以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。また、以下の説明において、「シート」との用語は、コピー用紙、コート紙、OHPシート、厚紙、葉書、トレーシングペーパや画像形成可能な他のシート状物を意味する。「シートの先頭縁」或いはこれに類する用語は、シートが搬送されている間、シートの先頭に位置する縁を意味する。「シートの後端縁」或いはこれに類する用語は、シートが搬送されている間、シートの後端に位置する縁を意味する。「シートの側縁」或いはこれに類する用語は、シートの搬送方向に対して平行なシートの縁を意味する。「シートの幅方向」或いはこれに類する用語は、シートの搬送方向に対して直交する方向を意味する。
図1は、本発明の一実施形態に係る給紙カセットの斜視図である。図1に示される給紙カセットは、複数のシートを積層してなるシート束を収容可能に形成されるとともに後述される画像形成装置の筐体内に挿入可能に形成される。給紙カセット内に収容されたシートは、1枚ずつ取り出され、画像形成装置内で画像形成処理を施与されることとなる。
給紙カセット1は、略直方体形状の筐体2を含む。筐体2は、筐体2の底部となる支持板21と、支持板21の周縁から上方に延びる周壁22とを含む。筐体2の上部は開口し、筐体2の上部から筐体2内に収容されたシートが取り出され、その後、矢印Aで示される方向に搬送されることとなる。
筐体2の支持板21上には、滑子組立体3が載置固定される。支持板21に支持される滑子組立体3は、筐体2内に収容されたシート束の両側縁それぞれに沿って配設される第1滑子31及び第2滑子32と、第1滑子31及び第2滑子32を摺動可能に支持する略矩形状の案内板33とを含む。第1滑子31及び第2滑子32は、シートの幅方向に移動可能に案内板33に取り付けられる。支持板21上には更に、シート束の後端縁に沿う第3滑子23が配設される。支持板21の幅方向略中心位置において、シートの搬送方向Aに沿って延びるレール部24が形成される。第3滑子23は、レール部24に案内されつつ、シートの搬送方向Aに沿って移動可能である。第1滑子31及び第2滑子32は、筐体2内に収容されたシート束の両側縁に当接するように位置決めされ、第3滑子23は、シート束の後端縁に当接するように位置決めされる。したがって、第1滑子31、第2滑子32及び第3滑子23は、筐体2内に収容されるシート束の実質的な収容空間を定める。第1滑子31及び第2滑子32は、筐体2から取り出され、搬送されるシートの幅方向の変位(ブレ)を規制する役割を担う。尚、以下の説明において用いられる「滑子」との用語は、第1滑子31、第2滑子32及び第3滑子23全て、一部或いはそれぞれを意味する。
支持板21上には更に、略H型をなすリフト板4が配設される。リフト板4は、筐体2内に収容されたシート束の先頭部分を支持するようにシートの幅方向に延びる第1支持板41と、筐体2の長手方向略中間位置に配設されるとともにシートの幅方向に延びる第2支持板42と、第1支持板41と第2支持板42とを接続するようにシートの搬送方向Aに沿って延びる第3支持板43とを含む。リフト版4には、第2支持板42を横切るとともに第3支持板43の途中部まで延出する略矩形状の切り欠き部44が形成される。切り欠き部44は、所定区間のレール部24を露出させる。第1支持板41は、第2支持板42よりも上方に配設される。第1支持板41と支持板21との間には、例えば、弾性部材(例えば、コイルバネ)が配設され、第1支持板41は弾性的に支持板21に支持される。
図2は、第1滑子31、第2滑子32及びリフト板4が除去された給紙カセット1の斜視図である。図2と併せて、図1を参照しつつ、滑子組立体3の案内板33が説明される。
案内板33には、第1滑子31が移動可能に取り付けられる第1スリット331と、第2滑子32が移動可能に取り付けられる第2スリット332が形成される。第1スリット331及び第2スリット332は、シートの幅方向に直線状に延び、互いに一線上に整列される。第1スリット331及び第2スリット332は、第1滑子31及び第2滑子32の移動をそれぞれシートの幅方向に案内する役割を担う。尚、以下の説明において用いられる「スリット」との用語は、第1スリット331及び第2スリット332の両方又は一方を意味する。
図3は、滑子組立体3の底面を示す斜視図である。図3と併せて、図1を参照しつつ、第1滑子31及び第2滑子32の案内板33への取り付け構造が説明される。
図1に示される如く、第1滑子31及び第2滑子32は、案内板33上面に沿って拡がる水平板312と、水平板312の外側縁から上方に延びる垂直板313とを含む。垂直板313は、給紙カセット1内に収容されるシート束の側縁に当接する。
図3に示される如く、案内板33の底面には、一対の基端板314が配設される。基端板314は、水平板312に対向して配設され、案内板33の底面に沿って拡がる。基端板314及び水平板312は、略円筒形状の接続部材315(例えば、リベットやビス)を用いて接続される。基端板314及び水平板312を接続する接続部材315は、スリット331,332を貫く。
第1滑子31は、基端板314から延出するとともに第1スリット331の後端側縁部に沿って第2滑子に向けて延びる第1ラック316を含む。第2滑子32は、基端板314から延出するとともに第2スリット332の前端側縁部に沿って第2滑子に向けて延びる第2ラック321を含む。第1ラック316の歯部及び第2ラック321の歯部は互いに対向する。
第1ラック316と第2ラック321との間には、シャフト317が配設される。シャフト317の第1端部は、ピニオン171であり、第1ラック316の歯部及び第2ラック321の歯部に噛み合い、案内板33に接続される。シャフト317の第2端部は、略円筒形状の接続筒172であり、筐体2の支持板21(図1参照)に接続される。シャフト317は、ピニオン171と接続筒172との間で半径方向に拡がる環状板173を更に含む。
図4は、筐体2を部分的に示す平面図である。図4と併せて、図3を参照しつつ、支持板21への案内板33の取り付けが説明される。
支持板21は、上方に隆起した円筒状の軸受け部211と、軸受け部211の周囲に拡がるとともに案内板33に対して略相補的な形状をなす凹領域212とを含む。軸受け部211は、シャフト317の接続筒172と相補的な形状をなし、軸受け部211にシャフト317が挿入される。凹領域212は、案内板33よりも大きく形成される。したがって、シャフト317は、案内板33の水平面内での回転の中心を定め、案内板33は所定の角度範囲で回転可能に支持板21に取り付けられることとなる。環状板173は、支持板21の上面に沿って拡がり、支持板21からのシャフト317の立設を保持する。
図5は、案内板33の回転をもたらす調整片を示す。図5(a)は、調整片を上方からみた斜視図であり、図5(b)は、調整片を下方からみた斜視図である。図5と併せて、図2及び図3を参照しつつ、調整片が説明される。
図5に示される如く、調整片5は、円板部51と、円板部51から上方に突出する円柱状の調整部52と、円板部51から上方に突出するとともに調整部52を取り囲み、円弧状に整列して形成される複数の第1ラチェット歯53と、円板部51から下方に突出する円筒形状の偏心カム部54とを含む。円板部51,調整部52及び第1ラチェット歯53の円弧は互いに同心である。一方、偏心カム部54は、円板部51,調整部52及び第1ラチェット歯53の円弧の中心に対して偏心して形成される。調整部52の上面には、十字形状の凹部521が形成されてもよい。凹部521の十字の中心は、偏心カム部54は、円板部51,調整部52及び第1ラチェット歯53の円弧の中心と一致するように形成される。凹部521にプラスドライバの先端を挿入し、回転させることで、円板部51、調整部52、第1ラチェット歯53及び偏心カム部54は一体的に回転する。尚、偏心カム部54は、円板部51,調整部52及び第1ラチェット歯53の円弧に対して相対的に偏心回転運動をすることとなる。
図2及び図3に示されるように、調整片5は、第2滑子32が取り付けられる側の案内板33の後端側角隅部近傍に配設される。
図6は、調整片5が取り付けられる案内板33の底面の部分拡大図である。図6と併せて、図2、図3及び図5を参照しつつ、案内板33への調整片5の取り付けが更に説明される。
図6に示される如く、案内板33には、開口部333が形成される。開口部333は、調整片5の調整部52と相補的な形状をなし、調整部52が案内板33の下面から開口部333に挿入される。尚、調整片5の円板部51からの調整部52の突出量は、第1ラチェット歯53の突出量よりも大きく、調整片5の上面が案内板33の上面に現れたとき、第1ラチェット歯53は、案内板33の下面に当接する。
案内板33の下面には、円弧状に整列する複数の第2ラチェット歯334が形成される。第2ラチェット歯334は、調整片5の第1ラチェット歯53と噛み合う。
図6及び図3に示される如く、案内板33は、案内板33の下面から突出する一対の棒状の爪部335を含む。爪部335は、第2ラチェット歯334が描く円の中心を通過する直線上に形成される。爪部335の先端は、第2ラチェット歯334が描く円の中心に向けて屈曲し、調整部52と偏心カム部54との間で半径方向に拡がる円板部51と係合可能である。これにより案内板33からの調整片5の脱落が防止される。
図4及び図5を再度参照する。図4に示されるように、支持板21は、支持板21の上面から上方に突出するとともに支持板21の幅方向に延びる第1突条336及び第2突条337を含む。第1突条336及び第2突条337は互いに対向する。第1突条336の両端は、第2突条337に向けてわずかに屈曲する。第2突条337の両端は、第1突条336に向けてわずかに屈曲する。第1突条336と第2突条337との間の領域に、偏心カム部54が配設される。
図7は、調整片5の取り付け構造を示す概略断面図である。図7と併せて、図6を参照しつつ、調整片5の取り付け構造が説明される。
調整片5は、案内板33と支持板21との間に配設される。調整片5の偏心カム部54は、支持板21の第1突条336及び第2突条337に挟まれるように配設される。円板部51と支持板21との間には、コイルバネ55が配設される。コイルバネ55の上端は円板板51の下面に当接し、コイルバネ55の下端は支持板21の上面に当接する。コイルバネ55は、第1突条336及び第2突条337を取り巻く。コイルバネ55は調整片5を弾性的に支持する。上述の如く、調整片5の調整部52に形成された凹部521に、工具(例えば、プラスドライバ)が挿入されたとき、調整片5は下方に移動し、第1ラチェット53と第2ラチェット334(図6参照)との間の噛み合いが解除され、調整片5を回転させることができる。一方、工具が除去されたとき、コイルバネ55は、調整片5を上方に押し上げ、第1ラチェット53は第2ラチェット334と噛み合うこととなる。尚、調整片5を上方に付勢する弾性部材としてコイルバネ55が図示されたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の弾性部材がコイルバネ55の代わりに用いられてもよい。
図8は、調整片5の回転に伴う第1突条336及び第2突条337に対する円板部51の位置の変化を示す。図8において、円板部51は鎖線を用いて示されている。図8中、左図から右図に向けて、調整片5は90°間隔で時計回りに回転されている。尚、図6に関連して説明された如く、調整片5の調整部52が案内板33の開口部333に挿入されるので、調整片5は、案内板33に対して、回転運動を除いては相対的な運動をせず、図8に示される第1突条336及び第2突条337に対する円板部51の位置の変化は、支持板21に対する案内板33の相対的な変位を意味する。図8と併せて、図3及び図4を参照しつつ、調整片5の回転によって生ずる案内板33の変位が説明される。
図8に示される如く、第1突条336及び第2突条337は、円筒形状の偏心カム部54の外周面に接触し、シートの搬送方向A(図4参照)への移動を規制する。一方で、第1突条336及び第2突条337は、シートの幅方向への偏心カム部54の移動を許容する。円板部51は、第1突条336及び第2突条337に対して、偏心カム部54との偏心量だけ変位する。したがって、案内板33は、シャフト317を中心に水平面内で回転運動する。尚、本実施形態において、第1突条336及び第2突条337は、シートの搬送方向Aの偏心カム部54の移動を規制するとともにシートの幅方向の偏心カム部54の移動を許容するように形成されたが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1突条336及び第2突条337は、任意の第1の方向の偏心カム部54の移動を規制するとともに第1の方向に直交する第2の方向の偏心カム部54の移動を許容するように形成されてもよい。
図9は、図8に関連して説明された案内板33の変位がなされた給紙カセット1の平面図である。図9と併せて、図3及び図8を参照しつつ、案内板33の変位が更に説明される。
上述の如く、調整片5の回転によって、案内板33を含む滑子組立体3全体がシャフト317周りに水平面内で回転移動する。図9に示される滑子31,32の垂直板313の内面(シート束の側縁に当接する面)が角度αだけシートの搬送方向Aに対して傾斜している。
図1及び図2を再度参照する。図1に示される如く、滑子組立体3は、第2滑子32の垂直板313の外面に取り付けられる位置決め組立体6を含む。また、図2に示される如く、滑子組立体3は、第2スリット332に沿って形成される位置決め溝部7を含む。
図10は、位置決め組立体6が取り付けられた第2滑子32の拡大斜視図である。図11は、第2滑子32に取り付けられた位置決め組立体6の斜視図である。図12は、位置決め組立体6及び位置決め溝部7の断面図である。図10乃至図12を参照しつつ、位置決め組立体6及び位置決め溝部7が説明される。
位置決め組立体6は、略鋏形状をなし、互いに交差して重なり合う第1係止部61と第2係止部62とを含む。第1係止部61と第2係止部62との交差部をシャフト63が貫く。第1係止部及び第2係止部62は、シャフト63周りに回動可能である。シャフト63には更にねじりコイルバネ(図示せず)が取り付けられる。ねじりコイルバネは、第1係止部61の両端部それぞれと第2係止部62の両端部それぞれとが互いに離間する方向に、第1係止部61及び第2係止部62を付勢する。
第1係止部61は、シャフト63よりも下方に位置する第1爪部611とシャフト63よりも上方に位置するレバー612とを含む。第2係止部62は、シャフト63よりも下方に位置する第2爪部621とシャフト63よりも上方に位置するレバー622とを含む。第1爪部611及び第2爪部621は、位置決め溝部7内に部分的に挿入される。使用者が、レバー612,622をねじりコイルバネの付勢力に抗して、互いに近接させるとき、第1爪部611及び第2爪部621は互いに近接することとなる。使用者がレバー612,622から手を離すと、ねじりコイルバネの付勢力により、第1爪部611及び第2爪部621は互いに離間することとなる。
案内板33の上面には、略矩形断面の凹領域が形成され、この凹領域に基層板71と、位置決め板72とが収容される。位置決め板72は、基層板71上に配設される。尚、本実施形態において、基層板71は案内板33に対して別体に形成されているが、本発明はこれに限られるものではなく、基層板71が案内板33に一体的に形成されてもよい。
基層板71及び位置決め板72は、シートの幅方向に延びる薄板である。基層板71は、シートの幅方向に延びる第1溝部711を含む。位置決め板72は、シートの幅方向に延びる第2溝部721を含む。第1溝部711は基層板71を貫通し、第2溝部721は位置決め板72を貫通する。基層板71及び位置決め板72が案内板33に取り付けられている間、第2溝部721は第1溝部711と連通し、位置決め溝部7を形成する。滑子32がスリット332に案内されて、シートの幅方向に移動している間、第1爪部611及び第2爪部621は位置決め溝部7に沿って移動する。第1爪部611及び第2爪部621の先端は、第1溝部711の深さまで到達する。
図13は、位置決め組立体6の第2爪部621の拡大斜視図である。尚、図13中において、位置決め組立体6の第1係合部61は示されていない。図14は、基層板71及び位置決め板72の概略的な平面図である。図14(a)は、基層板71の平面図であり、図14(b)は位置決め板72の平面図である。図13及び図14を参照しつつ、位置決め組立体6及び位置決め溝部7が更に説明される。以下の説明において、シートの幅方向に延びるとともに互いに対向する第1溝部711の縁部のうち、シートの搬送方向の下流側に存する縁部を第1縁部712と便宜的に称し、シートの搬送方向の上流側に存する縁部を第2縁部713と便宜的に称する。シートの幅方向に延びるとともに互いに対向する第2溝部721の縁部のうち、シートの搬送方向の下流側に存する縁部を第3縁部722と便宜的に称し、シートの搬送方向の上流側に存する縁部を第4縁部723と便宜的に称する。
第1縁部712及び第2縁部713は、シートの搬送方向に延びる矩形状の第1切り欠き部714を形成する。第3縁部722及び第4縁部723は、シートの搬送方向に延びる矩形状の第2切り欠き部724を形成する。第1縁部712が形成する複数の第1切り欠き部714のピッチは、第2縁部713が形成する複数の第1切り欠き部714のピッチと異なる。例えば、第1縁部712が形成する複数の第1切り欠き部713の配設ピッチをセンチの単位係で定められるピッチとし、第2縁部712が形成する複数の第1切り欠き部713の配設ピッチをインチの単位係で定められるピッチとすることができる。第3縁部722が形成する第2切り欠き部724の配設ピッチは、第1縁部712が形成する第1切り欠き部714の配設ピッチと略等しくされる。第4縁部723が形成する第2切り欠き部724の配設ピッチは、第2縁部713が形成する第1切り欠き部714の配設ピッチと略等しくされる。第1切り欠き部714及び第2切り欠き部724は、第1爪部611及び第2爪部621が係合可能に形成されるが、第2切り欠き部724の幅寸法は、第1切り欠き部714の幅寸法よりも狭い。
図15は、基層板71上に積層された位置決め板72を示す平面図である。図15(a)は、基層板71上において、第2位置に配設された位置決め板72を示し、図15(b)は、基層板71上において、第1位置に配設された位置決め板72を示す。図15と併せて、図13を参照しつつ、位置決め組立体6及び位置決め溝部7が更に説明される。
位置決め板72は、基層板71より短い。位置決め板72は、第1縁部712が形成する第1切り欠き部714と、第3縁部722が形成する第2切り欠き部724とが完全に重なり合う第1位置と、第2縁部713が形成する第1切り欠き部714と、第4縁部723が形成する第2切り欠き部724とが完全に重なり合う第2位置との間で、基層板71上をシートの幅方向に摺動する。尚、図13に示される位置決め板72は第2位置に存する。位置決め板72が第1位置に存するとき、第1縁部712が形成する第1切り欠き部714及び第3縁部722が形成する第2切り欠き部724が重なり合って、第1係合溝715を形成する。位置決め板72が第2位置に存するとき、第2縁部713が形成する第1切り欠き部714及び第4縁部723が形成する第2切り欠き部724が重なり合って、第2係合溝725を形成する。位置決め板72が第1位置に存する間、第2縁部713が形成する第1切り欠き部714及び第4縁部723が形成する第2切り欠き部724は完全には重なり合わず、第2爪部621が挿入可能な係合溝を形成しない。位置決め板72が第2位置に存する間、第1縁部712が形成する第1切り欠き部714及び第3縁部712が形成する第2切り欠き部724は完全には重なり合わず、第1爪部611が挿入可能な係合溝を形成しない。位置決め板72が第1位置に存するとき、第1爪部611は、第1係合溝715に挿入され、位置決め板72が第2位置に存するとき、第2爪部621は、第2係合溝725に挿入される。位置決め板72の移動は、操作片8を用いてなされる(図10及び図11参照)。
図16は、操作片8の取り付け構造を示す断面図である。図16と併せて、図11を参照しつつ、操作片8の取り付け構造が説明される。
操作片8は、位置決め板72を貫通する回転シャフト81と、回転シャフト81の上端に接続される円板状の抜け止め部82と、抜け止め部82から上方に突出する薄板状の摘み83とを含む操作部84を備える。抜け止め部82は回転シャフト81が挿通される貫通穴よりも径大に形成され、貫通穴に対して半径方向に突出する。操作片8は更に、回転シャフト81の下端に接続されるとともに抜け止め部82に対向して配設される偏心カム部85を備える。回転シャフト81と抜け止め部82は互いに同心に接続されるが、偏心カム部85は回転シャフト81に対して偏心して接続される。
基層板71には、凹溝状に形成された規制部718が形成される。偏心カム部85は、規制部718内に配設される。一方、抜け止め部82及び摘み83は位置決め板72の上面に露出する。
図17は、規制部718内の偏心カム部85を示す平面図である。図17(a)は、位置決め板72が第1位置に存するときの偏心カム部85を示し、図17(b)は、位置決め板72が第2位置に存するときの偏心カム部85を示す。図17と併せて、図11及び図15を参照しつつ、規制部718内の偏心カム部85の移動について説明する。
規制部718は、平面視矩形状の凹部であり、偏心カム部85の直径と略等しい幅寸法を有する。規制部718は、シートの搬送方向に延びる。したがって、規制部718内で偏心カム部85は、シートの搬送方向に移動可能である一方で、シートの幅方向の移動は規制される。
使用者は、操作部84を回転させて、位置決め板72をシートの幅方向に移動させる。操作部84の回転動作のうちシートの搬送方向の成分は、規制部718内での偏心カム部85の移動となり、操作部84の回転動作のうちシートの幅方向の成分が位置決め板72の移動となる。このように操作片8を回転させることにより、位置決め板72を移動させることができる。また、位置決め板72の第2切り欠き部724は、基層板71の第1切り欠き部714よりも幅狭に形成されるので、これら切り欠き部724,714間の寸法差間で位置決め設定の微調整を行うことができる。尚、本実施形態において、第2滑子32に位置決め組立体6を取り付け及びこれに噛み合う位置決め溝部7を案内板33に形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1滑子31に位置決め組立体6を取り付け及びこれに噛み合う位置決め溝部7を案内板33に形成してもよい。
図18は、図1に示される給紙カセット1が組み込まれた画像形成装置の斜視図である。図18に示される画像形成装置は、プリンタであるが、本発明はこれに限られるものではなく、コピー機、ファクシミリ装置、これらの機能を併せ持つ複合機やシートに画像を形成することが可能な他の装置であってもよい。
プリンタ100は、外部装置(例えば、パーソナルコンピュータ)から画像に関する情報を含む信号を受信し、この信号に基づき、シートに画像を形成する。プリンタ100は、略直方体形状の筐体110を備え、筐体110内には、シートに画像を形成するための機器が収容される。
プリンタ100は、図1に示される給紙カセット1を含む。給紙カセット1は、筐体110に着脱自在に取り付けられ、筐体110の正面下部から筐体110内に挿入される。給紙カセット1内には、複数のシートを積層してなるシート束が収容される。
プリンタ100は、給紙カセット1の上方に配設される手差しトレイ112を含む。手差しトレイ112は、筐体110内にシートを供給する供給トレイとして用いられる。手差しトレイ112は、略矩形状の薄板である。手差しトレイ112の下端部は、筐体110に回動可能に取り付けられ、手差しトレイ112は前方に向けて、上下に回動することができる。図18に示される手差しトレイ112の内側面は、手差しトレイ112が前方に向けて倒されたとき、上側を向き、シート束を載置するための支持面となる。プリンタ100の使用者は、給紙カセット1に収容されたシート束に画像形成を行うことも可能であるし、手差しトレイ112上に載置されたシート束に画像形成を行うことも可能である。シートの供給元の選択は、例えば、外部装置によってなされてもよい。手差しトレイ112を上方に回動させると、手差しトレイ112は筐体110の外側に現れ、手差しトレイ112の外側面は、プリンタ1の正面側の化粧面として用いられる。
筐体110の上面は、プリンタ100の背面に向けて下方に湾曲する曲面板113と、曲面板113に対して正面側に配設される開閉カバー111とを含む。開閉カバー111は、薄板状の部材から形成され、プリンタ100の正面から背面に向けて下方に傾斜して筐体110に取り付けられる。曲面板113の背面側の縁部から上方に向けて排紙壁114が立設される。排紙壁114は、左右に延びる排紙口115を含む。排紙口115から画像形成処理が施与されたシートが排出される。曲面板113及び開閉カバー111は、排出されたシートを受け止める排紙面116を形成する。上述の如く、曲面板113及び開閉カバー111は、プリンタ100の背面方向に向けて、下方に傾斜するので、排紙面116上で積み重ねられるシートの後端縁は排紙壁114によって整えられることとなる。筐体110は、排紙壁114の左右縁及び曲面板113の左右縁を共通する縁部とする略三角形状の排紙側壁117を含む。曲面板113、開閉カバー111、排紙壁114及び排紙側壁117は、略四面体形状に窪んだ排紙部118を形成する。
図19及び図20は、プリンタ100の斜視図である。図19及び図20に示されるプリンタ100の開閉カバー111は上方に回動されている。図20に示されるプリンタ100からは、トナー容器が取り出されている。図19及び図20と併せて、図18を参照し、開閉カバー111が説明される。
上述の如く、開閉カバー111は曲面板113に隣接して配設される。曲面板113に隣接する開閉カバー111の縁部周りに開閉カバー111は上方に回動可能である。開閉カバー111を上方に回動すると、トナー容器130が現れる。図20に示されるように、使用者は、開閉カバー111を開き、トナー容器130を交換することができる。開閉カバー111の中央には略三角形状の確認部119が形成される。使用者は、確認部119を通じてトナー容器130の一部を視認することでき、開閉カバー111を開けることなく、例えば、トナー容器130の型番を確認することができる。
排紙面118の中央部には、プリンタ1の正面に向けて拡がる略台形状の凹面120が形成される。凹面120は曲面板113及び開閉カバー111にわたって拡がる。凹面120は、排紙面118に対するシートの接触抵抗を低減させる。
筐体110の上面は、排紙部118の左右に配設される上面壁121を含む。右側の上面壁121には、操作パネル122が配設される。使用者は、操作パネル122を通じて、プリンタ100を操作することができ、また、プリンタ100の動作状態を視認することができる。図18に示されるプリンタ100の操作パネル122は、例えば、給紙カセット1内のシートの量やトナー容器130内のトナーの量或いはプリンタ100内でのジャムの発生を知らせる表示部123、印刷を中断させる操作に用いられるキャンセルキー124、印刷を実行させるスタートキー125を含む。
図18に示されるプリンタ100は更に、筐体110の左側板に設けられる通気口126及び電源スイッチ127を含む。通気口126は、筐体110の内部に配設される画像形成用の機器の冷却に用いられる。電源スイッチ127は、筐体110の内部に配設される画像形成用の機器に対する電力供給又は電力遮断に用いられる。
図21は、プリンタ100の内部構造を示す。図21と併せて、図18を参照しつつ、プリンタ100の内部構造が説明される。
プリンタ100の筐体110の内部には、上述された給紙カセット1に加えて、画像形成部140及び定着部180が配設される。上述の如く、給紙カセット1は、印刷処理(画像形成処理)を施与されるシート束Tを収容する。給紙カセット1は、シート束Tを支持するリフト板4を含む。図1に関連して説明された如く、リフト板4は、コイルバネ45によって弾性的に支持され、プリンタ100の正面に向けて上方に傾斜する。給紙カセット1の正面側端部の上方にピックアップローラ128が配設される。リフト板4により傾斜して持ち上げられたシート束Tの先頭縁は、ピックアップローラ128に当接する。ピックアップローラ128が回転すると、シート束Tの最上位置に存するシートSが一枚ずつ取り出されるとともに、給紙搬送路129に送り出される。給紙搬送路129の下流端にはレジストローラ対131が配設される。レジストローラ対131は、シートSのスキューを調整しつつ、画像形成部140にシートSを送り出す。
図9に示されるように、滑子31,32は、必要に応じて、任意の角度αでシートSを搬送方向Aに対して傾斜させることができる。したがって、レジストローラ対131に到達したシートSのスキューを、レジストローラ対131によるシートSのスキューの調整範囲内に収めることが可能である。また、滑子31,32の位置決め設定は微調整可能であるので、シートのばらつきに応じて最適な滑子31,32の位置決めを行うことができる。これにより、レジストローラ対131へのシートSの搬送は更に好適なものとなる。
上述の如く、手差しトレイ112をプリンタ100の正面側に回動させると、手差しトレイ112から筐体110内へ給紙することが可能となる。手差しトレイ112上に載置されたシート束TのシートSは、シートSを供給する供給部として用いられる給紙ローラ(図示せず)により、レジストローラ対131へ1枚ずつ送られる。
画像形成部140は、上述の如く、外部装置から送信された画像データに関する信号に基づき、シートSにトナー像を形成する。画像形成部140は、略円柱形状の感光体ドラム141を含む。感光体ドラム141の上面には、帯電器142が配設され、帯電器142は、感光体ドラム141の周面を一様に帯電させる。図21に示される帯電器142は、コロナ放電によって、感光体ドラム141の周面に電荷を付与するが、本発明はこれに限られるのものではなく、感光体ドラム141の周面に接触しながら従動回転している間に電荷を付与する帯電ローラが用いられてもよい。
感光体ドラム141は時計回りに回転し、感光体ドラム141の周面は、露光装置143からのレーザ光に曝されることとなる。露光装置143は、外部装置から送信された画像データに関する信号に基づき、強弱が付与されたレーザ光を感光体ドラム141の周面に照射する。レーザ光は、感光体ドラム141の周面の電荷を消去する。この結果、感光体ドラム141の周面に画像データに対応する静電潜像が形成される。
画像形成部140は、感光体ドラム141、帯電器142及び露光装置143に加えて、現像装置144を含む。現像装置144は、筐体145に内蔵される現像ローラ146を用いて、静電潜像が形成された感光体ドラム141の周面にトナーを供給する。この結果、静電潜像が形成された感光体ドラム141の周面にトナーが付着し、トナー像が形成される。現像装置144には、図19及び図20に関連して示されたトナー容器130が取り付けられる。現像装置144の筐体145内のトナーが消費されると、トナー容器130からトナーが補給される。
画像形成部140は、感光体ドラム141の下方に配設される転写ローラ147を更に含む。転写ローラ147は、感光体ドラム141に圧接され、ニップ部を形成する。レジストローラ対131は、転写ローラ147と感光体ドラム141との間のニップ部にシートSを送る。感光体ドラム141の周面のトナーが、例えば、プラスに帯電しているとき、転写ローラ147をマイナスに帯電させることによって、トナー像と逆極性の電荷がシートSに与えられる。シートSがニップ部を通過する間、感光体ドラム141上のトナー像がシートSに向けて、静電気的に引き剥がされ、シートS上へのトナー像の転写がなされることとなる。このようにして、画像形成部140は、ピックアップローラ128、給紙ローラ及びレジストローラ対131などの搬送部により搬送されたシートSに画像を形成する。
画像形成部140は更にクリーニング装置148を含む。クリーニング装置148は、上述の転写処理を終えた感光体ドラム141の周面に残るトナーを除去する。クリーニング装置148によって清浄化された感光体ドラム141の周面は、再度、帯電器142に向かい、次の画像形成処理に供されることとなる。
定着部180は、トナー像の転写を受けたシートSに定着処理を施与する。定着部180は、通電発熱体を内蔵するヒートローラ181と、ヒートローラ181に圧接される加圧ローラ182とを含む。ヒートローラ181は、モータ等の駆動源(図示せず)と接続され、駆動回転される。加圧ローラ182の周面は、ヒートローラ181の周面に圧接され、加圧ローラ182は、ヒートローラ181の回転に追従して回転する。加圧ローラ182の周面とヒートローラ181の周面との間のニップ部にトナー像を担持したシートSが送られる。ニップ部を通過する間、ヒートローラ181からの熱を受け、トナーが溶融し、加圧ローラ182の圧力を受け、トナーがシートSに定着される。定着処理を施与されたシートSは、その後、排紙搬送路183を通じて、排紙部118に排出される。