JP2011020808A - 印刷物のシーズニング装置及び方法並びに印刷システム - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷後の用紙(印刷物)の束をまとめて、短時間で均一にシーズニングすることができるシーズニング装置及び方法並びに印刷システムを提供する。
【解決手段】本発明のシーズニング装置(10)は、少なくとも用紙(12)の片面にインクが付与された複数枚の印刷物に曲率を与えるとともに、その曲率に応じた曲線を成す用紙の一辺を下端として当該印刷物を縦置き状態の姿勢で保持する用紙保持手段(14)と、用紙保持手段(14)によって縦置き状態の姿勢で保持された印刷物の束の端面から風を送る送風手段(18)と、を備える。用紙に曲率を与えることで用紙の姿勢を安定的に維持し、縦置き状態の用紙間に適度な隙間を確保して紙面全体に風を送る。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のシーズニング装置(10)は、少なくとも用紙(12)の片面にインクが付与された複数枚の印刷物に曲率を与えるとともに、その曲率に応じた曲線を成す用紙の一辺を下端として当該印刷物を縦置き状態の姿勢で保持する用紙保持手段(14)と、用紙保持手段(14)によって縦置き状態の姿勢で保持された印刷物の束の端面から風を送る送風手段(18)と、を備える。用紙に曲率を与えることで用紙の姿勢を安定的に維持し、縦置き状態の用紙間に適度な隙間を確保して紙面全体に風を送る。
【選択図】図1
Description
本発明は印刷物のシーズニング装置及び方法並びに印刷システムに係り、特に、印刷後の用紙を短時間で環境温度及び環境湿度に近い状態に調整するシーズニング装置の構成及びシーズニング方法、並びにこれを適用した印刷システムに関する。
印刷装置によってインクが付与された直後の用紙は、画像領域内でインクの濃淡(インク量の多寡)により水分量の差があることにより、用紙の伸縮が発生する。特に、水性インクを用いて汎用紙に印刷するシステムではこの問題が顕著である。更に、両面印刷を行う場合、通常は、片面(表面)の印刷完了後に、反対側の面(裏面)の印刷が行われるが、表面を印刷した直後の用紙では、用紙の伸縮が大きく、表面と裏面とでそれぞれ印刷される画像のサイズ、位置にズレが生じる(表裏レジが合わない)という問題が生じる。
また、両面印刷に限らず、片面印刷の場合にあっても、上記の用紙変形に起因するカールやカックルの発生により、印刷品位が低下するという問題があり、加えて、印刷工程後に行われる製本工程などの後加工に悪影響を及ぼすという問題もある。
特許文献1では、印刷後の紙変形(特にカール)を解消するために、調湿した空間に印刷後の用紙を一枚ずつ干してシーズニングさせる方法が記載されている。また、特許文献2では、印刷機内部で温湿度を制御することで、装置内紙変形を緩和する印刷システムが開示されている。
しかしながら、特許文献1では、印刷済みの束になった用紙をまとめてシーズニングする方法は示されていない。一方、特許文献2は、用紙を堆積させる空間を温室度調整するのみであり、重ね置きされた用紙の一枚一枚について均等にシーズニングすることができず、シーズニングに要する時間も長い。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、印刷後の用紙(印刷物)の束をまとめて、短時間で均一にシーズニングすることができるシーズニング装置及び方法並びに印刷システムを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために以下の発明態様を提供する。
(発明1):発明1に係る印刷物のシーズニング装置は、少なくとも用紙の片面にインクが付与された複数枚の印刷物に曲率を与えるとともに、その曲率に応じた曲線を成す用紙の一辺を下端として当該印刷物を縦置き状態の姿勢で保持する用紙保持手段と、前記用紙保持手段によって前記縦置き状態の姿勢で保持された前記印刷物の束の端面から風を送る送風手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、用紙に曲率を与えることで用紙の自重による変形が抑制され、用紙の縦置き姿勢を安定的に保つことができる。また、用紙を縦置きにすることで用紙間の隙間を確保し、用紙間に風を通すことができるため、印刷物の束を一括して短時間で均一にシーズニングすることができる。
送風手段は、周囲環境の空気をそのまま送風する形態(周囲環境の温湿度と同等のエアを送り出すもの)が好ましい。
(発明2):発明2に係る印刷物のシーズニング装置は、発明1に記載の印刷物のシーズニング装置において、前記送風手段は、前記用紙保持手段の下方に設けられ、前記印刷物の束の下端側から送風することを特徴とする。
用紙保持手段に保持されている縦置き状態の印刷物の束に対して下から風を当てることにより、用紙の姿勢が崩れにくく、良好なシーズニングを実現できる。
(発明3):発明3に係る印刷物のシーズニング装置は、発明1又は2に記載の印刷物のシーズニング装置において、前記送風手段として、前記用紙保持手段の下方に設けられ、前記印刷物の束の下端側から上に向けて送風する第1の送風手段と、前記用紙保持手段の上方に設けられ、前記印刷物の束の上端側から下に向けて送風する第2の送風手段と、を備えることを特徴とする。
用紙保持手段に保持されている縦置き状態の印刷物の束に対して下から風を当てるとともに、上からも風を当てることにより、更に効率的にシーズニングを行うことが可能である。
(発明4):発明4に係る印刷物のシーズニング装置は、発明1乃至3のいずれか1項に記載の印刷物のシーズニング装置において、前記用紙保持手段は、前記複数枚の印刷物に曲率を与え、前記縦置き状態の用紙姿勢を規制する第1壁面を構成する第1壁面部材と、前記第1壁面と対向する第2壁面を構成する第2壁面部材と、を備え、前記第1壁面と前記第2壁面との間に形成される空間に前記印刷物の束を保持する構造であることを特徴とする。
第1壁面部材と第2壁面部材とで用紙の保持空間を規制することにより、用紙に曲率を与えつつ、用紙間の隙間を確保する態様が好ましい。
(発明5):発明5に係る印刷物のシーズニング装置は、発明4に記載の印刷物のシーズニング装置において、前記第1壁面を上に向けた状態から前記第1壁面を起立させた状態に前記第1壁面部材を移動させる可動機構を備えたことを特徴とする。
かかる態様によれば、第1壁面を上に向けた状態で印刷物の束を用紙保持手段に容易にセットすることができるとともに、シーズニング後に印刷物を取り出す際の作業も容易である。また、本態様によれば、第1壁面部材を印刷物の積載台として兼用することも可能である。更に、本態様に係るシーズニング装置を印刷機の排紙部に採用することも可能である。
(発明6):発明6に係る印刷物のシーズニング装置は、発明5に記載の印刷物のシーズニング装置において、前記第1壁面を上に向けた状態で当該第1壁面部材の前記第1壁面上に前記印刷物の束が載置された後、前記送風手段から風を送りながら、前記可動機構を駆動して前記第1壁面を起立させる動作を行うように前記送風手段及び前記可動機構の駆動手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
第1壁面を上に向けた状態で、当該第1壁面の上に印刷物を複数枚重ね置きした後、送風手段から風を当てながら第1壁面を起立させる動作を行うことにより、用紙の束の姿勢が崩れにくく、用紙間に適度な隙間を形成することができる。
(発明7):発明7に係る印刷物のシーズニング装置は、発明1乃至6のいずれか1項に記載の印刷物のシーズニング装置において、前記印刷物はインクジェット記録装置により印刷を行った印刷物であることを特徴とする。
インクジェット記録された印刷物は、他の印刷方式による印刷物と比較して含水量が高く、用紙の変形による問題が顕著であることから、インクジェット記録装置で印刷された印刷物に対して本発明のシーズニング装置を用いてシーズニングを行うことが効果的である。
(発明8):発明8に係る印刷物のシーズニング装置は、発明1乃至7のいずれか1項に記載の印刷物のシーズニング装置において、前記インクは、水を溶媒として含むインクであることを特徴とする。
水を溶媒として含むインクを用いて印刷された印刷物は、含水量が高くなる傾向にあるため、本発明のシーズニング装置によるシーズニングが効果的である。
(発明9):発明9に係る印刷物のシーズニング装置は、発明8に記載の印刷物のシーズニング装置において、前記インクは、熱可塑性樹脂と色材とを含んだインクであることを特徴とする。
熱可塑性樹脂を含んだインクを用いた印刷物は印刷後に加熱定着が行われる。この加熱工程で樹脂の皮膜化が進行し、画像強度(堅牢性)が向上する。
(発明10):発明10に係る印刷物のシーズニング装置は、発明8に記載の印刷物のシーズニング装置において、前記インクは、活性光線硬化性樹脂と色材とを含んだインクであることを特徴とする。
発明9の熱可塑性樹脂に代えて、活性光線硬化性樹脂(例えば、紫外線により硬化するUV硬化モノマーなど)を含有させてもよい。この場合、印刷後の画像に活性光線(例えば、紫外線)を照射することにより、樹脂を硬化重合させ画像強度を向上できる。
(発明11):発明11に係る印刷システムは、給紙される用紙の少なくとも片面にインクを付与して印刷を行う印刷装置と、発明1乃至10のいずれか1項に記載の印刷物のシーズニング装置と、を備えた印刷システムであって、前記印刷装置によって印刷された複数枚の印刷物が前記シーズニング装置の前記用紙保持部に保持され、当該印刷物の束が前記シーズニング装置によりシーズニングされることを特徴とする。
発明1〜10に係るシーズニング装置は、印刷機と別体の装置として構成されてもよいし、印刷機と組み合わせて印刷システムの一部として組み込まれても良い。
(発明12):発明12に係る印刷物のシーズニング方法は、少なくとも用紙の片面にインクが付与された複数枚の印刷物に曲率を与えるとともに、その曲率に応じた曲線を成す用紙の一辺を下端として当該印刷物を縦置き状態の姿勢で保持し、前記縦置き状態の姿勢で保持された前記印刷物の束の端面から風を当て、用紙間にエアを供給することによりシーズニングを行うことを特徴とする。
本発明によれば、複数枚の印刷物の用紙間の隙間を確保しつつ、用紙の姿勢を安定させ、用紙間に効率的に風を通すことができるため、印刷物の束をまとめて、短時間で均一にシーズニングすることができる。
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係るシーズニング装置の斜視図である。本例のシーズニング装置10は、印刷後の用紙12(「印刷物」に相当)の束を縦置き状態で保持する用紙保持部14(「用紙保持手段」に相当)と、この用紙保持部14の用紙置き空間16に下方から風を送る送風装置18(「送風手段」、「第1の送風手段」に相当)と、を備える。用紙置き空間16に置かれる用紙12は、図示せぬ印刷機(例えば、インクジェット記録装置)によって、少なくとも片面にインクが付与された印刷物である。用紙保持部14は、用紙12を湾曲させた姿勢に規制する円弧状の凹曲面22(「第1壁面」に相当)を有するブロック24(「第1壁面部材」に相当)と、この凹曲面22に対向して配置される押え板26(「第2壁面部材」に相当)とを備える。ブロック24の凹曲面22と、これに対向する押え板26の凹曲面28(「第2壁面」に相当)との間に、用紙12の束が置かれる空間(「用紙置き空間」)16が形成される。また、本例の用紙保持部14は、用紙置き空間16の側面を覆う側面板31、32を備える。
図2は用紙保持部14を上から見た図である。なお、図2では図示の便宜上、用紙12の記載を省略した。用紙保持部14の底面には、用紙12の下辺を支持しつつ、送風装置18からの風を通すことができるように、開口34が形成された底板36が設けられている。底板36における開口34の大きさ(開口サイズ)と開口率は、底板36が用紙12の束を支えるために必要な底板36の強度及び形状、並びに、送風に必要な風量・風圧等を確保する観点から適宜設計される。図2に示した格子状の底板36に代えて、メッシュ状の板などでもよい。
押え板26は、図示せぬ移動機構(図6中の符号56)を含む位置調節手段によって、用紙12の重ね方向(図2における矢印A方向)に移動可能である。用紙12の枚数に応じて押え板26の位置が調整され、処理枚数に適した適切な広さの用紙置き空間16が形成される。押え板26は、用紙12と対面する面がブロック24の凹曲面22と反対側に湾曲した円弧状の凹曲面28となっている。このため、図2のように上から見たとき、ブロック24の凹曲面22と押え板26の凹曲面28とで挟まれる用紙置き空間16は中央部分が膨らんだ形状である。
なお、ブロック24の凹曲面22の曲率と、押え板26の凹曲面28の曲率は、用紙12の縦置き姿勢を安定的に維持しつつ、各用紙間に必要な隙間を形成する観点から、それぞれの曲率が適宜設計される。
かかる形態によれば、用紙12の中央部について用紙間に十分な隙間を確保することができる。また、用紙12の左右両端部について、紙束の厚み方向の領域が規制されているため、用紙12の姿勢の崩れを防止することができる。
また、この用紙保持部14は、不図示の回動機構(「可動機構」に相当、図6中の符号50)に支持されており、図3に示すように、ブロック24の凹曲面22を上に向けた姿勢から、凹曲面22を起立させた姿勢(図1参照)へとブロック24を移動させることができる。もちろん、図1に示した姿勢(凹曲面22を起立させた姿勢)から図3の姿勢(凹曲面22を上に向けた姿勢)に戻すこともできる。なお、図3では図示の便宜上、側面板31、32の記載を省略した。
なお、本例では用紙保持部14を90度回動させる機構を採用した例を説明したが、「可動機構」としては、回動機構のみに限らず、回動機構と水平移動機構とを組み合わせた多軸の機構を採用してもよい。
図3のように凹曲面22を上に向けた姿勢のブロック24は、印刷後の用紙12の束(符号13)を載置する載置台を兼ねることができる。本例のシーズニング装置10において、印刷後の用紙12の束13を用紙保持部14にセットするときには、図3のように、ブロック24の凹曲面22を上に向けた姿勢とし、この凹曲面22上に用紙12を重ねる。そして、所定枚数の用紙12を積載した後、上から押え板26で蓋をする。その後、ブロック24、押え板26及びこれらの間に挟まれた用紙12を含んだ用紙保持部14を、図3の矢印B方向に90度回動させる。これにより、図1に示すように、用紙12を縦置き状態で保持する姿勢となる。
このように用紙保持部14を起立させる回動動作のときに、送風装置18の送風口42から風を送りながら用紙保持部14を起立させる駆動を行うことが好ましい。例えば、ブロック24を図3の状態から徐々に傾け、水平面に対して所定の傾斜角度(例えば、30度)になったところで送風装置18から送風を開始し、送風しながらブロック24を90度まで回動させる。これにより、用紙12間に適度な隙間を確保しつつ、用紙12の束を縦置き状態で自立させる。その後、送風装置18から所定時間連続的に、又は間欠的に、送風を行い、用紙12のシーズニングを行う。
図4は送風装置18の上面図、図5は送風装置18を構成するファンユニット40の斜視図である。これらの図面に示したように、送風装置18は、上面に送風口42を有するファンユニット40を複数列並べた構成(一例として、3列の場合を図示)となっている。各ファンユニット40は、送風口42を形成したカバー44の下に複数個のファン46を並べた構成(一例として、3個のファン46を並べた場合を図示)となっている。ファンユニット40を構成するファン46の個数、各ファン46の仕様、送風口42の大きさや形状などは、必要な送風量と圧力が得られるよう適宜設計される。
送風装置18は、風を送り出す面において送風口42以外の部分(図4において符号48で示す領域)がカバー44によって密閉されているため、送風口42から強い風を送り出すことができる。このような構成により、用紙保持部14に保持されている全ての用紙に概ね均等に風を当てることができる。
また、用紙12内における水分量の均一化を目的とする本例のシーズニング装置10では、過乾燥を防止する観点から、送風装置18は周囲空気を送風する(周囲環境の温度及び湿度の風を送る)ことが好ましい。仮に、ヒーターなどによって加熱された空気や、圧縮空気、ドライエアなどを送風する手段を採用すると、用紙12内において多量にインクが付与されている領域については短時間の乾燥が可能となる一方で、用紙12内における非インク付与部やインク量が非常に少ない領域については過度な乾燥状態となる。このような水分量の差によって用紙の伸縮(変形)が生じる可能性があるため、環境温湿度の空気とは異なる温湿度の温風や圧縮空気などを送風する手段を採用することは、好ましい形態ではない。
この点、本例の送風装置18は、周囲環境の温湿度の空気をファン46で送り出す(送風する)だけの構成であり、ヒーター等の加熱手段や除湿手段など、温湿度を制御・調整する手段は設けられていない。
このように、送風装置18によって、周囲環境の空気(エア)を送り、用紙間に環境温湿度の空気を吹き込むことにより、用紙内の湿っている部分は乾燥させる一方、乾いている部分は湿らせて用紙内部の水分量を平均化して均す(環境温湿度に近づける)ことができる。
図6は、本実施形態に係るシーズニング装置10の制御系の構成を示すブロック図である。図6のように、本例のシーズニング装置10は、ブロック24の回動機構50を駆動するためのモータ52(「駆動手段」に相当)と、該モータ52の駆動回路54と、押え板26の移動機構56を駆動するためのモータ58と、該モータ58の駆動回路60と、送風装置18のファン46を駆動するための駆動回路62と、各駆動回路(54,60,62)を制御する制御部(「制御手段」に相当)64と、を備える。
制御部64は、例えば、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路から構成され、所定のプログラムにしたがって各駆動回路(54,60,62)に制御信号を与え、モータ52,58やファン46の動作を制御する。
上記のごとく構成されたシーズニング装置10によれば、ブロック24の凹曲面22によって用紙12に曲率を与え、その曲率に応じた曲線を成す用紙12の一辺(図1において下辺)で用紙12の自重を支えるように、用紙12を縦置きに保持したことにより、各用紙12が自立して姿勢を安定的に保つことができる。また、この縦置き状態の用紙12間に適度な隙間が確保され、用紙12の下端から風を送ることにより、用紙12間に略均等に風を送ることができる。これにより、用紙の一枚毎に、紙面全体にわたって風が通り、用紙12の束を短時間で均一にシーズニングすることができる。
図7は、本実施形態におけるシーズニング性能を調べたグラフである。横軸はシーズニングを行った時間(単位は[分])、縦軸は用紙の中央部分における画像部(インクが付与されている領域)の残水量(単位は1平方メートル当たりのグラム数[g/m2])を表している。200枚の印刷済み用紙をセットした場合と、500枚の印刷済み用紙をセットした場合について図示した。
図7によれば、200枚の束の場合、約10分間程度のシーズニング時間で足りることがわかる。また、500枚の場合でも約15分程度のシーズニング時間で足りることがわかる。
<他の実施形態1>
図1〜図5で説明したシーズニング装置10における用紙保持部14に代えて、図8(a),(b)に示すような形態の用紙保持部70、80を採用することも可能である。
図1〜図5で説明したシーズニング装置10における用紙保持部14に代えて、図8(a),(b)に示すような形態の用紙保持部70、80を採用することも可能である。
図8(a),(b)は用紙保持部70、80を上から見た図である。図8中、図1〜6で示した構成と同一又は類似の要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図8(a)に示した用紙保持部70は、図1等で説明した押え板26に代えて、ブロック24の凹曲面22と同方向に湾曲した円弧状の凸曲面78(「第2壁面」に相当)を有する押え板76(「第2壁面部材」に相当)を備える。
図8(a)における押え板76の凸曲面78の曲率とブロック24の凹曲面22の曲率はそれぞれ適宜の設計が可能であるが、用紙幅方向に渡って用紙間に均一な隙間を形成する観点を重視する場合、両者の曲率を同等とする構成が好ましい。
<他の実施形態2>
図8(b)に示した用紙保持部80は、図1等で説明したブロック24及び押え板26に代えて、断面(用紙面と直交する平面で切断した場合の断面)がV字状の面82(「第1壁面」に相当、以下「V字面」という。)を有するブロック84と、該ブロック84のV字面82と同方向にV字形の凸状の面88(「第2壁面」に相当)を有する押え板86とを備える。
図8(b)に示した用紙保持部80は、図1等で説明したブロック24及び押え板26に代えて、断面(用紙面と直交する平面で切断した場合の断面)がV字状の面82(「第1壁面」に相当、以下「V字面」という。)を有するブロック84と、該ブロック84のV字面82と同方向にV字形の凸状の面88(「第2壁面」に相当)を有する押え板86とを備える。
このような形態によれば、用紙12には相応の曲率が与えられ、用紙12の束を縦置き状態で安定して保持することができる。なお、図8(b)におけるブロック84のV字面82の開き角度と、押え板86の面88の開き角度は、それぞれ適宜の設計が可能であるが、用紙幅方向に渡って用紙の姿勢を安定させる観点を重視する場合、両者の角度を同等とする構成が好ましい。
<他の実施形態3>
図1〜8では、用紙保持部14の下方に送風装置18を設置し、用紙12の束の下端側から送風する構成を例示したが、かかる構成と組み合わせて、用紙保持部14の上方にも送風装置(「第2の送風手段」に相当)を設置する形態も可能である。
図1〜8では、用紙保持部14の下方に送風装置18を設置し、用紙12の束の下端側から送風する構成を例示したが、かかる構成と組み合わせて、用紙保持部14の上方にも送風装置(「第2の送風手段」に相当)を設置する形態も可能である。
この場合、用紙保持部14の上部に配置される送風装置(「第2の送風手段」に相当)は、図4及び図5で説明した送風装置18の送風口42を下方に向けた構成を採用することができる。
また、このように用紙保持部14の上下両方から風を当てる形態の場合には、風の逃げ道を確保するために、用紙保持部14の側面板31、32(図1参照)を取り外した構成とすることが好ましい。
このような形態によれば、一層均一なシーズニングが可能であり、シーズニング時間の更なる短縮も可能である。
<他の実施形態4>
図1〜8で説明したシーズニング装置10において、更に、用紙保持部14において縦置き状態で保持した用紙12に振動を与える加振手段を設ける態様も好ましい。例えば、シーズニング中(送風中)に加振手段によって、水平面方向(底板36の面方向)に振動を与えることにより、用紙12に対して風の当たる位置が振動で揺らぐため、用紙12面に対して均一に風を当てることができる。
図1〜8で説明したシーズニング装置10において、更に、用紙保持部14において縦置き状態で保持した用紙12に振動を与える加振手段を設ける態様も好ましい。例えば、シーズニング中(送風中)に加振手段によって、水平面方向(底板36の面方向)に振動を与えることにより、用紙12に対して風の当たる位置が振動で揺らぐため、用紙12面に対して均一に風を当てることができる。
<シーズニングを実施するタイミングについて>
シーズニングを実施するタイミングとしては、特に限定されないが、例えば、以下のタイミングで実施する。
シーズニングを実施するタイミングとしては、特に限定されないが、例えば、以下のタイミングで実施する。
(1)片面印刷のみを行う場合に、当該片面の印刷後にシーズニングを実施する。
(2)両面印刷を行う場合に、表面の印刷後、裏面印刷の前にシーズニングを実施する。
(3)両面印刷を行う場合に、(2)の場合に加えて、裏面印刷後にもシーズニングを実施する。
<インクジェット印刷システムへの適用例>
図1〜8で説明したシーズニング装置10をインクジェット印刷機と組み合わせた印刷システムに適用する例を説明する。
図1〜8で説明したシーズニング装置10をインクジェット印刷機と組み合わせた印刷システムに適用する例を説明する。
図9は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成例を示す図である。このインクジェット記録装置100は、描画部116の圧胴(描画ドラム170)に保持された記録媒体124(便宜上「用紙」と呼ぶ場合がある。)にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成する圧胴直描方式のインクジェット記録装置であり、インクの打滴前に記録媒体124上に処理液(ここでは凝集処理液)を付与し、処理液とインク液を反応させて記録媒体124上に画像形成を行う2液反応(凝集)方式が適用されたオンデマンドタイプの画像形成装置である。
図示のように、インクジェット記録装置100は、主として、給紙部112、処理液付与部114、描画部116、乾燥部118、定着部120、及び排紙部122を備えて構成される。
図1〜8で説明したシーズニング装置10は、排紙部122の排出トレイ192の部分に設置される(図9参照)。
(給紙部)
給紙部112は、記録媒体124を処理液付与部114に供給する機構であり、当該給紙部112には、枚葉紙である記録媒体124が積層されている。給紙部112には、給紙トレイ150が設けられ、この給紙トレイ150から記録媒体124が一枚ずつ処理液付与部114に給紙される。
給紙部112は、記録媒体124を処理液付与部114に供給する機構であり、当該給紙部112には、枚葉紙である記録媒体124が積層されている。給紙部112には、給紙トレイ150が設けられ、この給紙トレイ150から記録媒体124が一枚ずつ処理液付与部114に給紙される。
本例のインクジェット記録装置100では、記録媒体124として、紙種や大きさ(用紙サイズ)の異なる複数種類の記録媒体124を使用することができる。給紙部112において各種の記録媒体をそれぞれ区別して集積する複数の用紙トレイ(不図示)を備え、これら複数の用紙トレイの中から給紙トレイ150に送る用紙を自動で切り換える態様も可能であるし、必要に応じてオペレータが用紙トレイを選択し、若しくは交換する態様も可能である。なお、本例では、記録媒体124として、枚葉紙(カット紙)を用いるが、連続用紙(ロール紙)から必要なサイズに切断して給紙する構成も可能である。
(処理液付与部)
処理液付与部114は、記録媒体124の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部116で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
処理液付与部114は、記録媒体124の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部116で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
図9に示すように、処理液付与部114は、給紙胴152、処理液ドラム154、及び処理液塗布装置156を備えている。処理液ドラム154は、記録媒体124を保持し、回転搬送させるドラムである。処理液ドラム154は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)155を備え、この保持手段155の爪と処理液ドラム154の周面の間に記録媒体124を挟み込むことによって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。処理液ドラム154は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体124を処理液ドラム154の周面に密着保持することができる。
処理液ドラム154の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置156が設けられる。処理液塗布装置156は、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラと、アニックスローラと処理液ドラム154上の記録媒体124に圧接されて計量後の処理液を記録媒体124に転移するゴムローラとで構成される。この処理液塗布装置156によれば、処理液を計量しながら記録媒体124に塗布することができる。
本実施形態では、ローラによる塗布方式を適用した構成を例示したが、これに限定されず、例えば、スプレー方式、インクジェット方式などの各種方式を適用することも可能である。
処理液付与部114で処理液が付与された記録媒体124は、処理液ドラム154から中間搬送部126を介して描画部116の描画ドラム170へ受け渡される。
(描画部)
描画部116は、描画ドラム170、用紙抑えローラ174、及びインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yを備えている。描画ドラム170は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)171を備える。描画ドラム170に固定された記録媒体124は、記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yからインクが付与される。
描画部116は、描画ドラム170、用紙抑えローラ174、及びインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yを備えている。描画ドラム170は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)171を備える。描画ドラム170に固定された記録媒体124は、記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yからインクが付与される。
インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yはそれぞれ、記録媒体124における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)であり、そのインク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yは、記録媒体124の搬送方向(描画ドラム170の回転方向)と直交する方向に延在するように設置される。
描画ドラム170上に密着保持された記録媒体124の記録面に向かって各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから、対応する色インクの液滴が吐出されることにより、処理液付与部114で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体124上での色材流れなどが防止され、記録媒体124の記録面に画像が形成される。
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
描画部116で画像が形成された記録媒体124は、描画ドラム170から中間搬送部128を介して乾燥部118の乾燥ドラム176へ受け渡される。
(乾燥部)
乾燥部118は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、図9に示すように、乾燥ドラム176、及び溶媒乾燥装置178を備えている。
乾燥部118は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、図9に示すように、乾燥ドラム176、及び溶媒乾燥装置178を備えている。
乾燥ドラム176は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)177を備え、この保持手段177によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
溶媒乾燥装置178は、乾燥ドラム176の外周面に対向する位置に配置され、複数のハロゲンヒータ180と、各ハロゲンヒータ180の間にそれぞれ配置された温風噴出しノズル182とで構成される。
各温風噴出しノズル182から記録媒体124に向けて吹き付けられる温風の温度と風量、各ハロゲンヒータ180の温度を適宜調節することにより、様々な乾燥条件を実現することができる。
また、乾燥ドラム176の表面温度は50℃以上に設定されている。記録媒体124の裏面から加熱を行うことによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができる。なお、乾燥ドラム176の表面温度の上限については、特に限定されるものではないが、乾燥ドラム176の表面に付着したインクをクリーニングするなどのメンテナンス作業の安全性(高温による火傷防止)の観点から75度以下(より好ましくは60℃以下)に設定されることが好ましい。
乾燥ドラム176の外周面に、記録媒体124の記録面が外側を向くように(即ち、記録媒体124の記録面が凸側となるように湾曲させた状態で)保持し、回転搬送しながら乾燥することで、記録媒体124のシワや浮きの発生を防止でき、これらに起因する乾燥ムラを確実に防止することができる。
乾燥部118で乾燥処理が行われた記録媒体124は、乾燥ドラム176から中間搬送部130を介して定着部120の定着ドラム184へ受け渡される。
(定着部)
定着部120は、定着ドラム184、ハロゲンヒータ186、定着ローラ188、及びインラインセンサ190で構成される。定着ドラム184は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)185を備え、この保持手段185によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
定着部120は、定着ドラム184、ハロゲンヒータ186、定着ローラ188、及びインラインセンサ190で構成される。定着ドラム184は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)185を備え、この保持手段185によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
定着ドラム184の回転により、記録媒体124は記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、ハロゲンヒータ186による予備加熱と、定着ローラ188による定着処理と、インラインセンサ190による検査が行われる。
ハロゲンヒータ186は、所定の温度(例えば、180℃)に制御される。これにより、記録媒体124の予備加熱が行われる。
定着ローラ188は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性ポリマー微粒子を溶着し、インクを被膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体124を加熱加圧するように構成される。具体的には、定着ローラ188は、定着ドラム184に対して圧接するように配置されており、定着ドラム184との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体124は、定着ローラ188と定着ドラム184との間に挟まれ、所定のニップ圧(例えば、0.15MPa)でニップされ、定着処理が行われる。
また、定着ローラ188は、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度(たとえば60〜80℃)に制御される。この加熱ローラで記録媒体124を加熱することによって、インクに含まれるラテックスのTg温度(ガラス転移点温度)以上の熱エネルギーが付与され、ラテックス粒子が溶融される。これにより、記録媒体124の凹凸に押し込み定着が行われるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢性が得られる。
なお、図9の実施形態では、定着ローラ188を1つだけ設けた構成となっているが、画像層厚みやラテックス粒子のTg特性に応じて、複数段設けた構成でもよい。
一方、インラインセンサ190は、記録媒体124に定着された画像について、チェックパターンや水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
上記の如く構成された定着部120によれば、乾燥部118で形成された薄層の画像層内のラテックス粒子が定着ローラ188によって加熱加圧されて溶融されるので、記録媒体124に固定定着させることができる。また、定着ドラム184の表面温度は50℃以上に設定されている。定着ドラム184の外周面に保持された記録媒体124を裏面から加熱することによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができるとともに、画像温度の昇温効果によって画像強度を高めることができる。
なお、熱可塑性樹脂粒子を含んだインクに代えて、UV硬化性樹脂などの活性光線硬化性樹脂を含んだインクを用いる場合には、加熱定着の定着ローラ188に代えて、UVランプや紫外線LD(レーザダイオード)アレイなど、活性光線を照射する手段が設けられる。
(排紙部)
図9に示すように、定着部120に続いて排紙部122が設けられている。排紙部122は、排出トレイ192を備えており、この排出トレイ192と定着部20の定着ドラム184との間に、これらに対接するように渡し胴194、搬送ベルト196、張架ローラ198が設けられている。記録媒体124は、渡し胴194により搬送ベルト196に送られ、排出トレイ192に排出される。
図9に示すように、定着部120に続いて排紙部122が設けられている。排紙部122は、排出トレイ192を備えており、この排出トレイ192と定着部20の定着ドラム184との間に、これらに対接するように渡し胴194、搬送ベルト196、張架ローラ198が設けられている。記録媒体124は、渡し胴194により搬送ベルト196に送られ、排出トレイ192に排出される。
この排出トレイ192として、図1〜8で説明したシーズニング装置10が採用され、図3で説明したように、印刷後の用紙(印刷物)を積載する載置台としての機能とシーズニング機としての機能を兼ねる。
また、図9には示されていないが、本例のインクジェット記録装置100には、上記構成の他、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yにインクを供給するインク貯蔵/装填部、処理液付与部114に対して処理液を供給する手段を備えるとともに、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yのクリーニング(ノズル面のワイピング、パージ、ノズル吸引等)を行うヘッドメンテナンス部や、用紙搬送路上における記録媒体124の位置を検出する位置検出センサ、装置各部の温度を検出する温度センサなどを備えている。
(両面印刷への対応)
両面印刷を行う場合には、図9のインクジェット記録装置100において、用紙の片面(表面)が印刷された後にシーズニング装置10で所定時間のシーズニングを行う。そして、シーズニング処理された用紙の束を給紙部112に戻して、裏面の印刷を行う。
両面印刷を行う場合には、図9のインクジェット記録装置100において、用紙の片面(表面)が印刷された後にシーズニング装置10で所定時間のシーズニングを行う。そして、シーズニング処理された用紙の束を給紙部112に戻して、裏面の印刷を行う。
これにより、表裏レジずれなどが発生せず、短時間で良好な両面印刷を実現できる。
また、図9に示したインクジェット記録装置100において、排出トレイ192に用いるシーズニング装置10を複数台備えるとともに、各シーズニング装置10を排紙部122と給紙部112との間で移動できる構成とする。
例えば、各シーズニング装置10にキャスターを設けて走行できる構成を採用してもよいし、レールに載せて走行させる構成を採用してもよい。
そして、1台目のシーズニング装置が印刷物の束をシーズニングしている期間中、別の(2台目の)シーズニング装置が排紙部122にセットされ、新たに印刷出力されてくる印刷物を受け止める。1台目のシーズニング装置でシーズニングが終わった用紙の束は給紙部112に供給される。
2台目のシーズニング装置に規定枚数の印刷物が集積されたら、当該2台目のシーズニング装置が排紙部122から退避してシーズニングを開始する。そして、3台目のシーズニング装置、または、空になった1台目のシーズニング装置が排紙部122にセットされ、印刷が続けられる。このように、複数台のシーズニング装置を輪番で使用するシステムを構成することにより、自動化を実現できるとともに、大量の印刷物を効率良く生産することができる。
<インクについて>
本発明の実施に用いられるインクは、水を溶媒として含んだ水性インクであり、例えば、溶媒不溶性材料として、色材(着色剤)である顔料やポリマー微粒子などを含有する水性顔料インクが用いられる。
本発明の実施に用いられるインクは、水を溶媒として含んだ水性インクであり、例えば、溶媒不溶性材料として、色材(着色剤)である顔料やポリマー微粒子などを含有する水性顔料インクが用いられる。
溶媒不溶性材料の濃度は、吐出に適切な粘度20mPa・s以下を考慮して1wt%以上20wt%以下であることが好ましい。より好ましくは画像の光学濃度を得るために4wt%以上の顔料濃度である。
インクの表面張力は、吐出安定性を考慮して20mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。
インクに使用される色材は、顔料あるいは染料と顔料とを混合して用いることができる。処理液との接触時における凝集性の観点から、インク中で分散状態にある顔料の方がより効果的に凝集するため好ましい。顔料の中でも、分散剤により分散されている顔料、自己分散顔料、樹脂により顔料表面を被覆された顔料(マイクロカプセル顔料)、及び高分子グラフト顔料が特に好ましい。また、顔料凝集性の観点から、解離度の小さいカルボキシル基によって修飾されている形態がより好ましい。
本発明に用いる着色インク液には、処理液と反応する成分として、着色剤を含まないポリマー微粒子を添加することが好ましい。ポリマー微粒子は、処理液との反応によりインクの増粘作用、凝集作用を強め、画像品位の向上させることができる。特に、アニオン性のポリマー微粒子をインクに含有せしめることにより、安全性の高いインクが得られる。
処理液と反応して、増粘・凝集作用を起こすポリマー微粒子をインクに用いることにより、画像の品位を高めることができると同時に、ポリマー微粒子の種類によっては、ポリマー微粒子が記録媒体で皮膜を形成し、画像の耐擦性、耐水性をも向上させる効果を有する。
ポリマーインクでの分散方法はエマルジョンに限定するものではなく、溶解していても、コロイダルディスパージョン状態で存在していてもよい。
ポリマー微粒子は、乳化剤を用いてポリマー微粒子を分散させたものであっても、また、乳化剤を用いないで分散させたものであってもよい。乳化剤としては、通常、低分子量の界面活性剤が用いられているが、高分子量の界面活性剤を乳化剤として用いることもできる。外殻がアクリル酸、メタクリル酸などにより構成されたカプセル型のポリマー微粒子(粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェルタイプのポリマー微粒子)を用いることも好ましい。
インクにポリマー微粒子として添加する樹脂成分としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。
ポリマー微粒子への高速凝集性付与の観点から、解離度の小さいカルボン酸基を有するものがより好ましい。カルボン酸基はpH変化によって影響を受けやすいので、分散状態が変化しやすく、凝集性が高い。
ポリマー微粒子のpH変化に対する分散状態の変化は、アクリル酸エステルなどのカルボン酸基を有する、ポリマー微粒子中の構成成分の含有割合によって調整することができ、分散剤として用いるアニオン性の界面活性剤によっても調整可能である。
ポリマー微粒子の樹脂成分は、親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。疎水性部分を有することで、ポリマー微粒子の内側に疎水部分が配向し、外側に親水部分が効率よく外側に配向され、液体のpH変化に対する分散状態の変化がより大きくなる効果があり、凝集がより効率よく行われる。
また、ポリマー微粒子を、インク内に2種以上混合して含有させて使用してもよい。
本発明のインクに添加するpH調整剤としては中和剤として、有機塩基、無機アルカリ塩基を用いることができる。pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクがpH6〜10となるように添加するのが好ましい。
本発明のインクは、乾燥によってインクジェットヘッドのノズルが詰まるのを防止する目的から、水溶性有機溶媒を含有することが好ましい。このような水溶性有機溶媒には、湿潤剤及び浸透剤が含まれる。
水溶性有機溶媒としては、処理液の場合と同様に、例えば、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が挙げられる。
その他必要に応じ、界面活性剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、等も添加することができる。
また、インク中に熱可塑性樹脂微粒子を含有させることもできる。熱可塑性樹脂を含有させることで、加熱する過程で、皮膜化が進行し画像強度を向上させることができる。熱可塑性樹脂を含有させた場合、乾燥での加熱プロセスに加え、画像を加熱加圧する定着工程を行うことがより効果的である。
また、インク中にUV硬化性モノマーを含有させることで、乾燥部で水分を充分に揮発させた後に、UV照射ランプ等を備えた定着部で、画像にUVを照射することで、UV硬化性モノマーを硬化重合させ、画像強度を向上させることができる。
<処理液について>
本発明の実施に際して用いる処理液(凝集処理液)として、インクのpHを変化させることにより、インクに含有される顔料およびポリマー微粒子を凝集させ、凝集物を生じさせるような処理液が好ましい。
本発明の実施に際して用いる処理液(凝集処理液)として、インクのpHを変化させることにより、インクに含有される顔料およびポリマー微粒子を凝集させ、凝集物を生じさせるような処理液が好ましい。
処理液の成分として、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等の中から選ばれることが好ましい。
また、処理液の好ましい例として、多価金属塩あるいはポリアリルアミンを添加した処理液を挙げることができる。これらの化合物は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
処理液はインクとのpH凝集性能の観点からpHは1〜6であることが好ましく、pHは2〜5であることがより好ましく、pHは3〜5であることが特に好ましい。
また、処理液は、乾燥によってインクジェットヘッドのノズルが詰まるのを防止する目的から、水、その他添加剤溶性有機溶媒を含有することが好ましい。このような水、その他添加剤溶性有機溶媒には、湿潤剤及び浸透剤が含まれる。これらの溶媒は、水,その他添加剤と共に単独若しくは複数を混合して用いることができる。
処理液には、定着性および耐擦性を向上させるため、樹脂成分を更に含有してもよい。樹脂成分は、処理液をインクジェット方式によって打滴する場合ヘッドからの吐出性を損なわないもの、保存安定性があるものであればよく、水溶性樹脂や樹脂エマルジョンなどを自由に用いることができる。
その他必要に応じ、界面活性剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、等も添加することができる。
10…シーズニング装置、12…用紙、13…束、14…用紙保持部、18…送風装置、22…凹曲面、24…ブロック、26…押え板、28…凹曲面、34…開口、36…底板、40…ファンユニット、42…送風口、64…制御部
Claims (12)
- 少なくとも用紙の片面にインクが付与された複数枚の印刷物に曲率を与えるとともに、その曲率に応じた曲線を成す用紙の一辺を下端として当該印刷物を縦置き状態の姿勢で保持する用紙保持手段と、
前記用紙保持手段によって前記縦置き状態の姿勢で保持された前記印刷物の束の端面から風を送る送風手段と、
を備えたことを特徴とする印刷物のシーズニング装置。 - 請求項1に記載の印刷物のシーズニング装置において、
前記送風手段は、前記用紙保持手段の下方に設けられ、前記印刷物の束の下端側から送風することを特徴とする印刷物のシーズニング装置。 - 請求項1又は2に記載の印刷物のシーズニング装置において、
前記送風手段として、
前記用紙保持手段の下方に設けられ、前記印刷物の束の下端側から上に向けて送風する第1の送風手段と、
前記用紙保持手段の上方に設けられ、前記印刷物の束の上端側から下に向けて送風する第2の送風手段と、
を備えることを特徴とする印刷物のシーズニング装置。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷物のシーズニング装置において、
前記用紙保持手段は、前記複数枚の印刷物に曲率を与え、前記縦置き状態の用紙姿勢を規制する第1壁面を構成する第1壁面部材と、
前記第1壁面と対向する第2壁面を構成する第2壁面部材と、を備え、
前記第1壁面と前記第2壁面との間に形成される空間に前記印刷物の束を保持する構造であることを特徴とする印刷物のシーズニング装置。 - 請求項4に記載の印刷物のシーズニング装置において、
前記第1壁面を上に向けた状態から前記第1壁面を起立させた状態に前記第1壁面部材を移動させる可動機構を備えたことを特徴とする印刷物のシーズニング装置。 - 請求項5に記載の印刷物のシーズニング装置において、
前記第1壁面を上に向けた状態で当該第1壁面部材の前記第1壁面上に前記印刷物の束が載置された後、前記送風手段から風を送りながら、前記可動機構を駆動して前記第1壁面を起立させる動作を行うように前記送風手段及び前記可動機構の駆動手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とする印刷物のシーズニング装置。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の印刷物のシーズニング装置において、
前記印刷物はインクジェット記録装置により印刷をおこなった印刷物であることを特徴とする印刷物のシーズニング装置。 - 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の印刷物のシーズニング装置において、
前記インクは、水を溶媒として含むインクであることを特徴とする印刷物のシーズニング装置。 - 請求項8に記載の印刷物のシーズニング装置において、
前記インクは、熱可塑性樹脂と色材とを含んだインクであることを特徴とする印刷物のシーズニング装置。 - 請求項8に記載の印刷物のシーズニング装置において、
前記インクは、活性光線硬化性樹脂と色材とを含んだインクであることを特徴とする印刷物のシーズニング装置。 - 給紙される用紙の少なくとも片面にインクを付与して印刷を行う印刷装置と、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の印刷物のシーズニング装置と、を備えた印刷システムであって、
前記印刷装置によって印刷された複数枚の印刷物が前記シーズニング装置の前記用紙保持部に保持され、当該印刷物の束が前記シーズニング装置によりシーズニングされることを特徴とする印刷システム。 - 少なくとも用紙の片面にインクが付与された複数枚の印刷物に曲率を与えるとともに、その曲率に応じた曲線を成す用紙の一辺を下端として当該印刷物を縦置き状態の姿勢で保持し、
前記縦置き状態の姿勢で保持された前記印刷物の束の端面から風を当て、用紙間にエアを供給することによりシーズニングを行うことを特徴とする印刷物のシーズニング方法。
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EP2495198A1 (en) * | 2011-03-01 | 2012-09-05 | Fujifilm Corporation | Paper sheet seasoning apparatus and image forming apparatus |
-
2009
- 2009-07-16 JP JP2009167980A patent/JP2011020808A/ja active Pending
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