JP2008160910A - 保護継電装置 - Google Patents

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正実 竹中
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Abstract

【課題】平衡2回線送電線に発生した地絡事故または短絡事故の事故除去時間を大幅に短縮することができる保護継電装置を提供する。
【解決手段】電源端側の母線と対向端側の対向端母線との間に敷設された自回線1Lおよび他回線2Lからなる平衡2回線送電線の自回線1Lの電源端側に設置される第1の電源端地絡方向継電装置101は、健全回線の遮断器情報である第2の接点信号SC2と、事故回線の事故電流である第1の零相電流I01の増加量|ΔI01|および健全回線の事故電流である第2の零相電流I02の減少量|ΔI02|の比率|ΔI01|/|ΔI02|とに基づいて、自回線1Lの対向端側に設置された第3の遮断器43が自回線1Lにおける地絡事故により遮断されたと判定すると、第1のトリップ信号S1を瞬時に発生するトリップ信号発生回路30を具備する。
【選択図】図2

Description

本発明は、保護継電装置に関し、特に、平衡2回線送電線において使用するのに好適な保護継電装置に関する。
一般に、電力系統における地絡事故時の保護に用いられている地絡方向継電装置(DG)は、自回線(地絡方向継電装置が設置された送電線)の電気量(零相電圧V0および零相電流I0)の大きさおよび方向に基づいて地絡事故発生を判定するものであり、事故区間を判定させるために、対向端(非電源端)背後の送電線に設置された他の地絡方向継電装置と時限協調(0.4s〜0.5sの積上げ)をとっている。
そのため、電源端側に設置された地絡方向継電装置では、以下に説明するように、事故除去時間が長くなるので、地絡方向継電装置は平衡2回線送電線においては後備保護として用いられ、保護区間内の地絡事故によって瞬時に動作する別方式の主保護継電装置を別に設置することにより、事故除去時間の短縮を図っている。
図21に示すように、電源1(零相電源)から電力を供給される母線から分岐された第1の送電線1L(以下、「自回線1L」と称する。)および第2の送電線2L(以下、「他回線2L」と称する。)の電源端側(母線側)に地絡方向継電装置(以下、「第1および第2の電源端地絡方向継電装置9101,9102」と称する。)がそれぞれ設置されており、自回線1Lおよび他回線2Lの対向端側(母線と反対側)にも地絡方向継電装置(以下、「第1および第2の対向端地絡方向継電装置9201,9202」と称する。)がそれぞれ設置されているとする。
第1の電源端地絡方向継電装置9101は、母線に設けられた第1の接地形計器用変圧器(EVT)21から入力される電源端零相電圧V0aと自回線1Lの電源端側に設置された第1の零相変流器(ZCT)31から入力される第1の零相電流I01とに基づいて自回線1Lにおける地絡事故発生を検出すると、自回線1Lの電源端側に設置された第1の遮断器41を遮断するための第1のトリップ信号S1を発生する。
第2の電源端地絡方向継電装置9102は、第1の接地形計器用変圧器21から入力される電源端零相電圧V0aと他回線2Lに設置された第2の零相変流器32から入力される第2の零相電流I02とに基づいて他回線2Lにおける地絡事故発生を検出すると、他回線2Lの電源端側に設置された第2の遮断器42を遮断するための第2のトリップ信号S2を発生する。
第1の対向端地絡方向継電装置9201は、対向端側の母線(以下、「対向端母線」と称する。)に設けられた第2の接地形計器用変圧器22から入力される対向端零相電圧V0bと自回線1Lの対向端側に設置された第3の零相変流器33から入力される第3の零相電流I03とに基づいて自回線1Lにおける地絡事故発生を検出すると、自回線1Lの対向端側に設置された第3の遮断器43を遮断するための第3のトリップ信号S3を発生する。
第2の対向端地絡方向継電装置9202は、第2の接地形計器用変圧器22から入力される対向端零相電圧V0bと他回線2Lの対向端側に設置された第4の零相変流器34から入力される第4の零相電流I04とに基づいて他回線2Lにおける地絡事故発生を検出すると、他回線2Lの対向端側に設置された第4の遮断器44を遮断するための第4のトリップ信号S4を発生する。
第1の電源端地絡方向継電装置9101は、第1のトリップ信号S1を発生するために、図22に示すようなトリップ信号発生回路930を具備する。
ここで、トリップ信号発生回路930は、リレー判定回路931と、第1乃至第3の遅延回路(タイマー)9321〜9323と、論理積回路933と、論理和回路934とを備える。
リレー判定回路931は、第1の零相電流I01の大きさと電源端零相電圧V0aおよび第1の零相電流I01の位相関係とに基づいて自回線1Lに発生した地絡事故を検出すると、ハイレベルの出力信号を出力する。
第1の遅延回路9321は、第1の地絡過電圧継電装置(OVG)51から入力される第1のOVG出力信号SOVG1を第1の時限協調時間T11(=500ms)だけ遅延する。ここで、第1の地絡過電圧継電装置51は、第1の接地形計器用変圧器21から入力される電源端零相電圧V0aの大きさが整定値以上になるとハイレベルの第1のOVG出力信号SOVG1を出力する。
論理積回路933は、リレー判定回路931の出力信号と第1の遅延回路9321によって第1の時限協調時間T11だけ遅延された第1のOVG出力信号SOVG1との論理積をとる。
第2の遅延回路9322は、論理積回路933の出力信号を第2の時限協調時間T21(=800ms)だけ遅延する。ここで、第2の時限協調時間T21は、自回線1Lの対向端背後の送電線に設置された他の地絡方向継電装置(不図示)との時限協調のために設定される。また、第1の電源端地絡方向継電装置9101の動作時限TDG1は第1の時限協調時間T11と第2の時限協調時間T21との合計時間(=500ms+800sm=1.3s)となる。
第3の遅延回路9323は、第1のOVG出力信号SOVG1をOVG遮断時間T31だけ遅延する。ここで、OVG遮断時間T31は、第1の地絡過電圧継電装置51の動作だけで第1の遮断器41を遮断させるために設定される。
論理和回路934は、第2の遅延回路9322の出力信号と第3の遅延回路9323の出力信号との論理和をとる。
第2の電源端地絡方向継電装置9102は、上述したトリップ信号発生回路930と同様の構成のトリップ信号発生回路(不図示)を具備する。
第1の対向端地絡方向継電装置9201は、第3のトリップ信号S3を発生するために、図23に示すようなトリップ信号発生回路940を具備する。
ここで、トリップ信号発生回路940は、リレー判定回路941と、第1乃至第3の遅延回路(タイマー)9421〜9423と、論理積回路943と、論理和回路944とを備える。
リレー判定回路941は、第3の零相電流I03の大きさと対向端零相電圧V0bおよび第3の零相電流I03の位相関係とに基づいて自回線1Lに発生した地絡事故を検出すると、ハイレベルの出力信号を出力する。
第1の遅延回路9421は、第2の地絡過電圧継電装置52から入力される第2のOVG出力信号SOVG2を第1の時限協調時間T13(=500ms)だけ遅延する。ここで、第2の地絡過電圧継電装置52は、第2の接地形計器用変圧器22から入力される対向端零相電圧V0bの大きさが整定値以上になるとハイレベルの第2のOVG出力信号SOVG2を出力する。
論理積回路943は、リレー判定回路941の出力信号と第1の遅延回路9421によって第1の時限協調時間T13だけ遅延された第2のOVG出力信号SOVG2との論理積をとる。
第2の遅延回路9422は、論理積回路943の出力信号を第2の時限協調時間T23(=400ms)だけ遅延する。ここで、図22に示した第2の遅延回路9322において設定された第2の時限協調時間T21(=800ms)は、時限協調のために、図23に示した第2の遅延回路9422において設定される第2の時限協調時間T23(=400ms)よりも大きくなるように設定される(T21>T23)。また、第1の対向端地絡方向継電装置9201の動作時限TDG3は第1の時限協調時間T13と第2の時限協調時間T23との合計時間(=500ms+400ms=900ms)となる。
第3の遅延回路9423は、第2のOVG出力信号SOVG2をOVG遮断時間T33だけ遅延する。ここで、OVG遮断時間T33は、第2の地絡過電圧継電装置52の動作だけで第3の遮断器43を遮断させるために設定される。
論理和回路944は、第2の遅延回路9422の出力信号と第3の遅延回路9423の出力信号との論理和をとる。
第2の対向端地絡方向継電装置9202は、上述したトリップ信号発生回路940と同様の構成のトリップ信号発生回路(不図示)を具備する。
自回線1Lの対向端側において図24に示す時刻t0に地絡事故が発生したとすると、事故電流(零相電流I0)は図21に破線の矢印で示すように事故点に向かって流れるため、零相電流(第1乃至第3の零相電流I01〜I03)の向きが動作方向(内部方向=+方向)と同じである第1の電源端地絡方向継電装置9101、第2の電源端地絡方向継電装置9102および第1の対向端地絡方向継電装置9201が動作する。
第1の対向端地絡方向継電装置9201の動作時限TDG3は第1および第2の電源端地絡方向継電装置9101,9102の動作時限TDG1,TDG2よりも短いため、まず、第1の対向端地絡方向継電装置9201から出力される第3のトリップ信号S3によって第3の遮断器43が遮断される。このとき、第3の遮断器43は、図24に示すように、事故発生時刻t0から第1の対向端地絡方向継電装置9201のリレー判定時間TRY(=50ms)および動作時限TDG3(=900ms)と第3の遮断器43の遮断器遮断時間TCB(=50ms)との合計時間(=50ms+900ms+50ms=1s)だけ経過した時刻t3に完全に遮断される。
時刻t3に第3の遮断器43が完全に遮断されると、事故電流は自回線1Lの電源端から事故点に向かってのみ流れるため(すなわち、図24に示すように第1の零相電流I01のみが流れるため)、第1の電源端地絡方向継電装置9101のみが動作を続けて、第1の電源端地絡方向継電装置9101から出力される第1のトリップ信号S1によって第1の遮断器41が遮断される。このとき、第1の遮断器41は、事故発生時刻t0から第1の電源端地絡方向継電装置9101のリレー判定時間TRY(=50ms)および動作時限TDG1(=1.3s)と第1の遮断器41の遮断器遮断時間TCB(=50ms)との合計時間(=50ms+1.3s+50ms=1.4s)だけ経過した時刻t5に完全に遮断される。
また、自回線1Lの電源端側において図25に示す時刻t0に地絡事故が発生したとすると、事故電流のほとんどは第1の零相変流器31を流れる第1の零相電流I01であるため、第1の電源端地絡方向継電装置9101が動作して、第1の電源端地絡方向継電装置9101から出力される第1のトリップ信号S1によって第1の遮断器41が遮断される。このとき、第1の遮断器41は、事故発生時刻t0から第1の電源端地絡方向継電装置9101のリレー判定時間TRY(=50ms)および動作時限TDG1(=1.3s)と第1の遮断器41の遮断器遮断時間TCB(=50ms)との合計時間(=50ms+1.3s+50ms=1.4s)だけ経過した時刻t5に完全に遮断される。
時刻t5に第1の遮断器41が完全に遮断されると事故電流は他回線2Lの電源端から対向端母線を介して自回線1Lの対向端に回り込んで事故点に流れるため、第2の電源端地絡方向継電装置9102および第1の対向端地絡方向継電装置9201が動作するが、動作時限TDG3が短い方である第1の対向端地絡方向継電装置9201から出力される第3のトリップ信号S3によって第3の遮断器43が遮断される。このとき、第3の遮断器43は、時刻t5から第1の対向端地絡方向継電装置9201のリレー判定時間TRY(=50ms)および第2の時限協調時間T23(=400ms)と第3の遮断器43の遮断器遮断時間TCB(=50ms)との合計時間(=50ms+400ms+50ms=500ms)だけ経過した時刻t8に完全に遮断される。
下記の特許文献1には、段階限時の距離継電方式により3端子系統送電線を保護する後備保護手段を備えた保護継電装置において事故遮断の選択性を確保し高速遮断ができるようにするために、対向母線を含み対向母線方向の事故を検出する第2段リレーの動作条件を伝送する手段と、対向端からの転送信号を受信する手段と、自端の保護リレーの動作を受信した転送信号が所定時間以上継続したことを条件に自端の遮断器に遮断指令を出力する手段とを備えた保護継電装置が開示されている。
特開平5−76134号公報
しかしながら、上述した第1の電源端地絡方向継電装置9101では、自回線1Lの対向端において地絡事故が発生した場合に第1の遮断器41は事故発生時刻t0からリレー判定時間TRY、動作時限TDG1および遮断器遮断時間TCBの合計時間だけ経過した時刻t5に遮断され(図24参照)、また、上述した第1の対向端地絡方向継電装置9201では、自回線1Lの電源端において地絡事故が発生した場合に第3の遮断器43は時刻t5からリレー判定時間TRY、第2の時限協調時間T23および遮断器遮断時間TCBの合計時間だけ経過した時刻t8に遮断されるため(図25参照)、地絡事故を除去するのに時間を要し、設備に悪影響を与えるという問題がある。
同様の問題は、短絡方向継電装置を電源端および対向端にそれぞれ設置して短絡事故から平衡2回線送電線を保護する場合、地絡過電流継電装置を電源端に設置するとともに地絡方向継電装置を対向端に設置して地絡事故から平衡2回線送電線を保護する場合や、過電流継電装置を電源端に設置するとともに短絡方向継電装置を対向端に設置して短絡事故から平衡2回線送電線を保護する場合にも生じる。
上記特許文献1記載の保護継電装置では、自回線1Lの第2の保護区間における事故発生時に事故除去時間を短縮することはできるが、対向端子(電源端または対向端)からの転送信号を継続して受信することにより自端子の遮断器を遮断する方式であるので、この転送信号の伝送路が必要であるという問題がある。
本発明の目的は、平衡2回線送電線に発生した地絡事故または短絡事故の事故除去時間を大幅に短縮することができる保護継電装置を提供することにある。
本発明の保護継電装置は、電源端側の母線と対向端側の対向端母線との間に敷設された自回線(1L)および他回線(2L)からなる平衡2回線送電線の該自回線の電源端側または対向端側に設置される保護継電装置(101;201;2101)であって、前記自回線および前記他回線のうちの一方である健全回線の遮断器情報、該自回線および該他回線のうちの他方である事故回線の事故電流の増加量、前記健全回線の事故電流の減少量、および該事故回線の事故電流の増加量と該健全回線の事故電流の減少量との比率に基づいて該事故回線における事故発生を検出すると、前記保護継電装置の動作時限よりも早くトリップ信号を発生する手段を具備することを特徴とする。
ここで、前記保護継電装置が、前記自回線における地絡事故の発生を検出すると、該自回線の電源端側または対向端側に設けられた自回線遮断器(41;43)を遮断するためのトリップ信号(S1;S3)を発生するトリップ信号発生回路(30;40;230)を具備し、該トリップ信号発生回路が、前記自回線の電源端側または対向端側を流れる自回線事故電流(I01;I03)の増加量(ΔI01;ΔI03)、前記他回線の電源端側または対向端側を流れる他回線事故電流(I02;I04)の減少量(ΔI02;ΔI04)、および該自回線事故電流の増加量と該他回線事故電流の減少量との比率(ΔI01/ΔI02;ΔI03/ΔI04)に基づいて該自回線における地絡事故を検出すると、前記保護継電装置の動作時限よりも早く前記トリップ信号を発生するトリップ信号発生手段を備えてもよい。
前記トリップ信号発生手段が、前記自回線事故電流の増加量が第1の閾値(K1;M1)以上であり、かつ、前記他回線事故電流の減少量が第2の閾値(K2;M2)以上であり、かつ、該自回線事故電流の増加量と該他回線事故電流の減少量との比率が第3の閾値(K3;M3)よりも大きく第4の閾値(K4;M4)よりも小さい場合に、前記保護継電装置の動作時限よりも早く前記トリップ信号を発生してもよい。
前記トリップ信号発生手段が、前記他回線の電源端側または対向端側に設置された隣回線遮断器(42;44)が遮断されていないことを条件に、前記保護継電装置の動作時限よりも早く前記トリップ信号を発生してもよい。
前記トリップ信号発生手段が、前記自回線事故電流の増加量、前記他回線事故電流の減少量および該自回線事故電流の増加量と該他回線事故電流の減少量との比率を求め、該求めた自回線事故電流の増加量が前記第1の閾値以上であり、かつ、該求めた他回線事故電流の減少量が前記第2の閾値以上であり、かつ、該求めた自回線事故電流の増加量と他回線事故電流の減少量との比率が前記第3の閾値よりも大きく前記第4の閾値よりも小さいと出力信号を出力する自回線事故判定回路(35;45;235)と、該自回線事故判定回路の出力信号と前記隣回線遮断器から入力される接点信号(SC2;SC4)との論理積をとる論理積回路(333;433;2333)とを備えてもよい。
前記第1および第2の閾値が、前記自回線事故電流および前記他回線事故電流の検出可能な最小値の3倍以上の値であり、前記第3のおよび第4の閾値が、前記自回線の対向端の変流器誤差、リレー誤差および線路定数誤差を含む誤差に応じて定められてもよい。
前記自回事故電流が、前記自回線に地絡事故が発生したときに該自回線の電源端側または対向端を流れる零相電流(I01;I03)であり、前記他回事故電流が、前記自回線に地絡事故が発生したときに該他回線の電源端側または対向端を流れる他の零相電流(I02;I04)であってもよい。
前記自回線の対向端側に設置される前記保護継電装置(201)の前記トリップ信号発生手段が、前記他回線の対向端側に設置される前記他の保護継電装置(202)が不動作であることを条件に、前記保護継電装置の動作時限よりも早く前記トリップ信号を発生してもよい。
前記他回線の電源端または対向端側に設置される他の保護継電装置(102;202;2102)が、前記保護継電装置と同じ構成を有しかつ一体に構成されていてもよい。
また、本発明の保護継電装置は、電源端側の母線と対向端側の対向端母線との間に敷設された自回線(1L)および他回線(2L)からなる平衡2回線送電線の該自回線の電源端側または対向端側に設置される保護継電装置(1101;1201;3101)であって、前記自回線および前記他回線のうちの一方である健全回線の遮断器情報、該自回線および該他回線のうちの他方である事故回線の事故電流の増加量、および前記健全回線の事故電流の減少量に基づいて該事故回線における事故発生を検出すると、トリップ信号を瞬時に発生する手段を具備することを特徴とする。
ここで、前記保護継電装置が、前記自回線における短絡事故の発生を検出すると、該自回線の電源端側に設けられた自回線遮断器(41;43)を遮断するためのトリップ信号(S1;S3)を発生するトリップ信号発生回路(130;140;330)を具備し、該トリップ信号発生回路が、前記自回線の電源端側を流れる自回線事故電流(I1;I3)の増加量(ΔI1;ΔI3)および前記他回線の電源端側を流れる他回線事故電流(I2;I4)の減少量(ΔI2;ΔI4)に基づいて該自回線における短絡事故を検出すると、前記トリップ信号を瞬時に発生するトリップ信号発生手段を備えてもよい。
前記トリップ信号発生手段が、前記自回線事故電流の増加量が第1の閾値(L1;N1)以上であり、かつ、前記他回線事故電流の減少量が第2の閾値(L2;N2)以上である場合に、前記トリップ信号を瞬時に発生してもよい。
前記トリップ信号発生手段が、前記他回線の電源端側に設置された隣回線遮断器(42;44)が遮断されていないことを条件に、前記トリップ信号を瞬時に発生してもよい。
前記トリップ信号発生手段が、前記自回線事故電流の増加量および前記他回線事故電流の減少量を求め、該求めた自回線事故電流の増加量が前記第1の閾値以上であり、かつ、該求めた他回線事故電流の減少量が前記第2の閾値以上であると出力信号を出力する自回線事故判定回路(135;145;335)と、該自回線事故判定回路の出力信号と前記隣回線遮断器から入力される接点信号(SC2;SC4)との論理積をとる論理積回路(133;143;333)とを備えてもよい。
前記第1および第2の閾値が、前記自回線事故電流および前記他回線事故電流の検出可能な最小値の3倍以上の値であってもよい。
前記自回事故電流が、前記自回線に短絡事故が発生したときに該自回線の電源端側または対向端を流れる短絡電流(I1;I3)であり、前記他回事故電流が、前記自回線に短絡事故が発生したときに該他回線の電源端側または対向端を流れる他の短絡電流(I2;I4)であってもよい。
前記自回線の対向端側に設置される前記保護継電装置(1201)の前記トリップ信号発生手段が、前記他回線の対向端側に設置される前記他の保護継電装置(1202)が不動作であることを条件に、前記トリップ信号を瞬時に発生してもよい。
前記他回線の電源端または対向端側に設置される他の保護継電装置(1102;1202;3102)が、前記保護継電装置と同じ構成を有しかつ一体に構成されていてもよい。
本発明の保護継電装置は、以下に示す効果を奏する。
(1)健全回線の遮断器情報、事故回線の事故電流の増加量、健全回線の事故電流の減少量、および事故回線の事故電流の増加量と健全回線の事故電流の減少量との比率に基づいて事故回線における事故発生を検出すると動作時限よりも早くトリップ信号を発生し、または、健全回線の遮断器情報、事故回線の事故電流の増加量および健全回線の事故電流の減少量に基づいて事故回線における事故発生を検出するとトリップ信号を瞬時に発生するので、事故除去時間を大幅に短縮することができる。
(2)事故継続時間も大幅に短縮するので、事故時の設備への悪影響を低減することができる。
(3)主保護継電装置を省略することも可能であるため、設備への投資コストの低減も図れる。
上記の目的を、健全回線の遮断器情報、事故回線の事故電流の増加量、健全回線の事故電流の減少量、および事故回線の事故電流の増加量と健全回線の事故電流の減少量との比率に基づいて事故回線における事故発生を検出すると動作時限よりも早くトリップ信号を発生するか、健全回線の遮断器情報、事故回線の事故電流の増加量および健全回線の事故電流の減少量に基づいて事故回線における事故発生を検出するとトリップ信号を瞬時に発生することにより実現した。
以下、本発明の保護継電装置の実施例について、図面を参照して説明する。
本発明の第1の実施例による保護継電装置は、平衡2回線送電線の電源端側または対向に設置される地絡方向継電装置であって、地絡事故発生時には平衡2回線送電線の一方の端子(電源端または対向端)側では他方の端子(対向端または電源端)側に設置された遮断器の遮断時に事故回線の事故電流(零相電流)の増加量と健全回線の事故電流(零相電流)の減少量とが同じになることに着目し、健全回線の遮断器情報、事故回線の事故電流の増加量、健全回線の事故電流の減少量、および事故回線の事故電流の増加量と健全回線の事故電流の減少量との比率に基づいて事故回線における事故発生を検出すると、地絡方向継電装置の動作時限よりも早くトリップ信号を発生することを特徴とする。
したがって、図1に示す第1の電源端地絡方向継電装置101(本発明の第1の実施例による保護継電装置)は、健全回線である他回線2Lの電源端側に設置された第2の遮断器42が遮断されておらず、かつ、次式に示す自回線事故判定条件が満たされると、第1の電源端地絡方向継電装置101の動作時限TDG1(=1.3s)よりも短くなるように整定された自回線事故判定時誤動作防止時間T41(=100ms)で第1のトリップ信号S1を発生する機能を備えている点で、図21に示した従来の第1の電源端地絡方向継電装置9101と相違する。(=1.3s)
ΔI01≧K1
ΔI02≧K2
3<ΔI01/ΔI02<K4
ここで、第1および第2の閾値K1,K2は、第1および第2の零相電流I01,I02の検出可能な最小値の3倍以上とする。たとえば、第1および第2の零相電流I01,I02の検出可能な最小値が2.5mAの場合には、7.5mAとする。
また、第3および第4の閾値K3,K4は、自回線1Lの対向端の変流器誤差(CT誤差)、リレー誤差および線路定数誤差などの誤差に応じて定められる。たとえば、この誤差を±10%とする場合には、K3=0.9/1.1=0.81およびK4=1.1/0.9=1.23とし、この誤差を±15%とする場合には、K3=0.85/1.15=0.73およびK4=1.15/0.85=1.36とする。
すなわち、第1の電源端地絡方向継電装置101は、第2の遮断器42から入力される第2の接点信号SC2がハイレベルであり(第2の遮断器42が遮断されていないことを示す。)、かつ、第1の零相電流I01の増加量ΔI01が第1の閾値K1以上であり、かつ、第2の零相電流I02の減少量ΔI02が第2の閾値K2以上であり、かつ、第1の零相電流I01の増加量ΔI01を第2の零相電流I02の減少量ΔI02で割った値ΔI01/ΔI02(比率I01/ΔI02)が第3の閾値K3よりも大きくて第4の閾値K4よりも小さいことを条件に、自回線事故判定時誤動作防止時間T41で第1のトリップ信号S1を発生する。
なお、自回線事故判定時誤動作防止時間T41は、自回線事故判定時の誤動作防止のために設定され、100ms程度とされる。
これを実現するために、第1の電源端地絡方向継電装置101は、図22に示したトリップ信号発生回路920の代わりに、図2に示すトリップ信号発生回路30を具備する。
トリップ信号発生回路30は、図2に示すように、リレー判定回路31と、第1乃至第4の遅延回路(タイマー)321〜324と、第1乃至第4の論理積回路331〜334と、論理和回路34と、自回線事故判定回路35とを備える。
リレー判定回路31は、図22に示したリレー判定回路931と同様に、第1の零相電流I01の大きさと電源端零相電圧V0aおよび第1の零相電流I01の位相関係とに基づいて自回線1Lに発生した地絡事故を検出すると、ハイレベルの出力信号を出力する。
第1の遅延回路321は、図22に示した第1の遅延回路9321と同様に、第1のOVG出力信号SOVG1を第1の時限協調時間T11だけ遅延する。
第1の論理積回路331は、図22に示した論理積回路933と同様に、リレー判定回路31の出力信号と第1の遅延回路321によって第1の時限協調時間T11だけ遅延された第1のOVG出力信号SOVG1との論理積をとる。
第2の遅延回路322は、図22に示した第2の遅延回路9322と同様に、第1の論理積回路331の出力信号を第2の時限協調時間T21だけ遅延する。
第3の遅延回路323は、図22に示した第3の遅延回路9323と同様に、第1のOVG出力信号SOVG1をOVG遮断時間T31だけ遅延する。
第2の論理積回路332は、リレー判定回路31が地絡事故を検出していないとき(第1の電源端地絡方向継電装置101が動作していないとき)に第1のトリップ信号S1が誤って自回線事故判定時誤動作防止時間T41で出力されないようにするためのものであり、リレー判定回路31の出力信号と第1のOVG出力信号SOVG1との論理積をとる。
自回線事故判定回路35は、第1の零相電流I01の増加量ΔI01、第2の零相電流I02の減少量ΔI02および第1の零相電流I01の増加量ΔI01と第2の零相電流I02の減少量ΔI02との比率ΔI01/ΔI02を求め、求めた第1の零相電流I01の増加量ΔI01が第1の閾値K1以上で、かつ、求めた第2の零相電流I02の減少量ΔI02が第2の閾値K2以上で、かつ、求めた比率ΔI01/ΔI02が第3の閾値K3よりも大きくて第4の閾値K4よりも小さいとハイレベルの出力信号を出力する。
第3の論理積回路333は、自回線事故判定回路35の出力信号と第2の接点信号SC2との論理積をとる。
第4の論理積回路334は、第2の論理積回路332の出力信号と第3の論理積回路333の出力信号との論理積をとる。
第4の遅延回路324は、第4の論理積回路334の出力信号を自回線事故判定時誤動作防止時間T41だけ遅延する。
論理和回路34は、第2の遅延回路322の出力信号と第3の遅延回路323の出力信号と第4の遅延回路324の出力信号との論理和をとる。
図1に示す第1の対向端地絡方向継電装置201(本発明の第1の実施例による保護継電装置)は、健全回線である他回線2Lの対向端側に設置された第4の遮断器44が遮断されておらず、かつ、次式に示す自回線事故判定条件が満たされると、第1の対向端地絡方向継電装置201の動作時限TDG3(=900ms)よりも短くなるように整定された自回線事故判定時誤動作防止時間T43(=100ms)で第3のトリップ信号S3を発生する機能を備えている点で、図21に示した従来の第1の対向端地絡方向継電装置9201と相違する。
ΔI03≧K1
ΔI04≧K2
3<ΔI03/ΔI04<K4
すなわち、第1の対向端地絡方向継電装置201は、第4の遮断器44から入力される第4の接点信号SC4がハイレベルであり(第4の遮断器44が遮断されていないことを示す。)、かつ、第3の零相電流I03の増加量ΔI03が第1の閾値K1以上であり、かつ、第4の零相電流I04の減少量ΔI04が第2の閾値K2以上であり、かつ、第3の零相電流I03の増加量ΔI03を第4の零相電流I04の減少量ΔI04で割った値ΔI03/ΔI04(比率I03/ΔI04)が第3の閾値K3よりも大きくて第4の閾値K4よりも小さいことを条件に、自回線事故判定時誤動作防止時間T43で第3のトリップ信号S3を発生する。
なお、自回線事故判定時誤動作防止時間T43は、自回線事故判定時の誤動作防止のために設定され、100ms程度とされる。
これを実現するために、第1の対向端地絡方向継電装置201は、図23に示したトリップ信号発生回路940の代わりに、図3に示すトリップ信号発生回路40を具備する。
トリップ信号発生回路40は、図3に示すように、リレー判定回路41と、第1乃至第4の遅延回路(タイマー)421〜424と、第1乃至第4の論理積回路431〜434と、論理和回路44と、自回線事故判定回路45とを備える。
リレー判定回路41は、図23に示したリレー判定回路941と同様に、第3の零相電流I03の大きさと対向端零相電圧V0bおよび第3の零相電流I03の位相関係とに基づいて自回線1Lに発生した地絡事故を検出すると、ハイレベルの出力信号を出力する。
第1の遅延回路421は、図23に示した第1の遅延回路9421と同様に、第2のOVG出力信号SOVG2を第1の時限協調時間T13だけ遅延する。
第1の論理積回路431は、図23に示した論理積回路943と同様に、リレー判定回路41の出力信号と第1の遅延回路421によって第1の時限協調時間T13だけ遅延された第2のOVG出力信号SOVG2との論理積をとる。
第2の遅延回路422は、図23に示した第2の遅延回路9422と同様に、第1の論理積回路431の出力信号を第2の時限協調時間T23だけ遅延する。
第3の遅延回路423は、図23に示した第3の遅延回路9423と同様に、第2のOVG出力信号SOVG2をOVG遮断時間T33だけ遅延する。
第2の論理積回路432は、リレー判定回路41が地絡事故を検出していないとき(第1の対向端地絡方向継電装置201が動作していないとき)に第3のトリップ信号S3が誤って自回線事故判定時誤動作防止時間T43で出力されないようにするためのものであり、リレー判定回路41の出力信号と第2のOVG出力信号SOVG2との論理積をとる。
自回線事故判定回路45は、第3の零相電流I03の増加量ΔI03、第4の零相電流I04の減少量ΔI04および第3の零相電流I03の増加量ΔI03と第4の零相電流I04の減少量ΔI04との比率ΔI03/ΔI04を求め、求めた第3の零相電流I03の増加量ΔI03が第1の閾値K1以上で、かつ、求めた第4の零相電流I04の減少量ΔI04が第2の閾値K2以上で、かつ、求めた比率ΔI03/ΔI04が第3の閾値K3よりも大きくて第4の閾値K4よりも小さいとハイレベルの出力信号を出力する。
第3の論理積回路433は、自回線事故判定回路45の出力信号と第4の接点信号SC4との論理積をとる。
第4の論理積回路434は、第2の論理積回路432の出力信号と第3の論理積回路433の出力信号との論理積をとる。
第4の遅延回路424は、第4の論理積回路434の出力信号を自回線事故判定時誤動作防止時間T43だけ遅延する。
論理和回路44は、第2の遅延回路422の出力信号と第3の遅延回路423の出力信号と第4の遅延回路424の出力信号との論理和をとる。
次に、図1に示す自回線1Lにおいて地絡事故が発生した場合の第1の電源端地絡方向継電装置101および第1の対向端地絡方向継電装置201の動作について説明する。
まず、自回線1Lの対向端側において地絡事故が発生した場合について、図4を参照して説明する。
自回線1Lの対向端側において時刻t0に地絡事故が発生すると、零相電流(第1乃至第3の零相電流I01〜I03)の向きが動作方向(内部方向=+方向)と同じである第1の電源端地絡方向継電装置101、第2の電源端地絡方向継電装置102および第1の対向端地絡方向継電装置201が動作する(図21参照)。
第1の対向端地絡方向継電装置201の動作時限TDG3は第1および第2の電源端地絡方向継電装置101,102の動作時限TDG1,TDG2よりも短いため、まず、第1の対向端地絡方向継電装置201が具備するトリップ信号発生回路40(図3参照)のリレー判定回路41が、対向端零相電圧V0bと第3の零相電流I03とに基づいて自回線1Lにおいて地絡事故が発生したと判定して、ハイレベルの出力信号を出力する。第2の地絡過電圧継電装置52は、対向端零相電圧V0bの大きさが整定値以上であると、ハイレベルの第2のOVG出力信号SOVG2を出力する。ハイレベルの第2のOVG出力信号SOVG2は、第1の遅延回路421によって第1の時限協調時間T13だけ遅延されたのちに第1の論理積回路431に入力される。
これにより、第1の論理積回路431の出力信号は、第1の時限協調時間T13経過後にロウレベルからハイレベルになる。第1の論理積回路431のハイレベルの出力信号は、第2の遅延回路422によって第2の時限協調時間T23だけ遅延されたのちに論理和回路44に入力される。これにより、論理和回路44の出力信号は、ロウレベルからハイレベルになる。
その結果、第3のトリップ信号S3が第1の対向端地絡方向継電装置201から出力されて、第3の遮断器43が事故発生時刻t0から第1の対向端地絡方向継電装置201のリレー判定時間TRY(=50ms)および動作時限TDG3(=900ms)と第3の遮断器43の遮断器遮断時間TCB(=50ms)の合計時間(=50ms+900ms+50ms=1s)だけ経過した時刻t3に完全に遮断される。
また、第1の電源端地絡方向継電装置101が具備するトリップ信号発生回路30(図2参照)のリレー判定回路31は、電源端零相電圧V0aと第1の零相電流I01とに基づいて自回線1Lにおいて地絡事故が発生したと判定して、ハイレベルの出力信号を出力する。第1の地絡過電圧継電装置51は、電源端零相電圧V0aの大きさが整定値以上であると、ハイレベルの第1のOVG出力信号SOVG1を出力する。これにより、第2の論理積回路332の出力信号は、ロウレベルからハイレベルになる。
しかしながら、地絡事故が発生すると第1および第2の零相電流I01,I02は共に増加するため、自回線事故判定回路35の出力信号はロウレベルのままとなる。したがって、第3の論理積回路333の出力信号もロウレベルのままとなるため、第1のトリップ信号S1がトリップ信号発生回路30から出力されることはない。
時刻t3において第3の遮断器43が完全に遮断されると、事故電流は自回線1Lの電源端から事故点に向かってのみ流れるため、第1の零相変流器31を流れる第1の零相電流I01は増加し、第2の零相変流器32を流れる第2の零相電流I02は減少する。このとき、第1の零相電流I01の増加量ΔI01は第2の零相電流I02の減少量ΔI02とほぼ等しくなる。
その結果、第1の零相電流I01の増加量ΔI01が第1の閾値K1(=7.5mA)以上であり、かつ、第2の零相電流I02の減少量ΔI02が第2の閾値K2(=7.5mA)以上であり、かつ、第1の零相電流I01の増加量ΔI01と第2の零相電流I02の減少量ΔI02との比率ΔI01/ΔI02が第3の閾値K3(=0.81)よりも大きく第4の閾値K4(=1.23)よりも小さいと、第1の電源端地絡方向継電装置101が具備するトリップ信号発生回路30の自回線事故判定回路25は、この地絡事故により第3の遮断器43が遮断されたと判定して、ハイレベルの出力信号を出力する。これにより、第2の遮断器42から入力される第2の接点信号SC2がハイレベルであると、第3の論理積回路333の出力信号はロウレベルからハイレベルになる。
その結果、第4の論理積回路334に第2の論理積回路332のハイレベルの出力信号と第3の論理積回路333のハイレベルの出力信号とが入力されるため、第4の論理積回路334の出力信号はロウレベルからハイレベルになる。第4の論理積回路334のハイレベルの出力信号は、第4の遅延回路324によって自回線事故判定時誤動作防止時間T41だけ遅延されたのちに論理和回路34に入力される。これにより、第1のトリップ信号S1が、時刻t3から第1の電源端地絡方向継電装置101のリレー判定時間TRY(=50ms)および自回線事故判定時誤動作防止時間T41(=100ms)だけ経過した時刻t3aに、第1の遮断器41に出力される。
その結果、第1の遮断器41は、時刻t3aから遮断器遮断時間TCB(=50ms)だけ経過した時刻t3bに完全に遮断されるので、図4に破線で示した従来の第1の電源端地絡方向継電装置9101を用いた場合(図24参照)と比べて、第1の遮断器41をt5−t3b=TDG1−TDG3−TRY−TCB−T41(=1.3s−900ms−50ms−50ms−100ms=200ms)だけ早く遮断することができる。
なお、短絡優先を考慮する場合には、母線に接続された不足電圧継電装置(不図示)の不動作条件を付加してもよい。この場合には、図2に示したトリップ信号発生回路30に、不足電圧継電装置の動作を示すハイレベルの不足電圧継電装置動作信号の極性を反転させるインバータ回路を追加し、このインバータ回路の出力信号を第3の論理積回路333に入力させて、自回線事故判定回路35の出力信号と第2の接点信号SC2とこのインバータ回路の出力信号との論理積を第3の論理積回路333にとらせるようにすればよい。
また、第2の電源端地絡方向継電装置102も第1の電源端地絡方向継電装置101と同様に構成することにより、他回線2Lの対向端側において地絡事故が発生した場合に、従来の第2の電源端地絡方向継電装置9102と比べて第2の遮断器42をTDG2−TDG4−TRY−TCB−T42だけ早く遮断することができる。ここで、TDG2は第2の電源端地絡方向継電装置102の動作時限であり、TDG4は第2の対向端地絡方向継電装置202の動作時限であり、T42は第2の電源端地絡方向継電装置102の動作時限TDG2よりも短くなるように整定された自回線事故判定時誤動作防止時間である。
次に、自回線1Lの電源端側において地絡事故が発生した場合について、図5を参照して説明する。
自回線1Lの電源端側において時刻t0に地絡事故が発生すると、事故電流のほとんどは第1の零相変流器31を流れる第1の零相電流I01になるため、第1の電源端地絡方向継電装置101が動作する。
その結果、第1の電源端地絡方向継電装置101が具備するトリップ信号発生回路30のリレー判定回路31は、電源端零相電圧V0aと第1の零相電流I01とに基づいて自回線1Lにおいて地絡事故が発生したと判定して、ハイレベルの出力信号を出力する。第1の地絡過電圧継電装置51は、電源端零相電圧V0aの大きさが整定値以上であると、ハイレベルの第1のOVG出力信号SOVG1を出力する。ハイレベルの第1のOVG出力信号SOVG1は、第1の遅延回路321によって第1の時限協調時間T11だけ遅延されたのちに第1の論理積回路331に入力される。
これにより、第1の論理積回路331の出力信号は、第1の時限協調時間T11経過後にロウレベルからハイレベルになる。第1の論理積回路331のハイレベルの出力信号は、第2の遅延回路322によって第2の時限協調時間T21だけ遅延されたのちに論理和回路34に入力される。これにより、論理和回路34の出力信号は、ロウレベルからハイレベルになる。
その結果、第1の遮断器41は、事故発生時刻t0から第1の電源端地絡方向継電装置101のリレー判定時間TRY(=50ms)および動作時限TDG1(=1.3s)だけ経過した時刻t4に第1の電源端地絡方向継電装置101から出力される第1のトリップ信号S1によって遮断されるが、第1の遮断器41が完全に遮断されるのは、時刻t4から遮断器遮断時間TCB(=50ms)だけ経過した時刻t5となる。
時刻t5において第1の遮断器41が完全に遮断されると事故電流は他回線2Lの電源端から対向端母線を介して自回線1Lの対向端に回り込んで事故点に流れるため、第3の零相変流器33を流れる第3の零相電流I03は増加するが、第4の零相変流器34を流れる第4の零相電流I04は減少する(第1乃至第4の零相電流I01〜I04は内部方向を正の値とするため、第4の零相電流I04は外部方向に流れるので負の値となる結果として減少したことになる。)。このとき、第3の零相電流I03の増加量ΔI03は第4の零相電流I04の減少量ΔI04とほぼ等しくなる。
その結果、第3の零相電流I03の増加量ΔI03が第1の閾値K1(=7.5mA)以上であり、かつ、第4の零相電流I04の減少量ΔI04が第2の閾値K2(=7.5mA)以上であり、かつ、第3の零相電流I03の増加量ΔI03と第4の零相電流I04の減少量ΔI04との比率ΔI03/ΔI04が第3の閾値K3(=0.81)よりも大きく第4の閾値K4(=1.23)よりも小さいと、第1の対向端地絡方向継電器201が具備するトリップ信号発生回路40の自回線事故判定回路45は、この地絡事故により第1の遮断器41が遮断されたと判定して、ハイレベルの出力信号を出力する。これにより、第4の遮断器44から入力される第4の接点信号SC4がハイレベルであると、第3の論理積回路433の出力信号はロウレベルからハイレベルになる。
その結果、第4の論理積回路434に第2の論理積回路432のハイレベルの出力信号と第3の論理積回路433のハイレベルの出力信号とが入力されるため、第4の論理積回路434の出力信号はロウレベルからハイレベルになる。第4の論理積回路434のハイレベルの出力信号は、第4の遅延回路424によって自回線事故判定時誤動作防止時間T43(=100ms)だけ遅延されたのちに論理和回路44に入力される。これにより、第3のトリップ信号S3が、時刻t5から第1の対向端地絡方向継電装置201のリレー判定時間TRY(=50ms)および自回線事故判定時誤動作防止時間T43(=100ms)だけ経過した時刻t6aに、第3の遮断器43に出力される。
その結果、第3の遮断器43は、時刻t6aから第3の遮断器43の遮断器遮断時間TCB(=50ms)だけ経過した時刻t6bに完全に遮断されるので、図5に破線で示した従来の第1の対向端地絡方向継電装置9201を用いた場合(図25参照)と比べて、第3の遮断器43をt8−t6b=T23−T43(=400ms−100ms=300ms)だけ早く遮断することができる。
なお、短絡優先を考慮する場合には、対向端母線に接続された他の不足電圧継電装置(不図示)の不動作条件を付加してもよい。この場合には、図4に示したトリップ信号発生回路40に、他の不足電圧継電装置の動作を示すハイレベルの他の不足電圧継電装置動作信号の極性を反転させるインバータ回路を追加し、このインバータ回路の出力信号を第3の論理積回路433に入力させて、自回線事故判定回路45の出力信号と第4の接点信号SC4とこのインバータ回路の出力信号との論理積を第3の論理積回路433にとらせるようにすればよい。
また、隣回線である他回線2Lの対向端側に設置された第2の対向端地絡方向継電装置202が不動作であることを条件に付加してもよい。この場合には、図3に示したトリップ信号発生回路40に、第2の対向端地絡方向継電装置202が具備するトリップ信号発生回路(トリップ信号発生回路40参照)のリレー判定回路の出力信号の極性を反転するインバータ回路を追加し、このインバータ回路の出力信号を第3の論理積回路433に入力させて、自回線事故判定回路45の出力信号と第4の接点信号SC4とこのインバータ回路の出力信号との論理積を第3の論理積回路433にとらせるようにすればよい。
さらに、第2の対向端地絡方向継電装置202も第1の対向端地絡方向継電装置201と同様に構成することにより、他回線2Lの電源端側において地絡事故が発生した場合に、従来の第2の対向端地絡方向継電装置9202と比べて第4の遮断器44をT24−T44だけ早く遮断することができる。ここで、T44は第2の対向端地絡方向継電装置202の動作時限TDG4よりも短くなるように整定された自回線事故判定時誤動作防止時間である。
さらにまた、対向端母線の背後に地絡電源容量がないか非常に小さい電力系統では、自回線1Lに地絡事故が発生した場合には、図6に示すように地絡事故発生時に第3の零相電流I03が増加し第4の零相電流I04が減少する。このとき、第3の零相電流I03の増加量ΔI03は第4の零相電流I04の減少量ΔI04とほぼ等しくなる。
その結果、第3の零相電流I03の増加量ΔI03が第1の閾値K1(=7.5mA)以上であり、かつ、第4の零相電流I04の減少量ΔI04が第2の閾値K2(=7.5mA)以上であり、かつ、第3の零相電流I03の増加量ΔI03と第4の零相電流I04の減少量ΔI04との比率ΔI03/ΔI04が第3の閾値K3(=0.81)よりも大きく第4の閾値K4(=1.23)よりも小さいと、第1の対向端地絡方向継電器201が具備するトリップ信号発生回路40の自回線事故判定回路45はハイレベルの出力信号を出力する。これにより、第4の遮断器44から入力される第4の接点信号SC4がハイレベルであると、第3のトリップ信号S3が、時刻t0から第1の対向端地絡方向継電装置201のリレー判定時間TRY(=50ms)および自回線事故判定時誤動作防止時間T43(=100ms)だけ経過した時刻t1aに、第3の遮断器43に出力される。
その結果、第3の遮断器43は、時刻t1aから第3の遮断器43の遮断器遮断時間TCB(=50ms)だけ経過した時刻t1bに完全に遮断されるので、図6に破線で示した従来の第1の対向端地絡方向継電装置9201を用いた場合(図25参照)と比べて、第3の遮断器43をt8−t1b=TDG1+TRY+TCB+T23−T43(=1.3s+50ms+50ms+400ms−100ms=1.7s)だけ早く遮断することができる。
以上の説明では、第1および第2の電源端地絡方向継電装置101,102を個々に構成したが、一体に構成してもよい。第1および第2の対向端地絡方向継電装置201,202についても同様である。
次に、本発明の第2の実施例による保護継電装置について、図7乃至図132を参照して説明する。
本発明の第2の実施例による保護継電装置は、平衡2回線送電線の電源端側または対向に設置される短絡方向継電装置であって、短絡事故発生時には平衡2回線送電線の一方の端子(電源端または対向端)側では他方の端子(対向端または電源端)側に設置された遮断器の遮断時に事故回線の事故電流(短絡電流)の増加量と健全回線の事故電流(短絡電流)の減少量とが同じになることに着目し、健全回線の遮断器情報、事故回線の事故電流の増加量および健全回線の事故電流の減少量に基づいて事故回線における事故発生を検出するとトリップ信号を瞬時に発生することを特徴とする。
したがって、図7に示す第1の電源端短絡方向継電装置1101(本発明の第2の実施例による保護継電装置)は、健全回線である他回線2Lの電源端側に設置された第2の遮断器42が遮断されておらず、かつ、次式に示す自回線事故判定条件が満たされると、第1のトリップ信号S1を瞬時に発生する機能を備えている点を特徴とする。
ΔI1≧L1
ΔI2≧L2
ここで、第1および第2の閾値L1,L2は、第1および第2の短絡電流I1,I2の検出可能な最小値の3倍以上とする。たとえば、第1および第2の短絡電流I1,I2の検出可能な最小値が40mAの場合には、120mAとする。
すなわち、第1の電源端短絡方向継電装置1101は、第2の遮断器42から入力される第2の接点信号SC2がハイレベルであり(第2の遮断器42が遮断されていないことを示す。)、かつ、第1の計器用変流器1031から入力される第1の短絡電流I1の増加量ΔI1が第1の閾値L1以上であり、かつ、第2の計器用変流器1032から入力される第2の短絡電流I2の減少量ΔI2が第2の閾値L2以上であることを条件に、第1のトリップ信号S1を瞬時に発生する。
これを実現するために、第1の電源端短絡方向継電装置1101は、図8に示すトリップ信号発生回路130を具備する。
トリップ信号発生回路130は、図8に示すように、リレー判定回路131と、遅延回路(タイマー)132と、論理積回路133と、自回線事故判定回路135とを備える。
リレー判定回路131は、第1の短絡電流I1の大きさと第1の線間電圧V1および第1の短絡電流I1の位相関係とに基づいて自回線1Lの瞬時要素動作範囲内に発生した短絡事故を検出するとハイレベルの第1の瞬時要素トリップ信号STa1を出力するとともに、第1の短絡電流I1の大きさと第1の線間電圧V1および第1の短絡電流I1の位相関係とに基づいて自回線1Lの限時要素動作範囲内に発生した短絡事故を検出するとハイレベルの第1の限時遮断出力信号を遅延回路132および論理積回路133に出力する。ここで、第1の線間電圧V1は、母線に設けられた第1の計器用変圧器1021から入力される。
遅延回路132は、リレー判定回路131の第1の限時遮断出力信号を時限協調時間T1だけ遅延して第1の限時要素トリップ信号STb1を生成する。ここで、時限協調時間T1は、自回線1Lの対向端背後の送電線に設置された他の短絡方向継電装置(不図示)との時限協調のために設定される。
自回線事故判定回路135は、第1の短絡電流I1の増加量ΔI1および第2の短絡電流I2の減少量ΔI2を求め、求めた第1の短絡電流I1の増加量ΔI1が第1の閾値L1以上であり、かつ、求めた第2の短絡電流I2の減少量ΔI2が第2の閾値L2以上であると、ハイレベルの出力信号を出力する。
論理積回路133は、リレー判定回路131の第1の限時遮断出力信号と自回線事故判定回路135の出力信号と第2の接点信号SC2との論理積をとって第1の瞬時トリップ信号STc1を生成する。ここで、リレー判定回路131の第1の限時遮断出力信号を論理積回路133に入力しているのは、リレー判定回路131が短絡事故を検出していないとき(第1の電源端短絡方向継電装置1101が動作していないとき)に第1のトリップ信号S1が誤って瞬時に出力されないようにするためである。
第1の瞬時要素トリップ信号STa1、第1の限時要素トリップ信号STb1および第1の瞬時トリップ信号STc1は、第1のトリップ信号S1として第1の遮断器41に出力される。
図7に示す第1の対向端短絡方向継電装置1201(本発明の第2の実施例による保護継電装置)は、健全回線である他回線2Lの対向端側に設置された第4の遮断器44が遮断されておらず、かつ、次式に示す自回線事故判定条件が満たされると、第3のトリップ信号S3を瞬時に発生する機能を備えている点を特徴とする。
ΔI3≧L1
ΔI4≧L2
すなわち、第1の対向端短絡方向継電装置1201は、第4の遮断器44から入力される第4の接点信号SC4がハイレベルであり(第4の遮断器44が遮断されていないことを示す。)、かつ、第3の計器用変流器1033から入力される第3の短絡電流I3の増加量ΔI3が第1の閾値L1以上であり、かつ、第4の計器用変流器1034から入力される第4の短絡電流I4の減少量ΔI4が第2の閾値L2以上であることを条件に、第3のトリップ信号S3を瞬時に発生する。
これを実現するために、第1の対向端短絡方向継電装置1201は、図9に示すトリップ信号発生回路140を具備する。
トリップ信号発生回路140は、図9に示すように、リレー判定回路141と、遅延回路(タイマー)142と、論理積回路143と、自回線事故判定回路145とを備える。
リレー判定回路141は、第3の短絡電流I3の大きさと第2の線間電圧V2および第3の短絡電流I3の位相関係とに基づいて自回線1Lの瞬時要素動作範囲内に発生した短絡事故を検出するとハイレベルの第3の瞬時要素トリップ信号STa3を出力するとともに、第3の短絡電流I3の大きさと第2の線間電圧V2および第3の短絡電流I3の位相関係とに基づいて自回線1Lの限時要素動作範囲内に発生した短絡事故を検出するとハイレベルの第3の限時遮断出力信号を遅延回路142および論理積回路143に出力する。ここで、第2の線間電圧V2は、対向端母線に設けられた第2の計器用変圧器1022から入力される。
遅延回路142は、リレー判定回路141の第3の限時遮断出力信号を時限協調時間T3だけ遅延して第3の限時要素トリップ信号STb3を生成する。ここで、図8に示した遅延回路132において設定された時限協調時間T1(=800ms)は、時限協調のために、時限協調時間T3(=400ms)よりも大きくなるように設定される(T1>T3)。
自回線事故判定回路145は、第3の短絡電流I3の増加量ΔI3および第4の短絡電流I4の減少量ΔI4を求め、求めた第3の短絡電流I3の増加量ΔI3が第1の閾値L1以上であり、かつ、第4の短絡電流I4の減少量ΔI4が第2の閾値L2以上であると、ハイレベルの出力信号を出力する。
論理積回路143は、リレー判定回路141の第3の限時遮断出力信号と自回線事故判定回路145の出力信号と第4の接点信号SC4との論理積をとって第3の瞬時トリップ信号STc3を生成する。ここで、リレー判定回路141の第3の限時遮断出力信号を論理積回路143に入力しているのは、第1の対向端短絡方向継電装置1201が動作していないときに第3のトリップ信号S3が誤って瞬時に出力されないようにするためである。
第3の瞬時要素トリップ信号STa3、第3の限時要素トリップ信号STb3および第3の瞬時トリップ信号STc3は、第3のトリップ信号S3として第3の遮断器43に出力される。
次に、図7に示す自回線1Lにおいて短絡事故が発生した場合の第1の電源端短絡方向継電装置1101および第1の対向端短絡方向継電装置1201の動作について説明する。
まず、自回線1Lの第1の対向端短絡方向継電装置1201が先に動作する箇所において短絡事故が発生した場合について、図10を参照して説明する。
自回線1Lのこのような箇所において時刻t0に短絡事故が発生すると、短絡電流(第1乃至第3の短絡電流I1〜I3)の向きが動作方向(内部方向=+方向)と同じである第1の電源端短絡方向継電装置1101、第2の電源端短絡方向継電装置1102および第1の対向端短絡方向継電装置1201が動作する。
第1の対向端短絡方向継電装置1201の時限協調時間T3は第1および第2の電源端短絡方向継電装置1101,1102の時限協調時間T1,T2よりも短いため、第1の対向端短絡方向継電装置1201がまず動作する。第1の対向端短絡方向継電装置1201が具備するトリップ信号発生回路140(図9参照)のリレー判定回路141は、第2の線間電圧V2と第3の短絡電流I03とに基づいて自回線1Lの限時要素動作範囲内において短絡事故が発生したと判定して、ハイレベルの第3の限時遮断出力信号を出力する。
リレー判定回路141のハイレベルの第3の限時遮断出力信号は、遅延回路142によって時限協調時間T3だけ遅延される。これにより、第3の限時要素トリップ信号STb3が生成される。
その結果、第3の遮断器43は、事故発生時刻t0から第1の対向端短絡方向継電装置1201のリレー判定時間TRY(=50ms)および時限協調時間T3(=400ms)だけ経過した時刻t2に第1の対向端短絡方向継電装置1201から出力される第3のトリップ信号S3によって遮断されるが、第3の遮断器43が完全に遮断されるのは、時刻t2から遮断器遮断時間TCB(=50ms)だけ経過した時刻t3となる。
また、第1の電源端短絡方向継電装置1101が具備するトリップ信号発生回路130(図8参照)のリレー判定回路131は、第1の線間電圧V1と第1の短絡電流I1とに基づいて自回線1Lの限時要素動作範囲内において短絡事故が発生したと判定して、ハイレベルの第1の限時遮断出力信号を出力する。
しかしながら、短絡事故が発生すると第1および第2の短絡電流I1,I2は共に増加するため、自回線事故判定回路135の出力信号はロウレベルのままとなる。したがって、論理積回路133の出力信号もロウレベルのままとなるため、第1のトリップ信号S1がトリップ信号発生回路130から出力されることはない。
時刻t3において第3の遮断器43が完全に遮断されると、事故電流は自回線1Lの電源端から事故点に向かってのみ流れるため、第1の計器用変流器1031を流れる第1の短絡電流I1は増加し、第2の計器用変流器1032を流れる第2の短絡電流I2は減少する。
その結果、第1の短絡電流I1の増加量ΔI1が第1の閾値L1以上であり、かつ、第2の短絡電流I2の減少量ΔI2が第2の閾値L2以上であると、自回線事故判定回路135は、この短絡事故により第3の遮断器43が遮断されたと判定して、ハイレベルの出力信号を出力する。これにより、第2の遮断器42から入力される第2の接点信号SC2がハイレベルであると、論理積回路133からハイレベルの第1の瞬時トリップ信号STc1が出力される。
これにより、第1のトリップ信号S1が、時刻t3から第1の電源端短絡方向継電装置1101のリレー判定時間TRY(=50ms)だけ経過した時刻t3aに、第1の遮断器41に出力される。
その結果、第1の遮断器41は、時刻t3aから遮断器遮断時間TCB(=50ms)だけ経過した時刻t3bに完全に遮断される。
自回線事故判定回路135を有しない短絡方向継電装置を第1の電源端短絡方向継電装置として用いた場合には、第1の遮断器41は、図10に破線で示すように、事故発生時刻t0からこの短絡方向継電装置のリレー判定時間TRY(=50ms)、時限協調時間T1(=800ms)および第1の遮断器41の遮断器遮断時間TCB(=50ms)の合計時間(=50ms+800ms+50ms=900ms)だけ経過した時刻t5に完全に遮断されるので、本実施例による第1の電源端短絡方向継電装置1101を用いることにより第1の遮断器41をt5−t3b=T1−T3−TRY−TCB=800ms−400ms−50ms−50ms=300ms)だけ早く遮断することができる。
なお、第2の電源端短絡方向継電装置1102も第1の電源端短絡方向継電装置1101と同様に構成することにより、他回線2Lの対向端側において短絡事故が発生した場合に、自回線事故判定回路135を有しない短絡方向継電装置を第2の電源端短絡方向継電装置として用いた場合と比べて第2の遮断器42をT2−T4−TRY−TCBだけ早く遮断することができる。ここで、T2は第2の電源端短絡方向継電装置1102の時限協調時間であり、T4は第2の対向端短絡方向継電装置1202の時限協調時間である。
また、図11に示すように短絡事故発生前に自回線1Lおよび他回線2Lに負荷電流が流れており短絡事故の発生により第1の短絡電流I1が第1の閾値L1以上増加するとともに第2の短絡電流I2が第2の閾値L2以上減少したときには、第1の電源端短絡方向継電装置1101が具備するトリップ信号発生回路130から第1の瞬時トリップ信号STc1が瞬時に出力される。その結果、第1の遮断器は、事故発生時刻t0から第1の電源端短絡方向継電装置1101のリレー判定時間TRY(=50ms)および第1の遮断器41の遮断器遮断時間TCB(=50ms)の合計時間(=50ms+50ms=100ms)だけ経過した時刻t1aに完全に遮断されるので、第1の遮断器41をt5−t1b=T1=800msだけ早く遮断することができる。
次に、自回線1Lの電源端付近において短絡事故が発生した場合について、図12を参照して説明する。
自回線1Lの電源端付近において時刻t0に短絡事故が発生すると、短絡電流のほとんどは第1の計器用変流器1031を流れる第1の短絡電流I1になるため、第1の電源端短絡方向継電装置1101が動作する。
その結果、第1の電源端短絡方向継電装置1101が具備するトリップ信号発生回路130のリレー判定回路131は、第1の線間電圧V1と第1の短絡電流I1とに基づいて自回線1Lの限時要素動作範囲内において短絡事故が発生したと判定して、ハイレベルの第1の限時遮断出力信号を出力する。
リレー判定回路131のハイレベルの第1の限時遮断出力信号は、遅延回路132によって時限協調時間T1だけ遅延される。これにより、ハイレベルの第1の限時要素トリップ信号STb1が出力される。
その結果、第1の遮断器41は、第1の電源端短絡方向継電装置1101のリレー判定時間TRY(=50ms)および時限協調時間T1(=800ms)だけ経過した時刻t4に第1の電源端短絡方向継電装置1101から出力される第1のトリップ信号S1によって遮断されるが、第1の遮断器41が完全に遮断されるのは、時刻t4から第1の遮断器41の遮断器遮断時間TCB(=50ms)だけ経過した時刻t5となる。
時刻t5において第1の遮断器41が完全に遮断されると事故電流は他回線2Lの電源端から対向端母線を介して自回線1Lの対向端に回り込んで事故点に流れるため、第3の計器用変流器1033を流れる第3の短絡電流I3は増加するが、第4の計器用変流器1034を流れる第4の短絡電流I4は減少する(第1乃至第4の短絡電流I1〜I4は内部方向を正の値とするため、第4の短絡電流I4は外部方向に流れるので負の値となる結果として減少したことになる。)。
その結果、第3の短絡電流I3の増加量ΔI3が第1の閾値L1以上であり、かつ、第4の短絡電流I4の減少量ΔI4が第2の閾値L2以上であると、第1の対向端短絡方向継電装置1201が具備するトリップ信号発生回路140の自回線事故判定回路145は、この短絡事故により第1の遮断器41が遮断されたと判定して、ハイレベルの出力信号を出力する。これにより、第4の遮断器44から入力される第4の接点信号SC4がハイレベルであると、論理積回路143の出力信号はロウレベルからハイレベルになる。
その結果、論理積回路143から第3の瞬時トリップ信号STc3が出力されるので、第3のトリップ信号S3が、時刻t5から第1の対向端短絡方向継電装置1201のリレー判定時間TRY(=50ms)だけ経過した時刻t6に、第3の遮断器43に出力される。これにより、第3の遮断器43は、時刻t6から遮断器遮断時間TCB(=50ms)だけ経過した時刻t6aに完全に遮断される。
自回線事故判定回路145を有しない短絡方向継電装置を第1の対向端短絡方向継電装置として用いた場合には、第1の遮断器41は、図12に破線で示すように、時刻t5からこの短絡方向継電装置のリレー判定時間TRY(=50ms)、時限協調時間T3(=400ms)および遮断器遮断時間TCB(=50ms)の合計時間(=50ms+400ms+50ms=500ms)だけ経過した時刻t7に完全に遮断されるので、本実施例による第1の対向端短絡方向継電装置1201を用いることにより第3の遮断器43をt7−t6a=T3(=400ms)だけ早く遮断することができる。
なお、隣回線である他回線2Lの対向端側に設置された第2の対向端短絡継電装置1202が不動作であることを条件に付加してもよい。この場合には、図9に示したトリップ信号発生回路140に、第2の対向端短絡継電装置1202が具備するトリップ信号発生回路(トリップ信号発生回路140参照)のリレー判定回路の出力信号の極性を反転させるインバータ回路を追加し、このインバータ回路の出力信号を論理積回路143に入力させて、リレー判定回路141の出力信号と自回線事故判定回路145の出力信号と第4の接点信号SC4とこのインバータ回路の出力信号との論理積を論理積回路143にとらせるようにすればよい。
また、第2の対向端短絡方向継電装置1202も第1の対向端短絡方向継電装置1201と同様に構成することにより、他回線2Lの電源端側において短絡事故が発生した場合に、自回線事故判定回路145を有しない短絡方向継電装置を第2の対向端短絡方向継電装置として用いた場合と比べて第4の遮断器44を第2の対向端短絡方向継電装置1202の時限協調時間T4だけ早く遮断することができる。
さらに、図13に示すように短絡事故発生時に第3の短絡電流I3が第1の閾値L1以上増加するとともに第4の短絡電流I4が第2の閾値L2以上減少すると、第1の対向端短絡方向継電装置1201が具備するトリップ信号発生回路140から第3の瞬時トリップ信号STc3が瞬時に出力される。その結果、第3の遮断器43は、事故発生時刻t0から第1の対向端短絡方向継電装置1201のリレー判定時間TRY(=50ms)および第3の遮断器43の遮断器遮断時間TCB(=50ms)の合計時間(=50ms+50ms=100ms)だけ経過した時刻t1aに完全に遮断されるので、第3の遮断器43をt7−t1b=T1+T3+TRY+TCB(=800ms+400ms+50ms+50ms=1.3s)だけ早く遮断することができる。
以上の説明では、第1および第2の電源端短絡方向継電装置1101,1102を個々に構成したが、一体に構成してもよい。第1および第2の対向端短絡方向継電装置1201,1202についても同様である。
次に、本発明の第3の実施例による保護継電装置について、図14乃至図16を参照して説明する。
本発明の第3の実施例による保護継電装置は、平衡2回線送電線の電源端側に設置される地絡過電流継電装置であって、地絡事故発生時には平衡2回線送電線の一方の端子(電源端)側では他方の端子(対向端)側に設置された遮断器の遮断時に事故回線の事故電流(零相電流)の増加量と健全回線の事故電流(零相電流)の減少量とが同じになることに着目し、健全回線の遮断器情報、事故回線の事故電流の増加量、健全回線の事故電流の減少量、および事故回線の事故電流の増加量と健全回線の事故電流の減少量との比率に基づいて事故回線における事故発生を検出すると、地絡過電流継電装置の動作時限よりも早くトリップ信号を発生することを特徴とする。
なお、図14に示すように、平衡2回線送電線の電源端には第1および第2の地絡過電流継電装置2101,2102が設置され、平衡2回線送電線の対向端には図21に示した第1および第2の地絡方向継電装置9201,9202が設置される。
したがって、図14に示す第1の電源端地絡過電流継電装置2101(本発明の第3の実施例による保護継電装置)は、健全回線である他回線2Lの電源端側に設置された第2の遮断器42が遮断されておらず、かつ、次式に示す自回線事故判定条件が満たされると、第1の電源端地絡過電流継電装置2101の動作時限TOCG1よりも短くなるように整定された自回線事故判定誤動作防止時間T41で第1のトリップ信号S1を発生する機能を備えている。
ΔI01≧M1
ΔI02≧M2
3<ΔI01/ΔI02<M4
ここで、第1および第2の閾値M1,M2は、第1および第2の零相電流I01,I02の検出可能な最小値の3倍以上とする。たとえば、第1および第2の零相電流I01,I02の検出可能な最小値が2.5mAの場合には、7.5mAとする。
また、第3および第4の閾値M3,M4は、自回線1Lの対向端の変流器誤差(CT誤差)、リレー誤差および線路定数誤差などの誤差に応じて定められる。たとえば、この誤差を±10%とする場合には、M3=0.9/1.1=0.81およびM4=1.1/0.9=1.23とし、この誤差を±15%とする場合には、M3=0.85/1.15=0.73およびM4=1.15/0.85=1.36とする。
すなわち、第1の電源端地絡過電流継電装置2101は、第2の遮断器42から入力される第2の接点信号SC2がハイレベルであり(第2の遮断器42が遮断されていないことを示す。)、かつ、第1の零相変流器31から入力される第1の零相電流I01の増加量ΔI01が第1の閾値M1以上であり、かつ、第2の零相変流器32から入力される第2の零相電流I02の減少量ΔI02が第2の閾値M2以上であり、かつ、第1の零相電流I01の増加量ΔI01を第2の零相電流I02の減少量ΔI02で割った値ΔI01/ΔI02(比率ΔI01/ΔI02)が第3の閾値M3よりも大きくて第4の閾値M4よりも小さいことを条件に、自回線事故判定時誤動作防止時間T41で第1のトリップ信号S1を発生する。
なお、自回線事故判定時誤動作防止時間T41は、自回線事故判定時の誤動作防止のために設定され、100ms程度にされる。
これを実現するために、第1の電源端地絡過電流継電装置2101は、図15に示すトリップ信号発生回路230を具備する。
トリップ信号発生回路230は、図15に示すように、リレー判定回路231と、第1乃至第4の遅延回路(タイマー)2321〜2324と、第1乃至第4の論理積回路2331〜2334と、論理和回路234と、自回線事故判定回路235とを備える。
リレー判定回路231は、第1の零相電流I01の大きさに基づいて自回線1Lに発生した地絡事故を検出すると、ハイレベルの出力信号を出力する。
第1の遅延回路2321は、第1のOVG出力信号SOVG1を第1の時限協調時間T11(=500ms)だけ遅延する。ここで、第1の地絡過電圧継電装置51は、第1の接地形計器用変圧器21から入力される電源端零相電圧V0aの大きさが整定値以上になるとハイレベルの第1のOVG出力信号SOVG1を出力する。
第1の論理積回路2331は、リレー判定回路231の出力信号と第1の遅延回路2321によって第1の時限協調時間T11だけ遅延された第1のOVG出力信号SOVG1との論理積をとる。
第2の遅延回路2322は、第1の論理積回路2331の出力信号を第2の時限協調時間T21(=800ms)だけ遅延する。ここで、第2の時限協調時間T21は、自回線1Lの対向端背後の送電線に設置された他の地絡過電流継電装置(不図示)との時限協調のために設定される。また、第1の電源端地絡過電流継電装置2101の動作時限TOCG1は第1の時限協調時間T11と第2の時限協調時間T21との合計時間(TOCG1=T11+T21)となる。
第3の遅延回路2323は、第1のOVG出力信号SOVG1をOVG遮断時間T31だけ遅延する。ここで、OVG遮断時間T31は、第1の地絡過電圧継電装置51の動作だけで第1の遮断器41を遮断させるために設定される。
第2の論理積回路2332は、リレー判定回路231が地絡事故を検出していないとき(第1の電源端地絡過電流継電装置2101が動作していないとき)に第1のトリップ信号S1が誤って自回線事故判定時誤動作防止時間T41で出力されないようにするためのものであり、リレー判定回路231の出力信号と第1のOVG出力信号SOVG1との論理積をとる。
自回線事故判定回路235は、第1の零相電流I01の増加量ΔI01、第2の零相電流I02の減少量ΔI02および第1の零相電流I01の増加量ΔI01と第2の零相電流I02の減少量ΔI02との比率ΔI01/ΔI02を求め、求めた第1の零相電流I01の増加量ΔI01が第1の閾値M1以上で、かつ、求めた第2の零相電流I02の減少量ΔI02が第2の閾値M2以上で、かつ、求めた比率ΔI01/ΔI02が第3の閾値M3よりも大きくて第4の閾値M4よりも小さいとハイレベルの出力信号を出力する。
第3の論理積回路2333は、自回線事故判定回路235の出力信号と第2の接点信号SC2との論理積をとる。
第4の論理積回路2334は、第2の論理積回路2332の出力信号と第3の論理積回路2333の出力信号との論理積をとる。
第4の遅延回路2324は、第4の論理積回路2334の出力信号を自回線事故判定時誤動作防止時間T41だけ遅延する。
論理和回路224は、第2の遅延回路2322の出力信号と第3の遅延回路2323の出力信号と第4の遅延回路2324の出力信号との論理和をとる。
次に、図14に示す自回線1Lにおいて地絡事故が発生した場合の第1の電源端地絡過電流継電装置2101の動作について、図16を参照して説明する。
自回線1Lにおいて時刻t0に地絡事故が発生すると、零相電流(第1乃至第3の零相電流I01〜I03)の向きが動作方向(内部方向=+方向)と同じである第1および第2の電源端地絡過電流継電装置2101,2102と第1の対向端地絡方向継電装置2201とが動作する。
第1の対向端地絡方向継電装置2201の動作時限TDG3は第1および第2の電源端地絡過電流継電装置2101,2102の動作時限TOCG1,TOCG2よりも短いため、第1の対向端地絡方向継電装置2201が先に動作して、図16に示すように、事故発生時刻t0から第1の対向端地絡方向継電装置2201のリレー判定時間TRY(=50ms)、動作時限TDG3(=900ms)および第3の遮断器43の遮断器遮断時間TCB(=50ms)の合計時間(=50ms+900ms+50ms=1s)だけ経過した時刻t3に、第3の遮断器43が完全に遮断される。
また、第1の電源端地絡過電流継電装置2101が具備するトリップ信号発生回路230(図15参照)のリレー判定回路231は、第1の零相電流I01に基づいて自回線1Lにおいて地絡事故が発生したと判定して、ハイレベルの出力信号を出力する。第1の地絡過電圧継電装置51は、電源端零相電圧V0aの大きさが整定値以上であると、ハイレベルの第1のOVG出力信号SOVG1を出力する。これにより、第2の論理積回路2332の出力信号はロウレベルからハイレベルになる。
しかしながら、地絡事故が発生すると第1および第2の零相電流I01,I02は共に増加するため、自回線事故判定回路235の出力信号はロウレベルのままとなる。したがって、第3の論理積回路2333の出力信号もロウレベルのままとなるため、第1のトリップ信号S1がトリップ信号発生回路230から出力されることはない。
時刻t3において第3の遮断器43が完全に遮断されると、事故電流は自回線1Lの電源端から事故点に向かってのみ流れるため、第1の零相変流器31を流れる第1の零相電流I01は増加し、第2の零相変流器32を流れる第2の零相電流I02は減少する。このとき、第1の零相電流I01の増加量ΔI01は第2の零相電流I02の減少量ΔI02とほぼ等しくなる。
自回線事故判定回路235は、第1の零相電流I01の増加量ΔI01、第2の零相電流I02の減少量ΔI02および第1の零相電流I01の増加量ΔI01と第2の零相電流I02の減少量ΔI02との比率ΔI01/ΔI02を求め、求めた第1の零相電流I01の増加量ΔI01が第1の閾値M1以上で、かつ、求めた第2の零相電流I02の減少量ΔI02が第2の閾値M2以上で、かつ、求めた比率ΔI01/ΔI02が第3の閾値M3よりも大きくて第4の閾値M4よりも小さいと、この地絡事故により第3の遮断器43が遮断されたと判定して、ハイレベルの出力信号を出力する。これにより、第2の遮断器42から入力される第2の接点信号SC2がハイレベルであると、第3の論理積回路2333の出力信号はロウレベルからハイレベルになる。
その結果、第4の論理積回路2334に第2の論理積回路2332のハイレベルの出力信号と第3の論理積回路2333のハイレベルの出力信号とが入力されるため、第4の論理積回路2334の出力信号はロウレベルからハイレベルになる。第4の論理積回路2334のハイレベルの出力信号は、第4の遅延回路2324によって自回線事故判定時誤動作防止時間T41だけ遅延されたのちに論理和回路234に入力される。これにより、第1のトリップ信号S1が、時刻t3から第1の電源端地絡過電流継電装置2101のリレー判定時間TRY(=50ms)および自回線事故判定時誤動作防止時間T41(=100ms)だけ経過した時刻t3aに、第1の遮断器41に出力される。
その結果、第1の遮断器41は、時刻t3aから第1の遮断器41の遮断器遮断時間TCB(=50ms)だけ経過した時刻t3bに完全に遮断される。
自回線事故判定回路235を有しない地絡過電流継電装置を第1の電源端地絡過電流継電装置として用いた場合には、第1の遮断器41は、図16に破線で示すように、事故発生時刻t0からこの地絡過電流継電装置のリレー判定時間TRY(=50ms)、動作時限TOCG1(=1.3s)および第1の遮断器41の遮断器遮断時間TCB(=50ms)の合計時間(=50ms+1.3s+50ms=1.4s)だけ経過した時刻t5に完全に遮断されるので、本実施例による第1の電源端地絡過電流継電装置2101を用いることにより第1の遮断器41をt5−t3b=TOCG1−TDG3−TRY−TCB−T41(=1.3s−900ms−50ms−50ms−100ms=200ms)だけ早く遮断することができる。
なお、短絡優先を考慮する場合には、母線に接続された不足電圧継電装置(不図示)の不動作条件を付加してもよい。この場合には、図15に示したトリップ信号発生回路230に、不足電圧継電装置の動作を示すハイレベルの不足電圧継電装置動作信号の極性を反転させるインバータ回路を追加し、このインバータ回路の出力信号を第3の論理積回路2333に入力させて、第2の論理積回路2332の出力信号と自回線事故判定回路235の出力信号と第2の接点信号SC2とこのインバータ回路の出力信号との論理積を第3の論理積回路2333にとらせるようにすればよい。
また、第2の電源端地絡過電流継電装置2102も第1の電源端地絡過電流継電装置2101と同様に構成することにより、他回線2Lにおいて地絡事故が発生した場合に、自回線事故判定回路を有しない地絡過電流継電装置を第2の電源端地絡過電流継電装置として用いたときと比べて第2の遮断器42をTOCG2−TDG4−TRY−TCB−T42だけ早く遮断することができる。ここで、TDG4は第2の対向端地絡方向継電装置9202の動作時限であり、T42は第2の電源端地絡過電流継電装置2102の動作時限TOVG2よりも短くなるように整定された自回線事故判定時誤動作防止時間である。
次に、本発明の第4の実施例による保護継電装置について、図17乃至図20を参照して説明する。
本発明の第4の実施例による保護継電装置は、平衡2回線送電線の電源端側に設置される過電流継電装置であって、短絡事故発生時には平衡2回線送電線の一方の端子(電源端)側では他方の端子(対向端)側に設置された遮断器の遮断時に事故回線の事故電流(短絡電流)の増加量と健全回線の事故電流(短絡電流)の減少量とが同じになることに着目し、健全回線の遮断器情報、事故回線の事故電流の増加量および健全回線の事故電流の減少量に基づいて事故回線における事故発生を検出するとトリップ信号を瞬時に発生することを特徴とする。
なお、図17に示すように、平衡2回線送電線の電源端には第1および第2の過電流継電装置3101,3102が設置され、平衡2回線送電線の対向端には第1および第2の対向端短絡方向継電装置3201,3202が設置される。
したがって、図17に示す第1の電源端過電流継電装置3101(本発明の第4の実施例による保護継電装置)は、健全回線である他回線2Lの電源端側に設置された第2の遮断器42が遮断されておらず、かつ、次式に示す自回線事故判定条件が満たされると、第1のトリップ信号S1を瞬時に発生する機能を備えている。
ΔI1≧N1
ΔI2≧N2
ここで、第1および第2の閾値N1,N2は、第1および第2の短絡電流I1,I2の検出可能な最小値の3倍以上とする。たとえば、第1および第2の短絡電流I1,I2の検出可能な最小値が40mAの場合には、120mAとする。
すなわち、第1の電源端過電流継電装置3101は、第2の遮断器42から入力される第2の接点信号SC2がハイレベルであり(第2の遮断器42が遮断されていないことを示す。)、かつ、第1の計器用変流器1031から入力される第1の短絡電流I1の増加量ΔI1が第1の閾値N1以上であり、かつ、第2の計器用変流器1032から入力される第2の短絡電流I2の減少量ΔI2が第2の閾値N2以上であることを条件に、第1のトリップ信号S1を瞬時に発生する。
これを実現するために、第1の電源端過電流継電装置3101は、図18に示すトリップ信号発生回路330を具備する。
トリップ信号発生回路330は、図18に示すように、リレー判定回路331と、遅延回路(タイマー)332と、論理積回路333と、自回線事故判定回路335とを備える。
リレー判定回路331は、第1の短絡電流I1に基づいて自回線1Lの瞬時要素動作範囲内に発生した短絡事故を検出するとハイレベルの第1の瞬時要素トリップ信号STa1を出力するとともに、第1の短絡電流I1に基づいて自回線1Lの限時要素動作範囲内に発生した短絡事故を検出するとハイレベルの第1の限時遮断出力信号を出力する。
遅延回路332は、リレー判定回路331の第1の限時遮断出力信号を時限協調時間T1(=800ms)だけ遅延して、第1の限時要素トリップ信号STb1を生成する。ここで、時限協調時間T1は、自回線1Lの対向端背後の送電線に設置された他の過電流継電装置(不図示)との時限協調のために設定される。
自回線事故判定回路335は、第1の短絡電流I1の増加量ΔI1および第2の短絡電流I2の減少量ΔI2を求め、求めた第1の短絡電流I1の増加量ΔI1が第1の閾値N1以上であり、かつ、求めた第2の短絡電流I2の増加量ΔI2が第2の閾値N2以上であると、ハイレベルの出力信号を出力する。
論理積回路333は、リレー判定回路331の第1の限時遮断出力信号と自回線事故判定回路335の出力信号と第2の接点信号SC2との論理積をとって第1の瞬時トリップ信号STc1を生成する。ここで、リレー判定回路331の第1の限時遮断出力信号を論理積回路333に入力しているのは、第1の電源端過電流継電装置3101が動作していないときに第1のトリップ信号S1が誤って瞬時に出力されないようにするためである。
第1の瞬時要素トリップ信号STa1、第1の限時要素トリップ信号STb1および第1の瞬時トリップ信号STc1は、第1のトリップ信号S1として第1の遮断器41に出力される。
次に、図17に示す自回線1Lにおいて短絡事故が発生した場合の第1の電源端過電流継電装置3101の動作について、図19を参照して説明する。
自回線1Lにおいて時刻t0に短絡事故が発生すると、短絡電流(第1乃至第3の短絡電流I1〜I3)の向きが動作方向(内部方向=+方向)と同じである第1および第2の電源端過電流継電装置3101,3102と第1の対向端短絡方向継電装置3201とが動作する。
第1の対向端短絡方向継電装置3201の時限協調時間T3は第1および第2の電源端過電流継電装置3101,3102の時限協調時間T1よりも短いため、第1の対向端短絡方向継電装置3201が先に動作して、図19に示すように、事故発生時刻t0から第1の対向端短絡方向継電装置3201のリレー判定時間TRY(=50ms)、時限協調時間T3(=400ms)および第3の遮断器43の遮断器遮断時間TCB(=50ms)の合計時間(=40ms+400ms+50ms=500ms)だけ経過した時刻t3に、第3の遮断器43が完全に遮断される。
また、第1の電源端過電流継電装置3101が具備するトリップ信号発生回路330(図18参照)のリレー判定回路331は、第1の短絡電流I1に基づいて自回線1Lの限時要素動作範囲内において短絡事故が発生したと判定して、ハイレベルの第1の限時遮断出力信号を出力する。
しかしながら、短絡事故が発生すると第1および第2の短絡電流I1,I2は共に増加するため、自回線事故判定回路335の出力信号はロウレベルのままとなる。したがって、論理積回路333の出力信号もロウレベルのままとなるため、第1のトリップ信号S1がトリップ信号発生回路330から出力されることはない。
時刻t3において第3の遮断器43が完全に遮断されると、事故電流は自回線1Lの電源端から事故点に向かってのみ流れるため、第1の計器用変流器1031を流れる第1の短絡電流I1は増加し、第2の計器用変流器1032を流れる第2の短絡電流I2は減少する。
その結果、第1の短絡電流I1の増加量ΔI1が第1の閾値N1以上であり、かつ、第2の短絡電流I2の減少量ΔI2が第1の閾値N2以上であると、自回線事故判定回路335は、この短絡事故により第3の遮断器43が遮断されたと判定して、ハイレベルの出力信号を出力する。これにより、第2の遮断器42から入力される第2の接点信号SC2がハイレベルであると、論理積回路333からハイレベルの第1の瞬時トリップ信号STC1が出力される。
その結果、第1のトリップ信号S1が、時刻t3から第1の電源端過電流継電装置3101のリレー判定時間TRY(=50ms)だけ経過した時刻t3aに、第1の遮断器41に出力される。これにより、第1の遮断器41は、時刻t3aから第1の遮断器41の遮断器遮断時間TCB(=50ms)だけ経過した時刻t3bに完全に遮断される。
自回線事故判定回路335を有しない過電流継電装置を第1の電源端過電流継電装置として用いた場合には、第1の遮断器41は、図19に破線で示すように、事故発生時刻t0からこの過電流継電装置のリレー判定時間TRY(=50ms)、時限協調時間T1(=800ms)および第1の遮断器41の遮断器遮断時間TCB(=50ms)の合計時間(=50ms+800ms+50ms=900ms)だけ経過した時刻t5に完全に遮断されるので、本実施例による第1の電源端過電流継電装置3101を用いることにより第1の遮断器41をt5−t3b=T1−T3−TRY−TCB(=800ms−400ms−50ms−50ms=300ms)だけ早く遮断することができる。
なお、短絡優先を考慮する場合には、母線に接続された不足電圧継電装置(不図示)の不動作条件を付加してもよい。この場合には、図18に示したトリップ信号発生回路330に、不足電圧継電装置の動作を示すハイレベルの不足電圧継電装置動作信号の極性を反転させるインバータ回路を追加し、このインバータ回路の出力信号を論理積回路333に入力させて、論理積回路333の出力信号と自回線事故判定回路335の出力信号と第2の接点信号SC2とこのインバータ回路の出力信号との論理積を論理積回路333にとらせるようにすればよい。
また、第2の電源端過電流継電装置3102も第1の電源端過電流継電装置3101と同様に構成することにより、他回線2Lにおいて地絡事故が発生した場合に、自回線事故判定回路を有しない過電流継電装置を第2の電源端短絡方向継電装置として用いたときと比べて第2の遮断器42をT2−T4−TRY−TCBだけ早く遮断することができる。ここで、T2は自回線事故判定回路335を有しない過電流継電装置を第2の電源端過電流継電装置として用いた場合の第2の電源端過電流継電装置の時限協調時間であり、T14は第2の対向端短絡方向継電装置3202の時限協調時間である。
さらに、図20に示すように、図20に示すように短絡事故発生前に自回線1Lおよび他回線2Lに負荷電流が流れており短絡事故の発生により第1の短絡電流I1が第1の閾値N1以上増加するとともに第2の短絡電流I2が第2の閾値N2以上減少したときには、第1の電源端過電流継電装置3101が具備するトリップ信号発生回路330から第1の瞬時トリップ信号STc1が瞬時に出力される。その結果、第1の遮断器41は、事故発生時刻t0から第1の電源端過電流継電装置3101のリレー判定時間TRY(=50ms)および第1の遮断器41の遮断器遮断時間TCB(=50ms)の合計時間(=50ms+50ms=100ms)だけ経過した時刻t1aに完全に遮断されるので、第1の遮断器41をt5−t1b=T1(=800ms)だけ早く遮断することができる。
図2に示した第1乃至第4の遅延回路321〜424などの遅延回路は、入力信号を所定の時間だけ遅延する回路で構成してもよいし、入力信号が入力されると所定の回数だけカウントしたのちに出力信号を出力するタイマーで構成してもよい。
本発明の第1の実施例による保護継電装置である第1および第2の電源端地絡方向継電装置101,102並びに第1および第2の対向端地絡方向継電装置201,202について説明するための図である。 図1に示した第1の電源端地絡方向継電装置101が具備するトリップ信号発生回路30の構成を示すブロック図である。 図1に示した第1の対向端地絡方向継電装置201が具備するトリップ信号発生回路40の構成を示すブロック図である。 自回線1Lの対向端において地絡事故が発生した場合の図1に示した第1の電源端地絡方向継電装置101および第1の対向端地絡方向継電装置201の動作について説明するための図である。 自回線1Lの電源端において地絡事故が発生した場合の図1に示した第1の電源端地絡方向継電装置101および第1の対向端地絡方向継電装置201の動作について説明するための図である。 対向端母線の背後に地絡電源容量がないか非常に小さい電力系統において自回線1Lに地絡事故が発生した場合の図1に示した第1の対向端地絡方向継電装置201の動作について説明するための図である。 本発明の第2の実施例による保護継電装置である第1および第2の電源端短絡方向継電装置1101,1102並びに第1および第2の対向端短絡方向継電装置1201,1202について説明するための図である。 図7に示した第1の電源端短絡方向継電装置1101が具備するトリップ信号発生回路130の構成を示すブロック図である。 図7に示した第1の対向端短絡方向継電装置1201が具備するトリップ信号発生回路140の構成を示すブロック図である。 自回線1L第1の対向端短絡方向継電装置1201が先に動作する箇所において短絡事故が発生した場合の第1の電源端短絡方向継電装置1101および第1の対向端短絡方向継電装置1201の動作について説明するための図である。 自回線1Lにおいて短絡事故が発生したときに図7に示した第1の電源端短絡方向継電装置1101によって第1のトリップ信号S1が瞬時に出力される場合について説明するための図である。 自回線1Lの電源端付近において短絡事故が発生した場合の第1の電源端短絡方向継電装置1101および第1の対向端短絡方向継電装置1201の動作について説明するための図である。 自回線1Lにおいて短絡事故が発生したときに図7に示した第1の対向端短絡方向継電装置1201によって第3のトリップ信号S3が瞬時に出力される場合について説明するための図である。 本発明の第3の実施例による保護継電装置である第1および第2の電源端地絡過電流継電装置2101,2102について説明するための図である。 図14に示した第1の電源端地絡過電流継電装置2101が具備するトリップ信号発生回路230の構成を示すブロック図である。 自回線1Lにおいて地絡事故が発生した場合の図14に示した第1の電源端地絡過電流継電装置2101の動作について説明するための図である。 本発明の第4の実施例による保護継電装置である第1および第2の電源端過電流継電装置3101,3102について説明するための図である。 図17に示した第1の電源端過電流継電装置3101が具備するトリップ信号発生回路330の構成を示すブロック図である。 自回線1Lにおいて短絡事故が発生した場合の図17に示した第1の電源端過電流継電装置3101の動作について説明するための図である。 自回線1Lにおいて短絡事故が発生したときに図17に示した第1の電源端過電流継電装置3101によって第1のトリップ信号S1が瞬時に出力される場合について説明するための図である。 地絡方向継電装置が平衡2回線送電線において後備保護として用いられていることを説明するための図である。 図21に示した第1の電源端地絡方向継電装置9101が具備するトリップ信号発生回路930の構成を示すブロック図である。 図21に示した第1の対向端地絡方向継電装置9201が具備するトリップ信号発生回路940の構成を示すブロック図である。 自回線1Lの対向端において地絡事故が発生したときの図21に示した第1の電源端地絡方向継電装置9101および第1の対向端地絡方向継電装置9201の動作について説明するための図である。 自回線1Lの電源端において地絡事故が発生したときの図21に示した第1の電源端地絡方向継電装置9101および第1の対向端地絡方向継電装置9201の動作について説明するための図である。
符号の説明
1 電源
1,22 第1および第2の接地形計器用変圧器
1〜34 第1乃至第4の零相変流器
1〜44 第1乃至第4の遮断器
1,52 第1および第2の地絡過電圧継電装置
101,102,9101,9102 第1および第2の電源端地絡方向継電装置
201,202,9201,9202 第1および第2の対向端地絡方向継電装置
30,40,130,140,230,330,930,940 トリップ信号発生回路
31,41,131,141,231,331,931,941 リレー判定回路
321〜324,421〜424,2321〜2324 第1乃至第4の遅延回路
331〜334,431〜434,2331〜2334 第1乃至第4の論理積回路
34,44,234,934,944 論理和回路
35,45,135,145,235,335 自回線事故判定回路
1021,1022 第1および第2の計器用変圧器
1031〜1034 第1乃至第4の計器用変流器
1101,1102 第1および第2の電源端短絡方向継電装置
1201,1202,3201,3202 第1および第2の対向端短絡方向継電装置
132,142,332 遅延回路
133,143,333,933,943 論理積回路
2101,2102 第1および第2の電源端地絡過電流継電装置
3101,3102 第1および第2の電源端過電流継電装置
9321〜9323,9421〜9423 第1乃至第3の遅延回路
1L 自回線
2L 他回線
0 零相電流
01〜I04 第1乃至第4の零相電流
1〜I4 第1乃至第4の短絡電流
ΔI01,ΔI03,ΔI1,ΔI3 増加量
ΔI02,ΔI04,ΔI2,ΔI4 減少量
0 零相電圧
0a 電源端零相電圧
0b 対向端零相電圧
1,V2 第1および第2の線間電圧
1〜S4 第1乃至第4のトリップ信号
STa1〜STa4 第1乃至第4の瞬時要素トリップ信号
STb1〜STb4 第1乃至第4の限時要素トリップ信号
STc1〜STc4 第1乃至第4の瞬時トリップ信号
OVG1,SOVG2 第1および第2のOVG出力信号
C1〜SC4 第1乃至第4の接点信号
T11〜T14,T21〜T24 第1および第2の時限協調時間
T31〜T34 OVG遮断時間
T41〜T44 自回線事故判定時誤動作防止時間
1〜T4 時限協調時間
DG1〜TDG4,TDS1〜TDS4,TOCG1,TOCG2,TOC1,TOC2 動作時限
RY リレー判定時間
CB 遮断器遮断時間
1〜K4,M1〜M4 第1乃至第4の閾値
1,L2,N1,N2 第1および第2の閾値
0〜t8,t1a,t1b,t3a,t3b,t6a,t6b 時刻

Claims (18)

  1. 電源端側の母線と対向端側の対向端母線との間に敷設された自回線(1L)および他回線(2L)からなる平衡2回線送電線の該自回線の電源端側または対向端側に設置される保護継電装置(101;201;2101)であって、前記自回線および前記他回線のうちの一方である健全回線の遮断器情報、該自回線および該他回線のうちの他方である事故回線の事故電流の増加量、前記健全回線の事故電流の減少量、および該事故回線の事故電流の増加量と該健全回線の事故電流の減少量との比率に基づいて該事故回線における事故発生を検出すると、前記保護継電装置の動作時限よりも早くトリップ信号を発生する手段を具備することを特徴とする、保護継電装置。
  2. 前記保護継電装置が、前記自回線における地絡事故の発生を検出すると、該自回線の電源端側または対向端側に設けられた自回線遮断器(41;43)を遮断するためのトリップ信号(S1;S3)を発生するトリップ信号発生回路(30;40;230)を具備し、
    該トリップ信号発生回路が、前記自回線の電源端側または対向端側を流れる自回線事故電流(I01;I03)の増加量(ΔI01;ΔI03)、前記他回線の電源端側または対向端側を流れる他回線事故電流(I02;I04)の減少量(ΔI02;ΔI04)、および該自回線事故電流の増加量と該他回線事故電流の減少量との比率(ΔI01/ΔI02;ΔI03/ΔI04)に基づいて該自回線における地絡事故を検出すると、前記保護継電装置の動作時限よりも早く前記トリップ信号を発生するトリップ信号発生手段を備える、
    ことを特徴とする、請求項1記載の保護継電装置。
  3. 前記トリップ信号発生手段が、前記自回線事故電流の増加量が第1の閾値(K1;M1)以上であり、かつ、前記他回線事故電流の減少量が第2の閾値(K2;M2)以上であり、かつ、該自回線事故電流の増加量と該他回線事故電流の減少量との比率が第3の閾値(K3;M3)よりも大きく第4の閾値(K4;M4)よりも小さい場合に、前記保護継電装置の動作時限よりも早く前記トリップ信号を発生することを特徴とする、請求項2記載の保護継電装置。
  4. 前記トリップ信号発生手段が、前記他回線の電源端側または対向端側に設置された隣回線遮断器(42;44)が遮断されていないことを条件に、前記保護継電装置の動作時限よりも早く前記トリップ信号を発生することを特徴とする、請求項2または3記載の保護継電装置。
  5. 前記トリップ信号発生手段が、
    前記自回線事故電流の増加量、前記他回線事故電流の減少量および該自回線事故電流の増加量と該他回線事故電流の減少量との比率を求め、該求めた自回線事故電流の増加量が前記第1の閾値以上であり、かつ、該求めた他回線事故電流の減少量が前記第2の閾値以上であり、かつ、該求めた自回線事故電流の増加量と他回線事故電流の減少量との比率が前記第3の閾値よりも大きく前記第4の閾値よりも小さいと出力信号を出力する自回線事故判定回路(35;45;235)と、
    該自回線事故判定回路の出力信号と前記隣回線遮断器から入力される接点信号(SC2;SC4)との論理積をとる論理積回路(333;433;2333)と、
    を備えることを特徴とする、請求項3または4記載の保護継電装置。
  6. 前記第1および第2の閾値が、前記自回線事故電流および前記他回線事故電流の検出可能な最小値の3倍以上の値であり、
    前記第3のおよび第4の閾値が、前記自回線の対向端の変流器誤差、リレー誤差および線路定数誤差を含む誤差に応じて定められる、
    ことを特徴とする、請求項3乃至5いずれかに記載の保護継電装置。
  7. 前記自回事故電流が、前記自回線に地絡事故が発生したときに該自回線の電源端側または対向端を流れる零相電流(I01;I03)であり、
    前記他回事故電流が、前記自回線に地絡事故が発生したときに該他回線の電源端側または対向端を流れる他の零相電流(I02;I04)である、
    ことを特徴とする、請求項2乃至6いずれかに記載の保護継電装置。
  8. 前記自回線の対向端側に設置される前記保護継電装置(201)の前記トリップ信号発生手段が、前記他回線の対向端側に設置される他の保護継電装置(202)が不動作であることを条件に、前記保護継電装置の動作時限よりも早く前記トリップ信号を発生することを特徴とする、請求項2乃至7いずれかに記載の保護継電装置。
  9. 前記他回線の電源端または対向端側に設置される他の保護継電装置(102;202;2102)が、前記保護継電装置と同じ構成を有しかつ一体に構成されていることを特徴とする、請求項2乃至8いずれかに記載の保護継電装置。
  10. 電源端側の母線と対向端側の対向端母線との間に敷設された自回線(1L)および他回線(2L)からなる平衡2回線送電線の該自回線の電源端側または対向端側に設置される保護継電装置(1101;1201;3101)であって、前記自回線および前記他回線のうちの一方である健全回線の遮断器情報、該自回線および該他回線のうちの他方である事故回線の事故電流の増加量、および前記健全回線の事故電流の減少量に基づいて該事故回線における事故発生を検出すると、トリップ信号を瞬時に発生する手段を具備することを特徴とする、保護継電装置。
  11. 前記保護継電装置が、前記自回線における短絡事故の発生を検出すると、該自回線の電源端側に設けられた自回線遮断器(41;43)を遮断するためのトリップ信号(S1;S3)を発生するトリップ信号発生回路(130;140;330)を具備し、
    該トリップ信号発生回路が、前記自回線の電源端側を流れる自回線事故電流(I1;I3)の増加量(ΔI1;ΔI3)および前記他回線の電源端側を流れる他回線事故電流(I2;I4)の減少量(ΔI2;ΔI4)に基づいて該自回線における短絡事故を検出すると、前記トリップ信号を瞬時に発生するトリップ信号発生手段を備える、
    ことを特徴とする、請求項10記載の保護継電装置。
  12. 前記トリップ信号発生手段が、前記自回線事故電流の増加量が第1の閾値(L1;N1)以上であり、かつ、前記他回線事故電流の減少量が第2の閾値(L2;N2)以上である場合に、前記トリップ信号を瞬時に発生することを特徴とする、請求項11記載の保護継電装置。
  13. 前記トリップ信号発生手段が、前記他回線の電源端側に設置された隣回線遮断器(42;44)が遮断されていないことを条件に、前記トリップ信号を瞬時に発生することを特徴とする、請求項11または12記載の保護継電装置。
  14. 前記トリップ信号発生手段が、
    前記自回線事故電流の増加量および前記他回線事故電流の減少量を求め、該求めた自回線事故電流の増加量が前記第1の閾値以上であり、かつ、該求めた他回線事故電流の減少量が前記第2の閾値以上であると出力信号を出力する自回線事故判定回路(135;145;335)と、
    該自回線事故判定回路の出力信号と前記隣回線遮断器から入力される接点信号(SC2;SC4)との論理積をとる論理積回路(133;143;333)と、
    を備えることを特徴とする、請求項12または13記載の保護継電装置。
  15. 前記第1および第2の閾値が、前記自回線事故電流および前記他回線事故電流の検出可能な最小値の3倍以上の値であることを特徴とする、請求項12乃至14いずれかに記載の保護継電装置。
  16. 前記自回事故電流が、前記自回線に短絡事故が発生したときに該自回線の電源端側または対向端を流れる短絡電流(I1;I3)であり、
    前記他回事故電流が、前記自回線に短絡事故が発生したときに該他回線の電源端側または対向端を流れる他の短絡電流(I2;I4)である、
    ことを特徴とする、請求項11乃至15いずれかに記載の保護継電装置。
  17. 前記自回線の対向端側に設置される前記保護継電装置(1201)の前記トリップ信号発生手段が、前記他回線の対向端側に設置される他の保護継電装置(1202)が不動作であることを条件に、前記トリップ信号を瞬時に発生することを特徴とする、請求項11乃至16いずれかに記載の保護継電装置。
  18. 前記他回線の電源端または対向端側に設置される他の保護継電装置(1102;1202;3102)が、前記保護継電装置と同じ構成を有しかつ一体に構成されていることを特徴とする、請求項11乃至17いずれかに記載の保護継電装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010115080A (ja) * 2008-11-10 2010-05-20 Chugoku Electric Power Co Inc:The 地絡保護継電システム
WO2015080569A1 (en) * 2013-11-28 2015-06-04 Lee Soon Tan An automatic power fault detection method and system for monitoring and controlling a power distribution system
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CN112751413A (zh) * 2020-12-24 2021-05-04 国网北京市电力公司 一种用于输配电线路的撞杆断线自愈装置及方法

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