JP3940492B2 - ディジタル形保護継電器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力系統の保護に用いられるディジタル形保護継電器の内、特に励磁突入電流対策を施した変圧器の保護に好適なディジタル形保護継電器に関する。
【0002】
【従来の技術】
図13は従来のディジタル形保護継電器を電力用変圧器に適用した例である。
【0003】
図13において、電力系統電源100に接続する電力系統ライン101には、電力用変圧器102が遮断器103を介して設置されており、電力用変圧器102の一次側102aに変流器(CT)104が設けられ、二次側102bに変流器(CT)105が設けられている。さらに、電力系統ライン101には、電圧変成器106が設けられ、変流器(CT)104と変流器(CT)105と電圧変成器106がディジタル形保護継電器1へ接続されている。
【0004】
図14は、従来のディジタル形保護継電器(差動リレー)1の構成図であり、ディジタル形保護継電器1の中央演算処理部(CPU)において実行される演算処理を説明する機能ブロック図を示している。
【0005】
図14において、変成器2を介してディジタル形保護継電器(差動リレー)1に導入された交流入力電流I1,I2または交流入力電圧Vを一定時間間隔でサンプリングし、ディジタル量に変換する。
【0006】
中央処理装置(CPU)4では、ディジタル量に変換された交流入力電流I1,I2,交流入力電圧Vを用いて、ディジタル演算処理を行う。中央処理装置(CPU)4は、差動要素部5と励磁突入電流対策要素部6とからなっている。
【0007】
差動要素部5の振幅値演算部11,12は交流入力電流I1,I2各々から基本波1fを抽出して振幅値|I1|,|I2|を求める演算処理を行う。また、抑制電流演算部13は、振幅値|I1|,|I2|のスカラー和(抑制電流=抑制量)Σ|I|を求める演算処理を行う。
【0008】
また、差動要素部5の差動電流演算部14は交流入力電流I1,I2のベクトル和(差動電流=動作量)である差動電流Idを求める演算処理を行う。基本波(1f)振幅値演算部15は、差動電流Idから基本波1fを抽出して振幅値|Id1f|を求める演算処理を行う。差動判定演算部16は抑制電流Σ|I|と1fの振幅値|Id1f|の関係が所定値以上になった時に内部事故と判断して出力する差動判定処理を行う。
【0009】
また、励磁突入電流対策要素部6の第2調波(2f)振幅値演算部17は、差動電流Idから第2調波2fを抽出して2fの振幅値|Id1f|を求める演算処理を行う。第2調波(2f)判定演算部18は、差動電流Idに含有される基本波1fと第2調波2fの関係が所定値以上になった時に励磁突人電流と判断して出力する第2調波判定(2f判定)処理を行う。電圧振幅値演算部19は、端子電圧の振幅値|V|を求める演算処理を行う。過電圧(OV)判定演算部20は、電圧振幅値|V|が所定値以上となった時に出力する過電圧判定(OV判定)処理を行う。
【0010】
さらに、AND演算部21は、第2調波(2f)判定演算部18の出力信号と過電圧(OV)判定演算部20の出力信号との論理積をとるAND演算処理を行う。NOT演算部22は、AND演算21の出力信号を反転させる処理を行う。AND演算部23は差動判定演算部16の出力信号とNOT演算部22の出力信号との論理積をとる処理を行う。
【0011】
以上の構成で、交流入力電流I1,I2が変成器2を通してA/D変換器3にてディジタル量へ変換された後、差動要素部5に導入される。差動要素部5に導入された交流入力電流I1,I2が振幅値演算部11,12を通して抑制電流演算部13にて抑制電流Σ|I|=|I1|+|I2|算出する。また、差動電流演算部14において差動電流Id=I1+I2を算出する。
【0012】
次に、差動電流Idが基本波(1f)振幅値演算部15及び励磁突入電流対策要素部6に各々導入される。この時、負過電流及び外部事故時の通過電流による差動電流Idは零となり、内部事故時は事故電流に応じた差動電流Idが発生する。
【0013】
基本波(1f)振幅値演算部15では、差動電流Idから基本波1fを抽出して基本波1fの振幅値|Id1f|を出力する。振幅値|Id1f|と抑制電流Σ|I|は差動判定演算部16に導入される。
【0014】
差動判定演算部16は、次の式(1)による条件が成立するか否かを判定する。
【0015】
|Id1f|−AΣ|I|≧B …(1)
ここで、|Id1f|:基本波1f振幅値
Σ|I|:抑制電流
A:定数
B:定数
【0016】
上記式(1)の条件が成立するとき、差動判定演算部16が変圧器の内部事故と判定して差動要素信号をAND演算部23へ出力する。
【0017】
一方、励磁突入電流対策要素部6へ導入された差動電流Idが第2調波(2f)振幅値演算部17に導入される。第2調波(2f)振幅値演算部17では、差動電流Idから第2調波2fを抽出して第2調波(2f)振幅値|Id2f|を出力し、第2調波(2f)判定演算部18に導入される。第2調波(2f)判定演算部18へは差動要素部5にて演算された差動電流Idの第1調波(2f)振幅値|Id1f|も導入される。
【0018】
第2調波(2f)判定演算部18では、次の式(2)の条件が成立するか否か判定する。
【0019】
|Id2f|/|Id1f|≧C …(2)
ここで、|Id2f|:差動電流に含まれる第2調波振幅値
|Id1f|:差動電流に含まれる第1調波振幅値
C:定数
【0020】
上記式(2)が成立するとき、励磁突入電流と判断し、励磁突入電流判定信号をAND演算部21へ出力する。
【0021】
一方、交流入力電圧Vが変成器2を通してA/D変換器3にてディジタル量に変換された後、励磁突入電流対策要素部6に導入される。励磁突入電流対策要素部6に導入された交流入力電圧Vは、電圧振幅値演算部19によって電圧振幅値|V|を算出する。電圧振幅値|V|は過電圧(OV)判定演算部20に導入され電圧振幅値|V|が所定値以上になったときに過電圧(OV)判定演算部20がOV判定信号をAND演算部21へ出力する。
【0022】
第2調波(2f)判定演算部18および過電圧(OV)判定演算部20が共に出力すると、AND演算部21により、励磁突入電流対策要素信号が出力される。励磁突入電流対策要素信号が出力されると、その出力がNOT演算部22を通して差動要素信号の出力をロックしディジタル形保護継電器(差動リレー)1としての動作を防止できる。
【0023】
ここで、変圧器励磁突入電流対策の必要性を述べる。
【0024】
図13の遮断器103を閉路することにより、電力用変圧器102に電圧が印加され、変圧器鉄心の磁化特性に基づく励磁突入電流が流れる。この励磁突入電流は見かけ上電力用変圧器102の内部事故の如く、電源100側より流入し、ディジタル形保護継電器(差動リレー)1の動作量(差動電流Id)となるため、ディジタル形保護継電器(差動リレー)1の誤動作(事故でないのに動作する)の原因となる。
【0025】
従って、励磁突入電流と実際の事故による電流とを区別する必要があり、その手段として、励磁突入電流には第2調波2fが多く含まれる特徴に着目して、差動電流Idに含まれる基本波1fに対する第2調波2fの割合が所定値(一般には15%程度がよく用いられる)以上の時には励磁突入電流と判断して出力する第2調波検出要素(以下、2f要素と称す)を励磁突入電流対策要素としている。
【0026】
さらに、2f要素に加え、被保護対象の端子電圧が所定他以上であれば出力する過電圧検出要素(以下、OV要素と称す)を併用し、励磁突入電流対策要素としている。
【0027】
これにより、励磁突入電流の時には2f要素およびOV要素が共に動作し、差動要素部5の出力をロックし、ディジタル形保護継電器(差動リレー)1の誤動作を防止している。
【0028】
一方、変圧器内部事故時において、系統現象による低次高調波電流が発生し、2f要素が動作した場合でも、内部事故時には系統電圧が低下するため、OV要素は不動作となり、差動要素をロックしないため、ディジタル形保護継電器(差動リレー)1が誤不動作となることは無い。
【0029】
このように、従来の変圧器保護においては差動電流により変圧器の事故を検出する差動リレーが用いられており、変圧器励磁突入電流によって差動リレーが動作しないように、励磁突入電流に含まれる第2調波電流を検出し、その含有率が所定値以上になった時に出力する2f要素およびOV要素とによりリレー動作を防止する励磁突入電流対策要素を備えたものである。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、同じ差動電流で判定を行う差動要素と2f要素の復帰側の時間協調を行ったとしても、図15に示すように、OV要素は系統電圧の変化に対して即応動する必要があるため、変圧器励磁突入電流による差動要素動作中に、外部事故により電流,電圧が遮断された時に、OV要素の方が、差動要素よりも先に復帰する場合があり、この時、差動リレーが不要動作となる可能性があった。
【0031】
図15に示す例では、時刻t1以前には、励磁突入電流に起因して差動判定演算部16と2f判定信号18とがON状態となっている。そして、OV判定信号20がON状態であって、これによってAND演算部21からON信号が出力されNOT演算部22からOFF信号が出力されてAND演算部23からの差動要素信号の出力による保護指令を阻止している。ところが、時刻t1に外部事故が発生し、電流、電圧が遮断され、まず、即応動するOV判定信号20が時刻t2にOFF信号となると、AND演算部21からのOFF信号がNOT演算部22でON信号となって、AND演算部23からON信号が出力される。このため保護指令41が誤出力される。その後遅れて差動判定信号16のOFFで保護信号41が不出力となる。
【0032】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、変圧器励磁突入電流および外部事故では確実に不動作となり、変圧器内部事故に対しては確実に動作するディジタル形保護継電器を提供することを目的としている。
【0033】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、被保護対象の交流電流を導入して、差動電流と抑制電流を演算し、差動電流と抑制電流とによる合成電気量が所定値以上であるときに電圧判定信号を出力する差動要素手段と、前記差動電流に含有される第1調波電流に対する第2調波電流の割合が所定値以上になったとき第2調波判定信号を出力する第2調波判定演算部と、前記被保護対象の端子電圧の電圧振幅値が所定値以上であるときに電圧判定信号を出力する過電圧判定演算部とを備え、前記差動要素出力信号と前記第2調波判定信号と前記電圧判定信号との状態に基づき前記差動要素出力信号に時間協調させて出力阻止信号を出力する励磁突入電流対策要素手段と、を具備し、前記差動要素信号が出力されかつ前記出力阻止信号が出力されないときに保護指令出力することを特徴とするディジタル形保護継電器である。
【0034】
請求項2の発明は、請求項1記載のディジタル形保護継電器において、前記励磁突入電流対策要素手段は、前記差動要素信号を入力とするオンディレータイマと、前記オンディレータイマの出力信号に応動し、かつ前記電圧判定信号を入力とするオフディレータイマと、前記オフディレータイマの出力信号と前記電圧判定信号との論理和を演算する論理和演算部とを具備し、前記論理和演算部の出力信号と前記第2調波判定信号との論理積を演算し出力阻止信号として出力することを特徴とする。
【0035】
請求項3の発明は、請求項1記載のディジタル形保護継電器において、前記励磁突入電流対策要素手段は、前記第2調波判定信号と前記電圧判定信号との論理積を演算する論理積演算部と、前記差動要素信号を入力とするオンディレータイマと、前記オンティレータイマの出力信号に応動し、かつ前記論理積演算部の出力信号を入力とするオフディレータイマとを具備し、前記オフディレータイマの出力信号と前記論理積演算部の出力信号との論理和を演算し出力阻止信号として出力することを特徴とする。
【0036】
請求項4の発明は、被保護対象の交流電流を導入して、差動電流と抑制電流を演算し、差動電流と抑制電流による合成電気量が所定値以上であるときに差動要素信号を出力する差動要素手段と、前記差動電流に含有される第1調波電流に対する第2調波電流の割合が所定値以上になったとき第2調波判定信号を出力する第2調波判定演算部と、前記被保護対象の端子電圧の電圧振幅値が所定値以上であるときに電圧判定信号を出力する過電圧判定演算部と、前記差動電流の振幅値が過去の振幅値より所定値以下となったとき変化幅過電流判定信号を出力する変化幅過電流判定演算部と、を備え、前記変化幅過電流判定信号と前記第2調波判定信号と前記電圧判定信号との状態に基づき前記差動要素出力信号に協調させて出力阻止信号を出力する励磁突入電流対策要素手段と、を具備し、前記差動要素信号が出力されかつ前記出力阻止信号が出力されないときに保護指令出力することを特徴とするディジタル形保護継電器である。
【0037】
請求項5の発明は、請求項4記載のディジタル形保護継電器において、前記励磁突入電流対策要素手段は、前記変化幅過電流判定信号の出力信号に応動し、かつ前記電圧判定信号を入力とするオフディレータイマと、前記オフディレータイマの出力信号と前記電圧判定信号との論理和を演算する論理和演算部とを具備し、前記論理和演算部の出力信号と前記第2調波判定信号との論理積を演算し出力阻止信号として出力することを特徴とする。
【0038】
請求項6の発明は、請求項4記載のディジタル形保護継電器において、前記励磁突入電流対策要素手段は、前記第2調波判定信号と前記電圧判定信号との論理積を演算する論理積演算部と、前記変化幅過電流判定信号の出力信号に応動し、かつ、前記論理積演算部の出力信号を入力とするオフディレータイマとを具備し、前記オフディレータイマの出力信号と前記論理積演算部の出力信号との論理和を演算し出力阻止信号として出力することを特徴とする。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0040】
図1は本発明の第1実施の形態を示す構成図である。
【0041】
図1において、複数端子を有する変圧器をはさんで各相毎の入力電流を導入し、導入され交流入力電流I1,I2は、変成器2を通してA/D変換器3にて一定時間間隔でサンプリングしたディジタル量に変換される。
【0042】
一方、被保護対象の変圧器の端子電圧を導入し、導入された入力電圧Vは、変成器2を通してA/D変換器3にて一定時間間隔でサンプリングしたディジタル量に変換される。
【0043】
ディジタル量に変換された交流入力電流は、差動要素部5に導入され、振幅値演算部11,12において交流入力電流I1,I2の各々の基本波1fの振幅値|I1|,|I2|を算出し、抑制電流演算部13にてΣ|I|=|I1|+|I2|を算出する。また、ディジタル量に変換された入力電流は、差動電流演算部14においてId=I1+I2を算出し、基本波(1f)振幅値演算部15において差動電流Idの基本波1fの振幅値|Id1f|算出する。差動判定演算部16では、抑制電流Σ|I|と差動電流Idの1fの振幅値|Id1f|は抑制電流Σ|I|と1fの振幅値|Id1f|の関係が所定値以上である時に出力する差動判定信号をAND演算部23へ出力する。
【0044】
差動要素部5において算出された差動電流Idと振幅値|Id1f|が、励磁突入電流対策要素部6Aにも導入される。差動電流Idは第2調波(2f)振幅値演算部17に導入される。第2調波(2f)振幅値演算部17は差動電流Idの第2調波(2f)の振幅値|Id2f|を算出する。
【0045】
第2調波(2f)判定演算部18は差動電流Idに含まれる第1調波振幅値|Id1f|と差動電流に含まれる第2調波振幅値|Id2f|は第1調波1fに対する第2調波2fの割合が所定値以上である時に出力する。
【0046】
一方、ディジタル量に変換された端子電圧Vは、励磁突入電流対策要素部6Aに導入され、電圧振幅値演算部19は、振幅値を検出するための演算を行って電圧振幅値|V|を出力する。この場合、電圧振幅値|V|は所定値以上である時に出力して過電圧(OV)判定演算部20に導入される。過電圧(OV)判定演算部20の出力は、復帰遅延タイマ24とOR演算部25に導入される。復帰遅延タイマ24は、差動要素部5の出力により、その信号の入力から一定時間後に所定のタイマ時間をセットするとともに、過電圧(OV)判定演算部20の出力が有ることを条件に出力し、差動要素部5の出力がない時にはタイマ時間及び出力をリセットする。
【0047】
OR演算部25は、復帰遅延タイマ24の出力と過電圧(OV)判定演算部20の出力との論理和をとり、この結果を出力する。AND演算部21は、OR演算部25の出力と第2調波(2f)判定演算部18の出力との論理積をとり、この結果を出力する。AND演算部21の出力をNOT演算部22にて反転させ、差動要素部5の出力とのAND演算部23を行う。
【0048】
ここで、復帰遅延タイマ24について具体的に説明する。
【0049】
復帰遅延タイマ24は、図2に示すように差動要素信号がON信号となったときタイマスタートして第1所定時間(t1)後にタイマをセットしてタイマをONとしてON状態維持し、差動要素信号がOFFとなるとタイマをOFF状態とするオンディレータイマ24Aと、このオンディレータイマ24AのON信号を応動し、かつ、過電圧判定信号がON信号のとき、タイマをON信号とし、過電圧判定信号がOFFとなると、第2所定時間(t2)後にタイマをOFF信号とするオフディレータイマ24Bとから構成される。
【0050】
この構成で、図3に示すように時刻t1に差動判定信号16がON信号となると、オンディレータイマ24AがスタートしてT1時間後にONとなる。これによってオフディレータイマ24BがONとなる。
【0051】
これにより、OV判定信号20がON信号なのでオフディレータイマ24BがON信号を保つ、外部事故で無電圧となると、時刻t3にOV判定信号がOFF信号となって、オフディレータイマ24BがT2時間遅れ時刻t5がOFF信号となる。この間の時刻t4には、既に差動判定信号16も復帰してOFF信号となっている。
【0052】
図4は励磁突入電流及び励磁突入電流が流れている状態での外部事故発生時の各判定部の応動を示している。
【0053】
まず、変圧器を無励磁状態から電圧を印加すると、励磁突入電流が流れる。この励磁突入電流に含まれる基本波電流が大きいと、差動要素部5が動作し、時刻t1に差動判定演算部16から出力する。同時に、励磁突入電流に含まれる第2調波(2f)電流の含有率が一定値以上あると、第2調波(2f)判定演算部18も出力するとともに、端子電圧が零から定格電圧まで上昇することにより過電圧(OV)判定演算部20も出力する。
【0054】
過電圧(OV)判定演算部20の出力は、OR演算部25を通して、第2調波(2f)判定演算部18とのAND演算部21を行い、NOT演算22を通して、差動要素部5の出力とのAND演算部23により差動判定演算部16の出力を阻止し、ディジタル形保護継電器(差動リレー)1としての不要動作を防止する。
【0055】
一方、差動判定演算部16の出力は、過電圧(OV)判定演算部20の復帰遅延タイマ24に信号を与え、復帰遅延タイマ24は、図2及び図3で説明したように一定時間T1(T1=OV判定要素の復帰時間以上)後に所定のタイマ時間をセットすると同時に、出力する。これにより、励磁突入電流対策要素の応動には影響を与えない。
【0056】
その後に、励磁突入電流が流れている状態で、系統電源端で時刻t2に外部故障発生すると、電流、電圧が遮断されるため、差動要素部5は復帰し、差動判定演算部16の出力はなくなるとともに、第2調波(2f)判定演算部18の出力もなくなる。
【0057】
一方、過電圧(OV)判定演算部20は、系統電圧の変化に対して即応動する必要があり、差動要素よりも即応動作し、速く復帰する。このため、従来技術では先に述べた如く、差動要素部5との復帰協調が取れず、ディジタル形保護継電器(差動リレー)1の不要動作が生じる。ところが、第1実施の形態では、時刻t3に過電圧(OV)判定演算部20の出力がOFFとなって差動判定演算部16の出力により制御される復帰遅延タイマ24の出力がT2時間後の時刻t4にOFFとなる。これによって、OR演算部25の出力は、差動判定演算部16の出力によりセットされたタイマ時間(T2)だけ復帰遅延される。この復帰遅延により、差動判定演算部16が復帰するまでの間、第2調波(2f)判定演算部18とのAND演算部21は復帰しない。そして、差動判定演算部16が復帰するとともに、復帰遅延タイマ24がリセット(復帰)されるが、差動要素との復帰協調は確実に取れ、外部事故時に於いても、差動リレーの不要動作を防止することができる。
【0058】
次に、図5により変圧器内部事故時の応動について説明する。
【0059】
ここでは、変圧器の内部事故が、系統電圧(端子電圧)が有る状態で、かつ、差動電流Idが無い状態から発生するとする。この場合、ディジタル形保護継電器(差動リレー)1の各判定部の応動は、内部事故と同時に差動電流が流れることにより差動判定演算部16が時刻t1を出力するとともに、端子電圧が低下する。これにより過電圧(OV)判定演算部20が復帰し差動リレー1が正動作する。
【0060】
ここで、過電圧(OV)判定演算部20の出力に単純に復帰タイマを入れると、事故時の系統現象により低次高調波電流が含有され、2f要素も同時に動作し第2調波(2f)判定演算部18が出力した場合、そのタイマ時間だけOV判定出力の復帰が遅れることとなり、結果として差動リレーの出力も遅れることになる。
【0061】
しかし、本発明の第1実施の形態では復帰遅延タイマ24は、差動判定演算部16の出力が復帰遅延タイマ24に信号を与え、一定時間T1(T1=過電圧(OV)判定要素の復帰時間以上)後に所定のタイマ時間をセットするように構成している。このために確実に過電圧(OV)判定演算部20が復帰した後では、復帰遅延タイマ24は出力しない。従って、OR演算部25及びAND演算部21及びNOT演算部22も出力せず、内部事故時の差動要素の応動には影響を与えない。
【0062】
これにより、変圧器励磁突入電流による差動要素動作中に、外部事故により差動リレーが不要動作となることを防ぐことができる。また、内部事故時には従来通りの差動りレーの動作時間を確保することができる。
【0063】
ここでは、図13の二次側の端子電圧Vを導入した例で説明したが、本発明は二次端子電圧に限定したものではなく、図13の一次側の端子電圧V1(または3巻線変圧器の場合の三次端子電圧V3)を導入して電圧振幅値|V1|(または|V3|)を用いてOV判定演算を行っても、先に説明した本発明と同等の作用,効果を持つことができる。また、本説明は2巻線変圧器を例に説明したが、3巻線以上の複数端子を有する変圧器保護用差動リレーについても同様である。
【0064】
図6は、本発明の第2実施の形態を示すディジタル形保護継電器の構成図である。
【0065】
図6において、図1と同じ符号は同じ構成,作用を付している。第2実施の形態は、先に説明した図1に示す励磁突入電流対策要素部6Aに代えて、新たに励磁突入電流対策要素部6Bを備え、その他の構成は図1に示すと同じである。
【0066】
図中、AND演算部21は、第2調波(2f)判定演算部18の出力と過電圧(OV)判定演算部20の出力との論理積をとり、その結果を出力する。AND演算部21の出力は復帰遅延タイマ26とOR演算部27とに導入される。復帰遅延タイマ26は、図2及び図3と同様のオンディレータイマとオフディレータイマからなっており、差動要素部5の出力により、その信号から一定時間後に所定のタイマ時間をセットするとともに、AND演算部21の出力が有ることを条件に出力し、差動要素部5の出力がない時にはタイマ時間及び出力をリセットするものである。
【0067】
OR演算部27は、復帰遅延タイマ26の出力とAND演算部21の出力との論理和をとり、その結果を出力する。OR演算部27の出力をNOT演算部22にて反転させ、差動要素部5の出力とのAND演算部23を行う構成である。
【0068】
まず、図7により、励磁突入電流が流れた時の各判定部の応動を説明すると、変圧器を無励磁状態から電圧を印加すると励磁突入電流が流れる。この励磁突入電流に含まれる基本波電流が大きいと、差動要素部5が動作し、差動判定演算部16は時刻t1に出力する。同時に、励磁突入電流に含まれる2fの含有率が一定値以上あると、第2調波(2f)判定演算部18も出力する。そして、端子電圧が零から定格電圧まで上昇することにより過電圧(OV)判定演算部20も出力する。過電圧(OV)判定演算部20の出力は、第2調波(2f)判定演算部18とのAND演算部21を行い、OR演算部27及びNOT演算部22を通して、差動要素部5の出力とのAND演算部23により差動判定演算部16の出力を阻止し、ディジタル形保護継電器(差動リレー)1として不要動作を防止する。
【0069】
一方、差動判定演算部16の出力は、復帰遅延タイマ26に信号を与え、復帰遅延タイマ26は、一定時間T1(T1=OV判定要素の復帰時間以上)後に所定のタイマ時刻t2にセットすると同時に、出力するため、特に励磁突入電流対策要素の応動には影響を与えない。
【0070】
次に、励磁突入電流が流れている状態で、系統電源端で外部事故が時刻t3に発生すると、電流、電圧が遮断されるため、差動要素部5は復帰し、差動判定演算部16の出力はなくなるとともに、第2調波(2f)判定演算部18の出力もなくなる。
【0071】
一方、過電圧(OV)判定演算部20は、系統電圧の変化に対して即応動する必要があり、差動要素部5よりも速く動作し、速く時刻t4に復帰する。このため、従来技術では先に述べた如く、差動要素部5との復帰協調が取れずディジタル形保護継電器(差動リレー)1の不要動作が生じる。ところが、本発明の第2実施の形態では、AND演算部21の出力と差動判定演算部16の出力により制御される復帰遅延タイマ26の処理により、OR演算部27の出力は、差動判定演算部16の出力によりセットされたタイマ時間(T2)だけ復帰遅延される。この復帰遅延により、差動判定演算部16が復帰するまでの間、OR演算部27は復帰しない。そして、差動判定演算部16が復帰するとともに、復帰遅延タイマ26がリセット(復帰)されるが、差動要素との復帰協調は確実に取れ、外部事故時に於いても、差動リレーの不要動作を防止することが出来る。
【0072】
次に、図8により変圧器内部事故時の応動について説明する。
【0073】
まず、変圧器の内部事故が、系統電圧(端子電圧)が有る状態で、かつ、差動電流が無い状態から発生すると、内部事故と同時に差動電流が流れることにより差動判定演算部16が出力するとともに、端子電圧が低下することにより過電圧(OV)判定演算部20が復帰する。これによって、時刻t1には、差動リレー1が正動作する。
【0074】
ここで、過電圧(OV)判定演算部20の出力に単純に復帰タイマを入れると、事故時の系統現象により低次高調波電流が含有され、2f要素も同時に動作し第2調波(2f)判定演算部18が出力した場合、そのタイマ時間だけOV判定出力の復帰が遅れることとなり、結果として差動リレーの出力も遅れることになる。
【0075】
しかし、本発明の第2実施の形態では復帰遅延タイマ26は、差動判定演算部16の出力から復帰遅延タイマ26に信号を与えられ、一定時間T1(T1=OV判定要素の復帰時間以上)後に所定のタイマ時間をセットする様に構成している。このため、確実に過電圧(OV)判定演算部20が復帰し、AND演算部21の出力が無い状態では、復帰遅延タイマ26は出力しない。従って、OR演算部27及びNOT演算部22も出力せず、内部事故時の差動要素部5の応動には影響を与えない。
【0076】
これにより、変圧器励磁突入電流による差動要素動作中に、外部故障により差動リレーが不要動作となることを防ぐことができる。また、内部事故時には従来通りの差動リレーの動作時間を確保することができる。
【0077】
図9は、本発明の第3実施の形態を示すディジタル形保護継電器の構成図である。
【0078】
図9において、図1と同一符号は同じ構成,作用を有している。
【0079】
第3実施の形態は、先に説明した図1の励磁突入電流対策要素部6Aに代えて、新たに励磁突入電流対策要素部6Cを備え、その他の構成は図1に同じである。
【0080】
変化幅過電流判定(−ΔI)演算部28は、差動要素部5により算出された差動電流Idの1f振幅値|Id1f|を導入し、nサンプリング前の振幅値|Id1fm-n対する現在の振幅値|Id1fmとの差(|Id1fm-n−|Id1fm)が所定値以上、つまり、差動電流が前値より所定値以下となった時に出力する。
【0081】
過電圧(OV)判定演算部20の出力は、復帰遅延タイマ29とOR演算部25に導入される。復帰遅延タイマ29は、変化幅過電流判定(−ΔI)演算部28の出力により、所定のタイマ時間をセットするとともに、過電圧(OV)判定演算部20の出力が有ることを条件に出力し、変化幅過電流判定(−ΔI)演算部28の出力がなくなった後は、過電圧(OV)判定演算部20の出力がなくなるまで条件を保持し、かつ、過電圧(OV)判定演算部20の復帰後の所定のタイマ時間後に復帰する。
【0082】
OR演算部25は、復帰遅延タイマ29の出力と過電圧(OV)判定演算部20の出力との論理和をとり、この結果を出力する。AND演算部21は、OR演算部25の出力と第2調波(2f)判定演算部18の出力との論理積をとり、この結果を出力する。AND演算部21の出力は、NOT演算部22にて反転され、差動要素部5の出力とのAND演算部23を行う。
【0083】
まず、図10により、励磁突入電流が流れた時の各判定部の応動を説明すると、変圧器を無励磁状態から電圧を印加すると励磁突入電流が流れる。この励磁突入電流に含まれる基本波電流が大きいと、差動判定演算部16は出力する。
【0084】
同時に、励磁突入電流に含まれる2fの含有率が一定値以上あると、第2調波(2f)判定演算部18も出力するとともに、端子電圧が零から定格電圧まで上昇することにより過電圧(OV)判定演算部20も出力する。過電圧(OV)判定演算部20出力は、OR演算部25を通して、第2調波(2f)判定演算部18とのAND演算部21を行い、NOT演算部22を通して、差動要素部5の出力とのAND演算部23により差動判定演算部16の出力を阻止し、ディジタル形保護継電器(差動リレー)1としての不要動作を防止する。
【0085】
一方、変化幅過電流判定(−ΔI)演算部28は、差動電流Id零から大きく変化するため出力が無く、過電圧(OV)判定演算部20の出力後の復帰遅延タイマ29に信号を与えないため、時刻t1から時刻t2以前には、特に励磁突入電流対策要素部6Cの応動には影響を与えない。
【0086】
次に、励磁突入電流が流れている状態で、系統電源端で外部事故が時刻t2に発生すると、電流、電圧が遮断されるため、差動要素は復帰し、差動判定演算部16の出力はなくなる。さらに、第2調波(2f)判定演算部18の出力もなくなる。この場合、変化幅過電流判定(−ΔI)演算部28は時刻t2に差動電流が小さくなるため過渡的に短時間の出力を行う。
【0087】
一方、OV要素は、系統電圧の変化に対して即応動する必要があり、差動要素よりも速く動作し、速く時刻t3に復帰する。このため、従来技術では先に述べた如く、差動要素との復帰協調が取れず差動リレーの不要動作が生じる。ところが、本発明の第3実施の形態では、過電圧(OV)判定演算部20の出力と変化幅過電流判定(−ΔI)演算部28により制御される復帰遅延タイマ29の出力をOR演算部25を行う。そして、過電圧(OV)判定演算部20の出力が復帰する前に、変化幅過電流判定(−ΔI)演算部28の出力により時刻t2に復帰遅延タイマ29をセットする。これにより、OR演算部25の出力は、変化幅過電流判定(−ΔI)演算部28の出力によりセットされたタイマ時間(T1)だけ復帰遅延される。
【0088】
そして、復帰遅延タイマ29は、変化幅過電流判定(−ΔI)演算部28の出力により、所定のタイマ時間をセットするとともに、過電圧(OV)判定演算部20の出力が有ることを条件に出力する。さらに、変化幅過電流判定(−ΔI)演算部28の出力がなくなった後は、過電圧(OV)判定演算部20の出力がなくなるまで条件を保持し、かつ、過電圧(OV)判定演算部20の復帰後所定のタイマ時間後の時刻t4に復帰する。この復帰遅延により、差動判定演算部16が復帰するまでの間、AND演算部21は復帰しない。これにより、差動要素との復帰協調は確実に取れ、外部事故時に於いても、差動リレーの不要動作を防止することができる。
【0089】
次に、図11により変圧器内部事故時の応動について説明する。
【0090】
まず、変圧器の内部事故が、系統電圧(端子電圧)が有る状態で、かつ、差動電流Idが無い状態から発生すると、ディジタル形保護継電器(差動リレー)1の各判定部の応動は、内部事故と同時に差動電流Idが流れることにより差動判定演算部16が出力するとともに、端子電圧が低下することにより過電圧(OV)判定演算部20が復帰する。これにより、時刻t1に差動リレー1が正動作する。この場合、変化幅過電流判定(−ΔI)演算部28は差動電流が大きく変化するため出力しない。このため、第2調波(2f)判定演算部18の応動に関係なく、AND演算部21は出力せず、内部事故時の差動要素の応動には影響を与えない。これにより、変圧器励磁突入電流による差動要素動作中に、外部事故により差動リレーが不要動作となることを防ぐことができる。また、内部事故時には従来通りの差動リレーの動作時間を確保することができる。
【0091】
図12は、本発明の第4実施の形態に示すディジタル形保護継電器の構成図である。
【0092】
図12において、図1と同一符号は同じ構成、作用を有している。
【0093】
第4実施の形態は先に説明した図1の励磁突入電流対策要素部6Aに代えて、新たに励磁突入電流対策要素部6Dを備え、その他の構成は図1に同じである。
【0094】
変化幅過電流判定(−ΔI)演算部28は、差動要素部5により算出された差動電流Idの1f振幅値|Id1f|を導入し、nサンプリング前の振幅値|Id1fm-n対する現在の振幅値|Id1fmとの差(|Id1fm-n−|Id1fm)が所定値以上、つまり、差動電流が前値より所定値以下となった時に出力する。
【0095】
AND演算部21の出力は、復帰遅延タイマ30とOR演算部27に導入される。復帰遅延タイマ30は、変化幅過電流判定(−ΔI)演算部28の出力により、所定のタイマ時間をセットするとともに、AND演算部21の出力が有ることを条件に出力し、変化幅過電流判定(−ΔI)演算部28の出力がなくなった後は、AND演算部21の出力がなくなるまで条件を保持し、かつ、AND演算部21の復帰後の所定のタイマ時間後に復帰するものである。
【0096】
OR演算部27は、復帰遅延タイマ30の出力とAND演算部21の出力との論理和をとり、この結果を出力する。AND演算部21は、過電圧(OV)判定演算部20の出力と第2調波(2f)判定演算部18の出力との論理積をとり、この結果を出力する。AND演算部23は、OR演算部27の出力をNOT演算部22にて反転させた信号と差動要素部5の出力との論理積をとるものである。
【0097】
次に、図12の作用について説明する。
【0098】
まず、励磁突入電流が流れた時の各判定部の応動を説明すると、変圧器を無励磁状態から電圧を印加すると励磁突入電流が流れる。このとき、変化幅過電流判定(−ΔI)演算部28は、差動電流が零から大きく変化するため出力は無い。従って、AND演算部21の出力は、復帰遅延タイマ30に信号を与えないため、特に励磁突入電流対策要素6Dの応動には影響を与えない。他の差動判定演算部16、第2調波(2f)判定演算部18、過電圧(OV)判定演算部20の応動は、図10に示すと同じである。この結果、差動要素部5の出力は、OR演算部27とのAND演算部23により差動判定演算部16の出力を阻止し、ディジタル形保護継電器(差動リレー)1としての不要動作を防止する。
【0099】
一方、励磁突入電流が流れている状態で、系統電源端で外部事故が発生すると、電流、電圧が遮断されるため、差動要素は復帰し、差動判定演算部16の出力はなくなるとともに、第2調波(2f)判定演算部18の出力もなくなる。この場合、変化幅過電流判定(−ΔI)演算部28は差動電流が小さくなるため過渡的に短時間の出力を行う。これにより、図11で説明した内容と同様に、OR演算部27の出力は、変化幅過電流判定(−ΔI)演算部28の出力によりセットされたタイマ時間だけ復帰遅延される。
【0100】
すなわち、復帰遅延タイマ30は、変化幅過電流判定(−ΔI)演算部28の出力により、所定のタイマ時間をセットするとともに、AND演算部21の出力の有ることを条件に出力し、変化幅過電流判定(−ΔI)演算部28の出力がなくなった後は、AND演算部21の出力がなくなるまで条件を保持し、かつ、過電圧(OV)判定演算部20の復帰後の所定のタイマ時間後に復帰する。
【0101】
この復帰遅延により、差動判定演算部16が復帰するまでの間、AND演算部21は復帰しない。これにより、差動要素との復帰協調は確実に取れ、外部事故時に於いても、差動リレーの不要動作を防止することができる。
【0102】
次に、変圧器の内部事故時の応動について説明する。
【0103】
変圧器の内部事故時が、系統電圧(端子電圧)が有る状態で、かつ、差動電流Idが無い状態から発生すると、ディジタル形保護継電器(差動リレー)1の各判定部の応動は、内部事故と同時に差動電流Idが流れることにより差動判定演算部16が出力するとともに、端子電圧が低下することにより過電圧(OV)判定演算部20が後帰する。この場合、変化幅過電流判定(−ΔI)演算部28は差動電流が大きく変化するため出力しない。このため、第2調波(2f)判定演算部18の応動に関係なく、AND演算部21は出力せず、内部事故時の差動要素の応動には影響を与えない。
【0104】
これにより、変圧器励磁突入電流による差動要素動作中に、外部事故により差動リレーが不要動作となることを防ぐことができる。また、内部事故時には従来通りの差動リレーの動作時間を確保することができる。
【0105】
以上説明したように本実施の形態によれば、変圧器励磁突入電流のある場合、および変圧器励磁突入電流による差動要素動作中に、外部事故により電流、電圧が遮断された時でも確実に不動作となり、また内部事故発生時には従来通りの動作時間で確実に動作するディジタル形保護継電器を提供することができる。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように本願発明によれば、励磁突入電流に起因する差動要素信号が出力されているとき、外部事故に起因する被保護対象の電圧、電流の遮断があっても、差動要素信号が復帰して不出力となった後に出力阻止信号を不出力とするので、不要な保護指令が被保護対象へ出力される事態を確実に回避でき、継電器の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態を示すディジタル形保護継電器の構成図である。
【図2】図1の復帰遅延タイマの具体的構成図である。
【図3】図2の復帰遅延タイマの作用図である。
【図4】図1において、励磁突入電流時で、かつ、外部事故が発生したときの作用図である。
【図5】図1において、内部事故時の作用図である。
【図6】本発明の第2実施の形態を示すディジタル形保護継電器の構成図である。
【図7】図6において、励磁突入電流時で、かつ、外部事故が発生したときの作用図である。
【図8】図6において、内部事故時の作用図である。
【図9】本発明の第3実施の形態を示すディジタル形保護継電器の構成図である。
【図10】図9において、励磁突入電流時で、かつ、外部事故が発生したときの作用図である。
【図11】図9において、内部事故時の作用図である。
【図12】本発明の第4実施の形態を示すディジタル形保護継電器の構成図である。
【図13】変圧器を保護するディジタル形保護継電器の配置図である。
【図14】従来のディジタル形保護継電器を示す構成図である。
【図15】図14において、励磁突入電流時で、かつ、外部事故が発生したときの作用図である。
【符号の説明】
1 ディジタル形保護継電器(差動リレー)
2 変成器
3 A/D変換器
4 中央処理装置(CPU)
5 差動要素部
6,6A,6B,6C,6D 励磁突入電流対策要素部
11,12 振幅値演算部
13 抑制電流演算部
14 差動電流演算部
15 基本波(1f)振幅値演算部
16 差動判定演算部
17 第2調波(2f)振幅値演算部
18 第2調波(2f)判定演算部
19 電圧振幅値演算部
20 過電圧(OV)判定演算部
21,23 AND演算部
22 NOT演算部
24,26,29,30 復帰遅延タイマ
25,27 OR演算部
28 変化幅過電流判定(−ΔI)演算部

Claims (6)

  1. 被保護対象の交流電流を導入して、差動電流と抑制電流を演算し、差動電流と抑制電流とによる合成電気量が所定値以上であるときに電圧判定信号を出力する差動要素手段と、
    前記差動電流に含有される第1調波電流に対する第2調波電流の割合が所定値以上になったとき第2調波判定信号を出力する第2調波判定演算部と、前記被保護対象の端子電圧の電圧振幅値が所定値以上であるときに電圧判定信号を出力する過電圧判定演算部とを備え、前記差動要素出力信号と前記第2調波判定信号と前記電圧判定信号との状態に基づき前記差動要素出力信号に時間協調させて出力阻止信号を出力する励磁突入電流対策要素手段と、を具備し、
    前記差動要素信号が出力されかつ前記出力阻止信号が出力されないときに保護指令出力することを特徴とするディジタル形保護継電器。
  2. 前記励磁突入電流対策要素手段は、
    前記差動要素信号を入力とするオンディレータイマと、
    前記オンディレータイマの出力信号に応動し、かつ前記電圧判定信号を入力とするオフディレータイマと、
    前記オフディレータイマの出力信号と前記電圧判定信号との論理和を演算する論理和演算部とを具備し、
    前記論理和演算部の出力信号と前記第2調波判定信号との論理積を演算し出力阻止信号として出力することを特徴とする請求項1記載のディジタル形保護継電器。
  3. 前記励磁突入電流対策要素手段は、
    前記第2調波判定信号と前記電圧判定信号との論理積を演算する論理積演算部と、
    前記差動要素信号を入力とするオンディレータイマと、
    前記オンティレータイマの出力信号に応動し、かつ前記論理積演算部の出力信号を入力とするオフディレータイマとを具備し、
    前記オフディレータイマの出力信号と前記論理積演算部の出力信号との論理和を演算し出力阻止信号として出力することを特徴とする請求項1記載のディジタル形保護継電器。
  4. 被保護対象の交流電流を導入して、差動電流と抑制電流を演算し、差動電流と抑制電流による合成電気量が所定値以上であるときに差動要素信号を出力する差動要素手段と、
    前記差動電流に含有される第1調波電流に対する第2調波電流の割合が所定値以上になったとき第2調波判定信号を出力する第2調波判定演算部と、前記被保護対象の端子電圧の電圧振幅値が所定値以上であるときに電圧判定信号を出力する過電圧判定演算部と、前記差動電流の振幅値が過去の振幅値より所定値以下となったとき変化幅過電流判定信号を出力する変化幅過電流判定演算部と、を備え、前記変化幅過電流判定信号と前記第2調波判定信号と前記電圧判定信号との状態に基づき前記差動要素出力信号に協調させて出力阻止信号を出力する励磁突入電流対策要素手段と、を具備し、
    前記差動要素信号が出力されかつ前記出力阻止信号が出力されないときに保護指令出力することを特徴とするディジタル形保護継電器。
  5. 前記励磁突入電流対策要素手段は、
    前記変化幅過電流判定信号の出力信号に応動し、かつ前記電圧判定信号を入力とするオフディレータイマと、
    前記オフディレータイマの出力信号と前記電圧判定信号との論理和を演算する論理和演算部とを具備し、
    前記論理和演算部の出力信号と前記第2調波判定信号との論理積を演算し出力阻止信号として出力することを特徴とする請求項4記載のディジタル形保護継電器。
  6. 前記励磁突入電流対策要素手段は、
    前記第2調波判定信号と前記電圧判定信号との論理積を演算する論理積演算部と、
    前記変化幅過電流判定信号の出力信号に応動し、かつ、前記論理積演算部の出力信号を入力とするオフディレータイマとを具備し、
    前記オフディレータイマの出力信号と前記論理積演算部の出力信号との論理和を演算し出力阻止信号として出力することを特徴とする請求項4記載のディジタル形保護継電器。
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