JP5260834B2 - 熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物及び透湿性フィルム - Google Patents
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Description
(b1)親水性基を有するポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び/又は、界面活性剤とポリウレタンとから生成される水分散ポリウレタンと、
(b2)ケイ酸エステルと、
を混合し、ポリウレタンとポリケイ酸とを同一系中で同時に析出させてなるものである(3)又は(4)記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物。
(b1)親水性基を有するポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び/又は、界面活性剤とポリウレタンとから生成される水分散ポリウレタン、
(b3)ケイ酸塩、及び、
(b4)酸、
を混合し、ポリウレタンとポリケイ酸とを同一系中で同時に析出させてなるものである(3)又は(4)記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物。
本発明の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物は、(a1)ポリイソシアネート及び(a2)ポリオールを出発原料として含む(A)熱可塑性ポリウレタン樹脂を含有するものであって、(A)熱可塑性ポリウレタン樹脂におけるオキシエチレン基の含有量が40質量%以上65質量%以下であり、厚み20μmのフィルムとした場合の熱機械分析(TMA)による軟化温度が160℃以上である。
本発明の組成物に用いられる(A)熱可塑性ポリウレタン樹脂は、(a1)ポリイソシアネート及び(a2)ポリオールを出発原料として含む。
本発明に用いられる(A)熱可塑性ポリウレタン樹脂の出発原料のひとつとなる(a1)ポリイソシアネートは、通常の熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造に用いられるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、イソシアネート基を1分子中に2個以上有する芳香族系、脂肪族系、脂環族系等のイソシアネートを挙げることができる。
本発明に用いられる(A)熱可塑性ポリウレタン樹脂の出発原料のひとつとなる(a2)ポリオールは、通常のポリウレタン樹脂の製造に使用されるポリオールであれば特に限定されるものではない。尚、本発明においては、(A)熱可塑性ポリウレタン樹脂におけるオキシエチレン基の含有量は、原料として用いる(a2)ポリオール中のオキシエチレン基により制御する。
本発明に用いられる(A)熱可塑性ポリウレタン樹脂の原料として用いられる鎖延長剤は、特に限定されるものではないが、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を2個以上有する数平均分子量が500以下の低分子グリコールであって、以下の一般式(I)で表されるジオール、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジオール、キシリレングリコールが好ましく用いられる。
本発明に用いられる(A)熱可塑性ポリウレタン樹脂は、上記の(a1)ポリイソシアネート及び(a2)ポリオールを出発原料の主原料として製造される。
(オキシエチレン基の含有量)
(A)熱可塑性ポリウレタン樹脂におけるオキシエチレン基の含有量は、通常、40質量%以上65質量%以下の範囲であり、45質量%以上65質量%以下がより好ましい。尚、オキシエチレン基の含有量は、(A)熱可塑性ポリウレタン樹脂の原料である(a2)ポリオール中のオキシエチレン基により制御することができる。
本発明に用いられる(A)熱可塑性ポリウレタン樹脂におけるハードセグメント(硬い剛直なセグメント)の含有量は、35質量%以上50質量%以下の範囲が好ましく、35質量%以上45質量%以下の範囲が更に好ましい。ここで、本発明で定義するハードセグメントの含有量とは、(A)熱可塑性ポリウレタン樹脂における(a1)ポリイソシアネート化合物と鎖延長剤との合計の質量に対して、(A)熱可塑性ポリウレタン樹脂の質量で除した後に100をかけた値をいう。ハードセグメントの濃度が35質量%より少ない場合には、本発明に十分な耐熱性を有することができず、一方で、ハードセグメントの濃度が50質量%より多い場合には、本発明に十分な透湿性を得ることが困難となる。
次に、本発明の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物に用いられる(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットについて説明する。
本発明に係わるポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの製造方法のひとつとしては、
(b1)親水性基を有するポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び/又は、界面活性剤とポリウレタンとから生成される水分散ポリウレタンと、
(b2)ケイ酸エステルと、
を混合し、ポリウレタンとポリケイ酸とを同一系中で同時に析出させてなる方法を挙げることができる。
(b1)親水性基を有するポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び/又は界面活性剤とポリウレタンとから生成される水分散ポリウレタン、
(b3)ケイ酸塩、及び、
(b4)酸、
を混合し、ポリウレタンとポリケイ酸とを同一系中で同時に析出させてなる方法を挙げることができる。
本発明の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物に用いられる(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの特徴の一つとしては、その製造にあたって、(b1)水分酸ポリウレタンを用いることである。
(b1)水分散ポリウレタンの基体となるポリウレタンの製造方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。通常、ポリイソシアネート、ポリオール、及び鎖延長剤を、触媒の存在下あるいは非存在下で反応させることにより、基体となるポリウレタンを得ることができる。例えば、G.Oertel編「POLYURETHANE HANDBOOK」第二版(HANSER,1994)には、種々のポリウレタンの製造方法が開示されており、これに従って、ポリウレタンを製造することができる。
基体となるポリウレタンを製造するための原料となるポリイソシアネートとしては、特に限定されるものではなく、上記したポリイソシアネートを使用することができる。本発明の(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットを製造するに好ましいポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を挙げることができる。これらは単独で使用しても、また、二種以上を混合して用いてもよい。更には、これらのポリイソシアネートのウレタン変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、カルボジイミド変性体、イソシアヌレート変性体等の変性多官能イソシアネート等を使用することもできる。
基体となるポリウレタンを製造するための原料となるポリオールとしては、特に限定されるものではなく、上記したポリオールを使用することができる。本発明の(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットを製造するに好ましいポリオールとしては、アジピン酸等の酸とネオペンチルグリコール等のアルコールとから得られるポリエステルポリオール、環状のエステルから得られるε−ポリカプロラクトン系のポリエステルポリオール、多価アルコールとアルキルカーボネートとから得られるポリカーボネートジオール、テトラハイドロフランのオリゴマーであるポリオキシテトラメチレングリコール、プロピレンオキサイドやエチレンオキサイド等から得られるポリオキシアルキレン系ポリオールを挙げることができる。また、末端に活性水素基を有するオレフィン系ポリオール、あるいはひまし油等の天然物由来のポリオールも使用することができる。
基体となるポリウレタンを製造するための原料となる鎖延長剤としては、特に限定されるものではなく、ポリウレタンの製造に用いられる公知の化合物を使用することができる。本発明の(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットを製造するに好ましい鎖延長剤としては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等の2価のアルコール類、水、ヒドラジンやイソホロンジアミン、キシリレンジアミン等のジアミン類、エタノールアミン等のアルカノールアミンを挙げることができる。また、トリメチロールプロパンやジエタノールアミン等の官能基数が3以上の鎖延長剤を使用することもできる。また、触媒として、ジブチルチンジラウレート等を使用することも可能である。
(b1)水分酸ポリウレタンが、親水性基を有するポリウレタンから生成される場合には、ポリウレタンが水分散型となるように、当該ポリウレタン中の特定の親水性基濃度が、0.04mmol/g以上であることが望ましい。また、製造されるコンポジットの吸水率という観点から、(b1)水分酸ポリウレタンの原料となるポリウレタン中の親水性基濃度の上限値は、16mmol/g程度であることが望ましい。
(b1)水分酸ポリウレタンの原料となるポリウレタンに親水基を導入する方法としては、例えば、上記した親水基を有し、且つ、イソシアネートとの反応性を有する活性水素化合物を、ポリウレタンの原料として用いる方法が挙げられる。この活性水素化合物は、ポリオールとしても、また、鎖延長剤としても用いることが出来る。より具体的には、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、これらの塩や酸無水物、アミノ基、水酸基、ポリオキシエチレン基、アミドカルボニル基等の親水性基を有する活性水素化合物が用いられる。
本発明の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物に用いられる(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの原料となる(b1)水分散ポリウレタンは、ポリウレタンが界面活性剤により水分散されたものであってもよい。その場合に使用されるポリウレタンとしては、必ずしも親水性基を有する必要はない。勿論、親水性基を有するポリウレタンであってもよい。したがって、界面活性剤により水分散されるポリウレタンは、上記したポリウレタンのいずれを用いてもよい。
(b1)水分散ポリウレタンの製造方法としては、公知の方法を採用できる。例えば、G.Oertel編「POLYURETHANE HANDBOOK」第二版(HANSER,1994)第30頁には、種々の水分散ポリウレタンの製造方法が開示されており、本発明においては、これらの方法に従って調製することができる。
(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの原料となる(b2)ケイ酸エステルは、ケイ酸の水素原子を炭化水素基で置換した形態を有する。炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル(ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等が挙げられるほか、フェニル、トリル、メシチル、ベンジル、シクロプロピル、シクロペンチル等の芳香族又は脂環族の炭化水素基であってもよい。
(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの原料となる(b3)ケイ酸塩としては、例えば、オルトケイ酸(H4SiO4)、メタケイ酸(H2SiO3)、メソ二ケイ酸(H2Si2O5)、メソ三ケイ酸(H4Si3O8)、メソ四ケイ酸(H4Si4O11)、及び、H6(Si2O7)、H6(Si3O9)、H8(Si4O12)、H12(Si6O18)等のポリケイ酸の、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の塩が挙げられる。
(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの製造において、(b3)ケイ酸塩を原料とする場合には、(b4)酸を使用する。尚、(b2)ケイ酸エステルを使用する場合には、中性の条件下でも反応は穏やかに進行するため、(b4)酸の存在は特には必要ではない。しかしながら、任意成分として(b4)酸を用いた場合には、(b2)ケイ酸エステルの加水分解を促進する効果があり好ましい。
(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの製造において、(b2)ケイ酸エステルを原料とする場合には、アルカリ性の条件下で製造を行なってもよい。アルカリ条件下とする場合には、(b2)ケイ酸エステルの加水分解を促進する効果がある。ここで使用される(b5)アルカリとしては、特に限定されるものではないが、中でも、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン化合物を好適に使用することができる。
(製造温度)
本発明に用いられる(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの製造は、通常、室温で充分に行うことができる。しかしながら、所望により、加熱して高温で行うことも可能である。加熱する場合には、好ましくは100℃以下、更に好ましくは80℃以下、特に好ましくは50℃以下とすることが望ましい。
(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットを得るための混合時間は、上記の混合温度によって変わりうるものであり、任意に選択することができる。好ましくは、10分以上120時間以下、更に好ましくは20分以上48時間以下、特に好ましくは30分以上30時間以下、最も好ましくは40分以上20時間以下程度である。
(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットを得るための混合装置としては、特に限定されるものではないが、スラリー状態で行われる反応等を扱うのに適した撹拌槽型の混合容器を使用することが好ましい。すなわち、少なくとも撹拌装置と、混合原料の混合容器内(混合系)への供給手段、例えば滴下手段等を備えており、所望により、加熱手段、温度制御手段、還流手段等を備えた槽型の反応容器を好ましく使用することができる。尚、混合容器の下部には、分級脚を設け、粒子状又は粉末状の析出物を沈降分離して混合系から取り出すことも可能である。
混合は、回分式で実施することも、また、連続式で実施することもできる。撹拌槽型の混合容器を使用して連続式操作を行う場合には、撹拌槽の滞留時間分布関数を押し出し流れである管型混合器に近づける目的で、二槽以上の撹拌槽を直列に結合して、混合を実施することが好ましい。
(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの原料として、(b1)水分散ポリウレタン、(b2)ケイ酸エステル、及び、必要に応じて(b4)酸を用いる場合には、(b1)水分散ポリウレタン、(b2)ケイ酸エステル、及び、必要に応じて用いる(b4)酸の混合系への供給順序(添加順序)は、親水性基あるいは界面活性剤がノニオンタイプの場合には、特に制限されるものではない。しかしながら、親水性基あるいは界面活性剤がアニオンタイプの場合には、先ず、(b1)水分散ポリウレタンに(b2)ケイ酸エステルを添加して均一に混合した後に、引き続き、(b4)酸を添加する供給順序が好ましい。また、親水性基あるいは界面活性剤がカチオンタイプの場合には、先ず、(b1)水分散ポリウレタンに(b4)酸を添加して均一に混合した後に、引き続き、(b2)ケイ酸エステルを添加する供給順序が好ましい。
(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットを得るための混合は、純粋な水分散系で行うことが好ましいが、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、極性溶媒を僅かに共存させて実施することもできる。
時間の経過とともに、生成物であるポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットが析出する。当該析出物から得られる(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットは、使用する原料、また、必要に応じて用いる(b4)酸又は(b5)アルカリの種類あるいは濃度、混合系のpH、温度、添加順序等の条件に応じて、全体がゲル状となるもの、粉末状のもの、細かい泡を内包したシート状のもの、あるいは塊状のもの等、様々な形態とすることができる。
(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットを得るための乾燥条件は、特に限定されるものではない。本発明に用いられる(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットにおいては、例えば、40℃以上80℃以下程度の温度で、好ましくは10時間以上100時間以下、更に好ましくは15時間以上50時間以下、特に好ましくは20時間以上30時間以下、真空乾燥する方法、あるいは、乾燥した不活性ガス気流下で乾燥する方法を好適に採用することができる。また、全体がゲル状となるコンポジットについては、エタノールや二酸化炭素等を超臨界状態で用いて乾燥する方法を採用することもできる。
尚、(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの生成のために供給される(b1)水分散ポリウレタンと(b2)ケイ酸エステルあるいは(b3)ケイ酸塩との添加量の比は、目的とするコンポジットにおけるポリケイ酸の量に依存し、且つ、当該コンポジットの機械的特性等を考慮して適宜選択することができる。
(ポリケイ酸の粒子)
本発明に用いられる上記の方法にて得られる(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットから、真空プレス成形にてシートを得た後、当該シートを透過型電子顕微鏡(100,000倍)で観察したところ、コンポジットにおけるポリケイ酸は明確な粒子の像としては観察されなかった。すなわち、本発明に用いられる(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットは、ポリウレタンとポリケイ酸の境界部分が概して不明瞭となっている。一方で、従来公知のゾルゲル法等で得られるシリカのコンポジットにおいては、シリカは粒子として存在するため、シリカ粒子部分とポリウレタン部分とは、明確に区別することができる。したがって、本発明に用いられる(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットは、ポリウレタンとポリケイ酸とが高い水準で相混合されたものといえる。
本発明の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、上記した方法により調製した(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットを、予め、(A)熱可塑性ポリウレタン樹脂の原料である(a2)ポリオールに添加し、撹拌混合の後に、(a1)ポリイソシアネートと反応させる方法、あるいは、(A)熱可塑性ポリウレタン樹脂と(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットとを、押出機、ニーダー等の混練装置に装入し、例えば、150℃以上250℃以下の温度範囲で溶融混練する方法等を適用することができる。(a2)ポリオールに(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットを添加することにより、(A)熱可塑性ポリウレタン樹脂に(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット分散させる場合には、(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットを分散させた後の(a2)ポリオール中の水分は、500ppm以下とすることが好ましく、200ppm以下とすることが更に好ましい。このときの脱水方法としては、常用の方法を用いればよく、例えば、100℃以上120℃以下に加熱し、減圧脱水する方法等を挙げることができる。
本発明の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物には、その製造時あるいは製造後に、必要に応じて、他の樹脂、エラストマー等、あるいは、公知の離型剤、酸化チタン等の着色剤、有機化合物系及び無機化合物系の滑剤、耐光安定剤、酸化防止剤、リン系加工熱安定剤、充填剤、帯電防止剤等の添加剤を配合してもよい。特に、酸化防止剤、耐光安定剤は、その後の組成物の用途に応じて、適宜、添加することが好ましい。
本発明に任意に用いられる酸化防止剤としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品名:イルガノックス1010、同1076、同1135、同245、同3114、同3790等、旭電化工業社の商品名:アデカスタブAO−60、同AO−70、同AO−80等を挙げることができる。
本発明に任意に用いられるリン系加工熱安定剤としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品名:イルガフォス38、同126、同P−EPQ等、旭電化工業社製の商品名:アデカスタブPEP−4C、同11C、同24、同36等を挙げることができる。
本発明に任意に用いられる耐光安定剤としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品名:チヌビンP、同234、同326、同327、同328、同329、同213、同571、同1577、同622LD、同144、同765、同770、同B75、同B88等、三共社製の商品名:サノールLS−770、同765、同2626、同944等、また、旭電化工業社の商品名:LA−32、同36、同1413、同52、同62、同77、同601、同T−940等の紫外線吸収剤又はヒンダードアミン系光安定剤を挙げることができる。
本発明においては、有機化合物系又は無機化合物系の滑剤を任意に添加することもできる。滑剤が熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物に添加されると、組成物からなるペレット同士のブロッキングを改善することができる。
〔有機溶媒の含有量〕
本発明の熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物(TPU)は、実質的に有機溶媒を含有しない。熱可塑性ポリウレタンエラストマーの原料となる(A)熱可塑性ポリウレタンエラストマー及び(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの両者ともに有機溶媒を実質的に含まないことから、得られる熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物における有機溶剤の含有量は、0.03質量%以下となる。
本発明の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物が(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットを含有する場合には、組成物から得られる成形品において、(A)熱可塑性ポリウレタン樹脂を多く含有すると考えられる連続相(海相)、及び、連続相中に分散した、(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットに由来するポリケイ酸の含有率の高い分散相(島相)、更に、分散相(島相)内に存在する小粒子(湖相)を有する、いわゆるサラミ状構造を有する。
本発明の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物は、透湿性及び耐熱性に優れ、且つ、無溶剤にて熱成形が可能となることから、これらの特性を要求する分野における成形品用の材料として好適に用いることができる。このような成形品としては、例えば、紙おむつ等の衛生材料、キズバンド、手術用衣料、手袋等のメディカル、スポーツ用衣料、テント等の材料、食品等の包装材料等を挙げることができる。
本発明の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物の成形方法は、特に限定されるものではなく、例えば、押出機等を用いて所望の形状へ熱成形することができる。熱成形の際の成形温度としては、170℃以上250℃以下が好ましく、更に好ましくは175℃以上240℃以下である。
本発明の透湿性フィルムは、無溶媒にて熱成形されるものである。また、フィルムの厚み20μmでのJIS L−1099記載のB1法による透湿度が80,000(g/m2・24h)以上であり、厚み20μmでの熱機械分析(TMA)により測定した軟化温度は160℃以上である。
本発明の透湿性フィルムは、その厚み20μmにおける透湿度が、通常80,000(g/m2・24h)以上であり、好ましくは、100,000(g/m2・24h)以上である。フィルムの厚み20μmにおける透湿度が80,000(g/m2・24h)以上であると、そのフィルムを使用した布帛の透湿度も高くなり、十分な快適性を得ることができる。尚、本発明の透湿性フィルムでの透湿度の上限としては、250,000(g/m2・24h)程度である。
本発明の透湿性フィルムは、その厚み20μmにおける熱機械分析(TMA)により測定した軟化温度が、通常160℃以上であり、好ましくは165℃以上である。本発明における熱機械分析(TMA)の測定条件は、JIS K−7196「熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法」に従うものである。軟化温度が160℃以上であると、例えば、衣料用材料のフィルムとして使用された場合、フィルムを布帛に加熱圧着する温度において、あるいは乾燥、クリーニング時において、フィルムにしわや穴が開きにくく、意匠性を保つことができる。尚、本発明の透湿性フィルムにおける軟化温度の上限としては、220℃程度である。
また、本発明の透湿性フィルムの水に対する膨潤度は、20%以下程度が好ましい。ここで、水に対する膨潤度は、水浸漬前後のフィルム長さの変化率を測定する方法によって求められる。水に対する膨潤度が20%程度より大きくなると、洗濯時や雨水に長く晒された場合、フィルムの寸法が変化し、フィルムと布帛との接着面がずれることがある。
本発明の透湿性フィルムの厚み20μmでの引張物性における100%モジュラスは、JIS K−6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に記載の方法に準拠した引張試験により測定を行う。本発明の透湿性フィルムの100%モジュラスとしては、1MPa以上15MPa以下程度が好ましく、更に好ましくは2MPa以上10MPa以下程度である。100%モジュラスが1MPa以上15MPa以下程度であると、フィルムに柔軟性があり、その触感が良好となる。
また、本発明の透湿性フィルムの厚み20μmでの引張強度は、JIS K−6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に記載の方法に準拠した引張試験により測定を行う。本発明の透湿性フィルムの引張強度としては、10MPa以上100MPa以下程度が好ましく、更に好ましくは20MPa以上100MPa以下程度である。
更に、本発明の透湿性フィルムの厚み20μmでの破断伸びは、JIS K−6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に記載の方法に準拠した引張試験により測定を行う。本発明の透湿性フィルムの破断伸びとしては、200%以上1,000%以下程度が好ましく、更に好ましくは300%以上900%以下程度である。本発明の透湿性フィルムを、例えば、衣料用材料のフィルムとして用いる場合には、人体の動きに無理なく追従する必要があることから、フィルムが柔軟であり、破断に至るまでの伸びが200%以上1,000%以下程度とすることが好ましい。
本発明の透湿性フィルムの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の製膜方法を適用することができる。例えば、単軸もしくは二軸押出機により、熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物を溶融混練後、Tダイ、コートハンガーダイに代表されるフラットダイによる方法、あるいは、サーキュラーダイからのインフレーション法等が適用できる。
実施例及び比較例においては、以下のそれぞれの測定項目につき、以下の方法により測定を実施した。
ヨシトミ社製、商品名:ID−Cデジマチックインジケータを用いて、フィルムの幅方向及びその垂直方向にわたって5個所の厚みを測定し、その算術平均値を求めた。得られた算術平均値を透湿性フィルムの厚みとした。
JIS L−1099 B−1法(酢酸カリウム法)記載の方法に準拠し、フィルムと水が接する面に、ナイロンタフタを重ねた後に測定を行った。その後、24時間の値に換算した。
Seiko Instruments社製、商品名:TMA/SS6000を用いて、JIS K−7196熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法に従って測定を実施した。尚、圧子の直径は1.0mmのものを使用した。
[透湿性フィルムの引張強度:TS(単位:MPa)]
[透湿性フィルムの破断伸び:EL(単位:%)]
JIS K−6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に記載の方法に準拠して測定を行なった。具体的には、試験片をダンベル状3号形にて打ち抜き、TOYOBALDWIN CO.,LTD.製、商品名:TENSILON/UTM−III−100にて、標線間20mm、引張速度200mm/分の条件で測定を行った。
縦10cm、横3cmの長方形フィルムを、25℃に調整した100mLの純水に30分間浸漬した後、水を拭き、フィルムの縦の長さを測定し、水浸漬前後のフィルム長さの変化率から水膨潤度を求めた。
JIS K−1557記載の方法に準拠して測定を実施した。
JIS K−6901液状不飽和ポリエステル樹脂試験方法に記載の方法に準拠して測定を実施した。
重水素化ジメチルスルホキシドを溶媒とし、日本電子社製、商品名:JNM−AL400)を用いて、1H−核磁気共鳴スペクトルスコピー(NMR)測定にて、ポリオール中のオキシエチレン基含有量を測定した。3.5ppm付近のピークをオキシエチレン基由来のピークとして算出した。
成形直後にフィルム同士を貼り合わせ、これを剥がす時の状態を以下の基準にて評価し、タック性として判定した。
5:簡単に剥がすことができる
4:剥がすことができる
3:粘着するが剥がすことができる
2:剥がすことができるが、粘着が大きい
1:粘着し、剥がすことが出来ない
耐圧製の反応機に、201.0部のジプロピレングリコール、及び3.1部の水酸化カリウムを仕込み、十分に窒素置換を行った後に、105℃に昇温し、同温度にて1kPa以下の条件で6時間の減圧脱水を行った。次いで、窒素置換を行い、ゲージ圧0.1MPaの条件から、166.3部のプロピレンオキサイドを逐次装入して、プロピレンオキサイドの付加重合を行った。引き続き、反応機の内圧が低下し始めた後、337.3部のエチレンオキサイドを逐次装入し、一部、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドとのランダム共重合反応を行い、その後、800.0部のエチレンオキサイドを逐次装入して、エチレンオキサイドの付加重合反応を行った。反応機の内圧が一定になるまで同温度にて反応を継続した後、内温105℃、1kPa以下の条件で減圧処理を行い、粗製ポリオールを得た。
耐圧製の反応機に、393.0部のビス(1,4−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン(三井化学ファイン社製、以下、BHEBと略す)、及び24.0部の50(w/w)%の水酸化カリウム水溶液を仕込み、十分に窒素置換を行った後に、115℃に昇温し、同温度にて1kPa以下の条件で7時間の減圧脱水を行った。次いで、窒素を用いてゲージ圧0.1MPaまで加圧し、その後、内温110〜115℃の範囲にてゲージ圧が0.4MPa以下となる条件にて、750.9部のプロピレンオキサイドと2853.1部のエチレンオキサイドとを混合したアルキレンオキサイドを逐次装入し、ランダム共重合反応を行った。反応機の内圧が一定になるまで同温度にて反応を継続した後、内温105℃、1kPa以下の条件で減圧処理を行い、触媒を含有した粗製ポリオキシアルキレンポリオール(以下、粗製ポリオールともいう)を得た。
蒸留塔、温度計、撹拌機、及び窒素導入口が装着されている反応機に、210.64部の無水トリメリット酸無水物(以下、TMAと略す)、及び103.32部のトルエンを装入し、撹拌した。攪拌の後、2056.33部のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(東邦化学社製、商品名:MPEG2000HQ、水酸基価29.9mgKOH/g)を更に装入した。引き続き、反応機内を窒素で置換した後、内温を180℃に昇温し、トルエンを還流させながら、同温度にて5時間反応させた。その後、同温度にて、液相に窒素をバブリングしながらトルエンを除去し、2時間反応を継続した。最後に、内温を140℃に調整し、1kPaの減圧下、3時間減圧することによりトルエンを除去し、TMAとMPEG2000HQとの反応物であるカルボン酸を得た。酸価は53.7mgKOH/gであった。
3481.2部のポリオールC、1182.1部のPTG2000(保土ヶ谷化学社製、ポリテトラメチレンエーテルグリコール)、及び450.7部のネオペンチルグリコール1940部を仕込んだ後、554部のN−メチルピロリドンを装入し、撹拌した。その後、1940重量部の水素化キシリレンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製、商品名:タケネート600)を仕込み、反応機内を窒素で置換した後、75℃に昇温し、同温度にて5時間の反応を行うことにより、イソシアネート基末端プレポリマーを得た。得られたイソシアネート基末端プレポリマーのジ−n−ブチルアミン法により測定したNCO%は、4.2であった。
[熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造]
窒素雰囲気下、撹拌機が装着された反応機に、1410部のポリエチレングリコール(東邦化学工業社製、商品名:PEG2000、水酸基価55.7mgKOH/g)、596.8部の上記調製例2で得られたポリオールB、及び9.4部のアデカスタブAO−80を添加し、80℃で1時間溶解した。次いで、775部の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製、商品名:コスモネートPH)を添加し、80℃で4時間反応させ、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(以下、プレポリマーと略す)を合成した。
得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂の粉砕物、及び粉砕物に対して4質量%の上記調整例4で得られたコンポジットAを添加し、タンブラーを用いてブレンドを行い、ブレンド樹脂を得た。引き続き、該ブレンド樹脂を除湿乾燥器に入れて、90℃、20時間乾燥し、単軸押出機を用いて、ペレット状に成形した。尚、押出機の設定温度は、ホッパーからダイの先端にかけて、180〜215℃の範囲とした。得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂のオキシエチレン基の含有量、ハードセグメント濃度、及びコンポジットAの添加量等を表1に示す。
除湿乾燥器にて、上記で得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物のペレットを、再度、上記した条件で乾燥した後、口径50mmの単軸押出機を用いて、ペレット状に成形した。押出機の設定温度は、ホッパーからダイの先端にかけて、180〜215℃の範囲とした。
[熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造]
100.1部のポリオールA、1790.4部のポリオールB、及び8.9部のアデカスタブAO−80を添加し、725部のコスモネートPH、362.2部のBHEBを用いた以外は、実施例1に記載の方法に従い、熱可塑性ポリウレタン樹脂を調製した。
得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いて、実施例1に記載の方法に従って、熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(TPU−2)を調製した。得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂のオキシエチレン基の含有量、ハードセグメント濃度、ポリオキシアルキレンポリオールの含有量、及びコンポジットAの添加量等を表1に示す。
得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(TPU−2)を用いて、実施例1に記載の方法に従い、透湿性フィルムを成形した。得られた透湿性フィルムの厚み、透湿度、軟化温度、水膨潤度、及び100%モジュラス、引張強度、破断伸び、並びにタック性を表2に示す。
[熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造]
2040部のポリエチレングリコール(東邦化学工業社製、商品名:PEG4000、水酸基価33mgKOH/g)、198.9部のポリオールC、596.8部のポリオールB、及び14.0部のアデカスタブAO−80を添加し、1150部のコスモネートPH、689.7部のBHEBを用いた以外は、実施例1に記載の方法に従い、熱可塑性ポリウレタン樹脂を調製した。
得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して3質量%のコンポジットAを用いた以外は、実施例1に記載の方法に従って、熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(TPU−3)を調製した。得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂のオキシエチレン基の含有量、ハードセグメント濃度、ポリオキシアルキレンポリオールの含有量、及びコンポジットAの添加量等を表1に示す。
得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(TPU−3)を用いて、実施例1に記載の方法に従い、透湿性フィルムを成形した。得られた透湿性フィルムの厚み、透湿度、軟化温度、水膨潤度、及び100%モジュラス、引張強度、破断伸び、並びにタック性を表2に示す。
2040.0部のポリエチレングリコール(東邦化学工業社製、商品名:PEG4000、水酸基価33mgKOH/g)、198.9部のポリオールC、596.8部のポリオールB、及び14.0部のアデカスタブAO−80を添加し、1150部のコスモネートPH、689.7部のBHEBを用いた以外は、実施例1に記載の方法に従い、熱可塑性ポリウレタン樹脂を調製した。
得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.5質量%のコンポジットAを用いた以外は、実施例1に記載の方法に従って、熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(TPU−4)を調製した。得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂のオキシエチレン基の含有量、ハードセグメント濃度、ポリオキシアルキレンポリオールの含有量、及びコンポジットAの添加量等を表1に示す。
得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(TPU−4)を用いて、実施例1に記載の方法に従い、透湿性フィルムを成形した。得られた透湿性フィルムの厚み、透湿度、軟化温度、水膨潤度、及び100%モジュラス、引張強度、破断伸び、並びにタック性を表2に示す。
975.7部のポリエチレングリコール(東邦化学工業社製、商品名:PEG1000、水酸基価115mgKOH/g)、及び8.3部のアデカスタブAO−80を添加し、1125部のコスモネートPH、679部のBHEBを用いた以外は、実施例1記載の方法に従い、熱可塑性ポリウレタン樹脂を調製した。
得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して12質量%のコンポジットAを用いた以外は、実施例1に記載の方法に従って、熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(TPU−5)を調製した。得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂のオキシエチレン基の含有量、ハードセグメント濃度、ポリオキシアルキレンポリオールの含有量、及びコンポジットAの添加量等を表1に示す。
得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(TPU−5)を用いて、実施例1に記載の方法に従い、透湿性フィルムを成形した。得られた透湿性フィルムの厚み、透湿度、軟化温度、水膨潤度、及び100%モジュラス、引張強度、破断伸び、並びにタック性を表2に示す。
1405部のポリカプロラクトンジオール(ダイセル化学工業社製、商品名:PCL220、水酸基価55.9mgKOH/g)、596.8部のポリオールB、及び8.6部のアデカスタブAO−80を添加し、600部のコスモネートPH、270.4部のBHEBを用いた以外は、実施例1に記載の方法に従い、熱可塑性ポリウレタン樹脂を調製した。
得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂に対して0.1質量%のコンポジットAを用いた以外は、実施例1に記載の方法に従って、熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(TPU−6)を調製した。得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂のオキシエチレン基の含有量、ハードセグメント濃度、ポリオキシアルキレンポリオールの含有量、及びコンポジットAの添加量等を表1に示す。
得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(TPU−6)を用いて、実施例1に記載の方法に従い、透湿性フィルムを成形した。得られた透湿性フィルムの厚み、透湿度、軟化温度、水膨潤度、及び100%モジュラス、引張強度、破断伸び、並びにタック性を表2に示す。
3400部のポリエチレングリコール(東邦化学工業社製、商品名:PEG4000、水酸基価33mgKOH/g)、及び13.2部のアデカスタブAO−80を添加し、800部のコスモネートPH、195.2部の1,4−ブタンジオール(三菱化学社製)を用いた以外は、実施例1に記載の方法に従い、熱可塑性ポリウレタン樹脂を調製した。
得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いて、実施例1に記載の方法に従って、熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(TPU−7)を調製した。得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂のオキシエチレン基の含有量、ハードセグメント濃度、ポリオキシアルキレンポリオールの含有量、及びコンポジットAの添加量等を表1に示す。
得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物(TPU−7)を用いて、実施例1に記載の方法に従い、透湿性フィルムを成形した。得られた透湿性フィルムの厚み、透湿度、軟化温度、水膨潤度、及び100%モジュラス、引張強度、破断伸び、並びにタック性を表2に示す。
表2の実施例に示されるように、本発明の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物は、高い透湿度と高い軟化温度を持つフィルムを与えるものである。また、オキシエチレン基含有ポリオール及び/又は、ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットを含むことにより、高い透湿度を維持したまま、より高い軟化温度を持つ優れたフィルムを与えることが判る。
Claims (4)
- (a1)ポリイソシアネート及び(a2)ポリオールを出発原料として含む(A)熱可塑性ポリウレタン樹脂を含み、更に、(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットを、熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物全体に対して、0.3質量%以上10質量%以下含む熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物であって、
前記(A)熱可塑性ポリウレタン樹脂におけるオキシエチレン基の含有量は、40質量%以上65質量%以下であり、
前記組成物を厚み20μmのフィルムとした場合の熱機械分析(TMA)による軟化温度が160℃以上であり、
前記(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットは、(b1)親水性基を有するポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び/又は、界面活性剤とポリウレタンとから生成される水分散ポリウレタンと、(b2)ケイ酸エステルと、を混合し、ポリウレタンとポリケイ酸とを同一系中で同時に析出させてなるものであるか、又は
(b1)親水性基を有するポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び/又は、界面活性剤とポリウレタンとから生成される水分散ポリウレタン、(b3)ケイ酸塩、及び、(b4)酸、を混合し、ポリウレタンとポリケイ酸とを同一系中で同時に析出させてなるものである熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物。 - 前記(a2)ポリオールは、芳香族ポリオール、芳香族ポリカルボン酸、及び、脂環式ポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種の活性水素化合物に、アルキレンオキサイドを付加重合して得られるポリオキシアルキレンポリオールを含み、
当該ポリオキシアルキレンポリオールは、前記(A)熱可塑性ポリウレタン樹脂100質量%に対して、10質量%以上含まれる請求項1記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物。 - 前記(B)ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットは、有機溶剤を実質的に含有しないものである請求項1又は2記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物。
- 請求項1から3いずれか記載の熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物からなり、無溶媒で熱成形されてなる透湿性フィルム。
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