JP5924722B1 - セルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

成形性および物性が良好なセルロース含有オレフィン系樹脂組成物および当該樹脂組成物にて作製される成形体を提供するために、本発明では、セルロースI型結晶化度が40%を超えるセルロース含有原料と非イオン系界面活性剤とを混合して混合材料を作製し、当該混合材料を特定の混練機を用いて混合および剪断して非晶性セルロースを作製し、当該非晶性セルロースとオレフィン系樹脂とを混合して樹脂組成物を作製する。

Description

本発明は、セルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法に関する。
近年、化石燃料の枯渇や環境問題の見地から、再生可能な有機資源である木質系バイオマス資源への関心が高まっている。
木質系バイオマス資源は、例えば、木材を粉砕しプラスチックと複合したウッドプラスチック複合材料や、セルロースを微細にしたナノセルロースなどでガラス繊維などに代替する機械的性能が付与された強化材料などの用途への展開が進んでいる。
従来から、樹脂と様々な木質系バイオマス材料とを配合して得られる樹脂組成物が、成形体の材料として用いられている。
例えば、特許文献1には、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、木粉20〜200重量部と、植物油または不飽和脂肪酸のエポキシ化物からなる可塑剤4〜30重量部と、を含む、木質ポリオレフィン樹脂組成物が開示されている。
特許文献1に記載の木質ポリオレフィン樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂、木粉、可塑剤および添加剤(例えば、相溶化剤、熱安定剤、加工助剤、滑剤、充填剤、着色剤、耐衝撃強化剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤または発泡剤など)を一括して混合器(例えば、ヘンシェルミキサー)中に投入し、これらの材料を撹拌しながら加熱し、その後、別の混合器(クーリングミキサー)中で冷却することによって作製される。
特許文献2には、ポリオレフィン樹脂および/またはスチレン系樹脂と、結晶化度が50%未満であるセルロースと、を含有してなる樹脂組成物が開示されている。更に、特許文献2に記載の樹脂組成物は、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、蛍光増白剤、および、ブロッキング防止剤などを含み得る。
特許文献2に記載の樹脂組成物は、例えば、セルロース含有原料を粉砕して作製された非晶質セルロース、熱可塑性樹脂、耐衝撃吸収剤(シリコーン・アクリルゴム)、難燃剤(水酸化マグネシウム)、および、相溶化剤(エポキシ基を有するポリエチレン樹脂)を二軸押出機にて高温で溶融混練することによって作製される。
特許文献3には、植物粉、融点40〜155℃のワックス系樹脂材料、滑剤および分散剤からなる群から選ばれる少なくとも1つ、および、融点125〜350℃のベース樹脂、を含む植物系樹脂ペレットであって、植物粉の表面に、融点40〜155℃のワックス系樹脂材料、滑剤および分散剤からなる群から選ばれる少なくとも1つを含むコーティング層が備えられ、コーティング層を有する植物粉が、融点125〜350℃のベース樹脂中に分散されてなる、植物系樹脂ペレット、が開示されている。
特許文献3に記載の植物系樹脂ペレットは、植物粉70〜95重量部と、融点40〜155℃のワックス系樹脂材料、滑剤および分散剤からなる群から選ばれる少なくとも1種0.01〜30重量部と、必要に応じて核剤または無水マレイン酸、バインダー等の添加剤、水または温水と、を混合させ、混合機、ニーダーまたはペレタイザーなどから、融点40〜155℃のワックス系樹脂材料、滑剤および分散剤からなる群から選ばれる少なくとも1種でコーティングされた植物粉をペレットまたは粉末として取り出すことによって作製される。
日本国公開特許公報「特開2006−036815号公報(2006年2月9日公開)」 日本国公開特許公報「特開2011−137094号公報(2011年7月14日公開)」 日本国公開特許公報「特開2014−025053号公報(2014年2月6日公開)」
しかしながら、上述のような従来技術は、樹脂組成物および当該樹脂組成物を用いて作製される成形体の成形性(樹脂流動性、離形性、電力負荷)、物性(セルロースの分散性、色調(黄色度)、引張強度、引張伸び、寸法安定性など)が良好でないという問題点を有している。
例えば、特許文献1に記載の技術は、エポキシ化物等を反応させるために、材料を高温に加熱する必要があるが、当該加熱によって、成型体の熱安定性が低下したり、金型を汚染し易くなるという問題点を有している。
特許文献2に記載の技術は、樹脂組成物中でのセルロースの分散性が低いという問題点を有している。
特許文献3に記載の技術は、植物系樹脂ペレットを用いてフィルムを作製したときに、当該フィルムの表面にワックスがブリードし、フィルムの表面性状を損ない易いという問題点を有している。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、成形性および物性が良好なセルロース含有オレフィン系樹脂組成物および当該セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を用いて作製される成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、以下の(a)および(b)を見出し、本発明を完成させるに至った。つまり、
(a)セルロース含有原料と、セルロース含有原料と親和性が高い非イオン系界面活性剤とを予め混合して混合材料を作製すれば、非イオン系界面活性剤によって、セルロース含有原料が疑似的に可塑化される。そして、当該混合材料を特定の混練機を用いて混合および剪断すれば、剪断エネルギーを効率良く混合材料へ伝えることができ、かつ、剪断応力を低く抑えることができ、セルロースを効率良く非晶化および微粒子化させることができる。その結果、結晶化度が高いセルロース含有原料から、容易かつ効率よく、結晶化度が低い非晶性セルロースを作製することができること;
(b)上記非晶性セルロースとオレフィン系樹脂とを混合して作製されたセルロース含有オレフィン系樹脂組成物を用いれば、物性に優れた成形体を作製することができること。
<1>本発明のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法は、上記課題を解決するために、
(i)セルロースI型結晶化度が40%を超えるセルロース含有原料と、非イオン系界面活性剤とを混合して、混合材料を作製する工程と、
(ii)上記混合材料を、バッチ式混練機および二軸混練押出機からなる群より選択される少なくとも1つを用いて混合(換言すれば、混練)および剪断して、非晶性セルロースを作製する工程と、
(iii)上記非晶性セルロースとオレフィン系樹脂とを混合して、セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を作製する工程と、を含むことを特徴としている。
<2>本発明のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法では、上記非イオン系界面活性剤が、ソルビタン系脂肪酸エステルであることが好ましい。
<3>本発明のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法では、上記ソルビタン系脂肪酸エステルを構成する脂肪酸が、炭素数が12〜22個の高級脂肪酸であることが好ましい。
<4>本発明のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法では、上記非イオン系界面活性剤が、常温で結晶状のものであることが好ましい。
<5>本発明のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法では、上記セルロース含有オレフィン系樹脂組成物は、上記セルロース含有原料100重量部に対して、上記非イオン系界面活性剤10〜150重量部と、上記オレフィン系樹脂100〜900重量部とを含むものであることが好ましい。
<6>本発明のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法では、上記セルロース含有原料が、機械パルプ、クラフトパルプ、再生パルプ、草本類から得られる植物繊維、および、木本類から得られる植物繊維からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
<7>本発明のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法では、上記オレフィン系樹脂が、ポリエチレンまたはポリプロピレンであることが好ましい。
<8>本発明のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法では、上記セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を作製する工程では、上記非晶性セルロースとオレフィン系樹脂とを混合して中間体材料を作製した後、該中間体材料へ更にオレフィン系樹脂を加えて混合して上記セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を作製することが好ましい。
<9>本発明のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法では、上記バッチ式混練機が、噛合い式ロータを有するものであることが好ましい。
<10>本発明のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法では、上記二軸混練押出機が、ニーディングディスクを有する同方向回転式のものであることが好ましい。
<11>本発明のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法では、上記非晶性セルロースを作製する工程では、20〜750sec−1の剪断速度にて、上記混合材料を剪断することが好ましい。
本発明は、地球上に多量に存在する、セルロースを含有する木質系バイオマス資源を樹脂成形品に簡便に加工し、かつ、当該樹脂成形品に対して良好な物性を付与することができるという効果を奏する。
本発明は、セルロースに親和性が高い非イオン系界面活性剤を用いてセルロースの分散性を向上させることにより、物性(具体的には、離形性、セルロースの分散性、色調(黄色度)、引張強度、引張伸び、および、寸法安定性など)および成形性(樹脂流動性、離形性、省電力性など)に優れた成形体を作製することができるとともに、当該成形体の材料であるセルロース含有オレフィン系樹脂組成物を提供することができるという効果を奏する。
本発明は、セルロース含有原料とセルロースに親和性が高い非イオン系界面活性剤とを予め混合した混合材料を、混練機(混練押出機)に供する。それ故に、本発明は、混合材料を剪断する際の剪断応力を低下させることができるとともに、効率よくセルロース含有原料を剪断することができるという効果を奏する。
本発明は、混合材料を剪断する際の剪断応力を低下させることにより、連続生産が可能な混練機(混練押出機)を使用することができる。それ故に、本発明は、セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を、短時間で、かつ、連続的に生産できるという効果を奏する。
本発明は、混合材料を剪断する際の剪断応力を低下させることにより、混練機(混練押出機)への負荷を低減させることができ、使用する電力量を低下させるとともに、混練機の部材の劣化を抑えることができるという効果を奏する。
本発明は、混合材料を剪断する際の剪断応力を低下させることにより、成形品の表面肌荒れを抑制し、表面外観を良好に保つことができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上B以下」を意図する。
本実施の形態のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法は、少なくとも以下の(i)、(ii)および(iii)の3つの工程を含んだ製造方法である。本実施の形態のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法は、以下の(i)、(ii)および(iii)の3つの工程からなる製造方法であってもよい。
(i)セルロースI型結晶化度が40%を超えるセルロース含有原料と、非イオン系界面活性剤とを混合して、混合材料を作製する工程;
(ii)上記混合材料を、バッチ式混練機および二軸混練押出機からなる群より選択される少なくとも1つを用いて混合および剪断して、非晶性セルロースを作製する工程;
(iii)上記非晶性セルロースとオレフィン系樹脂とを混合して、セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を作製する工程。
以下に、工程(i)〜工程(iii)の各々について説明する。
<1>工程(i)
上述したように、本実施の形態のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法は、セルロースI型結晶化度が40%を超えるセルロース含有原料と、非イオン系界面活性剤とを混合して、混合材料を作製する工程を含んでいる。
セルロースI型結晶化度とは、セルロース全体のうち結晶領域量の占める割合のことを意味する。例えば、セルロースI型結晶化度が40%を超えるセルロースとは、結晶領域量が40%を超えるセルロース、即ち、非晶質部分が60%未満で存在するセルロースである。また、セルロースI型とは、天然セルロースの結晶形のことであり、セルロースI型結晶化度は、セルロースの物理的性質、及び化学的性質とも関係し、一般的に、その値が大きいほど硬度、密度等は増すが、伸びや柔軟性、化学反応性は低下する。セルロースI型結晶化度は、後述する実施例に記載の方法にしたがって算出することができるので、ここではその説明を省略する。
本実施の形態におけるセルロース含有材料のセルロースI型結晶化度の値(換言すれば、下限値)は、40%を超える値であればよいが、45%以上、50%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上であってもよい。また、セルロース含有材料のセルロースI型結晶化度の上限値は、特に限定されないが、例えば、98%、95%、または、90%であってもよい。セルロース含有材料のセルロースI型結晶化度の値は、上述した下限値と、上述した上限値との、任意の組み合わせであり得る。
本発明であれば、工程(i)で予めセルロース含有原料と非イオン系界面活性剤とを混合するので、結晶化度の高いセルロース含有材料であっても、後述する工程(ii)にて、容易に(換言すれば、特殊な混練装置を用いること無く、混練トルクが低い状態で剪断可能)、かつ、大幅に結晶化度を低減させることができる。
本発明であれば、混練トルク(最大トルク)は、250N・m以下、240N・m以下、220N・m以下、200N・m以下、180N・m以下、160N・m以下、150N・m以下、140N・m以下、130N・m以下、120N・m以下であり得る。このとき、20分後トルクは、例えば、15N・m〜50N・mであり得る。なお、混練トルク(N・m)は、周知の方法で測定し得る。例えば、東洋精機製作所製ラボプラストミル(KF70V2)を用い、充填してから略1分後の材料剪断時のトルクを最大トルクとし、材料剪断終了時のトルクを20分後トルクとして測定することが可能である。
セルロースI型結晶化度が60%以上であるセルロース含有原料の具体例としては、例えば、機械パルプ(例えば、BCTMPのセルロースI型結晶化度=65〜70%:針葉樹由来)、クラフトパルプ(例えば、NBKPのセルロースI型結晶化度=85〜90%:針葉樹由来)、再生パルプ(75〜85%)、草本類から得られる植物繊維(例えばイネ科茎葉部のセルロースI型結晶化度=40〜50%、もみ殻のセルロースI型結晶化度=45〜55%)、および、木本類(例えば、ヒノキ、杉、ブナ、竹など)から得られる植物繊維(例えばベイツガ材(北米針葉樹)のセルロースI型結晶化度=50〜60%、デルニア(南洋広葉樹)のセルロースI型結晶化度=45〜55%、竹材のセルロースI型結晶化度=40〜50%)からなる群より選択される少なくとも1つを挙げることができる。
セルロース含有原料の形態は、特に限定されず、チップ状、繊維状、粒状、または、粉末状であり得る。セルロース含有材料の大きさは、特に限定されないが、1mm角〜10mm角であることが好ましく、2mm角〜5mm角であることが更に好ましい。上記構成であれば、後述する工程(ii)にてセルロース含有原料を効率よく剪断できるとともに、後述する工程(ii)にて製造される非晶性セルロースの結晶化度を容易に低下させることができる。
用いるセルロース含有材料は、水分を含有していても良く、含有する水分の量を調節することによって(例えば、含有する水分の量を、セルロース含有材料の20重量%以下に調節することによって)、後述する工程(ii)にて製造される非晶性セルロースの結晶化度を容易に低下させることができる。用いるセルロース含有材料は、より具体的に、水分含有量が5重量%を超え、かつ、20重量%以下のものであってもよい。例えば、セルロース含有材料としてBCTMPを用いる場合であれば、概ね流通しているBCTMPの水分含量は10〜15重量%であり、事前の乾燥は不要である。また、セルロース含有材料としてベイツガ(北米針葉樹)を用いる場合であれば、建築端材として流通しているベイツガは、水分含有量がおよそ18重量%程度である。
非イオン系界面活性剤は、特に限定されないが、ソルビタン系脂肪酸エステル、または、グリセリン系脂肪酸エステルを用いることが好ましく、これらの中では、ソルビタン系脂肪酸エステルを用いることが更に好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルは、グリセリン系脂肪酸エステルよりもセルロースと構造が似ているため(ソルビタン系脂肪酸エステルおよびセルロースは、共に、六員環を有している)、セルロースに対する親和性がより高い。それ故に、ソルビタン脂肪酸エステルであれば、グリセリン系脂肪酸エステルと比較して、材料を混合する際の混練トルクを更に小さくすることができる。
上記ソルビタン系脂肪酸エステルは、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ソルビタンジ脂肪酸エステル、または、ソルビタントリ脂肪酸エステルであり得る。また、上記グリセリン系脂肪酸エステルは、グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンジ脂肪酸エステル、または、グリセリントリ脂肪酸エステルであり得る。
ソルビタン系脂肪酸エステル、または、グリセリン系脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、特に限定されず、例えば炭素数が6個〜22個の脂肪酸であり得るが、12個〜22個の高級脂肪酸であることが好ましく、炭素数が12個〜18個の高級脂肪酸であることが更に好ましい。上記構成であれば、加工時に発生する軋み音(具体的に、セルロースとセルロースとの間の摩擦によって発生する軋み音)を低減することができ、これによって加工環境を良好にすることができる。
ソルビタン系脂肪酸エステル、または、グリセリン系脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよいし、不飽和脂肪酸であってもよいが、飽和脂肪酸であることが好ましい。脂肪酸が飽和脂肪酸であれば、材料を混合する際の混練トルクを、更に小さくすることができる。また、脂肪酸が飽和脂肪酸であれば、使用する非イオン系界面活性剤を安価なものにすることができ、コストを削減することができる。
ソルビタン系脂肪酸エステルの具体的な例としては、ソルビタンステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタントリベヘネート、ソルビタンカプリレートを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
一方、グリセリン系脂肪酸エステルの具体的な例としては、モノグリセリン系脂肪酸エステル、ポリグリセリン系脂肪酸エステルを挙げることができる。モノグリセリン系脂肪酸エステルとしては、グリセリンステアレート、グリセリンオレート、グリセリンラウレート、グリセリンベヘネート、グリセリンカプレートを挙げることができる。ポリグリセリン系脂肪酸エステルとしては、ジグリセリンラウレート、ジグリセリンステアレート、ジグリセリンオレート、テトラグリセリンステアレートを挙げることができる。
非イオン系界面活性剤は、常温(具体的には、25℃)で結晶状のものであってもよく、常温で液体状のものであってもよいが、常温で結晶状のもの、特に融点が50℃以上の結晶状のものであることが好ましい。非イオン系界面活性剤が融点50℃以上の結晶状のものであれば、セルロース含有オレフィン系樹脂組成物から得られる成形体の表面に非イオン系界面活性剤がブリードアウトすることを防ぐことができる。また、外部滑剤効果が高いため、工程(ii)における局所発熱を抑制することができる。
非イオン系界面活性剤の融点は、DSC(示差走査熱量測定装置)で測定することができる。なお、これらの中で、上述した「常温で結晶状のもの」に該当するものとして、例えば、上記に例示した具体例の中で、脂肪酸エステルがステアレート、パルミテート、ベヘネートのものを挙げることができる。
工程(i)にて混合される、セルロース含有原料と非イオン系界面活性剤との重量比は、特に限定されないが、セルロース含有原料100重量部に対して、非イオン系界面活性剤を10〜200重量部、11〜200重量部、12〜200重量部、13〜200重量部、14〜200重量部、15〜200重量部、16〜200重量部、10〜150重量部、11〜150重量部、12〜150重量部、13〜150重量部、14〜150重量部、15〜150重量部、16〜150重量部、10〜100重量部、11〜100重量部、12〜100重量部、13〜100重量部、14〜100重量部、15〜100重量部、16〜100重量部、10〜50重量部、11〜50重量部、12〜50重量部、13〜50重量部、14〜50重量部、15〜50重量部、または、16〜50重量部含み得る。本発明であれば、非イオン系界面活性剤の量が多ければ勿論のこと、たとえ非イオン系界面活性剤の量が少なくても、セルロース含有材料の結晶化度を、容易に(換言すれば、特殊な混練装置を用いること無く)、かつ、大幅に低減させることができる。更に、高価な非イオン系界面活性剤の使用量を少なくすることによって、コストを低減させることができる。
工程(i)における混合は、セルロース含有原料と非イオン系界面活性剤とを略均一に混合できればよく、市販の各種混合装置を用いて行えばよい。混合する混合装置の一例としては、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、ダブルコーン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、ニーダー式混練機等を挙げることができる。
<2>工程(ii)
本実施の形態のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法は、工程(i)で作製された混合材料を、バッチ式混練機(例えば、相対する二本の軸が同方向に回転するバッチ式混練機)および二軸混練押出機(例えば、ニーディングディスクを有する同方向回転式二軸混練押出機)からなる群より選択される少なくとも1つを用いて混合および剪断して、非晶性セルロースを作製する工程を含んでいる。
本明細書において「非晶性セルロース」とは、セルロースI型結晶化度が0%〜40%であるセルロースを意図する。なお、セルロースI型結晶化度は、後述する実施例に記載の方法にしたがって算出することができるので、ここではその説明を省略する。
工程(ii)に用いる混練機または混練押出機としては、相対する二本の軸が同方向に回転するバッチ式混練機、および、ニーディングディスクを有する同方向回転式二軸混練押出機からなる群より選択される少なくとも1つを挙げることができる。工程(ii)に用いる混練機または混練押出機は、効率的に粉砕、非晶化するという観点から、噛合い式の構造を有することが好ましい。
バッチ式混練機としては、噛合い式構造を有するニーダー、バンバリーミキサー等を挙げることができる。例えば、三菱重工業製加圧式MR型インターナルミキサー、日立パワーソリューションズ製K型混練機、東洋精機製作所製ラボプラストミル(KF70V2)が挙げられる。
二軸混練押出機としては、ニーディングディスクを1〜複数個所有するようにセグメント設計されたものであることが必要である。例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、日本製鋼所製TEX型二軸押出機、プラスチック工学研究所製二軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、池貝鉄工社製PCM型2軸押出機、栗山製作所社製2軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が好ましい。勿論、本発明は、これらに限定されない。
剪断するための部材が噛合い構造を有することにより、剪断エネルギーを効率良く混合材料へ伝えることができ、セルロースを効率良く非晶化および微粒子化させることができる。そして、その結果、結晶化度が高いセルロース含有原料から、容易かつ効率よく、結晶化度が低い非晶性セルロースを作製することができる。
例えば、上記同方向回転式二軸混練押出機は、複数のニーディングディスクを備え得る。複数のニーディングディスクは、連続して一定の位相で(例えば90°ずつ、ずらしながら)組み合わせたものであり得、スクリューの回転にともなって、ニーディングディスク同士の間の狭い隙間に混合材料を強制的に通過させ、混合材料に対して極めて強いせん断力を付与することができる。スクリューの構成としては、複数のニーディングディスクと複数のスクリューセグメントとが交互に配置され、特に二軸押出機の場合、2本のスクリューが、同一の構成を有することが好ましい。本発明に用いる同方向回転式二軸混練押出機では、上述した複数のニーディングディスクが、同方向へ回転している。
例えば、噛合い式のバッチ式混練機は、二軸ロータが互いに噛合う構造を有している。小型機の場合、二軸押出機と同様、ニーディングディスクを備えた二軸を同方向に回転させる構造を備え得る。大型機の場合、一般的に使用されている接線式ロータでは、ロータとチャンバ壁面との間だけでしか剪断力を付与できないが、噛合い式の場合、ロータとチャンバ壁面との間での剪断力だけでなく、ロータとロータとの間での混練作用を備えており、効率的に剪断力を与えることができる。なお、大型機の場合は、噛合い式構造を有する二軸のロータを異方向に回転させる。
工程(ii)にて作成される非晶性セルロースの組成は、特に限定されないが、例えば、セルロース含有原料100重量部に対して、非イオン系界面活性剤を10〜200重量部、11〜200重量部、12〜200重量部、13〜200重量部、14〜200重量部、15〜200重量部、16〜200重量部、10〜150重量部、11〜150重量部、12〜150重量部、13〜150重量部、14〜150重量部、15〜150重量部、16〜150重量部、10〜100重量部、11〜100重量部、12〜100重量部、13〜100重量部、14〜100重量部、15〜100重量部、16〜100重量部、10〜50重量部、11〜50重量部、12〜50重量部、13〜50重量部、14〜50重量部、15〜50重量部、または、16〜50重量部、含み得る。
工程(ii)にて作製される非晶性セルロースの結晶化度は、非常に低くなり得、例えば、0%〜40%、0%〜35%、0%〜30%、0%〜25%、0%〜20%、0%〜15%、または、0%〜10%であり得る。
なお処理後の結晶化度は、概ね、初期の結晶化度に対して45%〜80%になる。初期の結晶化度が高いパルプ(例えば、機械パルプ、クラフトパルプ、再生パルプなど)では、工程(ii)後の結晶化度は、実施例に示すとおり、初期の結晶化度の半分程度になる。一方、結晶化度の低い、草本類や木本類から得られる植物繊維を用いた場合は、工程(ii)後の結晶化度は、実施例に示すとおり、初期の結晶化度の60〜80%になる。
結晶化度が低ければ低いほど、非晶性セルロースおよび当該非晶性セルロースを用いた製品(例えば、フィルム)の品質を向上させることができるとともに、非晶性セルロースおよび当該非晶性セルロースを用いた製品の連続生産性を向上させることができる。
工程(ii)にて作製される非晶性セルロースの平均粒径は、例えば、1μm〜50μm、5μm〜40μm、7μm〜40μm、10μm〜35μm、または、1μm〜25μmであり得る。平均粒径が小さければ小さいほど、非晶性セルロースおよび当該非晶性セルロースを用いた製品(例えば、フィルム)の品質を向上させることができるが、生産性を低下させることから、7μm〜40μmがより好ましく、10μm〜35μmが特に好ましい。なお、平均粒径(体積分布平均粒径)は、島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2300を用いて測定される、体積頻度50%の粒径の値として測定され得る。
工程(ii)では、セルロースを効率良く非晶化および微粒子化させることができるので、混合材料を混合および剪断する時間は、短くても良い。当該時間は、例えば、バッチ式の場合は、20分間〜60分間、20分間〜50分間、20分間〜40分間、20分間〜30分間、または、20分間であり得る。連続式の場合は、スクリュー設計を効率的に行い、ニーディングディスク部で高い剪断力をかけることにより、1〜10分間の比較的短時間で大量に、かつ、品質の良い非晶性セルロースを作製することができる。
但し、セルロース系の材料は、160℃以上で熱劣化が開始する。熱劣化を防止するには、セルロース系の材料に対して、過剰な剪断速度を与えないことが好ましい。剪断速度としては、20〜750sec−1が好ましく、20〜550sec−1がより好ましく、当該剪断速度は、一般的に使用される二軸押出機で達成可能である。なお、剪断速度は、更に具体的に、20〜500sec−1であってもよいし、100〜450sec−1であってもよいし、200〜450sec−1であってもよいし、250〜450sec−1であってもよいし、300〜450sec−1であってもよいし、350〜450sec−1であってもよい。
本発明では、剪断速度を小さくすると、非結晶性セルロースの熱劣化を抑制することができ、一方、剪断速度を大きくすると、非結晶セルロースの結晶化度を小さくすることができる。
工程(ii)では、混合材料の温度を調節しながら(換言すれば、混練機または混練押出機の温度を調節しながら)、当該混合材料を混合および剪断してもよい。上記温度は、好ましくは40℃〜120℃であり、より好ましくは60℃〜100℃であり、最も好ましくは80℃〜100℃である。上記構成であれば、セルロースの熱劣化を抑制することができるので、好ましい。また事前に混合物を加熱空気などを用いて加熱しておくことにより、剪断応力を低下させることができるため、さらに好ましい。
<3>工程(iii)
本実施の形態のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法は、工程(ii)で作製された非晶性セルロースとオレフィン系樹脂とを混合して、セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を作製する工程を含んでいる。
オレフィン系樹脂の種類は、特に限定されず、周知のオレフィン系樹脂を用いることができる。オレフィン系樹脂は、オレフィンが主たる構成単位である重合体であればよく、その一例として、エチレンまたはプロピレンの単独重合体(換言すれば、ポリエチレンまたはポリプロピレン);エチレンとプロピレンとのブロック共重合体;エチレンとプロピレンとのランダム共重合体;エチレンおよび/またはプロピレンと、他のオレフィン(例えば、ブテン、ペンテン、ヘキセンなど)との共重合体;エチレンおよび/またはプロピレンと、他の単量体(例えば、酢酸ビニルなど)との共重合体、を挙げることができる。
工程(iii)では、脱気しながら、非晶性セルロースとオレフィン系樹脂とを混合することが好ましい。上記構成であれば、加工中にセルロースに含まれる水分が脱水されるのを効率的に除去することができるので、好ましい。
脱気する具体的な方法は特に限定されないが、例えば、減圧環境下(例えば、0.5気圧以下、好ましくは0.3気圧以下)に混練機または混練押出機を配置し、当該混練機または混練押出機によって、非晶性セルロースとオレフィン系樹脂とを混合すればよい。あるいは、脱気装置を備えた混練機または混練押出機によって、非晶性セルロースとオレフィン系樹脂とを混合すればよい。
工程(iii)にて非晶性セルロース組成物に加えられるオレフィン系樹脂の重量(全重量)は、特に限定されないが、非晶性セルロースに含まれるセルロース含有原料100重量部に対して、オレフィン系樹脂を100〜900重量部、150〜900重量部、200〜900重量部、または、200〜800重量部であり得る。上記構成であれば、物性に優れた成形体を作製することができる。
工程(iii)では、一般にマスターバッチ方式と呼ばれる手法を用いてもよい。すなわち、上記非晶性セルロース組成物とオレフィン系樹脂とを予め高濃度に混練して中間体材料を作製した後、所望のセルロース濃度となるように当該中間体材料に更にオレフィン系樹脂を加えて希釈しながら混練して、セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を作製してもよい。具体例が、実施例3に例示されている。セルロース濃度が50%程度になるように混練してオレフィン系樹脂組成物の中間体材料を製造し、最終成形品を製造する際に、所望の濃度(例えば、セルロース濃度が30%程度)になるように、中間体材料を希釈するという方法であってもよい。マスターバッチ方式の場合、取扱い性、分散性を向上させることができるので、好ましい。
工程(iii)にて作製されるセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の組成は、特に限定されないが、例えば、セルロース含有原料100重量部に対して、非イオン系界面活性剤を10〜200重量部、11〜200重量部、12〜200重量部、13〜200重量部、14〜200重量部、15〜200重量部、16〜200重量部、10〜150重量部、11〜150重量部、12〜150重量部、13〜150重量部、14〜150重量部、15〜150重量部、16〜150重量部、10〜100重量部、11〜100重量部、12〜100重量部、13〜100重量部、14〜100重量部、15〜100重量部、16〜100重量部、10〜50重量部、11〜50重量部、12〜50重量部、13〜50重量部、14〜50重量部、15〜50重量部、または、16〜50重量部、含み、かつ、セルロース含有原料100重量部に対して、オレフィン系樹脂を100〜900重量部、150〜900重量部、200〜900重量部、または、200〜800重量部、含み得る。オレフィン系樹脂の重量部が低いほど、よりサステナブル性に優れた成形材料となる。一方、オレフィン系樹脂の重量部が高いと、成形性に優れた成形品として好適に用いることができる。上記構成であれば、物性に優れた成形体を作製することができる。
工程(iii)にて作成されるセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の一例として、セルロース含有原料100重量部に対して、非イオン系界面活性剤10〜150重量部と、オレフィン系樹脂100〜900重量部とを含むセルロース含有オレフィン系樹脂組成物が挙げられるが、本発明は、これに限定されない。
工程(iii)における混合は、工程(ii)で作製された非晶性セルロースとオレフィン系樹脂とを略均一に混合できればよく、市販の各種混合装置を用いて行えばよい。例えば、工程(ii)に用いる混練機または混練押出機を用いて、工程(iii)を行ってもよい。
<1.物性の評価>
(1)分散性
セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を用いて作製した0.2mm厚みのフィルムを用いて、分散性を評価した。具体的に、フィルム100cmあたり、目視によって確認できるフィッシュアイの個数を計測した。
(2)色調(黄色度、色差計、YI値)
セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を用いて作製した0.2mm厚みのフィルムを用いて、色調を評価した。具体的に、ASTM D1925に準拠し、日本電子工業製分光式色差計SE−2000を用いて、フィルムのイエローネスインデックス(YI)を測定した。YIの数字が小さいほど、より白色であり、色調に優れることを意味する。
(3)引張強度、および、引張伸び
セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を用いて作製した0.2mm厚みのフィルムを用いて、引張強度および引張伸びを評価した。具体的に、JIS K7127に基づき、フィルムの引張強度および引張伸びを測定した。伸びが大きいほど、フィルム物性が優れることを意味する(例えば、フィルムの加工性に優れる)。
(4)寸法安定性
セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を用いて作製した2.5mm厚みのシートを用いて、寸法安定性を評価した。具体的に、フィルムを、長さ60mm、幅10mm、厚さ2.5mmの試料片に成形し、得られた試験片を60℃の乾燥条件下で1週間静置した。20℃における作業前後の長さをノギスで測定し、下記(式)にしたがって線膨張係数を計算した。
線膨張係数=(L−Lo)×10/(Lo×40) ・・・ (式)
(Lo:作業前の長さ(mm)、L:作業後の長さ(mm))
測定値が0に近いほど、フィルムに熱収縮が無く好ましいことを意味する。
<2.加工性>
(1)加工温度
表1および表2にて「加工温度」とは、ラボプラストミルの設定温度Ti(℃)を表す。
(2)5分混練後の温度
表1および表2にて「5分混練後の温度」とは、ラボプラストミルに所定の原料を投入し、5分間混練した後の樹脂の温度T(℃)を表す。
(3)発熱量
表1および表2にて「発熱量」とは、5分間混練した後の樹脂の温度T(℃)から設定温度Ti(℃)を減じた発熱温度ΔT(℃)を表す。
(4)離形性
混練試験終了後の、混練ケーシングからの樹脂の離形性を下記の基準で評価した。
○: 樹脂が銅ヘラで軽くこすると、きれいにとれる、
△: 樹脂を銅ヘラでこすると、きれいにとれる、
×: 樹脂が粘着性を持っており、銅ヘラではきれいにとれないが、真鍮ブラシで磨くととれる。
<3.セルロースI型結晶化度>
セルロースI型結晶化度は、X線回折法で測定したX線回折強度の値から、Segal法に基づいて算出した。具体的に、次式に基づいて、セルロースI型結晶化度を算出した。
セルロースI型結晶化度=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100
(上記式において、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度であり、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度である。)。
更に、X線回折強度の値(I22.6、および、I18.5)は、株式会社リガク製の「RINT2200」を用いて以下の条件で測定した。
X線源 :Cu/Kα−radiation、
管電圧 :40kv、
管電流 :30mA、
測定範囲:回折角2θ=5〜35°、
X線のスキャンスピード:10°/min。
<4.セルロース含有オレフィン系樹脂組成物、および、フィルムの作製>
(実施例1)
セルロース含有原料としてBCTMP(サーモメカニカルパルプ、Wagerryd社製325/78、樹種:トウヒ、セルロースI型結晶化度67%)を使用し、BCTMPを大阪ケミカル社製ワーリングブレンダー(7011HS型)で5mm角以下の大きさに粉砕して試験に供した。セルロース含有原料に含まれる水分量を、水分計(Kett(ケット)社製、製品名:FD-720)で測定した結果、12重量%であった。
サーモメカニカルパルプ(85.7重量%)と、分散剤としてソルビタンステアレート(14.3重量%)(リケマールS−300W:理研ビタミン社製、融点59℃)とを、予め混合した。噛合型ディスクを有するバッチ式混練機(東洋精機製作所製ラボプラストミル:KF70V2)を用い、充填量28g(充填率約40%)、ラボプラストミルの回転数50rpm、ラボプラストミルの温度80℃の条件下で、サーモメカニカルパルプとソルビタンステアレートとを20分間混練し、非晶性セルロースを得た。なお、噛合型ディスクとミキサー内壁とのクリアランスは0.4mm、剪断速度は300sec−1であった。得られた非晶性セルロースの結晶化度は、35%であった。
得られた非晶性セルロース4.7gと、オレフィン系樹脂としてLLDPE(プライムポリマー社製エボリューSP2040)35.3gとを、予め混合した。噛合型ディスクを有するバッチ式混練機(東洋精機製作所製ラボプラストミル:KF70V2)を用い、充填量40g(充填率約57%)、ラボプラストミルの回転数50rpm、ラボプラストミルの温度160℃の条件下で、非晶性セルロースとオレフィン系樹脂とを5分間混練し、セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を得た。なお、当該セルロース含有オレフィン系樹脂組成物は、BCTMPを10.0重量部、分散剤を1.7重量部、および、LLDPEを88.3重量部含んでいた。
得られたセルロース含有オレフィン系樹脂組成物を、東洋精機製作所製プレスMP−WNLを用いて0.2mm厚みのフィルム状、および、2.5mm厚みのシート状に成形した。
(実施例2)
実施例1と同様の方法にて、非晶性セルロース(結晶化度:35%)を得た。
得られた非晶性セルロース14.0gと、オレフィン系樹脂としてLLDPE(プライムポリマー社製エボリューSP2040)26.0gとを用いて、実施例1と同様の方法にて、セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を得た。なお、当該セルロース含有オレフィン系樹脂組成物は、BCTMPを30.0重量%、分散剤を5.0重量%、および、LLDPEを65.0重量%含んでいた。
得られたセルロース含有オレフィン系樹脂組成物を、実施例1と同様の方法にて、フィルム状、およびシート状に成形した。
(実施例3)
実施例1と同様の方法にて、非晶性セルロース(結晶化度:35%)を得た。
得られた非晶性セルロース23.3gと、オレフィン系樹脂としてLLDPE(プライムポリマー社製エボリューSP2040)16.7gとを予め混合した。噛合型ディスクを有するバッチ式混練機(東洋精機製作所製ラボプラストミル:KF70V2)を用い、充填量40g(充填率約57%)、ラボプラストミルの回転数50rpm、ラボプラストミルの温度160℃の条件下で、非晶性セルロースとオレフィン系樹脂とを5分間混練し、中間体材料(マスターバッチ)を得た。
得られた中間体原料(マスターバッチ)24gとオレフィン系樹脂としてLLDPE(プライムポリマー社製エボリューSP2040)16.0gとを用いて、実施例1と同様の方法にて、セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を得た。なお、当該セルロース含有オレフィン系樹脂組成物は、BCTMPを30.0重量%、分散剤を5.0重量%、および、LLDPEを65.0重量%含んでいた。
得られたセルロース含有オレフィン系樹脂組成物を、実施例1と同様の方法にて、フィルム状、およびシート状に成形した。
(実施例4、5)
オレフィン系樹脂としてHDPE(日本ポリエチ社製HY−430)を使用し、ラボプラストミルの温度を170℃にした以外は、実施例4は実施例1と同様の方法にて、また、実施例5は実施例2と同様の方法にて、非晶性セルロース(実施例4における結晶化度:35%、実施例5における結晶化度:35%)、セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を得た。なお、実施例4のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物は、BCTMPを10.0重量%、分散剤を1.7重量%、および、HDPEを88.3重量%含み、実施例5のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物は、BCTMPを30.0重量%、分散剤を5.0重量%、および、HDPEを65.0重量%含んでいた。
得られたセルロース含有オレフィン系樹脂組成物を、実施例1と同様の方法にて、フィルム状、およびシート状に成形した。
(実施例6、7)
オレフィン系樹脂としてHomo−PP(プライムポリマー社製F−704)を使用し、ラボプラストミルの温度を180℃にした以外は、実施例6は実施例1と同様の方法にて、また、実施例7は実施例2と同様の方法にて、非晶性セルロース(実施例6における結晶化度:35%、実施例7における結晶化度:35%)、セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を得た。なお、実施例6のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物は、BCTMPを10.0重量%、分散剤を1.7重量%、および、Homo−PPを88.3重量%含み、実施例7のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物は、BCTMPを30.0重量%、分散剤を5.0重量%、および、Homo−PPを65.0重量%含んでいた。
得られたセルロース含有オレフィン系樹脂組成物を、実施例1と同様の方法にて、フィルム状、およびシート状に成形した。
(実施例8、9)
分散剤としてソルビタンラウレート(理研ビタミン社製リケマールL−250A)を使用した以外は、実施例8は実施例4と同様の方法にて、また、実施例9は実施例5と同様の方法にて、非晶性セルロース(実施例8における結晶化度:20%、実施例9における結晶化度:20%)、セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を得た。なお、実施例8のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物は、BCTMPを10.0重量%、分散剤を1.7重量%、および、HDPEを88.3重量%含み、実施例9のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物は、BCTMPを30.0重量%、分散剤を5.0重量%、および、HDPEを65.0重量%含んでいた。
得られたセルロース含有オレフィン系樹脂組成物を、実施例1と同様の方法にて、フィルム状、およびシート状に成形した。
(実施例10)
分散剤としてソルビタントリベヘネート(理研ビタミン社製リケマールB−150)を使用した以外は、実施例9と同様の方法にて、非晶性セルロース(結晶化度:28%)、セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を得た。なお、実施例10のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物は、BCTMPを30.0重量%、分散剤を5.0重量%、および、HDPEを65.0重量%含んでいた。
得られたセルロース含有オレフィン系樹脂組成物を、実施例1と同様の方法にて、フィルム状、およびシート状に成形した。
(実施例11、12)
実施例11では、実施例5と同様の方法にて、BCTMPを30.0重量%、分散剤を10.0重量%およびHDPEを60.0重量%含むセルロース含有オレフィン系樹脂組成物、並びに、当該セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を成形してなるフィルムを作製した。なお、実施例11における非晶性セルロースの結晶化度は、30%であった。一方、実施例12では、実施例5と同様の方法にて、BCTMPを10.0重量%、分散剤を10.0重量%およびHDPEを80.0重量%含むセルロース含有オレフィン系樹脂組成物、並びに、当該セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を成形してなるフィルム、およびシートを作製した。なお、実施例12における非晶性セルロースの結晶化度は、25%であった。
(実施例13)
セルロース含有原料としてNBKP(針葉樹クラフトパルプ、Munksjo社製ASPA ECF、樹種:マツ、トウヒ、セルロースI型結晶化度85%)を使用した以外は、実施例1と同様の方法にて、非晶性セルロース(結晶化度:40%)、セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を得た。なお、実施例13のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物は、BCTMPを10.0重量%、分散剤を1.7重量%、および、LLDPEを88.3重量%含んでいた。
得られたセルロース含有オレフィン系樹脂組成物を、実施例1と同様の方法にて、フィルム状、およびシート状に成形した。
(実施例14)
セルロース含有原料として、BCTMP(サーモメカニカルパルプ、Wagerryd社製325/78、樹種:トウヒ、セルロースI型結晶化度67%)を使用し、BCTMPを大阪ケミカル社製ワーリングブレンダー(7011HS型)で5mm角以下に粉砕して試験に供した。セルロース含有原料に含まれる水分量を、水分計(Kett(ケット)社製、製品名:FD-720)で測定した結果、12重量%であった。
サーモメカニカルパルプ(85.7重量%)と、分散剤としてソルビタンステアレート(14.3重量%)(リケマールS−300W:理研ビタミン社製、融点59℃)とを、予め混合した。ニーディングディスクを有する二軸押出機(プラスチック工学研究所製、BT−30型、口径30mmφ、L/d=30、ニーディングゾーン1か所)を用い、シリンダー温度100℃、回転数120rpm、フィード量20g/分の条件下で、サーモメカニカルパルプとソルビタンステアレートとを混練押出し、非晶性セルロースを得た。なお、スクリュー径は28mm、溝の深さは0.4mm、120rpm時の剪断速度は440sec−1であった。得られた非晶性セルロースの結晶化度は、32%であった。
得られた非晶性セルロース583gと、オレフィン系樹脂としてLLDPE(プライムポリマー社製エボリューSP2040)417gとを、予め混合した。プラスチック工学研究所製二軸押出機を用い、シリンダー温度160℃、回転数100rpm、フィード量50g/分の条件下で、非晶性セルロースとオレフィン系樹脂とを溶融混練押出し、中間体材料を得た。
得られた中間体材料600gと、オレフィン系樹脂としてLLDPE(プライムポリマー社製エボリューSP2040)400gとを、予め混合した。プラスチック工学研究所製二軸押出機を用い、シリンダー温度160℃、回転数100rpm、フィード量50g/分の条件下で、中間体材料とオレフィン系樹脂とを溶融混練押出し、セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を得た。なお、当該セルロース含有オレフィン系樹脂組成物は、BCTMPを30.0重量%、分散剤を5.0重量%、および、LLDPEを65.0重量%含んでいた。
得られたセルロース含有オレフィン系樹脂組成物を、東洋精機製作所製プレスMP−WNLを用いて0.2mm厚みのフィルム状、および、2.5mm厚みのシート状に成形した。
(実施例15、16)
セルロース含有原料として木粉(ベイツガ材、セルロースI型結晶化度55%)を使用した以外は、実施例5と同様の方法にて、非晶性セルロース(結晶化度:39%)、セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を得た。セルロース含有原料に含まれる水分量を、水分計(Kett(ケット)社製、製品名:FD-720)で測定した結果、18重量%であった。
実施例15のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物は、セルロース含有原料を10.0重量%、分散剤を1.7重量%、および、LLDPEを88.3重量%含んでいた。実施例16のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物は、セルロース含有原料を30.0重量%、分散剤を5.0重量%、および、LLDPEを65.0重量%含んでいた。
得られたセルロース含有オレフィン系樹脂組成物を、実施例1と同様の方法にて、フィルム状、およびシート状に成形した。
(実施例17、18)
セルロース含有原料として竹粉(風乾したマダケ、セルロースI型結晶化度45%)を使用した以外は、実施例5と同様の方法にて、非晶性セルロース(結晶化度:36%)、セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を得た。セルロース含有原料に含まれる水分量を、水分計(Kett(ケット)社製、製品名:FD-720)で測定した結果、16重量%であった。
実施例17のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物は、セルロース含有原料を10.0重量%、分散剤を1.7重量%、および、LLDPEを88.3重量%含んでいた。なお、実施例18のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物は、セルロース含有原料を30.0重量%、分散剤を5.0重量%、および、LLDPEを65.0重量%含んでいた。
得られたセルロース含有オレフィン系樹脂組成物を、実施例1と同様の方法にて、フィルム状、およびシート状に成形した。
(実施例19)
実施例14における配合比率と同じ配合比率にて、すなわち、BCTMP85.7%とソルビタンステアレート14.3%とを予め混合することにより混合材料を得た。得られた上記混合材料を、ニーディングディスクを有する二軸押出機(プラスチック工学研究所製、BT−30型、口径30mmφ、L/d=30、ニーディングゾーン2か所)を用い、シリンダー温度60℃、ニーディングゾーンのシリンダー温度100℃、回転数120rpm、フィード量20g/分の条件下で、サーモメカニカルパルプとソルビタンステアレートとを混練押出し、非晶性セルロースを得た。なお、スクリュー径は28mm、溝の深さは0.4mm、120rpm時の剪断速度は440sec−1であった。
以降の工程は実施例14と同様の工程にしたがい、得られたセルロース含有オレフィン系樹脂組成物をフィルム状、およびシート状に成形した。
(実施例20)
ラボプラストミルの回転速度を最初の3分間は10rpmとし、その後の17分間は120rpmにした以外は、実施例1と同様にして非晶性セルロース組成物を得た。なお剪断速度は、120rpm時のせん断速度が720sec−1であった。
以降の工程は実施例1と同様の工程にしたがい、得られたセルロース含有オレフィン系樹脂組成物をフィルム状、およびシート状に成形した。
(実施例21)
ラボプラストミルの回転速度を最初の3分間は10rpmとし、その後の17分間は120rpmにした以外は、実施例2と同様にして非晶性セルロース組成物を得た。なお剪断速度は、120rpm時のせん断速度が720sec−1であった。
以降の工程は実施例1と同様の工程にしたがい、得られたセルロース含有オレフィン系樹脂組成物をフィルム状、およびシート状に成形した。
(比較例1)
予め、遠心粉砕機(クロスビータミルSK−100、レッチェ社製)で3mm以下に粉砕したBCTMP(サーモメカニカルパルプ、Wagerryd社製325/78、樹種:トウヒ、セルロースI型結晶化度67%)を使用した。
粉砕処理したBCTMP16.0gと、分散剤としてマレイン酸変性EVA(東ソー製メルセン6410M)8.0gと、オレフィン系樹脂としてLLDPE(プライムポリマー社製エボリューSP2040)16.0gとを、予め混合した。実施例1と同様の方法で、BCTMP40重量%の中間体材料を得た。
得られた中間体材料30gと、オレフィン系樹脂としてLLDPE(プライムポリマー社製エボリューSP2040)10.0gとを、予め混合した。噛合型ディスクを有するバッチ式混練機(東洋精機製作所製ラボプラストミル:KF70V2)を用い、充填率約57%、ラボプラストミルの回転数50rpm、ラボプラストミルの温度180℃の条件下で、中間体材料とオレフィン系樹脂とを5分間混練し、セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を得た。なお、当該セルロース含有オレフィン系樹脂組成物は、BCTMPを10.0重量%、分散剤を5.0重量%、および、LLDPEを85.0重量%含んでいた。
得られたセルロース含有オレフィン系樹脂組成物を、東洋精機製作所製プレスMP−WNLを用いて0.2mm厚みのフィルム状、および、2.5mm厚みのシート状に成形した。
(比較例2、3)
比較例2では、比較例1と同様の方法にて、BCTMPを10.0重量%、分散剤(マレイン酸変性EVA)を5.0重量%およびHDPE(日本ポリエチ社製HY−430)を85.0重量%含むセルロース含有オレフィン系樹脂組成物、並びに、当該セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を成形してなるフィルムを作製した。一方、比較例3では、比較例1と同様の方法にて、BCTMPを10.0重量%、分散剤(マレイン酸変性PP、三洋化成社製ユーメックス1010)を5.0重量%およびHomo−PP(プライムポリマー社製F−704)を85.0重量%含むセルロース含有オレフィン系樹脂組成物、並びに、当該セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を成形してなるフィルム、およびシートを作製した。
(比較例4〜6)
非晶性セルロースを配合せず、オレフィン系樹脂としてLLDPE(プライムポリマー社製エボリューSP2040)、HDPE(日本ポリエチ社製HY−430)、または、Homo−PP(プライムポリマー社製F−704)のそれぞれを使用して、フィルム、およびシートを作製した。
Figure 0005924722
Figure 0005924722
表1および2に示すように、本発明であれば、成形性(樹脂流動性、離形性、電力負荷)、物性(セルロースの分散性、色調(黄色度)、引張強度、引張伸び、寸法安定性など)に優れた成形体を作製することができるとともに、当該成形体の材料であるセルロース含有オレフィン系樹脂組成物を提供することができることが明らかになった。すなわち、実施例1、4、6と比較例1、2、3とを比較すると、本願発明は、加工時の発熱や離形性が良好になり、分散性、色調、引張強度、および引張伸びが優れることが明らかになった。また、実施例全般と、比較例4、5、6とを比較すると、本願発明は、寸法安定性に優れるため、成形部材として好ましく用いることができる。
また、特に実施例1、2、20および21から、本発明において非晶性セルロースを作製する工程における剪断速度は限定されないが、非晶性セルロースを作製する工程における剪断速度を小さくすると、非結晶性セルロースの熱劣化が抑制される傾向を示し(例えば、表1の「黄色度」を参照)、非晶性セルロースを作製する工程における剪断速度を大きくすると、非結晶セルロースの結晶化度が小さくなる傾向を示す(例えば、表1の「工程ii 結晶化度を参照」)ことが明らかになった。つまり、非結晶性セルロースの熱劣化を抑制するという観点からは、非晶性セルロースを作製する工程における剪断速度を小さくすることが好ましく、結晶セルロースの結晶化度を小さくするという観点からは、非晶性セルロースを作製する工程における剪断速度を大きくすることが好ましいことが明らかになった。
本発明は、樹脂成形体を製造する分野に利用することができる。

Claims (10)

  1. (i)セルロースI型結晶化度が40%を超えるセルロース含有原料と、ソルビタン系脂肪酸エステルとを混合して、混合材料を作製する工程と、
    (ii)上記混合材料を、バッチ式混練機および二軸混練押出機からなる群より選択される少なくとも1つを用いて混合および剪断して、非晶性セルロースを作製する工程と、
    (iii)上記非晶性セルロースとオレフィン系樹脂とを混合して、セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を作製する工程と、を含むことを特徴とする、セルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法。
  2. 上記ソルビタン系脂肪酸エステルを構成する脂肪酸が、炭素数が12〜22個の高級脂肪酸であることを特徴とする、請求項に記載のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法。
  3. 上記ソルビタン系脂肪酸エステルが、常温で結晶状のものであることを特徴とする、請求項1または2に記載のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法。
  4. 上記セルロース含有オレフィン系樹脂組成物は、上記セルロース含有原料100重量部に対して、上記ソルビタン系脂肪酸エステル10〜150重量部と、上記オレフィン系樹脂100〜900重量部とを含むものであることを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法。
  5. 上記セルロース含有原料が、機械パルプ、クラフトパルプ、再生パルプ、草本類から得られる植物繊維、および、木本類から得られる植物繊維からなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法。
  6. 上記オレフィン系樹脂が、ポリエチレンまたはポリプロピレンであることを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法。
  7. 上記セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を作製する工程では、上記非晶性セルロースとオレフィン系樹脂とを混合して中間体材料を作製した後、該中間体材料へ更にオレフィン系樹脂を加えて混合して上記セルロース含有オレフィン系樹脂組成物を作製することを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法。
  8. 上記バッチ式混練機が、噛合い式ロータを有するものであることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法。
  9. 上記二軸混練押出機が、ニーディングディスクを有する同方向回転式のものであることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法。
  10. 上記非晶性セルロースを作製する工程では、20〜750sec−1の剪断速度にて、上記混合材料を剪断することを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載のセルロース含有オレフィン系樹脂組成物の製造方法。
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