JP5278315B2 - 架橋された含フッ素エラストマー微粒子およびその製造法、ならびに組成物 - Google Patents

架橋された含フッ素エラストマー微粒子およびその製造法、ならびに組成物 Download PDF

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Description

本発明は、新規な架橋された含フッ素エラストマー微粒子、該架橋された含フッ素エラストマー微粒子と合成樹脂との組成物、および水性分散液中で含フッ素エラストマー粒子をパーオキサイド架橋する架橋された含フッ素エラストマー微粒子の新規製造法に関する。
架橋された含フッ素エラストマー微粒子(以下、「架橋含フッ素エラストマー微粒子」ということもある)は、例えば各種の合成樹脂、特に熱可塑性フッ素樹脂に柔軟性などを付与する目的で利用されている。
かかる架橋含フッ素エラストマー微粒子は、(1)架橋含フッ素エラストマー粒子を粉砕する方法、(2)含フッ素エラストマー微粒子を乳化重合で製造する際に2つ以上のエチレン性不飽和基を有する単量体を共重合成分として共存させ、重合の進行と同時に架橋する方法、(3)乳化重合法で得られた含フッ素エラストマー微粒子をラテックスの状態で加硫剤や加硫助剤を含浸させて加硫する方法などが知られている(特開平6−248146号公報、特開平8−59941号公報)。
しかし、微粉砕法(1)では架橋含フッ素エラストマー粒子径が大きくなるという問題がある。
また、重合中に架橋を並行して行う方法(2)では、架橋反応が重合反応を阻害するため分子量が上がらず強度が出ないという問題がある。
また、乳化重合粒子をラテックス状態で加硫する方法(3)では、特開平6−248146号公報、特開平8−59941号公報においては、乳化重合粒子をラテックス状態で加硫する方法の具体的手段は開示されていない。特開平6−248146号公報、特開平8−59941号公報に具体的に開示されている内容は、重合中に架橋を並行して行う方法(2)のみである。
本発明は、新規な架橋された含フッ素エラストマー微粒子、該架橋された含フッ素エラストマー微粒子と合成樹脂との組成物、および水性分散液中で含フッ素エラストマー粒子をパーオキサイド架橋する架橋された含フッ素エラストマー微粒子の新規製造法を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、ゲル分率が85質量%以上である架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D1)と合成樹脂(E)とを含み、該架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D1)/合成樹脂(E)が質量比にて0.1/99.9〜25/75である組成物(第1の発明)に関する。
前記架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D1)を構成する含フッ素エラストマー(a1)のフッ素含有率は65質量%以上であることが好ましい。
前記架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D1)を構成する含フッ素エラストマー(a1)としては、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライドおよび式(1):
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は−CF3または−ORf 2(Rf 2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基))で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含むことが好ましい。
前記架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D1)の平均粒子径は、0.3〜0.1μmであることが好ましい。
前記合成樹脂(E)としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体が好ましく例示できる。
本発明はまた、ポリマー1分子あたり末端にヨウ素原子を少なくとも3個含む含フッ素エラストマー(a2)の粒子(A2)を架橋して得られる架橋含フッ素エラストマー微粒子(D2)(第2の発明)に関する。
前記架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D2)を構成する含フッ素エラストマー(a2)のフッ素含有率は65質量%以上であることが好ましい。
前記架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D2)を構成する含フッ素エラストマー(a2)としては、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライドおよび式(1):
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は−CF3または−ORf 2(Rf 2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基))で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含むことが好ましい。
前記架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D2)の平均粒子径は、0.3〜0.1μmであることが好ましい。
また本発明は、上記架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D2)と合成樹脂(E)とを含む組成物(第3の発明)にも関する。
かかる合成樹脂(E)としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体が好ましく例示できる。
さらに本発明は、少なくとも1種のフルオロオレフィンを含むエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位と、式(3c):
CY1 2=CY2f 11 (3c)
(式中、Y1、Y2はフッ素原子、水素原子または−CH3;Rf 1はエーテル結合性酸素原子を有していてもよい直鎖状もしくは分岐鎖状のフルオロまたはパーフルオロアルキレン基;X1はヨウ素原子または臭素原子)で示される単量体に由来する構造単位を含む含フッ素エラストマー(a3)の粒子(A3)が架橋されてなる架橋含フッ素エラストマー微粒子(D3)(第4の発明)にも関する。
前記架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D3)を構成する含フッ素エラストマー(a3)のフッ素含有率は65質量%以上であることが好ましい。
前記架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D3)を構成する含フッ素エラストマー(a3)としては、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライドおよび式(1):
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は−CF3または−ORf 2(Rf 2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基))で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含むことが好ましい。
前記架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D3)の平均粒子径は、0.3〜0.1μmであることが好ましい。
本発明はまた、上記架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D3)と合成樹脂(E)とを含む組成物(第5の発明)にも関する。
かかる合成樹脂(E)としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体が好ましく例示できる。
本発明はさらに、パーオキサイド架橋可能な含フッ素エラストマー粒子(A4)と過酸化物(B)と多官能不飽和化合物(C)とを含む水性分散液を加熱することにより該含フッ素エラストマー粒子(A4)をパーオキサイド架橋する架橋含フッ素エラストマー微粒子(D4)の製造法(第6の発明)にも関する。
過酸化物(B)としては、過硫酸塩および/または有機過酸化物が好ましく用いられる。
また、多官能不飽和化合物(C)としては、例えば、オキシムニトロソ化合物、ジ(メタ)アクリレート系化合物、トリエステル系化合物、トリアリルイソシアヌレート系化合物およびポリブタジエン系化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が好適である。
水性分散液中の含フッ素エラストマー粒子(A4)の平均粒子径は0.01〜0.5μmであることが好ましい。
また、含フッ素エラストマー粒子(A4)を構成する含フッ素エラストマー(a4)のフッ素含有率は65質量%以上であることが好ましい。
含フッ素エラストマー粒子(A4)を構成する含フッ素エラストマー(a4)としては、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライドおよび式(1):
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は−CF3または−ORf 2(Rf 2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基))で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含むものが好ましい。
また、パーオキサイド架橋後の架橋含フッ素エラストマー微粒子(D4)の回収方法としては、凍結凝析法が好ましい。
本発明はまた、上記の製造法により得られるパーオキサイド架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D4)(第7の発明)に関する。
この架橋含フッ素エラストマー微粒子は、平均粒子径が0.01〜0.5μmであることが好ましい。
また、架橋含フッ素エラストマー微粒子のフッ素含有率は65質量%以上であることが好ましい。
また、架橋含フッ素エラストマー微粒子のアセトン不溶分は80質量%以上であることが好ましい。
本発明の第1の発明は、ゲル分率が85質量%以上である架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D1)と
合成樹脂(E)とを含み、該架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D1)/合成樹脂(E)が質量比にて0.1/99.9〜25/75である組成物に関する。
ここで、ゲル分率は、含フッ素エラストマーが可溶で、架橋含フッ素エラストマーが不溶であるような溶剤に対する、架橋含フッ素エラストマーの溶剤不溶分の質量割合(%)のことである。具体的には、架橋含フッ素エラストマーが非パーフルオロエラストマーを架橋したものの場合は、アセトンに不溶部分の質量割合(%)であり、架橋含フッ素エラストマーがパーフルオロエラストマーを架橋したものの場合は、パーフルオロヘキサンに不溶部分の質量割合(%)であることが好ましい。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D1)のゲル分率が85質量%以上であると、未架橋部分が少なく、その結果、架橋含フッ素エラストマー微粒子同士の凝集が抑制され、合成樹脂(E)中への均一な分散が可能となり、合成樹脂の破断強度や特性を大幅に低下させずに低弾性率を付与することができる。好ましいゲル分率は、87質量%以上、さらには90質量%以上である。上限は100質量%(完全ゲル化)である。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D1)は、含フッ素エラストマー粒子(A1)をゲル分率が85質量%以上となるように架橋することにより得られる。含フッ素エラストマー粒子(A1)をゲル分率が85質量%以上となるように架橋する方法については後述(たとえば第6の発明など)する。
含フッ素エラストマー粒子(A1)を構成する含フッ素エラストマー(a1)としては、架橋可能なフッ素ゴムが好適であり、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライドおよび式(1):
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は−CF3または−ORf 2(Rf 2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基))で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含むことが、ゴム弾性体としての性質をもつ粒子が得られる点から好ましい。
フッ素ゴムとしてはまた、非パーフルオロフッ素ゴム(a1−1)およびパーフルオロフッ素ゴム(a1−2)が好ましい。
非パーフルオロフッ素ゴム(a1−1)としては、ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム、フルオロシリコーン系フッ素ゴム、またはフルオロホスファゼン系フッ素ゴムなどが挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または本発明の効果を損なわない範囲で任意に組合わせて用いることができる。これらの中でも、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴムや、テトラフルオロエチレン/プロピレン系フッ素ゴムがより好適である。
具体的には、上記VdF系ゴムは、VdF繰り返し単位が、VdF繰り返し単位と上記VdF系エラストマーにおけるその他の共単量体に由来する繰り返し単位との合計モル数の20モル%以上、90モル%以下が好ましく、40モル%以上、85モル%以下であることがより好ましい。さらに好ましい下限は45モル%、特に好ましい下限は50モル%であり、さらに好ましい上限は80モル%である。
そして、上記VdF系ゴムにおけるその他の単量体としてはVdFと共重合可能であれば特に限定されず、たとえば、TFE、HFP、PAVE、CTFE、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、フッ化ビニル、ヨウ素含有フッ素化ビニルエーテルなどのフッ素含有単量体;エチレン(Et)、プロピレン(Pr)、アルキルビニルエーテル等のフッ素非含有単量体などがあげられ、これらのフッ素含有単量体およびフッ素非含有単量体のなかから1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。前記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)が好ましく、特にパーフルオロ(メチルビニルエーテル)が好ましい。
上記VdF系ゴムとしては、VdF/HFP共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/CTFE共重合体、VdF/CTFE/TFE共重合体、VdF/PAVE共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、VdF/HFP/PAVE共重合体、VdF/HFP/TFE/PAVE共重合体、VdF/TFE/Pr共重合体、またはVdF/Et/HFP共重合体が好ましく、また、その他の単量体として、TFE、HFP、および/またはPAVEを有するものであることがより好ましく、特には、VdF/HFP共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/PAVE共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、VdF/HFP/PAVE共重合体、またはVdF/HFP/TFE/PAVE共重合が好ましい。
VdF/HFP共重合体は、VdF/HFPの組成が、45〜85/55〜15(モル%)であることが好ましく、より好ましくは50〜80/50〜20(モル%)であり、さらに好ましくは60〜80/40〜20(モル%)である。
VdF/HFP/TFE共重合体は、VdF/HFP/TFEの組成が40〜80/10〜35/10〜25(モル%)のものが好ましい。
VdF/PAVE共重合体としては、VdF/PAVEの組成が65〜90/10〜35(モル%)のものが好ましい。
VdF/TFE/PAVE共重合体としては、VdF/TFE/PAVEの組成が40〜80/3〜40/15〜35(モル%)のものが好ましい。
VdF/HFP/PAVE共重合体としては、VdF/HFP/PAVEの組成が65〜90/3〜25/3〜25(モル%)のものが好ましい。
VdF/HFP/TFE/PAVE共重合体としては、VdF/HFP/TFE/PAVEの組成が40〜90/0〜25/0〜40/3〜35(モル%)のものが好ましく、40〜80/3〜25/3〜40/3〜25(モル%)のものがより好ましい。
テトラフルオロエチレン/プロピレン系フッ素ゴムとは、テトラフルオロエチレン45〜70モル%、プロピレン55〜30モル%からなる含フッ素共重合体をいう。これら2成分に加えて、特定の第3成分(たとえばPAVE)を0〜40モル%含んでいてもよい。
パーフルオロフッ素ゴム(a1−2)としては、TFE/PAVEからなるものなどが挙げられる。TFE/PAVEの組成は、50〜90/50〜10モル%であることが好ましく、より好ましくは、50〜80/50〜20モル%であり、さらに好ましくは、55〜70/45〜30モル%である。
この場合のPAVEとしては、例えばパーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)などが挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組み合わせて用いることができる。
含フッ素エラストマー(a1)はパーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムが好ましく、具体的には、含フッ素エラストマー(a1)中に0.01〜10質量%のヨウ素原子および/または臭素原子(好ましくはヨウ素原子)を含むことが好ましく、0.05〜2質量%含むことがより好ましい。含有量が、0.01質量%未満であると架橋が不充分となり、圧縮永久歪みが悪化する傾向があり、10質量%をこえると架橋密度が高すぎ、伸びが小さすぎるなど、ゴムとしての性能が悪化する傾向がある。
含フッ素エラストマー(a1)のうちヨウ素(臭素)原子を含むものとしては、前述した非パーフルオロフッ素ゴム(a1−1)やパーフルオロフッ素ゴム(a1−2)が、さらに特定のヨウ素(臭素)原子含有単量体(パーオキサイド架橋可能な架橋部位を与える単量体ということがある)に由来する繰り返し単位を含むものや、後述するヨウ素(臭素)移動重合により重合されたものが例示される。
特定のヨウ素(臭素)原子含有単量体としては、式(3a):
CY1 2=CY2f 11 (3a)
(式中、Y1、Y2はフッ素原子、水素原子または−CH3;Rf 1はエーテル結合性酸素原子を有していてもよい直鎖状もしくは分岐鎖状のフルオロまたはパーフルオロアルキレン基;X1はヨウ素原子または臭素原子)
で示される化合物が例示され、たとえば、式(4a):
CY1 2=CY2f 3CHR1−X1 (4a)
(式中、Y1、Y2、X1は式(3a)と同様であり、Rf 3は1個以上のエーテル型酸素原子を有していてもよい直鎖状もしくは分岐鎖状のフルオロまたはパーフルオロアルキレン基、フルオロもしくはパーフルオロオキシアルキレン基、またはパーフルオロポリオキシアルキレン基;R1は水素原子またはメチル基)
で示されるヨウ素含有単量体、臭素含有単量体、式(5a)〜(22a):
CY4 2=CY4(CF2n−X1 (5a)
(式中、Y4は水素原子またはフッ素原子、nは1〜8の整数)
CF2=CFCF2f 4−X1 (6a)
(式中、
Figure 0005278315
であり、nは0〜5の整数)
CF2=CFCF2(OCF(CF3)CF2m
(OCH2CF2CF2nOCH2CF2−X1 (7a)
(式中、mは0〜5の整数、nは0〜5の整数)
CF2=CFCF2(OCH2CF2CF2m
(OCF(CF3)CF2nOCF(CF3)−X1 (8a)
(式中、mは0〜5の整数、nは0〜5の整数)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))mO(CF2n−X1 (9a)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜8の整数)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))m−X1 (10a)
(式中、mは1〜5の整数)
CF2=CFOCF2(CF(CF3)OCF2nCF(−X1)CF3 (11a)
(式中、nは1〜4の整数)
CF2=CFO(CF2nOCF(CF3)−X1 (12a)
(式中、nは2〜5の整数)
CF2=CFO(CF2n−(C64)−X1 (13a)
(式中、nは1〜6の整数)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))nOCF2CF(CF3)−X1 (14a)
(式中、nは1〜2の整数)
CH2=CFCF2O(CF(CF3)CF2O)nCF(CF3)−X1 (15a)
(式中、nは0〜5の整数)、
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2n−X1 (16a)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数)
CH2=CFCF2OCF(CF3)OCF(CF3)−X1 (17a)
CH2=CFCF2OCH2CF2−X1 (18a)
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)mCF2CF(CF3)−X1 (19a)
(式中、mは0以上の整数)
CF2=CFOCF(CF3)CF2O(CF2n−X1 (20a)
(式中、nは1以上の整数)
CF2=CFOCF2OCF2CF(CF3)OCF2−X1 (21a)
CH2=CH−(CF2n1 (22a)
(式中、nは2〜8の整数)
(式(5a)〜(22a)中、X1は、式(3a)と同様である)
で表されるヨウ素含有単量体、臭素含有単量体などがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組み合わせて用いることができる。
式(4a)で示されるヨウ素または臭素含有単量体としては、式(23):
Figure 0005278315
(式中、mは1〜5の整数、nは0〜3の整数)
で表されるヨウ素含有含フッ素化ビニルエーテルが好ましくあげられ、より具体的には、
Figure 0005278315
などがあげられるが、これらの中でも、ICH2CF2CF2OCF=CF2が好ましい。
式(5a)で示されるヨウ素含有単量体、臭素含有単量体としてより具体的には、ICF2CF2CF=CH2、I(CF2CF22CF=CH2が好ましくあげられる。
式(9a)で示されるヨウ素含有単量体、臭素含有単量体としてより具体的には、I(CF2CF22OCF=CF2が好ましくあげられる。
式(22a)で示されるヨウ素含有単量体、臭素含有単量体としてより具体的には、CH2=CHCF2CF2I、I(CF2CF22CH=CH2が好ましくあげられる。
また、前記式(4a)〜(22a)で示される化合物のX1が、シアノ基(−CN基)、カルボキシル基(−COOH基)またはアルコキシカルボニル基(−COOR基、Rは炭素数1〜10のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基)である単量体を、一般式(1)で示される化合物と共に用いてもよい。
これらヨウ素(臭素)原子含有単量体に由来する構造単位を含む場合、その含有量は、その他の共単量体に由来する繰り返し単位との合計モル数の2モル%以上、10モル%以下が好ましい。
ヨウ素(臭素)移動重合は、たとえば、実質的に無酸素下で、水媒体中で、ヨウ素化合物、好ましくはジヨウ素化合物の存在下に、前記の含フッ素エラストマー(a1)を構成する単量体と要すればパーオキサイド架橋可能な架橋部位を与える単量体を加圧下で撹拌しながらラジカル開始剤の存在下、乳化重合を行う方法が挙げられる。使用するジヨウ素化合物の代表例としては、たとえば式(2a):
2xBry (2a)
(式中、xおよびyはそれぞれ0〜2の整数であり、かつ1≦x+y≦2を満たすものであり、R2は炭素数1〜16の飽和もしくは不飽和のフルオロ炭化水素基またはクロロフルオロ炭化水素基、または炭素数1〜3の炭化水素基であり、酸素原子を含んでいてもよい)で表される化合物が挙げられる。このようにして導入されるヨウ素原子または臭素原子がパーオキサイド架橋可能な架橋点として機能する。
式(2a)で表される化合物としては、たとえば1,3−ジヨードパーフルオロプロパン、1,3−ジヨード−2−クロロパーフルオロプロパン、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,5−ジヨード−2,4−ジクロロパーフルオロペンタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、1,8−ジヨードパーフルオロオクタン、1,12−ジヨードパーフルオロドデカン、1,16−ジヨードパーフルオロヘキサデカン、ジヨードメタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジヨード−n−プロパン、CF2Br2、BrCF2CF2Br、CF3CFBrCF2Br、CFClBr2、BrCF2CFClBr、CFBrClCFClBr、BrCF2CF2CF2Br、BrCF2CFBrOCF3、1−ブロモ−2−ヨードパーフルオロエタン、1−ブロモ−3−ヨードパーフルオロプロパン、1−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブタン、2−ブロモ−3−ヨードパーフルオロブタン、3−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、2−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、ベンゼンのモノヨードモノブロモ置換体、ジヨードモノブロモ置換体、ならびに(2−ヨードエチル)および(2−ブロモエチル)置換体などが挙げられ、これらの化合物は、単独で使用してもよく、相互に組み合せて使用することもできる。
これらのなかでも、重合反応性、架橋反応性、入手容易性などの点から、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、ジヨードメタンなどを用いるのが好ましい。
ジヨウ素化合物の添加量は、含フッ素エラストマー(a1)がフッ素ゴムの場合、フッ素ゴム全重量に対して、0.0001〜5質量%であることが好ましい。
含フッ素エラストマー粒子(A1)を構成する含フッ素エラストマー(a1)のフッ素含有率は使用目的などによって適宜選定してもよいが、65質量%以上、さらには70質量%以上であることが合成樹脂(E)としてフッ素樹脂を用いる場合フッ素樹脂との複合分散性の向上の点から好ましい。また、パーオキサイド架橋を効率的に進める観点からは、ポリマー1分子あたり末端にヨウ素原子を含む、特に好ましくは少なくとも3個含む含フッ素エラストマーが好ましい。
含フッ素エラストマー粒子(A1)の架橋反応は、架橋後のゲル分率が85質量%以上となるような架橋反応であれば、第6の発明で後述するパーオキサイド架橋のほか、通常のパーオキサイド架橋、さらには紫外線や放射線などの活性エネルギー線を常温で照射することによって開始させてもよく、この場合は、架橋助剤、増感剤などを共存させてもよい。
またパーオキサイド架橋反応と活性エネルギー線架橋反応とを併用したものであってもよい。なお、活性エネルギー線架橋反応を必須とする形態、すなわち、含フッ素エラストマー粒子(A1)と多官能不飽和化合物とを含む水性分散液に活性エネルギー線を常温で照射することによって該含フッ素エラストマー粒子(A1)を活性エネルギー線架橋する架橋含フッ素エラストマー微粒子の製造法もまた好適な形態の1つである。
そのほか、次のような架橋の実施形態も採用可能である。
(i)重合中に2つ以上のエチレン性不飽和基をもつ単量体を加えることにより、重合中に架橋を進行させる方法。
(ii)ビスフェノールAF、受酸剤、オニウム塩などによりポリオール架橋させる方法。
(iii)アミン系架橋剤、受酸剤などによりアミン架橋させる方法。
架橋反応終了後、得られた架橋含フッ素エラストマー微粒子(D1)は、凍結凝析法、塩析法、酸凝析法などの方法で分離回収することができる。なかでも、凝析後の粒子形状が良好な点から凍結凝析法が好ましい。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D1)の平均粒子径は、合成樹脂(E)、特にフッ素樹脂との複合分散性の向上と物性向上の点から0.01〜0.5μmであることが好ましい。さらに好ましくは0.3μm以下、特に0.2μm以下であり、また0.05μm以上、特に0.1μm以上が好ましい。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D1)のフッ素含有率は、65質量%以上、さらには70質量%以上であることが合成樹脂(E)としてフッ素樹脂を用いる場合フッ素樹脂との複合分散性の向上の点から好ましい。
かかる架橋含フッ素エラストマー微粒子(D1)は用途や合成樹脂(E)などに応じて、粉体の形態でも、水性分散液の状態で配合してもよい。その中でも特に水性分散液の状態で架橋含フッ素エラストマー微粒子(D1)と合成樹脂(E)とを混合し、共凝析させる方法が好ましい。
合成樹脂(E)としては、例えば硬化性樹脂であってもよいが、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D1)のエラストマーとしての特性を活かせる点から熱可塑性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミドなどが挙げられる。
フッ素樹脂としては、特に限定されるものではないが、少なくとも1種の含フッ素エチレン性重合体を含むフッ素樹脂であることが好ましい。含フッ素エチレン性重合体は少なくとも1種の含フッ素エチレン性単量体由来の構造単位を有することが好ましい。前記含フッ素エチレン性単量体としては、テトラフルオロエチレン(TFE)、式(1):
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は、−CF3および/または−ORf 2を表す。Rf 2は、炭素原子数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)
で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物などのパーフルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル、式:
CH2=CX2(CF2n3
(式中、X2は、水素原子またはフッ素原子を表し、X3は、水素原子、フッ素原子または塩素原子を表し、nは、1〜10の整数を表す。)
などのフルオロオレフィンなどをあげることができる。
そして、含フッ素エチレン性重合体は前記含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体由来の構造単位を有してもよく、このような単量体としては、前記フルオロオレフィン、パーフルオロオレフィン以外の非フッ素エチレン性単量体をあげることができる。非フッ素エチレン性単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、またはアルキルビニルエーテル類などをあげることができる。ここで、アルキルビニルエーテルは、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルビニルエーテルをいう。
これらの中でも、得られるフッ素樹脂組成物の耐熱性・耐薬品性・耐油性が優れ、かつ成形加工が容易になる点から、含フッ素エチレン性重合体として、つぎの(1)〜(5)が特に好ましいものとして例示できるが、これらに限定されるものではなく、目的用途に応じて使用すればよい。
(1)TFEとエチレンからなるエチレン−TFE共重合体(以下、ETFEともいう)
(2)TFEと式(1):
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は−CF3および/または−ORf 2;Rf 2は炭素原子数1〜5のパーフルオロアルキル基)
で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなるTFE−PAVE共重合体(PFA)またはTFE−HFP共重合体(FEP)
(3)TFE、エチレンおよび前記式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなるエチレン−TFE−HFP共重合体、エチレン−TFE−パーフルオロエチレン性不飽和化合物共重合体
(4)ポリフッ化ビニリデン(PVDF)
(5)CTFE、TFEおよび前記式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなるCTFE−TFE−パーフルオロエチレン性不飽和化合物共重合体
のいずれかであることが好ましく、(1)、(2)、(5)で表される含フッ素エチレン性重合体であることが好ましい。
つぎに(1)、(2)、(5)の好ましい含フッ素エチレン性重合体についてより具体的に説明する。
(1)ETFE
ETFEの場合、前記の作用効果に加えて、力学物性や燃料バリア性が発現する点で好ましい。TFE単位とエチレン単位との含有モル比は20:80〜90:10が好ましく、38:62〜85:15がより好ましく、37:63〜80:20が特に好ましい。また、第3成分を含有していてもよく、第3成分としてはTFEおよびエチレンと共重合可能なものであればその種類は限定されない。第3成分としては、通常、式
CH2=CX4f 5、CF2=CFRf 5、CF2=CFORf 5、CH2=C(Rf 52
(式中、X4は水素原子またはフッ素原子、Rf 5はエーテル結合性酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基を表す)
で示されるモノマーが用いられ、これらの中でも、CH2=CX4f 5で示される含フッ素ビニルモノマーがより好ましく、Rf 5の炭素数が1〜8のモノマーが特に好ましい。
前記式で示される含フッ素ビニルモノマーの具体例としては、1,1−ジヒドロパーフルオロプロペン−1、1,1−ジヒドロパーフルオロブテン−1、1,1,5−トリヒドロパーフルオロペンテン−1、1,1,7−トリヒドロパーフルオロへプテン−1、1,1,2−トリヒドロパーフルオロヘキセン−1、1,1,2−トリヒドロパーフルオロオクテン−1、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルビニルエーテル、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、ヘキサフルオロプロペン、パーフルオロブテン−1、3,3,3−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロペン−1、2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン(CH2=CFCF2CF2CF2H)があげられる。
第3成分の含有量は、含フッ素エチレン性重合体に対して0.1〜10モル%が好ましく、0.1〜5モル%がより好ましく、0.2〜4モル%が特に好ましい。
(2)PFAまたはFEP
PFAまたはFEPの場合、前記の作用効果においてとりわけ耐熱性が優れたものとなり、また前記の作用効果に加えて優れた燃料バリア性が発現する点で好ましい。特に限定されないが、TFE単位70〜99モル%と式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物単位1〜30モル%からなる共重合体であることが好ましく、TFE単位80〜97モル%と式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物単位3〜20モル%からなる共重合体であることがより好ましい。TFE単位が70モル%未満では機械物性が低下する傾向があり、99モル%をこえると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。また、TFEおよび式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなる含フッ素エチレン性重合体は、第3成分を含有していてもよく、第3成分としてはTFEおよび式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物と共重合可能なものであればその種類は限定されない。
(5)CTFE−TFE共重合体
CTFE−TFE共重合体の場合、CTFE単位とTFE単位の含有モル比は、CTFE:TFE=2:98〜98:2であることが好ましく、5:95〜90:10であることがより好ましい。CTFE単位が2モル%未満であると薬液透過性が悪化しまた溶融加工が困難になる傾向があり、98モル%をこえると成型時の耐熱性、耐薬品性が悪化する場合がある。また、パーフルオロエチレン性不飽和化合物を共重合することが好ましく、CTFE単位とTFE単位の合計に対して、パーフルオロエチレン性不飽和化合物単位は0.1〜10モル%であり、CTFE単位およびTFE単位は合計で90〜99.9モル%であることが好ましい。パーフルオロエチレン性不飽和化合物単位が0.1モル%未満であると成形性、耐環境応力割れ性および耐ストレスクラック性に劣りやすく、10モル%をこえると薬液低透過性、耐熱性、機械特性、生産性などに劣る傾向にある。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D1)と合成樹脂(E)、特にフッ素樹脂との混合割合は質量比((D1)/(E))で、0.1/99.9〜25/75、さらには0.5/99.5〜25/75、特に1/99〜20/80が好ましい。架橋含フッ素エラストマー微粒子(D1)の割合が多すぎると組成物の破断強度が低下しすぎたり、燃料バリア性が悪くなり、好ましくない。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D1)とフッ素樹脂との組成物は、燃料ホース、動的シール材、軟質樹脂として優れた性能を発揮する。
燃料ホース用の組成物を調製する場合、フッ素樹脂としてFEP、PFA、ETFEを用いることが好ましく、この場合、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D1)/フッ素樹脂の質量比は、0.1/99.9〜25/75、さらには0.5/99.5〜25/75、特に1/99〜20/80とすることが、燃料バリア性が特に向上する点から好ましい。
動的シール材用の組成物を調製する場合、フッ素樹脂としてFEP、PFA、ETFEを用いることが好ましく、この場合、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D1)/フッ素樹脂の質量比は、0.1/99.9〜25/75、さらには0.5/99.5〜25/75、より好ましくは1/99〜25/75、特に5/95〜20/80とすることが、柔軟性とシール性が良好な点から好ましい。
軟質樹脂用の組成物を調製する場合、フッ素樹脂としてFEP、PFA、ETFEを用いることが好ましく、この場合、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D1)/フッ素樹脂の質量比は、0.1/99.9〜25/75、さらには0.5/99.5〜25/75、より好ましくは1/99〜25/75、特に5/95〜20/80とすることが、低弾性率の点から好ましい。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D1)と合成樹脂(E)との組成物の調製は、バンバリーミキサーや回転撹拌装置などの混合機によるドライブレンド法で行ってもよいし、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D1)の水性分散液(架橋後の水性分散液)と合成樹脂(E)微粒子の水性分散液とを混合し、共凝析法により均一な組成物を調製してもよい。
第1の発明において、とくに高純度かつ非汚染性が要求されない分野では、必要に応じて樹脂組成物に配合される通常の添加物、例えば充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤、などを配合することができ、常用の架橋剤や架橋助剤を1種またはそれ以上配合してもよい。
つぎに第2の発明について説明する。
第2の発明は、ポリマー1分子あたり末端にヨウ素原子を少なくとも3個含む含フッ素エラストマー(a2)の粒子(A2)を架橋して得られる架橋含フッ素エラストマー微粒子(D2)に関する。
含フッ素エラストマー(a2)がポリマー1分子あたり末端にヨウ素原子を少なくとも3個含むことにより、このヨウ素末端が架橋点となり、架橋密度の高い架橋含フッ素エラストマー微粒子が得られるほか、パーオキサイド架橋が可能になる。ヨウ素原子の結合位置はポリマー主鎖の末端でも側鎖の末端、もちろん両者でもよい。
ヨウ素末端の個数は、ポリマー1分子あたり3個以上であればよく、好ましくは4個以上である。
ポリマー1分子あたり末端にヨウ素原子を少なくとも3個含む含フッ素エラストマー(a2)は、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライドおよび式(1):
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は−CF3または−ORf 2(Rf 2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基))で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含むことが、ゴム弾性体としての性質をもつ粒子が得られる点から好ましい。
フッ素ゴムとしてはまた、非パーフルオロフッ素ゴム(a2−1)およびパーフルオロフッ素ゴム(a2−2)が好ましい。
非パーフルオロフッ素ゴム(a2−1)としては、ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム、フルオロシリコーン系フッ素ゴム、またはフルオロホスファゼン系フッ素ゴムなどが挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または本発明の効果を損なわない範囲で任意に組合わせて用いることができる。これらの中でも、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴムや、テトラフルオロエチレン/プロピレン系フッ素ゴムがより好適である。
具体的には、上記VdF系ゴムは、VdF繰り返し単位が、VdF繰り返し単位と上記VdF系エラストマーにおけるその他の共単量体に由来する繰り返し単位との合計モル数の20モル%以上、90モル%以下が好ましく、40モル%以上、85モル%以下であることがより好ましい。さらに好ましい下限は45モル%、特に好ましい下限は50モル%であり、さらに好ましい上限は80モル%である。
そして、上記VdF系ゴムにおけるその他の単量体としてはVdFと共重合可能であれば特に限定されず、たとえば、TFE、HFP、PAVE、CTFE、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、フッ化ビニル、ヨウ素含有フッ素化ビニルエーテルなどのフッ素含有単量体;エチレン(Et)、プロピレン(Pr)、アルキルビニルエーテル等のフッ素非含有単量体などがあげられ、これらのフッ素含有単量体およびフッ素非含有単量体のなかから1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。前記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)が好ましく、特にパーフルオロ(メチルビニルエーテル)が好ましい。
上記VdF系ゴムとしては、VdF/HFP共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/CTFE共重合体、VdF/CTFE/TFE共重合体、VdF/PAVE共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、VdF/HFP/PAVE共重合体、VdF/HFP/TFE/PAVE共重合体、VdF/TFE/Pr共重合体、またはVdF/Et/HFP共重合体が好ましく、また、その他の単量体として、TFE、HFP、および/またはPAVEを有するものであることがより好ましく、特には、VdF/HFP共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/PAVE共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、VdF/HFP/PAVE共重合体、またはVdF/HFP/TFE/PAVE共重合が好ましい。
VdF/HFP共重合体は、VdF/HFPの組成が、45〜85/55〜15(モル%)であることが好ましく、より好ましくは50〜80/50〜20(モル%)であり、さらに好ましくは60〜80/40〜20(モル%)である。
VdF/HFP/TFE共重合体は、VdF/HFP/TFEの組成が40〜80/10〜35/10〜25(モル%)のものが好ましい。
VdF/PAVE共重合体としては、VdF/PAVEの組成が65〜90/10〜35(モル%)のものが好ましい。
VdF/TFE/PAVE共重合体としては、VdF/TFE/PAVEの組成が40〜80/3〜40/15〜35(モル%)のものが好ましい。
VdF/HFP/PAVE共重合体としては、VdF/HFP/PAVEの組成が65〜90/3〜25/3〜25(モル%)のものが好ましい。
VdF/HFP/TFE/PAVE共重合体としては、VdF/HFP/TFE/PAVEの組成が40〜90/0〜25/0〜40/3〜35(モル%)のものが好ましく、40〜80/3〜25/3〜40/3〜25(モル%)のものがより好ましい。
テトラフルオロエチレン/プロピレン系フッ素ゴムとは、テトラフルオロエチレン45〜70モル%、プロピレン55〜30モル%からなる含フッ素共重合体をいう。これら2成分に加えて、特定の第3成分(たとえばPAVE)を0〜40モル%含んでいてもよい。
パーフルオロフッ素ゴム(a2−2)としては、TFE/PAVEからなるものなどが挙げられる。TFE/PAVEの組成は、50〜90/50〜10モル%であることが好ましく、より好ましくは、50〜80/50〜20モル%であり、さらに好ましくは、55〜70/45〜30モル%である。
この場合のPAVEとしては、例えばパーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)などが挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。
含フッ素エラストマー(a2)はパーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムが好ましく、具体的には、含フッ素エラストマー(a2)中に0.01〜10質量%のヨウ素原子を含むことが好ましく、0.05〜2質量%含むことがより好ましい。含有量が、0.01質量%未満であると架橋が不充分となり、圧縮永久歪みが悪化する傾向があり、10質量%をこえると架橋密度が高すぎ、伸びが小さすぎるなど、ゴムとしての性能が悪化する傾向がある。
含フッ素エラストマー(a2)のうちヨウ素原子を含むものとしては、前述した非パーフルオロフッ素ゴム(a2−1)やパーフルオロフッ素ゴム(a2−2)が、さらに特定のヨウ素原子含有単量体(パーオキサイド架橋可能な架橋部位を与える単量体ということがある)に由来する繰り返し単位を含むものや、後述するヨウ素移動重合により重合されたものが例示される。
特定のヨウ素原子含有単量体としては、式(3b):
CY1 2=CY2f 11 (3b)
(式中、Y1、Y2はフッ素原子、水素原子または−CH3;Rf 1はエーテル結合性酸素原子を有していてもよい直鎖状もしくは分岐鎖状のフルオロまたはパーフルオロアルキレン基;X1はヨウ素原子)
で示される化合物が例示され、たとえば、式(4b):
CY1 2=CY2f 3CHR1−X1 (4b)
(式中、Y1、Y2、X1は式(3b)と同様であり、Rf 3は1個以上のエーテル型酸素原子を有していてもよい直鎖状もしくは分岐鎖状のフルオロまたはパーフルオロアルキレン基、フルオロもしくはパーフルオロオキシアルキレン基、またはパーフルオロポリオキシアルキレン基;R1は水素原子またはメチル基)
で示されるヨウ素含有単量体、式(5b)〜(22b):
CY4 2=CY4(CF2n−X1 (5b)
(式中、Y4は水素原子またはフッ素原子、nは1〜8の整数)
CF2=CFCF2f 4−X1 (6b)
(式中、
Figure 0005278315
であり、nは0〜5の整数)
CF2=CFCF2(OCF(CF3)CF2m
(OCH2CF2CF2nOCH2CF2−X1 (7b)
(式中、mは0〜5の整数、nは0〜5の整数)
CF2=CFCF2(OCH2CF2CF2m
(OCF(CF3)CF2nOCF(CF3)−X1 (8b)
(式中、mは0〜5の整数、nは0〜5の整数)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))mO(CF2n−X1 (9b)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜8の整数)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))m−X1 (10b)
(式中、mは1〜5の整数)
CF2=CFOCF2(CF(CF3)OCF2nCF(−X1)CF3 (11b)
(式中、nは1〜4の整数)
CF2=CFO(CF2nOCF(CF3)−X1 (12b)
(式中、nは2〜5の整数)
CF2=CFO(CF2n−(C64)−X1 (13b)
(式中、nは1〜6の整数)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))nOCF2CF(CF3)−X1 (14b)
(式中、nは1〜2の整数)
CH2=CFCF2O(CF(CF3)CF2O)nCF(CF3)−X1 (15b)
(式中、nは0〜5の整数)、
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2n−X1 (16b)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数)
CH2=CFCF2OCF(CF3)OCF(CF3)−X1 (17b)
CH2=CFCF2OCH2CF2−X1 (18b)
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)mCF2CF(CF3)−X1 (19b)
(式中、mは0以上の整数)
CF2=CFOCF(CF3)CF2O(CF2n−X1 (20b)
(式中、nは1以上の整数)
CF2=CFOCF2OCF2CF(CF3)OCF2−X1 (21b)
CH2=CH−(CF2n1 (22b)
(式中、nは2〜8の整数)
(式(5b)〜(22b)中、X1はヨウ素原子である)
で表されるヨウ素含有単量体などがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。
式(4b)で示されるヨウ素含有単量体としては、式(23):
Figure 0005278315
(式中、mは1〜5の整数、nは0〜3の整数)
で表されるヨウ素含有含フッ素化ビニルエーテルが好ましくあげられ、より具体的には、
Figure 0005278315
などがあげられるが、これらの中でも、ICH2CF2CF2OCF=CF2が好ましい。
式(5b)で示されるヨウ素含有単量体としてより具体的には、ICF2CF2CF=CH2、I(CF2CF22CF=CH2が好ましくあげられる。
式(9b)で示されるヨウ素含有単量体としてより具体的には、I(CF2CF22OCF=CF2が好ましくあげられる。
式(22b)で示されるヨウ素含有単量体としてより具体的には、CH2=CHCF2CF2I、I(CF2CF22CH=CH2が好ましくあげられる。
また、前記式(4b)〜(22b)で示される化合物のX1が、シアノ基(−CN基)、カルボキシル基(−COOH基)またはアルコキシカルボニル基(−COOR基、Rは炭素数1〜10のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基)である単量体を、一般式(1)で示される化合物と共に用いてもよい。
これらヨウ素原子含有単量体に由来する構造単位を含む場合、その含有量は、その他の共単量体に由来する繰り返し単位との合計モル数の2モル%以上、10モル%以下が好ましい。
ヨウ素移動重合法は、たとえば、実質的に無酸素下で、水媒体中で、ヨウ素化合物、好ましくはジヨウ素化合物の存在下に、前記の含フッ素エラストマー(a2)を構成する単量体と、ICH2CF2CF2OCF=CF2などのヨウ素末端形成用の単量体、さらに要すればヨウ素以外のパーオキサイド架橋可能な架橋部位を与える単量体を加圧下で撹拌しながらラジカル開始剤の存在下、乳化重合を行う方法が挙げられる。使用するジヨウ素化合物の代表例としては、たとえば式(2b):
IR2I (2b)
(式中、R2は炭素数1〜16の飽和もしくは不飽和のフルオロ炭化水素基またはクロロフルオロ炭化水素基、または炭素数1〜3の炭化水素基であり、酸素原子を含んでいてもよい2価の基)で表される化合物が挙げられる。このようにして導入されるヨウ素原子がパーオキサイド架橋可能な架橋点として機能する。
式(2b)で表される化合物としては、たとえば1,3−ジヨードパーフルオロプロパン、1,3−ジヨード−2−クロロパーフルオロプロパン、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,5−ジヨード−2,4−ジクロロパーフルオロペンタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、1,8−ジヨードパーフルオロオクタン、1,12−ジヨードパーフルオロドデカン、1,16−ジヨードパーフルオロヘキサデカン、ジヨードメタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジヨード−n−プロパン、ベンゼンのジヨードモノブロモ置換体などが挙げられ、これらの化合物は、単独で使用してもよく、相互に組み合せて使用することもできる。
これらのなかでも、重合反応性、架橋反応性、入手容易性などの点から、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、ジヨードメタンなどを用いるのが好ましい。
ジヨウ素化合物の添加量は、含フッ素エラストマー(a2)がフッ素ゴムの場合、フッ素ゴム全重量に対して、0.0001〜5質量%であることが好ましい。
含フッ素エラストマー粒子(A2)を構成する含フッ素エラストマー(a2)のフッ素含有率は使用目的などによって適宜選定してもよいが、65質量%以上、さらには70質量%以上であることが、合成樹脂、特にフッ素樹脂に配合する場合フッ素樹脂との複合分散性の向上の点から好ましい。
含フッ素エラストマー(a2)に、そのポリマー1分子あたり末端にヨウ素原子を少なくとも3個導入する方法としては、たとえばつぎの方法が挙げられる。
なお、含フッ素エラストマー(a2)の末端ヨウ素原子の個数は、使用するヨウ素含有化合物(たとえば重合開始剤、連鎖移動剤、含フッ素エラストマーを構成する単量体など)の反応スキームと反応量(消費量)などから計算により算出できる。また、生成エラストマーの分子量測定、元素分析、NMR測定などからも算出できる。
(I)パーオキサイド架橋可能なヨウ素末端を与える単量体を共重合する方法
この方法の具体的な条件や反応物質については、たとえば特願平11−244653号公報などの記載が参照できる。
特に、本発明においては以下の反応物質が好適である。
単量体:パーオキサイド架橋可能なヨウ素末端を与える単量体としては、例えば式(24):
CX5 2=CX1−Rf 1CHR1I (24)
(式中、X5は、H、FまたはCH3;Rf 1は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基またはパーフルオロポリオキシアルキレン基;R1は、HまたはCH3)で表されるヨウ素含有単量体などが挙げられる。そのほか、特公平5−63482号公報、特開平7−316234号公報に記載されているようなパーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン)やパーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)などのヨウ素含有単量体なども挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組み合わせて用いることができる。
含フッ素エラストマー粒子(A2)の架橋反応は、第6の発明で後述するパーオキサイド架橋のほか、通常のパーオキサイド架橋、さらには紫外線や放射線などの活性エネルギー線を常温で照射することによって開始させてもよく、この場合は、架橋助剤、増感剤などを共存させてもよい。
またパーオキサイド架橋反応と活性エネルギー線架橋反応とを併用したものであってもよい。なお、活性エネルギー線架橋反応を必須とする形態、すなわち、含フッ素エラストマー粒子(A2)と多官能不飽和化合物とを含む水性分散液に活性エネルギー線を常温で照射することによって該含フッ素エラストマー粒子(A2)を活性エネルギー線架橋する架橋含フッ素エラストマー微粒子の製造法もまた好適な形態の1つである。
そのほか、次のような架橋の実施形態も採用可能である。
(i)重合中に2つ以上のエチレン性不飽和基をもつ単量体を加えることにより、重合中に架橋を進行させる方法。
(ii)ビスフェノールAF、受酸剤、オニウム塩などによりポリオール架橋させる方法。
(iii)アミン系架橋剤、受酸剤などによりアミン架橋させる方法。
架橋反応終了後、得られた架橋含フッ素エラストマー微粒子(D2)は、凍結凝析法、塩析法、酸凝析法などの方法で分離回収することができる。なかでも、凝析後の粒子形状が良好な点から凍結凝析法が好ましい。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D2)の平均粒子径は、合成樹脂(E)、特にフッ素樹脂との複合分散性の向上と物性向上の点から0.01〜0.5μmであることが好ましい。さらに好ましくは0.3μm以下、特に0.2μm以下であり、また0.05μm以上、特に0.1μm以上が好ましい。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D2)のフッ素含有率は、65質量%以上、さらには70質量%以上であることが合成樹脂(E)としてフッ素樹脂を用いる場合フッ素樹脂との複合分散性の向上の点から好ましい。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D2)は、たとえば第3の発明で後述するように、合成樹脂との組成物とし、低弾性率、柔軟性、燃料バリア性などの特性を向上させ、燃料ホース、動的シール材、軟質樹脂などとして有用な材料を提供できる。
本発明の第3の発明は、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D2)と合成樹脂(E)とからなる組成物に関する。
合成樹脂(E)としては、例えば硬化性樹脂であってもよいが、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D2)のエラストマーとしての特性を活かせる点から熱可塑性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミドなどが挙げられる。
フッ素樹脂としては、特に限定されるものではないが、少なくとも1種の含フッ素エチレン性重合体を含むフッ素樹脂であることが好ましい。含フッ素エチレン性重合体は少なくとも1種の含フッ素エチレン性単量体由来の構造単位を有することが好ましい。前記含フッ素エチレン性単量体としては、テトラフルオロエチレン(TFE)、式(1):
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は、−CF3および/または−ORf 2を表す。Rf 2は、炭素原子数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)
で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物などのパーフルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル、式:
CH2=CX2(CF2n3
(式中、X2は、水素原子またはフッ素原子を表し、X3は、水素原子、フッ素原子または塩素原子を表し、nは、1〜10の整数を表す。)
などのフルオロオレフィンなどをあげることができる。
そして、含フッ素エチレン性重合体は前記含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体由来の構造単位を有してもよく、このような単量体としては、前記フルオロオレフィン、パーフルオロオレフィン以外の非フッ素エチレン性単量体をあげることができる。非フッ素エチレン性単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、またはアルキルビニルエーテル類などをあげることができる。ここで、アルキルビニルエーテルは、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルビニルエーテルをいう。
これらの中でも、得られるフッ素樹脂組成物の耐熱性・耐薬品性・耐油性が優れ、かつ成形加工が容易になる点から、含フッ素エチレン性重合体として、つぎの(1)〜(5)が特に好ましいものとして例示できるが、これらに限定されるものではなく、目的用途に応じて使用すればよい。
(1)TFEとエチレンからなるエチレン−TFE共重合体(以下、ETFEともいう)
(2)TFEと式(1):
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は−CF3および/または−ORf 2;Rf 2は炭素原子数1〜5のパーフルオロアルキル基)
で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなるTFE−PAVE共重合体(PFA)またはTFE−HFP共重合体(FEP)
(3)TFE、エチレンおよび前記式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなるエチレン−TFE−HFP共重合体、エチレン−TFE−パーフルオロエチレン性不飽和化合物共重合体
(4)ポリフッ化ビニリデン(PVDF)
(5)CTFE、TFEおよび前記式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなるCTFE−TFE−パーフルオロエチレン性不飽和化合物共重合体
のいずれかであることが好ましく、(1)、(2)、(5)で表される含フッ素エチレン性重合体であることが好ましい。
つぎに(1)、(2)、(5)の好ましい含フッ素エチレン性重合体についてより具体的に説明する。
(1)ETFE
ETFEの場合、前記の作用効果に加えて、力学物性や燃料バリア性が発現する点で好ましい。TFE単位とエチレン単位との含有モル比は20:80〜90:10が好ましく、38:62〜85:15がより好ましく、37:63〜80:20が特に好ましい。また、第3成分を含有していてもよく、第3成分としてはTFEおよびエチレンと共重合可能なものであればその種類は限定されない。第3成分としては、通常、式
CH2=CX4f 5、CF2=CFRf 5、CF2=CFORf 5、CH2=C(Rf 52
(式中、X4は水素原子またはフッ素原子、Rf 5はエーテル結合性酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基を表す)
で示されるモノマーが用いられ、これらの中でも、CH2=CX4f 5で示される含フッ素ビニルモノマーがより好ましく、Rf 5の炭素数が1〜8のモノマーが特に好ましい。
前記式で示される含フッ素ビニルモノマーの具体例としては、1,1−ジヒドロパーフルオロプロペン−1、1,1−ジヒドロパーフルオロブテン−1、1,1,5−トリヒドロパーフルオロペンテン−1、1,1,7−トリヒドロパーフルオロへプテン−1、1,1,2−トリヒドロパーフルオロヘキセン−1、1,1,2−トリヒドロパーフルオロオクテン−1、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルビニルエーテル、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、ヘキサフルオロプロペン、パーフルオロブテン−1、3,3,3−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロペン−1、2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン(CH2=CFCF2CF2CF2H)があげられる。
第3成分の含有量は、含フッ素エチレン性重合体に対して0.1〜10モル%が好ましく、0.1〜5モル%がより好ましく、0.2〜4モル%が特に好ましい。
(2)PFAまたはFEP
PFAまたはFEPの場合、前記の作用効果においてとりわけ耐熱性が優れたものとなり、また前記の作用効果に加えて優れた燃料バリア性が発現する点で好ましい。特に限定されないが、TFE単位70〜99モル%と式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物単位1〜30モル%からなる共重合体であることが好ましく、TFE単位80〜97モル%と式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物単位3〜20モル%からなる共重合体であることがより好ましい。TFE単位が70モル%未満では機械物性が低下する傾向があり、99モル%をこえると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。また、TFEおよび式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなる含フッ素エチレン性重合体は、第3成分を含有していてもよく、第3成分としてはTFEおよび式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物と共重合可能なものであればその種類は限定されない。
(5)CTFE−TFE共重合体
CTFE−TFE共重合体の場合、CTFE単位とTFE単位の含有モル比は、CTFE:TFE=2:98〜98:2であることが好ましく、5:95〜90:10であることがより好ましい。CTFE単位が2モル%未満であると薬液透過性が悪化しまた溶融加工が困難になる傾向があり、98モル%をこえると成型時の耐熱性、耐薬品性が悪化する場合がある。また、パーフルオロエチレン性不飽和化合物を共重合することが好ましく、CTFE単位とTFE単位の合計に対して、パーフルオロエチレン性不飽和化合物単位は0.1〜10モル%であり、CTFE単位およびTFE単位は合計で90〜99.9モル%であることが好ましい。パーフルオロエチレン性不飽和化合物単位が0.1モル%未満であると成形性、耐環境応力割れ性および耐ストレスクラック性に劣りやすく、10モル%をこえると薬液低透過性、耐熱性、機械特性、生産性などに劣る傾向にある。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D2)と合成樹脂(E)、特にフッ素樹脂との混合割合は質量比((D2)/(E))で、0.1/99.9〜25/75、さらには0.5/99.5〜25/75、特に1/99〜20/80が好ましい。架橋含フッ素エラストマー微粒子(D2)の割合が多すぎると組成物の破断強度が低下しすぎたり、燃料バリア性が悪くなり、好ましくない。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D2)とフッ素樹脂との組成物は、燃料ホース、動的シール材、軟質樹脂として優れた性能を発揮する。
燃料ホース用の組成物を調製する場合、フッ素樹脂としてFEP、PFA、ETFEを用いることが好ましく、この場合、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D2)/フッ素樹脂の質量比は、0.1/99.9〜25/75、さらには0.5/99.5〜25/75、特に1/99〜20/80とすることが、燃料バリア性が特に向上する点から好ましい。
動的シール材用の組成物を調製する場合、フッ素樹脂としてFEP、PFA、ETFEを用いることが好ましく、この場合、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D2)/フッ素樹脂の質量比は、0.1/99.9〜25/75、さらには0.5/99.5〜25/75、より好ましくは1/99〜25/75、特に5/95〜20/80とすることが、柔軟性とシール性が良好な点から好ましい。
軟質樹脂用の組成物を調製する場合、フッ素樹脂としてFEP、PFA、ETFEを用いることが好ましく、この場合、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D2)/フッ素樹脂の質量比は、0.1/99.9〜25/75、さらには0.5/99.5〜25/75、より好ましくは1/99〜25/75、特に5/95〜20/80とすることが、低弾性率の点から好ましい。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D2)と合成樹脂(E)との組成物の調製は、バンバリーミキサーや回転撹拌装置などの混合機によるドライブレンド法で行ってもよいし、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D2)の水性分散液(架橋後の水性分散液)と合成樹脂(E)微粒子の水性分散液とを混合し、共凝析法により均一な組成物を調製してもよい。これらのなかでは、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D2)の分散性が良好であることから、特に共凝析法が好ましい。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D2)は用途や合成樹脂(E)などに応じて、粉体の形態でも、水性分散液の状態で配合してもよい。
第3の発明において、とくに高純度かつ非汚染性が要求されない分野では、必要に応じて樹脂組成物に配合される通常の添加物、例えば充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤、などを配合することができ、常用の架橋剤や架橋助剤を1種またはそれ以上配合してもよい。
本発明の第4の発明は、少なくとも1種のフルオロオレフィンを含むエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位と、式(3c):
CY1 2=CY2f 11 (3c)
(式中、Y1、Y2はフッ素原子、水素原子または−CH3;Rf 1はエーテル結合性酸素原子を有していてもよい直鎖状または分岐状のフルオロもしくはパーフルオロアルキレン基;X1はヨウ素原子または臭素原子である)で示されるヨウ素原子または臭素原子含有単量体に由来する構造単位を含む含フッ素エラストマー(a3)の粒子(A3)が架橋されてなる架橋含フッ素エラストマー微粒子(D3)に関する。
式(3c)で示されるヨウ素原子または臭素原子含有単量体としては、たとえば、式(4c):
CY1 2=CY2f 3CHR1−X1 (4c)
(式中、Y1、Y2、X1は式(3a)と同様であり、Rf 3は1個以上のエーテル型酸素原子を有していてもよい直鎖状もしくは分岐鎖状のフルオロまたはパーフルオロアルキレン基、フルオロもしくはパーフルオロオキシアルキレン基、またはパーフルオロポリオキシアルキレン基;R1は水素原子またはメチル基)
で示されるヨウ素含有単量体、臭素含有単量体、式(5c)〜(22c):
CY4 2=CY4(CF2n−X1 (5c)
(式中、Y4は水素原子またはフッ素原子、nは1〜8の整数)
CF2=CFCF2f 4−X1 (6c)
(式中、
Figure 0005278315
であり、nは0〜5の整数)
CF2=CFCF2(OCF(CF3)CF2m
(OCH2CF2CF2nOCH2CF2−X1 (7c)
(式中、mは0〜5の整数、nは0〜5の整数)
CF2=CFCF2(OCH2CF2CF2m
(OCF(CF3)CF2nOCF(CF3)−X1 (8c)
(式中、mは0〜5の整数、nは0〜5の整数)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))mO(CF2n−X1 (9c)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜8の整数)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))m−X1 (10c)
(式中、mは1〜5の整数)
CF2=CFOCF2(CF(CF3)OCF2nCF(−X1)CF3 (11c)
(式中、nは1〜4の整数)
CF2=CFO(CF2nOCF(CF3)−X1 (12c)
(式中、nは2〜5の整数)
CF2=CFO(CF2n−(C64)−X1 (13c)
(式中、nは1〜6の整数)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))nOCF2CF(CF3)−X1 (14c)
(式中、nは1〜2の整数)
CH2=CFCF2O(CF(CF3)CF2O)nCF(CF3)−X1 (15c)
(式中、nは0〜5の整数)、
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2n−X1 (16c)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数)
CH2=CFCF2OCF(CF3)OCF(CF3)−X1 (17c)
CH2=CFCF2OCH2CF2−X1 (18c)
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)mCF2CF(CF3)−X1 (19c)
(式中、mは0以上の整数)
CF2=CFOCF(CF3)CF2O(CF2n−X1 (20c)
(式中、nは1以上の整数)
CF2=CFOCF2OCF2CF(CF3)OCF2−X1 (21c)
CH2=CH−(CF2n1 (22c)
(式中、nは2〜8の整数)
(式(5c)〜(22c)中、X1は、式(3c)と同様である)
で表されるヨウ素含有単量体、臭素含有単量体などがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。
式(4c)で示されるヨウ素または臭素含有単量体としては、式(23):
Figure 0005278315
(式中、mは1〜5の整数、nは0〜3の整数)
で表されるヨウ素含有含フッ素化ビニルエーテルが好ましくあげられ、より具体的には、
Figure 0005278315
などがあげられるが、これらの中でも、ICH2CF2CF2OCF=CF2が好ましい。
式(5c)で示されるヨウ素含有単量体、臭素含有単量体としてより具体的には、ICF2CF2CF=CH2、I(CF2CF22CF=CH2が好ましくあげられる。
式(9c)で示されるヨウ素含有単量体、臭素含有単量体としてより具体的には、I(CF2CF22OCF=CF2が好ましくあげられる。
式(22c)で示されるヨウ素含有単量体、臭素含有単量体としてより具体的には、CH2=CHCF2CF2I、I(CF2CF22CH=CH2が好ましくあげられる。
また、前記式(4c)〜(22c)で示される化合物のX1が、シアノ基(−CN基)、カルボキシル基(−COOH基)またはアルコキシカルボニル基(−COOR基、Rは炭素数1〜10のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基)である単量体を、一般式(1)で示される化合物と共に用いてもよい。
これらヨウ素(臭素)原子含有単量体に由来する構造単位を含む場合、その含有量は、その他の共単量体に由来する繰り返し単位との合計モル数の2モル%以上、10モル%以下が好ましい。
前記フルオロオレフィンを含むエチレン性不飽和単量体としては、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライドおよび式(1):
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は−CF3または−ORf 2(Rf 2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基))で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含むことが、ゴム弾性体としての性質をもつ粒子が得られる点から好ましい。
含フッ素エラストマー(a3)において、式(3c)のヨウ素原子または臭素原子含有単量体に由来する構造単位以外のエラストマーとしては、架橋可能なフッ素ゴムが好適であり、フッ素ゴムとしては、非パーフルオロフッ素ゴム(a3−1)およびパーフルオロフッ素ゴム(a3−2)が好ましい。
非パーフルオロフッ素ゴム(a3−1)としては、ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム、フルオロシリコーン系フッ素ゴム、またはフルオロホスファゼン系フッ素ゴムなどが挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または本発明の効果を損なわない範囲で任意に組合わせて用いることができる。これらの中でも、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴムや、テトラフルオロエチレン/プロピレン系フッ素ゴムがより好適である。
具体的には、上記VdF系ゴムは、VdF繰り返し単位が、VdF繰り返し単位と上記VdF系エラストマーにおけるその他の共単量体に由来する繰り返し単位との合計モル数の20モル%以上、90モル%以下が好ましく、40モル%以上、85モル%以下であることがより好ましい。さらに好ましい下限は45モル%、特に好ましい下限は50モル%であり、さらに好ましい上限は80モル%である。
そして、上記VdF系ゴムにおけるその他の単量体としてはVdFと共重合可能であれば特に限定されず、たとえば、TFE、HFP、PAVE、CTFE、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、フッ化ビニル、ヨウ素含有フッ素化ビニルエーテルなどのフッ素含有単量体;エチレン(Et)、プロピレン(Pr)、アルキルビニルエーテル等のフッ素非含有単量体などがあげられ、これらのフッ素含有単量体およびフッ素非含有単量体のなかから1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。前記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)が好ましく、特にパーフルオロ(メチルビニルエーテル)が好ましい。
上記VdF系ゴムとしては、VdF/HFP共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/CTFE共重合体、VdF/CTFE/TFE共重合体、VdF/PAVE共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、VdF/HFP/PAVE共重合体、VdF/HFP/TFE/PAVE共重合体、VdF/TFE/Pr共重合体、またはVdF/Et/HFP共重合体が好ましく、また、その他の単量体として、TFE、HFP、および/またはPAVEを有するものであることがより好ましく、特には、VdF/HFP共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/PAVE共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、VdF/HFP/PAVE共重合体、またはVdF/HFP/TFE/PAVE共重合が好ましい。
VdF/HFP共重合体は、VdF/HFPの組成が、45〜85/55〜15(モル%)であることが好ましく、より好ましくは50〜80/50〜20(モル%)であり、さらに好ましくは60〜80/40〜20(モル%)である。
VdF/HFP/TFE共重合体は、VdF/HFP/TFEの組成が40〜80/10〜35/10〜25(モル%)のものが好ましい。
VdF/PAVE共重合体としては、VdF/PAVEの組成が65〜90/10〜35(モル%)のものが好ましい。
VdF/TFE/PAVE共重合体としては、VdF/TFE/PAVEの組成が40〜80/3〜40/15〜35(モル%)のものが好ましい。
VdF/HFP/PAVE共重合体としては、VdF/HFP/PAVEの組成が65〜90/3〜25/3〜25(モル%)のものが好ましい。
VdF/HFP/TFE/PAVE共重合体としては、VdF/HFP/TFE/PAVEの組成が40〜90/0〜25/0〜40/3〜35(モル%)のものが好ましく、40〜80/3〜25/3〜40/3〜25(モル%)のものがより好ましい。
テトラフルオロエチレン/プロピレン系フッ素ゴムとは、テトラフルオロエチレン45〜70モル%、プロピレン55〜30モル%からなる含フッ素共重合体をいう。これら2成分に加えて、特定の第3成分(たとえばPAVE)を0〜40モル%含んでいてもよい。
パーフルオロフッ素ゴム(a3−2)としては、TFE/PAVEからなるものなどが挙げられる。TFE/PAVEの組成は、50〜90/50〜10モル%であることが好ましく、より好ましくは、50〜80/50〜20モル%であり、さらに好ましくは、55〜70/45〜30モル%である。
この場合のPAVEとしては、例えばパーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)などが挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。
含フッ素エラストマー(a3)はパーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムが好ましく、具体的には、含フッ素エラストマー(a3)中に0.01〜10質量%のヨウ素原子および/または臭素原子(好ましくはヨウ素原子)を含むことが好ましく、0.05〜2質量%含むことがより好ましい。含有量が、0.01質量%未満であると架橋が不充分となり、圧縮永久歪みが悪化する傾向があり、10質量%をこえると架橋密度が高すぎ、伸びが小さすぎるなど、ゴムとしての性能が悪化する傾向がある。
含フッ素エラストマー(a3)の製造方法としては、前述した非パーフルオロフッ素ゴム(a3−1)やパーフルオロフッ素ゴム(a3−2)を与える単量体と式(3c)のヨウ素(臭素)原子含有単量体(パーオキサイド架橋可能な架橋部位を与える単量体ということがある)を共重合する方法や、これらの単量体を用いて後述するヨウ素(臭素)移動重合により重合する方法が例示される。
ヨウ素(臭素)移動重合は、たとえば、実質的に無酸素下で、水媒体中で、ヨウ素化合物、好ましくはジヨウ素化合物の存在下に、前記の含フッ素エラストマー(a3)を構成する単量体と要すればパーオキサイド架橋可能な架橋部位を与える単量体を加圧下で撹拌しながらラジカル開始剤の存在下、乳化重合を行う方法が挙げられる。使用するジヨウ素化合物の代表例としては、たとえば式(2c):
2xBry (2c)
(式中、xおよびyはそれぞれ0〜2の整数であり、かつ1≦x+y≦2を満たすものであり、R2は炭素数1〜16の飽和もしくは不飽和のフルオロ炭化水素基またはクロロフルオロ炭化水素基、または炭素数1〜3の炭化水素基であり、酸素原子を含んでいてもよい)で表される化合物が挙げられる。このようにして導入されるヨウ素原子または臭素原子がパーオキサイド架橋可能な架橋点として機能する。
式(2c)で表される化合物としては、たとえば1,3−ジヨードパーフルオロプロパン、1,3−ジヨード−2−クロロパーフルオロプロパン、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,5−ジヨード−2,4−ジクロロパーフルオロペンタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、1,8−ジヨードパーフルオロオクタン、1,12−ジヨードパーフルオロドデカン、1,16−ジヨードパーフルオロヘキサデカン、ジヨードメタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジヨード−n−プロパン、CF2Br2、BrCF2CF2Br、CF3CFBrCF2Br、CFClBr2、BrCF2CFClBr、CFBrClCFClBr、BrCF2CF2CF2Br、BrCF2CFBrOCF3、1−ブロモ−2−ヨードパーフルオロエタン、1−ブロモ−3−ヨードパーフルオロプロパン、1−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブタン、2−ブロモ−3−ヨードパーフルオロブタン、3−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、2−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、ベンゼンのモノヨードモノブロモ置換体、ジヨードモノブロモ置換体、ならびに(2−ヨードエチル)および(2−ブロモエチル)置換体などが挙げられ、これらの化合物は、単独で使用してもよく、相互に組み合せて使用することもできる。
これらのなかでも、重合反応性、架橋反応性、入手容易性などの点から、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、ジヨードメタンなどを用いるのが好ましい。
ジヨウ素化合物の添加量は、含フッ素エラストマー(a3)がフッ素ゴムの場合、フッ素ゴム全重量に対して、0.0001〜5質量%であることが好ましい。
含フッ素エラストマー粒子(A3)を構成する含フッ素エラストマー(a3)のフッ素含有率は使用目的などによって適宜選定してもよいが、65質量%以上、さらには70質量%以上であることが合成樹脂(E)としてフッ素樹脂を用いる場合フッ素樹脂との複合分散性の向上の点から好ましい。また、パーオキサイド架橋を効率的に進める観点からは、ポリマー1分子あたり末端にヨウ素原子を含む、特に好ましくは少なくとも3個含む含フッ素エラストマーが好ましい。
含フッ素エラストマー粒子(A3)の架橋反応は、第6の発明で後述するパーオキサイド架橋のほか、通常のパーオキサイド架橋、さらには紫外線や放射線などの活性エネルギー線を常温で照射することによって開始させてもよく、この場合は、架橋助剤、増感剤などを共存させてもよい。
またパーオキサイド架橋反応と活性エネルギー線架橋反応とを併用したものであってもよい。なお、活性エネルギー線架橋反応を必須とする形態、すなわち、含フッ素エラストマー粒子(A3)と多官能不飽和化合物とを含む水性分散液に活性エネルギー線を常温で照射することによって該含フッ素エラストマー粒子(A3)を活性エネルギー線架橋する架橋含フッ素エラストマー微粒子の製造法もまた好適な形態の1つである。
そのほか、次のような架橋の実施形態も採用可能である。
(i)重合中に2つ以上のエチレン性不飽和基をもつ単量体を加えることにより、重合中に架橋を進行させる方法。
(ii)ビスフェノールAF、受酸剤、オニウム塩などによりポリオール架橋させる方法。
(iii)アミン系架橋剤、受酸剤などによりアミン架橋させる方法。
架橋反応終了後、得られた架橋含フッ素エラストマー微粒子(D3)は、凍結凝析法、塩析法、酸凝析法などの方法で分離回収することができる。なかでも、凝析後の粒子形状が良好な点から凍結凝析法が好ましい。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D3)の平均粒子径は、合成樹脂(E)、特にフッ素樹脂との複合分散性の向上と物性向上の点から0.01〜0.5μmであることが好ましい。さらに好ましくは0.3μm以下、特に0.2μm以下であり、また0.05μm以上、特に0.1μm以上が好ましい。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D3)のフッ素含有率は、65質量%以上、さらには70質量%以上であることが合成樹脂(E)としてフッ素樹脂を用いる場合フッ素樹脂との複合分散性の向上の点から好ましい。
本発明の第5の発明は、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D3)と合成樹脂(E)とからなる組成物に関する。
合成樹脂(E)としては、例えば硬化性樹脂であってもよいが、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D3)のエラストマーとしての特性を活かせる点から熱可塑性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミドなどが挙げられる。
フッ素樹脂としては、特に限定されるものではないが、少なくとも1種の含フッ素エチレン性重合体を含むフッ素樹脂であることが好ましい。含フッ素エチレン性重合体は少なくとも1種の含フッ素エチレン性単量体由来の構造単位を有することが好ましい。前記含フッ素エチレン性単量体としては、テトラフルオロエチレン(TFE)、式(1):
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は、−CF3および/または−ORf 2を表す。Rf 2は、炭素原子数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)
で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物などのパーフルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル、式:
CH2=CX2(CF2n3
(式中、X2は、水素原子またはフッ素原子を表し、X3は、水素原子、フッ素原子または塩素原子を表し、nは、1〜10の整数を表す。)
などのフルオロオレフィンなどをあげることができる。
そして、含フッ素エチレン性重合体は前記含フッ素エチレン性単量体と共重合可能な単量体由来の構造単位を有してもよく、このような単量体としては、前記フルオロオレフィン、パーフルオロオレフィン以外の非フッ素エチレン性単量体をあげることができる。非フッ素エチレン性単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、またはアルキルビニルエーテル類などをあげることができる。ここで、アルキルビニルエーテルは、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルビニルエーテルをいう。
これらの中でも、得られるフッ素樹脂組成物の耐熱性・耐薬品性・耐油性が優れ、かつ成形加工が容易になる点から、含フッ素エチレン性重合体として、つぎの(1)〜(5)が特に好ましいものとして例示できるが、これらに限定されるものではなく、目的用途に応じて使用すればよい。
(1)TFEとエチレンからなるエチレン−TFE共重合体(以下、ETFEともいう)
(2)TFEと式(1):
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は−CF3および/または−ORf 2;Rf 2は炭素原子数1〜5のパーフルオロアルキル基)
で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなるTFE−PAVE共重合体(PFA)またはTFE−HFP共重合体(FEP)
(3)TFE、エチレンおよび前記式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなるエチレン−TFE−HFP共重合体、エチレン−TFE−パーフルオロエチレン性不飽和化合物共重合体
(4)ポリフッ化ビニリデン(PVDF)
(5)CTFE、TFEおよび前記式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなるCTFE−TFE−パーフルオロエチレン性不飽和化合物共重合体
のいずれかであることが好ましく、(1)、(2)、(5)で表される含フッ素エチレン性重合体であることが好ましい。
つぎに(1)、(2)、(5)の好ましい含フッ素エチレン性重合体についてより具体的に説明する。
(1)ETFE
ETFEの場合、前記の作用効果に加えて、力学物性や燃料バリア性が発現する点で好ましい。TFE単位とエチレン単位との含有モル比は20:80〜90:10が好ましく、38:62〜85:15がより好ましく、37:63〜80:20が特に好ましい。また、第3成分を含有していてもよく、第3成分としてはTFEおよびエチレンと共重合可能なものであればその種類は限定されない。第3成分としては、通常、式
CH2=CX4f 5、CF2=CFRf 5、CF2=CFORf 5、CH2=C(Rf 52
(式中、X4は水素原子またはフッ素原子、Rf 5はエーテル結合性酸素原子を含んでいてもよいフルオロアルキル基を表す)
で示されるモノマーが用いられ、これらの中でも、CH2=CX4f 5で示される含フッ素ビニルモノマーがより好ましく、Rf 5の炭素数が1〜8のモノマーが特に好ましい。
前記式で示される含フッ素ビニルモノマーの具体例としては、1,1−ジヒドロパーフルオロプロペン−1、1,1−ジヒドロパーフルオロブテン−1、1,1,5−トリヒドロパーフルオロペンテン−1、1,1,7−トリヒドロパーフルオロへプテン−1、1,1,2−トリヒドロパーフルオロヘキセン−1、1,1,2−トリヒドロパーフルオロオクテン−1、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルビニルエーテル、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、ヘキサフルオロプロペン、パーフルオロブテン−1、3,3,3−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)プロペン−1、2,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロ−1−ペンテン(CH2=CFCF2CF2CF2H)があげられる。
第3成分の含有量は、含フッ素エチレン性重合体に対して0.1〜10モル%が好ましく、0.1〜5モル%がより好ましく、0.2〜4モル%が特に好ましい。
(2)PFAまたはFEP
PFAまたはFEPの場合、前記の作用効果においてとりわけ耐熱性が優れたものとなり、また前記の作用効果に加えて優れた燃料バリア性が発現する点で好ましい。特に限定されないが、TFE単位70〜99モル%と式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物単位1〜30モル%からなる共重合体であることが好ましく、TFE単位80〜97モル%と式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物単位3〜20モル%からなる共重合体であることがより好ましい。TFE単位が70モル%未満では機械物性が低下する傾向があり、99モル%をこえると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。また、TFEおよび式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物からなる含フッ素エチレン性重合体は、第3成分を含有していてもよく、第3成分としてはTFEおよび式(1)で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物と共重合可能なものであればその種類は限定されない。
(5)CTFE−TFE共重合体
CTFE−TFE共重合体の場合、CTFE単位とTFE単位の含有モル比は、CTFE:TFE=2:98〜98:2であることが好ましく、5:95〜90:10であることがより好ましい。CTFE単位が2モル%未満であると薬液透過性が悪化しまた溶融加工が困難になる傾向があり、98モル%をこえると成型時の耐熱性、耐薬品性が悪化する場合がある。また、パーフルオロエチレン性不飽和化合物を共重合することが好ましく、CTFE単位とTFE単位の合計に対して、パーフルオロエチレン性不飽和化合物単位は0.1〜10モル%であり、CTFE単位およびTFE単位は合計で90〜99.9モル%であることが好ましい。パーフルオロエチレン性不飽和化合物単位が0.1モル%未満であると成形性、耐環境応力割れ性および耐ストレスクラック性に劣りやすく、10モル%をこえると薬液低透過性、耐熱性、機械特性、生産性などに劣る傾向にある。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D3)と合成樹脂(E)、特にフッ素樹脂との混合割合は質量比((D3)/(E))で、0.1/99.9〜25/75、さらには0.5/99.5〜25/75、特に1/99〜20/80が好ましい。架橋含フッ素エラストマー微粒子(D3)の割合が多すぎると組成物の破断強度が低下しすぎたり、燃料バリア性が悪くなり、好ましくない。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D3)とフッ素樹脂との組成物は、燃料ホース、動的シール材、軟質樹脂として優れた性能を発揮する。
燃料ホース用の組成物を調製する場合、フッ素樹脂としてFEP、PFA、ETFEを用いることが好ましく、この場合、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D3)/フッ素樹脂の質量比は、0.1/99.9〜25/75、さらには0.5/99.5〜25/75、特に1/99〜20/80とすることが、燃料バリア性が特に向上する点から好ましい。
動的シール材用の組成物を調製する場合、フッ素樹脂としてFEP、PFA、ETFEを用いることが好ましく、この場合、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D3)/フッ素樹脂の質量比は、0.1/99.9〜25/75、さらには0.5/99.5〜25/75、より好ましくは1/99〜25/75、特に5/95〜20/80とすることが、柔軟性とシール性が良好な点から好ましい。
軟質樹脂用の組成物を調製する場合、フッ素樹脂としてFEP、PFA、ETFEを用いることが好ましく、この場合、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D3)/フッ素樹脂の質量比は、0.1/99.9〜25/75、さらには0.5/99.5〜25/75、より好ましくは1/99〜25/75、特に5/95〜20/80とすることが、低弾性率の点から好ましい。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D3)と合成樹脂(E)との組成物の調製は、バンバリーミキサーや回転撹拌装置などの混合機によるドライブレンド法で行ってもよいし、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D3)の水性分散液(架橋後の水性分散液)と合成樹脂(E)微粒子の水性分散液とを混合し、共凝析法により均一な組成物を調製してもよい。これらの中でも、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D3)の分散性が良好である点から共凝析法が好ましい。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D3)は用途や合成樹脂(E)などに応じて、粉体の形態でも、水性分散液の状態で配合してもよい。
第5の発明において、とくに高純度かつ非汚染性が要求されない分野では、必要に応じて樹脂組成物に配合される通常の添加物、例えば充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤、などを配合することができ、常用の架橋剤や架橋助剤を1種またはそれ以上配合してもよい。
本発明の第6の発明は、パーオキサイド架橋可能な含フッ素エラストマー粒子(A4)を水性分散液(ディスパージョン)の状態で、過酸化物(B)と多官能不飽和化合物(C)を共存させて加熱することによりパーオキサイド架橋することを特徴とする架橋含フッ素エラストマー微粒子の製造法に関する。
第6の発明で用いるパーオキサイド架橋可能な含フッ素エラストマー粒子(A4)を構成する含フッ素エラストマー(a4)としては、パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムが好適であり、中でも、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライドおよび式(1):
CF2=CF−Rf 1 (1)
(式中、Rf 1は−CF3または−ORf 2(Rf 2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基))で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含むことが、ゴム弾性体としての性質をもつ粒子が得られる点から好ましい。
パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムとしてはまた、パーオキサイド架橋可能な非パーフルオロフッ素ゴム(a4−1)およびパーオキサイド架橋可能なパーフルオロフッ素ゴム(a4−2)が好ましい。
非パーフルオロフッ素ゴム(a4−1)としては、ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム、フルオロシリコーン系フッ素ゴム、またはフルオロホスファゼン系フッ素ゴムなどが挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または本発明の効果を損なわない範囲で任意に組合わせて用いることができる。これらの中でも、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴムや、テトラフルオロエチレン/プロピレン系フッ素ゴムがより好適である。
ビニリデンフルオライド系フッ素ゴムとは、ビニリデンフルオライド45〜85モル%と、ビニリデンフルオライドと共重合可能な少なくとも1種の他の単量体55〜15モル%とからなる含フッ素共重合体をいう。好ましくは、ビニリデンフルオライド50〜80モル%と、ビニリデンフルオライドと共重合可能な少なくとも1種の他の単量体50〜20モル%とからなる含フッ素共重合体をいう。
ビニリデンフルオライドと共重合可能な少なくとも1種の他の単量体としては、例えばテトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、フッ化ビニルなどの含フッ素単量体;エチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテルなどの非フッ素単量体が挙げられる。これらをそれぞれ単独で、または、任意に組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)が好ましい。
具体的なゴムとしては、VdF−HFP系ゴム、VdF−HFP−TFE系ゴム、VdF−CTFE系ゴム、VdF−CTFE−TFE系ゴムなどが挙げられる。
テトラフルオロエチレン/プロピレン系フッ素ゴムとは、テトラフルオロエチレン45〜70モル%、プロピレン55〜30モル%からなり、さらにテトラフルオロエチレンとプロピレンの合計量に対して、パーオキサイド架橋可能な架橋部位を与える単量体を5モル%以下含有する含フッ素共重合体をいう。
パーオキサイド架橋可能な架橋部位を与える単量体としては、例えば式(24):
CX1 2=CX1−Rf 1CHR12 (24)
(式中、X1は、H、FまたはCH3;Rf 1は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基またはパーフルオロポリオキシアルキレン基;R1は、HまたはCH3;X2は、ヨウ素原子または臭素原子)で表されるヨウ素または臭素含有単量体、式(25):
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2n−X3 (25)
(式中、mは、0〜5の整数、nは、1〜3の整数、X3は臭素原子)で表される単量体などが挙げられる。そのほか、特公平5−63482号公報、特開平7−316234号公報に記載されているようなパーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン)やパーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)などのヨウ素含有単量体なども挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組み合わせて用いることができる。
これらの非パーフルオロフッ素ゴム(a4−1)は、常法により製造することができる。
パーフルオロフッ素ゴム(a4−2)としては、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/パーオキサイド架橋可能な架橋部位を与える単量体からなるものなどが挙げられる。テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の組成は、50〜90/50〜10モル%であることが好ましく、より好ましくは、50〜80/50〜20モル%であり、さらに好ましくは、55〜70/45〜30モル%である。また、パーオキサイド架橋可能な架橋部位を与える単量体は、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の合計量に対して、5モル%以下であることが好ましく、2モル%以下であることがより好ましい。これらの組成の範囲を外れると、ゴム弾性体としての性質が失われ、樹脂に近い性質となる傾向がある。
この場合のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、例えばパーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)などが挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。
パーオキサイド架橋可能な架橋部位を与える単量体としては、例えば上記式(24)で表されるヨウ素または臭素含有単量体、上記式(25)で表される単量体が挙げられ、そのほか、特公平5−63482号公報、特開平7−316234号公報に記載されているようなパーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン)やパーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)などのヨウ素含有単量体なども挙げられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。
これらのパーフルオロフッ素ゴム(a4−2)は、常法により製造することができる。
かかるパーフルオロフッ素ゴム(a4−2)の具体例としては、国際公開第97/24381号パンフレット、特公昭61−57324号公報、特公平4−81608号公報、特公平5−13961号公報などに記載されているフッ素ゴムなどが挙げられる。
含フッ素エラストマー(a4)の好ましい製造方法としては、フッ素ゴムの製造法として公知のヨウ素移動重合法をあげることができる。例えば、実質的に無酸素下で、水媒体中で、ヨウ素化合物、好ましくはジヨウ素化合物の存在下に、前記の含フッ素エラストマー(a4)を構成する単量体と要すればパーオキサイド架橋可能な架橋部位を与える単量体を加圧下で撹拌しながらラジカル開始剤の存在下、乳化重合を行う方法が挙げられる。使用するジヨウ素化合物の代表例としては、例えば、
2xBry (26)
(式中、xおよびyはそれぞれ0〜2の整数であり、かつ1≦x+y≦2を満たすものであり、R2は炭素数1〜16の飽和もしくは不飽和のフルオロ炭化水素基またはクロロフルオロ炭化水素基、または炭素数1〜3の炭化水素基であり、酸素原子を含んでいてもよい)で表される化合物が挙げられる。このようにして導入されるヨウ素原子または臭素原子がパーオキサイド架橋可能な架橋点として機能する。
式(26)で表される化合物としては、例えば1,3−ジヨードパーフルオロプロパン、1,3−ジヨード−2−クロロパーフルオロプロパン、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,5−ジヨード−2,4−ジクロロパーフルオロペンタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、1,8−ジヨードパーフルオロオクタン、1,12−ジヨードパーフルオロドデカン、1,16−ジヨードパーフルオロヘキサデカン、ジヨードメタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジヨード−n−プロパン、CF2Br2、BrCF2CF2Br、CF3CFBrCF2Br、CFClBr2、BrCF2CFClBr、CFBrClCFClBr、BrCF2CF2CF2Br、BrCF2CFBrOCF3、1−ブロモ−2−ヨードパーフルオロエタン、1−ブロモ−3−ヨードパーフルオロプロパン、1−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブタン、2−ブロモ−3−ヨードパーフルオロブタン、3−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、2−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、ベンゼンのモノヨードモノブロモ置換体、ジヨードモノブロモ置換体、ならびに(2−ヨードエチル)および(2−ブロモエチル)置換体などが挙げられ、これらの化合物は、単独で使用してもよく、相互に組み合せて使用することもできる。
これらのなかでも、重合反応性、架橋反応性、入手容易性などの点から、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、ジヨードメタンなどを用いるのが好ましい。
ジヨウ素化合物の添加量は、含フッ素エラストマー(a4)がフッ素ゴムの場合、フッ素ゴム全重量に対して、0.0001〜5質量%であることが好ましい。
含フッ素エラストマー粒子(A4)を構成する含フッ素エラストマー(a4)のフッ素含有率は使用目的などによって適宜選定してもよいが、65質量%以上、さらには70質量%以上であることがフッ素樹脂との複合分散性の向上の点から好ましい。また、パーオキサイド架橋の観点から、ポリマー末端にヨウ素基をもつエラストマーが好ましい。
含フッ素エラストマー粒子(A4)の平均粒子径は、合成樹脂、特にフッ素樹脂との複合分散性の向上と物性向上の点から0.01〜0.5μmであることが好ましい。さらに好ましくは0.3μm以下、特に0.2μm以下であり、また0.05μm以上、特に0.1μm以上が好ましい。
本発明においてはパーオキサイド架橋を開始させるために、架橋剤として過酸化物(B)を用いるが、使用する過酸化物(B)としては、過硫酸塩(B1)でも有機過酸化物(B2)でもよいし、これらを併用してもよい。
過硫酸塩(B1)としては、例えば過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸ナトリウム(SPS)、過硫酸カリウム(KPS)などが挙げられる。これらのうち、半減期温度、架橋効率が良好なことからAPSが好ましい。また亜硫酸塩類のような還元剤と組み合わせて使用することもできる。
有機過酸化物(B2)としては、例えば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサンなどをあげることができる。なかでも、好ましいものは、ジアルキルタイプのものである。さらに、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートがとくに好ましい。一般に活性−O−O−の量、分解温度などを考慮して有機過酸化物の種類および使用量が選択される。これらのうち、半減期温度、架橋効率が良好なことからt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサンが好ましい。
これらの過酸化物(B)のうち、架橋効率が良好な点から過硫酸塩(B1)が好ましく、なかでも架橋効率が良好なことからAPS、KPSが特に好ましい。
過酸化物(B)の配合量は、水性分散液中の含フッ素エラストマー粒子(A4)100質量部に対して、0.1〜20質量部が、架橋効率が良好な点から好ましい。さらに好ましい配合量は、水性分散液中の含フッ素エラストマー粒子(A4)100質量部に対して、10質量部以下、特に5質量部以下であり、また0.1質量部以上、特に1.0質量部以上である。
多官能不飽和化合物(C)は、水性分散液中でのパーオキサイド架橋において架橋助剤として作用し得る多官能不飽和化合物であれば特に限定されない。例えば、CH2=CH−、CH2=CHCH2−、CF2=CF−、−CH=CH−などの官能基を有する多官能性化合物が挙げられる。
好ましくは、架橋効率が良好な点から、例えばオキシムニトロソ化合物、ジ(メタ)アクリレート系化合物、トリエステル系化合物、トリアリルイソシアヌレート系化合物およびポリブタジエン系化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が例示できる。
オキシムニトロソ化合物としては、例えばジニトロソベンゼンなどが例示できる。
ジ(メタ)アクリレート系化合物としては、例えばNKエステル9G(新中村化学工業(株)製)などが例示できる。
トリエステル系化合物としては、例えばハイクロスM(精工化学(株)製)、NKエステルTMTP(新中村化学工業(株)製)などが例示できる。
トリアリルイソシアヌレート系化合物としては、例えばトリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリメタアリルイソシアヌレート(TMAIC)などが例示できる。
ポリブタジエン系化合物としては、例えばNISSO−PB(日本曹達(株)製)などが例示できる。
なかでも、架橋効率が良好な点から、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好ましく使用できる。
多官能不飽和化合物(C)の配合量は、水性分散液中の含フッ素エラストマー粒子(A4)100質量部に対して、0.1〜20質量部が、架橋効率が良好な点から好ましい。さらに好ましい配合量は、水性分散液中の含フッ素エラストマー粒子(A4)100質量部に対して、10質量部以下、特に5質量部以下であり、また0.5質量部以上、特に1.0質量部以上である。
本発明の製造法では、パーオキサイド架橋可能な含フッ素エラストマー粒子(A4)と過酸化物(B)と多官能不飽和化合物(C)とを含む水性分散液を調製する。
水性分散液の調製は、(I)含フッ素エラストマー粒子(A4)を水性媒体に投入し、過酸化物(B)と多官能不飽和化合物(C)とを追加して撹拌分散させる方法;(II)ヨウ素移動重合法による重合生成混合物である含フッ素エラストマー粒子(A4)を含む水性分散液(重合上がりの水性分散液)に過酸化物(B)と多官能不飽和化合物(C)とを追加して撹拌分散させ、濃度を適宜調整する方法などにより行うことができる。
調製法(I)は、界面活性剤を使用して分散を安定させてもよい。しかし、架橋時の安定性の点からその量は含フッ素エラストマー粒子(A4)100質量部に対して5質量部以下、さらには1質量部以下とすることが好ましい。
使用可能な界面活性剤としては、例えばC715COONH4、C37O(CF(CF3)CF2O)CFCF3COONH4などが挙げられる。
調製法(II)は、含フッ素エラストマー粒子(A4)の製造の系をそのまま受け継ぐことができるので、有利である。なお、重合の場に界面活性剤が存在する場合であっても、そのままで本発明の製造法に使用できる。
水性分散液中の含フッ素エラストマー粒子(A4)の濃度は、5〜50質量%とすることが重合効率、架橋効率が良好な点から好ましい。さらに好ましくは10質量%以上、特に20質量%以上が好ましく、また40質量%以下、特に30質量%以下が好ましい。
架橋反応は、水性分散液中で過酸化物(B)を開裂させ、パーオキシラジカルを発生させることで開始する。
過酸化物(B)が熱分解型の化合物である場合、水性分散液中での反応であるから、加熱温度は常圧(1気圧)の場合50℃以上で100℃以下、好ましくは架橋効率の点から60℃以上で90℃以下である。
反応時間は通常2〜10時間、さらには3〜6時間でよい。
架橋反応は、そのほか、紫外線や放射線などの活性エネルギー線を常温で照射することによって開始させてもよく、この場合は、架橋助剤、増感剤などを共存させてもよい。
本発明の製造法では、このようにパーオキサイド架橋反応と活性エネルギー線架橋反応とを併用したものであってもよい。なお、活性エネルギー線架橋反応を必須とする形態、すなわち、パーオキサイド架橋可能な含フッ素エラストマー粒子(A4)と多官能不飽和化合物(C)とを含む水性分散液に活性エネルギー線を常温で照射することによって該含フッ素エラストマー粒子(A4)を活性エネルギー線架橋する架橋含フッ素エラストマー微粒子の製造法もまた、本発明の好適な形態の1つである。
架橋反応終了後、得られた架橋含フッ素エラストマー微粒子は、凍結凝析法、塩析法、酸凝析法などの方法で分離回収することができる。なかでも、凝析後の粒子形状が良好な点から凍結凝析法が好ましい。
本発明はかくして得られるパーオキサイド架橋された架橋含フッ素エラストマー微粒子(D4)にも関する。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D4)の平均粒子径は、架橋反応が含フッ素エラストマー粒子(A4)の内部で進行することから含フッ素エラストマー粒子(A4)の平均粒子径から実質的に変化していない。したがって、その平均粒子径は0.01〜0.5μmであることが好ましい。さらに好ましくは0.4μm以下、特に0.3μm以下であり、また0.05μm以上、特に0.1μm以上が好ましい。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D4)のフッ素含有率は、使用する多官能不飽和化合物(C)の種類や量により異なるが、65質量%以上、さらには70質量%以上であることがフッ素樹脂との複合分散性の向上の点から好ましい。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D4)の架橋度は使用目的などによって調整すればよいが、例えば自動車材料などに用いる場合、アセトンに溶解しない部分(不溶分)が80質量%以上となる程度が、機械的強度の点から好ましい。さらに好ましくはアセトンに不溶分が90質量%以上である。上限は100質量%である。
かかる架橋含フッ素エラストマー微粒子(D4)は用途に応じて、粉体の形態でも、水性分散液の状態でもよい。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D4)は、単独で使用してもよいし、他の材料と混合して組成物として使用してもよいが、他の材料と混合使用する場合に特に有効である。
他の材料としては、合成樹脂(E)が挙げられる。合成樹脂(E)としては、例えば硬化性樹脂であってもよいが、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D4)のエラストマーとしての特性を活かせる点から熱可塑性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミドなどが挙げられる。
フッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン(TFE)−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、TFE−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体(FEP)などのパーフルオロ共重合体;TFE−エチレン共重合体(ETFE)、TFE−HFP−エチレン共重合体(EFEP)などが挙げられ、目的用途に応じて使用すればよい。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D4)と合成樹脂(E)、特にフッ素樹脂との混合割合は質量比((D4)/(E))で、各成分の種類・用途・使用目的などによって適宜選定すればよく、通常95/5〜5/95、さらには80/20〜20/80が好ましい。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D4)とフッ素樹脂との組成物は、燃料ホース、動的シール材、軟質樹脂として優れた性能を発揮する。
燃料ホース用の組成物を調製する場合、フッ素樹脂としてFEP、PFA、ETFEを用いることが好ましく、この場合、フッ素樹脂100質量部に対して、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D4)を95〜5質量部、さらには70〜20質量部配合することが、燃料バリア性が良好な点から好ましい。
動的シール材用の組成物を調製する場合、フッ素樹脂としてFEP、PFA、ETFEを用いることが好ましく、この場合、フッ素樹脂100質量部に対して、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D4)を95〜5質量部、さらには80〜30質量部配合することが、ゴム弾性が良好な点から好ましい。
軟質樹脂用の組成物を調製する場合、フッ素樹脂としてFEP、PFA、ETFEを用いることが好ましく、この場合、フッ素樹脂100質量部に対して、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D4)を95〜5質量部、さらには90〜20質量部配合することが、ゴム弾性が良好な点から好ましい。
架橋含フッ素エラストマー微粒子(D4)と合成樹脂(E)との組成物の調製は、バンバリーミキサーや回転撹拌装置などの混合機によるドライブレンド法で行ってもよいし、架橋含フッ素エラストマー微粒子(D4)の水性分散液(架橋後の水性分散液)と合成樹脂(E)微粒子の水性分散液とを混合し、共凝析法により均一な組成物を調製してもよい。
本発明において、とくに高純度かつ非汚染性が要求されない分野では、必要に応じて樹脂組成物に配合される通常の添加物、例えば充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤、などを配合することができ、前記のものとは異なる常用の架橋剤や架橋助剤を1種またはそれ以上配合してもよい。
以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
本発明で使用する測定法は以下の方法である。
(1)フッ素含有率
NMR分析(JEOL(株)製のJNM−EX270)により測定したデータから算出する。
(2)平均粒子径
透過型電子顕微鏡(TEM)観察で得たデータから算出する。
(3)アセトン溶解試験
架橋エラストマー粒子0.5gを25℃のアセトン50mL中に投入し、スターラーにより十分撹拌後、48時間25℃で静置後、濾過(桐山濾紙)し、残留分(不溶解分)を乾燥し、精密天秤で秤量して得たデータから算出する。
(4)シート状試験片の作製
実施例5〜16および比較例3〜8でそれぞれ製造した組成物を金型にセットし、ヒートプレス機により、290℃にて15〜30分間保持し、動的架橋組成物を溶融状態にした後、3MPaの負荷を1分間与え圧縮成形し、各試験に規定する所定の厚さのシート状試験片を作製する。
(5)引張破断強度、引張破断伸びおよび引張弾性率測定
上記(4)の方法で厚さ2mmのシート状試験片を作製し、ASTM V型ダンベルを用いて標線間距離3.18mmのダンベル状試験片を打ち抜く。得られたダンベル状試験片を用いて、オートグラフ((株)島津製作所製 AGS−J 5kN)を使用して、ASTM D638に準じて、50mm/分の条件下で、25℃で引張破断伸び、引張破断強度および引張弾性率を測定する。
(6)燃料透過性
上記(4)の方法で厚さ0.5mmのシート状試験片を作製する。20mLの容積を有するSUS製容器(開放部面積1.26×10-32)に模擬燃料であるCE10(トルエン/イソオクタン/エタノール=45/45/10容量%)を18mL入れて、前記シート状試験片を容器開放部にセットして密閉することで、試験体とする。該試験体を恒温装置(60℃)に入れ、試験体の重量を測定し、単位時間あたりの重量減少が一定となったところで下記の式により燃料透過係数を求める。
Figure 0005278315
製造例1(含フッ素エラストマー微粒子A−1の製造)
3000mL内容積耐圧反応槽に純水1500mL、パーフルオロオクタン酸アンモニウム7.5gを入れ、内部空間をTFE/VdF/HFP(11/19/70モル比)混合ガスで充填置換後、1.47MPaG(15kgf/cm2G)に加圧しI(CF2CF22I 0.3mL(25℃)を注入し、撹拌下に80℃としてAPS0.2%水溶液10mLを圧入した。約0.5時間の誘導時間後、圧力降下が起こるので、1.27MPaG(13kgf/cm2G)まで低下したときTFE/VdF/HFP(20/50/30モル比)混合ガスで1.47MPaG(15kgf/cm2G)に再加圧する。以降、この方法で1.27〜1.47MPaG(13〜15kgf/cm2G)の圧力範囲で重合を継続した。20時間後急速降温、放圧して重合を停止した。
製造された水性分散液中の含フッ素エラストマー微粒子A−1は、濃度25質量%で、平均粒子径0.2μmであり、フッ素含有率は71質量%であった。また、末端ヨウ素原子の個数は2個であった。
製造例2(含フッ素エラストマー微粒子A−2の製造)
3000mL内容積耐圧反応槽に純水1500mL、パーフルオロオクタン酸アンモニウム7.5gを入れ、内部空間をVdF/HFP(45/55モル比)混合ガスで充填置換後、1.47MPaG(15kgf/cm2G)に加圧しI(CF2CF22I 0.3mL(25℃)を注入し、撹拌下に80℃としてAPS0.2%水溶液10mLを圧入した。約0.5時間の誘導時間後、圧力降下が起こるので、1.27MPaG(13kgf/cm2G)まで低下したときVdF/HFP(78/22モル比)混合ガスで1.47MPaG(15kgf/cm2G)に再加圧する。以降、この方法で1.27〜1.47MPaG(13〜15kgf/cm2G)の圧力範囲で重合を継続した。20時間後急速降温、放圧して重合を停止した。
製造された水性分散液中の含フッ素エラストマー微粒子A−2は、濃度25質量%で、平均粒子径0.2μmであり、フッ素含有率は66質量%であった。また、末端ヨウ素原子の個数は2個であった。
実施例1
含フッ素エラストマー微粒子A−1(平均粒子径0.2μm;フッ素含有率71質量%)の重合上がりの水性分散液(含フッ素エラストマー微粒子濃度:25質量%)が入った重合容器内を窒素ガス置換した後、80℃に加熱した。
この水性分散液(含フッ素エラストマー微粒子25質量部)にトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を3質量部加え、45分間撹拌した。ついで、過硫酸アンモニウム(APS)を1.14質量部加えて架橋反応を開始させた。5時間撹拌下に反応を進めた後室温に冷却して反応を停止させ、架橋含フッ素エラストマー微粒子の水性分散液を得た。なお、一部は、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマーの微粒子を粉体として回収した。
得られた架橋含フッ素エラストマー微粒子D−1の平均粒子径は0.2μm、フッ素含有率は71質量%であり、アセトン不溶分は85質量%であった。
実施例2
含フッ素エラストマー微粒子A−2(平均粒子径0.2μm;フッ素含有率66質量%)の重合上がりの水性分散液(含フッ素エラストマー微粒子濃度:25質量%)が入った重合容器内を窒素ガス置換した後、80℃に加熱した。
この水性分散液(含フッ素エラストマー微粒子25質量部)にトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を3質量部加え、45分間撹拌した。ついで、過硫酸アンモニウム(APS)を1.14質量部加えて架橋反応を開始させた。5時間撹拌下に反応を進めた後室温に冷却して反応を停止させ、架橋含フッ素エラストマー微粒子の水性分散液を得た。なお、一部は、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマーの微粒子を粉体として回収した。
得られた架橋含フッ素エラストマー微粒子D−2の平均粒子径は0.2μm、フッ素含有率は66質量%であり、アセトン不溶分は85質量%であった。
実施例3
含フッ素エラストマー微粒子A−1(平均粒子径0.2μm;フッ素含有率71質量%)の重合上がりの水性分散液(含フッ素エラストマー微粒子濃度:25質量%)が入った重合容器内を窒素ガス置換した後、80℃に加熱した。
この水性分散液(含フッ素エラストマー微粒子25質量部)にトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を3質量部加え、45分間撹拌した。ついで、パーブチルOを1.14質量部加えて架橋反応を開始させた。5時間撹拌下に反応を進めた後室温に冷却して反応を停止させ、架橋含フッ素エラストマー微粒子の水性分散液を得た。なお、一部は、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマーの微粒子を粉体として回収した。
得られた架橋含フッ素エラストマー微粒子D−3の平均粒子径は0.2μm、フッ素含有率は71質量%であり、アセトン不溶分は100質量%であった。
実施例4
含フッ素エラストマー微粒子A−2(平均粒子径0.2μm;フッ素含有率66質量%)の重合上がりの水性分散液(含フッ素エラストマー微粒子濃度:25質量%)が入った重合容器内を窒素ガス置換した後、80℃に加熱した。
この水性分散液(含フッ素エラストマー微粒子25質量部)にトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を3質量部加え、45分間撹拌した。ついで、パーブチルOを1.14質量部加えて架橋反応を開始させた。5時間撹拌下に反応を進めた後室温に冷却して反応を停止させ、架橋含フッ素エラストマー微粒子の水性分散液を得た。なお、一部は、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマーの微粒子を粉体として回収した。
得られた架橋含フッ素エラストマー微粒子D−4の平均粒子径は0.2μm、フッ素含有率は66質量%であり、アセトン不溶分は100質量%であった。
比較例1(重合中での架橋)
3000mL内容積耐圧反応槽に純水1500mL、パーフルオロオクタン酸アンモニウム7.5gを入れ、内部空間をTFE/VdF/HFP(11/19/70モル比)混合ガスで充填置換後、1.47MPaG(15kgf/cm2G)に加圧しI(CF2CF22I 0.3mL(25℃)を注入し、撹拌下に80℃としてAPS0.2%水溶液10mLを圧入した。約0.5時間の誘導時間後、圧力降下が起こるので、1.27MPaG(13kgf/cm2G)まで低下したときTFE/VdF/HFP(20/50/30モル比)混合ガスで1.47MPaG(15kgf/cm2G)に再加圧しながら1,4−ブタンジオールジビニルエーテルをTFE/VdF/HFP混合ガスの合計導入モル数に対し3.5モル%となるようにマイクロポンプで添加する。以降、この方法で1.27〜1.47MPaG(13〜15kgf/cm2G)の圧力範囲で重合を継続した。20時間後急速降温、放圧して重合を停止した。
得られた架橋含フッ素エラストマー微粒子X−1の平均粒子径は0.2μm、フッ素含有率は71質量%であり、アセトン不溶分は75質量%であった。
比較例2(重合中架橋)
3000mL内容積耐圧反応槽に純水1500mL、パーフルオロオクタン酸アンモニウム7.5gを入れ、内部空間をVdF/HFP(45/55モル比)混合ガスで充填置換後、1.47MPaG(15kgf/cm2G)に加圧しI(CF2CF22I 0.3mL(25℃)を注入し、撹拌下に80℃としてAPS0.2%水溶液10mLを圧入した。約0.5時間の誘導時間後、圧力降下が起こるので、1.27MPaG(13kgf/cm2G)まで低下したときVdF/HFP(78/22モル比)混合ガスで1.47MPaG(15kgf/cm2G)に再加圧しながら1,4−ブタンジオールジビニルエーテルをVdF/HFP混合ガスの合計導入モル数に対し3.5モル%となるようにマイクロポンプで添加する。以降、この方法で1.27〜1.47MPaG(13〜15kgf/cm2G)の圧力範囲で重合を継続した。20時間後急速降温、放圧して重合を停止した。
得られた架橋含フッ素エラストマー微粒子X−2の平均粒子径は0.2μm、フッ素含有率は66質量%であり、アセトン不溶分は75質量%であった。
実施例5
実施例1で得た架橋含フッ素エラストマー微粒子D−1の粉体30質量部とテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)のペレット70質量部とをラボプラストミル(東洋精機(株)製のラボプラストミル655)で混練して、組成物を調製した。
実施例6〜8
架橋含フッ素エラストマー微粒子D−1に代えて実施例2〜4でそれぞれ得た架橋含フッ素エラストマー微粒子D−2〜D−4を用いたほかは実施例5と同様にして組成物を得た。
実施例9
実施例1で得た架橋含フッ素エラストマー微粒子D−1の水性分散液(固形分濃度25質量%)22質量部とテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)の水性分散液(FEP粒子の平均粒子径0.2μm;固形分濃度16質量%)78質量部を混合し、80℃で30分間撹拌した。ついで、室温に戻し、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマー微粒子D−1とFEPの組成物を粉体として得た。
実施例10〜12
架橋含フッ素エラストマー微粒子D−1の水性分散液に代えて実施例2〜4でそれぞれ得た架橋含フッ素エラストマー微粒子D−2〜D−4の水性分散液を用いたほかは実施例9と同様にして組成物を得た。
実施例13
実施例1で得た架橋含フッ素エラストマー微粒子D−1の粉体50質量部とFEPのペレット50質量部とをラボプラストミル(東洋精機(株)製のラボプラストミル655)で混練して、組成物を調製した。
実施例14〜16
架橋含フッ素エラストマー微粒子D−1に代えて実施例2〜4でそれぞれ得た架橋含フッ素エラストマー微粒子D−2〜D−4を用いたほかは実施例13と同様にして組成物を得た。
比較例3〜4
実施例5において、架橋含フッ素エラストマー微粒子D−1に代えて、比較例1で製造した架橋含フッ素エラストマー微粒子X−1(比較例3)および比較例2で製造した架橋含フッ素エラストマー微粒子X−2(比較例4)を用いたほかは実施例5と同様にして組成物を得た。
比較例5〜6
実施例9おいて、架橋含フッ素エラストマー微粒子D−1に代えて、比較例1で製造した架橋含フッ素エラストマー微粒子X−1(比較例5)および比較例2で製造した架橋含フッ素エラストマー微粒子X−2(比較例6)を用いたほかは実施例9と同様にして組成物を得た。
比較例7〜8
実施例13おいて、架橋含フッ素エラストマー微粒子D−1に代えて、比較例1で製造した架橋含フッ素エラストマー微粒子X−1(比較例7)および比較例2で製造した架橋含フッ素エラストマー微粒子X−2(比較例8)を用いたほかは実施例13と同様にして組成物を得た。
試験例1
実施例5〜16および比較例3〜8でそれぞれ得られた組成物について、機械特性を調べた。結果を表1に示す。
試験例2
実施例5〜16および比較例3〜8でそれぞれ得られた組成物について、燃料(ガソリン)透過性を調べた。結果を表1に示す。
Figure 0005278315
製造例3(含フッ素エラストマー微粒子A−3の製造)
6000mL内容量耐圧反応槽に、純水を2リッターおよび乳化剤としてパーフルオロオクタン酸アンモニウムC715COONH4を20g、pH調整剤としてリン酸水素二ナトリウム・12水塩を0.18g仕込み、系内を窒素ガスで十分に置換した後、600rpmで撹拌しながら、50℃に昇温し、テトラフルオロエチレン(TFE)およびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)をモル比24/76で内圧が1.18MPaG(12.0kgf/cm2G)になるようにそれぞれ圧入した。次いで、過硫酸アンモニウム(APS)の186mg/ml水溶液2mlを窒素圧で圧入して反応を開始した。重合反応の進行に伴って圧力が低下するので、1.08MPaG(11.0kgf/cm2G)まで低下した時点で、連鎖移動剤であるジヨウ素化合物I(CF24Iを4.0g圧入し、次いでTFEを自圧にて20.0g、PMVEを22.0gプランジャーポンプにて圧入し、昇圧降圧を繰り返した。TFEおよびPMVEの合計仕込量が430g、511g、596gおよび697gに達した時点でヨウ素化合物であるICH2CF2CF2OCF=CF2を各1.5g圧入すること、および反応開始後、12時間毎に35mg/mlのAPS水溶液2mlを窒素ガスで圧入して反応を継続した。重合反応の開始から35時間後、TFEおよびPMVEの合計仕込量が860gになった時点で急速降温、放圧して重合を停止し、純水2リッターを追加した。
製造された水性分散液中の含フッ素エラストマー微粒子A−3は、濃度22質量%で、平均粒子径0.1μmであり、フッ素含有率は76質量%であった。また、末端ヨウ素原子の個数は4個であった。
実施例17(架橋含フッ素エラストマー微粒子D−5の製造)
含フッ素エラストマー微粒子A−3(平均粒子径0.1μm;フッ素含有率76質量%)の重合上がりの水性分散液(含フッ素エラストマー微粒子濃度:22質量%)が入った重合容器内を窒素ガス置換した後、80℃に加熱した。
この水性分散液(含フッ素エラストマー微粒子A−3の量:22質量部)にトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を3質量部加え、45分間撹拌した。ついで、過硫酸アンモニウム(APS)を1.14質量部加えて架橋反応を開始させた。5時間撹拌下に反応を進めた後室温に冷却して反応を停止させ、架橋含フッ素エラストマー微粒子の水性分散液を得た。なお、一部は、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマーの微粒子を粉体として回収した。
得られた架橋含フッ素エラストマー微粒子D−5の平均粒子径は0.1μm、フッ素含有率は76質量%であり、アセトン不溶分は97質量%であった。
実施例18(FEPとの樹脂組成物)
実施例17で得た架橋含フッ素エラストマー微粒子D−5の水性分散液(固形分濃度22質量%)15.4質量部とテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)の水性分散液(FEP粒子の平均粒子径0.2μm;固形分濃度16質量%)84.6質量部を混合し、80℃で30分間撹拌した。ついで、室温に戻し、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマー微粒子D−5とFEPの組成物(D−5/FEP=20/80質量比)を粉体として得た。
実施例19(FEPとの樹脂組成物)
実施例17で得た架橋含フッ素エラストマー微粒子D−5の水性分散液(固形分濃度22質量%)23.8質量部とテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)の水性分散液(FEP粒子の平均粒子径0.2μm;固形分濃度16質量%)76.2質量部を混合し、80℃で30分間撹拌した。ついで、室温に戻し、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマー微粒子D−5とFEPの組成物(D−5/FEP=30/70質量比)を粉体として得た。
製造例4(含フッ素エラストマー微粒子A−4の製造)
3000mL内容量の内容積耐圧反応槽に純水1500ml、パーフルオロオクタン酸アンモニウムC715COONH4を2g入れ、内部空間をVdF/HFP/TFE(18/71/11モル比)の混合ガスで充分置換後、1.57MPaG(16kgf/cm2G)、80℃に加圧昇温し、撹拌下に過硫酸アンモニウム(APS)0.3%水溶液を10ml圧入した。重合反応による圧力降下が起こるので、1.47MPaG(15kgf/cm2G)まで低下した時点で連鎖移動剤であるジヨウ素化合物I(CF24I(1.3g)を圧入し、圧力がさらに1.37MPaG(14kgf/cm2G)まで低下した時点でVdF/HFP/TFE(50/20/30モル比)混合ガスで1.57MPaG(16kgf/cm2G)に再加圧し、以後この方法で1.37〜1.57MPaG(14〜16kgf/cm2G)の圧力範囲で重合を継続した。
重合反応の開始から圧力降下の合計が0.49MPaG(5kgf/cm2G)になった時点で、ヨウ素化合物であるCF2=CFOCF2CF2CH2Iを1.8g注入した。同じく、1.37〜1.57MPaG(14〜16kgf/cm2G)の圧力範囲で重合を継続し、混合ガスボンベ重量の減少が400gになった時点で急速降温、放圧して重合を停止した。
製造された水性分散液中の含フッ素エラストマー微粒子A−4は、濃度25質量%で、平均粒子径0.2μmであり、フッ素含有率は71質量%であった。また、末端ヨウ素原子の個数は6個であった。
実施例20(架橋含フッ素エラストマー微粒子D−6の製造)
含フッ素エラストマー微粒子A−4(平均粒子径0.2μm;フッ素含有率71質量%)の重合上がりの水性分散液(含フッ素エラストマー微粒子濃度:25質量%)が入った重合容器内を窒素ガス置換した後、80℃に加熱した。
この水性分散液(含フッ素エラストマー微粒子25質量部)にトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を3質量部加え、45分間撹拌した。ついで、過硫酸アンモニウム(APS)を1.14質量部加えて架橋反応を開始させた。5時間撹拌下に反応を進めた後室温に冷却して反応を停止させ、架橋含フッ素エラストマー微粒子の水性分散液を得た。なお、一部は、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマーの微粒子を粉体として回収した。
得られた架橋含フッ素エラストマー微粒子D−6の平均粒子径は0.2μm、フッ素含有率は71質量%であり、アセトン不溶分は87質量%であった。
実施例21(FEPとの樹脂組成物)
実施例20で得た架橋含フッ素エラストマー微粒子D−6の水性分散液(固形分濃度25質量%)15.3質量部とテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)の水性分散液(FEP粒子の平均粒子径0.2μm;固形分濃度16質量%)84.7質量部を混合し、80℃で30分間撹拌した。ついで、室温に戻し、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマー微粒子D−6とFEPの組成物(D−6/FEP=20/80質量比)を粉体として得た。
実施例22(FEPとの樹脂組成物)
実施例1で得た架橋含フッ素エラストマー微粒子D−1の水性分散液(固形分濃度25質量%)15.3質量部とテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)の水性分散液(FEP粒子の平均粒子径0.2μm;固形分濃度16質量%)84.7質量部を混合し、80℃で30分間撹拌した。ついで、室温に戻し、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマー微粒子D−1とFEPの組成物(D−1/FEP=20/80質量比)を粉体として得た。
比較例9(FEP単独)
上記実施例および比較例で使用したテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)の水性分散液(FEP粒子の平均粒子径0.2μm;固形分濃度16質量%)を80℃で30分間撹拌した。ついで、室温に戻し、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、FEPを粉体として得た。
試験例3
実施例18、19、21および22でそれぞれ得られた組成物ならびに比較例9のFEP粉体について、機械特性および燃料(ガソリン)透過性を調べた。結果を表2に示す。
Figure 0005278315
製造例5(含フッ素エラストマー微粒子A−5の製造)
6000mL内容量耐圧反応槽に、純水を2リッターおよび乳化剤としてパーフルオロオクタン酸アンモニウムC715COONH4を20g、pH調整剤としてリン酸水素二ナトリウム・12水塩を0.18g仕込み、系内を窒素ガスで十分に置換した後、600rpmで撹拌しながら、50℃に昇温し、テトラフルオロエチレン(TFE)およびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)をモル比24/76で内圧が1.18MPaG(12.0kgf/cm2G)になるようにそれぞれ圧入した。次いで、過硫酸アンモニウム(APS)の186mg/ml水溶液2mlを窒素圧で圧入して反応を開始した。重合反応の進行に伴って圧力が低下するので、1.08MPaG(11.0kgf/cm2G)まで低下した時点で、連鎖移動剤であるジヨウ素化合物I(CF24Iを4.0g圧入し、次いでTFEを自圧にて20.0g、PMVEを22.0gプランジャーポンプにて圧入し、昇圧降圧を繰り返した。TFEおよびPMVEの合計仕込量が430g、511g、596gおよび697gに達した時点でヨウ素化合物であるICH2CF2CF2OCF=CF2を各1.5g圧入すること、および反応開始後、12時間毎に35mg/mlのAPS水溶液2mlを窒素ガスで圧入して反応を継続した。重合反応の開始から35時間後、TFEおよびPMVEの合計仕込量が860gになった時点で急速降温、放圧して重合を停止し、純水2リッターを追加した。
製造された水性分散液中の含フッ素エラストマー微粒子A−5は、濃度29質量%で、平均粒子径0.1μmであり、フッ素含有率は76質量%であった。また、末端ヨウ素原子の個数は4個であった。
製造例6(含フッ素エラストマー微粒子A−6の製造)
3000mL内容量の耐圧反応槽に純水1500ml、パーフルオロオクタン酸アンモニウムC715COONH4を2g入れ、内部空間をVdF/HFP/TFE(18/71/11モル比)の混合ガスで充分置換後、1.57MPaG(16kgf/cm2G)、80℃に加圧昇温し、撹拌下に過硫酸アンモニウム(APS)0.3%水溶液を10ml圧入した。重合反応による圧力降下が起こるので、1.47MPaG(15kgf/cm2G)まで低下した時点で連鎖移動剤であるジヨウ素化合物I(CF24I(1.3g)を圧入し、圧力がさらに1.37MPaG(14kgf/cm2G)まで低下した時点でVdF/HFP/TFE(50/20/30モル比)混合ガスで1.57MPaG(16kgf/cm2G)に再加圧し、以後この方法で1.37〜1.57MPaG(14〜16kgf/cm2G)の圧力範囲で重合を継続した。
重合反応の開始から圧力降下の合計が0.49MPaG(5kgf/cm2G)になった時点で、ヨウ素化合物であるCF2=CFOCF2CF2CH2Iを1.8g注入した。同じく、1.37〜1.57MPaG(14〜16kgf/cm2G)の圧力範囲で重合を継続し、混合ガスボンベ重量の減少が400gになった時点で急速降温、放圧して重合を停止した。
製造された水性分散液中の含フッ素エラストマー微粒子A−6は、濃度23質量%で、平均粒子径0.2μmであり、フッ素含有率は71質量%であった。また、末端ヨウ素原子の個数は6個であった。
製造例7(含フッ素エラストマー微粒子A−7の製造)
3000mL内容積耐圧反応槽に純水1500mL、パーフルオロオクタン酸アンモニウム7.5gを入れ、内部空間をTFE/VdF/HFP(11/19/70モル比)混合ガスで充填置換後、1.47MPaG(15kgf/cm2G)に加圧しI(CF2CF22I 0.3mL(25℃)を注入し、撹拌下に80℃としてAPS0.2%水溶液10mLを圧入した。約0.5時間の誘導時間後、圧力降下が起こるので、1.27MPaG(13kgf/cm2G)まで低下したときTFE/VdF/HFP(20/50/30モル比)混合ガスで1.47MPaG(15kgf/cm2G)に再加圧する。以降、この方法で1.27〜1.47MPaG(13〜15kgf/cm2G)の圧力範囲で重合を継続した。20時間後急速降温、放圧して重合を停止した。
製造された水性分散液中の含フッ素エラストマー微粒子A−7は、濃度23質量%で、平均粒子径0.2μmであり、フッ素含有率は71質量%であった。また、末端ヨウ素原子の個数は2個であった。
実施例23(架橋含フッ素エラストマー微粒子D−7の製造)
含フッ素エラストマー微粒子A−5(平均粒子径0.1μm;フッ素含有率76質量%)の重合上がりの水性分散液(含フッ素エラストマー微粒子濃度:29質量%)が入った重合容器内を窒素ガス置換した後、80℃に加熱した。
この水性分散液(含フッ素エラストマー微粒子A−5の量:29質量部)にトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を3質量部加え、45分間撹拌した。ついで、過硫酸アンモニウム(APS)を1.14質量部加えて架橋反応を開始させた。5時間撹拌下に反応を進めた後室温に冷却して反応を停止させ、架橋含フッ素エラストマー微粒子の水性分散液を得た。なお、一部は、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマーの微粒子を粉体として回収した。
得られた架橋含フッ素エラストマー微粒子D−7の平均粒子径は0.1μm、フッ素含有率は76質量%であり、アセトン不溶分は97質量%であった。
実施例24(架橋含フッ素エラストマー微粒子D−8の製造)
含フッ素エラストマー微粒子A−6(平均粒子径0.2μm;フッ素含有率71質量%)の重合上がりの水性分散液(含フッ素エラストマー微粒子濃度:23質量%)が入った重合容器内を窒素ガス置換した後、80℃に加熱した。
この水性分散液(含フッ素エラストマー微粒子23質量部)にトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を3質量部加え、45分間撹拌した。ついで、過硫酸アンモニウム(APS)を1.14質量部加えて架橋反応を開始させた。5時間撹拌下に反応を進めた後室温に冷却して反応を停止させ、架橋含フッ素エラストマー微粒子の水性分散液を得た。なお、一部は、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマーの微粒子を粉体として回収した。
得られた架橋含フッ素エラストマー微粒子D−8の平均粒子径は0.2μm、フッ素含有率は71質量%であり、アセトン不溶分は87質量%であった。
実施例25(架橋含フッ素エラストマー微粒子D−9の製造)
含フッ素エラストマー微粒子A−7(平均粒子径0.2μm;フッ素含有率71質量%)の重合上がりの水性分散液(含フッ素エラストマー微粒子濃度:23質量%)が入った重合容器内を窒素ガス置換した後、80℃に加熱した。
この水性分散液(含フッ素エラストマー微粒子23質量部)にトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を3質量部加え、45分間撹拌した。ついで、過硫酸アンモニウム(APS)を1.14質量部加えて架橋反応を開始させた。5時間撹拌下に反応を進めた後室温に冷却して反応を停止させ、架橋含フッ素エラストマー微粒子の水性分散液を得た。なお、一部は、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマーの微粒子を粉体として回収した。
得られた架橋含フッ素エラストマー微粒子D−9の平均粒子径は0.2μm、フッ素含有率は71質量%であり、アセトン不溶分は85質量%であった。
実施例26(FEPとの樹脂組成物)
実施例23で得た架橋含フッ素エラストマー微粒子D−7の水性分散液(固形分濃度29質量%)1.7質量部とテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)の水性分散液(FEP粒子の平均粒子径0.2μm;固形分濃度16質量%)247.5質量部を混合し、80℃で30分間撹拌した。ついで、室温に戻し、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマー微粒子D−7とFEPの組成物(D−7/FEP=1/99質量比)を粉体として得た。
実施例27(FEPとの樹脂組成物)
実施例23で得た架橋含フッ素エラストマー微粒子D−7の水性分散液(固形分濃度29質量%)8.6質量部とテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)の水性分散液(FEP粒子の平均粒子径0.2μm;固形分濃度16質量%)237.5質量部を混合し、80℃で30分間撹拌した。ついで、室温に戻し、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマー微粒子D−7とFEPの組成物(D−7/FEP=5/95質量比)を粉体として得た。
実施例28(FEPとの樹脂組成物)
実施例23で得た架橋含フッ素エラストマー微粒子D−7の水性分散液(固形分濃度29質量%)17.2質量部とテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)の水性分散液(FEP粒子の平均粒子径0.2μm;固形分濃度16質量%)225.0質量部を混合し、80℃で30分間撹拌した。ついで、室温に戻し、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマー微粒子D−7とFEPの組成物(D−7/FEP=10/90質量比)を粉体として得た。
実施例29(FEPとの樹脂組成物)
実施例23で得た架橋含フッ素エラストマー微粒子D−7の水性分散液(固形分濃度29質量%)25.9質量部とテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)の水性分散液(FEP粒子の平均粒子径0.2μm;固形分濃度16質量%)212.5質量部を混合し、80℃で30分間撹拌した。ついで、室温に戻し、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマー微粒子D−7とFEPの組成物(D−7/FEP=15/85質量比)を粉体として得た。
実施例30(FEPとの樹脂組成物)
実施例24で得た架橋含フッ素エラストマー微粒子D−8の水性分散液(固形分濃度23質量%)10.9質量部とテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)の水性分散液(FEP粒子の平均粒子径0.2μm;固形分濃度16質量%)237.5質量部を混合し、80℃で30分間撹拌した。ついで、室温に戻し、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマー微粒子D−8とFEPの組成物(D−8/FEP=5/95質量比)を粉体として得た。
実施例31(FEPとの樹脂組成物)
実施例24で得た架橋含フッ素エラストマー微粒子D−8の水性分散液(固形分濃度23質量%)21.7質量部とテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)の水性分散液(FEP粒子の平均粒子径0.2μm;固形分濃度16質量%)225.0質量部を混合し、80℃で30分間撹拌した。ついで、室温に戻し、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマー微粒子D−8とFEPの組成物(D−8/FEP=10/90質量比)を粉体として得た。
実施例32(FEPとの樹脂組成物)
実施例24で得た架橋含フッ素エラストマー微粒子D−8の水性分散液(固形分濃度23質量%)32.6質量部とテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)の水性分散液(FEP粒子の平均粒子径0.2μm;固形分濃度16質量%)212.5質量部を混合し、80℃で30分間撹拌した。ついで、室温に戻し、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマー微粒子D−8とFEPの組成物(D−8/FEP=15/85質量比)を粉体として得た。
実施例33(FEPとの樹脂組成物)
実施例25で得た架橋含フッ素エラストマー微粒子D−9の水性分散液(固形分濃度23質量%)2.2質量部とテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)の水性分散液(FEP粒子の平均粒子径0.2μm;固形分濃度16質量%)247.5質量部を混合し、80℃で30分間撹拌した。ついで、室温に戻し、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマー微粒子D−9とFEPの組成物(D−9/FEP=1/99質量比)を粉体として得た。
実施例34(FEPとの樹脂組成物)
実施例25で得た架橋含フッ素エラストマー微粒子D−9の水性分散液(固形分濃度23質量%)10.9質量部とテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)の水性分散液(FEP粒子の平均粒子径0.2μm;固形分濃度16質量%)237.5質量部を混合し、80℃で30分間撹拌した。ついで、室温に戻し、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマー微粒子D−9とFEPの組成物(D−9/FEP=5/95質量比)を粉体として得た。
実施例35(FEPとの樹脂組成物)
実施例25で得た架橋含フッ素エラストマー微粒子D−9の水性分散液(固形分濃度23質量%)21.7質量部とテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)の水性分散液(FEP粒子の平均粒子径0.2μm;固形分濃度16質量%)225.0質量部を混合し、80℃で30分間撹拌した。ついで、室温に戻し、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマー微粒子D−9とFEPの組成物(D−9/FEP=10/90質量比)を粉体として得た。
実施例36(FEPとの樹脂組成物)
実施例25で得た架橋含フッ素エラストマー微粒子D−9の水性分散液(固形分濃度23質量%)32.6質量部とテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)の水性分散液(FEP粒子の平均粒子径0.2μm;固形分濃度16質量%)212.5質量部を混合し、80℃で30分間撹拌した。ついで、室温に戻し、−20℃で24時間凍結凝析した後、濾過乾燥することにより、架橋含フッ素エラストマー微粒子D−9とFEPの組成物(D−9/FEP=15/85質量比)を粉体として得た。
試験例4
実施例26〜36でそれぞれ得られた組成物ならびに比較例9のFEP粉体について、機械特性および燃料(ガソリン)透過性を調べた。結果を表3に示す。
Figure 0005278315
本発明において、第1の発明の架橋含フッ素エラストマー微粒子(D1)と合成樹脂(E)との組成物によれば、合成樹脂の成形性が向上し、低弾性率や柔軟性などの機械特性が向上するほか、樹脂自体の燃料不透過性を格段に向上させることができる。
第2の発明の架橋含フッ素エラストマー微粒子(D2)によれば、架橋含フッ素エラストマー微粒子のゲル分率および架橋密度を向上させることができるという効果が奏される。
第3の発明の架橋含フッ素エラストマー微粒子(D2)と合成樹脂(E)との組成物によれば、合成樹脂の成形性が向上し、低弾性率や柔軟性などの機械特性が向上するほか、樹脂自体の燃料不透過性を格段に向上させることができる。
第4の発明の架橋含フッ素エラストマー微粒子(D3)によれば、架橋含フッ素エラストマー微粒子のゲル分率および架橋密度を向上させることができるという効果が奏される。
第5の発明の架橋含フッ素エラストマー微粒子(D3)と合成樹脂(E)との組成物によれば、合成樹脂の成形性が向上し、低弾性率や柔軟性などの機械特性が向上するほか、樹脂自体の燃料不透過性を格段に向上させることができる。
第6の発明の製造方法によれば、架橋含フッ素エラストマー微粒子を樹脂へ微分散でき、樹脂の物性を損なわず柔軟性を付与できる。
すなわち、架橋を重合中には行わないことにより、架橋性モノマーにより重合が阻害されることがなく、高分子量、高強度の架橋含フッ素エラストマー微粒子を製造できるという点で有利となり、また架橋が単離(凝析)後でないことにより一次粒子の形態を保持した架橋含フッ素エラストマー微粒子が得られるという点で有利となる。
第7の発明のパーオキサイド架橋された架橋含フッ素エラストマー微粒子(D4)によれば、架橋が単離(凝析)後でないことにより一次粒子の形態を保持した架橋含フッ素エラストマー微粒子が得られるという効果が奏される。

Claims (5)

  1. ゲル分率が85質量%以上である架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D1)と合成樹脂(E)とを含み、該架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D1)/合成樹脂(E)が質量比にて0.1/99.9〜25/75であり、
    架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D1)は、平均粒子径が0.01〜0.5μmであり、
    合成樹脂(E)は、フッ素樹脂である
    組成物。
  2. 前記架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D1)を構成する含フッ素エラストマー(a1)のフッ素含有率が65質量%以上である請求の範囲第1項記載の組成物。
  3. 前記架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D1)を構成する含フッ素エラストマー(a1)が、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライドおよび式(1):
    CF=CF−R (1)
    (式中、R は−CFまたは−OR (R は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基))で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含む請求の範囲第1項または第2項記載の組成物。
  4. 前記架橋された含フッ素エラストマー微粒子(D1)の平均粒子径が0.3〜0.1μmである請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載の組成物。
  5. 前記合成樹脂(E)が、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体である請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載の組成物。

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