の製造方法
JP2024028346A (ja) セルロース粒子及びセルロース粒子分散液
WO2023037167A1 (en) Mobile dispersion system and methods for the resuspension of dried microfibrillated cellulose
JP2013173861A (ja) セルロース微粒子集合体
JP3063396B2 (ja) 微細繊維状セルロースの製造方法
JP7461920B2 (ja) セルロース粒子及びセルロース粒子分散液
US20230279612A1 (en) Mobile dispersion system and methods for the resuspension of dried microfibrillated cellulose
WO2023188602A1 (ja) 皮膚外用剤
JPH1160601A (ja) セルロース系担体及びその製造方法