JP5292714B2 - カーボンナノチューブを含有してなる液および透明導電性フィルムのその製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブを含有してなる液および透明導電性フィルムのその製造方法 Download PDF

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本発明は、透明導電性フィルム、その製造方法および導電性部材に関する。より詳細には、高導電性で、透過性に優れた透明導電性フィルム、その製造方法および導電性部材に関する。
透明導電性フィルムは当技術分野で公知である。本発明でいう導電性とは一般的な導電性に限定されず、電磁波シールド目的に必要とされる導電性、制電目的に必要とされる導電性、また、帯電防止目的に必要とされる導電性など用途ごとに必要とされる高導電性から低導電性まですべての導電性のことをいう。
一般に、透明導電性フィルムは乾式または湿式のいずれかの方法によって電気絶縁性基板上に形成される。乾式法では、PVD(スパッタリング、イオンプレーティング、および真空蒸着を含む)またはCVDが、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アンチモンスズ(ATO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(FZO)など金属酸化物型の導電性透明フィルムの形成に使用される。一方、湿式法では上記混合酸化物などの導電性粉末とバインダーとを使用して、導電性コーティング組成物が調製される。乾式法では、優れた透明性と優れた導電性の両方を有するフィルムが得られるが、減圧システムを必要とする複雑な装置が必要であり、生産性は低い。また、写真用フィルムやショーウィンドーなどの連続的または大型の基板への適応が困難なのも問題である。一方、湿式法では、比較的単純な装置でよく、生産性も高く、連続的または大型の基板への適応も容易である。湿式法で使用される導電性粉末は、得られるフィルムの透明性に干渉しないようにするために平均一次粒径が0.5μm以下の非常に微細な粉末を用いるのが通常である。透明コーティングフィルムを得るためには可視光を吸収せず、可視光を制御的に散乱させるために、導電性粉末は可視光の最短波長の半分以下(0.2μm)の平均一時粒径を有するものを用いるのが通常である。
本質的に導電性となる有機ポリマーおよびプラスチックの開発は1970年代後半から始まっていて、これらの成果としてポリアリニン、ポリチオフェン、ポリピロール、およびポリアセチレンなどのポリマーを主成分とする導電性材料が得られている。
非常に有意義な発見はカーボンナノチューブの発見であり、最初に広く報告されたのは1991年である(非特許文献1)。カーボンナノチューブは実質的にグラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ(SWNT)、2層に巻いたものを2層カーボンナノチューブ(DWNT)、多層に巻いたものを多層カーボンナノチューブ(MWNT)という(非特許文献2)。カーボンナノチューブは、自体が優れた真性の導電性を有し、導電性材料として使用されている。カーボンナノチューブを用いた導電フィルムの報告例はいくつかあるが(特許文献1、特許文献2)、いずれも、実用に耐え得る光透過率と表面抵抗値には到達していない。その理由として、用いているカーボンナノチューブの直径が細く、単層であるが故に、カーボンナノチューブ数10本以上が集まってバンドル構造をとりやすく、単分散し難いため、光透過率、表面抵抗値とも不十分となることが考えられる。また、層数の多いMWNTはバンドルを組まず分散はしやすいが層数が多すぎると透明性が落ちて光透過率・表面抵抗値とも不十分である。
一方、透明導電性フィルムの環境試験のひとつに耐湿熱性試験がある。しかし、一般的に帯電防止目的に使用される界面活性剤は湿度依存性が高く、湿度が低い状態では効果が低下するうえに、効果の持続性も低い。また、導電性ポリマーも使用されるが、湿度依存性は低いものも耐熱性は十分ではない。
特表2000−511245号公報 特許第3665969号公報 "ニューサイエンティスト(New Scientist)", 1996年7月6日, p.28-31, 「ナノチューブによって(Through the Nanotube)」, Philip Ball "アメリカンサイエンティスト(American Scientist)" v.85,1997年7−8月,「「フラーレンナノチューブ:C1,000,000以上(Fullerene Nanotubes:C1,000,000 and Beyond)」,B.I.ヤコブソン(Yakobson), R.E. スマリー(Smalley) 斉藤弥八、坂東俊治、「カーボンナノチューブの基礎」、株式会社コロナ社、p17、23、47
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、高導電性で透過性にすぐれた透明導電性フィルム、その製造方法および導電性部材を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、内径が太く、層数が少ないカーボンナノチューブを用いることで、実用性に優れた透明導電性フィルムが得られること、具体的には、3nm以上の内径をもつカーボンナノチューブはバンドル構造をとりにくいので、単分散させやすく、層数が単層から5層と層数が少ないために透明性が高く、かつ内径が太く中空部分が多いために体積あたりの透明性に優れる材料であることを見出しこのカーボンナノチューブを用いることで、非常に簡便に高導電性で透過性にすぐれた透明導電性フィルムが得られることを見出し、本発明に到ったものである。
すなわち本発明は、下記の構成からなる。
(1)基材に20mg/m 以上のカーボンナノチューブ塗布量でロールコーティングすることにより、透明基材の少なくとも片面上に、カーボンナノチューブ100本中50本以上の割合で内径が3nm以上のカーボンナノチューブが含まれ、かつ該内径3nm以上のカーボンナノチューブ100本中に50本以上の割合で、層数が単層から5層であるカーボンナノチューブを含有する層を形成してなる透明導電性フィルムであって、透明基材の少なくとも片面の面積の50%以上がカーボンナノチューブで被覆されており、かつ以下の性質をもつことを特徴とする透明導電性フィルムを製造することができる、カーボンナノチューブを含有してなる液。
<1>550nmの波長の光透過率が以下の条件を満たす。
透明導電性フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.85
(2)透明導電性フィルムが、以下の性質をもつことを特徴とする(1)に記載のカーボンナノチューブを含有してなる液。
<1>表面抵抗が10Ω/sq.以上10Ω/sq.未満
<2>550nmの波長の光透過率が以下の条件を満たす。
透明導電性フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.88
(3)透明導電性フィルムが、以下の性質をもつことを特徴とする(1)に記載のカーボンナノチューブを含有してなる液。
<1>表面抵抗が10Ω/sq.以上10Ω/sq.未満
<2>550nmの波長の光透過率が以下の条件を満たす。
透明導電性フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.91
(4)透明導電性フィルムが、以下の性質をもつことを特徴とする(1)に記載のカーボンナノチューブを含有してなる液。
<1>表面抵抗が10Ω/sq.以上10Ω/sq.未満
<2>550nmの波長の光透過率が以下の条件を満たす。
透明導電性フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.93
(5)透明導電性フィルムが、以下の性質をもつことを特徴とする(1)に記載のカーボンナノチューブを含有してなる液。
<1>表面抵抗が10Ω/sq.以上1013Ω/sq.未満
<2>550nmの波長の光透過率が以下の条件を満たす。
透明導電性フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.95
(6)前記内径が3nm以上のカーボンナノチューブが、内径が3nm以上6nm以下のカーボンナノチューブであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか記載のカーボンナノチューブを含有してなる液。
(7)カーボンナノチューブが、前記内径3nm以上のカーボンナノチューブ100本中に50本以上の割合で、層数が2層から5層であるカーボンナノチューブを含有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれか記載のカーボンナノチューブを含有してなる液。
(8)透明導電性フィルムが、カーボンナノチューブが表面に露出してなる透明導電性フィルムである(1)〜(7)のいずれか記載のカーボンナノチューブを含有してなる液。
(9)基材に20mg/m 以上のカーボンナノチューブ塗布量でロールコーティングすることにより、透明基材の少なくとも片面上に、カーボンナノチューブ100本中50本以上の割合で内径が3nm以上のカーボンナノチューブが含まれ、かつ該内径3nm以上のカーボンナノチューブ100本中に50本以上の割合で、層数が単層から5層であるカーボンナノチューブを含有する層を形成してなる透明導電性フィルムを製造することができる、カーボンナノチューブを含有してなる液。
(10)以下の条件を満たす、カーボンナノチューブを含有してなる液。
<1>カーボンナノチューブ含有量が、液中0.01重量%以上である。
<2>1日放置した際の沈降するカーボンナノチューブ量が液全体に含まれるカーボンナノチューブの5重量%以下である。
<3>カーボンナノチューブ100本中、内径3nm以上のカーボンナノチューブを50本以上含有する。
<4>前記内径3nm以上のカーボンナノチューブ100本中に50本以上の割合で、層数が単層から5層であるカーボンナノチューブが含まれる。
(11)さらに以下の条件を満たす(10)記載の液。
<5>カーボンナノチューブの比表面積が400m /g以上である。
(12)分散剤を以下の割合で含有する(10)記載の液。
0.3<分散剤の重量/カーボンナノチューブの重量<10
(13)分散剤が、芳香族系イオン性界面活性剤および/または芳香族系非イオン性界面活性剤であることを特徴とする(12)記載の液。
(14)(10)〜(13)のいずれかに記載の液を含む液を基材表面にコーティングすることを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法。
本発明によれば、高導電性で光透過性にすぐれた透明導電性フィルム、その製造方法および導電性部材が得られる。
本発明の第一の発明の透明導電性フィルムは、透明基材の少なくとも片面上に、カーボンナノチューブ100本中50本以上の割合で内径が3nm以上のカーボンナノチューブが含まれ、かつ該内径3nm以上のカーボンナノチューブ100本中に50本以上の割合で、層数が単層から5層であるカーボンナノチューブを含有する層を形成してなるものである。
また、第二の発明の透明導電性フィルムは、透明基材の少なくとも片面上に、カーボンナノチューブ100本中50本以上の割合で内径が3nm以上のカーボンナノチューブが含まれ、かつ以下の性質をもつことを特徴とするカーボンナノチューブを含有する層を形成してなるものである。
(1)表面抵抗が10Ω/sq.未満
(2)550nmの波長の光透過率が以下の条件を満たす。
透明導電フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.85
または、
(1)表面抵抗が10Ω/sq.以上10Ω/sq.未満
(2)550nmの波長の光透過率が以下の条件を満たす。
透明導電性フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.88
または、
(1)表面抵抗が10Ω/sq.以上10Ω/sq.未満
(2)550nmの波長の光透過率が以下の条件を満たす。
透明導電性フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.91
または、
(1)表面抵抗が10Ω/sq.以上10Ω/sq.未満
(2)550nmの波長の光透過率が以下の条件を満たす。
透明導電性フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.93
または、
(1)表面抵抗が10Ω/sq.以上1013Ω/sq.未満
(2)550nmの波長の光透過率が以下の条件を満たす。
透明導電性フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.95
更に、第三の発明の透明導電性フィルムは、透明基材の少なくとも片面の面積の50%以上をカーボンナノチューブが被覆しており、かつ透明性が以下の特徴を有するものである。
(1)550nmの波長の光透過率が以下の条件を満たす。
透明導電フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.85
上記本発明の透明導電性フィルムにおける透明基材は、透明フィルムもしくは透明基板等を含む。基材が透明であるとは、少なくとも波長550nmの光を透過させる性能を有するものをいう。
カーボンナノチューブはグラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ、2層に巻いたものを2層カーボンナノチューブ、多層に巻いたものを多層カーボンナノチューブというが、本発明の透明導電性フィルムは層数が単層から5層であるカーボンナノチューブを含むものである。このように内径が比較的太く、層数が単層〜5層と少ないカーボンナノチューブを用いることで、液中に分散させた場合や、それを用いてフィルム状物を形成する場合にカーボンナノチューブがバンドル構造をとりにくいという利点がある。また、内径は太く中空部分が多く、かつ層数は少ないので光透過率に優れており、内径が細い単層や2層カーボンナノチューブよりも効率的に導電ネットワークを形成できる利点がある。
フィルム上のカーボンナノチューブの形態は、後述するように高分解能透過型電子顕微鏡で調べることができるが、透明導電性フィルム中のカーボンナノチューブの形態は、塗布前のカーボンナノチューブを含有してなる液からカーボンナノチューブをピペットを用いてマイクログリッド上に数μLとり、風乾させた後、高分解能透過型電子顕微鏡でマイクログリッド上のカーボンナノチューブを調べることもできるし、フィルムをエポキシ樹脂で包埋した後、カミソリなどを用いて0.1μm以下に薄く切断した切片を観察することによって、フィルム上のカーボンナノチューブを高分解能透過型電子顕微鏡で調べることができる。また、フィルム又は基板の表面のコーティング層をカミソリなどで掻きとって、かきとった組成物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察することによっても調べることができる。
本発明で用いる主たるカーボンナノチューブの内径は、3nm以上であることが必要である。層数が単層〜5層であれば、内径は太いほうが、カーボンナノチューブの体積あたりの光透過率が高くなるので、好ましい。好ましくは4nm以上、更に好ましくは5nm以上である。上限としては、カーボンナノチューブの安定性から通常、10nm未満である。好ましくは8nm以下、より好ましくは内径6nm以下である。
第一の発明と第二の発明の透明導電フィルムは、透明基材の少なくとも片面上に形成した層中に、カーボンナノチューブ100本中50本以上の割合で内径が3nm以上のカーボンナノチューブが含まれているものであり、なかでもカーボンナノチューブ100本中50本以上の割合で内径が3〜6nmのカーボンナノチューブが含まれているものが好ましい。このような割合で3nm以上のカーボンナノチューブが含まれていることにより、表面抵抗が10Ω/sq.未満であり、550nmの波長の光透過率が透明導電フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.85であるフィルムを達成することができる。
さらに上記割合で3〜6nmのカーボンナノチューブが含まれていることにより、さらに表面抵抗が10Ω/sq.未満であり、550nmの波長の光透過率が透明導電フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.9とさらに透明導電性が優れたフィルムを達成することができる。
このように、高い透明性を維持しながら表面抵抗を10Ω/sq.未満とすることによって、例えば10Ω/sq.以上10Ω/sq.未満であれば帯電防止フィルムとして使用でき、10Ω/sq.以下であればタッチパネル用透明導電フィルムや液晶ディスプレイ等透明導電フィルムとして使用可能である。
透明導電性フィルムに含まれるカーボンナノチューブについては、前記方法で試料を作成し、透過型電子顕微鏡で200万倍で観察し、100nm四方の視野の中で視野面積の10%がカーボンナノチューブであり、かつ10本以上のカーボンナノチューブが含まれるところで写真を撮り、各カーボンナノチューブの内径を測定する。一つの視野中で100本の測定ができない場合は、100本になるまで複数の視野から測定する。上記測定を10箇所について行った相加平均値で評価する。
合計100本のカーボンナノチューブについて内径を測定することによって100本中に含まれるカーボンナノチューブの内径とその本数を確認することができる。このとき、カーボンナノチューブ一本とは視野中で一部カーボンナノチューブが見えていれば一本と計上し、必ずしも両端が見えている必要はない。また視野中で2本と認識されても視野外でつながって一本となっていることもあり得るが、その場合は2本と計上する。
カーボンナノチューブの内径を測る位置はカーボンナノチューブが湾曲していない直線性のある位置を選んで測定するものとする。以降同様である。
また、第一の発明においては、内径3nm以上のカーボンナノチューブ100本中に50本以上の割合で、層数が単層から5層であるカーボンナノチューブを含有してなるものである。これも上記と同様に、フィルム上のカーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡で200万倍で観察し、100nm四方の視野の中で視野面積の10%がカーボンナノチューブであり、かつ10本以上のカーボンナノチューブが含まれるところで写真を撮り、各カーボンナノチューブの内径を測定する。一つの視野中で100本の測定ができない場合は、100本になるまで複数の視野から測定する。上記測定を10箇所について行った相加平均値で評価する。
合計3nm以上の内径を有する100本のカーボンナノチューブについて層数を測定することによって100本中のカーボンナノチューブの層数と本数を確認することができる。本発明においては、単層から5層であるカーボンナノチューブが上記の割合で含まれていることにより、表面抵抗が10Ω/sq.未満であり、550nmの波長の光透過率が透明導電フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.95であるフィルムを達成することができる。
また、第二の発明は、表面抵抗が10Ω/sq.未満であり、かつ550nmの波長の光透過率が(透明導電性フィルムの光透過率)/(透明基材の光透過率)>0.85であるものである。第一の発明においては、カーボンナノチューブの層数で発明を定義したが、この測定は、高分解能透過型顕微鏡のような高価な装置を使わなければならず、内径はともかく層数まで見極めるには、サンプル調製、顕微鏡観察とも煩雑な工程が必要である。更に簡便に本発明を定義する方法として第二の発明にいたった。通常、内径3nm以上のカーボンナノチューブは、層数6以上の多層カーボンナノチューブになることが多く、このような多層カーボンナノチューブを含む透明導電性フィルムは良く知られている。しかし、このようなカーボンナノチューブは、透明性、導電性の両立が困難であり、(透明導電性フィルムの光透過率)/(透明基材の光透過率)が0.85程度の透明性を得るためには、表面抵抗は10Ω/sq.以上となってしまう。一方、上記第一の発明のような透明導電性フィルムにおいては、表面抵抗、透明性に関する上記範囲を同時に満たすことができる。さらにカーボンナノチューブの塗布量を調整することにより、種々の表面抵抗、透過率を達成することができる。表面抵抗が10Ω/sq.以上10Ω/sq.未満であり、550nmの波長の光透過率が透明導電フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.88であれば、カーボンナノチューブの塗布量を8mg/m以上とすることで達成できる。この際、バインダーや分散剤を多量に用いた場合はカーボンナノチューブ単独で導電性を発現させる場合よりも導電性が低下するため、カーボンナノチューブの塗布量を増やすことで調整する。塗布量を増やすと透明性が低下する傾向にあるので、透明性との兼ね合いで塗布量の上限を設けることができる。用いるカーボンナノチューブがカーボンナノチューブ100本中50本以上の割合で内径が3nm〜6nmであるカーボンナノチューブを含んでいる場合には、塗布量が4mg/m以上とすることで達成でき、好ましくは550nmの波長の光透過率が透明導電フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.91である。同様にして、表面抵抗が10Ω/sq.以上10Ω/sq.未満であり、550nmの波長の光透過率が透明導電フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.91であれば、塗布量が4mg/m以上とすることで達成できる。用いるカーボンナノチューブがカーボンナノチューブ100本中50本以上の割合で内径が3nm〜6nmであるカーボンナノチューブを含んでいる場合には、塗布量が2mg/m以上とすることで達成でき、好ましくは550nmの波長の光透過率が透明導電フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.93である。表面抵抗が10Ω/sq.以上10Ω/sq.未満であり、550nmの波長の光透過率が透明導電フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.93であれば、塗布量が2mg/m以上とすることで達成できる。用いるカーボンナノチューブがカーボンナノチューブ100本中50本以上の割合で内径が3nm〜6nmであるカーボンナノチューブを含んでいる場合には、塗布量が1mg/m以上とすることで達成でき、好ましくは550nmの波長の光透過率が透明導電フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.95である。表面抵抗が10Ω/sq.以上1013Ω/sq.未満であり、550nmの波長の光透過率が透明導電フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.95であれば、塗布量が1mg/m以上とすることで達成できる。用いるカーボンナノチューブがカーボンナノチューブ100本中50本以上の割合で内径が3nm〜6nmであるカーボンナノチューブを含んでいる場合には、塗布量が0.5mg/m以上とすることで達成でき、好ましくは550nmの波長の光透過率が透明導電フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.98である。分散剤やバインダーなどの添加剤量が多いと、所望の表面抵抗をもつフィルムを得るために必要なカーボンナノチューブ量は多くなるが、本発明で用いる内径3nm以上を主体とするカーボンナノチューブで単層から5層のカーボンナノチューブであれば、塗布量が多くなっても透過率の減少度合が小さい。上記表面抵抗は試料表面の単位面積あたりの抵抗を示すものであり、これはJISK7149準処の4端子4探針法を用い測定することができる。本発明の実施例で用いた測定器は前記JIS準処の低抵抗率計ロレスタEP MCP−T360(ダイアインスツルメンツ製、測定レンジ:10 −3 〜10Ω)およびハイレスターUP MCP−HT450(ダイアインスツルメンツ製、測定レンジ:10 〜1013Ω)を用いて行った。
本測定では3サンプル測定し、それらの平均値を用いるものである。なお、フィルムの抵抗率測定値は、4隅4ヶ所・中央1ヶ所をそれぞれ平均したものを用いている。本発明において光透過率とは、波長550nmの光透過率を表す。UV・可視分光光度計で透明導電性フィルムとその透明基材となるフィルムまたは基板などの波長550nmの光透過率を測定しその割合を求めることによって決定することができる。
第三の発明の透明導電性フィルムは、透明基材の少なくとも片面の面積の50%以上をカーボンナノチューブが被覆しており、かつそのカーボンナノチューブで被覆された部分の透明性が、550nmの波長の光透過率で(透明導電性フィルムの光透過率)/(透明基材の光透過率)>0.85を満たすものである。先に述べたように、高分解能透過型顕微鏡による測定は、煩雑な工程を必要とするため、高分解能透過型顕微鏡を使用せずに本発明を、定義するために本第三の発明にいたった。単層カーボンナノチューブや多層カーボンナノチューブが被覆されたフィルムは既に知られている。多層カーボンナノチューブが被覆されたフィルムは、多層カーボンナノチューブがバンドルを組みにくく分散させやすいため、フィルムの面積の50%以上をカーボンナノチューブが被覆したものは作りやすい。しかし、このようなフィルムは多層カーボンナノチューブの透明性が低いため550nmの波長の光透過率は(透明導電性フィルムの光透過率)/(透明基材の光透過率)>0.85を満たさない。一方、上記第一の発明のような透明導電性フィルムにおいては、表面抵抗、透明性に関する上記範囲を同時に満たすことができる。フィルムの面積の50%以上をカーボンナノチューブが覆っていることによって、フィルムに均一な導電性を付与するだけではなく、カーボンナノチューブの高い屈折特性より、フィルム屈折率を大きくすることができ反射防止特性を付与できる。また、50%以上を被覆することにより、フィルムの耐候性を増すことができる。
また、内径の細い単層カーボンナノチューブの場合は、分散性が悪く、バンドルを組みやすいため、50%以上の面積を被覆しようとすると厚み方向にも単層カーボンナノチューブが被覆されるので、550nmの波長の光透過率が(透明導電性フィルムの光透過率)/(透明基材の光透過率)>0.85を満たさない。
本発明の透明導電性フィルムは、内径3nm以上の単層から5層の層数の少ないカーボンナノチューブをコーティングする等の方法によりカーボンナノチューブを含む層を形成することを基本としている。これらのカーボンナノチューブは、太いためにバンドルを組みにくいので、フィルムなどの透明基材の表面を50%被覆する膜を簡単に形成しやすく、また層数が少なく透明性が高いので第三の発明が完成できる。また、内径が太く、中空部分に形成される空隙が多いためカーボンナノチューブ層の屈折率が低くなり、反射防止の効果もある。透明基材の面積の50%以上をカーボンナノチューブが被覆しているかどうかは、電界放射型走査型電子顕微鏡で2万倍で観察して決めることができる。該顕微鏡写真から繊維状物が覆っている面積と覆っていない部分の面積を求めそれを比較することにより決定することができる。カーボンナノチューブであるかどうかは、高分解能透過型顕微鏡で確認する必要がある。
本発明においては、内径3nm以上で単層から5層のカーボンナノチューブが多ければ多いほど、好ましく、その割合によって被覆率を、60,70,80、90%以上と増やしても、550nmの波長の光透過率が(透明導電性フィルムの光透過率)/(透明基材の光透過率)>0.85を満たすものを作ることができる。
第一の発明から第三の発明において、カーボンナノチューブが表面に露出していることが好ましい。露出しているかどうかは、電界放射型走査型電子顕微鏡を用いて、4万倍でフィルムまたは基材表面を観察したときにカーボンナノチューブに由来する繊維状物質が観察できるかどうかで判断できる。樹脂などで覆われていれば、繊維状物質は観察できない。例え、樹脂で覆われていたとしても該走査型電子顕微鏡で、繊維状物が観察されれば、覆われている程度が小さく、良好な導電性を保持し得ると考えられるので、カーボンナノチューブが表面に露出していると判断する。カーボンナノチューブが表面に露出していることは、導電性を向上させるためには好ましい。
本発明において、透明基材の材質としては、基材として用いるときに透明性のあるものであれば特に制限されず、無機物でも有機物でもかまわない。たとえばガラス、石英板、透明高分子板、高分子フィルムが上げられる。ここでいう高分子とは、フィルムに形成できるすべての高分子や板にしたときに透明性を有するすべての高分子を指す。たとえば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン6、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などのポリアクリロニトリル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアミド系樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂アクリル酸低級アルキルエステル、メタクリル酸低級アルキルエステルのポリオレフィン系樹脂等およびこれらの変成体や共重合体、ブレンドが挙げられる。例えば、該樹脂は硬質体であっても、エラストマーやプラストマー等の柔軟体であってもかまわない。さらに該基材が上記の樹脂から構成される積層体であってもかまわない。中でも、ポリアクリル系樹脂を表面に塗布した基材を用いることで本発明液と基材との接着性が向上でき好ましい。
また、本発明に用いられる基材は、透明、不透明あるいは非着色、着色のいずれも使用できる。特に、本発明に用いる液は透明性に優れており、基材の透明性を低下させることなく、導電性および帯電性を付与できるので透明基材に適用するのが好ましい。
透明基材として好ましい光透過率は80%以上であり、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。
また、本発明は、上記第一の発明から第三の発明の透明導電性フィルムを塗布により達成することができるカーボンナノチューブを含有してなる液(第四の発明)と以下の条件を満たすカーボンナノチューブを含有してなる液(第五の発明)を含む。
・カーボンナノチューブ含有量が、液中0.01重量%以上である。
・1日放置した際の沈降するカーボンナノチューブ量が液全体に含まれるカーボンナノチューブの5重量%以下である。
・カーボンナノチューブ100本中、内径3nm以上のカーボンナノチューブを50本以上含有する。
・カーボンナノチューブの比表面積が400m/g以上である。
上記第四の発明における塗布は、公知の塗布方法、例えば吹き付け塗装、浸漬コーティング、スピンコーティング、ナイフコーティング、キスコーティング、グラビアコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、パット印刷、他の種類の印刷、またはロールコーティングなどをいう。公知の塗布方法のひとつを用いて、第一の発明から第三の発明のいずれかのフィルムを生成できる液が本発明の液である。塗布は、何回行ってもよく、異なる2種類の塗布方法を組み合わせても良い。最も好ましい塗布方法は、後述の実施例に示すようなロールコーティングである。
また、上記第五の発明の液は、以下のような条件を満たす液である。
(1)カーボンナノチューブ含有量が、液中0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%である。
(2)1日放置した際に沈降するカーボンナノチューブ量が液全体に含まれるカーボンナノチューブの5重量%以下である。
(3)カーボンナノチューブ100本中、内径3nm以上のカーボンナノチューブを50本以上含有する。
(4)カーボンナノチューブの比表面積が400m/g以上である。
カーボンナノチューブが、基材上に十分に塗布することができ、しかも透明性と導電性を両立させることができるのは、前述の通り、カーボンナノチューブの内径が3nm以上で層数が少ないものを多く含むことが重要である。内径は、前述のように高分解能透過型電子顕微鏡で見ることができる。液からカーボンナノチューブをすくい取って、サンプリングし乾燥させて顕微鏡観察に供する。場合によっては、200−400℃で焼成しても良い。層数が少ないことは、カーボンナノチューブの比表面積を測定することによって証明できる。
カーボンナノチューブの比表面積は、一般的に多層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブの順に大きくなる。多層カーボンナノチューブは層数が多いが、層間には窒素分子は吸着できないため、層数が多いほど比表面積は低くなり、単層カーボンナノチューブおよび2層カーボンナノチューブは比表面積が高くなる。本発明では3nm以上の内径をもつ単層から5層のカーボンナノチューブであり、比表面積では400m/g以上となる。液中に含まれるカーボンナノチューブの比表面積は、液を濾過することで液中の分散媒および分散剤を除去し、任意の溶媒でカーボンナノチューブ表面の分散剤を洗浄したあと、乾燥させて溶媒を除去したものをサンプルとし、真空中で400℃で1時間前処理を行い窒素吸着によるBET比表面積測定法により測定することができる。測定前には、真空中で400℃で1時間以上前処理を行う。また、上記のようなカーボンナノチューブが良く分散していなければ、上記第一〜三の発明のようなフィルムは得られない。そのようなフィルムを得るためには、カーボンナノチューブの含有量が0.1重量%以上でも、ほとんど沈まない良好な液であることが必要である。このようなカーボンナノチューブの含有量が0.1重量%以上である液を用いて、カーボンナノチューブ塗布量を10mg/m以上となるように基材にロールコーティングすることにより、表面抵抗が10Ω/sq.未満であり、550nmの波長の光透過率が透明導電フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.95であるフィルムを得ることができる。用いるカーボンナノチューブがカーボンナノチューブ100本中50本以上の割合で内径3〜6nmのカーボンナノチューブが含まれている場合は、20mg/m以上となるように基材にロールコーティングすることにより、表面抵抗が10Ω/sq.未満であり、550nmの波長の光透過率が透明導電フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.95であるフィルムが得られる。該塗布量は、透明導電性フィルムを試料として測定する場合、該透明導電性フィルムを電子顕微鏡で観察し、その平面面積に占めるカーボンナノチューブの面積割合を測定し、これに電子顕微鏡で観察した厚みとカーボンナノチューブの比重(グラファイトの文献値2.1〜2.3の平均値2.2を採用)を掛けることで計算できる。また、基材面積に対する塗布した液のカーボンナノチューブ濃度と液量が判明している場合にはこれらの値から見積もることができる。
また、用途によっては液中のカーボンナノチューブの含有量は0.01重量%以上であればよい。例えば、帯電防止フィルムを作製する際には、塗布する液のカーボンナノチューブの含有量は0.01重量%以上でよく、導電性フィルムを作製する際には、塗布する液のカーボンナノチューブ含有量を0.1重量%以上にすれば、目的の表面抵抗値を達成することができる。具体的に、表面抵抗値が10Ω/sq.以上10Ω/sq.未満の透明導電性フィルムを作製する際には、カーボンナノチューブの含有量が0.02重量%(±0.01重量%)の塗液を用いて、カーボンナノチューブが2mg/mとなるようにフィルムに塗布すればよい。塗布する液のカーボンナノチューブ含有量と塗布厚みを変えることにより、容易に表面抵抗値を調整できる。
フィルムの耐湿熱性試験は、恒温恒湿機を用いてフィルムを温度・湿度一定条件下に一定時間静置することで行われる。湿熱処理前後の表面抵抗値を測定しフィルムの耐湿熱性を表面抵抗値変化率で評価する。表面抵抗値変化率とは、湿熱後の表面抵抗値を湿熱前表面抵抗値で除した値とする。表面抵抗値変化率は低い方が好ましく、一定である方が好ましい。表面抵抗変化率は多層カーボンナノチューブよりも単層および2層から5層のカーボンナノチューブの方が低く、単層カーボンナノチューブより2層から5層のカーボンナノチューブの方が低く好ましい。
なお、本発明では湿熱処理後恒温恒湿機より取り出して1時間室温静置後の表面抵抗値を測定するものとする。
本発明において好ましい態様によれば、上記測定法で測定した60℃、90%RHの条件下、1000時間の耐湿熱性試験後の表面抵抗値変化率が0.5〜10の範囲である導電性フィルムを得ることができ、さらには表面抵抗値変化率が0.5〜5である導電性フィルムを得ることができる。
液中のカーボンナノチューブの含有量は、液の重さを量り、液を乾燥、400℃で1時間焼成したあとの重さをもともとの液の重さで除することによって確認できる。
また、1日放置した際に沈降するカーボンナノチューブ量が液全体に含まれるカーボンナノチューブの5重量%以下であることは、液の保存安定性が高いことを意味する。分散後、時間の経過とともにカーボンナノチューブが再凝集して生じる沈殿物は場合によれば、非常に強固な凝集物となり分散前の状態よりも分散し難くなることがある。そのため、再凝集し難い液を調製することは非常に重要である。1日放置した際に沈降するカーボンナノチューブ量は、液を一日放置後、デカンテーションで上澄みを除き底にたまったカーボンナノチューブを乾燥後、400℃で1時間焼成し重さを測定することによって求めることができる。この値を、上記方法によって測定した液中のカーボンナノチューブの含有量で除することによって確認できる。
以下に本発明の液を得る方法について説明する。
また、本発明で用いるカーボンナノチューブは、特徴的にはバンドルを組みにくく分散しやすい、かつ層数の少ないカーボンナノチューブである。明らかにはなってはいないが、太いカーボンナノチューブはバンドルを組みにくい。本発明者らは、内径が3nm以上のものが液中でバンドルを組みにくいことを発見し本発明に至った。内径が3nm以上で、層数が少なく、バンドル構造をとりにくいカーボンナノチューブを用いれば、分散性が良好となるため、基材表面に薄く、均一に塗布できるので光透過率の面から好ましい。また、塗布されたカーボンナノチューブ層も内径が太いためフィルム表面がカーボンナノチューブで埋め尽くされても光透過性を維持することができる。層数は少ないほど好ましいが、単層よりも2層カーボンナノチューブの方が好ましい。単層よりも2層の方がバンドルを組みにくく、かつ表面が酸化されても内部のカーボンナノチューブが守られるなど導電性においても優れているからである。そこで液に分散させるカーボンナノチューブとしては、カーボンナノチューブ100本中内径3nm以上のカーボンナノチューブが50本以上含まれるカーボンナノチューブが好ましく、より好ましくは70本以上、さらに好ましくは90本以上である。カーボンナノチューブ100本中に含まれる内径3nm以上のカーボンナノチューブの本数の測定方法は、次の通りである。
高分解能透過型電子顕微鏡を用いて200万倍で観察し、100nm四方の視野の中で視野面積の10%がカーボンナノチューブであり、かつ10本以上のカーボンナノチューブが含まれるところで写真を撮り、各カーボンナノチューブの内径を測定する。一つの視野中で100本の測定ができない場合は、100本になるまで複数の視野から測定する。上記測定を10箇所について行った相加平均値で評価する。
合計100本のカーボンナノチューブについて内径を測定することによって100本中に内径3nm以上のカーボンナノチューブが何本含まれているかによって内径3nm以上のカーボンナノチューブの含有量を確認することができる。
また、内径3nm以上のカーボンナノチューブ100本中、単層〜5層のカーボンナノチューブが50本以上含まれるカーボンナノチューブが好ましく、より好ましくは70本以上、さらに好ましくは90本以上である。カーボンナノチューブ100本中に含まれる内径3nm以上のカーボンナノチューブの本数の測定方法は、次の通りである。
高分解能透過型電子顕微鏡を用いて200万倍で観察し、100nm四方の視野の中で視野面積の10%がカーボンナノチューブであり、かつ10本以上のカーボンナノチューブが含まれるところで写真を撮る。内径3nm以上のカーボンナノチューブの層数を測定する。一つの視野中で100本の測定ができない場合は、100本になるまで複数の視野から測定する。上記測定を10箇所について行った相加平均値で評価する。
合計100本の内径3nm以上のカーボンナノチューブについて層数を測定し、内径3nm以上のカーボンナノチューブ100本中に層数が単層〜5層のカーボンナノチューブが何本含まれているかによって内径3nm以上であり、かつ単層〜5層のカーボンナノチューブの含有量を確認することができる。
カーボンナノチューブのアスペクト比(長さ/直径)は、高いほど好ましく、10以上であることが効率的に導電性を発現でき好ましい。好ましくは50以上であり、更に好ましくは100以上である。
このようなカーボンナノチューブを得る方法について説明する。グラファイト層に欠陥の少ない高品質なカーボンナノチューブを製造する方法である触媒化学気相成長法(化学気相成長法の中で担体に遷移金属を担持した触媒を用いる方法)によって合成することができる。カーボンナノチューブは、アーク放電法、レーザーアブレーション法でも合成できるが、触媒化学気相成長法で合成したカーボンナノチューブが内径を太くかつアモルファスカーボンなどの不純物を少なくできる点でもっとも好ましく用いられる。
このような性状のカーボンナノチューブは、前記したような触媒化学気相成長法の方法で製造できるが、なかでも担持金属径を大きくすることにより、また、反応温度を高く設定する(例えば800℃以上、特に800〜1000℃)ことによって内径3.0nm以上の二層カーボンナノチューブの比率をあげることができる。担持金属径は、担持金属量を多くすることによって、金属径を大きくでき、生成するカーボンナノチューブの内径を大きくすることができる。また、炭素源にアセチレンなどを用いることにより本発明の透明導電性フィルム、液を構成しうるカーボンナノチューブを多く生成することができる。例えば、酢酸第1鉄と酢酸コバルト4水和物との懸濁液に結晶性チタノシリケート粉末(TS−1)を加えることにより、TS−1の結晶表面に上記酢酸金属塩を担持した固体触媒が得られ、この固体触媒と炭素源にアセチレンを用いる事によって、内径の大きい二層カーボンナノチューブの生成比率をあげることができる。
また、特開2005−097024号公報に記載されているように、真空雰囲気下で1200〜3200℃の条件で処理したカーボンナノチューブは、グライファイト層に構造欠陥および電子欠陥が少ないので、このような処理を施したカーボンナノチューブを用いることによってさらに、透明導電性をあげることができて好ましい。
本発明の透明導電性フィルムは、カーボンナノチューブ100本中50本以上の割合で内径が3nm以上のカーボンナノチューブが含まれ、かつ該内径3nm以上のカーボンナノチューブ100本中に50本以上の割合で、層数が単層から5層であるカーボンナノチューブを基材に塗布することにより製造することができる。
上記液には、通常、上記カーボンナノチューブの他、界面活性剤等の分散剤、分散媒を含有させて用いられる。本発明でいう分散剤は、分散媒中におけるカーボンナノチューブの分散性を向上させる機能を有する剤をいう。分散剤を用いることで分散媒中で安定に分散した分散域が得られる。通常、バインダー材料として分類されるような高分子などもカーボンナノチューブの分散能があれば分散剤として含む。
上記分散剤として用いることができる界面活性剤としては、イオン性界面活性剤のものと非イオン性界面活性剤のものに分けられるが、本発明ではいずれの界面活性剤を用いることも可能である。イオン性界面活性剤としては、例えば以下のような界面活性剤があげられる。かかる界面活性剤は単独でもしくは2種以上を混合して用いることができる。
イオン性界面活性剤は、陽イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤および陰イオン性界面活性剤にわけられる。陽イオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩などがあげられる。両イオン性界面活性剤としては、アルキルベタイン系界面活性剤、アミンオキサイド系界面活性剤がある。陰イオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルフェニルエーテルスルホン酸塩等の芳香族スルホン酸系界面活性剤、モノソープ系アニオン性界面活性剤、エーテルサルフェート系界面活性剤、フォスフェート系界面活性剤、カルボン酸系界面活性剤であり、中でも、分散能、分散安定能、高濃度化に優れることから、芳香環を含むもの、すなわち芳香族系イオン性界面活性剤が好ましく、特にアルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルフェニルエーテルスルホン塩等の芳香族スルホン酸系界面活性剤等の芳香族系イオン性界面活性剤が好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば以下のような界面活性剤をあげられる。かかる界面活性剤は単独でもしくは2種以上を混合して用いることができる。
非イオン性界面活性剤の例としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの糖エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエチルなどの脂肪酸エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリプロピレングリコールなどのエーテル系界面活性剤、ポリオキシアルキレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルジブチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルベンジルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルビスフェニルエーテル、ポリオキシアルキルクミルフェニルエーテル等の芳香族系非イオン性界面活性剤があげられる。中でも、分散能、分散安定能、高濃度化に優れることから、芳香族系非イオン性界面活性剤が好ましく、中でもポリオキシエチレンフェニルエーテルが好ましい。
界面活性剤以外にも各種高分子材料も分散剤として用いることができる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩等の水溶性ポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(Na−CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アミロース、シクロアミロース、キトサン等の糖類ポリマー、 ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマーおよびそれらの誘導体が使用できる。なかでも、導電性ポリマーおよびそれらの誘導体を使用することによりカーボンナノチューブの導電特性を効率的に発揮することができ好ましい。
分散媒が炭化水素類やケトン類、エステル類の際には、塩基性官能基含有共重合体が親媒性、分散性の観点から好ましい。塩基性官能基含有共重合体は塩基性官能基を含有していればよいが、塩基性官能基と酸性官能基の両方を有した両性タイプのものがカーボンナノチューブへの表面吸着性と斥力による分散安定性が付与できより好ましい。塩基性官能基および酸性官能基としては限定されないが、例えばそれぞれアミノ基、アミド基、およびカルボン酸基、スルホン酸基があげられる。塩基性官能基含有共重合体のアミン価(mgKOH/g)は5〜50、好ましくは5〜30であることが分散性を向上させるために好ましい。5以下であるとカーボンナノチューブに対する吸着性が低下し好ましくない。酸価(mgKOH/g)は0〜50であることが分散性から好ましく、より好ましくは2.5〜20である。
アミン価は、試料1g中に含有する塩基性窒素成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数であり、指示薬ブロモフェノールブルーを用いた適定法により求めることができる。酸化は、試料1g中に含有する酸性成分を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数であり、JISK2501の方法で測定できる。
このような分散剤としては、例えば“アジスパーPB821,アジスパーPB822,アジスパーPB711”などがあげられ市販で購入することができる。
また、塩基性官能基含有共重合体として、特開平9−169821号公報に記載の下記構造を有するポリアリルアミン誘導体を用いることもできる。
下記一般式(I)で示されるポリアリルアミン誘導体。
Figure 0005292714
(式中、X、Yは、それぞれ独立に水素、重合開始剤残基又は連鎖移動触媒残基のいずれかを示す。Rは遊離のアミノ基、下記一般式(II)又は(III)で示される基を示す。nは2〜1,000の整数を示す。但しn個のR中、少なくとも1個は一般式(III)で示される基を示す。
Figure 0005292714
Figure 0005292714
式中、Rは遊離のカルボン酸を有するポリエステル、遊離のカルボン酸を有するポリアミド、または遊離のカルボン酸を有するポリエステルアミドのいずれかからカルボキシル基を除いた残基を示す。)
分散媒としては溶媒を用いることができ、この溶媒としては使用目的に応じ任意の溶媒を用いることができる。
非水系溶媒が必要である場合には、炭化水素類(トルエン、キシレン等)、塩素含有炭化水素類(メチレンクロリド、クロロホルム、クロロベンゼン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ等)、エーテルアルコール(エトキシエタノール、メトキシエトキシエタノール等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル等)、ケトン類(シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等)、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、フェノール等)、低級カルボン酸(酢酸等)、アミン類(トリエチルアミン、トリメタノールアミン等)、窒素含有極性溶媒(N、N−ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、N−メチルピロリドン等)、硫黄化合物類(ジメチルスルホキシド等)などがある。
なかでも分散媒としては、水、アルコール、トルエン、アセトン、エーテルおよびそれらを組み合わせた溶媒を含有する分散媒であることが好ましい。水系溶媒が必要である場合、および後述するようにバインダーを用いる場合であって、そのバインダーが無機ポリマー系バインダーの場合には、水、アルコール類、アミン類などの極性溶媒が使用される。また、後述するようにバインダーとして常温で液状のものを用いる場合には、それを分散媒として用いることもできる。
上記液における各成分の配合割合は、以下のとおりである。
すなわち、カーボンナノチューブを含有する液は、液中、カーボンナノチューブを0.01重量%以上含有していることが好ましく、0.1重量%以上含有していることがより好ましい。上限としては、通常20重量%以下であることが好ましく、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下の濃度で含有していることである。
界面活性剤およびその他の分散剤の少なくとも1種の含有量としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、0.1〜50重量%、より好ましくは、0.2〜30重量%である。上記分散剤の少なくとも1種とカーボンナノチューブの混合比は(分散剤/カーボンナノチューブ)としては、カーボンナノチューブの特性を維持しながら安定なカーボンナノチューブの分散液を得るために、重量比で好ましくは0.1〜20、より好ましくは0.3〜10である。本発明の液は、カーボンナノチューブ、分散剤、分散媒以外の物質が含まれていてもかまわない。
また本発明のカーボンナノチューブを含む液は、所望のカーボンナノチューブ含量よりも高濃度の液を作製し、溶媒で薄めて所望の濃度として使用することも可能である。溶媒としてはいかなる溶媒であってもよいが、使用目的に応じて選択される。導電性がさほど必要で無い用途は、カーボンナノチューブ濃度を薄めて使うこともあるし、最初から薄い状態で作成しても良い。
本発明の液やそれにバインダーなどを添加した液は、透明基材だけでなく、あらゆる被塗布部材、例えば着色基材および繊維に塗布を施すための透明被覆液としても使える。その際の被塗布部材、例えば、クリーンルームなどの床材や壁材にコーティングすれば帯電防止床壁材として使用できるし、繊維に塗布すれば帯電防止衣服やマット、カーテンなどとして使用できる。また、被塗布部材に着色塗料を塗布する際に、本発明の液やそれにバインダーなどを添加した液をあらかじめ被塗布部材に塗布した後で、着色塗料を積層させることで本来の発色を阻害せずに導電性を付与できる。
本発明で用いる液の製造方法には特に制限はない。
例えば上記カーボンナノチューブと分散剤、溶媒を塗装製造に慣用の混合分散機(例えばボールミル、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ホモジナイザー、アトライター、デゾルバー、ペイントシェーカー等)を用いて混合し、液を製造することができる。
本発明において、上記液は、塗布前に遠心分離、フィルター濾過によってサイズ分画することが好ましい。例えば、液を遠心分離することによって、未分散のカーボンナノチューブや、過剰量の分散剤、カーボンナノチューブ合成時に混入する可能性のある金属触媒などは沈殿するので、遠心上清を回収すれば液中に分散しているカーボンナノチューブを液の形で採取することができる。未分散のカーボンナノチューブおよび、不純物などは沈殿物として除去することができ、それによって、カーボンナノチューブの再凝集を防止でき、液の安定性を向上することができる。さらに、強力な遠心力においては、カーボンナノチューブの太さや長さによって分離することができ、フィルムの光透過率を向上させることができる。
遠心分離する際の遠心力は、100G以上の遠心力であればよく、好ましくは、1000G以上、より好ましくは10,000G以上である。上限としては特に制限はないが、汎用超遠心機の性能より200,000G以下であることが好ましい。
また、フィルター濾過に用いるフィルターは、0.05μmから0.2μmの間で適宜選択することができる。それにより、未分散のカーボンナノチューブや、カーボンナノチューブ合成時に混入する可能性のある不純物等のうち比較的サイズの大きいものを除去することができる。
このようにサイズ分画する場合においては、この分画される量を見越して、サイズ分画後の組成が上記範囲となるように調製する。サイズ分画前の配合割合の決定は、遠心分離後の沈殿物やフィルター上に残った分画物を乾燥させた後、400℃で1時間焼成した後秤量し、濃度を算出する方法により行われる。このようなサイズ分画の結果、カーボンンナノチューブの長さや、層数、その他性状等バンドル構造の有無などでカーボンナノチューブを分離することができる。
本発明の透明導電性フィルムは、液を基材に塗布した後、風乾、加熱、減圧などの方法により不要な分散媒を除去することができる。それによりカーボンナノチューブは、3次元編目構造を形成し基材に固定化される。その後、液中の成分である分散剤を適当な溶媒を用いて除去する。この操作により、電荷の分散が容易になり透明導電性フィルムの導電性が向上する。
上記分散剤を除去するための溶媒としては分散剤を溶解するものであれば特に制限はなく、水性溶媒でも非水性溶媒でもよい。具体的には水性溶媒であれば、水やアルコール類が挙げられ、非水性溶媒であれば、クロロホルム、アセトニトリルなどがあげられる。
本発明においては上記のように液を塗布してカーボンナノチューブを含む透明導電性フィルムを形成後、このフィルムを有機または無機透明被膜を形成しうるバインダー材料でオーバーコーティングすることも好ましい。オーバーコーティングすることにより、さらなる電荷の分散や、移動に効果的である。
また、本発明の透明導電性フィルムは、液中に有機または無機透明被膜を形成しうるバインダー材料を含有させ、適当な基材に塗布後、必要により加熱して塗膜の乾燥ないし焼付(硬化)を行っても得ることができる。その際の加熱条件は、バインダー種に応じて適当に設定する。バインダーが光または放射線硬化性の場合には、加熱硬化ではなく、塗布後直ちに塗膜に光または放射線を照射することにより塗膜を硬化させる。放射線としては電子線、紫外線、X線、ガンマー線等のイオン化性放射線が使用でき、照射線量はバインダー種に応じて決定する。
上記バインダー材料としては、導電性塗料に使用されるものであれば特に制限はなく、各種の有機および無機バインダー、すなわち透明な有機ポリマーまたはその前駆体(以下「有機ポリマー系バインダー」と称する場合もある)または無機ポリマーまたはその前駆体(以下「無機ポリマー系バインダー」と称する場合もある)が使用できる。
バインダー含有下において作製したフィルムは、高硬度、耐擦過製に優れ好ましい。有機ポリマー系バインダーは熱可塑性、熱硬化性、あるいは紫外線、電子線などの放射線硬化性のいずれであってもよい。適当な有機バインダーの例としては、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリアミド系(ナイロン6、ナイロン11、ナイロン66、ナイロン6、10等)、ポリエステル系(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、シリコン系ポリマー、ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリスチレンスルホン酸などのポリスチレン誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール等)、ポリケトン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリアセタール、フッ素樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラニン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、セルロース系ポリマー、蛋白質類(ゼラチン、カゼイン等)、キチン、ポリペプチド、多糖類、ポリヌクレオチドなど有機ポリマー、ならびこれらのポリマーの前駆体(モノマー、オリゴマー)がある。これらは単に溶剤の蒸発により、あるいは熱硬化または光もしくは放射線照射による硬化により有機ポリマー系透明被膜(もしくはマトリックス(液中に配合する場合))を形成することができる。
有機ポリマー系バインダーとして好ましいのは、放射線もしくは光によりラジカル重合硬化可能な不飽和結合を有する化合物であり、これはビニル基ないしビニリデン基を有するモノマー、オリゴマー、あるいはポリマーである。この種のモノマーとしてはスチレン誘導体(スチレン、メチルスチレン等)、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらの誘導体(アルキルアクリートもしくはメタクリレート、アリルアクリレートもしくはメタクリレート等)、酢酸ビニル、アクリロニトリル、イタコン酸等がある。オリゴマーあるいはポリマーは、主鎖に二重結合を有する化合物または直鎖の両末端にアクリロイルもしくはメタクリロイル基を有する化合物が好ましい。この種のラジカル重合硬化性バインダーは、高硬度で耐擦過性に優れ、透明度の高い導電フィルム膜(もしくはマトリックス(液中に配合する場合))を形成することができる。
無機ポリマー系バインダーの例としては、シリカ、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物のゾル、あるいは無機ポリマーの前駆体となる加水分解または熱分解性の有機リン化合物および有機ボロン化合物、ならびに有機シラン化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機鉛化合物、有機アルカリ土類金属化合物などの有機金属化合物がある。加水分解性または熱分解性の有機金属化合物の具体的例は、アルコキシドまたはその部分加水分解物、酢酸塩などの低級カルボン酸塩、アセチルアセトンなどの金属錯体である。
これらの1種もしくは2種以上の無機ポリマー系バインダーを焼成すると、酸化物または複合酸化物からなるガラス質の無機ポリマー系透明被膜(もしくはマトリックス(液中に配合する場合))を形成することができる。無機ポリマー系マトリックスは、一般にガラス質であり、高硬度で耐擦過性に優れ、透明性も高い。
バインダーはカーボンナノチューブ分散液をコーティングしたあとに、オーバーコーティングすることもできるし、あらかじめ基材にバインダーをコーティングしてから、アンカーとしてカーボンナノチューブ分散液をコーティングしてもよい。また、カーボンナノチューブ分散液とバインダー成分を混合してから混合液をコーティングしてもよい。なかでも、オーバーコーティング、あるいはアンダーコーティングの積層構造をとることによって電荷の移動がしやすくなり好ましい。
バインダーの使用量は、オーバーコートをするのに十分な量、液中に配合する場合には塗布に適した粘性を得るのに十分な量であればよい。少なすぎると塗布がうまくいかず、多すぎても導電性を阻害し良くない。
本発明で用いる液に用いる分散媒としては、一般に前述したような溶媒を使用するが、光または放射線硬化性の有機ポリマー系バインダーの場合には、常温で液状のバインダーを選択することにより、溶剤を存在させずに100%反応系のバインダー、あるいはこれを非反応性液状樹脂成分で希釈した無溶剤の組成物とすることができる。それにより、被膜の硬化乾燥時に溶媒の蒸発が起こらず、硬化時間が大幅に短縮され、かつ溶媒回収操作が不要となる。
本発明の透明導電性フィルム形成用液は上記のカーボンナノチューブと界面活性剤等の分散剤、溶媒、バインダーの他にカップリング剤、架橋剤、安定化剤、沈降防止剤、着色剤、電荷調製剤、滑剤、濡れ剤等の添加剤を配合することができ、それらの種類、量について特に制限はない。
また、本発明の透明導電性フィルム形成用液には、別の導電性材料、無機材料、あるいはこれらの材料の組合せをさらに含むことができる。導電性有機材料としては、バッキーボール、カーボンブラック、フラーレン、多種カーボンナノチューブ、ならびにそれらを含む粒子を好ましく挙げることができる。
無機材料としては、アルミニウム、アンチモン、ベリリウム、カドミウム、クロム、コバルト、銅、ドープ金属酸化物、鉄、金、鉛、マンガン、マグネシウム、水銀、金属酸化物、ニッケル、白金、銀、鋼、チタン、亜鉛、ならびにそれらを含む粒子があげられる。好ましくは、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、およびそれらの混合物があげられる。これらの導電性材料を含有させて得たフィルム、あるいはオーバーコーティングして得たフィルムは電荷の分散、または移動に非常に有利である。また、これらカーボンナノチューブ以外の導電性材料を含む層とカーボンナノチューブを含む層を積層させてもよい。
本発明の透明導電性フィルムは、基材と接着させたまま使用することもできるし、基材から剥離させ自立フィルムとして用いることもできる。自立フィルムを作製するには、透明導電性フィルム上にさらに有機ポリマー系バインダーを塗布した後、基材を剥離すればよい。また、作製時の基材を熱分解により焼失あるいは溶融させ、別の基材に透明導電性フィルムを転写して用いることもできる。その際は、作製時の基材の熱分解温度<転写基材の熱分解温度であることが好ましい。
本発明の透明導電性フィルムの厚さは、中程度の厚さから非常に薄い厚さまで種々の範囲をとることができる。例えば、本発明のフィルムは約0.5nm〜約1000μmの間の厚さとしうる。好ましい実施形態ではフィルムの厚さは約0.005〜約1000μmとなりうる。別の好ましい実施形態ではフィルムの厚さは約0.05〜約500μmである。また、別の好ましい実施形態ではフィルムの厚さは約1.0〜約200μmである。さらに別の好ましい実施形態ではフィルムの厚さは約1.0〜約50μmである。
本発明の透明導電性フィルムは、優れた透明性および低ヘイズを示す。例えば、本発明のフィルムは、光透過率が少なくとも約60%であり、可視光のヘイズ値が約2.0%以下である。好ましい実施形態では、フィルムの光透過率は約80%以上である。別の好ましい実施形態では、フィルムの光透過率は85%以上である。また、別の好ましい実施形態では、フィルムの光透過率は90%以上である。さらに、別の好ましい実施形態では、フィルムの光透過率は95%以上である。別の好ましい実施形態では、フィルムのヘイズ値は1.0%未満である。また、別の好ましい実施形態では、フィルムのヘイズ値は0.5%未満である。導電性を発揮しつつ光透過率、ヘイズ値を向上させるためには、カーボンナノチューブの分散性を高め、薄く導電層を形成することが重要であり、そのためには、前記したような分散性に優れた太さと長さのカーボンナノチューブを用いることが重要である。上記光透過率は日本工業規格(JIS)番号JISK7136、ヘイズはJISK7361−1記載の方法を用いて測定することができるし、本発明においては、光透過率は分光光度計(日立製作所U−2001)の550nmでの光透過率を測定した。ヘイズは、スガ試験機(株)製、全自動直読ヘイズコンピューターメーター HGM−2DP型を用いて測定した。
本発明の透明導電性フィルムは、EMI/RFI(電磁干渉)シールド、低視認性、ポリマーエレクトロニクス(例えば、OLEDディスプレイの透明導電層、ELランプ、プラスチックチップ)など透明導電性コーティングの種々の用途に有用である。導電性を必要とする種々の用途を達成するために、本発明のフィルムの表面抵抗は導電層の膜厚を制御することにより、容易に調整可能である。例えば膜厚を厚くすることにより表面抵抗は低くなり、膜厚を薄くすることにより高くなる傾向にある。例えば、EMI/RFIシールドの導電性コーティングの抵抗は一般に10Ω/sq.未満である。さらに、透明性の低視認性コーティングは通常10Ω/sq.未満、好ましくは10Ω/sq.未満であれば一般に許容される。ポリマーエレクトロニクスおよび元々導電性を持つポリマー(ICP)の場合、抵抗値は通常10Ω/sq.未満である。したがって、好ましい実施形態では、フィルムの表面抵抗は約10Ω/sq.未満の範囲内である。EMI/RFIシールドの導電性コーティングの抵抗は好ましくは約10〜10Ω/sq.範囲内である。さらに、透明性の低視認性コーティングは10Ω/sq.未満の範囲内であり、好ましくは10Ω/sq.未満の範囲内である。ポリマーエレクトロニクスおよび元々導電性を持つポリマー(ICP)の場合、好ましく抵抗値は10−2〜10Ω/□の範囲内である。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
<参考例1>
(カーボンナノチューブ組成物の合成)
酢酸第1鉄(アルドリッチ社製)0.01gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク社製)0.21gとをエタノール(ナカライテスク社製)40mLに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に結晶性チタノシリケート粉末(エヌイーケムキャット社製“ チタノシリケート”)(TS−1)2.0gを加え、超音波洗浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でメタノールを除去することにより、TS−1の結晶表面に上記酢酸金属塩を担持した固体触媒を得た。
内径32mmの石英管中央部の石英ボート上に、上記で調製した固体触媒1.0gをとり、アルゴンガスを600cc/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して、中心温度を800℃に加熱した(昇温時間30分)。800℃になったところで、高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を5cc/分で30分間供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、温度を室温まで冷却し、カーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。得られたカーボンナノチューブを含有する組成物0.4gを電気炉に入れ大気雰囲気で400℃(昇温時間40分)に加熱した。400℃で60分保持した後、室温まで冷却した。さらに、このカーボンナノチューブを含有する組成物を濃度2.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液200mL中に投入後、80℃に保持しながら5時間撹拌した。その後、孔径10μmのメンブレンフィルターで吸引濾過し、固液分離した。得られた固形物を蒸留水1Lで洗浄後、濃度5.1mol/Lの硫酸50mL中に投入し、80℃に保持しながら2時間撹拌した。その後、濾紙(東洋濾紙(株)(Toyo Roshi Kaisha)製、フィルターペーパー(Filter Paper) 2号、125mm)を用いて固形物を分離した。濾紙上の固形物を、蒸留水500mLで洗浄後、60℃で乾燥してカーボンナノチューブ組成物を回収率90%で得た。
<実施例1>
(カーボンナノチューブ液調製)
50mLの容器に<参考例1>で得たカーボンナノチューブ組成物60mg、ポリオキシエチレンフェニルエーテル(アイ・シー・エヌ社製)60mgを量りとり、蒸留水30mLを加えて、超音波ホモジナイザー出力240W、30分間で氷冷下分散処理しカーボンナノチューブ組成物液を調製した。調製した液には凝集体は目視では確認できず、カーボンナノチューブはよく分散していた。光学顕微鏡400倍で観察すると分散しきれていない1μm以下の粒子が確認できた。得た液を高速遠心機を使用し20000G、15分遠心し、上清を50mlのサンプル管に入れ保管した。そのうち、5mlをサンプリングし秤量した後、液を乾燥させ、400℃で1時間焼成させた。焼成後の重さを量った後、焼成前の重さで除した結果より算出した液のカーボンナノチューブ濃度は、0.18重量%であった。また、液を一日室温で放置し、デカンテーションで上澄みを除き、底にたまったカーボンナノチューブを乾燥後、400℃で1時間焼成し重さを測定した結果、沈降したカーボンナノチューブ量は液全体に含有されるカーボンナノチューブの検出限界(1%以下)であった。この液は、光学顕微鏡400倍において全く凝集体は観察されず、非常に粒径は小さく、1ヶ月後においてもその導電性は変化せず、安定性の面から非常に優れていた。さらに、本液を乾燥させて高分解能透過型電子顕微鏡を用いて観察を行ったところ、200万倍で観察し、100nm四方の視野の中で視野面積の10%以上がカーボンナノチューブであり、10本以上のカーボンナノチューブが含有されるところの写真(A4サイズ)を10カ所とりスケールを使って任意に抽出した100本のカーボンナノチューブ中の内径を測定した。内径を測る位置はカーボンナノチューブが湾曲していない直線性のある位置を選んで測定した。その結果、100本中、95本のカーボンナノチューブの内径が3nm〜6nmであった。さらに、内径が3nm以上のカーボンナノチューブ100本中単層から5層のカーボンナノチューブは94本であり、そのうち、2層カーボンナノチューブの本数を測定したところ82本が2層カーボンナノチューブであり、3層から5層カーボンナノチューブが12本含まれていた。また、この液を濾過し分散剤を洗浄除去した後乾燥させ、真空中で400℃で1時間前処理を行い窒素吸着によるBET比表面積測定法により測定した結果、571m/gであった。
<実施例2>
(カーボンナノチューブを含む透明導電性フィルム)
実施例1で得た液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)社製(ルミラー U36)、光透過率91.3%)上にバーコーター(No.8 Wet膜厚12μm)を用いて塗布し、80℃乾燥機内で乾燥させカーボンナノチューブを固定化した。得られた塗布フィルムの表面抵抗値は3×10Ω/sq.、光透過率87%(透明導電性フィルム87%/PETフィルム91.3%=0.95)、ヘイズ0.97%であり、高い導電性および、透明性を示した。表面抵抗値はJISK7149準処の4端子4探針法を用いロレスタEP MCP−T360((株)ダイアインスツルメンツ社製)を用いて行った。高抵抗測定の際は、ハイレスターUP MCP−HT450(ダイアインスツルメンツ製、10V、10秒)を用いて測定した。光透過率は分光光度計(日立製作所U−2001)の550nmでの光透過率を測定した。ヘイズは、JISK7361−1準拠のスガ試験機(株)製、全自動直読ヘイズコンピューターメーター HGM−2DP型を用いて測定した。以降、表面抵抗値、光透過率、ヘイズは同様に測定した。
フィルム表面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行った写真(4万倍)を図1に示す。カーボンナノチューブが透明導電性フィルム表面に露出しており基材であるフィルム表面を被覆していることが見てとれた。被覆されている面積は、4万倍の写真を(A3サイズ)カッターを用いて10×10cmのサイズに3カ所切り出し、カーボンナノチューブで被覆されている部分とされていない部分を切り出しその重量比で測定した。その結果、フィルム表面積の77%をカーボンナノチューブが被覆していた。
得られた塗布フィルムをアセトニトリル溶液に浸漬させ、10秒後に引き上げ乾燥させることで、界面活性剤を除去した。表面抵抗値は2×10Ω/sq.、光透過率88%(透明導電性フィルム88%/PETフィルム91.3%=0.96)、ヘイズ値1.0%であり抵抗値が減少した。この状態のフィルム表面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行い、カーボンナノチューブで被覆されている部分の被覆率を同様に求めたところ、界面活性剤除去前と同じく77%であった。
その後、0.6重量%ポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液(アルドリッチ社製)をオーバーコーティングした。表面抵抗値は1×10Ω/sq.、光透過率88%(透明導電性フィルム88%/PETフィルム91.3%=0.96)、ヘイズ値1.0%でありさらに抵抗値が減少した。
<比較例1>(カーボンナノチューブを含む液調製)
50mLの容器に単層カーボンナノチューブ(ナノテクポート製、純度50〜80%)、60mg、ポリオキシエチレンフェニルエーテル(アイ・シー・エヌ社製)60mgを量りとり、蒸留水30mLを加えて、超音波ホモジナイザー出力240W、30分間で処理した。調製した液は底部に凝集体が確認でき分散性が悪かった。得た液を高速遠心機を使用し20000G、15分遠心し、上清を50mlのサンプル管に入れ保管した。そのうち、5mlをサンプリングし秤量した後、液を乾燥させ、400℃で1時間焼成させた。焼成後の重さを量った後、焼成前の重さで除し算出した液のカーボンナノチューブ濃度は、0.05重量%であった。また、液を一日室温で放置し、デカンテーションで上澄みを除き、底にたまったカーボンナノチューブを乾燥後、400℃で1時間焼成し重さを測定した結果、沈降したカーボンナノチューブ量は液全体に含有されるカーボンナノチューブの10重量%であった。さらに、本液を乾燥させて高分解能透過型電子顕微鏡を用いて観察を行ったところ、200万倍で観察し、100nm四方の視野の中で視野面積の10%以上がカーボンナノチューブであり、10本以上のカーボンナノチューブが含有されるところの写真(A4サイズ)を10カ所とりスケールを使って任意に抽出した100本のカーボンナノチューブ中の内径を測定した。内径を測る位置はカーボンナノチューブが湾曲していない直線性のよい位置を選んで測定した。その結果、内径が3nm〜6nmのカーボンナノチューブの本数は28本であり、72本が、内径が2nm以下の単層カーボンナノチューブであった。また、この液を濾過し分散剤を洗浄除去した後乾燥させ、真空中で400℃で1時間前処理を行い、窒素吸着によるBET比表面積測定法により測定した結果、548m/gであった。
<比較例2>
(カーボンナノチューブを含む透明導電性フィルム)
比較例1で得た液を実施例2で用いたのと同じポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)社製(ルミラー U36)、光透過率91.3%)上にバーコーター(No.8 Wet膜厚12μm)を用いて塗布し、80℃乾燥機内で乾燥させカーボンナノチューブを固定化した。得られた塗布フィルムの表面抵抗値は2×10Ω/sq.、光透過率73%(透明導電性フィルム73%/PETフィルム91.3%=0.80)であった。得られた塗布フィルムをアセトニトリル溶液に浸漬させ、10秒後に引き上げ乾燥させることでさらに界面活性剤を除去した。得られた塗布フィルムの表面抵抗値は1.3×10Ω/sq.、光透過率74%(透明導電性フィルム74%/PETフィルム91.3%=0.81)であった。フィルム表面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行ったところカーボンナノチューブはフィルム表面に露出しているも凝集しており、被覆されている面積を実施例2と同様に測定した結果、フィルム面積の45%をカーボンナノチューブが被覆していた。
<比較例3>(多層(6層以上)カーボンナノチューブを含む液調製)
50mLの容器に多層カーボンナノチューブ(カーボンナノチューブコーポレート社製)60mg、ポリオキシエチレンフェニルエーテル(アイ・シー・エヌ社製)60mgを量りとり、蒸留水30mLを加えて、超音波ホモジナイザー出力240W、30分間で処理した。得られた液を高速遠心機を使用し20000G、15分遠心した。得られた上清を50mlのサンプル管に入れ保管した。そのうち、5mlをサンプリングし秤量した後、液を乾燥させ、400℃で1時間焼成させた。焼成後の重さを量った後、焼成前の重さで除し算出した液のカーボンナノチューブ濃度は、0.15重量%であった。また、液を一日室温で放置し、デカンテーションで上澄みを除き、底にたまったカーボンナノチューブを乾燥後、400℃で1時間焼成し重さを測定した結果、沈降したカーボンナノチューブ量は液全体に含有されるカーボンナノチューブの3重量%であった。さらに、本液を乾燥させて高分解能透過型電子顕微鏡を用いて観察を行ったところ、200万倍で観察し、100nm四方の視野の中で視野面積の10%以上がカーボンナノチューブであり、10本以上のカーボンナノチューブが含有されるところの写真(A4サイズ)を10カ所とりスケールを使って任意に抽出した100本のカーボンナノチューブ中の内径を測定した。内径を測る位置はカーボンナノチューブが湾曲していない直線性がよい位置を選んで測定した。その結果、内径が3nm〜6nmのカーボンナノチューブの本数は62本であり、31本が内径6nmを越えるカーボンナノチューブであった。内径が3nm以上のカーボンナノチューブ100本中の層数を測定した結果、単層から5層のカーボンナノチューブは28本であり、6層以上のカーボンナノチューブが72本であった。また、層数は大きいものは10層以上であった。また、この液を濾過し分散剤を洗浄除去した後乾燥させ、真空中で400℃で1時間前処理を行い、窒素吸着によるBET比表面積測定法により測定した結果、166m/gであった。
<比較例4>(多層(6層以上)カーボンナノチューブを含む透明導電性フィルム)
比較例3で得た液を実施例2で用いたのと同じポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)社製(ルミラー U36)、光透過率91.3%)上にバーコーター(No.8 Wet膜厚12μm)を用いて塗布し、80℃乾燥機内で乾燥させカーボンナノチューブを固定化した。得られた塗布フィルムの表面抵抗値は2×10Ω/sq.、光透過率76%(透明導電性フィルム77%/PETフィルム91.3%=0.83)であった。得られた塗布フィルムをアセトニトリル溶液に浸漬させ、10秒後に引き上げ乾燥させることでさらに界面活性剤を除去した。得られた塗布フィルムの表面抵抗値は2×10Ω/sq.、光透過率77%(透明導電性フィルム77%/PETフィルム91.3%=0.84)であった。フィルム表面を走査型電子顕微鏡を用いて観察を行ったところカーボンナノチューブはフィルム表面に露出しており、被覆されている面積を実施例2と同様に測定した結果、フィルム面積の70%をカーボンナノチューブが被覆していた。
実施例2、比較例2、4の光透過率と表面抵抗値を図2に示す。また、透明導電性フィルムの光透過率/透明基材の光透過率の比と表面抵抗値の関係を図3に示す。実施例1の液を用いることにより、比較例2、4と比べ、低抵抗値を示し、さらに光透過率も高く非常に透明な透明導電性フィルムを得ることができた。
<実施例3>
実施例2で作成したフィルムをガラス上に固定し、電気炉に入れ大気雰囲気で400℃(昇温時間40分)に加熱した。400℃で60分保持した後、その後室温まで冷却した。ガラス上にはポリエステルマトリックスは分解され、カーボンナノチューブ薄膜層のみ転写されていた。このガラスの表面抵抗値を測定すると、転写する前の表面抵抗値とほとんど変化がなかった。したがって、本発明のフィルムを基材から剥離したり、基材を分解させ別の基材に転写することによって、導電性部材を作製することが可能である。
<実施例4>
実施例1で調製したカーボンナノチューブを含む液を0.2%ポリオキシエチレンフェニルエーテル(アイ・シー・エヌ社製)水溶液を用いて3倍希釈し、塗液を調製した。得られた塗液を実施例2で用いたのと同じPETフィルム(東レ(株)社製(ルミラー U36)、光透過率91.3%)上にバーコーター(No.8 Wet膜厚12μm)を用いて塗布し、80℃乾燥機内で乾燥させカーボンナノチューブを固定化し透明フィルムを作成した。得られた塗布フィルムの表面抵抗値は1×10Ω/sq.、光透過率90%(透明導電性フィルム90%/PETフィルム91.3%=0.99)であった。本発明の調製液により得られるフィルムは非常に透明であり、さらに希釈率を調節することで容易に表面抵抗値を1×10〜1×10Ω/sq.に制御しやすく、帯電防止や制電防止性を付与したい部材、例えばディスプレイ用フィルムやクリーンルームなどの床壁、さらには防塵用繊維などのコーティング液として利用できることがわかった。
<実施例5>
(カーボンナノチューブ液調製)
300mLの容器に<参考例1>で得たカーボンナノチューブ組成物200mg、ポリビニルピロリドン(東京化成社製)400mgを量りとり、イソプロピルアルコール200mLを加えて、超音波ホモジナイザー出力240W、90分間で氷冷下分散処理しカーボンナノチューブ組成物液を調製した。得た液を高速遠心機を使用し20000G、15分遠心し、上清を300mlのサンプル管に入れ保管した。そのうち、5mlをサンプリングし秤量した後、液を乾燥させ、400℃で1時間焼成させた。焼成後の重さを量った後、焼成前の重さで除した結果より算出した液のカーボンナノチューブ濃度は、0.71重量%であった。また、液を一日室温で放置し、デカンテーションで上澄みを除き、底にたまったカーボンナノチューブを乾燥後、400℃で1時間焼成し重さを測定した結果、沈降したカーボンナノチューブ量は液全体に含有されるカーボンナノチューブの検出限界(1%以下)であった。さらに、本液を乾燥させて高分解能透過型電子顕微鏡を用いて観察を行ったところ、100本中、93本のカーボンナノチューブの内径が3nm〜6nmであった。さらに、内径が3nm以上のカーボンナノチューブ100本中単層から5層のカーボンナノチューブは96本であり、そのうち、2層カーボンナノチューブの本数を測定したところ82本が2層カーボンナノチューブであり、3層から5層カーボンナノチューブが13本含まれていた。また、この液を濾過し分散剤を洗浄除去した後乾燥させ、真空中で400℃で1時間前処理を行い、窒素吸着によるBET比表面積測定法により測定した結果、578m/gであった。
<実施例6>
(カーボンナノチューブを含む透明導電性フィルム)
実施例5で得た液をイソプロピルアルコールを用いて15倍希釈しポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)社製(ルミラー U34)、光透過率92.1%)上にバーコーター(No.8 Wet膜厚12μm)を用いて塗布し、80℃乾燥機内で乾燥させカーボンナノチューブを固定化した。得られた塗布フィルムの表面抵抗値はそれぞれ、2×10Ω/sq.、光透過率87%(透明導電性フィルム87%/PETフィルム92.1%=0.94)、ヘイズ0.97%であり、高い導電性および、透明性を示した。
さらに、実施例5で得た液をイソプロピルアルコールを用いて20倍希釈し上記と同様に塗布し、フィルムを得た。得られた塗布フィルムの表面抵抗値はそれぞれ、1.2×10Ω/sq.、光透過率89%(透明導電性フィルム89%/PETフィルム92.1%=0.98)、ヘイズ0.97%であった。
さらに、実施例5で得た液をイソプロピルアルコールを用いて10倍希釈し上記と同様に塗布し、フィルムを得た。得られた塗布フィルムの表面抵抗値はそれぞれ、1.5×10Ω/sq.、光透過率86.5%(透明導電性フィルム86.5%/PETフィルム92.1%=0.94)、ヘイズ0.98%であった。
<比較例5>
(多層(6層以上)カーボンナノチューブを含む透明導電性フィルム)
比較例3で得た液を0.2%ポリオキシエチレンフェニルエーテル(アイ・シー・エヌ社製)水溶液を用いて3倍希釈し、塗液を調製した。得られた塗液をPETフィルム(東レ(株)社製(ルミラー U36)、光透過率91.3%)上にバーコーター(No.8 Wet膜厚12μm)を用いて塗布し、80℃乾燥機内で乾燥させカーボンナノチューブを固定化し透明フィルムを作成した。得られた塗布フィルムの表面抵抗値は2×10Ω/sq.、光透過率84%(透明導電性フィルム84%/PETフィルム91.3%=0.92)、ヘイズ1.0%であった。
<比較例6>
(単層カーボンナノチューブを含む透明導電性フィルム)
比較例1で得た液を0.2%ポリオキシエチレンフェニルエーテル(アイ・シー・エヌ社製)水溶液を用いて6倍希釈し、塗液を調製した。得られた塗液をPETフィルム(東レ(株)社製(ルミラー U36)、光透過率91.5%)上にバーコーター(No.8 Wet膜厚12μm)を用いて塗布し、80℃乾燥機内で乾燥させカーボンナノチューブを固定化し透明フィルムを作成した。得られた塗布フィルムの表面抵抗値は1×10Ω/sq.、光透過率87%(透明導電性フィルム87%/PETフィルム91.5%=0.95)であった。得られた塗布フィルムをアセトニトリル溶液に浸漬させ、10秒後に引き上げ乾燥させることでさらに界面活性剤を除去した。得られた塗布フィルムの表面抵抗値は2×10Ω/sq.、光透過率87%(透明導電性フィルム87%/PETフィルム91.3%=0.95)であった。
<実施例7>
(カーボンナノチューブを含む透明導電性フィルムの耐湿熱性)
実施例4、比較例5で得たカーボンナノチューブ含有フィルムを恒温恒湿機を用いて60℃、90%RH、1000時間の耐湿熱性試験を行った。実施例4で得たフィルムは48時間後のフィルムの表面抵抗変化率は0.75であり、1000時間後は0.79であった。一方、実施例4のフィルムが約48時間で表面抵抗変化率が一定になったのに対して比較例5のフィルムは表面抵抗変化率が大きく、48時間後には11となりその後も上昇した。
<実施例8>
(カーボンナノチューブを含む透明導電性フィルムの耐湿熱性)
実施例6、比較例6で得たカーボンナノチューブ含有フィルムに電極を装着しアクリル粘着ラミコートした。その状態で恒温恒湿機を用いて60℃、90%RH、1000時間の耐湿熱性試験を行った。表面抵抗値はデジタル超高抵抗/微少電流計(エーディーシー)を用いて印加電圧100Vで装着した電極間の抵抗を測定した。実施例6で得たフィルムの212時間後のフィルムの表面抵抗変化率は4.0であり、1000時間後は4.2であった。実施例6のフィルムが約200時間で表面抵抗変化率が一定になったのに対して比較例5のフィルムは表面抵抗変化率が大きく、212時間後には36となりその後も上昇し1000時間後の表面抵抗変化率は56であった。
実施例7および8の結果より、2層から5層のカーボンナノチューブを用いることで多層や単層カーボンナノチューブを用いる場合より耐湿熱性に優れた透明導電性フィルムを得ることができる。
<実施例9>
(カーボンナノチューブ液調製)
50mLの容器に<参考例1>で得たカーボンナノチューブ組成物30mg、“アジスパーPB821”味の素ファインテクノ株式会社製、塩基性官能基含有共重合体、アミン価(mgKOH/g)9.2、酸価(mgKOH/g)17.1)60mgを量りとり、メチルエチルケトン30mLを加えて、超音波ホモジナイザー出力240W、300分間で氷冷下分散処理しカーボンナノチューブ組成物液を調製した。得た液を高速遠心機を使用し10000G、15分遠心し、上清を50mlのサンプル管に入れ保管した。そのうち、5mlをサンプリングし秤量した後、液を乾燥させ、400℃で1時間焼成させた。焼成後の重さを量った後、焼成前の重さで除した結果より算出した液のカーボンナノチューブ濃度は、0.052重量%であった。また、液を一日室温で放置し、デカンテーションで上澄みを除き、底にたまったカーボンナノチューブを乾燥後、400℃で1時間焼成し重さを測定した結果、沈降したカーボンナノチューブ量は液全体に含有されるカーボンナノチューブの検出限界(1%以下)であった。さらに、本液を乾燥させて高分解能透過型電子顕微鏡を用いて観察を行ったところ、100本中、91本のカーボンナノチューブの内径が3nm〜6nmであった。さらに、内径が3nm以上のカーボンナノチューブ100本中単層から5層のカーボンナノチューブは95本であり、そのうち、2層カーボンナノチューブの本数を測定したところ78本が2層カーボンナノチューブであり、3層から5層カーボンナノチューブが16本含まれていた。また、この液を濾過し分散剤を洗浄除去した後乾燥させ、真空中で400℃で1時間前処理を行い、窒素吸着によるBET比表面積測定法により測定した結果、565m/gであった。
<実施例10>
(カーボンナノチューブ液調製)
<参考例1>で得たカーボンナノチューブ組成物30mg、“アジスパーPB821”
(味の素ファインテクノ株式会社製、塩基性官能基含有共重合体、アミン価(mgKOH/g)9.2、酸価(mgKOH/g)17.1)150mgを量りとり、トルエン30mLを加えて、実施例9と同様の方法で分散液を調製した。そのうち、5mlをサンプリングし秤量した後、液を乾燥させ、400℃で1時間焼成させた。焼成後の重さを量った後、焼成前の重さで除した結果より算出した液のカーボンナノチューブ濃度は、0.0253重量%であった。また、液を一日室温で放置し、デカンテーションで上澄みを除き、底にたまったカーボンナノチューブを乾燥後、400℃で1時間焼成し重さを測定した結果、沈降したカーボンナノチューブ量は液全体に含有されるカーボンナノチューブの検出限界(1%以下)であった。さらに、本液を乾燥させて高分解能透過型電子顕微鏡を用いて観察を行ったところ、100本中90本のカーボンナノチューブの内径が3nm〜6nmであった。さらに、内径が3nm以上のカーボンナノチューブ100本中単層から5層のカーボンナノチューブは92本であり、そのうち、2層カーボンナノチューブの本数を測定したところ75本が2層カーボンナノチューブであり、3層から5層カーボンナノチューブが12本含まれていた。また、この液を濾過し分散剤を洗浄除去した後乾燥させ、真空中で400℃で1時間前処理を行い、窒素吸着によるBET比表面積測定法により測定した結果、575m/gであった。
<実施例11>
(カーボンナノチューブ液調製)
50mLの容器に<参考例1>で得たカーボンナノチューブ組成物30mg、“アジスパーPB711”(味の素ファインテクノ株式会社製、塩基性官能基含有共重合体、アミン価(mgKOH/g)44.1)150mgを量りとり、トルエン30mLを加えて、超音波ホモジナイザー出力240W、30分間で氷冷下分散処理しカーボンナノチューブ組成物液を調製した。得た液を高速遠心機を使用し10000G、15分遠心し、上清を50mlのサンプル管に入れ保管した。そのうち、5mlをサンプリングし秤量した後、液を乾燥させ、400℃で1時間焼成させた。焼成後の重さを量った後、焼成前の重さで除した結果より算出した液のカーボンナノチューブ濃度は、0.012重量%であった。また、液を一日室温で放置し、デカンテーションで上澄みを除き、底にたまったカーボンナノチューブを乾燥後、400℃で1時間焼成し重さを測定した結果、沈降したカーボンナノチューブ量は液全体に含有されるカーボンナノチューブの検出限界(1%以下)であった。さらに、本液を乾燥させて高分解能透過型電子顕微鏡を用いて観察を行ったところ、100本中、93本のカーボンナノチューブの内径が3nm〜6nmであった。さらに、内径が3nm以上のカーボンナノチューブ100本中単層から5層のカーボンナノチューブは94本であり、そのうち、2層カーボンナノチューブの本数を測定したところ79本が2層カーボンナノチューブであり、3層から5層カーボンナノチューブが12本含まれていた。また、この液を濾過し分散剤を洗浄除去した後乾燥させ、真空中で400℃で1時間前処理を行い、窒素吸着によるBET比表面積測定法により測定した結果、577m/gであった。
<実施例12>
(カーボンナノチューブ液調製)
200mLの容器に<参考例1>で得たカーボンナノチューブ組成物2g、ポリビニルピロリドン(東京化成社製)1gを量りとり、水100mLを加えて、超音波ホモジナイザー出力300W、60分間で氷冷下分散処理しカーボンナノチューブ組成物液を調製した。得た液を高速遠心機を使用し10000G、15分遠心し、上清を100mlのサンプル管に入れ保管した。そのうち、5mlをサンプリングし秤量した後、液を乾燥させ、400℃で1時間焼成させた。焼成後の重さを量った後、焼成前の重さで除した結果より算出した液のカーボンナノチューブ濃度は、1.2重量%であった。また、液を一日室温で放置し、デカンテーションで上澄みを除き、底にたまったカーボンナノチューブを乾燥後、400℃で1時間焼成し重さを測定した結果、沈降したカーボンナノチューブ量は液全体に含有されるカーボンナノチューブの検出限界(1%以下)であった。また、本液を乾燥させて高分解能透過型電子顕微鏡を用いて観察を行ったところ、100本中、91本のカーボンナノチューブの内径が3nm〜6nmであった。さらに、内径が3nm以上のカーボンナノチューブ100本中単層から5層のカーボンナノチューブは96本であり、そのうち、2層カーボンナノチューブの本数を測定したところ75本が2層カーボンナノチューブであり、3層から5層カーボンナノチューブが18本含まれていた。また、この液を濾過し分散剤を洗浄除去した後乾燥させ、真空中で400℃で1時間前処理を行い、窒素吸着によるBET比表面積測定法により測定した結果、568m/gであった。
本発明によれば、ESD保護、EMI/RFIシールド、低視認性、ポリマーエレクトロニクス(例えば、OLEDディスプレイの透明導電層、ELランプ、プラスチックチップなど)などの用途に使用できる。
図1は、実施例2で得られた透明導電性フィルムの走査型電子顕微鏡写真である。 図2は、実施例2比較例2、4で得られたカーボンナノチューブ含有塗布フィルムの光透過率と表面抵抗値の関係を示すグラフである。 図3は、実施例2比較例2、4で得られたカーボンナノチューブ含有塗布フィルムの透明導電性フィルムの光透過率/透明基材の光透過率の比と表面抵抗値の関係を示すグラフである。 図4は、実施例4、比較例4で得られたカーボンナノチューブ含有塗布フィルムの耐湿熱性試験における時間と表面抵抗値変化率の関係を示すグラフである。 図5は実施例6、比較例6で得られたカーボンナノチューブ含有塗布フィルムの耐湿熱性試験における時間と表面抵抗値変化率の関係を示すグラフである。

Claims (14)

  1. 基材に20mg/m 以上のカーボンナノチューブ塗布量でロールコーティングすることにより、透明基材の少なくとも片面上に、カーボンナノチューブ100本中50本以上の割合で内径が3nm以上のカーボンナノチューブが含まれ、かつ該内径3nm以上のカーボンナノチューブ100本中に50本以上の割合で、層数が単層から5層であるカーボンナノチューブを含有する層を形成してなる透明導電性フィルムであって、透明基材の少なくとも片面の面積の50%以上がカーボンナノチューブで被覆されており、かつ以下の性質をもつことを特徴とする透明導電性フィルムを製造することができる、カーボンナノチューブを含有してなる液。
    (1)550nmの波長の光透過率が以下の条件を満たす。
    透明導電性フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.85
  2. 透明導電性フィルムが、以下の性質をもつことを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブを含有してなる液。
    (1)表面抵抗が10Ω/sq.以上10Ω/sq.未満
    (2)550nmの波長の光透過率が以下の条件を満たす。
    透明導電性フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.88
  3. 透明導電性フィルムが、以下の性質をもつことを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブを含有してなる液。
    (1)表面抵抗が10Ω/sq.以上10Ω/sq.未満
    (2)550nmの波長の光透過率が以下の条件を満たす。
    透明導電性フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.91
  4. 透明導電性フィルムが、以下の性質をもつことを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブを含有してなる液。
    (1)表面抵抗が10Ω/sq.以上10Ω/sq.未満
    (2)550nmの波長の光透過率が以下の条件を満たす。
    透明導電性フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.93
  5. 透明導電性フィルムが、以下の性質をもつことを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブを含有してなる液。
    (1)表面抵抗が10Ω/sq.以上1013Ω/sq.未満
    (2)550nmの波長の光透過率が以下の条件を満たす。
    透明導電性フィルムの光透過率/透明基材の光透過率>0.95
  6. 前記内径が3nm以上のカーボンナノチューブが、内径が3nm以上6nm以下のカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のカーボンナノチューブを含有してなる液。
  7. カーボンナノチューブが、前記内径3nm以上のカーボンナノチューブ100本中に50本以上の割合で、層数が2層から5層であるカーボンナノチューブを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載のカーボンナノチューブを含有してなる液。
  8. 透明導電性フィルムが、カーボンナノチューブが表面に露出してなる透明導電性フィルムである請求項1〜7のいずれか記載のカーボンナノチューブを含有してなる液。
  9. 基材に20mg/m以上のカーボンナノチューブ塗布量でロールコーティングすることにより、透明基材の少なくとも片面上に、カーボンナノチューブ100本中50本以上の割合で内径が3nm以上のカーボンナノチューブが含まれ、かつ該内径3nm以上のカーボンナノチューブ100本中に50本以上の割合で、層数が単層から5層であるカーボンナノチューブを含有する層を形成してなる透明導電性フィルムを製造することができる、カーボンナノチューブを含有してなる液。
  10. 以下の条件を満たす、カーボンナノチューブを含有してなる液。
    (1)カーボンナノチューブ含有量が、液中0.01重量%以上である。
    (2)1日放置した際の沈降するカーボンナノチューブ量が液全体に含まれるカーボンナノチューブの5重量%以下である。
    (3)カーボンナノチューブ100本中、内径3nm以上のカーボンナノチューブを50本以上含有する。
    (4)前記内径3nm以上のカーボンナノチューブ100本中に50本以上の割合で、層数が単層から5層であるカーボンナノチューブが含まれる。
  11. さらに以下の条件を満たす請求項10記載の液。
    (5)カーボンナノチューブの比表面積が400m/g以上である。
  12. 分散剤を以下の割合で含有する請求項10記載の液。
    0.3<分散剤の重量/カーボンナノチューブの重量<10
  13. 分散剤が、芳香族系イオン性界面活性剤および/または芳香族系非イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項12記載の液。
  14. 請求項10〜13のいずれかに記載の液を含む液を基材表面にコーティングすることを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法。
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