JP2006183021A - ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡潔に構成されたプロセスにより得られる高弾性でかつ高強度でユニークなモルフォロジーを有するポリウレタンとポリケイ酸のコンポジットを提供する。
【解決手段】 親水性を有する水分散ポリウレタン、ケイ酸塩及び酸を反応させるか、或いは、上記水分散ポリウレタン、アルキルケイ酸塩を中性或いはアルカリ性下で反応させることにより、ポリウレタンとポリケイ酸を系中で同時に析出させて、ポリウレタンとポリケイ酸とのコンポジットを得る。親水性基の濃度は特定の範囲にあることが好ましく、ケイ酸塩としては、リチウム、ナトリウム及びカリウム等のアルカリ金属ケイ酸塩であるが、またアルキルケイ酸塩であってもよく、酸としては、硫酸、塩酸、リン酸、有機スルホン酸及び有機カルボン酸等が使用される。
【選択図】 図4

Description

本発明は、ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットに関するものである。本発明のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットは、機械的特性に優れ、ユニークなモルフォロジーを形成しており、皮革材料、接着剤、機能性塗膜、機能性フィラー等の各種分野に応用できる。
ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットとは、ポリウレタンを有機成分、ポリケイ酸を無機成分とする有機・無機のコンポジット(複合体)であって、当該コンポジットに関してはこれまで数多くの提案がなされている。
特にその無機成分であるポリケイ酸は、ポリシロキサンとシラノールを含む化合物(すなわち、シラノールを有するポリシロキサン化合物)であり、その重合度や架橋反応率によりゾル状のものからコロイド状、さらには粉体状の種々の形態をとり得る。例えば、シラノールを有する粉体状の微粒シリカ、コロイダル状のシリカもシラノールが残存しているので、ポリケイ酸の一種と見ることが出来る。
このようなポリケイ酸を無機成分、ポリウレタンを有機成分とする有機・無機コンポジットは、例えば以下の方法で得られることが知られている。すなわち、(1)微粉状のシラノールを有するシリカをブレンドする方法、(2)コロイダルシリカを混合する方法、(3)アルコキシシランを利用するゾルゲル法、(4)ケイ酸ナトリウムを中和してポリケイ酸を得た後、ポリケイ酸をテトラヒドロフラン(THF)で抽出しつつNaClで塩析し、得られたポリケイ酸のTHF溶液をポリウレタンにブレンドする方法、(5)ケイ酸ナトリウム水溶液とポリウレタンTHF溶液の混合液を硫酸で酸性にし、ポリケイ酸を生成させつつNaClで塩析し、ポリウレタンとポリケイ酸のコンポジットのTHF溶液を得る方法、(6)スルホン酸を有する変性ポリイソシアナートとケイ酸ナトリウム水溶液を反応させポリケイ酸とポリウレアウレタンを同時に生成させコンポジットを得る方法等が知られている。
(1)及び(2)の方法により得られるコンポジットは、焼成法シリカやコロイダルシリカを単にブレンドして得られるコンポジットであるため、元々の粒子のレベルの混合物でしかない。後記詳述するポリケイ酸を生成させると同時にコンポジットが得られる本発明のコンポジットとは基本的に異なるものである。
またゾルゲル法による(3)の方法は、特許文献1に開示されているものであるが、使用するポリウレタンがアルコールに溶解する必要があり、ポリウレタンの組成の選択に制限があるという問題を有する。また、このような問題の無い方法として特許文献2には両末端にアルコキシシリル基を有するポリウレタンを利用する方法、特許文献3には両末端に水酸基を有するポリウレタンをシラン変性する方法が開示されている。
しかしながら、これらの方法は、いずれも無機成分のシロキサンとの相溶性を向上させるためにポリウレタン末端にシリル基を導入して得られるコンポジットであり、非特許文献1に報告されているTEOS-POLYETHYLENEOXIDE URETHANEPOLYCERAMと同じジャンルに分類される。
また、非特許文献2には、カチオン性ポリウレタンからゾルゲル法により二酸化ケイ素とポリウレタンのナノコンポジットを得る方法が開示されている。この方法で得られるコンポジットのシリカ(ポリケイ酸)は大きさが50nmを超える界面の明確な粒子状のもので独立した層を形成している。
さらに、特許文献4には、水酸基及び/又はアミノ基を有し、かつ水酸基価とアミン価の合計が1以上のポリウレタン樹脂溶液を利用する方法が開示されている。これは水酸基やイオン化されていないアミノ基を利用し、ゾルゲル法によりコンポジットを得る方法である。しかしながらかかる方法では、ウレタン樹脂を溶解させるためにジメチルホルムアミドなどの溶媒が必須となる欠点がある。
ケイ酸ナトリウムを利用してポリケイ酸を得る(4)の方法は、例えば非特許文献3に開示されており、また、(5)の方法は、特許文献5に開示されている。ケイ酸ナトリウムを用いる場合にNaイオンを除去する方法として、希釈した酸(例えば2N硫酸)へ希釈したケイ酸ナトリウム(例えば1.6mol/L)を加えて酸性にした後、充分な量のTHFに溶解した変性プレポリマーを加え、塩化ナトリウムにより塩析してシロキサン含有ポリウレタンをTHF層に移行させて水層に残ったナトリウムを除去できるとされている。しかしながら、(4)、(5)の方法は、いずれも大量に有機溶剤のテトラヒドロフランを使用するという欠点を有し、さらに塩析のため無機塩も使用しなければならないという問題がある。(5)の方法で塩析操作を行わない場合は、最終製品に多量のNaイオンが含有されるのである。
また、R.K.ILerは、著名な非特許文献4において、ケイ酸ナトリウムに酸を加えて酸性にして得られたポリケイ酸をpH調節により安定化したポリケイ酸(デュポン社製Ludox HS)を使用し、ポリケイ酸がゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイドさらにカチオン性のアルブミン、ゼラチンなどの高分子とコンプレックス(複合体)を形成することを明らかにしている。さらにあらかじめケイ酸ナトリウムと、及びポリケイ酸とコンプレックスを形成する化合物とを混合しておき、この混合物に酸を加えつつコンプレックスを得る方法も特許文献6に開示されている。また、この方法を、アミンを有するゴム粒子分散液に応用した技術も特許文献7に開示されている。なお、アミン化合物がポリケイ酸とコンプレックスを形成することはR.K.ILerが非特許文献5において報告している。このようにカチオン性の高分子や低分子がポリケイ酸とコンプレックスを形成することは公知である。
ケイ酸ナトリウムを利用する(6)の方法は、特許文献8に開示されている。この方法はケイ酸ナトリウムから出発して、最終製品を得ると同時にポリケイ酸を生成させるので、プロセスが冗長にならないという点できわめて優れたコンポジットの生成法であるが、スルホン酸基を有する特殊なイソシアナートを使用する点、及びさらに炭酸ガスの発生による発泡を避けることが出来ないためフォーム状のものしか得られないことが大きな難点となる。
特開平6−136321号公報(特許請求の範囲(請求項1)、〔0018〕〜〔0020〕) 特開2000−63661号公報(特許請求の範囲(請求項1)) 特開2000−327739号明細書(特許請求の範囲(請求項1)) 特開2001−64346号明細書(実施例1〜4、〔0041〕〜〔0050〕) 特開2003−261644号明細書(特許請求の範囲(請求項7)、〔0032〕、〔0044〕〜〔0046〕) 米国特許第2276314号明細書(実施例3(第4頁左欄61行〜同頁右欄17行)) 特開2002−145906号明細書(特許請求の範囲(請求項1)、〔0008〕) 米国特許第3981831号明細書(実施例16〜20(第23欄26行〜同欄55行)) Boulton ,J.M. et al, "Synthesis and Structural Characteristics of Polycerams", Mat. Res. Soc. Symp. Proc. 1990,Vol 180, p773-777 Yan Zhu et al, "Preparation of Silicon Dioxide/Polyurethane Nanocomposites by Sol-Gel Process", Journal of Applied Polymer Science, 2004, Vol.92, p2013-2016 井上ら,「ハイブリッドポリウレタン:シロキサン含有ポリウレタンの合成」,第13回エラストマー討論会講演要旨集, 社団法人日本ゴム協会、2000, p186-189 ILer, R.K. "The effect of Surface Aluminosilicate Ions on the Properties of Colloidal Sillica", Jounal of Colloid and Interface Science, 1976,Vol.55, No.1, p25-34 ILer, R.K. "Complex of Polysilisic Scid with N-Diethylaniline Hydrochroride", Journal of American Chemical Society, 1952,Vol.74, p2929
本発明の目的は、上記した従来の方法における種々の問題である(i)抽出溶剤や無機塩など二次原料や特殊な素原料を使用すること、(ii)無機成分のシロキサンとの相溶性を向上させるためにポリウレタンにシリル基を導入しなければならないこと、(iii)ポリウレタンの組成の選択度が低いこと、等の問題又は制限のない、水分散ポリウレタンとケイ酸塩から簡単な生成プロセスで得られ、しかも機械的特性に優れ、独特のモルフォロジーを有するポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットを提供することである。
本発明に従えば、以下のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット及びポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの製造方法が提供される。
〔1〕
(A1)親水性基を有するポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び/又は界面活性剤とポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン
(A2)ケイ酸塩、及び
(A3)酸
を反応させ、ポリウレタンとポリケイ酸を系中で同時に析出させてなることを特徴とするポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット。
〔2〕
(A1)親水性基を有するポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び/又は界面活性剤とポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び
(A2’)アルキルケイ酸塩を
中性或いはアルカリ性下で反応させ、ポリウレタンとポリケイ酸を系中で同時に析出させてなることを特徴とするポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット。
〔3〕
ポリウレタンとポリケイ酸を系中で同時に析出させて得られた当該析出物を固液分離してなるものである〔1〕又は〔2〕に記載のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット。
〔4〕
前記親水性基を有するポリウレタン中の当該親水性基の濃度が0.04〜6mmol/gである〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット。
〔5〕
前記ケイ酸塩が、リチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群より選択されるアルカリ金属ケイ酸塩であるか、あるいはアルキルケイ酸塩であり、当該アルキルケイ酸塩がテトラメチルケイ酸塩、テトラメチルケイ酸塩の縮合物、テトラエチルケイ酸塩及びテトラエチルケイ酸塩の縮合物からなる群より選択されるアルキルケイ酸塩である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット。
〔6〕
前記酸が、硫酸、塩酸、リン酸、有機スルホン酸及び有機カルボン酸からなる群より選択される少なくとも一つの酸である〔1〕、〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット。
〔7〕
(A1)親水性基を有するポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び/又は界面活性剤とポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び
(A2)ケイ酸塩
を反応させ、ポリウレタンとポリケイ酸を系中で同時に析出させる工程、及び
当該析出物を固液分離する工程よりなることを特徴とするポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの製造方法。
以下に詳述するように、本発明のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットは、従来の製造方法における(i)抽出溶剤や無機塩など二次原料や特殊な素原料の使用、(ii)無機成分のシロキサンとの相溶性を向上させるためのポリウレタンへのシリル基の導入、(iii)ポリウレタンの組成の選択度の制限等がなく、水分散ポリウレタンとケイ酸塩、アルキルケイ酸塩から簡単な生成プロセスで得られるものであり、しかも、当該コンポジットは、高弾性率、高強度等の機械的特性に優れているだけでなく、独特のモルフォロジーを持つシリカ(ポリケイ酸)の相を形成しており、新たな機能を発現し得るものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
(親水性基含有ポリウレタン)
本発明のポリウタレン・ポリケイ酸コンポジットは、(A1)親水性基を有するポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び/又は界面活性剤とポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、(A2)ケイ酸塩、及び(A3)酸を反応させて得るか、或いは、(A1)親水性基を有するポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び/又は界面活性剤とポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び(A2’)アルキルケイ酸塩を中性或いはアルカリ性下で反応させて得るものである。
本発明において特徴の一つは、(A1)ポリウレタンが親水性基を有しており、かつ、これが水分散されていることである。ポリウレタンが親水性基を有し、水分散型となるためには、当該ポリウレタン中の特定の親水性基の濃度が特定の値以上であること、具体的には0.04mmol/g以上であることが望ましい。また、コンポジットの吸水率という観点からポリウレタン中の親水性基の濃度の上限値は6mmol/g程度であることが望ましい。
例えば、カルボン酸、またはその塩が親水性基である場合、ポリウレタン1g当たり−COO−基換算で0.04〜6mmol/gの濃度を含有することが好ましい。これらの範囲であればポリウレタンは水への分散性はよく、機械的特性の優れたポリケイ酸とのコポジットが得られる。
本発明において、親水性基とは、水に対して親和性がある基、または水と反応して親水性基を生成する基である。具体的には、水に対し親和性がある基としては、カルボン酸基(カルボキシル基)、その酸無水物、その酸ハロゲン化物、その塩、スルホン酸基、リン酸基、これらの塩、アミノ基、水酸基、ポリオキシエチレン基、アミドカルボニル基などが挙げられ、水と反応して親水性基を生成する基としては、ケチミン基、アルジミン基、オキサゾリジン基などが挙げられる。
(ポリウレタンの調製)
基体となるポリウレタンの製造方法としては、特に限定するものでなく公知の方法が採用できる。通常、ポリイソシアナート、ポリオール及び鎖延長剤を、触媒存在下あるいは非存在下で反応させることによりポリウレタンが得られる。例えば、G.Oertel編「POLYURETHANE HANDBOOK」第二版(HANSER,1994)に種々のポリウレタンの製造方法が開示されており、これに従って、ポリウレタンを製造することができる。
ポリウレタンを構成する成分の一つであるポリイソシアナートは上記文献の第73〜83頁などに記載されているが、本発明に好ましいポリイソシアナートとしては、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアナート(NBDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(水添MDI)、キシリレンジイソシアナート(XDI)、水素化キシリレンジイソシアナート(水添XDI)、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナートが挙げられ、これらは単独で、または、一種以上を混合して用いることもできる。さらにこれらのイソシアナートにビューレットやイソシアヌレート結合を導入して得られる多官能ポリイソシアナートも好適に使用できる。
一方、ポリオールは、上記文献の第55〜71頁などに記載されているが、本発明に好ましいポリオールとしては、アジピン酸などの酸とネオペンチルグリコールなどのアルコールから得られるポリエステルポリオール、環状のエステルから得られるε−ポリカプロラクトン系のポリエステルポリオール、多価アルコールとアルキルカーボナートから得られるポリカーボナートジオール、テトラハイドロフランのオリゴマーであるポリオキシテトラメチレングリコール、プロピレンオキサイドやエチレンオキサイドなどから得られポリオキシアルキレン系ポリオールである。また、末端に活性水素基を有するオレフィン系ポリオールあるいはひまし油等の天然物由来のポリオールも使用できる。
さらに、鎖延長剤及び触媒としては、上記文献の第98〜106頁などに記載されているが、本発明に好ましい鎖延長剤としては、ネオペンチルグリコールや1,4ブタンジオールなどの2価のアルコール、水、ヒドラジンやイソホロンジアミンなどのジアミン、エタノールアミンなどのアルカノールアミンが好ましい。また、トリメチロールプロパンやジエタノールアミンなど官能基数が3以上の鎖延長剤も使用できる。また、触媒としてはジブチルチンジラウレートなどが使用できる。
(ポリウレタンへの親水性基の導入)
(A)ポリウレタンに親水基を導入するために、上記した親水基を有しかつイソシアナートと反応する活性水素化合物がポリウレタンの原料として用いられる。この活性水素化合物はポリオールとしても鎖延長剤としても用いることが出来る。より具体的には、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、これらの塩や酸無水物、アミノ基、水酸基、ポリオキシエチレン基、アミドカルボニル基などの親水性基を有する活性水素化合物が用いられる。
カルボン酸基を有する活性水素化合物としては、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸(以下、DMBAと略する)などのジヒドロキシルカルボン酸、リジンなどのジアミノカルボン酸などが挙げられる。
スルホン酸基を有する活性水素化合物としては、ジヒドロキシブタンスルホン酸、ジヒドロキシプロパンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸などが使用される。
水酸基を持つ活性水素化合物としては、N−(2−アミノエチル)エタノールアミンを挙げることができる。
3級のアミノ基を有する活性水素化合物としては、N−アルキルジエタノールアミンなどが使用される。
これら親水性基を有する活性水素化合物は、単独で用いてもよく、また2種以上併用してもよい。
(B)さらに、ポリウレタンに親水性基を導入する方法としては、親水性基を有する単量体を用いて製造した親水性基を有するポリオールを用いることでポリウレタンに親水性基を導入する方法が例示できる。
親水性基を有するポリエステルポリオールとしては、例えば、親水性基を有する酸成分とポリオールを反応させたポリエステルポリオールが例示できる。ポリエステルポリオールに導入する方法において、親水性基を有する酸成分としては、スルホン酸含有酸成分あるいはアルコール成分から得られるポリエステルポリオールやカルボン酸基、スルホン酸基等の親水性基を有するアルコール成分にカプロラクトン等を開環重合させた親水性基を有するポリエステルポリオールが挙げられる。親水性基を有する酸成分としては、具体的には、5−スルホイソフタル酸、無水トリメリット酸と分子量が500から5000のメトキシポリオキシエチレングリコールとの付加物などが挙げられる。また、親水性基を有するアルコール成分としては、例えば2,2−ジメチロールブタン酸(DMBA)などのジヒドロキシカルボン酸、ジヒドロキシブタンスルホン酸などのジヒドロキシスルホン酸が使用される。
親水性基を有するポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシエチレン鎖を有する1官能性のモノオールや2官能性以上のポリオール、また親水性基を有するアルコール成分にアルキレンオキサイドを付加させて得られるポリエーテルポリオール等が例示できる。ポリオキシエチレン鎖を有するポリオールとしては、分子量が500から10000のポリオキシエチレン系ポリオールやプロピレンオキサイドとの共重合体のポリオキシエチレン−プロピレン系ポリオールを使用することができる。また、前述したジヒドロキシカルボン酸やジヒドロキシブタンスルホン酸などにアルキレンオキサイドを付加したポリオールが挙げられる。また、アニリンやアンモニアなどのアミン化合物にアルキレンオキサイドを付加して得られる3級アミンを有するポリエーテルポリオールも好適に使用できる。
(界面活性剤)
本発明のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットは、(A1)親水性基を有するポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び/又は界面活性剤とポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、(A2)ケイ酸塩、及び(A3)酸を反応させて得るか、或いは、(A1)親水性基を有するポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び/又は界面活性剤とポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び(A2’)アルキルケイ酸塩を中性或いはアルカリ性下で反応させて得るものである。
すなわち、本発明において特徴の一方は、(A1)ポリウレタンが界面活性剤により水分散されていてもよいことである。その場合使用されるポリウレタンとしては、必ずしも親水性を有する必要はない。従って、当該ポリウレタンは、(ポリウレタンの調製)あるいは(ポリウレタンへの親水性基の導入)の項で記述したポリウレタンが使用できる。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル型ノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンオキシプロピレントリスチリルフェニルエーテル型ノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル型ノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンオキシプロピレンジスチリルフェニルエーテル型ノニオン界面活性剤、オキシエチレン鎖を有するプルロニック型ノニオン界面活性剤、リン酸塩のアニオン型、4級アミン塩のカチオン型などの界面活性剤が使用できる。これらの界面活性剤は単独あるいは組み合わせて用いることが出来る。
(水分散ポリウレタンの調製)
水分散ポリウレタンの製造方法としては、それ自身公知の方法を採用できる。例えば、G.Oertel編「POLYURETHANE HANDBOOK」第二版(HANSER,1994)第30頁に種々の水分散ポリウレタンの製造方法が開示されており、これに従って調製することができる。 すなわち、アセトンなどの有機溶媒中において上記した方法により親水性を有するポリウレタンを生成させ、このポリウレタン溶液に水を加えて転相乳化し、有機溶剤を蒸留除去する溶媒除去法、イソシアナート末端のポリウレタンに水を加えて転相乳化し、その後、水あるいは鎖延長剤で分子量を上げるプレポリマー法がなどが採用できる。また、プレポリマー法において界面活性剤を用いる方法が採用できる。その他、前述の文献で例示されている溶融分散法、ケチミン法、せん断分散法なども採用できる。なお比較的高分子量のポリウレタンを界面活性剤を使用して水分散ポリウレタンを得ようとする場合は、高せん断分散法が採用できる。
また、親水性基を有する水分散ポリウレタンとしては、上記のようにして調製してもよいが、市販のものが入手可能であり、これを使用することもできる。
市販されている水分散ポリウレタンとしては、例えば親水性基がポリオキシエチレン基であるノニオンタイプの水分散ポリウレタン(タケラックW-635、商品名、三井武田ケミカル社製)及びアニオンタイプの水分散ポリウレタン(タケラックW-6010、タケラックW-511、タケラックW-6020、タケラックW-6061、タケラックW-7004、タケラックW-605、以上商品名、三井武田ケミカル社製)等が本発明に好適に使用することができる。
また、市販されている界面活性剤を使用する水分散ポリウレタンとしては、例えばノニオンタイプの界面活性剤を使用して得られる水分散ポリウレタン(タケラックW-512-A-6、商品名、三井武田ケミカル社製)等が本発明に好適に使用することができる。
(ケイ酸塩)
本発明におけるケイ酸塩とは、オルトケイ酸(H4SiO4)、メタケイ酸(H2SiO3)、メソ二ケイ酸(H2Si25)、メソ三ケイ酸(H4Si38)、メソ四ケイ酸(H4Si411)及びH6(Si27)、H6(Si39)、H8(Si412)、H12(Si618)等のポリケイ酸等のリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の塩である。アルカリ金属がナトリウムであるアルカリ金属ケイ酸塩が最も代表的なものであるが、これは、ケイ砂、白土あるいはシリカとナトリウムの水酸化物あるいは炭酸塩から得られる化合物である。ケイ酸ナトリウムは水に分散したいわゆる水ガラスあるいは結晶性ケイ酸ソーダとして工業化されている。水に溶解したケイ酸ナトリウムはケイ酸イオンモノマーだけでなくポリケイ酸イオンが含まれていることが知られている。
さらに本発明におけるケイ酸塩としては、塩基性のケイ酸塩であれば、アルカリ金属塩以外にベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属ケイ酸塩でもよいし、さらには、ケイ酸ナトリウムカリウムのようなアルカリ金属塩の複塩、ケイ酸ナトリウムカルシウムのごときアルカリ金属とアルカリ土類金属の複塩であってもよい。
本発明に好適なケイ酸ナトリウムとしては、Na2OとSiO2とのモル比が0.5以上5以下のものであって、例えば、日本工業規格JIS K1408に規定されたケイ酸ナトリウム1号、2号、3号などが好適に使用できる。
そのほか、上記したように、例えばアルカリ金属がリチウムあるいはカリウムであるアルカリ金属ケイ酸塩も好適に使用できる。本発明に好適なケイ酸リチウムはLi2OとSiO2とのモル比が2以上25以下のものである。また、本発明に好適なケイ酸カリウムはK2OとSiO2とのモル比が2以上4以下のものである。
(アルキルケイ酸塩)
本発明におけるケイ酸塩としては、アルキルケイ酸塩(4級アルキルケイ酸塩)であっても使用可能である。アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル(ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等が挙げられるほか、更にはフェニル、トリル、メシチル、ベンジル、シクロプロピル、シクロペンチル等であってもよい。具体的なアルキルケイ酸塩としては、メタノールとケイ酸のエステルであるテトラメチルケイ酸塩、テトラメチルケイ酸塩の縮合物、エタノールとケイ酸のエステルであるテトラエチルケイ酸塩、テトラエチルケイ酸塩の縮合物等が好適に使用できる。
さらにアルキルケイ酸塩の例としては、アルコキシ基の一部が上記アルキル基やフェニリル基等で置換されたメチルトリエトキシシランやジフェニルジエトキシシラン等も好適に使用できる。
なお、これらは市販のものが入手可能であり、テトラメチルケイ酸塩の縮合物としてはMシリケート51(商品名、多摩化学工業社製)、テトラエチルケイ酸塩の縮合物としてはシリケート40、シリケート48(商品名、多摩化学工業社製)などが使用できる。
(酸)
本発明で使用するに好ましい酸は、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸であるが、その他、スルホン酸基を有する化合物たとえばエチルスルホン酸など有機スルホン酸、あるいはギ酸や酢酸、シュウ酸などの有機カルボン酸、またはカルボン酸型やスルホン酸型のイオン交換樹脂やイオン交換膜なども好適に使用できる。
(アルカリ)
本発明のコンポジットは(A1)親水性基を有するポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び/又は界面活性剤とポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び(A2’)アルキルケイ酸塩をアルカリ性下で反応させて得られる。ここで使用される好ましいアルカリとしてはアンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミン化合物が好適に使用できる。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット生成)
本発明のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットは、以上詳述した(A1)親水性基を有するポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び/又は界面活性剤とポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、(A2)ケイ酸塩、及び(A3)酸を反応させ得られる。酸を反応させる場合の(A2)ケイ酸塩としては、上記無機ケイ酸塩またはアルキルケイ酸のいずれも使用可能である。
或いは、以上詳述した(A1)親水性基を有するポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び/又は界面活性剤とポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び(A2’)アルキルケイ酸塩を、中性或いはアルカリ性下で反応させて得られる。
当該コンポジットを生成させる反応は通常室温で充分進行するが、所望により加熱して高温で行うことも可能である。加熱する場合は、反応生成物がシンターリングを起こさない温度以下の反応温度、例えば100℃以下、好ましくは80℃以下、さらに好ましくは50℃以下で行うことが望ましい。
反応時間は反応温度によって変わりうるものであり、任意に選択できるが、通常10分〜120時間、好ましくは20分〜48時間、さらに好ましくは30分〜30時間、最も好ましくは40分〜20時間程度である。
反応装置としては、通常スラリー状態で行われる反応を扱うのに適した撹拌槽型の反応容器を使用することが好ましい。すなわち、少なくとも撹拌装置と反応原料の反応容器内(反応系)への供給手段例えば滴下手段を備え、所望により、加熱手段、温度制御手段、還流手段等を備えた槽型の反応容器が使用される。なお、反応容器の下部には、分級脚を設け、粒子状又は粉末状の析出物を沈降分離して反応系から取り出すことも可能である。
反応は、回分式で行うこともできるし、連続式で実施することもできる。撹拌槽型の反応容器を使用して連続式操作を行う場合は、撹拌槽の滞留時間分布関数を押し出し流れである管型反応器に近づけるため、撹拌槽を二槽以上直列に結合して反応を実施することが好ましい。
反応原料である(A1)水分散ポリウレタン、(A2)ケイ酸塩、及び(A3)酸の反応系への供給順序(添加順序)については、親水性基或いは界面活性剤がノニオンタイプのときはとくに添加順序に制限はないが、アニオンタイプの場合は、(A1)水分散ポリウレタンに(A2)ケイ酸塩を添加し、均一に混合した後、(A3)酸を添加する方法が好ましい。また、カチオンタイプの場合は、(A1)水分散ポリウレタンに(A3)酸を添加し、均一に混合した後、(A2)ケイ酸塩を添加する方法が好ましい。
また、アルカリ性下で(A1)水分散ポリウレタン、及び(A2’)アルキルケイ酸塩を反応させる場合も、親水性基或いは界面活性剤がノニオンタイプのときはとくに添加順序に制限はないが、アニオンタイプの場合は、(A1)水分散ポリウレタンにアルカリを添加し、均一に混合した後、(A2’)アルキルケイ酸塩を添加する方法が好ましい。また、カチオンタイプの場合は、(A1)水分散ポリウレタンに(A2’)アルキルケイ酸塩を添加し、均一に混合した後、アルカリを添加する方法が好ましい。
親水性基がアニオンタイプやカチオンタイプの場合、これを連続撹拌槽型反応器で実施する場合は、主撹拌槽の前に予備の混合槽を設け、当該予備混合槽において、例えば(A1)水分散ポリウレタンと(A2)ケイ酸塩を供給して均一に混合した後、混合液を主反応槽に供給し、これに(A3)酸を供給しながら反応させることも好ましい。
反応は、純粋な水分散系で行うこともできるが、極性溶媒共存下で実施することが好ましい。極性溶媒としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMA)、ヘキサメチルホスホアミド(HMPA)、N−メチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、ジメチルイミダゾリドン、グライム、ジグライム、テトラメチル尿素(TMU)、スルホラン、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトンなどが好適なものとして挙げられる。
反応の進行につれて、反応生成物であるポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットが析出するが、当該析出物は、例えば使用する(A1)水分散ポリウレタン、(A2)ケイ酸塩、及び(A3)酸の種類、その濃度と組み合わせ、反応系のpH、反応温度、添加順序等の反応条件に応じて、その状態が全体がゲル状の反応系になるもの、粉末状のもの、細かい泡を内包したシート状のもの、あるいは塊状の形態をとる。この場合、粉末状のコンポジットや泡を内包したシート状のコンポジットを製品として得る場合は、当該析出物を適当な固液分離手段、例えば濾過分離、遠心分離、遠心沈降分離等により分離した後、当該分離した析出物をウェットケーキ状で、ただちに乾燥処理すればよい。この場合、フィルム状のコンポジットを得ることもできる。また、全体がゲル状の反応系になるものは反応系全体をそのまま乾燥処理することもできる。
乾燥条件は、特に限定するものではないが、例えば40〜80℃程度の温度で、10〜100時間、好ましくは15〜50時間、さらに好ましくは20〜30時間、真空乾燥する方法、或いは乾燥した不活性ガス気流下で乾燥する方法が好適である。また、ゲル状反応物については、エタノールや二酸化炭素などを超臨界状態で用いて乾燥することも出来る。
なお、本発明において、上記コンポジットの生成反応に供給される(A1)ポリウレタンと(A2)ケイ酸塩との添加量の比は、形成されるコンポジット中の所望のポリケイ酸の量に依存し、かつ、当該コンポジットの機械的特性等を考慮して決定されるものである。また、(A3)酸の添加量は、金属ケイ酸塩の場合は、当該ケイ酸塩中に含まれるアルカリ金属の当量以上の量が必要である。一方、アルキルケイ酸塩の場合は、好ましい酸の添加量は、添加するケイ酸塩に含まれるシリコンの当量の1/1000当量以上であることが好ましい。また、アルキルケイ酸塩をアルカリ性下で反応させる場合は、好ましいアルカリの添加量は、添加するアルキルケイ酸塩に含まれるシリコンの当量の1/1000当量以上であることが好ましい。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲がこれに限定されるものではない。なお、%とあるものは、とくに断りなき限り、質量%である。
〔実施例1〕
(水分散ポリウレタン)
親水性基を有する(A1)水分散ポリウレタンとして親水性基がオキシエチレン基であるノニオンタイプの水分散ポリウレタン(タケラックW-635、商品名、オキシエチレン基濃度2mmol/g、三井武田ケミカル社製、以下「水分散ポリウレタンW-635」又は単に「W-635」という。)を使用した。W-635は、固形分濃度が35.8質量%であり、N−メチルピロリドン(NMP)の含有量が4.6質量%の乳白色水分散ポリウレタンである。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの生成)
撹拌装置を備えた100ml反応器に、上記水分散ポリウレタンW-635を10g、(A2)ケイ酸塩としてケイ酸ナトリウム(日本化学工業社製、Jケイ酸ソーダ3号SiO2=29.15%、Na2O=9.42%)1.254gを仕込み均一になるまで、室温にて20分間混合撹拌した。次に、0.2Nの(A3)酸として硫酸43mlを、撹拌下に滴下しつつ加えて反応させ、室温にて4時間撹拌を続けた。析出した反応生成物(粉末)を吸引濾過(5Bタイプ濾紙使用)で分離し、析出物に吸収されている液のpHが中性を示すまで水洗を繰り返した。水洗に使用したイオン交換水は約1.5Lとなった。
水洗の後、直ちに、40℃にて24時間析出物を真空乾燥し、粉末状のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット(以下「PW−A」と称する。)を3.24g得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの特性)
このようにして得られた粉末状のコンポジットPW−Aを151.1mg坩堝に精秤し、電気炉で室温から850℃まで1時間30分かけて空気中にて昇温し、焼成試験を行った結果、坩堝には15.8mgの固形物が残存した。残存物の赤外吸収スペクトルから残存物はシラノールを含有するポリシロキサン即ちポリケイ酸であった。この結果、コンポジットPW−A中のポリケイ酸の含有率は10.4質量%であることが判明した。
つぎにコンポジットPW−Aから、真空プレス成形により厚み約0.2mmの透明なシートを得た。成形条件は真空下、プレス設定温度170℃、プレス時間8分、プレス設定圧力20MPaであった。
このようにして得られたシートの機械的物性(引張り物性)〔(100%モジュラス、MPa(M100)、破断強度、MPa(TS)、破断時伸び、%(EL))を測定し表1に示した。
なお、引張り物性の測定において、サンプルの打ち抜きは3号ダンベルにより行った。また標線間距離は20mmで、引張速度は100mm/minの条件にて測定した。異なるサンプルのフィルムの厚みは、いずれも0.15〜0.3mmの範囲内にあり、同一サンプル内の厚みのばらつきは10μm以内であった。
表1に示したように、コンポジットPW−Aのシートは、これを対応するポリウレタンのシートと比較することにより、高弾性で高強度というきわめて特徴的な引張特性を持つシートであることが示される。
また当該シートを透過型電子顕微鏡(100,000倍)で観察した結果を図1に示す。図1において、黒い暗い部分がポリケイ酸である。このコンポジットにおいては、ポリケイ酸は、粒子としての明確な像が観察されない。
これに対して、非特許文献2の2015頁に図4として記載されている、公知のゾルゲル法で得られたコンポジットのシリカ(ポリケイ酸と同意)の透過型電子顕微鏡写真と比較すると、ゾルゲル法によるコンポジットにおいては、シリカ粒子の部分とポリウレタンの部分とは、明確に区別されていることが分かる。
このことから、本発明のコンポジットにおいては、ポリケイ酸は粒子として分離して存在するのではなく、ポリウレタンといずれかの点で結合した連続した相を形成していると推定される。さらにまた、暗い部分にも明確なコントラストが観察されていないことは、ポリケイ酸部分にもポリウレタンが存在することを示している。以上のように、本発明で得られるコンポジットは、ポリウレタンとポリケイ酸との相混合が非常に進んだものであり、このため、表1に示したごとく、その機械的特性は、高弾性で高強度というきわめて特徴的な引張特性を持つものであると思われる。
〔実施例2〕
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの生成)
撹拌装置を有する100ml反応器に、実施例1で使用したものと同じ(A1)水分散ポリウレタンW-635(オキシエチレン基濃度2mmol/g)を10gを秤量し、(A3)酸として6Nの塩酸を0.002g仕込み、室温にて5分撹拌した。つぎに、(A2)ケイ酸塩としてテトラメチルシリケートの4量体(多摩化学工業社製、Mシリケート51、SiO2=51%)の1.404gを仕込み、室温にて混合撹拌し、反応させた。撹拌を開始して4分後、系全体がクリーム状になった。さらに、イオン交換水20gを、系が均一になるように激しく撹拌しつつ、室温にて10分間で滴下した。滴下終了後、室温にて12時間撹拌を続けた。析出した粉末を吸引ろ過で分離した。ろ液のpHはほぼ中性であり、水洗は不必要であった。直ちに、40℃にて24時間析出物を真空乾燥し、粉末状のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット(以下「PW−B」と称する。)を3.86g得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの特性)
このようにして得られた粉末状のコンポジットPW−Bを109.2mg坩堝に精秤し、電気炉で室温から850℃まで1時間30分かけて空気中にて昇温し、焼成試験を行った結果、坩堝には20.2mgの固形物が残存した。この結果、コンポジットPW−B中のポリケイ酸の含有率は18.5質量%であることが判明した。
つぎに粉末状のコンポジットPW−Bから真空プレス成形により厚み約0.2mmの透明なシートを得た。成形条件は真空下、プレス設定温度170℃、プレス時間8分、プレス設定圧力20MPaであった。このようにして得られたシートの機械的物性(引張り物性)〔(100%モジュラス、MPa(M100)、破断強度、MPa(TS)、破断時伸び、%(EL))を測定し表1に示した。表1に示したように、コンポジットPW−Bのシートは、高い降伏応力を示した。
〔実施例3〕
(親水性基を有するポリウレタンの製造)
200mlビーカーにポリカプロラクトンジオール(PCL 220N、ダイセル社製、分子量:2000)110gを秤量し、加熱式真空デシケーターにて70℃で12時間真空乾燥した。撹拌装置、加熱装置及び還流装置を備えた300ml反応器に、当該乾燥したポリカプロラクトンジオール103.47gを仕込み、撹拌しつつ、窒素雰囲気下でイソホロンジイソシアナートを58.57gを加え、120℃にて10時間反応し、パーシャルプレポリマーを得た。当該パーシャルプレポリマー(以下「PP−A」と称する。)のNCOは10.0質量%のものであった。
次に撹拌装置、加熱装置及び還流装置を備えた500ml反応器に、当該パーシャルプレポリマーPP−Aを105.94g、ジメチロールブタン酸を12.53g、ジブチルチンジラウレートを0.47g、アセトンを51g仕込み80℃にて3時間反応させ、ポリウレタン樹脂(以下「PU−A」と称する。)を得た。当該ポリウレタン樹脂PU−Aは無色透明で、固形分濃度は71.2質量%で、41.4質量%の粘度は25℃で11mPa・secであった。
(水分散ポリウレタンの製造)
撹拌装置、加熱装置を備えた300ml反応器に上記ポリウレタン樹脂PU−Aを15.0g、アセトンを11.72g、トリエチルアミンを0.771g仕込み、室温にて10分間撹拌しつつ反応させた。次に、撹拌下、イオン交換水26.7gを徐々に加えた。水/アセトンの混合溶剤中に、青みを帯びた白色分散体が形成された。水の添加終了後、さらに12時間室温にて撹拌を続けた。次に30℃にて真空蒸留により、真空度が20mmHg以下に達するまで減圧し、アセトンを留去した。31.3質量%の固形分を有する青白色微白濁のアニオンタイプの水分散ポリウレタン(以下「UE−A」と称する。カルボン酸基濃度0.5mmol/g)が得られた。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの生成)
撹拌装置を備えた100ml反応器に(A1)水分散ポリウレタンUE−Aを10g、(A2)ケイ酸塩としてケイ酸ナトリウム(日本化学工業社製、Jケイ酸ソーダ3号SiO2=29.15%、Na2O=9.42%)1.08gを仕込み、均一になるまで、室温にて30分間混合撹拌した。次に、(A2)酸として0.2Nの硫酸36mlを撹拌下で滴下しつつ加え、室温にて30分間撹拌を続け反応させた。反応析出物を吸引ろ過で分離し、析出物に吸収されている液のpHが中性を示すまで水洗を繰り返した。使用したイオン交換水は約2Lとなった。水洗の後、40℃にて17時間塊状の析出物を真空乾燥し、ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット(以下「PC−A」と称する。)を2.95g得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの特性)
このようにして得られた塊状のコンポジットPC−Aを127.8mg坩堝に精秤し、電気炉で室温から850℃まで1時間30分かけて空気中にて昇温し、焼成試験を行った結果、坩堝には6.3mgの固形物が残存した。この結果、コンポジットPC−A中のポリケイ酸の含有率は4.9質量%であることが判明した。
つぎに当該塊状のコンポジットPC−Aから真空プレス成形により厚み約0.2mmの透明なシートを得た。成形条件は真空下、プレス設定温度150℃、プレス時間4分、プレス設定圧力20MPaであった。このようにして得られたシートの機械的物性(引張り物性)〔(100%モジュラス、MPa(M100)、破断強度、MPa(TS)、破断時伸び、%(EL))を測定し表1に示した。表1に示したように、コンポジットPC−Aのシートには明確な弾性率の向上が認められた。
〔実施例4〕
(水分散ポリウレタンの製造)
撹拌装置、加熱装置を備えた300ml反応器に、実施例3で得られたポリウレタン樹脂PU−Aを15.0g、アセトンを9.84g、NMPを1.88g、トリエチルアミンを0.771g仕込み、室温にて10分間撹拌反応させた。次に、撹拌しつつ、純水を26.7g徐々に加えたところ、水とアセトンの混合物中に青みを帯びた白色分散体が形成された。水の添加終了後、さらに12時間室温にて撹拌を続けた。次に実施例3と同様、30℃にて真空蒸留でアセトンを留去し、31.9質量%の固形分を有する青白色微白濁のアニオンタイプの水分散ポリウレタン(以下「UE−B」と称する。カルボン酸基濃度0.5mmol/g)を得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの生成)
撹拌装置を備えた100ml反応器に(A1)水分散ポリウレタンUE−Bを10g、(A2)ケイ酸塩としてケイ酸ナトリウム(日本化学工業社製、Jケイ酸ソーダ3号SiO2=29.15%、Na2O=9.42%)1.10gを仕込み均一になるまで、室温にて30分間混合撹拌した。次に、(A3)酸として0.2Nの硫酸37mlを撹拌下で滴下しつつ加え、室温にて30分間撹拌を続け反応させた。析出した反応生成物(塊状物)を吸引ろ過で分離し、塊状物に吸収されている液のpHが中性を示すまで水洗を繰り返した。使用したイオン交換水は約2Lとなった。水洗の後、40℃にて17時間塊状物を真空乾燥し、ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット(以下「PC−B」と称する。)を2.93g得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの特性)
このようにして得られた塊状のコンポジットPC−Bを154.0mg坩堝に精秤し、電気炉で室温から850℃まで1時間30分かけて空気中にて昇温し、焼成試験を行った結果、坩堝には9.1mgの白色固形物が得られ、コンポジットPC−B中のポリケイ酸の含有率は5.9質量%であることが判明した。
塊状のコンポジットPC−Bから真空プレス成形により厚み約0.2mmの透明なシートを得た。成形条件は成形条件は真空下、プレス設定温度150℃、プレス時間4分、プレス設定圧力20MPaであった。このようにして得られたシートの機械的物性(引張り物性)〔(100%モジュラス、MPa(M100)、破断強度、MPa(TS)、破断時伸び、%(EL))を測定し表1に示した。ポリケイ酸を含有しないポリウレタンの引張特性と比較するとコンポジットの弾性率向上効果が明確であることが認められる。
〔実施例5〕
(水分散ポリウレタンの製造)
撹拌装置、加熱装置を備えた300ml反応器に、実施例3で得られたポリウレタン樹脂PU−Aを15.0g、アセトンを9.84g、10当量/KgのNaOH水溶液を0.761g仕込み、室温にて10分間撹拌反応させた。次に、撹拌しつつ、イオン交換水を26.7g徐々に加えたところ、水とアセトンの混合物中に青みを帯びた半透明分散体が形成された。水の添加終了後、さらに12時間室温にて撹拌を続けた。次に実施例3と同様にして、30℃にて真空蒸留でアセトンを留去し、34.4質量%の固形分を有する青白色微白濁のアニオンタイプの水分散ポリウレタン(以下「UE−C」と称する。カルボン酸基濃度0.5mmol/g)を得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの生成)
撹拌装置を備えた100ml反応器に(A1)水分散ポリウレタンUE−Cを10g、(A2)ケイ酸塩としてケイ酸ナトリウム(日本化学工業社製、Jケイ酸ソーダ3号SiO2=29.15%、Na2O=9.42%)を1.12g、NMP1.0gを仕込み均一になるまで、室温にて30分間混合撹拌した。次に、(A3)酸として、0.2Nの硫酸38mlを撹拌下で滴下しつつ加え、室温にて10時間撹拌を続け反応させた。析出した反応生成物(塊状物)を吸引ろ過で分離し、塊状物に吸収されている液のpHが中性を示すまで水洗を繰り返した。使用したイオン交換水は約2Lとなった。水洗の後、40℃にて17時間塊状物を真空乾燥し、ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット(以下「PC−C」と称する。)を2.84g得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの特性)
このようにして得られた塊状のコンポジットPC−Cを116.0mg坩堝に精秤し、電気炉で室温から850℃まで1時間30分かけて空気中にて昇温し、焼成試験を行った結果、坩堝には2.8mgの固形物が得られ、コンポジットPC−C中のポリケイ酸の含有率は2.4質量%であることが判明した。
また、塊状のコンポジットPC−Cから真空プレス成形により厚み約0.2mmの透明なシートを得た。成形条件は真空下、プレス設定温度150℃、プレス時間4分、プレス設定圧力20MPaであった。このようにして得られたシートの機械的物性(引張り物性)〔(100%モジュラス、MPa(M100)、破断強度、MPa(TS)、破断時伸び、%(EL))を測定し表1に示した。ポリケイ酸を含有しないポリウレタンの引張特性と比較するとコンポジットの物性向上効果が明確に認められた。
〔実施例6〕
(親水性基を有するポリウレタンの製造)
500mlビーカーにポリカプロラクトンジオール2000(PCL 220N、ダイセル社製、分子量2000)350gを秤量し、加熱式真空デシケーターにて70℃で12時間真空乾燥した。撹拌装置、加熱装置及び還流装置を備えた500ml反応器に、乾燥した当該ポリカプロラクトンジオール310.2gを仕込み、撹拌しつつ、窒素雰囲気下でイソホロンジイソシアナートを175.6gを加え、100℃にて2時間反応し、パーシャルプレポリマー(以下「PP−B」と称する。)を得た。パーシャルプレポリマーPP-BのNCO含量は10.9質量%であった。
次に撹拌装置、加熱装置及び還流装置を備えた500ml反応器に、パーシャルプレポリマーPP−Bを100.76g、N−メチルジエタノールアミンを9.58g、ジブチルチンジラウレートを0.22g、アセトンを47g仕込み80℃にて3時間反応させ、ポリウレタン樹脂(以下「PU−B」と称する。)を得た。ポリウレタン樹脂PU-Bは淡黄色透明で、固形分濃度は71.1質量%で、41.3質量%の粘度は25℃で9mPa・secであった。
(水分散ポリウレタンの製造)
撹拌装置、加熱装置を備えた300ml反応器に、ポリウレタン樹脂PU-Bを15.0g、アセトンを8.7g、35%塩酸を0.81g仕込み、室温にて5分間撹拌反応させた。次に、撹拌しつつ、イオン交換水を33.1gを徐々に加えた。水の添加終了直後、得られた液体は透明であった。さらに12時間室温にて撹拌を続けたところ、水とアセトンの混合物中に青みを帯びた白色分散体が形成された。次に、実施例3と同様にして、30℃にて真空蒸留でアセトンを留去し、26.6質量%の固形分を有する青白色微白濁のカチオンタイプの水分散ポリウレタン(以下「UE−D」と称する。4級アミノ基濃度0.5mmol/g)を得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの生成)
撹拌装置を備えた100ml反応器に、(A1)水分散ポリウレタンUE−Dを10g、(A3)酸として、0.2Nの硫酸31mlを仕込み、均一になるまで室温にて10分間混合撹拌した。次に、(A2)ケイ酸塩としてケイ酸ナトリウム(日本化学工業社製、Jケイ酸ソーダ3号SiO2=29.15%、Na2O=9.42%)の0.90gを、撹拌下で少しずつ加え、室温にて12時間撹拌を続けた。析出した反応生成物(塊状物)を吸引濾過で分離し、塊状物に吸収されている液のpHが中性を示すまで水洗を繰り返した。水洗の後、40℃にて17時間塊状物を真空乾燥し、ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット(以下「PC−D」と称する。)を2.58g得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの特性)
このようにして得られた塊状のコンポジットPC−Dを123.2mg坩堝に精秤し、電気炉で室温から850℃まで1時間30分かけて空気中にて昇温し、焼成試験を行った結果、坩堝には9.6mg.の固形物が得られ、コンポジットPC−D中のポリケイ酸の含有率は7.8質量%であることが判明した。
つぎに塊状のコンポジットPC−Dから真空プレス成形により厚み約0.2mmの透明なシートを得た。成形条件は真空下、プレス設定温度165℃、プレス時間4分、プレス設定圧力20MPaであった。このようにして得られたシートの機械的物性(引張り物性)〔(100%モジュラス、MPa(M100)、破断強度、MPa(TS)、破断時伸び、%(EL))を測定し表1に示した。
〔実施例7〕
(水分散ポリウレタンの製造)
撹拌装置、加熱装置を備えた300ml反応器に、ポリウレタン樹脂PU-Bを55.0g、アセトンを31.9g、6N−塩酸(f=1.004)を5.170g、ヒドラジン1水和物を0.730g仕込み、室温にて5分間撹拌反応させた。次に、撹拌しつつ、イオン交換水161.9gを徐々に加えた。水の添加終了直後、得られた液体はかすかに濁っていた。さらに3時間室温にて撹拌を続けところ水とアセトンの混合物中に青みを帯びた微濁分散体が形成された。次に、得られた分散体を、撹拌装置、加熱装置を有する500ml反応器に移液し、実施例3と同様、30℃にて真空蒸留でアセトンを留去し、21.1質量%の固形分を有する青白色微白濁のカチオンタイプの水分散ポリウレタン(以下「UE−E」と称する。4級アミノ基濃度0.5mmol/g)を得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの生成)
撹拌装置を有する100ml反応器に(A1)水分散ポリウレタンUE−Eを10g、(A3)酸として0.2Nの硫酸25mlを仕込み、均一になるまで、室温にて10分間混合撹拌した。次に、(A2)ケイ酸塩としてケイ酸ナトリウム(日本化学工業社製、Jケイ酸ソーダ3号SiO2=29.15%、Na2O=9.42%)0.745gをイオン交換水4gで希釈した液を撹拌下で少しずつ加え、室温にて12時間撹拌を続け反応させた。反応析出物を吸引濾過で分離し、析出物に吸収されている液のpHが中性を示すまで水洗を繰り返した。水洗の後、40℃にて17時間析出物を真空乾燥し、ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット(以下「PC−E」と称する。)を1.67g得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの特性)
このようにして得られたポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット析出物は泡を内包したシート状のものであった。コンポジットPC−Eを126.2mg坩堝に精秤し、電気炉で室温から850℃まで1時間30分かけて空気中にて昇温し、焼成試験を行った結果、坩堝には10.1mg.の固形物が得られ、コンポジットPC−E中のポリケイ酸の含有率は8.0質量%であることが判明した。
つぎに塊状のコンポジットPC−Eから真空プレス成形により厚み約0.2mmのかすみのあるほぼ透明なシートを得た。成形条件は真空下、プレス設定温度165℃、プレス時間6分、プレス設定圧力20MPaであった。このようにして得られたシートの機械的物性(引張り物性)〔(100%モジュラス、MPa(M100)、破断強度、MPa(TS)、破断時伸び、%(EL))を測定し表1に示した。このコンポジットは高弾性で高強度というきわめて特徴的な引張特性を持つものであることが示された。
〔実施例8〕
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの生成)
撹拌装置を備えた100ml反応器に上記(A1)水分散ポリウレタンUE−E(4級アミノ基濃度0.5mmol/g)を10g秤量し、(A3)酸として6Nの塩酸を0.016g仕込み、室温にて5分撹拌した。つぎに、(A2)ケイ酸塩としてテトラメチルシリケートの4量体(多摩化学工業社製、Mシリケート51、SiO2=51%)の0.827gを仕込み、室温にて混合撹拌した。撹拌を開始して30分後、系全体がクリーム状になった。さらに、イオン交換水20gを、系が均一になるように激しく撹拌しつつ、室温にて10分間で滴下した。滴下終了後、室温にて12時間撹拌を続けた。析出した粉末を吸引ろ過で分離した。ろ液のpHはほぼ中性であり、水洗は不必要であった。直ちに、40℃にて24時間析出物を真空乾燥し、粉末状のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット(以下「PC−F」と称する。)を1.62g得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの特性)
このようにして得られた粉末状のコンポジットPC−Fを105.8mg坩堝に精秤し、電気炉で室温から850℃まで1時間30分かけて空気中にて昇温し、焼成試験を行った結果、坩堝には15.8mgの固形物が残存した。この結果、コンポジットPC−F中のポリケイ酸の含有率は14.9質量%であることが判明した。
つぎに粉末状のコンポジットPC−Fから真空プレス成形により厚み約0.2mmのほぼ透明なシートを得た。成形条件は真空下、プレス設定温度165℃、プレス時間8分、プレス設定圧力20MPaであった。このようにして得られたシートの機械的物性(引張り物性)〔(100%モジュラス、MPa(M100)、破断強度、MPa(TS)、破断時伸び、%(EL))を測定し表1に示した。このコンポジットは高弾性で高強度であることが示された。
〔実施例9〕
(親水性基を有するポリウレタンの製造)
撹拌装置、加熱装置及び還流装置を備えた300ml反応器に、実施例6で得られたパーシャルプレポリマーPP−Bを75.01g、ポリエチレングリコール(分子量6000)を4.276g、ネオペンチルグリコールを6.236g、ジブチルチンジラウレートを0.5g、アセトンを37g仕込み80℃にて3時間反応させ、ポリウレタン樹脂(以下「PU−C」と称する。)を得た。ポリウレタン樹脂PU-Cは白色透明で、固形分濃度は70.3質量%で、室温では固化した。
(水分散ポリウレタンの製造)
撹拌装置、加熱装置を備えた300ml反応器に、ポリウレタン樹脂PU-Cを14.0g、アセトンを14.12g仕込み、室温にて5分間攪拌した。次に、撹拌しつつ、イオン交換水23.0gを徐々に加えた。水の添加終了直後、ヒドラジン1水和物を0.174g添加した。さらに12時間室温にて撹拌を続けところ水とアセトンの混合物中に白濁分散体が形成された。次に、実施例3と同様にして、30℃にて真空蒸留でアセトンを留去し、35.8質量%の固形分を有する白濁したノニオンタイプの水分散ポリウレタン(以下「UE−F」と称する。オキシエチレン基濃度1mmol/g)を得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの生成)
撹拌装置を備えた100ml反応器に、(A1)水分散ポリウレタンUE−Fを10g、(A2)ケイ酸塩としてケイ酸ナトリウム(日本化学工業社製、Jケイ酸ソーダ3号SiO2=29.15%、Na2O=9.42%)1.23gを仕込み均一になるまで、室温にて10分間混合撹拌した。次に、(A3)酸として0.2Nの硫酸86ml撹拌下で少しずつ加え、室温にて12時間撹拌を続けた。析出した塊状物を吸引ろ過で分離し、塊状物に吸収されている液のpHが中性を示すまで水洗を繰り返した。水洗の後、40℃にて17時間析出物を真空乾燥し、ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット(以下、「PC−G」と称する。)を2.83g得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの特性)
このようにして得られた粗い粒状のコンポジットPC−Gを130.8mg坩堝に精秤し、電気炉で室温から850℃まで1時間30分かけて空気中にて昇温し、焼成試験を行った結果、坩堝には8.3mg.の固形物が得られ、コンポジットPC−G中のポリケイ酸の含有率は6.3質量%であることが判明した。
つぎに粗い粒状のコンポジットPC−Gから真空プレス成形により厚み約0.2mmのかすんだ透明なシートを得た。成形条件は真空下、プレス設定温度165℃、プレス時間4分、プレス設定圧力20MPaであった。このようにして得られたシートの機械的物性(引張り物性)〔(100%モジュラス、MPa(M100)、破断強度、MPa(TS)、破断時伸び、%(EL))を測定し表1に示した。このコンポジットは高弾性で高強度であることが示された。
また当該シートを透過型電子顕微鏡(100,000倍)で観察した結果を図2に示す。図2において、黒い暗い部分がポリケイ酸である。このコンポジットにおいては、ポリケイ酸は、その内部に10ナノオーダーの粒状物が分散した特異な異形棒状像が観察される。
図2を、非特許文献2の2015頁に図4として記載されている、公知のゾルゲル法で得られたコンポジットのシリカ(ポリケイ酸と同意)の透過型電子顕微鏡写真と比較すると、従来のゾルゲル法によるコンポジットにおいては、シリカ粒子の部分とポリウレタンの部分とは、明確に区別されており、さらにシリカ粒子内部には明らかにシリカと区別される他の物質の像は観察されていないことが分かる。
本発明のコンポジットにおいては、実施例1でも明らかにしたように、ポリウレタンとポリケイ酸との相混合が非常に進んだものであるため、お互いの相の存在形式をさまざまに制御できる。とくにこの例のように、ポリエチレンオキサイド鎖を親水性成分とするポリウレタンでは、その一部がポリケイ酸を固体として形成するときの鋳型となり、固体状のポリケイ酸のなかに細孔模様となってポリウレタンを分散させることができるものと考えられる。このように、親水性成分のポリウレタンへの導入の仕方によりさまざまなモルフォロジーを持つポリケイ酸粒子を形成できることが判明した。また、これらの細孔は引張特性での欠陥として存在せず、表1に示したごとく高弾性で高強度というきわめて特徴的な引張特性を発揮させることが出来る。さらに、このようなコンポジットの生成により、種々の気体の透過性制御など新たな機能をポリウレタンに付与できると思われる。
〔実施例10〕
(水分散ポリウレタンの製造)
撹拌装置、加熱装置を備えた300ml反応器に、ポリウレタン樹脂PU-Cを14.0g、アセトンを10.61g、NMPを1.74g仕込み、室温にて5分間撹拌した。次に、撹拌しつつ、イオン交換水21.0gを徐々に加えた。水の添加終了直後、ヒドラジン1水和物を0.185g添加した。さらに12時間室温にて撹拌を続けところ水とアセトンの混合物中に白濁分散体が形成された。次に、実施例3と同様にして、30℃にて真空蒸留でアセトンを留去し、35.0質量%の固形分を有する白濁したノニオンタイプの水分散ポリウレタン(以下「UE−G」と称する。オキシエチレン基濃度1mmol/g)を得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの生成)
撹拌装置を備えた100ml反応器に、(A1)水分散ポリウレタンUE−Gを10g、(A2)ケイ酸塩としてケイ酸ナトリウム(日本化学工業社製、Jケイ酸ソーダ3号SiO2=29.15%、Na2O=9.42%)1.96gを仕込み均一になるまで、室温にて10分間混合撹拌した。次に、(A3)酸として0.2Nの硫酸35ml撹拌下で少しずつ加え、室温にて12時間撹拌を続けた。析出した粉末を吸引ろ過で分離し、析出物に吸収されている液のpHが中性を示すまで水洗を繰り返した。水洗の後、40℃にて17時間析出物を真空乾燥し、ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット(以下、「PC−H」と称する。)を4.024g得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの特性)
このようにして得られた粗い粒状のコンポジットPC−Hを232.7mg坩堝に精秤し、電気炉で室温から850℃まで1時間30分かけて空気中にて昇温し、焼成試験を行った結果、坩堝には32.4mg.の固形物が得られ、コンポジットPC−H中のポリケイ酸の含有率は13.9質量%であることが判明した。
つぎに粗い粒状のコンポジットPC−Hから真空プレス成形により厚み約0.2mmのかすんだ透明なシートを得た。成形条件は真空下、プレス設定温度165℃、プレス時間4分、プレス設定圧力20MPaであった。
また当該シートを透過型電子顕微鏡(150,000倍)で観察した結果を図3に示す。図3において、黒い暗い部分がポリケイ酸である。このコンポジットにおいても、ポリケイ酸は、その内部に10から20ナノオーダーの粒状物が分散した異形棒状像が観察される。
〔実施例11〕
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの生成)
撹拌装置を備えた100ml反応器に、(A1)水分散ポリウレタンUE−Gを10g、(A2)ケイ酸塩としてケイ酸ナトリウム(日本化学工業社製、Jケイ酸ソーダ3号SiO2=29.15%、Na2O=9.42%)0.98gを仕込み均一になるまで、室温にて10分間混合撹拌した。次に、(A3)酸として0.2Nの硫酸35ml撹拌下で少しずつ加え、室温にて12時間撹拌を続けた。析出した粉末を吸引ろ過で分離し、析出物に吸収されている液のpHが中性を示すまで水洗を繰り返した。水洗の後、40℃にて17時間析出物を真空乾燥し、ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット(以下、「PC−I」と称する。)を3.164g得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの特性)
このようにして得られた粗い粒状のコンポジットPC−Iを133.8mg坩堝に精秤し、電気炉で室温から850℃まで1時間30分かけて空気中にて昇温し、焼成試験を行った結果、坩堝には6.6mg.の固形物が得られ、コンポジットPC−I中のポリケイ酸の含有率は4.9質量%であることが判明した。
つぎに粗い粒状のコンポジットPC−Iから真空プレス成形により厚み約0.2mmのかすんだ透明なシートを得た。成形条件は真空下、プレス設定温度165℃、プレス時間4分、プレス設定圧力20MPaであった。
また当該シートを透過型電子顕微鏡(150,000倍)で観察した結果を図4に示す。図4において、黒い暗い部分がポリケイ酸である。このコンポジットにおいても、ポリケイ酸は、その内部に10から20ナノオーダーの粒状物が分散したサラミ構造様の像が観察される。
〔実施例12〕
(水分散ポリウレタン)
界面活性剤を用いて生成される(A1)水分散ポリウレタンとしてオキシエチレン鎖を有するノニオン型界面活性剤を使用して生成される水分散ポリウレタン(タケラックW-512-A-6、商品名、三井武田ケミカル社製、以下「水分散ポリウレタンW-512-A-6」又は単に「W-512-A-6」という。)を使用した。W-512-A-6は固形分濃度が35.0質量%であり、トルエンの含有量が8質量%の乳白色水分散ポリウレタンである。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの生成)
撹拌装置を備えた100ml反応器に、上記水分散ポリウレタンW-512-A-6を10g、(A2)ケイ酸塩としてケイ酸ナトリウム(日本化学工業社製、Jケイ酸ソーダ3号SiO2=29.15%、Na2O=9.42%)1.201gを仕込み均一になるまで、室温にて20分間混合撹拌した。次に、0.2Nの(A3)酸として硫酸38mlを、撹拌下に滴下しつつ加えて反応させ、室温にて4時間撹拌を続けた。析出した反応生成物(粉末)を吸引濾過(5Bタイプ濾紙使用)で分離し、析出物に吸収されている液のpHが中性を示すまで水洗を繰り返した。水洗に使用したイオン交換水は約1.5Lとなった。
水洗の後、直ちに、40℃にて24時間析出物を真空乾燥し、粉末状のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット(以下「PC−J」と称する。)を3.57g得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの特性)
このようにして得られた細かい泡を内包したシート状のコンポジットPC−Jを261mg坩堝に精秤し、電気炉で室温から850℃まで1時間30分かけて空気中にて昇温し、焼成試験を行った結果、坩堝には20mgの固形物が残存した。この結果、コンポジットPC−J中のポリケイ酸の含有率は7.7質量%であることが判明した。
つぎにコンポジットPC−Jから、真空プレス成形により厚み約0.2mmの透明なシートを得た。成形条件は真空下、プレス設定温度160℃、プレス時間4分、プレス設定圧力20MPaであった。
また当該シートを透過型電子顕微鏡(150,000倍)で観察した結果を図5に示す。図5において、黒い暗い部分がポリケイ酸である。このコンポジットにおいても、ポリケイ酸は、その内部に数十ナノオーダーの粒状物が分散したサラミ構造様の像が観察される。
〔実施例13〕
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの生成)
撹拌装置を有する100ml反応器に、実施例1で使用したものと同じ(A1)水分散ポリウレタンW-635(オキシエチレン基濃度2mmol/g)を10gを秤量し、つぎに、(A2’)アルキルケイ酸塩としてテトラメチルシリケートの4量体(多摩化学工業社製、Mシリケート51、SiO2=51%)の2.105gを仕込み、室温にて混合撹拌し、反応させた。撹拌を開始して3分後、系全体がクリーム状になった。さらに、イオン交換水21gを、系が均一になるように激しく撹拌しつつ、室温にて10分間で滴下した。滴下終了後、室温にて12時間撹拌を続けた。析出した粉末を吸引ろ過で分離した。ろ液のpHはほぼ中性であり、水洗は不必要であった。直ちに、40℃にて24時間析出物を真空乾燥し、粉末状のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット(以下「PW−C」と称する。)を4.028g得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの特性)
このようにして得られた粉末状のコンポジットPW−Cを169mg坩堝に精秤し、電気炉で室温から850℃まで1時間30分かけて空気中にて昇温し、焼成試験を行った結果、坩堝には41mgの固形物が残存した。この結果、コンポジットPW−C中のポリケイ酸の含有率は24.3質量%であることが判明した。
つぎにコンポジットPW−Cから、真空プレス成形により厚み約0.2mmの透明なシートを得た。成形条件は真空下、プレス設定温度170℃、プレス時間8分、プレス設定圧力20MPaであった。
また当該シートを透過型電子顕微鏡(100,000倍)で観察した結果を図6に示す。実施例1と同様、ポリケイ酸は粒子として分離して存在するのではなく、ポリウレタンといずれかの点で結合した連続した相を形成していると推定される。さらにまた、暗い部分にも明確なコントラストが観察されていないことは、ポリケイ酸部分にもポリウレタンが存在することを示している。
〔実施例14〕
(親水性基を有するポリウレタンの製造)
撹拌装置、加熱装置及び還流装置を備えた300ml反応器に、実施例6で得られたパーシャルプレポリマーPP−Bを100g、ポリエチレングリコール(分子量:6000)を8.31g、ネオペンチルグリコールを5.70g、ジブチルチンジラウレートを0.7g、アセトンを49g仕込み82℃にて3時間反応させ、ポリウレタン樹脂(以下「PU−D」と称する。)を得た。ポリウレタン樹脂PU-Dは白色透明で、固形分濃度は85.0質量%で、室温では固化した。
(水分散ポリウレタンの製造)
撹拌装置、加熱装置を備えた300ml反応器に、ポリウレタン樹脂PU-Dを14.0g、アセトンを16.0g仕込み、室温にて5分間撹拌した。次に、撹拌しつつ、イオン交換水28.2gを徐々に加えた。水の添加終了直後、ヒドラジン1水和物を0.26g添加した。さらに12時間室温にて撹拌を続けところ水とアセトンの混合物中に白濁分散体が形成された。次に、実施例3と同様にして、30℃にて真空蒸留でアセトンを留去し、34.5質量%の固形分を有する白濁したノニオンタイプの水分散ポリウレタン(以下「UE−H」と称する。オキシエチレン基濃度1mmol/g)を得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの生成)
撹拌装置を有する100ml反応器に、(A1)水分散ポリウレタンUE−Hを5gを秤量し、28%アンモニア水を0.22g仕込み、室温にて5分撹拌した。つぎに、(A2’)アルキルケイ酸塩としてテトラエチルシリケート1.20gを仕込み、室温にて混合撹拌し、アルカリ性下で反応させた。撹拌を開始して20分後、系全体がクリーム状になった。さらに、イオン交換水10gを、系が均一になるように激しく撹拌しつつ、室温にて10分間で滴下した。滴下終了後、室温にて12時間撹拌を続けた。析出した粉末を吸引ろ過で分離し、析出物に吸収されている液のpHが中性を示すまで水洗を繰り返した。水洗には1Lのイオン交換水が必要であった。直ちに、40℃にて24時間析出物を真空乾燥し、粉末状のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット(以下「PC−K」と称する。)を1.83g得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの特性)
このようにして得られた細かい泡を内包したシート状のコンポジットPC−Kを169mg坩堝に精秤し、電気炉で室温から850℃まで1時間30分かけて空気中にて昇温し、焼成試験を行った結果、坩堝には21mgの固形物が残存した。この結果、コンポジットPC−K中のポリケイ酸の含有率は12.4質量%であることが判明した。
つぎに粉末状のコンポジットPC−Kから真空プレス成形により厚み約0.1mmの一部泡のある霞んだシートを得た。成形条件は真空下、プレス設定温度165℃、プレス時間4分、プレス設定圧力20MPaであった。
また当該シートを透過型電子顕微鏡(150,000倍)で観察した結果を図7に示す。図7では実施例13と同様、ポリケイ酸は明確な粒子として分離して存在するのではなく、ポリウレタンとポリケイ酸との相混合が非常に進んだモルフォロジーが観察される。
〔実施例15〕
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの生成)
撹拌装置を有する100ml反応器に、(A1)水分散ポリウレタンUE−Hを7gを秤量し、(A3)酸として6Nの塩酸を0.04g仕込み、室温にて5分撹拌した。つぎに、(A2)アルキルケイ酸塩としてテトラエチルシリケートを1.67gを仕込み、室温にて混合撹拌し、反応させた。室温にて65時間反応させた。さらに、イオン交換水14gを、系が均一になるように激しく撹拌しつつ、室温にて10分間で滴下した。滴下終了後、室温にて3時間撹拌を続けた。析出した粉末を吸引ろ過で分離し、析出物に吸収されている液のpHが中性を示すまで水洗を繰り返した。水洗には1Lのイオン交換水が必要であった。直ちに、40℃にて24時間析出物を真空乾燥し、粉末状のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット(以下「PC−L」と称する。)を2.80g得た。
(ポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの特性)
このようにして得られた粉末状のコンポジットPC−Lを145mg坩堝に精秤し、電気炉で室温から850℃まで1時間30分かけて空気中にて昇温し、焼成試験を行った結果、坩堝には24mgの固形物が残存した。この結果、コンポジットPC−L中のポリケイ酸の含有率は16.6質量%であることが判明した。
つぎに粉末状のコンポジットPC−Lから真空プレス成形により厚み約0.1mmの一部泡のある霞んだシートを得た。成形条件は真空下、プレス設定温度165℃、プレス時間4分、プレス設定圧力20MPaであった。
また当該シートを透過型電子顕微鏡(150,000倍)で観察した結果を図8に示す。図8において、黒い暗い部分がポリケイ酸である。このコンポジットにおいても、ポリケイ酸は、その内部に数十ナノオーダーの粒状物が分散したサラミ構造様の像が観察される。実施例14と比較すると判るように、反応条件の差により形成されるモルフォロジーが制御できる。
本発明のコンポジットにおいては、実施例で明らかにしたようにポリウレタンとポリケイ酸との相混合が非常に進んだものであるため、お互いの相の存在形式をさまざまに制御できることが判る。
Figure 2006183021
本発明のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットは、従来の製造方法における(i)抽出溶剤や無機塩など二次原料や特殊な素原料の使用、(ii)無機成分のシロキサンとの相溶性を向上させるためのポリウレタンへのシリル基の導入、(iii)ポリウレタンの組成の選択度の制限等がなく、水分散ポリウレタンとケイ酸塩から簡単な生成プロセスで得られるものであり、しかも、当該コンポジットは、高弾性率、高強度等の機械的特性に優れているものであり、独特のモルフォロジーを有するものであるから、皮革材料、接着剤、機能性塗膜等の各種分野に好適に応用できる。
本発明のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットのシートの透過型電子顕微鏡写真である。 本発明のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットのシートの透過型電子顕微鏡写真である。 本発明のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットのシートの透過型電子顕微鏡写真である。 本発明のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットのシートの透過型電子顕微鏡写真である。 本発明のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットのシートの透過型電子顕微鏡写真である。 本発明のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットのシートの透過型電子顕微鏡写真である。 本発明のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットのシートの透過型電子顕微鏡写真である。 本発明のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットのシートの透過型電子顕微鏡写真である。

Claims (7)

  1. (A1)親水性基を有するポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び/又は界面活性剤とポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン
    (A2)ケイ酸塩、及び
    (A3)酸
    を反応させ、ポリウレタンとポリケイ酸を系中で同時に析出させてなることを特徴とするポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット。
  2. (A1)親水性基を有するポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び/又は界面活性剤とポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び
    (A2’)アルキルケイ酸塩を
    中性或いはアルカリ性下で反応させ、ポリウレタンとポリケイ酸を系中で同時に析出させてなることを特徴とするポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット。
  3. ポリウレタンとポリケイ酸を系中で同時に析出させて得られた当該析出物を固液分離してなるものである請求項1又は2に記載のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット。
  4. 前記親水性基を有するポリウレタン中の当該親水性基の濃度が0.04〜6mmol/gである請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット。
  5. 前記ケイ酸塩が、リチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群より選択されるアルカリ金属ケイ酸塩であるか、あるいはアルキルケイ酸塩であり、当該アルキルケイ酸塩がテトラメチルケイ酸塩、テトラメチルケイ酸塩の縮合物、テトラエチルケイ酸塩及びテトラエチルケイ酸塩の縮合物からなる群より選択されるアルキルケイ酸塩である請求項1〜4のいずれかに記載のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット。
  6. 前記酸が、硫酸、塩酸、リン酸、有機スルホン酸及び有機カルボン酸からなる群より選択される少なくとも一つの酸である請求項1、3〜5のいずれかに記載のポリウレタン・ポリケイ酸コンポジット。
  7. (A1)親水性基を有するポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び/又は界面活性剤とポリウレタンから生成される水分散ポリウレタン、及び
    (A2)ケイ酸塩
    を反応させ、ポリウレタンとポリケイ酸を系中で同時に析出させる工程、及び
    当該析出物を固液分離する工程よりなることを特徴とするポリウレタン・ポリケイ酸コンポジットの製造方法。
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