JP5261104B2 - 回路基板および電子装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品を作動させるための回路基板および電子装置に関するものである。
従来の高周波信号が伝送される回路基板には、線路導体の一端に同軸コネクタが備えられているものがある。
このような回路基板として、例えば、線路導体として機能するストリップラインの先端部にスルーホールが形成され、スルーホールに同軸コネクタの中心導体の先端部が挿入されて固定されているものがあった。(例えば、下記の特許文献1参照)。
特開2001−102747号公報
しかしながら、同軸コネクタの中心導体がスルーホールに挿通される構成であるため、中心導体がスルーホール内に挿入される長さ等の中心導体のスルーホール内への接合状態によってインピーダンス値が変化する場合があり、インピーダンス値を一定のものにして整合させるのが困難であった。特に、近時は、電気信号の高周波化によって、インピーダンス値を一定のものとするための接合状態の管理が重要になる傾向にある。
そのため、同軸コネクタの中心導体がスルーホールに挿入されている箇所において、反射損失等の伝送損失が発生し、電気信号を効率よく伝送させることができないという問題点があった。
従って、本発明は上記問題点に鑑み完成されたものであり、その目的は、同軸コネクタの接合部において、電気信号を効率よく伝送させることのできる回路基板および電子装置を提供することにある。
本発明の回路基板は、誘電体から成り、内層または下側主面に形成された線路導体と、上側主面に形成された中心導体接続部およびこの中心導体接続部の周囲に形成された外周導体接続部と、前記誘電体の内部に設けられ、前記線路導体および前記中心導体接続部に電気的に接続された線路用ビア導体とを有する基体と、円筒状の外周導体および該外周導体の中心軸に設置された中心導体ならびにそれらの間に介在させた絶縁体から成る同軸コネクタとを備え、前記中心導体接続部は、前記中心導体の断面よりも大きく、前記中心導体接続部に前記同軸コネクタの中心導体の一端面が電気的かつ機械的に接合されているとともに、前記外周導体接続部に前記同軸コネクタの外周導体の一端面が電気的かつ機械的に接合されており、前記外周導体の外周を支持するための支持部が前記基体の上側主面に設けられていることを特徴とする。

本発明の回路基板において、好ましくは、前記基体と前記同軸コネクタの前記絶縁体との間に間隙部が設けられていることを特徴とする。
本発明の回路基板において、好ましくは、前記基体の上側主面に上部接地導体が形成されており、該上部接地導体に前記外周導体接続部が接続されていることを特徴とする。
本発明の回路基板において、好ましくは、前記基体の下側主面に下部接地導体が形成されており、前記上部接地導体と前記下部接地導体とが接地用ビア導体を介して接続されていることを特徴とする。
本発明の回路基板において、好ましくは、前記基体はセラミックスから成ることを特徴とする。
本発明の回路基板において、好ましくは、前記基体の前記上側主面には電子部品を収容する凹部が形成され、該凹部の外側に前記中心導体接続部と前記外周導体接続部が設けられるとともに前記同軸コネクタが接合され、前記凹部の内側に前記線路導体が導出されていることを特徴とする。
本発明の電子装置は、上記構成の回路基板と、前記凹部に収容されるとともに前記線路導体に電気的に接続された電子部品と、前記凹部の上面に前記凹部を塞ぐように接合された蓋体とを具備していることを特徴とする。
本発明の回路基板は、誘電体から成り、内層または下側主面に形成された線路導体と、上側主面に形成された中心導体接続部およびこの中心導体接続部の周囲に形成された外周導体接続部と、前記誘電体の内部に設けられ、前記線路導体および前記中心導体接続部に電気的に接続された線路用ビア導体とを有する基体と、円筒状の外周導体および該外周導体の中心軸に設置された中心導体ならびにそれらの間に介在させた絶縁体から成る同軸コネクタとを備え、前記中心導体接続部に前記同軸コネクタの中心導体の一端面が電気的かつ機械的に接合されているとともに、前記外周導体接続部に前記同軸コネクタの外周導体の一端面が電気的かつ機械的に接合されていることから、基板の上側主面に設けられた中心導体接続部に当接されることによって中心導体の軸方向の位置を決定することができる。また、従来のように中心導体をスルーホールの内部に挿入して接合する必要がなく、中心導体および線路用ビア導体の太さを最適なものとすることができるので、接合部のインピーダンス値を整合させ易いものとできる。
本発明の回路基板において、好ましくは、前記中心導体接続部は、前記中心導体の断面よりも大きいことから、中心導体の一端面から中心導体接続部に向けて広がる導電性接着剤のメニスカスを形成することができ、中心導体の一端面と中心導体接続部とを強固に接合させることができる。
この回路基板において、好ましくは、前記基体と前記同軸コネクタの前記絶縁体との間に間隙部が設けられていることから、基体と同軸コネクタの絶縁体との間に誘電率の低い領域が配置され、中心導体と外周導体との間に生ずる容量成分が小さくなって、この領域でインピーダンス値が所定のインピーダンス値よりも高いものとなる。それに対し、中心導体接続部は中心導体の断面よりも大きく、中心導体接続部と外周導体接続部との間に生ずる容量成分が大きくなって、中心導体接続部の位置でインピーダンス値が所定のインピーダンス値よりも小さくなる。従って、これらの高いインピーダンス値と低いインピーダンス値とが相殺されて、間隙部および中心導体接続部でのインピーダンス値が所定値に整合された状態となる。その結果、中心導体を伝送する電気信号の反射損失等による伝送損失を抑制することができる。
本発明の回路基板において、好ましくは、前記基体の上側主面に前記同軸コネクタの前記外周導体の外周を支持するための支持部が設けられていることから、基体上側主面の所定位置に同軸コネクタを設置して同軸コネクタを支持することができる。すなわち、中心導体の一端面を中心導体接続部の所定の位置に、外周導体の一端面を外周導体接続部の所定の位置に、それぞれ電気的および機械的に接合する作業を容易とでき、さらに電気信号のインピーダンス値を所定値に整合し易くすることができる。その結果、回路基板を作業性よく製造することができるとともに、中心導体を伝送する電気信号の伝送損失をさらに抑制することができる。
本発明の回路基板において、好ましくは、上部接地導体が形成されており、この上部接地導体に前記外周導体接続部が接続されていることから、外周導体接続部の接地電位を強化し安定なものとすることができる。また、上部接地導体を線路導体に対する接地電位導体として機能させることもできる。その結果、中心導体および線路導体に電気信号を伝送させることができる。
本発明の回路基板において、好ましくは、前記基体の下側主面に下部接地導体が形成されており、前記上部接地導体と前記下部接地導体とが接地用ビア導体を介して接続されていることから、接地用ビア導体により、線路用ビア導体を伝送する電気信号を接地することができる。従って、線路用ビア導体を伝送する電気信号を効率よく伝送させることができる。また、上部接地導体と下部接地導体とを同一電位とすることができ、インピーダンス整合し易くすることができる。
本発明の回路基板において、好ましくは、前記基体はセラミックスから成ることから、高温雰囲気中での使用に耐え得る回路基板とすることができる。
本発明の回路基板において、好ましくは、前記基体の前記上側主面には電子部品を収容する凹部が形成され、該凹部の外側に前記中心導体接続部と前記外周導体接続部が設けられるとともに前記同軸コネクタが接合され、前記凹部の内側に前記線路導体が導出されていることから、同軸コネクタを簡単な構造で取り付けることができ、電子部品を気密に封止することができる回路基板とすることができる。
本発明の電子装置は、上記本発明の回路基板と、前記凹部に収容されるとともに前記線路導体の先端部に電気的に接続された電子部品と、前記凹部の上面に前記凹部を塞ぐように接合された蓋体とを具備していることから、本発明の回路基板を用いた電気信号を効率よく伝送させることができる電子装置とすることができる。
本発明の回路基板について以下に詳細に説明する。
図1(a)は本発明の回路基板について実施の形態の一例を示す断面図、図1(b)は本発明の回路基板について実施の形態の他の例を示す断面図、図1(c)は図1(a)および図1(b)の回路基板について基体の上側主面を示す平面図である。図2(a)は本発明の回路基板について実施の形態の他の例を示す断面図であり、図2(b)は図2(a)の回路基板について基体の上側主面を示す平面図である。また、図3(a)は本発明の回路基板について実施の形態の他の例を示す断面図であり、図3(b),図3(c)は図3(a)の回路基板について基体の上側主面を示す平面図である。
図4(a)は本発明の回路基板および電子装置について実施の形態の一例を示す断面図、図4(b)は本発明の回路基板および電子装置について実施の形態の他の例を示す断面図である。
これらの図において、1は基体、1aは凹部、1bは載置部、1cは側壁部、2は線路導体、2aは線路用ビア導体、2bは中心導体接続部、2cは先端部、3は同軸コネクタ、3aは外周導体、3bは中心導体、3cは絶縁体、3dは間隙部、4は接地導体、4aは外周導体接続部、4bは上部接地導体、4cは下部接地導体、4dは接地用ビア導体、5は電子部品、7は蓋体である。
まず、本発明の回路基板について、以下詳細に説明する。
本発明の回路基板は、誘電体から成る基体1を有する。また、本発明の回路基板は、円筒状の外周導体3aおよび外周導体3aの中心軸に設置された中心導体3bならびにそれらの間に介在させた絶縁体3cから成る同軸コネクタ3を有する。基体1には、上側主面に中心導体接続部2bと中心導体接続部2bを取り囲むように周囲に形成された外周導体接続部4aとが平面状に形成され、内層または下側主面に基体1の上側主面または下側主面と平行に線路導体2が形成され、中心導体接続部2bと線路導体2とが内部に設けられた線路用ビア導体2aを介して電気的に接続されている。そして、中心導体接続部2bに同軸コネクタ3の中心導体3bの一端面が電気的かつ機械的に接合されているとともに、基体1の外周導体接続部4aに同軸コネクタ3の外周導体3aの一端面が電気的かつ機械的に接合されている。
図1〜図4において、筒状の外周導体3aおよびその中心軸に設置された中心導体3bならびにそれらの間に介在する絶縁体3cからなる同軸コネクタ3を用いている。同軸コネクタ3を用いることで、中心導体3bを伝送する高周波信号を同軸線路のモードで伝送でき、高周波信号のインピーダンス値を所望の値、例えば同軸コネクタに接続される同軸ケーブルと同じに設定し易くできる。
基体1はアルミナ(Al)質セラミックス,窒化アルミニウム(AlN)質セラミックス等のセラミックス,樹脂,ガラスからなる誘電体によって形成される。
このような基体1は以下のようにして作製される。例えば、セラミックグリーンシートに、WやMo等の高融点金属粉末に適当な有機バインダ、可塑剤、溶剤等を添加混合して得た金属ペーストを、スクリーン印刷法等の厚膜形成技術により印刷塗布して、線路導体2,線路用ビア導体2a,中心導体接続部2b,先端部2c,外周導体接続部4a,上部接地導体4b,下部接地導体4cおよび接地用ビア導体4dとなるメタライズ層を所定パターンに形成する。
しかる後、セラミックグリーンシートを複数枚積層し、これを還元雰囲気中、約1600℃の温度で焼成することにより製作される。
なお、同軸コネクタ3において中心導体3bと外周導体3aとを伝送する電気信号は互いに絶縁されており、基体1中でも絶縁を保持する必要がある。従って、中心導体接続部2bに接続される線路導体2は線路用ビア導体2aとして基体1の中心導体接続部2b下方に引き回し、基体1表面に形成された外周導体接続部4a,上部接地導体4bと絶縁させておく。
なお基体1は焼成後に、基体1表面に露出する線路導体2,中心導体接続部2b,先端部2c,外周導体接続部4a,上部接地導体4b,下部接地導体4c等は、その露出表面にニッケル(Ni)や金(Au)から成るメッキ金属層を1〜20μm程度の厚みに被着させておくのが好ましい。
また表面に露出する線路導体2,中心導体接続部2b,先端部2c,外周導体接続部4a,上部接地導体4b,下部接地導体4c等はメタライズ層によって形成される代わりに、薄膜形成法によって形成されていてもよく、その場合、線路導体2,中心導体接続部2b,先端部2c,外周導体接続部4a,上部接地導体4b,下部接地導体4c等は窒化タンタル(TaN)、ニクロム(Ni−Cr合金)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)等から形成され、セラミックグリーンシートを焼成した後に形成される。
なお、この場合も露出表面には、NiやAuから成るメッキ金属層を1〜20μm程度の厚みに被着させておくのが好ましい。
これにより、これらの露出する線路導体2,中心導体接続部2b,先端部2c,外周導体接続部4a,上部接地導体4b,下部接地導体4c等の酸化腐食を有効に防止することができるとともに、中心導体接続部2bおよび外周導体接続部4aのそれぞれのロウ材や半田等の導電性接着剤8の濡れ性を良好なものとし、中心導体3bおよび外周導体3aをロウ付けや半田付け等によって基体1の所定位置に強固に接合することができる。また、線路導体2の先端部2cとボンディングワイヤ等による電気的接続手段6との接続性を良好なものとすることができる。
同軸コネクタ3は、基体1に載置する電子部品5を外部の同軸ケーブルに電気的に接続するものであり、鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金等の金属から成る円筒状の外周導体3aの中心軸に同じくFe−Ni−Co合金等の金属から成る中心導体3bがガラス等の絶縁体から成る絶縁体3cを介して固定された構造をしている。また、基板1との接続端(図1〜4における下側面)において、中心導体3bおよび外周導体3aの一端面が基板1の上側主面と当接可能な面上に位置するように加工されている。
同軸コネクタ3の中心導体3bおよび外周導体3aは、例えば、金(Au)−錫(Sn)ロウや金(Au)−ゲルマニウム(Ge)ロウ等の導電性接着剤8を介してそれぞれ中心導体接続部2b,外周導体接続部4aに接合されるようにすることで、十分強固に接合することができる。このようなロウ材または半田による接合の場合、基体1の中心導体接続部2bと外周導体接続部4aのそれぞれの上にロウ材または半田のプリフォームを設置し、プリフォームの上に中心導体3b,外周導体3aを設置する。次いで、基体1にプリフォームを介して同軸コネクタ3が設置された状態のものを高温炉等に入れ所定温度まで加熱することにより、ロウ材または半田のプリフォームを溶融させる。その後冷却してロウ材または半田を固化させることにより、基体1の中心導体接続部2b,外周導体接続部4aのそれぞれに同軸コネクタ3の中心導体3bおよび外周導体3aが電気的かつ機械的に接続される。そして、同軸コネクタ3の基体1に接合されない側に同軸ケーブルが接続されることによって、基体1と外部との間で同軸線路のモードの高周波信号を入出力させることができる。
この構成により、中心導体3bの一端面が基体1の上側主面に設けられた平面状の中心導体接続部2bに接合されるとともに、外周導体3aの一端面が基体1の上側主面に設けられた平面状の外周導体接続部4aに接合される。中心導体3bと外周導体3aとは基体1の上側主面に当接されて接合されるので、中心導体3bと外周導体3aとは軸方向の位置を揃えて基体1の上側主面に接合できる。また、中心導体3bの太さに応じて線路用ビア導体の太さを自由に選択することができるので、接合部でのインピーダンス値を一定のものに整合することが容易である。また、同軸線路のモードで伝送するコネクタ側と、これに接続される中心導体接続部2bおよび外周導体接続部4aとは同軸線路のモードであるので、接合部で反射損失等の伝送損失が生ずるのを抑制することができる。
好ましくは、同軸コネクタ3の基体1に接合される側の端面は、研磨加工により、平坦に加工しておくのがよい。この加工により、基体1の上側主面に平面状に形成された中心導体接続部2bと外周導体接続部4aとの接触性を高め、電気的接続をより安定なものとすることができる。
また好ましくは、図2に示すように、中心導体接続部2bは、中心導体3bの一端面よりも少し大きくしておく。すなわち、中心導体接続部2bの平面視における大きさは、中心導体3bの一端面の平面視における大きさよりも大きくしておく。そして、中心導体接続部2bと中心導体3bの一端面とが導電性接着剤8を介して電気的かつ機械的に接合されているのがよい。
この構成により、中心導体3bの一端面から中心導体接続部2bに向けて広がる導電性接着剤8のメニスカスを形成することができ、中心導体3bの一端面と中心導体接続部2bとを強固に接合させることができる。
さらに好ましくは、外周導体接続部4aの平面視における大きさも外周導体3aの一端面の平面視における大きさよりも大きくしておくのがよい。すなわち、外周導体接続部4aの周方向に直交する幅の方が外周導体3aの周方向に直交する幅よりも厚くしておくのがよい。そして、外周導体接続部4aと外周導体3aの一端面とが、中心導体接続部2bと中心導体3bの一端面と同様に導電性接着剤8を介して電気的かつ機械的に接合されているのがよい。
また好ましくは、図2に示すように、基体1の上側主面と同軸コネクタ3の絶縁体3cの下面との間に間隙部3dを設けておくとよい。
この構成により、間隙部3dにおいて中心導体3bと外周導体3aとの間には誘電率の低い空気等が存在する領域を設けることとなり、中心導体3bと外周導体3aとの間に生ずる容量成分が小さくなる。したがって、中心導体3bを伝送する電気信号のインピーダンス値が絶縁体3の存在する部分よりも高いものとなる。一方、中心導体接続部2bは中心導体3bの一端面の平面視よりも大きくなっており、中心導体接続部2bを伝送する電気信号と外周導体接続部4aとの間に生ずる容量成分が大きく、中心導体接続部2bを伝送する電気信号のインピーダンス値が絶縁体3の存在する部分よりも小さくなる。
従って、中心導体3bと中心導体接続部2bとを連続して伝送する電気信号は、インピーダンス値の高い箇所と、インピーダンス値の低い箇所とを連続して伝送することとなる。これにより、高いインピーダンス値と低いインピーダンス値とが相殺されて、インピーダンス値が所定値に整合された状態となって、電気信号がスムーズに伝送するようになる。すなわち、中心導体3bと中心導体接続部2bとの接合部で反射損失等の伝送損失が生ずるのを効果的に抑制することができる。
なお、間隙部3dの高さ寸法は0.1mm程度であればよく、間隙部3dによって中心導体3bを伝送するインピーダンス値が高くなっている箇所の長さと、低いインピーダンス値となっている箇所の長さとのバランスをとり、電気信号を効率よく伝送させることができる。
なお、この構成により、間隙部3dによって露出した中心導体3bの表面に導電性接着剤8を這い上がらせることもできる。導電性接着剤8を這い上がらせることにより、中心導体3bと中心導体接続部2bとの間にさらに良好な導電性接着剤8のメニスカスを形成することができ、中心導体3bと中心導体接続部2bとを強固に接合させることができる。この場合、間隙部3dの高さ寸法も調整すればよい。
また、好ましくは、図3に示すように基体1の上側主面に同軸コネクタ3の外周導体3aの外周を支持するための支持部10が設けられているのがよい。支持部10は、外周導体3の径よりわずかに大きい孔を有する絶縁体で形成される。この支持部10の孔の内周面をガイドにして同軸コネクタ3の外周導体3aが接するように差し込んで同軸コネクタ3が基体1に組み込まれる。これによって、同軸コネクタ3の組立の作業性を向上することができるとともに、中心導体3bの一端面を中心導体接続部2bの所定の位置に、外周導体3aの一端面を外周導体接続部4aの所定の位置に、それぞれ電気的および機械的に接合でき、電気信号のインピーダンス値を所定値に整合し易くすることができる。その結果、回路基板を効率よく製造することができるとともに、中心導体3aを伝送する電気信号をさらに効率よく伝送させることができる。
なお、外周導体3aの外側面と支持部10の孔の内周面とは必ずしも接合する必要はないが、必要に応じて接着材等で接合してもよい。
支持部10の平面視形状は、図3(b)に示すような同軸コネクタ3の外周導体3aと同様な円形状であってもよいし、図3(c)に示すような同軸コネクタ3の外周導体3aの外周面が内接する四角形等の多角形状であってもよい。
また、支持部10はセラミックス,樹脂,ガラス等の誘電体から成っていてもよいし、金属等の導電性材料からなっていてもよい。誘電体からなる場合は、好ましくは、基体1と同様の材料から成るのがよい。例えば、基体1がセラミックスからなり、セラミックグリーンシート積層法によって形成される場合、セラミックグリーンシート積層工程において、基体1の上側主面に支持部10となるセラミックグリーンシートを積層すればよく、支持部10を基体1の製造工程と同一工程で設けることができ、作業効率よく支持部10を設けることができる。
また、好ましくは、図1,図2に示すように、外周導体接続部4aの外側の基体1の上側主面に外周導体接続部4aと同一電位の上部接地導体4bが形成されているのがよい。すなわち、上部接地導体4bと外周導体接続部4aとは一体的に設けられ、上部接地導体4bに設けられた孔の周囲が外周導体接続部4aとして用いられる。
この上部接地導体4bは、例えば、セラミックグリーンシート積層法によって形成される場合、上記したようにWやMo等の高融点金属粉末に適当な有機バインダ、可塑剤、溶剤等を添加混合して得た金属ペーストを、基体1の上側主面にスクリーン印刷法等の厚膜形成技術により印刷塗布し、焼成することによって形成される。
また、好ましくは、図2に示すように、基体1の下側主面に下部接地導体4cが形成しておき、上部接地導体4bと下部接地導体4cとを接地用ビア導体4dを介して接続しておく。
この構成により、基体1の上側主面,内部,下側主面の各部位において、接地導体の接地電位を同一電位とすることができ、伝送する電気信号のインピーダンス値を整合し易くすることができる。
接地用ビア導体4dは、好ましくは、図2(b)に示すように、平面視で線路用ビア導体2aを中心とする等距離の円周上に複数設けるのがよい。この構成によって、線路用ビア導体2aを伝送する電気信号が、線路用ビア導体2aを中心とする等距離の円周上に複数設けられた接地用ビア導体4dによって接地され、線路用ビア導体2aを伝送する電気信号が同軸線路に近い伝送モードで伝送することができる。その結果、同軸コネクタ3と基体1との間で、電気信号をほぼ同じ伝送モード(同軸線路のモード)とでき、接続が容易なものとなる。
好ましくは、基体1はセラミックスからなり、同軸コネクタ3がロウ付けまたは半田付け接合されているのがよい。
この構成により、基体1が耐熱性を有する材料からなるとともに、同軸コネクタ3が基体1に耐熱性を有する材料によって接合される構成となるので、高温雰囲気中での使用に耐え得る回路基板とすることができる。例えば、ロウ材または半田としてAu−SnロウやAu−Geロウ等を用いることで、300℃程度までの高温雰囲気中での使用に耐えることができ、基体1にAl質セラミックスを用いることで基体1の強度が高い回路基板とすることができる。
本発明の回路基板において、好ましくは、図4に示すように、基体1の上側主面には電子部品5を収容する凹部1aが形成される。凹部1aは、例えば図4に示すように、基体1上の電子部品5の搭載部1bを取り囲むように側壁部1cが設けられることによって形成される。側壁部1cはAl質セラミックス,AlN質セラミックス等のセラミックス,樹脂,ガラスの誘電体から成り、搭載部1bが形成される底板部1dと一体に形成されていてもよい。または、側壁部1cがFe−Ni−Co合金や銅(Cu),銅(Cu)−クロム(Cr)等の金属からなっていてもよく、この場合、図4(a)に示すように側壁部1cは誘電体からなる底板部1d上に搭載部1bを取り囲むようにロウ付け,半田付け等の方法によって接合される。金属から成る側壁部1cは、そのインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって、所定の形状に製作される。また、底板部1dおよび側壁部1cは樹脂による一体成形で形成してもよい。
また電子部品5から多量に熱が発生する場合、底板部1dが熱伝導率の高いAlN質セラミックスから形成されるのがよい。この構成により、電子部品5から発生する熱を効率よく外部に放散させることができる。
または、底板部1dのうち搭載部1bのみを金属によって形成してもよく、この場合も電子部品5から発生する熱を効率よく外部に放散させることができる。このような搭載部1bを形成する金属としては、Cu,Cu−W,Cu−Mo,Cu−Cr等の熱放散性に優れた材料から成り、セラミックス等の絶縁体に設けられた貫通孔に嵌め込むように接合される。
また、側壁部1cが金属からなる場合、図4(a)に示すように、側壁部1cが接合される部位において、線路導体2が側壁部1cに電気的に接続しないように、線路導体2を基体1の内部に配置する。なお図示していないが、側壁部1cは上部接地導体4bと電気的に接続されているのがよく、側壁部1cをケースグランドとして機能させることができ上部接地導体4bの接地電位を強化することができる。
さらに、下部接地導体4cが上部接地導体4bと接地用ビア導体4dを介して接続されていることで、金属製の側壁部1cと電気的に接続されケースグランドとなるとともに、上部接地導体4bが下部接地導体4cと同一の電位となり、非常に安定した接地電位とすることができる。ケースグランドとは回路基板の基準となる接地電位のことであり、上部接地導体4b、下部接地導体4c、金属製の側壁部1cの接地電位を同じ電位に保持することにより、接地電位の値を安定なものとできる。その結果、線路導体2に安定した高周波信号を流すことができる。
また、側壁部1cが金属から成る場合、側壁部1cの上面に蓋体7をシーム溶接法等の溶接法を用いて接合させることができ、蓋体7を気密に接合させ易くできるという作用効果がある。
蓋体7をシーム溶接法等の溶接法を用いて接合させるための形態としては、側壁部1cの下側(底板部1d側)をAl質セラミックス,AlN質セラミックス等のセラミックス,樹脂,ガラスの誘電体で形成し、蓋体7と接合される側壁部1cの上側を金属で形成するという形態であっても構わない。この構成によっても、側壁部1cの上面に蓋体7をシーム溶接法等の溶接法を用いて接合させることができ、蓋体7を気密に接合させ易くできるという作用効果がある。
また、凹部1aの内側に線路導体2の先端部2cが設けられていることにより、凹部1aの内側に収容された電子部品5を線路導体2に接続させて、凹部1a外側との間で電気信号を良好に入出力させることができる。
また好ましくは、図4(b)に示すように、同軸コネクタ3が接合される面が、電子部品5の搭載部1bよりも上側に設けられるのがよい。
この構成により、同軸コネクタ3の中心導体3bが接合される中心導体接続部2bから搭載部1bと同一面まで下方向に線路用ビア導体2aを設け、次いで線路導体2を電子部品5の搭載部1b付近まで設けることで、同軸コネクタ3と電子部品5との接続ができるようになる。その結果、図4(a)に示す同軸コネクタ3と電子部品5とが同一面に設けられる場合に比べ、線路用ビア導体2aを2箇所から1箇所に減らして、線路導体2の配線を単純化することができるとともに屈曲部を少なくすることができ、線路導体2を伝送する電気信号に反射損失等の伝送損失が発生するのを抑制することができる。
次に、本発明の電子装置について、以下詳細に説明する。
本発明の電子装置は、凹部1aの内側に半導体レーザ(LD),フォトダイオード(PD),トランジスタ,IC,LSI等の電子部品5または回路基板上にこれら半導体素子やコンデンサ等の受動部品を搭載した電子部品5が収納される。例えば、枠状の側壁部1cと底板部1dによって取り囲まれた領域に凹部1aが形成され、凹部1aの底面と成る底板部1a上の搭載部1bに電子部品5が搭載される。
電子部品5は、その電極が、線路導体2の先端部2cにボンディングワイヤ等の電気的接続手段6を介して電気的に接続される。
つまり、線路導体2は、その一端が同軸コネクタ3の中心導体3bに、他端が電子部品5にそれぞれ電気的に接続される。
ここで、線路導体2の先端部2cの同一面の両側には等間隔を隔てて同一面接地導体が設けられているのがよく、この構成により、先端部2cをコプレーナ伝送線路とすることができ、より高い高周波信号にも対応し易くなる。線路導体2の中心導体3bが接続される側と反対側の端に電子部品5の電極を電気的に接続する際に、線路導体2の両側に設けられた上部接地導体4bの他端を電子部品5の接地用電極に電気的に接続することにより、線路導体2の電子部品5との接続部の伝送モードを電子部品5の電極部に多く採用されているコプレーナ伝送線路モードと同様とすることができ、線路導体2を伝送する高周波信号の伝送モードを電子部品5の電極部の伝送モードとマッチングさせやすくできる。高周波信号を効率よく伝送させることができる。
また、蓋体7はFe−Ni−Co合金等の金属,セラミックス,ガラス,樹脂等から成る。蓋体7の断面形状は、図4(a),(b)に示す平板状であったり、逆凹字状(キャップ状)であったりする。
本発明の回路基板の凹部1a内の搭載部1bに電子部品5を載置固定するとともにその電極を線路導体2の先端部2cにボンディングワイヤ等の電気的接続手段6を介して電気的に接続し、しかる後、側壁部2cの上面に蓋体7を半田付け法,ロウ付け法やシームウエルド法等により取着することにより製品としての電子装置となる。この構成により、凹部1a内部に電子部品5を気密に収容し、電子部品5を安定に作動させることができる。
このような電子装置は、同軸コネクタ3に外部電気回路に接続される同軸ケーブルを接続することにより内部に収容する電子部品5が外部電気回路に電気的に接続されることとなる。
以上の構成により、本発明の回路基板を用いた電気信号を効率よく伝送させることができ、作動性に優れた電子装置とすることができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を施すことは何等差し支えない。例えば、側壁部1cの断面形状は、階段状とされてもよい。また、凹部1aの平面視形状は四角形であっても、円形であってもよい。または、接地用ビア導体4dが設けられる代わりに、基体1の線路用ビア導体2aが延設される方向と平行な側面に側面導体が設けられてもよい。この構成によっても、上部接地導体4bと下部接地導体4cとを電気的に接続できる。
(a)は本発明の回路基板について実施の形態の一例を示す断面図、(b)は本発明の回路基板について実施の形態の他の例を示す断面図、(c)は図1(a)および図1(b)の回路基板について基体の上側主面を示す平面図である。 (a)は本発明の回路基板について実施の形態の他の例を示す断面図であり、(b)は図2(a)の回路基板について基体の上側主面を示す平面図である。 (a)は本発明の回路基板について実施の形態の他の例を示す断面図であり、(b),(c)は図3(a)の回路基板について基体の上側主面を示す平面図である。 (a)は本発明の回路基板および電子装置について実施の形態の一例を示す断面図、(b)は本発明の回路基板および電子装置について実施の形態の他の例を示す断面図である。
符号の説明
1:基体
1a:凹部
1b:載置部
1c:側壁部
2:線路導体
2a:線路用ビア導体
2b:中心導体接続部
2c:先端部
3:同軸コネクタ
3a:外周導体
3b:中心導体
3c:絶縁体
3d:間隙部
4a:外周導体接続部
4b:上部接地導体
4c:下部接地導体
4d:接地用ビア導体
5:電子部品
6:電気的接続手段
7:蓋体
8:導電性接着剤
10:支持部

Claims (7)

  1. 誘電体から成り、内層または下側主面に形成された線路導体と、上側主面に形成された中心導体接続部および該中心導体接続部の周囲に形成された外周導体接続部と、前記誘電体の内部に設けられ、前記線路導体および前記中心導体接続部に電気的に接続された線路用ビア導体とを有する基体と、
    円筒状の外周導体および該外周導体の中心軸に設置された中心導体ならびにそれらの間に介在させた絶縁体から成る同軸コネクタとを備え、
    前記中心導体接続部は、前記中心導体の断面よりも大きく、前記中心導体接続部に前記同軸コネクタの中心導体の一端面が電気的かつ機械的に接合されているとともに、前記外周導体接続部に前記同軸コネクタの外周導体の一端面が電気的かつ機械的に接合されており、前記外周導体の外周を支持するための支持部が前記基体の上側主面に設けられていることを特徴とする回路基板。
  2. 前記基体と前記同軸コネクタの前記絶縁体との間に間隙部が設けられていることを特徴とする請求項記載の回路基板。
  3. 前記基体の上側主面に上部接地導体が形成されており、該上部接地導体に前記外周導体接続部が接続されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の回路基板。
  4. 前記基体の下側主面に下部接地導体が形成されており、前記上部接地導体と前記下部接地導体とが接地用ビア導体を介して接続されていることを特徴とする請求項記載の回路基板。
  5. 前記基体はセラミックスから成ることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1つに記載の回路基板。
  6. 前記基体の前記上側主面には電子部品を収容する凹部が形成され、該凹部の外側に前記中心導体接続部と前記外周導体接続部が設けられるとともに前記同軸コネクタが接合され、前記凹部の内側に前記線路導体が導出されていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1つに記載の回路基板。
  7. 請求項に記載の回路基板と、前記凹部に収容されるとともに前記線路導体に電気的に接続された電子部品と、前記凹部の上面に前記凹部を塞ぐように接合された蓋体とを具備していることを特徴とする電子装置。
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