JP2003064184A - セルロース溶液及び熱可塑性セルロースエステルの製造方法 - Google Patents

セルロース溶液及び熱可塑性セルロースエステルの製造方法

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JP2003064184A
JP2003064184A JP2001254479A JP2001254479A JP2003064184A JP 2003064184 A JP2003064184 A JP 2003064184A JP 2001254479 A JP2001254479 A JP 2001254479A JP 2001254479 A JP2001254479 A JP 2001254479A JP 2003064184 A JP2003064184 A JP 2003064184A
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cellulose ester
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Keisuke Honda
圭介 本田
Tomoko Ichikawa
智子 市川
Yoshitaka Aranishi
義高 荒西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】セルロース溶液及び熱可塑性セルロースエステ
ルにおいて従来公知の製造方法に比べ、有害な反応剤を
用いることなく、工程安定性が良く重合が可能な熱可塑
性セルロースエステルの製造方法を提供すること。 【解決手段】予め結晶化度を低下せしめたセルロース
を、塩化リチウムを含むジメチルスルホキシド溶媒で処
理することを特徴とするセルロース溶液の製造方法、及
び該方法で溶解したセルロースにエステル基を導入せし
めることを特徴とする熱可塑性セルロースエステルの製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロース溶液及
び熱可塑性セルロースエステルの製造方法に関し、さら
に詳しくは、予め結晶化度を低下せしめたセルロース
を、塩化リチウムを含むジメチルスルホキシド溶媒で処
理し溶解せしめた後、エステル基を導入することによ
り、有害な反応剤を用いることなく、工程安定性が良く
重合が可能な熱可塑性セルロースエステルの製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】セルロース材料は地球上で最も大量に生
産されるバイオマス材料として、また、環境中にて生分
解可能な材料として、昨今の大きな注目を集めつつあ
る。
【0003】現在商業的に利用されているセルロースエ
ステルの代表例としては、セルロースアセテートを筆頭
にセルロースアセテートプロピオネート、セルロースア
セテートブチレート、セルロースフタレート等が挙げら
れ、繊維、プラスチック、フィルター、塗料など幅広い
分野に利用されている。
【0004】これらのセルロースエステルの製造方法
は、セルロース固体(リンター、パルプ)とエステル化
剤との固−液(固)反応を基にしており、反応開始時に
おいては不均一反応であった反応系が、エステル化剤の
セルロースへの反応が進行するに従い、つまりセルロー
スの系への溶解性が向上することでさらに均一系になる
ものである。具体的には、セルロースをアセチル化させ
る方法として、無水酢酸、氷酢酸、硫酸の酢化混液でア
セチル化し、粘張な透明液を水中に注いで三酢酸セルロ
ースを製造する工業的手法が知られている。しかしなが
ら、この酢化混液は例えばセルロース100重量部に対
して無水酢酸250〜350重量部、酢酸280〜35
0重量部、硫酸(96%)8〜12重量部であり、反応
温度は20〜30℃と穏和であるが、劇物である硫酸を
多量に使用するため、環境との調和を考えた場合には、
決して良好な製造方法とは言えない。
【0005】一方、近年、ジメチルスルホキシド/パラ
ホルムアルデヒド系、ジメチルホルムアミド/四酸化二
窒素系、二酸化硫黄/アミン系、ジメチルホルムアミド
/クロラール系、N−メチルモルホリン−N−オキシド
系、ジメチルアセトアミド/塩化リチウム系など、数多
くのセルロースを溶解する有機系の溶剤が見い出され、
これらの溶剤中での均一反応性を利用したセルロースの
誘導体化の研究も行われている。例えば、ジメチルスル
ホキシド/パラホルムアルデヒド系を利用した例として
は、反応剤にメチレンジアセテートやエチレンジアセテ
ート、触媒に酢酸ナトリウムを用いた特開昭57−92
002号公報が挙げられる。しかし、この反応系におい
ては有害な化合物であるパラホルムアルデヒドを使用す
ることで環境に対して悪影響を及ぼす懸念が強いため、
環境との調和を考える場合には、決して良好な製造方法
とは言えない。また、ジメチルアセトアミド/塩化リチ
ウム系を利用した例としては、反応剤に無水酢酸、触媒
にピリジンを用いた特開平9−255701号公報が挙
げられる。しかし、この反応系においてはエステル化反
応における強度低下を抑制することができるものの、均
一なセルロース溶液を得るためにはセルロースを加えた
ジメチルアセトアミド/塩化リチウムを100℃で1時
間加熱後、マイナス80℃で1時間冷却する操作を3回
以上繰り返す必要があるため経済性かつ工程安定性に優
れた方法とは言えない。
【0006】上記のような背景から、有害な反応剤を用
いることなく、工程安定性が良く重合が可能な熱可塑性
セルロースエステルを経済的に得ることが求められてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記の
セルロース溶液及び熱可塑性セルロースエステルの製法
における欠点を解消してセルロースを溶解し、該溶液か
らセルロースエステルの製造方法を提供するものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、塩化リチウムを含むジメチルスルホキシド溶媒のセ
ルロース溶液の製造方法、及び該セルロース溶液から得
る熱可塑性セルロースエステルの製造方法により達成さ
れる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において用いる溶媒とし
て、ジメチルスルホキシドに対して塩化リチウムを添加
することが必要である。塩化リチウムを添加しない場合
は、セルロースがジメチルスルホキシドに溶解せずに膨
潤するのみであり、この場合、エステル化反応や開環重
合反応によるセルロースエステルの製造は困難である。
従って、塩化リチウムを対溶媒2重量%以上添加するこ
とが好ましく、さらに好ましくは4重量%以上添加する
ことが好ましい。また、上限としては塩化リチウムのジ
メチルスルホキシドへの溶解上限まで添加することがで
きる。
【0010】また、その処理温度としては100℃以下
にて反応を行うことがセルロースの熱分解を抑制できる
ので好ましい。さらに好ましくは90℃以下である。
【0011】本発明において用いるセルロースの処理方
法としては、ボールミル等の乾式粉砕器にて粉砕する必
要がある。これは、機械的な粉砕により固体状態特有の
メカノケミカル反応が起こり、この作用によりセルロー
スの結晶構造が破壊されるからであり、セルロースがよ
り溶解しやすくなるからである。
【0012】具体的なボールミルとしては、(1)円筒の
容器を軸を中心に回転させてボールなどの粉砕媒体を持
ち上げてから自由落下させ、その衝撃やボール転動に伴
う摩擦作用によって粉砕を進める転動ボールミル、(2)
スプリング上においた主に円筒状容器中に粉砕媒体を充
填し、外から振動モーターや偏心加振装置で加振して、
充填した全ての粉砕媒体に細かい衝突を生じさせて粉砕
を進める振動ボールミル、(3)円筒状粉砕器が自転しな
がら、自転軸と平行なミル中心軸のまわりを公転する遊
星ミルがある。そのなかでも、(1)ではポットミル、チ
ューブミル、コニカルミル等があり、(2)では円形振動
ミル、施動振動ミル、遠心ミル等があるが乾式にて粉砕
することが好ましい。
【0013】一方、具体的な粉砕媒体としては自動車鋼
球、高炭素クロム鋼、ステンレス鋼等の鋼球、ハイアル
ミナ、ステアタイト、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケ
イ素等のセラミックス、一般ソーダガラス、無アルカリ
ガラス、ハイビー等のガラス、超鋼、天然石等がある
が、粉砕セルロース粉がボール表面に付着し、あるいは
ボール相互の接触に伴う発熱によって粉砕粉に変質をも
たらすことや、ボールのかけら等が混入しその後のエス
テル化反応に影響を与えないことを考慮し、セラミック
スを用いることが好ましい。
【0014】なお、この乾式ボールミル粉砕は密閉タイ
プであっても大気開放型であっても良いが、密閉タイプ
を採用した場合にはミル内に窒素ガス等の不活性ガスを
充填して用いることが好ましい。
【0015】また、公知の手法であるアルカリ金属水酸
化物や強酸を含む水溶液やセルロースを膨潤せしめる溶
媒によりセルロースを溶解せしめるか、高度に膨潤せし
める方法や、再生セルロースの使用によりセルロースの
結晶構造を破壊することによって結晶化度を予め低下さ
せる方法をとることもできる。
【0016】このようにしてセルロースの結晶化度を低
下させることにより、塩化リチウムを含むジメチルスル
ホキシド溶媒で処理し溶解せしめることがより容易とな
り、エステル化剤との反応をさらに効率的に行うことが
でき、好ましい。
【0017】本発明におけるセルロースエステルとは、
セルロースの水酸基がエステル結合によって封鎖されて
いるものを言う。具体的には、セルロースアセテート、
セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセ
テートブチレート、セルロースフタレート等酸塩化物、
酸無水物、カルボン酸化合物及びその誘導体によるエス
テル化反応や、環状エステルによる開環重合によりエス
テル結合を有するものでもよく、さらにはこれらの混合
エステルになっているものでもよい。
【0018】具体的な酸塩化物としては、例えば、塩化
プロピオニル、塩化ブチリル、塩化オクタノイル、塩化
ステアロイル、塩化ベンゾイル、パラトルエンスルホン
酸クロライド等が挙げられる。なお、酸塩化物の反応に
おいては、触媒として働くと同時に、副生物である酸性
物質を中和する目的でアルカリ性化合物を添加してもよ
い。具体的には、トリエチルアミン、トリメチルアミン
等の3級アミン化合物やピリジン、ジメチルアミノピリ
ジン等の含窒素芳香族化合物が挙げられるが、この限り
ではない。
【0019】また、酸無水物としては、例えば、無水酢
酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族の酸無水
物、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸等の
二塩基酸無水物が挙げられる。なお、酸無水物の反応に
おいては触媒として、酢酸カリウム、トリエチルアミ
ン、ピリジン等の既知の化合物を添加してもよい。
【0020】また、カルボン酸化合物及びその誘導体と
しては、例えば、カルボン酸化合物としては酢酸、プロ
ピオン酸、酪酸、乳酸が挙げられ、カルボン酸誘導体と
してはそれらのエステル化合物として酢酸メチル、酢酸
エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪
酸メチル、酪酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル等が挙
げられるが、この限りではない。好ましくは乳酸であ
り、これにより得られる熱可塑性セルロースエステル
は、自然界において生分解され、地球環境に適合した汎
用性の成形用樹脂となり好ましい。
【0021】また、環状エステルとしては、環員数4〜
12の1種または2種以上の環状エステルから選択され
る。具体的には、β−プロピオンラクトン、γ−、σ−
バレロラクトン、σ−、ε−カプロラクトン、ジサリチ
リド、トリサリチリド、1,4−ジオキサン−2−オ
ン、グリコリド、ラクチド、トリメチレンカーボネー
ト、エチレンオキサレート等が使用可能であるが、この
限りではない。好ましくは環員数4〜7の環状エステル
であり、さらに好ましくはラクチドである。ラクチドを
用いてエステル化して得られる熱可塑性セルロースエス
テルは、自然界において生分解が可能であり、地球環境
に適合した汎用性の成形用樹脂として用いることができ
るため好ましい。
【0022】なお、本発明に用いるエステル化触媒とし
ては、スズ、亜鉛、チタン、ビスマス、ジルコニウム、
ゲルマニウム、コバルト等の金属化合物及びその誘導体
が挙げられ、誘導体としては金属有機化合物、炭酸塩、
酢酸塩、酸化物、ハロゲン化物が好ましい。また、パラ
−トルエンスルホン酸等の有機酸等や、トリエチルアミ
ン、トリメチルアミン等の3級アミン化合物やピリジ
ン、ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物が
挙げられるが、この限りではない。
【0023】本発明における反応温度に関しては、何れ
においても100℃以下にて反応を行うことがセルロー
スの熱分解を抑制できるので好ましい。さらに好ましく
は90℃以下である。
【0024】本発明のおいて得られたセルロースエステ
ルは必要に応じて要求される性能を損なわない範囲内で
熱劣化防止と熱着色防止のための安定剤として弱有機
酸、エポキシ化合物、金属石鹸、ホスフェイト、チオホ
スフェイト等を単独または2種類以上混合して添加して
もよい。また、その他の有機酸系の生分解性促進剤、滑
剤、耐電防止剤、染料、顔料、潤滑剤等の添加剤を配合
することは何らさしつかえない。
【0025】本発明における塩化リチウムを含むジメチ
ルスルホキシド溶媒でのセルロースを処理せしめる方法
において、予め塩化リチウムをジメチルスルホキシドに
溶解せしめてからセルロースを添加する方法や、塩化リ
チウムとセルロースをジメチルスルホキシドに添加して
から溶解せしめる方法等があるがセルロースの溶解性を
向上させる方法であれば、特に限定されるものではな
い。また、処理温度に関しては、100℃以下にて反応
を行うことがセルロースの熱分解を抑制できるので好ま
しい。さらに好ましくは90℃以下である。
【0026】また、上記のセルロースエステルの製造に
おいてエステル化剤の添加方法に関しては、溶媒である
ジメチルスルホキシドにセルロースを溶解させてからエ
ステル化剤を添加することが好ましいが、より経済的に
セルロースエステルを製造するためにセルロースを溶解
せしめる前にエステル化剤を全量または分割して添加し
てもよい。
【0027】なお、得られたセルロースエステルは多量
の水、メタノール、ヘキサン等の溶媒に滴下する方法等
で反応を停止させ、生成物を回収することができるが、
本発明におけるセルロースエステルを回収する方法であ
れば、特に限定されるものではない。
【0028】上記したように、本発明は、塩化リチウム
を含むジメチルスルホキシド溶媒でセルロースを処理し
溶解せしめることでエステル基を導入することにより、
有害な反応剤を用いることなく、工程安定性が良く熱可
塑性セルロースエステルを製造することができる。
【0029】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。なお、実施例及び比較例中で用いた評価方法は、
以下のとおりである。 (1)結晶化度 X線回折強度は以下の条件で測定し、式1に基づき結晶
化度CrIを算出した。なお、I002は(002)面の
回折ピーク強度を、I18は2θ=18°の強度を示す。
【0030】CrI=(I002−I18)/I002
式1 X線発生装置 X線源 : CuKα/(湾曲結晶モノクロメータ使
用) 出力 : 50kV/200mA ゴニオメータ スリット : 1°−0.15mm−°0.45mm 検出器 : シンチレーションカウンター 計数記録装置 2θ/θ : 連続スキャン 測定範囲 : 2θ=5〜35° サンプリング : 0.02° 積算時間 : 2秒 (2)溶解性 セルロース溶液を偏光顕微鏡(直交ニコル)にて観察し
たときに、セルロースが溶解していれば暗視野として認
められ、膨潤していればセルロース繊維の径(太さ)が
大きくなっているのが観測される。 (3)融点 融点顕微鏡(柳本製作所)を用いて行った。 (4)置換度 置換度は1H−NMRにより測定したもので、置換度の
測定に関しては、反応生成物中の未反応の水酸基を全て
ベンジル基に置換してベンジルセルロースエステルに変
換し、これをジメチルスルホキシドに溶解して1H−N
MRにて測定した。1H−NMRによるNMRチャート
においては、ベンゼン環に起因するピークは7ppm近
傍にあり、また、エステル基に起因するピークは2pp
m近傍にある。従って、これらのピークの積分曲線の高
さの比から置換度を推定した。なお、ベンジル化に関し
ては生成物であるセルロースエステルを溶媒に溶解せし
めた後、塩基存在下、臭化ベンジルをセルロース水酸基
に対して過剰量添加し、室温にて撹拌し反応させること
でベンジルセルロースエステルを得ることができる。ま
た、エステル化剤として塩化ベンジル等のベンゼン環を
有する化合物を用いる場合は、置換度の測定において未
反応のセルロース水酸基を全てアセチル基で置換してベ
ンジルアセチルセルロースを得るか、ベンゼン環にアル
キル基を有する臭化ベンジル化合物を用いることによ
り、1H−NMRにて解析が可能であるようにする方法
がある。
【0031】実施例1 αセルロース97%の木材パルプ1重量部をボールミル
にて3時間粉砕した。得られた粉砕物の結晶化度は0.
15であった。該粗粉粒を塩化リチウム5重量%含有の
ジメチルスルホキシド溶液800重量部に加え、90℃
で1時間加熱し、均一に溶解したセルロース溶液を得
た。
【0032】実施例2 αセルロース97%の木材パルプ1重量部をボールミル
にて6時間粉砕した。得られた粉砕物の結晶化度は0.
11であった。該粗粉粒を塩化リチウム8重量%含有の
ジメチルスルホキシド溶液900重量部に加え、90℃
で1時間加熱し、均一に溶解したセルロース溶液を得
た。
【0033】実施例3 再生セルロース1重量部をボールミルにて4時間粉砕し
た。得られた粉砕物の結晶化度は0.18であった。該
粗粉粒を塩化リチウム2重量%含有のジメチルスルホキ
シド溶液1000重量部に加え、80℃で1時間加熱
し、均一に溶解したセルロース溶液を得た。
【0034】比較例1 αセルロース97%の木材パルプ1重量部をボールミル
粉砕せずに、塩化リチウム2重量%含有のジメチルスル
ホキシド溶液800重量部に加え、80℃で3時間加熱
したが、ほぼ均一に溶解しているが一部に高度に膨潤し
たセルロース溶液を得た。なお、用いた木材パルプの結
晶化度は0.77であった。
【0035】比較例2 αセルロース97%の木材パルプ1重量部をボールミル
粉砕せずに、塩化リチウムを含有していないジメチルス
ルホキシド溶液800重量部に加え、80℃で3時間加
熱したが、均一に溶解したセルロース溶液を得ることは
できなかった。なお、用いた木材パルプの結晶化度は
0.77であった。
【0036】実施例4 実施例1で得られたセルロース溶液に60重量部のピリ
ジン及び120重量部の塩化オクタノイルを加え、30
℃で2時間反応を行った。反応浴を2000重量部のメ
タノールに投入し、生成物のセルロースエステルを回収
した。得られたセルロースエステルは熱可塑化し、融点
測定の結果249℃であった。また、置換度は2.1〜
2.4であった。
【0037】実施例5 実施例2で得られたセルロース溶液に60重量部のピリ
ジン及び120重量部の無水酢酸を加え、70℃で2時
間反応を行った。反応浴を2000重量部のメタノール
に投入し、生成物のセルロースエステルを回収した。得
られたセルロースエステルは熱可塑化し、融点測定の結
果245℃であった。また、置換度は2.5〜2.7で
あった。
【0038】実施例6 実施例1で得られたセルロース溶液に50重量部のラク
チド及び5重量部のトリエチルアミンを加え、80℃で
6時間反応を行った。反応浴を2000重量部のメタノ
ールに投入し、生成物のセルロースエステルを回収し
た。得られたセルロースエステルは熱可塑化し、融点測
定の結果248℃であった。また、置換度は1.9〜
2.2であった。
【0039】実施例7 実施例3で得られたセルロース溶液に80重量部のラク
チド及び0.01重量部の2−エチルヘキサン酸スズを
加え、80℃で6時間反応を行った。反応浴を2000
重量部のメタノールに投入し、生成物のセルロースエス
テルを回収した。得られたセルロースエステルは熱可塑
化し、融点測定の結果245℃であった。また、置換度
は2.0〜2.2であった。
【0040】実施例8 実施例1で得られたセルロース溶液に10重量部の乳酸
及び10重量部のトリエチルアミンを加え、100℃で
6時間反応を行った。反応浴を2000重量部のメタノ
ールに投入し、生成物のセルロースエステルを回収し
た。得られたセルロースエステルは熱可塑化し、融点測
定の結果246℃であった。また、置換度は1.8〜
2.1であった。
【0041】実施例9 実施例2で得られたセルロース溶液に120重量部の塩
化オクタノイル及び9重量部のラクチド及び50重量部
のトリエチルアミンを加え、80℃で4時間反応を行っ
た。反応浴を2000重量部のメタノールに投入し、生
成物のセルロースエステルを回収した。得られたセルロ
ースエステルは熱可塑化し、融点測定の結果240℃で
あった。また、置換度は2.1〜2.4であった。
【0042】比較例3 比較例1で得られたセルロース溶液に60重量部のピリ
ジン及び120重量部の塩化オクタノイルを加え、30
℃で2時間反応を行った。反応浴を2000重量部のメ
タノールに投入し、生成物のセルロースエステルを回収
した。得られたセルロースエステルは熱可塑化し、融点
測定の結果246℃であったが、置換度は低く0.8〜
1.2であった。
【0043】比較例4 比較例2で得られたセルロース溶液に60重量部のピリ
ジン及び120重量部の塩化オクタノイルを加え、30
℃で2時間反応を行った。反応浴を2000重量部のメ
タノールに投入したが、生成物はエステル化していない
未反応のセルロースであった。得られた生成物の融点は
なく、250℃以上の加熱により分解した。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】本発明のセルロース溶液及び熱可塑性セ
ルロースエステルの製造方法により、従来公知の製造方
法に比べ、有害な反応剤を用いることなく、工程安定性
が良く重合が可能な熱可塑性セルロースエステルを得る
ことが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C090 AA05 BA25 BA26 DA29 DA31 DA32 4F070 AA02 AC18 AC50 BA02 CA12 CB11

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶化度が0.6以下であるセルロース
    を、塩化リチウムを含むジメチルスルホキシド溶媒で処
    理することを特徴とするセルロース溶液の製造方法。
  2. 【請求項2】結晶化度が0.6以下であるセルロース
    を、処理温度100℃以下で2重量%以上の塩化リチウ
    ムを含むジメチルスルホキシド溶媒で処理することを特
    徴とするセルロース溶液の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の製造方法により得
    られたセルロース溶液に、エステル化剤を添加し、セル
    ロースと反応せしめることを特徴とする熱可塑性セルロ
    ースエステルの製造方法。
  4. 【請求項4】エステル化剤が、酸塩化物又は酸無水物で
    ある請求項3記載の熱可塑性セルロースエステルの製造
    方法。
  5. 【請求項5】エステル化剤が、カルボン酸化合物又はそ
    の誘導体である請求項3記載の熱可塑性セルロースエス
    テルの製造方法。
  6. 【請求項6】カルボン酸化合物又はその誘導体が、乳酸
    又はその誘導体である請求項5記載の熱可塑性セルロー
    スエステルの製造方法。
  7. 【請求項7】エステル化剤が、環状エステルである請求
    項3記載の熱可塑性セルロースエステルの製造方法。
  8. 【請求項8】環状エステルが、ラクチドである請求項7
    記載の熱可塑性セルロースエステルの製造方法。
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