JP2004253557A - 光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光半導体装置を高集積化および多機能化させるとともに、高周波信号を効率よく伝送させ得るものとし、また内部の気密信頼性を向上させ、光半導体素子を長期にわたり正常かつ安定に作動させ得るものとすること。
【解決手段】光半導体素子収納用パッケージは、貫通穴1aを有する平板状の基体1と、貫通穴1aに嵌着された入出力端子5と、貫通孔3bの開口の周囲に透光性部材4が接合され、基体1に接合される蓋体3とを具備しており、入出力端子5は、線路導体5cが形成された四角形状の平板部5bおよび直方体状の立壁部5aから成る入出力部5dと、平板部5bに接合された、上端部が平板部5bよりも上方に突出している四角形状の金属板10と、金属板10に接合された、光半導体素子2の載置部を有する基台8とを具備しており、金属板10は、入出力部5dよりも薄くかつ横方向の幅が小さくされている。
【選択図】 図1
【解決手段】光半導体素子収納用パッケージは、貫通穴1aを有する平板状の基体1と、貫通穴1aに嵌着された入出力端子5と、貫通孔3bの開口の周囲に透光性部材4が接合され、基体1に接合される蓋体3とを具備しており、入出力端子5は、線路導体5cが形成された四角形状の平板部5bおよび直方体状の立壁部5aから成る入出力部5dと、平板部5bに接合された、上端部が平板部5bよりも上方に突出している四角形状の金属板10と、金属板10に接合された、光半導体素子2の載置部を有する基台8とを具備しており、金属板10は、入出力部5dよりも薄くかつ横方向の幅が小さくされている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信等の分野に用いられる光半導体素子を収納するための光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光通信等の分野において高い周波数で作動する半導体レーザ(LD),フォトダイオード(PD)等の光半導体素子を気密封止して収納した光半導体装置の例を図2に示す。図2は光半導体素子としてLDを内部に収納した光半導体装置の断面図である。同図において、21は基体、22は光半導体素子、23は金属製の蓋体、24は透光性部材、25は外部接続用ピン、26は光ファイバである。これらの基体21、外部接続用ピン25、および透光性部材24が接合された蓋体23で光半導体素子収納用パッケージが基本的に構成される。また、光半導体素子収納用パッケージに光半導体素子22を搭載し、蓋体23を接合することにより光半導体装置となる。
【0003】
基体21は鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金や銅(Cu)−タングステン(W)合金等の金属から成り、その上側主面の略中央部には、光半導体素子22が、アルミナ(Al2O3)質焼結体等のセラミックスから成る略直方体の基台28を介して基体21の上側主面に発光部を上側に向けて搭載固定される。この構成により、光半導体素子22から発する光信号が基体21の上方へ出射されることとなる。また、基体21には、Fe−Ni合金やFe−Ni−Co合金等の金属からなる外部接続用ピン25を挿通させるために上下主面間を貫通する貫通孔21aが形成されており、貫通孔21aに光半導体装置内外を導通する端子としての外部接続用ピン25が挿通されるとともに、外部接続用ピン25と貫通孔21aとの隙間にガラス等の誘電体から成る接合材が充填され、基体21と外部接続用ピン25とが気密に接合される。これにより、外部接続用ピン25が光半導体装置内外を導通する端子として機能する。
【0004】
なお、基台28に搭載された光半導体素子22は、その電極が外部接続用ピン25の光半導体素子22側の先端とボンディングワイヤ29等を介して電気的に接続されている。
【0005】
また、基体21の上側主面の外周部に接合され、上端が閉じられ下端が開かれた筒状であり上端面23aの中央部に貫通孔23bが形成された、Fe−Ni−Co合金等の金属から成る蓋体23が設けられている。蓋体23の下端23cは、例えば図2のような鍔状となっており、これにより基体21と蓋体23との接合面積が大きくなり、基体21と蓋体23とで構成される容器内部の気密信頼性が向上する。
【0006】
さらに、貫通孔23bを塞ぐように、貫通孔23bの上端面23a側開口の周囲に透光性部材24が接合されている。透光性部材24はガラスやサファイア等から成る円板状,レンズ状,球状または半球状等のものであり、ガラスによる接合や半田付け等により蓋体23に気密に接合される。
【0007】
このような基体21、外部接続用ピン25、および蓋体23から主に構成される光半導体素子収納用パッケージに光半導体素子22を搭載し、蓋体23を接合して気密に封止することによって光半導体装置となる(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0008】
そして、光ファイバ26固定用の筒状の金属製の固定部材27が、蓋体23の外周の鍔状部に溶接され、光ファイバ26が固定部材27の上面の貫通孔に外部から挿通固定されて透光性部材24の上方に固定され、外部接続用ピン25の外側の先端部が外部電気回路(図示せず)に電気的に接続される。これにより、外部電気回路から供給される電気信号によって光半導体素子22にレーザ光等の光を励起させ、この光を透光性部材24、光ファイバ26の順に透過させ、光ファイバ26を介して外部に伝送させることによって、高速光通信等に使用される光半導体装置として機能する。また、この場合、光半導体素子22から光信号が正常に発光しているか確認するためのモニタ用PD(図示せず)が搭載されていてもよい。または、外部から光ファイバ26を介して伝送してくる光信号を、透光性部材24を透過させ光半導体素子22に受光させて、光信号を電気信号に変換することによって、高速光通信等に使用される光半導体装置として機能する。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−183369号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の光半導体装置において、外部接続用ピン25が基体21の貫通孔21aに挿通されガラス等を介して気密に接合される構成であるため、外部接続用ピン25の直径寸法の最小加工限界、貫通孔21aの孔寸法、隣接する貫通孔21a間の間隔の最小加工限界等の制約があり、そのため、基体21に外部接続用ピン25を1本挿入するために大きな面積が必要とされ、基体21に取り付けられる外部接続用ピン25の本数が数本に限られるという問題点があった。
【0011】
さらに、光半導体装置内にはLD,PD等の光半導体素子22やモニタ用PDのみが収容され、光半導体素子22を駆動するためのドライバICは別の半導体素子収納用パッケージ内に収納され、外部電気回路を介してドライバICと光半導体装置とを電気的に接続する必要があり、光半導体素子22を駆動させるための装置全体が大型化するという問題点もあった。
【0012】
また、外部接続用ピン25をガラス等の接合材を介して基体21に接合しただけの端子構造であるため、外部接続用ピン25に外部から応力が加わった場合に接合材にクラック等の破損が生じ、光半導体装置内部の気密が損なわれるという問題点があった。
【0013】
さらに、外部接続用ピン25の貫通孔21aに挿入されていない部位を特性インピーダンスに整合させた信号線路とするのが困難であり、外部接続用ピン25を伝送する高周波信号が外部接続用ピン25で反射等して伝送損失が生じ、高周波信号を効率よく伝送できなくなるという問題点もあった。特に、2GHz以上の高周波になると伝送効率が著しく劣化し易くなっていた。
【0014】
また、現在光信号の発光源として用いられるLDの多くは、光信号が光半導体素子22の側面から発光するため、光ファイバ26の方向に発光させるためには、光半導体素子22を基体21の上側主面に対して垂直な面に搭載する必要がある。従って、基体21の上側主面に基台28を設け、さらに基台28の基体21の上側主面に対して垂直な面に光半導体素子22を搭載するため、光半導体素子22と外部接続用ピン25とをボンディングワイヤ29により接続する際、作業性が悪く手間がかかるという問題点があった。
【0015】
従って、本発明は上記問題点に鑑み完成されたものであり、その目的は、光半導体装置に取り付けられる端子数を増やして内部に収容する集積回路素子(IC)等の部品を増加させ、光半導体装置を高集積化および多機能化させるとともに、高周波信号を効率よく伝送させ得るものとし、また内部の気密信頼性を向上させ、光半導体素子を長期にわたり正常かつ安定に作動させ得るものとすることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上下主面間を貫通する貫通穴を有する平板状の金属製の基体と、前記貫通穴に嵌着され、前記基体の前記上下主面間を貫通するように線路導体が形成された入出力端子と、上端面の中央部に貫通孔が形成されているとともに下端が開かれた筒状とされており、前記貫通孔の上端面側開口の周囲に透光性部材が接合され、前記基体の上側主面の外周部にその下端で接合される金属製の蓋体とを具備しており、前記入出力端子は、一主面に一辺から対向する他辺にかけて前記線路導体が形成された誘電体から成る四角形状の平板部および該平板部の前記一主面に前記線路導体の一部を間に挟んで接合された誘電体から成る直方体状の立壁部から成る入出力部と、前記平板部の他主面に接合された、上端部が前記平板部よりも上方に突出している四角形状の金属板と、該金属板の前記平板部が接合されている面の前記上端部に接合された、一面に光半導体素子を載置する載置部を有するセラミックス製の基台とを具備しており、前記金属板は、前記入出力部よりも薄くかつ横方向の幅が小さくされていることを特徴とする。
【0017】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、入出力端子が、一主面に一辺から対向する他辺にかけて線路導体が形成された誘電体から成る四角形状の平板部およびこの平板部の一主面に線路導体の一部を間に挟んで接合された誘電体から成る直方体状の立壁部から成る入出力部と、平板部の他主面に接合された、上端部が平板部よりも上方に突出している四角形状の金属板と、この金属板の平板部が接合されている面の上端部に接合された、一面に光半導体素子を載置する載置部を有するセラミックス製の基台とを具備しており、金属板は、入出力部よりも薄くかつ横方向の幅が小さくされていることから、入出力端子に微細な間隔をもって電極パッド、配線導体および内部配線等を多数形成することができ、その結果、光半導体素子やモニタ用PDだけでなく、光半導体素子を駆動するためのドライバIC等を入出力端子の表面に設けることができ、信号入出力および光半導体素子の駆動や制御をこの入出力端子で行なうことができる。従って、外部電気回路に設けられていたドライバIC等を光半導体装置の内部や入出力端子の外側に実装し高集積化することができることから、光半導体素子を駆動させるための装置全体を小型化できる。
【0018】
また、貫通穴に入出力端子が嵌着されていることによって、従来のガラス接合された外部接続用ピンに比較して、外部接続用ピンの接合部にクラック等の破損が生じて光半導体装置内部の気密が破れるのを有効に抑制することができる。従って、外部接続用ピンをガラス等の接合材を介して基体の貫通孔に接合した従来の構造に比べ気密信頼性が大幅に向上する。また外部接続用ピンを介すことなく、入出力端子の線路導体で外部電気回路基板に接続することができるため、高周波信号が反射等して伝送損失が生じるのを抑制し、高周波信号の伝送効率を大幅に改善することができる。
【0019】
さらに、従来のように光半導体素子と外部接続用ピンとをボンディングワイヤにより接続する必要はなく、線路導体と光半導体素子とを同じ金属板の一主面側においてボンディングワイヤにより接続することができるため、ボンディングワイヤによる電気的な接続が容易となるとともに、ボンディングワイヤの長さも短くすることができボンディングワイヤのインダクタンスを小さくして高周波信号の伝送効率を向上させることができる。
【0020】
また、入出力端子は入出力部の下面に金属板が接合されていることにより、金属板によって入出力部を補強することができるため、入出力部をより薄くすることが可能となり、その結果、入出力端子をより小さくして装置全体の小型化が可能となる。また、金属板により平板部の一主面に設けた線路導体の接地電位を強化することができ、線路導体を伝送する高周波信号の伝送効率をより向上させることができる。さらに、半導体素子の作動により発生した熱を金属板を介して効率よく放熱することができ、光半導体素子が蓄熱によって温度が上昇し誤動作するのを有効に抑制し、光半導体素子を正常に作動させることができる。
【0021】
さらに、金属板は入出力部よりも薄くかつ横方向の幅が小さくされているため、入出力部と金属板とを接合する際や光半導体素子の作動時に入出力部と金属板との接合部に熱が加わったとしても、熱膨張の大きい金属板を小さくすることで入出力部と金属板との熱膨張差による応力を小さくすることができ、入出力部にクラック等の破損が生ずるのを有効に抑制することができる。また、蓋体の横断面形状が円状の場合、入出力部の横方向の幅をより大きくしようとしたときに金属板の角が蓋体に接触することにより入出力部の幅が制限されることはなく、入出力部の横方向の幅を蓋体の内側の範囲内で最大限に大きくすることができる。その結果、入出力部に形成される線路導体をより多く設けることができ、光半導体装置を小さく維持しながら、線路導体に電気信号を入出力させる端子数を増加させることが可能となる。
【0022】
本発明の光半導体装置は、上記の光半導体素子収納用パッケージの前記載置部に光半導体素子が載置固定されているとともに前記線路導体に電気的に接続され、前記透光性部材を前記光半導体素子に対向させて前記基体の上側主面の外周部に前記蓋体の下端が接合されていることを特徴とすることを特徴とする。
【0023】
本発明の光半導体装置は、上記の構成により、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージを用いた高周波伝送特性および気密信頼性の優れたものとなる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置について以下に詳細に説明する。図1(a)は本発明の光半導体装置について実施の形態の一例を示す断面図、図1(b)は図1(a)の下面図である。
【0025】
図1において、1は基体、2は光半導体素子、3は金属製の蓋体、4は透光性部材、5は入出力端子、6は光ファイバ、10は金属板である。これら基体1、入出力端子5、および透光性部材4が接合された蓋体3で光半導体素子収納用パッケージが基本的に構成される。また、光半導体素子収納用パッケージに光半導体素子2を搭載し、蓋体3を接合することにより光半導体装置となる。
【0026】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上下主面間を貫通する貫通穴1aを有する平板状の金属製の基体1と、貫通穴1aに嵌着され、基体1の上下主面間を貫通するように線路導体5cが形成された入出力端子5と、上端面3aの中央部に貫通孔3bが形成されているとともに下端3cが開かれた筒状とされており、貫通孔3bの上端面3a側開口の周囲に透光性部材4が接合され、基体1の上側主面の外周部にその下端で接合される金属製の蓋体3とを具備しており、入出力端子5は、一主面に一辺から対向する他辺にかけて線路導体5cが形成された誘電体から成る四角形状の平板部5bおよびこの平板部5bの一主面に線路導体5cの一部を間に挟んで接合された誘電体から成る直方体状の立壁部5aから成る入出力部5dと、平板部5bの他主面に接合された、上端部が平板部5bよりも上方に突出している四角形状の金属板10と、この金属板10の平板部5bが接合されている面の上端部に接合された、一面に光半導体素子2を載置する載置部を有するセラミックス製の基台8とを具備しており、金属板10は、入出力部5dよりも薄くかつ横方向の幅が小さくされている構成である。
【0027】
本発明の基体1は、円板状、長方形等の平板状であり、Fe−Ni−Co合金やCu−W合金等の金属のインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって所定形状に製作される。
【0028】
また、基体1には、図1(b)に示すように、上下主面間を貫通してなる凸字状の貫通穴1aが形成されている。この貫通穴1aの内面には、入出力部5dの表面に設けられたメタライズ層および金属板10が、銀(Ag)ロウ等のロウ材によって接合されることにより、貫通穴1aを塞ぐようにして入出力端子5が気密に接合される。
【0029】
本発明の入出力部5dは、図1(a)に示すように、一主面に一辺から対向する他辺にかけて線路導体5cが形成された平板部5bおよびこの平板部5bの一主面に線路導体5cの一部を間に挟んで接合された立壁部5aから構成される。平板部5bおよび立壁部5aは、Al2O3質焼結体,AlN質焼結体,3Al2O3・2SiO2質焼結体等の誘電体から成り、また、線路導体5cは、タングステン(W)やモリブデン(Mo)等のメタライズ層から成る。
【0030】
このような入出力部5dは以下のようにして作製される。例えば、平板部5bおよび立壁部5aがAl2O3質焼結体から成る場合、先ず酸化アルミニウム、酸化珪素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)および酸化カルシウム(CaO)等の原料粉末に適当な有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加混合して泥漿状と成す。これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等のテープ成形技術により複数のセラミックグリーンシートを得る。次に、このセラミックグリーンシートに、タングステン(W)やモリブデン(Mo)等の高融点金属粉末に適当な有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加混合して得た金属ペーストを、スクリーン印刷法等の厚膜形成技術により印刷塗布して、線路導体5cとなるメタライズ層を所定パターンに形成する。また、入出力部5dをAgロウ等を介して基体1および金属板10にロウ付けするために、入出力部5dの基体1,金属板10との接合部にも、線路導体5cと同様にしてメタライズ層を所定パターンに形成する。しかる後、セラミックグリーンシートを複数枚積層し、これを還元雰囲気中、約1600℃の温度で焼成することにより製作される。
【0031】
また、入出力部5dは、その表面に基体1との接合のためのメタライズ層を形成せずに焼成し、焼成後に入出力部5dの表面をスライス切断加工あるいは研磨加工した後、そのスライス切断面あるいは研磨面にWやMo等を主成分とする金属ペーストをスクリーン印刷法等の厚膜形成技術により印刷塗布して、これを還元雰囲気中、約1300℃の温度で焼成することにより製作してもよい。これにより、入出力部5dの表面を平坦にすることができ、基体1との接合をより良好にすることができる。
【0032】
金属板10は、上端部が平板部5bよりも上方に突出している四角形状のFe−Ni−Co合金やCu−W合金等の金属から成り、そのインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって所定形状に製作される。
【0033】
また、金属板10は入出力部5dよりも薄くかつ横方向の幅が小さくされている。即ち、金属板10の横方向の幅A(図1(b)参照)は入出力部5dの幅Bに対してA<Bであり、金属板10の厚さCは入出力部5dの厚さDに対してC<Dである。
【0034】
これにより、金属板10によって入出力部5dを補強することができるため、入出力部5dをより薄くすることが可能となり、その結果、入出力端子5をより小さくして装置全体の小型化が可能となる。また、金属板10により平板部5bの一主面に設けた線路導体5cの接地電位を強化することができ、線路導体5cを伝送する信号の伝送効率をより向上させることができる。さらに、半導体素子2の作動により発生した熱を金属板10を介して効率よく放熱することができ、光半導体素子2が蓄熱によって温度が上昇し誤動作するのを有効に抑制し、光半導体素子2を正常に作動させることができる。
【0035】
また、入出力部5dと金属板10とを接合する際や光半導体素子2の作動時に入出力部5dと金属板10との接合部に熱が加わったとしても、熱膨張の大きい金属板10を小さくすることで入出力部5dと金属板10との熱膨張差による応力を小さくすることができ、入出力部5dにクラック等の破損が生ずるのを有効に抑制することができる。また、図1(b)のように、蓋体3の横断面形状が円状の場合、入出力部5dの横方向の幅をより大きくしようとしたときに金属板10の角が蓋体3に接触することにより入出力部5dの幅が制限されることはなく、入出力部5dの横方向の幅を蓋体3の内側の範囲内で最大限に大きくすることができる。その結果、入出力部5dに形成される線路導体5cをより多く設けることができ、装置を小さく維持しながら、線路導体5cに電気信号を入出力させる入出力端子を増加させることが可能となる。
【0036】
好ましくは、金属板10の幅Aは0.5×B≦A≦0.9×Bであるのがよい。この構成により、金属板10により線路導体5cに対する接地電位を強化しながら、入出力部5dと金属板10との熱膨張差のよる応力が入出力部5dに加わってクラック等の破損が生ずるのを有効に防止することができる。A<0.5×Bであると、金属板10の横断面積が小さくなり線路導体5cに対する接地電位の強化が困難になる。また、A>0.9×Bであると、入出力部5dに金属板10との熱膨張差による応力が加わり易くなって入出力部5dにクラック等の破損が発生し易くなる。
【0037】
また、金属板10の厚さCは0.3×D≦C≦0.7×Dであるのがよい。この構成により、金属板10により線路導体5cに対する接地電位を強化しながら、入出力部5dと金属板10との熱膨張差のよる応力が入出力部5dに加わってクラック等の破損が生ずるのを有効に防止することができる。C<0.3×Dであると、入出力部5dに対して金属板10が薄すぎ、入出力部5dを補強する効果が小さくなり易い。また、半導体素子2で発生した熱を外部へ放熱する効果も小さくなり易い。また、C>0.7×Dであると、入出力部5dに金属板10との熱膨張差のよる応力が大きく加わり易くなって入出力部5dにクラック等の破損を発生し易くなる。
【0038】
また、図1(b)に下面図で示すように、金属板10の平板部5bが接合されている面の上端部に、一面に光半導体素子1を載置する載置部を有するセラミックス製の基台8が接合されている。基台8はAl2O3質焼結体,AlN質焼結体,3Al2O3・2SiO2質焼結体等のセラミックスからなり、基台8の金属板10に接合される面にはW等を主成分とするメタライズ層が形成され、この基台8のメタライズ層がAgロウ等のロウ材を介することによって金属板10に接合されている。
【0039】
これにより、例えば、基台8をAlN質焼結体等の熱伝導性のよい誘電体で形成すると、光半導体素子2で発生した熱を良好に金属板10に伝導させて光半導体素子2を効率よく放熱させることができる。
【0040】
さらに、基台8に載置される光半導体素子2と線路導体5cとは、ボンディングワイヤ9を介して電気的に接続される。あるいは、基台8上に線路導体5cと同様の方法で形成した線路導体8aをボンディングワイヤ9を介して線路導体5cおよび光半導体素子2にそれぞれ電気的に接続してもよい。この場合、ボンディングワイヤ9の長さを短くして、そのインダクタンスを小さくするという観点から、線路導体5cの上面と線路導体8aの上面とが平板部5bの一主面に対して同じ高さになっていることが好ましい。また、線路導体5cと線路導体8aとが、ボンディングワイヤ9を使用せずに板状の金属片や金属棒により電気的に接続されてもよく、この場合、よりインダクタンスを小さくすることができるとともにインピーダンスの調整も容易となる。
【0041】
また、基体1の上側主面の外周部には、上端面3aの略中央部に貫通孔3bが形成され下端3cが開かれた筒状である蓋体3が設けられる。蓋体3の下端3cは、鉛(Pb)−錫(Sn)半田等の半田による半田付けや溶接等によって基体1と気密に接合される。なお、下端3cは、基体1との接合面積を大きくして、基体1と蓋体3とで構成される容器内部の気密信頼性を向上させるために、図1に示すような鍔状であることが好ましい。
【0042】
蓋体3は、断面形状(横断面形状)が円形または長方形等の多角形の筒状であり、Fe−Ni−Co合金等の金属から成り、そのインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって所定形状に製作される。なお、蓋体3は、筒状部と上端面3aが個々に製作され、それらをロウ付け、半田付け、溶接等によって接合したものであってもよい。
【0043】
蓋体3には、貫通孔3bを塞ぐように貫通孔3bの上端面3a側開口の周囲に、透光性部材4がガラス接合や半田付け等により気密に接合される。透光性部材4は、ガラスやサファイア等から成る円板状,レンズ状,球状または半球状等のものであり、球状の場合全周にわたる帯状部で、円板状やレンズ状の場合一主面の外周部で、半球状の場合平面部の外周部で蓋体3に接合される。
【0044】
本発明において、透光性部材4は貫通孔3bの上端面3a側開口の周囲に接合されるのが好ましく、この場合以下の点で有利である。即ち、蓋体3の外周の鍔状部に固定部材7を溶接する際の熱が蓋体3に局所的に加わり、蓋体3の透光性部材4との接合面に熱膨張による引っ張り応力が加わると、透光性部材4が蓋体3から剥がれ易くなるが、光半導体装置は内部を気密にするため外側から内側に気圧が加わり易く、気圧によって透光性部材4が蓋体3に押し付けられて剥がれにくくなる。一方、透光性部材4が貫通孔3bの上端面3aの裏面側開口の周囲に接合されていると、熱膨張による応力によって透光性部材4を剥がそうとする引っ張り応力と気圧による圧力とが、透光性部材4が蓋体3から容易に外れてしまうこととなる。
【0045】
このような光半導体素子収納用パッケージは、基体1の貫通穴1aに嵌着された入出力端子5に設けられた基台8の載置部に、光半導体素子2をSn−Pb半田等の低融点ロウ材で載置固定するとともに、線路導体5cあるいは線路導体8aと光半導体素子2とをボンディングワイヤ9で電気的に接続し、しかる後、透光性部材4を光半導体素子2と対向させて光学的に結合させるように蓋体3を基体1の上側主面の外周部にシーム溶接等により接合することにより、光半導体装置となる。
【0046】
そして、光半導体装置の蓋体3の外周の鍔状部には、光ファイバ6が上端面に固定されたFe−Ni−Co合金等の金属から成る略円筒状の固定部材7の下端面がレーザ溶接法等の溶接によって接合される。光ファイバ6が固定部材7を介して透光性部材4の上方に固定されることにより、光ファイバ6を介して内部に収容する光半導体素子2と外部との光信号の授受が可能となる。
【0047】
本発明の光半導体装置は、光半導体素子2の電極を外部電気回路に電気的に接続し、製品としての光半導体装置となる。この光半導体装置は、例えば外部電気回路から供給される電気信号によって光半導体素子2にレーザ光等の光を励起させ、この光を透光性部材4、光ファイバ6の順に透過させ、光ファイバ6を介して外部に伝送することによって、高速光通信等に使用される光半導体装置として機能する。
【0048】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更を施すことは何等差し支えない。
【0049】
【発明の効果】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、入出力端子が、一主面に一辺から対向する他辺にかけて線路導体が形成された誘電体から成る四角形状の平板部およびこの平板部の一主面に線路導体の一部を間に挟んで接合された誘電体から成る直方体状の立壁部から成る入出力部と、平板部の他主面に接合された、上端部が平板部よりも上方に突出している四角形状の金属板と、この金属板の平板部が接合されている面の上端部に接合された、一面に光半導体素子を載置する載置部を有するセラミックス製の基台とを具備しており、金属板は、入出力部よりも薄くかつ横方向の幅が小さくされていることから、入出力端子に微細な間隔をもって電極パッド、配線導体および内部配線等を多数形成することができ、その結果、光半導体素子やモニタ用PDだけでなく、光半導体素子を駆動するためのドライバIC等を入出力端子の表面に設けることができ、信号入出力および光半導体素子の駆動や制御をこの入出力端子で行なうことができる。従って、外部電気回路に設けられていたドライバIC等を光半導体装置の内部や入出力端子の外側に実装し高集積化することができることから、光半導体素子を駆動させるための装置全体を小型化できる。
【0050】
また、貫通穴に入出力端子が嵌着されていることによって、従来のガラス接合された外部接続用ピンに比較して、外部接続用ピンの接合部にクラック等の破損が生じて光半導体装置内部の気密が破れるのを有効に抑制することができる。従って、外部接続用ピンをガラス等の接合材を介して基体の貫通孔に接合した従来の構造に比べ気密信頼性が大幅に向上する。また外部接続用ピンを介すことなく、入出力端子の線路導体で外部電気回路基板に接続することができるため、高周波信号が反射等して伝送損失が生じるのを抑制し、高周波信号の伝送効率を大幅に改善することができる。
【0051】
さらに、従来のように光半導体素子と外部接続用ピンとをボンディングワイヤにより接続する必要はなく、線路導体と光半導体素子とを同じ金属板の一主面側においてボンディングワイヤにより接続することができるため、ボンディングワイヤによる電気的な接続が容易となるとともに、ボンディングワイヤの長さも短くすることができボンディングワイヤのインダクタンスを小さくして高周波信号の伝送効率を向上させることができる。
【0052】
また、入出力端子は入出力部の下面に金属板が接合されていることにより、金属板によって入出力部を補強することができるため、入出力部をより薄くすることが可能となり、その結果、入出力端子をより小さくして装置全体の小型化が可能となる。また、金属板により平板部の一主面に設けた線路導体の接地電位を強化することができ、線路導体を伝送する高周波信号の伝送効率をより向上させることができる。さらに、半導体素子の作動により発生した熱を金属板を介して効率よく放熱することができ、光半導体素子が蓄熱によって温度が上昇し誤動作するのを有効に抑制し、光半導体素子を正常に作動させることができる。
【0053】
さらに、金属板は入出力部よりも薄くかつ横方向の幅が小さくされているため、入出力部と金属板とを接合する際や光半導体素子の作動時に入出力部と金属板との接合部に熱が加わったとしても、熱膨張の大きい金属板を小さくすることで入出力部と金属板との熱膨張差による応力を小さくすることができ、入出力部にクラック等の破損が生ずるのを有効に抑制することができる。また、蓋体の横断面形状が円状の場合、入出力部の横方向の幅をより大きくしようとしたときに金属板の角が蓋体に接触することにより入出力部の幅が制限されることはなく、入出力部の横方向の幅を蓋体の内側の範囲内で最大限に大きくすることができる。その結果、入出力部に形成される線路導体をより多く設けることができ、光半導体装置を小さく維持しながら、線路導体に電気信号を入出力させる端子数を増加させることが可能となる。
【0054】
本発明の光半導体装置は、上記の光半導体素子収納用パッケージの載置部に光半導体素子が載置固定されているとともに線路導体に電気的に接続され、透光性部材を光半導体素子に対向させて基体の上側主面の外周部に蓋体の下端が接合されていることにより、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージを用いた高周波伝送特性および気密信頼性の優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の光半導体装置について実施の形態の例を示す断面図であり、(b)は図1(a)の下面図である。
【図2】従来の光半導体装置の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1:基体
1a:貫通穴
2:光半導体素子
3:蓋体
3a:上端面
3b:貫通孔
4:透光性部材
5:入出力端子
5a:立壁部
5b:平板部
5c:線路導体
5d:入出力部
8:基台
10:金属板
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信等の分野に用いられる光半導体素子を収納するための光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光通信等の分野において高い周波数で作動する半導体レーザ(LD),フォトダイオード(PD)等の光半導体素子を気密封止して収納した光半導体装置の例を図2に示す。図2は光半導体素子としてLDを内部に収納した光半導体装置の断面図である。同図において、21は基体、22は光半導体素子、23は金属製の蓋体、24は透光性部材、25は外部接続用ピン、26は光ファイバである。これらの基体21、外部接続用ピン25、および透光性部材24が接合された蓋体23で光半導体素子収納用パッケージが基本的に構成される。また、光半導体素子収納用パッケージに光半導体素子22を搭載し、蓋体23を接合することにより光半導体装置となる。
【0003】
基体21は鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金や銅(Cu)−タングステン(W)合金等の金属から成り、その上側主面の略中央部には、光半導体素子22が、アルミナ(Al2O3)質焼結体等のセラミックスから成る略直方体の基台28を介して基体21の上側主面に発光部を上側に向けて搭載固定される。この構成により、光半導体素子22から発する光信号が基体21の上方へ出射されることとなる。また、基体21には、Fe−Ni合金やFe−Ni−Co合金等の金属からなる外部接続用ピン25を挿通させるために上下主面間を貫通する貫通孔21aが形成されており、貫通孔21aに光半導体装置内外を導通する端子としての外部接続用ピン25が挿通されるとともに、外部接続用ピン25と貫通孔21aとの隙間にガラス等の誘電体から成る接合材が充填され、基体21と外部接続用ピン25とが気密に接合される。これにより、外部接続用ピン25が光半導体装置内外を導通する端子として機能する。
【0004】
なお、基台28に搭載された光半導体素子22は、その電極が外部接続用ピン25の光半導体素子22側の先端とボンディングワイヤ29等を介して電気的に接続されている。
【0005】
また、基体21の上側主面の外周部に接合され、上端が閉じられ下端が開かれた筒状であり上端面23aの中央部に貫通孔23bが形成された、Fe−Ni−Co合金等の金属から成る蓋体23が設けられている。蓋体23の下端23cは、例えば図2のような鍔状となっており、これにより基体21と蓋体23との接合面積が大きくなり、基体21と蓋体23とで構成される容器内部の気密信頼性が向上する。
【0006】
さらに、貫通孔23bを塞ぐように、貫通孔23bの上端面23a側開口の周囲に透光性部材24が接合されている。透光性部材24はガラスやサファイア等から成る円板状,レンズ状,球状または半球状等のものであり、ガラスによる接合や半田付け等により蓋体23に気密に接合される。
【0007】
このような基体21、外部接続用ピン25、および蓋体23から主に構成される光半導体素子収納用パッケージに光半導体素子22を搭載し、蓋体23を接合して気密に封止することによって光半導体装置となる(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0008】
そして、光ファイバ26固定用の筒状の金属製の固定部材27が、蓋体23の外周の鍔状部に溶接され、光ファイバ26が固定部材27の上面の貫通孔に外部から挿通固定されて透光性部材24の上方に固定され、外部接続用ピン25の外側の先端部が外部電気回路(図示せず)に電気的に接続される。これにより、外部電気回路から供給される電気信号によって光半導体素子22にレーザ光等の光を励起させ、この光を透光性部材24、光ファイバ26の順に透過させ、光ファイバ26を介して外部に伝送させることによって、高速光通信等に使用される光半導体装置として機能する。また、この場合、光半導体素子22から光信号が正常に発光しているか確認するためのモニタ用PD(図示せず)が搭載されていてもよい。または、外部から光ファイバ26を介して伝送してくる光信号を、透光性部材24を透過させ光半導体素子22に受光させて、光信号を電気信号に変換することによって、高速光通信等に使用される光半導体装置として機能する。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−183369号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の光半導体装置において、外部接続用ピン25が基体21の貫通孔21aに挿通されガラス等を介して気密に接合される構成であるため、外部接続用ピン25の直径寸法の最小加工限界、貫通孔21aの孔寸法、隣接する貫通孔21a間の間隔の最小加工限界等の制約があり、そのため、基体21に外部接続用ピン25を1本挿入するために大きな面積が必要とされ、基体21に取り付けられる外部接続用ピン25の本数が数本に限られるという問題点があった。
【0011】
さらに、光半導体装置内にはLD,PD等の光半導体素子22やモニタ用PDのみが収容され、光半導体素子22を駆動するためのドライバICは別の半導体素子収納用パッケージ内に収納され、外部電気回路を介してドライバICと光半導体装置とを電気的に接続する必要があり、光半導体素子22を駆動させるための装置全体が大型化するという問題点もあった。
【0012】
また、外部接続用ピン25をガラス等の接合材を介して基体21に接合しただけの端子構造であるため、外部接続用ピン25に外部から応力が加わった場合に接合材にクラック等の破損が生じ、光半導体装置内部の気密が損なわれるという問題点があった。
【0013】
さらに、外部接続用ピン25の貫通孔21aに挿入されていない部位を特性インピーダンスに整合させた信号線路とするのが困難であり、外部接続用ピン25を伝送する高周波信号が外部接続用ピン25で反射等して伝送損失が生じ、高周波信号を効率よく伝送できなくなるという問題点もあった。特に、2GHz以上の高周波になると伝送効率が著しく劣化し易くなっていた。
【0014】
また、現在光信号の発光源として用いられるLDの多くは、光信号が光半導体素子22の側面から発光するため、光ファイバ26の方向に発光させるためには、光半導体素子22を基体21の上側主面に対して垂直な面に搭載する必要がある。従って、基体21の上側主面に基台28を設け、さらに基台28の基体21の上側主面に対して垂直な面に光半導体素子22を搭載するため、光半導体素子22と外部接続用ピン25とをボンディングワイヤ29により接続する際、作業性が悪く手間がかかるという問題点があった。
【0015】
従って、本発明は上記問題点に鑑み完成されたものであり、その目的は、光半導体装置に取り付けられる端子数を増やして内部に収容する集積回路素子(IC)等の部品を増加させ、光半導体装置を高集積化および多機能化させるとともに、高周波信号を効率よく伝送させ得るものとし、また内部の気密信頼性を向上させ、光半導体素子を長期にわたり正常かつ安定に作動させ得るものとすることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上下主面間を貫通する貫通穴を有する平板状の金属製の基体と、前記貫通穴に嵌着され、前記基体の前記上下主面間を貫通するように線路導体が形成された入出力端子と、上端面の中央部に貫通孔が形成されているとともに下端が開かれた筒状とされており、前記貫通孔の上端面側開口の周囲に透光性部材が接合され、前記基体の上側主面の外周部にその下端で接合される金属製の蓋体とを具備しており、前記入出力端子は、一主面に一辺から対向する他辺にかけて前記線路導体が形成された誘電体から成る四角形状の平板部および該平板部の前記一主面に前記線路導体の一部を間に挟んで接合された誘電体から成る直方体状の立壁部から成る入出力部と、前記平板部の他主面に接合された、上端部が前記平板部よりも上方に突出している四角形状の金属板と、該金属板の前記平板部が接合されている面の前記上端部に接合された、一面に光半導体素子を載置する載置部を有するセラミックス製の基台とを具備しており、前記金属板は、前記入出力部よりも薄くかつ横方向の幅が小さくされていることを特徴とする。
【0017】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、入出力端子が、一主面に一辺から対向する他辺にかけて線路導体が形成された誘電体から成る四角形状の平板部およびこの平板部の一主面に線路導体の一部を間に挟んで接合された誘電体から成る直方体状の立壁部から成る入出力部と、平板部の他主面に接合された、上端部が平板部よりも上方に突出している四角形状の金属板と、この金属板の平板部が接合されている面の上端部に接合された、一面に光半導体素子を載置する載置部を有するセラミックス製の基台とを具備しており、金属板は、入出力部よりも薄くかつ横方向の幅が小さくされていることから、入出力端子に微細な間隔をもって電極パッド、配線導体および内部配線等を多数形成することができ、その結果、光半導体素子やモニタ用PDだけでなく、光半導体素子を駆動するためのドライバIC等を入出力端子の表面に設けることができ、信号入出力および光半導体素子の駆動や制御をこの入出力端子で行なうことができる。従って、外部電気回路に設けられていたドライバIC等を光半導体装置の内部や入出力端子の外側に実装し高集積化することができることから、光半導体素子を駆動させるための装置全体を小型化できる。
【0018】
また、貫通穴に入出力端子が嵌着されていることによって、従来のガラス接合された外部接続用ピンに比較して、外部接続用ピンの接合部にクラック等の破損が生じて光半導体装置内部の気密が破れるのを有効に抑制することができる。従って、外部接続用ピンをガラス等の接合材を介して基体の貫通孔に接合した従来の構造に比べ気密信頼性が大幅に向上する。また外部接続用ピンを介すことなく、入出力端子の線路導体で外部電気回路基板に接続することができるため、高周波信号が反射等して伝送損失が生じるのを抑制し、高周波信号の伝送効率を大幅に改善することができる。
【0019】
さらに、従来のように光半導体素子と外部接続用ピンとをボンディングワイヤにより接続する必要はなく、線路導体と光半導体素子とを同じ金属板の一主面側においてボンディングワイヤにより接続することができるため、ボンディングワイヤによる電気的な接続が容易となるとともに、ボンディングワイヤの長さも短くすることができボンディングワイヤのインダクタンスを小さくして高周波信号の伝送効率を向上させることができる。
【0020】
また、入出力端子は入出力部の下面に金属板が接合されていることにより、金属板によって入出力部を補強することができるため、入出力部をより薄くすることが可能となり、その結果、入出力端子をより小さくして装置全体の小型化が可能となる。また、金属板により平板部の一主面に設けた線路導体の接地電位を強化することができ、線路導体を伝送する高周波信号の伝送効率をより向上させることができる。さらに、半導体素子の作動により発生した熱を金属板を介して効率よく放熱することができ、光半導体素子が蓄熱によって温度が上昇し誤動作するのを有効に抑制し、光半導体素子を正常に作動させることができる。
【0021】
さらに、金属板は入出力部よりも薄くかつ横方向の幅が小さくされているため、入出力部と金属板とを接合する際や光半導体素子の作動時に入出力部と金属板との接合部に熱が加わったとしても、熱膨張の大きい金属板を小さくすることで入出力部と金属板との熱膨張差による応力を小さくすることができ、入出力部にクラック等の破損が生ずるのを有効に抑制することができる。また、蓋体の横断面形状が円状の場合、入出力部の横方向の幅をより大きくしようとしたときに金属板の角が蓋体に接触することにより入出力部の幅が制限されることはなく、入出力部の横方向の幅を蓋体の内側の範囲内で最大限に大きくすることができる。その結果、入出力部に形成される線路導体をより多く設けることができ、光半導体装置を小さく維持しながら、線路導体に電気信号を入出力させる端子数を増加させることが可能となる。
【0022】
本発明の光半導体装置は、上記の光半導体素子収納用パッケージの前記載置部に光半導体素子が載置固定されているとともに前記線路導体に電気的に接続され、前記透光性部材を前記光半導体素子に対向させて前記基体の上側主面の外周部に前記蓋体の下端が接合されていることを特徴とすることを特徴とする。
【0023】
本発明の光半導体装置は、上記の構成により、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージを用いた高周波伝送特性および気密信頼性の優れたものとなる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の光半導体素子収納用パッケージおよび光半導体装置について以下に詳細に説明する。図1(a)は本発明の光半導体装置について実施の形態の一例を示す断面図、図1(b)は図1(a)の下面図である。
【0025】
図1において、1は基体、2は光半導体素子、3は金属製の蓋体、4は透光性部材、5は入出力端子、6は光ファイバ、10は金属板である。これら基体1、入出力端子5、および透光性部材4が接合された蓋体3で光半導体素子収納用パッケージが基本的に構成される。また、光半導体素子収納用パッケージに光半導体素子2を搭載し、蓋体3を接合することにより光半導体装置となる。
【0026】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、上下主面間を貫通する貫通穴1aを有する平板状の金属製の基体1と、貫通穴1aに嵌着され、基体1の上下主面間を貫通するように線路導体5cが形成された入出力端子5と、上端面3aの中央部に貫通孔3bが形成されているとともに下端3cが開かれた筒状とされており、貫通孔3bの上端面3a側開口の周囲に透光性部材4が接合され、基体1の上側主面の外周部にその下端で接合される金属製の蓋体3とを具備しており、入出力端子5は、一主面に一辺から対向する他辺にかけて線路導体5cが形成された誘電体から成る四角形状の平板部5bおよびこの平板部5bの一主面に線路導体5cの一部を間に挟んで接合された誘電体から成る直方体状の立壁部5aから成る入出力部5dと、平板部5bの他主面に接合された、上端部が平板部5bよりも上方に突出している四角形状の金属板10と、この金属板10の平板部5bが接合されている面の上端部に接合された、一面に光半導体素子2を載置する載置部を有するセラミックス製の基台8とを具備しており、金属板10は、入出力部5dよりも薄くかつ横方向の幅が小さくされている構成である。
【0027】
本発明の基体1は、円板状、長方形等の平板状であり、Fe−Ni−Co合金やCu−W合金等の金属のインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって所定形状に製作される。
【0028】
また、基体1には、図1(b)に示すように、上下主面間を貫通してなる凸字状の貫通穴1aが形成されている。この貫通穴1aの内面には、入出力部5dの表面に設けられたメタライズ層および金属板10が、銀(Ag)ロウ等のロウ材によって接合されることにより、貫通穴1aを塞ぐようにして入出力端子5が気密に接合される。
【0029】
本発明の入出力部5dは、図1(a)に示すように、一主面に一辺から対向する他辺にかけて線路導体5cが形成された平板部5bおよびこの平板部5bの一主面に線路導体5cの一部を間に挟んで接合された立壁部5aから構成される。平板部5bおよび立壁部5aは、Al2O3質焼結体,AlN質焼結体,3Al2O3・2SiO2質焼結体等の誘電体から成り、また、線路導体5cは、タングステン(W)やモリブデン(Mo)等のメタライズ層から成る。
【0030】
このような入出力部5dは以下のようにして作製される。例えば、平板部5bおよび立壁部5aがAl2O3質焼結体から成る場合、先ず酸化アルミニウム、酸化珪素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)および酸化カルシウム(CaO)等の原料粉末に適当な有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加混合して泥漿状と成す。これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等のテープ成形技術により複数のセラミックグリーンシートを得る。次に、このセラミックグリーンシートに、タングステン(W)やモリブデン(Mo)等の高融点金属粉末に適当な有機バインダー、可塑剤、溶剤等を添加混合して得た金属ペーストを、スクリーン印刷法等の厚膜形成技術により印刷塗布して、線路導体5cとなるメタライズ層を所定パターンに形成する。また、入出力部5dをAgロウ等を介して基体1および金属板10にロウ付けするために、入出力部5dの基体1,金属板10との接合部にも、線路導体5cと同様にしてメタライズ層を所定パターンに形成する。しかる後、セラミックグリーンシートを複数枚積層し、これを還元雰囲気中、約1600℃の温度で焼成することにより製作される。
【0031】
また、入出力部5dは、その表面に基体1との接合のためのメタライズ層を形成せずに焼成し、焼成後に入出力部5dの表面をスライス切断加工あるいは研磨加工した後、そのスライス切断面あるいは研磨面にWやMo等を主成分とする金属ペーストをスクリーン印刷法等の厚膜形成技術により印刷塗布して、これを還元雰囲気中、約1300℃の温度で焼成することにより製作してもよい。これにより、入出力部5dの表面を平坦にすることができ、基体1との接合をより良好にすることができる。
【0032】
金属板10は、上端部が平板部5bよりも上方に突出している四角形状のFe−Ni−Co合金やCu−W合金等の金属から成り、そのインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって所定形状に製作される。
【0033】
また、金属板10は入出力部5dよりも薄くかつ横方向の幅が小さくされている。即ち、金属板10の横方向の幅A(図1(b)参照)は入出力部5dの幅Bに対してA<Bであり、金属板10の厚さCは入出力部5dの厚さDに対してC<Dである。
【0034】
これにより、金属板10によって入出力部5dを補強することができるため、入出力部5dをより薄くすることが可能となり、その結果、入出力端子5をより小さくして装置全体の小型化が可能となる。また、金属板10により平板部5bの一主面に設けた線路導体5cの接地電位を強化することができ、線路導体5cを伝送する信号の伝送効率をより向上させることができる。さらに、半導体素子2の作動により発生した熱を金属板10を介して効率よく放熱することができ、光半導体素子2が蓄熱によって温度が上昇し誤動作するのを有効に抑制し、光半導体素子2を正常に作動させることができる。
【0035】
また、入出力部5dと金属板10とを接合する際や光半導体素子2の作動時に入出力部5dと金属板10との接合部に熱が加わったとしても、熱膨張の大きい金属板10を小さくすることで入出力部5dと金属板10との熱膨張差による応力を小さくすることができ、入出力部5dにクラック等の破損が生ずるのを有効に抑制することができる。また、図1(b)のように、蓋体3の横断面形状が円状の場合、入出力部5dの横方向の幅をより大きくしようとしたときに金属板10の角が蓋体3に接触することにより入出力部5dの幅が制限されることはなく、入出力部5dの横方向の幅を蓋体3の内側の範囲内で最大限に大きくすることができる。その結果、入出力部5dに形成される線路導体5cをより多く設けることができ、装置を小さく維持しながら、線路導体5cに電気信号を入出力させる入出力端子を増加させることが可能となる。
【0036】
好ましくは、金属板10の幅Aは0.5×B≦A≦0.9×Bであるのがよい。この構成により、金属板10により線路導体5cに対する接地電位を強化しながら、入出力部5dと金属板10との熱膨張差のよる応力が入出力部5dに加わってクラック等の破損が生ずるのを有効に防止することができる。A<0.5×Bであると、金属板10の横断面積が小さくなり線路導体5cに対する接地電位の強化が困難になる。また、A>0.9×Bであると、入出力部5dに金属板10との熱膨張差による応力が加わり易くなって入出力部5dにクラック等の破損が発生し易くなる。
【0037】
また、金属板10の厚さCは0.3×D≦C≦0.7×Dであるのがよい。この構成により、金属板10により線路導体5cに対する接地電位を強化しながら、入出力部5dと金属板10との熱膨張差のよる応力が入出力部5dに加わってクラック等の破損が生ずるのを有効に防止することができる。C<0.3×Dであると、入出力部5dに対して金属板10が薄すぎ、入出力部5dを補強する効果が小さくなり易い。また、半導体素子2で発生した熱を外部へ放熱する効果も小さくなり易い。また、C>0.7×Dであると、入出力部5dに金属板10との熱膨張差のよる応力が大きく加わり易くなって入出力部5dにクラック等の破損を発生し易くなる。
【0038】
また、図1(b)に下面図で示すように、金属板10の平板部5bが接合されている面の上端部に、一面に光半導体素子1を載置する載置部を有するセラミックス製の基台8が接合されている。基台8はAl2O3質焼結体,AlN質焼結体,3Al2O3・2SiO2質焼結体等のセラミックスからなり、基台8の金属板10に接合される面にはW等を主成分とするメタライズ層が形成され、この基台8のメタライズ層がAgロウ等のロウ材を介することによって金属板10に接合されている。
【0039】
これにより、例えば、基台8をAlN質焼結体等の熱伝導性のよい誘電体で形成すると、光半導体素子2で発生した熱を良好に金属板10に伝導させて光半導体素子2を効率よく放熱させることができる。
【0040】
さらに、基台8に載置される光半導体素子2と線路導体5cとは、ボンディングワイヤ9を介して電気的に接続される。あるいは、基台8上に線路導体5cと同様の方法で形成した線路導体8aをボンディングワイヤ9を介して線路導体5cおよび光半導体素子2にそれぞれ電気的に接続してもよい。この場合、ボンディングワイヤ9の長さを短くして、そのインダクタンスを小さくするという観点から、線路導体5cの上面と線路導体8aの上面とが平板部5bの一主面に対して同じ高さになっていることが好ましい。また、線路導体5cと線路導体8aとが、ボンディングワイヤ9を使用せずに板状の金属片や金属棒により電気的に接続されてもよく、この場合、よりインダクタンスを小さくすることができるとともにインピーダンスの調整も容易となる。
【0041】
また、基体1の上側主面の外周部には、上端面3aの略中央部に貫通孔3bが形成され下端3cが開かれた筒状である蓋体3が設けられる。蓋体3の下端3cは、鉛(Pb)−錫(Sn)半田等の半田による半田付けや溶接等によって基体1と気密に接合される。なお、下端3cは、基体1との接合面積を大きくして、基体1と蓋体3とで構成される容器内部の気密信頼性を向上させるために、図1に示すような鍔状であることが好ましい。
【0042】
蓋体3は、断面形状(横断面形状)が円形または長方形等の多角形の筒状であり、Fe−Ni−Co合金等の金属から成り、そのインゴットに圧延加工や打ち抜き加工等の従来周知の金属加工法を施すことによって所定形状に製作される。なお、蓋体3は、筒状部と上端面3aが個々に製作され、それらをロウ付け、半田付け、溶接等によって接合したものであってもよい。
【0043】
蓋体3には、貫通孔3bを塞ぐように貫通孔3bの上端面3a側開口の周囲に、透光性部材4がガラス接合や半田付け等により気密に接合される。透光性部材4は、ガラスやサファイア等から成る円板状,レンズ状,球状または半球状等のものであり、球状の場合全周にわたる帯状部で、円板状やレンズ状の場合一主面の外周部で、半球状の場合平面部の外周部で蓋体3に接合される。
【0044】
本発明において、透光性部材4は貫通孔3bの上端面3a側開口の周囲に接合されるのが好ましく、この場合以下の点で有利である。即ち、蓋体3の外周の鍔状部に固定部材7を溶接する際の熱が蓋体3に局所的に加わり、蓋体3の透光性部材4との接合面に熱膨張による引っ張り応力が加わると、透光性部材4が蓋体3から剥がれ易くなるが、光半導体装置は内部を気密にするため外側から内側に気圧が加わり易く、気圧によって透光性部材4が蓋体3に押し付けられて剥がれにくくなる。一方、透光性部材4が貫通孔3bの上端面3aの裏面側開口の周囲に接合されていると、熱膨張による応力によって透光性部材4を剥がそうとする引っ張り応力と気圧による圧力とが、透光性部材4が蓋体3から容易に外れてしまうこととなる。
【0045】
このような光半導体素子収納用パッケージは、基体1の貫通穴1aに嵌着された入出力端子5に設けられた基台8の載置部に、光半導体素子2をSn−Pb半田等の低融点ロウ材で載置固定するとともに、線路導体5cあるいは線路導体8aと光半導体素子2とをボンディングワイヤ9で電気的に接続し、しかる後、透光性部材4を光半導体素子2と対向させて光学的に結合させるように蓋体3を基体1の上側主面の外周部にシーム溶接等により接合することにより、光半導体装置となる。
【0046】
そして、光半導体装置の蓋体3の外周の鍔状部には、光ファイバ6が上端面に固定されたFe−Ni−Co合金等の金属から成る略円筒状の固定部材7の下端面がレーザ溶接法等の溶接によって接合される。光ファイバ6が固定部材7を介して透光性部材4の上方に固定されることにより、光ファイバ6を介して内部に収容する光半導体素子2と外部との光信号の授受が可能となる。
【0047】
本発明の光半導体装置は、光半導体素子2の電極を外部電気回路に電気的に接続し、製品としての光半導体装置となる。この光半導体装置は、例えば外部電気回路から供給される電気信号によって光半導体素子2にレーザ光等の光を励起させ、この光を透光性部材4、光ファイバ6の順に透過させ、光ファイバ6を介して外部に伝送することによって、高速光通信等に使用される光半導体装置として機能する。
【0048】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更を施すことは何等差し支えない。
【0049】
【発明の効果】
本発明の光半導体素子収納用パッケージは、入出力端子が、一主面に一辺から対向する他辺にかけて線路導体が形成された誘電体から成る四角形状の平板部およびこの平板部の一主面に線路導体の一部を間に挟んで接合された誘電体から成る直方体状の立壁部から成る入出力部と、平板部の他主面に接合された、上端部が平板部よりも上方に突出している四角形状の金属板と、この金属板の平板部が接合されている面の上端部に接合された、一面に光半導体素子を載置する載置部を有するセラミックス製の基台とを具備しており、金属板は、入出力部よりも薄くかつ横方向の幅が小さくされていることから、入出力端子に微細な間隔をもって電極パッド、配線導体および内部配線等を多数形成することができ、その結果、光半導体素子やモニタ用PDだけでなく、光半導体素子を駆動するためのドライバIC等を入出力端子の表面に設けることができ、信号入出力および光半導体素子の駆動や制御をこの入出力端子で行なうことができる。従って、外部電気回路に設けられていたドライバIC等を光半導体装置の内部や入出力端子の外側に実装し高集積化することができることから、光半導体素子を駆動させるための装置全体を小型化できる。
【0050】
また、貫通穴に入出力端子が嵌着されていることによって、従来のガラス接合された外部接続用ピンに比較して、外部接続用ピンの接合部にクラック等の破損が生じて光半導体装置内部の気密が破れるのを有効に抑制することができる。従って、外部接続用ピンをガラス等の接合材を介して基体の貫通孔に接合した従来の構造に比べ気密信頼性が大幅に向上する。また外部接続用ピンを介すことなく、入出力端子の線路導体で外部電気回路基板に接続することができるため、高周波信号が反射等して伝送損失が生じるのを抑制し、高周波信号の伝送効率を大幅に改善することができる。
【0051】
さらに、従来のように光半導体素子と外部接続用ピンとをボンディングワイヤにより接続する必要はなく、線路導体と光半導体素子とを同じ金属板の一主面側においてボンディングワイヤにより接続することができるため、ボンディングワイヤによる電気的な接続が容易となるとともに、ボンディングワイヤの長さも短くすることができボンディングワイヤのインダクタンスを小さくして高周波信号の伝送効率を向上させることができる。
【0052】
また、入出力端子は入出力部の下面に金属板が接合されていることにより、金属板によって入出力部を補強することができるため、入出力部をより薄くすることが可能となり、その結果、入出力端子をより小さくして装置全体の小型化が可能となる。また、金属板により平板部の一主面に設けた線路導体の接地電位を強化することができ、線路導体を伝送する高周波信号の伝送効率をより向上させることができる。さらに、半導体素子の作動により発生した熱を金属板を介して効率よく放熱することができ、光半導体素子が蓄熱によって温度が上昇し誤動作するのを有効に抑制し、光半導体素子を正常に作動させることができる。
【0053】
さらに、金属板は入出力部よりも薄くかつ横方向の幅が小さくされているため、入出力部と金属板とを接合する際や光半導体素子の作動時に入出力部と金属板との接合部に熱が加わったとしても、熱膨張の大きい金属板を小さくすることで入出力部と金属板との熱膨張差による応力を小さくすることができ、入出力部にクラック等の破損が生ずるのを有効に抑制することができる。また、蓋体の横断面形状が円状の場合、入出力部の横方向の幅をより大きくしようとしたときに金属板の角が蓋体に接触することにより入出力部の幅が制限されることはなく、入出力部の横方向の幅を蓋体の内側の範囲内で最大限に大きくすることができる。その結果、入出力部に形成される線路導体をより多く設けることができ、光半導体装置を小さく維持しながら、線路導体に電気信号を入出力させる端子数を増加させることが可能となる。
【0054】
本発明の光半導体装置は、上記の光半導体素子収納用パッケージの載置部に光半導体素子が載置固定されているとともに線路導体に電気的に接続され、透光性部材を光半導体素子に対向させて基体の上側主面の外周部に蓋体の下端が接合されていることにより、上記本発明の光半導体素子収納用パッケージを用いた高周波伝送特性および気密信頼性の優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の光半導体装置について実施の形態の例を示す断面図であり、(b)は図1(a)の下面図である。
【図2】従来の光半導体装置の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1:基体
1a:貫通穴
2:光半導体素子
3:蓋体
3a:上端面
3b:貫通孔
4:透光性部材
5:入出力端子
5a:立壁部
5b:平板部
5c:線路導体
5d:入出力部
8:基台
10:金属板
Claims (2)
- 上下主面間を貫通する貫通穴を有する平板状の金属製の基体と、前記貫通穴に嵌着され、前記基体の前記上下主面間を貫通するように線路導体が形成された入出力端子と、上端面の中央部に貫通孔が形成されているとともに下端が開かれた筒状とされており、前記貫通孔の上端面側開口の周囲に透光性部材が接合され、前記基体の上側主面の外周部にその下端で接合される金属製の蓋体とを具備しており、前記入出力端子は、一主面に一辺から対向する他辺にかけて前記線路導体が形成された誘電体から成る四角形状の平板部および該平板部の前記一主面に前記線路導体の一部を間に挟んで接合された誘電体から成る直方体状の立壁部から成る入出力部と、前記平板部の他主面に接合された、上端部が前記平板部よりも上方に突出している四角形状の金属板と、該金属板の前記平板部が接合されている面の前記上端部に接合された、一面に光半導体素子を載置する載置部を有するセラミックス製の基台とを具備しており、前記金属板は、前記入出力部よりも薄くかつ横方向の幅が小さくされていることを特徴とする光半導体素子収納用パッケージ。
- 請求項1記載の光半導体素子収納用パッケージの前記載置部に光半導体素子が載置固定されているとともに前記線路導体に電気的に接続され、前記透光性部材を前記光半導体素子に対向させて前記基体の上側主面の外周部に前記蓋体の下端が接合されていることを特徴とする光半導体装置。
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