JP5276028B2 - 緑茶飲料抽出用茶葉 - Google Patents

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Description

本発明は、缶やペットボトル等の容器に充填する容器詰緑茶飲料の原料茶葉として、或いは、ティーバッグ等に充填する茶葉などとして好適に用いることができる緑茶飲料抽出用茶葉であって、中でもカフェインを低減した緑茶飲料抽出用茶葉に関する。
茶は古くから世界中の人々に親しまれており、緑茶に代表される不発酵茶、ウーロン茶に代表される半発酵茶、紅茶に代表される発酵茶など、その種類も飲用方法も様々である。
日本の緑茶は、茶葉及び飲料(ドリンク)の形態で販売されるものを含めてその大半が、摘採された茶生葉を蒸気で蒸して茶生葉に含まれる酸化酵素を不活性化(殺青)させた後、粗揉、揉捻、中揉及び精揉等によって揉込み、乾燥させる一連の工程を経て製造されていた(非特許文献1参照)。
このように生葉を蒸気で蒸す蒸熱法によって茶葉を殺青すると、蒸熱によって茶葉全体が柔らかくなるため、茶葉中の成分の溶出性を高めることができ、濃いお茶を入れることができる。
中国茶や日本の釜炒り茶(かまいり製玉緑茶)などでは、蒸熱の代わりに、加熱した釜で茶葉を炒ることによって酸化酵素を不活性化(殺青)させる方法が採られる(非特許文献1参照)。
直火加熱によって茶葉を殺青すると、釜炒り特有の香味を発揚できると同時に、すっきりとした味の茶に仕上げることができるため、最近では釜炒りで製造した原料茶葉を使った茶飲料も販売されている。
緑茶飲料は、酸化劣化に弱く、劣化臭が生じることがあるほか、製造直後に一次オリと称される沈殿(クリームダウンとも呼ばれる)が生じたり、緑茶の場合には保存中に二次オリと称される沈殿が発生したりするなどの問題があった。そのため、従来から、酸化劣化の抑制、不快臭の発生抑制、さらには一次オリ・二次オリの発生抑制を目的として、緑茶飲料の原料として用いる加工茶葉に関して様々な提案が為されてきた。
例えば、直火の熱で釜入り処理をすることにより、微粉が出にくく劣化臭生成が抑えられる原料茶の製造方法が開示されている(特許文献1)。また、茶葉中のテオガリンやストリクチニンを指標にして二次オリ発生を抑制管理する方法(特許文献2、特許文献3)が開示されている。
また、飲料用原料茶の製造方法として、減圧槽に茶葉をセットし減圧しながらマイクロ波や遠赤外線加熱を行い、短時間で乾燥するため原料茶の酸化が抑えられる方法(特許文献4)が開示されている。
さらには、緑茶飲料中のグルコースとフルクトースの含有量を一定量に調整し、シュウ酸濃度を抑え、非重合体カテキン類に対するカフェインの比率を調整することにより、長期間色調が安定な高濃度カテキン飲料が製造可能になること(特許文献5)が開示されている。
茶葉に含まれるカフェインは、様々な有効な薬理効果を有している反面、カフェインの興奮作用に敏感であるなどの理由で、最近ではカフェイン含有量を低減した飲料が注目され、緑茶飲料に用いる茶葉に関しても、カフェインを低減することが注目されている。
茶葉に含まれるカフェインを低減させる手段としては、例えば、殺青時に湯せんや温水シャワーを吹きかけることによって茶葉からカフェインを除去する手法などが開示されている(特許文献6、特許文献7)。
静岡県茶業会議所編、1988、「新茶業全書」、静岡県茶業会議所、p275−276
特開2004−208605号公報 特開2008−000044号公報 特開2003−310161号公報 特開2002−34457号公報 特開2005−058210号公報 特開平07−135902号公報 特開2009−291160号公報
従来から日本では、緑茶を急須等で淹れて温かいうちに飲むのが普通であったが、ペットボトル詰緑茶飲料など容器詰緑茶飲料の普及とともに、新たな課題が生じてきた。すなわち、容器詰緑茶飲料の場合には、製造後しばらく保管されるため、この間にオリが生じたり、褐変したりするなどの経時劣化しない品質安定性が求められる。また、冷やして飲まれることが多いため、冷やしても美味しく飲むことができることも求められる。さらには、容器詰緑茶飲料は工業的に生産されるため、短時間で効率よく美味しいお茶を抽出できる原料茶葉であることが求められる。これらの点は、ティーバッグ用の原料茶葉においても同様である。
そこで本発明者は、短時間で効率よく美味しいお茶を抽出できる原料茶葉、とりわけ冷やして飲まれることが多い容器詰茶飲料に適した新たな原料茶葉として、乾燥茶葉重量全体に対するテアニン含有割合と、カフェイン含有量に対する単糖類含有量の重量割合とを一定条件に調製してなる原料茶葉を提案している(特願2009−100648)。
ところで、例えば湯せんや温水シャワーなどの低カフェイン処理を、摘採時期や芽の熟度、茶の部位、栽培条件などの異なる様々な飲料用原料茶葉に対して一律に行った場合、抽出後に得られる茶液の濃度感を感じ難くなるため、濃度感を維持するために何らかの技術的な解決手段が必要であった。
そこで本発明は、缶やペットボトル等の容器に充填する容器詰緑茶飲料用の原料茶や、ティーバッグ等に充填する原料茶などとして好適な緑茶飲料抽出用茶葉を提供するために、保管した際の品質安定性が良好で、かつ、冷やしても濃度感を損なうことなく美味しく飲むことができる緑茶飲料を抽出することができ、好ましくは短時間で効率よく美味しいお茶を抽出することができる、新たな緑茶飲料抽出用茶葉を提供せんとするものである。
かかる課題を解決するため、本発明は、乾燥葉質量全体に対するカフェイン含有量が0.2〜2.5質量%であって、且つ、乾燥茶葉質量全体に対するテアニン含有質量割合X(%)と、繊維量に対する単糖類含有量の質量割合Yとの関係が次の条件(1)を満たすことを特徴とする緑茶飲料抽出用茶葉を提案する。
(1)・・−0.007X+0.024≦Y≦−0.011X+0.039
本発明者らが、低カフェイン処理を行いつつも香味のバランスを整えた緑茶飲料用原料茶葉について鋭意検討した結果、旨味に関与するテアニンと、味に関与する単糖類とで濃度感を高めると共に、茶期によって大きく変動するテアニンと、同じく茶期によって変動する繊維成分とを指標にして、香味のバランスを整えつつ、乾燥によって変動する単糖類を加工によって調整することで、原料茶葉の加工・調整を行い、これによってカフェイン低減処理した茶葉において苦味渋味が軽減されても、濃度感を感じにくくなることがなく、美味しい緑茶飲料が得られることが分かった。また、これを抽出して得られる緑茶飲料は保管した際も品質安定性が良好であり、濃度感を感じ難くなってしまうことがなく、美味しく飲むことができることも分かった。
さらに、圧密比を0.85〜0.95に調整することにより、短時間で効率よく美味しいお茶を抽出することができるため、工業的に容器詰緑茶飲料を生産するのに適している。また、短時間で抽出することができるため、ティーバッグ入り緑茶としても好適である。
よって、本発明の緑茶飲料抽出用茶葉は、缶やペットボトル等の容器に充填する緑茶飲料を抽出するための原料茶葉として、或いは、ティーバッグに充填する茶葉などとして好適に用いることができる。
テアニン含有質量割合(%)をX軸とし、繊維量に対する単糖類含有量の質量割合をY軸とする座標中に、試験1で得たサンプルNo.1〜No.24の測定値をプロットしたグラフである。 本抽出用茶葉を製造するのに用いる一次乾燥装置の一例を示した図である。 本抽出用茶葉を製造するのに用いる揉み・成形装置の一例を示した図である。 本発明が好ましいとする茶葉の形状の一例を示した写真である。 図4の茶葉の内部の拡大写真である。 従来の茶葉の形状の一例を示した写真である。 図6の茶葉の内部の拡大写真である。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明の範囲が実施の形態に制限されるものでない。
<緑茶飲料抽出用茶葉>
本実施形態に係る緑茶飲料抽出用茶葉(以下「本抽出用茶葉」という)は、カフェインを低減した茶葉であって、茶葉に含まれるテアニンの含有割合と、繊維量に対する単糖類含有量の質量割合とが、特定の関係にあることを特徴とする茶葉である。
(茶種)
本抽出用茶葉は、茶樹(Camellia sinensis)の葉若しくは茎又はこれらを原料として製造された加工茶葉であって、煎茶、玉露、茎茶、かぶせ茶、碾茶、抹茶、番茶、ほうじ茶、釜炒り茶などの不発酵茶としての緑茶、或いは、この緑茶にジャスミン、蓮、桂花、柚子、菊等の香りを着香させた花茶などであればよい。
(茶葉の組成)
本抽出用茶葉は、乾燥葉質量全体に対するカフェイン含有量が0.2〜2.5質量%であることが重要である。
茶葉のカフェイン含有量が0.2〜2.5質量%であれば、カフェイン含有量の多い一番茶や二番茶の新芽や、玉露やかぶせ茶及び碾茶などの被覆栽培によって育成された茶葉に比べて十分にカフェイン量が少ないばかりか、テアニン含有量、繊維量、単糖類含有量を特定範囲に調整することで、保管した際の品質安定性が良好で、かつ、冷やした際に濃度感を損なうことなく美味しく飲むことができる緑茶飲料を抽出することができる茶葉を得ることができる。
かかる観点から、乾燥葉質量全体に対するカフェイン含有量が0.2〜2.5質量%であることが重要であり、特に0.7質量%以上、2.0質量%以下、その中でも1.2質量%以上、1.5質量%以下であるのが好ましい。
茶葉のカフェイン量は茶時期や品種、栽培条件によって含有量が変動する。特に、各茶期の初期の若い茶葉で含有量が高くなるため、茶葉の選択によってある程度カフェイン量を低減することはできるが、本発明が所望するカフェイン含有量に調整するためには、熱水処理や熱水シャワー、流水洗浄、含水有機溶媒による洗浄などの低カフェイン化処理によって、茶葉のカフェイン量を低減するのが好ましい。
また、本抽出用茶葉は、乾燥茶葉質量全体に対するテアニン含有質量割合X(%)と、繊維量に対する単糖類含有量の質量割合Yとの関係が、次の条件(1)を満たすことが重要である。
(1)・・−0.007X+0.024≦Y≦−0.011X+0.039
後述する実施例の図1に示されるように、テアニン含有質量割合X(%)と、繊維量に対する単糖類含有量の質量割合Yとの関係について検討した結果、Y=−0.007X+0.024とY=−0.011X+0.039との間に存在する茶葉は、保管した際の品質安定性が良好で、かつ、冷やした際に濃度感を感じにくくなることなく美味しく飲むことができる緑茶飲料を抽出できることが確認された。
中でも、−0.008X+0.028≦Y≦−0.010X+0.032の条件を満たす茶葉であればさらに好ましくなることが確認された。
このような条件(1)を満足するように茶葉を調製するには、次の観点に留意して茶葉を製造するのが好ましい。
茶葉のテアニン含有量は、被覆栽培や茶時期などによって影響を受ける。例えば新芽や、茶時期が早く繊維量が少ない場合にその含有量が多く、茶時期が遅く繊維量が多い場合はその含有量が少なくなる傾向がある。よって、茶時期や、芽の伸び具合、さらには被覆処理などによってテアニン含有量を調整することができる。
繊維量は、茶時期や品種、品質、芽伸びによって変動する。特に三番茶や四番茶および秋冬番茶に多く、さらに一番茶から四番茶および秋冬番茶の各茶期の後期に繊維量は多くなる。よって、かかる観点から茶葉を選択することにより繊維量を調整することができる。
ただし、特定の乾燥処理を施すことによって単糖類の質量割合を調整する方法が、条件(1)を満足するように茶葉を調製するには最も効果的である。
すなわち、従来の乾燥方法では、熱風で長時間かけて乾燥させていたが、直火熱で短時間の加熱を行うことにより瞬時に茶葉等を乾燥させ、この際の直火熱の温度と加熱時間とを調節することにより、単糖類の質量割合を調整することができ、(1)の条件を満足する茶葉を製造することができる。加熱温度が高いと、単糖類が減少する傾向がある。
より具体的には、従来の葉打ち及び粗揉に代わる1次乾燥として、例えば図2に示すような装置を使用して、105〜165℃、特に115〜155℃、好ましくは125〜145℃に加熱した加熱体に、5秒〜40秒、好ましくは10秒〜20秒間、接触させるのが好ましい。但し、この方法に限定するものではない。
この際、単糖類の割合Yが所望の値よりも高ければ一次乾燥時の加熱温度を高くすればよい。
なお、本発明における「単糖類」とは、グルコース及びフルクトースを指している。
本抽出用茶葉はさらに、次の(2)の条件を満足することが好ましい。
(2)・・X=0.2〜2.0(%)
乾燥茶葉質量全体に対するテアニン含有質量割合(%)が0.2%以上であれば、香味の安定性に優れ、抽出安定性も良好であり、2.0%以下であれば抽出安定性に優れ、香味の安定性も良好である。
かかる観点から、乾燥茶葉質量全体に対するテアニン含有質量割合(%)は、0.5〜1.6%であるのが好ましく、特に0.7〜1.7%であるのがさらに好ましい。
(茶葉の形態)
従来の茶葉は、一枚の茶葉が撚れて針のように棒状に成形されたものであったが(図6,7参照)、複数の茶葉が集まり、内部に空間を有する塊状に成形されたものが、緑茶飲料抽出用としては好ましい(図4,5参照)。
容器詰緑茶飲料やティーバッグ緑茶の場合、短時間で効率良く緑茶を抽出できることが求められるが、従来の茶葉のように、一枚の茶葉が撚れて針のように棒状に成形された茶葉に比べ、複数の茶葉が集まり、内部に空間を有する塊状に成形されたものの方が、短時間で効率良く緑茶を抽出することができることが判明した。
但し、塊状とは、特にその形状を限定するものではなく、例えば球体、楕円球体、円柱体、直方体などの任意の形状の意味である。
このような形態に形成するには、後述するように、例えば図3に示されるような装置を使用して揉み・成形すればよい。但し、この方法に限定するものではない。
(圧密比)
圧密した時の比(「圧密比」と称する)は、上記の如き茶葉の形態を示す一つの指標であり、本抽出用茶葉において圧密比は0.85〜0.95の範囲にあるのが好ましい。
本抽出用茶葉の圧密比が0.85〜0.95の範囲にあれば、抽出効率に優れ、短時間で効率良く美味しい緑茶を抽出することができる。かかる観点から、圧密比は0.88〜0.93であるのが好ましく、特に0.89〜0.91であるのがより好ましい。
茶葉等の抽出速度が遅すぎると、抽出を長時間する必要があるため、効率的でないのに加えて茶抽出液中に不要な雑味が一緒に抽出されやすくなり好ましくないが、茶葉等の抽出速度が早すぎると、効率的ではあるものの、香味調整の為の抽出調整が困難となったり濾過負担が増えたりする。
本抽出用茶葉の圧密比を上記範囲にするには、後述するように、例えば図3に示されるような装置を使用して揉み・成形すればよい。但し、この方法に限定するものではない。
なお、本発明が規定する茶葉の「圧密比」とは、茶葉を自然落下させて容器内に充填して測定した「ゆるめ嵩密度」に対する、茶葉に振動を与えながら容器内に充填して測定した「固め嵩密度」の比である。
圧密比=「固め嵩密度」/「ゆるめ嵩密度」
<製造方法>
以下、本抽出用茶葉の好ましい製造方法について説明するが、本抽出用茶葉の製造方法が下記製造方法に限定されるものではない。
本抽出用茶葉は、カフェイン低減処理を施して茶葉のカフェイン量を低減させるのが好ましい。茶葉のカフェイン低減処理方法としては、特に限定するものではなく、例えば80〜100℃の熱水で湯せんする方法や、超臨界処理を施す方法、水素イオン交換樹脂と接触させる方法、活性白土や酸性白土と接触させる方法などを採用することができる。
このようにカフェイン低減処理を施した茶葉は、必要に応じて蒸熱処理し、その後、図2に示す装置にて1次乾燥を行って茶葉の含水量を調整した後、図3に示す装置にて茶葉を加圧しながら揉んで孔から押出す揉み・成形を行い、次に乾燥装置内で80℃の熱風を送りながら2次乾燥することにより、好適に製造することができる。
但し、このような製造方法に限定するものではない。
上記の1次乾燥では、図2に示すように、105〜165℃に加熱した2つの回転ローラー(加熱体)11、11間に茶葉を投入して、加熱したローラー11に接触させると共にローラー11、11間で加圧して茶葉の難乾燥部位(茎や芯の部分)を押し潰し、そのままローラー11表面に5秒〜40秒間貼り付けて加熱乾燥させ、ローラー表面から例えばヘラのような物12で刮ぎ落とすようにして離脱させればよい。
この場合、ローラー表面に茶葉が貼り付いている時間が乾燥時間となる。
また、1次乾燥では、茶葉(茎を含む)の厚さが0.4mm以下、好ましくは0.1mm〜0.4mm、さらに好ましくは0.20mm〜0.30mmの範囲内となるように加圧するのが好ましい。また、茶葉の含水量が30〜70質量%、特に40〜60質量%程度となるように一次乾燥を行うのが好ましい。
上記の揉み・成形は、図3に示す装置、すなわち、シリンダー31中で回転する搬送スクリュー32と、シリンダー31の出口部に嵌着される多数の孔33を備えたプレート34と、該プレート34に近接して回転するナイフ35とを備えた装置3で実施することができる。この装置を使用することにより、搬送スクリュー32で茶葉を揉みながら出口方向に圧送し、プレート34の孔33から茶葉2を押出すと共に、該プレート34の内面に摺接しながら回転するナイフ35によって切断して塊状に成形することができる。
このように揉み・成形すれば、従来のように一枚の茶葉が撚れて針のように硬い棒状に成形されるのとは異なり、複数の茶葉が集まり、内部に空間を有する塊状に成形することができる。
なお、搬送スクリューの回転速度及びプレートの孔の大きさ等によって、揉みの程度や処理後の茶葉の形状等を調整することができる。
搬送スクリューの回転速度は、40rpm〜400rpm、特に60rpm〜300rpmとするのが好ましい。
また、プレートの孔、すなわち茶葉を押出す孔は、その直径が6.0mm〜16mm、特に6.0mm〜12.8mmに形成するのが好ましい。この孔を、1mあたり0.20m〜0.50m、特に0.25m〜0.45m、更に0.30m〜0.40mの割合で形成するのが好ましい。茶葉を投入してから押出すまでの時間としては、5秒〜30秒、特に5秒〜20秒とするのが好ましい。
また、揉み・成形工程では、品質劣化を防ぐために、品温が40℃以上、好ましくは30℃以上に上がらないように冷却するのが好ましい。
この際、冷却の手段は任意であり、冷却水などで装置を冷却してもよいし、茶葉と一緒に氷やドライアイスを投入するようにして冷却してもよい。
2次乾燥の具体的手段は特に限定するものではなく、従来から行われている乾燥方法を採用することができ、茶葉の含水量を5〜10質量%とするように乾燥させるのが好ましい。
なお、2次乾燥して得られた茶葉は、そのまま容器詰緑茶飲料を製造するための抽出原料茶葉として使用することもできるが、例えば、抽出効率や抽出成分の均質化を図るために、荒茶の粒度や形状を揃える処理を行ってもよいし、また、香味を改質するために火入れ処理をしてもよい。また、ティーバッグに充填するために、粉砕して粒度を細かくする処理を行ってもよい。
茶葉を低カフェイン処理する場合、通常は、熱水処理や熱水シャワー、流水洗浄、含水有機溶媒による洗浄などが行われている。このように低カフェイン処理によって生茶葉表面に含水するため、露葉や雨葉もしくは洗浄葉のように通常の生茶葉よりも含水量が多くなる傾向があるため、茶葉を乾燥させる手段は重要である。また、繊維量が少ないと水分量が多くなる傾向にあるため、この点からも茶葉を乾燥させる手段は重要である。
上述のように、一次乾燥によって表面に水分を持った茶葉を短時間で乾燥させることで、飲料製造後の水色や香味への影響を抑えることができる。さらに、旨み成分であるテアニンと、甘味成分である単糖を繊維量で調整することで、苦渋味を抑えつつも濃度感のある低カフェイン飲料用原料茶葉を製造することができる。
<用途>
次に、本抽出用茶葉の好ましい利用用途について説明する。但し、以下に説明する用途に限定する意図ではない。
(容器詰茶葉)
本抽出用茶葉は、各種包装容器に封入して販売することができる。
この際、包装容器は、紙製、ビニール製、金属製、プラスチック製及びその複合体の何れであってもよく、一度包装したものをさらに同種又は別種の包装容器に封入してもよい。
ここで包装容器とは、箱、袋、あるいはこれらに類する容器であってもよく、またその形状や色彩も特に限定されないが、茶葉が光や酸素・水分による劣化に弱いことを考慮すると、遮光性や酸素遮断性に優れたものが特に好ましい。
(ティーバッグ)
本抽出用茶葉は、簡便性を考慮してティーバッグに封入することもできる。この際、ティーバッグのサイズ、材質、形状、タグの有無等は、公知の方法を適宜利用することができる。
本抽出用茶葉をティーバッグに封入する場合の量は、抽出液の呈味や香味性と抽出効率とを考慮して選択することができる。
(インスタント茶原料)
本抽出用茶葉は、インスタント茶(インスタントティー)の原料として用いることもできる。
本抽出用茶葉をインスタント茶として加工するためには、例えば本抽出用茶葉を粉砕して造粒工程に供し、顆粒状の茶粉末とすればよい。この際、乾燥工程前又は同時に茶葉等に含まれる茎部分を0.1mm以下に圧縮することにより瞬時に粉末化でき、水色と鮮度に優れたインスタント茶(インスタントティー)を製造することができる。
(容器詰飲料用の原料茶)
本抽出用茶葉は、容器詰緑茶飲料を抽出するための原料茶として好適に利用することができる。
容器詰緑茶飲料とは、金属缶やプラスチック容器、ペットボトル、ガラス瓶、紙容器等の密封容器に緑茶飲料を充填して製品化されたものをいう。中でも外観が商品価値に大きく影響を与えるペットボトルや透明プラスチック容器、ガラス瓶などの透明容器において特にフロックの抑制技術が強く求められている。
ここで、容器詰緑茶飲料の製造方法の一例について説明する。
先ず、原料となる本抽出用茶葉を20〜50倍質量の水にて抽出する。抽出時間及び温度は使用する茶葉の種類や、求める茶飲料の品質や呈味性(例えば低温で抽出すると旨みが強くなり高温で抽出すると渋味が強くなる)等によって適宜調整するが、通常は45〜95℃で3〜30分の抽出を行い、必要に応じて抽出操作中に撹拌を行う。
次いで、茶殻等の不溶物を濾過や遠心分離等により除去することにより茶抽出液を得る。これに、水を加えて飲用に適した濃度に希釈し、必要に応じて酸化防止のために100〜2000ppmのアスコルビン酸又はその塩等を添加したり、100〜2000ppmの炭酸水素ナトリウム等を添加することでpHを5.0〜7.0に調整したり、その他の添加物を加えて茶飲料調合液とする。
そして、上記の如く得られた茶飲料調合液を金属缶やプラスチック容器、ペットボトル、ガラス瓶、紙容器等の密封容器に充填及び殺菌して製造することができる。
容器詰緑茶飲料としては、本抽出用茶葉に玄米や、各種植物の葉、茎、根等をブレンドして抽出することも可能である。
また、緑茶抽出液に、玄米や各種植物の葉、茎、根等を抽出して得た抽出液又は抽出物を加えてもよいし、また、緑茶抽出液を精製して得られたカテキン組成物(例えば伊藤園社製テアフラン30や90など)を加えてもよいし、その他酸化防止剤、保存料、環状オリゴ糖、食物繊維、乳化剤、色素、香料、安定剤、pH調整剤、酸味料、甘味料、果汁、栄養強化剤等を単独又は組み合わせて添加してもよい。
また、容器詰茶飲料におけるフロック抑制乃至防止効果を補完又は増強のために、必要に応じて公知のフロック発生の抑制乃至防止方法、例えば、酵素処理により水溶性高分子多糖成分を分解する方法、原因物質や沈殿(フロック)を限外濾過やケイ藻土濾過によって物理的に取り除く方法やフロック抑制物質の添加などの方法を容器詰茶飲料製造工程中に組み込んでもよい。
<用語の説明>
本発明の説明中で、「主成分」と表現した場合、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含する。この際、当該主成分の含有割合を特定するものではないが、緑茶を抽出して得られた抽出液乃至抽出物が、水分を除き、飲料中の50質量%以上、特に70質量%以上、中でも特に80質量%以上(100%含む)を占めるのが好ましい。
また、「容器詰緑茶飲料」とは、容器に詰た緑茶飲料の意であるが、同時に希釈せずに飲用できる緑茶飲料の意味でもある。
さらに、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意であり、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
以下に本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[試験1]
従来とは異なる製法で作製した茶葉について分析及び評価を行い、成分の特徴と評価結果を検討した。
<サンプルNo.1〜No.16>
5月上旬〜10月初旬の茶時期に摘採した生茶葉(静岡産、やぶきた種)の中で、テアニン量が2.0〜0.2%の範囲に入る生茶葉を選択し、選択した生茶葉を80℃〜95℃の温水を用いて15〜120秒間湯せんするか、若しくは、80℃〜95℃の温水による温水シャワー処理を行った(含水率70〜80%)。その後、図2に示す一次乾燥装置(ローラー間の間隙0.3mm)を用いて、茶葉を圧縮して押しつぶすと共に、120℃〜150℃に加熱された加熱ローラーに3秒〜60秒間接触させて、茶葉(茎を含む)の厚さを0.3mm、含水率30〜70%とした。次に、図3に示す装置(プレートの孔:直径9.5mmの孔が1m当たり0.3mの割合で穿設、搬送スクリューの径55mm、搬送スクリューの長さ250mm)を用いて、搬送スクリューの回転速度230rpm、揉み・成形時間20秒、圧送中の品温30〜40℃となるように揉み・成形を行い(含水率30〜70%)、その後、80℃の条件で2次乾燥を行って飲料用原料茶葉(サンプル)を得た(含水率5〜10%)。
なお、茶葉(茎を含む)の厚さは、並行する2つの加熱ローラーの間隙を0.3mmに調節することにより、0.3mmに調整している。
<サンプルNo.17〜No.19>
5月上旬〜10月初旬の茶時期に摘採した生茶葉(静岡産、やぶきた種)の中で、テアニン量が1.8〜0.5%の範囲に入る生茶葉を選択し、選択した生茶葉を連続送帯式蒸し機を用いて無圧蒸気で30秒蒸熱処理した(含水率70〜80%)。その後、従来と同様に、冷却, 粗揉, 揉捻, 中揉, 精揉, 乾燥して飲料用原料茶葉(サンプル)を得た。
なお、標準的な行程に従い、粗揉,揉捻,中揉,精揉,乾燥の各工程における温度と時間を次のように設定した。
粗揉:初期110℃, 5分、中末期80℃, 30〜40分
揉捻:60℃、20分
中揉:90℃、30〜40分
乾燥:80℃、30〜40分
<サンプルNo.20〜No.24>
5月上旬〜10月初旬の茶時期に摘採した生茶葉(静岡産、やぶきた種)の中で、テアニン量が2.0〜0.2%の範囲に入る生茶葉を選択し、選択した生茶葉を80℃〜95℃の温水を用いて45〜90秒間湯せんするか、若しくは、80℃〜95℃の温水による温水シャワー処理を行った(含水率70〜80%)。その後、従来と同様に、冷却,粗揉,揉捻,中揉,精揉,乾燥して飲料用原料茶葉(サンプル)を得た。
なお、標準的な行程に従い、粗揉,揉捻,中揉,精揉,乾燥の各工程における温度と時間を次のように設定した。
粗揉:初期110℃,5分、中末期80℃,30〜40分
揉捻:60℃、20分
中揉:90℃、30〜40分
乾燥:80℃、30〜40分
<サンプルの分析>
得られた各サンプルNo.1〜No.24の含有成分を次のようにして分析した。
(テアニン含有量及び繊維量の分析方法)
各サンプル(飲料用原料茶葉)をUDY CORPORATION製サイクロンミルにて粉砕し、専用セルに充填後、静岡製機株式会社製INSTALAB600近赤外分析計でテアニン含有量及び繊維量を求め、乾燥茶葉質量全体に対するテアニン含有量(質量%)及び繊維含有量(質量%)を算出し、これを「テアニン(%)」「繊維(%)」として示した。
(糖の分析方法)
次の分析方法により、乾燥茶葉質量全体に対する単糖類の含有割合(質量%)を測定した。
この際、定量した単糖類は、グルコース及びフルクトースである。
(1)サンプルの調整方法
粉砕した茶葉を50mg取り、50mgの超純水で15分間超音波抽出した。抽出したサンプルを500μL取り、100mMのNaOH100μL、50ppmLactose100μL、超純水400μLを加えてよく攪拌し、ボンドエルートSAX(GL
Sciences社製)に100μL充填し素通りを廃棄後、さらにサンプルを300μL充填し、素通りを回収してサンプルとした。
(2)分析条件
・分析装置:ダイオネックス社製 HPLC糖分析装置
・カラム:Carbopack PA1(4.6mm×250mm)(ダイオネックス社製P/N35391)
・カラム温度:30℃
・流速:1.0mL/min
・グラジェント条件:下記表1参照
Figure 0005276028
(カフェインの分析方法)
次の分析方法により、乾燥茶葉質量全体に対するカフェインの含有割合(質量%)を測定した。
(1)サンプルの調製方法
粉砕した茶葉を200mg取り、100mLの20%アセトニトリルで60分間超音波抽出した。抽出液をメンブランフィルター(0.45μm)で濾過してサンプルとした。
(2)分析条件
・分析装置:Waters社製 Xbridge shield RP18 3.5mm×150mm
・カラム温度:40℃
・流速:0.5mL/min
・移動相:A相 水、B相 アセトニトリル、C相 1%リン酸
・注入量:5μL
・検出器:Waters社製 UV検出器UV230nm
・グラジエント条件:下記表2参照
Figure 0005276028
<圧密比の測定>
サンプル(茶葉)の圧密比は、次のように測定した。
各サンプルを100g正確に取り、1000mLのメスシリンダーに自然落下させ、容量を測定し「ゆるめ嵩密度」とした。次に、各サンプルを100g正確に取り、1000mLのメスシリンダーに入れ、隙間がなくなるように強制的に底をたたきながら振動を与えた後、容量を測定し「固め嵩密度」とし、次式により「圧密比」を算出した。
圧密比=「固め嵩密度」/「ゆるめ嵩密度」
<サンプルから得られた飲料の評価>
得られた各サンプルNo.1〜No.24から容器詰飲料を作製し、飲料製造直後及び保管後において、香味、苦渋味、安定性、濃度感などを次のように評価した。
(容器詰飲料の作製)
各サンプル(原料茶葉)10gを,70℃の蒸留水1000mlにて3.5分間抽出し、メッシュ(150メッシュ)にて残渣を除去した。得られた抽出液を室温まで急冷し、更に遠心分離(7000rpm、10分)処理を行って不溶性画分を除去した後、L−アスコルビン酸を調合メスアップ量に対して300ppm加え、重曹にてpH6.0に調整し、得られた調合液を133〜135℃にて30秒間UHT殺菌した後、PETボトルに充填し急冷して容器詰茶飲料を得た。
(容器詰飲料の保管)
上記のようにして作製した容器詰茶飲料を、室温で7日間保管した。
(飲料の香味評価)
製造直後の飲料及び保管後の飲料を5℃に冷やした後、それぞれをパネラー5名で飲用し、次の基準で香り・味の評価を行った。
=香味評価基準=
1:非常に良好
2:良好
3:やや不良
4:不良
(飲料の苦渋味の評価)
製造直後の飲料及び保管後の飲料をそれぞれ5℃に冷やした後、それぞれをパネラー5名で飲用し、次の基準で苦渋味の評価を行った。
=苦渋味評価基準=
1:非常に良好
2:良好
3:やや不良
4:不良
(飲料の安定性評価)
保管後の飲料のオリの発生状況を目視観察し、次の基準で評価を行った。
=安定性評価基準=
+++:沈殿物が多い
++:沈殿物有り
+:やや沈殿物有り
-:沈殿物なし
(飲料の濃度感の評価)
製造直後の飲料(5℃)についてパネラー5名で飲用し、濃度感の評価を行った。
=濃度感評価=
1:非常に良好
2:良好
3:やや不良
4:不良
(総合評価)
冷やした時の香味、苦渋味、飲料の安定性及び飲料の濃度感の評価を総合して次の基準でサンプルを総合評価した。
=総合評価基準=
◎:非常に優れている
○:優れている
△:やや劣る
×:劣る
Figure 0005276028
Figure 0005276028
(結果・考察)
表3及び表4の結果をもとに、テアニン含有質量割合(%)をX軸とし、繊維量に対する単糖類含有量の質量割合をY軸とする座標中にサンプルNo.1〜No.24の測定値をプロットしたグラフを図1に示した。
この結果、Y=−0.011X+0.039(図1中の最上方の直線)よりも下方に位置する茶葉は、溶出性および濃度感に優れた茶葉が得られることが分かった。
他方、Y=−0.007X+0.024(図1中の最下方の直線)よりも上方に位置する茶葉は、香り良くさっぱりした香味の茶葉が得られることが分かった。
この結果、乾燥葉質量全体に対するカフェイン含有量0.2%〜2.5%のサンプルNo.1〜No.16においてY=−0.007X+0.024とY=−0.011X+0.039の間に存在するサンプルはいずれも、飲料製造直後及び保管後における香味、苦渋味、濃度感の評価が好ましく、さらに安定性も良好であることが分かった。
また、Y=−0.008X+0.028≦Y≦−0.010X+0.032との間に存在するサンプルはさらに前記評価が好ましくなる傾向が認められた。
[試験2]
試験1で得られたサンプル(茶葉)のうちから代表的なものを選び、それらの形態を観察すると共に、それらの圧密比を測定し、圧密比と濾過速度、抽出速度、濃度感などとの関係を検討した。
<濾過速度の測定>
各サンプル(原料茶葉)10gを、70℃の蒸留水1000mLにて3.5分間抽出し、茶葉を取り除いた後、抽出液をステンレスメッシュ(JAS規格150メッシュ)にて濾過した。この際、抽出液の流し始めを濾過スタート(測定開始)とし、メッシュ上に抽出液がなくなった時点をストップ(測定終了)として、濾過時間を測定し、次の基準で4段階評価(1〜4)した。
1:速い (10〜20秒)
2:やや速い (21〜30秒)
3:やや遅い (31〜40秒)
4:遅い (41以上)
<抽出速度の測定>
各サンプル(原料茶葉)10gを、70℃の蒸留水1000mLにて抽出し、Brixが0.3に達するまでの時間を測定した。この際、Brixは、株式会社アタゴ社製DD7示差濃度計で測定した。そして、次の基準で4段階評価(1〜4)した。
1:非常に速い (抽出速度90秒以下)
2:速い (抽出速度91〜120秒)
3:やや遅い (抽出速度121〜150秒)
4:遅い (抽出速度151秒以上)
<サンプルから得られた飲料の評価>
各サンプル(原料茶葉)から容器詰飲料を作製し、飲料製造直後の飲料について、濃度感を次のように評価した。
(容器詰飲料の作製)
各サンプル(原料茶葉)10gを、70℃の蒸留水1000mLにて3.5分間抽出し、メッシュ(150メッシュ)にて残渣を除去した。得られた抽出液を室温まで急冷し、更に遠心分離(7000rpm、10分)処理を行って不溶性画分を除去した後、L−アスコルビン酸を調合メスアップ量に対して300ppm加え、重層にてpH6.0に調整し、得られた調合液を133〜135℃にて30秒間UHT殺菌した後、PETボトルに充填して急冷して容器詰茶飲料を得た。
(飲料の濃度感の評価)
製造直後の飲料(5℃)についてパネラー5名で飲用し、濃度感の評価を行った。
=濃度感評価=
1:非常に良好
2:良好
3:やや不良
4:不良
(総合評価)
抽出速度、濾過速度および飲料製造直後の濃度感の評価を総合してサンプルを評価した。
=総合評価基準=
◎:非常に優れている
○:優れている
△:やや劣る
×:劣る
Figure 0005276028
Figure 0005276028
(結果・考察)
図4−5及び図6−7を対比すると、従来の製法による比較品のサンプルはいずれも、一枚の茶葉が撚れて針のように棒状を呈しているのに対し、本発明品のサンプルはいずれも、複数の茶葉が集まり、内部に空間を有する塊状に成形されていることが確認された。また、このような形態の茶葉は、圧密比が0.85〜0.95の範囲であることも認められる。よって、圧密比は、本抽出用茶葉の形態を示す一つの指標であることが認められる。
表5及び表6の結果より、本抽出用茶葉の圧密比は0.85〜0.95の範囲にあるのが好ましいことが分かった。圧密比がこの範囲であれば、濾過速度、抽出速度ともに早く、さらに飲料製造から保管後に沈澱物を生じにくく、しかも濃度感の評価を見ても低カフェイン処理によっても味がうすくなることがないということが分かった。よって、0.85〜0.95の範囲の原料茶葉において短時間で効率良く美味しい低カフェイン緑茶を抽出できることが分かった。
かかる観点から、本低カフェイン抽出用茶葉の圧密比は0.88〜0.93の範囲にあるのがさらに好ましく、特に0.89〜0.91の範囲にあるのが好ましいと考えることができる。

Claims (5)

  1. 乾燥葉質量全体に対するカフェイン含有量が0.2〜2.5質量%であって、且つ、乾燥茶葉質量全体に対するテアニン含有質量割合X(%)と、繊維量に対する単糖類含有量の質量割合Yとの関係が次の条件(1)を満たすことを特徴とする緑茶飲料抽出用茶葉。
    (1)・・−0.007X+0.024≦Y≦−0.011X+0.039
  2. 圧密比が0.85〜0.95であることを特徴とする請求項1記載の緑茶飲料抽出用茶葉。
  3. 請求項1又は2に記載の緑茶飲料抽出用茶葉を容器に封入してなる包装容器入り茶葉。
  4. 請求項1又は2に記載の緑茶飲料抽出用茶葉をティーバッグに封入してなるティーバッグ入り茶葉。
  5. 請求項1又は2に記載の緑茶飲料抽出用茶葉を粉砕してなるインスタント緑茶粉末。
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