JP2008161010A - 地絡方向継電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】事故除去時間を大幅に短縮することができる電源端用および対向端用の地絡方向継電装置を提供する。
【解決手段】平衡2回線送電線の自回線1Lの電源端側に設置される第1の電源端地絡方向継電装置101は、自回線1Lにおける地絡事故発生を検出すると自回線1Lの電源端側に設けられた第1の遮断器41を遮断するための第1のトリップ信号S1を発生するトリップ信号発生回路20を備える。トリップ信号発生回路20は、第1の零相電流I01と第2の零相電流I02との差を第1の零相電流I01と第2の零相電流I02と和で割った値を求め、求めた値が閾値以上であると出力信号を出力する自回線事故判定回路25と、自回線事故判定回路25の出力信号と他回線2Lの電源端側に設けられた第2の遮断器42から入力される第2の接点信号SC2との論理積をとる第3の論理積回路233とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、地絡方向継電装置に関し、特に、平衡2回線送電線の電源端側および対向端側に設置するのに好適な地絡方向継電装置に関する。
一般に、電力系統における地絡事故時の保護に用いられている地絡方向継電装置(DG)は、自回線(地絡方向継電装置が設置された送電線)の電気量(零相電圧V0および零相電流I0)の大きさおよび方向に基づいて地絡事故発生を判定するものであり、事故区間を判定させるために、対向端(非電源)背後の送電線に設置された他の地絡方向継電装置と時限協調(0.4s〜0.5sの積上げ)をとっている。
そのため、電源端側に設置された地絡方向継電装置では、以下に説明するように、事故除去時間が長くなるので、地絡方向継電装置は平衡2回線送電線においては後備保護として用いられ、保護区間内の地絡事故によって瞬時に動作する別方式の主保護継電装置を別に設置することにより、事故除去時間の短縮を図っている。
図7に示すように、電源1(零相電源)から電力を供給される母線から分岐された第1の送電線1L(以下、「自回線1L」と称する。)および第2の送電線2L(以下、「他回線2L」と称する。)の電源端側(母線側)に地絡方向継電装置(以下、「第1および第2の電源端地絡方向継電装置1101,1102」と称する。)がそれぞれ設置されており、自回線1Lおよび他回線2Lの対向端側(母線と反対側)にも地絡方向継電装置(以下、「第1および第2の対向端地絡方向継電装置1201,1202」と称する。)がそれぞれ設置されているとする。
第1の電源端地絡方向継電装置1101は、母線に設けられた第1の接地形計器用変圧器(EVT)21から入力される電源端零相電圧V0aと自回線1Lの電源端側に設置された第1の零相変流器(ZCT)31から入力される第1の零相電流I01とに基づいて自回線1Lにおける地絡事故発生を検出すると、自回線1Lの電源端側に設置された第1の遮断器41を遮断するための第1のトリップ信号S1を発生する。
第2の電源端地絡方向継電装置1102は、第1の接地形計器用変圧器21から入力される電源端零相電圧V0aと他回線2Lに設置された第2の零相変流器32から入力される第2の零相電流I02とに基づいて他回線2Lにおける地絡事故発生を検出すると、他回線2Lの電源端側に設置された第2の遮断器42を遮断するための第2のトリップ信号S2を発生する。
第1の対向端地絡方向継電装置1201は、対向端側の母線(以下、「対向端母線」と称する。)に設けられた第2の接地形計器用変圧器22から入力される対向端零相電圧V0bと自回線1Lの対向端側に設置された第3の零相変流器33から入力される第3の零相電流I03とに基づいて自回線1Lにおける地絡事故発生を検出すると、自回線1Lの対向端側に設置された第3の遮断器43を遮断するための第3のトリップ信号S3を発生する。
第2の対向端地絡方向継電装置1202は、第2の接地形計器用変圧器22から入力される対向端零相電圧V0bと他回線2Lの対向端側に設置された第4の零相変流器34から入力される第4の零相電流I04とに基づいて他回線2Lにおける地絡事故発生を検出すると、他回線2Lの対向端側に設置された第4の遮断器44を遮断するための第4のトリップ信号S4を発生する。
第1の電源端地絡方向継電装置1101は、第1のトリップ信号S1を発生するために、図8に示すようなトリップ信号発生回路130を具備する。
ここで、トリップ信号発生回路130は、リレー判定回路131と、第1乃至第3の遅延回路(タイマー)1321〜1323と、論理積回路133と、論理和回路134とを備える。
リレー判定回路131は、第1の零相電流I01の大きさと電源端零相電圧V0aおよび第1の零相電流I01の位相関係とに基づいて自回線1Lに発生した地絡事故を検出すると、ハイレベルの出力信号を出力する。
第1の遅延回路1321は、第1の地絡過電圧継電装置(OVG)51から入力される第1のOVG出力信号SOVG1を第1の時限協調時間T11だけ遅延する。ここで、第1の地絡過電圧継電装置51は、第1の接地形計器用変圧器21から入力される電源端零相電圧V0aの大きさが整定値以上になるとハイレベルの第1のOVG出力信号SOVG1を出力する。また、第1の時限協調時間T11は、自回線1Lの対向端背後の送電線に設置された他の地絡方向継電装置(不図示)との時限協調のために設定される(たとえば800msに設定される)。
論理積回路133は、リレー判定回路131の出力信号と第1の遅延回路1321によって第1の時限協調時間T11だけ遅延された第1のOVG出力信号SOVG1との論理積をとる。
第2の遅延回路1322は、論理積回路133の出力信号を第1の零相自由振動誤動作防止時間T21だけ遅延する。ここで、第1の零相自由振動誤動作防止時間T21は、零相自由振動(事故点切離し後も零相電圧が一定時間だけ残る現象)による誤動作防止のために設定される(通常は100msに設定される)。また、第1の電源端地絡方向継電装置1101の動作時限TDG1は第1の時限協調時間T11と第1の零相自由振動誤動作防止時間T21との合計時間(TDG1=T11+T21)となる。
第3の遅延回路1323は、第1の地絡過電圧継電装置51から入力される第1のOVG出力信号SOVG1を第1のOVG遮断時間T31だけ遅延する。ここで、第1のOVG遮断時間T31は、第1の地絡過電圧継電装置51の動作だけで第1の遮断器41を遮断させるために設定される。
論理和回路134は、第2の遅延回路1322の出力信号と第3の遅延回路1323の出力信号との論理和をとる。
第2の電源端地絡方向継電装置1102は、上述したトリップ信号発生回路130と同様の構成のトリップ信号発生回路(不図示)を具備する。
第1の対向端地絡方向継電装置1201は、第3のトリップ信号S3を発生するために、図9に示すようなトリップ信号発生回路140を具備する。
ここで、トリップ信号発生回路140は、リレー判定回路141と、第1乃至第3の遅延回路(タイマー)1421〜1423と、論理積回路143と、論理和回路144とを備える。
リレー判定回路141は、第3の零相電流I03の大きさと対向端零相電圧V0bおよび第3の零相電流I03の位相関係とに基づいて自回線1Lに発生した地絡事故を検出すると、ハイレベルの出力信号を出力する。
第1の遅延回路1421は、第2の地絡過電圧継電装置52から入力される第2のOVG出力信号SOVG2を第3の時限協調時間T13だけ遅延する。ここで、第2の地絡過電圧継電装置52は、第2の接地形計器用変圧器22から入力される対向端零相電圧V0bの大きさが整定値以上になるとハイレベルの第2のOVG出力信号SOVG2を出力する。また、図8に示した第1の遅延回路1321において設定された第1の時限協調時間T11(たとえば800ms)は、時限協調のために、第3の時限協調時間T13(たとえば400ms)よりも大きくなるように設定される(T11>T13)。
論理積回路143は、リレー判定回路141の出力信号と第1の遅延回路1421によって第3の時限協調時間T13だけ遅延された第2のOVG出力信号SOVG2との論理積をとる。
第2の遅延回路1422は、論理積回路143の出力信号を第3の零相自由振動誤動作防止時間T23だけ遅延する。また、第1の対向端地絡方向継電装置1201の動作時限TDG3は第3の時限協調時間T13と第3の零相自由振動誤動作防止時間T23との合計時間(TDG3=T13+T23)となる。
第3の遅延回路1423は、第2の地絡過電圧継電装置52から入力される第2のOVG出力信号SOVG2を第3のOVG遮断時間T33だけ遅延する。ここで、第3のOVG遮断時間T33は、第2の地絡過電圧継電装置52の動作だけで第3の遮断器43を遮断させるために設定される。
論理和回路144は、第2の遅延回路1422の出力信号と第3の遅延回路1423の出力信号との論理和をとる。
第2の対向端地絡方向継電装置1202は、上述したトリップ信号発生回路140と同様の構成のトリップ信号発生回路(不図示)を具備する。
第1の電源端地絡方向継電装置1101の保護区間である自回線1Lにおいて図10に示す時刻t0に地絡事故が発生したとすると、事故電流(零相電流I0)は図7に破線の矢印で示すように事故点に向かって流れるため、零相電流(第1乃至第3の零相電流I01〜I03)の向きが動作方向(内部方向)と同じである第1の電源端地絡方向継電装置1101、第2の電源端地絡方向継電装置1102および第1の対向端地絡方向継電装置1201が動作する。
第1の対向端地絡方向継電装置1201の動作時限TDG3は第1および第2の電源端地絡方向継電装置1101,1102の動作時限TDG1,TDG2よりも短いため、まず、第1の対向端地絡方向継電装置1201が動作して、自回線1Lの対向端側に設置された第3の遮断器43を遮断する。このとき、第3の遮断器43は、図10に示すように、第1の対向端地絡方向継電装置1201のリレー判定時間TRY(50ms)および動作時限TDG3(=T13+T23=400ms+100ms=500ms)が経過した時刻t2に第1の対向端地絡方向継電装置1201から出力される第3のトリップ信号S3によって遮断されるが、第3の遮断器43が完全に遮断されるのは、時刻t2から遮断器遮断時間TCB(50ms)が経過した時刻t3となる。
時刻t3に第3の遮断器43が完全に遮断されると、事故電流は自回線1Lの電源端から事故点に向かってのみ流れるため(すなわち、図10に示すように第1の零相電流I01のみが流れるため)、第1の電源端地絡方向継電装置1101のみが動作を続けて、自回線1Lの電源端側に設置された第1の遮断器41を遮断する。このとき、第1の遮断器41は、事故発生時刻t0から第1の電源端地絡方向継電装置1101のリレー判定時間TRY(50ms)および動作時限TDG1(=T11+T21=800ms+100ms=900ms)が経過した時刻t4に第1の電源端地絡方向継電装置1101から出力される第1のトリップ信号S1によって遮断されるが、第1の遮断器41が完全に遮断されるのは、時刻t4から遮断器遮断時間TCB(50ms)が経過した時刻t5となる。
下記の特許文献1には、地絡事故時における事故点抵抗の大小に拘らず確実に回線を遮断し得るとともに2回線以上の多回線送電線に容易に適用可能で高い信頼性を有する地絡回線選択保護継電装置が開示されている。この地絡回線選択保護継電装置では、電流検出器で検出された線路零相電流は、変換器を介して比演算回路に供給される。電流検出器で検出された中性点零相電流は、入力変換器を介して比演算回路に供給される。比演算回路で、線路零相電流と中性点零相電流との比が算出され、事故検出回路に供給されて1/回線数より大か否かが判定される。比が大の場合には地絡事故発生と判定され、検出回路から判定出力回路に判定信号が供給される。判定出力回路は遮断信号を遮断器に供給し、1号線が母線から分離される。比は事故点抵抗値を含まないので、この抵抗値に影響されず確実に地絡事故が検出される。
下記の特許文献2には、設置面積およびコストを低減するために、A電源方向からの地絡電流を検出する検出回路とB電源方向からの地絡電流を検出する検出回路で地絡方向継電器を構成し、各検出回路とは別々に動作時限を設定できるようにして、従来の2台の地絡方向継電器の機能を併せ持つようにすることが開示されている。
特開平5−328588号公報 特開平11−164470号公報
しかしながら、上述した第1の電源端地絡方向継電装置1101では、自回線1Lにおいて地絡事故が発生した場合に、第1の遮断器41は事故発生時刻t0からリレー判定時間TRY、動作時限TDG1および遮断器遮断時間TCBの合計時間だけ経過した時刻t5に遮断されるため(図10参照)、この地絡事故を除去するのに時間(約1s)を要し、設備に悪影響を与えるという問題がある。
また、対向端母線の背後にある零相電源の中性点補償リアクトル(NGL)有効分が大きい場合や系統変更時の運用制約などにより動作時限TDG3が大きくされることがあるため、自回線1Lにおいて地絡事故が発生した場合に事故除去時間が更に長くなり、設備に悪影響を与えるという問題がある。この問題点は、第1の対向端地絡方向継電装置1201でも存在する。
本発明の目的は、事故除去時間を大幅に短縮することができる電源端用および対向端用の地絡方向継電装置を提供することにある。
本発明の第1の地絡方向継電装置は、電源端側の母線と対向端側の対向端母線との間に敷設された自回線(1L)および他回線(2L)からなる平衡2回線送電線の該自回線の電源端側に設置される地絡方向継電装置(101)であって、前記自回線における地絡事故発生を検出すると、該自回線の電源端側に設けられた自回線遮断器(41)を遮断するためのトリップ信号(S1)を発生するトリップ信号発生回路(20)を具備し、該トリップ信号発生回路が、前記自回線の電源端から事故点に向かって流れる自回線零相電流(I01)および前記他回線の電源端から該事故点に向かって流れる他回線零相電流(I02)の差と該自回線零相電流および該他回線零相電流の和との比率に基づいて地絡事故を検出すると、動作時限を短くして前記トリップ信号を発生するトリップ信号発生手段を備えることを特徴とする。
ここで、前記トリップ信号発生手段が、前記他回線の電源端側に設置された隣回線遮断器(42)が遮断されていないことを条件に、前記比率に基づいて前記自回線における地絡事故発生を検出すると、動作時限を短くして前記トリップ信号を発生してもよい。
前記トリップ信号発生手段が、前記自回線零相電流と前記他回線零相電流との差を該自回線零相電流と該他回線零相電流と和で割った値を求め、該求めた値が閾値以上であると出力信号を出力する自回線事故判定回路(25)と、該自回線事故判定回路の出力信号と前記隣回線遮断器から入力される接点信号(SC2)との論理積をとる論理積回路(233)とを備えてもよい。
前記自回線事故判定回路が、前記対向端母線の背後に零相電源がある場合には、対向端背後の零相電源容量と電源端背後の零相電源容量との比を“k”とすると、前記自回線零相電流と前記他回線零相電流との差を該自回線零相電流と該他回線零相電流と和で割った値を更に“1+k”で割った値を求め、該求めた値が前記閾値以上であると出力信号を出力してもよい。
前記閾値が、前記自回線の電源端から対向端までのX%の区間を時限短縮保護区間とする場合には、“1−X/100”とされてもよい。
前記時限短縮保護区間が、前記自回線の電源端から対向端までの80〜85%までの区間とされてもよい。
前記他回線の電源端側に設置される他の地絡方向継電装置(102)が、前記地絡方向継電装置と同じ構成を有しかつ一体に構成されていてもよい。
本発明の第2の地絡方向継電装置は、電源端側の母線と対向端側の対向端母線との間に敷設された自回線(1L)および他回線(2L)からなる平衡2回線送電線の該自回線の対向端側に設置される地絡方向継電装置(301)であって、前記自回線における地絡事故発生を検出すると、該自回線の対向端側に設けられた自回線遮断器(43)を遮断するためのトリップ信号(S3)を発生するトリップ信号発生回路(40)を具備し、該トリップ信号発生回路が、対向端側において零相電流(I0)が前記他回線から前記自回線に回り込む比率に基づいて地絡事故を検出すると、動作時限を短くして前記トリップ信号を発生するトリップ信号発生手段を備えることを特徴とする。
前記トリップ信号発生手段が、前記他回線の対向端側に設置された隣回線遮断器(44)が遮断されていないことを条件に、前記比率に基づいて前記自回線における地絡事故発生を検出すると、動作時限を短くして前記トリップ信号を発生してもよい。
前記トリップ信号発生手段が、前記自回線の対向端から事故点に向かって流れる自回線零相電流(I03)と前記他回線の対向端から前記事故点に向かって流れる他回線零相電流(I04)との差の絶対値を該自回線零相電流の2倍の値で割った値を求め、該求めた値が第1の閾値よりも大きくて第2の閾値よりも小さいと出力信号を出力する自回線事故判定回路(45)と、該自回線事故判定回路の出力信号と前記隣回線遮断器から入力される接点信号(SC4)との論理積をとる論理積回路(433)とを備えてもよい。
前記第1および第2の閾値が、前記対向端の変流器誤差、リレー誤差および線路定数誤差を含む誤差に応じて決定されてもよい。
前記自回線事故判定回路が、前記対向端母線の背後に零相電源がある場合には、対向端背後の零相電源容量と電源端背後の零相電源容量との比を“k”とすると、前記自回線零相電流と前記他回零相電流との差の絶対値を該自回線零相電流の2倍の値で割った値に“1+k”を掛けた値を求め、該求めた値が閾値以上であると出力信号を出力してもよい。
前記閾値が、前記自回線の電源端から対向端までの時限短縮保護区間の長さに応じて決定されてもよい。
前記トリップ信号発生手段が、前記他回線の対向端側に設置された他の地絡方向継電装置(302)が不動作であることを条件に、動作時限を短くして前記トリップ信号を発生してもよい。
前記他回線の対向端側に設置される他の地絡方向継電装置(302)が、前記地絡方向継電装置と同じ構成を有しかつ一体に構成されていてもよい。
本発明の地絡方向継電装置は、以下に示す効果を奏する。
(1)平衡2回線送電線の電源端側に設置される地絡方向継電装置は、自回線の電源端から事故点に向かって流れる自回線零相電流および他回線の電源端から事故点に向かって流れる他回線零相電流の差と自回線零相電流および他回線零相電流の和との比率に基づいて地絡事故を検出すると動作時限を短くしてトリップ信号を発生するので、自回線において発生した地絡事故の除去時間を大幅に短縮することができる。
(2)平衡2回線送電線の対向端側に設置される地絡方向継電装置は、対向端側において零相電流が他回線から自回線に回り込む比率に基づいて地絡事故を検出すると動作時限を短くしてトリップ信号を発生するので、自回線において発生した地絡事故の除去時間を大幅に短縮することができる。
(3)事故継続時間も大幅に短縮するので、事故時の設備への悪影響を低減することができる。
(4)主保護継電装置を省略することも可能であるため、設備への投資コストの低減も図れる。
(5)対向端背後に零相電源がある場合には、対向端背後の零相電源容量と電源端背後の零相電源容量との比を考慮することにより、検出感度を変えずに地絡事故を除去することができる。
上記の目的を、自回線の電源端側に設置された地絡方向継電装置が自回線の電源端から事故点に向かって流れる自回線零相電流および他回線の電源端から事故点に向かって流れる他回線零相電流の比率に基づいて地絡事故を検出すると動作時限を短くしてトリップ信号を発生し、また、自回線の対向端側に設置された地絡方向継電装置が対向端側において零相電流が他回線から自回線に回り込む比率に基づいて地絡事故を検出すると動作時限を短くしてトリップ信号を発生することにより実現した。
以下、本発明の地絡方向継電装置の実施例について、図面を参照して説明する。
本発明の第1の実施例による地絡方向継電装置は、平衡2回線送電線の電源端側に設置される地絡方向継電装置であって、地絡事故発生時には平衡2回線送電線の電源端では事故回線の事故電流(第1の零相電流I01)の比率の方が健全回線の事故電流(第2の零相電流I02)の比率よりも大きくなることに着目し、健全回線の遮断器情報と、事故回線の事故電流および健全回線の事故電流の差と事故回線の事故電流および健全回線の事故電流の和との比率(前者を後者で割った値)とに基づいて地絡事故を検出すると、動作時限を短くしてトリップ信号を発生することを特徴とする。
したがって、図1に示す第1の電源端地絡方向継電装置101(本発明の第1の実施例による地絡方向継電装置)は、健全回線である他回線2Lの電源端側に設置された第2の遮断器42が遮断されておらず、かつ、(1)式に示す自回線事故判定条件に基づいて事故回線である自回線1Lにおける地絡事故発生を検出すると、第1の対向端地絡方向継電装置201の動作時限TDG3よりも短くなるように整定された第1の自回線事故判定時誤動作防止時間T41で第1のトリップ信号S1を発生する機能を備えている点で、図7に示した従来の第1の電源端地絡方向継電装置1101と相違する。
(I01−I02)/(I01+I02)≧0.2 (1)
ここで、閾値は時限短縮保護区間(すなわち、地絡事故に対して第1の自回線事故判定時誤動作防止時間T41で第1のトリップ信号S1を発生する自回線1Lの範囲)の長さに応じて決定され、自回線1Lの電源端から対向端までのX%の区間を時限短縮保護区間とする場合には、閾値=1−X/100とする。したがって、(1)式における閾値=0.2は、自回線1Lの電源端から対向端までの80%の区間を時限短縮保護区間とする場合に用いる。なお、時限短縮保護区間は、変流器誤差(CT誤差)、リレー誤差および線路定数誤差などの誤差を考慮すると、15〜20%程度のマージンが必要であるため、自回線1Lの電源端から対向端までの80〜85%までの区間とする。
また、第1の自回線事故判定時誤動作防止時間T41は、基本的には第1の零相自由振動誤動作防止時間T21と同じ目的で設定される(100ms程度に設定される)が、自回線事故判定時の瞬時変化を防止する機能も含む。
すなわち、第1の電源端地絡方向継電装置101は、第2の遮断器42から入力される第2の接点信号SC2がハイレベルであり(第2の遮断器42が遮断されていないことを示す。)、かつ、第1の零相変流器31から入力される第1の零相電流I01と第2の零相変流器32から入力される第2の零相電流I02との差(=I01−I02)を第1の零相電流I01と第2の零相電流I02と和(I01+I02)で割った値が閾値(=0.2)以上であることを条件に、第1のトリップ信号S1を第1の自回線事故判定時誤動作防止時間T41で発生する。
これを実現するために、第1の電源端地絡方向継電装置101は、図8に示したトリップ信号発生回路120の代わりに、図2に示すトリップ信号発生回路20を具備する。
トリップ信号発生回路20は、図2に示すように、リレー判定回路21と、第1乃至第4の遅延回路(タイマー)221〜224と、第1乃至第3の論理積回路231〜233と、論理和回路24と、自回線事故判定回路25とを備える。
リレー判定回路21は、図8に示したリレー判定回路131と同様に、第1の零相電流I01の大きさと電源端零相電圧V0aおよび第1の零相電流I01の位相関係とに基づいて自回線1Lに発生した地絡事故を検出すると、ハイレベルの出力信号を出力する。
第1の遅延回路221は、図8に示した第1の遅延回路1321と同様に、第1のOVG出力信号SOVG1を第1の時限協調時間T11だけ遅延する。
第1の論理積回路231は、図8に示した論理積回路133と同様に、リレー判定回路21の出力信号と第1の遅延回路221によって第1の時限協調時間T11だけ遅延された第1のOVG出力信号SOVG1との論理積をとる。
第2の遅延回路222は、図8に示した第2の遅延回路1322と同様に、第1の論理積回路231の出力信号を第1の零相自由振動誤動作防止時間T21だけ遅延する。
第3の遅延回路223は、図8に示した第3の遅延回路1323と同様に、第1のOVG出力信号SOVG1を第1のOVG遮断時間T31だけ遅延する。
第2の論理積回路232は、リレー判定回路21が地絡事故を検出していないとき(第1の電源端地絡方向継電装置101が動作していないとき)に第1のトリップ信号S1が誤って第1の自回線事故判定時誤動作防止時間T41で出力されないようにするためのものであり、リレー判定回路21の出力信号と第1のOVG出力信号SOVG1との論理積をとる。
自回線事故判定回路25は、第1の零相電流I01と第2の零相電流I02との差(=I01−I02)を第1の零相電流I01と第2の零相電流I02と和(I01+I02)で割った値を求め、求めた値が閾値(=0.2)以上であるとハイレベルの出力信号を出力する。
第3の論理積回路233は、第2の論理積回路232の出力信号と自回線事故判定回路25の出力信号と第2の接点信号SC2との論理積をとる。
第4の遅延回路224は、第3の論理積回路233の出力信号を第1の自回線事故判定時誤動作防止時間T41だけ遅延する。
論理和回路24は、第2の遅延回路222の出力信号と第3の遅延回路223の出力信号と第4の遅延回路224の出力信号との論理和をとる。
次に、図1に示す自回線1Lにおいて地絡事故が発生した場合のトリップ信号発生回路20の動作について、図3を参照して説明する。
自回線1Lにおいて時刻t0に地絡事故が発生すると、零相電流(第1乃至第3の零相電流I01〜I03)の向きが動作方向(内部方向)と同じである第1の電源端地絡方向継電装置101、第2の電源端地絡方向継電装置102および第1の対向端地絡方向継電装置1201が動作する(図7参照)。
したがって、第1の電源端地絡方向継電装置101が具備するトリップ信号発生回路20のリレー判定回路21は、電源端零相電圧V0aと第1の零相電流I01とに基づいて自回線1Lにおいて地絡事故が発生したと判定して、ハイレベルの出力信号を出力する。第1の地絡過電圧継電装置51は、電源端零相電圧V0aの大きさが整定値以上であると、ハイレベルの第1のOVG出力信号SOVG1を出力する。これにより、第2の論理積回路232の出力信号は、ロウレベルからハイレベルになる。
また、第1の零相電流I01と第2の零相電流I02との差(=I01−I02)を第1の零相電流I01と第2の零相電流I02と和(I01+I02)で割った値が“0.2”以上であると、自回線事故判定回路25は、自回線1Lにおいて地絡事故が発生したと判定して、ハイレベルの出力信号を出力する。
その結果、第2の遮断器42から入力される第2の接点信号SC2がハイレベルであると、第3の論理積回路233の出力信号は、ロウレベルからハイレベルになる。
第3の論理積回路233のハイレベルの出力信号は、第4の遅延回路224で第1の自回線事故判定時誤動作防止時間T41(100ms)だけ遅延されたのち、論理和回路24に入力される。これにより、論理和回路24の出力信号は、ロウレベルからハイレベルになる。
その結果、ハイレベルの第1のトリップ信号S1が、事故発生時刻t0から第1の電源端地絡方向継電装置101のリレー判定時間TRY(50ms)および第1の自回線事故判定時誤動作防止時間T41の合計時間(=50ms+100ms=150ms)経過後にトリップ信号発生回路20から第1の遮断器41に出力される。
このとき、第1の対向端地絡方向継電装置1201においても、図9および図10を参照して説明したように、事故発生時刻t0から第2の対向端地絡方向継電装置1202のリレー判定時間TRY(50ms)および動作時限TDG3(500ms)の合計時間(=50ms+500ms=550ms)だけ経過した時刻t2にハイレベルの第3のトリップ信号S3が第3の遮断器43に出力されるが、第1の自回線事故判定時誤動作防止時間T41は第1の対向端地絡方向継電装置1201の動作時限TDG3よりも短く整定されているため、ハイレベルの第1のトリップ信号S1は、図3に示すように、時刻t2よりも早い時刻t1aに出力される。
したがって、第1の遮断器41は、第3の遮断器43よりも早く、時刻t1aから遮断器遮断時間TCB(50ms)だけ経過した時刻t1bに完全に遮断される。その結果、図3に破線で示した従来の第1の電源端地絡方向継電装置1101の場合(図10参照)に比べて、第1の遮断器41をt5−t1b=TDG1−T41(=900ms−100ms=800ms)だけ早く遮断することができる。
第1の遮断器41が完全に遮断されると、事故電流は他回線2Lの電源端から事故点に向かってのみ流れるため、第1の対向端地絡方向継電装置1201が動作を続けて、第3の遮断器43が時刻t2から遮断器遮断時間TCB(50ms)だけ経過した時刻t3に完全に遮断される。したがって、第3の遮断器43は、図10に示した従来の場合と同じ時刻t3に完全に遮断される。
第2の電源端地絡方向継電装置102も第1の電源端地絡方向継電装置101と同様に構成することにより、他回線2Lにおいて地絡事故が発生した場合に、従来の第2の電源端地絡方向継電装置1102と比べて第2の遮断器42をTDG2−T42だけ早く遮断することができる。ここで、TDG2は第2の電源端地絡方向継電装置102の動作時限であり、T42は第2の電源端地絡方向継電装置102が具備するトリップ信号発生回路(図2に示したトリップ信号発生回路20と同様の構成を有する。)の第4の遅延回路に設定される第2の自回線事故判定時誤動作防止時間である。
なお、対向端母線の背後に零相電源がある場合には、(1)式に示した自回線事故判定条件の代わりに、対向端背後の零相電源容量(対向端母線背後の零相電源容量)と電源端背後の零相電源容量(母線背後の零相電源容量)との比k(零相電源容量=中性点接地抵抗(NGR)+中性点補償リアクトル(NGL))を考慮した(2)式に示す自回線事故判定条件を用いることにより、検出感度を変えずに地絡事故を除去することができる。
(I01−I02)/(I01+I02)/(1+k)≧0.2 (2)
ここで、k=(対向端背後の零相電源容量)/(電源端背後の零相電源容量)
この場合には、図2に示した自回線事故判定回路25は、第1の零相電流I01と第2の零相電流I02との差(=I01−I02)を第1の零相電流I01と第2の零相電流I02と和(I01+I02)で割った値を更に“1+k”で割った値を求め、求めた値が閾値(=0.2)以上であると、ハイレベルの出力信号を出力する。
また、短絡優先を考慮する場合には、母線に接続された不足電圧継電装置(不図示)の不動作条件を付加してもよい。この場合には、図2に示したトリップ信号発生回路20に、不足電圧継電装置の動作を示すハイレベルの不足電圧継電装置動作信号の極性を反転させるインバータ回路を追加し、このインバータ回路の出力信号を第3の論理積回路233に入力させて、第2の論理積回路232の出力信号と自回線事故判定回路25の出力信号と第2の接点信号SC2とインバータ回路の出力信号との論理積を第3の論理積回路233にとらせるようにすればよい。
以上の説明では、第1および第2の電源端地絡方向継電装置101,102を個々に構成したが、一体に構成してもよい。
次に、本発明の第2の実施例による地絡方向継電装置について、図4乃至図6を参照して説明する。
本実施例による地絡方向継電装置は、平衡2回線送電線の対向端側に設置される地絡方向継電装置であって、地絡事故発生時には平衡2回線送電線の対向端では事故電流(零相電流I0)が健全回線から事故回線に回り込むことに着目し、健全回線の遮断器情報と事故電流が健全回線から事故回線に回り込む比率とに基づいて地絡事故を検出すると、動作時限を短くしてトリップ信号を発生することを特徴とする。
したがって、図4に示す第1の対向端地絡方向継電装置301(本発明の第2の実施例による地絡方向継電装置)は、健全回線である他回線2Lの対向端側に設置された第4の遮断器44が遮断されておらず、かつ、(3)式に示す自回線事故判定条件に基づいて事故回線である自回線1Lにおける地絡事故発生を検出すると、第1の対向端地絡方向継電装置201の動作時限TDG3よりも短くなるように整定された第3の自回線事故判定時誤動作防止時間T43で第3のトリップ信号S3を発生する機能を備えている点で、図7に示した従来の第1の電源端地絡方向継電装置1201と相違する。
0.86<|I03−I04|/(I03×2)<1.18 (3)
ここで、2つの閾値(第1および第2の閾値)は対向端の変流器誤差(CT誤差)、リレー誤差および線路定数誤差などの誤差に応じて決定される。(3)に示した第1の閾値=0.86および第2の閾値=1.18はこの誤差を±15%とする場合に用いる。なお、この誤差を±10%とする場合には、第1の閾値は“0.9”とし、第2の閾値は“1.12”とする。
また、第3の自回線事故判定時誤動作防止時間T43は、第1の自回線事故判定時誤動作防止時間T41と同様の目的で設定される。
すなわち、第1の対向端地絡方向継電装置301は、第4の遮断器44から入力される第4の接点信号SC4がハイレベルであり(第4の遮断器44が遮断されていないことを示す。)、かつ、第3の零相変流器33から入力される第3の零相電流I03と第4の零相変流器34から入力される第4の零相電流I04との差の絶対値(=|I03−I04|)を第3の零相電流I03の2倍の値(I03×2)で割った値が第1の閾値(0.86)よりも大きくて第2の閾値(=1.18)よりも小さいことを条件に、第3のトリップ信号Sを第3の自回線事故判定時誤動作防止時間T43で発生する。
これを実現するために、第1の対向端地絡方向継電装置301は、図9に示したトリップ信号発生回路140の代わりに、図5に示すトリップ信号発生回路40を具備する。
トリップ信号発生回路40は、図5に示すように、リレー判定回路41と、第1乃至第4の遅延回路(タイマー)421〜424と、第1乃至第3の論理積回路431〜433と、論理和回路44と、自回線事故判定回路45とを備える。
リレー判定回路41は、図9に示したリレー判定回路141と同様に、第3の零相電流I03の大きさと対向端零相電圧V0bおよび第3の零相電流I03の位相関係とに基づいて自回線1Lに発生した地絡事故を検出すると、ハイレベルの出力信号を出力する。
第1の遅延回路421は、図9に示した第1の遅延回路1421と同様に、第2のOVG出力信号SOVG2を第3の時限協調時間T13だけ遅延する。
第1の論理積回路431は、図9に示した論理積回路143と同様に、リレー判定回路41の出力信号と第1の遅延回路421によって第3の時限協調時間T13だけ遅延された第2のOVG出力信号SOVG2との論理積をとる。
第2の遅延回路422は、図9に示した第2の遅延回路1422と同様に、第1の論理積回路431の出力信号を第3の零相自由振動誤動作防止時間T23だけ遅延する。
第3の遅延回路423は、図9に示した第3の遅延回路1423と同様に、第2のOVG出力信号SOVG2を第3のOVG遮断時間T33だけ遅延する。
第2の論理積回路432は、リレー判定回路41が地絡事故を検出していないとき(第1の対向端地絡方向継電装置301が動作していないとき)に第3のトリップ信号S3が誤って第3の自回線事故判定時誤動作防止時間T43で出力されないようにするためのものであり、リレー判定回路41の出力信号と第2のOVG出力信号SOVG2との論理積をとる。
自回線事故判定回路45は、第3の零相電流I03と第4の零相電流I04との差の絶対値(=|I03−I04|)を第3の零相電流I03の2倍の値(I03×2)で割った値を求め、求めた値が第1の閾値(0.86)よりも大きくて第2の閾値(=1.18)よりも小さいとハイレベルの出力信号を出力する。
第3の論理積回路433は、第2の論理積回路432の出力信号と自回線事故判定回路45の出力信号と第4の接点信号SC4との論理積をとる。
第4の遅延回路424は、第3の論理積回路433の出力信号を第3の自回線事故判定時誤動作防止時間T43だけ遅延する。
論理和回路24は、第2の遅延回路222の出力信号と第3の遅延回路223の出力信号と第4の遅延回路224の出力信号との論理和をとる。
次に、図4に示す自回線1Lにおいて地絡事故が発生した場合のトリップ信号発生回路40の動作について、図6を参照して説明する。
自回線1Lにおいて時刻t0に地絡事故が発生すると、零相電流(第1乃至第4の零相電流I01〜I04)の向きが動作方向(内部方向)と同じである第1の電源端地絡方向継電装置1101、第2の電源端地絡方向継電装置1102および第1の対向端地絡方向継電装置301が動作する(図7参照)。
したがって、第1の対向端地絡方向継電装置301が具備するトリップ信号発生回路40のリレー判定回路41は、対向端零相電圧V0bと第3の零相電流I03とに基づいて自回線1Lにおいて地絡事故が発生したと判定して、ハイレベルの出力信号を出力する。第2の地絡過電圧継電装置52は、対向端零相電圧V0bの大きさが整定値以上であると、ハイレベルの第2のOVG出力信号SOVG2を出力する。これにより、第2の論理積回路432の出力信号は、ロウレベルからハイレベルになる。
また、第3の零相電流I03と第4の零相電流I04との差の絶対値(=|I03−I04|)を第3の零相電流I03の2倍の値(I03×2)で割った値が“0.86”よりも大きくて“1.18”よりも小さいと、自回線事故判定回路45は、自回線1Lにおいて地絡事故が発生したと判定して、ハイレベルの出力信号を出力する。
その結果、第4の遮断器44から入力される第4の接点信号SC4がハイレベルであると、第3の論理積回路433の出力信号は、ロウレベルからハイレベルになる。
第3の論理積回路433のハイレベルの出力信号は、第4の遅延回路424で第3の自回線事故判定時誤動作防止時間T43(100ms)だけ遅延されたのち、論理和回路44に入力される。これにより、論理和回路44の出力信号は、ロウレベルからハイレベルになる。
その結果、ハイレベルの第3のトリップ信号S3が、事故発生時刻t0から第1の対向端地絡方向継電装置301のリレー判定時間TRY(50ms)および第3の自回線事故判定時誤動作防止時間T43の合計時間(=50ms+100ms=150ms)経過後にトリップ信号発生回路40から第3の遮断器43に出力される。
このとき、第3の自回線事故判定時誤動作防止時間T43は第1の対向端地絡方向継電装置301の動作時限TDG3よりも短く整定されているため、ハイレベルの第3のトリップ信号S3は、図6に示すように、時刻t2よりも早い時刻t1aに出力される。
したがって、第3の遮断器43は、時刻t1aから遮断器遮断時間TCB(50ms)だけ経過した時刻t1bに完全に遮断される。その結果、図6に破線で示した従来の第1の対向端地絡方向継電装置1201の場合(図10参照)に比べて、第3の遮断器43をt3−t1b=TDG3−T43=500ms−100ms=400msだけ早く遮断することができる。
第2の対向端地絡方向継電装置302も第1の対向端地絡方向継電装置301と同様に構成することにより、他回線2Lにおいて地絡事故が発生した場合に、従来の第2の対向端地絡方向継電装置1202と比べて第4の遮断器44をTDG4−T44だけ早く遮断することができる。ここで、TDG4は第2の対向端地絡方向継電装置302の動作時限であり、T44は第2の対向端地絡方向継電装置302が具備するトリップ信号発生回路(図5に示したトリップ信号発生回路40と同様の構成を有する。)の第4の遅延回路に設定される第4の自回線事故判定時誤動作防止時間である。
なお、対向端母線の背後に零相電源がある場合には、(3)式に示した自回線事故判定条件の代わりに、対向端背後の零相電源容量(対向端母線背後の零相電源容量)と電源端背後の零相電源容量(母線背後の零相電源容量)との比k(零相電源容量=中性点接地抵抗(NGR)+中性点補償リアクトル(NGL))を考慮した(4)式に示す自回線事故判定条件を用いることにより、検出感度を変えずに地絡事故を除去することができる。
0.55≦|I03−I04|/(I03×2)×(1+k) (4)
ここで、k=(対向端背後の零相電源容量)/(電源端背後の零相電源容量)
この場合には、図5に示した自回線事故判定回路45は、第3の零相電流I03と第4の零相電流I04との差の絶対値(=|I03−I04|)を第3の零相電流I03の2倍の値(I03×2)で割った値に“1+k”を掛けた値を求め、求めた値が閾値(=0.55)以上であるとハイレベルの出力信号を出力する。
なお、閾値は、時限短縮保護区間(すなわち、地絡事故に対して第3の自回線事故判定時誤動作防止時間T43で第3のトリップ信号S3を発生する自回線1Lの範囲)の長さに応じて決定される。(4)式における閾値=0.55は、自回線1Lの電源端から対向端までの80%の区間を時限短縮保護区間とする場合に用いる。なお、自回線1Lの電源端から対向端までの85%の区間を時限短縮保護区間とする場合には、閾値は“0.45”とする。
また、対向端母線の背後に零相電源がない場合または対向端母線の背後の零相電源が小さい場合には、他回線の対向端側に設置された第2の対向端地絡方向継電装置302の不動作条件を付加してもよい。この場合には、図5に示したトリップ信号発生回路40に、たとえば第2の対向端地絡方向継電装置302から出力される第4のトリップ信号S4の極性を反転させるインバータ回路を追加し、このインバータ回路の出力信号を第3の論理積回路433に入力させて、第2の論理積回路432の出力信号と自回線事故判定回路45の出力信号と第4の接点信号SC4とインバータ回路の出力信号との論理積を第3の論理積回路433にとらせるようにすればよい。
さらに、短絡優先を考慮する場合には、対向端母線に接続された不足電圧継電装置(不図示)の不動作条件を付加してもよい。この場合には、図5に示したトリップ信号発生回路40に、この不足電圧継電装置の動作を示すハイレベルの不足電圧継電装置動作信号の極性を反転させる他のインバータ回路を追加し、この他のインバータ回路の出力信号を第3の論理積回路433に入力させて、第2の論理積回路432の出力信号と自回線事故判定回路45の出力信号と第4の接点信号SC4と他のインバータ回路の出力信号との論理積を第3の論理積回路433にとらせるようにすればよい。
以上の説明では、第1および第2の対向端地絡方向継電装置301,302を個々に構成したが、一体に構成してもよい。
図2に示した第1乃至第4の遅延回路221〜224などの遅延回路は、入力信号を所定の時間だけ遅延する回路で構成してもよいし、入力信号が入力されると所定の回数だけカウントしたのちに出力信号を出力するタイマーで構成してもよい。
本発明の第1の実施例による地絡方向継電装置である第1の電源端地絡方向継電装置101について説明するための図である。 図1に示した第1の電源端地絡方向継電装置101が具備するトリップ信号発生回路20の構成を示すブロック図である。 図1に示す自回線1Lにおいて地絡事故が発生した場合の図2に示したトリップ信号発生回路20の動作について説明するための図である。 本発明の第2の実施例による地絡方向継電装置である第1の対向端地絡方向継電装置301について説明するための図である。 図4に示した第1の対向端地絡方向継電装置301が具備するトリップ信号発生回路40の構成を示すブロック図である。 図4に示す自回線1Lにおいて地絡事故が発生した場合の図5に示したトリップ信号発生回路40の動作について説明するための図である。 地絡方向継電装置が平衡2回線送電線において後備保護として用いられていることを説明するための図である。 図7に示した第1の電源端地絡方向継電装置1101が具備するトリップ信号発生回路130の構成を示すブロック図である。 図7に示した第1の対向端地絡方向継電装置1201が具備するトリップ信号発生回路140の構成を示すブロック図である。 自回線1Lにおいて地絡事故が発生したときの図7に示した第1の電源端地絡方向継電装置1101および第1の対向端地絡方向継電装置1201の動作について説明するための図である。
符号の説明
1 電源
1,22 第1および第2の接地形計器用変圧器
1〜34 第1乃至第4の零相変流器
1〜44 第1乃至第4の遮断器
1,52 第1および第2の地絡過電圧継電装置
101,102,1101,1102 第1および第2の電源端地絡方向継電装置
20,40,130,140 トリップ信号発生回路
21,41,131,141 リレー判定回路
221〜224,421〜424 第1乃至第4の遅延回路
231〜233,431〜433 第1乃至第3の論理積回路
24,44,134,144 論理和回路
25,45 自回線事故判定回路
301,302,1201,1202 第1および第2の対向端地絡方向継電装置
1321〜1323,1421〜1423 第1乃至第3の遅延回路
133,143 論理積回路
1L 自回線
2L 他回線
0a 電源端零相電圧
0b 対向端零相電圧
01〜I04 第1乃至第4の零相電流
1〜S4 第1乃至第4のトリップ信号
OVG1,SOVG2 第1および第2のOVG出力信号
C1〜SC4 第1乃至第4の接点信号
T11〜T14 第1乃至第4の時限協調時間
T21〜T24 第1乃至第4の零相自由振動誤動作防止時間
T31〜T34 第1乃至第4のOVG遮断時間
T41〜T44 第1乃至第4の自回線事故判定時誤動作防止時間
DG1〜TDG4 動作時限
RY リレー処理時間
CB 遮断器遮断時間
0〜t5,t1a,t1b 時刻

Claims (15)

  1. 電源端側の母線と対向端側の対向端母線との間に敷設された自回線(1L)および他回線(2L)からなる平衡2回線送電線の該自回線の電源端側に設置される地絡方向継電装置(101)であって、
    前記自回線における地絡事故発生を検出すると、該自回線の電源端側に設けられた自回線遮断器(41)を遮断するためのトリップ信号(S1)を発生するトリップ信号発生回路(20)を具備し、
    該トリップ信号発生回路が、前記自回線の電源端から事故点に向かって流れる自回線零相電流(I01)および前記他回線の電源端から該事故点に向かって流れる他回線零相電流(I02)の差と該自回線零相電流および該他回線零相電流の和との比率に基づいて地絡事故を検出すると、動作時限を短くして前記トリップ信号を発生するトリップ信号発生手段を備える、
    ことを特徴とする、地絡方向継電装置。
  2. 前記トリップ信号発生手段が、前記他回線の電源端側に設置された隣回線遮断器(42)が遮断されていないことを条件に、前記比率に基づいて前記自回線における地絡事故発生を検出すると、動作時限を短くして前記トリップ信号を発生することを特徴とする、請求項1記載の地絡方向継電装置。
  3. 前記トリップ信号発生手段が、
    前記自回線零相電流と前記他回線零相電流との差を該自回線零相電流と該他回線零相電流と和で割った値を求め、該求めた値が閾値以上であると出力信号を出力する自回線事故判定回路(25)と、
    該自回線事故判定回路の出力信号と前記隣回線遮断器から入力される接点信号(SC2)との論理積をとる論理積回路(233)と、
    を備えることを特徴とする、請求項2記載の地絡方向継電装置。
  4. 前記自回線事故判定回路が、前記対向端母線の背後に零相電源がある場合には、対向端背後の零相電源容量と電源端背後の零相電源容量との比を“k”とすると、前記自回線零相電流と前記他回線零相電流との差を該自回線零相電流と該他回線零相電流と和で割った値を更に“1+k”で割った値を求め、該求めた値が前記閾値以上であると出力信号を出力することを特徴とする、請求項3記載の地絡方向継電装置。
  5. 前記閾値が、前記自回線の電源端から対向端までのX%の区間を時限短縮保護区間とする場合には、“1−X/100”とされることを特徴とする、請求項3または4記載の地絡方向継電装置。
  6. 前記時限短縮保護区間が、前記自回線の電源端から対向端までの80〜85%までの区間とされることを特徴とする、請求項5記載の地絡方向継電装置。
  7. 前記他回線の電源端側に設置される他の地絡方向継電装置(102)が、前記地絡方向継電装置と同じ構成を有しかつ一体に構成されていることを特徴とする、請求項1乃至6いずれかに記載の地絡方向継電装置。
  8. 電源端側の母線と対向端側の対向端母線との間に敷設された自回線(1L)および他回線(2L)からなる平衡2回線送電線の該自回線の対向端側に設置される地絡方向継電装置(301)であって、
    前記自回線における地絡事故発生を検出すると、該自回線の対向端側に設けられた自回線遮断器(43)を遮断するためのトリップ信号(S3)を発生するトリップ信号発生回路(40)を具備し、
    該トリップ信号発生回路が、対向端側において零相電流(I0)が前記他回線から前記自回線に回り込む比率に基づいて地絡事故を検出すると、動作時限を短くして前記トリップ信号を発生するトリップ信号発生手段を備える、
    ことを特徴とする、地絡方向継電装置。
  9. 前記トリップ信号発生手段が、前記他回線の対向端側に設置された隣回線遮断器(44)が遮断されていないことを条件に、前記比率に基づいて前記自回線における地絡事故発生を検出すると、動作時限を短くして前記トリップ信号を発生することを特徴とする、請求項8記載の地絡方向継電装置。
  10. 前記トリップ信号発生手段が、前記自回線の対向端から事故点に向かって流れる自回線零相電流(I03)と前記他回線の対向端から前記事故点に向かって流れる他回線零相電流(I04)との差の絶対値を該自回線零相電流の2倍の値で割った値を求め、該求めた値が第1の閾値よりも大きくて第2の閾値よりも小さいと出力信号を出力する自回線事故判定回路(45)と、
    該自回線事故判定回路の出力信号と前記隣回線遮断器から入力される接点信号(SC4)との論理積をとる論理積回路(433)と、
    を備えることを特徴とする、請求項8または9記載の地絡方向継電装置。
  11. 前記第1および第2の閾値が、前記対向端の変流器誤差、リレー誤差および線路定数誤差を含む誤差に応じて決定されることを特徴とする、請求項10記載の地絡方向継電装置。
  12. 前記自回線事故判定回路が、前記対向端母線の背後に零相電源がある場合には、対向端背後の零相電源容量と電源端背後の零相電源容量との比を“k”とすると、前記自回線零相電流と前記他回零相電流との差の絶対値を該自回線零相電流の2倍の値で割った値に“1+k”を掛けた値を求め、該求めた値が閾値以上であると出力信号を出力することを特徴とする、請求項8または9記載の地絡方向継電装置。
  13. 前記閾値が、前記自回線の電源端から対向端までの時限短縮保護区間の長さに応じて決定されることを特徴とする、請求項12記載の地絡方向継電装置。
  14. 前記トリップ信号発生手段が、前記他回線の対向端側に設置された他の地絡方向継電装置(302)が不動作であることを条件に、動作時限を短くして前記トリップ信号を発生することを特徴とする、請求項8乃至13いずれかに記載の地絡方向継電装置。
  15. 前記他回線の対向端側に設置される他の地絡方向継電装置(302)が、前記地絡方向継電装置と同じ構成を有しかつ一体に構成されていることを特徴とする、請求項8乃至14いずれかに記載の地絡方向継電装置。
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