JP6449204B2 - 衛生材料用ウレタンフィルム - Google Patents

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Description

本発明は無孔質である衛生材料用ウレタンフィルムに関する。
従来、衛生材料に使用される透湿性シートとして、一般にオレフィン樹脂である線状低密度ポリエチレンが用いられている。しかしながら、単にそのような低密度ポリエチレンに充填剤を多量に混合し、シート状に成形した後一軸または二軸に延伸した微多孔性シートは、シート強度、特に吸収性物品の裏面材として要求される防漏性、引き裂き強度に問題があった。
上記問題を解決するために、上述の微多孔性シートにホットメルト接着剤等を用いて不織布と接着して強度を向上させる方法が提案されているが、該方法では引き裂き強度は向上するものの防漏性は改良されていない。即ち、一般に開示されている防漏性は純水または一般水(水道水等)で測定されているため、あたかも実用に耐えられる値を呈示されているが、実際に人体から排出される体液、例えば尿等は多量の有機、無機物を含んでいて、表面張力で表示すると純水が70〜72dyne/cmであるのに対し、尿等は40〜50dyne/cmと低く、更に、吸収性物品がより薄型になるにつれ、尿等排出液が吸収体に留まらず裏面材に到達することが多くなっている。従って、従来の透湿シートでは尿等低表面張力液体の漏れを防ぐことが出来ない。前述の特許文献1で開示されているシートも同様に尿等低表面張力液では防漏性が著しく劣る。また、多孔性のため、汚れなどによって目詰まりを起こし、透湿性が低下する。
また、別の対策として特定のポリウレタンシート(無孔質透湿性)と伸縮性不織布を積層して無孔の伸縮性透湿シートが提案されている(特許文献2)。このシートは無孔のため、尿等低表面張力液でも防漏性はあるが、機械強度が十分ではないため耐用時間が短く、皮膜の厚みを厚くして強度を維持する必要があり、そのような対策ではウレタンの特長である柔軟な風合いが損なわれる。また、薄型化の潮流にある衛生材料の設計として使用する樹脂の皮膜の厚みを薄くできないのは制約が大きい。
このように従来の衛生材料用透湿性シートは、柔軟性、引き裂き強度、及び透湿性、尿等低表面張力液の防漏性等吸収性物品の透湿・防漏シートとして要望される物性を全て満足するに至っていない。
特公平5−38011号公報 特開平6−134000号公報
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は機械強度、透湿性、風合い、防漏性のいずれにも優れる衛生材料用ウレタンフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発明は、ポリオキシエチレン鎖を有する高分子ジオール(A)、ジイソシアネート(B)、及び鎖伸長剤(C)を必須構成単量体とするポリウレタン樹脂(U1)と下記の一般式(1)で表される化合物(H1)を含有する衛生材料用ウレタンフィルム用ポリウレタン樹脂組成物(U11);該ポリウレタン樹脂組成物(U11)を含有する衛生材料用ウレタンフィルム(F1);
[一般式(1)中、Xはm価の活性水素含有化合物からc個の活性水素を除いた残基を表し;cは1≦c≦mを満たす整数を表し;mは2〜20の整数を表し;Xは活性水素含有化合物から1個の活性水素を除いた残基を表し、複数のXはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、XとXはそれぞれ同一でも異なっていてもよく;Yは3価以上の芳香族ポリカルボン酸から全てのカルボキシル基を除いた残基を表し、Yの芳香環は炭素原子から構成され、その炭素原子にはカルボキシル基以外の置換基及び/又はハロゲン原子が結合していてもよいが少なくとも一つの炭素原子は置換基が結合しておらず;aは1以上の整数を表し、bは0以上の整数を表し、かつ、2≦a+b≦d−2を満たし;dは前記芳香族ポリカルボン酸のカルボキシル基を含む全ての置換基を水素原子に置換した場合の芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子の数、即ち芳香環上で置換可能な部位の数を表す。]
及び、ポリオキシエチレン鎖を有する高分子ジオール(A)、ジイソシアネート(B)、鎖伸長剤(C)、及び下記の一般式(2)で表されかつ少なくとも一つの活性水素を有する化合物(H2)を必須構成単量体とする衛生材料用ウレタンフィルム用ポリウレタン樹脂(U2);該ポリウレタン樹脂(U2)を含有する衛生材料用ウレタンフィルム(F2)である。
[一般式(2)中、Xはn価の活性水素含有化合物からg個の活性水素を除いた残基を表し;gは1≦g≦nを満たす整数を表し;nは2〜20の整数を表し;Xは2個の活性水素を含有する化合物から2個の活性水素のうちの1個の活性水素を除いた残基を表し、複数のXはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、XとXはそれぞれ同一でも異なっていてもよく;Yは3価以上の芳香族ポリカルボン酸から全てのカルボキシル基を除いた残基を表し、Yの芳香環は炭素原子から構成され、その炭素原子にはカルボキシル基以外の置換基及び/又はハロゲン原子が結合していてもよいが少なくとも一つの炭素原子は置換基が結合しておらず;eは1以上の整数を表し、fは0以上の整数を表し、かつ、2≦e+f≦h−2を満たし;hは前記芳香族ポリカルボン酸のカルボキシル基を含む全ての置換基を水素原子に置換した場合の芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子の数、即ち芳香環上で置換可能な部位の数を表す。]
本発明の衛生材料用ウレタンフィルムは透湿性、防漏性、機械強度、風合いのいずれにも優れる。
ポリオキシエチレン鎖を有する高分子ジオール(A)としては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン共重合グリコール、ポリオキシエチレン/ポリオキシテトラメチレン共重合グリコール、ポリエステルポリオキシエチレンジオール、ポリオキシエチレングリコールとポリオキシエチレン/上記ポリアルキレングリコールの混合物が挙げられる。
(A)は(A)の重量に基づいてポリオキシエチレン鎖を50〜95重量%含有するのが好ましく、70〜90重量%含有するのがさらに好ましい。
ポリウレタン樹脂(U1)または(U2)の構成単量体として、高分子ジオール(A)の他に、オキシエチレン鎖を有しないポリエーテルジオールやポリエステルジオールを用いてもよい。オキシエチレン鎖を有しないポリエーテルジオールとしては、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)やポリプロピレングリコールが挙げられる。また、ポリエステルジオールとしては、例えば縮合型ポリエステルジオール、ポリラクトンジオール及びポリカーボネートジオール等が挙げられる。
縮合型ポリエステルジオールは、例えば前記炭素数2〜20の2価アルコールと炭素数2〜20のジカルボン酸とを反応させて得られる。
炭素数2〜20のジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸(例えばコハク酸、アジピン酸及びセバシン酸)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸及びイソフタル酸)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
縮合型ポリエステルジオールの具体例としては、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリジエチレンアジペートジオール、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートジオール、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール、ポリブチレンセバケートジオール及びポリネオペンチルテレフタレートジオール等が挙げられる。
ポリラクトンジオールは、前記炭素数2〜20の2価アルコールへのラクトンの重付加物であり、ラクトンとしては、炭素数4〜12のラクトン(例えばγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン及びε−カプロラクトン)等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールの具体例としては、例えばポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール及びポリカプロラクトントリオール等が挙げられる。
ポリカーボネートジオールとしては、前記炭素数2〜20の2価アルコールと、低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基の炭素数1〜6のジアルキルカーボネート、炭素数2〜6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート及び炭素数6〜9のアリール基を有するジアリールカーボネート)とを、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートポリオール等が挙げられる。炭素数2〜20の2価アルコール及び低分子カーボネート化合物はそれぞれ2種以上併用してもよい。
ポリカーボネートポリオールの具体例としては、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール及びポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール(例えば1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールをジアルキルカーボネートと脱アルコール反応させながら縮合させて得られるジオール)等が挙げられる。
ポリオキシエチレン鎖を有する高分子ジオール(A)の水酸基価は、ウレタンフィルムの防水性及び風合いの観点から、好ましくは11〜224、より好ましくは12〜150mgKOH/g、更に好ましくは13〜70mgKOH/gである。水酸基価が11mgKOH/g以上ではウレタンフィルムの機械強度が高く、224mgKOH/g以下ではウレタンフィルムは柔軟である。
ウレタン樹脂組成物(U11)のオキシエチレン基の含有量としては、透湿性の観点から、(U11)に対して20〜60重量%が好ましい。より好ましくは30〜58重量%であり、更に好ましくは40〜55重量%である。20重量%以上であると、ウレタンフィルムの透湿性が十分であり、また60重量%以下であるとウレタンフィルムの機械強度が十分である。
また、ウレタン樹脂(U2)のオキシエチレン基の含有量としては、透湿性の観点から、(U2)に対して20〜60重量%が好ましい。より好ましくは30〜58重量%であり、更に好ましくは40〜55重量%である。20重量%以上であるとウレタンフィルムの透湿性が十分であり、また60重量%以下であるとウレタンフィルムの機械強度が十分である。
鎖伸長剤(C)としては、水、炭素数2〜20の多価アルコール、炭素数2〜10のジアミン類(例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、トルエンジアミン及びピペラジン)、ポリアルキレンポリアミン類(例えばジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミン)、ヒドラジン又はその誘導体(例えばアジピン酸ジヒドラジド等の二塩基酸ジヒドラジド)並びに炭素数2〜10のアミノアルコール類(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール及びトリエタノールアミン)等が挙げられる。この中で好ましいのはウレタンフィルムの風合いおよび機械強度の観点から炭素数2〜6の多価アルコールであり、さらに好ましいのはエチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールであり、最も好ましいのはエチレングリコールである。鎖伸長剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
反応停止剤(D)としては、炭素数1〜8のモノアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、セロソルブ類及びカルビトール類等)及び炭素数1〜10のモノアミン類(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、モノオクチルアミン等のモノ又はジアルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のモノ又はジアルカノールアミン等)が挙げられる。反応停止剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ウレタン樹脂(U1)または(U2)の構成成分であるジイソシアネート(B)としては、一般にポリウレタン樹脂の製造に使用される有機ポリイソシアネートはすべて使用でき、例えば芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート及びこれらの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等)が挙げられる。ポリイソシアネート成分(B)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
芳香族ポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く;以下のポリイソシアネートも同様)が6〜16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6〜20の芳香族トリイソシアネート及びこれらのイソシアネートの粗製物等が挙げられる。具体例としては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(以下、TDIと略記)、粗製TDI、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(以下、粗製MDIと略記)、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート及びトリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜10の脂肪族ジイソシアネート(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びリジンジイソシアネート等)等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜16の脂環式ジイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート及びノルボルナンジイソシアネート等)等が挙げられる。
芳香脂肪族イソシアネートとしては、炭素数8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネート(キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等)等が挙げられる。
変性ポリイソシアネートの具体例としては、カルボジイミド変性MDI等が挙げられる。これらの中で機械強度の観点から好ましいのは、芳香族ポリイソシアネートであり、更に好ましいのは、TDI、粗製TDI、MDI、粗製MDI及びこれらのイソシアネートの変性物であり、特に好ましいのは、MDI、粗製MDI並びにこれらの変性物の合計含有量が10重量%以上(特に15〜80重量%)である。有機ポリイソシアネート成分(B)全体としてのイソシアネート基含有量(NCO%)は25〜45重量%が好ましい。
本発明の衛生材料用バックシートを構成するウレタンフィルム(F1)は、ポリオキシエチレン基含有高分子ジオール(A)、鎖伸長剤(C)、ジイソシアネート(B)を必須構成成分とするポリウレタン樹脂(U1)と上記一般式(1)で表される化合物(H1)を含有したポリウレタン樹脂組成物(U11)を含有する。また、ウレタンフィルム(F2)は、ポリオキシエチレン基含有高分子ジオール(A)、鎖伸長剤(C)、ジイソシアネート(B)、及び上記一般式(2)で表される化合物(H2)を必須構成単量体として含有したポリウレタン樹脂(U2)を含有する。
化合物(H1)にXを導入するための活性水素含有化合物として、ウレタンフィルムの機械強度の観点から好ましいのは、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物及びこれらのAO付加物であり、更に好ましいのは、炭素数2〜20の多価アルコール、炭素数2〜20の多価アルコールにAOを付加したポリエーテルポリオール、炭素数2〜20の脂肪族ポリアミン及び多価のチオール化合物、特に好ましいのは炭素数2〜20の多価アルコール及び炭素数2〜20の多価アルコールにAOを付加したポリエーテルポリオール、最も好ましいのは炭素数2〜20の多価アルコールにAOを付加したポリエーテルポリオールである。
活性水素含有化合物の価数mは、機械強度の観点から、通常2〜20であり、好ましくは2〜8、更に好ましくは2〜4、最も好ましくは2である。
一般式(1)におけるaは1以上の整数を表し、bは0以上の整数を表し、かつ、2≦a+b≦d−2を満たし、dは前記芳香族ポリカルボン酸のカルボキシル基を含む全ての置換基を水素原子に置換した場合の芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子の数、即ち芳香環上で置換可能な部位の数を表す。例えば、芳香環が炭素原子6個から構成されるベンゼン環の場合、dは6であり、a+bは2〜4の値を取り得、芳香環が炭素原子10個から構成されるナフタレン環の場合、dは8であり、a+bは2〜6の値を取り得る。芳香環が単環の芳香環の場合、機械強度の観点から、a+bは2又は3が好ましい。また、機械強度の観点から、bはaの1/2以下であることが好ましく、特に好ましいのは0である。
一般式(1)におけるcは、1≦c≦mを満たす整数を表し、機械強度の観点から、好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜4、最も好ましくは2である。
一般式(1)におけるXは、2〜20価の活性水素含有化合物から1個の活性水素を除いた残基を表し、複数のXはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
を構成するために用いられる活性水素含有化合物としては、上述のXで示した活性水素含有化合物と同様の物が挙げられ、XとXはそれぞれ同一でも異なっていてもよいが、機械強度及び耐洗濯性の観点から、Xと少なくとも1つのXとは異なる基であることが好ましい。
また、Xの価数は機械強度の観点から、通常2〜20であり、好ましくは2〜8、更に好ましくは2〜4、最も好ましくは2である。
尚、後述のYを構成するために用いる3価以上のポリカルボン酸に前記活性水素含有化合物を反応させることによりX及びXを化合物(H1)に導入することができるが、X及びXが特に炭素数2〜4のジオール又は繰り返し単位の炭素数が2〜4のポリエーテルポリオールの場合、ポリカルボン酸のカルボキシル基に前記炭素数2〜4のAOを付加することによっても同等の化合物を得ることができる。
一般式(1)におけるYは、3価以上の芳香族ポリカルボン酸からすべてのカルボキシル基を除いた残基を表す。Yの芳香環は炭素原子から構成され、その炭素原子にはカルボキシル基以外の置換基及び/又はハロゲン原子が結合していてもよいが、少なくとも一つの炭素原子は置換基が結合しておらず水素原子と結合している必要がある。
カルボキシル基以外の置換基とは、アルキル基、ビニル基、アリル基、シクロアルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、チオール基、アリール基及びシアノ基等が挙げられる。
を構成するために用いられる3価以上の芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数9〜30の芳香族ポリカルボン酸、例えばトリメリット酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、トリメシン酸、ヘミリット酸、1,2,4−、1,3,6−又は2,3,6−ナフタレントリカルボン酸及び2,3,6−アントラセントリカルボン酸等のトリカルボン酸;ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’−オキシビスフタル酸、ジフェニルメタンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸及び4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビスフタル酸等のテトラカルボン酸;等が挙げられる。芳香族ポリカルボン酸は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、化合物(H1)の製造に当たっては、これらのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)及び酸ハライド(酸のクロライド等)]を用いることもできる。
これらの芳香族ポリカルボン酸の内、機械強度の観点から、前記芳香環を構成し置換基が結合していない炭素原子に隣接しかつ芳香環を形成する2個の炭素原子それぞれにカルボキシル基が結合した構造を有するものが好ましく、更に好ましいのは、前記カルボキシル基が結合した炭素原子に隣接する炭素原子の少なくとも一方に更に1個のカルボキシル基が結合した構造を有するものである。
例えば、芳香族ポリカルボン酸の芳香環がベンゼン環の場合、1位と3位にカルボキシル基が結合した構造を有するものが好ましく、更に好ましいのは前記カルボキシル基が結合したベンゼン環の4位及び/又は6位に更にカルボキシル基が結合した構造を有するものである。
機械強度の観点から、Yを構成するために用いる芳香族ポリカルボン酸として特に好ましいのは単環式化合物であり、最も好ましいのはトリメリット酸及びピロメリット酸である。
同様に、本発明の衛生材料用ウレタンフィルムを形成するウレタン樹脂として一般式(2)であらわされる化合物(H2)を高分子ジオール(A)、ジイソシアネート(B)、鎖伸長剤(C)と共に用いたウレタン樹脂(U2)を用いることで、風合い、透湿性を維持して機械強度と防漏性に優れるウレタンフィルムを得ることができる。
化合物(H2)にXを導入するための活性水素含有化合物として、ウレタンフィルムの機械強度の観点から好ましいのは、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物及びこれらのAO付加物であり、更に好ましいのは、炭素数2〜20の多価アルコール、炭素数2〜20の多価アルコールにAOを付加したポリエーテルポリオール、炭素数2〜20の脂肪族ポリアミン及び多価のチオール化合物、特に好ましいのは炭素数2〜20の多価アルコール及び炭素数2〜20の多価アルコールにAOを付加したポリエーテルポリオール、最も好ましいのは炭素数2〜20の多価アルコールにAOを付加したポリエーテルポリオールである。
活性水素含有化合物の価数nは、機械強度の観点から、通常2〜20であり、好ましくは2〜8、更に好ましくは2〜4、最も好ましくは2である。
一般式(2)におけるeは1以上の整数を表し、fは0以上の整数を表し、かつ、2≦e+f≦g−2を満たし、gは前記芳香族ポリカルボン酸のカルボキシル基を含む全ての置換基を水素原子に置換した場合の芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子の数、即ち芳香環上で置換可能な部位の数を表す。例えば、芳香環が炭素原子6個から構成されるベンゼン環の場合、gは6であり、e+fは2〜4の値を取り得、芳香環が炭素原子10個から構成されるナフタレン環の場合、gは8であり、e+fは2〜6の値を取り得る。芳香環が単環の芳香環の場合、機械強度の観点から、e+fは2又は3が好ましい。また、機械強度の観点から、fはeの1/2以下であることが好ましく、特に好ましいのは0である。
一般式(2)におけるgは、1≦g≦nを満たす整数を表し、機械強度の観点から、好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜4、最も好ましくは2である。
一般式(2)におけるXは、2〜20価の活性水素含有化合物から1個の活性水素を除いた残基を表し、複数のXはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
を構成するために用いられる活性水素含有化合物としては、上述のXで示した活性水素含有化合物と同様の物が挙げられ、XとXはそれぞれ同一でも異なっていてもよいが、機械強度の観点から、Xと少なくとも1つのXとは異なる基であることが好ましい。
また、Xの価数は機械強度の観点から、通常2〜20であり、好ましくは2〜8、更に好ましくは2〜4、最も好ましくは2である。
尚、後述のYを構成するために用いる3価以上のポリカルボン酸に前記活性水素含有化合物を反応させることによりX及びXを化合物(H2)に導入することができるが、X及びXが特に炭素数2〜4のジオール又は繰り返し単位の炭素数が2〜4のポリエーテルポリオールの場合、ポリカルボン酸のカルボキシル基に前記炭素数2〜4のAOを付加することによっても同等の化合物を得ることができる。
一般式(2)におけるYは、3価以上の芳香族ポリカルボン酸からすべてのカルボキシル基を除いた残基を表す。Yの芳香環は炭素原子から構成され、その炭素原子にはカルボキシル基以外の置換基及び/又はハロゲン原子が結合していてもよいが、少なくとも一つの炭素原子は置換基が結合しておらず水素原子と結合している必要がある。
カルボキシル基以外の置換基とは、アルキル基、ビニル基、アリル基、シクロアルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、チオール基、アリール基及びシアノ基等が挙げられる。
を構成するために用いられる3価以上の芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数9〜30の芳香族ポリカルボン酸、例えばトリメリット酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、トリメシン酸、ヘミリット酸、1,2,4−、1,3,6−又は2,3,6−ナフタレントリカルボン酸及び2,3,6−アントラセントリカルボン酸等のトリカルボン酸;ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’−オキシビスフタル酸、ジフェニルメタンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸及び4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビスフタル酸等のテトラカルボン酸;等が挙げられる。芳香族ポリカルボン酸は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、化合物(H2)の製造に当たっては、これらのエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル及びイソプロピルエステル等)及び酸ハライド(酸のクロライド等)]を用いることもできる。
これらの芳香族ポリカルボン酸の内、機械強度の観点から、前記芳香環を構成し置換基が結合していない炭素原子に隣接しかつ芳香環を形成する2個の炭素原子それぞれにカルボキシル基が結合した構造を有するものが好ましく、更に好ましいのは、前記カルボキシル基が結合した炭素原子に隣接する炭素原子の少なくとも一方に更に1個のカルボキシル基が結合した構造を有するものである。
例えば、芳香族ポリカルボン酸の芳香環がベンゼン環の場合、1位と3位にカルボキシル基が結合した構造を有するものが好ましく、更に好ましいのは前記カルボキシル基が結合したベンゼン環の4位及び/又は6位に更にカルボキシル基が結合した構造を有するものである。
機械強度の観点から、Yを構成するために用いる芳香族ポリカルボン酸として特に好ましいのは単環式化合物であり、最も好ましいのはトリメリット酸及びピロメリット酸である。
本発明における化合物(H1)の水酸基価は、ウレタンフィルムの機械強度の観点から、0又は70〜500mgKOH/gが好ましく、更に好ましくは80〜400である。化合物(H1)の水酸基価が70mgKOH/g以上ではウレタンフィルムの機械強度が向上する傾向にあり、500mgKOH/g以下ではウレタンフィルムの耐水性が良好である。
一方、化合物(H2)の場合の水酸基価は、好ましくは70〜500mgKOH/g、更に好ましくは75〜350mgKOH/gである。化合物(H2)の水酸基価が70mgKOH/g未満ではウレタンフィルムの機械強度が低下する傾向にあり、500mgKOH/gを超えるとウレタンフィルムの耐水性が低下するおそれがある。
化合物(H1)におけるYの濃度は、化合物(H1)1g中の残基Yのミリモル数を意味し、ウレタンフィルムの機械強度の観点から、好ましくは1.0〜6.0mmol/g、更に好ましくは1.1〜3.5mmol/gである。Yの濃度が1.0mmol/g以上ではウレタンフィルムの機械強度が向上である傾向にあり、6.0mmol/g以下ではウレタンフィルムが固くならず、得られるバックシートの風合いが良好である。
一方、化合物(H2)におけるYの濃度は、化合物(H2)1g中の残基Yのミリモル数を意味し、ウレタンフィルムの機械強度の観点から、好ましくは1.0〜6.0mmol/g、更に好ましくは1.1〜3.5mmol/gである。Yの濃度が1.0mmol/g以上ではウレタンフィルムの機械強度が向上する傾向にあり、6.0mmol/g以下ではウレタンフィルムが固くならず、得られるバックシートの風合いが良好である。
化合物(H1)のカルボニル基濃度は、化合物(H1)1g中のカルボニル基のミリモル数を意味し、ウレタンフィルムの機械強度の観点から、好ましくは3.0〜20mmol/g、更に好ましくは3.3〜11mmol/gである。カルボニル基濃度が3.0mmol/g以上ではウレタンフィルムの機械強度が向上する傾向にあり、カルボニル基濃度が20mmol/g以下ではウレタンフィルムが硬くならず、風合いが良好である。
一方、化合物(H2)のカルボニル基濃度は、化合物(H2)1g中のカルボニル基のミリモル数を意味し、ウレタンフィルムの機械強度の観点から、好ましくは3.0〜20mmol/g、更に好ましくは3.3〜11mmol/gである。カルボニル基濃度が3.0mmol/g以上ではウレタンフィルムの機械強度が向上する傾向にあり、カルボニル基濃度が20mmol/g以下ではウレタンフィルムが硬くならず、風合いが良好である。
化合物(H1)のモル平均官能基数は、ウレタンフィルムの機械強度の観点から、0〜8が好ましく、更に好ましくは2〜6、特に好ましくは2〜4である。
一方、化合物(H2)のモル平均官能基数は、ウレタンフィルムの機械強度の観点から、1〜4が好ましく、更に好ましくは2〜3、特に好ましくは2である。
ウレタン樹脂(U2)の骨格に組み込まれる少なくとも1つの活性水素を有する化合物(H2)は、一般式(2)におけるX、X及びYの内の少なくとも1種が活性水素を有する化合物である。更に詳しくは、少なくとも、Xの価数nとgがn>gを満たすか、Yがアミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアミノ基及びチオール基等の活性水素を有する置換基で置換されているか、Xを構成する活性水素含有化合物が2価以上であることにより化合物(H2)は少なくとも1つの活性水素を有する。
本発明のウレタンフィルム(F1)において、化合物(H1)の含有量の好ましい範囲は、ウレタン樹脂組成物(U11)の重量に対して0.01〜5重量%であり、さらに好ましい範囲は0.03〜3重量%である。0.01重量%以上の場合は、ウレタンフィルム(F1)の機械強度向上の効果があり、5重量%以下の場合はウレタンフィルム(F1)の透湿性能が向上する。
また、本発明のウレタンフィルム(F2)において、化合物(H2)の含有量の好ましい範囲は、ウレタン樹脂(U2)の重量に対して0.01〜5重量%であり、さらに好ましい範囲は0.03〜3%である。0.01重量%以上の場合は、ウレタンフィルム(F2)の機械強度向上の効果があり、5%以下の場合はウレタンフィルム(F2)の透湿性能が向上する。
本発明のウレタン樹脂組成物(U11)およびウレタン樹脂(U2)の重量平均分子量(Mw)は、機械強度の観点から、好ましくは50,000〜1,000,000、更に好ましくは100,000〜500,000である。
尚、本発明におけるポリウレタン樹脂のMwは、ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記)を溶媒として用いポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される。サンプル濃度は0.25wt%、カラム固定相はTSKgel SuperH2000、TSKgel SuperH3000、TSKgel SuperH4000(いずれも東ソー株式会社製)を各1本連結したもの、カラム温度は40℃とすればよい。
本発明に記載するウレタン樹脂の製造方法は特に限定されず、公知の方法等で製造できる。例えば、ポリオキシエチレン鎖を有する高分子ジオール(A)、鎖伸長剤(C)、ジイソシアネート(B)並びに必要により有機溶剤及び添加剤を一括して仕込んで反応させてもよいし、鎖伸長剤(C)とジイソシアネート(B)とを反応させてイソシアネート基末端のプレポリマーを得た後、鎖伸長剤により伸長反応を行うこともできる。
上記ウレタンフィルム(F1)または(F2)はフィルム同士のブロッキングを抑制する為、例えば、湿式シリカ、乾式シリカ、炭酸カルシウム等の無機微粒子ブロッキング防止剤やPMMA、ポリエチレン、ポリアミド、ポリスチレン、セルロースパウダー等の有機微粒子などのブロッキング防止剤があり効果が発現するのであれば任意に選択する事が可能であるが、ブロッキングを抑制する性能からシリカ粒子(S)が好ましい。また、シリカ粒子(S)の含有量としては、ウレタンフィルムを形成するウレタン樹脂組成物(U11)もしくはウレタン樹脂(U2)の重量に対して2〜20重量%が好ましい。更に好ましくは5〜15重量%であり、最も好ましくは7〜12重量%である。シリカ粒子が2重量%以上の場合は、ウレタンフィルムが十分な耐ブロッキング性能を有しており、取扱が容易である。一方、20重量%以下ではウレタンフィルムの機械強度および透湿性が低下しない。シリカ粒子の平均一次粒子径としては、5〜20μmが好ましく、更に好ましいのは7〜15μmである。5μm以上では十分な耐ブロッキング性能が得られ、20μm以下ではウレタンフィルムの風合いが悪化しない。
シリカ粒子は、ウレタンフィルムの製造時に添加しても良いし、ウレタン樹脂組成物(U11)およびウレタン樹脂(U2)製造時の任意の過程で添加しても構わない。
本発明に記載のウレタンフィルムは、ブロッキング防止剤の他に必要により顔料、安定剤及びその他の添加剤を添加して使用することができる。ウレタンフィルムに含有される顔料としては特に限定されず、公知の有機顔料及び/又は無機顔料を使用することができ、ポリウレタン樹脂に対して、通常0〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%配合する。有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、銅フタロシアニン系顔料及びキナクリドン系顔料等が挙げられ、無機系顔料としては例えばクロム酸塩、フェロシアン化合物、金属酸化物、硫化セレン化合物、金属塩(硫酸塩、珪酸塩、炭酸塩、燐酸塩等)、金属粉末及びカーボンブラック等が挙げられる。
ウレタンフィルムに含有される安定剤としては特に限定されず公知の酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤を使用することができ、ウレタンフィルムに対して、通常0〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%配合される。
また、酸化防止剤としては、フェノール系[2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール及びブチル化ヒドロキシアニソール等];ビスフェノール系[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等];リン系[トリフェニルフォスファイト及びジフェニルイソデシルフォスファイト等]等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系[2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン及び2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等];ベンゾトリアゾール系[2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等];サリチル酸系[フェニルサリシレート等];ヒンダードアミン系[ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等]等が挙げられる。その他の添加剤としては、融着防止剤及び難燃剤等が挙げられる。
顔料、安定剤及びその他の添加剤は、ポリウレタン樹脂組成物(U11)およびウレタン樹脂(U2)の製造時の任意の段階で添加することでき、ウレタンフィルム(F1)または(F2)の製造時の任意の段階で添加してもよい。
本発明の衛生材料用ウレタンフィルム(F1)または(F2)の製造方法は、特に限定されないが、例えば以下の方法が挙げられる。
・ 本発明におけるポリウレタン樹脂組成物(U11)又はポリウレタン樹脂(U2)を押出機中で溶融し、Tダイに押し出してフィルム化する方法(Tダイ法)
(2)本発明におけるポリウレタン樹脂組成物(U11)又はポリウレタン樹脂(U2)を溶媒に溶解し、得られた溶液を離型紙上に塗工し、乾燥することでフィルム化する方法(乾式加工法)
さらに詳しくは、ポリウレタン樹脂組成物(U11)またはウレタン樹脂(U2)に顔料、安定剤およびその他の添加剤を含有する塗工液を調製し、これをナイフコータ、パイプコータ、バーコータ等を用いて離型紙上に塗工した後、100〜160℃程度で30秒〜5分間程度、エアーオーブン等の乾燥機で乾燥させることでウレタンフィルム(F1)または(F2)を形成させる。該ウレタンフィルムの厚みは、塗工液を塗布する際、コータのスリットのクリアランスの調整や、塗布、乾燥を繰り返すことで調整される。ウレタンフィルム(F2)も(F1)と同様にして製造される。
上記の製造方法のうち、加工に必要な設備の汎用性の観点から(2)の方法が好ましい。
本発明の衛生材料用ウレタンフィルム(F1)及び衛生材料用ウレタンフィルム(F2)を使用したバックシートの作成方法としては、ウレタンフィルム(F1)又は(F2))の上にホットメルト接着剤をスプレー塗布し、その上にPP製不織布を貼りつけて衛生材料用バックシートを作成する。
衛生材料用ウレタンフィルム(F1)又は(F2)を使用したバックシートは、例えば、生理用ナプキン、尿取りライナー、産褥ショーツ、母乳パッド、汗脇パッド、紙おむつ、ペットシート、病院用ガウン及び手術用白衣等で例示される吸収性物品として使用される。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下において部は重量部を表す。
実施例1 [ウレタン樹脂組成物(U11−1)の製造]
撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製オートクレーブに、プロピレングリコールのPO/EOブロック付加物(三洋化成工業株式会社製「サンニックスPL−910」;Mn900、水酸基価124.7)900部、無水トリメリット酸384部及びトリエチルアミン404部を仕込み、窒素雰囲気下、0.20MPa、80±5℃で2時間反応させ酸無水物基部分のハーフエステル化を行い、プロピレングリコールのPO/EOブロック付加物1モルに無水トリメリット酸が2モル反応したエステル化物を得た。続いてベンジルクロリド508部を入れ、70±5℃で、2時間反応させた。その後、分液を行い、前記エステル化物のカルボキシル基をベンジルオキシカルボニル基とした化合物(H1−1)を得た。
その後、表1、実施例1に示す処方に従って、ポリオキシエチレン鎖を有する高分子ジオール(A)[CARBOWAX4000(Dow社製)、数平均分子量4000、水酸基価28mgKOH/g]、鎖伸長剤(C)、ジイソシアネート(B)及び有機溶剤を反応容器に仕込み、乾燥窒素雰囲気下、70℃で12時間反応させて、その後、反応停止剤(D)を仕込み、1時間末端停止反応を行うことでポリウレタン樹脂(U1−1)の溶液を得た。最後に予め合成した(H1−1)を表1に記載の部数にしたがい(U1−1)の溶液に配合し、ウレタン樹脂組成物(U11−1)を得た。
表1に示した処方の数字は重量部数を示す。
実施例2 [ウレタン樹脂(U11−2)の製造]
撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製オートクレーブに、プロピレングリコールのPO/EOブロック付加物(三洋化成工業株式会社製「サンニックスPL−910」;Mn900、水酸基価124.7)900部、無水トリメリット酸384部及びアルカリ触媒(N−エチルモルホリン)1.0部を仕込み、窒素雰囲気下、0.20MPa、130±10℃で5時間反応させ酸無水物基部分のハーフエステル化を行い、プロピレングリコールのPO/EOブロック付加物1モルに無水トリメリット酸が2モル反応したエステル化合物を得た。続いてEO198部を100±10℃で、圧力が0.50MPa以下となるよう制御しながら、5時間かけて滴下した後、100±10℃で1時間熟成して、前記エステル化合物のカルボキシル基にEOが付加した化合物(H1−2)を得た。最後に(H1−2)を表1、実施例2に記載の部数にしたがい上記(U1−1)の溶液に配合し、ウレタン樹脂組成物(U11−2)を得た。
実施例3 [ウレタン樹脂(U2−1)の製造]
撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製オートクレーブに、プロピレングリコールのPO/EOブロック付加物(三洋化成工業株式会社製「サンニックスPL−910」;Mn900、水酸基価124.7)900部、無水トリメリット酸384部及びアルカリ触媒(N−エチルモルホリン)1.0部を仕込み、窒素雰囲気下、0.20MPa、130±10℃で5時間反応させ酸無水物基部分のハーフエステル化を行い、プロピレングリコールのPO/EOブロック付加物1モルに無水トリメリット酸が2モル反応したエステル化合物を得た。続いてEO396部を100±10℃で、圧力が0.50MPa以下となるよう制御しながら、5時間かけて滴下した後、100±10℃で1時間熟成して、前記エステル化合物のカルボキシル基にEOが付加した化合物(H2−1)を得た。その後、表1、実施例3に示す処方に従って、ポリオキシエチレン鎖を有する高分子ジオール(A)、鎖伸長剤(C)、ジイソシアネート(B)、化合物(H2−1)及び有機溶剤を反応容器に仕込み、乾燥窒素雰囲気下、70℃で12時間反応させて、その後、反応停止剤(D)を仕込み、1時間末端停止反応を行うことでポリウレタン樹脂(U2−1)の溶液を得た。
比較例1[ウレタン樹脂(U’11−1)の製造]
化合物(H1)を添加しない以外は実施例1と同様にしてウレタン樹脂(U’11−1)を得た。
比較例2[ウレタン樹脂(U’11−2)の製造]
プロピレングリコールのPO/EOブロック付加物900部をポリオキシプロピレントリオール(三洋化成工業株式会社製「サンニックスGP−3000」;Mn3200、水酸基価52.6)3200部に、無水トリメリット酸384部を無水フタル酸444部に、EOの仕込み量を149部に変更して合成した(H’1−1)を使用する以外は実施例1と同様にしてウレタン樹脂組成物(U’11−2)を得た。
比較例3[ウレタン樹脂(U2’−1)の製造]
無水トリメリット酸384.0部を無水フタル酸296部に、EOの仕込み量を99.0部に変更して合成した(H’2−1)を使用する以外は実施例3と同様にしてウレタン樹脂(U2’−1)を得た。
実施例1〜3および比較例1〜4
本発明の衛生材料用ウレタンフィルム(F1-1)、(F1-2)、(F2-1)および比較例として用いるウレタンフィルム(F’1−1)、(F’1−2)、(F’2−1)の製造方法およびそれらを用いた評価方法について以下に詳細を説明する。
評価結果を表2に示した。
[1]機械強度の測定方法
実施例1〜3および比較例1〜3で得られたウレタン樹脂溶液を、離型処理したガラス板上に0.7mmの厚みに塗布し、70℃の循風乾燥機で3時間乾燥した後、ガラス板から剥がすことにより得られた厚さが約0.2mmのウレタンフィルム(F1-1)、(F1-2)、(F2-1)、(F’1−1)、(F’1−2)、(F’2−1)と市販のPE(ポリエチレン)製多孔質膜(膜厚20μm、透気度700秒/100cc、平均細孔半径(水銀圧入法)0.04μm)を準備した。準備した引張試験用フィルムを温度25℃、湿度65%RHに調整した室内に1日間静置した後、JIS K 6251に従い、100%応力および引張強度を測定した。
[2]透湿性の評価方法
上記ウレタン樹脂溶液を離型紙上に35μmの厚みに塗布し、120℃の循風乾燥機で5分間乾燥した後、離型紙から剥がすことにより得られた厚さが約10μmの透湿度試験用ウレタン樹脂フィルムと上記市販のPE(ポリエチレン)製多孔質膜を準備した。
準備したフィルムサンプルについて、JIS L−1099塩化カルシウム法(A−1)に基づいて透湿度を測定した。
[3]風合いの評価方法
上記透湿度測定用フィルムと同様にして作製したフィルムの上に、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)系ホットメルト接着剤を目付5g/mとなるように点状に散布した後、目付量20g/mのポリプロピレンスパンボンド不織布とを加圧ロールによって圧着し、貼り合せた後、離型紙を剥離させ風合い評価用のサンプルを得た。風合い評価は健康な成人20人の手による官能評価で行い、その平均値から下記の基準で評価した。
1:非常に柔らかい
2:柔らかい
3:やや硬い
4:硬い
[4]防漏性の評価方法
風合い評価用のシート作成手順と同様にバックシートを作成し、透湿性フィルム側を径3 c m のシリンダー端部にシリコーンゴムパッキン付リングで固定し、シート通気面が径3 c m とした。シリンダーに人工尿を3 5 c m の高さまで入れ、24時間後の不織布側の触感で以下の評価基準に従って防漏性を評価した。なお、用いた人工尿は、尿素1 . 9 4 % 、塩化ナトリウム0 . 7 9 5 % 、硫酸マグネシウム0 . 1 1 0 % 、塩化カルシウム0 . 0 6 2 % 、硫酸カリウム0 . 1 9 7 % 、赤色2 号( 染料) 0 . 0 1 0 % 、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルで表面張力を4 5 d y n e / c m に調整した。
○:水漏れなし
×:水漏れあり
本発明の衛生材料用ウレタンフィルムは、透湿性、風合い、機械強度に優れる事から、紙おむつ(子供用紙おむつおよび大人用紙おむつ)用のバックシートとして使用するのに好適である。また、その他の衛生材料(例えば、生理用ナプキン、失禁用パッド、母乳パッド、手術用アンダーパッド、ペットシート等)にも好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. ポリオキシエチレン鎖を有する高分子ジオール(A)、ジイソシアネート(B)、及び鎖伸長剤(C)を必須構成単量体とするポリウレタン樹脂(U1)と下記の一般式(1)で表される化合物(H1)を含有する衛生材料用ウレタンフィルム用ポリウレタン樹脂組成物(U11)。
    [一般式(1)中、X1はm価の活性水素含有化合物からc個の活性水素を除いた残基を表し;cは1≦c≦mを満たす整数を表し;mは2〜20の整数を表し;X2は活性水素含有化合物から1個の活性水素を除いた残基を表し、複数のX2はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、X2とX1はそれぞれ同一でも異なっていてもよく;Y1は3価以上の芳香族ポリカルボン酸から全てのカルボキシル基を除いた残基を表し、Y1の芳香環は炭素原子から構成され、その炭素原子にはカルボキシル基以外の置換基及び/又はハロゲン原子が結合していてもよいが少なくとも一つの炭素原子は置換基が結合しておらず;aは1以上の整数を表し、bは0以上の整数を表し、かつ、2≦a+b≦d−2を満たし;dは前記芳香族ポリカルボン酸のカルボキシル基を含む全ての置換基を水素原子に置換した場合の芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子の数、即ち芳香環上で置換可能な部位の数を表す。]
  2. オキシエチレン基含量がポリウレタン樹脂組成物(U11)の重量に対して20〜60重量%である請求項1に記載のポリウレタン樹脂組成物(U11)。
  3. 高分子ジオール(A)の水酸基価が11〜224mgKOH/gである請求項1又は2に記載のポリウレタン樹脂組成物(U11)。
  4. 鎖伸長剤(C)がエチレングリコールである請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂組成物(U11)。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の衛生材料用ウレタンフィルム用ポリウレタン樹脂組成物(U11)を含有する衛生材料用ウレタンフィルム(F1)。
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