以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像処理装置及び画像処理プログラムの一実施の形態を詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
(1)構成
図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置の構成を示す図である。同図に示すように画像形成装置50は、読取り装置51と、第1画像処理装置52と、第2画像処理装置66と、バス制御装置67と、HDD(Hard Disc Drive)68と、CPU(Central Processing Unit)53と、メモリ54と、プロッタI/F(Interface)装置55と、プロッタ装置56と、操作表示装置57と、回線I/F装置58と、外部I/F装置59と、SB(South Bridge)60と、ROM(Read Only Memory)61とを備え、上述のACSの機能を有する。
読取り装置51は、CCD(Charge Coupled Device)光電変換素子からなるラインセンサとA/D(analog to digital)コンバータとそれらを駆動する駆動回路とを具備する(いずれも図示せず)。読取り装置51は、セットされた原稿に表される画像(原稿画像)をスキャンして、原稿画像の濃淡情報を得て、これを用いて、原稿画像を表しRGB毎に各8ビットで表現されるRGB形式の画像データを生成してこれを第1画像処理装置52に出力する。ここでは読取り装置51の読取り解像度は600dpiとするが解像度はこれに限るものではない。
第1画像処理装置52は、読取り装置51から出力された画像データに対して、プロッタ装置56と外部装置であるPC63との両方に利用可能となるようにその性質を統一するなどの各種画像処理を行い、処理後の画像データを出力する。また、第1画像処理装置52は、読取り装置51から出力された画像データによって表される原稿画像について、画像特徴の属性を判定し、当該判定結果を付帯情報として出力すると共に、予め定めた特性に統一する各種画像処理を行って処理後の画像データを出力する。尚、画像特徴とは、例えば、画像の色彩に関する特徴として有彩画像又は無彩画像、白紙原稿又はそれ以外などや、画像の画質に関する特徴として読取り装置51が画像を読み取る対象の原稿が文字原稿、写真原稿又は文字写真混在原稿かなどである。いずれに該当するかがその属性となる。ここでは、第1画像処理装置52は、画像の特徴として、原稿画像が有彩画像であるか又は無彩画像であるかの属性を判定する。画像の画質に関する特徴の属性の判定については他の実施の形態において詳述する。尚、特性とは、明度や鮮鋭性や色空間などのことである。また、第1画像処理装置52は、後述する像域分離処理を行い、像域分離結果を出力する。第1画像処理装置52の詳細な構成については後述する。
バス制御装置67は、画像形成装置50内で必要な画像データや制御コマンド等の各種データの送受信を行うデータバスの制御装置であり、複数種のバス規格間のブリッジ機能を有している。本実施の形態では、バス制御装置67は、第1画像処理装置52、第2画像処理装置66及びCPU53と汎用規格I/F78で接続され、HDD68とATAバスで接続されてASIC化されている。汎用規格I/F78とは、例えばPCI−Expressバスである。そして、バス制御装置67は、第1画像処理装置52から出力された画像データ及びその付帯情報を対応付けてHDD68に記憶させる。尚、付帯情報の詳細については後述する。HDD68は、各種データや各種プログラムを保存するための大型の記憶装置である。HDD68はここでは特に、画像データ及びその付帯情報を対応付けて記憶する。HDD68としては、例えば、IDEを拡張して規格化されているATAバス接続のハードディスクを使用することができる。
ROM61は、ブートプログラムやコピーやスキャンや画像処理を行うための各種プログラムや各種データを記憶する不揮発性メモリである。メモリ54は、各種プログラムや各種データを一時的に記憶する揮発性メモリである。メモリ54には、例えば、DIMM(Dual Inline Memory Module)やHDD(Hard Disk Drive)が使用される。このようなメモリ54には、複数種のバス規格間をブリッジする際の処理の速度差を吸収するために一時的にやりとりする各種データが記憶されたり、CPU53が画像形成装置50の制御を行う際に実行するプログラムやその実行時に用いる各種データが記憶されたりする。各種データとしては画像データが記憶される。従って、CPU53はメモリ54に記憶された画像データを自由に読み出したり書き込んだりすることができる。CPU53は、当該画像形成装置50全体を制御するマイクロプロセッサである。CPU53としては、例えば、近年普及してきたIntegrated CPUを用いる。Integrated CPUとは、CPUコア単体に様々な機能を追加したマイクロプロセッサである。具体的には、例えば、PMC社のRM11100をCPU53として採用する。これには、PCI−Expressバスなどの各種汎用規格I/Fとの接続機能や、クロスバースイッチを使ってこれらの各種汎用規格I/F間を接続する機能がインテグレートされている。CPU53は、通常起動時にROM61に記憶されたブートプログラムを実行してシステムを起動し、その後は高速処理を行うため、高速にアクセス可能なメモリ54にプログラムを展開してこれを実行することにより各種処理を行う。
第2画像処理装置66は、CPU53及びバス制御装置67を介して、圧縮画像データ及びその付帯情報と、原稿画像に対するカラー判定結果(第1カラー判定結果という)と、出力対象画像に相当する領域を指定する領域指定情報とを受け取ると、これらを用いて各種画像処理を行って処理後の画像データを出力する。第2画像処理装置66の詳細な構成については後述する。
プロッタ装置56は、画像データに基づいて作像を行い、作像された画像を転写紙に出力することにより、画像形成を行うプロッタである。例えば、プロッタ装置56は、プロッタI/F装置55を介して、CMYK形式に変換された画像データを受け取ると、レーザービームを用いた電子写真プロセスを使って、画像データによって表される画像を転写紙に出力する。プロッタI/F装置55は、CPU53にインテグレードされた汎用規格I/F78を介して、CMYK形式に変換された画像データをCPU53から受け取ると、プロッタ装置56に出力するバスブリッジ処理を行う。
SB60は、ブリッジ機能を有する汎用の電子デバイスであり、ここでは、ROM61との間をブリッジしている。操作表示装置57は、各種情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置と、キースイッチ等を具備し利用者からの操作入力を受け付ける操作装置とが一体的に構成されたものである。利用者の操作入力としては例えば画像のコピーなどの出力や読み取りを指示するものや、出力時の出力サイズや原稿画像のうち出力対象とする範囲や変倍率や画質モードの指定や、配信スキャナ時の解像度の指定や読み取り範囲の指定や、出力対象の画像が有彩画像か無彩画像かを自動で判定するACSモードの設定などがある。尚、出力対象とする範囲が指定されることで、原稿画像のうち出力対象の画像が指定されることになる。画質モードとは、出力対象の画像の画質の取り扱いを示すものである。画質モードとしては、例えば、出力対象の画像を文字原稿として取り扱う文字モードや、出力対象の画像を写真原稿として取り扱う写真モードなどがある。操作表示装置57は、汎用規格I/F78を介して、このような操作入力に応じた制御コマンドをCPU53に出力したり、CPU53から表示対象として出力された情報を表示させたりする。
回線I/F装置58は、汎用規格I/F78と電話回線とを接続する装置である。この回線I/F装置58により画像形成装置50は電話回線を介して例えばFAX62とファクシミリ通信を行って画像データの授受を行う。外部I/F装置59は汎用規格I/F78と外部装置とを接続する装置である。この外部I/F装置59により画像形成装置50は外部装置と接続されて各種データの授受を行う。外部装置としては、例えば、PC63や、コンパクトフラッシュ(登録商標)カードやSDカード等の外部メディア65である。外部I/F装置59は、PC63や、デジタル複合機であるMFP(図示せず)とは、イーサネット(登録商標)などのネットワーク(図示せず)を介して各種データの授受を行い、外部メディア65とは外部メディアI/F(図示せず)を介して各種データの授受を行う。特に後述するスキャン配信の処理が行われる場合、例えば、PC63などの外部装置には、読取り装置51で読み取られた原稿画像の全部又は一部を表す出力対象画像データが外部I/F装置59を介して送信される。
次に、第1画像処理装置52の詳細な構成について図2を用いて説明する。第1画像処理装置52は、第1カラー判定部100と、像域分離部101と、γ変換部102と、フィルタ処理部103と、色変換部104と、画像圧縮部105とを有する。γ変換部102には、読取り装置51から出力された画像データが入力される。γ変換部102は、入力された画像データの明るさを補正する。本実施の形態においては、γ変換部102は、反射率リニアな特性で読取り装置51から出力された画像データを、明度リニアな特性に補正する。そしてγ変換部102は、補正したRGB形式の画像データをフィルタ処理部103に出力する。
像域分離部101には、読取り装置51から出力されたRGB形式の画像データが入力される。像域分離部101は、入力された画像データに対して、像域分離処理を行う。具体的には、像域分離部101は、入力されたRGB形式の画像データによって表される原稿画像の線画領域を認識し、1スキャン分の中の線画領域の割合から、各画素が、文字領域又は絵柄領域、有彩領域又は無彩領域のいずれに属するのかを判別して、この判別結果を像域分離結果として出力する。
また、第1カラー判定部100にも、読取り装置51から出力された画像データが入力される。第1カラー判定部100は、ACSモードにおいて、入力されたRGB形式の画像データに対して、カラー判定処理を行う。具体的には、第1カラー判定部100は、入力された画像データによって表される原稿画像の色を認識し、1スキャン分の原稿画像に表れる色が、白黒か白黒以外の色を含むか否か、即ち、画像が有彩画像か無彩画像かを判定するカラー判定処理を行う。概略的には、例えば、第1カラー判定部100は、入力された画像データを構成する各画素内のRGB差(RGBの最大値−最小値)が所定値以上あれば有彩画素と判定し、所定値未満ならば無彩画素と判定した上で、その有彩画素が所定の長さ以上連続する場合に、有彩画像であると判定する。尚、所定値は、パラメータ(カラー判定パラメータという)として予め設定されている。図3は、原稿画像を例示する図である。同図においては、例えば、原稿画像の一部分である画像部分GB1は、白黒のみ含む無彩画像であり、画像部分GB2は、白黒以外の色を含む有彩画像であり、原稿画像では無彩画像と有彩画像とが混在していることが示されている。この原稿画像については、有彩画像であると判定される。第1カラー判定部100は、カラー判定処理を行った結果を第1カラー判定結果として出力する。尚、線画領域の認識方法及びカラー判定処理自体の方法については、例えば、特開2003−46772号公報に記載されているため、その詳細な説明は省略する。
フィルタ処理部103は、γ変換部102から出力されたRGB形式の画像データに対して、フィルタ処理を行い、その鮮鋭性を予め定めた特性に統一して出力する。本実施の形態では、例えば、図4に示すような基準チャートをスキャンしたときに、フィルタ処理部103は線数毎に予め定めたMTF特性値になるようにMTF特性値を補正する。また、このMTF特性値の補正に際しては、文字領域と絵柄領域とでは要求される特性値が異なるため、フィルタ処理部103は文字領域及び絵柄領域の各々に対して補正を行う。従って、ここでは、像域分離部101での像域分離結果に応じて、適切なフィルタ処理がなされる。
色変換部104は、フィルタ処理部103から出力された画像データに対して、プロッタ装置56と外部装置であるPC63との両方に利用可能となるようにその性質を統一するように、予め定められたRGB空間に色変換をする。予め定められたRGB空間とは、例えば、CIE-RGB空間などである。そして、色変換部104は、色変換を行った画像データを出力する。画像圧縮部105は、色変換部104から出力された色変換後のRGB形式の画像データに対して、圧縮処理を行い、圧縮画像データを生成する。尚、画像圧縮部105は、例えば、メモリ54やHDD68の記憶容量の残容量を示す残容量情報を取得し、当該残容量情報に基づいて、その圧縮率を変更して画像データに対して圧縮処理を行うようにしても良い。
次に、CPU53が、ROM61やメモリ54やHDD68に記憶された各種プログラムを実行することにより本実施の形態において実現される特有の機能について説明する。CPU53は、第1画像処理装置52において出力された圧縮画像データと、当該圧縮画像データの付帯情報として像域分離結果及び第1カラー判定結果を、バス制御装置67を介して受け取ると、これらをメモリ54に記憶させる。CPU53は、操作表示装置57を介して入力された、原稿画像に対する出力を指示する操作入力に基づいて、原稿画像のうち出力の対象となる領域に相当する画像(出力対象画像という)を決定する。また、CPU53は、当該操作入力に基づいて、原稿画像と、当該原稿画像のうち出力の対象となる画像との大きさの違いが所定の大きさ以上であるか否かを判定し、当該判定結果が肯定的である場合、第1カラー判定結果は信頼できないと判定する。この判定を信頼判定という。具体的には、CPU53は、変倍率が所定の第1倍率以上に指定されているか否かを判定し、当該判定結果が肯定的である場合、第1カラー判定結果は信頼できないと判定する。所定の第1倍率の値(例えば200%)は、例えば、ROM61やHDD68に予め記憶されている。また、CPU53は、出力が指示された画像が原稿画像の一部であり且つ原稿画像と、出力の対象となる、原稿画像の一部との大きさの違いが所定の大きさ以上であるか否かを判定し、当該判定結果が肯定的である場合、第1カラー判定結果は信頼できないと判定する。尚、出力が指示された画像が原稿画像の一部であるか否かの判定は、例えば、操作入力によって指定された出力サイズが原稿画像のサイズより小さいか否かを判定することや、操作入力によって出力が指示された画像が原稿画像の一部であるか否かを判定することにより行なう。また、原稿画像と、出力の対象となる画像との大きさのとの違いが所定の大きさ以上である場合とは、例えば、操作入力によって指定された出力サイズに対する原稿画像のサイズの割合や出力サイズ及び原稿画像の差が所定の大きさ以上である場合や、操作入力によって出力が指示された画像(出力対象画像)の面積に対する原稿画像の面積の割合や出力対象画像の面積及び原稿画像の面積の差が所定の大きさ以上である場合である。
例えば、図3に例示される原稿画像について、変倍率が200%で出力されることが操作表示装置57を介して利用者により指定された場合、図5に例示されるように、左上1/4の領域が、出力対象画像として決定される。この場合、変倍率が所定の第1倍率以上であるため、第1カラー判定結果は信頼できないと判定される。
そして、CPU53は、第2画像処理装置66に処理をさせるべく、圧縮画像データ及びその付帯情報をメモリ54から読み出してこれらを、バス制御装置67を介して第2画像処理装置66に出力する。また、CPU53は、信頼判定の結果と、出力対象の領域を指定する領域指定情報とをバス制御装置67を介して第2画像処理装置66に出力する。
次に、第2画像処理装置66の構成について図6を用いて説明する。第2画像処理装置66は、画像伸張部110と、フィルタ処理部111と、色変換部112と、解像度変換部113と、γ変換部114と、中間調処理部115と、フォーマット変換部116と、第2カラー判定部117とを備えている。第2画像処理装置66には、第1画像処理装置52で圧縮されHDD68に記憶された圧縮画像データ及びその付帯情報と、信頼判定の結果と、領域指定情報とがCPU53及びバス制御装置67を介して入力される。画像伸張部110には圧縮画像データが入力され、画像伸張部110はこの圧縮画像データを伸張して出力する。
第2カラー判定部117は、画像伸張部110から出力されたRGB形式の画像データによって表される画像のうち、領域指定情報によって指定される領域に相当する出力対象画像が有彩画像か無彩画像かを判定するカラー判定処理を行う。カラー判定処理を行う方法は、上述の第1カラー判定部100と同じであっても良いし、異なっていても良い。例えば、図5の例では、図3で説明した画像部分GB1が無彩画像であることから、出力対象画像は無彩画像と判定されることになる。このように、原稿画像が無彩と有彩とが混在する画像であり、原稿画像のサイズと出力対象画像のサイズとが異なる場合には、第2カラー判定部117のカラー判定処理の結果と、第1カラー判定結果とは異なり得る。そして、第2カラー判定部117は、カラー判定処理を行った結果を第2カラー判定結果として出力する。
フィルタ処理部111は、画像伸張部110から出力されたRGB形式の画像データについて、領域指定情報によって指定される領域に相当する出力対象画像に対して以下のフィルタ処理を行う。フィルタ処理部111は、当該出力対象画像の鮮鋭性を、プロッタ装置56に出力する場合の再現性が良くなるように補正する。具体的には、フィルタ処理部111は、画像データの付帯情報に含まれる像域分離結果を参照して鮮鋭化処理や平滑化処理を行う。例えば、フィルタ処理部111は、文字領域では文字をくっきりとさせ判読性を高めるために鮮鋭化処理を行い、絵柄領域では画像を滑らかにするために平滑化処理を行う。第1画像処理装置52の有するフィルタ処理部103は画像データの再利用性を高めるために、線数毎に予め定めたMTF特性値になるように変換するものであるのに対し、第2画像処理装置66の有するフィルタ処理部111は、利用者の用途に応じた加工を行うための処理を行うものである。例えば、利用者が画質モードとして文字モードを指定した場合は鮮鋭化処理の程度を高め、写真モードを指定した場合は平滑化処理の程度を高める。そしてフィルタ処理部111は、補正後の出力対象画像を表す出力対象画像データを出力する。
色変換部112は、フィルタ処理部111から出力された出力対象画像データに対して、出力先に応じた色変換を行う。尚、ACSモードにおいて、色変換部112は、CPU53の行った信頼判定の結果に基づいて、色変換部112は、第1カラー判定結果が信頼できないと判定された場合、当該出力対象画像データに対して、第2カラー判定結果を用いて、出力先に応じた色変換を行い、それ以外の場合には、第1カラー判定結果を用いて、出力先に応じた色変換を行う。例えば、画像形成装置50がコピー動作を行っており出力先がプロッタ装置56である場合は、色変換部112は、CPU53の行った信頼判定の結果に基づいて、付帯情報に含まれる第1カラー判定結果又は第2カラー判定部117が出力した第2カラー判定結果を用いて、RGB各8ビットの画像データからプロッタ装置56における色空間であるCMYK各8ビット又はKのみ8ビットの画像データへと色変換を行う。例えば、変倍率200%で画像の出力が指示された場合には、第1カラー判定結果は信頼できないとCPU53は判定しているから、色変換部112は、第2カラー判定結果を用いて、色変換を行う。第1カラー判定結果が信頼できると判定されている場合には、色変換部112は、第1カラー判定結果を用いて、色変換を行う。また、画像形成装置50が配信スキャナ動作を行っており出力対象がPC63等の外部装置である時は、CPU53の行った信頼判定の結果に基づいて、付帯情報に含まれる第1カラー判定結果又は第2カラー判定部117が出力した第2カラー判定結果を用いて、例えば、CIE-RGB空間のRGB各8ビットから、モニタ表示に適した色空間であるAdobe−RGB色空間のRGB各8ビット又はグレースケール8ビットの画像データへと色変換を行う。ここではAdobe−RGB色空間を例にあげたが、sRGB色空間など、その他の標準的な色空間に変換しても構わない。
解像度変換部113は、画像の拡大や縮小など画像を変倍する場合、操作表示装置57を介して指定された変倍率に従って、色変換部112から出力された出力対象画像データに対して解像度の変換(変倍処理)を行う。そして、解像度変換部113は、変換後の出力対象画像データを出力する。尚、画像を変倍しない場合、解像度変換部113は、色変換部112から出力された出力対象画像データに対して変換を行わずにこれを出力する。γ変換部114は、出力対象画像データに対して、画像が出力される出力先の特性に応じて画像の階調特性を変換する。出力先がプロッタ装置56である場合は、γ変換部114は、プロッタ装置56の出力特性に応じて、画像の階調性を良好に保てるように階調特性を変換する。そして、解像度変換部113は、変換後の出力対象画像データを出力する。中間調処理部115は、解像度変換部113から出力されたCMYK各8ビットの出力対象画像データ又はKのみの8ビットの出力対象画像データに対してプロッタ装置56の階調処理能力に従った階調数変換処理を行う。例えば、中間調処理部115は、解像度変換部113から出力されたCMYK又はKの各8ビットの出力対象画像データを、CMYK又はKの各2ビットの画像データに疑似中間調処理の一つである誤差拡散法を用いて階調数変換処理を行う。そして、中間調処理部115は、処理後の出力対象画像データを出力する。尚、出力対象画像が多値画像である場合には、中間調処理部115は、解像度変換部113から出力された出力対象画像データに対して処理を行わずにこれを出力する。フォーマット変換部116は、中間調処理部115から出力された出力対象画像データに対して、画像の出力用途に応じてJPEG圧縮やMMR圧縮などを行うなどのフォーマット変換を行う。
<コピー処理>
次に、本実施の形態にかかる画像形成装置50の行うコピー処理の手順について図7を用いて説明する。利用者は、原稿を読取り装置51にセットし、コピーの設定に関する操作入力と、コピーの開始を指示する操作入力とを操作表示装置57において行う。ここでは、コピーの設定に関し、変倍率の指定や出力サイズの指定や画質モードの指定などの指示がなされ得る。また、ここでは、出力対象画像が有彩画像か無彩画像かを自動で判定するACSモードを設定する操作入力もなされるものとする。操作表示装置57は利用者からの操作入力に応じて、コピーの設定やコピーの開始を指示する制御コマンドを生成してこれを、汎用規格I/F78を介してCPU53に出力する。CPU53は、操作入力に応じて生成された制御コマンドを受け付け、ROM61から各種プログラムを読み出して実行すると共に、制御コマンドに従って、コピーに必要な設定や処理を順次行う。まず、CPU53は、原稿画像の読み取りを読取り装置51に指示する(ステップS1)。読取り装置51は、当該指示に従い、原稿画像を読み取り、原稿画像を表すRGB形式の画像データを生成してこれを出力する(ステップS2)。出力された画像データは第1画像処理装置52のγ変換部102、像域分離部101及び第1カラー判定部100に入力される。γ変換部102は、上述したように、入力された画像データを補正して、補正後の画像データを出力する。また、像域分離部101は、上述したように、読取り装置51から入力された画像データによって表されるデータによって表される原稿画像の線画領域を認識し、1スキャン分の中の線画領域の割合から、各画素が、文字領域又は絵柄領域、有彩領域又は無彩領域のいずれに属するのかを判別して、この判別結果を像域分離結果として出力する。また、第1カラー判定部100は、入力されたRGB形式の画像データによって表される原稿画像が有彩画像か無彩画像かを判定し、その判定結果(第1カラー判定結果)を出力する(ステップS3)。
また、上述したように、フィルタ処理部103は、γ変換部102から出力されたRGB形式の画像データに対してフィルタ処理を行い、処理後の画像データを出力する。色変換部104は、フィルタ処理部103から出力された画像データに対して色変換を行い、色変換後の画像データを出力する。画像圧縮部105は、色変換部104から出力された色変換後のRGB形式の画像データに対して圧縮処理を行い、圧縮画像データを生成する(ステップS4)。
バス制御装置67は、第1画像処理装置52から出力された圧縮画像データをCPU53に送ると共に、当該圧縮画像データの付帯情報として上述の像域分離結果及び第1カラー判定結果をCPU53に送る(ステップS5)。CPU53は、像域分離結果及び第1カラー判定結果を付帯情報として圧縮画像データと対応付けてメモリ54に記憶させる(ステップS6)。そして、CPU53は、当該圧縮画像データによって表される原稿画像に対し、変倍率の指定や出力サイズの指定の操作入力に応じて出力対象の領域に相当する画像(出力対象画像)を決定する。そして、ここでは、ACSモードが設定されているから、CPU53は、上述の操作入力によって、変倍率が所定の第1倍率(例えば200%)以上に指定されているか否か、又は、出力が指示された画像が原稿画像の一部であるか否かを判定し、変倍率が所定の第1倍率以上である場合又は出力が指示された画像が原稿画像の一部である場合、第1カラー判定結果は信頼できないと判定する(ステップS7)。
次に、CPU53は、第2画像処理装置66に処理をさせるべく、圧縮画像データ及びその付帯情報をメモリ54から読み出してこれらをバス制御装置67に送り(ステップS8)、バス制御装置67はこれらを第2画像処理装置66に出力する。また、CPU53は、信頼判定の結果と、出力対象画像に相当する領域を指定する領域指定情報とバス制御装置67を介して第2画像処理装置66に出力する。このようにして、CPU53は、第2画像処理装置66に処理を切り替える。また、CPU53は、出力サイズ及び画像モードのうち少なくとも1つを指定する操作入力があった場合、それを指定する設定指定情報をバス制御装置67に送り、バス制御装置67はこれを第2画像処理装置66に出力する(ステップS9)。
第2画像処理装置66の画像伸張部110は、CPU53及びバス制御装置67を介して圧縮画像データを受け取るとこれを伸張して出力する。第2カラー判定部117は、画像伸張部110から出力されたRGB形式の画像データによって表される画像のうち、領域指定情報によって指定される領域に相当する出力対象画像が有彩画像か無彩画像かを判定するカラー判定処理を行い、その結果(第2カラー判定結果)を出力する。また、フィルタ処理部111は、画像伸張部110から出力された画像データのうち、領域指定情報によって指定される領域に相当する出力対象画像について、付帯情報に含まれる像域分離結果及び設定指定情報に基づいて、フィルタ処理を行い、処理後の出力対象画像データを出力する。具体的には、フィルタ処理部111は、出力対象画像に対して、設定指定情報において画質モードが文字モードに指定されている場合は鮮鋭化処理の程度を高め、写真モードが指定されている場合は平滑化処理の程度を高める。
色変換部112は、フィルタ処理部111から出力されたRGB各8ビットの出力対象画像データに対して、CPU53から送られた信頼判定の結果に基づいて、付帯情報に含まれる第1カラー判定結果又は第2カラー判定部117が出力した第2カラー判定結果を用いて、プロッタ装置56における色空間に応じた色変換を行う。具体的には、色変換部112は、第1カラー判定結果が信頼できないと判定された場合且つ第2カラー判定結果が有彩画像である場合、又は、第1カラー判定結果が信頼できると判定された場合且つ第1カラー判定結果が有彩画像である場合、出力対象画像データに対してRGB各8ビットからCMYK各8ビットへと色変換を行う。また、第1カラー判定結果が信頼できないと判定された場合且つ第2カラー判定結果が無彩画像である場合、又は、第1カラー判定結果が信頼できると判定された場合且つ第1カラー判定結果が無彩画像である場合、色変換部112は、出力対象画像データに対してRGB各8ビットからKのみの各8ビットの画像データへと色変換を行う。
解像度変換部113は、変倍率が100%以外である場合、当該変倍率に従って、色変換部112から出力された出力対象画像データに対して変倍処理を行い、変換後の出力対象画像データをγ変換部114に出力する。γ変換部114は、画像が出力される出力先の特性に応じて画像の階調特性を変換し、変換後の出力対象画像データを出力する。中間調処理部115は、解像度変換部113から出力された出力対象画像データに対して、出力対象画像が2値画像であるか多値画像であるかに応じて階調数変換処理を適宜行い、処理の実行の有無に応じた出力対象画像データを出力する。フォーマット変換部116は、出力対象画像の出力用途が転写紙に出力することであるため、中間調処理部115から出力された出力対象画像データに対して処理を行わずにこれを出力する(ステップS10)。CPU53は、フォーマット変換部116から出力された出力対象画像データを、バス制御装置67を介して受け取りこれをメモリ54に記憶させる(ステップS11)。次いで、CPU53は、当該出力対象画像データをメモリ54から読み出して、プロッタI/F装置55を介してプロッタ装置56に送る(ステップS12)。プロッタ装置56は、出力対象画像データを受け取ると、当該出力対象画像データの色空間であるCMYK又はKに応じて、当該出力対象画像データによって表される出力対象画像を形成しこれを転写紙に出力する。 この結果、出力対象画像がコピーされることになる。
例えば、変倍率が100%、即ち、等倍コピーを行う場合には、第1カラー判定結果は信頼できると判定され、当該第1カラー判定結果に基づいて、出力対象画像は有彩画像として出力される。また、変倍率が200%である場合、第1カラー判定結果は信頼できないと判定され、第2カラー判定結果に基づいて、図5に例示されるように、出力対象画像は無彩画像として出力される。
<スキャナ配信処理>
次に、画像形成装置50が行うスキャナ配信処理の手順について図8を用いて説明する。まず、利用者は原稿を読取り装置51にセットし、スキャナ配信の設定に関する操作入力と、スキャナ配信の開始を指示する操作入力とを操作表示装置57において行う。ここでは、スキャナ配信の設定に関し、配信対象の外部装置(ここではPC63とする)や、配信対象の画像の解像度や読み取り範囲の指定などの指示がなされる。また、ここでも、ACSモードを設定する操作入力もなされるものとする。操作表示装置57は利用者からの操作入力に応じて、スキャナ配信の設定やスキャナ配信の開始を指示する制御コマンドを生成してこれを、汎用規格I/F78を介してCPU53に出力する。CPU53は、操作入力に応じて生成された制御コマンドを受け付け、ROM61から各種プログラムを読み出して実行すると共に、制御コマンドに従って、スキャナ配信に必要な設定や処理を順次行う。まず、CPU53は、原稿画像の読み取りを読取り装置51に指示する(ステップS20)。読取り装置51は、当該指示に従い、原稿画像を読み取り、原稿画像を表すRGB形式の画像データを生成してこれを出力する(ステップS2)。出力された画像データは第1画像処理装置52のγ変換部102、像域分離部101及び第1カラー判定部100に入力され、上述のコピー処理で説明したように、当該画像データに対して各部で各処理が行われる(ステップS3〜S4)。圧縮画像データ、上述の像域分離結果及び第1カラー判定結果は、バス制御装置67を介してCPU53に入力される。ステップS5〜S7も上述のコピー処理と同様である。
次いで、ステップS7では、CPU53は、当該圧縮画像データによって表される原稿画像に対し配信対象の画像の解像度や読み取り範囲の指定の操作入力に応じて出力対象画像を決定する。尚、配信対象の画像の解像度や読み取り範囲の指定がない場合は、出力対象画像は原稿画像全体に相当する。また、ここでは、ACSモードが設定されているから、CPU53は、上述の操作入力によって、変倍率が所定の第1倍率(例えば200%)以上に指定されているか否か、又は、出力が指示された画像が原稿画像の一部であるか否かを判定し、変倍率が所定の第1倍率以上である場合又は出力が指示された画像が原稿画像の一部である場合、第1カラー判定結果は信頼できないと判定する。そして、CPU53は、上述と同様にしてステップS8〜S9の処理を行う。
次いで、ステップS10では、まず、第2画像処理装置66の画像伸張部110は、CPU53及びバス制御装置67を介して圧縮画像データを受け取るとこれを伸張して出力する。第2カラー判定部117は、画像伸張部110から出力されたRGB形式の画像データによって表される画像のうち、領域指定情報によって指定される領域に相当する出力対象画像が有彩画像か無彩画像かを判定するカラー判定処理を行い、その結果(第2カラー判定結果)を出力する。また、フィルタ処理部111は、画像伸張部110から出力されたRGB形式の画像データについて、領域指定情報によって指定される領域に相当する出力対象画像に対してフィルタ処理を行い、処理後の出力対象画像データを出力する。色変換部112は、フィルタ処理部111から出力されたRGB各8ビットの出力対象画像データに対して、CPU53から送られた信頼判定の結果に基づいて、付帯情報に含まれる第1カラー判定結果又は第2カラー判定部117が出力した第2カラー判定結果を用いて、配信対象の外部装置であるPC63における色空間に応じた色変換を行う。具体的には、色変換部112は、第1カラー判定結果が信頼できないと判定された場合且つ第2カラー判定結果が有彩画像である場合、又は、第1カラー判定結果が信頼できると判定された場合且つ第1カラー判定結果が有彩画像である場合、出力対象画像データに対してRGB各8ビットから多値のRGB形式に色変換を行う。また、第1カラー判定結果が信頼できないと判定された場合且つ第2カラー判定結果が無彩画像である場合、又は、第1カラー判定結果が信頼できると判定された場合且つ第1カラー判定結果が無彩画像である場合、色変換部112は、出力対象画像データに対してRGB各8ビットから多値のグレースケール又は2値のモノクロに色変換を行う。
解像度変換部113は、色変換部112から出力された出力対象画像データをγ変換部114に出力する。γ変換部114は、画像が出力される出力先の特性に応じて画像の階調特性を変換し、変換後の出力対象画像データを出力する。中間調処理部115は、解像度変換部113から出力された出力対象画像データに対して、出力対象画像が2値画像であるか多値画像であるかに応じて階調数変換処理を適宜行い、処理の実行の有無に応じた出力対象画像データを出力する。フォーマット変換部116は、出力対象画像の出力用途がスキャナ配信であるため、中間調処理部115から出力された出力対象画像データに対してフォーマット変換を行い、変換後の出力対象画像データを出力する。ここでは、例えば、CPU53から送られた信頼判定の結果に基づいて用いる第1カラー判定結果又は第2カラー判定結果によって、出力対象画像が有彩画像であることを示す場合、フォーマット変換部116は、出力対象画像データに対してJPEG圧縮を行い、圧縮後の出力対象画像データを出力する。また、CPU53から送られた信頼判定の結果に基づいて用いる第1カラー判定結果又は第2カラー判定結果によって、出力対象画像が無彩画像であることを示す場合であって、出力対象画像データが2値のモノクロに色変換されている場合、フォーマット変換部116は、出力対象画像データに対してMMR圧縮を行ってTIFFファイル形式の出力対象画像データを生成してこれを出力する。また、CPU53から送られた信頼判定の結果に基づいて用いる第1カラー判定結果又は第2カラー判定結果によって、出力対象画像が無彩画像であることを示す場合であって、出力対象画像データがグレースケールに色変換されている場合、フォーマット変換部116は、出力対象画像データに対してJPEG圧縮を行って圧縮後の出力対象画像データを出力する。CPU53は、フォーマット変換部116から出力された出力対象画像データを、バス制御装置67を介して受け取りこれをメモリ54に記憶させる(ステップS11)。次いで、CPU53は、当該出力対象画像データをメモリ54から読み出して、外部I/F装置59を介して、外部装置であるPC63に送信する(ステップS21)。
<画像蓄積処理>
次に、画像形成装置50が、コピー処理やスキャナ配信処理を行うことなく、画像蓄積処理のみを行う場合の処理の手順について図9を用いて説明する。利用者は、原稿を読取り装置51にセットし、所望する画質モード等の設定に関する操作入力と、原稿画像の読み取り及び蓄積の開始を指示する操作入力とを操作表示装置57において行う。尚、ここでは、画像の蓄積後に多種多様な目的で再利用できるように、最も汎用的な条件で原稿画像の読み取りを行う。即ち、原稿画像の読み取り倍率を等倍とする。操作表示装置57は利用者からの操作入力に応じて、画質モード等の設定や原稿画像の読み取りの開始を指示する制御コマンドを生成してこれを、汎用規格I/F78を介してCPU53に出力する。CPU53は、操作入力に応じて生成された制御コマンドを受け付け、ROM61から各種プログラムを読み出して実行すると共に、制御コマンドに従って、原稿画像の読み取りに必要な設定や処理を順次行う(ステップS30)。以降、ステップS2〜S4までは上述のスキャナ配信処理と同様である。その後、ステップS31では、バス制御装置67は、第1画像処理装置52から出力された像域分離結果及び第1カラー判定結果を付帯情報として圧縮画像データと対応付けてHDD68に記憶させる。
<コピー処理及び画像蓄積処理>
次に、画像形成装置50がコピー処理と画像蓄積処理とを同時に行う場合の処理の手順について図10を用いて説明する。ステップS1〜S8の処理は上述のコピー処理と同様である。ステップS8の後、ステップS40では、バス制御装置67は、第1画像処理装置52から出力された像域分離結果及び第1カラー判定結果と圧縮画像データとを第2画像処理装置66に送信する。このとき、バス制御装置67は、像域分離結果及び第1カラー判定結果を付帯情報として圧縮画像データをHDD68に記憶させる。ステップS10以降の処理は上述のコピー処理と同様である。これにより、画像形成装置50はコピー処理と画像蓄積処理とを同時に行うことができる。
<スキャナ配信処理及び画像蓄積処理>
次に、画像形成装置50がスキャナ配信処理と画像蓄積処理とを同時に行う場合の処理の手順について図11を用いて説明する。ステップS20,S2〜S8の処理は上述のスキャナ配信処理と同様である。ステップS40の処理は、上述のコピー処理と画像蓄積処理とを同時に行う場合の処理と同様である。ステップS10以降の処理は上述のスキャナ配信処理と同様である。これにより、画像形成装置50はスキャナ配信処理と画像蓄積処理とを同時に行うことができる。
<蓄積画像の再利用>
次に、画像形成装置50がHDD68に記憶された画像データを再利用する場合の処理の概要について説明する。上述したようにHDD68に記憶された画像データは、付帯情報と対応付けて記憶されている。原稿画像の蓄積時よりも時間が経過した場合でも、当該画像データを再利用することができる。まず、画像形成装置50のCPU53は、画像データの再利用時のユーザインターフェースとして表示画面を操作表示装置57に表示させる。例えば、CPU53は、利用者の操作に応じて、当該操作時点でHDD68に記憶されている画像データのデータ名、当該画像データの作成日時や更新日時、当該画像データによって表される画像の縮小画像であるサムネイル画像を表す表示画面を表示させる。利用者は、当該操作表示装置57に表示された表示画面を閲覧することにより、どのような画像がHDD68に蓄積されているかを確認することができる。そして、利用者は、当該表示画面において再利用したい画像データを選択する操作入力と共に、当該画像データに対する再利用処理の開始を指示する操作入力や、再利用処理に関する設定や所望する画質モードなどの操作入力を操作表示装置57において行う。再利用処理としては、転写紙に画像を出力する処理やスキャナ配信処理などがある。その他、ここでは特に説明しないが、FAX送信など他の処理であっても良い。
まず、画像形成装置50が再利用処理として転写紙に画像を出力する処理を行う場合の処理の手順について図12を用いて説明する。まず、画像形成装置50のCPU53は、画像データの再利用時のユーザインターフェースとして表示画面を操作表示装置57に表示させる(ステップS50)。当該画面において、利用者は、再利用処理として転写紙への出力の設定に関する操作入力と、転写紙への出力の開始を指示する操作入力とを操作表示装置57において行う。転写紙に画像を出力する処理は、上述のコピー処理と略同様となる。このため、ここでは、転写紙への出力の設定に関し、上述のコピー処理において説明したように、変倍率の指定や出力サイズの指定や画質モードの指定などの指示なされ得る。また、ここでは、ACSモードが設定される。操作表示装置57は利用者からの操作入力に応じて、転写紙への出力の設定や転写紙への出力の開始を指示する制御コマンドを生成してこれを、汎用規格I/F78を介してCPU53に出力する。CPU53は、操作入力に応じて生成された制御コマンドを受け付け、ROM61から各種プログラムを読み出して実行すると共に、制御コマンドに従って、転写紙への出力に必要な設定や処理を順次行う。そして、CPU53は、該当の画像データの読み出しをバス制御装置67に指示する(ステップS51)。バス制御装置67は、当該指示に従い、該当の画像データ及び付帯情報をHDD68から読み出しこれをCPU53に送る(ステップS52)。そして、ここでは、ACSモードが設定されているから、ステップS7では、CPU53は、上述のコピー処理と同様にして、該当の画像データ及び付帯情報と、変倍率とを用いて出力対象画像を決定し、第1カラー判定結果に対する信頼判定を行なう。以降、ステップS8〜S12は上述のコピー処理と同様である。
また、画像形成装置50が再利用処理としてスキャナ配信処理を行う場合の手順について図13を用いて説明する。まず、画像形成装置50のCPU53は、画像データの再利用時のユーザインターフェースとして表示画面を操作表示装置57に表示させる(ステップS50)。当該画面において、利用者は、再利用処理としてスキャナ配信の開始を指示する操作入力や、所望する画質モード等の設定などの操作入力を操作表示装置57において行う。ここでは、スキャナ配信の設定に関し、上述のスキャナ配信処理において説明したように、配信対象の外部装置(ここではPC63とする)や、配信対象の画像の解像度や読み取り範囲の指定などの指示がなされる。操作表示装置57は利用者からの操作入力に応じて、スキャナ配信の設定やスキャナ配信の開始を指示する制御コマンドを生成してこれを、汎用規格I/F78を介してCPU53に出力する。CPU53は、操作入力に応じて生成された制御コマンドを受け付け、ROM61から各種プログラムを読み出して実行すると共に、制御コマンドに従って、スキャナ配信処理に必要な設定や処理を順次行う。そして、CPU53は、該当の画像データの読み出しをバス制御装置に67に指示する(ステップS60)。バス制御装置67は、当該指示に従い、該当の画像データ及び付帯情報をHDD68から読み出しこれをCPU53に送る(ステップS52)。そして、ここでは、ACSモードが設定されているから、ステップS7では、CPU53は、上述のスキャナ配信処理で説明したように、配信対象の画像の解像度や読み取り範囲に応じて出力対象画像を決定し、第1カラー判定結果に対する信頼判定を行なう。
例えば、上述のコピー処理及び画像蓄積処理でA3サイズの原稿画像をA3サイズの転写紙に等倍でコピーした後HDD68に蓄積された画像データに対してスキャナ配信処理をするとする。このとき、解像度として600dpiが指定され、読み取り範囲としてA4横置きが指定されるものとする。この場合、例えば、図3に示される原稿画像に対して、図5の実線内が出力対象画像になる。この場合、当該出力対象画像は無彩画像であることを示すカラー判定結果が得られる。ステップS8以降の処理は上述したスキャナ配信処理と同様である。
以上のようにして、第1画像処理装置52は、読取り装置51から入力された画像データについて、プロッタ装置56や外部装置であるPC63などの出力先で利用可能となるようにその性質を統一し、性質を統一した画像データをHDD68に蓄積する。このとき、第1画像処理装置52は、読取り装置51から入力された画像データに対して像域分離処理やカラー判定処理を行って、像域分離結果やカラー判定結果を付帯情報として処理後の画像データと共にHDD68に蓄積する。そして、利用者が画像形成装置50のHDD68に蓄積した画像データを再利用する場合に、第2画像処理装置66が、プロッタ装置56やPC63である出力先に適した性質の画像データに処理する。このとき、蓄積した画像データによって表れる画像が一部のみしか出力されない場合、付帯情報に含まれるカラー判定結果が信頼できない場合があるため、ACSモードにおいて、第2画像処理装置66が行なったカラー判定処理の結果を用いて、色変換を行う。
具体的には、例えば、図3に例示した原稿画像を転写紙に出力する場合について考える。図14〜15は、当該原稿画像を変倍率が各々100%(等倍)、50%(縮小)で出力する場合の画像を例示する図である。尚、当該原稿画像を変倍率200%(拡大)で出力する場合の画像を例示する図は図5の通りである。図3の例では、上述したように、画像部分GB1が無彩画像であり、画像部分GB2が有彩画像であり、原稿画像は、有彩画像と無彩画像とが混在する有彩画像である。このため、図14〜15の例では、出力対象画像は、原稿画像の全部を含む画像であり、原稿画像と同様に、有彩画像と無彩画像とが混在する有彩画像である。一方、図5に例示されるように、原稿画像の一部の画像として、画像部分GB1のみを含む画像が出力される場合、出力対象画像は、有彩の領域を含まず、従って、無彩画像である。尚、変倍率100%(等倍)でコピーする場合であっても、原稿画像のサイズよりも小さいサイズの転写紙に出力する場合(例えばA3サイズの原稿をA5サイズの転写紙に出力した場合)、結果として、図5に例示される画像と同様に、出力対象画像は原稿画像の一部となる。このように、出力対象画像が原稿画像の一部であり当該原稿画像と出力対象画像との大きさの違いが所定の大きさ以上である場合、原稿画像の読み取り時に判定された第1カラー判定結果と、実際の出力対象画像に対する第2カラー判定結果とが異なる場合がある。このような場合に、図5の例では、第1カラー判定結果を用いて色変換を行った出力対象画像を出力する際には、当該出力対象画像は、無彩画像であるにも関わらず、CMYKの4版を用いて出力されることになる。このため、処理コストや処理時間が浪費されてしまう。逆に、例えば、原稿画像を変倍率200%で変倍したときの画像に対する第1カラー判定結果を付帯情報として画像データと共に蓄積した場合には、原稿画像を等倍で出力する際には、付帯情報に含まれる第1カラー判定結果を用いて色変換を行うと、出力対象画像は、有彩画像であるにも関わらず、K版のみを用いて出力されることになる。この場合、実際の出力対象画像に適した色で出力されなくなり、利用者のニーズに応えることができない恐れがある。しかし、本実施の形態においては、原稿画像の読み取り時に第1画像処理装置52が行なったカラー判定処理の結果が信頼できるか否かを判定し、変倍率が所定の第1倍率以上である場合など、出力対象画像が原稿画像の一部であり当該原稿画像と出力対象画像との大きさの違いが所定の大きさ以上である場合に、当該カラー判定処理の結果を用いずに、第2画像処理装置66が行なったカラー判定処理の結果を用いて、色変換を行うことで、実際に出力される対象となる出力対象画像に適した色変換を行うことができる。このため、カラー判定などの画像特徴の属性の判定に対する信頼度を維持しつつ、処理コストや処理時間の浪費を低減することができる。
ところで、この第1の実施の形態においては、第1画像処理装置52は、読取り装置51から入力された画像データについて、各出力先で利用可能となるようにその性質を統一し、画像データの蓄積に適した画像処理を行なった。このとき、第1画像処理装置52は、原稿画像の読み取り時の色空間から各出力に合わせた色空間変換を第2画像処理装置66で行い易い色空間への変換を行った(色変換)。また、フィルタ処理部103は各出力先に合わせた周波数空間変換を行い易い予め定められた変換を行った(フィルタ処理)。即ち、第1画像処理装置52は、原稿画像と略同様な画質な画像を得られる画像処理を行って画像データを出力した。従って、このような画像データに対して第2カラー判定部117が行なうカラー判定処理については信頼度が大きく下がることは少なかった。しかし、利用者の要求に応じて、第1画像処理装置52が、原稿画像の画質を調整する画像編集処理を行うことがある。このような画像編集処理において画質を調整する度合いが高いと、画像編集処理後の画像データに対して第2カラー判定部117が行なうカラー判定処理については信頼度が大きく下がることがある。次の実施の形態において、その例について説明する。
[第2の実施の形態]
次に、画像処理装置及び画像処理プログラムの第2の実施の形態について説明する。なお、上述の第1の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を使用して説明したり、説明を省略したりする。
本実施の形態においては、利用者は、操作表示装置57を介して、画像の鮮鋭性の度合い、即ち、フィルタにおける強調度を設定可能とする。利用者は、読み取られた原稿画像よりもくっきりとした(シャープな)画像を欲する場合は、画像の鮮鋭性を高める設定を行い、鮮鋭性を高めた鮮鋭化処理が行われた原稿画像を表す画像データをHDD68に蓄積させることで、当該画像データの再利用時に、出力する画像の鮮鋭性を高める設定を毎回行なう必要はない。第1画像処理装置52のフィルタ処理部103は、操作表示装置57を介して設定された鮮鋭性(強調度)の度合いに応じて、γ変換部102から出力されたRGB形式の画像データに対して鮮鋭化処理などのフィルタ処理を行い、処理後の画像データを出力する。尚、鮮鋭化処理では、鮮鋭性の度合いが高いほど強調量を多くする。バス制御装置67は、第1画像処理装置52から出力された圧縮画像データをCPU53に送ると共に、当該圧縮画像データの付帯情報として像域分離結果及び第1カラー判定結果に加え、フィルタ処理部103が上述の鮮鋭化処理を行ったことを示すフィルタ情報を付帯情報としてCPU53に送る。CPU53は、当該圧縮画像データ及び付帯情報を受け取ると、当該付帯情報にフィルタ情報が含まれている場合、第2カラー判定部117が行なうカラー判定の結果(第2カラー判定結果)が信頼できないと判定する。
第2画像処理装置66には、第1画像処理装置52において鮮鋭化処理などの各種処理が行われて出力された圧縮画像データ及びその付帯情報と、信頼判定の結果と、領域指定情報とがCPU53及びバス制御装置67を介して入力される。第2画像処理装置66の構成は上述の第1の実施の形態と略同様である。但し、第2カラー判定部117は、CPU53の行った信頼判定の結果、第2カラー判定結果が信頼されないと判定された場合、カラー判定処理を行わない。色変換部112は、上述の第1の実施の形態と同様にして、フィルタ処理部111から出力された出力対象画像データに対して出力先に応じた色変換を行うが、ACSモードにおいて、CPU53の行った信頼判定の結果、第2カラー判定結果が信頼されないと判定された場合、第1カラー判定結果を用いて、出力先に応じた色変換を行う。色変換を行う方法は、第1の実施の形態と同様である。
以上のような構成によれば、カラー判定などの画像特徴の属性の判定に対する信頼度を維持することができる。ACSモードにおけるカラー判定において大きな課題となりうるのは、原稿画像の読み取り時に、黒い色で表現される文字や線(黒文字線部分という)の近傍において読み取りの色ずれが発生した時に、黒以外の色で表現される線(真の色線という)との区別がつきにくくなることである。鮮鋭化処理を行う場合エッジに強調がかかると、黒文字線部分の近傍において読み取りの色ずれが発生した領域にも強調がかかってしまい、強調がかかる前の画像よりも鮮やかな色付きが発生してしまう。第1カラー判定部100と第2カラー判定部117とに全く同じ構成の回路を使用した場合、第1カラー判定部100に入力された画像データによって表される画像の色ずれと比べると、第2カラー判定部117に入力された画像データによって表される画像には鮮やかな色付きが存在する。その分、第2カラー判定部117のカラー判定処理の性能が劣化してしまう。即ち、カラー判定パラメータの設定にもよるが、第1カラー判定部100では無彩画像と判定できた黒文字線部分の色ずれを第2カラー判定部117では有彩画像と判定してしまう。あるいは、鮮やかになった黒文字線部分を無彩画像と確実に判定するようにカラー判定パラメータを設定にすると、逆に、第1カラー判定部100が有彩であると正しく判定できた真の有彩画像を無彩画像であると誤判定してしまう恐れがある。尚、実際には、第1カラー判定部100と第2カラー判定部117とに全く同じ構成の回路を使用しない場合も考えられるが、その場合も第2カラー判定部117の行なうカラー判定処理の方が性能的に不利なのは同じである。
このように、利用者の意図的な画像編集により画像の鮮鋭性を大きく増大させる鮮鋭化処理を行うと、第2カラー判定部117のカラー判定処理の性能は著しく劣化してしまう。このような場合は、誤ったカラー判定結果を用いて色変換が行われる可能性があり、時間やトナーを浪費したり、利用者がカラーモード又は単色モードを切り替える操作入力を手動で行なって再度処理を行わせる必要があったりする。このため、このような場合には、第2カラー判定部117のカラー判定結果が信頼できないものとして、これを用いないことが利用者にとって有益となる。
尚、HDD68に蓄積された圧縮画像データを再利用する際に、当該圧縮画像データと共に蓄積された付帯情報にフィルタ情報が含まれているか否かを判定するのは、CPU53ではなく、第2カラー判定部117であっても良い。また、第2カラー判定部117は、カラー判定処理自体を行っても良く、色変換部112が第1カラー判定結果又は第2カラー判定結果を用いるか否かを判定するようにしても良い。
また、HDD68に蓄積された圧縮画像データを再利用する際に、当該圧縮画像データと共に蓄積された付帯情報にフィルタ情報が含まれている場合、操作表示装置57において利用者がACSモードを設定できないようにしても良い。即ち、第1画像処理装置52が鮮鋭化処理を行っていれば、カラー判定の判定結果を用いた色変換を行わない。
或いは、操作表示装置57において利用者がACSモードを設定可能にした場合であっても、ACSモードが設定された際に、ACSモードにおけるカラー判定が誤判定となる能性が高いことを示す警告メッセージを表示するようにしても良い。このような構成によれば、利用者の不利益になる前に、カラーモードの手動での設定を利用者に促すことができる。
また、フィルタ情報は、鮮鋭化処理を行ったことを示すと共に鮮鋭性の度合いを示すようにしても良く、この場合、HDD68に蓄積された圧縮画像データを再利用する際に、当該圧縮画像データと共に蓄積された付帯情報にフィルタ情報が含まれており且つ鮮鋭性の度合いが所定の第1度合い以上である場合に、第2カラー判定部117は、カラー判定処理を行わないようにしても良い。鮮鋭性の度合いは、操作表示装置57を介した操作入力により設定される。所定の第1度合いは、例えば、実験等により適宜求めて、予め定めておけば良い。
或いは、HDD68に蓄積された圧縮画像データを再利用する際に、当該圧縮画像データと共に蓄積された付帯情報にフィルタ情報が含まれている場合には、第1カラー判定結果を用いて色変換を行うようにしても良い。図3に例示した原稿画像については、上述したように、200%の変倍率で画像を出力する場合、図5に例示されるように、出力対象画像は、無彩画像である。しかし、第1カラー判定結果は、有彩画像であることを示し、実際の出力対象画像に対するものとは異なる。しかし、多くの他の再利用形態においては、当該出力対象画像に対して有彩画像であると判定された方が適切である。例えば、一般に使用される頻度の高い変倍率である115%で変倍する場合、図3に例示される原稿画像に対して、図16に例示されるように、有彩画像である画像部分GB2の一部を含む画像が出力される。このような場合には、有彩画像であると判定される方が好ましい。115%以下の変倍率でも有彩画像であると判定される方が好ましい。元々、変倍率200%で変倍するときのカラー判定は第1カラー判定部100だけで行なうことは困難であるが、程度の大きい画像編集処理により第2カラー判定部117のカラー判定処理の性能が大きく劣化した状態では、原稿画像の読み取り時に行なった第1カラー判定部100のカラー判定処理の結果を用いる方が利用者にとっては有益であると考えられる。上述した各方法のいずれを採用するかは利用者が操作表示装置57において選択可能にすれば、なお望ましい。
また、変倍率が100%より小さい所定の第2倍率(例えば50%)で画像を出力する場合に、第1カラー判定結果を用いて色変換を行うようにしても良い。この場合、第1カラー判定部100がカラー判定処理を行った際の判定対象の画像は全て出力されるため、第1カラー判定結果は信頼できると考えられる。従って、この場合、第2画像処理装置66の色変換部112は、第1カラー判定結果を用いて色変換を行うようにする。
但し、変倍率が100%、即ち、等倍で画像を出力する場合であっても、操作入力によって指定された出力サイズが原稿画像のサイズが小さい場合や原稿画像の一部が出力対象として指定されている場合であって、原稿画像と、出力の対象となる、原稿画像の一部との大きさの違いが所定の大きさ以上である場合には、上述の第1の実施の形態で説明したように第1カラー判定結果を信頼できないことがある。このため、この場合には、例えば、色変換部112は、カラー判定の判定結果を用いた色変換を行わないようにする。
また、色加工処理などの画像処理を行った場合には、第1カラー判定結果の信頼度には影響がないため、第1カラー判定結果が信頼できる限りは、第2画像処理装置66の色変換部112は、第1カラー判定結果を用いて色変換を行うようにすれば良い。
以上のように、本実施の形態においては、利用者が特別の設定をしなくても、画像データの蓄積に適したフィルタ処理を行うが、利用者の要求に応じて、画像の鮮鋭性を大きく変えるフィルタ処理を行って原稿画像の画像特徴を大きく変える場合には、第2カラー判定結果を用いないことで、利用者が不利益を被ることを回避することができる。
[第3の実施の形態]
次に、画像処理装置及び画像処理プログラムの第3の実施の形態について説明する。なお、上述の第1の実施の形態又は第2の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を使用して説明したり、説明を省略したりする。
本実施の形態においては、利用者は、操作表示装置57を介して、画像の平滑度の度合いを設定可能とする。利用者は、読み取られた原稿画像よりも滑らか(ソフト)な画像を欲する場合は、画像の平滑度を高める設定を行い、平滑度を高めた平滑化処理が行われた原稿画像を表す画像データをHDD68に蓄積させることで、当該画像データの再利用時に、出力する画像の滑らかさ(平滑度)を高める設定を毎回行なう必要はない。第1画像処理装置52のフィルタ処理部103は、操作表示装置57を介して設定された平滑度の度合いに応じて、γ変換部102から出力されたRGB形式の画像データに対して平滑化処理などのフィルタ処理を行い、処理後の画像データを出力する。尚、平滑化処理では、平滑度の度合いが高いほど平滑量を多くする。バス制御装置67は、第1画像処理装置52から出力された圧縮画像データをCPU53に送ると共に、当該圧縮画像データの付帯情報として像域分離結果及び第1カラー判定結果に加え、フィルタ処理部103が上述の平滑化処理を行ったことを示すフィルタ情報を付帯情報としてCPU53に送る。CPU53は、当該圧縮画像データ及び付帯情報を受け取ると、当該付帯情報にフィルタ情報が含まれている場合、第2カラー判定部117が行なうカラー判定の結果(第2カラー判定結果)が信頼できないと判定する。
第2画像処理装置66には、第1画像処理装置52において鮮鋭化処理などの各種処理が行われて出力された圧縮画像データ及びその付帯情報と、信頼判定の結果と、領域指定情報とがCPU53及びバス制御装置67を介して入力される。第2画像処理装置66の構成は上述の第1の実施の形態と略同様である。但し、第2カラー判定部117は、CPU53の行った信頼判定の結果、第2カラー判定結果が信頼されないと判定された場合、カラー判定処理を行わない。色変換部112は、上述の第1の実施の形態と同様にして、フィルタ処理部111から出力された出力対象画像データに対して出力先に応じた色変換を行うが、ACSモードにおいて、CPU53の行った信頼判定の結果、第2カラー判定結果が信頼されないと判定された場合、第1カラー判定結果を用いて、出力先に応じた色変換を行う。色変換を行う方法は、第1の実施の形態と同様である。
以上のような構成によれば、カラー判定などの画像特徴の属性の判定に対する信頼度を維持することができる。ACSモードにおけるカラー判定において大きな課題となりうるのは、原稿画像の読み取り時に、黒文字線部分の近傍において読み取りの色ずれが発生した時に、真の色線との区別がつきにくくなることである。平滑化処理が行われると、黒文字線部分の近傍において読み取りの色ずれが発生した領域や真の色線にも平滑がかかる。白地上の黒文字線部分の近傍の色付きの程度としては、鮮やかさが減って彩度が低くなる方向ではあるが、元もとの色ずれ量が大きいと完全には色付きが消えず、逆に平滑化処理前まで白地だった部分が色付き始めることがある。また、白地上の真の色線に強い平滑化処理が行われると、色が薄い色線や、非常に細い色線に対しては彩度が大きく下がってしまう。カラー判定パラメータの設定にもよるが、非常に強い平滑化処理を行うと、真の色線や黒以外の色で表現される文字(色文字という)を含む画像に対して有彩画像と判定できなくなってしまう恐れがある。逆に、これに対して有彩画像と判定するようにカラー判定パラメータを設定すると、今度は鮮やかさが軽減された黒文字色付き部分でさえも有彩画像と誤判定してしまう恐れがある。このような状態では、第2カラー判定部117のカラー判定処理の性能は著しく劣化してしまう。このため、このような場合には、第2カラー判定部117のカラー判定結果が信頼できないものとして、これを用いないことが利用者にとって有益となる。
尚、HDD68に蓄積された圧縮画像データを再利用する際に、当該圧縮画像データと共に蓄積された付帯情報にフィルタ情報が含まれているか否かを判定するのは、CPU53ではなく、第2カラー判定部117であっても良い。また、第2カラー判定部117は、カラー判定処理自体を行っても良く、色変換部112が第1カラー判定結果又は第2カラー判定結果を用いるか否かを判定するようにしても良い。
また、HDD68に蓄積された圧縮画像データを再利用する際に、当該圧縮画像データと共に蓄積された付帯情報にフィルタ情報が含まれている場合、操作表示装置57において利用者がACSモードを設定できないようにしても良い。即ち、第1画像処理装置52が平滑化処理を行っていれば、カラー判定の判定結果を用いた色変換を行わない。
或いは、操作表示装置57において利用者がACSモードを設定可能にした場合であっても、ACSモードが設定された際に、ACSモードにおけるカラー判定が誤判定となる能性が高いことを示す警告メッセージを表示するようにしても良い。このような構成によれば、利用者の不利益になる前に、カラーモードの手動での設定を利用者に促すことができる。
また、フィルタ情報は、平滑化処理を行ったことを示すと共に平滑度の度合いを示すようにしても良く、この場合、HDD68に蓄積された圧縮画像データを再利用する際に、当該圧縮画像データと共に蓄積された付帯情報にフィルタ情報が含まれており且つ平滑度の度合いが所定の第2度合い以上である場合に、第2カラー判定部117は、カラー判定処理を行わないようにしても良い。平滑度の度合いは、操作表示装置57を介した操作入力により設定される。所定の第2度合いは、例えば、実験等により適宜求めて、予め定めておけば良い。
或いは、HDD68に蓄積された圧縮画像データを再利用する際に、当該圧縮画像データと共に蓄積された付帯情報にフィルタ情報が含まれている場合には、第1カラー判定結果を用いて色変換を行うようにしても良い。
[第4の実施の形態]
次に、画像処理装置及び画像処理プログラムの第4の実施の形態について説明する。なお、上述の第1の実施の形態乃至第3の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を使用して説明したり、説明を省略したりする。
本実施の形態においては、利用者は、操作表示装置57を介して、色調整に関する設定を可能とする。色調整としては、例えば彩度の調整である。利用者は、読み取られた原稿画像より鮮やかな色合いにして見ための印象を華やかにして再利用したい場合、彩度の度合いを大きくする設定を行い、彩度を高めた色調整が行われた原稿画像を表す画像データをHDD68に蓄積させることで、当該画像データの再利用時に、出力する画像の彩度の高める設定を毎回行なう必要はない。第1画像処理装置52の色変換部104は、上述した第1の実施の形態における機能に加え、操作表示装置57を介して設定された彩度の度合いに応じて、色調整を行なう。バス制御装置67は、第1画像処理装置52から出力された圧縮画像データをCPU53に送ると共に、当該圧縮画像データの付帯情報として像域分離結果及び第1カラー判定結果に加え、色変換部104が上述の色調整を行ったことを示す色調整情報を付帯情報としてCPU53に送る。CPU53は、当該圧縮画像データ及び付帯情報を受け取ると、当該付帯情報に色調整情報が含まれている場合、第2カラー判定部117が行なうカラー判定の結果(第2カラー判定結果)が信頼できないと判定する。
第2画像処理装置66には、第1画像処理装置52において色調整などの各種処理が行われて出力された圧縮画像データ及びその付帯情報と、信頼判定の結果と、領域指定情報とがCPU53及びバス制御装置67を介して入力される。第2画像処理装置66の構成は上述の第1の実施の形態と略同様である。但し、第2カラー判定部117は、CPU53の行った信頼判定の結果、第2カラー判定結果が信頼されないと判定された場合、カラー判定処理を行わない。色変換部112は、上述の第1の実施の形態と同様にして、フィルタ処理部111から出力された出力対象画像データに対して出力先に応じた色変換を行うが、ACSモードにおいて、CPU53の行った信頼判定の結果、第2カラー判定結果が信頼されないと判定された場合、第1カラー判定結果を用いて、出力先に応じた色変換を行う。色変換を行う方法は、第1の実施の形態と同様である。
以上のような構成によれば、カラー判定などの画像特徴の属性の判定に対する信頼度を維持することができる。色調整を行った場合、黒い色で表現される文字(黒文字という)の色付き部分に関してはやはり鮮やかさがまし、ACSモードにおけるカラー判定を正しく行うことに対して大きく不利になる。このような状態では、第2カラー判定部117のカラー判定処理の性能は著しく劣化してしまう。このため、このような場合には、第2カラー判定部117のカラー判定結果が信頼できないものとして、これを用いないことが利用者にとって有益となる。
尚、HDD68に蓄積された圧縮画像データを再利用する際に、当該圧縮画像データと共に蓄積された付帯情報に色調整情報が含まれているか否かを判定するのは、CPU53ではなく、第2カラー判定部117であっても良い。また、第2カラー判定部117は、カラー判定処理自体を行っても良く、色変換部112が第1カラー判定結果又は第2カラー判定結果を用いるか否かを判定するようにしても良い。
また、HDD68に蓄積された圧縮画像データを再利用する際に、当該圧縮画像データと共に蓄積された付帯情報に色調整情報が含まれている場合、操作表示装置57において利用者がACSモードを設定できないようにしても良い。即ち、第1画像処理装置52が色調整を行っていれば、カラー判定の判定結果を用いた色変換を行わない。
或いは、操作表示装置57において利用者がACSモードを設定可能にした場合であっても、ACSモードが設定された際に、ACSモードにおけるカラー判定が誤判定となる能性が高いことを示す警告メッセージを表示するようにしても良い。このような構成によれば、利用者の不利益になる前に、カラーモードの手動での設定を利用者に促すことができる。
また、色調整情報は、色調整を行ったことを示すと共に彩度の度合いを示すようにしても良く、この場合、HDD68に蓄積された圧縮画像データを再利用する際に、当該圧縮画像データと共に蓄積された付帯情報に色調整情報が含まれており且つ彩度の度合いが所定の第3度合い以上である場合に、第2カラー判定部117は、カラー判定処理を行わないようにしても良い。彩度の度合いは、操作表示装置57を介した操作入力により設定される。所定の第3度合いは、例えば、実験等により適宜求めて、予め定めておけば良い。
或いは、HDD68に蓄積された圧縮画像データを再利用する際に、当該圧縮画像データと共に蓄積された付帯情報に色調整情報が含まれている場合には、第1カラー判定結果を用いて色変換を行うようにしても良い。
また、色調整としては、彩度の調整に限らず、カラープロファイルの調整や明度の調整であっても良い。例えば、カラープロファイルの調整としては、例えば、黒色から赤色に変換するなどの色の置き換えがある。ACSにおけるカラー判定では、ある濃度よりも薄いところは白色であると判定して無彩と判定することを行うことにより、読み取りの色ずれで発生した淡い色ずれを有彩と判定しないようにしている。従って、カラープロファイルの調整において色を置換したり、明度の度合いを変更したりすることにより、画像のRGB差あるいは彩度を変更する色加工処理を行うことで、上述と同様に、第2カラー判定部117のカラー判定処理の性能が劣化してしまう。このため、このような色調整を行う場合にも、第2カラー判定部117のカラー判定結果が信頼できないものとして、これを用いないことが利用者にとって有益となる。
[第5の実施の形態]
次に、画像処理装置及び画像処理プログラムの第5の実施の形態について説明する。なお、上述の第1の実施の形態乃至第4の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を使用して説明したり、説明を省略したりする。
本実施の形態においては、第1画像処理装置52は、図17に例示されるように、第1カラー判定部100と、像域分離部101と、γ変換部102と、フィルタ処理部103と、色変換部104と、画像圧縮部105とに加え、解像度変換部106を有する。解像度変換部106は、色変換部104から出力された出力対象画像データに対して解像度の変換(変倍処理)を行う。
例えば、コピー処理において、出力対象画像が主走査600dpi×副走査600dpiで出力される場合でも、読取り装置51において原稿画像の読み取りが主走査300dpi×副走査300dpiである場合がある。これは、第1画像処理装置52の一部における画像転送量を削減したり、あるいは読取り装置51の読取線速を速くしたりすることにより、生産性を高めるためである。この場合は、解像度変換部106が、原稿画像を変倍率200%で変倍する処理を行うことにより、擬似的な600dpiの画像データに変換する。従って、読取り装置51が読取った原稿画像に所定量の色ずれが発生していると、画像データの蓄積時には2倍の大きさの色ずれが発生することになる。即ち、第1カラー判定部100に入力される画像データにおける読み取りの色ずれ量に対して、第2カラー判定部117に入力される画像データにおける読み取りの色ずれ量は、実効的に2倍となる。このように大きな色ずれが発生してしまうと、第2カラー判定部117の行なうカラー判定処理に対する信頼度は大きく下がってしまう。
このため、本実施の形態においては、解像度変換部106が解像度の変換を行う場合には、CPU53又は第2画像処理装置66の色変換部112は、第2カラー判定結果は信頼できないと判定する。そして、色変換部112は、第1カラー判定結果を用いて、色変換を行う。但し、上述の第1の実施の形態と同様にして、操作入力によって指定された変倍率が所定の倍率以上である場合又は出力が指示された画像が原稿画像の一部である場合には、第1カラー判定結果も信頼できないこともある。このため、この場合には、上述の第2の実施の形態の変形例で説明したように、例えば、ACSモードにおけるカラー判定自体を行なわないようにしたり、CSモードにおけるカラー判定が誤判定となる能性が高いことを示す警告メッセージを操作表示装置57に表示したりする。
以上のような構成によっても、カラー判定などの画像特徴の属性の判定に対する信頼度を維持することができる。
[第6の実施の形態]
次に、画像処理装置及び画像処理プログラムの第6の実施の形態について説明する。なお、上述の第1の実施の形態乃至第5の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を使用して説明したり、説明を省略したりする。
上述の各実施の形態においては、第2画像処理装置66が第2カラー判定部117を有し、第1画像処理装置52の有する第1カラー判定部100の行なったカラー判定処理の結果が信頼できない場合、第2カラー判定部117の行なうカラー判定処理の結果を適宜用いた。しかし、本実施の形態においては、第2画像処理装置66が第2カラー判定部117を有さず、従って、第2画像処理装置66は、第1カラー判定部100の行なったカラー判定処理の結果を用いて、ACSモードにおけるカラー判定を行なう。
カラー判定部100は、読取り装置51から出力された画像データに対して、カラー判定処理を行うが、このとき、当該画像データによって表される原稿画像について細分化された判定領域毎に、カラー判定処理を行う。図18は、図3に例示した原稿画像を細分化した状態を例示する図である。同図において点線で区切られた矩形領域が各々判定領域となる。カラー判定部100は、この判定領域毎にカラー判定処理を行い、各第1カラー判定結果を、各判定領域が原稿画像のいずれの部分に相当するかを示す判定領域情報と対応付けて出力する。
図1に例示したバス制御装置67は、第1画像処理装置52から出力された圧縮画像データをCPU53に送ると共に、当該圧縮画像データの付帯情報として上述の像域分離結果、判定領域情報及び各判定領域に対する第1カラー判定結果をCPU53に送る。
CPU53は、バス制御装置67から送られた圧縮画像データ、当該圧縮画像データの付帯情報として上述の像域分離結果、判定領域情報及び各判定領域に対する第1カラー判定結果を受け取ると、メモリ54に記憶させる。その後、CPU53は、これらをHDD68に記憶させたり、画像の出力を指示する操作入力に応じて、ACSモードにおいては以下のカラー判定を行なって、第2画像処理装置66に処理を行わせたりする。具体的には、CPU53は、当該圧縮画像データによって表される原稿画像に対し、変倍率の指定や出力サイズの指定の操作入力に応じて出力対象の領域に相当する画像(出力対象画像)を決定し、ACSモードにおいて、当該圧縮画像データに対する付帯情報に含まれる判定領域情報及び各判定領域に対する第1カラー判定結果を用いて、出力対象画像が有彩画像か無彩画像かを以下のようにして判定する。CPU53は、当該出力対象画像を構成するための判定領域を選択し、当該判定領域に対応する第1カラー判定結果を参照して、出力対象画像が有彩画像であるか無彩画像であるかのカラー判定を行う。具体的には、CPU53は、出力対象画像を構成するために選択した全ての判定領域のうち、その第1カラー判定結果が有彩画像であるものが1つでもあれば、出力対象画像が有彩画像であると判定し、第1カラー判定結果が全て無彩画像であれば、出力対象画像が無彩画像であると判定する。例えば、図3に例示された原稿画像に対して、変倍率が200%である場合の出力対象画像については、図19に例示されるように、判定領域のうち斜線が引かれた部分の判定領域のみが出力対象画像に含まれることになる。この場合、CPU53のカラー判定の結果、出力対象画像が無彩画像であると判定される。そして、CPU53は、第2画像処理装置66に処理をさせる際に、圧縮画像データ及びその付帯情報と、出力対象画像に対するカラー判定結果(第3カラー判定結果という)と、出力対象画像を構成するための判定領域を指定する領域指定情報とをバス制御装置67を介して第2画像処理装置66に出力する。
図20は、第2画像処理装置66の詳細な構成を例示する図である。同図に例示されるように、第2画像処理装置66は、図6に例示した構成において有していた第2カラー判定部117を有さない。このような構成において、色変換部112は、ACSモードにおいて、フィルタ処理部111から出力された出力対象画像データに対して、CPU53から出力された第3カラー判定結果を用いて、出力先に応じた色変換を行う。
次に、本実施の形態にかかる画像形成装置50の行う各処理の手順について上述の第1の実施の形態と異なる部分について説明する。図7に例示したコピー処理では、ステップS3で、第1カラー判定部100は、入力されたRGB形式の画像データによって表される原稿画像が有彩画像か無彩画像かを判定領域毎に判定し、判定領域毎の判定結果(第1カラー判定結果)を出力する。ステップS5では、バス制御装置67は、第1画像処理装置52から出力された圧縮画像データをCPU53に送ると共に、当該圧縮画像データの付帯情報として上述の像域分離結果、判定領域情報及び各判定領域に対する第1カラー判定結果をCPU53に送る。ステップS6では、CPU53は、像域分離結果、判定領域情報及び第1カラー判定結果を付帯情報として圧縮画像データと対応付けてメモリ54に記憶させる。ステップS7では、CPU53は、当該圧縮画像データによって表される原稿画像に対し、変倍率の指定や出力サイズの指定の操作入力に応じて出力対象の領域に相当する画像(出力対象画像)を決定する。そして、CPU53は、ACSモードにおいて、出力対象画像を構成するために選択した全ての判定領域のうち、そのカラー判定結果が有彩画像であるものが1つでもあれば、出力対象画像が有彩画像であると判定し、カラー判定結果が全て無彩画像であれば、出力対象画像が無彩画像であると判定する。ステップS8では、CPU53は、第2画像処理装置66に処理をさせるべく、圧縮画像データ及びその付帯情報をメモリ54から読み出してこれらをバス制御装置67に送り、ステップS9では、バス制御装置67はこれらを第2画像処理装置66に出力する。また、CPU53は、出力対象画像に対するカラー判定結果(第3カラー判定結果)と、出力対象画像を構成するための判定領域を指定する領域指定情報とバス制御装置67を介して第2画像処理装置66に出力する。ステップS10では、色変換部112は、フィルタ処理部111から出力されたRGB各8ビットの出力対象画像データに対して、CPU53から送られた第3カラー判定結果に基づいて、プロッタ装置56における色空間に応じた色変換を行う。
尚、その他、スキャナ配信処理、画像蓄積処理、コピー処理及び画像蓄積処理、スキャナ配信処理及び画像蓄積処理、蓄積画像の再利用についても、上述のコピー処理で説明した部分と略同様の部分が上述の第1の実施の形態と異なる。
以上のように、第1画像処理装置52が、原稿画像を複数の判定領域に細分化し、各判定領域についてカラー判定を行い、各判定領域に対する第1カラー判定結果を、原稿画像を表す画像データと共に記憶する。そして、当該画像データの再利用時に、CPU53が、変倍率や、解像度や読み取り範囲に応じて出力対象画像を決定し、当該出力対象を構成する各判定領域に対する第1カラー判定結果を用いて、当該出力対象画像のカラー判定を行う。これにより、原稿画像の再利用時に、出力対象画像が原稿画像の一部となり、原稿画像全体に対してカラー判定処理を行った結果が信頼できない場合であっても、出力対象画像に対して適切なカラー判定を行うことができる。この結果、処理コストや処理時間を低減したり、記憶容量を節約したりすることができ、画像データの再利用時の問題点を解決することが可能になる。
尚、図18の例では、原稿画像における判定領域の細分化を主走査方向に8等分、副走査方向に10等分した。しかし、この分割数はこの値に限るものではない。判定領域の細分化はこの分割数が多いほど多種多様な再利用形態に対応できるようになる。判定領域とカラー判定結果との組を全てHDD68に記憶するため、判定領域を細分化しすぎると、極めて大容量のHDDが必要とされ、また、出力対象画像を構成する判定領域及びそのカラー判定結果を求めるための処理時間が増大するという問題が生じる恐れがあるため、分割数を適切に設定することが好ましい。
また、CPU53が、判定領域毎の第1カラー判定結果を用いて、出力対象画像に対するカラー判定を行なうようにしたが、これに限らず、第2画像処理装置66に、このようなカラー判定を行なうカラー判定部を設けるようにしても良い。
尚、上述の例では、原稿画像の全域において各判定領域に細分化したが、これに限らず、例えば、定型の転写紙のサイズ間の変倍率に各々応じた判定領域を設定するように構成しても良い。拡大や縮小のコピーが定型の転写紙のサイズ間で行われることが多いからである。例えば、A3サイズからA4にサイズに縮小したり(変倍率71%)、A4サイズからA3サイズに拡大したり(変倍率141%)、B5サイズからA4サイズに拡大したり(変倍率115%)することが行われる。このため、最も使用頻度の高い変倍率として、例えば、50%、61%、71%、82%、87%、100%、115%、122%、141%、200%などの予め設定された各変倍率に対応する判定領域を各々設定する。図21は、これらの変倍率のうち、200%、141%、115%及び100%の各変倍率に対応する判定領域を例示する図である。点線で区切られた矩形領域が、変倍率200%に対応する判定対象領域R1である。判定領域R1を含み一点鎖線で区切られた矩形領域が、変倍率141%に対応する判定対象領域R2である。判定領域R1〜R2を含み二点鎖線で区切られた矩形領域が、変倍率115%に対応する判定対象領域R3である。判定領域R1〜R3を含み実線で囲まれた矩形領域が、変倍率100%に対応する判定対象領域R4であり、原稿画像に相当する。この場合、第1画像処理装置52は、判定領域R1,R2に対して無彩画像であると各々判定し、判定領域R3,R4に対して有彩画像であると各々判定することになる。例えば、B5サイズからA4サイズに拡大する、即ち、変倍率115%にする操作入力が行われた場合には、CPU53は、判定領域R3を出力対象画像として決定し、当該判定領域R3が有彩画像であるというカラー判定結果を、当該出力対象画像のカラー判定結果とする。そして、例えば、上述と同様にしてコピー処理が行われることにより、図22に示されるような画像が出力される。尚、変倍率が141%である場合には、図16に示されるような画像が出力される。変倍率が200%である場合には、図5に示されるような画像が出力される。
以上のように、利用者が再利用時に使用する頻度の高い状況に対応する判定領域を設定し、当該判定領域に対するカラー判定結果を各々記憶することにより、HDD68に記憶された画像データをACSモードで再利用する。このような構成によれば、HDD68において必要な記憶容量も少なくて済む。また、出力対象画像に応じた判定領域及びカラー判定結果を求めるための処理時間も少なくて済むため、生産性の低下を抑制することができつつ、カラー判定などの画像特徴の属性の判定に対する信頼度を維持することができる。
[第7の実施の形態]
次に、画像処理装置及び画像処理プログラムの第7の実施の形態について説明する。なお、上述の第1の実施の形態乃至第6の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を使用して説明したり、説明を省略したりする。
上述の各実施の形態においては、画像の色彩に関する特徴として、出力対象画像が有彩画像又は無彩画像であるかの属性を判定するカラー判定を行なった。本実施の形態においては、画像の画質に関する特徴として、原稿種別の判定を行なう。原稿種別としては、例えば、文字原稿、写真原稿、文字写真混在原稿などがある。文字原稿とは、文字のみを含むものであり、写真原稿とは、絵柄を含むものであり、文字写真混在原稿とは、文字及び写真の両方を含むものである。原稿種別の判定を自動で行なうモードを原稿種別判定モードという。この原稿種別判定モードは、操作表示装置57を介したユーザの操作入力によって設定される。
図23は、第1画像処理装置52の詳細な構成を例示する図である。同図に例示されるように、第1画像処理装置52は、図2に例示される第1カラー判定部100の代わりに、第1原稿種別判定部107を有する。第1原稿種別判定部107は、入力されたRGB形式の画像データによって表される原稿画像が、文字原稿、写真原稿又は文字写真混在原稿のいずれの画像かを判定する原稿種別判定処理を行う。具体的には、第1原稿種別判定部107は、像域分離部101と同様にして像域分離処理を行うが、このとき、入力されたRGB形式の画像データによって表される原稿画像の線画領域を認識して、1スキャン分の中の線画領域の割合から、文字領域に属する画素を判別し、当該画素の数を計数して、その数が第1所定数以上である場合、原稿画像が文字原稿の画像であると判定する。また、第1原稿種別判定部107は、原稿画像の網点領域を認識して、1スキャン分の中の網点領域の割合から、各画素が、絵柄領域に属する画素を判別し、当該画素の数を計数して、その数が第2所定数以上である場合、原稿画像が写真原稿の画像であると判定する。また、第1原稿種別判定部107は、文字領域に属する画素が第1所定数以上且つ絵柄領域に属する画素が第2所定数以上である場合、原稿画像が文字写真混在原稿の画像であると判定する。この原稿種別判定処理の結果を第1原稿種別判定結果という。尚、文字領域や網点領域を判定する方法は公知の方法を用いれば良い。
図1に例示したバス制御装置67は、第1画像処理装置52から出力された圧縮画像データをCPU53に送ると共に、当該圧縮画像データの付帯情報として上述の像域分離結果及び第1原稿種別判定結果をCPU53に送る。CPU53は、第1画像処理装置52において出力された圧縮画像データと、当該圧縮画像データの付帯情報として像域分離結果及び第1原稿種別判定結果を、バス制御装置67を介して受け取ると、これらをメモリ54に記憶させる。また、CPU53は、操作表示装置57を介して入力された、画像の出力を指示する操作入力に基づいて、変倍率が所定の倍率以上に指定されているか否か、又は、出力が指示された画像が原稿画像の一部であるか否かを判定し、操作入力によって指定された変倍率が所定の倍率以上である場合又は出力が指示された画像が原稿画像の一部である場合、第1原稿種別判定結果は信頼できないと判定する。例えば、原稿画像全体は、文字写真混在原稿の画像であっても、出力対象画像が原稿画像の一部である場合、当該出力対象画像には文字しか含まれない場合もある。この場合、第1原稿種別判別結果を用いると、出力対象画像に対する原稿種別を適切に判定することができない。このため、第1原稿種別判別結果を用いるのではなく、以下で説明する第2原稿種別判定部118が原稿種別判定処理を行うことにより、出力対象画像に対して原稿種別を適切に判定することができる。
図24は、第2画像処理装置66の詳細な構成を例示する図である。同図に例示されるように、第2画像処理装置66は、図6に例示される第2カラー判定部117の代わりに、第2原稿種別判定部118を有する。第2原稿種別判定部118は、画像伸張部110から出力されたRGB形式の画像データによって表される画像のうち、領域指定情報によって指定される領域に相当する出力対象画像が、文字原稿、写真原稿又は文字写真混在原稿のいずれの画像かを判定する原稿種別判定処理を行う。この原稿種別判定処理の結果を第2原稿種別判定結果という。尚、原稿種別判定処理を行う方法は、上述の第1原稿種別判定部107と同じである。
フィルタ処理部111は、画像伸張部110から出力されたRGB形式の画像データについて、領域指定情報によって指定される領域に相当する出力対象画像に対して、フィルタ処理を行うが、原稿種別判定モードにおいて、CPU53の行った信頼判定の結果に基づいて、フィルタ処理を行う。具体的には、フィルタ処理部111は、第1原稿種別判定結果が信頼できないと判定されている場合、第2原稿種別判定結果を用いてフィルタ処理を行う。尚、フィルタ処理部111は、出力対象画像が文字原稿の画像である場合、鮮鋭性の度合いを高めた鮮鋭化処理を行い、出力対象画像が写真原稿の画像である場合、平滑度の度合いを高めた平滑化処理を行い、出力対象画像が文字写真混在原稿の画像である場合、鮮鋭性の度合いを高めた鮮鋭化処理と平滑度の度合いを高めた平滑化処理との中間に相当する処理を行う。
色変換部112は、フィルタ処理部111から出力された出力対象画像データに対して、出力先に応じた色変換を行うが、原稿種別判定モードにおいて、CPU53の行った信頼判定の結果に基づいて、出力先に応じた色変換を行う。具体的には、色変換部112は、第1原稿種別判定結果が信頼できないと判定されている場合、第2原稿種別判定結果を用いて色変換を行う。例えば、画像形成装置50がコピー動作を行っており出力先がプロッタ装置56である場合は、色変換部112は、CPU53の行った信頼判定の結果に基づいて、付帯情報に含まれる第1原稿種別判定結果又は第2原稿種別判定部118が出力した第2原稿種別判定結果を用いて、RGB各8ビットの画像データからプロッタ装置56における色空間であるCMYK各8ビット又はKのみ8ビットの画像データに色変換を行う。具体的には、色変換部112は、出力対象画像が文字原稿の画像であると判定された場合、RGB各8ビットの画像データからKのみ8ビットの画像データに色変換を行い、出力対象画像が写真原稿の画像であると判定された場合及び出力対象画像が文字写真混在原稿の画像であると判定された場合、RGB各8ビットの画像データからCMYK各8ビットの画像データに色変換を行う。
次に、本実施の形態にかかる画像形成装置50の行う各処理の手順について上述の第1の実施の形態と異なる部分について説明する。図7に例示したコピー処理では、ステップS3で、第1原稿種別判定部107は、入力されたRGB形式の画像データによって表される原稿画像の原稿種別を判定し、その判定結果(第1原稿種別判定結果)を出力する。ステップS5では、バス制御装置67は、第1画像処理装置52から出力された圧縮画像データをCPU53に送ると共に、当該圧縮画像データの付帯情報として上述の像域分離結果及び第1原稿種別判定結果をCPU53に送る。ステップS6では、CPU53は、像域分離結果及び第1原稿種別結果を付帯情報として圧縮画像データと対応付けてメモリ54に記憶させる。ステップS7では、CPU53は、当該圧縮画像データによって表される原稿画像に対し、変倍率の指定や出力サイズの指定の操作入力に応じて出力対象の領域に相当する画像(出力対象画像)を決定する。そして、CPU53は、原稿種別判定モードにおいて、操作入力によって、変倍率が所定の倍率(例えば200%)以上に指定されているか否か、又は、出力が指示された画像が原稿画像の一部であるか否かを判定し、変倍率が所定の倍率以上である場合又は出力が指示された画像が原稿画像の一部である場合、第1原稿種別判定結果は信頼できないと判定する。これが信頼判定の結果となる。ステップS8〜S9により、この信頼判定の結果と、圧縮画像データ及びその付帯情報と、出力対象画像に相当する領域を指定する領域指定情報とがCPU53及びバス制御装置67を介して第2画像処理装置66に入力される。ステップS10では、フィルタ処理部111は、画像伸張部110から出力されたRGB形式の画像データについて、領域指定情報によって指定される領域に相当する出力対象画像に対して、CPU53の行った信頼判定の結果に基づいて、フィルタ処理を行う。色変換部112は、フィルタ処理部111から出力されたRGB各8ビットの出力対象画像データに対して、CPU53の行った信頼判定の結果に基づいて、プロッタ装置56における色空間に応じた色変換を行う。
尚、その他、スキャナ配信処理、画像蓄積処理、コピー処理及び画像蓄積処理、スキャナ配信処理及び画像蓄積処理、蓄積画像の再利用についても、上述のコピー処理で説明した部分と略同様の部分が上述の第1の実施の形態と異なる。
以上のような構成によれば、原稿種別の判定などの画像特徴の属性の判定に対する信頼度を維持することができる。
尚、原稿種別は、上述の例に限らず、その他例えば、インクジェット原稿、印画紙原稿、印刷原稿、複写原稿、地図原稿などの各種別を判定するようにしても良い。この判定を行なうために、例えば、特許第3313592号公報、特許第3530324号公報、特許第3767210号公報、特開2000-315258号公報に記載された技術を用いれば良い。画像形成装置50は、このような原稿種別に応じて、フィルタ処理において鮮鋭性を高めた鮮鋭化処理や平滑度を高めた平滑化処理を行ったり、色変換を行ったりすれば良い。
[変形例]
なお、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、以下に例示するような種々の変形が可能である。
上述した各実施の形態において、画像形成装置50のCPU53が実行する各種プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、当該各種プログラムを、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等の光記録媒体、フレキシブルディスク(FD)等の磁気記録媒体、光磁気記録媒体、半導体記録媒体及び磁気テープ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。また、各種プログラムの全部又は一部は、OS(オペレーティングシステム)に組み込まれていても良いし、OSとして機能するように構成しても良い。
また、上述した実施の形態においては、第1画像処理装置52及び第2画像処理装置66をハードウェアにより構成したが、これらのうち少なくとも一方によって実現される機能が、CPU53がプログラムを実行することにより実現されるように構成しても良い。
また、画像形成装置50として複合機に適用した例を示したが、これに限定されるものではなく、複写機、プリンタ、ファクシミリ等にも適用することが可能である。また、画像形成装置50は、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インターフェース機器、スキャナ、プリンタ等)から構成されるシステムに適用しても、1つの機器から構成される装置(ホストコンピュータ等)に適用しても良い。