第1実施形態
図1および図2はいずれも、本発明を適用可能である表面実装機の一形態を示す平面図である。これらの図には、基板の搬送方向に平行なX方向と、当該X方向に垂直なY方向とが示されている。なお、X方向の矢印X1は基板搬送方向の上流側を向いており、X方向の矢印X2は基板搬送方向の下流側を向いている。また、Y方向の矢印Y1はY方向の一方側を向いており、Y方向の矢印Y2はY方向の他方側を向いている。この表面実装機100は、1度に2枚の基板1a、1bに対して部品実装可能な構成を備えており、より具体的には、2枚の基板1a、1bを機内に搬入(図1)した後、さらに、これら基板1a、1bのそれぞれを実装位置P1、P2に位置決めして(図2)、各実装位置P1、P2で基板1a、1bに対して部品実装を行なうものである。
また、図3は、図1、図2に示す表面実装機の電気的構成を示すブロック図である。図3に示すように、表面実装機100の電気的構成には、表面実装機100の各部を統括的に制御するための主制御部101のほかに、基板搬送装置制御部102、第1ヘッドユニット制御部103および第2ヘッドユニット制御部104が設けられている。基板搬送装置制御部102は、後述する基板搬送装置2を制御して、基板の搬送制御を司る。また、第1・第2ヘッドユニット制御部103、104は、後述する第1・第2ヘッドユニット3、4を制御して、搬送済みの基板に対する部品の実装制御を司る。さらに、表面実装機100の電気的構成には、ホストコンピュータやその他の外部装置との通信を行なうための通信部105が設けられている。そして、主制御部101は、通信部105を介して得た外部情報に基づいて基板搬送装置制御部102およびヘッドユニット制御部103を制御することで、外部情報に応じた適切な動作を、基板搬送装置2および第1・第2ヘッドユニット3、4に実行させることができる。また、主制御部101は、第1実装位置P1の近傍に設けられた基板検出センサの検出結果に基づいて第1実装位置P1での基板の有無を確認できるとともに、第2実装位置P2の近傍に設けられた基板検出センサの検出結果に基づいて第2実装位置P2での基板の有無を確認することができるように構成されている。
表面実装機100は、図1および図2に示すように、X方向に延びる基板搬送装置2と、基板搬送装置2の上方をXY方向に移動可能な第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4とを備えている。これら基板搬送装置2、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4はそれぞれ、基台5上に配置されている。また、基台5上のY方向側の両端部には、部品を供給するための部品供給部として複数のテープフィーダ6がX方向に配列されている。そして、第1ヘッドユニット3はY方向のY1側のテープフィーダから供給を受けた部品を実装し、第2ヘッドユニット4はY方向のY2側のテープフィーダから供給を受けた部品を実装する。
基板搬送装置2は、X方向に並ぶ第1コンベアユニット21、第2コンベアユニット22および第3コンベアユニット23を備えている。そして、基板搬送装置2は、これらコンベアユニット21、22、23を協働して動作させることで、X方向へ基板1a、1bを搬入・搬出させたり、実装位置P1、P2へ基板1a、1bを位置決めしたりする。詳細は次のとおりである。
第1コンベアユニット21はY方向に間隔を空けて並ぶ一対のコンベア211、212を備え、第2コンベアユニット22はY方向に間隔を空けて並ぶ一対のコンベア221、222を備え、第3コンベアユニット23はY方向に間隔を空けて並ぶ一対のコンベア231、232を備えている。また、この基板搬送装置2には、X方向へ(X方向のX2側へ)基板を1a、1bを搬送するための駆動力を発生する、2個の搬送モータ80、81が設けられている。これらの搬送モータ80、81のうち、搬送モータ80は、第1・第2コンベアユニット21、22を駆動するために設けられている。つまり、搬送モータ80の駆動力を受けて、第1コンベアユニット21の各コンベア211、212の搬送ベルトと、第2コンベアユニット22の各コンベア221、222の搬送ベルトとが、同期してX方向に搬送される。一方、搬送モータ81は、第3コンベアユニット23を駆動するために設けられている。つまり、搬送モータ81の駆動力を受けて、第3コンベアユニット23の各コンベア231、232の搬送ベルトが、同期してX方向に搬送される。
第1コンベアユニット21のコンベア211、212のうち、Y方向のY2側のコンベア212は、Y方向のY2側に設けられたテープフィーダ6の近傍で、基台5に固定されている。一方、Y方向のY1側のコンベア212は、ボールネジ軸213aの回転に伴なって、基台5に対してY方向に移動自在に構成されている。したがって、ボールネジ軸213aを駆動する駆動モータ(図示省略)を、基板搬送装置制御部102が制御することで、コンベア211、212のY方向への間隔を、基板1a、1bの幅に応じて調整することができる。そして、コンベア211、212の間隔が基板1a、1bに応じて調整された状態で、基板搬送装置制御部102が搬送モータ80を適宜制御することで、第1コンベアユニット21は、表面実装機100外部からの基板1a、1bの搬入を受け、あるいは、基板受渡位置P3にある第2コンベアユニット22に基板1a、1bを渡す。
第2コンベアユニット22のコンベア221、222のうち、Y方向のY1側のコンベア221は、回転モータ82からの駆動力を受けて、Y方向のY2側のコンベア222から独立してY方向に移動自在に構成されている。したがって、回転モータ82の回転を基板搬送装置制御部102が制御することで、コンベア221、222のY方向への間隔を、基板1a、1bの幅に応じて調整することができる。そして、コンベア221、222の間隔が基板1a、1bの幅に応じて調整された状態で、基板搬送装置制御部102が駆動モータ83および搬送モータ80を適宜制御することで、第2コンベアユニット22は、図1に示す基板受渡位置P3で、第1コンベアユニット21から基板1a、1bを受け取ったり第3コンベアユニットに基板1a、1bを渡したりすることができる。さらに、第2コンベアユニット22のコンベア221、222は、駆動モータ83からの駆動力を受けて、それぞれの間隔を保ったままY方向に移動自在に構成されている。したがって、基板搬送装置制御部102が駆動モータ83および搬送モータ80を適宜制御することで、第2コンベアユニット22は、基板受渡位置P3あるいは第1実装位置P1に基板1a、1bを位置決めすることができる。以上のような構成を備えているため、第2コンベアユニット22は、基板受渡位置P3で未実装の基板1a、1bを第1コンベアユニット21から受けて第1実装位置P1に移動位置決めするとともに、第1実装位置P1での実装が済んだ基板1a、1bを基板受渡位置P3にまで戻して第3コンベアユニット23に渡すことができる。
第3コンベアユニット23は、Y方向に間隔を空けて並ぶ一対のコンベア231、232を備えている。これらのコンベア231、232のうち、Y方向のY2側のコンベア232は、Y方向のY2側に設けられたテープフィーダ6の近傍に配設されている。一方、Y方向のY1側のコンベア232は、ボールネジ軸233a、233bの回転に伴なって、基台5に対してY方向に移動自在に構成されている。したがって、ボールネジ軸233a、233bを駆動する駆動モータ(図示省略)を、基板搬送装置制御部102が制御することで、コンベア231、232のY方向への間隔を、基板1a、1bの幅に応じて調整することができる。そして、コンベア231、232の間隔が基板1a、1bの幅に応じて調整された状態で、基板搬送装置制御部102が搬送モータ81を適宜制御することで、第3コンベアユニット23は、第2コンベアユニット22からの基板1a、1bを受けて、第2実装位置P2に位置決めし、あるいは表面実装機外部に向けてX2方向に搬送する。
続いて、第1・第2ヘッドユニット3、4について説明する。第1ヘッドユニット3と第2ヘッドユニット4とは、図1および図2に示すように、互いに同様の構成を示している。また、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、テープフィーダ6の部品取出部6aから部品をピックアップして、基板への部品実装をすることができる。なお、部品には、半導体集積回路装置、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの小型の電子部品が含まれる。
また、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4は、図1および図2に示すように、それぞれX方向に延びるヘッドユニット支持部31および41に沿ってX方向に直線移動可能に構成されている。具体的には、ヘッドユニット支持部31(ヘッドユニット支持部41)は、X方向に延びるボールネジ軸31a(41a)と、ボールネジ軸31a(41a)を回転させるサーボモータ31b(41b)と、X方向のガイドレール(図示せず)とを有している。また、ヘッドユニット支持部31およびヘッドユニット支持部41の両端部には、固定レール部70に設けられた固定子72の近傍に配置される界磁コイルからなる可動子73が取り付けられている。
また、第1ヘッドユニット3は、ボールネジ軸31aに螺合されるボールナット32を有する。第2ヘッドユニット4は、ボールネジ軸41aに螺合されるボールナット42を有している。これにより、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、サーボモータ31b(41b)によりボールネジ軸31a(41a)が回転されることによって、ヘッドユニット支持部31(41)に対してX方向に移動される。
また、これらのヘッドユニット支持部31および41は、それぞれ、基板搬送装置2を跨ぐように設けられたY方向に延びる一対の固定レール部70に沿ってY方向に移動可能に構成されている。一対の固定レール部70は、それぞれ、ヘッドユニット支持部31および41に共通して用いられるように構成されている。また、一対の固定レール部70は、それぞれ、ヘッドユニット支持部31(41)の両端部をY方向に移動可能に支持するガイドレール71と、固定レール部70の内側側面にY方向に沿って配列された複数の永久磁石からなる固定子72とを有している。すなわち、ヘッドユニット支持部31(41)は、界磁コイルからなる可動子73に電流が供給されることによって、ガイドレール71に沿ってY方向に直線移動可能である。すなわち、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、ヘッドユニット支持部31(41)およびリニアモータ7により基台5上をXY方向に移動可能である。
また、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4は、基板搬送方向X2の上流側の第1実装位置P1および基板搬送方向X2の下流側の第2実装位置P2の両方で部品実装が可能であるように、それぞれの可動範囲が設定されている。ただし、本実施形態では、第1ヘッドユニット3は、Y方向のY1側のテープフィーダから供給を受けた部品を第1実装位置P1に位置決めされた基板1bに対して部品実装を行なうとともに、第2ヘッドユニット4は、第2ヘッドユニット4はY方向のY2側のテープフィーダから供給を受けた部品を第2実装位置P2に位置決めされた基板1aに対して部品実装を行なうことで、部品実装時の第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4の移動距離を短くし、タクトタイムを向上させている。つまり、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、部品を吸着する際には、リニアモータ7によりY1方向(Y2方向)のテープフィーダ6上方(部品供給位置)に移動されるとともに、ヘッドユニット支持部31(41)に沿ってX方向に移動されることによって、吸着ノズル35(45)が所定の部品取出部6aの上方に配置されるように構成されている。そして、部品を実装する際には、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、リニアモータ7により実装位置P1(P2)の基板1b(1a)上方に移動されるとともに、ヘッドユニット支持部31(41)に沿ってX方向に移動されることによって、吸着ノズル35(45)が基板1b(1a)の所定箇所に位置するように構成されている。
第1ヘッドユニット(第2ヘッドユニット4)には、X方向に列状に配列された10本の吸着ノズル35(45)が取り付けられており、各吸着ノズル35(45)が部品を吸着することができる。そして、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、まず部品供給位置において部品取出部6aから部品を取得した後Y2(Y1)方向に移動されることによって、部品を保持(吸着)したまま実装位置P1(P2)上方に移動される。そして、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、X方向およびY方向の移動を繰り返しながら部品を基板1b(1a)表面の所定の搭載点に実装するように構成されている。そして、実装動作が終了すると、第1ヘッドユニット3(第2ヘッドユニット4)は、Y1(Y2)方向に移動されることによって基板の上方から再び部品供給位置(テープフィーダ6上方)に戻され、部品取出部6aから部品の取得(吸着)作業を実行する。
そして、本実施形態では、第1ヘッドユニット3が実装可能な部品と、第2ヘッドユニット4が実装可能な部品とは一部で共通している。つまり、基台5上のY1方向側の端部では、第1ヘッドユニット3のみが部品実装可能である第1ヘッドユニット専属部品を収納するテープフィーダ6と、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4が共通して部品実装可能である共通部品を収納したテープフィーダ6とが取り付けられている。また、基台5上のY2方向側の端部では、第2ヘッドユニット4のみが部品実装可能である第2ヘッドユニット専属部品を収納したテープフィーダ6と、先ほどの共通部品を収納したテープフィーダ6とが取り付けられている。そして、第1ヘッドユニット3は、Y1方向側のテープフィーダ6から部品供給を受けることで、第1実装位置P1に位置決めされた基板に対して、第1ヘッドユニット専属部品および共通部品を実装可能である。また、第2ヘッドユニット4は、Y2方向側のテープフィーダ6から部品供給を受けることで、第2実装位置P2に位置決めされた基板に対して、第2ヘッドユニット専属部品および共通部品を実装可能である。本実施形態の表面実装機100は、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4が共通して実装可能な部品を備えた上で、次のようにして部品実装動作を実行する。
図4は、第1実施形態における第1ヘッドユニットの部品実装動作を示すフローチャートである。図5は、第1実施形態における第2ヘッドユニットの部品実装動作を示すフローチャートである。なお、これらのフローチャートの動作は、主制御部101、基板搬送装置制御部102、第1ヘッドユニット制御部103および第2ヘッドユニット制御部104の協働により実行される。また、上述のとおり、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4は、それぞれの専属部品(第1ヘッドユニット専属部品、第2ヘッドユニット専属部品)および共通部品を実装可能(搭載可能)であるが、本実施形態では、それぞれの専属部品および共通部品のうち専属部品から優先的に実装(搭載)することとし、共通部品の実装は専属部品の実装が完了してから行なうものとする。
まず、図4を用いて第1ヘッドユニット3の部品実装動作から説明する。主制御部101は、第1実装位置P1に基板が位置決め固定されたことを確認すると、ステップ101で第1ヘッドユニット3により搭載すべき部品が存在するか否かを判断する。搭載すべき部品が無い場合(ステップS101で「NO」の場合)は、図4のフローチャートが終了するとともに、主制御部101は基板搬送装置制御部102に、第1実装位置P1からの基板搬送が可能である旨の通知を行い、これを受けた基板搬送装置制御部102が第1実装位置P1から第2実装位置P2にまで基板を搬送する。
一方、搭載すべき部品が有る場合(ステップS101で「YES」の場合)は、主制御部101は、ステップS102に進んで、第2実装位置P2が空いている(つまり、第2実装位置P2に基板が存在しない)かを判断する。そして、第2実装位置P2が空いていない場合(ステップS102で「NO」の場合)は、第1実装位置P1から第2実装位置P2にまで基板を搬送できないので、第1ヘッドユニット制御部103が第1ヘッドユニット3に部品実装を実行させる。具体的には、ステップS103で、第1ヘッドユニット3は部品を吸着した後に、ステップS104で、この吸着した部品を第1実装位置P1の基板に実装する。そして、第2実装位置P2が空いておらず、第1実装位置P1から第2実装位置P2への基板搬送を行なえない限り、ステップS101〜ステップS104が繰り返し実行されて、第1ヘッドユニット3による部品実装が継続される。なお、上述のとおり、第1ヘッドユニット3による部品実装順序は、第1ヘッドユニット専属部品、共通部品の順序であるので、全ての第1ヘッドユニット専属部品の部品実装が完了しても、第2実装位置P2が空いていない場合は、第1ヘッドユニット3は、第1実装位置P1の基板に対して共通部品の実装を行なう。
一方で、第2実装位置P2に有った基板が第2実装位置P2から基板搬送方向X2の下流側へと搬送されて、第2実装位置P2が空くと、ステップS102で「YES」と判断されて、第1ヘッドユニット制御部103は、ステップS105の動作を実行する。つまり、第1ヘッドユニット制御部103は、第1ヘッドユニット3が次に吸着する部品が第1ヘッドユニット専属部品か否かを判断する。そして、次の吸着部品が第1ヘッドユニット専属部品である場合は、第1ヘッドユニット専属部品の部品実装が完了していないので、ステップS103、S104の動作を実行して、第1ヘッドユニット3は、第1実装位置P1の基板に対して第1ヘッドユニット専属部品の実装を継続し、第1ヘッドユニット専属部品の基板への実装を完了する。一方で、ステップS105で、次の吸着部品が第1ヘッドユニット専属部品でないと判断された場合(ステップS105で「NO」と判断された場合)は、第1ヘッドユニット制御部103は、ステップS106に進んで、第2ヘッドユニット制御部104に未搭載部品情報を通知した後に、第1実装位置P1での第1ヘッドユニット3による部品実装を終了する。また、この部品実装終了に伴なって、主制御部101は、基板搬送装置制御部102に、第1実装位置P1からの基板搬送が可能である旨の通知を行い、これを受けた基板搬送装置制御部102が第1実装位置P1から第2実装位置P2にまで基板を搬送する。
つまり、ステップS105で次の吸着部品が第1ヘッドユニット専属部品でないと判断された場合には、少なくとも第1ヘッドユニット専属部品の基板への実装は完了しているため、基板に未搭載(未実装)の部品は、共通部品と第2ヘッドユニット専属部品とであって、第2ヘッドユニット4により実装可能な部品である。しかも、第2実装位置P2は空いており、第1実装位置P1から第2実装位置P2に基板を搬送できる状態にある。そこで、これら未搭載部品の実装を第2ヘッドユニット4に任せることとして、第1ヘッドユニット制御部103が未搭載部品情報を第2ヘッドユニット制御部104に渡すとともに、基板搬送装置制御部102が基板を第1実装位置P1から第2実装位置P2に搬送する。こうして、次の基板の第1実装位置P1への受入準備が整えられる。
続いて、図5を用いて、第2ヘッドユニット4による部品実装動作について説明する。第2ヘッドユニット制御部104は、第2実装位置P2に基板が位置決めされたことを確認すると、ステップS201で、第1ヘッドユニット制御部103から未搭載部品情報を受け取って、「搭載すべき部品情報」へセットする。そして、第2ヘッドユニット制御部104は、以下の部品実装をこの「搭載すべき部品情報」に基づいて実行する。具体的には、ステップS202で、第2ヘッドユニット制御部104は、第2実装位置P2の基板に対して搭載(実装)すべき部品があるか否かを、「搭載すべき部品情報」から判断する。そして、搭載すべき部品が無い場合(ステップS202で「NO」の場合)は、図5のフローチャートが終了するとともに、主制御部101が基板搬送装置制御部102に、第2実装位置P2からの基板搬送が可能である旨の通知を行い、これを受けた基板搬送装置制御部102が第2実装位置P2から基板搬送方向X2下流側へと基板を搬送して、当該基板を表面実装機100から搬出する。
一方、搭載すべき部品が有る場合(ステップS202で「YES」の場合)は、第2ヘッドユニット制御部104は、ステップS203およびステップ204の動作を第2ヘッドユニット4に実行させる。これにより、第2ヘッドユニット4は、部品を吸着し(ステップS203)、吸着した部品を第2実装位置P2の基板に搭載する(ステップS204)。
以上が、第1実施形態において、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニット4が実行する実装動作のフローである。続いて、上記フローによって実行されうるより具体的な例について、図6〜図8を用いて説明する。
図6は、第2実装位置が空いている場合に実行される部品実装例を示す図である。同図の各欄の意味は次のとおりである。「搭載データ」の欄の値は、1個の部品を基板に搭載する1回の動作に対してナンバリングされた値である。「部品」の欄の左側のアルファベットは各部品の種類を示す標識であり、同じアルファベットが付された部品は互いに同じ種類である。なお、ここで種類が同じとは、部品の機能(コンデンサ、抵抗等)が同じであることのみならず、その他の形状やサイズ等も同じであることを意味する。「部品」の欄の右側の項目は、各部品が、第1ヘッドユニット専属部品、共通部品および第2ヘッドユニット専属部品のいずれであるかを示している。同図の例では、部品Aが第1ヘッドユニット専属部品であり、部品B、C、Dが共通部品であり、部品E、Fが第2ヘッドユニット専属部品である。「判断」の欄は、第1・第2実装位置P1、P2のいずれの実装位置で各部品を実装するかを主制御部101が判断した結果を示している。
上述のとおり、図6の部品実装例は第2実装位置P2が空いている状態に相当しており、換言すれば、図4のフローチャートのステップS102で「YES」と判断された以後の動作に対応する。この場合、図4のフローチャートを用いて説明したとおり、第1ヘッドユニット専属部品の実装が第1実装位置P1の基板に対して完了すれば、その後の部品実装は第2実装位置P2で第2ヘッドユニット4により実行される。これに対応して、図6に示す実装動作例では、第1ヘッドユニット専属部品である部品Aのみが第1実装位置P1で実装され、その他の部品B〜部品Fは第2実装位置P2で実装される。
図7は、第2実装位置に全ての部品実装が完了した実装済み基板が待機している場合に実行される部品実装例を示す図である。なお、同図の各欄の内容は図6のそれと同じである。図7の部品実装例は、第2実装位置P2が空いていない状態、すなわち、図4のフローチャートのステップS102で「NO」と判断された以後の動作に対応する。この場合、図4のフローチャートを用いて説明したとおり、第2実装位置P2から基板が搬送されない限り、第1ヘッドユニット3が、第1ヘッドユニット専属部品および共通部品の実装を第1実装位置P1で継続する。これに対応して、図7に示す実装動作例では、第1ヘッドユニット専属部品Aおよび共通部品B〜Dが第1実装位置P1で実装される。そして、第2実装位置P2が空いた後に、基板が第1実装位置P1から第2実装位置P2にまで搬送されて、第2実装位置P2で第2ヘッドユニット専属部品E、Fの基板への実装が実行されている。
図8は、最初は第2実装位置に実装済み基板が待機していたが、第1実装位置での実装中に第2実装位置から実装済み基板が搬送された場合の実装動作例を示す図であり、より具体的には、搭載データが4〜5の間に第2実装位置P2から実装済み基板が搬送された場合を示している。このような場合、図4のフローチャートを用いて説明したとおり、第2実装位置P2が空かない限りは、第1ヘッドユニット3が第1実装位置P1での部品実装を継続する一方、第2実装位置P2が空くと、第1ヘッドユニット専属部品の実装が完了していることを条件として、以後の部品実装は第2実装位置P2で実行される。これに対応して、図7に示す実装動作例では、第2実装位置P2に実装済み基板が有る間(搭載データ1〜4の間)は、第1ヘッドユニット専属部品Aおよび共通部品Bの実装が第1実装位置P1で実行される一方、第2実装位置P2から実装済み基板が搬送された以後(搭載データ5以後)は、残りの共通部品(部品C〜部品D)および第2ヘッドユニット専属部品の実装が第2実装位置で実行されている。
以上のように、第1実施形態の表面実装機(部品実装機)では、第1実装位置P1で基板に部品実装を行なう第1ヘッドユニット3(第1実装手段)と、第2実装位置P2で基板に部品実装を行なう第2ヘッドユニット4(第2実装手段)とが設けられている。したがって、第1実装位置P1で第1ヘッドユニット3より基板に部品実装を行なった後に、第2実装位置P2で第2ヘッドユニット4により当該基板にさらに部品実装を行なうことができる。また、この際、第1実装位置P1で部品実装が実行された基板は、第2実装位置P2での部品実装を受けるために、第1実装位置P1から基板搬送方向X2の下流側に向けて搬送されることとなる。しかしながら、第1実装位置P1より基板搬送方向X2の下流側の状況によっては、第1実装位置P1から基板搬送方向X2の下流側に向けて基板を搬送できないために、第1実装位置P1で基板を待機させる必要が生じ、この待機時間がタクトタイムに大きく影響する場合があった。
そこで、かかる問題に対応すべく、第1実施形態の表面実装機100は次のような構成を備えている。つまり、この表面実装機100では、第1ヘッドユニット3が実装可能な部品と第2ヘッドユニット4が実装可能な部品とは、少なくとも一部で共通しており、換言すれば、第1ヘッドユニット3および第2ヘッドユニットは互いに共通する部品(共通部品)を実装可能である。しかも、この表面実装機100は、第1実装位置P1にある基板を第1実装位置P1から基板搬送方向の下流側に向けて搬送可能か否かを判断する主制御部101(判断手段)を備えており、この判断結果に基づいて、第1実装手段P1および第2実装手段P2のいずれに共通部品を実装させるかを決定することとしている。したがって、主制御部101の判断結果に応じて共通部品の実装を第1ヘッドユニット3と第2ヘッドユニット4との間で振り分けることで、第1実装位置P1での基板の待機時間がタクトタイムに与える影響を小さくして、タクトタイムを短縮することが可能となっている。
より具体的には、第1実施形態では、主制御部101は、第1実装位置P1から第2実装位置P2に基板を移動できない場合(図4のステップS102で「NO」の場合)は、第1実装位置P1からの基板の搬送ができないと判断する一方、第1実装位置P1から第2実装位置P2に基板を移動できる場合(図4のステップS102で「YES」の場合)は、第1実装位置P1からの基板の搬送ができると判断している。そして、この判断結果に応じて共通部品の実装を第1ヘッドユニット3と第2ヘッドユニット4との間で振り分けることで、第1実装位置P1での基板の待機時間がタクトタイムに与える影響を小さくして、タクトタイムの短縮を図っている。
また、第1実施形態では、主制御部101は、第1実装位置P1からの基板の搬送ができないと判断した場合(図4のステップS102で「NO」の場合)は、基板を第1実装位置P1に待機させるとともに、第1実装位置P1に待機する基板に対して共通部品の部品実装を第1ヘッドユニット3に実行させている(図4のステップS102からS104)。つまり、第1実施形態では、第1実装位置P1で待機中の基板に対して、共通部品の実装が第1ヘッドユニット3により実行される。したがって、この第1実装位置P1での待機中に実装済みの共通部品については、第2実装位置P2での第2ヘッドユニット4により実装する必要が無くなるため、第2実装位置P2での第2ヘッドユニットによる部品実装に要する時間を短くできる。このように、第1実装位置P1で待機中の基板に共通部品を実装することで、第1実装位置P1での基板の待機時間を有効利用して、タクトタイムの短縮を図ることが可能となっている。
また、第1実施形態では、第1実装位置P1からの基板の搬送ができると判断した場合(図4のステップS102で「NO」の場合)において、第1実装位置P1にある基板に対して未実装の共通部品がある場合は、主制御部101は、当該未実装の共通部品の実装を、第1実装位置P1から第2実装位置P2に搬送された基板に対して第2ヘッドユニット4により実行させる(図4のステップS106および図5)。このような構成では、主制御部101が第1実装位置P1からの基板の搬送ができると判断した時点において、第1実装位置P1の基板に対して一部の共通部品が未実装であっても、当該未実装の共通部品ついては第2ヘッドユニット4が第2実装位置P2で基板に実装する。したがって、第1ヘッドユニット3は、当該未実装の共通部品の実装を第1実装位置P1で行なう必要が無いため、第1実装位置P1での第1ヘッドユニット3による部品実装に要する時間を短くできるとともに、タクトタイムの短縮を図ることが可能となっている。また、別の見方をすれば、かかる構成は、第1ヘッドユニット専属部品の実装完了を条件に、第2実装位置P2が空き次第、基板を第1実装位置P1から第2実装位置P2に搬送しているとも言える(図4のステップS102、S105)。そして、その結果、第1実装位置P1を空けて、当該第1実装位置での次の基板に対する部品実装を速やかに開始することができ、この点においても、タクトタイムの短縮を図ることが可能となっている。
また、第1実施形態では、主制御部101は、第1実装位置P1からの基板の搬送ができると判断した場合は、第1実装位置P1から基板が搬送されるのに先立って、第1ヘッドユニット専属部品の全てが第1実装位置P1にある基板に対して実装済みであるか否かを確認し(図4のステップS105)、未実装の第1実装手段専属部品がある場合は、当該未実装の第1実装手段専属部品の実装を第1実装位置P1の基板に対して第1ヘッドユニット3に継続させて、全ての第1実装手段専属部品の実装を完了させている。これにより、第1ヘッドユニット3による第1ヘッドユニット専属部品の基板への実装を、確実に完了することが可能となっている。
第2実施形態
ところで、上述のような表面実装機100では、基板への部品実装を繰り返すうちに、一部の部品にいわゆる部品切れが発生する場合がある。そこで、第2実施形態では、かかる部品切れに対応すべく、次の図9に示すような部品実装動作を実行する。なお、第2実施形態の表面実装機100は、上述した第1実施形態の部品実装動作を実行可能であるとともに、さらに、図9に示す部品実装動作を実行することができるものである。
図9は、第2実施形態における第2ヘッドユニットの部品実装動作を示すフローチャートである。なお、第1ヘッドユニットの部品実装動作は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。図9に示すように、第2ヘッドユニット制御部104は、第2実装位置P2に基板が位置決めされたことを確認すると、ステップS301で、第1ヘッドユニット制御部103から未搭載部品情報を受け取って、「搭載すべき部品情報」へセットする。そして、ステップS302で、第2ヘッドユニット制御部104は、第2実装位置P2の基板に対して搭載(実装)すべき部品があるか否かを、「搭載すべき部品情報」から判断する。搭載すべき部品が有る場合(ステップS302で「YES」の場合)は、第2ヘッドユニット制御部104は、ステップS303およびステップ304の動作を第2ヘッドユニット4に実行させる。これにより、第2ヘッドユニット4は、部品を吸着し(ステップS303)、吸着した部品を第2実装位置P2の基板に搭載する(ステップS304)。
一方、搭載すべき部品が無い場合(ステップS302で「NO」の場合)は、主制御部101は、第2ヘッドユニット4用のフィーダ6のうち、共通部品を収納するフィーダ(共通部品用フィーダ)6に部品切れを起こすと予想されるものがあるか否かが判断する(ステップS305)。かかる予想は、例えば次のようにして行なうことができる。つまり、段取り作業において共通部品用フィーダ6が表面実装機100に取り付けられた際に、主制御部101に共通部品用フィーダ6の初期部品数をセットしておき、当該共通部品用フィーダ6の部品が基板に搭載されるたびに部品数を初期部品数からカウントダウンする。そして、部品数が所定個数以下となった場合(換言すれば、共通部品用フィーダ6の部品残数が所定個数以下となった場合)に、部品切れが発生すると予測するように構成すれば良い。そして、部品切れが予測されない場合(ステップS305で「NO」場合)は、そのまま図9のフローチャートが終了する。一方、部品切れが予測される場合(ステップS305で「YES」の場合)は、以後の部品実装においては、当該共通部品用フィーダ6に収納された共通部品については、第1ヘッドユニット3により第1実装位置P1で実装するように主制御部101が決定し、図9のフローチャートが終了する。
以上が、第2実施形態において、第2ヘッドユニット4が実行する実装動作のフローである。続いて、上記フローによって実行されうるより具体的な例について、図10を用いて説明する。
図10は、第2ヘッドユニットが実装可能な共通部品の一部に部品切れが予想されている場合に実行される部品実装例を示す図である。なお、同図の各欄の内容は図6のそれと同じである。より具体的には、図10は、第2ヘッドユニット4により第2実装位置P2で共通部品Bの実装を繰り返した結果、第2ヘッドユニット4に共通部品Bを供給するテープフィーダ6において当該共通部品Bの部品切れが予想された状態、すなわち、図9のフローチャートのステップS102で、第2ヘッドユニット4が実装可能な共通部品Bについて部品切れが予想された以後の動作に対応する。この場合、図9のフローチャートを用いて説明したとおり、以後の実装動作においては、共通部品Bは第1ヘッドユニット3により実装されることとなる。これに対応して、図10に示す実装動作例では、共通部品Bは第1実装位置P1で第1ヘッドユニット3により搭載されている。なお、同図の実装動作例では、共通部品Bに続く共通部品Cも第1実装位置P1で搭載されているが、この共通部品Cについては部品切れは予測されていないので、第2実装位置P2で搭載することもできる。
以上のように第2実施形態の表面実装機では、主制御部101が第2ヘッドユニットにおいて共通部品の少なくとも一部に部品切れが発生するか否かを予測する。そして、主制御部101は、部品切れを予測した場合は、この部品切れが予測される共通部品の実装を第1ヘッドユニット3に実行させている。このような構成では、第2ヘッドユニット4で部品切れが予測された場合は、部品切れが予想される共通部品の以後の実装は第1ヘッドユニット3(部品切れが予測されていない方のヘッドユニット)が実行する。したがって、部品切れに伴なって当該部品の補充のために表面実装機100の実装動作を中断させるといった部品補充動作の発生頻度を少なくして、タクトタイムの短縮を図ることが可能となる。
第3実施形態
上記実施形態では、第1・第2実装位置P1、P2の順番に基板を搬送しながら各実装位置P1、P2で基板に部品実装を行なう表面実装機100に本発明を適用した場合について説明した。しかしながら、本発明の適用対象はこのような表面実装機100のみに限られず、本発明は、複数の実装位置に順次基板を搬送しながら各実装位置で基板に部品実装を行なう構成全般に適用することができる。そこで、例えば、図11に示すような部品実装ラインに本発明を適用しても良い。
図11は、本発明を適用可能である部品実装ラインの一形態を示す模式図である。同図に示すように、この部品実装ライン1000では、3台の表面実装機200、300、400がこの順番で基板搬送方向X2に並んで配置されており、これらの表面実装機200、300、400に順次基板を順次搬送しながら、表面実装機200、300、400のそれぞれで部品実装が実行される。さらに、この部品実装ライン1000では、ホストコンピュータHCが設けられており、このホストコンピュータHCが表面実装機200、300、400間での基板搬送や、表面実装機200、300、400それぞれでの部品実装を制御する。なお、以下の説明では、「下流側設備」という文言を用いるが、この下流側設備とは、自設備より基板搬送方向X2の下流側の表面実装機を示すものとし、表面実装機200にとっては表面実装機300、400が下流側設備に相当し、表面実装機300にとっては表面実装機400が下流側設備に相当する。また、特に、基板搬送方向X2下流側に隣接する下流側設備を、「直近の下流側設備」と適宜称することとする。つまり、表面実装機200にとっては表面実装機300が直近の下流側設備に相当し、表面実装機300にとっては表面実装機400が直近の下流側設備に相当する。
基板搬送方向X2の最上流に位置する表面実装機200は、基板搬送方向X2のさらに上流側から基板を受け入れた後に、当該基板を実装位置P200に位置決め固定する。そして、表面実装機200は、実装位置P200の基板に対して部品実装を行なった後、基板搬送方向X2の下流側の表面実装機300(下流側設備)へと基板を搬出する。表面実装機300は、表面実装機200から受け取った基板を、待機位置W300で一旦待機させた後に、実装位置P300に位置決め固定する。そして、表面実装機300は、実装位置P300の基板に対して部品実装を行なった後、基板搬送方向の下流側の表面実装機400(下流側設備)へと基板を搬出する。表面実装機400は、表面実装機300から受け取った基板を、待機位置W400で一旦待機させた後に、実装位置P400に位置決め固定する。そして、表面実装機400は、実装位置P300の基板に対して部品実装を行なった後、基板搬送方向の下流側へと基板を搬出する。
ここで、表面実装機300(400)で待機位置W300(W400)を設けた理由は次のとおりである。つまり、このような待機位置W300(W400)を設けておけば、仮に表面実装機300(400)の実装位置P300(P400)が空いていなくても、とりあえず待機位置W300(W400)に基板を受け入れることが可能となる。したがって、表面実装機300(400)は、実装位置P300(P400)の空き状況に依らず、基板搬送方向X2上流側から基板を受け入れることができる。よって、表面実装機300(400)の上流側の表面実装機200(300)にしてみれば、下流側の表面実装機300(400)の実装位置P300(P400)の空き状況に依らず機外に基板を搬出することができ、続く基板への部品実装を速やかに開始することができ、その結果、タクトタイム短縮を図ることが可能となる。以上が、待機位置W300、W400を設けた理由である。
なお、部品実装ライン1000で用いられる表面実装機200、300、400としては、第1実施形態で詳述した表面実装機100を用いても良い。この際、例えば、第1実装位置P1を、実装位置P200、P300、P400として用いるとともに、基板受渡位置P3を待機位置W300、W400として機能させても良い。もちろん、第1実施形態で詳述した表面実装機100とは異なる構成を備えた表面実装機を、表面実装機200、300、400として用いることもできる。そして、第3実施形態の部品実装ライン1000では、さらなるタクトタイム短縮を図るべく次のような部品実装動作が実行される。
図12は、第3実施形態における表面実装機200あるいは表面実装機300で実行される部品実装動作を示すフローチャートである。図13は、図12のフローチャートにより実行されうる部品実装例を示す図である。なお、同図の各欄の内容は図6のそれと同じである。図13に示すように部品実装ライン1000は、部品A〜部品Fを基板に対して部品実装する。ここで、各部品の属性は、次に示すとおりである。すなわち、
部品A:表面実装機200の専属部品、
部品B:表面実装機200、300、400の共通部品、
部品C:表面実装機200、400の共通部品、
部品D:表面実装機200、400の共通部品、
部品E:表面実装機300の専属部品
部品F:表面実装機300の専属部品
となっている。
まずは、図12を用いて、表面実装機200あるいは表面実装機300で実行される動作について説明する。ホストコンピュータHCは、実装位置P200(P300)に基板が位置決め固定されたことを確認すると、ステップ401で搭載すべき部品が存在するか否かを判断する。搭載すべき部品が無い場合(ステップS401で「NO」の場合)は、図12のフローチャートが終了するとともに、ホストコンピュータHCの制御の下、表面実装機200(300)は、下流側設備300(400)に基板を搬出する。
一方、搭載すべき部品が有る場合(ステップS401で「YES」の場合)は、ホストコンピュータHCは、ステップS402に進んで、表面実装機200(300)の直近の下流側設備300(400)が空いているか否かを判断する。具体的には、下流側設備300(400)の待機位置W300(W400)での基板の有無が確認され、待機位置W300(W400)に基板が無ければ下流側設備300(400)が空いていると判断される一方、待機位置W300(W400)に基板が有れば下流側設備300(400)が空いていないと判断される。そして、下流側設備300(400)が空いていない場合(ステップS402で「NO」の場合)は、表面実装機200(300)から直近の下流側設備300(400)にまで基板を搬送できないので、ホストコンピュータHCが表面実装機200(300)に部品実装を実行させる。具体的には、ステップS403で、表面実装機200(300)のヘッドユニットが部品を吸着した後に、ステップS404で、この吸着した部品を実装位置P200(P300)の基板に実装する。そして、下流側設備300(400)が空いておらず、表面実装機200(300)から下流側設備300(400)への基板搬送を行なえない限り、ステップS401〜ステップS404が繰り返し実行されて、表面実装機200(300)による部品実装が継続される。ここで、表面実装機200(300)による部品実装順序は、専属部品、共通部品の順序に設定されている。したがって、全ての専属部品の部品実装が完了しても、下流側設備200(300)が空いていない場合は、表面実装機200(300)は、実装位置P200(P300)の基板に対して共通部品の実装を行なう。このとき、表面実装機200は共通部品として部品B、C、Dを実装可能であるのでこれら共通部品B、C、Dの実装を行い、表面実装機300は共通部品として部品Bのみを実装可能であるのでこの共通部品Bの実装を行なう。
一方で、下流側設備300(400)の待機位置W300(W400)が空くと、ステップS402で「YES」と判断されて、ステップS405の判断がホストコンピュータHCにより実行される。つまり、ホストコンピュータHCは、表面実装機200(300)のヘッドユニットが次に吸着する部品が自設備200(300)の専属部品か否かを判断する。そして、次の吸着部品が自設備200(300)の専属部品である場合は、自設備200(300)での部品実装が完了していないので、ステップS403、S404の動作を実行して、表面実装機200(300)は、実装位置P200(P300)の基板に対して専属部品の実装を継続し、自設備200(300)の専属部品の実装を完了する。一方、ステップS405で、次の吸着部品が自設備200(300)の専属部品でないと判断された場合(ステップS405で「NO」と判断された場合)は、ホストコンピュータHCは、ステップS406に進んで、下流側設備200、300(300)に未搭載部品情報を通知した後に、自設備200(300)での部品実装を終了する。また、この部品実装終了に伴なって、ホストコンピュータHCは、表面実装機200(300)から下流側設備300(400)の待機位置W300(W400)にまで基板を搬送する。
つまり、ステップS405で次の吸着部品が表面実装機200(300)の専属部品でないと判断された場合には、少なくとも、自設備200(300)の専属部品の基板への実装は完了しているため、基板に未搭載(未実装)の部品は、共通部品と下流側設備300(400)の専属部品とであって、下流側設備300、400(400)により実装可能な部品である。しかも、直近の下流側設備300(400)の待機位置W300(W400)は空いており、直近の下流側設備300(400)に基板を搬送できる状態にある。そこで、これら未搭載部品の実装を下流側設備300、400(400)に任せることとして、ホストコンピュータHCが、未搭載部品情報を下流側設備300、400(400)の制御部に渡すとともに、基板を直近の下流側設備300(400)に搬出する。こうして、表面実装機200(300)において、次の基板の実装位置P200(P300)への受入準備が整えられる。
ちなみに、共通部品Bは、表面実装機200、300、400で実装可能である。したがって、表面実装機200での未搭載部品情報のうち部品Bに関するものは表面実装機300および表面実装機400の両方の制御部に渡しておくと良い。このようにしておけば、部品Bの実装を表面実装機300および表面実装機400で適宜振り分けて実行することが可能となる。また、共通部品C、Dは、表面実装機300では実装できないので、表面実装機200での未搭載情報のうち部品C、Dに関するものは、表面実装機400の制御部にのみ渡しておけば良い。
以上が、第3実施形態において、部品実装ライン1000が実行する実装動作のフローである。続いて、上記フローにより実行される具体的な例について図13を用いて説明する。図13は、表面実装機200で部品の実装を行なっている間に、搭載データ3から搭載データ4までの間に直近の下流側設備300の待機位置W300が空いた場合(つまり、図12のフローチャートのステップ402で下流側設備300について「YES」と判断された場合)を示している。この場合、図12のフローチャートを用いて説明したとおり、表面実装機200の実装が実装位置P200の基板に対して完了すれば、その後の部品実装は下流側設備200、300により実行される。これに対応して、図13に示す実装動作例においては、表面実装機200では専属部品Aと共通部品Bの一部(搭載データ3で搭載される共通部品B)のみが表面実装機200で搭載されており、その他の部品は下流側設備300、400で搭載されている。
以上のように、第3実施形態の部品実装ラインは次のような構成を備えている。つまり、この部品実装ライン1000では、表面実装機200、300、400が実装可能な部品は、少なくとも一部で共通しており、換言すれば、表面実装機200、300、400は互いに共通する部品(共通部品)を実装可能である。しかも、この部品実装ライン1000は、表面実装機200、300、400が自設備より基板搬送方向の下流側に向けて基板を搬送可能か否かを判断するホストコンピュータHC(判断装置)を備えており、この判断結果に基づいて、表面実装機200、300、400のいずれに共通部品を自走させるかを決定することとしている。したがって、ホストコンピュータHCの判断結果に応じて共通部品の実装を表面実装機200、300、400の間で振り分けることで、表面実装機200、300での基板の待機時間がタクトタイムに与える影響を小さくしてタクトタイムを短縮することが可能となっている。
つまり、第3実施形態の部品実装ライン1000は、第1実施形態の表面実装機100に類似した構成を備えている。詳述すると、第3実施形態における表面実装機200と表面実装機300との関係、表面実装機200と表面実装機400との関係あるいは表面実装機300と表面実装機400との関係が、第1実施形態における第1ヘッドユニット3と第2ヘッドユニット4との関係に類似している。また、第3実施形態での部品実装で実行される図12のフローチャートのステップS401〜ステップ406が、第1実施形態での部品実装で実行される図4のフローチャートのステップS101〜ステップS106に類似している。その結果、第3実施形態の部品実装ライン1000では、第1実施形態の表面実装機100と同様の効果を奏することができ、タクトタイムの短縮が図られている。
その他
以上のように、上記第1実施形態では、表面実装機100が本発明の「部品実装機」に相当する。また、第1ヘッドユニット3(あるいは、第1ヘッドユニット3とフィーダ6)が本発明の「第1実装手段」に相当し、第2ヘッドユニット4(あるいは、第2ヘッドユニット4とフィーダ6)が本発明の「第2実装手段」に相当し、主制御部101、第1ヘッドユニット制御部103および第2ヘッドユニット制御部104が協働して本発明の「判断手段」「制御手段」として機能し、第1ヘッドユニット専属部品が本発明の「第1実装手段専属部品」に相当し、第2ヘッドユニット専属部品が本発明の「第2実装手段専属部品」に相当している。また、上記第2実施形態では、主制御部101が本発明の「予測手段」に相当している。また、上記第3実施形態では、表面実装機200と表面実装機300との関係、表面実装機200と表面実装機400との関係あるいは表面実装機300と表面実装機400との関係が、本発明の「第1実装機」と「第2実装機」との関係に相当している。また、ホストコンピュータHCが本発明の「判断装置」「制御装置」として機能している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能である。上記第2実施形態では、第2ヘッドユニット4用のフィーダ6において共通部品の部品切れが予測されて、この部品切れが予測された共通部品の実装を第1ヘッドユニット3により第1実装位置P1で実行することとしていた。しかしながら、第1ヘッドユニット3用のフィーダ6においても共通部品の部品切れを予測するようにしておき、第1ヘッドユニット3用のフィーダ6においても共通部品の部品切れが予測された場合には、この部品切れが予測された共通部品の実装を第2ヘッドユニット4により第2実装位置P2で実行するようにしても良い。
また、上記第1実施形態の第1ヘッドユニット3、第2ヘッドユニットおよび上記第3実施形態の各表面実装機200、300、400は、それぞれの専属部品および共通部品のうち専属部品から優先的に実装(搭載)することとし、共通部品の実装は専属部品の実装が完了してから行なうものとしていた。しかしながら、部品の実装順序はこれに限られない。
また、上記第3実施形態では、表面実装機300、400で待機位置W300、W400が設けられていたが、この待機位置W300、W400を設けないように構成することもできる。この場合には、各表面実装機300、400は、基板搬送方向X2上流側から受け入れた基板を、そのまま実装位置P300、P400に位置決め固定するようにすれば良い。また、図12のステップS402の判断を、実装位置P300、P400での基板の有無を確認することで実行すれば良い。
また、上記第1・第2実施形態では、第1実装位置P1と第2実装位置P2とがY方向に互いにずれているが、第1実装位置P1と第2実装位置P2との位置関係はこれに限られず、各実装位置P1、P2のY方向への位置が互いに同じであっても良い。
また、上記第1・第2実施形態では、第1ヘッドユニット3と第2ヘッドユニット4とが同一の構成を備えていたが、各ヘッドユニット3、4が異なる構成を備えていても良い。
また、第1実施形態では、第1実装位置P1からの基板の搬送ができるか否かの判断を、第2実装位置P2が空いているか否で判断している(図4のステップS102)が、これに限らず、第2実装位置P2のすぐ下流側に設けられる基板待機位置が空いていれば、第2実装位置P2での実装が完了し次第、第2実装位置の基板を下流の基板待機位置に搬出するとともに、第1実装位置P1からの基板の搬送を開始してもよい。つまり、第2実装位置P2が空いているか否かに基づいて第1実装位置P1からの基板の搬送可否を判断していた第1実施形態とは異なり、第2実装位置P2の基板を搬送することができるか否かで第1実装位置P1からの基板の搬送ができるか否かが判断される。この場合、第2実装位置P2から第2実装位置P2の下流側に設けられる基板待機位置への搬送するタイミングで、第1実装位置P1から第2実装位置P2まで基板の搬送されるため、よりタクトタイムの短縮することができる。