JP2004349565A - 光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光半導体装置を高集積化および多機能化させるとともに、高周波信号を効率よく伝送させ得るものとし、また内部の気密信頼性を向上させ、光半導体素子を長期にわたり正常かつ安定に作動させ得るものとすること。
【解決手段】光半導体素子収納用パッケージは、上下主面間を貫通する長方形状の貫通穴1aが形成されている金属製の基体1と、一端部の線路導体5c上にリード端子15が接合され、他端部に光半導体素子2の載置部が設けられた誘電体から成り、貫通穴1aに嵌着接合された入出力端子5と、貫通孔3bの開口の周囲に透光性部材4が接合され、基体1の上側主面の外周部に接合される金属製の蓋体3とを具備し、入出力端子5は、一端部側が厚肉部5a、他端部側が薄肉部5bとされ、厚肉部5aと薄肉部5bとの間に段差が形成されており、厚肉部5aが基体1の外側に位置するように嵌着接合されている。
【選択図】 図1
【解決手段】光半導体素子収納用パッケージは、上下主面間を貫通する長方形状の貫通穴1aが形成されている金属製の基体1と、一端部の線路導体5c上にリード端子15が接合され、他端部に光半導体素子2の載置部が設けられた誘電体から成り、貫通穴1aに嵌着接合された入出力端子5と、貫通孔3bの開口の周囲に透光性部材4が接合され、基体1の上側主面の外周部に接合される金属製の蓋体3とを具備し、入出力端子5は、一端部側が厚肉部5a、他端部側が薄肉部5bとされ、厚肉部5aと薄肉部5bとの間に段差が形成されており、厚肉部5aが基体1の外側に位置するように嵌着接合されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信等の分野に用いられる光半導体素子を収納するための光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光通信等の分野において高い周波数で作動する半導体レーザ(LD),フォトダイオード(PD)等の光半導体素子を気密封止して収納した光半導体装置の例を図4に示す。図4は光半導体素子としてLDを内部に収納した光半導体装置の断面図である。同図において、21は基体、22は光半導体素子、23は金属製の蓋体、24は透光性部材、25は外部接続用ピン、26は光ファイバである。これらの基体21と外部接続用ピン25とで光半導体素子収納用パッケージが基本的に構成される。また、光半導体素子収納用パッケージに光半導体素子22を搭載し、透光性部材24が接合された蓋体23を接合することにより光半導体装置となる。
【0003】
基体21は鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金や銅(Cu)−タングステン(W)合金等の金属から成り、その上側主面の中央部には、光半導体素子22が、アルミナ(Al2O3)質焼結体等のセラミックスから成る直方体状の基台28を介して基体21の上側主面に発光部を上側に向けて搭載固定される。この構成により、光半導体素子22から発する光信号が基体21の上方へ出射されることとなる。また、基体21には、Fe−Ni合金やFe−Ni−Co合金等の金属からなる外部接続用ピン25を挿通させるために上下主面間を貫通する貫通孔21aが形成されており、貫通孔21aに光半導体装置内外を導通する端子としての外部接続用ピン25を挿通させるとともに、外部接続用ピン25と貫通孔21aとの隙間にガラス等の誘電体から成る接合材を充填し、基体21と外部接続用ピン25とを気密に接合する。これにより、外部接続用ピン25が光半導体装置内外を導通する端子として機能する。
【0004】
なお、基台28に搭載された光半導体素子22は、その電極が外部接続用ピン25の光半導体素子22側の先端とボンディングワイヤ29等を介して電気的に接続されている。
【0005】
また、基体21の上側主面の外周部には、上端が閉じられ下端が開かれた筒状であり上端面23aの中央部に貫通孔23bが形成された、Fe−Ni−Co合金等の金属から成る蓋体23が接合される。蓋体23の下端23cは、例えば図4のような鍔状となっており、これにより基体21と蓋体23との接合面積が大きくなり、基体21と蓋体23とで構成される容器内部の気密信頼性が向上する。
【0006】
さらに、貫通孔23bを塞ぐように、貫通孔23bの上端面23a側開口の周囲に透光性部材24が接合される。透光性部材24はガラスやサファイア等から成る円板状,レンズ状,球状または半球状等のものであり、ガラスによる接合や半田付け等により蓋体23に気密に接合される。
【0007】
このような基体21および外部接続用ピン25から主に構成される光半導体素子収納用パッケージに光半導体素子22を搭載し、透光性部材24が接合された蓋体23を接合して気密に封止することによって光半導体装置となる(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0008】
そして、光ファイバ26固定用の筒状の金属製の固定部材27が、蓋体23の外周の鍔状部に溶接され、光ファイバ26が固定部材27の上面の貫通孔に外部から挿通固定されて透光性部材24の上方に固定され、外部接続用ピン25の外側の先端部が外部電気回路(図示せず)に電気的に接続される。これにより、外部電気回路から供給される電気信号によって光半導体素子22にレーザ光等の光を励起させ、この光を透光性部材24、光ファイバ26の順に透過させ、光ファイバ26を介して外部に伝送させることによって、高速光通信等に使用される光半導体装置として機能する。また、この場合、光半導体素子22から光信号が正常に発光しているか確認するためのモニタ用PD(図示せず)が搭載されていてもよい。または、外部から光ファイバ26を介して伝送してくる光信号を、透光性部材24を透過させ光半導体素子22に受光させて、光信号を電気信号に変換することによって、高速光通信等に使用される光半導体装置として機能する。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−183369号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の光半導体装置において、外部接続用ピン25が基体21の貫通孔21aに挿通されガラス等を介して気密に接合される構成であるため、外部接続用ピン25の直径寸法の最小加工限界、貫通孔21aの孔寸法、隣接する貫通孔21a間の間隔の最小加工限界等の制約があり、そのため、基体21に外部接続用ピン25を1本挿入するために大きな面積が必要とされ、基体21に取り付けられる外部接続用ピン25の本数が数本に限られるという問題点があった。
【0011】
さらに、光半導体装置内にはLD,PD等の光半導体素子22やモニタ用PDのみが収容され、光半導体素子22を駆動するためのドライバICは別の半導体素子収納用パッケージ内に収納され、外部電気回路を介してドライバICと光半導体装置とを電気的に接続する必要があり、光半導体素子22を駆動させるための装置全体が大型化するという問題点もあった。
【0012】
また、外部接続用ピン25をガラス等の接合材を介して基体21に接合しただけの端子構造であるため、外部接続用ピン25に外部から応力が加わった場合に接合材にクラック等の破損が生じ、光半導体装置内部の気密が損なわれるという問題点があった。
【0013】
さらに、外部接続用ピン25の貫通孔21aに挿入されていない部位を特性インピーダンスに整合させた信号線路とするのが困難であり、外部接続用ピン25を伝送する高周波信号が外部接続用ピン25で反射等して伝送損失が生じ、高周波信号を効率よく伝送できなくなるという問題点もあった。特に、2GHz以上の高周波になると伝送効率が著しく劣化し易くなっていた。
【0014】
また、現在光信号の発光源として用いられるLDの多くは、光信号が光半導体素子22の側面から発光するため、光ファイバ26の方向に発光させるためには、光半導体素子22を基体21の上側主面に対して垂直な面に搭載する必要がある。従って、基体21の上側主面に基台28を設け、さらに基台28の基体21の上側主面に対して垂直な面に光半導体素子22を搭載するため、光半導体素子22と外部接続用ピン25とをボンディングワイヤ29により接続する際、作業性が悪く手間がかかるという問題点があった。
【0015】
従って、本発明は上記問題点に鑑み完成されたものであり、その目的は、光半導体装置に取り付けられる端子数を増やして内部に収容する集積回路素子(IC)等の部品を増加させ、光半導体装置を高集積化および多機能化させるとともに、高周波信号を効率よく伝送させ得るものとし、また内部の気密信頼性を向上させ、光半導体素子を長期にわたり正常かつ安定に作動させ得るものとすることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上下主面間を貫通する長方形状の貫通穴が形成されている金属製の基体と、一辺から対向する他辺にかけて線路導体が形成されているとともに、一端部の前記線路導体上にリード端子が接合され、他端部に光半導体素子の載置部が設けられた誘電体から成り、前記貫通穴に嵌着接合された入出力端子と、上端面の中央部に貫通孔が形成されているとともに下端が開かれた筒状とされており、前記貫通孔の開口の周囲に透光性部材が接合され、該透光性部材を前記他端部に対向させて覆うようにその下端で前記基体の上側主面の外周部に接合される金属製の蓋体とを具備した光半導体素子収納用パッケージにおいて、前記入出力端子は、前記一端部側が厚肉部、前記他端部側が薄肉部とされ、前記厚肉部と前記薄肉部との間に段差が形成されており、前記厚肉部が前記基体の外側に位置するように嵌着接合されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、基体の貫通穴に嵌着接合された入出力端子を具備し、入出力端子は一端部側が厚肉部、他端部側が薄肉部とされ、厚肉部と薄肉部との間に段差が形成されており、厚肉部が基体の外側に位置するように嵌着接合されていることから、段差面を基体の一主面に当接させることにより、入出力端子の他端部側に設けられた載置部を常に正確に位置合わせすることができる。その結果、載置部に載置される光半導体素子と光ファイバとの光結合効率を良好なものとすることができる。
【0018】
また、入出力端子のリード端子が接合されている部位が厚肉部となっていることから、この接合部における入出力端子の剛性を大きくすることができ、入出力端子にリード端子をロウ付け等により接合する際に、入出力端子にリード端子との熱膨張差による応力が加わっても、入出力端子にクラック等の破損が生ずるのを防止できる。また、入出力端子にリード端子を接合した後、リード端子を折り曲げる等して外部電気回路基板に接続する場合に入出力端子に応力が加わっても、入出力端子にクラック等の破損が生ずるのを防止できる。
【0019】
さらに、光半導体素子の発熱により基体が熱膨張する等により基体が変形しようとしても、入出力端子の段差面が基体の下側主面に強固に接合されているため、入出力端子が基体を補強することができ、基体が変形して光半導体素子と光ファイバとの光結合効率が低下するのを有効に抑制することができる。
【0020】
また上記貫通穴に、一辺から対向する他辺にかけて線路導体が形成されているとともに、一端部の線路導体上にリード端子が接合され、他端部に光半導体素子の載置部が設けられた誘電体から成る入出力端子が嵌着接合されていることから、入出力端子に微細な間隔をもって電極パッド、配線導体および内部配線等を多数形成することができ、その結果、光半導体素子やモニタ用PDだけでなく、光半導体素子を駆動するためのドライバIC等を入出力端子の表面に設けることができ、信号入出力および光半導体素子の駆動や制御をこの入出力端子で行なうことができる。従って、外部電気回路に設けられていたドライバIC等を光半導体装置の内部や入出力端子の外側に実装し高集積化することができることから、光半導体素子を駆動させるための装置全体を小型化できる。
【0021】
また、入出力端子が貫通穴に嵌着されているとともに段差面を基体の下側主面に当接させていることから、入出力端子と基体との接合強度が非常に大きくなるため、従来のガラス接合された外部接続用ピンに比較して、外部接続用ピンの接合部にクラック等の破損が生じて光半導体装置内部の気密が破れるのを有効に抑制することができる。従って、外部接続用ピンをガラス等の接合材を介して基体の貫通孔に接合した従来の構造に比べ気密信頼性が大幅に向上する。また外部接続用ピンを介すことなく、入出力端子の線路導体で外部電気回路基板に接続することができるため、高周波信号が反射等して伝送損失が生じるのを抑制し、高周波信号の伝送効率を大幅に改善することができる。
【0022】
さらに、従来のように光半導体素子と外部接続用ピンとをボンディングワイヤにより接続する必要はなく、線路導体と光半導体素子とを同じ平板部の一主面上においてボンディングワイヤにより接続することができるため、ボンディングワイヤによる電気的な接続が容易となるとともに、ボンディングワイヤの長さも短くすることができボンディングワイヤのインダクタンスを小さくして高周波信号の伝送効率を向上させることができる。
【0023】
本発明の光半導体装置は、上記の光半導体素子収納用パッケージの前記載置部に光半導体素子が載置固定されているとともに前記線路導体に電気的に接続され、前記透光性部材を前記光半導体素子の受光部または発光部に対向させて前記基体の上側主面の外周部に前記蓋体の下端が接合されていることを特徴とする。
【0024】
本発明の光半導体装置は、上記の構成により、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージを用いた高周波伝送特性および気密信頼性の優れたものとなる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置について以下に詳細に説明する。図1〜3は本発明の光半導体装置について実施の形態の各種例を示す断面図である。
【0026】
図1〜3において、1は基体、2は光半導体素子、3は金属製の蓋体、4は透光性部材、5は入出力端子、6は光ファイバである。これら基体1および入出力端子5で光半導体素子収納用パッケージが基本的に構成される。また、光半導体素子収納用パッケージに光半導体素子2を搭載し、透光性部材4が接合された蓋体3を接合することにより光半導体装置となる。
【0027】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上下主面間を貫通する長方形状の貫通穴1aが形成されている金属製の基体1と、一辺から対向する他辺にかけて線路導体5cが形成されているとともに、一端部の線路導体5c上にリード端子15が接合され、他端部に光半導体素子2の載置部が設けられた誘電体から成り、貫通穴1aに嵌着接合された入出力端子5と、上端面3aの中央部に貫通孔3bが形成されているとともに下端3cが開かれた筒状とされており、貫通孔3bの開口の周囲に透光性部材4が接合され、透光性部材4を上記の多端部に対向させて覆うようにその下端3cで基体1の上側主面の外周部に接合される金属製の蓋体3とを具備した光半導体素子収納用パッケージにおいて、入出力端子5は上記の一端部側が厚肉部5a、他端部側が薄肉部5bとされ、厚肉部5aと薄肉部5bとの間に段差が形成されており、厚肉部5aが基体1の外側に位置するように嵌着接合されている構成である。
【0028】
本発明の基体1は、円板状、長方形等の平板状であり、Fe−Ni−Co合金やCu−W合金等の金属のインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって所定形状に製作される。
【0029】
また、基体1には、中央部に長方形状の貫通穴1aが形成されている。この貫通穴1aの内面には、入出力端子5の表面に設けられたメタライズ層が、銀(Ag)ロウ等のロウ材によって接合されることにより、貫通穴1aを塞ぐようにして入出力端子5が気密に接合される。
【0030】
本発明の入出力端子5は、図1〜3に示すように、一辺から対向する他辺にかけて線路導体5cが形成されているとともに、一端部の線路導体5c上にリード端子15が接合され、他端部に光半導体素子2の載置部が設けられており、また、入出力端子5は上記の一端部側で厚肉部5a、他端部側で薄肉部5bとされ、厚肉部5aと薄肉部5bとの間に段差が形成されており、厚肉部5aの全てが基体1の外側に位置するように嵌着接合されている。
【0031】
入出力端子5は、Al2O3質焼結体,AlN質焼結体,3Al2O3・2SiO2質焼結体等の誘電体から成り、また、線路導体5cは、タングステン(W)やモリブデン(Mo)等のメタライズ層から成る。入出力端子5内を通る線路導体5cは内層導体や貫通導体によって形成される。さらに、線路導体5cとなる内層導体および貫通導体の周囲に接地貫通導体を設けてもよく、この構成によって、線路導体5cに対する接地電位を強化することができ、線路導体5cを伝送する高周波信号に反射損失,透過損失等の伝送損失が発生するのを有効に防止することができる。特に、線路導体5cを伝送する高周波信号が10GHz以上となると伝送損失の発生防止に対し非常に有効なものとなる。
【0032】
このような入出力端子5は以下のようにして作製される。例えば、入出力端子5がAl2O3質焼結体から成る場合、先ず酸化アルミニウム、酸化珪素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)および酸化カルシウム(CaO)等の原料粉末に適当な有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加混合して泥漿状と成す。これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等のテープ成形技術により複数のセラミックグリーンシートを得る。次に、このセラミックグリーンシートに、タングステン(W)やモリブデン(Mo)等の高融点金属粉末に適当な有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加混合して得た金属ペーストを、スクリーン印刷法等の厚膜形成技術により印刷塗布して、線路導体5cとなるメタライズ層を所定パターンに形成する。また、入出力端子5をAgロウ等を介して基体1にロウ付けするために、入出力端子5の基体1との接合部にも、線路導体5cと同様にしてメタライズ層を所定パターンに形成する。しかる後、セラミックグリーンシートを複数枚積層し、これを還元雰囲気中、約1600℃の温度で焼成することにより製作される。
【0033】
また、入出力端子5は、その表面に基体1との接合のためのメタライズ層を形成せずに焼成し、焼成後に入出力端子5の表面をスライス切断加工あるいは研磨加工した後、そのスライス切断面あるいは研磨面にWやMo等を主成分とする金属ペーストをスクリーン印刷法等の厚膜形成技術により印刷塗布して、これを還元雰囲気中、約1300℃の温度で焼成することにより製作してもよい。これにより、入出力端子5の表面を平坦にすることができ、基体1との接合をより良好にすることができる。
【0034】
好ましくは、入出力端子5は、段差面にメタライズ層が形成されており、この段差面と基体1の下側主面とがロウ付けされているのがよい。これにより、入出力端子5が基体1に強固に固定されるとともに、基体1を入出力端子5でより強固に補強して基体1の変形を防止することができ、光半導体素子2と光ファイバ6との光軸がずれるのを有効に抑制できる。より好ましくは、段差面の全面に形成されたメタライズ層が基体1の下側主面にロウ付けされているのがよい。
【0035】
そして、光半導体素子2と線路導体5cとは薄肉部5bの主面においてボンディングワイヤ9等を介して電気的に接続される。本発明の入出力端子5を用いることにより、従来のように光半導体素子2と外部接続用ピンとをボンディングワイヤ9により接続する必要はなく、線路導体5cと光半導体素子2とを同じ薄肉部5b上の一主面においてボンディングワイヤ9により接続することができるため、ボンディングワイヤ9による電気的な接続が容易となるとともに、ボンディングワイヤ9の長さも短くすることができ、ボンディングワイヤ9のインダクタンスを小さくして高周波信号の伝送効率を向上させることができる。
【0036】
また、入出力端子5は一端部側が厚肉部5a、他端部側が薄肉部5bとされ、厚肉部5aと薄肉部5bとの間に段差が形成されており、厚肉部5aが基体1の外側に位置するように嵌着接合されている。この構成により、段差面を基体1の一主面に当接させることができ、入出力端子5の他端部側に設けられた載置部を常に正確に位置合わせすることができる。その結果、載置部に載置される光半導体素子2と光ファイバ6との光結合効率を良好なものとすることができる。
【0037】
また、入出力端子5の一端部側の線路導体5c上にFe−Ni−Co合金等の金属からなるリード端子15が接合され、この一端部側が厚肉部5aとされていることから、この接合部における入出力端子5の剛性を大きくすることができ、入出力端子5にリード端子15をロウ付け等により接合する際に、入出力端子5にリード端子15との熱膨張差による応力が加わっても、入出力端子5にクラック等の破損が生ずるのを防止できる。また、入出力端子5にリード端子15を接合した後、リード端子15を折り曲げる等して外部電気回路基板に接続する場合に入出力端子5に応力が加わっても、入出力端子5にクラック等の破損が生ずるのを防止できる。ここで好ましくは、図2に示すように薄肉部1bの貫通穴1aに嵌着される部位は残部よりも厚い方が良く、入出力端子5と基体1との熱膨張差によって入出力端子5にクラック等の破損が生ずるのを有効に防止することができる。
【0038】
また上記貫通穴1aに、一辺から対向する他辺にかけて線路導体5cが形成されているとともに、一端部の線路導体5c上にリード端子15が接合され、他端部に光半導体素子2の載置部が設けられた誘電体から成る入出力端子5が嵌着接合されていることから、入出力端子5に微細な間隔をもって電極パッド、配線導体および内部配線等を多数形成することができ、その結果、光半導体素子2やモニタ用PDだけでなく、光半導体素子2を駆動するためのドライバIC等を入出力端子5の表面に設けることができ、信号入出力および光半導体素子2の駆動や制御をこの入出力端子5で行なうことができる。従って、外部電気回路に設けられていたドライバIC等を光半導体装置の内部や入出力端子5の外側に実装し高集積化することができることから、光半導体素子2を駆動させるための装置全体を小型化できる。
【0039】
また、入出力端子5が貫通穴1aに嵌着されているとともに段差面を基体1の下側主面に当接させていることから、従来のガラス接合された外部接続用ピンに比較して、外部接続用ピンの接合部にクラック等の破損が生じて光半導体装置内部の気密が破れるのを有効に抑制することができる。従って、外部接続用ピンをガラス等の接合材を介して基体の貫通孔に接合した従来の構造に比べ気密信頼性が大幅に向上する。また外部接続用ピンを介すことなく、入出力端子5の線路導体5cで外部電気回路基板に接続することができるため、高周波信号が反射等して伝送損失が生じるのを抑制し、高周波信号の伝送効率を大幅に改善することができる。
【0040】
また、入出力端子5は、図3に示すように、入出力端子5の下面に金属板10がAgロウ等のロウ材により接合されていてもよい。この構成により、光半導体素子2の作動時に発生した熱を金属板10を介して光半導体装置の外部に効率よく放熱させることができる。従って、光半導体素子2が蓄熱して温度が上昇するのを抑制し、光半導体素子2を正常に作動させることができる。
【0041】
金属板10は、長方形状で、Fe−Ni−Co合金やCu−W合金等の金属から成り、そのインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって所定形状に製作される。
【0042】
また、入出力端子5は、金属板10が接合されている場合、図3に示すように、光半導体素子2の載置部を基台8として分離した状態で金属板10上に接合されていてもよい。これにより、例えば、基台8をAlN質焼結体等の熱伝導性のよい誘電体で形成して、光半導体素子2で発生した熱を良好に金属板10に伝導させて光半導体素子2を効率よく放熱させることができる。
【0043】
さらに、基台8に載置される光半導体素子2と線路導体5cとは、ボンディングワイヤ9を介して電気的に接続される。あるいは、基台8上に線路導体5cと同様の方法で形成した線路導体8aをボンディングワイヤ9を介して線路導体5cおよび光半導体素子2にそれぞれ電気的に接続してもよい。この場合、ボンディングワイヤ9の長さを短くして、そのインダクタンスを小さくするという観点から、線路導体5cの上面と線路導体8aの上面とが入出力端子5の他端部の主面に対して同じ高さになっていることが好ましい。また、線路導体5cと線路導体8aとが、ボンディングワイヤ9を使用せずに板状の金属片や金属棒により電気的に接続されてもよく、この場合、よりインダクタンスを小さくすることができるとともにインピーダンスの調整も容易となる。
【0044】
また、基体1の上側主面の外周部には、上端面3aの中央部に貫通孔3bが形成され下端3cが開かれた筒状である蓋体3が設けられる。蓋体3の下端3cは、鉛(Pb)−錫(Sn)半田等の半田による半田付けや溶接等によって基体1と気密に接合される。なお、下端3cは、基体1との接合面積を大きくして、基体1と蓋体3とで構成される容器内部の気密信頼性を向上させるために、図1〜3に示すような鍔状であることが好ましい。
【0045】
蓋体3は、断面形状(横断面形状)が円形または長方形等の多角形の筒状であり、Fe−Ni−Co合金等の金属から成り、そのインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって所定形状に製作される。なお、蓋体3は、筒状部と上端面3aが個々に製作され、それらをロウ付け、半田付け、溶接等によって接合したものであってもよい。
【0046】
また、蓋体3には、貫通孔3bを塞ぐように貫通孔3bの上端面3a側開口の周囲に、透光性部材4がガラス接合や半田付け等により気密に接合される。透光性部材4は、ガラスやサファイア等から成る円板状,レンズ状,球状または半球状等のものであり、球状の場合全周にわたる帯状部で、円板状やレンズ状の場合一主面の外周部で、半球状の場合平面部の外周部で蓋体3に接合される。
【0047】
本発明において、透光性部材4は貫通孔3bの上端面3a側開口の周囲に接合されるのが好ましく、この場合以下の点で有利である。即ち、蓋体3の外周の鍔状部に固定部材7を溶接する際の熱が蓋体3に局所的に加わり、蓋体3の透光性部材4との接合面に熱膨張による引っ張り応力が加わると、透光性部材4が蓋体3から剥がれ易くなるが、光半導体装置は内部を気密にするため外側から内側に気圧が加わり易く、気圧によって透光性部材4が蓋体3に押し付けられて剥がれにくくなる。一方、透光性部材4が貫通孔3bの上端面3aの裏面側開口の周囲に接合されていると、熱膨張による応力によって透光性部材4を剥がそうとする引っ張り応力と気圧による圧力とが、透光性部材4が蓋体3から容易に外れてしまうこととなる。
【0048】
このような光半導体素子収納用パッケージは、基体1の貫通穴1aに嵌着された入出力端子5に設けられた光半導体素子2の載置部に、光半導体素子2をSn−Pb半田等の低融点ロウ材で載置固定するとともに、線路導体5cと光半導体素子2とをボンディングワイヤ9で電気的に接続し、基体1の上側主面の外周部に蓋体3をシーム溶接等により接合することにより、光半導体装置となる。
【0049】
そして、光半導体装置の蓋体3の外周の鍔状部には、光ファイバ6が上端面に固定されたFe−Ni−Co合金等の金属から成る円筒状の固定部材7の下端面がレーザ溶接法等の溶接によって接合される。光ファイバ6が固定部材7を介して透光性部材4の上方に固定されることにより、光ファイバ6を介して内部に収容する光半導体素子2と外部との光信号の授受が可能となる。
【0050】
本発明の光半導体装置は、光半導体素子2の電極を外部電気回路に電気的に接続し、製品としての光半導体装置となる。この光半導体装置は、例えば外部電気回路から供給される電気信号によって光半導体素子2にレーザ光等の光を励起させ、この光を透光性部材4、光ファイバ6の順に透過させ、光ファイバ6を介して外部に伝送することによって、高速光通信等に使用される光半導体装置として機能する。
【0051】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更を施すことは何等差し支えない。
【0052】
【発明の効果】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、基体の貫通穴に嵌着接合された入出力端子を具備し、入出力端子は一端部側が厚肉部、他端部側が薄肉部とされ、厚肉部と薄肉部との間に段差が形成されており、厚肉部が基体の外側に位置するように嵌着接合されていることから、段差面を基体の一主面に当接させることにより、入出力端子の他端部側に設けられた載置部を常に正確に位置合わせすることができる。その結果、載置部に載置される光半導体素子と光ファイバとの光結合効率を良好なものとすることができる。
【0053】
また、入出力端子のリード端子が接合されている部位が厚肉部となっていることから、この接合部における入出力端子の剛性を大きくすることができ、入出力端子にリード端子をロウ付け等により接合する際に、入出力端子にリード端子との熱膨張差による応力が加わっても、入出力端子にクラック等の破損が生ずるのを防止できる。また、入出力端子にリード端子を接合した後、リード端子を折り曲げる等して外部電気回路基板に接続する場合に入出力端子に応力が加わっても、入出力端子にクラック等の破損が生ずるのを防止できる。
【0054】
さらに、光半導体素子の発熱により基体が熱膨張する等により基体が変形しようとしても、入出力端子の段差面が基体の下側主面に強固に接合されているため、入出力端子が基体を補強することができ、基体が変形して光半導体素子と光ファイバとの光結合効率が低下するのを有効に抑制することができる。
【0055】
また上記貫通穴に、一辺から対向する他辺にかけて線路導体が形成されているとともに、一端部の線路導体上にリード端子が接合され、他端部に光半導体素子の載置部が設けられた誘電体から成る入出力端子が嵌着接合されていることから、入出力端子に微細な間隔をもって電極パッド、配線導体および内部配線等を多数形成することができ、その結果、光半導体素子やモニタ用PDだけでなく、光半導体素子を駆動するためのドライバIC等を入出力端子の表面に設けることができ、信号入出力および光半導体素子の駆動や制御をこの入出力端子で行なうことができる。従って、外部電気回路に設けられていたドライバIC等を光半導体装置の内部や入出力端子の外側に実装し高集積化することができることから、光半導体素子を駆動させるための装置全体を小型化できる。
【0056】
また、入出力端子が貫通穴に嵌着されているとともに段差面を基体の下側主面に当接させていることから、入出力端子と基体との接合強度が非常に大きくなるため、従来のガラス接合された外部接続用ピンに比較して、外部接続用ピンの接合部にクラック等の破損が生じて光半導体装置内部の気密が破れるのを有効に抑制することができる。従って、外部接続用ピンをガラス等の接合材を介して基体の貫通孔に接合した従来の構造に比べ気密信頼性が大幅に向上する。また外部接続用ピンを介すことなく、入出力端子の線路導体で外部電気回路基板に接続することができるため、高周波信号が反射等して伝送損失が生じるのを抑制し、高周波信号の伝送効率を大幅に改善することができる。
【0057】
さらに、従来のように光半導体素子と外部接続用ピンとをボンディングワイヤにより接続する必要はなく、線路導体と光半導体素子とを同じ平板部の一主面上においてボンディングワイヤにより接続することができるため、ボンディングワイヤによる電気的な接続が容易となるとともに、ボンディングワイヤの長さも短くすることができボンディングワイヤのインダクタンスを小さくして高周波信号の伝送効率を向上させることができる。
【0058】
本発明の光半導体装置は、上記の光半導体素子収納用パッケージの載置部に光半導体素子が載置固定されているとともに線路導体に電気的に接続され、透光性部材を光半導体素子の受光部または発光部に対向させて基体の上側主面の外周部に前記蓋体の下端が接合されていることにより、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージを用いた高周波伝送特性および気密信頼性の優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光半導体装置について実施の形態の例を示す断面図である。
【図2】本発明の光半導体装置について実施の形態の他の例を示す断面図である。
【図3】本発明の光半導体装置について実施の形態の他の例を示す断面図である。
【図4】従来の光半導体装置の断面図である。
【符号の説明】
1:基体
1a:貫通穴
2:光半導体素子
3:蓋体
3a:上端面
3b:貫通孔
3c:下端
4:透光性部材
5:入出力端子
5a:厚肉部
5b:薄肉部
5c:線路導体
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信等の分野に用いられる光半導体素子を収納するための光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光通信等の分野において高い周波数で作動する半導体レーザ(LD),フォトダイオード(PD)等の光半導体素子を気密封止して収納した光半導体装置の例を図4に示す。図4は光半導体素子としてLDを内部に収納した光半導体装置の断面図である。同図において、21は基体、22は光半導体素子、23は金属製の蓋体、24は透光性部材、25は外部接続用ピン、26は光ファイバである。これらの基体21と外部接続用ピン25とで光半導体素子収納用パッケージが基本的に構成される。また、光半導体素子収納用パッケージに光半導体素子22を搭載し、透光性部材24が接合された蓋体23を接合することにより光半導体装置となる。
【0003】
基体21は鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金や銅(Cu)−タングステン(W)合金等の金属から成り、その上側主面の中央部には、光半導体素子22が、アルミナ(Al2O3)質焼結体等のセラミックスから成る直方体状の基台28を介して基体21の上側主面に発光部を上側に向けて搭載固定される。この構成により、光半導体素子22から発する光信号が基体21の上方へ出射されることとなる。また、基体21には、Fe−Ni合金やFe−Ni−Co合金等の金属からなる外部接続用ピン25を挿通させるために上下主面間を貫通する貫通孔21aが形成されており、貫通孔21aに光半導体装置内外を導通する端子としての外部接続用ピン25を挿通させるとともに、外部接続用ピン25と貫通孔21aとの隙間にガラス等の誘電体から成る接合材を充填し、基体21と外部接続用ピン25とを気密に接合する。これにより、外部接続用ピン25が光半導体装置内外を導通する端子として機能する。
【0004】
なお、基台28に搭載された光半導体素子22は、その電極が外部接続用ピン25の光半導体素子22側の先端とボンディングワイヤ29等を介して電気的に接続されている。
【0005】
また、基体21の上側主面の外周部には、上端が閉じられ下端が開かれた筒状であり上端面23aの中央部に貫通孔23bが形成された、Fe−Ni−Co合金等の金属から成る蓋体23が接合される。蓋体23の下端23cは、例えば図4のような鍔状となっており、これにより基体21と蓋体23との接合面積が大きくなり、基体21と蓋体23とで構成される容器内部の気密信頼性が向上する。
【0006】
さらに、貫通孔23bを塞ぐように、貫通孔23bの上端面23a側開口の周囲に透光性部材24が接合される。透光性部材24はガラスやサファイア等から成る円板状,レンズ状,球状または半球状等のものであり、ガラスによる接合や半田付け等により蓋体23に気密に接合される。
【0007】
このような基体21および外部接続用ピン25から主に構成される光半導体素子収納用パッケージに光半導体素子22を搭載し、透光性部材24が接合された蓋体23を接合して気密に封止することによって光半導体装置となる(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0008】
そして、光ファイバ26固定用の筒状の金属製の固定部材27が、蓋体23の外周の鍔状部に溶接され、光ファイバ26が固定部材27の上面の貫通孔に外部から挿通固定されて透光性部材24の上方に固定され、外部接続用ピン25の外側の先端部が外部電気回路(図示せず)に電気的に接続される。これにより、外部電気回路から供給される電気信号によって光半導体素子22にレーザ光等の光を励起させ、この光を透光性部材24、光ファイバ26の順に透過させ、光ファイバ26を介して外部に伝送させることによって、高速光通信等に使用される光半導体装置として機能する。また、この場合、光半導体素子22から光信号が正常に発光しているか確認するためのモニタ用PD(図示せず)が搭載されていてもよい。または、外部から光ファイバ26を介して伝送してくる光信号を、透光性部材24を透過させ光半導体素子22に受光させて、光信号を電気信号に変換することによって、高速光通信等に使用される光半導体装置として機能する。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−183369号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の光半導体装置において、外部接続用ピン25が基体21の貫通孔21aに挿通されガラス等を介して気密に接合される構成であるため、外部接続用ピン25の直径寸法の最小加工限界、貫通孔21aの孔寸法、隣接する貫通孔21a間の間隔の最小加工限界等の制約があり、そのため、基体21に外部接続用ピン25を1本挿入するために大きな面積が必要とされ、基体21に取り付けられる外部接続用ピン25の本数が数本に限られるという問題点があった。
【0011】
さらに、光半導体装置内にはLD,PD等の光半導体素子22やモニタ用PDのみが収容され、光半導体素子22を駆動するためのドライバICは別の半導体素子収納用パッケージ内に収納され、外部電気回路を介してドライバICと光半導体装置とを電気的に接続する必要があり、光半導体素子22を駆動させるための装置全体が大型化するという問題点もあった。
【0012】
また、外部接続用ピン25をガラス等の接合材を介して基体21に接合しただけの端子構造であるため、外部接続用ピン25に外部から応力が加わった場合に接合材にクラック等の破損が生じ、光半導体装置内部の気密が損なわれるという問題点があった。
【0013】
さらに、外部接続用ピン25の貫通孔21aに挿入されていない部位を特性インピーダンスに整合させた信号線路とするのが困難であり、外部接続用ピン25を伝送する高周波信号が外部接続用ピン25で反射等して伝送損失が生じ、高周波信号を効率よく伝送できなくなるという問題点もあった。特に、2GHz以上の高周波になると伝送効率が著しく劣化し易くなっていた。
【0014】
また、現在光信号の発光源として用いられるLDの多くは、光信号が光半導体素子22の側面から発光するため、光ファイバ26の方向に発光させるためには、光半導体素子22を基体21の上側主面に対して垂直な面に搭載する必要がある。従って、基体21の上側主面に基台28を設け、さらに基台28の基体21の上側主面に対して垂直な面に光半導体素子22を搭載するため、光半導体素子22と外部接続用ピン25とをボンディングワイヤ29により接続する際、作業性が悪く手間がかかるという問題点があった。
【0015】
従って、本発明は上記問題点に鑑み完成されたものであり、その目的は、光半導体装置に取り付けられる端子数を増やして内部に収容する集積回路素子(IC)等の部品を増加させ、光半導体装置を高集積化および多機能化させるとともに、高周波信号を効率よく伝送させ得るものとし、また内部の気密信頼性を向上させ、光半導体素子を長期にわたり正常かつ安定に作動させ得るものとすることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上下主面間を貫通する長方形状の貫通穴が形成されている金属製の基体と、一辺から対向する他辺にかけて線路導体が形成されているとともに、一端部の前記線路導体上にリード端子が接合され、他端部に光半導体素子の載置部が設けられた誘電体から成り、前記貫通穴に嵌着接合された入出力端子と、上端面の中央部に貫通孔が形成されているとともに下端が開かれた筒状とされており、前記貫通孔の開口の周囲に透光性部材が接合され、該透光性部材を前記他端部に対向させて覆うようにその下端で前記基体の上側主面の外周部に接合される金属製の蓋体とを具備した光半導体素子収納用パッケージにおいて、前記入出力端子は、前記一端部側が厚肉部、前記他端部側が薄肉部とされ、前記厚肉部と前記薄肉部との間に段差が形成されており、前記厚肉部が前記基体の外側に位置するように嵌着接合されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、基体の貫通穴に嵌着接合された入出力端子を具備し、入出力端子は一端部側が厚肉部、他端部側が薄肉部とされ、厚肉部と薄肉部との間に段差が形成されており、厚肉部が基体の外側に位置するように嵌着接合されていることから、段差面を基体の一主面に当接させることにより、入出力端子の他端部側に設けられた載置部を常に正確に位置合わせすることができる。その結果、載置部に載置される光半導体素子と光ファイバとの光結合効率を良好なものとすることができる。
【0018】
また、入出力端子のリード端子が接合されている部位が厚肉部となっていることから、この接合部における入出力端子の剛性を大きくすることができ、入出力端子にリード端子をロウ付け等により接合する際に、入出力端子にリード端子との熱膨張差による応力が加わっても、入出力端子にクラック等の破損が生ずるのを防止できる。また、入出力端子にリード端子を接合した後、リード端子を折り曲げる等して外部電気回路基板に接続する場合に入出力端子に応力が加わっても、入出力端子にクラック等の破損が生ずるのを防止できる。
【0019】
さらに、光半導体素子の発熱により基体が熱膨張する等により基体が変形しようとしても、入出力端子の段差面が基体の下側主面に強固に接合されているため、入出力端子が基体を補強することができ、基体が変形して光半導体素子と光ファイバとの光結合効率が低下するのを有効に抑制することができる。
【0020】
また上記貫通穴に、一辺から対向する他辺にかけて線路導体が形成されているとともに、一端部の線路導体上にリード端子が接合され、他端部に光半導体素子の載置部が設けられた誘電体から成る入出力端子が嵌着接合されていることから、入出力端子に微細な間隔をもって電極パッド、配線導体および内部配線等を多数形成することができ、その結果、光半導体素子やモニタ用PDだけでなく、光半導体素子を駆動するためのドライバIC等を入出力端子の表面に設けることができ、信号入出力および光半導体素子の駆動や制御をこの入出力端子で行なうことができる。従って、外部電気回路に設けられていたドライバIC等を光半導体装置の内部や入出力端子の外側に実装し高集積化することができることから、光半導体素子を駆動させるための装置全体を小型化できる。
【0021】
また、入出力端子が貫通穴に嵌着されているとともに段差面を基体の下側主面に当接させていることから、入出力端子と基体との接合強度が非常に大きくなるため、従来のガラス接合された外部接続用ピンに比較して、外部接続用ピンの接合部にクラック等の破損が生じて光半導体装置内部の気密が破れるのを有効に抑制することができる。従って、外部接続用ピンをガラス等の接合材を介して基体の貫通孔に接合した従来の構造に比べ気密信頼性が大幅に向上する。また外部接続用ピンを介すことなく、入出力端子の線路導体で外部電気回路基板に接続することができるため、高周波信号が反射等して伝送損失が生じるのを抑制し、高周波信号の伝送効率を大幅に改善することができる。
【0022】
さらに、従来のように光半導体素子と外部接続用ピンとをボンディングワイヤにより接続する必要はなく、線路導体と光半導体素子とを同じ平板部の一主面上においてボンディングワイヤにより接続することができるため、ボンディングワイヤによる電気的な接続が容易となるとともに、ボンディングワイヤの長さも短くすることができボンディングワイヤのインダクタンスを小さくして高周波信号の伝送効率を向上させることができる。
【0023】
本発明の光半導体装置は、上記の光半導体素子収納用パッケージの前記載置部に光半導体素子が載置固定されているとともに前記線路導体に電気的に接続され、前記透光性部材を前記光半導体素子の受光部または発光部に対向させて前記基体の上側主面の外周部に前記蓋体の下端が接合されていることを特徴とする。
【0024】
本発明の光半導体装置は、上記の構成により、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージを用いた高周波伝送特性および気密信頼性の優れたものとなる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置について以下に詳細に説明する。図1〜3は本発明の光半導体装置について実施の形態の各種例を示す断面図である。
【0026】
図1〜3において、1は基体、2は光半導体素子、3は金属製の蓋体、4は透光性部材、5は入出力端子、6は光ファイバである。これら基体1および入出力端子5で光半導体素子収納用パッケージが基本的に構成される。また、光半導体素子収納用パッケージに光半導体素子2を搭載し、透光性部材4が接合された蓋体3を接合することにより光半導体装置となる。
【0027】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上下主面間を貫通する長方形状の貫通穴1aが形成されている金属製の基体1と、一辺から対向する他辺にかけて線路導体5cが形成されているとともに、一端部の線路導体5c上にリード端子15が接合され、他端部に光半導体素子2の載置部が設けられた誘電体から成り、貫通穴1aに嵌着接合された入出力端子5と、上端面3aの中央部に貫通孔3bが形成されているとともに下端3cが開かれた筒状とされており、貫通孔3bの開口の周囲に透光性部材4が接合され、透光性部材4を上記の多端部に対向させて覆うようにその下端3cで基体1の上側主面の外周部に接合される金属製の蓋体3とを具備した光半導体素子収納用パッケージにおいて、入出力端子5は上記の一端部側が厚肉部5a、他端部側が薄肉部5bとされ、厚肉部5aと薄肉部5bとの間に段差が形成されており、厚肉部5aが基体1の外側に位置するように嵌着接合されている構成である。
【0028】
本発明の基体1は、円板状、長方形等の平板状であり、Fe−Ni−Co合金やCu−W合金等の金属のインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって所定形状に製作される。
【0029】
また、基体1には、中央部に長方形状の貫通穴1aが形成されている。この貫通穴1aの内面には、入出力端子5の表面に設けられたメタライズ層が、銀(Ag)ロウ等のロウ材によって接合されることにより、貫通穴1aを塞ぐようにして入出力端子5が気密に接合される。
【0030】
本発明の入出力端子5は、図1〜3に示すように、一辺から対向する他辺にかけて線路導体5cが形成されているとともに、一端部の線路導体5c上にリード端子15が接合され、他端部に光半導体素子2の載置部が設けられており、また、入出力端子5は上記の一端部側で厚肉部5a、他端部側で薄肉部5bとされ、厚肉部5aと薄肉部5bとの間に段差が形成されており、厚肉部5aの全てが基体1の外側に位置するように嵌着接合されている。
【0031】
入出力端子5は、Al2O3質焼結体,AlN質焼結体,3Al2O3・2SiO2質焼結体等の誘電体から成り、また、線路導体5cは、タングステン(W)やモリブデン(Mo)等のメタライズ層から成る。入出力端子5内を通る線路導体5cは内層導体や貫通導体によって形成される。さらに、線路導体5cとなる内層導体および貫通導体の周囲に接地貫通導体を設けてもよく、この構成によって、線路導体5cに対する接地電位を強化することができ、線路導体5cを伝送する高周波信号に反射損失,透過損失等の伝送損失が発生するのを有効に防止することができる。特に、線路導体5cを伝送する高周波信号が10GHz以上となると伝送損失の発生防止に対し非常に有効なものとなる。
【0032】
このような入出力端子5は以下のようにして作製される。例えば、入出力端子5がAl2O3質焼結体から成る場合、先ず酸化アルミニウム、酸化珪素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)および酸化カルシウム(CaO)等の原料粉末に適当な有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加混合して泥漿状と成す。これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等のテープ成形技術により複数のセラミックグリーンシートを得る。次に、このセラミックグリーンシートに、タングステン(W)やモリブデン(Mo)等の高融点金属粉末に適当な有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加混合して得た金属ペーストを、スクリーン印刷法等の厚膜形成技術により印刷塗布して、線路導体5cとなるメタライズ層を所定パターンに形成する。また、入出力端子5をAgロウ等を介して基体1にロウ付けするために、入出力端子5の基体1との接合部にも、線路導体5cと同様にしてメタライズ層を所定パターンに形成する。しかる後、セラミックグリーンシートを複数枚積層し、これを還元雰囲気中、約1600℃の温度で焼成することにより製作される。
【0033】
また、入出力端子5は、その表面に基体1との接合のためのメタライズ層を形成せずに焼成し、焼成後に入出力端子5の表面をスライス切断加工あるいは研磨加工した後、そのスライス切断面あるいは研磨面にWやMo等を主成分とする金属ペーストをスクリーン印刷法等の厚膜形成技術により印刷塗布して、これを還元雰囲気中、約1300℃の温度で焼成することにより製作してもよい。これにより、入出力端子5の表面を平坦にすることができ、基体1との接合をより良好にすることができる。
【0034】
好ましくは、入出力端子5は、段差面にメタライズ層が形成されており、この段差面と基体1の下側主面とがロウ付けされているのがよい。これにより、入出力端子5が基体1に強固に固定されるとともに、基体1を入出力端子5でより強固に補強して基体1の変形を防止することができ、光半導体素子2と光ファイバ6との光軸がずれるのを有効に抑制できる。より好ましくは、段差面の全面に形成されたメタライズ層が基体1の下側主面にロウ付けされているのがよい。
【0035】
そして、光半導体素子2と線路導体5cとは薄肉部5bの主面においてボンディングワイヤ9等を介して電気的に接続される。本発明の入出力端子5を用いることにより、従来のように光半導体素子2と外部接続用ピンとをボンディングワイヤ9により接続する必要はなく、線路導体5cと光半導体素子2とを同じ薄肉部5b上の一主面においてボンディングワイヤ9により接続することができるため、ボンディングワイヤ9による電気的な接続が容易となるとともに、ボンディングワイヤ9の長さも短くすることができ、ボンディングワイヤ9のインダクタンスを小さくして高周波信号の伝送効率を向上させることができる。
【0036】
また、入出力端子5は一端部側が厚肉部5a、他端部側が薄肉部5bとされ、厚肉部5aと薄肉部5bとの間に段差が形成されており、厚肉部5aが基体1の外側に位置するように嵌着接合されている。この構成により、段差面を基体1の一主面に当接させることができ、入出力端子5の他端部側に設けられた載置部を常に正確に位置合わせすることができる。その結果、載置部に載置される光半導体素子2と光ファイバ6との光結合効率を良好なものとすることができる。
【0037】
また、入出力端子5の一端部側の線路導体5c上にFe−Ni−Co合金等の金属からなるリード端子15が接合され、この一端部側が厚肉部5aとされていることから、この接合部における入出力端子5の剛性を大きくすることができ、入出力端子5にリード端子15をロウ付け等により接合する際に、入出力端子5にリード端子15との熱膨張差による応力が加わっても、入出力端子5にクラック等の破損が生ずるのを防止できる。また、入出力端子5にリード端子15を接合した後、リード端子15を折り曲げる等して外部電気回路基板に接続する場合に入出力端子5に応力が加わっても、入出力端子5にクラック等の破損が生ずるのを防止できる。ここで好ましくは、図2に示すように薄肉部1bの貫通穴1aに嵌着される部位は残部よりも厚い方が良く、入出力端子5と基体1との熱膨張差によって入出力端子5にクラック等の破損が生ずるのを有効に防止することができる。
【0038】
また上記貫通穴1aに、一辺から対向する他辺にかけて線路導体5cが形成されているとともに、一端部の線路導体5c上にリード端子15が接合され、他端部に光半導体素子2の載置部が設けられた誘電体から成る入出力端子5が嵌着接合されていることから、入出力端子5に微細な間隔をもって電極パッド、配線導体および内部配線等を多数形成することができ、その結果、光半導体素子2やモニタ用PDだけでなく、光半導体素子2を駆動するためのドライバIC等を入出力端子5の表面に設けることができ、信号入出力および光半導体素子2の駆動や制御をこの入出力端子5で行なうことができる。従って、外部電気回路に設けられていたドライバIC等を光半導体装置の内部や入出力端子5の外側に実装し高集積化することができることから、光半導体素子2を駆動させるための装置全体を小型化できる。
【0039】
また、入出力端子5が貫通穴1aに嵌着されているとともに段差面を基体1の下側主面に当接させていることから、従来のガラス接合された外部接続用ピンに比較して、外部接続用ピンの接合部にクラック等の破損が生じて光半導体装置内部の気密が破れるのを有効に抑制することができる。従って、外部接続用ピンをガラス等の接合材を介して基体の貫通孔に接合した従来の構造に比べ気密信頼性が大幅に向上する。また外部接続用ピンを介すことなく、入出力端子5の線路導体5cで外部電気回路基板に接続することができるため、高周波信号が反射等して伝送損失が生じるのを抑制し、高周波信号の伝送効率を大幅に改善することができる。
【0040】
また、入出力端子5は、図3に示すように、入出力端子5の下面に金属板10がAgロウ等のロウ材により接合されていてもよい。この構成により、光半導体素子2の作動時に発生した熱を金属板10を介して光半導体装置の外部に効率よく放熱させることができる。従って、光半導体素子2が蓄熱して温度が上昇するのを抑制し、光半導体素子2を正常に作動させることができる。
【0041】
金属板10は、長方形状で、Fe−Ni−Co合金やCu−W合金等の金属から成り、そのインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって所定形状に製作される。
【0042】
また、入出力端子5は、金属板10が接合されている場合、図3に示すように、光半導体素子2の載置部を基台8として分離した状態で金属板10上に接合されていてもよい。これにより、例えば、基台8をAlN質焼結体等の熱伝導性のよい誘電体で形成して、光半導体素子2で発生した熱を良好に金属板10に伝導させて光半導体素子2を効率よく放熱させることができる。
【0043】
さらに、基台8に載置される光半導体素子2と線路導体5cとは、ボンディングワイヤ9を介して電気的に接続される。あるいは、基台8上に線路導体5cと同様の方法で形成した線路導体8aをボンディングワイヤ9を介して線路導体5cおよび光半導体素子2にそれぞれ電気的に接続してもよい。この場合、ボンディングワイヤ9の長さを短くして、そのインダクタンスを小さくするという観点から、線路導体5cの上面と線路導体8aの上面とが入出力端子5の他端部の主面に対して同じ高さになっていることが好ましい。また、線路導体5cと線路導体8aとが、ボンディングワイヤ9を使用せずに板状の金属片や金属棒により電気的に接続されてもよく、この場合、よりインダクタンスを小さくすることができるとともにインピーダンスの調整も容易となる。
【0044】
また、基体1の上側主面の外周部には、上端面3aの中央部に貫通孔3bが形成され下端3cが開かれた筒状である蓋体3が設けられる。蓋体3の下端3cは、鉛(Pb)−錫(Sn)半田等の半田による半田付けや溶接等によって基体1と気密に接合される。なお、下端3cは、基体1との接合面積を大きくして、基体1と蓋体3とで構成される容器内部の気密信頼性を向上させるために、図1〜3に示すような鍔状であることが好ましい。
【0045】
蓋体3は、断面形状(横断面形状)が円形または長方形等の多角形の筒状であり、Fe−Ni−Co合金等の金属から成り、そのインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって所定形状に製作される。なお、蓋体3は、筒状部と上端面3aが個々に製作され、それらをロウ付け、半田付け、溶接等によって接合したものであってもよい。
【0046】
また、蓋体3には、貫通孔3bを塞ぐように貫通孔3bの上端面3a側開口の周囲に、透光性部材4がガラス接合や半田付け等により気密に接合される。透光性部材4は、ガラスやサファイア等から成る円板状,レンズ状,球状または半球状等のものであり、球状の場合全周にわたる帯状部で、円板状やレンズ状の場合一主面の外周部で、半球状の場合平面部の外周部で蓋体3に接合される。
【0047】
本発明において、透光性部材4は貫通孔3bの上端面3a側開口の周囲に接合されるのが好ましく、この場合以下の点で有利である。即ち、蓋体3の外周の鍔状部に固定部材7を溶接する際の熱が蓋体3に局所的に加わり、蓋体3の透光性部材4との接合面に熱膨張による引っ張り応力が加わると、透光性部材4が蓋体3から剥がれ易くなるが、光半導体装置は内部を気密にするため外側から内側に気圧が加わり易く、気圧によって透光性部材4が蓋体3に押し付けられて剥がれにくくなる。一方、透光性部材4が貫通孔3bの上端面3aの裏面側開口の周囲に接合されていると、熱膨張による応力によって透光性部材4を剥がそうとする引っ張り応力と気圧による圧力とが、透光性部材4が蓋体3から容易に外れてしまうこととなる。
【0048】
このような光半導体素子収納用パッケージは、基体1の貫通穴1aに嵌着された入出力端子5に設けられた光半導体素子2の載置部に、光半導体素子2をSn−Pb半田等の低融点ロウ材で載置固定するとともに、線路導体5cと光半導体素子2とをボンディングワイヤ9で電気的に接続し、基体1の上側主面の外周部に蓋体3をシーム溶接等により接合することにより、光半導体装置となる。
【0049】
そして、光半導体装置の蓋体3の外周の鍔状部には、光ファイバ6が上端面に固定されたFe−Ni−Co合金等の金属から成る円筒状の固定部材7の下端面がレーザ溶接法等の溶接によって接合される。光ファイバ6が固定部材7を介して透光性部材4の上方に固定されることにより、光ファイバ6を介して内部に収容する光半導体素子2と外部との光信号の授受が可能となる。
【0050】
本発明の光半導体装置は、光半導体素子2の電極を外部電気回路に電気的に接続し、製品としての光半導体装置となる。この光半導体装置は、例えば外部電気回路から供給される電気信号によって光半導体素子2にレーザ光等の光を励起させ、この光を透光性部材4、光ファイバ6の順に透過させ、光ファイバ6を介して外部に伝送することによって、高速光通信等に使用される光半導体装置として機能する。
【0051】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更を施すことは何等差し支えない。
【0052】
【発明の効果】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、基体の貫通穴に嵌着接合された入出力端子を具備し、入出力端子は一端部側が厚肉部、他端部側が薄肉部とされ、厚肉部と薄肉部との間に段差が形成されており、厚肉部が基体の外側に位置するように嵌着接合されていることから、段差面を基体の一主面に当接させることにより、入出力端子の他端部側に設けられた載置部を常に正確に位置合わせすることができる。その結果、載置部に載置される光半導体素子と光ファイバとの光結合効率を良好なものとすることができる。
【0053】
また、入出力端子のリード端子が接合されている部位が厚肉部となっていることから、この接合部における入出力端子の剛性を大きくすることができ、入出力端子にリード端子をロウ付け等により接合する際に、入出力端子にリード端子との熱膨張差による応力が加わっても、入出力端子にクラック等の破損が生ずるのを防止できる。また、入出力端子にリード端子を接合した後、リード端子を折り曲げる等して外部電気回路基板に接続する場合に入出力端子に応力が加わっても、入出力端子にクラック等の破損が生ずるのを防止できる。
【0054】
さらに、光半導体素子の発熱により基体が熱膨張する等により基体が変形しようとしても、入出力端子の段差面が基体の下側主面に強固に接合されているため、入出力端子が基体を補強することができ、基体が変形して光半導体素子と光ファイバとの光結合効率が低下するのを有効に抑制することができる。
【0055】
また上記貫通穴に、一辺から対向する他辺にかけて線路導体が形成されているとともに、一端部の線路導体上にリード端子が接合され、他端部に光半導体素子の載置部が設けられた誘電体から成る入出力端子が嵌着接合されていることから、入出力端子に微細な間隔をもって電極パッド、配線導体および内部配線等を多数形成することができ、その結果、光半導体素子やモニタ用PDだけでなく、光半導体素子を駆動するためのドライバIC等を入出力端子の表面に設けることができ、信号入出力および光半導体素子の駆動や制御をこの入出力端子で行なうことができる。従って、外部電気回路に設けられていたドライバIC等を光半導体装置の内部や入出力端子の外側に実装し高集積化することができることから、光半導体素子を駆動させるための装置全体を小型化できる。
【0056】
また、入出力端子が貫通穴に嵌着されているとともに段差面を基体の下側主面に当接させていることから、入出力端子と基体との接合強度が非常に大きくなるため、従来のガラス接合された外部接続用ピンに比較して、外部接続用ピンの接合部にクラック等の破損が生じて光半導体装置内部の気密が破れるのを有効に抑制することができる。従って、外部接続用ピンをガラス等の接合材を介して基体の貫通孔に接合した従来の構造に比べ気密信頼性が大幅に向上する。また外部接続用ピンを介すことなく、入出力端子の線路導体で外部電気回路基板に接続することができるため、高周波信号が反射等して伝送損失が生じるのを抑制し、高周波信号の伝送効率を大幅に改善することができる。
【0057】
さらに、従来のように光半導体素子と外部接続用ピンとをボンディングワイヤにより接続する必要はなく、線路導体と光半導体素子とを同じ平板部の一主面上においてボンディングワイヤにより接続することができるため、ボンディングワイヤによる電気的な接続が容易となるとともに、ボンディングワイヤの長さも短くすることができボンディングワイヤのインダクタンスを小さくして高周波信号の伝送効率を向上させることができる。
【0058】
本発明の光半導体装置は、上記の光半導体素子収納用パッケージの載置部に光半導体素子が載置固定されているとともに線路導体に電気的に接続され、透光性部材を光半導体素子の受光部または発光部に対向させて基体の上側主面の外周部に前記蓋体の下端が接合されていることにより、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージを用いた高周波伝送特性および気密信頼性の優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光半導体装置について実施の形態の例を示す断面図である。
【図2】本発明の光半導体装置について実施の形態の他の例を示す断面図である。
【図3】本発明の光半導体装置について実施の形態の他の例を示す断面図である。
【図4】従来の光半導体装置の断面図である。
【符号の説明】
1:基体
1a:貫通穴
2:光半導体素子
3:蓋体
3a:上端面
3b:貫通孔
3c:下端
4:透光性部材
5:入出力端子
5a:厚肉部
5b:薄肉部
5c:線路導体
Claims (2)
- 上下主面間を貫通する長方形状の貫通穴が形成されている金属製の基体と、一辺から対向する他辺にかけて線路導体が形成されているとともに、一端部の前記線路導体上にリード端子が接合され、他端部に光半導体素子の載置部が設けられた誘電体から成り、前記貫通穴に嵌着接合された入出力端子と、上端面の中央部に貫通孔が形成されているとともに下端が開かれた筒状とされており、前記貫通孔の開口の周囲に透光性部材が接合され、該透光性部材を前記他端部に対向させて覆うようにその下端で前記基体の上側主面の外周部に接合される金属製の蓋体とを具備した光半導体素子収納用パッケージにおいて、前記入出力端子は、前記一端部側が厚肉部、前記他端部側が薄肉部とされ、前記厚肉部と前記薄肉部との間に段差が形成されており、前記厚肉部が前記基体の外側に位置するように嵌着接合されていることを特徴とする光半導体素子収納用パッケージ。
- 請求項1記載の光半導体素子収納用パッケージの前記載置部に光半導体素子が載置されているとともに前記線路導体に電気的に接続され、前記透光性部材を前記光半導体素子の受光部または発光部に対向させて前記基体の上側主面の外周部に前記蓋体の下端が接合されていることを特徴とする光半導体装置。
Priority Applications (1)
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JP2003146626A JP2004349565A (ja) | 2003-05-23 | 2003-05-23 | 光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置 |
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JP2003146626A JP2004349565A (ja) | 2003-05-23 | 2003-05-23 | 光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置 |
Publications (1)
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JP2003146626A Withdrawn JP2004349565A (ja) | 2003-05-23 | 2003-05-23 | 光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004349565A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007043073A (ja) * | 2005-06-28 | 2007-02-15 | Kyocera Corp | 光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置 |
US7759753B2 (en) | 2008-02-13 | 2010-07-20 | Freescale Semiconductor, Inc. | Integrated circuit die, integrated circuit package, and packaging method |
WO2020135497A1 (en) * | 2018-12-26 | 2020-07-02 | Xiamen Chaoxuan Photoelectric Technology Co., Ltd. | System and device with laser array illumination |
US11362476B2 (en) | 2016-09-12 | 2022-06-14 | Guangyi (Xiamen) Technology Co., Ltd. | System and device with laser array illumination |
-
2003
- 2003-05-23 JP JP2003146626A patent/JP2004349565A/ja not_active Withdrawn
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US7759753B2 (en) | 2008-02-13 | 2010-07-20 | Freescale Semiconductor, Inc. | Integrated circuit die, integrated circuit package, and packaging method |
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