JP5280383B2 - 印刷用紙シーズニング装置及び方法並びにインクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は印刷用紙シーズニング装置及び方法並びにインクジェット記録装置に係り、特に印刷後の用紙を環境温度・環境湿度に馴染ませて用紙の伸縮変形を改善するシーズニング技術に関する。
印刷装置によってインクが付与された直後の用紙は、画像領域内でインクの濃淡(インク量の多寡)により水分量の差があることにより、用紙の伸縮が発生する。特に、水性インクを用いて汎用紙に印刷するシステムではこの問題が顕著である。更に、両面印刷を行う場合、通常は、片面(表面)の印刷完了後に、反対側の面(裏面)の印刷が行われるが、表面を印刷した直後の用紙では、用紙の伸縮が大きく、表面と裏面とでそれぞれ印刷される画像のサイズ、位置にズレが生じる(表裏レジが合わない)という問題が生じる。
また、両面印刷に限らず、片面印刷の場合にあっても、上記の用紙変形に起因するカールやカックルの発生により、印刷品位が低下するという問題があり、加えて、印刷工程後に行われる製本工程などの後加工に悪影響を及ぼすという問題もある。
用紙間に風を送る送風装置に関して特許文献1〜3等の開示がある。特許文献1では、一対の押さえ部材によって用紙束を表裏から挟んで保持した状態で用紙1辺の方向から当該用紙束の端面に送風を行う構成を開示している。同文献1は、紙捌き装置に関する内容であり、押さえ部材と用紙の間に空隙を有するよう押さえ部材に傾斜形状を持たせることで捌き性を良化する技術である。
特許文献2では、積層した印刷用紙の端面にエアーノズルを上下移動可能に設置し、エアーノズルから加圧空気を噴出することにより紙を捌く構成を提案している。また、送風終了時の紙ズレ防止のため、送風終了時は押圧クランプで積層紙の上面を押圧する構成を開示している。
特許文献3では、積層した印刷用紙の外周4面に外周壁を有し、外周壁の少なくとも一つにエアー噴出口を設けることで、エアー噴出口から積層用紙外への拡散を防止して、多枚数の印刷用紙内部に効率よくエアーを流入可能とする。また、送風終了時には紙間からエアーを吸引し、紙のばたつきを抑えて用紙を整然と積載させる構成を開示している。
特開2008−290800号公報 特許第3436997号公報 特開平10−297813号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の装置は、紙間にエアーを入れて紙間摩擦力を低減させること(紙捌き)が目的の技術であり、印刷後の用紙を速やかに環境湿度に馴染ませる用紙シーズニングを十分に実施できるものではない。
印刷後の用紙(印刷物)の束をまとめて、短時間で均一にシーズニングすることができる装置を実現するに当り、紙重量や紙厚が大きい場合、重力の影響により紙間にエアーが入りにくくなり、シーズニング性能が悪化する課題がある。また、画像内容やインク量、紙の特性によっては印刷後の用紙カールも大きくなるが、この場合には用紙姿勢が崩れて紙間への均一送風性が悪化し、シーズニング性能が悪化する課題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、用紙の束を短時間で均一にシーズニングすることができる印刷用紙シーズニング装置及び方法並びにこれを適用したインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために以下の発明態様を提供する。
(発明1):発明1に係る印刷用紙シーズニング装置は、複数枚の印刷用紙を積み重ねて載置する載置台と、前記載置台の上部に当該載置台と対向して配置され、前記載置台上に置かれた前記印刷用紙の束の上方を覆う天板と、前記対向配置される前記載置台と前記天板との間に形成される用紙収容領域に対して側面側から送風を行う送風手段と、前記用紙収容領域の側面部に配置される側板と、前記側板に形成された開口によって構成される排気部と、を備え、前記排気部の開口率が前記用紙収容領域の上下方向で異なり、当該排気部の下側の開口率が上側の開口率よりも小さくなっていることを特徴とする。
本発明によれば、送風時における用紙収容領域の下側のエアー圧力を上側よりも増加させることができ、十分な用紙間隔を確保して用紙間の通風性を向上させることができる。また、送風時の用紙姿勢が安定し、用紙の折れや画像破損を防止することができる。
(発明2):発明2に係る印刷用紙シーズニング装置は、発明1において、前記排気部の開口率は、前記用紙収容領域の上から下に向かって段階的に又は連続的に小さくなっていることを特徴とする。
排気部の開口率を変化させる態様として、上側の開口率と下側の開口率をそれぞれ異なる値に設定する2段階の切り換え態様に限らず、高さに応じて3段階、4段階・・とN段階(Nは2以上の整数)にステップ的に切り換える態様も可能である。この場合、開口率を変化させる変化量(ステップ幅)は一定としてもよいし、適宜異ならせてもよい。また、排気部を上下方向にN段階に区分けするときの各区分領域の広さ(上下方向の長さ)は上下方向の高さを均等に分割した態様であってもよいし、不均等な分割形態であってもよい。
(発明3):発明3に係る印刷用紙シーズニング装置は、発明1又は2において、前記下側の開口率の最小値は、前記上側の開口率の最大値に対し1/20以上2/3以下であることを特徴とする。
下側の開口率と上側の開口率の差が大きいほど、送風時における上下のエアー圧力の差が大きくなる。用紙束の枚数などに依存して適切な圧力分布の条件は相違するが、上下の開口率のバランスとして、発明3に記載の条件が好ましい。かかる態様によれば、概ね良好な通風性を実現することができる。
(発明4):発明4に係る印刷用紙シーズニング装置は、発明1乃至3のいずれか1項において、前記排気部は、前記用紙収容領域の前記側面部を覆う前記側板のうち、前記送風手段が設置されていない面の側板に形成されていることを特徴とする。
例えば、矩形用紙の一辺の端面方向(一方向)から送風を行う場合には、少なくともその辺(送風手段が設置された辺)に対向する向かい側の辺の側板に排気部が形成される。或いはまた、矩形用紙の対向する二辺の端面方向(2方向)から対面送風を行う場合には、送風手段が設置された辺と直交する二辺の側板に排気部が形成される。
(発明5):発明5に係る印刷用紙シーズニング装置は、発明1乃至4のいずれか1項において、前記載置台の用紙載置面及び当該用紙載置面と対面する前記天板の用紙抑え面は、前記送風手段の送風方向と直交する方向に曲率を有することを特徴とする。
かかる態様によれば、曲率を有する用紙載置面と用紙抑え面との間に用紙束を収容することにより、用紙束は用紙載置面と用紙抑え面の形状によって強制的に湾曲させられる。この湾曲した用紙辺の端面方向から送風する構成により、用紙のカールが強い場合でも、用紙間への通風性が向上し、良好なシーズニングが可能である。
(発明6):発明6に係る印刷用紙シーズニング装置は、発明1乃至5のいずれか1項において、前記送風手段から送風される空気の静圧が500[Pa]以上であることを特徴とする。
より好ましくは、用紙1枚当たり、かつ当該送風手段の送風側から見た用紙の幅方向の単位長さ当たりを通過する風量qがq>0.02[m/min]、送風手段から送風される空気の静圧PがP>500[Pa]の両条件を同時に満たすものとする。
かかる条件で送風を行うことにより、用紙間における圧力損失に打ち勝って、用紙間に通風可能である。
なお、印刷後の用紙を迅速かつ均一に周囲環境の湿度に馴染ませる観点から、前記送風手段は、周囲環境の温湿度と同等の空気を送り出すもの(例えば、周囲空気をそのまま送風する送風機)であることが好ましい。
前記送風手段として、複数個の送風機を用いる態様が好ましく、複数個の送風機の送風出力を制御可能とする構成が好ましい。また、用紙収容領域の上下方向に対して2以上の送風機を配列し、これらの送風機の出力を制御する(例えば、下側の送風強度を上側よりも強くする)ことにより、排気部の開口率の特徴と相まってより適切な風量分布、圧力分布を実現できる。
(発明7):発明7に係る印刷用紙シーズニング装置は、発明1乃至6のいずれか1項において、当該シーズニング装置で一度に処理できる最大処理枚数をM[枚]、前記送風手段の送風側から見た用紙の幅方向の一辺の長さをWp[m]とすると、前記送風手段の風量−静圧特性が、必要風量値Q=M×Wp×0.02[m/min]かつ必要静圧値P=500[Pa]の点を包含していることを特徴とする。
載置台に収容できる最大処理枚数Mと用紙のサイズ(Wp)から必要風量値Qを計算できる。送風手段の風量−静圧特性のグラフを描き、必要風量値Q=M×Wp×0.02[m/min]かつ必要静圧値P=500[Pa]を表す点と当該特性グラフの位置関係から、その送風手段によって適切なシーズニングが可能か否かを判断することができる。
例えば、風量を横軸(増加を右方向)、静圧値を縦軸(増加を上方向)とする座標系に送風手段の特性グラフを描いたとき、必要風量値Q=M×Wp×0.02[m/min]かつ必要静圧値P=500[Pa]を表す点が、この特性曲線の線上、若しくは、この特性曲線よりも下側の領域に存在する場合に、当該送風手段によって所要の送風条件を満たす送風が可能である。このような条件を満たす送風手段を採用することが好ましい。
(発明8):発明8に係る印刷用紙シーズニング装置は、発明1乃至7のいずれか1項において、少なくとも1つの棚板を有し、前記棚板によって仕切られた複数段の構造により、前記印刷用紙を複数束に分割して収容する構成であることを特徴とする。
積層紙の枚数が増大すると、重力の影響(用紙の自重)で下の方の用紙に風が通りにくくなる。この問題に対処するため、載置台の上に多数枚の用紙を収容するに際し、棚板部材によって適当な枚数の束に分割して収容する構成を採用することができる。棚板部材によって用紙の収容空間を仕切り、用紙収容部を多段の構成とすることにより、各段に分割された用紙束の自重を各棚板部材と載置台で支えることになる。これにより、自重の負荷が分散され、下の方に積まれる用紙についても十分に風を通すことができる。
なお、このように棚板部材で分割収容する構成の場合、各段の用紙収容範囲毎に送風ユニット(送風手段)を設ける態様も好ましい。
発明1〜8に係る印刷用紙シーズニング装置は、印刷機と別体の装置として構成されてもよいし、印刷機と組み合わせて印刷システムの一部として組み込まれても良い。
(発明9):発明9に係るインクジェット記録装置は、発明1乃至8のいずれか1項に記載の印刷用紙シーズニング装置が用紙排紙部に搭載されていることを特徴とする。
インクジェット記録された印刷物は、他の印刷方式による印刷物と比較して含水量が高く、用紙の変形による問題が顕著であることから、インクジェット記録装置で印刷された印刷物に対して本発明のシーズニング装置を用いてシーズニングを行うことが効果的である。
(発明10):発明10に係る印刷用紙シーズニング方法は、複数枚の印刷用紙を載置台の上に積層し、前記載置台上に置かれた前記印刷用紙の束の上方を天板で覆い、前記対向配置される前記載置台と前記天板との間に形成される用紙収容領域に対して側面側から送風手段によって送風を行うことにより、当該束の各用紙間に空気を供給する印刷用紙のシーズニングを行う方法であって、前記用紙収容領域の側面部に配置する側板に排気用の開口を形成し、当該開口によって構成される排気部の開口率を前記用紙収容領域の上下方向で異ならせ、上側の開口率よりも下側の開口率を小さくし、前記送風手段による送風時に前記用紙収容領域の下側を流れる空気の圧力が上側を流れる空気の圧力よりも高い状態で送風を行うことを特徴とする。
本発明によれば、排気部の開口率を下側で低くしたことにより、送風時における下側のエアー圧を上側よりも高くでき、下側の用紙について用紙間隔を十分に確保することができる。これにより、均一なシーズニングが可能となる。
本発明によれば、印刷後の用紙の伸縮・変形を防止することができるとともに、印刷物の生産性向上を達成できる。また、本発明によれば、両面印刷の際の表裏レジずれを防止できるとともに、製本工程などの後工程適性も向上する。
本発明の第1実施形態に係るシーズニング装置の斜視図 第1実施形態に係るシーズニング装置内部の風の流れを模式的に示した平面図 本発明の第2実施形態に係るシーズニング装置の要部を示す斜視図 用紙の湾曲方向を示す説明図 平坦部と曲率部とを組み合わせた用紙載置面及び用紙抑え面の例を示した図 本発明の第3実施形態に係るシーズニング装置の斜視図 第3実施形態に係るシーズニング装置内部の風の流れを模式的に示した平面図 排気部の上側開口率と下側開口率を異ならせた場合の用紙の挙動を比較した説明図 比較のために使用した排気部の開口パターン(開口条件A)を示す図 本発明による排気部の開口パターンの例(開口条件B)を示す図 本発明による排気部の開口パターンの例(開口条件C)を示す図 本発明による排気部の開口パターンの例(開口条件D)を示す図 本発明による排気部の開口パターンの例(開口条件E)を示す図 開口条件A〜Eの開口率分布を示したグラフ シーズニング装置の制御系の構成例を示すブロック図 他の実施形態を示す要部構成図 風量条件の評価に用いた印刷物の説明図 風量条件の評価方法の説明図 風量とシーズニング時間の相関を示すグラフ 風量と圧力損失の相関を示すグラフ 送風手段の風量−静圧特性と良好なシーズニングの実現に必要な風量・静圧の条件との関係を示したグラフ 本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成図
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について詳細に説明する。
<第1実施形態;シーズニング装置の構成例>
図1は本発明の第1実施形態に係るシーズニング装置の斜視図である。図1に示すように、本例のシーズニング装置10は、複数枚の印刷用紙(図1において不図示、図4、図8、図16中符号30として記載、以下単に「用紙」という場合がある。)を積載可能な載置台12と、載置台12の上に積層された用紙束の外周側面から送風を行うブロア14a、15a〜15fを備える。図1では、下段のブロア14b〜14fが見えていないが、ブロア15aの下段にブロア14aが配置されている関係と同様の配置関係で、上段の各ブロア15b〜15fの下にブロア14b〜14fが配置される。
以後説明の便宜上、下段のブロア14a〜14fを代表して符号14で表し、上段のブロア15a〜15fを代表して符号15で表す場合がある。図1では遠心ブロアを描いたが、送風方式は特に限定されず、軸流ブロアを採用してもよい。
本例のシーズニング装置10は、矩形の枚葉紙の長辺に相当する1辺の端面側から、用紙束に向けて送風する構成であり、用紙長辺に面して複数個のブロア14,15が上下2段に設置される。図1の左側の下段にブロア14a〜14fが用紙長辺方向に沿って略等間隔で配列され、これら各ブロア14a〜14fの上部に近接して上段のブロア15a〜15fが同様に略等間隔で配列されている。
このようにブロア14,15を上下2段に配置することによって、全用紙間に対して一斉に空気を供給可能な気流断面積を形成できるとともに、用紙30の積載方向(つまり、上下方向)について風量分布を制御することができる。また、用紙幅方向(水平方向)に複数のブロア14a〜14f、15a〜15fを略等間隔で配置することにより、用紙幅方向についての風量分布の適正化を図ることができる。
また、本シーズニング装置10は、載置台12上における用紙の位置を規制するとともに、送風効率を高めるために、載置台12の外周4面には、側板20、21、22、23が立設されている。ブロア14,15が配置される面の側板20における各ブロア14,15の吹き出し口の位置には、それぞれ送風口24、25に相当する開口部又はスリットが形成されている。
送風口24、25は、載置台12と天板28とによって規制される用紙収容範囲の高さ方向の略全域に対して一度に風を吹き出すことができるよう、用紙積層方向について、用紙収容範囲の高さと略同等の開口長さを有して形成される。このような構成により、載置台12上に置かれた全用紙(用紙束の全体)に対して一括して同時に風を当てることができる。
このように、エアーの吹き出し口の範囲を制限し、送風口24、25の近傍周囲を壁部材(側板20)で塞ぐ構成により、ブロア14,15から送り出す風の進行方向を規制し、風の漏れを防止する。これにより、ブロア14,15が発生する風を効率よく載置台12上の用紙収容空間34(「用紙収容領域」に相当)に導入することができ、載置台12上に置かれる用紙束に向けて強い風を当てることができる。
一方、載置台12の外周面のうち、ブロア14,15が配置されていない辺に立設された側板21、22、23には、風抜き(排気)のための開口26が形成されている。すなわち、ブロア14、15を設置した側板20と対面する側板21(用紙長辺に対応する辺に立設された側板)の略全域にわたって多数の開口26が形成されている。また、これら長辺の側板20,21間に挟まれる左右の側板22、23(用紙短辺に対応する辺に立設された側板)には、側板21に近い一部の領域22A、23Aのみに開口26が形成されている。
これら側板21,22,23における複数の開口26が形成されている部分(排気用開口形成部)によって「排気部」が構成される。以後、符号27で排気部を示す。このように、用紙収容空間34に空気を導入する送風口24、25と、空気を排出する排気部27を制限することで、効率的に風を送り込むことができる。
詳細は後述するが、本例における排気部27は、載置台12に近い側(下側)の開口率が天板28に近い側(上側)の開口率よりも低いものとなっている(図10〜図13参照)。
なお、送風手段を構成するブロア14,15の個数、仕様、送風口24、25の大きさや形状などは、用紙のサイズ、材質、厚さ、枚数等を考慮して、所定の送風条件を満たすために必要な送風量と圧力が得られるように適宜設計される。また、側板20、21、22、23の高さ寸法は、載置台12にセットし得る用紙の最大積載量に応じて適宜設計される。
シーズニングを実施する際には、載置台12の上に印刷後の用紙(不図示)の束を載せ、上から天板28で蓋をする。天板28は、載置台12の台面と略平行に配置され、送風時における用紙の舞い上がりを防止する役割を果たす。天板28は、側板20〜23の上端面に接触して用紙収容空間34の天面を封止するなど、所定の高さ位置に固定する構成でもよいし、用紙30の枚数に応じて天板28の高さ位置を適宜調節できる構成でもよい。
例えば、天板28は、図示せぬ移動機構を含む位置調節手段によって、用紙30の重ね方向に移動可能に構成される。これにより、載置台12上に置かれる用紙30の枚数に応じて天板28の高さ位置が調整され、処理枚数に適した適切な広さの用紙収容空間34が形成される。
更にまた、天板28は、送風開始時に上昇する構成でもよい。各ブロア14,15から送風を開始することにより、載置台12上の用紙30間にエアーが供給され、用紙30間に適度の隙間が形成されるため、送風とともに各用紙の高さ位置は上昇する。その結果、最上層の用紙の高さ位置は非送風時よりも上昇する。このように、送風時における用紙の浮き上がり量に応じて天板28を上昇させる構成も好ましい。このような構成を採用することにより、用紙間に適切な量の隙間を確保できるとともに、送風による用紙のばたつきを抑えることができ、用紙30と天板28との接触による印刷物の損傷を回避できる。
<送風手段の形態について>
少なくとも用紙の片面にインクが付与された印刷後の用紙内における水分量を均一化する(環境温湿度に馴染ませる)ことを主目的とする本実施形態のシーズニング装置10では、過乾燥を防止する観点から、送風手段は周囲空気を送風する(周囲環境の温度及び湿度の風を送る)構成が好ましい。仮に、ヒーターなどによって加熱された空気(温風)や、圧縮空気、ドライエアなど、低湿度風を送風する手段を採用すると、用紙の残水量が環境飽和点を下回り、紙の収縮が発生する。例えば、低湿度風を用いると、用紙内において多量にインクが付与されている領域については短時間の乾燥が可能となる一方で、用紙内における非インク付与部やインク量が非常に少ない領域については過度な乾燥状態となる。このような水分量の差によって用紙の伸縮(変形)が生じる可能性がある。
このような観点から、本実施形態における送風手段は、周囲環境の温湿度の空気を送風機(ブロア14,15)で送り出す構成であり、ヒーター等の加熱手段や除湿手段など、温湿度を制御・調整する手段は設けられていない。かかる構成により、印刷後の用紙を環境温湿度に馴染ませることができ、用紙の伸縮変形を抑制することができる。
図2は、送風時の様子を模式的に示した平面図である。図中の矢印が風の流れの概略を示している。同図に示すように、用紙長辺方向に沿って並ぶブロア群から一斉に風を送り込み、空気を強制対流させて排気部27から空気を排出することにより、各用紙間に十分な空気を供給しつつ用紙の姿勢安定性を保つ構成となっている。
用紙長辺方向に沿って横方向6箇所に並ぶブロア列間の風量制御については、各列の風量を同等にする態様も可能であるし、風量を異ならせることも可能である。例えば、中央のブロア列(14c,15cの列と、14d,15dの列)の風量を両端のブロア列(14a,15aの列、14f,15fの列)の風量よりも相対的に大きくするなど、ブロア列内で風量バランスを制御し、水平方向について所望の風量分布を与えてもよい。なお、風量の大小は、送風強度の強弱に対応しており、風量分布は送風強度の分布と置き換えて解釈してよい。
なお、上記説明では用紙長辺に沿ってブロア群を配置したが、本発明の実施に際しては、用紙短辺に沿ってブロア群を配置する態様も可能である。
<第2実施形態>
図3は第2実施形態に係るシーズニング装置40の要部を示す斜視図である。図1で説明した第1実施形態との相違点は、載置台12と天板28とが湾曲形状となっている点である。なお、図3中、図1に示した例と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図3に示したシーズニング装置40は、載置台12の台面(用紙を載せる面、以下「用紙載置面」という。)が上に凸のアーチ形に湾曲している。天板20の下面(載置台12の台面と対面する面、以下「用紙抑え面」という。)も用紙載置面のアーチ形状と同方向に湾曲したアーチ形状(用紙抑え面は凹曲面)となっている。
ブロア14,15の送風方向(用紙短辺と平行な方向)を「x方向」、これと直交する方向(用紙長辺と平行な方向)を「y方向」とすると、図3に示したシーズニング装置40における載置台12の用紙載置面及び天板28の用紙抑え面はy方向に曲率を有する(x方向については曲率無し)。
図示のとおり、用紙載置面及び用紙抑え面は、いずれも鉛直方向(図中のz方向)上向きに湾曲して形成されている。図3に用紙収容空間34はこれら同方向(z方向)に向かって凸状に湾曲した複数の曲面(用紙載置面及び用紙抑え面)に挟まれた略弓形状空間として形成されている。図示のように、湾曲した形状を有する載置台12及び天板28で画成される用紙収容空間34により、当該用紙収容空間34内の用紙はその湾曲形状に沿って強制的に湾曲され、その姿勢が規制される。
<用紙の湾曲方向について>
図4(a)は、印刷後の用紙のカール状態を例示したものである。同図(a)のように印刷後の用紙30の短辺方向にカールが発生しているとする(当初のカール方向という)。この用紙をシーズニング装置40でシーズニングする際、当該シーズニング装置40では、図4(b)に示すように、その当初のカール方向と直交する方向(用紙の長辺方向)に用紙30を湾曲させるように用紙収容空間34の形状を構成する。こうして、用紙30の姿勢(カール状態)を規制し、湾曲させた用紙30の辺(アーチ形の辺)に略垂直な方向から(図中の白抜き矢印Aの方向から)送風を行う。
図3で説明したシーズニング装置40における用紙載置面の曲率1/r(ただし、曲率半径r)は、x方向(送風方向)に沿って用紙長にわたり略同一である。また、シーズニング装置40における用紙抑え面の曲率1/r(ただし、曲率半径r)は、x方向(送風方向)に沿って用紙長にわたり略同一である。用紙載置面の曲率半径rと用紙抑え面の曲率半径rは、必ずしも一致している必要はないが、概ね同じ値とすることが好ましい。
曲率の程度は、用紙の大きさ、厚み、用紙束の上限などに応じて適宜設計される。一例として、例えば、用紙束載置台の長辺の幅wを約600mmとしたとき、用紙載置面の隆起高さHは約50〜60mmである。
なお、用紙載置面の湾曲面は必ずしも円弧状(円筒面の形状)である必要はなく、図5に示すように、用紙載置面43は、平坦部(直線部)43A、43Bと円筒面部(円弧状の曲率部)43Cとを組み合わせたものであってもよい。用紙の中央に臨む部分が上に凸の曲率部43Cであり、この曲率部43Cを挟んで両側の用紙端部に臨む部分が平坦部43A、43Bである。用紙抑え面49についても同様に、平坦部(直線部)49A、49Bと円筒面部(円弧状の曲率部)49Cとを組み合わせたものであってよい。
図5における各寸法は、例えば、次の通りである。
Ly:627.1±0.5mm
Lc:11.1°
Lp:197.2mm
H:50.8mm
曲率半径r=r=62.1mm
なお、上記寸法は一例であり、本発明の実施に際しては様々な設計態様が可能である。
<第3実施形態>
図6は第3実施形態に係るシーズニング装置50の要部を示す斜視図である。図5中、図1に示した例と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。図5に示したシーズニング装置50は、矩形の枚葉紙の長辺に相当する2辺の両端面側から、用紙束に向けて送風する構成であり、用紙長辺に面して3箇所に複数個のブロア14,15が上下2段に設置される。図6の左側の下段にブロア14a〜14cが用紙長辺方向に沿って略等間隔で配列され、これら各ブロア14a〜14cの上部に近接して上段のブロア15a〜15cが同様に略等間隔で配列されている。
図5の右側のブロア配列も同様の配置形態であり、ブロア14aと14a’、14bと14b’、14cと14c’、15aと15a’15bと15b’、15cと15c’が、互いの吹き出し口(送風口)が載置台12上の用紙束(図1中不図示)を挟んでそれぞれ対向するように配置されている。このように、用紙束の両側面から(対面する2方向から)同時に送風を行うことにより、各用紙間に効率的に空気を供給することが可能である。
なお、向かい合うブロアは、必ずしも対称的な位置に(軸を一致させて)配置する必要はなく、むしろ互いの送風口の位置を少しずらして配置する形態が好ましい。
このような対面送風方式のシーズニング装置50の場合、ブロア14,15が設置されていない側板22、23に排気用の開口26が形成される。各側板22、23の中央部分に排気用の開口26群が形成されている。この側板22,23に形成された排気部27についても、載置台12に近い側(下側)の開口率が天板28に近い側(上側)の開口率よりも低いものとなっている(図10〜図13参照)。
図7は、送風時の様子を模式的に示した平面図である。図中の矢印が風の流れの概略を示している。同図に示すように、用紙長辺方向に沿って概ね等間隔で3箇所に、対向配置したブロア群から一斉に風を送り込み、用紙収容空間内の空気を強制対流させて排気部27から空気を排出することにより、各用紙間に十分な空気を供給しつつ用紙の姿勢安定性を保つ構成となっている。
用紙30を挟んで対面する2方向から対称性よく安定した風を送るために、用紙30を挟んで吹き出し口が対向するブロア対(14aと14a’、14bと14b’、・・)の風量がそれぞれ同量となるようにブロア駆動制御が行われる。
<排気部の構成について>
図8は、排気部における開口率を上下方向で変化させた場合の用紙の挙動を横から見た模式図である。図8(a)は、本発明の実施例であり、排気部の上側開口率=0.36、下側の開口率=0.09とした場合の挙動を示す。図8(b)は、比較例Aであり、排気部の上側開口率=0.36、下側開口率=0.36とした場合(排気部の開口率が一定値)の挙動を示す。図8(c)は、比較例Bであり、排気部の上側開口率=0.09、下側の開口率=0.36とした場合の挙動を示す。
実施例(図8(a))において、用紙収容空間の上側を流れるエアーの流量をQU_1、圧力をPU_1、下側の流量をQL_1、圧力をPL_1と表す。同様に、比較例A(図8(b))において、用紙収容空間の上側を流れるエアーの流量をQU_2、圧力をPU_2、下側の流量をQL_2、圧力をPL_2と表し、比較例B((図8(c))において、上側の流量をQU_3、圧力をPU_3、下側の流量をQL_3、圧力をPL_3と表す。
[実施例と比較例Aの差異について]
実施例(図8(a))と比較例A(図8(b))の違いを考察すると、実施例は、比較例Aと比べて下側の開口率が低いため、流量については、実施例の下側流量(QL_1)が比較例Aの下側流量(QL_2)よりも少ない。
QL_1<QL_2 ・・・・(関係式1)
一方、ベルヌーイの定理より、エアー圧力については、実施例の下側圧力(PL_1)が比較例Aの下側圧力(PL_2)よりも高くなる。
PL_1>PL_2 ・・・・(関係式2)
よって、図示のように、実施例(図8(a))の方が下側における用紙間隔は広くなる。
比較例Aの場合、流量についてはむしろ実施例よりも多く、エアーの流れが存在する部分では良好にシーズニングされる。ただし、用紙30は、実際にはフラットではなく、傾きや凹凸が存在するため、用紙間隔が狭いと殆ど風が流れない領域が発生し、その箇所においてシーズニング不良が生じる。この点、実施例のように、十分な用紙間隔を確保することにより、そのようなシーズニング不良を解消することができる。
[比較例Aと比較例Bの差異について]
上記と同様の理由から、比較例Bの上側流量(QU_3)は比較例Aの上側流量(QU_2)よりも少ない。
QU_2>QU_3 ・・・・(関係式3)
よって、エアー圧力については、比較例Bの上側圧力(PU_3)が比較例Aの上側圧力(PU_2)よりも高くなる。
PU_2<PU_3 ・・・・(関係式4)
したがって、比較例Aに比べて比較例Bでは上側の用紙間隔が広くなり、下側の用紙間隔は更に狭くなる。このため、シーズニング性能は比較例Bの方が悪い。
<排気部における開口条件について>
図9は比較のために、排気部の開口率が上下方向について一定(開口率=0.36)である開口パターンの例(以下、「開口条件A」という。)を示した。図9の例は、直径R=8mmの開口56が縦方向にa=10mmピッチで等間隔に一列に並び、かつ横方向に列間距離b=14mmで千鳥状に配置された開口パターンとなっている。なお、排気部の高さ方向の寸法hは110mmとした。
これに対し、図10は、本発明の実施例に該当する排気部の平面図である。図10の例では、上側開口率は図9と同様に0.36であるが、下側開口率=0.09となっている。以下、図10に示した開口パターンを「開口条件B」という。下側に形成される開口群の開口径R_B1は4mm、上側に形成される開口群の開口径R_B2は8mmである。図10では排気部の高さhに対して、約1/2の高さのところを境界として上下で開口率を異ならせているが、開口率の変化のさせ方については様々な形態が可能である。
図11は、本発明の他の実施例を示す。図11の例では、高さに応じて開口径を徐々に段階的に(ステップ状に)変化させており、開口率が多段階で順次変化する構成となっている。以下、図11に示した開口パターンを「開口条件C」という。すなわち、図11では、上から下に向かって段階的に開口径が小さくなっており、下から、開口径R_C1=φ3.5mm、R_C2=φ5mm、R_C3=φ6.5mm、R_C4=φ8mmと、段階的に変化している。
図12は、本発明の他の実施例を示す。図12の例では、円形の開口26に代えて、スリット66を形成した例である。縦方向に形成されるスリットの長さを変えることで、開口率を変化させることができる。図12の例では、各スリットの幅c=5mmとし、スリット間隔d=14mmとした。スリット66は上端を基準にして下方向への長さe,f,g,hが異なるものを複数本形成した。ここでは、e=27.5mm,f=55mm,g=82.5mm,h=110mmとした。このように、長さの異なるスリットを組み合わせることにより、上下方向の開口率を段階的に変化させることが可能である。
図13は、本発明の更に他の実施例を示す。図13の例は、高さに応じてスリット幅(太さ)が連続的に変化するスリット67を形成した例である。すなわち、低い位置ほどスリット幅が狭く(開口率が低く)、高さが高くなるにつれてスリット67の幅が大きくなる(開口率が増加する)。以下、図13に示した開口パターンを「開口条件D」という。
図13では、スリット67の最下端の幅k=5mm、最上端の幅m=20mmとし、横方向のスリット間隔s=56mmとした。
図9〜図13で説明した各開口条件A〜Eについての開口率の分布を図14にまとめた。図14の横軸は排気部の高さ(単位[mm])、縦軸は開口率を示している。図14のように、開口率を段階的に変化させてもよいし(開口条件B〜D)、連続的に変化させてもよい(開口条件E)。
開口条件B〜D(図10〜図12)では、排気部の高さ方向について概ね等間隔で分割して開口率を異ならせているが、必ずしも等間隔で区分けする態様に限定されない。また、開口率の変化量についても概ねリニアに変化させる態様に限定されない。
本発明の実施に際し好ましい開口率分布として、下側開口率(最小値)は、上側開口率(最大値)に対して1/20以上、2/3以下であることが好ましい。
なお、図10〜図13で例示した寸法は一例であり、本発明の実施に際しては様々な設計態様が可能である。
(シーズニング性能の評価結果)
第1実施形態(図1)で説明した装置構成を「実施例1」、第2実施形態(図4)で説明した装置構成を「実施例2」とし、第1実施形態(図1)で説明した装置構成における排気部の開口率を上下で均一なものに置き換えた構成を「比較例1」、第2実施形態(図4)で説明した装置構成における排気部の開口率を上下で均一なものに置き換えた構成を「比較例2」として区別し、これら実施例1,2、比較例1,2のシーズニング装置において、印刷用紙のシーズニング性能を評価した。
<評価条件>
(1)用紙印刷条件
・使用した用紙の条件:王子製紙製 OKトップコート(商品名)、157gsm 菊半裁(636mm×469mm)
・使用した印刷装置:インクジェット印刷装置
・印刷画像の条件:全面ベタ画像 インク付与量 5g/mおよび10g/mの2種類の画像について評価した。
(2)シーズニング装置の条件
・排気部の開口条件:実施例1,2は開口条件B、比較例1,2は開口条件A
・ブロア:山洋電機製ブロア San Ace B97(9BMB24P2K01)静圧1280Pa、12個
回転数制御信号(矩形波のDuty)にて回転数制御を実施。
・ブロア制御条件:上段ブロアについて矩形波Duty60%、下段ブロアについて矩形波Duty100%で駆動。
・天板−ベース板(載置台)間隔:110mm
(3)評価の方法
23℃50%RHの環境にて、前記インクジェット印刷装置で印刷された用紙束に対して、5分間のシーズニングを実施し、シーズニング後の用紙に残存する水分量を測定した。シーズニング後の用紙束に対し、4枚ごとに測定サンプルを抜き取り、測定を行った。水分量測定は重量法で行った。この水分量が初期の用紙が含水する水分量に対して0.3g/m以下である場合にシーズニング性能OKと判断した。印刷用紙枚数は10枚から評価を開始し、用紙枚数を10枚ずつ増やしてゆき、性能OKとなる限界枚数をもってシーズニング能力を評価した。評価結果を表1にまとめた。
<評価結果>
Figure 0005280383
表1の実験結果が示すとおり、開口条件A(上下で開口率が一様)に対し、開口条件Bにおいてシーズニング性能の向上が見られた。開口条件Aにおける紙間送風状況を観察したところ、用紙束の上側において用紙間隔が大きく開き、下側では間隔が詰まり気味で通風性が悪い状況が観察された。
開口条件Bにおいては用紙間隔が均等になり下側の通風性が良化することが観察された。排気部の下側の開口率を下げる事で下側のエアーの圧力を上側に対して増加させる事ができ、これにより、重力に打ち勝って下側の用紙に良好に通風できていると推定される。
また、「実験1と実験2」、「実験3と実験4」の比較から明らかなように、インク付与量を10g/mに増加させた場合、用紙のカールが激しくなり通風状態の悪化が観察された。それに伴いシーズニング性能にも悪化が見られた。
これに対し、用紙載置面及び用紙抑え面を湾曲形状としたシーズニング装置を使用することで、用紙の送風方向のカールを矯正でき、性能が良化することが観察された(「実験2と実験6」を比較参照)。ただし、開口条件Aの場合(実験5、実験6)、インク付与量の増加に対して、やはり多少の性能悪化が見られた(実験5→実験6)。
この点、実験7,8が示すとおり、用紙載置面及び用紙抑え面を湾曲形状としたシーズニング装置(図3(又は図5)で説明した装置)において、排気部の下側の開口率を下げた構成の場合は、インク量増加による悪化の影響は測定されず、非常に良好な送風状態が観察された。これは、図8で説明したとおり、下側エアーの圧力が上側に対して増加する事で用紙姿勢の安定化にも寄与し、カールの影響を緩和しているものと推定される。
上記の実験1〜8では、送風側の条件として、下段ブロアの送風強度を上段ブロアよりも強くしているが、上下のブロア強度を等しくする場合や、上段のブロアの送風強度を下段ブロアよりも強くする場合など、上下方向の送風強度分布について様々な態様があり得る。送風強度分布の設定によって、シーズニング性能の優劣はあるが、排気部の開口条件による相応の効果(下側の開口率を下げることで下側の圧力を高めて、用紙間隔を確保する効果)は得られる。
<変形例1>
第1実施形態〜第3実施形態で説明した側板20〜23のうち少なくとも1つ、好ましくは隣接する2つ以上の側板についてスライド移動可能な構造とし、用紙収容空間34のx方向及び/又はy方向における幅を自在に調整可能な構成とすることも可能である。例えば、図1における側板21〜23をそれぞれ前後に進退自在な構成とし、側板20〜23で画成される用紙収容領域の面積を拡縮できる構成とする。かかる構成により、異なるサイズの用紙に対応可能となる。使用する用紙のサイズに合わせて側板をスライドさせることで、用紙に適合した用紙収容空間34のサイズ調整が可能である。なお、用紙のサイズが特定の種類に限定されている場合(例えばA4サイズとA3サイズのみの場合)には、側板20〜23のうちの1つのみ、例えば、側板21のみを移動可能に構成してもよい。
<制御系の説明>
図15は、シーズニング装置の制御系に関する要部構成を示すブロック図である。ここでは、用紙サイズ調整機能を有したシーズニング装置70を例に説明する。シーズニング装置70は、下段のブロア14を駆動するための駆動回路72と、上段のブロア15を駆動するための駆動回路73と、側板21等の駆動に必要な駆動機構74と、該駆動機構74を駆動する動力源となるモータ75及びその駆動回路76と、制御部78と、を備える。
制御部78は、例えば、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路から構成され、所定のプログラムにしたがって各駆動回路(72,73,76)に制御信号を与え、モータ75やブロア14,15の動作を制御する。この制御部78は下段のブロア14及び上段のブロア15の出力送風量(送風強度)を制御して、上下方向の風量分布を可変制御する点で送風制御手段としての役割を担う。
シーズニング装置70では、ユーザインターフェースとしての操作部82を備えている。操作部82は、オペレータ(ユーザ)が各種入力を行うための入力装置83と表示部(ディスプレイ)84を含んで構成される。入力装置83には、キーボード、マウス、タッチパネル、ボタンなど各種形態を採用し得る。オペレータは、入力装置83を操作することにより、印刷条件(紙種、紙銘柄、用紙サイズその他の属性情報、印刷モードなど)の入力や付属情報の入力・編集、情報の検索などを行うことができ、入力内容や検索結果など等の各種情報は表示部84の表示を通じて確認することができる。
また、シーズニング装置70は、通信インターフェース86を有し、印刷機の制御回路やホストコンピュータ等の外部装置(不図示)から、通信インターフェース86を介して直接情報を得ることができる。通信インターフェース86の通信方式は特に限定されず、有線、無線も問わない。外部から情報を取得する手段として、入力装置83、通信インターフェース86に代えて、又はこれに加えて、外部記憶媒体(リムーバブルメディア)を読み書きするメディアインターフェースを具備してよい。
これらを通じて、用紙の属性情報(用紙サイズ、紙種、銘柄など)、印刷用紙に付与されたインク量の情報を取得することができる。なお、用紙に付与されるインク量は、描画対象の画像データから演算することができる。
図15に示すシーズニング装置70によれば、紙種や紙銘柄、用紙サイズなど用紙の属性に応じて、側板位置を可変制御できるとともに、適切な送風量の制御や送風時間の制御が可能である。例えば、使用される用紙の属性に応じて最適なシーズニング時間、並びに上下風量分布を切り替えるタイミング、及びその風量バランスなどを予め実験等によって定めておき、これらの情報をテーブルデータとして、ROM等の記憶手段に記憶させておく。制御部78は、このテーブルデータを参照して該当する条件に合う送風制御を行う。
また、本シーズニング装置70によれば、用紙30に付与されたインク量に応じた風量の制御や送風時間の制御が可能である。上記と同様に、インク量に応じて最適なシーズニング時間、並びに上下風量分布を切り替えるタイミング、及びその風量バランスなどを予め実験等によって定めておき、これらの情報をテーブルデータとして、ROM等の記憶手段に記憶させておく。制御部58は、このテーブルデータを参照して該当する条件に合う送風制御を行う。インク量が多いほど、送風時間を長くする傾向となる。なお、上述した用紙の属性、インク量等の各要素を適宜組み合わせて制御する態様も可能である。
<変形例2>
図16は本発明の更に他の実施形態を示す構成図である。図16は送風時の様子を模式的に示した側面図である。図16中、図6で説明した構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図16に示すように、載置台12上の用紙収容部に棚板92を設け、用紙30を複数棚に分割して収容する構成を採用することができる。同図では3枚の棚板92によって4段に分割する例を示したが、棚板92の枚数は、棚分割する段数に応じて、1枚以上適宜の枚数が可能である。載置台12と天板28の間に棚板92をn枚設けることにより(nは自然数)、(n+1)段の収容部が形成される。
各段について用紙30を出し入れする手段として、例えば、周知の「引き出し」のような構造を採用できる。詳細な構造は図示しないが、各段ごとに用紙収容部を引き出して用紙の束をセットすることができる。また、分割された各段ついて、それぞれ図1、図3、図6等と同様の上下段のブロア14,15が設けられており、各段の用紙束に対して、上下方向の送風分布の制御が可能である。なお、各段に注目した場合、棚板92は「載置台」又は「天板」に相当する部材として機能する。
かかる形態によれば、下の方に積まれる用紙についても十分に風を通すことができ、多数枚の用紙30を短時間でシーズニングすることができる。
<シーズニングに必要な送風条件の説明>
〔風量の条件について〕
多数枚の印刷物(印刷後の用紙束)について迅速にシーズニングを行うためには、用紙間に一定以上の風量で常時送風を行うことが必要になる。以下に示す評価実験により、シーズニングに好適な風量の条件を明らかにした。
(評価方法)
(手順1):図17に示すように、印刷用紙210に対し、左右の余白部212,213と上下の余白部214,215をそれぞれ適宜の量だけ確保して、インクジェット記録装置によりベタ画像(符号218で示す画像部)を印刷する。ここで、印刷後の画像部218が含有する残水量は約2.5[g/m]であった。なお、印刷用紙210として、三菱製紙製のA1グレード・グロス塗工紙「特菱アート両面N」(商品名)を用いた。
(手順2):このような印刷後の用紙(印刷物)を、図18に示すように2枚の板221、222で挟み、スペーサ224によって板221、222の間に所定厚の間隙226を形成する。すなわち、板221の上に画像部218を上に向けて印刷用紙210を載せ、左右の余白部212,213に所定厚のスペーサ224を置いて、その上に板222を被せる。板221は載置台、板222は天板に相当する部材である。こうして、印刷用紙210の画像部218上に所定高さhの間隙が形成される。なお、図18(b)は図18(a)のブロア(送風機)230側から見た図である。
(手順3):次に、ブロア230によって間隙226に送風を行う。ブロア230としては、山洋電機製ブロア「San Ace B97(9BMB24P2K01)」(商品名)を用いた。ブロア入力電流の制御により出力風量を制御する。
そして、図18(a)における2枚の板221、222で形成される送風路の出口部232で風速v[m/s]を測定し、間隙226の高さh(用紙間隔に相当)を用いて、用紙幅方向(図18(b)のWp方向)の用紙単位長さ当たり風量q=h・v[m/min]を算出する。なお、風速計にはカノマックス社製「アネモマスター風速計 MODEL6004」(商品名)を用いた。
(手順4):こうして、一定風量を維持して所定時間送風後に送風を停止し、用紙210を取り出して残水量w[g/m]を測定する。測定方法は以下の通りである。
<<水分量測定方法について>>
印刷用紙210が含む水分量は、用紙の測定部分を3cm×3cmサイズで打ち抜き、微量水分測定装置(ここでは、株式会社三菱化学アナリテック製「CA-200」(商品名)を使用)を用いて測定する。測定された水分量[g]を打ち抜き面積で除算し、単位面積当たり水分量[g/m]を算出する。
「残水量」の定義は、インクを打滴、乾燥後に残る水分量のうち、印刷前に用紙が保持する水分量を差し引いた値とする。つまり、元々印刷用紙自体に含まれる水分量を除き、印刷によって付着したインクに由来する水分量のみを対象としたものである。なお、用紙が保持する水分量は、未描画の用紙を用いて別途測定する。
(手順5):手順1〜4を経て測定された残水量wが0.5[g/m]を下回る送風時間をシーズニング時間と定義する。
こうして求めた用紙単位長さ当たり風量(紙間風量)とシーズニング時間の関係を図19にまとめた。
(評価結果)
図19から明らかなように、用紙単位長さ当たり風量qが0.02[m/min]以上となる条件において、15分以内の迅速なシーズニングが達成できることが判明した。
〔送風静圧の条件について〕
また、多数枚の印刷物(印刷後の用紙束)の用紙間に通風を行うためには、圧力損失に打ち勝つだけの送風静圧が必要である。一般に、平行板間を流れる流体の場合、圧力損失Plossは以下の式で表される。
Figure 0005280383
用紙間隔hは、載置台上に置かれる用紙枚数及び戴置台と天板の距離によって主に規制される。間隔hを大きく取るほど圧力損失を低減できるが、装置サイズが増大する点および、送風による紙のばたつき、折れ曲がりが発生しやすくなる点から制約を受け、現実的にはh=0.5mm程度とすることが好ましい。
その場合、送風手段に求められる送風静圧としては、送風むらを考慮して用紙間隔h=0.3mm程度にて必要風量を満足することが求められる。送風距離Lとして、印刷用紙に広く用いられる菊半用紙の短辺(469mm)を想定すると、用紙間を流れる風量と圧力損失の関係は図20のグラフに示される。
図20から、h=0.3mmにて単位長さ当たり風量q=0.02[m/min]を満たす為には、送風静圧として500[Pa]が必要となることが判明した。
<送風ユニットの能力とシーズニング性能について>
以下の条件で送風ユニットの能力とシーズニング性能の関係を調べた。
・最大用紙処理枚数M=200枚
・用紙の1辺(長辺)の長さ 636mm(用紙サイズ:菊半裁)
・必要風量Q=200×0.636×0.02=2.54[m/min]
・必要静圧P=500[Pa]
使用する送風ユニットとして以下の構成を比較した。
送風ユニットA:山洋電機製 San Ace B97(9BMB24P2K01)
送風ユニットB:松下電器製 EH5402
送風ユニットC:山洋電機製 San Ace 92 (9G0924A2011)
図21は、送風ユニットA〜Cの種類と個数を変えた場合の風量と静圧の関係を示す特性である。図21中、黒塗り正方形で示した点が良好なシーズニングを実現するために必要な「必要風量Q=200×0.636×0.02=2.54[m/min]」かつ「必要静圧P=500[Pa]」の点である。なお、必要風量Qは、最大処理枚数M[枚]、送風方向から見た用紙の一辺の長さWp[m]として、Q=M×Wp×0.02[m/min]から計算される。
図21に示したとおり、送風ユニットA×6個、若しくは、送風ユニットB×6個によって送風手段を構成する場合における系の風量−静圧特性(Q−P特性)は、上記の必要最小限の送風条件を示す点(Q,P)を包含している。
このため、送風ユニットA×6個、若しくは、送風ユニットB×6個により構成される送風手段を用いることにより、迅速なシーズニングが可能である。
これに対し、送風ユニットC×6個によって送風手段を構成する場合は、必要静圧値P=500[Pa]を満たさず、迅速なシーズニングが困難である。
同様に、送風ユニットA〜Cをそれぞれ1個だけ用いた構成も、必要風量Qと必要静圧Pの条件を同時に満たすことはできず、迅速なシーズニングが困難である。
このように、必要風量値Q=M×Wp×0.02[m/min]かつ必要静圧値P=500[Pa]を表す点と、送風手段の特性曲線とを比較した場合に、上記必要送風条件の点が特性曲線の線上、若しくは、特性曲線よりも下側の領域に存在する場合に、当該送風手段によって所要の送風条件を満たす送風が可能である。
なお、過剰な風量、風圧により、用紙が過度にばたつくと、用紙が折れたり、画像にキズが発生したりするため、送風時の風量及び静圧の上限は、用紙の過度のばたつきを防止する観点から決定される。
<シーズニングを実施するタイミングについて>
シーズニングを実施するタイミングとしては、特に限定されないが、例えば、以下のタイミングで実施する。
(1)片面印刷のみを行う場合に、当該片面の印刷後にシーズニングを実施する。
(2)両面印刷を行う場合に、表面の印刷後、裏面印刷の前にシーズニングを実施する。
(3)両面印刷を行う場合に、(2)の場合に加えて、裏面印刷後にもシーズニングを実施する。
<インクジェット印刷システムへの適用例>
図1〜3、図5〜7等で説明した本発明の実施形態に係るシーズニング装置をインクジェット印刷機と組み合わせた印刷システムの例を説明する。
図22は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成例を示す図である。このインクジェット記録装置100は、描画部116の圧胴(描画ドラム170)に保持された記録媒体124(以下、便宜上「用紙」と呼ぶ場合がある。)にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成する圧胴直描方式のインクジェット記録装置であり、インクの打滴前に記録媒体124上に処理液(ここでは凝集処理液)を付与し、処理液とインク液を反応させて記録媒体124上に画像形成を行う2液反応(凝集)方式が適用されたオンデマンドタイプの画像形成装置である。
図示のように、インクジェット記録装置100は、主として、給紙部112、処理液付与部114、描画部116、乾燥部118、定着部120、及び排紙部122を備えて構成される。
図1〜3、図5〜7等で説明したシーズニング装置10(又は40、50、70)は、排紙部122(「用紙排紙部」に相当)の排出トレイ192の部分に設置される(図22参照)。
(給紙部)
給紙部112は、記録媒体124を処理液付与部114に供給する機構であり、当該給紙部112には、枚葉紙である記録媒体124が積層されている。給紙部112には、給紙トレイ150が設けられ、この給紙トレイ150から記録媒体124が一枚ずつ処理液付与部114に給紙される。
本例のインクジェット記録装置100では、記録媒体124として、紙種や大きさ(用紙サイズ)の異なる複数種類の記録媒体124を使用することができる。給紙部112において各種の記録媒体をそれぞれ区別して集積する複数の用紙トレイ(不図示)を備え、これら複数の用紙トレイの中から給紙トレイ150に送る用紙を自動で切り換える態様も可能であるし、必要に応じてオペレータが用紙トレイを選択し、若しくは交換する態様も可能である。なお、本例では、記録媒体124として、枚葉紙(カット紙)を用いるが、連続用紙(ロール紙)から必要なサイズに切断して給紙する構成も可能である。
(処理液付与部)
処理液付与部114は、記録媒体124の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部116で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
図22に示すように、処理液付与部114は、給紙胴152、処理液ドラム154、及び処理液塗布装置156を備えている。処理液ドラム154は、記録媒体124を保持し、回転搬送させるドラムである。処理液ドラム154は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)155を備え、この保持手段155の爪と処理液ドラム154の周面の間に記録媒体124を挟み込むことによって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。処理液ドラム154は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体124を処理液ドラム154の周面に密着保持することができる。
処理液ドラム154の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置156が設けられる。処理液塗布装置156は、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラと、アニックスローラと処理液ドラム154上の記録媒体124に圧接されて計量後の処理液を記録媒体124に転移するゴムローラとで構成される。この処理液塗布装置156によれば、処理液を計量しながら記録媒体124に塗布することができる。
本実施形態では、ローラによる塗布方式を適用した構成を例示したが、これに限定されず、例えば、スプレー方式、インクジェット方式などの各種方式を適用することも可能である。
処理液付与部114で処理液が付与された記録媒体124は、処理液ドラム154から中間搬送部126を介して描画部116の描画ドラム170へ受け渡される。
(描画部)
描画部116は、描画ドラム170、用紙抑えローラ174、及びインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yを備えている。描画ドラム170は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)171を備える。描画ドラム170に固定された記録媒体124は、記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yからインクが付与される。
インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yはそれぞれ、記録媒体124における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)であり、そのインク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yは、記録媒体124の搬送方向(描画ドラム170の回転方向)と直交する方向に延在するように設置される。
描画ドラム170上に密着保持された記録媒体124の記録面に向かって各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから、対応する色インクの液滴が吐出されることにより、処理液付与部114で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体124上での色材流れなどが防止され、記録媒体124の記録面に画像が形成される。
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
描画部116で画像が形成された記録媒体124は、描画ドラム170から中間搬送部128を介して乾燥部118の乾燥ドラム176へ受け渡される。
(乾燥部)
乾燥部118は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、図22に示すように、乾燥ドラム176、及び溶媒乾燥装置178を備えている。
乾燥ドラム176は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)177を備え、この保持手段177によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
溶媒乾燥装置178は、乾燥ドラム176の外周面に対向する位置に配置され、複数のハロゲンヒータ180と、各ハロゲンヒータ180の間にそれぞれ配置された温風噴出しノズル182とで構成される。
各温風噴出しノズル182から記録媒体124に向けて吹き付けられる温風の温度と風量、各ハロゲンヒータ180の温度を適宜調節することにより、様々な乾燥条件を実現することができる。
また、乾燥ドラム176の表面温度は50℃以上に設定されている。記録媒体124の裏面から加熱を行うことによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができる。なお、乾燥ドラム176の表面温度の上限については、特に限定されるものではないが、乾燥ドラム176の表面に付着したインクをクリーニングするなどのメンテナンス作業の安全性(高温による火傷防止)の観点から75度以下(より好ましくは60℃以下)に設定されることが好ましい。
乾燥ドラム176の外周面に、記録媒体124の記録面が外側を向くように(即ち、記録媒体124の記録面が凸側となるように湾曲させた状態で)保持し、回転搬送しながら乾燥することで、記録媒体124のシワや浮きの発生を防止でき、これらに起因する乾燥ムラを確実に防止することができる。
乾燥部118で乾燥処理が行われた記録媒体124は、乾燥ドラム176から中間搬送部130を介して定着部120の定着ドラム184へ受け渡される。
(定着部)
定着部120は、定着ドラム184、ハロゲンヒータ186、定着ローラ188、及びインラインセンサ190で構成される。定着ドラム184は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)185を備え、この保持手段185によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
定着ドラム184の回転により、記録媒体124は記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、ハロゲンヒータ186による予備加熱と、定着ローラ188による定着処理と、インラインセンサ190による検査が行われる。
ハロゲンヒータ186は、所定の温度(例えば、180℃)に制御される。これにより、記録媒体124の予備加熱が行われる。
定着ローラ188は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性ポリマー微粒子を溶着し、インクを被膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体124を加熱加圧するように構成される。具体的には、定着ローラ188は、定着ドラム184に対して圧接するように配置されており、定着ドラム184との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体124は、定着ローラ188と定着ドラム184との間に挟まれ、所定のニップ圧(例えば、0.15MPa)でニップされ、定着処理が行われる。
また、定着ローラ188は、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度(例えば60〜80℃)に制御される。この加熱ローラで記録媒体124を加熱することによって、インクに含まれるラテックスのTg温度(ガラス転移点温度)以上の熱エネルギーが付与され、ラテックス粒子が溶融される。これにより、記録媒体124の凹凸に押し込み定着が行われるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢性が得られる。
なお、図22の実施形態では、定着ローラ188を1つだけ設けた構成となっているが、画像層厚みやラテックス粒子のTg特性に応じて、複数段設けた構成でもよい。
一方、インラインセンサ190は、記録媒体124に定着された画像について、チェックパターンや水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
上記の如く構成された定着部120によれば、乾燥部118で形成された薄層の画像層内のラテックス粒子が定着ローラ188によって加熱加圧されて溶融されるので、記録媒体124に固定定着させることができる。また、定着ドラム184の表面温度は50℃以上に設定されている。定着ドラム184の外周面に保持された記録媒体124を裏面から加熱することによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができるとともに、画像温度の昇温効果によって画像強度を高めることができる。
なお、高沸点溶媒及びポリマー微粒子(熱可塑性樹脂粒子)を含んだインクに代えて、UV露光にて重合硬化可能なモノマー成分を含有していてもよい。この場合、インクジェット記録装置100は、ヒートローラによる熱圧定着部(定着ローラ188)の代わりに、記録媒体124上のインクにUV光を露光するUV露光部を備える。このように、UV硬化性樹脂などの活性光線硬化性樹脂を含んだインクを用いる場合には、加熱定着の定着ローラ188に代えて、UVランプや紫外線LD(レーザダイオード)アレイなど、活性光線を照射する手段が設けられる。
(排紙部)
図22に示すように、定着部120に続いて排紙部122が設けられている。排紙部122は、排出トレイ192を備えており、この排出トレイ192と定着部120の定着ドラム184との間に、これらに対接するように渡し胴194、搬送ベルト196、張架ローラ198が設けられている。記録媒体124は、渡し胴194により搬送ベルト196に送られ、排出トレイ192に排出される。搬送ベルト196による用紙搬送機構の詳細は図示しないが、印刷後の記録媒体124は無端状の搬送ベルト196間に渡されたバー(不図示)のグリッパーによって用紙先端部が保持され、搬送ベルト196の回転によって排出トレイ192の上方に運ばれてくる。
この排出トレイ192として、既述したシーズニング装置10(又は40、50等)が採用され、印刷後の用紙(印刷物)を積載する載置台としての機能とシーズニング機としての機能を兼ねる。例えば、トレイ上に100枚(所定枚数)たまったら自動的に仕切り板(天板28相当)が挿入され、その仕切り板の下側で100枚の用紙束に対して一括でシーズニングが行われる。
また、図22には示されていないが、本例のインクジェット記録装置100には、上記構成の他、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yにインクを供給するインク貯蔵/装填部、処理液付与部114に対して処理液を供給する手段を備えるとともに、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yのクリーニング(ノズル面のワイピング、パージ、ノズル吸引等)を行うヘッドメンテナンス部や、用紙搬送路上における記録媒体124の位置を検出する位置検出センサ、装置各部の温度を検出する温度センサなどを備えている。
(両面印刷への対応)
両面印刷を行う場合には、図22のインクジェット記録装置100において、用紙の片面(表面)が印刷された後にシーズニング装置10で所定時間のシーズニングを行う。そして、シーズニング処理された用紙の束を給紙部112に戻して、裏面の印刷を行う。
これにより、表裏レジずれなどが発生せず、短時間で良好な両面印刷を実現できる。
また、図22に示したインクジェット記録装置100において、排出トレイ192に用いるシーズニング装置10を複数台備えるとともに、各シーズニング装置10を排紙部122と給紙部112との間で移動できる構成としてもよい。
例えば、各シーズニング装置10にキャスターを設けて走行できる構成を採用してもよいし、レールに載せて走行させる構成を採用してもよい。
そして、1台目のシーズニング装置が印刷物の束をシーズニングしている期間中、別の(2台目の)シーズニング装置が排紙部122にセットされ、新たに印刷出力されてくる印刷物を受け止める。1台目のシーズニング装置でシーズニングが終わった用紙の束は給紙部112に供給される。
2台目のシーズニング装置に規定枚数の印刷物が集積されたら、当該2台目のシーズニング装置が排紙部122から退避してシーズニングを開始する。そして、3台目のシーズニング装置、または、空になった1台目のシーズニング装置が排紙部122にセットされ、印刷が続けられる。このように、複数台のシーズニング装置を輪番で使用するシステムを構成することにより、自動化を実現できるとともに、大量の印刷物を効率良く生産することができる。
<インクについて>
本発明の実施に用いられるインクは、水を溶媒として含んだ水性インクであり、例えば、溶媒不溶性材料として、色材(着色剤)である顔料やポリマー微粒子などを含有する水性顔料インクが用いられる。
溶媒不溶性材料の濃度は、吐出に適切な粘度20mPa・s以下を考慮して1wt%以上20wt%以下であることが好ましい。より好ましくは画像の光学濃度を得るために4wt%以上の顔料濃度である。
インクの表面張力は、吐出安定性を考慮して20mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。
インクに使用される色材は、顔料あるいは染料と顔料とを混合して用いることができる。処理液との接触時における凝集性の観点から、インク中で分散状態にある顔料の方がより効果的に凝集するため好ましい。顔料の中でも、分散剤により分散されている顔料、自己分散顔料、樹脂により顔料表面を被覆された顔料(マイクロカプセル顔料)、及び高分子グラフト顔料が特に好ましい。また、顔料凝集性の観点から、解離度の小さいカルボキシル基によって修飾されている形態がより好ましい。
本実施形態に用いる着色インク液には、処理液と反応する成分として、着色剤を含まないポリマー微粒子を添加することが好ましい。ポリマー微粒子は、処理液との反応によりインクの増粘作用、凝集作用を強め、画像品位の向上させることができる。特に、アニオン性のポリマー微粒子をインクに含有せしめることにより、安全性の高いインクが得られる。
処理液と反応して、増粘・凝集作用を起こすポリマー微粒子をインクに用いることにより、画像の品位を高めることができると同時に、ポリマー微粒子の種類によっては、ポリマー微粒子が記録媒体で皮膜を形成し、画像の耐擦性、耐水性をも向上させる効果を有する。
ポリマーインクでの分散方法はエマルジョンに限定するものではなく、溶解していても、コロイダルディスパージョン状態で存在していてもよい。
ポリマー微粒子は、乳化剤を用いてポリマー微粒子を分散させたものであっても、また、乳化剤を用いないで分散させたものであってもよい。乳化剤としては、通常、低分子量の界面活性剤が用いられているが、高分子量の界面活性剤を乳化剤として用いることもできる。外殻がアクリル酸、メタクリル酸などにより構成されたカプセル型のポリマー微粒子(粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェルタイプのポリマー微粒子)を用いることも好ましい。
インクにポリマー微粒子として添加する樹脂成分としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。
ポリマー微粒子への高速凝集性付与の観点から、解離度の小さいカルボン酸基を有するものがより好ましい。カルボン酸基はpH変化によって影響を受けやすいので、分散状態が変化しやすく、凝集性が高い。
ポリマー微粒子のpH変化に対する分散状態の変化は、アクリル酸エステルなどのカルボン酸基を有する、ポリマー微粒子中の構成成分の含有割合によって調整することができ、分散剤として用いるアニオン性の界面活性剤によっても調整可能である。
ポリマー微粒子の樹脂成分は、親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。疎水性部分を有することで、ポリマー微粒子の内側に疎水部分が配向し、外側に親水部分が効率よく外側に配向され、液体のpH変化に対する分散状態の変化がより大きくなる効果があり、凝集がより効率よく行われる。
また、ポリマー微粒子を、インク内に2種以上混合して含有させて使用してもよい。
本実施形態のインクに添加するpH調整剤としては中和剤として、有機塩基、無機アルカリ塩基を用いることができる。pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクがpH6〜10となるように添加するのが好ましい。
本実施形態のインクは、乾燥によってインクジェットヘッドのノズルが詰まるのを防止する目的から、水溶性有機溶媒を含有することが好ましい。このような水溶性有機溶媒には、湿潤剤及び浸透剤が含まれる。
水溶性有機溶媒としては、処理液の場合と同様に、例えば、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が挙げられる。
その他必要に応じ、界面活性剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、等も添加することができる。
また、インク中に熱可塑性樹脂微粒子を含有させることもできる。熱可塑性樹脂を含有させることで、加熱する過程で、皮膜化が進行し画像強度を向上させることができる。熱可塑性樹脂を含有させた場合、乾燥での加熱プロセスに加え、画像を加熱加圧する定着工程を行うことがより効果的である。
また、インク中にUV硬化性モノマーを含有させることで、乾燥部で水分を充分に揮発させた後に、UV照射ランプ等を備えた定着部で、画像にUVを照射することで、UV硬化性モノマーを硬化重合させ、画像強度を向上させることができる。
<処理液について>
本発明の実施に際して用いる処理液(凝集処理液)として、インクのpHを変化させることにより、インクに含有される顔料およびポリマー微粒子を凝集させ、凝集物を生じさせるような処理液が好ましい。
処理液の成分として、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等の中から選ばれることが好ましい。
また、処理液の好ましい例として、多価金属塩あるいはポリアリルアミンを添加した処理液を挙げることができる。これらの化合物は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
処理液はインクとのpH凝集性能の観点からpHは1〜6であることが好ましく、pHは2〜5であることがより好ましく、pHは3〜5であることが特に好ましい。
また、処理液は、乾燥によってインクジェットヘッドのノズルが詰まるのを防止する目的から、水、その他添加剤溶性有機溶媒を含有することが好ましい。このような水、その他添加剤溶性有機溶媒には、湿潤剤及び浸透剤が含まれる。これらの溶媒は、水,その他添加剤と共に単独若しくは複数を混合して用いることができる。
処理液には、定着性および耐擦性を向上させるため、樹脂成分を更に含有してもよい。樹脂成分は、処理液をインクジェット方式によって打滴する場合ヘッドからの吐出性を損なわないもの、保存安定性があるものであればよく、水溶性樹脂や樹脂エマルジョンなどを自由に用いることができる。
その他必要に応じ、界面活性剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、等も添加することができる。
10…シーズニング装置、12…載置台、14a,14a’〜14c’,15a〜15f,15a’〜15f’…ブロア(送風機)、20,21,22,23…側板、24,25…送風口、26…開口、27…排気部、28…天板、30…用紙、34…用紙収容空間、40,50,70…シーズニング装置、92…棚板、100…インクジェット記録装置、122…排紙部

Claims (10)

  1. 複数枚の印刷用紙を積み重ねて載置する載置台と、
    前記載置台の上部に当該載置台と対向して配置され、前記載置台上に置かれた前記印刷用紙の束の上方を覆う天板と、
    前記対向配置される前記載置台と前記天板との間に形成される用紙収容領域に対して側面側から送風を行う送風手段と、
    前記用紙収容領域の側面部に配置される側板と、
    前記側板に形成された開口によって構成される排気部と、
    を備え、
    前記排気部の開口率が前記用紙収容領域の上下方向で異なり、当該排気部の下側の開口率が上側の開口率よりも小さくなっていることを特徴とする印刷用紙シーズニング装置。
  2. 請求項1において、
    前記排気部の開口率は、前記用紙収容領域の上から下に向かって段階的に又は連続的に小さくなっていることを特徴とする印刷用紙シーズニング装置。
  3. 請求項1又は2において、
    前記下側の開口率の最小値は、前記上側の開口率の最大値に対し1/20以上2/3以下であることを特徴とする印刷用紙シーズニング装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項において、
    前記排気部は、前記用紙収容領域の前記側面部を覆う前記側板のうち、前記送風手段が設置されていない面の側板に形成されていることを特徴とする印刷用紙シーズニング装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項において、
    前記載置台の用紙載置面及び当該用紙載置面と対面する前記天板の用紙抑え面は、前記送風手段の送風方向と直交する方向に曲率を有することを特徴とする印刷用紙シーズニング装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項において、
    前記送風手段から送風される空気の静圧が500[Pa]以上であることを特徴とする印刷用紙シーズニング装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項において、
    当該シーズニング装置で一度に処理できる最大処理枚数をM[枚]、前記送風手段の送風側から見た用紙の幅方向の一辺の長さをWp[m]とすると、
    前記送風手段の風量−静圧特性が、必要風量値Q=M×Wp×0.02[m/min]かつ必要静圧値P=500[Pa]の点を包含していることを特徴とする印刷用紙シーズニング装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項において、
    少なくとも1つの棚板を有し、前記棚板によって仕切られた複数段の構造により、前記印刷用紙を複数束に分割して収容する構成であることを特徴とする印刷用紙シーズニング装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の印刷用紙シーズニング装置が用紙排紙部に搭載されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
  10. 複数枚の印刷用紙を載置台の上に積層し、前記載置台上に置かれた前記印刷用紙の束の上方を天板で覆い、前記対向配置される前記載置台と前記天板との間に形成される用紙収容領域に対して側面側から送風手段によって送風を行うことにより、当該束の各用紙間に空気を供給する印刷用紙のシーズニングを行う方法であって、
    前記用紙収容領域の側面部に配置する側板に排気用の開口を形成し、当該開口によって構成される排気部の開口率を前記用紙収容領域の上下方向で異ならせ、上側の開口率よりも下側の開口率を小さくし、前記送風手段による送風時に前記用紙収容領域の下側を流れる空気の圧力が上側を流れる空気の圧力よりも高い状態で送風を行うことを特徴とする印刷用紙シーズニング方法。
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