JP2018024790A - セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法およびその積層成形体 - Google Patents

セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法およびその積層成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】発泡成形性および剛性の両方に優れたセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体、当該セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体を含む積層成形体、および当該セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法を提供する。【解決手段】本発明のセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体は、熱可塑性樹脂と、非晶性セルロースと、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルと、を含むことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法およびその積層成形体に関する。より具体的には、本発明は、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体、当該セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体を含む積層成形体、および当該セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法に関する。
樹脂成形体の断熱性強化および軽量化のための技術として、発泡成形が知られている。発泡成形における製品品質におよぼす因子としては、発泡倍率、発泡セル数、独立気泡率などがあげられる。
熱可塑性樹脂の代表的な発泡成形方法としては、分散させた発泡剤の熱分解によって気泡を発生させる方法、溶解したガスから気泡を発生させる方法、などが知られている。前者の方法では概ね3倍程度までの発泡倍率が得られ、後者の方法であれば3倍以上の発泡倍率が得られ、必要に応じて併用して用いられている。また、用いる樹脂の溶融特性や発泡方法(発泡剤、プロセス)により、発泡セル数や独立気泡率を調整することができる。用いる樹脂の溶融特性については、樹脂自体の改良(例えば分子量分布を広げること)や各種無機フィラー、木粉など各種有機フィラー、等の添加により粘度調整することが知られている。
特許文献1には、セルロース系粉末を含む特定のポリエチレン系複合材料を原料とした各種形状の発泡体の製造方法が開示されている。
特許文献2には、熱可塑性樹脂と植物セルロース系粉体とを混合し、さらに発泡剤を加えた樹脂組成物を、押出成形した外層と、該外層に囲まれた内層とを有する二重構造の樹脂成形体およびその成形方法が開示されている。
特許文献3には、セルロース系粉粒体及び熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物から成る層、並びに熱可塑性樹脂を含む発泡層を有する木質樹脂構造体が開示されている。
特許文献4には、ポリオレフィン系樹脂と、吸湿性物質および/またはグリセリン誘導体と、無機充填剤とから主としてなる樹脂組成物を発泡成形させてなる発泡成形体が開示されている。
特開2000−225638号公報(2000年8月15日公開) 特開2004−202956号公報(2004年7月22日公開) 特開2000−25141号公報(2000年1月25日公開) 特開2002−12689号公報(2002年1月15日公開)
上述のような従来技術は、発泡成形性および剛性を有する樹脂成形体を実現できる技術ではあるが、発泡成形性および剛性の面でさらに優れた樹脂成形体が求められている。すなわち、溶融した樹脂中で発泡ガスを発生させ、圧力低下により気泡を生成させて固化させる際に、如何に気泡の大きさ、セル数、独立気泡率を保つかが、重要な要素となる。
例えば、特許文献1に記載の技術は、分子量分布が広い樹脂を用いているが、発泡倍率が十分ではない、という問題点を有している。
また、特許文献2に記載の技術は、発泡倍率が十分ではなく、外層が非発泡あるいは超低発泡層からなり、該外層で囲まれた内層が該外層よりも高発泡層からなる二重構造を有していることから、ダイス構造が複雑になる、という問題点を有している。
特許文献3に記載の技術は、木粉の量が20重量%以上で発泡ガスが木粉と樹脂との間隙を抜けてしまい発泡しないため、木粉と樹脂からなる層に発泡層を積層する構造をとっており、構成が複雑化する、という問題点を有している。
特許文献4には、汚水処理に使用する微生物を固定化するために、連続気泡となるような構成となっており、剛性を必要とする産業用資材には使用できない、という問題点を有している。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、発泡成形性および剛性の両方に優れたセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体、当該セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体を含む積層成形体、および当該セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下の(a)、(b)、(c)を見出し、本発明に至った。つまり、
(a)セルロース含有原料と、セルロース含有原料と親和性が高いソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルとを予め混合して混合材料を作製すれば、当該混合材料を特定の混練機を用いて混合および剪断することにより、脂肪酸エステルによってセルロース含有原料が疑似的に可塑化され、剪断エネルギーを効率良く混合材料へ伝えることができる。その結果、結晶化度が高いセルロース含有原料から、容易かつ効率よく、結晶化度が低く、樹脂成形に適した粒度分布を持ち、気泡造核効果を持つ、非晶性セルロースを作製することができること;
(b)熱可塑性樹脂組成物において、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルを非晶性セルロースに付与することにより、熱可塑性樹脂中に非晶性セルロースを良好に分散させ、化学発泡剤を熱分解して発生した気泡の造核起点とすることができること;
(c)熱可塑性発泡性樹脂組成物において、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルを非晶性セルロースに付与することにより、溶融粘性が向上するため、溶融状態の気泡壁の強度が高まり破泡が減少し、発泡倍率に優れること。すなわち、本発明は、以下の構成からなるものである。
熱可塑性樹脂40〜94.8重量部と、非晶性セルロース5〜50重量部と、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステル0.2〜10重量部と、を含み、上記熱可塑性樹脂と、上記非晶性セルロースと、上記ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルの合計量を100重量部とすることによって、発泡成形性および剛性の両方に優れたセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体、当該セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体を含む積層成形体、および当該セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の構成からなるものである。
〔1〕熱可塑性樹脂40〜94.8重量部と、非晶性セルロース5〜50重量部と、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステル0.2〜10重量部と、を含み、
上記熱可塑性樹脂と、上記非晶性セルロースと、上記ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルと、の合計量が100重量部であって、
発泡倍率が1.6倍以上であることを特徴とする、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体。
〔2〕上記ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルが、不飽和脂肪酸エステルおよび/または飽和脂肪酸エステルであることを特徴とする、〔1〕に記載のセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体。
〔3〕上記非晶性セルロースの結晶化度が、20〜50%であることを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載のセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体。
〔4〕上記非晶性セルロースのメジアン径が、20〜70μmであることを特徴とする、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体。
〔5〕上記ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルの水酸基価が、200〜500であることを特徴とする、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体。
〔6〕上記セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の独立気泡率が、35〜70%であることを特徴とする、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体。
〔7〕〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体を含んでいる基材層を有することを特徴とする、積層成形体。
〔8〕(i)セルロース含有原料と、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルとを混合して、混合材料を粗粉砕する工程と、
(ii)上記混合材料を混合および剪断して、非晶性セルロースを作製する工程と、
(iii)上記非晶性セルロースと熱可塑性樹脂とを混合して、セルロース含有熱可塑性樹脂マスターバッチを作製する工程と、
(iv)上記セルロース含有熱可塑性樹脂マスターバッチと、化学発泡剤とを混合して、上記熱可塑性樹脂40〜94.8重量部、上記非晶性セルロース5〜50重量部、上記ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステル0.2〜10重量部、および、上記化学発泡剤0.5〜4重量部を含む混合物(上記熱可塑性樹脂と、上記非晶性セルロースと、上記ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルと、の合計量が100重量部)を作製した後で、当該混合物を発泡成形し、発泡倍率が1.6倍以上であるセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体を作製する工程と、
を含むことを特徴とする、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法。
本発明に係るセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体は、非晶性セルロースを含むことで、非晶性セルロース自体が発泡核材になるため、独立気泡が多くなり、発泡倍率に優れる、という効果を有する。また、当該発泡成形体は、非晶性セルロースを含むことで、低剪断域での溶融粘度が高くなり、破泡が減少し、発泡倍率に優れる、という効果を有する。
本発明に係るセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体は、非晶性セルロース、およびソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルを含むことで、溶融状態の気泡壁の強度が高まり、破泡が減少し、発泡倍率に優れる、という効果を有する。
本発明に係るセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体は、非晶性セルロースを含むことで、比弾性率に優れる、という効果を有する。
本発明に係るセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体は、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルを含むことで、剪断発熱が低下し、セルロースの熱劣化を抑制するため、酸化チタンなど白色隠ぺい剤の添加量を減らせることができ、色調に優れる、という効果を有する。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。
(1)セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体
本発明のセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体は、熱可塑性樹脂40〜94.8重量部と、非晶性セルロース5〜50重量部と、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステル0.2〜10重量部と、を含み、上記熱可塑性樹脂と、上記非晶性セルロースと、上記ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルの合計量が100重量部であって、発泡倍率が1.6倍以上であることを特徴とする。
上記セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の発泡倍率は、1.6倍以上であることが好ましく、1.8倍以上であることがさらに好ましく、2.0倍以上であることが特に好ましい。当該構成であれば、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の見かけ比重が減少し、優れた軽量化の効果が見られる。
上記セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の独立気泡率は、35%〜70%であることが好ましい。当該構成であれば、発泡成形に優れた溶融特性、すなわち、低剪断領域での粘度を比較的高く、高剪断領域での粘度を比較的低くできるため、気泡数を多くでき、かつ成形固化時の気泡合一を抑制できるため、独立気泡率の高い成形体を作製することができる。なお独立気泡率は、後述する実施例に記載の方法にしたがって算出することができるので、ここではその説明を省略する。
上記セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の比弾性率は、可能な限りベースとなる熱可塑性樹脂の比弾性率に近付けることが好ましい。例えば実施例にあげたオレフィン系樹脂の比弾性率は、HDPEが900MPa、ランダムPPが1000MPaであり、5割以上低下すると、剛性が低下しすぎるため、厚みの補正などの剛性改良策が必要となる。当該構成であれば、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体は剛性に優れる。なお比弾性率は、後述する実施例に記載の方法にしたがって算出することができるので、ここではその説明を省略する。
上記セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の比重は、0.2〜0.8であることが好ましく、0.3〜0.7であることがさらに好ましく、0.4〜0.6であることが特に好ましい。当該構成であれば、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体に、優れた軽量化の効果が見られる。なお、比重とは、水を基準物質としたときの密度比のことである。
〔熱可塑性樹脂〕
本発明で用いられる熱可塑性樹脂としては、限定されるものではないが、例えば鎖状ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂など)等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;セルローストリアセテート等のセルロースエステル系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;エチレン系エラストマー、プロピレン系エラストマーなどのオレフィン系エラストマー;スチレン系エラストマーなどが挙げられる。なお本明細書において、(メタ)アクリル系樹脂とはメタクリル系樹脂およびアクリル系樹脂を総称した意味を表す。
これらの熱可塑性樹脂のうち、ポリオレフィン系樹脂が好ましく用いられる。ポリオレフィン系樹脂とは、オレフィン類の単独重合体又は共重合体である。
オレフィン類としては、α−オレフィンや環状オレフィンが挙げられ、α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコセン−1等が挙げられる。そして、環状オレフィンとしては、例えば、特開平2−115248号公報明細書に記載の環状オレフィン等が挙げられる。
また、オレフィン類と少量の他の不飽和単量体を共重合して得られる共重合体も挙げられ、さらに、上記のオレフィン類の単独重合体又は共重合体や、オレフィン類と少量の他の不飽和単量体を共重合して得られる共重合体が、酸化やスルホン化等によって変性された変性物も挙げられる。
オレフィン類と少量の他の不飽和単量体を共重合して得られる共重合体に用いられる他の不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、アリールマレイン酸イミド、アルキルマレイン酸イミド等の不飽和有機酸又はその誘導体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル;スチレン、メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;ビニルトリメチルメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン;ジシクロペンタジエン、4−エチリデン−2−ノルボルネン、4−メチル−1、4−ヘキサジエン、5−メチル−1、4−ヘキサジエン等の非共役ジエン等が挙げられる。
これらのポリオレフィン系樹脂のうち、好ましくは、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1または4−メチルペンテン−1の単独重合体、または、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1および4−メチルペンテン−1から選ばれる少なくとも1種を過半重量含む共重合体で、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体などがあげられる。
これらの熱可塑性樹脂を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、成形性に優れるという観点から、オレフィン系樹脂が好ましい。
上記セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体に含まれる熱可塑性樹脂の量は、例えば、熱可塑性樹脂と、非晶性セルロースと、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルとの合計100重量部あたり、40〜94.8重量部であれば、特に限定されないが、例えば、成形性の向上および優れた成形外観を得るためには合計100重量部あたり、60〜94.8重量部であることが好ましく、75重量部〜94.8重量部であることがより好ましい。45〜60重量部であれば、相対的に非晶性セルロースの量が増えるため環境性能面において有利となるが、成形性が低下する方向となるため、成形条件の最適化が必要となる。
〔非晶性セルロース〕
本明細書において「非晶性セルロース」とは、セルロースI型結晶化度が20%〜50%であるセルロースを意図する。セルロースI型結晶化度(以下、結晶化度)とは、セルロース全体のうち結晶領域量の占める割合のことを意味する。また、「セルロースI型」とは、天然セルロースの結晶形のことであり、結晶化度は、セルロースの物理的性質、および化学的性質とも関係し、一般的に、その値が大きいほど硬度、密度等は増すが、伸びや柔軟性、化学反応性は低下する。なお結晶化度は、後述する実施例に記載の方法にしたがって算出することができるので、ここではその説明を省略する。
上記非晶性セルロースの結晶化度は、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルを付与することにより、樹脂中での分散性を高めることができる限りにおいては特に限定されないが、20%〜50%であることが好ましく、30%〜50%であることがさらに好ましい。当該構成であれば、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルとの相互作用によって、熱可塑性樹脂中で非晶性セルロースが良好に分散し、発泡剤を熱分解して発生した気泡の造核作用により、良好な気泡を発生させることができる。
上記セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体に含まれる非晶性セルロースの量は、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルを水素結合させることにより、樹脂中での良好な溶融特性を発揮させる限りにおいては特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂と、非晶性セルロースと、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルとの合計100重量部あたり5〜50重量部であることが好ましく、8重量部〜40重量部であることがさらに好ましく、8重量部〜30重量部であることが特に好ましい。当該構成であれば、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルとの相互作用によって、溶融状態の気泡壁の強度が高まり、破泡が減少するため、発泡倍率に優れる。
上記非晶性セルロースの形状は、特に限定されないが、粒子状であり得る。この場合、上記非晶性セルロースのメジアン径は、20μm〜100μmであることが好ましく、20μm〜70μmであることがさらに好ましく、40μm〜60μmであることが特に好ましい。当該構成であれば、非晶性セルロースの結晶化度を容易に所望の値に調整することができ、結晶化度が低い非晶性セルロースを作製することができるため、優れた発泡倍率を有するセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体を得ることができる。なお、非晶性セルロースのメジアン径は、後述する実施例に記載の方法にしたがって算出することができるので、ここではその説明を省略する。
本発明で用いられる非晶性セルロースの製造方法は、特に限定されるものではないが、(i)セルロース含有原料と、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルとを混合して、混合材料を作製する工程と、(ii)上記混合材料を、混合および剪断して非晶性セルロースを作製する工程(より具体的に、バッチ式混練機および二軸混練押出機からなる群より選択される少なくとも1つを用いて混練押出する工程)と、を含んだ製造方法によって作製されることが好ましい。
前記セルロース含有材料の結晶化度の下限値は、40%を超える値であればよいが、50%以上、60%以上であってもよい。また、前記セルロース含有材料の結晶化度の上限値は、特に限定されないが、例えば、95%、90%、または、80%であってもよい。前記セルロース含有材料の結晶化度の値は、上述した下限値と、上述した上限値との、任意の組み合わせであり得る。
セルロースI型結晶化度が40%以上であるセルロース含有原料の具体例としては、例えば、機械パルプ(例えば、BCTMPのセルロースI型結晶化度=65〜70%:針葉樹由来)、クラフトパルプ(例えば、NBKPのセルロースI型結晶化度=85〜90%:針葉樹由来)、再生パルプ(75〜85%)、草本類から得られる植物繊維(例えばイネ科茎葉部のセルロースI型結晶化度=40〜50%、もみ殻のセルロースI型結晶化度=45〜55%)、および、木本類(例えば、ヒノキ、杉、ブナ、竹など)から得られる植物繊維(例えばベイツガ材(北米針葉樹)のセルロースI型結晶化度=50〜60%、デルニア(南洋広葉樹)のセルロースI型結晶化度=45〜55%、竹材のセルロースI型結晶化度=40〜50%)からなる群より選択される少なくとも1つを挙げることができる。
前記セルロース含有原料の形態は、特に限定されず、チップ状、繊維状、粒状、粉末状または、それらを固めたベール状であり得る。セルロース含有材料の大きさは、特に限定されないが、工程(i)における加工機の投入口サイズに応じて、適宜小さくすることが必要である。
上記セルロース含有材料は、水分を含有していても良く、含有する水分の量を調節することによって、上記工程にて製造される非晶性セルロースの結晶化度を容易に調整することができる。用いるセルロース含有材料は、より具体的には、水分含有量が5重量%〜20重量%であることが好ましく、8重量%〜12重量%であることがさらに好ましい。当該構成によれば、工程(i)(ii)において非晶性セルロースの結晶化度を、容易に所望の値に調整することができる。
〔ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル〕
本発明で用いられるソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルは、不飽和脂肪酸エステルであってもよいし、飽和脂肪酸エステルであってもよいし、不飽和脂肪酸エステルと飽和脂肪酸エステルとの混合物であってもよい。ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルが、不飽和脂肪酸エステルであれば、帯電防止効果が見られる。一方、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルが、飽和脂肪酸エステルであれば、外部滑剤効果により成形外観向上の効果が見られる。
上記ソルビタン脂肪酸エステルおよび上記グリセリン脂肪酸エステルの水酸基価は、特に限定されるものではないが、例えば、200〜500であることが好ましい。当該構成であれば、非晶性セルロースとの相互作用に優れるため、溶融状態の気泡壁の強度が高まり、破泡が減少し、発泡倍率に優れる。
上記ソルビタン脂肪酸エステルおよび上記グリセリン脂肪酸エステルは、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪酸エステルを構成する脂肪酸ユニットの炭素数が、C12〜C20の脂肪酸エステルであることが好ましく、C16〜C20の脂肪酸エステルであることがさらに好ましい。入手が容易という点においては、C18が好ましく、ステアリン酸、オレイン酸などが好ましい。
上記ソルビタン脂肪酸エステルの飽和脂肪酸エステルの具体例としては、ソルビタンステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタントリベヘネート、ソルビタンカプリレートを挙げることができる。中でも特に、入手が容易であるという点において、ソルビタンステアレートが好ましい。また、上記ソルビタン脂肪酸エステルの不飽和脂肪酸エステルの具体例としては、ソルビタンオレエート、ソルビタントリオレエートなどを挙げることができる。中でも特に、入手が容易であるという点において、ソルビタンオレエートが好ましい。またポリエチレンオキサイド基を付加したポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルも用いることができる。本発明はこれらに限定されない。
上記グリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、モノグリセリン系脂肪酸エステル、ポリグリセリン系脂肪酸エステルを挙げることができる。モノグリセリン系脂肪酸エステルの飽和脂肪酸エステルとしては、グリセリンステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリンラウレート、グリセリンベヘネート、グリセリンカプレートなどを挙げることができ、不飽和脂肪酸エステルとしては、グリセリンオレエート、グリセリンジオレエートを挙げることができる。ポリグリセリン系脂肪酸エステルの飽和脂肪酸エステルとしては、ジグリセリンラウレート、ジグリセリンステアレート、テトラグリセリンステアレートなど、不飽和脂肪酸エステルとしては、ジグリセリンオレエートなどを挙げることができる。
上記セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体に含まれるソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルの量は、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂と、非晶性セルロースと、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルとの合計100重量部あたり、0.2〜10量部であることが好ましく、0.2重量部〜5重量部であることがさらに好ましい。当該構成であれば、非晶性セルロースとの相互作用に優れるため、溶融状態の気泡壁の強度が高まり、破泡が減少し、発泡倍率に優れる。
ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルは、水酸基価が200〜500のものであると、得られる発泡樹脂組成物中での非晶性セルロースの分散性が向上し、発泡成形が均一になるため好ましく、100〜400のものであることがより好ましい。水酸基価が200以上であるソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルを使用することは、得られる発泡樹脂組成物の分散性が向上するため、発泡成形が均一になるため好ましい。また、水酸基価が500以下であるソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルを使用することは、得られる発泡樹脂組成物の溶融粘性が向上するため、発泡成形性が安定化しやすくなる。
すなわち、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルの水酸基価が上述の範囲とすることによって、得られる非晶性セルロースを樹脂組成物とした場合に、当該樹脂組成物の、分散性、発泡成形性をバランス良く向上させることができる。
なお、本発明において、「水酸基価」とは、日本油化学会編「基準油脂分析試験法2003年版」中の「ヒドロキシル価(ピリジン無水酢酸法 2.3.6.2−1996)」に従い算出される値である。具体的には、以下の方法によって算出される値である:首長の丸底フラスコに油脂サンプル約5gを計量し、アセチル化試薬5mlを加え、フラスコの首に小さな漏斗をのせ、フラスコの底部を加熱浴に約1cmの深さに沈めて95〜100℃に加熱した。1時間後、加熱浴からフラスコを取り出し冷却し、漏斗から1mlの蒸留水を加え、再度加熱浴に入れ10分間加熱した。再び常温まで冷却し、漏斗やフラスコの首に凝縮した液を5mlの中性エタノールでフラスコ内に洗い流し、0.5mol/L水酸化カリウム−エタノール標準液でフェノールフタレイン指示薬を用いて滴定した。なお、本試験と並行して空試験を行い、滴定結果から下記の式をもとに算出した値を「水酸基価(mg−KOH/g)」(OHV)とした。
水酸基価=(A−B)×28.05×F1/C+酸価
(A:空試験の0.5mol/L水酸化カリウム−エタノール標準液使用量(ml)、B:本試験の0.5mol/L水酸化カリウム−エタノール標準液使用量(ml)、F1:0.5mol/L水酸化カリウム−エタノール標準液のファクター、C:試料採取量(g))。
〔その他の成分〕
上記セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体は、熱可塑性樹脂と、非晶性セルロースと、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルとを含有していればよいが、性能を損なわない範囲、20%以下、好ましくは10%以下で、さらにその他の成分を含んでいてもよい。
上記その他の成分としては、例えば、各種安定剤、加工助剤、改質剤等を挙げることができる。
安定剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤等が挙げられる。
加工助剤としては、造核剤、滑剤、発泡剤等が挙げられる。
改質剤としては、各種フィラー、難燃化剤、着色剤、抗菌、防カビ剤等が挙げられる。
(2)積層成形体
本発明の積層成形体は、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体を含んでいる基材層を有することを特徴とする。本発明の積層成形体は、表面層を有するものであってもよい。上記表面層の数は、特に限定されず、1つであってもよいし、複数であってもよい。
より具体的に、上記積層成形体は、上記セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体を含んでいる基材層の片側表面または両面に、表面層を1つ以上有していてもよい。また、上記積層成形体は、上記セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体を含んでいる基材層の片側表面または両面において、一部分のみが表面層に覆われていても、全体が表面層に覆われていてもよい。
上記積層成形体の基材層の厚みは、特に限定されるものではないが、0.1mm〜10mmであることが好ましい。
上記積層成形体の基材層は、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体を含んでいればよいが、性能を損なわない範囲でさらにその他の成分を含んでいてもよい。
上記その他の成分としては、例えば、安定剤、加工助剤、改質剤等を挙げることができる。
本発明の積層成形体の表面層は、好ましくは、樹脂を含んでなる樹脂層であって、上記セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体以外の材料によって形成され得る。
上記積層成形体の表面層を構成する樹脂としては、特に限定されるものではないが各種熱可塑性樹脂を用いることができる。
上記積層成形体の表面層の厚みは、特に限定されるものではないが、全体の比重を低下させない程度の厚みであればよく、0.02mm〜10mmであることが好ましい。
上記積層成形体の製造方法は、特に限定されるものではないが、射出成型、共押出成形、共押出ブロー成形等が挙げられる。
(3)製造方法
本発明のセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法は、特に限定されるものではないが、以下の工程を含んでいることが好ましい。
すなわち、
(i)セルロース含有原料と、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルとを混合して、混合材料を粗粉砕する工程と、
(ii)上記混合材料を混合および剪断して、非晶性セルロースを作製する工程と、
(iii)上記非晶性セルロースと熱可塑性樹脂とを混合して、セルロース含有熱可塑性樹脂マスターバッチを作製する工程と、
(iv)上記セルロース含有熱可塑性樹脂マスターバッチと、化学発泡剤とを混合して、上記熱可塑性樹脂40〜94.8重量部、上記非晶性セルロース5〜50重量部、上記ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステル0.2〜10重量部、および、上記化学発泡剤0.5〜4重量部を含む混合物(上記熱可塑性樹脂と、上記非晶性セルロースと、上記ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルと、の合計量が100重量部)を作製した後で、当該混合物を発泡成形し、発泡倍率が1.6倍以上であるセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体を作製する工程と、
を含むことを特徴としている。
以下に、工程(i)〜工程(iv)の各々について説明する。
(3−1)工程(i)
上述したように、本発明のセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法は、セルロース含有原料と、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルとを混合して、混合材料を粗粉砕する工程を含んでいる。
工程(i)における混合・粗粉砕は、セルロース含有原料とソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルとを略均一に混合・粗粉砕できればよく、市販の各種混合装置を用いて行えばよい。混合する混合装置の一例としては、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、ダブルコーン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、ニーダー式混練機等を挙げることができる。
セルロース含有原料を、使用する加工機の投入口にあわせて細断すること、加工温度を60〜100℃にすることにより、上記混練機を用いて粗粉砕・均一混合が可能である。粗粉砕後のサイズは、1〜4mm程度の顆粒状が次の工程(i)で結晶化度を最適範囲に調整する上で好ましく、排出口のメッシュなどにより調整できる。
(3−2)工程(ii)
上述したように、本発明のセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法は、上記混合材料を混合および剪断して、非晶性セルロースを作製する工程を含んでいる。混合材料を混合および剪断する方法としては特に限定されないが、例えば、上記混合材料を、バッチ式混練機および二軸混練押出機からなる群より選択される少なくとも1つを用いて混練押出してもよい。
工程(ii)に用いる混練機または混練押出機としては、相対する二本の軸が同方向に回転するバッチ式混練機、および、ニーディングディスクを有する同方向回転式二軸混練押出機からなる群より選択される少なくとも1つを挙げることができる。工程(ii)に用いる混練機または混練押出機は、効率的に粉砕、非晶化するという観点から、噛合い式の構造を有することが好ましい。
バッチ式混練機としては、特に限定されるものではないが、噛合い式構造を有するニーダー、バンバリーミキサー等を挙げることができる。具体的には、三菱重工業製加圧式MR型インターナルミキサー、日立パワーソリューションズ製K型混練機、東洋精機製作所製ラボプラストミル(KF70V2)が挙げられる。
二軸混練押出機としては、ニーディングディスクを1〜複数個所有するようにセグメント設計されたものであることが必要である。具体的には、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、日本製鋼所製TEX型二軸押出機、プラスチック工学研究所製二軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、池貝鉄工社製PCM型2軸押出機、栗山製作所社製2軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が挙げられるが、これらに限定されない。
剪断するための部材が噛合い構造を有することにより、剪断エネルギーを効率良く混合材料へ伝えることができ、セルロースを効率良く非晶化および微粒子化させることができる。
例えば、上記同方向回転式二軸混練押出機は、複数のニーディングディスクを備え得る。複数のニーディングディスクは、連続して一定の位相で(例えば90°ずつ、ずらしながら)組み合わせたものであり得、スクリューの回転にともなって、ニーディングディスク同士の間の狭い隙間に混合材料を強制的に通過させ、混合材料に対して極めて強い剪断力を付与することができる。スクリューの構成としては、複数のニーディングディスクと複数のスクリューセグメントとが交互に配置され、特に二軸押出機の場合、2本のスクリューが、同一の構成を有することが好ましい。本発明に用いる同方向回転式二軸混練押出機では、上述した複数のニーディングディスクが、同方向へ回転している。
例えば、噛合い式のバッチ式混練機は、二軸ロータが互いに噛合う構造を有している。小型機の場合、二軸押出機と同様、ニーディングディスクを備えた二軸を同方向に回転させる構造を備え得る。大型機の場合、一般的に使用されている接線式ロータでは、ロータとチャンバ壁面との間だけでしか剪断力を付与できないが、噛合い式の場合、ロータとチャンバ壁面との間での剪断力だけでなく、ロータとロータとの間での混練作用を備えており、効率的に剪断力を与えることができる。なお、大型機の場合は、噛合い式構造を有する二軸のロータを異方向に回転させる。
工程(ii)では、セルロースを効率良く非晶化および微粒子化させることができるので、混合材料を混合および剪断する時間は、短くても良い。当該時間は、例えば、バッチ式の場合は、20分間〜60分間、20分間〜50分間、20分間〜40分間、20分間〜30分間、または20分間であり得る。連続式の場合は、スクリュー設計を効率的に行い、ニーディングディスク部で高い剪断力をかけることにより、0.2分間〜1分間の比較的短時間で大量に、かつ、品質の良い非晶性セルロースを作製することができる。
但し、セルロース系の材料は、160℃以上で熱劣化が開始する。熱劣化を防止するには、セルロース系の材料に対して、過剰な剪断速度を与えないことが好ましい。剪断速度としては、20〜750sec−1が好ましく、20〜550sec−1がより好ましく、当該剪断速度は、一般的に使用される二軸押出機で達成可能である。なお、剪断速度は、更に具体的に、20〜500sec−1であってもよいし、100〜450sec−1であってもよいし、200〜450sec−1であってもよいし、250〜450sec−1であってもよいし、300〜450sec−1であってもよいし、350〜450sec−1であってもよい。
本発明では、剪断速度を小さくすると、非結晶性セルロースの熱劣化を抑制することができ、一方、剪断速度を大きくすると、非結晶セルロースの結晶化度を小さくすることができる。
工程(ii)では、混合材料の温度を調節しながら(換言すれば、混練機または混練押出機の温度を調節しながら)、当該混合材料を混合および剪断してもよい。前記温度は、60℃〜200℃であることが好ましく、80℃〜180℃であることがさらに好ましく、100℃〜160℃であることが特に好ましい。上記構成であれば、セルロースの熱劣化を抑制することができるので、好ましい。また事前に混合材料を、加熱空気などを用いて加熱しておくことにより、剪断応力を低下させることができるため、さらに好ましい。
(3−3)工程(iii)
上述したように、本発明のセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法は、上記非晶性セルロースと熱可塑性樹脂とを混合して、セルロース含有熱可塑性樹脂マスターバッチを作製する工程を含んでいる。
工程(iii)では、一般にマスターバッチ方式と呼ばれる手法を用いてもよい。すなわち、非晶性セルロースと熱可塑性樹脂とを予め高濃度に混練して中間体材料を作製した後、所望のセルロース濃度となるように当該中間体材料に更に上記熱可塑性樹脂を加えて希釈しながら混練して、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体を作製してもよい。例えば、セルロース濃度が50%程度になるように混練し、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の中間体材料を製造し、最終成形品を製造する際に、所望の濃度(例えば、セルロース濃度が30%程度)になるように、中間体材料を希釈するという方法であってもよい。マスターバッチ方式の場合、取扱い性、分散性を向上させることができるので、好ましい。
工程(iii)における混合は、工程(ii)で作製された非晶性セルロースと、熱可塑性樹脂とを略均一に混合できればよく、市販の各種混合装置を用いて行えばよい。例えば、工程(ii)に用いる混練機または混練押出機を用いて、工程(iii)を行ってもよい。
(3−4)工程(iv)
上述したように、上記セルロース含有熱可塑性樹脂マスターバッチと、化学発泡剤とを混合して、上記熱可塑性樹脂40〜94.8重量部、上記非晶性セルロース5〜50重量部、上記ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステル0.2〜10重量部、および、上記化学発泡剤0.5〜4重量部を含む混合物(上記熱可塑性樹脂と、上記非晶性セルロースと、上記ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルと、の合計量が100重量部)を作製した後で、当該混合物を発泡成形し、発泡倍率が1.6倍以上であるセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体を作製する工程を含んでいる。
工程(iv)における発泡工程としては、特に限定されるものではないが、化学発泡および物理発泡であってもよい。
上記物理発泡は、特に限定されないが、高圧下で樹脂に液化ガス等を溶解させ、圧力低下あるいは加熱によって溶解度を低下させることによって気泡を生成させる方法であることが好ましい。
上記物理発泡に用いられる液化ガスは、成形体の押出発泡で優れた発泡倍率を得ることができる限りにおいて、特に限定されるものではないが、フロン、炭化水素などを挙げることができる。
上記化学発泡は、特に限定されないが、樹脂に化学発泡剤を混合または溶解させ、加熱あるいは化学反応によって気泡を生成させる方法であることが好ましい。
上記化学発泡剤としては、特に限定されないが、無機系化学発泡剤、または、有機系化学発泡剤が挙げられる。
無機系化学発泡剤としては、特に限定されないが、炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムなどがあげられる。
有機系化学発泡剤としては、ポリカルボン酸、アゾ化合物、スルホンヒドラジド化合物、ニトロソ化合物、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、イソシアネート化合物などがあげられる。ポリカルボン酸としては、クエン酸、琥珀酸、アジピン酸、シュウ酸、フマル酸、フタル酸などがあげられる。アゾ化合物としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)などがあげられる。スルホンヒドラジド化合物としては、p−メチルウレタンベンゼンスルホニルヒドラジド、2,4−トルエンジスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドなどがあげられる。ニトロソ化合物としては、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)などがあげられる。
上記、無機系化学発泡剤と有機系化学発泡剤を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記熱分解型発泡剤の分解温度は、ベース樹脂として用いる熱可塑性樹脂に応じて適宜選択することができる。例えば、熱可塑性樹脂としてポリプロピレンを用いる場合は、140〜160℃であることが好ましく、炭酸水素ナトリウムとクエン酸塩の組み合わせなどが好ましく用いられる。
発泡剤として化学発泡剤を添加する場合、熱可塑性樹脂に化学発泡剤をそのまま添加してもよく、熱可塑性樹脂をベース樹脂とした化学発泡剤のマスターバッチを熱可塑性樹脂に添加してもよい。好ましくは、マスターバッチ中の化学発泡剤の含有量は、20重量%以上80重量%以下である。但し、マスターバッチの全量を100重量%とする。
上記化学発泡剤の使用量は、目的の発泡倍率を得るのに必要なガス発生量を元に計算して適宜決定することができる。例えば、熱可塑性樹脂と非晶性セルロースと、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルとの合計100重量部あたり、0.5〜4量部であることが好ましい。当該構成であれば、発泡成形性に優れたセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体を得ることができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、物性の評価は、以下の方法により行った。
<1.セルロースI型結晶化度>
セルロースI型結晶化度は、X線回折法で測定したX線回折強度の値から、Segal法に基づいて算出した。具体的に、次式に基づいて、セルロースI型結晶化度を算出した。
セルロースI型結晶化度=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100
(上記式において、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度であり、I18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度である。)。
更に、X線回折強度の値(I22.6、および、I18.5)は、株式会社リガク製の「RINT2200」を用いて以下の条件で測定した。
X線源 :Cu/Kα−radiation、
管電圧 :40kv、
管電流 :30mA、
測定範囲:回折角2θ=5〜35°、
X線のスキャンスピード:10°/min。
<2.メジアン径>
非晶性セルロースを水で懸濁させて、レーザ回折式粒子径分布測定装置SALD−2300を用いて、粒度分布を測定し、累積頻度から50%となる粒径(メジアン径)を平均粒径(μm)とした。
<3.比重、発泡倍率、独立気泡率>
発泡成形体から、一定厚みで、一辺5cmの平面正方形状の試験片を切り出し、この試験片の重量W1(g)及び厚みT(cm)を測定して、試験片の体積V1(cm)を算出した。得られた値を式(1)(2)に代入し、発泡成形体の比重ρ1、発泡倍率fを算出した。なお、発泡剤を含まない試験片を構成する樹脂組成物の密度をρ(g/cm)とした。
発泡成形体の比重ρ1=W1/V1 (1)
発泡倍率f=ρ/ρ1 (2)
次に、得られた値を式(3)に代入し、気泡の占める体積V2(cm)を算出した。
気泡の占める体積V2=V1−W1/ρ (3)
続いて、この試験片を23℃の蒸留水中に、試験片の上面から水面までの距離が40mmとなるように沈め、24時間放置した。その後、試験片を蒸留水中から取り出して、試験片の表面に付着した水分を除去した。得られた試験片の重量W2(g)を測定し、式(4)に基づいて、連続気泡率F1を算出した。この連続気泡率F1から、式(5)に基づいて、独立気泡率F2を求めた。
連続気泡率F1=100×(W2−W1)/V2 (4)
独立気泡率F2=100−F1 (5)
<4.引張弾性率、比弾性率>
JIS K7161に準じて、発泡成形体の引張弾性率(MPa)を測定した。また、式(6)に基づいて、発泡成形体の比弾性率(MPa)を算出した。
比弾性率=引張弾性率/ρ1 (6)
<5.黄色度>
セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体を用いて作製した0.2mm厚みのフィルムを用いて、色調を評価した。具体的に、ASTMD1925に準拠し、日本電子工業製分光式色差計SE−2000を用いて、フィルムの黄色度(YI)を測定した。YIの数字が小さいほど、より白色であり、色調に優れることを意味する。
<6.セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の作製>
(実施例1)
BCTMP(サーモメカニカルパルプ、Wagerryd社製325/78、樹種:トウヒ、セルロースI型結晶化度67%)90.9重量部と、ソルビタンオレエート(理研ビタミン社製、リケマールO−80V、水酸基価201)9.1重量部の合計100重量部に対して水10重量部を加え、加圧式ニーダー(日本スピンドル社製D3−10型)を用い、充填量2.1kg、回転数30rpm、缶体温度80℃の条件下で、サーモメカニカルパルプとソルビタンオレエートを10分間混練し、混合材料を得た。
得られた混合材料を二軸押出機(プラスチック工学研究所製、BT−30型、口径30mmφ、L/d=30、ニーディングゾーン8か所、中間部でベント大気開放)を用い、シリンダー温度60〜120℃、回転数150rpm、フィード量40g/分の条件下で、混練押出し、非晶性セルロースを得た。なお、スクリュー径は28mm、溝の深さは0.4mm、120rpm時の剪断速度は440sec−1であった。得られた非晶性セルロースの結晶化度は、35%、メジアン径は42μmであった。
得られた非晶性セルロース44重量%と、低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン社製F522N)56重量%を、二軸押出機(テクノベル社製KZW−25TW型、口径25mmφ、L/d=60、ニーディングゾーン4か所)を用い、シリンダー温度120〜200℃、回転数100rpm、フィード量58g/分の条件下で溶融押出し、セルロース含有熱可塑性樹脂マスターバッチを得た。なお、本マスターバッチにはセルロース含有原料を40重量%含んでいた。
得られたセルロース含有熱可塑性樹脂マスターバッチ5.5重量%、HDPE(プライムポリマー社製2100J)92.5重量%、化学発泡剤(東京インキ社製PEX CF40E−J)2重量%を、押出成形機(テクノベル社製KZW15TW−25MG型)およびTダイ(リップ幅200mm、ギャップ1mm)を用い、シリンダー温度200℃、ダイス温度160℃の条件で、引取速度0.5m/分でセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形シートを作製した。
(実施例2)
セルロース含有熱可塑性樹脂マスターバッチ11重量%、HDPE87重量%、化学発泡剤2重量%とした以外は、実施例1と同様にして、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形シートを作製した。
(実施例3)
セルロース含有熱可塑性樹脂マスターバッチ22重量%、HDPE76重量%、化学発泡剤2重量%とした以外は、実施例1と同様にして、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形シートを作製した。
(実施例4)
セルロース含有熱可塑性樹脂マスターバッチ44重量%、HDPE54重量%、化学発泡剤2重量%とした以外は、実施例1と同様にして、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形シートを作製した。
(実施例5)
熱可塑性樹脂としてランダムPP(プライムポリマー社製F−744NP)を使用した以外は、実施例1と同様にして、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形シートを作製した。
(実施例6)
熱可塑性樹脂としてランダムPP(プライムポリマー社製F−744NP)を使用した以外は、実施例2と同様にして、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形シートを作製した。
(実施例7)
ソルビタンオレエート(理研ビタミン社製、リケマールO−80V、水酸基価201)4.6重量部、ソルビタンステアレート(理研ビタミン社製、S−300W、水酸基価330)4.6重量部とした以外は実施例6と同様にして、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形シートを作製した。得られた非晶性セルロースの結晶化度は、40%、メジアン径は44μmであった。
(実施例8)
BCTMP87.0重量%、ソルビタンオレエート13.0重量%を、実施例6と同様にして、混合材料および非晶性セルロースを作製した。得られた非晶性セルロースの結晶化度は、35%、メジアン径は48μmであった。
得られた非晶性セルロース46重量%とランダムPP54重量%とを、実施例2と同様にして溶融押出して、セルロース含有熱可塑性樹脂マスターバッチを得た。なお、本マスターバッチはセルロース含有原料を40重量%含んでいる。得られたマスターバッチを用い、実施例6と同様にして、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形シートを作製した。
(実施例9)
熱可塑性樹脂としてランダムPP(プライムポリマー社製F−744NP)を使用した以外は、実施例3と同様にして、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形シートを作製した。
(実施例10)
熱可塑性樹脂としてランダムPP(プライムポリマー社製F−744NP)を使用した以外は、実施例4と同様にして、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形シートを作製した。
(比較例1)
実施例1のシート化プロセスと同様に、HDPE98重量%、化学発泡剤2重量%を押出成形機、Tダイを用い、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形シートを作製した。
(比較例2)
熱可塑性樹脂としてランダムPP(プライムポリマー社製F−744NP)を使用した以外は、比較例1と同様にして、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形シートを作製した。
(比較例3)
セルロース粉末(レッテンマイヤー社製B600、結晶化度87%、メジアン径65μm)40重量%と、相溶化剤(三洋化学社製、ユーメックス1010)4重量%、熱可塑性樹脂としてHDPE56重量%を、二軸押出機(テクノベル社製KZW−25TW型、口径25mmφ、L/d=60、ニーディングゾーン4か所)を用い、シリンダー温度120〜200℃、回転数100rpm、フィード量58g/分の条件下で溶融押出し、セルロース含有熱可塑性樹脂マスターバッチを得た。なお、本マスターバッチにはセルロース含有原料を40重量%含んでいる。
得られたセルロース含有熱可塑性樹脂MB11重量%、HDPE(プライムポリマー社製2100J)87重量%、化学発泡剤(東京インキ社製PEX CF40E−J)2重量%を、押出成形機(テクノベル社製KZW15TW−25MG型)、Tダイ(リップ幅200mm、ギャップ1mm)を用い、シリンダー温度200℃、ダイス温度160℃の条件で、引取速度0.5m/分でセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形シートを作製した。
(比較例4)
熱可塑性樹脂としてランダムPP(プライムポリマー社製F−744NP)を使用した以外は、比較例3と同様にして、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形シートを作製した。
<7.物性の評価>
実施例1〜10および比較例1〜4で得られたセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形シートについて、各物性に関して評価を実施した。実施例1〜10および比較例1〜4で得られたセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形シートの各組成の構成比および評価結果を表1に示す。
Figure 2018024790
表1に示すように、本発明であれば、発泡成形性(発泡倍率、独立気泡率)および剛性(引張弾性率、比弾性率)に優れたセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体を作製することができることが明らかになった。すなわち、実施例全般と比較例1,2とを比較すると、本発明は、発泡倍率および比重に優れることが明らかになった。また実施例1〜3、実施例5〜9と比較例1、2とを比較すると、本発明は発泡倍率、独立気泡率、比重、引張弾性率、比弾性率に優れることが明らかになった。
また、実施例全般と比較例3,4とを比較すると、本発明は、発泡成形性、比重および黄色度に優れることが明らかになった。
本発明は、優れた発泡成形性および優れた剛性が要求される箇所における産業用部材、例えば自動車内装部材、輸送用資材、食品用包材等として好適に利用することができる。

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂40〜94.8重量部と、非晶性セルロース5〜50重量部と、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステル0.2〜10重量部と、を含み、
    上記熱可塑性樹脂と、上記非晶性セルロースと、上記ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルと、の合計量が100重量部であって、
    発泡倍率が1.6倍以上であることを特徴とする、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体。
  2. 上記ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルが、不飽和脂肪酸エステルおよび/または飽和脂肪酸エステルであることを特徴とする、請求項1に記載のセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体。
  3. 上記非晶性セルロースの結晶化度が、20〜50%であることを特徴とする、請求項1または2に記載のセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体。
  4. 上記非晶性セルロースのメジアン径が、20〜70μmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体。
  5. 上記ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルの水酸基価が、200〜500であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体。
  6. 上記セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の独立気泡率が、35〜70%であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体を含んでいる基材層を有することを特徴とする、積層成形体。
  8. (i)セルロース含有原料と、ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルとを混合して、混合材料を粗粉砕する工程と、
    (ii)上記混合材料を混合および剪断して、非晶性セルロースを作製する工程と、
    (iii)上記非晶性セルロースと熱可塑性樹脂とを混合して、セルロース含有熱可塑性樹脂マスターバッチを作製する工程と、
    (iv)上記セルロース含有熱可塑性樹脂マスターバッチと、化学発泡剤とを混合して、上記熱可塑性樹脂40〜94.8重量部、上記非晶性セルロース5〜50重量部、上記ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステル0.2〜10重量部、および、上記化学発泡剤0.5〜4重量部を含む混合物(上記熱可塑性樹脂と、上記非晶性セルロースと、上記ソルビタン脂肪酸エステルおよび/またはグリセリン脂肪酸エステルと、の合計量が100重量部)を作製した後で、当該混合物を発泡成形し、発泡倍率が1.6倍以上であるセルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体を作製する工程と、
    を含むことを特徴とする、セルロース含有熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019112011A1 (ja) * 2017-12-06 2019-06-13 宇部興産株式会社 発泡体

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