JP5235612B2 - パッケージ及び電子装置 - Google Patents

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Description

本発明はパッケージ及び電子装置に関する。
従来の同軸コネクタを具備し高周波信号の伝送するためのパッケージの概略図を図5に示す。図5(a)は従来のパッケージの一例を示す平面図であり、図5(b)は図5(a)に示すパッケージのA−A’線における断面図である。101は基体、102は枠体、103は同軸コネクタ、106は回路基板、111は保持部材であり、主にこれらによりパッケージが構成される。
図5のパッケージは、パッケ−ジ内外を電気的に接続するための中心導体103bを有する同軸コネクタ103と、同軸コネクタ103の中心導体103bと電気的に接続される線路導体106aを有する回路基板106と、同軸コネクタ103が嵌合される貫通孔111bと回路基板106が設置される台座部111aとが一体的に形成された保持部材111とを備えているものである。
ここで、保持部材111はセラミック材料等から構成されて成り、基体101の貫通孔101bが外部電気回路基板への固定部となるものである(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−243992号公報
しかしながら、図5に示した上記従来のパッケージにおいて、保持部材111は枠体102の取付孔の内面に接合され、かつ保持部材111の下面が基体101の上面に接合されている構造であるため、保持部材111に設置された回路基板106の線路導体106aとパッケージ内に搭載された電子部品とをボンディングワイヤにて接続させる際、回路基板106のワイヤが接続される箇所が弾性変形し難く、ワイヤの先端部がつぶれ難い場合があった。その場合、ワイヤと線路導体106aとを強固に接合させること困難であるという問題点があった。
ワイヤの先端部をつぶれ易くさせるために、線路導体106aに強くワイヤを打ち付ける方法もあるが、この方法ではボンディングワイヤ時に回路基板106に強い衝撃が加わって、回路基板106にクラック等の破損が生じ、線路導体106aが断線する等して線路導体106aに高周波信号を良好に伝送できなくなってしまうという問題点があった。
本発明は、上記問題点に鑑み完成されたものであり、その目的は、コネクタと電子部品との接続の信頼性を高いものとして、電子部品に高周波信号を良好に入出力させ、電子部品を正常に作動させることが可能なパッケージ及び電子装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、キャビティを有する基体の壁部に前記キャビティに通じる開口部を有する容器体と、前記開口部を挿通するコネクタと、前記コネクタを保持するとともに、前記容器体を挿通する部位に鍔部を有する保持部材と、前記キャビティ内であって、前記保持部材の上面に接合され、前記コネクタと電気的に接続された回路基板と、を具備し、前記保持部材は、前記鍔部で前記容器体に接合され、前記保持部材と前記基体の底部との間に間隙を有するとともに、前記保持部材を前記キャビティの中央部側から見たときに、前記保持部材の前記回路基板と接合された上面の幅が前記回路基板の下面の幅より小さいことを特徴とするパッケージである。

また、請求項2の発明は、請求項1に記載のパッケージであって、前記保持部材は、金属からなることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のパッケージであって、前記保持部材に貫通孔が複数個設けられ、各貫通孔にそれぞれ前記コネクタが取り付けられていることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のパッケージであって、前記キャビティ内であって、前記保持部材の上面に接合され、前記コネクタと電気的に接続された回路基板をさらに有することを特徴とする。
また、請求項の発明は、請求項1乃至請求項のいずれかに記載のパッケージであって、前記容器体は、セラミックスからなることを特徴とする。

また、請求項の発明は、請求項に記載のパッケージであって、前記容器体は、前記容器体の内外を挿通するスルーホール導体を有することを特徴とする。

また、請求項の発明は、請求項1乃至請求項のいずれかに記載のパッケージと、前記キャビティ内部に搭載された電子部品と、前記壁部に接合された蓋体と、を具備してなる電子装置である。

請求項1に記載の構成によれば、例えば、コネクタとパッケージ内部に設けられた電子部品とをワイヤボンディングする際、保持部材と基体の底部との間に間隙を有するため、保持部材は基体の底部方向に弾性変形することが可能となる。弾性変形した保持部材は、元の位置に戻ろうとする反力が働くため、ワイヤの先端部がつぶれ易くなる。その結果、ワイヤとコネクタとの接着面積が増加し、コネクタからワイヤが剥離することを抑制した動作信頼性の高い電子装置を作製するためのパッケージを提供することができる。また、電子部品の電極をボンディングワイヤによって回路基板の配線に接続させることができ、コネクタと電子部品の電極の接続を容易なものとすることができる。また、回路基板を保持部材の上面に設置し接合すると、回路基板が保持部材より外側に張り出すようになるので、回路基板を保持部材に接合した際に、回路基板の外周部に保持部材との熱膨張差による応力が作用するのを抑制することができる。その結果、回路基板がクラック等によって破損するのを防止して、回路基板に形成された線路導体が断線するのを防止でき、電気信号を効率よく伝送できるパッケージとなる。また、近時の電気信号の高周波化により、回路基板が薄型化してきているが、請求項1に記載の構成により回路基板が薄型化しても、回路基板の破損を抑制できる。

また、ワイヤのボンディング圧力を下げても、保持部材を弾性変形させることで、ワイヤの先端部をつぶれ易くできるため、ボンディング圧力に起因するクラック等の発生を抑制できる。
請求項2に記載の構成によれば、例えば接地電位を有するコネクタと保持部材とを電気的に接続することでケースグランドの機能を有する。また、パッケージ外部からのノイズ(電磁波)に対し遮蔽効果をも有する。
また、請求項3に記載の構成によれば、複数のコネクタを貫通孔にそれぞれ取り付けることができるため、パッケージの多端子化が可能となる。なお、2個のコネクタで1組の差動線路を形成すれば、差動信号の入出力が可能となる。
また、コネクタの線路導体の突出部を伝送する電気信号のインピーダンス値を回路基板の配線を伝送する電気信号のインピーダンス値と同様とすることができる。即ち、回路基板の配線を所定のインピーダンス値となるようにしておけば、コネクタの線路導体の突出部においても所定のインピーダンス値に整合させることができ、電気信号を効率よく伝送させることができる。
請求項に記載の構成によれば、容器体からも電子部品から発生する熱を効率良く外部に熱放散させることができる。また、熱によって容器体が変形するのを防止できる。

請求項に記載の構成によれば、多端子化が可能である。また、任意の箇所からスルーホール導体によってパッケージ内外を電気的に接続できるため、配線の自由度が向上する。

請求項に記載の構成によれば、コネクタと電子部品との接続の信頼性を高いものとし
て、電子部品に高周波信号を良好に入出力させ、電子部品を正常に作動させることが可能な電子装置を提供することができる。
以下、本発明のパッケージの構成を説明する。図1(a)は本発明のパッケージおよび電子装置の実施の形態の一例を示す平面図であり、図1(b)は図1(a)に示すパッケージおよび電子装置のX−X’線における断面図である。また、図2は本発明のパッケージおよび電子装置の実施の形態の他の例を示す断面図である。また、図3は本発明のパッケージおよび電子装置の実施の形態のさらに他の例を示す平面図である。また、図4は本発明のパッケージおよび電子装置の実施の形態のさらに他の例を示す要部拡大正面図である。
これらの図において、1は基体(容器体)、2は壁部、3はコネクタ(同軸コネクタ)、6は回路基板、11は保持部材、12はスルーホール導体である。
<基体(容器体)>
まず、基体1について詳細に説明する。
基体1は、アルミナ(Al)質セラミックス,窒化アルミニウム(AlN)質セラミックス,ムライト(3Al・2SiO)質セラミックス,ジルコニア(ZrO)質セラミックス,窒化珪素(Si)質セラミックス,炭化珪素(SiC)質セラミックス,樹脂,ガラス等の誘電体や、銅(Cu)−タングステン(W),銅(Cu)−モリブデン(Mo),銅(Cu)−クロム(Cr),鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金,銅(Cu),ステンレス鋼(SUS)等の金属から成る。また、基体1は上側主面のキャビティ1cが形成されており、キャビティ1cの内側に電子部品5を収容する空所が形成される。
以下、基体1の製造方法について説明する。
基体1は、例えばAl質セラミックスから成る場合、以下のようにして作製される。Al,酸化珪素(SiO),酸化マグネシウム(MgO),酸化カルシウム(CaO)等の原料粉末に適当な有機バインダ,有機溶剤,可塑剤,分散剤等を添加混合してスラリー状となし、これを従来周知のドクターブレード法によってシート状となすことによって、複数枚のセラミックグリーンシートを得る。次いで、このセラミックグリーンシートのキャビティ1cや開口部2aとなる箇所等に打抜き加工を施し、基体1が所定の形状となるように適当な打抜き加工を施す。これらのセラミックグリーンシートを所定の順序で積層した後、約1600℃の温度で焼成することによって基体1が形成される。
なお、基体1が金属で形成される場合の基体1の製造方法としては、金属のインゴットを圧延加工やプレス加工,切削加工等の金属加工を施すか、または射出成形と切削加工を施すことによって所定の形状に製作される。
好ましくは、基体1はセラミックスまたは金属からなるのがよく、この構成により、基体1からも電子部品5から発生する熱を効率良く外部に熱放散させることができるとともに、気密信頼性の高いものとすることができる。
より好ましくは、基体1はセラミックスからなるのがよく、この構成により、上述の作用効果に加え、熱によって基体1が変形するのを防止できるという作用効果がある。
基体1がセラミックスからなる場合、好ましくは、図1および図2に示すように、基体1の内外を挿通するスルーホール導体12を有するのがよい。
この構成によって、パッケージの内外を導通させるための配線の多端子化が可能となる。多端子化により、パッケージ内部に実装される電子部品5を増やす等して多機能化することができる。
また、セラミックスからなる基体1には、所望の位置にスルーホール導体12を配置可能であるとともに、スルーホール導体12に接続される配線を自在に引き回すことができる。その結果、電子部品5からスルーホール導体12への配線の自由度が増加する。
スルーホール導体12の形成方法としては、W,Mo,マンガン(Mn)等の金属粉末に適当なバインダ,溶剤を混合してなるペーストを、セラミックグリーンシートの所定位置にビア導体形成法やスクリーン印刷法等で所定パターンに印刷塗布することによって、基体1にスルーホール導体12、スルーホール導体12に電気的に接続され内側に形成される内側パッド12aおよび外側に形成される外側パッド12bの金属層となるペースト層を形成するのがよい。ペースト層は基体1を焼成する際に焼結されて金属層となる。また、金属層表面には必要に応じて、ニッケル(Ni)層や金(Au)層がメッキされてもよい。
内側パッド12aには、ボンディングワイヤ7等を介して電子部品5等が接続され、外側パッド12bは外部電気回路に接続される。
内側パッド12aは、例えば図1および図2に示すように、キャビティ1cの内側に電子部品5の高さとほぼ同じ高さの段差部1dを設けておき、この段差部1dの上面に内側パッド12aを設ける。この構成により、電子部品5の上面に形成された電極と内側パッド12aの高さをほぼ同一とし、電子部品5と内側パッド12aとを接続するワイヤ7の長さを短くし、ワイヤ7で発生する電気信号の伝送損失の発生を抑制し、電気信号を効率良く伝送させることができるので好ましい。
外側パッド12bは、例えば図1に示すように、基体1の下側主面に設け、ビア導体からなるスルーホール導体12によって内側パッド12aと電気的に接続する。この構成により、基体1を外部電気回路基板の上側主面に表面実装させることができる。
また、例えば図2に示すように、外側パッド12bを内側パッド12aと同一高さに設けてもよい。この場合、例えばセラミックグリーンシートの層間に形成した層間導体から成るスルーホール導体12によって内側パッド12aと電気的に接続する。この構成により、スルーホール導体12がビア導体からなる場合に比べ、電気抵抗の発生を抑制し、電気信号を効率良く伝送させることができる。
外側パッド12bには、Fe−Ni−Co合金,Fe−Ni合金,Cu等からなるリード端子8がロウ付け等されることによって機械的かつ電気的に接続されていてもよい。外側パッド12bにリード端子8が接続されることによって、外部電気回路とリード端子8との半田付け等による接続の作業性を向上させることができる。また、外部電気回路基板と基体1との間に熱膨張差が発生した場合において、リード端子8で熱膨張差による歪みを吸収させ、基体1に不要な応力が作用するのを防止し、基体1が破損したり変形したりすることを防止できる。
また、基体1は底部1aと壁部2とが別々に形成され、底部1aの上面に銀(Ag)−銅(Cu)ロウ等のロウ材を介して側壁2を接合することによって基体1が形成されてもよい。この場合、側壁2の底部1aへの接合は底部1a上面と側壁2下面とが、底部1a上面に敷設したプリフォーム状のAg−Cuロウ等のロウ材を介して接合される。この場合、例えば、底部1aが金属、壁部2がセラミックスといった組み合わせで基体1を形成することができる。
底部1aの上側主面には、IC、LSI、半導体レーザ(LD)、フォトダイオード(PD),コンデンサ,トランジスタ等の電子部品5が半田等の接合材により載置固定される。電子部品5は、その電極が回路基板6に被着形成されている線路導体6aにワイヤ7を介して電気的に接続される。
壁部2の側面には、後述する保持部材11が接合される開口部2aが形成されている。開口部2aは、壁部2内外を貫通する貫通孔として形成される。
基体1と保持部材11とは、基体1の開口部2a内に保持部材11が挿入されるとともに保持部材11の鍔部11aと開口部2a周縁の外側面とがAg−Cuロウ、Agロウ、Au−Sn半田等のロウ材,樹脂接着剤等の接合材を介して接合される。このように、保持部材11と基体1とを鍔部11aで接合した場合、開口部2a周辺で接合した場合と比較して、基体1によって拘束される方向が少ない。それゆえ、保持部材11に応力が加わった場合であっても、局所的に基体1に応力が集中することを抑制し、基体1のクラック等の発生を低減できる。また、鍔部11aを有するため、パッケージの気密性を高めることができる。
壁部2がセラミックスからなり、保持部材11の鍔部11aと開口部2a周縁の外側面とがAg−Cuロウ、Agロウ等のロウ材を介して接合される場合、鍔部11aが接合される壁部2の面にW,Mo,Mn等からなる金属層が被着形成され、金属層表面には必要に応じて、Ni層やAu層がメッキされてもよい。この構成により、壁部2に保持部材11を強固かつ気密に接合させることができる。
壁部2がセラミックス,樹脂,ガラス等の誘電体からなる場合、図1に示すように蓋体4を気密に封止するためのシールリング2bが設けられることが好ましい。
シールリング2bは、蓋体4とのシーム溶接性に優れたFe−Ni−Co合金,Fe−Ni合金,ステンレス鋼(SUS)等から成るのがよく、この構成により、蓋体4をシーム溶接法により、作業効率よく、強固かつ内部の気密信頼性を高く保持した状態で溶接接合させることができる。
<保持部材>
以下、本発明の特徴部分である保持部材11について詳細に説明する。
保持部材11は、鍔部11aで容器体1に接合され、保持部材11と基体1の底部1aとの間に間隙1bを有することを特徴とするものである。
また、図1、図2、図3に示すように、鍔部11aは、保持部材11の鍔部11aと基体1の壁部2の外面に接合されることが好ましく、基体1の外側から保持部材11を挿入することができるため、基体1の内側から保持部材11を挿入する場合と比較して作業性がよい。
また、保持部材11と基体1の底部1aとの間に間隙1bを有することによって、コネクタ3と、パッケージ内部に設けられた電子部品5とをボンディングワイヤ7をする際に、保持部材11が弾性変形する。それゆえ、ボンディングワイヤ7の圧力を下げても、保持部材11が弾性変形することで、ワイヤ7の先端部がつぶれ易く、コネクタ3とワイヤ7との接着面積が増加する。
本発明に係る保持部材11は、例えば、Fe−Ni−Co合金やCu−Wの焼結材等の金属,セラミックス,ガラス,樹脂等から成り、金属からなる場合、そのインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すか、または射出成形と切削加工を施すことによって、所定形状に形成することができる。
鍔部11aは、その端部に向かって厚みが薄くなることが好ましく、ワイヤボンディングの際に、モーメントが加わり易い鍔部11aの端部が弾性変形し易くなるため、ワイヤ7の先端部がよりつぶれ易いといった効果を有する。
またさらに、鍔部11aは、基体1の底部(下方)の方が、上方と比較して、その厚みが薄いことが好ましく、ワイヤボンディングの際に、衝撃が加わり易い下方が変形し易くなるため、鍔部11aが弾性し易くなるといった効果を有する。
保持部材11には、コネクタ挿通用の貫通孔11bが設けられ、このコネクタ挿通用の貫通孔11bにコネクタ3を挿通固定させる。コネクタ3は、内部に収容する電子部品5を外部に電気的に接続するものであり、保持部材11にコネクタ3を取り付けることにより、パッケージ内外を電気的に導通させ、電子部品5と外部電気回路とを電気的に接続するための線路が形成される。
好ましくは、図3に示すように、保持部材11に貫通孔11bが複数個設けられ、各貫通孔11bにそれぞれコネクタ3が取り付けられているのがよい。この構成により、複数のコネクタ3を貫通孔11bにそれぞれ取り付けることができるため、パッケージの多端子化が可能となる。なお、図3に示すように、2個のコネクタ3を設けることによって、1組の差動線路を形成することができ、差動信号の入出力が可能となる。
図3では、保持部材11に2個のコネクタ3を設けた例を示したが、これに限定されることはなく、保持部材11に3個以上のコネクタ3を設けても構わない。例えば、保持部材11に4個以上の偶数個のコネクタ3を設け、差動線路を2組以上設けることで、より多機能なものとすることができる。
好ましくは、コネクタ3は同軸コネクタ3であるのがよく、この構成により、電気信号を同軸線路のモードで伝送させることができ、高周波信号を所定のインピーダンス値に整合させ易くして、インピーダンス値のずれによる伝送損失の発生を抑制することができる。
また、同軸コネクタ3とすることによって、パッケージ外部に同軸ケーブルを接続するのが容易となり、同軸ケーブルによって高周波信号を所定のインピーダンス値に整合させた状態で入出力させることができる。この結果、高周波信号に発生する伝送損失を抑制させ、高周波信号を効率良く入出力させることができる。
パッケージ外部に同軸ケーブルの接続を容易とするために、保持部材11の同軸コネクタ3取付部のパッケージ外側面に同軸ケーブル接続部11dを形成しておくのがよい。
同軸コネクタ3は、Fe−Ni−Co合金等の金属からなる円筒状の外周導体3aの中心軸に同じくFe−Ni−Co合金等の金属からなる中心導体3bがガラス等の絶縁体3cを介して固定された構造のものであり、中心導体3bが電気信号の伝送線路として機能し、外周導体3aが接地導体として機能する。
好ましくは、保持部材11は金属からなるのがよい。この構成により、接地電位を有するコネクタ3と保持部材11とを電気的に接続することでケースグランドの機能を有する。また、パッケージ外部からのノイズ(電磁波)に対し遮蔽効果を有する。
また、コネクタ3の接地電位を強化することができ、コネクタ3を伝送する電気信号が高周波のものであっても、所定のインピーダンス値に整合させて伝送損失の発生を抑制することができ、効率良く伝送させることができる。保持部材11が金属からなる場合、同軸コネクタ3は外周導体3aの外周面がコネクタ挿通用の貫通孔11bの内面と金(Au)−錫(Sn)半田等の封着材を用いて気密に接合することができる。
なお、保持部材11にコネクタ3が複数個設けられる場合、保持部材11が金属製であることによって、各コネクタ3から発生する電界をシールドすることができる。それゆえ、保持部材11が金属製であることによって、各コネクタ3が発生する電界の干渉を抑制した保持部材11を提供できる。
さらに好ましくは、保持部材11はFe−Ni−Co合金からなるのがよい。この構成により、コネクタ3が上述のような同軸コネクタ3からなる場合、コネクタ3との熱膨張係数が近似したものとなり、コネクタ3をロウ付け接合した際にコネクタ3が保持部材との熱膨張差による応力によって破損するのを防止することができる。
コネクタ3と電子部品5との電気的接続の方法としては、コネクタ3の線路導体と電子部品5の電極とをボンディングワイヤ7によって直接接続してもよい。
また、同軸コネクタ3からなる場合、好ましくは、保持部材11の上面に取着され、コネクタ3と電気的に接続するための回路基板6をさらに設けるのがよい。
この構成により、電子部品5の電極をボンディングワイヤ7によって回路基板6の配線6aに接続させることができ、コネクタ3と電子部品5の電極の接続を容易なものとすることができる。また、中心導体3bが外周導体3aより外側に突出した箇所を回路基板6の配線6aに接続させることで、中心導体3bを伝送する電気信号のインピーダンス値を回路基板6の配線6aを伝送する電気信号のインピーダンス値と同様とすることができる。即ち、回路基板6の配線6aを所定のインピーダンス値となるようにしておけば、中心導体3bが外周導体3aより外側に突出した箇所においても所定のインピーダンス値に整合させ、高周波信号に伝送損失が発生するのを抑制させ、高周波信号を効率よく伝送させることができる。
回路基板6を設ける構成として、例えば図1,図2,図3に、同軸コネクタ3の中心導体3bに接続するための配線としての線路導体6aを備えた回路基板6を備える構成示す。ここで、予め回路基板6の線路導体6aが中心導体3bに一致するように回路基板6を保持部材11の棚部11cに載置させておく。この構成によって、中心導体3bと線路導体6aとの接続位置を所定の位置として、高周波信号を効率よく伝送できるようになる。
次に、保持部材11上に、回路基板6を有する場合について、図1,図2,図3に基づき以下説明する。
回路基板6は、Al質焼結体やAlN質焼結体等のセラミックスや樹脂等の絶縁体から成り、外側平面視形状が四角形,五角形,六角形,八角形等の多角形の基板状のものである。
ここで、回路基板6がAl質焼結体から成る場合のセラミックグリーンシートの製造方法の例として以下の工程が挙げられる。すなわち、まず、Al,SiO,MgO,CaO等の原料粉末に適当な有機バインダ,溶剤等を添加混合してスラリーと成す。次に、このスラリーをドクターブレード法やカレンダーロール法によってセラミックグリーンシートと成し、所要の大きさに切断することによって作製される。なお、セラミックグリーンシートを形成する代わりに、Al,SiO,MgO,CaO等の原料粉末に適当な有機バインダ,溶剤等を添加混合してセラミック顆粒体と成し、このセラミック顆粒体を金型成形することにより所望の基板形状に作成してもよい。
また、回路基板6には、その上側主面に線路導体6aが形成されている。好ましくは、線路導体6aに加えて下側主面に下側主面接地導体が形成されていてもよいし、コプレーナ線路を形成する場合においては、線路導体6aと同一面に同一面接地導体が形成されていてもよい。回路基板に形成された接地導体と保持部材11とを電気的に接続すれば、保持部材11をグランド電位として使用することができるため、グランド電位を安定して維持できる回路基板とすることができる。
線路導体6aは図1に示すように1本のみ形成されている形態であってもよいし、図3に示すように2本以上の複数本が形成されていてもよい。なお、2本の線路導体6aを1組の差動線路と為す場合、2本の線路導体6aの長さを同一とするのがよい。2本の線路導体6aの長さを同一とすることによって、2本の線路導体6aを伝送する電気信号に位相差が生ずるのを防止することができる。
線路導体6aは、回路基板6となるセラミックグリーンシート表面にW,Mo,Mn等の高融点金属から成る金属ペーストをスクリーン印刷法等により印刷塗布し、これらセラミックグリーンシートを必要に応じて積層した後に約1600℃の温度で焼成することにより形成することができる。
また、線路導体6aの他、下側主面接地導体、同一面接地導体としてW,Mo,Mn等の高融点金属から成るメタライズ層を形成することができる。すなわち、当該メタライズ層は、W,Mo,Mn等から成る金属ペーストを回路基板6となるセラミック基板の表面に塗布し、高温で焼成することによって形成される。また、コプレーナ線路を形成する場合、同一面接地導体と下側主面接地導体とを貫通導体を介して電気的に接続してもよく、この場合、回路基板6に貫通孔を形成し、この貫通孔にW,Mo,Mn等から成る金属ペーストを充填し、高温で焼成することによって形成される。
焼成後のメタライズ層の表面にはAuやNi等からなる金属層がメッキ法等によって被着されているのがよい。この構成により、メタライズ層の腐食防止や、導電性を向上させることができる。
なお、線路導体6a、下側主面接地導体、同一面接地導体はメタライズ層で形成する代わりに薄膜金属形成法によって形成されていてもよく、その場合、線路導体6a、下側主面接地導体、同一面接地導体は窒化タンタル(TaN)、ニクロム(Ni−Cr合金)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)等から形成され、セラミックグリーンシートを焼成した後に蒸着等の加工を施すことによって形成される。
上述した回路基板6は、保持部材11の棚部11c上に、例えばAu−Sn半田等の接合材を介して接合され、本発明の一例に係る保持部材11を得ることができる。
また好ましくは、図4に示すように、保持部材11をキャビティの中央部側から見たときに、保持部材11の回路基板6と接合された上面の幅(すなわち、線路導体6aの線路方向に直交する方向における上面の長さ)が、回路基板6の下面の幅(すなわち、線路導体6aの線路方向に直交する方向における下面の長さ)より小さくされているのがよい。すなわち、保持部材11の棚部11cの上面が回路基板6の下面より幅狭である。
この構成によれば、回路基板6を保持部材11の上面に設置し接合すると、回路基板6が保持部材11より外側に張り出すようになるので、回路基板6を保持部材11に接合した際に、回路基板6の外周部に保持部材11との熱膨張差による応力が作用するのを抑制することができる。その結果、回路基板6がクラック等によって破損するのを防止して、回路基板6に形成された線路導体6aが断線するのを防止でき、電気信号を効率よく伝送できるパッケージとなる。また、近時の電気信号の高周波化により、回路基板6が薄型化してきているが、回路基板6が薄型化しても、回路基板6の破損を抑制できる。
また、回路基板6が保持部材11より外側に張り出した箇所において、回路基板6の下面と保持部材11の側面との間に、回路基板6と保持部材11とを接合するための接合材のメニスカスを形成することができ、回路基板6と保持部材11とを強固に接合させることができる。
なお、回路基板6の張り出し寸法、すなわち回路基板6の外周部と保持部材11の上面の外周部との間の距離は0.1mm〜1mm程度であるのがよい。
以下、本発明の保持部材11に同軸コネクタ3とセラミックスからなる回路基板6を設けた場合の中心導体3bと線路導体6aとの接合方法について説明する。
棚部11cにはAu−Sn半田等の接合材を設置しその上に回路基板6を設置する。貫通孔11aは、枠体2の内外を貫通するように形成され、同軸コネクタ3を挿入するとともに外周導体3aとの間にAu−Sn半田等の封着材を挿入する。中心導体3bの先端部は、セラミック基板6の上面に突出させ、中心導体3bの先端部と線路導体6aの上面との間に半田等の導電性接着材を載置する。
しかる後、加熱して接合材と封着材および導電性接着材を溶融させ、接合材により回路基板6が棚部11cに強固に固定され、溶融した封着材は毛細管現象により外周導体3aと貫通孔11aの内壁との隙間に充填させることによって、外周導体3aが貫通孔11a内にAu−Sn半田等の封着材を介して挿着され、導電性接着材により中心導体3bと線路導体6aとが接続される。
かくして、グランドとしての外周導体3aが保持部材11に封着材を介して保持部材11に電気的に接続され、また信号線路としての中心導体3bが回路基板6の線路導体6aにAu−Sn半田等からなる導電性接着材を介してそれぞれ電気的に接続される。
中心導体3bを伝送する高周波信号は、貫通孔11a部において貫通孔11aの中心軸を伝送する同軸線路を伝送し、保持部材11の枠体2内側の面から出て線路導体6aの一端の半田等の導電性接着材に達した後は、例えばマイクロストリップ線路となっている線路導体6a上を伝送する。この同軸線路とマイクロストリップ線路は、所定の特性インピーダンス値に整合されている。導電性接着材の接続部において、中心導体3bの先端部の位置、線路導体6aの位置、および導電性接着材の量により、信号線路のインピーダンスが所定の値に設定されている。このようにして、パッケージ内において、反射損失や透過損失等の伝送損失を抑制した良好な信号線路が形成される。上述したように、線路導体6aは線路導体6aの両側に等間隔をあけて同一面に設けられた同一面接地導体とともにコプレーナ線路を形成してもよい。
<パッケージ>
次に、上述した基体1および保持部材11を用いたパッケージについて以下に説明する。
本発明に係るパッケージは、キャビティ1cを有する基体1の壁部2にキャビティ1cに通じる開口部2aを有する容器体1と、開口部2aを挿通するコネクタ3と、コネクタ3を保持するとともに、容器体1を挿通する部位に鍔部11aを有する保持部材11と、を具備し、保持部材11は、鍔部11aで容器体1に接合され、保持部材11と基体1の底部との間に間隙1bを有するものである。
このような構成とすることによって、上述したように、コネクタ3と、パッケージ内部に設けられた電子部品5とをボンディングワイヤ7する際に、保持部材11と基体1の底部1aとの間の間隙1bによって、保持部材11が弾性変形し元の位置に戻ろうとする。それゆえ、ボンディングワイヤ7の圧力を下げても、保持部材11が弾性変形することで、ワイヤ7の先端部がつぶれ易く、コネクタ3とワイヤ7との接着面積が増加する。この結果、コネクタ3と電子部品5との接続の信頼性を高いものとして、電子部品5に高周波信号を良好に入出力させ、電子部品5を正常に作動させることができる。
なお、図1,図2においては、保持部材11に対しコネクタ3が1個取り付けられ、基体1の一側面に保持部材11が1個設けられた形態を示し、図3では保持部材11に貫通孔11bが複数個に設けられ、各貫通孔11bにそれぞれ同軸コネクタ3が取り付けられた形態を示したが、これに限定されることはなく、例えば、基体1に保持部材11が複数個設けられていてもよい。この構成によっても、基体1に同軸コネクタ3が複数個取り付けられることから、多端子化することが可能となる。
<電子装置>
最後に、上述したパッケージを用いた電子装置について以下に説明する。
本発明の電子装置は、上述したパッケージと、キャビティ1c内部に搭載された電子部品5と、壁部2に接合された蓋体4と、を具備してなるものである。
例えば、キャビティ1c内部に電子部品5を搭載し、電子部品5の電極と回路基板6の上面に被着された線路導体6aとをボンディングワイヤ等の電気的接続手段7により電気的に接続し、しかる後、壁部2の上面にFe−Ni−Co合金等の金属から成る蓋体4を半田付け法やシーム溶接法により接合することにより製品としての電子装置となる。
このような構成とすることにより、コネクタ3と電子部品5との接続の信頼性を高いものとして、電子部品5に高周波信号を良好に入出力させ、電子部品5を正常に作動させることが可能な電子装置を提供することができる。
本発明においては、周波数が5〜50GHz程度の高周波信号の伝送特性を良好なものとすることができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更は何等差し支えない。
(a)は本発明のパッケージおよび電子装置の実施の形態の一例を示す平面図であり、(b)は(a)に示すパッケージおよび電子装置のX−X’線における断面図である。 本発明のパッケージおよび電子装置の実施の形態の他の例を示す断面図である。 本発明のパッケージおよび電子装置の実施の形態のさらに他の例を示す平面図である。 本発明のパッケージおよび電子装置の実施の形態のさらに他の例を示す要部拡大正面図である。 (a)は、従来のパッケージの例を示す平面図であり、(b)は(a)に示すパッケージのA−A’線における断面図である。
符号の説明
1:基体(容器体)
1a:底部
1b:間隙
1c:キャビティ
2:壁部
2a:開口部
3:コネクタ(同軸コネクタ)
4:蓋体
5:電子部品
6:回路基板
11:保持部材
11a:鍔部
12:スルーホール導体

Claims (6)

  1. キャビティを有する基体の壁部に前記キャビティに通じる開口部を有する容器体と、
    前記開口部を挿通するコネクタと、
    前記コネクタを保持するとともに、前記容器体を挿通する部位に鍔部を有する保持部材と、
    前記キャビティ内であって、前記保持部材の上面に接合され、前記コネクタと電気的に接続された回路基板と、
    を具備し、
    前記保持部材は、前記鍔部で前記容器体に接合され、前記保持部材と前記基体の底部との間に間隙を有するとともに、
    前記保持部材を前記キャビティの中央部側から見たときに、前記保持部材の前記回路基板と接合された上面の幅が前記回路基板の下面の幅より小さいことを特徴とするパッケージ。
  2. 前記保持部材は、金属からなることを特徴とする請求項1に記載のパッケージ。
  3. 前記保持部材に貫通孔が複数個設けられ、各貫通孔にそれぞれ前記コネクタが取り付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパッケージ。
  4. 前記容器体は、セラミックスからなることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載のパッケージ。
  5. 前記容器体は、前記容器体の内外を挿通するスルーホール導体を有することを特徴とする請求項に記載のパッケージ。
  6. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載のパッケージと、
    前記キャビティ内部に搭載された電子部品と、
    前記壁部に接合された蓋体と、
    を具備してなる電子装置。
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