JP2014068627A - セルロース系バイオマス原料の糖化方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セルロースを含有するバイオマス原料を粉砕し、水分を調整した後、水の存在下で圧力と温度を制御して水に可溶な成分を含んだ可溶化混合物とする(可溶化工程S3)。可溶化混合物を固液分離して得た可溶化液にシュウ酸を添加して加水分解することにより糖化混合液を得る(糖化工程S5)。糖化混合液を固液分離してグルコースやオリゴ糖を含んだ糖化液を得る。
【選択図】図1
Description
すなわち、本発明における第1の局面は、セルロースを含有するバイオマス原料を結晶化度を低減してから、または同時に水の存在下で圧力と温度を制御して、酸と水に可溶な成分とを含んだ可溶化混合物とする可溶化工程と、該可溶化混合物から水で抽出した可溶化液を酸触媒で加水分解することにより糖化液を得る糖化工程と、を有するセルロース系バイオマス原料の糖化方法であって、該酸触媒としてカルボン酸を用いるセルロース系バイオマス原料の糖化方法である。
こうであれば、可溶化工程を短時間で行うことができ、可溶化率及び糖化率をさらに高めることができる。また、易分解化処理において用いた水酸化カルシウム由来のカルシウム化合物やセルロース系バイオマス原料に含まれているカルシウム化合物が糖化工程において混入したとしても、シュウ酸カルシウムの沈殿として除去できる。さらにはこのシュウ酸カルシウムを熱分解して酸化カルシウムとし、これを水に溶かせば水酸化カルシウム溶液となり、易分解化処理に再利用することができる。
実施形態1のセルロースの可溶化方法を図1に示す。以下詳細に説明する。
・原 料
セルロース系バイオマス原料となるのは、セルロースを含む植物系の原料であり、セルロースの他にでん粉、ヘミセルロース、ペクチンなど、セルロース以外の多糖を含むものであっても用いることができる。具体的には、稲わら、麦わら、バガスなどの草類、竹、笹などの間伐材、おがくず、チップ、端材などの木材加工木屑、街路樹剪定材、木質建築廃材、樹皮、流木などの木質系バイオマス原料、古紙などのセルロース製品からのバイオマス原料などが挙げられる。また、セルロースを原料として使用可能な程度含むものであれば、汚泥、畜糞、農業廃棄物、都市ゴミなども用いることができる。
上記セルロース系バイオマス原料を粉砕する(粉砕工程S1)。具体的な粉砕方法は原料の形態に応じて適宜選択すればよいが、まず数〜数十mm程度に粗粉砕してハンドリングし易い状態にしてから、さらに細かく粉砕すると、微粉砕を効率的に行なうことができる。粗粉砕にはハンマーミルやカッターミルなどの汎用粉砕機が使用できる。また、微粉砕には、振動ミル、ボールミル、ロッドミル、ローラーミル、コロイドミル、ディスクミル、ジェットミルなどの汎用粉砕機が使用でき、微粉砕処理は、乾式、湿式いずれの方式も適用できるが、セルロースの結晶性を低下させる粉砕法であることが好ましいことから、乾式粉砕が望ましい。
次に、水分調整工程S2として、原料の含水量が多い場合には、遠心脱水や熱風乾燥などで含水率を所定の値に調整する。また、逆に水分が少なすぎる場合には、水分を添加して調整する。(水の重量/セルロースの重量)が0.01以上7未満(より好ましくは0.1以上3未満)であることが好ましい。また、反応系内における(水の重量)/(セルロースの重量+水の重量)が0.01以上0.87未満(より好ましくは0.1以上2未満)であることが好ましい。
さらに、水分調整されたセルロース系バイオマス原料に対して、圧力と温度を制御して水に可溶な成分を含んだ可溶化混合物とする可溶化工程S3が行われる。可溶化工程S3の条件としては、従来から知られている加圧熱水法として、図2に示した水の状態図における亜臨界領域や超臨界領域で処理を行うことができる。亜臨界領域では飽和水蒸気圧よりも全圧が高い領域であり、換言すれば水が水蒸気以外に液体の水として安定に共存する領域である。このため、亜臨界領域でのセルロースの加水分解反応は、イオン積が大きくなっている液体の水によって進行するものと推定される。また、超臨界領域でのセルロースの加水分解反応は、気−液の区別ができなくなった超臨界状態という特殊な状態の水による加水分解反応である。
そして、これらの容器内にセルロースを含有するバイオマス原料と水とを所定量投入する。そして、蓋を閉めて温度を100℃以上300℃未満の所定の温度に設定する(反応が100℃未満ではセルロースの加水分解反応が遅くなるため、可溶化に時間がかかる。また、反応が300℃を超えると過分解物の生成が多くなるおそれがある。さらに好ましいのは150℃以上270℃未満であり、最も好ましいのは170℃以上250℃未満である)。これにより原料にもともと含まれていた水分及び添加した水は、水蒸気となり体積を増す。このとき、全圧が飽和水蒸気圧よりも小さければ、最終的に到達する圧力は、実ガスに対する補正がなされた状態方程式に、温度、水の量及び容器体積を代入することにより、容易に求めることができる。水は沸騰状態となって迅速に気体(すなわち水蒸気)となり、液体状態の水が安定に存在し得ない。このような反応条件であってもセルロースの加水分解反応は迅速に進行し、しかも乳酸や酢酸やヒドロキシメチルフルフラール(HMF)等の過分解物の生成がきわめて少ないという利点を有する。
全圧は0.05MPa以上10MPa未満の条件下で行うことが好ましい。全圧が0.05MPa未満では水の沸点が低くなるため温度をあまり高くすることができず、セルロースの加水分解反応が遅くなるため、可溶化に時間がかかる。また、全圧が10MPaを超えると過分解物の生成が多くなるおそれがある。さらに好ましいのは全圧が0.1MPa以上5MPa未満であり、最も好ましいのは全圧が0.15MPa以上3MPa未満である。
加熱方法としては特に制限はなく、電気ヒータ、高周波、マイクロ波、スチームなどを用いることができる。
以上のようにして製造された可溶化混合物に対して0.1〜500倍の容量となるように水(あるいはお湯)を加えて混合し、固液分離を行うことにより可溶化液を得る。固液分離装置としては、例えば、重力沈降方式、遠心分離方式、膜分離方式、凝集分離方式、浮上分離方式などを用いた装置が挙げられる。こうして、グルコースや多糖類やオリゴ糖などの水溶性糖類の水溶液からなる可溶化液が得られる。可溶化液にはオリゴ糖などの低分子量多糖類や、グルコースが主成分として含まれている。このとき、乳酸や酢酸やヒドロキシメチルフルフラール(HMF)などの過分解物も生成するが、その割合は上述した加圧熱水法に比べて極めて少ない。
上記固液分離工程S4で得られた可溶化液にシュウ酸を添加し、糖化反応を行う。シュウ酸は2つのカルボキシル基が隣接して平面構造をとるため、カルボキシラートアニオンの電子が4個の酸素上に非局在化して安定化する。このため、カルボン酸の中でも特に強い酸であり、電離度はリン酸よりも高くなる。
ちなみにシュウ酸のpKa1=1.27、pKa2=4.27であることから、その水溶液のpHを計算で求めると以下の通りとなる。
1mol/L(126.07g/L) pH0.58
0.1mol/L(12.607g/L) pH1.22
0.01mol/L(1.2607g/L) pH2.03
0.001mol/L(0.12607g/L) pH2.96
0.0001mol/L(0.012607g/L) pH3.82
シュウ酸の添加量はpHが3.1以下となるように0.101g/L以上添加することが好ましい。より好ましいのはpHが2.8以下で(シュウ酸の添加量として0.203g/L以上)である。
実施形態2は、図3の工程図に示すように、セルロース系バイオマス原料を水酸化カルシウム溶液で易分解化処理してから、可溶化工程を行うものである。以下この工程図に従って詳細に説明する。
実施形態2のセルロース系バイオマス原料となるのは稲わらである。稲わらにはリグノセルロース以外にブドウ糖、果糖、しょ糖、β-1,3-1,4-グルカン等からなる易分解性糖質が多く含まれており、これを水酸化カルシウム水溶液で処理することにより、易分解性糖質の過分解を最小限に抑えつつ、リグノセルロースを易分解化することができる(非特許文献1参照)。
稲わらを粉砕する(粉砕工程S11)。具体的な粉砕方法としては、実施形態1で挙げた方法を用いることができる。
次に、易分解処理工程S12として、稲わら粉末を水酸化カルシウム水溶液に投入し、加熱・撹拌を行い、リグノセルロースからリグニンを除去して易分解化させる。易分解化終了後に炭酸ガスを吹き込んで水酸化カルシウムを中和して炭酸カルシウムとする。
易分解化処理物を固液分離装置に投入し、固形分を分取する。これによりリグノセルロース中のリグニン成分は液相として分離除去され、易分解化した稲わら粉末が炭酸カルシウム粉末とともに得られる。固液分離装置としては、実施形態1で述べた装置と同様のものを用いることができる。
固液分離工程S13によって得られた易分解化した稲わら粉末及び炭酸カルシウム粉末の混合物の水分調整を行う。水分調整は後に行う可溶化工程S15において可溶化収率が高く、過分解が少なくなるよう適宜行う。含水量が多い場合には、遠心脱水や熱風乾燥などで含水率を所定の値に調整する。また、逆に水分が少なすぎる場合には、水分を添加して調整する。
水分調整された易分解化処理物と炭酸カルシウムの混合物に対して、圧力と温度を制御して水に可溶な成分を含んだ可溶化混合物とする(可溶化工程S15)。可溶化工程S15の条件としては、実施形態1で述べた加圧熱水法として、図2に示した亜臨界領域や超臨界領域で処理を行うことができる。
また、実施形態1で述べたように100℃以上300℃未満であって、且つ、全圧が0.05MPa以上10MPa未満という高温−低圧の領域で加水分解反応を行うこともできる。このような領域は、図2における斜線内の部分で示され、全圧が飽和水蒸気圧よりも小さい領域(すなわち、水が安定に存在せず、水蒸気のみが存在する領域)か、液体の水と水蒸気とが共存はするが全圧は10MPa未満と小さい領域であり、亜臨界領域や超臨界領域とは全く異なる状況である。この差異により、乳酸や酢酸やヒドロキシメチルフルフラール(HMF)などの過分解物の生成がきわめて少ないという特徴を有することとなる。
以上のようにして製造された可溶化混合物に対して0.1〜500倍の容量となるように水(あるいはお湯)を加えて混合し、固液分離を行うことにより可溶化液を得る。固液分離装置としては、実施形態1で述べたものを用いることができる。こうして得られた可溶化液には、オリゴ糖などの低分子量多糖類や、グルコースが主成分として含まれている。
上記固液分離工程S16で得られた可溶化液にシュウ酸を添加し、糖化反応を行う。シュウ酸の添加量はpHが3.1以下となるように添加することが好ましい。より好ましいのはpHが2.8以下である。なお、固液分離工程S16において分離が不十分で糖化液に炭酸カルシウムが混入した場合、シュウ酸によって水に不溶性のシュウ酸カルシウムCa(COO)2に変換される。
糖化工程S17で得られた糖化混合液は固液分離装置で残渣及びシュウ酸カルシウムと糖化液とに分離される。
固液分離工程S16で分離された残渣+炭酸カルシウム(CaCO3)及び固液分離工程S18で分離された残渣+シュウ酸カルシウム(Ca(COO)2)は焼成炉で焼成される(熱分解工程S19)。これにより有機分は焼却され、炭酸カルシウム(CaCO3)及びシュウ酸カルシウム(Ca(COO)2)は酸化カルシウムとなる。こうして得られた酸化カルシウムに水を加えれば水酸化カルシウム溶液となり、易分解工程S12で再利用することができる。
一方、固液分離工程S18で分離された糖化液は発酵槽に移され、酵母菌で発酵されてエタノールを含む発酵液となる。
発酵工程S20で得られた発酵液は蒸留塔等のエタノール精製装置によって精製されてエタノールが得られる。一方、精製時の残渣にはシュウ酸カリウムやシュウ酸が含まれるため、これを加熱炉で熱分解することにより炭酸カリウムと炭酸ガスとなる。炭酸カリウムはガラス原料等、各種用途に利用できる。
糖化工程においてカルボン酸を添加することにより糖化液を良い糖化率で得られることは、以下に示す参考例1,2及び比較例1,2の結果から明らかである。すなわち、参考例1,2では可溶化工程でセルロースから生成したカルボン酸を酸触媒として、よい糖化収率で糖化液を得ており、pH3.1以下では固体酸触媒を用いた比較例1,2の場合と遜色はないことから、明らかである。
また、単なる粉砕処理よりも加熱粉砕処理のほうが糖化率を高めることができることは、以下に示す参考例3,4及び比較例3〜5の比較から明らかである。(参考例1)
・可溶化工程
粉砕したセルロース試薬0.3g(含水率7%)を秤り取り、2重構造の蓋付きの耐圧PTFE容器(内側容器は容積20cm3のPTFE容器、外側容器はステンレス製容器)に入れ、水を入れることなく蓋をした。そして、耐圧PTFE容器を電気加熱炉に入れ、200℃で3時間の加熱を行った。このとき、耐圧PTFE容器内部の全圧は、状態方程式から計算して、(空気の分圧+水蒸気の分圧)=0.32MPaとなる。一方、200℃での飽和水蒸気圧は1.56MPaである。
・糖化工程
可溶化工程終了後、内容物を所定量の水で溶解し、再び蓋を締め、150℃で6時間の糖化工程を行った。
比較例1では、参考例1と同様の可溶化工程を行った後、糖化工程として内容物を所定量の水で溶解し、さらに固体酸触媒としてスルホ化処理活性炭15mgを入れて蓋をし、再び蓋を締め、150℃で6時間の糖化工程を行った。
参考例1及び比較例1の可溶化工程で得られた内容物を所定量の水で溶解した溶液を高速液体クロマトグラフィー及び全有機炭素計(TOC計)によって分析し、可溶化率を求めた。また、pH計によってpHを測定した。さらには、糖化液についても同様にして可溶化率を求めた。可溶化工程後及び糖化工程後についての分析結果を表1に示す。また、可溶化工程後のpHと糖化工程後の単糖の収率を図4に示す。表1から、水の添加量を変えても可溶化率はそれほど変化しないが、可溶化工程終了時のpHは、水の添加量が少ないほど低くなることが分かった。さらに、高速液体クロマトグラフィーの分析から、pHの低下は乳酸その他のカルボン酸の生成に起因することが分かった。
また、表1及び図4から、可溶化工程終了時のpHが4.1である参考例1-1及び比較例1-1の比較では、固体酸触媒がある方が糖化工程後の単糖収率が高くなるが、工程終了時のpHが2.3である参考例1-3及び比較例1-3の比較、及び工程終了時のpHが2.8である参考例1-2及び比較例1-2の比較では、固体酸触媒の有無によらず糖化工程後の単糖収率は高い収率が得られることが分かった。これらの結果から、固体酸触媒なしでも糖化工程によって単糖収率が同程度得られるのは、可溶化工程で生成した乳酸等のカルボン酸が酸触媒として働いていることによるものであることが分かった。
セルロースを含有するバイオマス原料として、市販の綿100%Tシャツを挟みで5mm程度の幅に細かく裁断した後、ブレードミルで粉砕し、わた状の試料を得た。これを参考例1と同様の条件で可溶化工程及び糖化工程を行った。
比較例2では、参考例1と同様の可溶化工程を行った後、糖化工程として内容物を所定量の水で溶解し、さらに固体酸触媒としてスルホ化処理活性炭15mgを入れて蓋をし、再び蓋を締め、150℃で6時間の糖化工程を行った。
可溶化工程後及び糖化工程後についての分析結果を表2に示す。また、可溶化工程後のpHと糖化工程後の単糖の収率を図5に示す。
表2から、水の添加量を変えても可溶化率はそれほど変化しないが、可溶化工程終了時のpHは、水の添加量が少ないほど低くなることが分かった。さらに、高速液体クロマトグラフィーの分析から、pHの低下は乳酸その他のカルボン酸の生成に起因することが分かった。
また、表2及び図5から、工程終了時のpHが4.2である参考例2-1と比較例2-1との比較では、固体酸触媒がない方が糖化工程後の単糖収率が低くなるが、工程終了時のpHが3.1である参考例2-2及び比較例2-2の比較では、固体酸触媒の有無によらず糖化工程後の単糖収率は高い収率が得られることが分かった。これらの結果から、固体酸触媒なしでも糖化工程によって単糖収率が同程度得られるのは、可溶化工程で生成した乳酸等のカルボン酸が酸触媒として働いていることによるものであることが分かった。
参考例3では試薬のセルロースを原料として、以下のようにして可溶化を行った。
セルロースを含有する原料として、試薬のセルロース(日本製紙ケミカル株式会社製 製品名:KCフロック50GK)を用い、これを円筒形のボールミル容器(ボール:5mmφの安定化ジルコニア75g)に0.3g入れ、蓋をしてから加熱ヒータ付の遊星型ボールミル(伊藤製作所製 商品名:LP-M2H)を用いて200°C、300rpmで回転させて加熱粉砕を行った。所定時間(1時間、3時間及び6時間)経過後、加熱粉砕を停止し、ボールミル容器を取り外し、自然放冷させた後、100mlの水で抽出を行い、可溶化液とした。
・粉砕処理
比較例3では、実施例1で用いた遊星型ボールミルを用い、加熱を行うことなく常温下において、その他の条件は実施例1と同様にして1時間の粉砕処理を行った。
・加熱処理及び水抽出処理
次に、こうして得られた粉砕物15mgを秤取り、2重構造の蓋付きの耐圧PTFE容器(内側容器は容積28cm3のPTFE容器、外側容器はステンレス製容器)に入れ蓋をした。そして、試料を入れた耐圧PTFE容器を電気加熱炉に入れ、200℃で所定時間の加熱を行った後、内容物を4.75mlの水で抽出し、フィルターでろ過し、水抽出液を得た。
比較例4では、遊星型ボールミルによる常温下での粉砕処理時間を3時間とし、
その他については比較例3と同様にして粉砕処理、加熱処理及び水抽出処理を行った。
セルロースの仕込み重量、及び水抽出において得られた可溶化液を全有機炭素計(TOC計)による測定値から、可溶化率を求めた。その結果を図6に示す。加熱と粉砕を同時並行で行った参考例3では、3時間の加熱粉砕によってセルロースの可溶化率が約90%に達した。
一方、粉砕を行ってから加熱処理を行った比較例3においては、処理時間を4時間(すなわち粉砕1時間+加熱3時間)行っても可溶化率は43%程度であり、処理時間を7時間(すなわち粉砕1時間+加熱6時間)としても38%程度となり、かえって低下した。
また、粉砕を3時間行ってから加熱処理を行った比較例4では、処理時間を4時間(すなわち粉砕3時間+加熱1時間)行っても可溶化率は24%程度であり、処理時間を6時間(すなわち粉砕3時間+加熱3時間)としても48%程度までしか上がらず、処理時間を9時間(すなわち粉砕3時間+加熱6時間)とした場合、33%程度となり、かえって低下した。
以上の結果から、加熱と粉砕を同時に行うことにより、短時間で極めて高い可溶化率を達成できることが分かった。
参考例4ではセルロースを含有する原料として試薬のセルロース(MERCK社製 アビセル)を用い、その他については参考例3と同様にして可溶化を行った。
比較例5ではセルロースを含有する原料として試薬のセルロース(MERCK社製 アビセル)を用い、その他については比較例3と同様にして可溶化を行った。
参考例4及び比較例5の結果を表1に示す。この表から、参考例4では90%程度という高い可溶化率を達成でき、しかも粉砕と加熱とを同時並行して行うため、処理時間も大幅に短縮できることが分かる。これに対して、比較例5では、3時間の粉砕と3時間の加熱(比較例5-3)を行っても、75%の可溶化率に留まった。
Claims (3)
- セルロースを含有するバイオマス原料を結晶化度を低減してから、または同時に水の存在下で圧力と温度を制御して、酸と水に可溶な成分とを含んだ可溶化混合物とする可溶化工程と、
該可溶化混合物から水で抽出した可溶化液を酸触媒で加水分解することにより糖化液を得る糖化工程と、を有するセルロース系バイオマス原料の糖化方法であって、
該酸触媒としてカルボン酸を用いるセルロース系バイオマス原料の糖化方法。 - 前記カルボン酸はシュウ酸である請求項1に記載のセルロース系バイオマス原料の糖化方法。
- 前記可溶化工程の前に前記セルロースを含有するバイオマス原料を水酸化カルシウム水溶液によって易分解化処理を行う請求項2に記載するセルロース系バイオマス原料の糖化方法。
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