JP5263300B2 - 車両の骨格構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の骨格構造に係り、特に、車両の骨格部材の内側に補強部材が配設された車両の骨格構造に関するものである。
車両の骨格構造として、たとえば、センターピラーに用いられる骨格部材では、アウタフレームとインナフレームとの間に補強部材が設けられるものがある。センターピラーにおけるアウタフレームは、断面略コ字形状の上下方向に延在する長尺状部を備えており、この長尺状部の内側補強部材は、やはり断面コ字形状の上下方向に延在する補強部材が設けられる。
この種の骨格構造として、従来、車体の外側に向かって略山型となるように突出部が、上下方向に沿って略均一の断面幅を保持するように形成されたリンホースを備えるセンターピラー構造がある(たとえば、特許文献1参照)。このセンターピラー構造では、リンホースに車体の外側に向かって略山型となるように突出部が形成されていることにより、車体側方からの衝撃に対して車体が安定して変形し衝撃を吸収することができる。
上記特許文献1に開示されたセンターピラー構造では、リンホースにおける突起部が上下方向に沿って略均一幅を保持して形成されている。ここで、リンホースはアウタフレームに沿わせて配置してアウタフレームとリンホースとを溶接するため、アウタフレームの内側形状にリンホースの外側形状を合わせてリンホースを成形する必要が生じる。しかし、リンホースおよびアウタフレームは曲線状をなしていることから、アウタフレームの内側形状にリンホースの外側形状を合わせてリンホースを成形することは困難となる。リンホースの外側形状がアウタフレームの内側形状に合っていないと、アウタフレームとリンホースとの溶接が不完全となる可能性が生じる。
そこで、図8に示すようなセンターピラーに用いられるリンホースがある。このセンターピラーは、図8に示すリンホース50と、一面側が開放面とされた断面形状を有する図示しないアウタフレームの内側に配設されるものである。リンホース50は、アウタフレームの開放面に対向する側の面に、アウタフレーム側に突出する複数の突起部51を備えている。この突起部51は、リンホース50の長手方向に沿って略等間隔をおいて離間して配置されている。
そして、リンホース50における突起部51とアウタフレームとを溶接している。この突起部51とアウタフレームとを溶接することにより、リンホース50を非常に高い精度で成形することなく、リンホース50とアウタフレームとを強固に溶接することができるので、リンホース50の形状に非常に高い精度が要求されることがなくなり、その分生産性の向上に寄与している。
特開2002−53068公報
しかし、図8に示す従来の骨格構造においては、リンホース50における複数の突起部51が、リンホース50の長手方向に沿って略等間隔で離間して配置されているため、リンホース50がアウタフレーム(アウタ部材)に与える耐力分布が均一になってしまう。このため、アウタフレームにかかる応力の大きさを考慮することなくアウタフレームを補強していることとなるため、その補強能力を十分に発揮しているとはいえないという問題があった。
そこで、本発明の課題は、高い生産性を発揮することができるとともに、リンホースとアウタフレームとの溶接を完全に行うことができ、もってアウタ部材に補強部材を設けた際の補強部材の補強能力を十分に発揮することができる車両の骨格構造を提供することにある。
上記課題を解決した本発明に係る車両の骨格構造は、長尺状であり、略多角形状の一部が開放面とされた断面形状を有するアウタ部材を備え、アウタ部材の内側に、アウタ部材を補強する長尺状の補強部材が取り付けられた上下方向に延在するセンターピラーを備える車両の骨格構造であって、補強部材における開放面に対向する側の面に、アウタ部材側に突出する複数の突起部が形成されており、センターピラーにおけるベルトラインに対応する位置は、非突起部形成部とされていることを特徴とする。
本発明に係る車両の骨格構造においては、センターピラーにおけるアウタ面に、アウタ部材側に突出する複数の突起部が形成されており、センターピラーにおけるベルトライン位置は、非突起形成部とされている。このため、曲げモーメント入力が大きくなるベルトライン位置では稜線が屈曲しておらず、その位置の耐力を高くすることができるので、センターピラーのアウタ部材に補強部材を設けた際の補強能力を十分に発揮することができる。ここで、本発明における「ベルトライン」とは、車両のドアにおけるドア本体と窓との境目となるラインをいう。
また、上記課題を解決した本発明に係る車両の骨格構造は、長尺状であり、略多角形状の一部が開放面とされた断面形状を有するアウタ部材を備え、アウタ部材の内側に、アウタ部材を補強する長尺状の補強部材が取り付けられた上下方向に延在するセンターピラーを備える車両の骨格構造であって、補強部材における開放面に対向する側の面に、アウタ部材側に突出する複数の突起部が形成されており、センターピラーにおけるベルトラインに対応する位置の全域が突起部とされていることを特徴とする。
本発明に係る車両の骨格構造においては、センターピラーのアウタ面におけるベルトライン位置の全域が突起形成部とされている。このように、全域が突起形成部とされた形態としても、曲げモーメント入力が大きくなるベルトライン位置では稜線が屈曲しておらず、その位置の耐力を高くすることができる。したがって、センターピラーのアウタ部材に補強部材を設けた際の補強部材の補強能力を十分に発揮することができる。
上記課題を解決した本発明に係る車両の骨格構造は、長尺状であり、略多角形状の一部が開放面とされた断面形状を有するアウタ部材を備え、アウタ部材の内側に、アウタ部材を補強する長尺状の補強部材が取り付けられた骨格部材を備える車両の骨格構造であって、補強部材における開放面に対向する側の面に、アウタ部材側に突出する3以上の突起部が形成されており、複数の突起部は、補強部材の長手方向の位置に対応させて、異なる間隔をおいて配置されていることを特徴とする。
本発明に係る車両の骨格構造においては、補強部材における開放面に対向する側の面に、アウタ部材側に突出する3以上の突起部が形成されている。このため、補強部材の形状をアウタ部材に厳密な精度で合わせることがないので、高い生産性を発揮することができる。また、補強部材における開放面に対向する側の面(以下「アウタ面」という)のうち、突起部が形成されている位置は、稜線が屈曲した形状となる。稜線が屈曲した形状では、車両の側方から横荷重を受け、補強部材のアウタ面が圧縮荷重を受けると、稜線が屈曲した部分に応力集中が起こり、座屈が生じ易くなる。この点、本発明に係る車両の骨格構造では、3以上の突起部は、補強部材の長手方向の位置に対応させて、異なる間隔をおいて配置されている。このため、圧縮荷重が大きくなる位置については、突起部を形成することなく、圧縮荷重が小さくなる位置に突起部を形成することができる。このように突起部を形成することにより、圧縮荷重による座屈を効果的に防止することができ、アウタ部材に補強部材を設けた際の補強部材の補強能力を十分に発揮することができる。
また、上記課題を解決した本発明に係る車両の骨格構造は、長尺状であり、略多角形状の一部が開放面とされた断面形状を有するアウタ部材を備え、アウタ部材の内側に、アウタ部材を補強する長尺状の補強部材が取り付けられた骨格部材を備える車両の骨格構造であって、補強部材における開放面に対向する側の面に、アウタ部材側に突出する複数の突起部が形成されており、骨格部材における曲げモーメント入力最大位置は、非突起形成部とされていることを特徴とする。
本発明に係る車両の骨格構造においては、補強部材におけるアウタ面に、アウタ部材側に突出する複数の突起部が形成されており、骨格部材における曲げモーメント入力最大位置は、非突起形成部とされている。このため、曲げモーメント入力が大きくなる位置では稜線が屈曲しておらず、その位置の耐力を高くすることができるので、アウタ部材に補強部材を設けた際の補強部材の補強能力を十分に発揮することができる。
さらに、上記課題を解決した本発明に係る車両の骨格構造は、長尺状であり、略多角形状の一部が開放面とされた断面形状を有するアウタ部材を備え、アウタ部材の内側に、アウタ部材を補強する長尺状の補強部材が取り付けられた骨格部材を備える車両の骨格構造であって、補強部材における開放面に対向する側の面に、アウタ部材側に突出する複数の突起部が形成されており、骨格部材における曲げモーメント入力最大位置の全域が突起部とされていることを特徴とする。
本発明に係る車両の骨格構造においては、補強部材のアウタ面における曲げモーメント入力最大位置の全域が突起形成部とされている。このように、全域が突起形成部とされた形態としても、曲げモーメント入力が大きくなる位置では稜線が屈曲しておらず、その位置の耐力を高くすることができる。したがって、アウタ部材に補強部材を設けた際の補強部材の補強能力を十分に発揮することができる。
また、上記課題を解決した本発明に係る車両の骨格構造は、長尺状であり、略多角形状の一部が開放面とされた断面形状を有するアウタ部材を備え、アウタ部材の内側に、アウタ部材を補強する長尺状の補強部材が取り付けられた骨格部材を備える車両の骨格構造であって、補強部材における開放面に対向する側の面で補強部材とアウタ部材とが溶接固定されており、補強部材とアウタ部材との溶接位置は、補強部材の長手方向の位置に対応させて、異なる間隔をおいて配置されていることを特徴とする。
本発明に係る車両の骨格構造においては、補強部材のアウタ面におけるアウタ部材との溶接位置が、補強部材の長手方向の位置に対応させて、異なる間隔をおいて配置されている。このため、圧縮荷重が大きくなる位置については、アウタ部材との溶接を行うことなく、圧縮荷重が小さくなる位置で溶接を行うようにすることができる。このように溶接部を配置することにより、圧縮荷重による座屈を効果的に防止することができ、アウタ部材に補強部材を設けた際の補強部材の補強能力を十分に発揮することができる。
ここで、溶接位置間の距離が他の溶接位置間の距離よりも長い位置では、溶接位置が形成されている面と異なる面で補強部材とアウタ部材とが溶接されている態様とすることができる。
このように、補強部材のアウタ面における溶接位置間の距離が他の溶接位置間の距離よりも長い位置では、アウタ部材との溶接が行われないことから、補強部材とアウタ部材との間の溶接が少なくなることが考えられる。そこで、溶接位置間の距離が他の溶接位置間の距離よりも長い位置では、溶接位置が形成されている面と異なる面で補強部材とアウタ部材とが溶接されている態様とすることにより、補強部材とアウタ部材と確実に溶接することができる。
さらに、上記課題を解決した本発明に係る車両の骨格構造は、長尺状であり、略多角形状の一部が開放面とされた断面形状を有するアウタ部材を備え、アウタ部材の内側に、アウタ部材を補強する長尺状の補強部材が取り付けられた骨格部材を備える車両の骨格構造であって、補強部材における開放面に対向する側の面に、アウタ部材側に突出する複数の突起部が形成されており、複数の突起部間の一部で稜線が連続性を保つように、複数の突起が形成されていることを特徴とする。
本発明に係る車両の骨格構造では、補強部材におけるアウタ面に、アウタ部材側に突出する複数の突起部が形成されており、複数の突起部間の一部で稜線が連続性を保つように、複数の突起が形成されている。このため、補強部材のアウタ面における稜線の屈曲部分を少なくすることができる。したがって、圧縮荷重による座屈を効果的に防止することができ、アウタ部材に補強部材を設けた際の補強部材の補強能力を十分に発揮することができる。
本発明に係る車両の骨格構造によれば、高い生産性を発揮することができるとともに、リンホースとアウタフレームとの溶接を完全に行うことができ、もってアウタ部材に補強部材を設けた際の補強部材の補強能力を十分に発揮することができる。
図1は、第1の実施形態に係る車両のセンターピラーの斜視図である。 図2は、図1のII−II線断面図である。 図3は、リンホースの斜視図である。 図4は、リンホースの要部拡大斜視図である。 図5は、センターピラー1における曲げ入力モーメントと曲げ耐力との関係を示すグラフである。 図6は、第2の実施形態に係るリンホースの斜視図である。 図7は、第3の実施形態に係るリンホースの斜視図である。 図8は、従来のリンホースの斜視図である。
符号の説明
1…センターピラー、2…ロッカ、3…アッパメンバ、11…アウタフレーム、12…インナフレーム、13,40,50…リンホース、14,41,51…突起部、15…凹溝、16,32,42…側壁部、21,22…フランジ、N…非突起部、PC1…中央第1突起部、PC2…中央第2突起部、PL1…左第1突起部、PR1…右第1突起部、PL2…左第2突起部、PR2…右第2突起部、PL3…左第3突起部、PR3…右第3突起部、PL4…左第4突起部、PR4…右第4突起部、PL5…左第5突起部、PR5…右第5突起部、PL6…左第6突起部、PR6…右第6突起部。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
図1は、第1の実施形態に係る車両のセンターピラーの斜視図、図2は図1のII−II線断面図、図3はリンホースの斜視図、図4はその要部拡大斜視図である。図1および図2に示すように、本実施形態に係る車両の骨格構造となるセンターピラー1は、車両の下側方に設けられたロッカ2と、上側方に設けられたアッパメンバ3との間に掛け渡されて配設されている。また、センターピラー1は、上方から下方に行くにつれて拡幅する形状をなしている。
センターピラー1は、図2に示すように、アウタ部材となるアウタフレーム11、インナフレーム12、および補強部材となるリンホース13を備えている。アウタフレーム11およびインナフレーム12は、いずれも長尺状であり、略四角形状の一部が開放面とされた断面形状をなしている。また、開放面における側方には、それぞれフランジ21,22が設けられており、フランジ21,22同士を向かい合わせ、溶接することによってアウタフレーム11およびインナフレーム12が接合される。
また、アウタフレーム11の内側には、リンホース13が配設されている。リンホース13は、長尺状であり、略四角形状の一部が開放面とされた断面形状をなしている。ただし、リンホース13の断面形状は、おおよそアウタフレーム11の断面形状よりも一回り小さい形状をなしている。
リンホース13における開放面に対向する側の面であるアウタ面には、アウタフレーム11側に突出する突起部14が複数形成されている。また、図2および図3に示すように、リンホース13における高さ方向中央部近傍では、リンホース13の幅方向中央部が、幅方向端部よりも窪んだ凹溝15が形成されている。
複数の突起部14は、図3および図4に示すように、リンホース13の上端部近傍では、リンホース13におけるアウタ面の幅方向略中央部に配置されている。また、リンホース13の高さ方向略中央部近傍では、リンホース13の幅方向両端部に1組となって配置されている。
これらの突起部14は、具体的に、図3に示すように、リンホース13の上端部においては、中央第1突起部PC1が設けられ、中央第1突起部PC1の下方位置には、中央第2突起部PC2が設けられている。これらの第1突起部PC1および第2突起部PC2は、それぞれリンホース13の幅方向中央部に設けられている。
また、中央第2突起部PC2の下方位置には、左右第1突起部PL1,PR1が設けられている。これらの左右第1突起部PL1,PR1は、いずれもリンホース13の高さ方向の略同じ高さ位置に配置されており、リンホース13の幅方向左右両端部にそれぞれ配置されている。
さらに、左右第1突起部PL1,PR1の下方には、それぞれ左右第2突起部PL2,PR2〜左右第5突起部PL5,PR5が設けられている。これらの左右突起部PL1〜PL5,PR1〜PR5のうち、左右第2突起部PL2,PR2と左右第3突起部PL3,PR3との間におけるリンホース13の高さ方向の離間距離は、左右第1突起部PL1,PR1と左右第2突起部PL2,PR2との間におけるリンホース13の高さ方向の離間距離と略同一とされている。
同様に、左右第3突起部PL3,PR3と左右第4突起部PL4,PR4との間におけるリンホース13の高さ方向の離間距離は、左右第2突起部PL2,PR2と左右第3突起部PL3,PR3との間におけるリンホース13の高さ方向の離間距離と略同一とされている。
その一方で、図4に示すように、左右第4突起部PL4,PR4と左右第5突起部PL5,PR5との間におけるリンホース13の高さ方向の離間距離は、左右第3突起部PL3,PR3と左右第4突起部PL4,PR4との間におけるリンホース13の高さ方向の離間距離よりも長くされている。このように、リンホース13のアウタ面における左右第4突起部PL4,PR4と左右第5突起部PL5,PR5との間は、突起部が形成されていない非突起部Nとされている。
また、リンホース13が車両に取り付けられた際、左右第4突起部PL4,PR4と左右第5突起部PL5,PR5との間の位置が車両のベルトラインに対応する位置となる高さとなるように調整されている。このように、リンホース13におけるアウタ面では、車両のベルトラインの高さで非突起部Nが形成されている。
さらに、図3に示すように、リンホース13のアウタ面における下端部には、貫通孔が形成されている。また、リンホース13における左右側には、それぞれ側壁部16が設けられている。側壁部16は、リンホース13における中央第1突起部PC1が設けられた高さ位置から、左右第4突起部PL4,PR4が設けられている高さ位置まで、ほぼ同じ幅とされている。
ここで、側壁部16における幅とは、リンホース13における突起部14の突出方向(アウタ面に直交する方向)に沿った幅を意味している。また、側壁部16は、左右第4突起部PL4,PR4が設けられた高さ位置から、左右第5突起部PL5,PR5が設けられた高さ位置までの間では、他の高さ位置よりも幅が広くされている。
また、リンホース13は、アウタフレーム11に対して溶接固定されている。ここでリンホース13におけるアウタフレーム11に対する溶接点は、中央第1突起部PC1、中央第2突起部PC2、左右第1突起部PL1〜左右第4突起部PR4における任意の各点、および左右の側壁部16のそれぞれにおける左右第4突起部PL4,PR4が設けられた高さ位置から、左右第5突起部PL5,PR5が設けられた高さ位置までの間の任意の2点とされている。
次に、本実施形態に係る車両の骨格構造の作用について説明する。
本実施形態に係る車両の骨格構造では、リンホース13のアウタ面に車体の外側に向かって突出する突起部14が形成されている。この突起部14が形成されていることにより、リンホース13の形状をアウタフレーム11の内側の形状に厳密な精度で合わせることなく、リンホース13とアウタフレーム11とを強固に溶接することができる。したがって、リンホース13の成形が容易となる分、生産性の向上に寄与することができる。
また、本実施形態に係る車両の骨格構造では、ベルトライン近傍では、リンホース13のアウタ面に非突起部Nが形成され、その他の位置で突起部が形成されている。突起部が形成された位置では、リンホース13におけるアウタ面の稜線が屈曲した形状となり、非突起部Nが形成された位置では稜線が滑らかな形状(屈曲部分がない形状)となる。また、ベルトラインは、車両に側突が生じた場合に、曲げモーメント入力が最大である曲げモーメント入力最大位置となる。
稜線が屈曲した形状では、車両の側方から横荷重を受け、補強部材のアウタ面が圧縮荷重を受けると、稜線が屈曲した部分に応力集中が起こり、座屈が生じ易くなる。この点、本実施形態に係る車両の骨格構造では、リンホース13のアウタ面における曲げモーメント入力最大位置となるベルトライン付近が非突起部Nとされている。このため、曲げモーメント入力が最大となるベルトライン付近での耐力を高くすることができるので、センターピラー1の補強強度を十分に高くすることができる。
さらに、本実施形態に係る車両の骨格構造では、リンホース13に形成された突起部14とアウタフレーム11の内側面とが溶接固定されている。この突起部14は、ベルトライン近傍以外の位置に設けられているので、リンホース13とアウタフレーム11とは、ベルトライン近傍を外れた位置で溶接されていることとなる。また、ベルトライン近傍では、リンホース13とアウタフレーム11とが溶接されていない状態となっている。
このリンホース13とアウタフレーム11とが溶接されていない部位では、リンホース13とアウタフレーム11とが溶接されている部位よりも横荷重に対する耐力が高くなる。このため、曲げモーメント入力が最大となるベルトライン付近の耐力を高いものとすることができるので、センターピラー1の補強強度をより十分に高くすることができる。
また、リンホース13のアウタ面では、非突起部Nを形成するために、リンホース13のアウタ面とアウタフレーム11とが離間してしまい、リンホース13のアウタ面とアウタフレーム11とを溶接することができない。このため、ベルトライン近傍でのリンホース13のアウタ面とアウタフレーム11との溶接強度が懸念されるが、本実施形態では、ベルトライン近傍において、リンホース13の側壁部とアウタフレーム11とを溶接固定している。このため、ベルトライン近傍においても、リンホース13とアウタフレーム11と確実に溶接することができる。
ここで、本実施形態に係るセンターピラー1における曲げ入力モーメントと曲げ耐力との関係について説明する。図5は、センターピラー1における曲げ入力モーメントと曲げ耐力との関係を示すグラフである。図5に破線で示すように、センターピラー1では、曲げ入力モーメントは、ベルトライン高さBHよりも高い位置では、高さ位置が低くなるほど、曲げ入力モーメントが大きくなる。曲げ入力モーメントは、ベルトラインの高さBHを頂点として、高さ位置が低くなるほど、低下していく。そして、さらに下方の所定高さFHよりも低い位置では、曲げ入力モーメントの低下度合いが大きくなる。
このような曲げ入力モーメントが生じるセンターピラー1に対して、図5に実線で示す曲げ耐力を与えるリンホース13を設けている。曲げ耐力は、ベルトライン高さBHよりもわずかに高い位置である第1高さ位置H1となるまで、高さ位置が低くなるほど大きくなる。また、第1高さ位置かH1から、ベルトライン高さBHよりもわずかに高い位置からベルトライン高さBHをわずかに下回る位置である第2高さ位置H2まで一定となる大きさとされている。
また、第2高さ位置H2より下方では、曲げ耐力を少し小さくする。第2高さ位置H2から所定の高さFHよりもわずかに高い位置である第3高さ位置H3までは、その小さくした曲げ耐力の大きさを維持する。さらに、第3高さ位置H3から所定高さFHよりもわずかに低い位置である第4高さ位置H4までは、曲げ耐力をさらに小さくし、その小さくした曲げ耐力の大きさを維持する。第4高さ位置H4よりよりも低い位置では、曲げ耐力を0としている。
このように曲げ入力モーメントに応じて曲げ耐力を設定し、センターピラー1における大部分の位置で曲げ耐力が曲げ入力モーメントを上回るようにリンホース13の形状を設定することにより、センターピラー1の補強強度を十分に高くすることができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る車両の骨格構造は、上記第1の実施形態に係る車両の骨格構造と比較して、センターピラーにおけるリンホースの態様が主に異なって、その他の点は上記第1の実施形態と同様の態様とされている。図6は、第2の実施形態に係るセンターピラーにおけるリンホースの要部拡大斜視図である。
図6に示すように、本実施形態に係る車両の骨格構造におけるセンターピラーのリンホース30は、上記第1の実施形態と同様、長尺状であり、略四角形状の一部が開放面とされた断面形状をなしている。リンホース30における開放面に対向する側の面であるアウタ面には、アウタフレーム側に突出する突起部31が複数形成されている。
複数の突起部31としては、上記第1の実施形態と同様、図1に示した中央第1突起部PC1、中央第2突起部PC2、左右第1突起部PL1,PR1、および左右第2突起部PL2,PR2が設けられている。さらには、図6に示す左右第3突起部PL3,PR3〜左右第6突起部PL6,PR6が設けられている。
これらの突起部のうち、中央第1突起部PC1、中央第2突起部PC2、左右第1突起部PL1,PR1〜左右第4突起部PL4,PR4、左右第6突起部PL6,PR6のリンホース13の長手方向に沿った幅は、略同一とされている。また、左右第5突起部PL5,PR5のリンホース13の長手方向に沿った幅は、これらのリンホース13の長手方向に沿った幅よりも長くされている。さらに、左右第5突起部PL5,PR5は、ベルトラインに対応する位置に配置されている。
他方、本実施形態に係る車両の骨格構造では、リンホース30における左右側には、それぞれ側壁部32が設けられている。この側壁部32は、リンホース30の長手方向のいずれの位置でも、同じ幅とされている点で上記第1の実施形態と異なっている。さらに、左右第5突起部PL5,PR5では、アウタフレームとの溶接はされておらず、左右第5突起部PL5,PR5は、非溶接部とされている。
次に、本実施形態に係る車両の骨格構造の作用について説明する。
本実施形態に係る車両の骨格構造では、上記第1の実施形態と同様、リンホース13のアウタ面に車体の外側に向かって突出する突起部14が形成されている。このため、リンホース13の成形が容易とすることができるので、その分生産性の向上に寄与することができる。
また、本実施形態に係る車両の骨格構造では、ベルトライン近傍において、リンホース13のアウタ面に左右第5突起部PL5,PR5が形成されている。この左右第5突起部PL5,PR5は、リンホース13の長手方向に沿って長い幅を備えており、ベルトライン近傍の全域にわたって突出した部分とされており、稜線が滑らかな形状(屈曲部分がない形状)となる。その一方で、他の突起部PC1,PC2,PL1〜PL4,PL6,PR1〜PR4,PR6が形成された位置では、リンホース13におけるアウタ面の稜線が屈曲した形状となる。このため、曲げモーメント入力が最大となるベルトライン付近で稜線に屈曲した形状をなくすることができることから、耐力を高くすることができる。したがって、センターピラー1の補強強度を十分に高くすることができる。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態に係る車両の骨格構造は、上記第1の実施形態に係る車両の骨格構造と比較して、センターピラーにおけるリンホースの態様が主に異なって、その他の点は上記第1の実施形態と同様の態様とされている。図7は、第3の実施形態に係るセンターピラーにおけるリンホースの要部拡大斜視図である。
図7に示すように、本実施形態に係る車両の骨格構造におけるセンターピラーのリンホース40は、上記第1の実施形態と同様、長尺状であり、略四角形状の一部が開放面とされた断面形状をなしている。リンホース40における開放面に対向する側の面であるアウタ面には、アウタフレーム側に突出する突起部41が複数形成されている。
複数の突起部41としては、上記第1の実施形態と同様、図1に示した中央第1突起部PC1、中央第2突起部PC2が設けられている。さらには、図7に示す左右第1突起部PL1,PR1〜左右第5突起部PL5,PR5が設けられている。
これらの左右第1突起部PL1,PR1〜左右第5突起部PL5,PR5は、リンホース13の長手方向に隣接する左右突起部との幅は、それぞれ略同一とされている。また、左第1突起部PL1と左第2突起部PL2との間の部分は、リンホース13の幅方向外側の高さが、左第1突起部PL1および左第2突起部PL2の高さと略同一とされており、リンホース13の幅方向内側に向けて徐々に低くなる傾斜を有している。
また、左第2突起部PL2〜左第5突起部PL5とのそれぞれの間、および右第1突起部PR1〜右第5突起部PR5とのそれぞれの間の部分についても、左第1突起部PL1と左第2突起部PL2との間の部分と同様の形状をなしている。こうして、リンホース13では、幅方向外側の稜線が滑らかな曲線状をなし、屈曲した形状をなくしている。他方、ベルトラインは、左右第4突起部PL4,PR4が設けられている位置とされている。
さらに、本実施形態に係る車両の骨格構造では、リンホース40における左右側には、それぞれ側壁部42が設けられている。この側壁部42は、リンホース40の長手方向のいずれの位置でも、同じ幅とされている点で上記第2の実施形態と同様である。さらに、左右第5突起部PL5,PR5では、アウタフレームとの溶接はされておらず、左右第5突起部PL5,PR5は、非溶接部とされている。
次に、本実施形態に係る車両の骨格構造の作用について説明する。
本実施形態に係る車両の骨格構造では、上記第1の実施形態と同様、リンホース13のアウタ面に車体の外側に向かって突出する突起部14が形成されている。このため、リンホース13の成形が容易とすることができるので、その分生産性の向上に寄与することができる。
また、本実施形態に係る車両の骨格構造では、ベルトライン近傍を含むリンホース13の位置において、左右第1突起部PL1,PR1〜左右第5突起部PL5,PR5が形成されている。これらの左右第1突起部PL1,PR1〜左右第5突起部PL5,PR5では、リンホース13における幅方向外側の稜線が滑らかな曲線状をなし、屈曲した形状をなくしている。このため、曲げモーメント入力が最大となるベルトライン付近で稜線に屈曲した形状をなくすることができることから、耐力を高くすることができる。したがって、センターピラー1の補強強度を十分に高くすることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では、車両の骨格構造としてセンターピラーを挙げているが、アウタ部材に補強部材が設けられる態様の骨格構造であれば、他の骨格構造についても用いることができる。また、上記各実施形態では、種々の数の突起部を設けているが、突起部の数はこれらの数に限定されるものではなく、適宜決定することができる。
さらに、上記実施形態では、曲げ入力モーメントがもっとも大きくなる位置がベルトラインであるセンターピラーを例としているが、曲げ入力モーメントの大きさに応じて、適宜突起部間の幅等を調整することができる。また、突起部間の幅だけでなく、突起部自体の幅を調整することもできる。
本発明は、車両の骨格構造、特に、車両の骨格部材の内側に補強部材が配設された車両の骨格構造に利用することができる。

Claims (1)

  1. 長尺状であり、略多角形状の一部が開放面とされた断面形状を有するアウタ部材を備え、前記アウタ部材の内側に、前記アウタ部材を補強する長尺状の補強部材が取り付けられた上下方向に延在するセンターピラーを備える車両の骨格構造であって、
    前記補強部材における前記開放面に対向する側の面に、前記アウタ部材側に突出する複数の突起部が形成されており、
    前記センターピラーにおけるベルトラインに対応する位置は、非突起部形成部とされていることを特徴とする車両の骨格構造。
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