JP2012160290A - 導電性複合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明によれば、カーボンナノチューブの分散性を維持しつつ高い導電性を示す導電性複合体の製造方法を提供する。
【解決手段】分子内にスルホン酸基を有する分散剤(A)とカーボンナノチューブを含有する組成物(B)を基材上へ製膜する第一の工程、および組成物(B)が製膜された面にオーバーコート剤を積層する第二の工程を含む導電性複合体の製造方法であって、第一の工程における導電層の表面抵抗値Rと第二の工程を経た後の導電層の表面抵抗値Rとの関係がR>Rとなることを特徴とする導電性複合体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性複合体の製造方法に関する。より詳細には、透明性および導電性に優れた導電性複合体の製造方法に関する。
カーボンナノチューブは、その理想的な一次元構造に起因する様々な特性、例えば良電気伝導性、熱伝導性や力学強度などによって、様々な工業的応用が期待されている物質である。カーボンナノチューブの直径、層数および長さを制御することにより、性能向上および応用性の広がりが期待されている。 カーボンナノチューブは、通常、層数の少ない方が高グラファイト構造を有する。単層カーボンナノチューブや二層カーボンナノチューブは高グラファイト構造を有しているために導電性や熱伝導性などの特性も高いことが知られている。また、カーボンナノチューブの中でも層数の比較的少ない2〜5層カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブの両方の特性を有しているために、種々の用途において有望な素材として注目を集めている。
カーボンナノチューブの導電性を利用した用途として、例えば、クリーンルーム用部材や、ディスプレー用部材、自動車用部材などがあり、制電、導電、電波吸収、電磁波遮蔽、近赤外カット性付与に用いられる。カーボンナノチューブは、アスペクト比が高く少量で導電パスを形成できるため、従来のカーボンブラック等の導電性微粒子と比べ光透過性、耐脱落性に優れた導電性材料となりうる。例えば、カーボンナノチューブを用いて光学用透明導電性フィルムとして用いることが公知である(特許文献1)。カーボンナノチューブを用いて光透過性に優れた導電性フィルムを得るには、数10本の太いカーボンナノチューブのバンドル(束)や強固な凝集を解し高分散させ、少ないカーボンナノチューブの本数で効率良く導電パスを形成する必要がある。さらに、導電フィルムを積層した基材をタッチパネルなどに加工する際には、銀ペーストを焼結させて銀電極を形成する工程のような加熱工程が加わることが一般的であり、導電フィルムには高耐熱性が求められる。
カーボンナノチューブ分散手法には分散剤を用いて分散させる手法がある。中でも、カーボンナノチューブをより高度に分散させるためには、水性溶媒中、水に親和性のある親水性基およびカーボンナノチューブと親和性の高い疎水性基をもつ分散剤を用いて分散させることが好適である。しかしながら、カーボンナノチューブのバンドルや強固な凝集を解して高分散させるためには、大量の分散剤を必要とするが、過剰な分散剤による導電パスの阻害が生じるために導電性が低下してしまう。一方、分散剤の量が少ないと、バンドルを十分に解すことができず、導電パスを形成するために多くのカーボンナノチューブを必要とするため、透過率が低下してしまうといった問題がある。
この問題を解決するために、導電層を溶媒で洗い流すことにより、過剰な分散剤を除去する方法が知られている(特許文献2)。しかし、フィルムの洗浄工程を追加することによって、工程の複雑化、設備負担に伴うコストアップという問題が生じる。
一方、摩擦耐性、UV吸収性など新たな性質を付与する目的でカーボンナノチューブ導電層上に樹脂層を積層させる技術も知られている(特許文献3、4)。しかしながら、一般的に樹脂層を積層した場合、樹脂層の厚みにもよるが、導電層の導電性は低下するか、せいぜい元の導電層の導電性が維持されるのみである。
特開2006−269311号公報 特表2007−534588号公報 特表2004−526838号公報 特開2007−130950号公報
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、カーボンナノチューブの高分散性を維持しつつ、高導電性、高耐熱性を有する導電性複合体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、特定の分散剤で分散させたカーボンナノチューブ含有組成物を用いて導電層を形成した後、オーバーコート剤を積層させることにより、導電層の表面抵抗値が低下することを見いだし、本発明に至ったものである。
すなわち本発明は、下記の構成からなる。
<1>分子内にスルホン酸基を有する分散剤(A)とカーボンナノチューブを含有する組成物(B)を基材上へ製膜する第一の工程、および組成物(B)が製膜された面にオーバーコート剤を積層する第二の工程を含む導電性複合体の製造方法であって、第一の工程における導電層の表面抵抗値Rと第二の工程を経た後の導電層の表面抵抗値Rとの関係がR>Rとなることを特徴とする導電性複合体の製造方法。
<2>前記導電性複合体を150℃で1時間加熱処理した後の表面抵抗値Rが加熱前の表面抵抗値Rに対して0.8R<R<1.2Rとなることを特徴とする<1>記載の導電性複合体の製造方法。
<3>前記オーバーコート剤が下記式(1)で表される化合物(C)および/または化合物(C)の加水分解物であることを特徴とする<1>または<2>記載の導電性複合体の製造方法;
(RMXn−m (1)
式中、Rは水素原子、アルキル基、アシル基、ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、エポキシ基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアネート基およびその置換誘導体から選択される1種または2種以上であり、mが2以上である場合、同一でも異なってもよい;Mは、金属アルコキシドを形成しうる価数nの金属原子から選択される1種または2種以上である;Xはハロゲン原子、ORで表され、n−mが2以上である場合には同一でも、異なってもよい;Rは水素原子、アルキル基、アシル基、ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、エポキシ基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアネート基およびその置換誘導体から選択される1種、または2種以上である;mは0〜(n−2)である。nは2以上である。
<4>上記式(1)中、Mは、珪素、チタン、アルミニウム、ジルコニウムから選択される金属原子を表すことを特徴とする<1>〜<3>記載の導電性複合体の製造方法。
<5>上記式(1)中、mは0であり、nは4であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項記載の導電性複合体の製造方法。
<6>分散剤(A)がさらに芳香族環を有することを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1項記載の導電性複合体の製造方法。
<7>分散剤(A)がポリスチレンスルホン酸およびその誘導体であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1項記載の導電性複合体の製造方法。
<8>分散剤(A)がドデシルベンゼンスルホン酸またはその誘導体であることを特徴とする<1>〜<7>のいずれか1項記載の導電性複合体の製造方法。
<9>表面抵抗値RおよびRの関係がR/R<0.9であることを特徴とする<1>〜<8>のいずれか1項記載の導電性複合体の製造方法。
<10>表面抵抗値RおよびRの関係がR/R<0.8であることを特徴とする<1>〜<9>のいずれか1項記載の導電性複合体の製造方法。
<11>組成物(B)に含まれる分子内にスルホン酸基を有する分散剤(A)の量がカーボンナノチューブ1重量部に対して2重量部以上、20重量部以下であることを特徴とする請求項<1>〜<10>のいずれか1項記載の導電性複合体の製造方法。
<12>表面抵抗値Rが10〜10Ω/□以下であり、550nmの光透過率が70%以上であることを特徴とする<1>〜<11>のいずれか1項記載の導電性複合体の製造方法。
<13>カーボンナノチューブを含有する組成物のカーボンナノチューブ100本中50本以上が2〜5層カーボンナノチューブであることを特徴とする<1>〜<12>のいずれか1項記載の導電性複合体の製造方法。
<14><1>〜<13>のいずれか1項記載の導電性複合体の製造法によって得られた導電性複合体。
本発明によれば、カーボンナノチューブが高分散を維持しつつ高導電性、高耐熱性を有する導電性複合体が得られる。
本発明では導電性材料としてカーボンナノチューブを用いる。カーボンナノチューブはグラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ、2層に巻いたものを2層カーボンナノチューブ、多層に巻いたものを多層カーボンナノチューブという。
本発明によって製造される導電性複合体には求められる用途特性に応じて、単層、2層、多層のいずれのカーボンナノチューブも用いることができる。単層〜5層と層数の少ないカーボンナノチューブを用いれば導電性がより高く、光透過性も高い導電性複合体を得ることができるし、2層以上のカーボンナノチューブを用いれば光学特性において、光波長依存性の少ない導電性複合体を得ることができる。光透過性の高い導電性複合体を得るには、好ましくは、層数が単層から5層であるカーボンナノチューブが100本中50本以上含まれることが好ましく、2〜5層カーボンナノチューブが100本中50本以上含まれることがさらに好ましい。6層以上の多層カーボンナノチューブは一般に結晶化度が低く導電性が低いうえ、直径が太く導電層中のカーボンナノチューブ単位量あたりの接点数が小さくなり透明導電性が低くなる。すなわち、単層から5層であるカーボンナノチューブは導電性が高く透明性に優れ好ましい。好ましくは、単層から5層のカーボンナノチューブが100本中70本以上である。さらに好ましくは単層から5層のカーボンナノチューブが100本中80本以上である。さらに好ましい形態では、2層から5層が100本中50本以上であれば分散性、導電性が好ましい。さらに好ましくは2層から5層が70本以上である。好ましいのは上記単層から5層のカーボンナノチューブの本数の範囲と2層から5層のカーボンナノチューブの本数の範囲の両方を満たすことである。上記範囲を満たす中で、特に2層カーボンナノチューブがカーボンナノチューブ100本中50本以上であると導電性ならびに分散性が極めて高く好ましい。
カーボンナノチューブの層数は、例えば以下のようにサンプルを作成し測定できる。カーボンナノチューブが液などの媒体中に分散した組成物である場合、溶媒が水系の場合は組成物を水で見えやすい濃度に適宜希釈しコロジオン膜上に数μL滴下し風乾させた後、直接透過型電子顕微鏡でコロジオン膜上のカーボンナノチューブを調べる。溶媒が非水系の場合は、一度乾燥により溶媒を除去した後、再度水中で分散させてから適宜希釈してコロジオン膜上に数μL滴下し風乾させた後、透過型電子顕微鏡で観察する。導電性複合体中のカーボンナノチューブの層数は、塗布前の組成物を同様にして観察することができる。導電性複合体からカーボンナノチューブを採取する際は、エポキシ樹脂で包埋した後、カミソリなどを用いて0.1μm以下に薄く切断した切片を観察することによって、導電性複合体を透過型電子顕微鏡で調べることができる。また、溶媒でカーボンナノチューブを抽出し、組成物の場合と同様にして高分解能透過型電子顕微鏡で観察することによって調べることもできる。コロジオン膜上に滴下する液のカーボンナノチューブ濃度は、カーボンナノチューブを一本一本観察できる濃度であればよいが、例えば0.001重量%である。
上記カーボンナノチューブの層数の測定は、例えば、次のようにして行う。透過型電子顕微鏡を用いて40万倍で観察し、75nm四方の視野の中で視野面積の10%以上がカーボンナノチューブである視野中から任意に抽出した100本のカーボンナノチューブについて層数を測定する。一つの視野中で100本の測定ができない場合は、100本になるまで複数の視野から測定する。このとき、カーボンナノチューブ1本とは視野中で一部カーボンナノチューブが見えていれば1本と計上し、必ずしも両端が見えている必要はない。また視野中で2本と認識されても視野外でつながって1本となっていることもあり得るが、その場合は2本と計上する。
カーボンナノチューブの直径は、特に限定はないが,上記好ましい範囲の層数のカーボンナノチューブの直径は一般的に1nm〜10nmである。
カーボンナノチューブは表面や末端が官能基やアルキル基で修飾されていてもよく、またアルカリ金属やハロゲンでドーピングされていてもよい。例えば酸中で加熱することにより、カルボキシル基、水酸基で官能基化させてもよい。ドーピングすることによりカーボンナノチューブの導電性が向上し好ましい。
カーボンナノチューブの長さは特に限定はないが、短すぎると効率的に導電性パスを形成できないため0.1μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5μmである。上限は長すぎると分散性が低下する傾向にあるため5μm以下であることが好ましい。
カーボンナノチューブの長さは、後述するように電解放射走査型電子顕微鏡を用いて調べることができる。組成物の場合には、マイカ基板上に数μL滴下し風乾させた後、電解放射走査型電子顕微鏡で調べることができる。必要により、溶媒やイオンスパッタリングを用いて、あるいは350℃、30分大気雰囲気下で焼成してカーボンナノチューブを露出してから観察することができる。
導電性複合体中のカーボンナノチューブの長さは、塗布前の組成物を上記の組成物の場合と同様にして観察することができる。滴下するカーボンナノチューブ濃度はカーボンナノチューブが一本一本観察できる濃度が好ましく適宜希釈すれば良いが、例えば0.01重量%である。
導電性複合体からカーボンナノチューブを採取する際は、導電性複合体から溶媒を用いてカーボンナノチューブを抽出してから組成物と同様の方法で観察することができる。
カーボンナノチューブの長さについては、上記方法で試料を作成し電解放射走査型電子顕微鏡で1万倍で観察し、8μm四方の視野の中で10本以上のカーボンナノチューブが含まれるところで写真を撮り、各カーボンナノチューブの長さを測定する。視野中から任意に抽出した100本のカーボンナノチューブの長さを繊維に沿って測定する。一つの視野中で100本の測定ができない場合は、100本になるまで複数の視野から測定する。合計100本のカーボンナノチューブについて長さを測定することによって100本中に含まれるカーボンナノチューブの長さとその本数を確認することができる。本発明においては、長さが0.1μm以下の範囲にあるカーボンナノチューブが100本中30本以下であれば、接点抵抗を低減でき、光透過率を向上することができ好ましく、さらに0.5μm以下の範囲にあるカーボンナノチューブが100本中30本以下であるとより好ましい。さらに、本発明においては、長さが5μm以上の範囲にあるカーボンナノチューブが100本中30本以下であると分散性が向上でき好ましい。カーボンナノチューブの長さが長く、視野内で全体の長さが見えていない場合は、視野内のカーボンナノチューブの長さを測定し、5μm以内であれば測定値の長さと見なし、5μmより大きければ5μm超の長さと見なして0.5〜5μmの範囲にあるカーボンナノチューブの本数を数えることとする。
また、透明導電性に優れた導電性複合体を得るには、結晶化度の高い高品質のカーボンナノチューブを用いることが好ましい。結晶化度の高いカーボンナノチューブは、それ自体電気伝導性に優れる。しかし、このような高品質のカーボンナノチューブは、結晶化度の低いカーボンナノチューブと比べより強固にバンドルや凝集体を形成しているため、一本一本を解し安定に高分散させるのは非常に困難である。そのため、結晶化度の高いカーボンナノチューブを用いて、より導電性の高い導電性複合体を得るには、カーボンナノチューブの分散技術が非常に重要である。
本発明で用いるカーボンナノチューブには限定はないが、直線性があり結晶化度が高いカーボンナノチューブであることが導電性が高く好ましい。直線性のよいカーボンナノチューブとは、欠陥が少なくカーボンナノチューブ結晶化度が高いカーボンナノチューブとなる。カーボンナノチューブの結晶化度は、ラマン分光分析法により評価が可能である。ラマン分光分析法で使用するレーザー波長は種々あるが、ここでは532nm、633nmを利用する。ラマンスペクトルにおいて1590cm−1付近に見られるラマンシフトは、グラファイト由来のGバンドと呼ばれ、1350cm−1付近に見られるラマンシフトはアモルファスカーボンやグラファイトの欠陥に由来のDバンドと呼ばれる。すなわち、GバンドとDバンドのピーク高さの比であるG/D比が高いカーボンナノチューブほど、直線性、かつ結晶化度が高く、高品質である。
本発明において、ラマンG/D比を評価するときは波長633nmを用いる。G/D比は高いほど良いが、30以上であれば高品質カーボンナノチューブと言うことができる。好ましくは40以上、さらに好ましくは50以上である。上限は特にないが、通常200以下である。またカーボンナノチューブのような固体のラマン分光分析法はサンプリングによってばらつくことがある。そこで少なくとも3カ所、別の場所をラマン分光分析し、その相加平均をとるものとする。
本発明のカーボンナノチューブは、例えば以下のように製造される。
マグネシアに鉄を担持した粉末状の触媒を、縦型反応器中、反応器の水平断面方向全面に存在させ、該反応器内にメタンを鉛直方向に流通させ、メタンと上記触媒を500〜1200℃で接触させ、カーボンナノチューブを製造した後、カーボンナノチューブを酸化処理することにより得られる。すなわち上記カーボンナノチューブの合成法により、単層〜5層のカーボンナノチューブを含有するカーボンナノチューブを得ることができる。カーボンナノチューブは、製造した後、酸化処理を施すことにより単層から5層の割合を、特に2層から5層の割合を増加させることができる。酸化処理は例えば、焼成処理する方法により行われる。焼成処理の温度は本発明のカーボンナノチューブが得られる限り、特に限定されないが、通常、300〜1000℃の範囲で選択される。酸化温度は雰囲気ガスに影響されるため、酸素濃度が高い場合には比較的低温で、酸素濃度が低い場合には比較的高温で焼成処理することが好ましい。カーボンナノチューブの焼成処理としては、例えば大気下、カーボンナノチューブの燃焼ピーク温度±50℃の範囲内で焼成処理をする方法が挙げられるが、酸素濃度が大気よりも高い場合はこれよりも低目の温度範囲、低い場合には高めの温度範囲が選択されるのが通常である。
特に大気下で焼成処理を行う場合は燃焼ピーク温度±15℃の範囲で行うことが好ましい。
カーボンナノチューブの燃焼ピーク温度は熱分析することで測定が可能である。大気下、熱分析するとは、約10mgの試料を示差熱分析装置(例えば島津製作所製 DTG−60)に設置し、空気中、10℃/分の昇温速度にて室温から900℃まで昇温する。その時、試料の燃焼時の発熱ピーク温度を求めることが可能である。求めた燃焼ピーク温度±50℃の範囲で焼成処理することにより、製造したカーボンナノチューブ中の不純物や耐久性の低い単層カーボンナノチューブを除去することが可能である。このとき燃焼ピークよりあまりにも低い温度、−50℃未満で焼成処理を行っても、不純物や純度の低い単層カーボンナノチューブは焼成されないために、除去されず単層から5層カーボンナノチューブの純度は向上しない。また燃焼ピーク温度よりあまりにも高い温度、50℃超で焼成処理を行っても、今度は生成カーボンナノチューブ全てが焼成されて消失してしまう。よってカーボンナノチューブの燃焼ピーク温度付近で焼成するのが好ましい。このとき燃焼ピーク温度±50℃の範囲で焼成処理することが好ましい。カーボンナノチューブは一般的に層数が多いほど燃焼温度が高いため、±50℃の範囲で焼成することで純度の高い単層から5層を、−15℃〜+50℃の範囲で焼成することで2層〜5層のカーボンナノチューブの純度を向上することができ好ましい。さらに、±15℃の範囲であれば、2層〜5層のカーボンナノチューブのなかでも2層カーボンナノチューブの割合を増加でき100本中50本以上を2層カーボンナノチューブとすることができる。
また、酸素または酸素を含む混合気体を間欠的に接触させて焼成処理を行なう方法によっても行なうことができる。
酸素または酸素を含む混合気体を間欠的に接触させて焼成処理する場合は、酸素濃度が高くても、比較的高温、例えば500〜1000℃で処理が可能である。これは間欠的に酸素または酸素を含む混合気体を流すために、酸化が起きても、酸素を消費した時点ですぐに反応が停止するからである。このようにすることで酸化反応を制御することが可能となる。
焼成温度が低いときは焼成処理時間を長く、焼成温度が高いときは焼成時間を短くするなどして、反応条件を調整することができる。よって焼成処理時間は本発明のカーボンナノチューブが得られる限り特に限定されない。通常は5分から24時間、好ましくは10分から12時間、さらに好ましくは30分から5時間である。焼成は大気下で行うことが好ましいが、酸素濃度を調節した酸素/不活性ガス下で行っても良い。このときの酸素濃度は特に限定されない。酸素0.1%〜100%の範囲で適宜設定して良い。また不活性ガスはヘリウム、窒素、アルゴン等が用いられる。
また、カーボンナノチューブの酸化処理として過酸化水素や混酸、硝酸で処理することが挙げられる。
カーボンナノチューブを過酸化水素で処理するとは、上記カーボンナノチューブを例えば市販の34.5%過酸化水素水中に0.01重量%〜10重量%になるように混合し、0〜100℃の温度にて0.5〜48時間反応させることを意味する。
またカーボンナノチューブを混酸で処理するとは、上記カーボンナノチューブを例えば濃硫酸/濃硝酸(3/1)混合溶液中に0.01重量%〜10重量%になるように混合し、0〜100℃の温度にて0.5〜48時間反応させることを意味する。混酸の混合比としては生成したカーボンナノチューブ中の単層カーボンナノチューブの量に応じて濃硫酸/濃硝酸の比を1/10〜10/1とすることも可能である。
カーボンナノチューブを硝酸で処理するとは、上記カーボンナノチューブを例えば市販の硝酸40〜80重量%中に0.01重量%〜10重量%になるように混合し、60〜150℃の温度にて0.5〜48時間反応させることを意味する。
また上記、酸処理した後、有機アミンで処理しても良い。有機アミンで処理することで残存混酸を減少させることができ、さらにアモルファスカーボンなどの不純物に生成したと考えられるカルボキシル基などの酸性基を塩化すると考えられ、よりカーボンナノチューブとの分離が良くなると考えられる。つまり混酸処理された不純物の水溶性が増し、ろ過することでカーボンナノチューブと不純物が容易に分離することが可能となる。有機アミンの中でもメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン等の低級アミンが好ましく、さらに好ましくはエチルアミン、プロピルアミンである。
このような酸化処理を行うことで、生成物中のアモルファスカーボンなどの不純物および耐熱性の低い単層CNTを選択的に除去することが可能となり、単層から5層、特に2層〜5層カーボンナノチューブの純度を向上することができる。なかでも、硝酸で酸化処理を行うことによって、2層カーボンナノチューブの純度をあげることができ好ましい。
これら酸化処理はカーボンナノチューブ合成直後に行っても良いし、別の精製処理後に行っても良い。例えば触媒として鉄/マグネシアを用いる場合、焼成処理後、塩酸等の酸により、さらに触媒除去のための精製処理を行っても良いし、先に塩酸等の酸により触媒除去のための精製処理を行った後に酸化処理してもよい。
本発明における分子内にスルホン酸基を有する分散剤(A)はカーボンナノチューブを含有する組成物(B)を得る際のカーボンナノチューブ分散剤として用いる。親水性基である分散剤(A)中のスルホン酸基は、カーボンナノチューブを水性溶媒中に分散させるために好適であり,結晶化度の高いカーボンナノチューブを分散できる。また、分子内にスルホン酸基をもつ分散剤(A)は、さらに分子内に芳香族環を有することが好ましい。
分子内にスルホン酸基をもつ分散剤(A)はカーボンナノチューブ分散能があればポリマー(モノマー単位数100以上)であっても、モノマーやオリゴマー(モノマー単位数100未満)であってもよいが、ポリマーなどの高分子化合物を用いることにより、導電層の耐久性が向上し好ましい。
分子内にスルホン酸基をもつ分散剤(A)の分子量は100以上が好ましい。100以上であればカーボンナノチューブと相互作用できカーボンナノチューブの分散がより良好となる。分子量はカーボンナノチューブの長さにもよるが大きいほどカーボンナノチューブと相互作用し分散性が向上する。例えば、ポリマーの場合であれば、ポリマー鎖が長くなるとポリマーがカーボンナノチューブにからみつき非常に安定に分散することができる。しかし、分子量が大きすぎると逆に分散性が低下するので好ましくは100〜1000万以下であり、さらに好ましくは、1万〜100万である。
ポリマーの種類としては、カーボンナノチューブが分散できれば限定はなく、合成高分子、天然高分子などから選択できる。合成高分子は、例えば、(ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドエタンスルホン酸、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸、および2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマーおよびその誘導体を重合したものが挙げられる。誘導体とはエステルや、塩などの従来公知の化合物が挙げられる。エステルとしては、下記の構造を有するスルホン酸エステル基を有する誘導体を例示することもできる。
X−SO3−R
(X:前記スルホン酸基含有モノマーに由来する重合体部位を表し、Rは炭素原子数1から15までの直鎖状または分岐状の置換されていてもよいアルキル基である。)
塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などが好ましく挙げられる。これらは、1種または2種以上を混合して用いることができる。中でも、カーボンナノチューブ分散性に優れることから、ポリスチレンスルホン酸ならびにその誘導体(なかでもナトリウム塩、アンモニウム塩などが好ましい)が好ましい。中でもポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩が特に好ましい。
モノマーやオリゴマーとしては、例えばイオン性界面活性剤である陽イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤および陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などのうちスルホン酸を分子内に含有するものが挙げられ、カーボンナノチューブ分散性の点から陰イオン性界面活性剤が好ましく用いられる。中でも、分散能、分散安定能、高濃度化に優れることから、ドデシルベンゼンスルホン酸およびその誘導体が好ましい。
本発明において、組成物(B)は、分子内にスルホン酸基をもつ分散剤(A)とカーボンナノチューブを用いて調製する。組成物(B)はさらに溶媒やその他添加剤を含むことができ、液体形状でもペーストやゲルのような半固形状でもかまわない。上記組成物(B)における各成分の配合割合は、以下のとおりである。
すなわち、組成物(B)全体に対するカーボンナノチューブの含有量は0.01重量%以上、20重量%以下であることが好ましく、0.05〜10重量%であることが好ましい。
また、組成物(B)全体に対する分子内にスルホン酸基をもつ分散剤(A)の含有量としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、0.01〜60重量%、より好ましくは、0.02〜30重量%である。分子内にスルホン酸基をもつ分散剤(A)以外に添加剤を含有する場合は、分子内にスルホン酸基をもつ分散剤(A)と添加剤の合計重量が0.01〜60重量%、より好ましくは、0.02〜30重量%となるようにする。残部は、溶媒等の分散媒である。
本発明の組成物(B)に含まれるカーボンナノチューブと分子内にスルホン酸基を有する分散剤(A)の比率は、カーボンナノチューブのバンドルが十分に解れて高分散させることができる割合であればよい。好ましくはカーボンナノチューブ1重量部に対して分散剤(A)が2重量部以上20重量部以下であり、さらに好ましくは3重量部以上10重量部以下である。分散剤(A)が2重量部より少ないと、カーボンナノチューブのバンドルを高度に解すことができない上に後述のオーバーコートによる表面抵抗値低下効果が生じず、20重量部より多いと、過剰な分散剤による導電阻害が大きすぎ、後述のオーバーコート剤積層による表面抵抗値低下によっても十分な導電性を確保できなくなるからである。
組成物(B)中のカーボンナノチューブの分散性評価方法としては、原子間力顕微鏡によるバンドル径評価が挙げられる。具体的には組成物(B)を適当な濃度に希釈した後に観察用基板に固定化し、高さ測定を行う。たとえば、組成物(B)に含まれるカーボンナノチューブ濃度を0.003%となるように水で希釈し、10μlをマイカ基板上に滴下し、3000回転で1分間スピンコートしてカーボンナノチューブを基板に固定化する。これを原子間力顕微鏡(島津製作所製 SPM−9600)で約100箇所の高さを測定し、平均高さを求める。ここで得られた高さは組成物(B)中のカーボンナノチューブの平均バンドル径に相当するものであり、原子間力顕微鏡で測定された平均高さが小さいほど、カーボンナノチューブのバンドルが解れて高分散しているとみなすことができる。
また、組成物(B)の調製方法には特に制限はない。
カーボンナノチューブを含有する組成物(B)は、固体(ゲル状含む)でも液体でも良いが、液体で、カーボンナノチューブが溶媒中に分散されている方が分散性および塗布性が良く好ましい。特に組成物(B)は、分散液を構成していることが好ましい。本発明において分散液とは、得られた組成物が目視において沈降物や凝集物がなく、少なくとも24時間静置後においても目視において沈降物や凝集物がない状態の液をいう。
組成物(B)の調製方法としては、カーボンナノチューブと分子内にスルホン酸基をもつ分散剤(A)、溶媒を塗装製造に慣用の混合分散機(例えばボールミル、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波装置、アトライター、デゾルバー、ペイントシェーカー等)を用いて混合し、組成物を製造することができる。中でも、超音波を用いて分散することで得られる組成物(B)のカーボンナノチューブの分散性が向上し好ましい。分散させるカーボンナノチューブは乾燥状態であっても、溶媒を含んだ状態でもよいが、精製後乾燥させずに溶媒を含んだ状態で分散させることで、分散性が向上し好ましい。
また、組成物(B)が液体であるときの好ましいpHは酸性領域(pH7未満)である。分散剤の種類にもよるがより好ましくはpH3〜6である。pHが低すぎると分散剤の溶解性が低下したり、カーボンナノチューブ同士の斥力が小さくなり、カーボンナノチューブが凝集してしまう。しかしながらpHが中性以上であると基材への濡れ性が低下し塗布しにくくなる傾向にある。したがって、pHが酸性領域であるとカーボンナノチューブの分散安定性が高く基材への濡れ性も高く高導電性であり耐久性の高い導電性複合体を形成することができる。
溶媒は、分子内にスルホン酸基をもつ分散剤(A)が溶解し、カーボンナノチューブが分散するものであれば限定はなく、水系溶媒でも良いし非水系溶媒でも良い。非水系溶媒としては、炭化水素類(トルエン、キシレン等)、塩素含有炭化水素類(メチレンクロリド、クロロホルム、クロロベンゼン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ等)、エーテルアルコール(エトキシエタノール、メトキシエトキシエタノール等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル等)、ケトン類(シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等)、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、フェノール等)、低級カルボン酸(酢酸等)、アミン類(トリエチルアミン、トリメタノールアミン等)、窒素含有極性溶媒(N、N−ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、N−メチルピロリドン、アセトニトリル等)、硫黄化合物類(ジメチルスルホキシド等)などを用いることができる。
これらのなかでも、水、アルコール、エーテルおよびそれらを組み合わせた溶媒を含有することがカーボンナノチューブ分散性から好ましい。
本発明の組成物(B)は、上記、分子内にスルホン酸基をもつ分散剤(A)、カーボンナノチューブ以外に、例えば後述する濡れ剤等をその他の添加剤として含んでいてもかまわない。
例えば、界面活性剤やある種の高分子材料は、カーボンナノチューブの分散能や分散安定化能等をさらに向上させるのに役立つ。界面活性剤としては、イオン性界面活性剤のものと非イオン性界面活性剤のものに分けられるが、本発明では非イオン性界面活性剤をもちいることが耐湿熱性が良く好ましい。例えば以下のような非イオン性界面活性剤があげられる。かかる界面活性剤は単独で、もしくは2種以上を混合して用いることができる。
非イオン性界面活性剤の例としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの糖エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエチルなどの脂肪酸エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリプロピレングリコールなどのエーテル系界面活性剤、ポリオキシアルキレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルジブチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルベンジルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルビスフェニルエーテル、ポリオキシアルキルクミルフェニルエーテル等の芳香族系非イオン性界面活性剤があげられる。中でも、分散能、分散安定能、高濃度化に優れることから、芳香族系非イオン性界面活性剤が好ましい。
界面活性剤以外にも導電性もしくは非導電性高分子など各種高分子材料もカーボンナノチューブの他に添加ができる剤として用いることができる。
上記、添加剤の含有量は、本発明の効果を阻害しない範囲で添加できる。
なお、本発明で用いられる組成物(B)は、分子内にスルホン酸基をもつ分散剤(A)を用いることにより、カーボンナノチューブの分散性に優れるため、所望のカーボンナノチューブ含量よりも高濃度の組成物を作製し、溶媒で薄めて所望の濃度として使用することも可能である。
このような組成物(B)を調製後、基材上に製膜する第一の工程により導電層を形成することができる。
本発明において、上記組成物(B)は、製膜前に遠心分離、フィルター濾過、ゲル濾過によって分画することが好ましい。例えば、組成物を遠心分離することによって、未分散のカーボンナノチューブや、過剰量の分散剤、カーボンナノチューブ合成時に混入する可能性のある金属触媒などは沈殿するので、遠心上清を回収すれば組成物中に分散しているカーボンナノチューブを採取することができる。未分散のカーボンナノチューブおよび、不純物などは沈殿物として除去することができ、それによって、カーボンナノチューブの再凝集を防止でき、組成物の安定性を向上することができる。さらに、強力な遠心力においては、カーボンナノチューブの太さや長さによって分離することができ、塗膜の光線透過率を向上させることができる。
遠心分離する際の遠心力は、100G以上の遠心力であればよく、好ましくは、1000G以上、より好ましくは10,000G以上である。上限としては特に制限はないが、汎用超遠心機の性能より2,000,000G以下であることが好ましい。
また、フィルター濾過に用いるフィルターは、0.05μmから0.2μmの間で適宜選択することができる。それにより、未分散のカーボンナノチューブや、カーボンナノチューブ合成時に混入する可能性のある不純物等のうち比較的サイズの大きいものを除去することができる。
このように分画する場合においては、この分画される量を見越して、サイズ分画前の配合割合を決定する。サイズ分画前の配合割合の決定は、遠心分離後の沈殿物やフィルター上に残った分画物を乾燥させた後、400℃で1時間焼成した後秤量し、濃度を算出する方法により行われる。このようなサイズ分画の結果、カーボンナノチューブの長さや、層数、その他性状等バンドル構造の有無などでカーボンナノチューブを分離することができる。
かくして得られる組成物(B)は後述の方法により製膜され導電層が形成される。
本発明ではカーボンナノチューブを含む組成物(B)が製膜された面にオーバーコート剤を積層する第二の工程を含む。オーバーコート剤としては、有機または無機のポリマーを用いることもできるが、下記式(1)で表される化合物(C)および/またはその加水分解物を用いることが、重縮合反応によって耐水性、耐熱性、耐湿熱性および強度が高い保護膜が得られることから特に好ましい。
(RMXn−m (1)
(式中、Rは水素原子、アルキル基、アシル基、ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、エポキシ基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアネート基やその置換誘導体であり1種または2種以上から選択でき、mが2以上である場合、同一でも異なってもよい。Mは、金属アルコキシドを形成しうる価数nの金属原子から選択される、1種または2種以上である。Xはハロゲン原子、ORで表され、n−mが2以上である場合には同一でも、異なってもよい。Rは水素原子、アルキル基、アシル基、ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、エポキシ基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアネート基やその置換誘導体であり1種、または2種以上から選択できる。mは0〜(n−2)である。nは2以上である)。
上記式(1)において、Rは水素原子、アルキル基、フェニル基、アシル基、ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、エポキシ基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアネート基およびその置換誘導体から選択される1種または2種以上の有機基であり、有機基は具体的には、アルキル基としては、炭素数 1〜10のものが好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等あるいはこれらの置換誘導体が挙げられる。また、アシル基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基、カプロイル基等あるいはこれらの置換誘導体が挙げられる。エポキシ基としては、グリシジル基、グリシジルエーテル基等あるいはこれらの置換誘導体が挙げられる。これらは1種または2種以上から選択できる。置換基は例えば、アルキル基やハロゲン原子やニトロ基などである。
上記式(1)においてXは、ハロゲン原子、ORで表される化合物であり、Rはアルキル基、アシル基、ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、エポキシ基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアネート基およびその置換誘導体から選択される1種または2種以上の有機基である。前記アルキル基としては炭素数1〜10 のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等あるいはその置換体が挙げられ、アシル基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、具体的には、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基、カプロイル基等あるいはその置換体が挙げられ、エポキシ基としてはグリシジル基、グリシジルエーテル基等あるいはその置換体あるいはその置換誘導体などが挙げられる。置換誘導体の置換基は、メルカプト基、置換もしくは非置換のアミノ基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が好ましく挙げられる。これらは、1種または2種以上から選択することができる。RならびにRの炭素数は溶媒溶解性、塗布性から置換基を含め10個以下が好ましく用いられさらに好ましくは5個以下である。
式中Mは金属アルコキシドを形成しうる価数nの金属であればよく、例えば周期表の3A族、4A族、5A族、4B族又は5B族のいずれかの金属元素からなる金属アルコキシドを形成し得る金属であり、好ましくは、珪素、チタン、アルミニウム、ジルコニウムなどがあげられ、1種あるいは2種以上の組合せからなる。中でも、珪素を用いた上記式(1)の構造をもつオルガノシラン、該オルガノシランの加水分解物が耐水性、製膜性、塗膜密着性から好ましく用いることができる。
式中nは金属原子の価数であり、mは0〜(n−2)である。この範囲であれば、導電層中の分子内に水酸基をもつ分散剤(A)と金属アルコキシドを形成しうる化合物(C)の加水分解物が重縮合反応をし、耐水性を向上できると同時に、導電層上に金属酸化物による被膜層をネットワーク上に架橋形成することができる。好ましくはmが0、nが4、あるいはmが1、nが3であり、さらに好ましくはmが0、nが4であり、この様な化合物は後に生じる重縮合物の耐水性、耐湿熱性、膜強度が向上し好ましい。Mとm、nの組合せで最も好ましくは、Mが珪素であり、mが0、nが4であり、膜強度、耐水性、耐湿熱性が向上する。
上記式(1)において、Mが珪素、mが0、nが4である化合物(C)の具体例としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン類である。
上記式(1)のMが珪素、mが0、nが3である化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ペンチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;メチルトリアセチルオキシシラン、メチルトリフェノキシシランなどが挙げられる。
上記式(1)において、Mがチタン、mが0、nが4である化合物(C)の具体例としては、チタニウムアルコキシドであり、例えばチタニウムテトライソプロポキシド、テトラ−n−プロピルオルトチタネート、チタニウムテトラ−n−プトキシド、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタネート等が例示される。
上記式(1)において、Mがジルコニウム、mが0、nが4である化合物(C)はジルコニウムアルコキシドであり、例えばジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド等が例示される。
これらは1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
上記化合物のうち、テトラアルコキシシラン類が好ましく、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランが好ましく用いられる。
本発明の化合物(C)は、上記の化合物をそのまま使用してもよいが、加水分解物を使用することもできる。加水分解は空気中の水分によっても自然に起こりうるし、化合物(C)を溶媒に溶解し、必要に応じて水および触媒となる酸あるいは塩基(D)や有機スズ化合物を添加して加水分解することにより製造することも可能である。加水分解物は、化合物(C)に含まれる1〜n個のOR2基のうちの少なくとも1個が加水分解されているものであればよいが、重縮合反応を促進するためには、多く加水分解されていることが好ましい。
このような化合物(C)の加水分解物は、化合物(C)を予め加水分解させて製造することができる。なお、この水は、独立して添加してもよいし、後述する水または有機溶媒に含有される水を使用してもよい。独立して添加する場合の上記水の量は、化合物(C)1モルに対して、通常0.5〜5モル、好ましくは0.7〜3モル、特に好ましくは0.7〜2モルが望ましい。
また、本発明において加水分解物とは上記の通り化合物(C)を加水分解する方法により得られたものに限定されず、相当する構造のものを別の方法で製造したものであってよい。本発明における化合物(C)は、市販されている金属アルコキシドを用いてもよい。市販されている金属アルコキシドとしては、東レ・ダウコーニング社製のシラン化合物、コルコート社製のシリケートなどがある。これらはモノマーであっても、オリゴマーであってもよいが、モノマーを用いることが好ましい。化合物(C)におけるオリゴマーとは、同種の分子の数が2個から99個からなる化合物のこととする。これらの市販されている金属アルコキシドは、そのまま用いてもよく、さらに加水分解させて使用してもよい。
このような化合物(C)および/または化合物(C)の加水分解物は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明に用いられる化合物(C)および/または化合物(C)の加水分解物は、固形分量として0.1重量%以上の量で溶媒中で用いられることが望ましい。化合物(C)および/または化合物(C)の加水分解物の含有率が0.1重量%未満であると、形成されたコーティング膜が脆くなることがある。上限は限定されないが、塗布性より30重量%以下が好ましい。
溶媒は、化合物(C)および/または化合物(C)の加水分解物が溶解するものを選択すればよく、例えば水、炭化水素類(トルエン、キシレン等)、塩素含有炭化水素類(メチレンクロリド、クロロホルム、クロロベンゼン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ等)、エーテルアルコール(エトキシエタノール、メトキシエトキシエタノール等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル等)、ケトン類(シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、フェノール等)、低級カルボン酸(酢酸等)、アミン類(トリエチルアミン、トリメタノールアミン等)、窒素含有極性溶媒(N、N−ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、N−メチルピロリドン、アセトニトリル等)、硫黄化合物類(ジメチルスルホキシド等)などを用いることができる。
溶媒には、化合物(C)および/または化合物(C)の一部加水分解物をさらに加水分解して反応性を高める観点から水を含有することが好ましい。水の含有量は、化合物(C)の溶解性、加水分解速度を考慮し含有する。
また、本発明において、化合物(C)および/または化合物(C)の加水分解物の重縮合反応を促進させる触媒として、酸あるいは塩基(D)と併用することが好ましい。
上記、酸あるいは塩基(D)は組成物(B)中にあらかじめ含有させておき、第二の工程の際、化合物(C)および/または化合物(C)の加水分解物を塗布して反応させてもよいし、化合物(C)および/または化合物(C)の加水分解物とともに溶媒に溶解させ第二の工程中に導電層上で反応させてもよいし、また第一の工程後、および/または第二の工程後に、第三の工程として塗布してもよい。中でも、化合物(C)および/または化合物(C)の加水分解物とともに溶媒に溶解させ第二の工程中に導電層上で反応させることにより重縮合がより進行し好ましい。
酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、ほう酸の無機酸、ナフテン酸、オクチル酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸、酢酸、クエン酸の有機酸、その金属塩、アルキルチタン酸、リン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸などの酸性成分から選ばれるいずれか1種、またはいずれか2種以上の組み合わせからなり、塩基としては水酸化ナトリウム、エチレンジアミン、ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジン、メタフェニレンジアミン、エタノールアミン、トリエチルアミンなどのアミン系化合物、アンモニアから選ばれるいずれか1種、または2種以上の組合せをあげることができる。酸あるいは塩基(D)は化合物(C)および/または化合物(C)の一部加水分解物の加水分解性により適宜選択する。
また、化合物(C)および/または化合物(C)の一部加水分解物の加水分解を促進させ重縮合を促進させる化合物として(CSn(OCOC1123、(CSn(OCOCH=CHCOOCHなどのカルボン酸型有機スズ;(CSnO、(C17SnO、または(CSnO、(C17SnOなどの有機スズオキサイドとエチルシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどのエステル化合物との反応生成物などの有機スズ化合物などを併用することも好ましい。上記、有機スズ化合物は組成物(B)中にあらかじめ含有させておき、第二の工程の際化合物(C)および/または化合物(C)の加水分解物を塗布して反応させてもよいし、化合物(C)および/または化合物(C)の加水分解物とともに溶媒に溶解させ第二の工程中に導電層上で反応させてもよいし、また第一の工程後および/または第二の工程後に、第三の工程として塗膜の乾燥前に塗布してもよい。中でも、化合物(C)および/または化合物(C)の加水分解物とともに溶媒に溶解させ第二の工程中に導電層上で反応させることにより重縮合がより進行し好ましい。
これらの酸あるいは塩基(D)や有機スズ化合物の、化合物(C)および/または化合物(C)の加水分解物を含有する溶媒中における割合の範囲は、それぞれについて化合物(C)および/または化合物(C)の加水分解物の固形分100重量部に対して、通常、0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは0.5〜30重量部が用いられる。
化合物(C)および/または化合物(C)の一部加水分解物の加水分解を促進させるため、上記の酸あるいは塩基(D)を組成物(B)に含有させてもよい。含有量はカーボンナノチューブ100重量部に対し0.01重量部〜50重量部である。
本発明は、分子内にスルホン酸基を有する分散剤(A)とカーボンナノチューブを含有する組成物(B)を基材上に製膜した後、オーバーコート剤を積層することにより、導電層の表面抵抗値が低下するという特徴を有する。このような特徴を有する理由としては次のように考えられる。導電層中に含まれる分子内にスルホン酸基をもつ分散剤(A)は強酸性であって高親水性基であるスルホン酸基をもち、カーボンナノチューブを水性溶媒中で高分散させることができる。このとき、組成物(B)に含まれるカーボンナノチューブのバンドルを十分に解すためにはカーボンナノチューブに対して過剰な量の分散剤を必要とする。しかし、組成物(B)に含まれる過剰な分散剤は組成物(B)を製膜して導電層を形成したときには導電層界面で膜状に析出してしまうため、形成されるカーボンナノチューブ導電層の表面抵抗値は悪くなってしまう。しかし、オーバーコート剤を積層することにより、オーバーコート剤分子と過剰な分散剤が部分的に微細な凝集体を形成することによって導電層界面を覆っていた過剰な分散剤が部分的に除去されて導電層のカーボンナノチューブが露出するために、導電層の表面抵抗値が低くなると考えられる。一方、組成物(B)に含まれる分散剤(A)量が過剰ではない場合、カーボンナノチューブのバンドルを完全に解すことはできない。また分散剤(A)は基本的にカーボンナノチューブに全て吸着していると考えられるため、オーバーコート剤を積層してもオーバーコート剤分子と分散剤が微細な凝集体を形成して導電層のカーボンナノチューブが露出するという現象が起きない。すなわち、本発明では組成物(B)に含まれる分散剤(A)の量はカーボンナノチューブに吸着される以上に過剰であることが好ましく、具体的にはカーボンナノチューブ1重量部に対して分散剤(A)が2重量部以上20重量部以下であることが好ましく、さらに3重量部以上10重量部以下であることが好ましい。
さらに、このような現象は、分子内にスルホン酸基を有する分散剤でのみ発現し、同じ酸性官能基であるカルボン酸基を含有する分散剤や分子内に電荷を有しない非イオン性界面活性剤ではむしろ導電層の表面抵抗値は悪化することが分かった。これは、分散剤(A)に含まれる官能基がスルホン酸基という強酸基であるために、オーバーコート剤成分と特異的に微細な凝集体を形成しやすいためであると考えられる。
さらに、本発明の分子内にスルホン酸基を有する分散剤(A)とカーボンナノチューブを含有する組成物(B)を製膜した後、オーバーコート剤を積層して得られた導電性複合体は耐熱性にも優れていることが分かった。これまで、親水性の高い分散剤を用いた場合は、吸湿性も高いために熱処理前後の湿度変化によって分散剤自体が膨張収縮し、カーボンナノチューブの導電パスを一部破壊するために耐熱性が低くなると考えられていたが、本発明の導電性複合体では、本発明の分子内にスルホン酸基を有する分散剤(A)がオーバーコート剤と強く相互作用していると考えられるため、熱処理前後におけるカーボンナノチューブの導電パスを阻害することがないため、熱処理における表面抵抗値が変化しない、すなわち耐熱性が高いと考えられる。
かかる効果は、オーバーコート剤として、前記化合物(C)および/またはその加水分解物を用いる場合に特に顕著に発揮される。
このように分子内にスルホン酸基を有する分散剤とカーボンナノチューブを含有する組成物を製膜した後、オーバーコート剤を積層させることによって導電層の表面抵抗値を低下させる技術は本発明によって初めて見いだされたものである。
本発明の導電性複合体の製造工程における表面抵抗値は、分子内にスルホン酸基を有する分散剤(A)とカーボンナノチューブを含有する組成物(B)を基材上に製膜する第一の工程で得られた導電層の表面抵抗値Rと、オーバーコート剤を積層する第二の工程の後の導電層の表面抵抗値Rとの関係がR>Rと、第二の工程により導電性が向上するものであるが、その変化率は、本発明の好ましい態様においては、分子内にスルホン酸基を有する分散剤(A)とカーボンナノチューブを含有する組成物(B)を基材上に製膜する第一の工程で得られた導電層の表面抵抗値Rに対するオーバーコート剤を積層する第二の工程の後の導電層の表面抵抗値Rの比R/RとしてR/R<0.9とすることが可能である。さらに分散剤量とオーバーコート剤量を調整することにより、R/R<0.8、さらにR/R<0.7とすることができる。
上記本発明の導電性複合体の製造に用いる基材は、(B)が塗布でき、得られる導電層が固定できれば形状、サイズ、および材質は特に限定されず、目的とする用途によって選択でき、例えばフィルム、シート、板、紙、繊維、粒子状であってもよい。材質は例えば、有機材料であれば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、セルロース、トリアセチルセルロース、非晶質ポリオレフィンなどの樹脂、無機材料であればステンレス、アルミ、鉄、金、銀などの金属、ガラスおよび炭素材料等から選択できる。基材に樹脂フィルムを用いた場合は、接着性、延伸追従性、柔軟性に優れた導電性フィルムを得ることができ好ましい。その際の好ましい基材の厚みは、特に限定されず中程度の厚さから非常に薄い厚さまで種々の範囲をとることができる。例えば、本発明の基材は約0.5nm〜約1000μmの間の厚さとしうる。好ましい実施形態では基材の厚さは約0.005〜約1000μmとなりうる。別の好ましい実施形態では基材の厚さは約0.05〜約500μmである。また、別の好ましい実施形態では基材の厚さは約1.0〜約200μmである。
基材は必要に応じ表面処理を施してあってもよい。表面処理は、グロー放電、コロナ放電処理やオゾン処理等の物理的処理、あるいは樹脂層を設けてあっても良い。
樹脂層の樹脂は特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂であってよく、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂およびこれら樹脂を2種類以上組み合わせたものなどを用いることができる。基材、導電層との密着性に特に優れ、高耐熱性、高透明性であることからポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂から選ばれる樹脂を用いることがより好ましく、ポリエステル樹脂とアクリル樹脂、ポリエステル樹脂とウレタン樹脂、アクリル樹脂とウレタン樹脂を組み合わせてもよい。
樹脂層には、樹脂以外の成分として各種の添加剤、例えば、架橋剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、および核剤が添加されていてもよい。
樹脂層は通常、フィルムを基材とした場合には、樹脂成分をオフラインコーティングあるいはインラインコーティングすることにより形成することができる。また、易接着層を有するポリエステルフィルムの“ルミラー”(東レ(株)社製)等の商標で市販されているものを使用してもよい。樹脂層が存在することの確認方法は、積層されていることが確認できる方法であれば限定されないが、例えば透過型電子顕微鏡を用いてフィルムの断面写真をとることで確認できる。必要であればフィルムを染色してもよい。樹脂層は基材との界面が明確でなくグラデーションがかかっている場合においても、グラデーション部分の片側(基材とは反対側)に樹脂層が認められれば、樹脂層があることとする。また、基材はカーボンナノチューブを塗布する反対面に耐摩耗性、高表面硬度、耐溶剤性、耐汚染性、耐指紋性等を付与したハードコート処理が施されているものも併せて用いることができる。
また、基材は透明性があってもなくてもどちらでもよい。透明性がある基材を用いることにより透明性・導電性に優れた導電性複合体を得ることができ好ましい。透明性がある基材とは、550nmの光線透過率が50%以上であることを示す。
組成物(B)を製膜する方法は特に限定されない。公知の塗布方法、例えばスプレーコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、スピンコーティング、ドクターナイフコーティング、キスコーティング、スリットコーティング、ダイコーティング、スリットダイコーティング、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、ブレードコーティング、ワイヤーバーコーティング、押出コーティングや、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、パット印刷、他の種類の印刷などが利用できる。また塗布は、何回行ってもよく、異なる2種類の塗布方法を組み合わせても良い。最も好ましい塗布方法は、マイクログラビアコーティング、ワイヤーバーコーティングである。
塗布厚み(ウエット厚)は塗布液の濃度にも依存するため、望む導電性が得られれば特に規定する必要はない。しかしその中でも0.01μm〜50μmであることが好ましい。さらに好ましくは0.1μm〜20μmである。塗布厚み(Dry厚)は導電性複合体断面を観察することで測定でき、例えば、透過型顕微鏡において観察でき、必要であれば染色してもよい。好ましいDry厚は望む導電性が得られれば規定はないが、好ましくは、0.001μm〜5μmである。さらに好ましくは、0.001〜1μmである。
組成物(B)が水系分散液であるとき、基材上に塗布する時、組成物中に濡れ剤を添加しても良い。非親水性の基材へは特に界面活性剤やアルコール等の濡れ剤を組成物中に添加することで、基材に組成物がはじかれることなく塗布することができる。中でもアルコールが好ましく、アルコールの中でもメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが好ましい。メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコールは揮発性が高いために塗布後の基材乾燥時に容易に除去可能である。場合によってはアルコールと水の混合液を用いても良い。
このようにして組成物(B)を基材に塗布した後、風乾、加熱、減圧などの方法により不要な溶媒を除去し、形成される導電層を乾燥させることが好ましい。それによりカーボンナノチューブは、3次元編目構造を形成し基材に固定化される。中でも加熱による乾燥が好ましい。乾燥温度は溶媒が除去可能であり基材の耐熱温度以下であればよく、樹脂製基材の場合は、好ましくは0℃〜250℃であり、さらに好ましくは、15℃〜150℃である。
組成物(B)を基材上に製膜した後、必要に応じて過剰な分散剤の一部を洗い流す工程(リンス工程)を追加することも可能である。しかし、リンス工程の追加は工程が煩雑となる上、次のオーバーコート剤を積層する工程で表面抵抗値が高くなってしまうことが多いために不利であることが多く、注意が必要である。
組成物(B)を基材上に製膜して導電層を形成した後、オーバーコート剤を積層する第二の工程を行う。ここで使用されるオーバーコート剤は液状のオーバーコート剤をそのまま使用しても良いし、固体成分のオーバーコート剤成分を溶融もしくは溶媒に溶解させて用いても良い。オーバーコート剤を積層する第二の工程後、乾燥および/または加熱させることが好ましい。オーバーコート剤は化合物(C)および/または化合物(C)の加水分解物であることが特に好ましく、この場合は重縮合反応を促進するために加熱することが特に好ましい。その際の温度は、高ければ高いほど重縮合反応が進み強固な膜を形成するが、基材が樹脂フィルムの場合は、耐熱性の観点から通常10〜300℃、好ましくは、80〜200℃である。
オーバーコート剤の積層方法は限定されず組成物(B)と同様の製膜方法を用いることができる。
オーバーコート剤の塗布量は導電層の導電性を阻害せず、十分な耐水性、強度、耐湿熱性、製膜性が得られればよく限定されないが、0.01〜1μg/mである。
オーバーコート剤が化合物(C)および/または化合物(C)の加水分解物である場合は、重縮合反応を促進するために酸あるいは塩基(D)を第一の工程後、あるいは第二の工程後に塗布してもよい。塗布方法は限定されず組成物(B)と同様の塗布方法を用いることができる。
酸あるいは塩基(D)の塗布量は、加水分解反応が十分進行しその後の重縮合が進行する量であればよいが、好ましくは化合物(C)および/または化合物(C)の加水分解物の固形分100重量部に対して0.05重量部〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部である。
酸あるいは塩基(D)の塗布後は、乾燥および/または加熱させることが重縮合反応を促進させるために好ましく、その際の温度は、高ければ高いほど重縮合反応が進み強固な膜を形成するが、基材が樹脂フィルムの場合は、耐熱性の観点から通常10〜300℃、好ましくは、80〜200℃である。
本発明で製造する導電性複合体は、カーボンナノチューブ層上にオーバーコート層を設けており、基材の透過率を除き、導電層のみの透過率で考えた場合、塗布前と比べて透過率を向上、ヘイズを減少することも可能であり、電荷の分散や、移動に効果的で導電性を向上させることもできる。
上記のとおり、かくして得られる導電性複合体は、優れた透明性および低ヘイズを示し、透明性のある基材を用いた場合、550nmの光線透過率/基材の550nmの光線透過率が少なくとも約50%である。可視光のヘイズ値は約2.0%以下であることが好ましい。好ましい実施形態では導電性複合体の550nmの光線透過率/基材の550nmの光線透過率は約60%以上である。別の好ましい実施形態では、導電性複合体の550nmの光線透過率/基材の光線透過率は70%以上である。また、別の好ましい実施形態では導電性複合体の550nmの光線透過率/基材の550nmの光線透過率は80%以上である。さらに、別の好ましい実施形態では導電性複合体の550nmの光線透過率/基材の550nmの光線透過率は90%以上である。別の好ましい実施形態では、導電性複合体のヘイズ値は1.0%未満である。また、別の好ましい実施形態では、導電性複合体のヘイズ値は0.5%未満である。
本発明で製造する導電性複合体は、カーボンナノチューブと分子内にスルホン酸基を有する分散剤(A)の誘導体からなる導電層およびオーバーコート剤で被覆された被覆層からなる。
導電性複合体を形成する被覆層を含む導電層の厚さは、上記透明性を達成するには、望む導電性にもよるが、0.005〜1μmが好ましく、さらに好ましくは、0.005〜0.5μmである。導電層の厚みは、透過型電子顕微鏡で観察できる。具体的には上記の方法で得られたカーボンナノチューブ導電性複合体の断面を透過型電子顕微鏡で2万倍で観察し、1μm四方の視野の中で任意に抽出した10カ所の厚みを測定し、相加平均で評価する。
被覆層と導電層は界面が明確でなく濃度勾配があってもよく、中でも、被覆層中と導電層中で、被覆層の割合が表層から基材にかけて濃度勾配があり、表層の方が基材側よりも高濃度である方が導電層の耐水性、耐湿熱性、強度の観点から好ましく、導電層の導電性から導電層の下層(基材側)は被覆層が低濃度になっていることが導電性を向上させながら耐水性が向上でき好ましい。上層に被覆層を多くするには化合物(C)をあらかじめ加水分解しておき、導電層上に塗工後に速やかに乾燥させることが好ましい。化合物(C)中の導電層中の割合は、例えば、導電性複合体の断面を透過型顕微鏡で観察し元素マッピングすることにより観察できる。また、化学状態は例えば、X線光電子分光法(XPS)で分析することができる。
本発明において光線透過率は、導電性複合体を分光光度計(日立製作所 U−2100)に装填し、波長550nmでの光線透過率を測定して得られる値である。
表面抵抗値はJISK7194(1994年度制定)準処の4探針法を用い、ロレスタEP MCP−T360((株)ダイアインスツルメンツ社製)を用いて得られる値である。
ヘイズは、スガ試験機(株)製、全自動直読ヘイズコンピューターメーター HGM−2DP型を用いて測定する。
ラマン分光分析は、共鳴ラマン分光計(ホリバ ジョバンイボン製 INF-300)に粉末試料を設置し、532nmのレーザー波長を用いて測定を行う。測定に際しては3ヶ所、別の場所にて分析を行い、Gバンド、Dバンドの高さを測定し、それぞれの高さの比でG/D比を求め、その相加平均を表す。
本発明におけるカーボンナノチューブ塗布量は、導電性を必要とする種々の用途を達成するために、容易に調整可能であり、例えば膜厚を厚くすることにより表面抵抗は低くなり、膜厚を薄くすることにより高くなる傾向にあり、塗布量が1mg/mから40mg/mであれば導電性複合体の550nmの光線透過率/基材の550nmの光線透過率を50%以上とすることができる。塗布量を40mg/m以下とすれば50%以上とすることができる。さらに、塗布量を30mg/m以下とすれば60%以上とすることができる。さらに、塗布量を20mg/m以下であれば70%以上、塗布量を10mg/m以下であれば80%以上とすることでき好ましい。基材の550nmの光線透過率とは、基材に樹脂層がある場合は、樹脂層も含めた光線透過率をいう。
また、塗布量により導電性複合体の表面抵抗値も容易に調整可能であり、塗布量が1mg/mから40mg/mであれば導電性複合体の表面抵抗値は10から10Ω/□とすることができ、好ましい。さらに、分子内にスルホン酸基をもつ分散剤(A)や各種添加剤の含有量にもよるが、塗布量を40mg/m以下とすれば導電性複合体の表面抵抗値を10Ω/□以下とすることができる。塗布量を30mg/m以下とすれば導電性複合体の表面抵抗値を10Ω/□以下とすることができる。さらに、塗布量が20mg/m以下であれば、10Ω/□以下、塗布量を10mg/m以下であれば10Ω/□以下とすることできる。
ただし、光線透過率と表面抵抗値は、光線透過率をあげるために塗布量を減らすと表面抵抗値が上昇し、表面抵抗値を下げるために塗布量を増やすと光線透過率が減少するといった、相反する値であるため、所望の表面抵抗値および、光線透過率を選択し塗布量を調整する。本発明においては、分子内にスルホン酸基をもつ分散剤(A)をカーボンナノチューブの分散剤として用い、かつオーバーコート剤を積層させることによりカーボンナノチューブの分散性を維持しつつ、導電層の表面抵抗値を減少させることにより上記の優れた導電性を達成する導電性複合体が得られる。その結果表面抵抗値Rが10〜10Ω/□以下であり、550nmの光透過率が70%以上である導電性複合体を得ることも可能である。
本発明の製造方法によって得られた導電性複合体は高耐熱性を示す。具体的には、好ましい態様においては150℃1時間の加熱処理後の表面抵抗値変化率で20%以内を達成することも可能である。すなわち、導電性複合体を150℃で1時間加熱処理した後の表面抵抗値Rが加熱前の表面抵抗値Rに対して0.8R<R<1.2Rとなることも可能である。
本発明の製造方法によって得られた導電性複合体は高導電性であり、制電靴や、制電板などのクリーンルーム用部材や、電磁波遮蔽、近赤外カット、透明電極、タッチパネル、電波吸収などのディスプレー用、自動車用部材として使える。中でもタッチパネル用途に特に優れた性能を発揮する。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例中、光線透過率、表面抵抗値、カーボンナノチューブのG/D、カーボンナノチューブの層数測定、耐湿熱性試験は前述の方法で実施した。
(参考例1)
以下のようにカーボンナノチューブを得た。
(触媒調製)
約24.6gのクエン酸鉄(III)アンモニウム(和光純薬工業社製)をイオン交換水6.2kgに溶解した。この溶液に、酸化マグネシウム(岩谷社製MJ-30)を約1000g加え、撹拌機で60分間激しく撹拌処理した後に、懸濁液を10 Lのオートクレーブ容器中に導入した。この時、洗い込み液としてイオン交換水0.5kgを使用した。密閉した状態で160℃に加熱し6時間保持した。その後オートクレーブ容器を放冷し、容器からスラリー状の白濁物質を取り出し、過剰の水分を吸引濾過により濾別し、濾取物中に少量含まれる水分は120℃の乾燥機中で加熱乾燥した。得られた固形分は篩い上で、乳鉢で細粒化しながら、20〜32メッシュの範囲の粒径を回収した。左記の顆粒状の触媒体を電気炉中に導入し、大気下600℃で3時間加熱した。かさ密度は0.32g/mLであった。また、濾液をエネルギー分散型X線分析装置(EDX)により分析したところ鉄は検出されなかった。このことから、添加したクエン酸鉄(III)アンモニウムは全量酸化マグネシウムに担持されたことが確認できた。さらに触媒体のEDX分析結果から、触媒体に含まれる鉄含有量は0.39wt%であった。
(カーボンナノチューブの製造)
上記の触媒を用い、カーボンナノチューブを合成した。固体触媒132gをとり、鉛直方向に設置した反応器の中央部の石英焼結板上に導入することで触媒層を形成した。反応管内温度が約860℃になるまで、触媒体層を加熱しながら、反応器底部から反応器上部方向へ向けて窒素ガスを16.5L/minで供給し、触媒体層を通過するように流通させた。その後、窒素ガスを供給しながら、さらにメタンガスを0.78L/minで60分間導入して触媒体層を通過するように通気し、反応させた。メタンガスの導入を止め、窒素ガスを16.5L/min通気させながら、石英反応管を室温まで冷却して触媒付きカーボンナノチューブ組成物を得た。この触媒付きカーボンナノチューブ組成物を115g用いて4.8Nの塩酸水溶液2000mL中で1時間撹拌することで触媒金属である鉄とその担体であるMgOを溶解した。得られた黒色懸濁液は濾過した後、濾取物は再度4.8Nの塩酸水溶液400mLに投入し脱MgO処理をし、濾取した。この操作を3回繰り返し、触媒が除去されたカーボンナノチューブ組成物を得た。
(カーボンナノチューブの酸化処理)
上記のカーボンナノチューブ組成物を約300倍の重量の濃硝酸(和光純薬工業社製 1級 Assay60〜61%)に添加した。その後、約140℃のオイルバスで25時間攪拌しながら加熱還流した。加熱還流後、カーボンナノチューブ含有組成物を含む硝酸溶液をイオン交換水で3倍に希釈して吸引ろ過した。イオン交換水で濾取物の懸濁液が中性となるまで水洗後、水を含んだウェット状態のままカーボンナノチューブ組成物を保存した。このカーボンナノチューブ組成物の平均外径を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、1.7nmであった。また2層カーボンナノチューブの割合は90%であり、波長633nmで測定したラマンG/D比は79であり、燃焼ピーク温度は725℃であった。
(参考例2)
(化合物(C)の加水分解物の調製)
100mLポリ容器中に、エタノール20gを入れ、テトラ−n−ブトキシシラン40gを添加し30分間撹拌した。その後、0.1N塩酸水溶液を10g添加した後2時間撹拌を行い4℃で保管し翌日使用した(加水分解反応)。
(実施例1)
(カーボンナノチューブとポリスチレンスルホン酸を含む分散液調製)
20mLの容器に参考例1で得られたカーボンナノチューブ15mg(乾燥時換算)、ポリスチレンスルホン酸アンモニウム水溶液(アルドリッチ社製、30重量%、重量平均分子量20万、)150mg(ポリスチレンスルホン酸アンモニウム量として45mg、分散剤/カーボンナノチューブ重量比=3)を量りとり、蒸留水を加え10gにし、超音波ホモジナイザー出力20W、7.5分間で氷冷下分散処理しカーボンナノチューブ液を調製した。得られた液を高速遠心分離機にて10000G、15分遠心し、上清9mLを得た。上清取得後の残液にも目視で分かる大きさの沈殿は見られなかった。
(カーボンナノチューブとポリスチレンスルホン酸を含む導電性複合体)
上記で得た遠心後上清のカーボンナノチューブ分散液をイオン交換水で2.5倍に希釈し、ポリエステル樹脂表面樹脂層(Dry厚み140nm)を持つポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)社製188μm)光線透過率90.2%、15cm×10cm)上にバーコーターを用いて塗布し、120℃乾燥機内で1分間乾燥させカーボンナノチューブを固定化した。波長550nmにおける光線透過率が87%となるように塗布厚みを調節した導電性複合体を作製し、その表面抵抗値Rを読み取ったところ、1070Ω/□であり、高い導電性および透明性を示した。
(化合物(C)の加水分解物を塗布した導電性複合体)
上記で得た透明導電性フィルムに参考例2で得た溶液をトルエンとイソプロピルアルコールの混合液で1.0wt%に希釈しバーコーター(No.8、塗布厚み12μm)を用いて塗布後140℃で5分乾燥、加熱させた。得られた塗布フィルムの表面抵抗値Rは950Ω/□であり、表面抵抗値の変化率R/Rは0.89であった。
(比較例1および実施例2、3、4)
(ポリスチレンスルホン酸の比率変更)
上記実施例1のポリスチレンスルホン酸アンモニウム水溶液添加量を75mg(ポリスチレンスルホン酸アンモニウム量として22.5mg、分散剤/カーボンナノチューブ重量比=1.5)(比較例1)、300mg(ポリスチレンスルホン酸アンモニウム量として90mg、分散剤/カーボンナノチューブ重量比=6)(実施例2)、450mg(ポリスチレンスルホン酸アンモニウム量として135mg、分散剤/カーボンナノチューブ重量比=9)(実施例3)、600mg(ポリスチレンスルホン酸アンモニウム量として180mg、分散剤/カーボンナノチューブ重量比=12)(実施例4)に換えた以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ分散液を得た。この分散液を実施例1と同様にPETフィルムに塗布したところ、得られたフィルムの透過率87%における表面抵抗値はそれぞれ、4000Ω/□(比較例1)、1160Ω/□(実施例2)、2500Ω/□(実施例3)、3400Ω/□(実施例4)となった。さらに参考例2で得られた溶液を実施例1と同様に塗布したところ、それぞれ5000Ω/□(比較例1)、820Ω/□(実施例2)、1000Ω/□(実施例3)、2200Ω/□(実施例4)となり表面抵抗値の変化率R/Rは順に1.25、0.71、0.40、0.65であった。
(分散液の分散性評価)
上記実施例1、2および比較例1で調製されたカーボンナノチューブ分散液に含まれるカーボンナノチューブの分散性を評価した。すなわち、分散液を0.003%となるように水で希釈し、10μlをマイカ基板上に滴下し、3000回転で1分間スピンコート塗布した。これを原子間力顕微鏡(島津製作所製 SPM−9600)で高さプロファイルを測定した。この方法に従って約100箇所の平均高さを求めたところ、それぞれ1.91nm(実施例1)、1.49nm(実施例2)、4.16nm(比較例1)であった。実施例1および2の分散液はカーボンナノチューブがほぼ単分散しているのに対し、比較例1では数本のカーボンナノチューブが束になっていることがわかる。
(比較例2)
実施例2において、オーバーコート剤の替わりにトルエンとイソプロピルアルコールの混合液(トルエン/イソプロピルアルコール重量比1/3)のみを塗布、乾燥させた。得られた塗布フィルムの表面抵抗値Rは1220Ω/□であり、表面抵抗値の変化率R/Rは1.05であった。
(比較例3)
実施例2において、カーボンナノチューブ分散液を塗布したフィルムをイオン交換水でリンスしたところ、表面抵抗値Rは420Ω/□となった。このフィルムに実施例1と同様にオーバーコートしたところ、得られた塗布フィルムの表面抵抗値Rは560Ω/□であり、表面抵抗値の変化率R/Rは1.33であった。
(比較例4および実施例5、6、7)
(ドデシルベンゼンスルホン酸を含む導電性複合体)
上記実施例1で用いたポリスチレンスルホン酸アンモニウム水溶液に換えてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用い、添加量を22.5mg(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム量として22.5mg、分散剤/カーボンナノチューブ重量比=1.5)(比較例4)、30mg(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム量として30mg、分散剤/カーボンナノチューブ重量比=2)(実施例5)、45mg(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム量として45mg、分散剤/カーボンナノチューブ重量比=3)(実施例6)、90mg(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム量として90mg、分散剤/カーボンナノチューブ重量比=6)(実施例7)に換えた以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ分散液を得た。この分散液を実施例1と同様にPETフィルムに塗布したところ、得られたフィルムの透過率87%における表面抵抗値Rはそれぞれ、4700Ω/□(比較例4)、2700Ω/□(実施例5)、3500Ω/□(実施例6)、6400Ω/□(実施例7)となった。さらに参考例2で得られた溶液を実施例1と同様に塗布したところ、それぞれ5600Ω/□(比較例4)、1700Ω/□(実施例5)、1600Ω/□(実施例6)、1700Ω/□(実施例7)となり表面抵抗値の変化率R/Rは順に1.19、0.63、0.46、0.27であった。
(分散液の分散性評価)
上記実施例7および比較例4で調製されたカーボンナノチューブ分散液に含まれるカーボンナノチューブの分散性を評価した。上述の方法に従って約100箇所の平均高さを求めたところ、それぞれ2.35nm(比較例4)、1.21nm(実施例7)であった。
(比較例5)
(カーボンナノチューブとTritonを含む導電性複合体)
20mLの容器に参考例1で得られたカーボンナノチューブ15mg(乾燥時換算)、Triton X-100 50mg(ポリ(オキシエチレン)=オクチルフェニルエーテル量にして50mg、分散剤/カーボンナノチューブ重量比=3.3)を量りとり、蒸留水を加え10gにし、超音波ホモジナイザー出力20W、7.5分間で氷冷下分散処理しカーボンナノチューブ液を調製した。得られた液を高速遠心分離機にて10000G、15分遠心し、上清9mLを得た。
上記で得た遠心後上清のカーボンナノチューブ分散液を請求項1と同様に基材に塗布、評価した。得られた塗布フィルムの表面抵抗値Rは7000Ω/□、光線透過率は87%であった。
この透明導電性フィルムに参考例2で得た溶液をトルエンとイソプロピルアルコールの混合液で1.0wt%に希釈しバーコーター(No.8、塗布厚み12μm)を用いて塗布後140℃で5分乾燥、加熱させた。得られた塗布フィルムの表面抵抗値Rは8300Ω/□であり、表面抵抗値の変化率R/Rは1.19であった。
(比較例6)
(カーボンナノチューブとカルボキシメチルセルロースを含む導電性複合体)
20mLの容器に参考例1で得られたカーボンナノチューブ15mg(乾燥時換算)、カルボキシメチルセルロースナトリウム90mg(ダイセル化学工業(株)製品番1105(低粘度品)、5%水溶液の粘度50〜100 mPa・s)(カルボキシメチルセルロースナトリウム量として90mg、分散剤/カーボンナノチューブ重量比=6)を量りとり、蒸留水を加え10gにし、硝酸を用いてpHを4にあわせ、超音波ホモジナイザー出力20W、7.5分間で氷冷下分散処理しカーボンナノチューブ液を調製した。得られた液を高速遠心分離機にて10000G、15分遠心し、上清9mLを得た。
上記で得た遠心後上清のカーボンナノチューブ分散液を請求項1と同様に基材に塗布、評価した。得られた塗布フィルムの表面抵抗値Rは1550Ω/□、光線透過率は87%であった。また、この分散液に含まれるカーボンナノチューブのAFMで測定した平均高さは1.64nmであり、カーボンナノチューブはほぼ単分散していた。
この透明導電性フィルムに参考例2で得た溶液をトルエンとイソプロピルアルコールの混合液で1.0wt%に希釈しバーコーター(No.8、塗布厚み12μm)を用いて塗布後140℃で5分乾燥、加熱させた。得られた塗布フィルムの表面抵抗値Rは2140Ω/□であり、表面抵抗値の変化率R/Rは1.38であった。
(導電性複合体の耐熱性評価)
実施例2、6および比較例6についての耐熱性を評価した。150℃に設定した恒温槽にオーバーコート後の塗布フィルムを投入した。1時間後オーブンから取り出し、室温に24時間放置した後の表面抵抗値Rを測定した。その結果、耐熱試験後の表面抵抗値Rはそれぞれ860Ω/□(実施例2)、1870Ω/□(実施例6)、3150Ω/□(比較例6)となった。すなわち、オーブン投入前の表面抵抗値Rに対する表面抵抗値の変化率R/Rはそれぞれ1.05、1.10、1.47となり、実施例2および6で得られた塗布フィルムは高い耐熱性を示すことが分かった。

Claims (14)

  1. 分子内にスルホン酸基を有する分散剤(A)とカーボンナノチューブを含有する組成物(B)を基材上へ製膜する第一の工程、および組成物(B)が製膜された面にオーバーコート剤を積層する第二の工程を含む導電性複合体の製造方法であって、第一の工程における導電層の表面抵抗値Rと第二の工程を経た後の導電層の表面抵抗値Rとの関係がR>Rとなることを特徴とする導電性複合体の製造方法。
  2. 前記導電性複合体を150℃で1時間加熱処理した後の表面抵抗値Rが加熱前の表面抵抗値Rに対して0.8R<R<1.2Rとなることを特徴とする請求項1記載の導電性複合体の製造方法。
  3. 前記オーバーコート剤が下記式(1)で表される化合物(C)および/または化合物(C)の加水分解物であることを特徴とする請求項1または2記載の導電性複合体の製造方法;
    (RMXn−m (1)
    式中、Rは水素原子、アルキル基、アシル基、ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、エポキシ基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアネート基およびその置換誘導体から選択される1種または2種以上であり、mが2以上である場合、同一でも異なってもよい;Mは、金属アルコキシドを形成しうる価数nの金属原子から選択される1種または2種以上である;Xはハロゲン原子、ORで表され、n−mが2以上である場合には同一でも、異なってもよい;Rは水素原子、アルキル基、アシル基、ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、エポキシ基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアネート基およびその置換誘導体から選択される1種、または2種以上である;mは0〜(n−2)である。nは2以上である。
  4. 上記式(1)中、Mは、珪素、チタン、アルミニウム、ジルコニウムから選択される金属原子を表すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の導電性複合体の製造方法。
  5. 上記式(1)中、mは0であり、nは4であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の導電性複合体の製造方法。
  6. 分散剤(A)がさらに芳香族環を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の導電性複合体の製造方法。
  7. 分散剤(A)がポリスチレンスルホン酸およびその誘導体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の導電性複合体の製造方法。
  8. 分散剤(A)がドデシルベンゼンスルホン酸またはその誘導体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の導電性複合体の製造方法。
  9. 表面抵抗値RおよびRの関係がR/R<0.9であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の導電性複合体の製造方法。
  10. 表面抵抗値RおよびRの関係がR/R<0.8であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の導電性複合体の製造方法。
  11. 組成物(B)に含まれる分子内にスルホン酸基を有する分散剤(A)の量がカーボンナノチューブ1重量部に対して2重量部以上、20重量部以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載の導電性複合体の製造方法。
  12. 表面抵抗値Rが10〜10Ω/□以下であり、550nmの光透過率が70%以上であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載の導電性複合体の製造方法。
  13. カーボンナノチューブを含有する組成物のカーボンナノチューブ100本中50本以上が2〜5層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項記載の導電性複合体の製造方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項記載の導電性複合体の製造法によって得られた導電性複合体。
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