本発明はシリサイド層を形成する技術に関する。
集積回路の縮小に伴い、半導体膜と金属のコンタクト抵抗の低抵抗化やソース及びドレイン領域の低抵抗化が要求されている。そのため、チタン(Ti)シリサイド、コバルト(Co)シリサイドを形成することで、コンタクト抵抗や、ソース及びドレイン領域を低抵抗化する技術が半導体分野で採用されている。
例えば、半導体基板を有する半導体素子の作製プロセスにおいて、Tiシリサイドは特許文献1のように以下の方法で形成される。まず、半導体基板に接してチタン(Ti)膜を成膜し、その後、二段階の加熱処理を行って形成される。まず、第一の加熱処理としてRTA(Rapid Thermal Annealing)法を用いて550〜650℃の温度で加熱処理を行い、ある程度の深さを持つ高抵抗のTiシリサイド層を形成する。次に、第一の加熱処理で半導体膜と未反応のTiを除去する。そして第二の加熱処理としてRTA法を用いて800℃以上の加熱処理を行い、Tiシリサイド層をC49(高抵抗相)からC54(低抵抗相)という結晶状態に相転移する。
このように従来、Tiシリサイド層形成は、
1)半導体基板上にTi膜を形成する
2)RTA法を用いて第一の加熱処理を行って高抵抗のTiシリサイド層を形成する
3)未反応のTi膜を除去する
4)RTA法を用いて第二の加熱処理を行って高抵抗のTiシリサイド層を低抵抗な結晶状態に相転移させる
という工程によって行われている。
特開平5−166752号公報
Tiシリサイド層の形成は、他のシリサイド層を形成するのに比べて高温での処理が必要であった。例えばニッケルシリサイドは400℃〜500℃の熱処理で形成されるが、Tiシリサイドは800℃以上の熱処理が必要である。具体的には、上記のTiシリサイド層形成工程の第二の加熱処理として、800℃以上と高温熱処理が必要である。そのため、例えばガラス基板等の耐熱性が低い基板上にTiシリサイド層を形成すると、第二の加熱処理で基板が歪んでしまい、耐熱性の低い基板上にTiシリサイドを形成することは不可能であった。
一方、第二の加熱処理を基板が歪まない温度以下で行うと、Tiシリサイド層を十分に相転移できず、低抵抗のTiシリサイド層が得られなかった。
また、従来のRTA法で行うTiシリサイド化はTi膜中に酸素が混入するのを抑える必要があった。それはシリサイド化の反応に酸素が混入すると、形成されるTiシリサイド層が低抵抗になりにくいためである。そのため、第一の加熱処理及び第二の加熱処理の雰囲気から酸素を除く工程が必要であった。例えば真空下でRTA法による加熱処理をしたり、特許文献1では窒素雰囲気でRTA法による加熱処理を行っている。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、耐熱性の低い基板上においても低抵抗のTiシリサイド層を形成することを目的とする。また、大気雰囲気においても低抵抗のTiシリサイド層を形成することを目的とする。
本発明は、ガラス基板上にシリコンを含む半導体膜を形成し、半導体膜に接してチタン膜を形成し、半導体膜とチタン膜との接合面でチタンシリサイド層を形成する。さらに、Tiシリサイド層を形成する処理として、第一の加熱処理により第1のチタンシリサイド層を形成し、レーザー照射を用いた第二の加熱処理により、第1のチタンシリサイド層を第2のチタンシリサイド層にし、第2のチタンシリサイド層は第1のチタンシリサイド層よりも低抵抗(電気抵抗)であることを特徴とする半導体装置の作製方法の発明である。
また、本発明は、上記第一の加熱処理により第1のチタンシリサイド層を形成した後、未反応のチタン膜を除去し、未反応の前記チタン膜を除去後、上記第二の加熱処理を行って、低抵抗(電気抵抗)の第2のチタンシリサイド層を形成することを特徴とする。
第一の加熱処理をRTAまたはレーザー光の照射で行うことを特徴とする。
第二の加熱処理は大気雰囲気で行うことを特徴とする。また、形成した第2のチタンシリサイド層は酸素を含むことを特徴とする。
本発明によると、高温で処理しなければならなかった第二の加熱処理をレーザー照射により行うため、ガラスなどの耐熱性の低い基板上にも低抵抗のTiシリサイド層を形成することができる。
本発明を用いることによって、Tiシリサイド層を用いてコンタクト抵抗やソース領域、ドレイン領域を低抵抗化した半導体素子及び半導体装置を、より低温で形成することができる。そのため、ガラス基板などの安価な基板を用いることができ、材料面において低コストで半導体装置を作製することができる。また、低温プロセスにより低いエネルギーで半導体装置を作製することができ、エネルギー面においても低コストで半導体装置を作製できる。
本発明を用いて、ソース領域・ドレイン領域にTiシリサイド層を形成すると、ソース領域・ドレイン領域を十分に低抵抗化できるため、ソース領域・ドレイン領域に添加した不純物の活性化工程が省略し、工程を短縮することができる。
また、本発明は、Tiシリサイド層を形成するための加熱処理を大気雰囲気で行うことができ、加熱処理工程の雰囲気から酸素を除く必要がない。そのため歩留まりよく、簡便にTiシリサイド層を形成することができる。加えて、酸素を含む低抵抗のTiシリサイド層を形成することができる。
以下、発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、異なる図面において同一のものを指す場合は同一の符号で示し、説明を省略する場合がある。
(第1実施形態)
ここでは半導体膜の表面にTiシリサイド層を形成する実施形態について説明する。
まず、図1(A)に示すように基板1上に半導体膜2を形成する。半導体膜2はシリコンを含む半導体膜とし、例えばシリコン、シリコンゲルマニウム、シリコンゲルマニウムカーボンがある。
図示しないが、基板1と半導体膜2の間に下地膜として絶縁膜を設けてもよい。また、絶縁膜を設けない代わりに、マイクロ波で励起され、電子温度が2eV以下、イオンエネルギーが5eV以下、電子密度が1011〜1013/cm3程度である高密度プラズマで、基板1の表面を直接処理しても良い。プラズマの生成はラジアルスロットアンテナを用いたマイクロ波励起のプラズマ処理装置を用いることができる。このとき、窒素(N2)、またはアンモニア(NH3)、亜酸化窒素(N2O)などの窒化物気体を導入すると、基板の表面を窒化することができる。この基板の表面に形成された窒化物層は、窒化珪素を主成分とするので、基板側から拡散してくる不純物のブロッキング層として利用することができる。さらに、この窒化物層の上に酸化珪素膜または酸窒化珪素膜をプラズマCVD法で形成して下地膜としても良い。
他にも、酸化珪素や、酸窒化珪素などによる下地膜の表面に対し同様なプラズマ処理を行うことにより、その表面及び表面から1〜10nmの深さを窒化処理をすることができる。このきわめて薄い窒化珪素の層により、その上に形成する半導体膜へ応力の影響を与えることなくブロッキング層とすることができる。
続いて半導体膜2に接してTi膜3を形成する。Ti膜3を形成する方法はスパッタ法を用いることができる。またスパッタ法に限定されるものではなく、CVD法、蒸着法、イオンプレーティング法を用いることができる。Ti膜形成前には、シリサイド化反応を良好にするため半導体膜2の表面の酸化膜を除去する工程を設けてもよい。これは半導体膜2の表面に形成された酸化膜がTiシリサイドの形成に悪影響を与える可能性があるからである。酸化膜の除去には公知のフッ酸等を用いることができる。Ti膜3の膜厚は10〜100nmとする。
必要に応じてTi膜3上にTi膜の酸化を防止する保護膜を形成してもよい。また、第一の加熱処理をランプ光で行う場合、保護膜をランプ光の吸光率が高い膜とすると効率良く加熱処理を行うことができる。第一または第二の加熱処理をレーザー光で行う場合は、保護膜としてレーザー光の吸収を助長する膜を使用することで、効率よく第一または第二の加熱処理を行うこともできる。本実施形態ではこの保護膜としてTiN膜5を用いている。TiN膜5の膜厚は1〜50nmである。
次に、半導体膜2とTi膜3の接合面に高抵抗の第1のTiシリサイド層4を形成するため、第一の加熱処理を行う。第一の加熱処理の方法としてはランプRTA、ガスRTA、または炉、オーブンもしくはホットプレート等を用いた加熱処理が挙げられる。第1のTiシリサイド層4を形成する第一の加熱処理温度は500〜700℃であり、この範囲内であればTi膜とTiN膜の膜厚に応じて加熱処理温度を任意に選択することができる。ただし、第一の加熱処理は基板1の歪み点以下の温度で行う。本実施形態では600℃、3minのランプRTA処理によって第1のTiシリサイド層4を形成する。図1(B)では未反応のTi膜3が図示されているが、Ti膜3の全てが第1のTiシリサイド層4になっても良い。
第一の加熱処理後、図1(C)では半導体膜と未反応のTi膜3及びTiN膜5をエッチングにより除去する。これらの膜の除去にはドライエッチングまたはウェットエッチングを用いることができ、ウェットエッチングの場合はエッチング溶液としては例えばNH3:H2O2:H2O=2:5:2の割合で調合した薬液などを用いることができる。保護膜としてTiN膜を用いる場合は、TiN膜の除去と同時に未反応のTi膜も除去できる。
第一の加熱処理後に未反応のTi膜が残存する場合、図1(C)のように未反応のTi膜を除去することで、高抵抗の第1のTiシリサイド層4と同じ膜厚を持つ低抵抗の第2のTiシリサイド層6を第二の加熱処理により形成することができる。つまり、第二の加熱処理においてTiシリサイド層が新たに形成され、Tiシリサイド層の膜厚が増加することを抑えることができる。よってTiシリサイド層の膜厚制御を第一の加熱処理のみで確実に行える。特に、TiシリサイドはシリコンがTi膜に拡散してシリサイドを形成していく反応であるため、第二の加熱処理によりTiシリサイド層の膜厚を増加させないために、未反応のTi膜を除去することは有効である。
次いで第二の加熱処理として図1(D)に示すように、第1のTiシリサイド層4に対してレーザー光7を大気雰囲気で照射する。第二の加熱処理により高抵抗の第1のTiシリサイド層4が低抵抗の第2のTiシリサイド層6に変化する。
レーザー光7としては、パルス発振型または連続発振型である波長400nm以下のエキシマレーザー、YAGレーザー、YVO4レーザー、YLFレーザー、YAlO3レーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、サファイアレーザーなどを用いることができる。さらに、これらのレーザーを10MHz以上の発振周波数でパルス発振をさせることも可能である。10MHz以上の発振周波数でレーザビームを発振させると、発振周波数が低いパルスレーザを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができる。また、これらレーザー光に代えて紫外光ランプから発する光を用いてもよい。
上記したレーザー光7を用いる場合には、レーザー発振器から放射されたレーザー光を光学系で線状に集光し、第1のTiシリサイド層4に照射すればよい。照射条件は実施者が適宣選択するものであるが、パルス発振型のエキシマレーザーを用いる場合は、例えばパルス発振周波数30Hzとし、レーザーエネルギー密度を100〜500mJ/cm2とする。また、パルス発振型のYAGレーザーやYVO4レーザーを用いる場合には、その第2高調波または第3高調波を用いパルス発振周波数1〜10kHzとし、レーザーエネルギー密度を300〜600mJ/cm2とすると良い。そして幅100〜1000μm、例えば400μmで線状に集光したレーザー光を基板全面に渡って照射する。この時、レーザー光の重ね合わせ率(オーバーラップ率)を80〜98%にするのが好ましい。その他、1〜10MHzの発振周波数のレーザー光を用いることも可能である。
また、レーザー光7として連続発振型のレーザー(例えば連続発振型のYVO4レーザー)を用いる場合、出力10Wの連続発振のYVO4レーザーから射出されたレーザー光を非線形光学素子により高調波(第2高調波〜第4高調波)に変換する。その他、共振器の中にYVO4結晶と非線形光学素子を入れて、高調波を射出する方法もある。そして、好ましくは光学系により照射面にて矩形状または楕円形状のレーザー光に成形して、第1のTiシリサイド層4に照射する。このときのエネルギー密度は0.001〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、0.5〜2000cm/s程度の速度でレーザー光7に対して相対的に基板1を移動させて照射すればよい。
図1(E)、(F)には、第二の加熱処理をした後に、未反応のTi膜3及びTiN膜5を除去する例を示す。図1(E)で第二の加熱処理として、第1のTiシリサイド層4にレーザー光7を大気雰囲気で照射する。そして低抵抗の第2のTiシリサイド層6を形成する。
その後、未反応のTi膜3及びTiN膜5をエッチングにより除去して、図1(F)の状態を得る。図1(E)、(F)の場合は、第1のTiシリサイド層4の膜厚と第2のTiシリサイド層6の膜厚が異なる可能性があるため、第一及び第二の加熱処理条件により膜厚制御を行う。また、図1(B)の段階でTi膜の全てが第1のTiシリサイド層4となり、未反応なTi膜がなければ、第二の加熱処理によりTiシリサイド層の膜厚が増加することはない。そのため、第二の加熱処理後にTiN膜5を除去しても膜厚制御を確実に行うことができる。
なお、本形態では第一の加熱処理として、RTAまたは炉、オーブンもしくはホットプレート等を用いた加熱処理を行ったが、レーザー光を照射して行っても良い。その場合は、より耐熱性の低い基板を用いて低抵抗の第2のTiシリサイド層を形成することができる。ただし、第一の加熱処理をレーザー光で行うと、RTAまたは炉、オーブンもしくはホットプレート等を用いた加熱処理と比べて、エネルギーが非常に大きいため、Tiシリサイド層の膜厚制御が難しくなる。
また、第一及び第二の加熱処理を一度のレーザー光の照射により行っても良い。この場合はTiシリサイド層を一度の加熱処理工程で行うことができ、作製工程を短縮することができる。
以上の方法により、低温で第2のTiシリサイド層6を形成することができ、耐熱性の低い基板上にも低抵抗のTiシリサイド層を形成することができる。また、第二の加熱処理を酸素が存在する大気雰囲気で行っても、低抵抗の第2のTiシリサイド層を形成することができた。このため、第二の加熱処理雰囲気から酸素を除去する必要がなく、簡単にTiシリサイド層を形成することができる。
以下、Tiシリサイド層が形成される半導体膜の形成方法について説明する。
Tiシリサイド層が形成される半導体膜はシリコンを含む半導体であればよく、例えばシリコン、シリコンゲルマニウム、シリコンゲルマニウムカーボン等などが挙げられる。つまりTi膜と反応してTiシリサイドを形成できる半導体膜であれば良い。また、半導体膜は非晶質半導体膜、微結晶性半導体膜、結晶性半導体膜、単結晶半導体のいずれであってもよい。
半導体膜が結晶性半導体膜である場合、その形成方法としては、基板上に直接結晶性半導体膜を形成する方法、または基板上に非晶質半導体膜を形成した後、結晶化させる方法が挙げられる。
非晶質半導体膜を結晶化させるには、レーザー光を照射して結晶化させる方法、RTA、炉、オーブン等で加熱処理をして結晶化させる方法、またはレーザー光の照射と加熱処理を組み合わせて結晶化させる方法がある。結晶化工程は半導体装置の作製工程において高温で処理する工程の一つであるが、レーザー光を照射、またはレーザー光の照射と加熱処理を組み合わせて結晶化させることにより、基板を高温にさらさないで半導体膜を結晶化させることができる。従って、本発明のTiシリサイド形成方法と組み合わせることで、より積極的に耐熱性の低い基板を採用することができる。本形態では非晶質半導体膜にレーザー光を照射して結晶化した半導体膜を用いた。
また、半導体膜の結晶化を助長させる元素を用いて、非晶質半導体膜を結晶化させても良い。その場合は非晶質半導体膜に、半導体膜の結晶化を助長させる元素を添加した後、上述したレーザー光の照射、加熱処理またはそれらを組み合わせることにより、非晶質半導体膜を結晶化させる。結晶化を助長させる元素を用いて結晶化させることで、低温で結晶化でき、さらに結晶化した結晶性半導体膜の結晶方位の配向性を単一方向にそろえることが可能となる。従って、本発明のTiシリサイド形成方法と組み合わせることで、積極的に耐熱性の低い基板を採用することができるとともに、飛躍的に電界効果移動度及び電気特性が向上した半導体装置を形成することができる。
上記結晶化に用いるレーザー光としては、連続発振型のレーザビーム(CWレーザビーム)やパルス発振型のレーザビーム(パルスレーザビーム)を用いることができる。ここで用いることができるレーザビームは、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザなどの気体レーザ、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザのうち一種または複数種から発振されるものを用いることができる。このようなレーザビームの基本波、及びこれらの基本波の第2高調波から第4高調波のレーザビームを照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、Nd:YVO4レーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いることができる。このときレーザのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、走査速度を10〜2000cm/sec程度として照射する。
なお、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、Arイオンレーザ、またはTi:サファイアレーザは、連続発振をさせることが可能であり、Qスイッチ動作やモード同期などを行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振をさせることも可能である。10MHz以上の発振周波数でレーザビームを発振させると、半導体膜がレーザによって溶融してから固化するまでの間に、次のパルスが半導体膜に照射される。従って、発振周波数が低いパルスレーザを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができるため、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることができる。
媒質としてセラミック(多結晶)を用いると、短時間かつ低コストで自由な形状に媒質を形成することが可能である。単結晶を用いる場合、通常、直径数mm、長さ数十mmの円柱状の媒質が用いられているが、セラミックを用いる場合はさらに大きいものを作ることが可能である。
発光に直接寄与する媒質中のNd、Ybなどのドーパントの濃度は、単結晶中でも多結晶中でも大きくは変えられないため、濃度を増加させることによるレーザの出力向上にはある程度限界がある。しかしながら、セラミックの場合、単結晶と比較して媒質の大きさを著しく大きくすることができるため大幅な出力向上が期待できる。
さらに、セラミックの場合では、平行六面体形状や直方体形状の媒質を容易に形成することが可能である。このような形状の媒質を用いて、発振光を媒質の内部でジグザグに進行させると、発振光路を長くとることができる。そのため、増幅が大きくなり、大出力で発振させることが可能になる。また、このような形状の媒質から射出されるレーザビームは射出時の断面形状が四角形状であるため、丸状のビームと比較すると、線状ビームに整形するのに有利である。このように射出されたレーザビームを、光学系を用いて整形することによって、短辺の長さ1mm以下、長辺の長さ数mm〜数mの線状ビームを容易に得ることが可能となる。また、励起光を媒質に均一に照射することにより、線状ビームは長辺方向にエネルギー分布の均一なものとなる。
この線状ビームを非晶質半導体膜に照射することによって、非晶質半導体膜の全面をより均一にアニールすることが可能になる。線状ビームの両端まで均一なアニールが必要な場合は、その両端にスリットを配置し、エネルギーの減衰部を遮光するなどの工夫が必要となる。
このようにして得られた強度が均一な線状ビームを用いて非晶質半導体膜を結晶化し、この結晶化した半導体膜を用いて電子機器を作製すると、その電子機器の特性は、良好かつ均一である。
(第2実施形態)
ここでは本発明を用いてトップゲート型の薄膜トランジスタ(以下、TFTと言う)を作製する実施形態について図3〜図6を用いて説明する。第1実施形態と同一のものについては同一の符号を付し、説明を省略する。
基板1上に絶縁膜15を形成する。基板1としてはガラス基板、絶縁膜15としては酸化シリコン膜を用いる。次に、絶縁膜15上にシリコンを含む非晶質半導体膜を形成し、第1実施形態で述べたレーザー光を照射して結晶化し、結晶性半導体膜を形成する。その後、結晶性半導体膜を公知のフォトリソグラフィー工程により島状の半導体膜16にする(図3(A))。
次いで島状の半導体膜16の表面をフッ酸含有エッチャントで洗浄した後、島状の半導体膜16上の全面にゲート絶縁膜17を形成する。ゲート絶縁膜17は珪素を主成分とする絶縁膜で形成される。これら島状の半導体膜16の表面洗浄工程とゲート絶縁膜17の形成工程は、大気にふれさせずに連続的に行うことが望ましい。
ゲート絶縁膜17としては、酸化珪素、窒化珪素または窒化酸化珪素等を用い、単層または複数の膜を積層させて形成することができる。この場合において、当該ゲート絶縁膜の表面を、マイクロ波で励起され、電子温度が2eV以下、イオンエネルギーが5eV以下、電子密度が1011〜1013/cm3程度である高密度プラズマ処理によって酸化又は窒化処理して緻密化しても良い。この処理はゲート絶縁膜17の成膜に先立って行っても良い。すなわち、島状の半導体膜16の表面に対してプラズマ処理を行う。このとき、基板温度を300〜450℃とし、酸化雰囲気(O2、N2Oなど)又は窒化雰囲気(N2、NH3など)で処理することにより、その上に堆積するゲート絶縁層と良好な界面を形成することができる。
次いで、ゲート絶縁膜17の表面を洗浄した後、ゲート絶縁膜17上に金属膜を形成する。この金属膜上にフォトレジスト膜(図示せず)を塗布し、このフォトレジスト膜を露光及び現像することによりレジストパターンを形成する。このレジストパターンをマスクとして金属膜をエッチングすることにより、ゲート絶縁膜17上にゲート電極18を形成する。金属膜の代わりに、ゲート電極材料にシリコンを含む材料を用いても良い。その場合には、後のシリサイド化する熱処理工程においてゲート電極上にもTiシリサイド層を形成することができる。
次いで、ゲート電極18をマスクとして島状の半導体膜16に不純物イオンを低濃度で導入して、低濃度の不純物領域を形成する(図3(A))。
次に、図3(B)に示すようにゲート電極18を覆うように絶縁層27を形成する。絶縁層27を異方性エッチングし、ゲート電極18の両側面に接するサイドウォール絶縁層28を形成する(図3(C))。また、このエッチングによってゲート絶縁膜17もエッチングし、ゲート絶縁膜19を形成する。これにより島状の半導体膜16の一部が露出される。
次に、ゲート電極18及びサイドウォール絶縁層28をマスクとして、不純物イオンを島状の半導体膜16に高濃度で導入する。これにより、高濃度不純物領域20、低濃度不純物領域29が形成される(図3(D))。
その後露出した島状の半導体膜16、つまり高濃度不純物領域20の表面をフッ酸で洗浄する。次にTi膜21を全面にスパッタ法にて50nm成膜し、さらにTi膜21上に保護膜としてTiN膜22を全面にスパッタ法にて10nm成膜する(図3(E))。保護膜は必要がなければ成膜しなくとも良い。
次に島状の半導体膜16及びTi膜21に第一の加熱処理を行い、島状の半導体膜16とTi膜21が接している部分、すなわちソース領域およびドレイン領域に高抵抗の第1のTiシリサイド層23が形成される(図4(A))。本実施形態では第一の加熱処理としてランプRTAを用いて600℃で、3minの処理を行う。第一の加熱処理方法としてガスRTA、炉、オーブン、ホットプレート、レーザー照射を用いてもよい。
次に半導体膜と未反応のTi膜21およびTiN膜22をエッチング法により除去する(図4(B))。エッチング法としてドライエッチングでもウェットエッチングでも良いが、ウェットエッチングの場合はエッチング表面の荒れが少ないため、半導体膜には好ましい。また、第1実施形態で説明したように、第二の加熱処理によりTiシリサイド層の膜厚が増加しても良いなら、第二の加熱処理を行った後に未反応のTi膜21及びTiN膜22を除去しても良い。
次いで第二の加熱処理として図4(B)に示すように、高抵抗の第1のTiシリサイド層23に対してレーザー光33を大気雰囲気で照射し、第1のTiシリサイド層23を低抵抗の第2のTiシリサイド層24にする。レーザー光33は発振器の出力で約1〜5W程度で、このときのパワー密度は0.001〜100MW/cm2程度とした。基板1上に複数の島状の半導体膜16がある場合は、レーザー光33に対し相対的に基板1を移動させて、基板1全面にレーザー光33を照射する。また、照射するレーザー光33の種類としては、第1実施形態で挙げたものを用いることができる。
当該Tiシリサイド形成工程によってソース領域、ドレイン領域を十分に低抵抗化できる。したがってその後、高濃度不純物領域を活性化することは不要である。もちろん高濃度不純物領域を活性化するために加熱処理、強光の照射、またはレーザー光の照射を行ってもよいことはいうまでもない。
次いで全面に層間絶縁膜25を形成した後に水素化を行う。そして層間絶縁膜25上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして層間絶縁膜25をエッチングすることにより、第2のTiシリサイド層24を露出するコンタクトホールを形成する(図4(C))。次いで層間絶縁膜25上及びコンタクトホール中に導電膜(例えばAl合金配線)を形成し、この導電膜をパターニングすることにより、ソース電極及びドレイン電極26を形成する。以上の工程によりトップゲート型TFTが形成される。
図5に導電性を付与された半導体膜でゲート電極を形成した場合を示す。ゲート電極が半導体膜で形成されているときは、図3(E)の状態の後に第一の加熱処理を行うと、ゲート電極上にも高抵抗の第1のTiシリサイド層30が形成される(図5(A))。
第一の加熱処理後に、島状の半導体膜16と未反応のTi膜21およびTiN膜22をエッチングにより除去する。そして、第二の加熱処理として第1のTiシリサイド層23及び30にレーザー光33の照射を行い、第1のTiシリサイド層23及び30を低抵抗の第2のTiシリサイド層24及び31にする(図5(B))。
次いで図4(C)と同様に層間絶縁膜25、ソース電極及びドレイン電極26を形成し、TFTを形成する(図5(C))。
図6はゲート電極上にキャップ膜を形成する例について説明する。ゲート電極18が、未反応のTi膜21及びTiN膜22をエッチングする際のエッチング液に対し耐性がない場合は、以下のようにしてキャップ膜を形成すると有効である。
サイドウォール絶縁層まで形成した基板(図3(D))全面にキャップ膜として機能する絶縁膜66を形成する(図6(A))。ここでは、絶縁膜66として、プラズマCVD法により酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y)を50nm形成する。
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク67をゲート電極およびゲート線上に形成する(図6(B))。マスク67を用いて絶縁膜66をエッチングし、ゲート電極およびゲート線の表面を覆うキャップ膜68を形成する(図6(C))。ここではHF:H2O=1:99の割合で混合したフッ酸溶液を用いてエッチング処理を行った。このフッ酸を用いたエッチング処理で島状の半導体膜16の表面に形成されている酸化膜も除去される。キャップ膜68はゲート電極18やエッチング液の種類によって任意に選択することができ、酸化窒化シリコンに限られない。
次いで、Ti膜21およびTiN膜22を成膜し、第一の加熱処理を行って高抵抗の第1のTiシリサイド層23を形成する(図6(D))。
第一の加熱処理後に半導体膜と未反応のTi膜21およびTiN膜22を公知のエッチング液で除去する。このとき、ゲート電極18はキャップ膜68及びサイドウォール絶縁層28に覆われているため、エッチング液と接することはない(図6(E))。
次に第二の加熱処理としてレーザー光33の照射を行い、第1のTiシリサイド層23を第2のTiシリサイド層24にする(図6(E))。
次いで上記と同様に層間絶縁膜25、ソース電極及びドレイン電極26を形成し、TFTを形成する(図6(F))。ここで本実施形態ではキャップ膜68上に層間絶縁膜25を形成しているが、キャップ膜68を除去してから層間絶縁膜25を形成してもよい。
なお本発明は図3〜6に示したTFT構造に限定されず、他の構造を有するTFTに適用することも可能である。例えばチャネル形成領域とドレイン領域(またはソース領域)との間に低濃度不純物領域29を設けなくともよい。また、本形態では低濃度不純物領域はゲート電極と重ならない例を示したが、ゲート絶縁膜を介して低濃度領域をゲート電極と重ねて配置させた、いわゆるGOLD(Gate−drain Overlapped LDD)構造としてもよい。その他、図3では不純物イオンを高濃度で注入してからTi膜21を成膜し、第2のTiシリサイド層24を形成したが、第2のTiシリサイド層24を形成した後に不純物イオンを高濃度で導入しても良い。
また本実施形態ではトップゲート型TFTを例として説明したが、例えば逆スタガ型TFTに適用することも可能である。
以上の工程により、高濃度不純物領域20とソース電極及びドレイン電極26とのコンタクト抵抗が低いTFTを形成できるとともに、高濃度不純物領域20自体の抵抗を低くすることができる。そのため、電界効果移動度が高く、応答特性に優れたTFTを形成することができる。また、低温でTiシリサイド層を形成できるため、歩留まりよく電気特性のよいTFTを形成できる。
本形態は第1実施形態と実施可能な範囲で自由に組み合わせることができる。
図1、図2を用いて本実施例を説明する。
まず図2(A)に示すように、基板1としてガラス基板(コーニング製EAGLE2000)を用い、その上にプラズマCVD法により非晶質珪素膜8を膜厚66nm程度形成する。図示しないが、基板側からナトリウムなどの不純物が非晶質珪素膜に拡散するのを防止するため、ガラス基板1と非晶質珪素膜8との間に、窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y)を積層させ、下地膜として形成した。
次に非晶質珪素膜8を結晶化した。まず非晶質珪素膜8の表面に金属含有層9を形成する。金属含有層9は、半導体膜の結晶化を助長する金属元素(例えばFe、Ni、Co、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Auから選ばれた一種又は複数種)を含有している。本実施例では、金属含有層9を、ニッケルを重量換算で10ppm含む酢酸ニッケル溶液をスピナーで塗布することにより形成した。なお金属含有層9の形成方法は、塗布以外に、スパッタ法、蒸着法、またはプラズマ処理により極薄い膜を形成する方法がある。また、ここでは、全面に塗布する例を示したが、マスクを形成して選択的に金属含有層9を形成してもよい。また金属含有層9は非晶質珪素膜8を形成する前、すなわち非晶質珪素膜8の下に形成されてもよい。
次いで図2(B)に示すように、基板1、非晶質珪素膜8及び金属含有層9を加熱処理する。ここでは脱水素化のための熱処理(450℃〜500℃、1〜2時間)の後、結晶化のための熱処理(550℃〜650℃で4〜24時間)を行い、非晶質珪素膜8を結晶性珪素膜10にした。
なお上記した結晶化のための熱処理において結晶性珪素膜10の表面に図示しない酸化膜が形成されるが、この酸化膜は次のレーザー照射の工程を行う前にエッチングにより除去されるのが好ましい。
次いで図2(C)に示すように、結晶性珪素膜10の結晶化率(膜の全体積における結晶成分の割合)を高め、結晶粒内に残される欠陥を補修するために、結晶性珪素膜10に対してレーザー光11を照射した。
レーザー光11としては、第1実施形態で述べたレーザー光を用いることができるが、本実施例では連続発振型であるYVO4レーザーの第2高調波を用いた。出力は10W程度とし、レーザー光を非線形光学素子により変換して第2高調波とした。またこのときのパワー密度は0.001〜100MW/cm2程度とした。そして、0.5〜2000cm/s程度の速度でレーザー光11に対して相対的に基板1を移動させて照射した。以上により膜中の欠陥が補修された結晶性珪素膜12を形成した。
次に図2(D)に示すようにオゾン含有水溶液(代表的にはオゾン水)で結晶性珪素膜12の表面を処理することにより、結晶性珪素膜12の表面に酸化膜(ケミカルオキサイドと呼ばれる)を形成する。これによりレーザー光11を照射することで形成された酸化膜と合計して、合計1〜10nmの酸化膜からなるバリア層13が形成される。バリア層13は、後の工程でゲッタリング層のみを選択的に除去する際にエッチングストッパーとして機能する。
ここでオゾン含有水溶液に代えて、過酸化水素水を含む水溶液で処理しても同様にバリア層13(ケミカルオキサイド)を形成することができる。また、酸素雰囲気下で紫外線を照射してオゾンを発生させ、このオゾンにより結晶性珪素膜10の表面を酸化することによりバリア層13を形成してもよい。また、プラズマCVD法やスパッタ法や蒸着法などで1〜10nm程度の酸化膜をバリア層13として堆積しても良い。
次いでバリア層13上にアルゴン元素を含むゲッタリング層14をゲッタリングサイトとして形成する。ここでは、スパッタリング法によりアルゴンガスを含む非晶質珪素膜をゲッタリング層14として形成するが、プラズマCVD法または減圧CVD法でゲッタリング層を形成しても良い。
次いで結晶性珪素膜12、バリア層13およびゲッタリング層14に熱処理(550℃、4hrの加熱処理)を行った。これにより図2(D)のように、結晶性珪素膜12からゲッタリング層14へ金属元素(ニッケル)のゲッタリングを行い、結晶性珪素膜12中における金属元素を低濃度化又は除去する。
次いでバリア層13をエッチングストッパーとして公知のエッチング方法を行い、ゲッタリング層14のみを選択的に除去する。その後酸化膜からなるバリア層13を、例えばフッ酸を含むエッチャントにより除去する(図2(E))。以上により、基板1上に結晶性構造を持つ結晶性珪素膜12を形成することができる。
以降の工程は結晶性珪素膜12を図1(A)の半導体膜2として、図1を用いて説明する。半導体膜2の表面酸化膜をフッ酸を用いて除去した後、スパッタ法にてTi膜3およびTiN膜5を形成した。Ti膜3の膜厚は50nmとし、TiN膜5の膜厚は10nmとした。
次に半導体膜2、Ti膜3およびTiN膜5に加熱処理を行い、高抵抗の第1のTiシリサイド層4を形成する(図1(B))。加熱処理方法としてランプRTA法を使用しており、600℃ 、3minの加熱処理を行った。この加熱処理で形成される第1のTiシリサイド層4の膜厚は5〜10nmである。
その後、半導体膜2と未反応のTi膜3及びTiN膜5を除去し、図1(C)の状態にする。
次いで第二の加熱処理として図1(D)に示すように、第1のTiシリサイド層4に対してレーザー光7を大気雰囲気で照射し、低抵抗の第2のTiシリサイド層6を形成する。
レーザー光としては、連続発振型であるYVO4レーザーの第2高調波を用いた。出力は3〜5Wであり、レーザー光を非線形光学素子により変換して第2高調波とした。またこのときのパワー密度は0.001〜100MW/cm2程度である。そして、0.5〜2000cm/s程度の速度でレーザー光に対して相対的に基板1を移動させて照射した。
図42に、レーザー光7の出力が3〜5Wのときの第2のTiシリサイド層6の抵抗値を測定した結果を示す。また、図42中の比較例は、第一の加熱処理を行った直後の第1のTiシリサイド層4の抵抗値である。図42の測定結果より、レーザー光7を照射したとき、第2のTiシリサイド層6の抵抗値は比較例の抵抗値の約3分の1となっており、レーザー光7を照射したことで第1のTiシリサイド層4の抵抗値が下がっているのが分かる。なお、本実施例ではレーザー光7の出力が4Wのときに第2のTiシリサイド層6の抵抗値が最小となっている。
また、本実施例で形成した第2のTiシリサイド層6のうち、4Wの出力でレーザー光を照射したときの第2のTiシリサイド層の組成を評価した結果を表1、表2に示す。表1の組成評価はRBS分析手法で行った。結果より、第2のTiシリサイド層6の膜組成には酸素が含まれるという特徴があることが分かった。濃度としては、表1よりTiシリサイド層中に20.0atomic%の酸素が存在している。また、表2よりTiシリサイド層中の酸素は半導体膜のシリコンに対して約30.8%の割合で存在し、Tiシリサイド層中のTiは半導体膜のシリコンに対して約23.1%の割合で存在している。
表3は、第一の加熱処理としてRTAを行った後の第1のTiシリサイド層4の組成を評価した結果である。それぞれ、真空下、650℃、3minのRTA法による加熱処理、真空下、700℃、3minのRTA法による加熱処理をした後のTiシリサイド層の組成を評価したが、いずれにも酸素は含まれていなかった。したがって、第二の加熱処理であるレーザー照射により、膜中に酸素が含まれたことになる。
一般的には、Tiシリサイド化反応に酸素が混入すると低抵抗のTiシリサイド層が得られないため、窒素雰囲気等でTiシリサイド化が行われる。しかし、本発明により、加熱処理雰囲気を調整しなくとも、低抵抗のTiシリサイド層が形成でき、歩留まりよくTFTを形成できる。
本実施例は、実施可能な範囲で自由に第1及び第2実施形態と組み合わせることができる。
ここでは図7〜12を用いてTFTを作製した例について説明する。なお結晶性珪素膜を形成するまでの工程は第1実施形態に示したものと同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。基板1上に窒化酸化珪素膜40、酸化窒化珪素膜41を形成する(図7(A))。さらに、その上に非晶質珪素膜を形成し、レーザー光を照射して結晶化した結晶性珪素膜を形成する。そして、結晶性珪素膜をフォトリソグラフィー工程によってパターニングし、島状の結晶性珪素膜42、42’を形成する(図7(A))。
次に結晶性珪素膜42、42’を覆うようにゲート絶縁膜43を形成する(図7(B))。ここではプラズマCVD法により酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y)を20nm形成する。
次に、ゲート絶縁膜43上に、第1の導電層と第2の導電層を積層して形成する。第1の導電層は、スパッタリング法によりTaN膜を30nmの厚さで形成する。第1の導電層上の第2の導電層は、スパッタリング法によりW膜を370nmの厚さで形成する。そして、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスクを形成し、ゲート電極とゲート線を形成するためのエッチング処理を行って、ゲート電極として機能する導電層(ゲート電極層とよぶことがある)44〜47を形成する。
次に、導電層44〜47形成のためのマスクを除去し、新たに、フォトリソグラフィ法により、レジストからなるマスク48を形成する。続いて、結晶性珪素膜42に、イオンドープ法により、N型を付与する不純物元素(リン)を低濃度に添加して、N型不純物領域49、50を形成する(図7(B))。
次に、マスク48を除去し、新たに、フォトリソグラフィ法によりレジストからなるマスク51を形成する(図8(A)参照)。続いて、結晶性珪素膜42’に、P型を付与する不純物元素(ボロン)を添加して、P型不純物領域52、53、チャネル形成領域65を形成する。
次に、マスク51を除去し、ゲート絶縁膜43と導電層44〜47を覆うように、絶縁層54を形成する(図8(B)参照)。絶縁層54は、プラズマCVD法により酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y)を100nm、その後熱CVD法により酸化珪素膜(SiO2膜)を200nm成膜して形成する。
次に、絶縁層54を、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして、導電層44〜47の両側面に接する絶縁層(以下サイドウォール絶縁層とよぶ)55、56を形成する(図9(A)参照)。サイドウォール絶縁層55、56は、後に形成するLDD領域のドーピング用のマスクとして用いる。またこのエッチングによってゲート絶縁膜も一部除去して結晶性珪素膜42、42’の一部を露出させる。
次に、フォトリソグラフィ法によりレジストからなるマスク57を形成する。続いて、サイドウォール絶縁層55をマスクとして、結晶性珪素膜42にN型を付与する不純物元素(リン)を添加して、チャネル形成領域64、第1のN型不純物領域(LDD領域ともよぶ)60、61と、第2のN型不純物領域58、59とを形成する(図9(B)参照)。第1のN型不純物領域60、61が含む不純物元素の濃度は、第2のN型不純物領域58、59の不純物元素の濃度よりも低い。この後マスク57を除去する。
次に、結晶性珪素膜42、42’、導電層44〜47、ゲート絶縁膜43及びサイドウォール絶縁層55、56を覆うように、絶縁膜66を形成する(図10(A)参照)。絶縁膜66として、プラズマCVD法により酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y)を50nm形成する。
次に、絶縁膜66上にフォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク67を形成し、マスク67を用いて絶縁膜66をエッチングする。これによりゲート電極およびゲート線上以外の絶縁膜66を除去してゲート電極およびゲート線上にキャップ膜68を形成する(図10(B)参照)。ここではHF:H2O=1:99の割合で混合したフッ酸溶液を用いて、絶縁膜66に対しエッチング処理を行った。このエッチング処理により、ゲート絶縁膜で覆われていない結晶性珪素膜の表面に形成されている自然酸化膜も同時に除去される。
スパッタ法にてTi膜69およびTiN膜70を形成した(図11(A))。Ti膜69の膜厚は50nmとし、TiN膜70の膜厚は10nmとした。
次に第一の加熱処理を行い高抵抗の第1のTiシリサイド層71を形成する。第一の加熱処理方法としてランプRTA法を使用しており、600℃ 、3minの加熱処理を行った。この加熱処理で形成される第1のTiシリサイド層71の膜厚は5〜10nmである。
次に結晶性珪素膜と未反応のTi膜およびTiN膜を除去する。ここではNH3:H2O2:H2O=2:5:2の割合で調合した薬液を用いて、Ti膜およびTiN膜を除去する。ここで、導電層45、47を構成するW膜は上記の薬液に対する耐久性がないが、キャップ膜68およびサイドウォール絶縁層55、56により覆われているため、上記の薬液によりW膜がエッチングされることはない(図11(B))。
次に第二の加熱処理としてレーザー照射を行い低抵抗の第2のTiシリサイド層82を形成する。レーザー光としては、連続発振型であるYVO4レーザーの第2高調波を用いた。出力は4Wであり、レーザー光を非線形光学素子により変換して第2高調波とした。またこのときのパワー密度は0.001〜100MW/cm2程度である。そして、0.5〜2000cm/s程度の速度でレーザー光に対して相対的に基板1を移動させて照射した。
本発明では第一の加熱処理で高抵抗の第1のTiシリサイド層71を形成した後に、第1のTiシリサイド層71に対してレーザー照射を行い、第1のTiシリサイド層71を変化させて低抵抗の第2のTiシリサイド層82を形成する。よってソース領域及びドレイン領域の活性化を行う必要はない。ただし後述するように珪素膜の水素化を行う際に加熱処理工程を行うので、水素化と活性化とを同時に行ってもよい。
上記工程を経て、N型の薄膜トランジスタ62と、P型の薄膜トランジスタ63の基本構造が完成する。N型の薄膜トランジスタ62は、第1のN型不純物領域60、61と第2のN型不純物領域58、59とチャネル形成領域64を含む結晶性珪素膜と、ゲート絶縁膜43と、ゲート電極として機能する導電層44、45とを有する。このような、薄膜トランジスタ62の構造はLDD構造と呼ばれる。
P型の薄膜トランジスタ63は、P型不純物領域52、53とチャネル形成領域65を含む結晶性珪素膜と、ゲート絶縁膜43と、ゲート電極として機能する導電層46、47とを有する。このような、薄膜トランジスタ63の構造はシングルドレイン構造と呼ばれる。
また、上記工程を経て完成した、薄膜トランジスタ62と薄膜トランジスタ63のチャネル長は0.35〜5μm、好適には0.5〜3μmであることを特徴とする。上記特徴により、応答速度を早くすることができる。なお、チャネル長は、その回路に応じて作り分けてもよく、例えば、高速動作が要求されない電源回路を構成する薄膜トランジスタのチャネル長は3μmとし、その他の回路の薄膜トランジスタのチャネル長は1μmにするとよい。
次に、薄膜トランジスタ62、63を覆うように、絶縁膜72を形成する(図12(A))。絶縁膜72として、プラズマCVD法により酸化窒化珪素(SiOxNy)(x>y)を50nm形成する。
絶縁膜72を形成した後に、珪素膜の水素化を目的とした加熱処理を行う。ここでは窒素雰囲気下で550℃、4時間の加熱処理を行った。この加熱処理によって珪素膜の結晶性の回復や珪素膜に添加された不純物元素の活性化も行われることになる。ただし本発明を用いればソース領域及びドレイン領域を十分に低抵抗化できるので活性化工程は不要であることは上記したとおりである。
次に珪素の酸化物や珪素の窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ、シロキサン等の有機材料等により、単層又は積層を形成する。シロキサンとは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。図示する断面構造では、薄膜トランジスタ62、63を覆う絶縁層が3層構造の場合を示す。その構成として、例えば、1層目の絶縁膜72として酸化珪素を含む層を形成し、2層目の絶縁膜73として窒化珪素を含む層を形成し、3層目の絶縁膜74として酸化珪素を含む層を形成するとよい。
次に、フォトリソグラフィ法により絶縁膜72〜74をエッチングして、第2のTiシリサイド層82を露出させるコンタクトホールを形成する。続いて、コンタクトホールを充填するように、導電層を形成し、当該導電層をパターン加工して、ソースドレイン配線として機能する導電層75〜77を形成する。
導電層75〜77は、公知の手段(プラズマCVD法やスパッタリング法)により、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ネオジウム(Nd)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。アルミニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素と珪素の一方又は両方とを含む合金材料に相当する。導電層75〜77は、例えば、バリア層、アルミニウムシリコン(Al−Si)層、バリア層の順の積層、バリア層、アルミニウムシリコン(Al−Si)層、窒化チタン(TiN)層、バリア層の順の積層構造を採用するとよい。なお、バリア層とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、又はモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。
アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、導電層75〜77を形成する材料として最適である。また、上層と下層のバリア層を設けると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生を防止することができる。また下層のバリア層を設けると、アルミニウムやアルミニウムシリコンと、結晶質半導体層との、良好なコンタクトをとることができる。また、チタンは、還元性の高い元素であるため、チタンからなるバリア層を形成すると、結晶性珪素膜上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元し、結晶性珪素膜と良好なコンタクトをとることができる。以上の工程によりTFTが完成する(図12(A))。
本実施例は、実施可能な範囲で自由に第1及び第2実施形態、実施例1と組み合わせることができる。
本実施例では、本発明を用いてCPU(中央演算装置:Central Processing Unit)を作製した例を示す。ここでは実施例2で作製したTFTを用いてCPUを作製する。なお、上記実施例と同じものは同じ符号で表す。
まず図12(A)の導電層75〜77を覆うように、絶縁層78を形成する(図12(B))。絶縁層78は、公知の手段(SOG法、液滴吐出法等)により、無機材料又は有機材料により、単層又は積層で形成する。絶縁層78は、薄膜トランジスタによる凸凹を緩和し、平坦化することを目的に形成する膜である。そのため、有機材料により形成することが好ましい。
次に、フォトリソグラフィ法により絶縁層78をエッチングして、導電層75、77を露出させるコンタクトホールを形成する。続いて、コンタクトホールを充填するように、導電層を形成し、当該導電層をパターン加工して、配線等として機能する導電層79、80を形成する。導電層79、80は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。例えば、バリア層、アルミニウム層の順の積層、バリア層、アルミニウム層、バリア層の順の積層等の構造を採用するとよい。バリア層とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン又はモリブデンの窒化物などに相当する。
上記工程を経て完成した、薄膜トランジスタ62、63等の素子群と、配線等として機能する導電層79、80を合わせて薄膜集積回路81とよぶ。なお、本工程では示さないが、薄膜集積回路81を覆うように、公知の手段により、保護層を形成してもよい。保護層は、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)などの炭素を含む層、窒化珪素を含む層、窒化酸化珪素を含む層等に相当する。
以上のように形成された薄膜集積回路81を用いて様々な半導体装置を作製することができる。本実施例においては薄膜集積回路81を用いてCPUを作製する。CPUは駆動電圧5Vで、動作周波数30MHzと高速動作が可能となる。
更に本実施例のCPUの構成についてブロック図を用いて説明する。
図13に示すCPUは、基板3600上に、演算回路(ALU:Arithmetic logic unit)3601、演算回路用の制御部(ALU Controller)3602、命令解析部(Instruction Decoder)3603、割り込み制御部(Interrupt Controller)3604、タイミング制御部(Timing Controller)3605、レジスタ(Register)3606、レジスタ制御部(Register Controller)3607、バスインターフェース(Bus I/F)3608、書き換え可能なROM3609、ROMインターフェース(ROM I/F)3620とを主に有している。またROM3609及びROM I/F3620は、別チップに設けても良い。
勿論、図13に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。
バスインターフェース3608を介してCPUに入力された命令は、命令解析部3603に入力され、デコードされた後、演算回路用の制御部3602、割り込み制御部3604、レジスタ制御部3607、タイミング制御部3605に入力される。
演算回路用の制御部3602、割り込み制御部3604、レジスタ制御部3607、タイミング制御部3605は、デコードされた命令に基づき、各種制御を行う。具体的に演算回路用の制御部3602は、演算回路3601の駆動を制御するための信号を生成する。また、割り込み制御部3604は、CPUのプログラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断し、処理する。レジスタ制御部3607は、レジスタ3606のアドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ3606の読み出しや書き込みを行う。
またタイミング制御部3605は、演算回路3601、演算回路用の制御部3602、命令解析部3603、割り込み制御部3604、レジスタ制御部3607の駆動のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミング制御部3605は、基準クロック信号CLK1(3621)を元に、内部クロック信号CLK2(3622)を生成する内部クロック生成部を備えており、クロック信号CLK2を上記各種回路に供給する。
図14には、画素部と、CPU、その他の回路が同一基板に形成された表示装置、いわゆるシステムオンパネルを示す。基板3700上に画素部3701、画素部3701が有する画素を選択する走査線駆動回路3702と、選択された画素にビデオ信号を供給する信号線駆動回路3703とが設けられている。走査線駆動回路3702、及び信号線駆動回路3703から引き回される配線によりCPU3704、その他の回路、例えばコントロール回路3705とが接続されている。なおコントロール回路にはインターフェースが含まれている。そして、基板の端部にFPC端子との接続部を設け、外部信号とのやりとりを行う。
その他の回路として、映像信号処理回路、電源回路、階調電源回路、ビデオRAM、メモリ(DRAM、SRAM、PROM)等を基板上に設けることができる。またこれら回路は、ICチップにより形成し、基板上に実装してもよい。さらに必ずしも走査線駆動回路3702、及び信号線駆動回路3703を同一基板に形成する必要はなく、例えば走査線駆動回路3702のみを同一基板に形成し、信号線駆動回路3703をICチップにより形成し、実装してもよい。
図15(A)には、パッケージングされたCPUの形態を示す。基板3800上に形成されたCPUの機能を有する薄膜トランジスタアレイ3801を、CPU表面に設けられた電極(ソース電極やドレイン電極、又はそれらの上に絶縁膜を介して形成された電極等)3802が下側となるフェイスダウン状態とする。基板3800は、ガラス、プラスチックを用いることができる。また銅やその合金で形成される配線3803が設けられた配線基板、例えばプリント基板3807を用意する。プリント基板3807には、接続端子(ピン)3804が設けられている。そして電極3802と、配線3803とを異方性導電膜3808等を介して接続する。その後、エポキシ樹脂等の樹脂3805で基板3800上方から覆い、パッケージングされたCPUとして完成する。または中空に保った状態で外周をプラスチックなどで囲んでもよい。
図15(B)には、図15(A)と異なり、CPU表面に設けられた電極3802が上側となるフェイスアップ状態とする。そしてプリント基板3807上に基板3800を固定し、電極3802と、配線3803とをワイヤ3818により接続する。このようにワイヤにより接続することをワイヤボンディングという。そして電極3802と、配線3803に接続されるバンプ3814とが接続する。その後、中空に保った状態で外周をプラスチック3815等で囲み、パッケージングされたCPUとして完成する。
図15(C)には、フレキシブル性を有する基板、例えばFPC(Flexible printed circuit)上に、CPUの機能を有する薄膜トランジスタアレイ3801を固定する例を示す。基板3800に形成されたCPUの機能を有する薄膜トランジスタアレイ3801を、CPU表面に設けられた電極3802が下側となるフェイスダウン状態で、CPUをパッケージングする。基板3800には、ガラス、石英、金属、バルク半導体、プラスチックを用いることができるが、図15(C)ではフレキシブル性の高いプラスチックを用いると好ましい。また、銅やその合金で形成される配線3803が設けられたフレキシブル性を有するFPC3817を用意する。そして、電極3802と、配線3803とを異方性導電膜3808を介して接続する。その後、エポキシ樹脂等の樹脂3805で基板3800上方から覆い、パッケージングされたCPUとして完成する。
このようにパッケージングされたCPUは、外部から保護され、さらに携帯しやすくなる。そして所望箇所に、CPUを実装することができ、特に図15(C)のようにフレキシブル性を有すると、実装する対象物の自由度が高まる。またパッケージングすることによりCPUの機能を補助することもできる。
以上のように、本発明のTFTを用いて、CPU等の半導体装置を作製することができる。薄膜トランジスタにより形成されるCPUは軽量であるため、携帯や実装するときの負担を軽減することができる。また、本実施例で説明したCPUや液晶表示装置、EL表示装置等、本発明を用いて作製された様々な表示装置を用いて、システムオンパネルを作製することが可能である。
本実施例は、実施可能な範囲で自由に第1及び第2実施形態、実施例1〜2と組み合わせることができる。
ここでは本発明を用いて無線チップを作製する方法について説明する。なお、上記実施例と同じものは同じ符号で表す。
まず、基板1の一表面に、剥離層100を形成する(図16(A)の断面図と図17の上面図参照)。基板1は、ガラス基板、石英基板、金属基板やステンレス基板の一表面に絶縁層を形成したもの、本工程の処理温度に耐えうる耐熱性があるプラスチック基板等を用いる。このような基板1であれば、大きさや形状に大きな制限はないため、基板1として、例えば、1辺が1メートル以上であって、矩形状のものを用いれば、生産性を格段に向上させることができる。このような利点は、円形のシリコン基板から無線チップを取り出す場合と比較すると、大きな優位点である。また、基板1上に形成する薄膜集積回路は、後に基板1から剥離する。つまり、本発明において提供する無線チップは、基板1を有していない。従って、薄膜集積回路が剥離された基板1は、何度でも再利用することができる。このように、基板1を再利用すれば、コストを削減することができる。再利用する基板1としては、石英基板が望ましい。
なお、本実施例では、剥離層100は、基板1の一表面に薄膜を形成した後、フォトリソグラフィ法によりパターニングして、剥離層を選択的に設けているが、本発明はこの工程を必須とはしない。必要がなければ、剥離層を選択的に設ける必要はなく、全面に設けたままでもよい。
剥離層100は、公知の手段(スパッタリング法やプラズマCVD法等)により、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、鉛(Pb)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、珪素(Si)から選択された元素または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる層を、単層で又は積層して形成する。珪素を含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。
剥離層100が単層構造の場合、好ましくは、タングステン層、モリブデン層、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成する。又は、タングステンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物若しくは酸化窒化物を含む層を形成する。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当する。また、タングステンの酸化物は、酸化タングステンと表記することがある。
剥離層100が積層構造の場合、好ましくは、1層目としてタングステン層、モリブデン層、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成し、2層目として、タングステン、モリブデンもしくはタングステンとモリブデンの混合物の酸化物、窒化物、酸化窒化物又は窒化酸化物を形成する。
なお、剥離層100として、タングステンを含む層と、その上層のタングステンの酸化物を含む層の積層構造を形成する場合、タングステンを含む層を形成し、その上層に酸化珪素を含む層を形成することで、タングステン層と酸化珪素層との界面に、タングステンの酸化物を含む層が形成されることを活用してもよい。これは、タングステンの窒化物、酸化窒化物及び窒化酸化物を含む層を形成する場合も同様であり、タングステンを含む層を形成後、その上層に窒化珪素層、酸化窒化珪素層、窒化酸化珪素層を形成する。なお、タングステンを含む層を形成後に、その上層に形成する酸化珪素層、酸化窒化珪素層、窒化酸化珪素層などは、後に下地となる絶縁層として機能する。
また、タングステンの酸化物は、WOXで表され、Xは2〜3である。Xが2の場合(WO2)、Xが2.5の場合(W2O5)、Xが2.75の場合(W4O11)、Xが3の場合(WO3)などがある。タングステンの酸化物を形成するにあたり、上記に挙げたXの値に特に制約はなく、そのエッチングレートなどを元に決めるとよい。但し、エッチングレートの最も良いものは、酸素雰囲気下で、スパッタリング法により形成するタングステンの酸化物を含む層(WOx、0<X<3)である。従って、作製時間の短縮のために、剥離層として、酸素雰囲気下でスパッタリング法によりタングステンの酸化物を含む層を形成するとよい。
なお上記の工程によると、基板1に接するように剥離層100を形成しているが、本発明はこの工程に制約されない。基板1に接するように下地となる絶縁層を形成し、該絶縁層に接するように剥離層100を形成してもよい。
次に、剥離層100を覆うように、下地となる絶縁層を形成する。下地となる絶縁層は、公知の手段(スパッタリング法やプラズマCVD法等)により、珪素の酸化物又は珪素の窒化物を含む層を、単層又は積層で形成する。珪素の酸化物材料とは、珪素(Si)と酸素(O)を含む物質であり、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等が該当する。珪素の窒化物材料とは、珪素と窒素(N)を含む物質であり、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等が該当する。
下地となる絶縁層が2層構造の場合、例えば、1層目として窒化酸化珪素層を形成し、2層目として酸化窒化珪素層を形成するとよい。下地となる絶縁層が3層構造の場合、1層目の絶縁層101として酸化珪素膜を形成し、2層目の絶縁層として窒化酸化珪素膜40を形成し、3層目の絶縁層として酸化窒化珪素膜41を形成するとよい。又は、絶縁層101として酸化窒化珪素膜を形成し、2層目の絶縁層として窒化酸化珪素膜を形成し、3層目の絶縁層として酸化窒化珪素膜を形成するとよい。ここでは下地となる絶縁層が3層構造の場合を示す。下地となる絶縁層は、基板1からの不純物の侵入を防止するブロッキング膜として機能する。
次に、下地となる酸化窒化珪素膜41上に、非晶質珪素膜を形成してTFTを作製する。TFTの作製は実施例2で示した方法を用いることができるので、ここでは省略する。
TFTまで作製したものを図16(B)に示す。図12(B)と比較すると、下地膜が3層であること、下地膜の下層には剥離層が設けられている点で異なっている(図16(B)の断面図および図18の上面図)。
実施例3で形成した導電層79、80はアンテナとして機能することになる。導電層79、80は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)から選択された元素、これらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料を用いて、単層又は積層で形成する。例えば、バリア層、アルミニウム層の順の積層、バリア層、アルミニウム層、バリア層の順の積層の構造を採用するとよい。バリア層とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン又はモリブデンの窒化物などに相当する。
次にここでは示さないが、薄膜集積回路81を覆うように、公知の手段により、保護層を形成してもよい。保護層は、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)などの炭素を含む層、窒化珪素を含む層、窒化酸化珪素を含む層等に相当する。
次に、剥離層100が露出するように、フォトリソグラフィ法により絶縁層101、40、41、72〜74、78をエッチングして、開口部84、85を形成する(図19(A))。
次に、薄膜集積回路81を覆うように、公知の手段(SOG法、液滴吐出法等)により、絶縁層86を形成する(図19(B)の断面図と図20の上面図参照)。絶縁層86は、有機材料により形成し、好ましくはエポキシ樹脂により形成する。絶縁層86は、薄膜集積回路81が飛散しないように形成するものである。つまり、薄膜集積回路81は小さく薄く軽いために、剥離層を除去した後は、基板に密着していないために飛散しやすい。しかしながら、薄膜集積回路81の周囲に絶縁層86を形成することで、薄膜集積回路81に重みが付き、基板1からの飛散を防止することができる。また、薄膜集積回路81単体では薄くて軽いが、絶縁層86を形成することで、巻かれた形状になることがなく、ある程度の強度を確保することができる。なお、図示する構成では、薄膜集積回路81の上面と側面に絶縁層86を形成しているが、本発明はこの構成に制約されず、薄膜集積回路81の上面のみに絶縁層86を形成してもよい。つまり、絶縁層78上に絶縁層86を形成する工程の後に、複数の絶縁層をエッチングして、開口部を形成する工程を行ってもよい。この順番の場合だと、薄膜集積回路81の上面のみに絶縁層86が形成される。
次に、開口部84、85にエッチング剤を導入して、剥離層100を除去する(図21(A)の断面図と図22の上面図参照)。エッチング剤は、フッ化ハロゲン又はハロゲン化化合物を含む気体又は液体を使用する。例えば、フッ化ハロゲンを含む気体として三フッ化塩素(ClF3)を使用する。そうすると、薄膜集積回路81は、基板1から剥離された状態となる。
次に、薄膜集積回路81の一方の面を、第1の基体87に接着させて、基板1から完全に剥離する(図21(B)参照)。
続いて、薄膜集積回路81の他方の面を、第2の基体88に接着させ、その後積層して貼り合わせて、薄膜集積回路81を、第1の基体87と第2の基体88により封止する(図23参照)。そうすると、薄膜集積回路81が第1の基体87と第2の基体88により封止された無線チップが完成する。
第1の基体87と第2の基体88は、積層フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、繊維質な材料からなる紙、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム、紙類等)と接着性合成樹脂フィルム(アクリル系合成樹脂、エポキシ系合成樹脂等)との積層フィルムなどに相当する。積層フィルムは、熱圧着により、被処理体と積層して貼り合わせが行われるものであり、積層して貼り合わせを行う際には、積層フィルムの最表面に設けられた接着層か、又は最外層に設けられた層(接着層ではない)を加熱処理によって溶かし、加圧により接着する。
第1の基体87と第2の基体88の表面には接着層が設けられていてもよいし、接着層が設けられていなくてもよい。接着層は、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂系接着剤、樹脂添加剤等の接着剤を含む層に相当する。
本実施例は、実施可能な範囲で自由に第1及び第2実施形態、実施例1〜3と組み合わせることができる。
本発明に用いることができる別の半導体装置の作製方法を図24〜図26を用いて説明する。
まず図24(A)に示すように、基板500上に下地膜501を成膜する。基板500には、例えばバリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、ステンレス基板等を用いることができる。また、PET、PES、PENに代表されるプラスチックや、アクリル等の可撓性を有する合成樹脂からなる基板を用いることも可能である。
下地膜501は基板500中に含まれるNaなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属が、半導体膜中に拡散し、半導体素子の特性に悪影響を及ぼすのを防ぐために設ける。よってアルカリ金属やアルカリ土類金属の半導体膜への拡散を抑えることができる窒化珪素、窒素を含む酸化珪素などの絶縁膜を用いて形成する。本実施例では、プラズマCVD法を用いて窒素を含む酸化珪素膜を10nm〜400nm(好ましくは50nm〜300nm)の膜厚になるように成膜する。
なお下地膜501は窒化珪素、窒素を含む酸化珪素、酸素を含む窒化珪素などの絶縁膜単層であっても、酸化珪素、窒化珪素、窒素を含む酸化珪素、酸素を含む窒化珪素などの絶縁膜を複数積層したものであっても良い。またガラス基板、ステンレス基板またはプラスチック基板のように、アルカリ金属やアルカリ土類金属が多少なりとも含まれている基板を用いる場合、不純物の拡散を防ぐという観点から下地膜を設けることは有効であるが、石英基板など不純物の拡散がさして問題とならない場合は、必ずしも設ける必要はない。
次に下地膜501上に半導体膜502を形成する。半導体膜502の膜厚は25nm〜100nm(好ましくは30nm〜60nm)とする。なお半導体膜502は、非晶質半導体であっても良いし、多結晶半導体であっても良い。また半導体はシリコン(Si)だけではなくシリコンゲルマニウム(SiGe)も用いることができる。シリコンゲルマニウムを用いる場合、ゲルマニウムの濃度は0.01〜4.5atomic%程度であることが好ましい。
次に図24(B)に示すように、半導体膜502に線状レーザ499を照射し、結晶化を行なう。レーザ結晶化を行なう場合、レーザ結晶化の前に、レーザに対する半導体膜502の耐性を高めるために、500℃、1時間の加熱処理を該半導体膜502に加えてもよい。
レーザ結晶化は、連続発振のレーザ、または擬似CWレーザとして、発振周波数が10MHz以上、好ましくは80MHz以上のパルス発振レーザを用いることができる。
半導体膜502へのレーザ光の照射により、結晶性がより高められた結晶性半導体膜504が形成される。
次に、図24(C)に示すように結晶性半導体膜504をパターニングすることで、島状半導体膜507〜509が形成される。
次に島状半導体膜にしきい値制御のための不純物を導入する。本実施例においてはジボラン(B2H6)をドープすることによってボロン(B)を島状半導体膜中に導入する。
次に島状半導体膜507〜509を覆うように絶縁膜510を成膜する。絶縁膜510には、例えば酸化珪素(SiO)、窒化珪素(SiN)または窒素を含んだ酸化珪素(SiON)等を用いることができる。また成膜方法は、プラズマCVD法、スパッタ法などを用いることができる。
次に、絶縁膜510上に導電膜を成膜した後、導電膜をパターニングすることで、ゲート電極571〜573を形成する。
ゲート電極571〜573は、導電膜を単層または2層以上積層させた構造を用いて形成する。導電膜を2層以上積層させている場合は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)から選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料、若しくは化合物材料を積層させてゲート電極571〜573を形成してもよい。また、リン(P)等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜を用いてゲート電極を形成してもよい。
本実施例では、ゲート電極571〜573は以下のようにして形成される。まず第1の導電膜511として、例えば窒化タンタル(TaN)膜を10〜50nm、例えば30nmの膜厚で形成する。そして第1の導電膜511上に第2の導電膜512として、例えばタングステン(W)膜を200〜400nm、例えば370nmの膜厚で形成し、第1の導電膜511及び第2の導電膜512の積層膜を形成する(図24(D))。
次に第2の導電膜512を異方性エッチングでエッチングし、上層ゲート電極560〜562を形成する(図25(A))。次いで第1の導電膜511を等方性エッチングでエッチングし、下層ゲート電極563〜565を形成する(図25(B))。以上よりゲート電極571〜573を形成する。
ゲート電極571〜573は、ゲート配線の一部として形成してもよいし、別にゲート配線を形成して、そのゲート配線にゲート電極571〜573を接続してもよい。
そして、ゲート電極571〜573や、あるいはレジストを成膜してパターニングしたものをマスクとして用い、島状半導体膜507〜509それぞれに一導電性(n型またはp型の導電性)を付与する不純物を添加し、ソース領域、ドレイン領域、さらには低濃度不純物領域等を形成する。
まず、フォスフィン(PH3)を用いて、リン(P)を、加速電圧を60〜120keV、ドーズ量を1×1013〜1×1015cm−2として島状半導体膜中に導入する。この不純物導入の際にnチャネル型TFT550及び552のチャネル形成領域522及び528が形成される。
次いでnチャネル型TFT550及び552なる島状半導体膜中に、フォスフィン(PH3)を用いて、印加電圧10〜80keV、例えば30keV、ドーズ量1.0×1015〜2.5×1016cm−2、例えば3.0×1015cm−2で、リン(P)を導入する。これによりnチャネル型TFTの低濃度不純物領域521、527、及びソース領域又はドレイン領域520、526が形成される(図25(C))。
またpチャネル型TFT551を作製するために、ジボラン(B2H6)を印加電圧10〜50keV、例えば20keV、ドーズ量1×1013〜5×1015cm−2、例えば3×1015cm−2の条件で、島状半導体膜中にボロン(B)を導入する。これによりpチャネル型TFTの低濃度不純物領域524、及びソース領域又はドレイン領域523、またこの不純物導入の際にチャネル形成領域525が形成される(図25(C))。
本実施例においては、nチャネル型TFT550及び552のソース領域又はドレイン領域520、526のそれぞれには、1×1019〜5×1021cm−3の濃度でリン(P)が含まれることとなる。またnチャネル型TFT550及び552の低濃度不純物領域521及び527のそれぞれには、1×1018〜5×1019cm−3の濃度でリン(P)が含まれる。さらに、pチャネル型TFT551のソース領域又はドレイン領域523には、1×1019〜5×1021cm−3の濃度でボロン(B)が含まれる。またpチャネル型TFT551の低濃度不純物領域524には、1×1018〜5×1019cm−3の濃度でボロン(B)が含まれる。
次に実施例2と同様の手法を用いてゲート電極571〜573の両側面に絶縁膜からなるサイドウォール絶縁層532〜534を形成する。またこのエッチングによってゲート絶縁膜も一部除去してゲート絶縁膜580〜582を形成し、結晶性珪素膜の一部を露出させる。
次に、ゲート電極571〜573とサイドウォール絶縁層532〜534を覆うように絶縁膜を形成し、ゲート電極571〜573上以外の絶縁膜を除去してゲート電極上にキャップ膜535〜537を形成する(図26(B)参照)。
Ti膜を50nm、TiN膜を10nm成膜し、600℃ 3minのRTA加熱処理を行い、露出した島状半導体膜507〜509に高抵抗の第1のTiシリサイド層を形成する。次に半導体膜と未反応のTi膜およびTiN膜を公知のエッチング液によって除去する。続いて第1のTiシリサイド層に対して第二の加熱処理であるレーザー照射を行い、低抵抗の第2のTiシリサイド層538を形成する(図26(C))。レーザー光としては、連続発振型であるYVO4レーザーの第2高調波を用いた。レーザー光は発振器の出力で約4W程度で、このときのパワー密度は0.001〜100MW/cm2程度である。
次に島状半導体膜507〜509、第2のTiシリサイド層538、ゲート電極571〜573を覆って、第1層間絶縁膜530を形成する(図26(D))。
第1層間絶縁膜530としては、プラズマCVD法またはスパッタ法を用いて、シリコンを含む絶縁膜、例えば酸化珪素膜(SiO)、窒化珪素膜(SiN)、窒素を含む酸化珪素膜(SiON)、またはその積層膜で形成する。勿論、第1層間絶縁膜530は窒素を含む酸化珪素膜や窒化珪素膜、またはその積層膜に限定されるものでなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
本実施例においても既にソース領域、ドレイン領域は十分に低抵抗化されているうえ、レーザー加熱を行っているので活性化工程は不要である。しかしレーザ照射方法又はRTA法によって不純物を活性化してもよい。又は窒素を含む酸化珪素膜形成後、窒素雰囲気中550℃で4時間加熱して、不純物を活性化してもよい。
次に全体を410℃で1時間加熱し、窒素を含む酸化珪素膜から水素を放出させることにより水素化を行う。ただし上述の窒素雰囲気中550℃で4時間加熱処理を行った場合には不要である。
次に第1層間絶縁膜530を覆って、平坦化膜として機能する第2層間絶縁膜531を形成する。
第2層間絶縁膜531としては、感光性または非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン)、珪素(Si)と酸素(O)との結合(Si−O−Si結合)で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む、または置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料、いわゆるシロキサン、及びそれらの積層構造を用いることができる。有機材料として、ポジ型感光性有機樹脂又はネガ型感光性有機樹脂を用いることができる。
本実施例では、第2層間絶縁膜531としてシロキサンをスピンコート法で形成する。
第1層間絶縁膜530及び第2層間絶縁膜531をエッチングして、第1層間絶縁膜530及び第2層間絶縁膜531に、島状半導体膜507〜509に到達するコンタクトホールを形成する。
なお、第2層間絶縁膜531上に第3層間絶縁膜を形成し、第1層間絶縁膜〜第3層間絶縁膜にコンタクトホールを形成してもよい。第3の層間絶縁膜としては、水分や酸素などを他の絶縁膜と比較して透過させにくい膜を用いる。代表的には、スパッタ法またはCVD法により得られる窒化珪素膜、酸化珪素膜、酸素を含む窒化珪素膜(SiNO膜(組成比N>O)またはSiON膜(組成比N<O))、炭素を主成分とする薄膜(例えばDLC膜、CN膜)などを用いることができる。
第2層間絶縁膜531上にコンタクトホールを介して、第3の導電膜を形成し、第3の導電膜をパターニングして、電極又は配線540〜544を形成する。
本実施例として、第3の導電膜は金属膜を用いる。該金属膜は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)もしくはシリコン(Si)の元素からなる膜又はこれらの元素を用いた合金膜を用いればよい。本実施例では、チタン膜(Ti)、窒化チタン膜(TiN)、シリコン−アルミニウム合金膜(Al−Si)、チタン膜(Ti)をそれぞれ60nm、40nm、300nm、100nmに積層したのち、所望の形状にパターニング及びエッチングして電極又は配線540〜544を形成する。
またこの電極又は配線540〜544を、ニッケル、コバルト、鉄のうち少なくとも1種の元素、及び炭素を含むアルミニウム合金膜で形成してもよい。このようなアルミニウム合金膜は、シリコンと接触してもシリコンとアルミニウムの相互拡散が防止できる。またこのようなアルミニウム合金膜は、透明導電膜、例えばITO(Indium Tin Oxide)膜と接触しても酸化還元反応が起こらないため、両者を直接接触させることができる。さらにこのようなアルミ合金膜は、比抵抗が低く耐熱性にも優れているので、配線材料としては有用である。
また電極又は配線540〜544はそれぞれ、電極と配線を一体化して形成してもよいし、電極と配線を別々に形成してそれらを接続させてもよい。
上記一連の工程によってnチャネル型TFT550及びpチャネル型TFT551を含むCMOS回路553、及びnチャネル型TFT552を含む半導体装置を形成することができる(図26(D))。なお本発明の半導体装置の作製方法は、島状半導体膜の形成以降の、上述した作製工程に限定されない。
本実施例は、実施可能な範囲で自由に第1及び第2実施形態、実施例1〜4と組み合わせることができる。
本実施例では、本発明を用いて液晶表示装置(Liquid Crystal Display(LCD))を作製する例を、図27〜31に示す。
本実施例で説明する表示装置の作製方法は画素TFTを含む画素部とその周辺に設けられる駆動回路部のTFTを同時に作製する方法である。但し、説明を簡単にするために、駆動回路に関しては基本単位であるCMOS回路を図示することとする。
まず実施例5に基づいて図26(D)における電極又は配線540〜544の形成までを行う。なお、上記実施例と同じものは同じ符号で表す。
次に第2層間絶縁膜531及び電極又は配線540〜544上に第3層間絶縁膜610を形成する。なお第3層間絶縁膜610は、第2層間絶縁膜531と同様の材料を用いて形成することが可能である。
次いで、フォトマスクを用いてレジストマスクを形成し、第3層間絶縁膜610の一部をドライエッチングにより除去して開孔(コンタクトホールを形成)する。このコンタクトホール形成においては、エッチングガスとして四フッ化炭素(CF4)、酸素(O2)、ヘリウム(He)を、それぞれ50sccm、50sccm、30sccmの流量で用いた。なお、コンタクトホールの底部は電極又は配線544に達している。
次いで、レジストマスクを除去した後、全面に第2の導電膜を成膜する。次いでフォトマスクを用いて、第2の導電膜のパターニングを行い、電極又は配線544に電気的に接続される画素電極623を形成する(図27)。本実施例では、反射型の液晶表示パネルを作製するので、画素電極623はスパッタ法によりAg(銀)、Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の光反射性を有する金属材料を用いて形成すればよい。
また、透過型の液晶表示パネルを作製する場合は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)などの透明導電膜を用い、画素電極623を形成する。
なお、図29に、図27の状態における画素部の上面図を示す。図29に示すように、ゲート電極573はゲート配線と一体化されており、また電極543はソース配線と一体形成されている。
このゲート配線のパターンは、図29の573に示すように、そのコーナー部において、直角三角形の一辺が10μm以下、または、配線の線幅の1/2以下で、線幅の1/5以上の大きさに角部が削除されている。すなわち、ゲート配線の角部は、線幅の1/2以下で、1/5以上にコーナー部に丸みをおびさせる。凸部はプラズマによるドライエッチの際、異常放電による微粉の発生を抑え、凹部では、洗浄のときに、たとえできた微粉であっても、それが角に集まりやすいのを洗い流す結果として歩留まり向上が甚だしく期待できるという効果を有する。
また、ソース配線のパターンも図29の543で示すように、角部に丸みを帯びさせるとよい。具体的に、ソース配線は、そのコーナー部において、直角三角形の一辺が10μm以下、または、配線の線幅の1/2以下で、線幅の1/5以上の大きさに角部が削除され、コーナー部が丸みをおびているパターンを有する。角部は、線幅の1/2以下で、1/5以上にコーナー部に丸みをおびさせる。このような配線は、凸部はプラズマによるドライエッチの際、異常放電による微粉の発生を抑え、凹部では、洗浄のときに、たとえできた微粉であっても、それが角に集まりやすいのを洗い流す結果として歩留まり向上が甚だしく期待できるという効果を有する。配線の角部がラウンドをとることにより、電気的にも伝導させることが期待できる。また、多数の平行配線では、ゴミを洗い流すのにはきわめて好都合である。
以上の工程により、基板500上にトップゲート型の画素TFTであるnチャネル型TFT552、トップゲート型のnチャネル型TFT550及び551からなるCMOS回路553および画素電極623が形成された液晶表示装置のTFT基板が完成する。本実施例では、トップゲート型TFTを形成したが、ボトムゲート型TFTを適宜用いることができる。
次いで、画素電極623を覆うように、配向膜624aを形成する。なお、配向膜624aは、液滴吐出法やスクリーン印刷法やオフセット印刷法を用いればよい。その後、配向膜624aの表面にラビング処理を行う。
そして、対向基板625には、着色層626a、遮光層(ブラックマトリクス)626b、及びオーバーコート層627からなるカラーフィルタを設け、さらに透明電極もしくは反射電極からなる対向電極628と、その上に配向膜624bを形成する(図28)。そして、閉パターンであるシール材600を液滴吐出法により画素TFTを含む画素部650と重なる領域を囲むように形成する(図30(A))。ここでは液晶を滴下するため、閉パターンのシール材600を描画する例を示すが、開口部を有するシールパターンを設け、基板500を貼りあわせた後に毛細管現象を用いて液晶を注入するディップ式(汲み上げ式)を用いてもよい。
次いで、気泡が入らないように減圧下で液晶組成物629の滴下を行い(図30(B))、両方の基板500及び625を貼り合わせる(図30(C))。閉ループのシールパターン内に液晶を1回若しくは複数回滴下する。液晶組成物629の配向モードとしては、液晶分子の配列が光の入射から射出に向かって90°ツイスト配向したTNモードを用いる。そして基板のラビング方向が直交するように貼り合わせる。
なお、一対の基板間隔は、球状のスペーサを散布したり、樹脂からなる柱状のスペーサを形成したり、シール材600にフィラーを含ませることによって維持すればよい。上記柱状のスペーサは、アクリル、ポリイミド、ポリイミドアミド、エポキシの少なくとも1つを主成分とする有機樹脂材料、もしくは酸化珪素、窒化珪素、窒素を含む酸化珪素のいずれか一種の材料、或いはこれらの積層膜からなる無機材料であることを特徴としている。
次いで、基板の分断を行う。多面取りの場合、それぞれのパネルを分断する。また、1面取りの場合、予めカットされている対向基板を貼り合わせることによって、分断工程を省略することもできる((図28、図30(D))。
そして、異方性導電体層を介し、公知の技術を用いてFPC(Flexible Printed Circuit)を貼りつける。以上の工程で液晶表示装置が完成する。また、必要があれば光学フィルムを貼り付ける。透過型の液晶表示装置とする場合、偏光板は、TFT基板と対向基板の両方に貼り付ける。
以上の工程によって得られた液晶表示装置の上面図を図31(A)に示すとともに、他の液晶表示装置の上面図の例を図31(B)に示す。
図31(A)中、500はTFT基板、625は対向基板、650は画素部、600はシール材、801はFPCである。なお、液晶組成物を液滴吐出法により吐出させ、減圧下で一対の基板500及び625をシール材600で貼り合わせている。
図31(B)中、500はTFT基板、625は対向基板、802はソース信号線駆動回路、803はゲート信号線駆動回路、650は画素部、600aは第1シール材、801はFPCである。なお、液晶組成物を液滴吐出法により吐出させ、一対の基板500及び625を第1シール材600aおよび第2シール材600bで貼り合わせている。駆動回路部802及び803には液晶は不要であるため、画素部650のみに液晶を保持させており、第2シール材600bはパネル全体の補強のために設けられている。
以上示したように、本実施例では、本発明を用いたTFTを用いて、液晶表示装置を作製することができる。これにより応答特性が速い液晶表示装置を低コストで作製することが可能になる。本実施例で作製される液晶表示装置は各種電子機器の表示部として用いることができる。
なお、本実施例では、TFTをトップゲート型TFTとしたが、この構造に限定されるものではなく、適宜ボトムゲート型(逆スタガ型)TFTや、順スタガ型TFTを用いることが可能である。また、シングルゲート構造のTFTに限定されず、複数のチャネル形成領域を有するマルチゲート型TFT、例えばダブルゲート型TFTとしてもよい。
本実施例は、実施可能な範囲で自由に第1及び第2実施形態、実施例1〜5と組み合わせることができる。
本実施例では、本発明を用いて両面射出型表示装置を作製する例を図32〜図35を用いて示す。
まず実施例5に基づいて図24(C)の島状半導体膜507〜509の形成を行う。なお、上記実施例と同じものは同じ符号で表す。
次に、島状半導体膜507〜509にしきい値制御のための不純物を導入する。本実施例においてはジボラン(B2H6)をドープすることによってボロン(B)を島状半導体膜中に導入する。
次に島状半導体膜507〜509を覆うように絶縁膜700を成膜する。絶縁膜700には、例えば酸化珪素(SiO)、窒化珪素(SiN)または窒素を含んだ酸化珪素(SiON)等を用いることができる。また成膜方法は、プラズマCVD法、スパッタ法などを用いることができる。
次に、絶縁膜700上に導電膜を成膜した後、導電膜をパターニングすることで、ゲート電極707〜709を形成する。
ゲート電極707〜709は、導電膜を単層または2層以上積層させた構造を用いて形成する。導電膜を2層以上積層させている場合は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)から選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料、若しくは化合物材料を積層させてゲート電極707〜709を形成してもよい。また、リン(P)等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜を用いてゲート電極を形成してもよい。
本実施例では、窒化タンタル(TaN)とタングステン(W)をそれぞれ、30nm、370nm積層した積層膜を用いて、ゲート電極707〜709を形成する。本実施例では、タングステン(W)を用いて上層ゲート電極701〜703を形成し、窒化タンタル(TaN)を用いて下層ゲート電極704〜706を形成する。
ゲート電極707〜709は、ゲート配線の一部として形成してもよいし、別にゲート配線を形成して、そのゲート配線にゲート電極707〜709を接続してもよい。
そして、ゲート電極707〜709や、あるいはレジストを成膜してパターニングしたものをマスクとして用い、島状半導体膜507〜509にn型またはp型の導電性を付与する不純物を添加し、ソース領域、ドレイン領域、さらには低濃度不純物領域等を形成する。
まず、フォスフィン(PH3)を用いて、リン(P)を、加速電圧を60〜120keV、ドーズ量を1×1013〜1×1015cm−2として島状半導体膜中に低濃度で導入する。この不純物導入の際にnチャネル型TFT761及び762のチャネル形成領域713及び716が形成される。
nチャネル型TFTと761及び762なる島状半導体膜中に、フォスフィン(PH3)を用いて、印加電圧10〜80keV、例えば30keV、ドーズ量1.0×1015〜2.5×1016cm−2、例えば3.0×1015cm−2で、リン(P)を導入する。これによりnチャネル型TFTの低濃度不純物領域712、715、及びソース領域又はドレイン領域711、714が形成される(図32(A))。
またpチャネル型TFT763を作製するために、ジボラン(B2H6)を印加電圧10〜50keV、例えば20keV、ドーズ量1×1013〜5×1015cm−2、例えば3×1015cm−2の条件で、島状半導体膜中にボロン(B)を導入する。これによりnチャネル型TFTの低濃度不純物領域718、及びソース領域又はドレイン領域717、またこの不純物導入の際にチャネル形成領域719が形成される(図32(A))。
本実施例においては、nチャネル型TFT761及び762のソース領域又はドレイン領域711、714のそれぞれには、1×1019〜5×1021cm−3の濃度でリン(P)が含まれることとなる。またnチャネル型TFT761及び762の低濃度不純物領域712及び715のそれぞれには、1×1018〜5×1019cm−3の濃度でリン(P)が含まれる。さらに、pチャネル型TFT763のソース領域又はドレイン領域717には、1×1019〜5×1021cm−3の濃度でボロン(B)が含まれる。またpチャネル型TFT763の低濃度不純物領域718には、1×1018〜5×1019cm−3の濃度でボロン(B)が含まれる。
次に実施例2と同様の手法を用いてゲート電極707〜709の両側面に絶縁膜からなるサイドウォール絶縁層780〜782を形成する。またこのエッチングによってゲート絶縁膜も一部除去して結晶性珪素膜の一部を露出させ、ゲート絶縁膜721〜723を形成する(図32(B))。
次に、ゲート電極707〜709とサイドウォール絶縁層780〜782を覆うように絶縁膜を形成し、ゲート電極およびゲート線上以外の絶縁膜を除去してゲート電極およびゲート線上にキャップ膜783〜785を形成する(図32(C))。
その後、Ti膜を50nm、TiN膜を10nm成膜し、600℃ 3minのRTA加熱処理を行い、島状半導体膜507〜509の露出部分に高抵抗のTiシリサイド層を形成する。次に半導体膜と未反応のTi膜およびTiN膜を公知のエッチング液によって除去する。続いて高抵抗のTiシリサイド層に第二の加熱処理としてレーザー照射を行い、低抵抗のTiシリサイド層786を形成する。レーザー光は発振器の出力で約4W程度で、このときのパワー密度は0.001〜100MW/cm2程度である。
本実施例においては、pチャネル型TFT763は両面射出型表示装置の画素TFTとして用いられる。またnチャネル型TFT761及び762は、画素TFTであるpチャネル型TFT763を駆動する駆動回路のTFTとして用いられる。ただし画素TFTは必ずしもpチャネル型TFTである必要はなく、nチャネル型TFTを用いてもよい。また駆動回路も複数のnチャネル型TFTを組み合わせた回路である必要はなく、nチャネル型TFTとpチャネル型TFTを相補的に組み合わせた回路、もしくは複数のpチャネル型TFTを組み合わせた回路であってもよい。
次に第1層間絶縁膜730として水素を含む絶縁膜を成膜する。水素を含む絶縁膜は、PCVD法により得られる窒素を含む酸化珪素膜(SiON膜)を用いる。もしくは酸素を含む窒化珪素膜(SiNO膜)を用いてもよい。なお、水素を含む絶縁膜は、酸化珪素を含んでいる透光性を有する絶縁膜である。
本発明では不純物添加された島状半導体膜に対してレーザー照射による加熱処理を行っているうえ、Tiシリサイドを形成しているのでソース領域、ドレイン領域は十分に低抵抗化されている。したがって島状半導体膜に添加された不純物元素の活性化工程を行う必要はない。しかしその後島状半導体膜に添加された不純物元素の活性化を行ってもよいのは言うまでもない。この不純物元素の活性化はレーザー照射、RTA又は窒素雰囲気中550℃で4時間加熱して、不純物を活性化してもよい。また、結晶化を助長する金属元素、代表的にはニッケルを用いて半導体膜を結晶化させている場合、活性化と同時にチャネル形成領域におけるニッケルの低減を行うゲッタリングをも行うことができる。
その後全体を410℃で1時間加熱することにより、島状半導体膜の水素化を行う。ただし上述のように窒素雰囲気中550℃で4時間などの加熱処理を行った場合には不要である。
次いで、第2層間絶縁膜731となる平坦化膜を形成する。平坦化膜としては、透光性を有する無機材料(酸化珪素、窒化珪素、酸素を含む窒化珪素など)、感光性または非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン)、またはこれらの積層などを用いる。また、平坦化膜に用いる他の透光性を有する膜としては、塗布法によって得られるアルキル基を含むSiOx膜からなる絶縁膜、例えばシリカガラス、アルキルシロキサンポリマー、アルキルシルセスキオキサンポリマー、水素化シルセスキオキサンポリマー、水素化アルキルシルセスキオキサンポリマーなどを用いて形成された絶縁膜を用いることができる。シロキサン系ポリマーの一例としては、東レ製塗布絶縁膜材料であるPSB−K1、PSB−K31や触媒化成製塗布絶縁膜材料であるZRS−5PHが挙げられる。
次いで、透光性を有する第3層間絶縁膜732を形成する。第3層間絶縁膜732は、後の工程で透明電極750をパターニングする際、第2層間絶縁膜731である平坦化膜を保護するためのエッチングストッパー膜として設けるものである。ただし、透明電極750をパターニングする際、第2層間絶縁膜731がエッチングストッパー膜となるのであれば第3層間絶縁膜732は不要である。
次いで、新たなマスクを用いて第1層間絶縁膜730、第2層間絶縁膜731及び第3層間絶縁膜732にコンタクトホールを形成する。次いで、マスクを除去し、導電膜(TiN、Al及びTiNの積層膜)を形成した後、また別のマスクを用いてエッチング(BCl3とCl2との混合ガスでのドライエッチング)を行い、電極又は配線741〜746(TFTのソース配線及びドレイン配線や、電流供給配線など)を形成する(図32(D))。ただし、本実施例では電極と配線を一体形成するが、電極と配線を別々に形成して、電気的に接続させてもよい。なお、TiNは、高耐熱性平坦化膜との密着性が良好な材料の一つである。加えて、TFTのソース領域またはドレイン領域と良好なオーミックコンタクトを取るためにTiNのN含有量は44%より少なくすることが好ましい。
次いで、新たなマスクを用いて透明電極750、即ち、有機発光素子の陽極を膜厚10nm〜800nmの範囲で形成する。透明電極750としては、インジウム錫酸化物(ITO)の他、例えば、Si元素を含むインジウム錫酸化物や酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(Indium Zinc Oxide)などの仕事関数の高い(仕事関数4.0eV以上)透明導電材料を用いることができる(図33(A))。
次いで、新たなマスクを用いて透明電極750の端部を覆う絶縁物733(バンク、隔壁、障壁、土手などと呼ばれる)を形成する。絶縁物733としては、塗布法により得られる感光性または非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン)、またはSOG膜(例えば、アルキル基を含むSiOx膜)を膜厚0.8μm〜1μmの範囲で用いる。
次いで、有機化合物を含む層751、752、753、754及び755を、蒸着法または塗布法を用いて形成する。なお、発光素子の信頼性を向上させるため、有機化合物を含む層751の形成前に真空加熱を行って脱気を行うことが好ましい。例えば、有機化合物材料の蒸着を行う前に、基板に含まれるガスを除去するために減圧雰囲気や不活性雰囲気で200℃〜300℃の加熱処理を行うことが望ましい。なお、層間絶縁膜と隔壁とを高耐熱性を有するSiOx膜で形成した場合には、さらに高い加熱処理(410℃)を加えることもできる。
次に、蒸着マスクを用いて選択的に透明電極750上にモリブデン酸化物(MoOx)と、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(α−NPD)と、ルブレンとを共蒸着して第1の有機化合物を含む層751(第1の層)を形成する。
なお、MoOxの他、銅フタロシアニン(CuPC)やバナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、タングステン酸化物(WOx)等の正孔注入性の高い材料を用いることができる。また、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液(PEDOT/PSS)等の正孔注入性の高い高分子材料を塗布法によって成膜したものを第1の有機化合物を含む層751として用いてもよい。
次いで、蒸着マスクを用いて選択的にα−NPDを蒸着し、第1の有機化合物を含む層751の上に正孔輸送層(第2の層)752を形成する。なお、α−NPDの他、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:MTDATA)等の芳香族アミン系化合物に代表される正孔輸送性の高い材料を用いることができる。
次いで、選択的に発光層753(第3の層)を形成する。フルカラー表示装置とするためには発光色(R、G、B)ごとに蒸着マスクのアライメントを行ってそれぞれ選択的に蒸着する。
赤色の発光を示す発光層753Rとしては、Alq3:DCM、またはAlq3:ルブレン:BisDCJTMなどの材料を用いる。また、緑色の発光を示す発光層753Gとしては、Alq3:DMQD(N,N’−ジメチルキナクリドン)、またはAlq3:クマリン6などの材料を用いる。また、青色の発光を示す発光層753Bとしては、α―NPD、またはtBu−DNAなどの材料を用いる。
次いで、蒸着マスクを用いて選択的にAlq3(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム)を蒸着し、発光層753上に電子輸送層(第4の層)754を形成する。なお、Alq3の他、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等のキノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等に代表される電子輸送性の高い材料を用いることができる。また、この他、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども電子輸送性が高いため、電子輸送層754として用いることができる。
次いで、4,4−ビス(5−メチルベンズオキサゾル−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)とリチウム(Li)とを共蒸着し、電子輸送層および絶縁物を覆って全面に電子注入層(第5の層)755を形成する。ベンゾオキサゾール誘導体(BzOS)を用いることで、後の工程に行われる透明電極756形成時におけるスパッタ法に起因する損傷を抑制している。なお、BzOs:Li以外に、CaF2、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物等の電子注入性の高い材料を用いることができる。また、この他、Alq3とマグネシウム(Mg)とを混合したものも用いることができる。
次に、第5の層755の上に透明電極756、即ち、有機発光素子の陰極を膜厚10nm〜800nmの範囲で形成する。透明電極756としては、インジウム錫酸化物(ITO)の他、例えば、Si元素を含むインジウム錫酸化物や酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(Indium Zinc Oxide)を用いることができる。
以上のようにして、発光素子が作製される。発光素子を構成する陽極、有機化合物を含む層(第1の層〜第5の層)、および陰極の各材料は適宜選択し、各膜厚も調整する。陽極と陰極とで同じ材料を用い、且つ、同程度の膜厚、好ましくは100nm程度の薄い膜厚とすることが望ましい。
また、必要であれば、発光素子を覆って、水分の侵入を防ぐ透明保護層757を形成する。透明保護層757としては、スパッタ法またはCVD法により得られる窒化珪素膜、酸化珪素膜、酸素を含む窒化珪素膜(SiNO膜(組成比N>O))または窒素を含む酸化珪素膜(SiON膜(組成比N<O))、炭素を主成分とする薄膜(例えばDLC膜、CN膜)などを用いることができる(図33(B))。
次いで、基板間隔を確保するためのギャップ材を含有するシール材を用い、第2の基板770と基板500とを貼り合わせる。第2の基板770も、光透過性を有するガラス基板や石英基板を用いればよい。なお、一対の基板の間は、空隙(不活性気体)として乾燥剤を配置してもよいし、透明なシール材(紫外線硬化または熱硬化のエポキシ樹脂など)を一対の基板間に充填してもよい。
発光素子は、透明電極750、756が透光性材料で形成されるため、一つの発光素子から2方向、即ち両面側から採光することができる。
以上に示すパネル構成とすることで上面からの発光と、下面からの発光とでほぼ同一とすることができる。
最後に光学フィルム(偏光板、または円偏光板)771、772を設けてコントラストを向上させる(図34)。
図35に発光色(R、G、B)ごとの発光素子の断面図を示す。赤色(R)の発光素子は、画素TFT763R、透明電極(陽極)750R、第1の層751R、第2の層(正孔輸送層)752R、第3の層(発光層)753R、第4の層(電子輸送層)754R、第5の層(電子注入層)755、透明電極(陰極)756、透明保護層757を有している。
また、緑色(G)の発光素子は、画素TFT763G、透明電極(陽極)750G、第1の層751G、第2の層(正孔輸送層)752G、第3の層(発光層)753G、第4の層(電子輸送層)754G、第5の層(電子注入層)755、透明電極(陰極)756、透明保護層757を有している。
さらに、青色(B)の発光素子は、画素TFT763B、透明電極(陽極)750B、第1の層751B、第2の層(正孔輸送層)752B、第3の層(発光層)753B、第4の層(電子輸送層)754B、第5の層(電子注入層)755、透明電極(陰極)756、透明保護層757を有している。
なお、本実施例では、TFTをトップゲート型TFTとしたが、この構造に限定されるものではなく、適宜ボトムゲート型(逆スタガ型)TFTや、順スタガ型TFTを用いることが可能である。また、シングルゲート構造のTFTに限定されず、複数のチャネル形成領域を有するマルチゲート型TFT、例えばダブルゲート型TFTとしてもよい。
本実施例は、実施可能な範囲で自由に第1及び第2実施形態、実施例1〜6と組み合わせることができる。
本発明が適用される電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それらの電子機器の具体例を図36〜図41に示す。
図36は表示パネル5001と、回路基板5011を組み合わせた液晶モジュールもしくはELモジュールを示している。回路基板5011には、コントロール回路5012や信号分割回路5013などが形成されており、接続配線5014によって表示パネル5001と電気的に接続されている。
この表示パネル5001には、複数の画素が設けられた画素部5002と、走査線駆動回路5003、選択された画素にビデオ信号を供給する信号線駆動回路5004を備えている。なお液晶モジュールやELモジュールを作製する場合は上記実施形態及び上記実施例を用いて表示パネル5001を作製すればよい。また、走査線駆動回路5003や信号線駆動回路5004等制御用駆動回路部を、本発明により形成されたTFTを用いて作製することが可能である。
図36に示す液晶モジュールもしくはELモジュールにより液晶テレビ受像器又はELテレビ受像機を完成させることができる。図37は、液晶テレビ受像機もしくはELテレビ受像機の主要な構成を示すブロック図である。チューナ5101は映像信号と音声信号を受信する。映像信号は、映像信号増幅回路5102と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路5103と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路5012により処理される。コントロール回路5012は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路5013を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
チューナ5101で受信した信号のうち、音声信号は音声信号増幅回路5105に送られ、その出力は音声信号処理回路5106を経てスピーカー5107に供給される。制御回路5108は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部5109から受け、チューナ5101や音声信号処理回路5106に信号を送出する。
図38(A)に示すように、液晶モジュールもしくはELモジュールを筐体5201に組みこんで、テレビ受像機を完成させることができる。液晶モジュールもしくはELモジュールにより、表示画面5202が形成される。また、スピーカー5203、操作スイッチ5204などが適宜備えられている。
また図38(B)に、ワイヤレスでディスプレイのみを持ち運び可能なテレビ受像器を示す。筐体5212にはバッテリー及び信号受信器が内蔵されており、そのバッテリーで表示部5213やスピーカ部5217を駆動させる。バッテリーは充電器5210で繰り返し充電が可能となっている。また、充電器5210は映像信号を送受信することが可能で、その映像信号をディスプレイの信号受信器に送信することでができる。筐体5212は操作キー5216によって制御する。また、図38(B)に示す装置は、操作キー5216を操作することによって、筐体5212から充電器5210に信号を送ることも可能であるため映像音声双方向通信装置とも言える。また、操作キー5216を操作することによって、筐体5212から充電器5210に信号を送り、さらに充電器5210が送信できる信号を他の電子機器に受信させることによって、他の電子機器の通信制御も可能であり、汎用遠隔制御装置とも言える。本発明は表示部5213及び制御用回路部等に適用することができる。
本発明を図36、図37、図38(A)〜図38(B)に示すテレビ受像器使用することにより、電気特性の良い本テレビ受像器を簡単な工程で形成することができ、さらには、低コストで、スループットや歩留まりの高い本テレビ受像器を作製することができ、作製時間、作製コスト等を抑えることができる。また上記実施例に記載された方法で作製されるIDチップを本テレビ受像器に貼り付けることにより、流通経路などを明確にすることができる。
勿論、本発明はテレビ受像機に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など特に大面積の表示媒体として様々な用途に適用することができる。
図39(A)は表示パネル5301とプリント配線基板5302を組み合わせたモジュールを示している。表示パネル5301は、複数の画素が設けられた画素部5303と、第1の走査線駆動回路5304、第2の走査線駆動回路5305と、選択された画素にビデオ信号を供給する信号線駆動回路5306を備えている。
プリント配線基板5302には、コントローラ5307、中央処理装置(CPU)5308、メモリ5309、電源回路5310、音声処理回路5311及び送受信回路5312などが備えられている。プリント配線基板5302と表示パネル5301は、フレキシブル配線基板(FPC)5313により接続されている。プリント配線基板5302には、容量素子、バッファ回路などを設け、電源電圧や信号にノイズがのったり、信号の立ち上がりが鈍ったりすることを防ぐ構成としても良い。また、コントローラ5307、音声処理回路5311、メモリ5309、CPU5308、電源回路5310などは、COG(Chip On Glass)方式を用いて表示パネル5301に実装することもできる。COG方式により、プリント配線基板5302の規模を縮小することができる。
プリント配線基板5302に備えられたインターフェース(I/F)部5314を介して、各種制御信号の入出力が行われる。また、アンテナとの間の信号の送受信を行なうためのアンテナ用ポート5315が、プリント配線基板5302に設けられている。
図39(B)は、図39(A)に示したモジュールのブロック図を示す。このモジュールは、メモリ5309としてVRAM5316、DRAM5317、フラッシュメモリ5318などが含まれている。VRAM5316にはパネルに表示する画像のデータが、DRAM5317には画像データまたは音声データが、フラッシュメモリには各種プログラムが記憶されている。
電源回路5310は、表示パネル5301、コントローラ5307、CPU5308、音声処理回路5311、メモリ5309、送受信回路5312を動作させる電力を供給する。またパネルの仕様によっては、電源回路5310に電流源が備えられている場合もある。
CPU5308は、制御信号生成回路5320、デコーダ5321、レジスタ5322、演算回路5323、RAM5324、CPU5308用のインターフェース5366などを有している。インターフェース5366を介してCPU5308に入力された各種信号は、一旦レジスタ5322に保持された後、演算回路5323、デコーダ5321などに入力される。演算回路5323では、入力された信号に基づき演算を行ない、各種命令を送る場所を指定する。一方デコーダ5321に入力された信号はデコードされ、制御信号生成回路5320に入力される。制御信号生成回路5320は入力された信号に基づき、各種命令を含む信号を生成し、演算回路5323において指定された場所、具体的にはメモリ5309、送受信回路5312、音声処理回路5311、コントローラ5307などに送る。
メモリ5309、送受信回路5312、音声処理回路5311、コントローラ5307は、それぞれ受けた命令に従って動作する。以下その動作について簡単に説明する。
入力手段5325から入力された信号は、I/F部5314を介してプリント配線基板5302に実装されたCPU5308に送られる。制御信号生成回路5320は、ポインティングデバイスやキーボードなどの入力手段5325から送られてきた信号に従い、VRAM5316に格納してある画像データを所定のフォーマットに変換し、コントローラ5307に送付する。
コントローラ5307は、パネルの仕様に合わせてCPU5308から送られてきた画像データを含む信号にデータ処理を施し、表示パネル5301に供給する。またコントローラ5307は、電源回路5310から入力された電源電圧やCPU5308から入力された各種信号をもとに、Hsync信号、Vsync信号、クロック信号CLK、交流電圧(AC Cont)、切り替え信号L/Rを生成し、表示パネル5301に供給する。
送受信回路5312では、アンテナ5328において電波として送受信される信号が処理されており、具体的にはアイソレータ、バンドパスフィルタ、VCO(Voltage Controlled Oscillator)、LPF(Low Pass Filter)、カプラ、バランなどの高周波回路を含んでいる。送受信回路5312において送受信される信号のうち音声情報を含む信号が、CPU5308からの命令に従って、音声処理回路5311に送られる。
CPU5308の命令に従って送られてきた音声情報を含む信号は、音声処理回路5311において音声信号に復調され、スピーカー5327に送られる。またマイク5326から送られてきた音声信号は、音声処理回路5311において変調され、CPU5308からの命令に従って、送受信回路5312に送られる。
コントローラ5307、CPU5308、電源回路5310、音声処理回路5311、メモリ5309を、本実施例のパッケージとして実装することができる。本実施例は、アイソレータ、バンドパスフィルタ、VCO(Voltage Controlled Oscillator)、LPF(Low Pass Filter)、カプラ、バランなどの高周波回路以外であれば、どのような回路にも応用することができる。
図40は、図39(A)〜図39(B)に示すモジュールを含む携帯電話機の一態様を示している。表示パネル5301はハウジング5330に脱着自在に組み込まれる。ハウジング5330は表示パネル5301のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。表示パネル5301を固定したハウジング5330はプリント基板5331に嵌着されモジュールとして組み立てられる。
表示パネル5301はFPC5313を介してプリント基板5331に接続される。プリント基板5331には、スピーカー5332、マイクロフォン5333、送受信回路5334、CPU及びコントローラなどを含む信号処理回路5335が形成されている。このようなモジュールと、入力手段5336、バッテリ5337、アンテナ5340を組み合わせ、筐体5339に収納する。表示パネル5301の画素部は筐体5339に形成された開口窓から視認できように配置する。
本実施例に係る携帯電話機は、その機能や用途に応じてさまざまな態様に変容し得る。例えば、表示パネルを複数備えたり、筐体を適宜複数に分割して蝶番により開閉式とした構成としても、上記した作用効果を奏することができる。
できる。
本発明を図39(A)〜図39(B)、図40に示す携帯電話に使用することにより、低コストで、スループットや歩留まりの高い携帯電話を作製することができ、作製時間、作製コスト等を抑えることができる。また上記実施例に記載された方法で作製されるIDチップを本携帯電話に貼り付けることにより、流通経路などを明確にすることができる。
図41(A)は液晶ディスプレイもしくはOLEDディスプレイであり、筐体6001、支持台6002、表示部6003などによって構成されている。本発明は図36に示す液晶モジュールもしくはELモジュール、図39(A)に示す表示パネルの構成を用いて、表示部6003に適用が可能である。また、本発明を制御用回路部等に用いることも可能である。
本発明を使用することにより、電気特性の良い本ディスプレイを簡単な工程で形成することができ、さらには、低コストで、スループットや歩留まりの高い本ディスプレイを作製することができ、作製時間、作製コスト等を抑えることができる。また上記実施例に記載された方法で作製されるIDチップを本ディスプレイに貼り付けることにより、流通経路などを明確にすることができる。
図41(B)はコンピュータであり、本体6101、筐体6102、表示部6103、キーボード6104、外部接続ポート6105、ポインティングマウス6106等を含む。本発明は図36に示す液晶モジュールもしくはELモジュール、図39(A)に示す表示パネルの構成を用いて、表示部6103に適用することができる。また、本発明を制御用回路部等に用いることも可能である。
本発明を使用することにより、電気特性の良い本コンピュータを簡単な工程で形成することができ、さらには、低コストで、スループットや歩留まりの高い本コンピュータを作製することができ、作製時間、作製コスト等を抑えることができる。また上記実施例に記載された方法で作製されるIDチップを本コンピュータに貼り付けることにより、流通経路などを明確にすることができる。
図41(C)は携帯可能なコンピュータであり、本体6201、表示部6202、スイッチ6203、操作キー6204、赤外線ポート6205等を含む。本発明は図36に示す液晶モジュールもしくはELモジュール、図39(A)に示す表示パネルの構成を用いて、表示部6202に適用することができる。また、本発明を制御用回路部等に用いることも可能である。
本発明を使用することにより、電気特性の良い本コンピュータを簡単な工程で形成することができ、さらには、低コストで、スループットや歩留まりの高い本コンピュータを作製することができ、作製時間、作製コスト等を抑えることができる。また上記実施例に記載された方法で作製されるIDチップを本コンピュータに貼り付けることにより、流通経路などを明確にすることができる。
図41(D)は携帯型のゲーム機であり、筐体6301、表示部6302、スピーカー部6303、操作キー6304、記録媒体挿入部6305等を含む。本発明は図36に示す液晶モジュールもしくはELモジュール、図39(A)に示す表示パネルの構成を用いて、表示部6302に適用することができる。また、本発明を制御用回路部等に用いることも可能である。
本発明を使用することにより、低コストで、スループットや歩留まりの高い本ゲーム機を作製することができ、作製時間、作製コスト等を抑えることができる。また上記実施例に記載された方法で作製されるIDチップを本ゲーム機に貼り付けることにより、流通経路などを明確にすることができる。
図41(E)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体6401、筐体6402、表示部A6403、表示部B6404、記録媒体(DVD等)読込部6405、操作キー6406、スピーカー部6407等を含む。表示部A6403は主として画像情報を表示し、表示部B6404は主として文字情報を表示する。本発明は図36に示す液晶モジュールもしくはELモジュール、図39(A)に示す表示パネルの構成を用いて、表示部A6403、表示部B6404及び制御用回路部等に適用することができる。また、本発明を制御用回路部等に用いることも可能である。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。
本発明を使用することにより、電気特性の良い本画像再生装置を簡単な工程で形成することができ、さらには、低コストで、スループットや歩留まりの高い本画像再生装置を作製することができ、作製時間、作製コスト等を抑えることができる。また上記実施例に記載された方法で作製されるIDチップを本画像再生装置に貼り付けることにより、流通経路などを明確にすることができる。
これらの電子機器に使われる表示装置は、大きさや強度、または使用目的に応じて、ガラス基板だけでなく耐熱性のプラスチック基板を用いることも可能である。それによってよりいっそうの軽量化を図ることができる。
なお、本実施例に示した例はごく一例であり、これらの用途に限定するものではないことを付記する。
本実施例は、実施可能な範囲で自由に第1及び第2実施形態、実施例1〜7と組み合わせることができる。
本発明を使用することにより、電気特性の良い半導体装置を簡単な工程で形成することができ、さらには、低コストで、スループットや歩留まりの高い半導体装置を作製することができ、作製時間、作製コスト等を抑えることができる。
本発明に係るTiシリサイド層の形成工程を説明する図。
本発明に係る半導体装置の作製工程を説明する図。
本発明に係る半導体装置の作製工程を説明する図。
本発明に係る半導体装置の作製工程を説明する図。
本発明に係る半導体装置の作製工程を説明する図。
本発明に係る半導体装置の作製工程を説明する図。
本発明に係る半導体装置の作製工程を説明する図。
本発明に係る半導体装置の作製工程を説明する図。
本発明に係る半導体装置の作製工程を説明する図。
本発明に係る半導体装置の作製工程を説明する図。
本発明に係る半導体装置の作製工程を説明する図。
本発明に係る半導体装置の作製工程を説明する図。
本発明のCPUのブロック図。
本発明のシステムオンパネルを示す図。
本発明のCPUの形態を説明する図。
本発明のIDチップの作製工程を説明する図。
本発明のIDチップの作製工程を説明する図。
本発明のIDチップの作製工程を説明する図。
本発明のIDチップの作製工程を説明する図。
本発明のIDチップの作製工程を説明する図。
本発明のIDチップの作製工程を説明する図。
本発明のIDチップの作製工程を説明する図。
本発明のIDチップの作製工程を説明する図。
本発明の半導体装置の作製方法を説明する図。
本発明の半導体装置の作製方法を説明する図。
本発明の半導体装置の作製方法を説明する図。
本発明の液晶表示装置の作製工程を説明する図。
本発明の液晶表示装置の作製工程を説明する図。
本発明の液晶表示装置の画素部を説明する図。
本発明の液晶表示装置の作製工程を説明する図。
本発明の液晶表示装置の上面図。
本発明のEL表示装置の作製工程を説明する図。
本発明のEL表示装置の作製工程を説明する図。
本発明のEL表示装置の作製工程を説明する図。
本発明のEL表示装置の作製工程を説明する図。
本発明が適用される電子機器の例を示す図。
本発明が適用される電子機器の例を示す図。
本発明が適用される電子機器の例を示す図。
本発明が適用される電子機器の例を示す図。
本発明が適用される電子機器の例を示す図。
本発明が適用される電子機器の例を示す図。
Tiシリサイド層の抵抗値の測定結果を示す図。
符号の説明
1 基板
2 半導体膜
3 Ti膜
4 第1のTiシリサイド層
5 TiN膜
6 第2のTiシリサイド層
7 レーザー光