JP5034544B2 - カーボンナノチューブ集合体、その製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ集合体、その製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カーボンナノチューブ集合体および、その製造方法に関する。より詳細には、高導電性であり、品質が均一であるカーボンナノチューブ集合体およびその製造方法に関する。
カーボンナノチューブが最初に広く報告されたのは1991年である(非特許文献1)。カーボンナノチューブは実質的にグラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ(SWNT)、2層に巻いたものを2層カーボンナノチューブ(DWNT)、多層に巻いたものを多層カーボンナノチューブ(MWNT)という(非特許文献2)。カーボンナノチューブは、優れた強度、弾性率、導電性等を有することから各種の複合材料に使用されている。近年のエレクトロニクス技術の発展に伴い、電磁波遮蔽剤、静電防止剤用の導電性フィラーとして、あるいは樹脂への静電塗装のためのフィラーや透明導電性樹脂用のフィラーとしての用途が期待されている。また、摺動性、耐磨耗性が高い材料として電気ブラシ、可変抵抗器などへの応用も期待されている。さらに、高導電性、高熱伝導性、耐エレクトロマイグレーションを有するため、大規模集積回路(LSI)等のデバイスの配線材料としても注目を浴びている。しかし、高導電性をもつカーボンナノチューブは、グラファイト層の欠陥が少なくグラファイト化度が高いため、π−π相互作用により強固なバンドル(束)構造をとり非常に分散が困難である。また、直径が細いカーボンナノチューブは表面積が大きく表面エネルギーが大きいため、表面エネルギーを小さくしようと互いに力が働くため凝集しており非常に分散性が悪い。したがって、樹脂やセラミックス等に導電性フィラーとしてカーボンナノチューブを使用する場合、均一に分散させることができず、所望する電気的、熱的、機械的特性を得ることができなかった。また、分散させようと外力を加えれば加えることによって、カーボンナノチューブにダメージを与え、グラファイト構造の欠陥を導いてしまい、カーボンナノチューブの本来あるべき特性を発揮することができなかった。
一方、カーボンナノチューブの高導電性、高熱伝導性を効率良く発揮させるためには、カーボンナノチューブの長さが長い方がネットワークを形成するための必要本数が少なくて済むが、長すぎるとフィラーとして用いた場合マトリックス粘度が急上昇してしまうためカーボンナノチューブの長さを切断し短くする必要がある。カーボンナノチューブを切断し長さを調節する方法としては、化学的方法(例えば酸化力のある酸による処理)、物理的方法(例えば、物理的摩耗や超音波処理)およびこれらの組み合わせがある。単層カーボンナノチューブを化学的に“短縮する”ための1つの方法は、濃硫酸と濃硝酸との混合物を使用することによるSWNTの酸化に基づいている(国際特許公開WO98/39250号公報 特許文献1)。物理的手段を使用して単層カーボンナノチューブSWNTを短縮または切断することもできる。ナノチューブを切断するための物理的手段の例としては、摩耗(非特許文献3)、超音波処理(非特許文献4)、および電圧の印加(非特許文献5)などがある。しかし、一般的にSWNTは直径が細く表面積が大きいため、表面エネルギーを小さくしようと互いに力が働くため凝集しており非常に分散性が悪いうえに、高アスペクト比であるため絡み合ってしまっている。SWNTを切断し長さを調節しようとしても、グラファイト構造に欠陥を生じたもろくなった部分から無造作に切断されていくために長さが不均一となってしまう。同時に強力な外力を必要とするためカーボンナノチューブの品質低下は避けられず、導電性に優れたものを得るのは困難である。さらに、SWNTは層数が少ないため、直径方向に力が加わると容易にへこみを生じ機械的強度が弱いという問題がある。
逆に層数の多いMWNTは通常バンドルを組みにくいが互いに絡まりあって凝集している状態であり、絡まりをほぐし一本一本分散させることは困難である。また、層数が多すぎると透明性が落ちて透明性を要する用途には使用できない。切断し長さを調節しようと外力を加えても表面層のグラファイト構造に欠陥が生じても内部のグラファイト構造まで品質が低下することはなく、カーボンナノチューブを切断し長さを調節することは困難であるという問題がある。さらに、切断には強力な外力を必要とするため、カーボンナノチューブの品質低下が著しく、表層のグラファイト化度の高い高導電性のカーボンナノチューブを得ることは困難であった。
"ニューサイエンティスト(New Scientist)", 1996年7月6日, p.28-31, 「ナノチューブによって(Through the Nanotube)」, Philip Ball "アメリカンサイエンティスト(American Scientist)" v.85,1997年7−8月,「「フラーレンナノチューブ:C1,000,000以上(Fullerene Nanotubes:C1,000,000 and Beyond)」,B.I.ヤコブソン(Yakobson), R.E. スマリー(Smalley) 国際特許公開WO98/39250号公報,“Carbon Fibers Formed from Single-Wall Carbon Nanotubes” 「G.Maurin,et al.,"Segmented and opened multi-walled carbon nanotubes,"Carbon 39(2001),pp.1273-1287」 「K.B.Shelimov,et al.,"Purification of single-wall carbon nanotubes by ultrasonically assisted filtration,"Chem.Phys.Lett.,282(1998) pp.429-434」 「A.Rubio,et al.,"A mechanism for cutting carbon nanotubes with a scanning tunneling microscope,Eur.Phys.J.B,17(2000) pp.301-308」
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、高導電性および高分散性を備えたカーボンナノチューブ集合体およびその製造方法を提供するものである。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、内径が太く、層数が少なく、かつ屈曲点をもったカーボンナノチューブ集合体が非常に分散性に優れ、特性を低下させずに切断でき長さを調節するのに有利であることを見出した。さらに、内径が太く層数が少なく、切断して長さを調節したカーボンナノチューブ集合体は、透明性、高導電性、高分散性を要する電磁波遮蔽剤、静電防止剤用、帯電防止剤の各種透明導電性材料の導電性フィラーとして、あるいは熱伝導性用のコンポジット用フィラーとして非常に有効であることを見出した。具体的には、3nm〜6nm以上の内径をもつカーボンナノチューブはバンドル構造をとりにくいため単分散させやすく、層数が2層〜5層と層数が少ないために透明性が高いうえ直径方向の強度が単層に比べて著しく高く機械的強度に優れるため分散処理によるグラファイト構造の欠陥が生じにくく高導電性を保持できる。また、屈曲点を有することによって、マトリックスへの分散性が非常に優れると同時に、屈曲点を有しているため少ない量でネットワークを構築でき、さらに屈曲点において効率よく切断することで、高導電性を保持したまま長さを調節できる手法を確立した。このカーボンナノチューブ集合体を用いることで、非常に透明導電性が高く、さらに面均一性に優れたフィルムが得られることを見出し本発明に到った。
すなわち本発明は、下記の構成からなる。
(1)電子顕微鏡において観察したときに、下記の特徴をもつカーボンナノチューブ集合体。
<1>任意の100本のカーボンナノチューブ中50本以上の層数が2層〜5層の範囲にある
<2>任意の100本のカーボンナノチューブ中50本以上の内径が3nm〜6nmの範囲にある
<3>任意の100本のカーボンナノチューブ中50本以上の長さが0.2〜2μmの範囲にある
<4>任意の100本のカーボンナノチューブのうち50本以上が1本に2個以上の屈曲点を持つ

(2)任意の100本中のカーボンナノチューブ中50本以上の屈曲点間距離が500nm以下であることを特徴とする(1)記載のカーボンナノチューブ集合体。
(3)任意の100本のカーボンナノチューブ中50本以上における長さが平均長さの±50%であるカーボンナノチューブを含有することを特徴とする(1)あるいは(2)記載のカーボンナノチューブ集合体。
(4)上記任意の100本のカーボンナノチューブ中80本以上の長さが0.2〜2μmであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか記載のカーボンナノチューブ集合体。
(5)共鳴ラマン散乱測定法の測定により得られるスペクトルで1560〜1600cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1310〜1350cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたときにG/D比が2以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか記載のカーボンナノチューブ集合体。
(6)2〜5層を主体とし、内径3nm〜6nmの範囲にあり、複数の屈曲点を有するカーボンナノチューブを合成し、得られたカーボンナノチューブを切断し分散させることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
(7)、前記カーボンナノチューブを切断し分散させる工程において、分散媒の存在下で超音波照射法を用いることを特徴とする請求項6記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
(8)前記カーボンナノチューブを切断し、分散させる際、高分子系分散剤およびアルコール系溶媒を含有することを特徴とする請求項6または7記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
(9)(1)〜(5)のいずれか記載のカーボンナノチューブ集合体を含有してなることを特徴とするフィルム。
(10)フィルム表面における面抵抗均一性(直線性)が0.5%以下であることを特徴とする(9)記載のフィルム。
(11)(1)〜(5)のいずれか記載のカーボンナノチューブ集合体を含有することを特徴とする分散液。
本発明によれば、マトリックスへの分散性が非常に高く、高導電性、高透過性に優れたカーボンナノチューブ集合体およびその製造方法が得られる。
本発明の第一の発明のカーボンナノチューブ集合体は電子顕微鏡において観察したときに、下記の特徴をもつカーボンナノチューブを含有してなる集合体である。
<1>任意の100本のカーボンナノチューブ中50本以上の層数が2層〜5層の範囲にある
<2>任意の100本のカーボンナノチューブ中50本以上の内径が3nm〜6nmの範囲にある
<3>任意の100本のカーボンナノチューブ中50本以上の長さが0.2〜2μmの範囲にある
<4>任意の100本のカーボンナノチューブのうち50本以上が1本に2個以上の屈曲点を持つ
本発明でいうカーボンナノチューブを含有してなる集合体とは、一本一本が単一分散している、あるいは複数本が集まって合わさっている状態で存在しているカーボンナノチューブを指し、容易に解せる状態であるカーボンナノチューブのことをいう。本集合体は、カーボンナノチューブのみで構成されていても構わないし、用途によって樹脂などの有機材料・あるいは金属などの無機材料を含有するものであってもよい。例えば、本発明の集合体は、粉の状態、分散液の状態、樹脂複合体などコンポジットの状態、フィルムなどにコーティングされた塗布膜の状態であってもよい。
カーボンナノチューブはグラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ、2層に巻いたものを2層カーボンナノチューブ、多層に巻いたものを多層カーボンナノチューブというが、本発明のカーボンナノチューブ集合体は、層数が2層〜5層であるカーボンナノチューブを含むものである。層数が2層〜5層のカーボンナノチューブを用いることで、液中に分散させた場合や、それを用いてフィルム状物やコンポジット状物を形成する場合に単層カーボンナノチューブよりも凝集を抑制できるという利点がある。さらに、層数は少ないので層数の多い多層よりも光透過率に優れている。2層カーボンナノチューブは単層カーボンナノチューブよりも直径方向の機械的強度がより大きく、2層以上のカーボンナノチューブは層数が大きくなるに従い強度が大きくなる。機械的強度が大きいと、たとえ外部からの衝撃により外層のグラファイト構造に欠陥が多数生じたとしても内層のグラファイト構造までは欠陥を受けにくいのでカーボンナノチューブの熱・電気伝導特性は維持されたままであるという利点がある。また、カーボンナノチューブを切断し長さを調節しようとする際、層数が多い多層であれば強度が非常に高く、切断が困難であるが、カーボンナノチューブの層数が2層〜5層と少ないことで小さい外力で切断でき、グラファイト層に与える欠陥量の上昇を抑制できる。単層は機械的強度が弱くカーボンナノチューブ一本一本は切断されやすいが、互いに凝集し絡まり合っているため、凝集を解しながら切断しなければならず均一には切断することができず、凝集を解すために大きな外力を必要とするため、グラファイト層の欠陥量上昇が著しい。
従って、本発明では、上記<1>の特徴を持つことが必要なのである。
また、本発明のカーボンナノチューブ集合体は、内径が太く3〜6nmであることが必要であり、具体的には上記<1>の特徴に加えて<2>の特徴を有することが必要である。内径が太いと単位体積当たりのカーボン密度を少なくでき、光透過率に優れる。また、内径が太い2層〜5層のカーボンナノチューブは細い単層や細い2層カーボンナノチューブよりも効率的に熱や電気伝導ネットワークを形成できる利点がある。さらに、内径が太くなるとカーボンナノチューブは半導体特性が低下する傾向があり、内径が3nm以上のカーボンナノチューブは金属性カーボンナノチューブ含有率が高く、高導電性材料として有用である。好ましくは4nm以上、更に好ましくは5nm以上である。上限としては、カーボンナノチューブの力学的強度および安定性から通常、6nm以下である。
本発明で用いる主たるカーボンナノチューブの長さは、0.1μm〜2μmであることが必要である。0.1μm未満であるとグラファイトとの差異がなくなり、電気伝導性、高熱伝導導性など高アスペクト比をもつカーボンナノチューブの特性を効率的に発揮できない。0.1μm以上であれば用途に合わせ最適な長さのカーボンナノチューブ集合体を選択すれば良い。より好ましくは、0.2μm以上である。高い導電性や高い強度向上に用いられる際には、カーボンナノチューブは長い方がカーボンナノチューブが少ない量でネットワークを組みやすいため好ましく用いられ0.5μm以上である。好ましくは1μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上である。上限は、長すぎると分散性が低下し、コンポジットを形成する際や、高濃度の分散液を調製する際、得た分散液を基板にスプレー塗布する際にはマトリックス粘度が急激に上昇するため、2μm以下である。逆に、カーボンナノチューブを短く切断して半導体性を利用する場合には、長さは短い方がよく1.5μm以下であり、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下である。
カーボンナノチューブの内径および層数は、後述するように高分解能透過型電子顕微鏡で調べることができる。カーボンナノチューブが粉の場合、グリッド上に作成したコロジオン膜上でカーボンナノチューブを調べることができる。カーボンナノチューブが分散液の場合、溶媒が水系の場合は分散液を水で見えやすい濃度に適宜希釈しコロジオン膜上に数μL滴下し風乾させた後、直接高分解能透過型電子顕微鏡でコロジオン膜上のカーボンナノチューブを調べる。溶媒が非水系の場合は、一度乾燥により溶媒を除去した後、再度水中で分散させてから適宜希釈してコロジオン膜上に数μL滴下し風乾させた後、高分解能透過型電子顕微鏡で観察する。コンポジット中のカーボンナノチューブの内径および層数は、コンポジット形成前のカーボンナノチューブまたは、カーボンナノチューブを含有してなる液をそれぞれ上述の粉の場合、分散液の場合と同様にして観察することができる。樹脂などのコンポジットからカーボンナノチューブを採取する際は、エポキシ樹脂で包埋した後、カミソリなどを用いて0.1μm以下に薄く切断した切片を観察することによって、カーボンナノチューブ集合体を高分解能透過型電子顕微鏡で調べることができる。また、フィルムなどの基板表面にコーティングされている塗布膜の場合は、溶媒でカーボンナノチューブを抽出し得られた組成物を分散液の場合と同様にして高分解能透過型電子顕微鏡で観察することによって調べることができる。
コロジオン膜上に滴下する液のカーボンナノチューブ濃度は、カーボンナノチューブを一本一本観察できる濃度であればよいが、例えば0.001重量%である。カーボンナノチューブの濃度は、カーボンナノチューブを含有する液を5mlサンプリングし秤量した後、液を乾燥させ、400℃で1時間焼成し、焼成後の重さを量った後、焼成前の重さで除した結果より算出できる。
カーボンナノチューブの内径および層数については、前記方法で試料を作成し、高分解能透過型電子顕微鏡で200万倍で観察し、100nm四方の視野の中で視野面積の10%がカーボンナノチューブであり、かつ10本以上のカーボンナノチューブが含まれるところで写真を撮り、視野中から任意に抽出した100本のカーボンナノチューブの内径および層数を測定する。一つの視野中で100本の測定ができない場合は、100本になるまで複数の視野から測定する。合計100本のカーボンナノチューブについて内径および層数を測定することによって100本中に含まれるカーボンナノチューブの内径、層数とその本数を確認することができる。このとき、カーボンナノチューブ一本とは視野中で一部カーボンナノチューブが見えていれば一本と計上し、必ずしも両端が見えている必要はない。また視野中で2本と認識されても視野外でつながって一本となっていることもあり得るが、その場合は2本と計上する。カーボンナノチューブの内径や層数を測る位置はカーボンナノチューブが湾曲していない直線性のある位置を選んで測定するものとする。以降同様である。本発明においては、層数が2〜5層であるカーボンナノチューブが100本中50本以上である。好ましくは、80本以上である。また、本発明においては、内径が3〜6nmであるカーボンナノチューブは100本中50本以上である。好ましくは、80本以上である。上記の割合で含まれていることにより、バンドル構造をとりにくく導電性、透過率の高いカーボンナノチューブ集合体が得られる。
カーボンナノチューブの長さは、後述するように電解放射走査型電子顕微鏡を用いて調べることができる。カーボンナノチューブが粉の場合、アルコール中で5分間超音波洗浄機で簡易分散させてから適宜希釈してマイカ基板上に数μL滴下し風乾させた後、電解放射走査型電子顕微鏡で調べることができる。カーボンナノチューブ分散液の場合には、ピペットを用いてマイカ基板上に数μL滴下し風乾させた後、電解放射走査型電子顕微鏡で調べることができる。樹脂などに埋設されていて観察しにくい場合は、溶媒やイオンスパッタリングを用いて、あるいは350℃、30分大気雰囲気下で焼成してカーボンナノチューブを露出してから観察することができる。
コンポジット中のカーボンナノチューブの長さは、コンポジット形成前のカーボンナノチューブまたは、カーボンナノチューブを含有してなる液を上述の粉と分散液の場合と同様にして観察することができる。滴下するCNT濃度はカーボンナノチューブが一本一本観察できる濃度が好ましく適宜希釈すれば良いが、例えば0.01重量%である。
樹脂などのコンポジットからカーボンナノチューブを採取する際は、コンポジットから溶媒を用いてカーボンナノチューブを抽出してから分散液と同様の方法で観察することができる。また、フィルムなどの基板表面にコーティングされている場合はカーボンナノチューブ含有層から溶媒でカーボンナノチューブを抽出し得られた組成物を分散液の場合と同様に処理し、電解放射走査型電子顕微鏡で観察することによって調べることができる。
カーボンナノチューブの長さについては、前記方法で試料を作成し電解放射走査型電子顕微鏡で2万倍で観察し、4μm四方の視野の中で10本以上のカーボンナノチューブが含まれるところで写真を撮り、各カーボンナノチューブの長さを測定する。視野中から任意に抽出した100本のカーボンナノチューブの長さを測定する。折れ曲がっている形状であっても、キルビメーター等を用いて繊維に沿って長さを測る。一つの視野中で100本の測定ができない場合は、100本になるまで複数の視野から測定する。合計100本のカーボンナノチューブについて長さを測定することによって100本中に含まれるカーボンナノチューブの長さとその本数を確認することができる。本発明においては、長さが0.2〜2μmの範囲にあるカーボンナノチューブが100本中50本以上である。好ましくは、80本以上である。また、0.2〜1μmの範囲にあるカーボンナノチューブが100本中50%以上であると高濃度で分散でき好ましい。上記の割合で含まれていることにより、マトリックスへ分散させやすく熱や電気伝導性ネットワークを構築するのに非常に優れたカーボンナノチューブ集合体が得られる。カーボンナノチューブの長さが長く、視野内で全体の長さが見えていない場合は、視野内のカーボンナノチューブの長さを測定し、2μm以内であれば測定値を長さと見なし、2μmより大きければ2μm超の長さと見なして0.2〜2μmの範囲にあるカーボンナノチューブの本数を数えることとする。
カーボンナノチューブの屈曲点とは電解放射走査型電子顕微鏡で観察したときの折れ曲がっている位置のことであり、屈曲点の数は図4に示す様に電解放射走査型顕微鏡でカーボンナノチューブを観察したときに、カーボンナノチューブの片端を起点(図4S)とし、折れ曲がった山型構造(図4C1)に対して接線Laを引く。そして、接点から再度隣の折れ曲がった山形構造(図4C2)に対して接線Lbを引く。本操作を接線が引けなくなるまで繰り返し(図4Lc, Ldとひく)最終的に描かれた接点の数を数える。その接点の数の2倍を屈曲点の数とする(図4中8個)。カーボンナノチューブの起点の場所によって描かれた接点の数が異なる場合は、多い方の接点の数を採用し、2倍数を屈曲点とする。接点の数、つまり屈曲点の数を多くすることによりマトリックスへの分散性が向上できる。
カーボンナノチューブの屈曲点については、前記、長さの測定方法と同様にして試料を作成し、電解放射走査型電子顕微鏡で2万倍で観察し、4μm四方の視野の中で10本以上のカーボンナノチューブが含まれるところで写真を撮り、各カーボンナノチューブの屈曲点の数を測定する。視野中から任意に抽出した100本のカーボンナノチューブの屈曲点の数を測定するが、一つの視野中で100本の測定ができない場合は、100本になるまで複数の視野から測定する。合計100本のカーボンナノチューブについて行うことによって、1本のカーボンナノチューブ中、屈曲点を2個以上含むカーボンナノチューブの本数を確認することができる。本発明においては、1本に2個以上の屈曲点を含むカーボンナノチューブが100本中50本以上である。好ましくは80本以上、さらに好ましくは90本以上である。上記の割合で含まれていることにより、バンドル構造をとりにくく、マトリックスとの親和性が高いカーボンナノチューブが得られる。また、折れ曲がった構造をとっているため、カーボンナノチューブ間でネットワーク構造を取りやすく、少量の使用により熱や電気伝導性を効率よく発揮できる。屈曲点の数はカーボンナノチューブ長にも依存するが、好ましくは、5個以上であることが高濃度で分散でき好ましく、カーボンナノチューブ100本中50本以上が屈曲点を5個以上持っていることが好ましい。
本発明においては、<1>〜<4>のすべての特徴を備えたカーボンナノチューブ集合体である。<1>〜<4>のすべての特徴を有するカーボンナノチューブを含有することで高度に分散性に優れ、高透過率、高導電性の特性を発揮できる。すなわちカーボンナノチューブ100本中50本以上が層数2〜5層であり、内径が3nm〜6nmのカーボンナノチューブを100本中50本以上含有し、かつ2個以上の屈曲点を100本中50本中含有していることで高分散性が発揮できる。本発明で用いるカーボンナノチューブ集合体は、層数も比較的少ないので透過率に優れる。さらに、これらは屈曲点を有していることにより、良分散性で少ない本数で効率良く熱や電気の伝導ネットワークを構築でき、より透過率に優れる利点がある。
本発明における屈曲点間距離は、上記の方法で観察した起点とその隣の接点、その接点とその隣の接点とその距離を順に計測した合計の距離を、屈曲点の数で割った値とする。上記測定を合計100本のカーボンナノチューブについて行うことによって、カーボンナノチューブの屈曲点間距離とその本数を確認することができる。屈曲点間距離は一本のカーボンナノチューブに屈曲点が2個以上あればよいが、500nm以下であることにより分散性を向上できる。好ましくは、300nm以下である。短ければ短いほど分散性が向上できるが、実質的には100nm以上である。本発明においては、屈曲点間距離が500nm以下であるカーボンナノチューブが100本中50本以上である。好ましくは80本以上、さらに好ましくは90本以上である。上記の割合で含まれていることにより、バンドル構造をとりにくく、マトリックスとの親和性が高いカーボンナノチューブが得られる。また、カーボンナノチューブ合成後において合成カーボンナノチューブの屈曲点間距離が100nm〜500nmの範囲の間隔を有していることより、超音波照射などの外力を加えると屈曲点でカーボンナノチューブを切断でき長さを調節できると同時に切断されたカーボンナノチューブは濾過や遠心により容易に均一な長さの集合体を得ることができ好ましい。
カーボンナノチューブ集合体の長さが均一であることは、導電性フィルム用途など均一な面抵抗あるいは体積抵抗を要求される場合に非常に有効である。カーボンナノチューブ100本中における50本以上が平均長さの±50%以内であることがより好ましいが、より好ましくは、±20%以内、さらに好ましくは±10%以内である。平均長さは、上述の長さの測定の場合と同様に測定した相加平均の値である。本発明のカーボンナノチューブには屈曲点が含有されていることにより、均一な長さのカーボンナノチューブ集合体を得ることができる。
カーボンナノチューブ集合体にはアモルファスカーボンや粒子状の不純物が含有されない方が分散性もよく、熱・電気伝導ネットワークを阻害することなくカーボンナノチューブの本来の特性を発揮することができるので好ましい。また、カーボンナノチューブのグラファイト層の欠陥が少ない方が、導電性が高く好ましい。カーボンナノチューブのグラファイト層の欠陥は、例えば以下の方法で評価することができる。共鳴ラマン散乱測定法の測定により得られるスペクトルで、1550〜1650cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1300〜1400cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたときに、G/D比で評価することができる。Gはグラファイト構造に起因したピークで、Dはグラファイト構造の欠陥に起因したピークであり、グラファイト構造に欠陥が多いと、G/D比は小さくなる。つまり、G/D比が大きいカーボンナノチューブほど、グラファイト層に欠陥が少なく、耐熱性、機械的強度、導電性に優れると考える。本発明のカーボンナノチューブ集合体はG/D比が2以上であることが必要である。G/D比が2未満であると、カーボンナノチューブ層の欠陥が多く所望の導電性などの特性が得られない。また、G/D比が2未満であるカーボンナノチューブ集合体はもろく、分散工程において外力をわずかに加えただけでグラファイト層がぼろぼろになってしまい、切断し長さを調節しようと思ってもうまくいかない。たとえ短く加工できたとしてもカーボンナノチューブの特性はなくなってしまう。G/D比は好ましくは3以上であり、より好ましくは5以上である。上限としては、特に制限はないが、実質的に50以下である。
このようなカーボンナノチューブの集合体を得る方法について説明する。本発明のカーボンナノチューブの集合体を得る工程としては、大きく分けて、2〜5層を主体とし、内径3nm〜6nmの範囲にあり、複数の屈曲点を有するカーボンナノチューブを製造する工程および得られたカーボンナノチューブを必要に応じて切断し、分散する工程がある。また、均一な長さをもつものを分離する工程を含むことが好ましい。すなわち、分散性に優れる内径が太く、かつ層数が少なく、複数の屈曲点を有するカーボンナノチューブを合成し、分散工程において層数が少なく、屈曲点を有している特性を利用し効率よく切断することでカーボンナノチューブの長さを調節する。つまり内径が太く、屈曲点を有する比較的層数の少ない高分散性のカーボンナノチューブに対し、外力を加えることによりカーボンナノチューブを切断し、長さを調節するのであるが、層数が少ないので最低限の外力を加えることによってカーボンナノチューブを効率よく切断でき、屈曲点を有していることでより切断効率が向上するのである。これらによって高導電性であり、長さがそろったカーボンナノチューブ集合体が得られる。
まず、内径が太くかつ層数が少ないカーボンナノチューブであり、複数の屈曲点を有するカーボンナノチューブを合成する工程について説明する。複数の屈曲点を有するカーボンナノチューブとは、カーボンナノチューブを0.2〜2μmの長さに切断したときに、1本中に屈曲点を2個以上含むカーボンナノチューブが100本中50本以上となるように屈曲点を有しているカーボンナノチューブであり、切断前の長さが長いカーボンナノチューブにおいては、前述の長さ、および屈曲点の測定方法によって、カーボンナノチューブの任意に選択した2μmの長さをもつ2点間中に屈曲点を2個以上有しているカーボンナノチューブである。カーボンナノチューブは、基本的にはグラファイト層に欠陥の少ない高品質なカーボンナノチューブを製造する方法である触媒化学気相成長法(化学気相成長法の中で担体に遷移金属を担持した触媒を用いる方法)によって合成する。触媒化学気相成長法で合成することにより、触媒の担持量を多く、反応温度を高く設定することで層数が少なく内径が太いカーボンナノチューブを効率良く合成できかつアモルファスカーボンなどの不純物を少なくできグラファイト層の欠陥を低減できる。触媒化学気相成長法の中においては、触媒を基板に静置した状態に触媒を流動させた状態で反応を行うことが本発明において非常に有効である。触媒を流動させながらカーボンナノチューブを合成することにより、反応中において炭素源のガスと触媒が均一に接触し、2層〜5層の均質なカーボンナノチューブが高収率で得られる。また、触媒を流動させながら反応を行うことで、カーボンナノチューブ1本中の屈曲点がより多く、屈曲点間距離が一定であるカーボンナノチューブが得られる。
本発明で用いる固体触媒は、担体に金属触媒を担持したもので担体はゼオライトである。
ゼオライトには、結晶性メタロシリケート、結晶性シリケート、結晶性アルミノシリケート、結晶性アルミノフォスフェート、結晶性メタアルミノフォスフェートなどがあるが、本発明においては、結晶性メタロシリケートを使用する。結晶性メタロシリケートの中でも、チタノシリケートを好ましく用いることができる。
本発明のカーボンナノチューブは内径が3nm〜6nmである。内径の太いカーボンナノチューブを合成するには、担持金属径を大きくする。担持金属径を大きくするには、担持金属量を多くすればよく、それによって、生成するカーボンナノチューブの内径を大きくすることができる。本発明の100本中50本以上が3〜6nmの内径を持つカーボンナノチューブを合成するためには、固体担体の触媒金属の担持量は0.1〜10重量%であり、好ましくは0.5〜10重量%である。固体担体に担持する金属の種類は、V,Mo,Fe,Co,Ni,Pd,Pt,Rh、W、Cuが内径や層数を制御するうえで特に好ましく、さらに好ましくは、Fe,Co,Niが用いられる。金属は1種類だけを担持させても、2種類以上を担持させてもよいが、好ましくは、2種類以上を担持させるようにした方がよい。2種類の金属を担持させる場合は、Co,Ni,Pd,Pt,Rhと他の金属の組み合わせが特に好ましい。CoとFe,Ni,V,Mo,Pdの1種以上とを組み合わせる場合が最も好ましい。固体担体に対する金属塩の担持方法は特に限定されない。例えば担持したい金属の塩(触媒成分)を溶解させた非水溶液中(例えばエタノール溶液)又は水溶液中に固体担体を含浸し、充分に分散混合した後乾燥させ、担体上に触媒成分を担持する(含浸法)方法を用いることができる。 その他の方法として平衡吸着法、イオン交換法などが用いられる。触媒成分の種類は特に限定されないが、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩などの無機酸塩、エチレンジアミン4酢酸錯体やアセチルアセトナート錯体のような錯塩、金属のハロゲン化物、有機錯塩などが用いられる。
本発明におけるカーボンナノチューブの合成において、流動剤を添加することが好ましい。流動剤を添加することで、流動性が悪いゼオライトに流動性を付与でき、より多くの屈曲点を含有せしめ、屈曲点間距離が100−500nmであるカーボンナノチューブが得られる。流動剤としては、マグネシアの他、アルミナ、酸化チタン、活性炭、グラファイトが好ましく用いられる。これらは1種以上であればよい。中でもマグネシア、アルミナ、酸化チタンが好ましく、特に合成後酸処理で容易に溶解除去できるマグネシアが好ましく用いられる。添加量は、固体触媒の重量に対し、50重量%以下が好ましく、更に好ましくは1から30重量%である。上記流動剤は、通常、粉状であるが、その比表面積が10m2/g以上であることが好ましい。前記比表面積はBET法で測定するものとする。
通常、上記流動剤は予め固体触媒と予め混合された状態で使用される。
一般に、流動化する2種類の粉体を混合し流動化させた場合、双方が分級することが予測されるが、固体触媒と流動剤のように、一方が流動化せず、他方が流動化する粉体が予め混合された状態で使用することで両者は容易に分級せず、全体として流動化させることができる
流動化の有無は、電気炉に設けた観察口から固体触媒層を観察することで流動化有無を確認することができる(上記縦型石英ガラス反応管としては後述する図1に示したのと同様の装置を用いることができる) 。また、本発明において流動性が悪いとは、一旦流動化しても1分以内に流動化が停止してしまうことであり、上述の観察口から確認することができる。
次に、上記カーボンナノチューブ製造装置について図面を用いて説明する。図1は、本発明で用いるカーボンナノチューブ合成装置の形態の一例を示す概念図であり、装置形状などこれに限定されるものではない。
反応器100は、装置中央部に固体触媒保持とガス分散のための石英焼結板101を備え、密閉型触媒供給器102を介して触媒成分を担持した固体触媒を任意量計量し、不活性ガスに同伴させて反応器100に供給できる固体触媒供給ライン103、装置底部には任意成分としての不活性ガスを含む所定濃度の炭素含有ガスが供給される原料ガス供給ライン104を備える。その他、反応器100は廃ガスの排出ライン105と、反応器を所定の温度に加熱、保持できる加熱器106を具備する。また加熱器106には流動化が観察できるよう点検口107を具備する。
次に、反応方法について説明する。予め加熱器106により反応温度まで加熱保持され、不活性ガスを例えば原料ガス供給ラインから反応器内に導入する。不活性ガスに置換された反応器に、固体触媒供給ライン103より所定量の固体触媒と所定比率の流動剤が混合された混合触媒を供給する。
不活性ガスの供給量を、最小流動化速度に上げ、器内で固体触媒の流動化並びに焼成を行う。その後、炭素含有ガス添加ラインを開け、任意濃度に設定した炭素含有ガスの供給を開始する。
なお、上記最小流動化速度は、炭素含有ガスを流通させ、固体触媒と流動剤の混合物に接触させた際に、混合物が流動を開始する最小の流量をいい、石英反応管の上下間の差圧から固体触媒層の差圧を測定し、差圧変化により最小流動化速度を把握することができる。流量に対する差圧がほぼ一定になった場合に流動を開始したと判断することができる。流動化しない場合、いわゆる混合物層中をガスが流通する際に偏流が生じるため、触媒層の差圧が殆ど測定されない。これらのことから、流動化有無を確認することができる。
炭素含有ガスの供給速度、すなわち、線速は固体触媒に工業的に意味のある量のカーボンナノチューブの合成量が得られる滞留時間が得られるように調整される。
固体触媒の供給量は、前述の炭素含有ガスの炭素持ち込み量から適当な供給量を決定する。つまり、炭素含有ガスの未反応率が工業的に意味のある範囲で適正化する。
これらは、固体触媒の終末速度に起因するものであるから、担体の種類、金属触媒の担持量によりそれぞれ異なった条件を取る。
次に、原料ガスに用いられる炭素含有ガスとしては、カーボンナノチューブ形成反応条件下で気体である炭化水素類、アルコール類のうち、炭素数が6以下であるものが好ましく、例えばメタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、プロピレン、イソプロピレン、n−ブタン、ブタジエン、1−ブテン、2−ブテン、2−メチルプロパン、n−ペンタン、2−メチルブタン、1−ペンテン、2−ペンテン、シクロペンタン、シクロペンタジエンが好ましく使用できる。炭素数が大きすぎると、熱安定性が低くなり熱分解を抑制するための濃度、流速の制御が比較的難しくなる。中でも、炭素数が2であるアセチレンを用いることにより、層数が2層〜5層であり、内径が3nm〜6nmであるカーボンナノチューブの比率をあげることがさらに好ましい。
原料となる炭素含有ガスは、窒素、アルゴン、水素、ヘリウムなどの不活性ガスとの混合物を用いることができる。このように炭素含有ガスと不活性ガスの併用は、炭素化合物の濃度をコントロールしたり、キャリアガスとしての効果があることから好ましい。
これらのガスが固体触媒に供給される際のガス組成として、工業的には炭素含有ガスのガス濃度は高い程好ましいが、炭素源の種類によって適正値がある。つまり、反応性の高いアセチレンガスを使用する時など、数十容量%の濃度で用いると、熱分解によるロスおよび、カーボンナノチューブの合成品に多くのアモルファス成分を含むことから、1〜10容量%の間で使用されるのが好ましい。
本発明の方法では固体触媒と原料となる炭素含有ガスを、カーボンナノチューブ形成条件下で接触させる。カーボンナノチューブ形成条件としては、500℃から1000℃が好ましく、さらに好ましくは600℃から1000℃であり、より好ましくは700℃から1000℃である。反応温度が500℃未満であると層数が多くなってしまう。反応温度を700℃以上とすることで2層〜5層のカーボンナノチューブの比率をあげることができる。また、流動化させるのに好ましいガスの流速は、使用する固体触媒の性状にて変化するものであるが、目安として2から6cm/秒である。なお、この流速は室温基準のものである。
また本発明のカーボンナノチューブ含有組成物は、担体材料や触媒金属を除いて使用した方がよい。担体材料や触媒金属は、酸などで取り除くことができる。例えば、担体としてゼオライト、触媒金属としてコバルトを使った場合には、特開2004−352605号公報に記述されたように、フッ化水素酸でゼオライトを、塩酸でコバルトを取り除くことができる。また、特開2004−277279号公報に記述されたように、水酸化ナトリウム水溶液でもゼオライトを取り除くことができる。さらに、特開2005−097029号公報に記述されたように、有機溶媒と水との2液を用いた分離方法で、ゼオライトおよびコバルトとカーボンナノチューブを分離して個別に回収することもできる。また、特開2004−352605号公報に記述されたように、触媒金属の量を高度に取り除きたい場合には、焼成処理を行ってから酸で処理するとよい。それは、金属がグラファイトなどの炭素化合物で覆われているため、一度触媒周りの炭素を焼きとばしてから酸処理すれば、金属を効率よく除去することができるからである。本発明においては、カーボンナノチューブを基体から剥がす処理を超音波洗浄機、超音波ホモジナイザーやビーズミルを用いることが、基体からカーボンナノチューブを剥がす効率がよいために好ましい。より好ましくは、超音波洗浄機、超音波ホモジナイザーを用いることが、以下の分散工程におけるカーボンナノチューブの切断の効率が良く好ましい。
次に、得られたカーボンナノチューブを必要に応じて切断し、分散する工程について説明する。分散は、カーボンナノチューブのグラファイト構造に欠陥を生じにくいことバンドルが解れより均一に分散できることより湿式で行う。例えば湿式においては、上記カーボンナノチューブと溶媒を慣用の混合分散機(例えばボールミル、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ホモジナイザー、超音波洗浄機、アトライター、デゾルバー、ペイントシェーカー等)を用いて混合し分散させることができるが、超音波ホモジナイザーを用いることで、カーボンナノチューブ一本ずつに外力を加え、屈曲点に最も負荷がかかり屈曲点で効率よくカーボンナノチューブを切断でき、短時間で長さを調節できる。また、あらかじめビーズミルを用いてカーボンナノチューブを簡単に解しておいてから超音波ホモジナイザーで短時間処理を行うと超音波照射時間が短時間で済むためグラファイト化層への欠陥導入を低減させカーボンナノチューブを切断でき好ましい。超音波の出力は、弱いと処理に長時間必要であり、強いと短時間で処理が行える。所望の長さのものを得るにはカーボンナノチューブの処理量に対して出力と時間を調節すればよいが、例えば前記好ましい方法で作成した100mgのカーボンナノチューブを300Wで3分間処理すれば0.2〜2μmの長さのカーボンナノチューブを上記割合で得ることができる。
好ましくは、5分間以上であり、さらに好ましくは10分間以上処理をする。10分間以上とすることで、0.2〜2μmの長さをもつカーボンナノチューブの割合を80%以上とすることができる。
分散媒としては溶媒を用いることができ、この溶媒としては使用目的に応じ任意の溶媒を用いることができる。
非水系溶媒が必要である場合には、炭化水素類(トルエン、キシレン等)、塩素含有炭化水素類(メチレンクロリド、クロロホルム、クロロベンゼン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ等)、エーテルアルコール(エトキシエタノール、メトキシエトキシエタノール等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル等)、ケトン類(シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等)、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、フェノール等)、低級カルボン酸(酢酸等)、アミン類(トリエチルアミン、トリメタノールアミン等)、窒素含有極性溶媒(N、N−ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、N−メチルピロリドン等)、硫黄化合物類(ジメチルスルホキシド等)などがある。
なかでも分散媒としては、水、アルコールおよびそれらを組み合わせた溶媒を含有する分散媒であることがカーボンナノチューブの分散性が向上し好ましい。上記液における各成分の配合割合は、以下のとおりである。
上記分散液には、通常、上記カーボンナノチューブ、分散媒の他、界面活性剤や高分子系の分散剤を含有し分散させる。分散剤は、分散媒中におけるカーボンナノチューブの分散性を向上させる機能および分散時におけるカーボンナノチューブのグラファイト層の保護的役割を果たす。
分散剤としては、界面活性剤あるいは、高分子系分散剤のいずれも用いることができるが、高分子系分散剤を用いる方が高分子系分散剤がカーボンナノチューブに巻き付き、より分散性を向上でき、経時的に安定な分散液を得ることができる。また、高分子がカーボンナノチューブに巻き付くことによって分散時の外力によるカーボンナノチューブのグラファイト層の欠陥導入を低減できより効率的に屈曲点においてカーボンナノチューブを切断でき好ましい。高分子系分散剤は例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩等の水溶性ポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(Na−CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アミロース、シクロアミロース、キトサン等の糖類ポリマー、 ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマーおよびそれらの誘導体が使用できる。なかでも、導電性ポリマーおよびそれらの誘導体を使用することによりカーボンナノチューブの導電特性を効率的に発揮することができ好ましい。ポリマーの分子量には特に制限はなく、分子量を変えることによってカーボンナノチューブへの巻き付き方を調節することができる。
界面活性剤としては、イオン性界面活性剤のものと非イオン性界面活性剤のものに分けられるが、本発明ではいずれの界面活性剤を用いることも可能である。イオン性界面活性剤としては、例えば以下のような界面活性剤があげられる。かかる界面活性剤は単独でもしくは2種以上を混合して用いることができる。
イオン性界面活性剤は、陽イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤および陰イオン性界面活性剤にわけられる。陽イオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩などがあげられる。両イオン性界面活性剤としては、アルキルベタイン系界面活性剤、アミンオキサイド系界面活性剤がある。陰イオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルフェニルエーテルスルホン酸塩等の芳香族スルホン酸系界面活性剤、モノソープ系アニオン性界面活性剤、エーテルサルフェート系界面活性剤、フォスフェート系界面活性剤、カルボン酸系界面活性剤であり、中でも、分散能、分散安定能、高濃度化に優れることから、芳香環を含むもの、すなわち芳香族系イオン性界面活性剤が好ましく、特にアルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルフェニルエーテルスルホン酸塩等の芳香族系イオン性界面活性剤が好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば以下のような界面活性剤をあげられる。かかる界面活性剤は単独でもしくは2種以上を混合して用いることができる。
非イオン性界面活性剤の例としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの糖エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエチルなどの脂肪酸エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリプロピレングリコールなどのエーテル系界面活性剤、ポリオキシアルキレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルジブチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルベンジルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルビスフェニルエーテル、ポリオキシアルキルクミルフェニルエーテル等の芳香族系非イオン性界面活性剤があげられる。中でも、分散能、分散安定能、高濃度化に優れることから、芳香族系非イオン性界面活性剤が好ましく、中でもポリオキシエチレンフェニルエーテルが好ましい。
カーボンナノチューブを含有する液は、液中、カーボンナノチューブを0.01重量%以上含有していることが好ましく、0.1重量%以上含有していることがより好ましい。上限としては、通常20重量%以下であることが好ましく、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下の濃度で含有していることである。
分散剤の少なくとも1種の含有量としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、0.1〜50重量%、より好ましくは、0.2〜30重量%である。分散剤の少なくとも1種とカーボンナノチューブの混合比は(分散剤/カーボンナノチューブ)としては、特に限定はないが、重量比で好ましくは0.1〜20、より好ましくは0.3〜10である。本発明の液は、カーボンナノチューブ、分散剤、分散媒以外の物質が含まれていてもかまわない。
次に、均一な長さのカーボンナノチューブを回収する工程について説明する。本発明のカーボンナノチューブ集合体は、遠心分離、フィルター濾過によってサイズ分画することが好ましい。例えば、液を遠心分離することによって、未分散のカーボンナノチューブや、過剰量の分散剤、カーボンナノチューブ合成時に混入する可能性のある金属触媒などは沈殿するので、遠心上清を回収すれば液中に分散しているカーボンナノチューブを液の形で採取することができる。未分散のカーボンナノチューブおよび、不純物などは沈殿物として除去することができ、それによって、カーボンナノチューブの再凝集を防止でき、液の安定性を向上することができる。
遠心分離する際の遠心力は、100G以上の遠心力であればよく、好ましくは、1000G以上、より好ましくは10,000G以上である。上限としては特に制限はないが、汎用超遠心機の性能より200,000G以下であることが好ましい。
また、フィルター濾過に用いるフィルターの孔径は、0.05μm〜5μmの間で適宜選択することができる。それにより、未分散のカーボンナノチューブや、カーボンナノチューブ合成時に混入する可能性のある不純物等のうち比較的サイズの大きいものを除去することができる。
上記方法により層数が2層〜5層、内径が3nm〜6nm、長さが0.2〜2μm、1本に2個以上の屈曲点を持つことを特徴とするカーボンナノチューブを上記の割合で含有するカーボンナノチューブ集合体を製造することができる。上記のように分散を湿式で行った場合には、本発明のカーボンナノチューブ集合体は、分散液として得られるが、この分散液はそのまま用いても良いし、液を乾燥させ除去しても良いし、フィルムにする場合は分散液を基材に塗布すればよい。また、特開2005−097024号公報に記載されているように、真空雰囲気下で1200〜3200℃の条件で処理したカーボンナノチューブは、グライファイト層に構造欠陥および電子欠陥を少なくできカーボンナノチューブの導電性をあげることができるため、本発明におけるカーボンナノチューブ集合体を上記のように真空雰囲気下で高温で処理したあとに、フィラーなどとして用いることでさらに導電性を向上でき好ましい。また、基板上に分散液を塗布し導電性ネットワークを構築した後に、真空雰囲気下高温で処理を行っても同様の効果が得られ好ましい。
本発明により得られたカーボンナノチューブ集合体を含有する分散液は、透明導電性フィルムの導電材料として用いることができる。透明導電性フィルムは、導電性を発揮しつつ光透過率、ヘイズ値を向上させる必要があり、カーボンナノチューブの分散性を高め、薄く導電層を形成することが重要である。本発明のカーボンナノチューブ集合体は内径が太く、層数が少ないので透明性に優れると同時に屈曲点を有しているため、効率的に導電性ネットワークを構築でき透明導電性に優れた透明導電性フィルムが得られる。透明導電性フィルムの製造方法には制限はない。分散液を基材に塗布した後、風乾、加熱、減圧などの方法により不要な分散媒を除去することで得られる。それによりカーボンナノチューブは、3次元編目構造を形成し基材に固定化される。
本発明で得られたフィルムは面抵抗均一性(直線性)に優れる。本発明による面抵抗均一性は、スピンコートあるいはマイクログラビアコートによりカーボンナノチューブ分散液をPETフィルム上にコーティング、乾燥し6cm×8cmのフィルムサンプルを作成する。フィルムの両端に電極を解して15VのDC電圧を印加しておき、針電極を用いてA点からB点までの電圧を順次測定する。試料の表面抵抗が完全に均一であれば、この電圧の測定値は直線的に増加するはずであるが、一般には多少ずれる。このずれをΔEとし、印加電圧(Eb)との比で表面抵抗の直線性と定義される。数値が小さければ小さいほど面抵抗均一性に優れる。
表面抵抗の直線性=ΔE/ Eb×100(%)
面抵抗均一性の値は、カーボンナノチューブがフィルム表面で均一に分散され良好に導電ネットワークが構築されていればいるほど低い値が得られる。例えば、フィルムに傷が生じ導電ネットワークが一部でも分断されてしまうと急激に上昇してしまう。面抵抗均一性が優れると抵抗膜式型タッチパネルの透明導電電極に利用できる。一般的に抵抗膜式の電極として求められる面抵抗均一性は1.5%以下である。1.5%以上であると電極として正確に作用しなくなる。本発明により得られたカーボンナノチューブ集合体を含有する透明導電フィルムは、カーボンナノチューブの分散性が高いうえ、カーボンナノチューブの内径が太く、長さが均一で、屈曲点を有しているため、少ない本数で効率的に導電性ネットワークを構築でき、面抵抗均一性が低いフィルムが得られる。層数が多い多層カーボンナノチューブであれば、グラファイト化度が低いうえ、屈曲点を有さないので高い面抵抗均一性を得るためには多数のカーボンナノチューブが必要であり、層数が多いために透明性が低下する。一方、単層カーボンナノチューブでは分散性が悪いうえ、屈曲点を有さないので少量では導電ネットワークを構築できず、高い面抵抗均一性を得るためには多数のカーボンナノチューブが必要となってしまう。
本発明により得られるカーボンナノチューブ集合体を用いたフィルムは含有するカーボンナノチューブが屈曲点を有し、高導電性を維持しているため、面抵抗均一性が1.5%以下であるものが得られ、さらに、カーボンナノチューブの長さを調節し分布が狭いナノチューブ集合体を用いることにより1%以下、0.5%以下のフィルムが得られる。
また、本発明により得られるカーボンナノチューブ集合体を含有するフィルムは折り曲げに対して耐性の高いものが得られる。折り曲げによる耐性は、一定の折り曲げ半径で数回折り曲げフィルムの表面抵抗を測定し、変化率を求める。表面抵抗の測定はJISK7149準処の4端子4探針法を用いロレスタEP MCP−T360((株)ダイアインスツルメンツ社製)を用いて行った。高抵抗測定の際は、ハイレスターUP MCP-HT450(ダイアインスツルメンツ製、10V、10秒)を用いて測定できる。本発明のカーボンナノチューブ集合体は、屈曲点を有するのでフィルムを折り曲げた際もカーボンナノチューブがバネの様な働きをし伸びたり縮んだりできるため、フィルムの形状に追随でき表面抵抗の変化が小さい。本発明のカーボンナノチューブ集合体を含有するフィルムは、折り曲げ半径5mmで100回折り曲げを繰り返したときの表面抵抗の変化率が±10%((初期抵抗値−折り曲げ後抵抗値)の絶対値/初期抵抗値×100(%))であるものが得られる。
本発明のカーボンナノチューブ集合体を含有するフィルムは耐湿熱性に優れたものである。フィルムの耐湿熱性は、恒温恒湿機を用いてフィルムを温度・湿度一定条件下に一定時間静置することで測定する。湿熱処理前後の表面抵抗値を測定しフィルムの耐湿熱性を表面抵抗値変化率で評価する。表面抵抗値変化率とは、湿熱後の表面抵抗値を湿熱前表面抵抗値で除した値とする。表面抵抗値変化率は低い方が好ましく、一定である方が好ましい。表面抵抗変化率は多層や単層カーボンナノチューブよりも2層から5層のカーボンナノチューブの方が低く好ましい。なお、本発明では湿熱処理後恒温恒湿機より取り出して1時間室温静置後の表面抵抗値を測定するものとする。
本発明において好ましい態様によれば、上記測定法で測定した60℃、90%RHの条件下、1000時間の耐湿熱性試験後の表面抵抗値変化率が0.5〜10の範囲であるフィルムを得ることができ、さらには表面抵抗値変化率が0.5〜5であるフィルムを得ることができる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
<実施例1>(カーボンナノチューブの合成)
[担体への金属塩の担持]
トリフルオロ酢酸鉄(日本化学産業株式会社製)1.5g、トリフルオロ酢酸コバルト(日本化学産業株式会社製)15gを500mlナス型フラスコに取り、エタノール(試薬1級)300CCを加えて溶解させた。次に、チタノシリケート型ゼオライト粉末(NEケムキャット社製TS−1)100gを加えエタノール溶媒に分散させた後、超音波洗浄機で30分処理した。 その後、40℃恒温下、アスピレータを減圧源としたエバポレーターでエタノールを脱溶媒し、ゼオライト表面に触媒成分であるトリフルオロ酢酸鉄、トリフルオロ酢酸コバルトを担持した固体触媒を得た。
[流動剤の添加]
トリフルオロ酢酸鉄、トリフルオロ酢酸コバルトを担持した前述の固体触媒50gを蒸発皿に採取し、電気オーブンで250℃、30分焼成した。
室温まで冷却後、電気オーブンから取り出した。焼成済み触媒10gを100ccビーカに取り、そこに、酸化マグネシウム(関東化学株式会社製 試薬 特級)1gを秤量して加えた。くすり匙でよく混合し混合触媒を調整した。
[カーボンナノチューブの合成]
図1に示した反応器でカーボンナノチューブを合成した。
反応器100は内径32mm、長さは120mmで、中央部に石英焼結板101を具備し、石英管下方部には、不活性ガスおよび原料ガス(炭素含有ガス)を供給するための原料ガス供給ライン104、上部には排出ライン105および、触媒を固体触媒供給ライン103と、反応器を任意温度に保持できるように、反応器の円周を取り囲む加熱器106を具備する。また加熱器には装置流動状態が確認出来るよう点検口107が設けられている。
この反応器に調製した固体混合触媒8gを取り、固体触媒供給ライン103を通して、石英焼結板上に触媒をセットした。次いで、原料ガス供給ライン104からアルゴンガスを1000cc/分で供給開始した。器内をアルゴンガス雰囲気下とした後、温度を800℃に加熱した(昇温時間30分)。
800℃に到達した後、温度を保持し原料ガス供給ライン104のアルゴン流量を1980CC/分に上げ石英焼結板上の固体触媒の流動化を開始させた。加熱炉点検口107から流動化を確認した後、ガス組成をアセチレン1体積%、アルゴン99体積%に調整したガスに切り替え、2000CC/分で反応器に供給開始した。
30分供給した後、アルゴンガスのみの流通に切り替え合成を終了させた。
得られたカーボンナノチューブを含有する組成物0.4gを電気炉に入れ大気雰囲気で400℃(昇温時間40分)に加熱した。400℃で60分保持した後、室温まで冷却した。さらに、このカーボンナノチューブを含有する組成物を濃度2.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液200mL中に投入後、80℃に保持しながら5時間撹拌した。その後、孔径10μmのメンブレンフィルターで吸引濾過し、固液分離した。得られた固形物を蒸留水1Lで洗浄後、濃度5.1mol/Lの硫酸50mL中に投入し、80℃に保持しながら2時間撹拌した。その後、濾紙(東洋濾紙(株)(Toyo Roshi Kaisha)製、フィルターペーパー(Filter Paper) 2号、125mm)を用いて固形物を分離した。濾紙上の固形物を、蒸留水500mLで洗浄後、60℃で乾燥してカーボンナノチューブ組成物を回収率90%で得た。
<実施例2>(カーボンナノチューブの分散)
300mLの容器に実施例1で得たカーボンナノチューブ組成物200mg、ポリビニルピロリドン(東京化成社製)200mgを量りとり、イソプロピルアルコール200mLを加えて、超音波ホモジナイザー出力300W、30分間で氷冷下分散処理しカーボンナノチューブ組成物液を調製した。得た液を高速遠心機を使用し20000G、15分遠心し、上清を300mlのサンプル管に入れ保管した。カーボンナノチューブの濃度を5mLサンプリングし乾燥させたあと、電気炉で大気雰囲気下400℃で30分間焼成しその重量から計算したところ、0.78重量%であった。
<実施例3>(カーボンナノチューブの分散)
500mLの容器に実施例1で得たカーボンナノチューブ組成物60mg、ポリオキシエチレンフェニルエーテル(アイ・シー・エヌ社製)120mgを量りとり、蒸留水300mLを加えて、超音波ホモジナイザー出力300W、30分間で氷冷下分散処理しカーボンナノチューブ組成物液を調製した。得た液を高速遠心機を使用し10000G、15分遠心し、上清を500mlのサンプル管に入れ保管した。カーボンナノチューブの濃度を5mLサンプリングし乾燥させたあと、電気炉で大気雰囲気下400℃で30分間焼成しその重量から計算したところ、0.15重量%であった。
<実施例4>(カーボンナノチューブの観察)
実施例2で得た液を乾燥させて高分解能透過型電子顕微鏡を用いて観察を行ったところ、200万倍で観察し、100nm四方の視野の中で視野面積の10%以上がカーボンナノチューブであり、10本以上のカーボンナノチューブが含有されるところの写真(A4サイズ)を10カ所とりスケールを使って任意に抽出した100本のカーボンナノチューブ中の内径を測定した。内径を測る位置はカーボンナノチューブが湾曲していない直線性のある位置を選んで測定した。その結果、100本中、95本のカーボンナノチューブの内径が3nm〜6nmであった。さらに、カーボンナノチューブ100本中2層〜5層のカーボンナノチューブは94本であり、そのうち、2層カーボンナノチューブの本数を測定したところ82本が2層カーボンナノチューブであり、3層〜5層カーボンナノチューブが12本含まれていた。次に実施例2で得た液をイソプロピルアルコールを用いて0.01重量%になるように希釈した後マイカ基板上にバーコートし、室温で乾燥させた。カーボンナノチューブの長さについて電解放射走査型電子顕微鏡で2万倍で観察し、4μm四方の視野の中で10本以上のカーボンナノチューブが含まれるところの写真(A3サイズ)を10箇所撮り、視野中から任意に抽出した100本の各カーボンナノチューブの長さを繊維に沿って測定した。計100本のカーボンナノチューブについて長さを測定したところ、0.2〜2μmの範囲にあるカーボンナノチューブは86本であった。また、0.2〜1μmにあるカーボンナノチューブは65本であった。求めたカーボンナノチューブの長さの相加平均は1.4μmであり、50本が平均長さの±18%であった。
同時に同写真を用いて、屈曲点の数と屈曲間距離を測定したところカーボンナノチューブ100本中91本が屈曲点を2個以上もち、平均屈曲数は7個であった。また、500nm以下の屈曲点間距離を持つカーボンナノチューブは100本中81本であり、屈曲点間距離の平均は230nmであった。また、実施例2で得た液を0.1μmのメンブレインフィルター(ミリポア社製)を用いてろ過し、イオン交換水で洗浄することにより分散剤を除去した後、乾燥させ粉体のカーボンナノチューブ集合体を得た。これを用いて、ラマンG/D比を共鳴ラマン散乱測定法において633nmのレーザーを用いて測定した。1550〜1650cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1300〜1400cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたときのG/D比を計算したところ3回測定した平均のG/D比は3.5であった。
<実施例5>(カーボンナノチューブの観察)
実施例3で得た液を乾燥させて実施例4と同様の方法でカーボンナノチューブ集合体の特性を測定した。その結果、100本中92本のカーボンナノチューブの内径が3nm〜6nmであった。さらに、カーボンナノチューブ100本中2層〜5層のカーボンナノチューブは88本であり、そのうち、2層カーボンナノチューブの本数を測定したところ76本が2層カーボンナノチューブであり、3層〜5層カーボンナノチューブが12本含まれていた。また、長さを測定したところ、0.2〜2μmの範囲にあるカーボンナノチューブは75本であった。また、0.2〜1μmにあるカーボンナノチューブは66本であった。求めたカーボンナノチューブの長さの相加平均は1.1であり、50本が平均長さの±37%であった。同時に同写真を用いて、屈曲点の数と屈曲間距離を測定したところカーボンナノチューブ100本中89本が屈曲点を2個以上もち、平均屈曲数は5個であった。また、500nm以下の屈曲点間距離を持つカーボンナノチューブは100本中82本であり、屈曲点間距離の平均は210nmであった。また、実施例2で得た液を0.1μmのメンブレインフィルター(ミリポア社製)を用いてろ過し、イオン交換水で洗浄することにより分散剤を除去した後、乾燥させ粉体のカーボンナノチューブ集合体を得た。これを用いて、ラマンG/D比を共鳴ラマン散乱測定法において633nmのレーザーを用いて測定した。1550〜1650cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1300〜1400cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたときのG/D比を計算したところ、3回測定した平均のG/D比は3.1であった。
<実施例6>(カーボンナノチューブ含有フィルムの作製)
実施例4で得た液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)社製(ルミラー U36、125μm、光透過率91.3%)上にマイクログラビア(番手110R)を用いて塗布し(回転比1.0、WET膜厚10μm、塗工速度3m/分、第一乾燥110℃、第二乾燥105℃各1分)フィルム上にカーボンナノチューブを固定化した。次に、カーボンナノチューブを固定した反対の層にUV硬化型アクリル系のハードコートをコーティングした。得られた塗布フィルムの表面抵抗値は2.5×10Ω/sq.、光透過率86.8%、ヘイズ0.97%であり、高い導電性および、透明性を示した。表面抵抗値はJISK7149準処の4端子4探針法を用いロレスタEP MCP−T360((株)ダイアインスツルメンツ社製)を用いて行った。光透過率は分光光度計(日立製作所U-2001)の550nmでの光透過率を測定した。ヘイズは、JISK7361-1準拠のスガ試験機(株)製、全自動直読ヘイズコンピューターメーター HGM−2DP型を用いて測定した。
<実施例7>(カーボンナノチューブ含有フィルムの特性評価)
実施例6で得たフィルムの面抵抗均一性を測定した。フィルムを6cm×8cmにカットし、両端に電極を解して15VのDC電圧を印加しておき、針電極を用いて電圧を5cm間隔で順次測定し計算した。その結果、3回測定しその平均の面抵抗均一性は0.24%であった。次に、半径5mmの鉄の棒に8×10cmのフィルムを半周巻きつけ、巻きつけた箇所の折り曲げ前と1000回折り曲げ後の表面抵抗を5回測定しその平均値から表面抵抗変化率を測定した。表面抵抗値はJISK7149準処の4端子4探針法を用いロレスタEP MCP−T360((株)ダイアインスツルメンツ社製)を用いて行った。その結果、100回折り曲げ後において表面抵抗変化率は4%であった。
<比較例1>(カーボンナノチューブを含む液調製)
50mLの容器に単層カーボンナノチューブ(ナノテクポート製、純度50〜80%)、60mg、ポリオキシエチレンフェニルエーテル(アイ・シー・エヌ社製)60mgを量りとり、蒸留水30mLを加えて、超音波ホモジナイザー出力300W、30分間で処理した。調製した液は底部に凝集体が確認でき分散性が悪かった。得た液を高速遠心機を使用し20000G、15分遠心し、上清を50mlのサンプル管に入れ保管した。分散液のカーボンナノチューブ濃度を5mLサンプリングし乾燥させたあと、電気炉で大気雰囲気下400℃で30分間焼成しその重量から計算しめたところ、0.05重量%であった。さらに、本液を乾燥させて高分解能透過型電子顕微鏡を用いて観察を行い、実施例4と同様の方法でカーボンナノチューブの特性を測定した。その結果、内径が3nm〜6nmのカーボンナノチューブの本数は28本であり、72本が2nm未満の単層カーボンナノチューブであった。また、この液中に含まれるカーボンナノチューブは長さ0.2〜2μmの範囲にあるカーボンナノチューブが63本であった。また、0.2〜1μmにあるカーボンナノチューブは37本であった。求めたカーボンナノチューブの長さの相加平均は1.8であり、50本が平均長さの±76%であった。同時に同写真を用いて、屈曲点の数と屈曲間距離を測定したところカーボンナノチューブ100本中12本が屈曲点を2個以上もっていた。また、500nm以下の屈曲点間距離を持つカーボンナノチューブは100本中5本であった。また、実施例2で得た液を0.1μmのメンブレインフィルター(ミリポア社製)を用いてろ過し、イオン交換水で洗浄することにより分散剤を除去した後、乾燥させ粉体のカーボンナノチューブ集合体を得た。これを用いて、ラマンG/D比を共鳴ラマン散乱測定法において633nmのレーザーを用いて測定した。1550〜1650cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1300〜1400cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたときのG/D比を計算したところ、3回測定した平均のG/D比は2.9であった。
(カーボンナノチューブを含む透明導電性フィルム)
比較例1で得た液を実施例2と同様の方法でPETフィルム上に固定しフィルムの面抵抗均一性を測定した。その結果、3回測定しその平均の面抵抗均一性は2.4%であった。
<比較例2>(多層(6層以上)カーボンナノチューブを含む液調製)
50mLの容器に多層カーボンナノチューブ(カーボンナノチューブコーポレート社製)60mg、ポリオキシエチレンフェニルエーテル(アイ・シー・エヌ社製)60mgを量りとり、蒸留水30mLを加えて、超音波ホモジナイザー出力3000W、30分間で処理した。得られた液を高速遠心機を使用し20000G、15分遠心した。得られた上清を50mlのサンプル管に入れ保管した。分散液のカーボンナノチューブ濃度を5mLサンプリングし乾燥させたあと、電気炉で大気雰囲気下400℃で30分間焼成しその重量から計算しめたところ、0.15重量%であった。さらに、本液を実施例4と同様にして、カーボンナノチューブの観察を行ったところ、内径が3nm〜6nmのカーボンナノチューブの本数は62本であり、31本が内径6nmを越えるカーボンナノチューブであった。カーボンナノチューブ100本中の層数を測定した結果、2層〜5層のカーボンナノチューブは20本であり、6層以上のカーボンナノチューブが66本であった。また、層数は大きいものは10層以上であった。また、この液中に含まれるカーボンナノチューブは長さ0.2〜2μmの範囲にあるカーボンナノチューブが48本であった。また、0.2〜1μmにあるカーボンナノチューブは15本であった。求めたカーボンナノチューブの長さの相加平均は3.7であり、50本が平均長さの±89%であった。同時に同写真を用いて、屈曲点の数と屈曲間距離を測定したところカーボンナノチューブ100本中38本が屈曲点を2個以上もっていた。また、500nm以下の屈曲点間距離を持つカーボンナノチューブは100本中24本であった。また、実施例2で得た液を0.1μmのメンブレインフィルター(ミリポア社製)を用いてろ過し、イオン交換水で洗浄することにより分散剤を除去した後、乾燥させ粉体のカーボンナノチューブ集合体を得た。これを用いて、ラマンG/D比を共鳴ラマン散乱測定法において633nmのレーザーを用いて測定した。1550〜1650cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1300〜1400cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたときのG/D比を計算したところ、3回測定した平均のG/D比は1.1であった。
(多層(6層以上)カーボンナノチューブを含む透明導電性フィルム)
比較例1で得た液を実施例2と同様の方法でPETフィルム上に固定しフィルムの面抵抗均一性を測定した。その結果、3回測定しその平均の面抵抗均一性は1.4%であった。
<実施例8>
(カーボンナノチューブを含む透明導電性フィルムの耐湿熱性)
実施例6、比較例1、比較例2で得たカーボンナノチューブ含有フィルムに電極を装着しアクリル粘着ラミコートした。その状態で恒温恒湿機を用いて60℃、90%RH、1000時間の耐湿熱性試験を行った。表面抵抗値はデジタル超高抵抗/微少電流計(エーディーシー)を用いて印加電圧100Vで装着した電極間の抵抗を測定した。実施例6で得たフィルムの212時間後のフィルムの表面抵抗変化率は4.0であり、1000時間後は4.2であった。実施例6のフィルムが約200時間で表面抵抗変化率が一定になったのに対して比較例1のフィルムは表面抵抗変化率が大きく、212時間後には36となりその後も上昇し1000時間後の表面抵抗変化率は56であった。比較例2のフィルムは表面抵抗変化率がさらに大きく、212時間後には55となりその後も上昇し1000時間後の表面抵抗変化率は136であった。
本発明によれば、分散性に優れかつ、高透過性、高導電性を保持したカーボンナノチューブが得られ、導電性材料、熱伝導性材料などの用途に使用できる。
図1は、本発明で用いるカーボンナノチューブ合成装置の形態の一例を示す概念図ある。 図2は実施例3で得られたカーボンナノチューブ集合体の顕微鏡写真である。 図3は比較例1で得られたカーボンナノチューブ集合体の顕微鏡写真である。 図4は屈曲点、および屈曲点間距離の測定モデルである。
符号の説明
100 反応器
101 石英焼結板
102 密閉型触媒供給器
103 固体触媒供給ライン
104 原料ガス供給ライン
105 排出ライン
106 加熱器
107 点検口

Claims (11)

  1. 下記の特徴をもつカーボンナノチューブ集合体。
    <1>高分解能透過型電子顕微鏡において観察したときに、任意の100本のカーボンナノチューブ中50本以上の層数が2層〜5層の範囲にある
    <2>高分解能透過型電子顕微鏡において観察したときに、任意の100本のカーボンナノチューブ中50本以上の内径が3nm〜6nmの範囲にある
    <3>電解放射走査型電子顕微鏡において観察したときに、任意の100本のカーボンナノチューブ中50本以上の長さが0.2〜2μmの範囲にある
    <4>電解放射走査型電子顕微鏡において観察したときに、任意の100本のカーボンナノチューブのうち50本以上が1本に2個以上の屈曲点を持つ
  2. 任意の100本中のカーボンナノチューブ中50本以上の屈曲点間距離が500nm以下であることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノチューブ集合体。
  3. 任意の100本のカーボンナノチューブ中50本以上における長さが平均長さの±50%であるカーボンナノチューブを含有することを特徴とする請求項1あるいは2記載のカーボンナノチューブ集合体。
  4. 上記任意の100本のカーボンナノチューブ中80本以上の長さが0.2〜2μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のカーボンナノチューブ集合体。
  5. 共鳴ラマン散乱測定法の測定により得られるスペクトルで1560〜1600cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1310〜1350cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたときにG/D比が2以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のカーボンナノチューブ集合体。
  6. 2〜5層を主体とし、内径3nm〜6nmの範囲にあり、複数の屈曲点を有するカーボンナノチューブを合成し、得られたカーボンナノチューブを切断し分散させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  7. 前記カーボンナノチューブを切断し分散させる工程において、分散媒の存在下で超音波照射法を用いることを特徴とする請求項6記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  8. 前記カーボンナノチューブを切断し、分散させる際、高分子系分散剤およびアルコール系溶媒を含有することを特徴とする請求項6または7記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項記載のカーボンナノチューブ集合体を含有してなることを特徴とするフィルム。
  10. フィルム表面における面抵抗均一性(直線性)が0.5%以下であることを特徴とする請求項9記載のフィルム。
  11. 請求項1〜5のいずれか1項記載のカーボンナノチューブ集合体を含有することを特徴とする分散液。
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