JP5289070B2 - 過電流継電装置 - Google Patents
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Description
ここで、動作時限特性曲線A,Bは、第1および第2の過電流継電装置1101,1102の近傍で短絡事故が発生した場合には第1および第2の遮断器41,42を瞬時に遮断するとともに第1および第2の過電流継電装置1101,1102の限時要素動作範囲における必要な保護範囲を確保するために、瞬時要素動作範囲における定限時特性と限時要素動作範囲における普通反限時特性(強反限時特性では限時要素動作範囲における保護範囲が狭くなる。)との組合せによって規定される。
なお、このグラフの横軸は、電源1からの距離に対応する総合インピーダンス(合成インピーダンス)%Zとしている。
換言すると、2相短絡事故時には、第1および第2の過電流継電装置1101,1102は動作時限特性曲線A,Bではなくて同図(c)に一点鎖線で示す動作時限特性曲線A’,B’に基づいて動作することになるので、第1および第2の過電流継電装置1101,1102の瞬時要素動作範囲が短縮するとともに限時要素動作時限が伸張する。
そのため、2相短絡事故時には、上述したように過電流継電装置220は動作時限特性曲線Dではなくて同図(b)に一点鎖線で示す動作時限特性曲線D’に従って動作することになるので、短絡距離継電装置(DZ)210と過電流継電装置(OC)220との時限協調をとることができなくなる。
下記の特許文献2には、配電系統の運用形態の変更に伴う動作管理を含めた検討・見直し業務の煩雑さを解消するために、配電線母線から複数分岐した樹枝状配電線により各需要家に配電する樹枝状運用と樹枝状配電線を組み合わせるループ運用とを選択可能な配電系統で短絡が発生した時に過電流検出要素が配電線電流に基づき短絡した配電線を配電系統から切離す遮断信号(FCBトリップ信号)を各配電線引出口遮断器に出力する配電線短絡保護継電装置において、短絡保護継電器が、配電線樹枝状運用時に反限時特性を有する過電流検出要素と、配電線ループ運用時により強い反限時特性を有する過電流検出要素と、ループ運用状態に応じて過電流検出要素の出力を択一的に切替えるループ運用情報取り込み手段とを備えた配電線短絡保護継電装置が開示されている。
下記の特許文献3には、多段に渡る限時差整定において短絡領域における保護協調を容易に実現できるようにするために、電流入力部の電流値について瞬時要素判断部および限時要素判断部でそれぞれ動作の是非を判断し、この判断部からの信号に基づいて動作判断部にて動作特性切換手段の状態を兼ね合わせて動作時間特性を制御する過電流継電器が開示されている。
下記の特許文献4には、商用電源と並設される非常用発電機を備えた受変電設備に設けられる過電流保護継電器において整定値の変更を容易とし電源状態に対応した最適な保護環境が維持できるようにするために、過電流保護継電器に、外部からの電気信号などにより設定および変更が可能な商用電源給電時に用いる整定パターンおよび非常用発電機給電時に用いる整定パターンを内蔵し、受変電設備の電源状態が商用電源であるか非常用発電機であるかを判別する電源状態判別回路と、電源状態判別回路で判別された電源に応じて整定パターンを適正な整定パターンに切り替えて整定する切替スイッチとを設けた、整定パターン自動切替機能付過電流保護継電器が開示されている。
本発明の過電流継電装置は、電力系統における送電線の短絡事故時の保護に用いられる過電流継電装置であって、短絡事故時の事故電流の振幅値に基づいて前記過電流継電装置の動作時限を定める動作時限特性に従って前記過電流継電装置の動作時限を求める動作時限決定手段を具備し、前記動作時限特性が、瞬時要素動作範囲における動作時限が一定である定限時特性と限時要素動作範囲における動作時限が指数関数的に長くなる普通反限時特性との組合せによって規定された他の動作時限特性の代わりに、比例動作時限特性とされており、前記比例動作時限特性の瞬時要素動作範囲における動作時限特性が、前記他の動作時限特性の定限時特性により規定され、前記比例動作時限特性の限時要素動作範囲における動作時限特性が、電源(1)からの総合インピーダンスに比例して動作時限が増加する比例限時特性により規定され、前記比例動作時限特性で定まる動作時限が、時限協調をとる他の過電流継電装置との協調点を除いて、前記他の動作時限特性における前記普通反限時特性で定まる動作時限よりも小さくされていることを特徴とする。
本発明の過電流継電装置は、電力系統における送電線の短絡事故時の保護に用いられる過電流継電装置であって、短絡事故時の事故電流の振幅値に基づいて前記過電流継電装置の動作時限を定める動作時限特性に従って前記過電流継電装置の動作時限を求める動作時限決定手段を具備し、前記動作時限特性が、瞬時要素動作範囲における動作時限が一定である定限時特性と限時要素動作範囲における動作時限が指数関数的に長くなる普通反限時特性との組合せによって規定された他の動作時限特性の代わりに、多段動作時限特性とされており、前記多段動作時限特性の瞬時要素動作範囲における動作時限特性が、前記他の動作時限特性の定限時特性により規定され、前記多段動作時限特性の限時要素動作範囲における動作時限特性が、時限協調をとる他の過電流継電装置の瞬時要素動作範囲内では動作時限が前記他の動作時限特性における前記普通反限時特性で定まる動作時限よりも小さくされている複数の動作限時特性の組合せにより規定されることを特徴とする。
本発明の過電流継電装置は、電力系統における送電線の短絡事故時の保護に用いられる過電流継電装置(501,502)であって、瞬時要素動作範囲における動作時限が一定である定限時特性と限時要素動作範囲における動作時限が指数関数的に長くなる普通反限時特性との組合せによって規定された他の動作時限特性の代わりに、3相短絡事故時の事故電流の振幅値または2相短絡事故時の事故電流の振幅値に基づいて前記過電流継電装置の動作時限を定める範囲指定動作時限特性、比例動作時限特性または多段動作時限特性に従って前記過電流継電装置の動作時限を求める動作時限決定手段(121〜123,131〜133,141〜143)と、3相短絡事故か2相短絡事故かを判定する事故様相判定手段(15)とを具備し、前記範囲指定動作時限特性の瞬時要素動作範囲における動作時限特性が、前記他の動作時限特性の定限時特性により規定され、前記範囲指定動作時限特性の限時要素動作範囲における動作時限特性が、電源(1)からの総合インピーダンスによって動作時限が一定である第1の定限時特性、前記総合インピーダンスに比例して動作時限が増加する比例限時特性および前記総合インピーダンスによって動作時限が一定である第2の定限時特性の組合せにより規定され、前記第1の定限時特性、前記比例限時特性および前記第2の定限時特性で定まる動作時限が、時限協調をとる他の過電流継電装置との協調点を除いて、前記他の動作時限特性における前記普通反限時特性で定まる動作時限よりも小さくされ、前記比例動作時限特性の瞬時要素動作範囲における動作時限特性が、前記他の動作時限特性の定限時特性により規定され、前記比例動作時限特性の限時要素動作範囲における動作時限特性が、前記総合インピーダンスに比例して動作時限が増加する比例限時特性により規定され、前記比例動作時限特性で定まる動作時限が、前記他の過電流継電装置との協調点を除いて、前記他の動作時限特性における前記普通反限時特性で定まる動作時限よりも小さくされ、前記多段動作時限特性の瞬時要素動作範囲における動作時限特性が、前記他の動作時限特性の定限時特性により規定され、前記多段動作時限特性の限時要素動作範囲における動作時限特性が、前記他の過電流継電装置の瞬時要素動作範囲内では動作時限が前記他の動作時限特性における前記普通反限時特性で定まる動作時限よりも小さくされている複数の動作限時特性の組合せにより規定され、前記動作時限決定手段が、前記事故様相判定手段における判定結果に応じて2相短絡事故時の事故電流の振幅値を3相短絡事故時の事故電流の振幅値に換算してまたは3相短絡事故時の事故電流の振幅値を2相短絡事故時の事故電流の振幅値に換算して、該換算した事故電流の振幅値に基づいて前記範囲指定動作時限特性、前記比例動作時限特性または前記多段動作時限特性に従って前記過電流継電装置の動作時限を求めることを特徴とする。
ここで、前記動作時限決定手段が、2相短絡事故時の事故電流の振幅値を31/2/2で割ることにより、2相短絡事故時の事故電流の振幅値を3相短絡事故時の事故電流の振幅値に換算してもよい。
前記動作時限決定手段が、3相短絡事故時の事故電流の振幅値に31/2/2を掛けることにより、3相短絡事故時の事故電流の振幅値を2相短絡事故時の事故電流の振幅値に換算してもよい。
前記動作時限決定手段が、前記短絡事故時の事故電流の振幅値が整定限時タップ値以上であるか否かを判定する限時要素動作判定手段(121〜123)と、前記範囲指定動作時限特性、前記比例動作時限特性または前記多段動作時限特性に従って前記過電流継電装置の動作時限を求める時限処理手段(131〜133)とを備え、前記事故様相判定手段における判定結果が3相短絡事故である場合には、前記限時要素動作判定手段が、前記短絡事故時の事故電流の振幅値が整定限時タップ値以上であるか否かを判定し、また、前記時限処理手段が、前記限時要素動作判定手段から入力される前記事故電流の振幅値に基づいて前記範囲指定動作時限特性、前記比例動作時限特性または前記多段動作時限特性に従って前記過電流継電装置の動作時限を求め、前記事故様相判定手段における判定結果が2相短絡事故である場合には、前記限時要素動作判定手段が、前記短絡事故時の事故電流の振幅値が整定限時タップ値以上であるか否かを判定し、また、前記時限処理手段が、前記限時要素動作判定手段から入力される前記事故電流の振幅値に基づいて前記範囲指定動作時限特性、前記比例動作時限特性または前記多段動作時限特性に従って前記過電流継電装置の動作時限を求め、前記短絡事故時の事故電流の振幅値を31/2/2で割った値である事故電流の振幅換算値を算出し、該算出した事故電流の振幅換算値が前記整定限時タップ値以上であるか否かを判定し、また、前記限時要素動作判定手段から入力される前記事故電流の振幅換算値に基づいて前記範囲指定動作時限特性、前記比例動作時限特性または前記多段動作時限特性に従って前記過電流継電装置の動作時限を求めてもよい。
前記動作時限決定手段が、瞬時要素動作判定手段(141〜143)を備え、該瞬時要素動作判定手段が、前記事故様相判定手段における判定結果が3相短絡事故である場合には、前記短絡事故時の事故電流の振幅値が整定瞬時タップ値以上であるか否かを判定し、前記瞬時要素動作判定手段が、前記事故様相判定手段における判定結果が2相短絡事故である場合には、前記短絡事故時の事故電流の振幅値を31/2/2で割った値である事故電流の振幅換算値を算出し、該算出した事故電流の振幅換算値が前記整定瞬時タップ値以上であるか否かを判定してもよい。
前記事故様相判定手段が、前記短絡事故時に前記送電線の各相を流れる事故電流の振幅値がすべて所定の閾値よりも大きいときに3相短絡事故と判定し、それ以外のときには2相短絡事故と判定してもよい。
本発明の過電流継電装置は、電力系統における送電線の短絡事故時の保護に用いられる過電流継電装置(501,502)であって、前記送電線に設置された遮断器を遮断するためのトリップ信号を発生するためのトリップ信号発生回路(10)を具備し、該トリップ信号発生回路が、前記短絡事故時の事故電流から変換された事故電流データ(IR,IW,IB)の振幅値を求める振幅値演算部(111〜113)と、前記振幅値演算部から入力される前記事故電流データの振幅値に基づいて、事故様相が3相短絡事故であるか2相短絡事故であるかを判定する事故様相判定部(15)と、該事故様相判定部が「短絡事故が3相短絡事故である」と判定すると、前記事故電流データの振幅値が整定限時タップ値以上であるか否かを判定し、一方、該事故様相判定部が「短絡事故が2相短絡事故である」と判定すると、前記事故電流データの振幅値を31/2/2で割った値である事故電流データの振幅換算値を算出し、該算出した事故電流の振幅換算値が前記整定限時タップ値以上であるか否かを判定する限時要素動作判定部(121〜123)と、該限時要素動作判定部の出力信号に応じて、該限時要素動作判定部から入力される前記事故電流データの振幅値または前記事故電流の振幅換算値から、瞬時要素動作範囲における動作時限が一定である定限時特性と限時要素動作範囲における動作時限が指数関数的に長くなる普通反限時特性との組合せによって規定された他の動作時限特性の代わりに、前記過電流継電装置の動作時限を定める範囲指定動作時限特性、比例動作時限特性または多段動作時限特性に従って動作時限を求め、該求めた動作時限の経過後に前記遮断器を遮断するための限時要素トリップ信号(T1R,T1W,T1B)を出力する時限処理部(131〜133)とを備え、前記範囲指定動作時限特性の瞬時要素動作範囲における動作時限特性が、前記他の動作時限特性の定限時特性により規定され、前記範囲指定動作時限特性の限時要素動作範囲における動作時限特性が、電源(1)からの総合インピーダンスによって動作時限が一定である第1の定限時特性、前記総合インピーダンスに比例して動作時限が増加する比例限時特性および前記総合インピーダンスによって動作時限が一定である第2の定限時特性の組合せにより規定され、前記第1の定限時特性、前記比例限時特性および前記第2の定限時特性で定まる動作時限が、時限協調をとる他の過電流継電装置との協調点を除いて、前記他の動作時限特性における前記普通反限時特性で定まる動作時限よりも小さくされ、前記比例動作時限特性の瞬時要素動作範囲における動作時限特性が、前記他の動作時限特性の定限時特性により規定され、前記比例動作時限特性の限時要素動作範囲における動作時限特性が、前記総合インピーダンスに比例して動作時限が増加する比例限時特性により規定され、前記比例動作時限特性で定まる動作時限が、前記他の過電流継電装置との協調点を除いて、前記他の動作時限特性における前記普通反限時特性で定まる動作時限よりも小さくされ、前記多段動作時限特性の瞬時要素動作範囲における動作時限特性が、前記他の動作時限特性の定限時特性により規定され、前記多段動作時限特性の限時要素動作範囲における動作時限特性が、前記他の過電流継電装置の瞬時要素動作範囲内では動作時限が前記他の動作時限特性における前記普通反限時特性で定まる動作時限よりも小さくされている複数の動作限時特性の組合せにより規定されることを特徴とする。
ここで、前記トリップ信号発生回路が、前記遮断器を瞬時に遮断するための瞬時要素トリップ信号(T2R,T2W,T2B)を出力する瞬時要素動作判定部(141〜143)をさらに備え、該瞬時要素動作判定部が、前記事故様相判定部が「短絡事故が3相短絡事故である」と判定すると、前記事故電流データの振幅値が整定瞬時タップ値以上であるか否かを判定し、「前記事故電流データの振幅値が整定瞬時タップ値以上である」と判定すると前記瞬時要素トリップ信号を出力し、一方、前記事故様相判定部が「短絡事故が2相短絡事故である」と判定すると、前記事故電流データの振幅値を31/2/2で割った値である事故電流データの振幅換算値を算出し、該算出した事故電流の振幅換算値が前記整定瞬時タップ値以上であるか否かを判定し、「前記事故電流データの振幅換算値が整定瞬時タップ値以上である」と判定すると前記瞬時要素トリップ信号を出力してもよい。
前記短絡事故時の事故電流の振幅値に基づいて前記過電流継電装置の動作時限を定める動作時限特性の代わりに、3相短絡事故時のタップ倍率または2相短絡事故時のタップ倍率に基づいて前記過電流継電装置の動作時限を定める動作時限特性を使用し、前記動作時限決定手段が、前記事故様相判定手段における判定結果に応じて、3相短絡事故時の整定タップ値を2相短絡事故時の整定タップ値に換算してまたは2相短絡事故時の整定タップ値を3相短絡事故時の整定タップ値に換算して、短絡事故時の事故電流の振幅値を該換算した整定タップ値で割ってタップ倍率を算出し、該算出しタップ倍率に基づいて前記動作時限特性に従って前記過電流継電装置の動作時限を求めてもよい。
前記動作時限決定手段が、3相短絡事故時の整定タップ値に31/2/2を掛けることにより、3相短絡事故時の整定タップ値を2相短絡事故時の整定タップ値に換算してもよい。
前記動作時限決定手段が、2相短絡事故時の整定タップ値を31/2/2で割ることにより、2相短絡事故時の整定タップ値を3相短絡事故時の整定タップ値に換算してもよい。
(1)動作時限特性を範囲指定動作時限特性、比例動作時限特性または多段動作時限特性とすることにより、普通反時限特性としたときに比べて限時要素動作範囲の動作時限を短くすることができるので、限時要素動作範囲で短絡事故が発生した場合の動作時限を短縮することができる。
(2)事故様相判定手段を具備することにより、事故様相に応じた動作時限で過電流継電装置を動作させることができるので、事故様相によって事故除去時間が変わらないようにすることができる。
(3)範囲指定動作時限特性と事故様相判定手段とを組み合わせることにより、過電流継電装置を短絡距離継電装置としても用いることができる。
(4)2相短絡事故時の動作時限の遅延を抑制することができるので、保護性能の向上を図ることができる。
(5)リレー協調をとり易くすることができるので、保護系統全体のリレー動作時間の短縮を図ることができる。
(5)他の過電流継電装置との時限協調が容易になるとともに、短絡距離継電装置との時限協調も容易になる。
本発明の一実施例による過電流継電装置(不図示)は、送電線の赤相、白相および青相にそれぞれ設置された各相遮断器(不図示)を遮断するためのトリップ信号を発生するためのトリップ信号発生回路として図1に示すトリップ信号発生回路10を具備することを特徴とする。
一方、第1乃至第3の限時要素動作判定部121〜123は、事故様相判定部15からロウレベルの事故様相判定結果信号(2相短絡事故発生を示す。)が入力されると、赤相、白相および青相事故電流データIR,IW,IBの振幅値を約0.866で割った値(以下、「振幅換算値」と称する。)を算出して、算出した赤相、白相および青相事故電流データIR,IW,IBの振幅換算値が整定限時タップ値以上であるか否かを判定する。その結果、「赤相、白相および青相事故電流データIR,IW,IBの振幅換算値が整定限時タップ値以上である」と判定すると、第1乃至第3の限時要素動作判定部121〜123は、ハイレベルの出力信号と赤相、白相および青相事故電流データIR,IW,IBの振幅換算値とを第1乃至第3の時限処理部131〜133にそれぞれ出力する。
(1)範囲指定動作時限特性曲線aの限時要素動作範囲における動作時限特性は、図2に示すように、総合インピーダンス%Zによって動作時限が一定である第1の定限時特性と、総合インピーダンス%Zに比例して動作時限が増加する比例限時特性と、総合インピーダンス%Zによって動作時限が一定である第2の定限時特性との組合せにより規定される。
(2)第1の定限時特性における動作時限は、動作時限特性曲線Aにおける動作時限よりも小さくされている。
(3)比例限時特性の比例係数は、協調点の時限とIT限界地点の時限との差を協調点の倍率とIT限界地点の倍率との差で割った値、または、協調点の時限とIT限界地点の時限との差を協調点の事故電流の振幅値とIT限界地点の事故電流の振幅値との差で割った値とする。
(4)第2の定限時特性における動作時限は、動作時限特性曲線Aにおける動作時限よりも小さくされている。
このような範囲指定動作時限特性曲線aを使用することにより、動作時限特性曲線Aを使用する場合に比べて、協調点を除いて過電流継電装置の動作時限を全体的に短縮することができる。
また、図8(b)に示した動作時限特性曲線Bの代わりに図2に示す範囲指定動作時限特性曲線bを使用することにより、次々区間において短絡事故が発生したときに次区間の過電流継電装置(たとえば図8(a)に示した第2の過電流継電装置1102)が図2に黒バツで示すように動作しなかった場合でも、電源側の過電流継電装置(たとえば図8(a)に示した第1の過電流継電装置1101)が図2に黒丸で示すように短い動作時限(約0.7s)で動作するので、送電線の保護信頼度を向上させることができる。
一方、第1乃至第3の瞬時要素動作判定部141〜14は、事故様相判定部15からロウレベルの事故様相判定結果信号(2相短絡事故発生を示す。)が入力されると、赤相、白相および青相事故電流データIR,IW,IBの振幅換算値(振幅値を約0.866で割った値)を算出して、算出した赤相、白相および青相事故電流データIR,IW,IBの振幅換算値が整定瞬時タップ値以上であるか否かをそれぞれ判定する。その結果、「赤相、白相および青相事故電流データIR,IW,IBの振幅換算値が整定瞬時タップ値以上である」と判定すると、第1乃至第3の瞬時要素動作判定部141〜143は、各相遮断器を瞬時に遮断するための第1乃至第3の瞬時要素トリップ信号T2R,T2W,T2Bをそれぞれ出力する。
このとき、事故様相判定部15は、赤相、白相および青相事故電流データIR,IW,IBの振幅値がすべて所定の閾値(整定限時タップ値でもよい。)よりも大きい場合に「事故様相が3相短絡事故である」と判定し、それ以外の場合には「事故様相が2相短絡事故である」と判定する。
第2の論理和回路162は、第1乃至第3の瞬時要素動作判定部141〜143から入力される第1乃至第3の瞬時要素トリップ信号T2R,T2W,T2Bの論理和をとることにより、各相遮断器を一括して瞬時に遮断するための第2のトリップ信号T2を生成する。
図3(a)に示すように第2の過電流継電装置502よりも後方で3相短絡事故が発生すると、所定の閾値よりも大きな振幅値の事故電流Iが送電線の赤相、白相および青相にそれぞれ流れる。この事故電流Iは、第1および第2の変流器31,32(送電線の相ごとに設置されている。)を介して第1および第2の過電流継電装置501,502に入力され、入力フィルタによって必要な帯域の周波数成分のみが抽出され、さらにアナログ/ディジタル変換部によってアナログ電流からディジタル電流に変換されることにより、赤相、白相および青相事故電流データIR,IW,IBに変換される(ステップS11)。
これにより、ハイレベルの第2のトリップ信号T2が第2の論理和回路162から第2の遮断器42(送電線の相ごとに設置されている。)に出力されて、第2の遮断器42が瞬時に遮断される。
これにより、ハイレベルの第1のトリップ信号T1が第1の論理和回路161から第1の遮断器41(送電線の相ごとに設置されている。)に出力されて、第1の遮断器41が動作時限経過後に遮断される。
第2の過電流継電装置502よりも後方で赤相と白相との2相短絡事故が発生すると、所定の閾値よりも大きな振幅値の事故電流Iが送電線の赤相および白相にそれぞれ流れる。送電線の赤相、白相および青相にそれぞれ流れる事故電流Iは、第1および第2の変流器31,32を介して第1および第2の過電流継電装置501,502に入力され、入力フィルタによって必要な帯域の周波数成分のみが抽出され、さらにアナログ/ディジタル変換部によってアナログ電流値からディジタル電流値に変換されることにより、赤相、白相および青相事故電流データIR,IW,IBに変換される(ステップS21)。
これにより、ハイレベルの第2のトリップ信号T2が第2の論理和回路162から第2の遮断器42に出力されて、第2の遮断器42が瞬時に遮断される。
これにより、ハイレベルの第1のトリップ信号T1が第1の論理和回路161から第1の遮断器41に出力されて、第1の遮断器41が動作時限経過後に遮断される。
(1)比例動作時限特性曲線mの限時要素動作範囲における動作時限特性は、図6に示すように、総合インピーダンス%Zに比例して動作時限が増加する比例限時特性により規定される。
(2)比例限時特性における動作時限は、協調点を除いて動作時限特性曲線Aにおける動作時限よりも小さくされている。
(3)比例係数は、協調点の時限とIT限界地点の時限との差を協調点の倍率とIT限界地点の倍率との差で割った値、または、協調点の時限とIT限界地点の時限との差を協調点の事故電流の振幅値とIT限界地点の事故電流の振幅値との差で割った値とする。
このような比例動作時限特性曲線mを使用することにより、動作時限特性曲線Aを使用する場合に比べて、協調点を除いて過電流継電装置の動作時限を全体的に短縮することができる。
また、図8(b)に示した動作時限特性曲線Bの代わりに図6に示す比例動作時限特性曲線nを使用することにより、次々区間において短絡事故が発生したときに次区間の過電流継電装置(たとえば図8(a)に示した第2の過電流継電装置1102)が図6に黒バツで示すように動作しなかった場合でも、電源側の過電流継電装置(たとえば図8(a)に示した第1の過電流継電装置1101)は図6に黒丸で示すように短い動作時限(約1.5s)で動作するので、送電線の保護信頼度を向上させることができる。
(1)多段動作時限特性曲線pの限時要素動作範囲における動作時限特性は、図7に示す強反限時特性と普通反限時特性との組合せのように、複数の動作限時特性の組合せにより規定される。
(2)後備保護継電装置(図8(b)の第2の過電流継電装置1102など)の瞬時要素動作範囲内では、多段動作時限特性曲線pの限時要素動作範囲における動作時限特性(図7に示す例では強反限時特性)は、動作時限が動作時限特性曲線A(図7に示す例では普通反限時特性)よりも小さくされている。
また、図8(b)に示した動作時限特性曲線Bの代わりに図7に示す多段動作時限特性曲線qを使用すると、限時要素動作範囲をすべてたとえば強反限時特性として規定した動作時限特性曲線を使用した場合に比べて限時要素動作範囲における必要な保護範囲を確保することができる。
同様に、第1乃至第3の限時要素動作判定部121〜123は、事故様相判定部15からロウレベルの事故様相判定結果信号(2相短絡事故発生を示す。)が入力されると、赤相および白相事故電流データIR,IWの振幅換算値を算出する代わりに整定限時タップ値に31/2/2を掛けた整定限時タップ換算値を用いて、赤相および白相事故電流データIR,IWの振幅値が整定限時タップ換算値以上であるか否かを判定し、赤相および白相事故電流データIR,IWの振幅値が整定限時タップ換算値以上である場合にハイレベルの出力信号を第1および第2の時限処理部131,132に出力する。このとき、第1および第2の時限処理部131,132は、第1および第2の限時要素動作判定部121,122から入力される赤相および白相事故電流データIR,IWの振幅値を第1および第2の限時要素動作判定部121,122から入力される整定限時タップ換算値で割ってタップ倍率を算出し、算出しタップ倍率に基づいて動作時限特性曲線から求めた動作時限の経過後に、第1および第2の限時要素トリップ信号T1R,T1Wをそれぞれ出力する。
同様に、第1乃至第3の限時要素動作判定部121〜123は、事故様相判定部15からハイレベルの事故様相判定結果信号(3相短絡事故発生を示す。)が入力されると、赤相、白相および青事故電流データIR,IW,IBの振幅換算値を算出する代わりに整定限時タップ値を31/2/2で割った整定限時タップ換算値を用いて、赤相、白相および青相事故電流データIR,IW,IBの振幅値が整定限時タップ換算値以上であるか否かを判定し、赤相、白相および青相事故電流データIR,IW,IBの振幅値が整定限時タップ換算値以上である場合にハイレベルの出力信号を第1乃至第3の時限処理部131〜133に出力する。このとき、第1乃至第3の時限処理部131〜133は、第1乃至第3の限時要素動作判定部121〜123から入力される赤相、白相および青相事故電流データIR,IW,IBの振幅値を第1乃至第3の限時要素動作判定部121〜123から入力される整定限時タップ換算値で割ってタップ倍率を算出し、算出しタップ倍率に基づいて動作時限特性曲線から求めた動作時限の経過後に、第1乃至第3の限時要素トリップ信号T1R,T1W,T1Bをそれぞれ出力する。
31,32 第1および第2の変流器
41,42 第1および第2の遮断器
10 トリップ信号発生回路
111〜113 第1乃至第3の振幅値演算部
121〜123 第1乃至第3の限時要素動作判定部
131〜133 第1乃至第3の時限処理部
141〜143 第1乃至第3の瞬時要素動作判定部
15 事故様相判定部
161,162 第1および第2の論理和回路
1101,1102 第1および第2の過電流継電装置
210 短絡距離継電装置
220 過電流継電装置
A,B,A’,B’,C,D,C’,D’ 動作時限特性曲線
a,b 範囲指定動作時限特性曲線
m,n 比例動作時限特性曲線
p,q 多段動作時限特性曲線
I 事故電流
IR,IW,IB 赤相、白相および青相事故電流データ
T1R,T1W,T1B 第1乃至第3の限時要素トリップ信号
T2R,T2W,T2B 第1乃至第3の瞬時要素トリップ信号
T1,T2 第1および第2のトリップ信号
S11〜S16,S21〜S26 ステップ
Claims (14)
- 電力系統における送電線の短絡事故時の保護に用いられる過電流継電装置であって、
短絡事故時の事故電流の振幅値に基づいて前記過電流継電装置の動作時限を定める動作時限特性に従って前記過電流継電装置の動作時限を求める動作時限決定手段を具備し、
前記動作時限特性が、瞬時要素動作範囲における動作時限が一定である定限時特性と限時要素動作範囲における動作時限が指数関数的に長くなる普通反限時特性との組合せによって規定された他の動作時限特性の代わりに、範囲指定動作時限特性とされており、
前記範囲指定動作時限特性の瞬時要素動作範囲における動作時限特性が、前記他の動作時限特性の定限時特性により規定され、
前記範囲指定動作時限特性の限時要素動作範囲における動作時限特性が、電源(1)からの総合インピーダンスによって動作時限が一定である第1の定限時特性、前記総合インピーダンスに比例して動作時限が増加する比例限時特性および前記総合インピーダンスによって動作時限が一定である第2の定限時特性の組合せにより規定され、
前記第1の定限時特性、前記比例限時特性および前記第2の定限時特性で定まる動作時限が、時限協調をとる他の過電流継電装置との協調点を除いて、前記他の動作時限特性における前記普通反限時特性で定まる動作時限よりも小さくされている、
ことを特徴とする、過電流継電装置。 - 電力系統における送電線の短絡事故時の保護に用いられる過電流継電装置であって、
短絡事故時の事故電流の振幅値に基づいて前記過電流継電装置の動作時限を定める動作時限特性に従って前記過電流継電装置の動作時限を求める動作時限決定手段を具備し、
前記動作時限特性が、瞬時要素動作範囲における動作時限が一定である定限時特性と限時要素動作範囲における動作時限が指数関数的に長くなる普通反限時特性との組合せによって規定された他の動作時限特性の代わりに、比例動作時限特性とされており、
前記比例動作時限特性の瞬時要素動作範囲における動作時限特性が、前記他の動作時限特性の定限時特性により規定され、
前記比例動作時限特性の限時要素動作範囲における動作時限特性が、電源(1)からの総合インピーダンスに比例して動作時限が増加する比例限時特性により規定され、
前記比例動作時限特性で定まる動作時限が、時限協調をとる他の過電流継電装置との協調点を除いて、前記他の動作時限特性における前記普通反限時特性で定まる動作時限よりも小さくされている、
ことを特徴とする、過電流継電装置。 - 電力系統における送電線の短絡事故時の保護に用いられる過電流継電装置であって、
短絡事故時の事故電流の振幅値に基づいて前記過電流継電装置の動作時限を定める動作時限特性に従って前記過電流継電装置の動作時限を求める動作時限決定手段を具備し、
前記動作時限特性が、瞬時要素動作範囲における動作時限が一定である定限時特性と限時要素動作範囲における動作時限が指数関数的に長くなる普通反限時特性との組合せによって規定された他の動作時限特性の代わりに、多段動作時限特性とされており、
前記多段動作時限特性の瞬時要素動作範囲における動作時限特性が、前記他の動作時限特性の定限時特性により規定され、
前記多段動作時限特性の限時要素動作範囲における動作時限特性が、時限協調をとる他の過電流継電装置の瞬時要素動作範囲内では動作時限が前記他の動作時限特性における前記普通反限時特性で定まる動作時限よりも小さくされている複数の動作限時特性の組合せにより規定される、
ことを特徴とする、過電流継電装置。 - 電力系統における送電線の短絡事故時の保護に用いられる過電流継電装置(501,502)であって、
瞬時要素動作範囲における動作時限が一定である定限時特性と限時要素動作範囲における動作時限が指数関数的に長くなる普通反限時特性との組合せによって規定された他の動作時限特性の代わりに、3相短絡事故時の事故電流の振幅値または2相短絡事故時の事故電流の振幅値に基づいて前記過電流継電装置の動作時限を定める範囲指定動作時限特性、比例動作時限特性または多段動作時限特性に従って前記過電流継電装置の動作時限を求める動作時限決定手段(121〜123,131〜133,141〜143)と、
3相短絡事故か2相短絡事故かを判定する事故様相判定手段(15)とを具備し、
前記範囲指定動作時限特性の瞬時要素動作範囲における動作時限特性が、前記他の動作時限特性の定限時特性により規定され、前記範囲指定動作時限特性の限時要素動作範囲における動作時限特性が、電源(1)からの総合インピーダンスによって動作時限が一定である第1の定限時特性、前記総合インピーダンスに比例して動作時限が増加する比例限時特性および前記総合インピーダンスによって動作時限が一定である第2の定限時特性の組合せにより規定され、前記第1の定限時特性、前記比例限時特性および前記第2の定限時特性で定まる動作時限が、時限協調をとる他の過電流継電装置との協調点を除いて、前記他の動作時限特性における前記普通反限時特性で定まる動作時限よりも小さくされ、
前記比例動作時限特性の瞬時要素動作範囲における動作時限特性が、前記他の動作時限特性の定限時特性により規定され、前記比例動作時限特性の限時要素動作範囲における動作時限特性が、前記総合インピーダンスに比例して動作時限が増加する比例限時特性により規定され、前記比例動作時限特性で定まる動作時限が、前記他の過電流継電装置との協調点を除いて、前記他の動作時限特性における前記普通反限時特性で定まる動作時限よりも小さくされ、
前記多段動作時限特性の瞬時要素動作範囲における動作時限特性が、前記他の動作時限特性の定限時特性により規定され、前記多段動作時限特性の限時要素動作範囲における動作時限特性が、前記他の過電流継電装置の瞬時要素動作範囲内では動作時限が前記他の動作時限特性における前記普通反限時特性で定まる動作時限よりも小さくされている複数の動作限時特性の組合せにより規定され、
前記動作時限決定手段が、前記事故様相判定手段における判定結果に応じて2相短絡事故時の事故電流の振幅値を3相短絡事故時の事故電流の振幅値に換算してまたは3相短絡事故時の事故電流の振幅値を2相短絡事故時の事故電流の振幅値に換算して、該換算した事故電流の振幅値に基づいて前記範囲指定動作時限特性、前記比例動作時限特性または前記多段動作時限特性に従って前記過電流継電装置の動作時限を求める、
ことを特徴とする、過電流継電装置。 - 前記動作時限決定手段が、2相短絡事故時の事故電流の振幅値を31/2/2で割ることにより、2相短絡事故時の事故電流の振幅値を3相短絡事故時の事故電流の振幅値に換算することを特徴とする、請求項4記載の過電流継電装置。
- 前記動作時限決定手段が、3相短絡事故時の事故電流の振幅値に31/2/2を掛けることにより、3相短絡事故時の事故電流の振幅値を2相短絡事故時の事故電流の振幅値に換算することを特徴とする、請求項4記載の過電流継電装置。
- 前記動作時限決定手段が、
前記短絡事故時の事故電流の振幅値が整定限時タップ値以上であるか否かを判定する限時要素動作判定手段(121〜123)と、
前記範囲指定動作時限特性、前記比例動作時限特性または前記多段動作時限特性に従って前記過電流継電装置の動作時限を求める時限処理手段(131〜133)とを備え、
前記事故様相判定手段における判定結果が3相短絡事故である場合には、前記限時要素動作判定手段が、前記短絡事故時の事故電流の振幅値が整定限時タップ値以上であるか否かを判定し、また、前記時限処理手段が、前記限時要素動作判定手段から入力される前記事故電流の振幅値に基づいて前記範囲指定動作時限特性、前記比例動作時限特性または前記多段動作時限特性に従って前記過電流継電装置の動作時限を求め、
前記事故様相判定手段における判定結果が2相短絡事故である場合には、前記限時要素動作判定手段が、前記短絡事故時の事故電流の振幅値が整定限時タップ値以上であるか否かを判定し、また、前記時限処理手段が、前記限時要素動作判定手段から入力される前記事故電流の振幅値に基づいて前記範囲指定動作時限特性、前記比例動作時限特性または前記多段動作時限特性に従って前記過電流継電装置の動作時限を求め、前記短絡事故時の事故電流の振幅値を31/2/2で割った値である事故電流の振幅換算値を算出し、該算出した事故電流の振幅換算値が前記整定限時タップ値以上であるか否かを判定し、また、前記限時要素動作判定手段から入力される前記事故電流の振幅換算値に基づいて前記範囲指定動作時限特性、前記比例動作時限特性または前記多段動作時限特性に従って前記過電流継電装置の動作時限を求める、
ことを特徴とする、請求項5記載の過電流継電装置。 - 前記動作時限決定手段が、瞬時要素動作判定手段(141〜143)を備え、
該瞬時要素動作判定手段が、前記事故様相判定手段における判定結果が3相短絡事故である場合には、前記短絡事故時の事故電流の振幅値が整定瞬時タップ値以上であるか否かを判定し、
前記瞬時要素動作判定手段が、前記事故様相判定手段における判定結果が2相短絡事故である場合には、前記短絡事故時の事故電流の振幅値を31/2/2で割った値である事故電流の振幅換算値を算出し、該算出した事故電流の振幅換算値が前記整定瞬時タップ値以上であるか否かを判定する、
ことを特徴とする、請求項7記載の過電流継電装置。 - 前記事故様相判定手段が、前記短絡事故時に前記送電線の各相を流れる事故電流の振幅値がすべて所定の閾値よりも大きいときに3相短絡事故と判定し、それ以外のときには2相短絡事故と判定することを特徴とする、請求項4乃至8いずれかに記載の過電流継電装置。
- 電力系統における送電線の短絡事故時の保護に用いられる過電流継電装置(501,502)であって、
前記送電線に設置された遮断器を遮断するためのトリップ信号を発生するためのトリップ信号発生回路(10)を具備し、
該トリップ信号発生回路が、
前記短絡事故時の事故電流から変換された事故電流データ(IR,IW,IB)の振幅値を求める振幅値演算部(111〜113)と、
前記振幅値演算部から入力される前記事故電流データの振幅値に基づいて、事故様相が3相短絡事故であるか2相短絡事故であるかを判定する事故様相判定部(15)と、
該事故様相判定部が「短絡事故が3相短絡事故である」と判定すると、前記事故電流データの振幅値が整定限時タップ値以上であるか否かを判定し、一方、該事故様相判定部が「短絡事故が2相短絡事故である」と判定すると、前記事故電流データの振幅値を31/2/2で割った値である事故電流データの振幅換算値を算出し、該算出した事故電流の振幅換算値が前記整定限時タップ値以上であるか否かを判定する限時要素動作判定部(121〜123)と、
該限時要素動作判定部の出力信号に応じて、該限時要素動作判定部から入力される前記事故電流データの振幅値または前記事故電流の振幅換算値から、瞬時要素動作範囲における動作時限が一定である定限時特性と限時要素動作範囲における動作時限が指数関数的に長くなる普通反限時特性との組合せによって規定された他の動作時限特性の代わりに、前記過電流継電装置の動作時限を定める範囲指定動作時限特性、比例動作時限特性または多段動作時限特性に従って動作時限を求め、該求めた動作時限の経過後に前記遮断器を遮断するための限時要素トリップ信号(T1R,T1W,T1B)を出力する時限処理部(131〜133)とを備え、
前記範囲指定動作時限特性の瞬時要素動作範囲における動作時限特性が、前記他の動作時限特性の定限時特性により規定され、前記範囲指定動作時限特性の限時要素動作範囲における動作時限特性が、電源(1)からの総合インピーダンスによって動作時限が一定である第1の定限時特性、前記総合インピーダンスに比例して動作時限が増加する比例限時特性および前記総合インピーダンスによって動作時限が一定である第2の定限時特性の組合せにより規定され、前記第1の定限時特性、前記比例限時特性および前記第2の定限時特性で定まる動作時限が、時限協調をとる他の過電流継電装置との協調点を除いて、前記他の動作時限特性における前記普通反限時特性で定まる動作時限よりも小さくされ、
前記比例動作時限特性の瞬時要素動作範囲における動作時限特性が、前記他の動作時限特性の定限時特性により規定され、前記比例動作時限特性の限時要素動作範囲における動作時限特性が、前記総合インピーダンスに比例して動作時限が増加する比例限時特性により規定され、前記比例動作時限特性で定まる動作時限が、前記他の過電流継電装置との協調点を除いて、前記他の動作時限特性における前記普通反限時特性で定まる動作時限よりも小さくされ、
前記多段動作時限特性の瞬時要素動作範囲における動作時限特性が、前記他の動作時限特性の定限時特性により規定にされ、前記多段動作時限特性の限時要素動作範囲における動作時限特性が、前記他の過電流継電装置の瞬時要素動作範囲内では動作時限が前記他の動作時限特性における前記普通反限時特性で定まる動作時限よりも小さくされている複数の動作限時特性の組合せにより規定される、
ことを特徴とする、過電流継電装置。 - 前記トリップ信号発生回路が、前記遮断器を瞬時に遮断するための瞬時要素トリップ信号(T2R,T2W,T2B)を出力する瞬時要素動作判定部(141〜143)をさらに備え、
該瞬時要素動作判定部が、前記事故様相判定部が「短絡事故が3相短絡事故である」と判定すると、前記事故電流データの振幅値が整定瞬時タップ値以上であるか否かを判定し、「前記事故電流データの振幅値が整定瞬時タップ値以上である」と判定すると前記瞬時要素トリップ信号を出力し、一方、前記事故様相判定部が「短絡事故が2相短絡事故である」と判定すると、前記事故電流データの振幅値を31/2/2で割った値である事故電流データの振幅換算値を算出し、該算出した事故電流の振幅換算値が前記整定瞬時タップ値以上であるか否かを判定し、「前記事故電流データの振幅換算値が整定瞬時タップ値以上である」と判定すると前記瞬時要素トリップ信号を出力する、
ことを特徴とする、請求項10記載の過電流継電装置。 - 前記短絡事故時の事故電流の振幅値に基づいて前記過電流継電装置の動作時限を定める動作時限特性の代わりに、3相短絡事故時のタップ倍率または2相短絡事故時のタップ倍率に基づいて前記過電流継電装置の動作時限を定める動作時限特性を使用し、
前記動作時限決定手段が、前記事故様相判定手段における判定結果に応じて、3相短絡事故時の整定タップ値を2相短絡事故時の整定タップ値に換算してまたは2相短絡事故時の整定タップ値を3相短絡事故時の整定タップ値に換算して、短絡事故時の事故電流の振幅値を該換算した整定タップ値で割ってタップ倍率を算出し、該算出しタップ倍率に基づいて前記動作時限特性に従って前記過電流継電装置の動作時限を求める、
ことを特徴とする、請求項1乃至11いずれかに記載の過電流継電装置。 - 前記動作時限決定手段が、3相短絡事故時の整定タップ値に31/2/2を掛けることにより、3相短絡事故時の整定タップ値を2相短絡事故時の整定タップ値に換算することを特徴とする、請求項12記載の過電流継電装置。
- 前記動作時限決定手段が、2相短絡事故時の整定タップ値を31/2/2で割ることにより、2相短絡事故時の整定タップ値を3相短絡事故時の整定タップ値に換算することを特徴とする、請求項12記載の過電流継電装置。
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