JP5938879B2 - セルロースからの水可溶性成分の抽出方法及びセルロース可溶化の前処理方法 - Google Patents
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上記(2)の場合であっても、セルロース含有バイオマス原料を粉砕することによって、メカノケミカル効果が発揮されセルロースの結晶化度低下し、分子量も小さくなる。このため、粉砕処理を行わなかった場合に比べれば、非晶質部分が増加し、分子量も小さくなるため、加水分解が容易となり、可溶化率が向上する。
ところが、上記(1)の場合には、粉砕と加熱を同時に行っているため、加熱によってセルロースの分子運動が活発となり、粉砕によるメカノケミカル効果がさらに発揮され易くなる。このため、粉砕によるセルロースの結晶化度の低下及び低分子量化が加速され、短時間で高い可溶化率を実現することができるのである。しかも、粉砕と加熱とを同時並行して行うため、粉砕してから加熱する場合のように処理時間が粉砕時間と加熱時間との合計時間とはならず、これによっても処理時間の短縮化を図ることができる。
(原 料)
セルロースを含有するバイオマス原料となるのは、セルロースを含む植物系の原料であり、セルロースの他に、でん粉、ヘミセルロース、ペクチンなど、セルロース以外の多糖を含むものであっても用いることができる。具体的には、稲わら、麦わら、バガス等の草類、竹、笹などの間伐材、おがくず、チップ、端材などの木材加工木屑、街路樹剪定材、木質建築廃材、樹皮、流木等の木質系バイオマス、古紙等のセルロース製品からのバイオマス等が挙げられる。また、セルロースを原料として使用可能な程度含むものであれば、汚泥、畜糞、農業廃棄物、都市ゴミ等も用いることができる。
セルロース含有バイオマス原料をハンドリングし易い状態にするため、数〜数十mm程度に粗粉砕する。粗粉砕方法は原料の形態に応じて適当な方法を適宜選択すればよいが、ハンマーミルやカッターミルなどの汎用粉砕機が使用できる。
次に、粗粉砕されたセルロース含有バイオマス原料に含まれる水分を測定し、水分量が少ない場合には水を噴霧するなどして加湿し、水分量が多い場合には自然乾燥させたり、乾燥室で乾燥させたりして、水分を調整する。適切な水分量の計算方法については、次の加熱粉砕工程S3において説明する。
そして、高温低圧下での加熱粉砕工程S3を行う。実施形態のセルロースの可溶化方法では、従来の水熱処理(特許文献1、2等参照)において、セルロースの可溶化で行われていた温度−圧力の領域を用いてもよいが、本発明者らが開発した特願2011−144953号に開示されている、従来の水熱処理とは全く異なった温度−圧力の領域を用いることが好ましい。
そして、これらの容器内にセルロースを含有する原料と水とを所定量投入し、蓋を閉めて温度を100℃以上300℃未満の所定の温度に設定する。これにより原料にもともと含まれていた水分及び添加した水は、水蒸気となり体積を増す。このとき、最終的に到達する圧力は、実ガスに対する補正がなされた状態方程式に、温度、水の量及び容器体積を代入することにより、容易に求めることができる。このため、可溶化工程に先立って行われる、粉砕されたセルロース原料の水分調整は、計算で求められた量となるように行う。加熱方法は特に制限されず、電気ヒータ、高周波、マイクロ波、スチーム等を用いることができる。
こうして得られた加熱粉砕物に対して0.1〜500倍量となるように水を加えて混合し、固液分離装置で固液分離を行い、可溶化溶液を得る。固液分離装置としては、例えば、重力沈降方式、遠心分離方式、膜分離方式、凝集分離方式、浮上分離方式等を用いた装置が挙げられる。こうして得られた可溶化溶液に含まれている可溶化成分の重量から計算された可溶化率は、粗粉砕に続いて微粉砕処理を行ってから加熱処理をした場合に比べて高い値となる。
上記のようにして得られた可溶化溶液は、必要に応じて、さらに糖化工程S5を行うことにより、グルコース等の単糖を主成分として含有するする糖化液とすることもできる。すなわち、可溶化溶液を固体酸触媒と混合撹拌して加水分解を行い、グルコース等の単糖を主成分として含有するする糖化液を得る。このとき、加温して反応を促進させることもできる。固体酸触媒としては、特に限定はないが、例えば、ゼオライト触媒、シリカアルミナ触媒、ヘテロポリ酸触媒、硫酸化ジルコニア触媒、スルホン化カーボン触媒等が挙げられる。ここでスルホン化カーボンとは、有機物を炭化処理してなるカーボンをスルホン化処理して得られるカーボンをいう。スルホン化カーボンはセルロースの加水分解に対して特に優れた触媒活性を有している。中でも、多孔性のカーボンをスルホン化処理して得られた多孔性スルホン化カーボンがさらに好ましい。また、異なる固体酸触媒を2種以上用いてもよい。
糖化工程が終了してからろ過して糖化液を得るとともに、固体酸触媒を回収する。回収した固体酸触媒は、再利用することもできる。
また、固体酸触媒を造粒して塔内に充填しておき、可溶化液を流下させてもよい。こうであれば、固体酸を回収する工程を省略することができる。
(実施例1)
実施例1では試薬のセルロースを原料として、以下のようにして可溶化を行った。
セルロースを含有する原料として、試薬のセルロース(日本製紙ケミカル株式会社製 製品名:KCフロック50GK)を用い、これを円筒形のボールミル容器(ボール:5mmφの安定化ジルコニア75g)に0.3g入れ、蓋をしてから加熱ヒータ付の遊星型ボールミル(伊藤製作所製 商品名:LP-M2H)を用いて200°C、300rpmで回転させて加熱粉砕を行った。所定時間(1時間、3時間及び6時間)経過後、加熱粉砕を停止し、ボールミル容器を取り外し、自然放冷させた後、100mlの水で抽出を行い、可溶化液とした。
・粉砕処理
比較例1では、実施例1で用いた遊星型ボールミルを用い、加熱を行うことなく常温下において、その他の条件は実施例1と同様にして1時間の粉砕処理を行った。
・加熱処理及び水抽出処理
次に、こうして得られた粉砕物15mgを秤取り、2重構造の蓋付きの耐圧PTFE容器(内側容器は容積28cm3のPTFE容器、外側容器はステンレス製容器)に入れ蓋をした。そして、試料を入れた耐圧PTFE容器を電気加熱炉に入れ、200℃で所定時間の加熱を行った後、内容物を4.75mlの水で抽出し、フィルターでろ過し、水抽出液を得た。
比較例2では、遊星型ボールミルによる常温下での粉砕処理時間を3時間とし、
その他については比較例1と同様にして粉砕処理、加熱処理及び水抽出処理を行った。
セルロースの仕込み重量、及び水抽出において得られた可溶化液を全有機炭素計(TOC計)による測定値から、可溶化率を求めた。その結果を図3に示す。加熱と粉砕を同時並行で行った実施例1では、3時間の加熱粉砕によってセルロースの可溶化率が約90%に達した。
一方、粉砕を行ってから加熱処理を行った比較例1においては、処理時間を4時間(すなわち粉砕1時間+加熱3時間)行っても可溶化率は43%程度であり、処理時間を7時間(すなわち粉砕1時間+加熱6時間)としても38%程度となり、かえって低下した。
また、粉砕を3時間行ってから加熱処理を行った比較例2では、処理時間を4時間(すなわち粉砕3時間+加熱1時間)行っても可溶化率は24%程度であり、処理時間を6時間(すなわち粉砕3時間+加熱3時間)としても48%程度までしか上がらず、処理時間を9時間(すなわち粉砕3時間+加熱6時間)とした場合、33%程度となり、かえって低下した。
以上の結果から、加熱と粉砕を同時に行うことにより、短時間で極めて高い可溶化率を達成できることが分かった。
実施例2ではセルロースを含有する原料として試薬のセルロース(MERCK社製 アビセル)を用い、その他については実施例1と同様にして可溶化を行った。
比較例3ではセルロースを含有する原料として試薬のセルロース(MERCK社製 アビセル)を用い、その他については比較例1と同様にして可溶化を行った。
実施例2及び比較例3の結果を表1に示す。この表から、実施例2では90%程度という高い可溶化率を達成でき、しかも粉砕と加熱とを同時並行して行うため、処理時間も大幅に短縮できることが分かる。これに対して、比較例3では、3時間の粉砕と3時間の加熱(比較例3-3)を行っても、75%の可溶化率に留まった。
参考例1〜3では、各種試薬セルロース(参考例1では東洋濾紙株式会社製の5C濾紙、参考例2では日本製紙ケミカル株式会社製のKCフロック50GK、参考例3ではMERCK社製 アビセル)の可溶化特性について調べた。可溶化の方法は比較例1と同様(すなわち、遊星型ボールミルによる粉砕後、加熱処理を行う方法)とし、粉砕時間は10時間とした。
結果を図4に示す。また、各セルロース原料の分子量分布を図5に示す。図4及び図5から、大きな分子量を多く含むセルロースほど可溶化に要する加熱時間が長く、可溶化率も低いことが分かった。この結果は、前述した実施例1、2における加熱・粉砕工程が、セルロース分子の切断による低分子量化を引き起こし、セルロースの可溶化率を高め、処理時間を短縮可能とすることを強く示唆している。
Claims (3)
- セルロースを含有するバイオマス原料を、下記条件(1)、(2)下で粉砕する加熱粉砕工程と;
(1)100℃以上300℃未満の加熱下における条件、かつ
(2)全圧が0.05MPa以上10MPa未満の飽和水蒸気圧よりも小さい条件、
該加熱粉砕工程によって得られた粉砕物に水を加えて、該水で前記粉砕物に含まれる水可溶性成分を抽出する抽出工程と、を含むセルロースから水可溶性成分を抽出する抽出方法。
- 前記加熱粉砕工程は液体の水が存在しない状態、または液体の水と水蒸気とが共存はするが全圧は10MPa未満の状態で行うことを特徴とする請求項1記載の前記抽出方法。
- セルロースを含有するバイオマス原料を、下記条件(1)、(2)下において;
(1)100℃以上300℃未満の加熱下における条件、かつ
(2)全圧が0.05MPa以上10MPa未満の飽和水蒸気圧よりも小さい条件、
粉砕することを特徴とするセルロース可溶化の前処理方法。
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