JP5260815B2 - 組換えアデノウイルスおよびアデノウイルスライブラリーの調製 - Google Patents

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Description

本発明は、組換えアデノウイルスを調製するための組成物および方法に関する。本発明により製造されるアデノウイルスは、in vitro、ex vivoもしくはin vivoまたは機能的ゲノム学において、遺伝子を細胞中に転移させ、および/または細胞中で発現させるために用いることができる。特に、本発明はアデノウイルスライブラリーを製造するのに有効な方法およびそのライブラリーの機能的ゲノム学における使用に関する。本発明はまた、これらのアデノウイルスを構築するのに用いるプラスミド、これらのプラスミドを保有する細胞、これらのプラスミド、細胞および/またはアデノウイルスライブラリーを含むキットに関する。
アデノウイルスは、遺伝子を細胞中に転移させ、および/または細胞中で発現させるのに有利なある種の特徴を有する。特にそれらは比較的広い宿主スペクトルを有し、静止期の細胞に感染することが可能であり、実質的にクローニングが可能な一方で感染した細胞のゲノム中に組み込まれない。さらに、アデノウイルスは今日までヒトについては重大な疾病と関連がなく、このため、検討対象の遺伝子を、in vitroまたはin vivoで、様々なヒトの組織、例えば、筋肉(Ragot他、Nature 361(1993)647)、肝臓(Jaffe他、Nature genetics 1(1992)372)、神経系(Akli他、Nature genetics 3(1993)224)、腫瘍、平滑筋等に転移させるのに用いられてきた。これらの同じ性質によって、アデノウイルスベクターは、ゲノム学から得られた知見を利用する選択手段となっている。
機能的ゲノム学は、様々な生物のゲノムおよびゲノムから得られた知見を、それを機能として発現させる目的で利用することに関する科学の領域として理解されている。この特徴から見ると、外来性の配列を運ぶアデノウイルスベクターは、様々な実験モデルにおいて、その配列の機能を決定するのに用いることができる。特に、アデノウイルスベクターは治療標的(医薬産業における意味であり、または医薬産業において理解される意味)をin vitroの細胞モデルまたは動物生体内(in vivo)において研究するのに用いることができる。この配列が判明し特徴付けされると、アデノウイルスベクターを、この標的を機能的に有効化するために用いることができる。より広く言えば、機能的ゲノム学と称される分野において、アデノウイルス遺伝子を転移させるベクターは、真核生物の実験モデルに関し、予めその配列の性質や機能について何らかの情報を持っていなくても、その核酸配列の機能を同定する(例えば、多数の配列を全体として研究しなければならないような状況が含まれる)ための強力な道具となる。
しかし、アデノウイルスの産業および治療への利用、並びに機能的ゲノム学への利用は、特に、それらの組換えウイルスを作成する現在の方法により未だ限定されたものとなっている。特に、現在利用されている方法では、異種核酸を含むアデノウイルスの集団を単純かつ迅速に、特に多数の異種核酸を研究しなければならない場合(機能的ゲノム学ではこうしたケースがある)にそれらをクローンとして作成することができない。本発明は、具体的には、これらの問題に解決策を提供するものである。したがって、本発明は組換えアデノウイルスを構築する新規な道具および方法を記載する。特に本発明は、遺伝子コンストラクト(プラスミド)、細胞およびそれにより高品質のアデノウイルスの迅速な製造を可能とするプロトコールを記載する。より特定して言えば、本発明は、多数の異種核酸を含むアデノウイルスライブラリー作成を可能にする。
本発明の一態様は、核酸またはタンパク質の生物学的機能を決定するために組換えアデノウイルスを用いることにある。
本発明の別の態様は、機能および/または構造が未知の核酸を分析する目的で発現ライブラリーを構築するためにアデノウイルスを使用することにある。
本発明はさらにアデノウイルス発現ライブラリーに関する。これは任意のDNAライブラリーに由来する核酸インサートを含むアデノウイルスの集団である。
本発明はまた、これらのアデノウイルスを製造するための方法および道具、特に、有利にも、核酸ライブラリーから同時に組換えアデノウイルスを構築する方法および道具に関する。
アデノウイルスは、約36kbのサイズを有する線状の2本鎖DNAウイルスである。そのゲノムは、特に、逆方向反復配列(ITR)を各端に有し、カプシド形成配列(Psi)、初期遺伝子および後期遺伝子を含む。主要な初期遺伝子はE1、E2、E3およびE4領域に含まれる。これらの中で、E1領域に含まれる遺伝子はウイルスの増殖のために必要である。また、E4領域もアデノウイルスゲノムの複製調節において重要である。主要な後期遺伝子はL1からL5領域に含まれている。アデノウイルスAd5のゲノムは、完全に配列が決定されており、データベースでの利用が可能である(特にGenbank M73260参照)。同様に、ヒトまたは他の動物のアデノウイルスゲノム(Ad2、Ad7、Ad12、CAV−2等)が全体ではないにせよ、その一部が配列決定されている。
さらに、上で指摘した通り、アデノウイルスは、遺伝子をin vivoで転移させるのに用いられてきた。この目的のために、種々の遺伝子(β−gal、OTC、α−1AT、部位カイン、酵素、成長因子等)を組み込んだ様々なアデノウイルス由来のベクターが調製されてきた。これらのコンストラクトのいずれにおいても、アデノウイルスのゲノムは、自律的な複製および/または増殖ができないように、遺伝子転移により変更されている。したがって、従来技術に記載されているコンストラクトは、E1、E2、E3、E4、pIX、IVa2等から選択される1つまたは複数の領域が削除されたアデノウイルスである。具体的には、例えば、E1領域を欠失したもの、E1およびE3領域を欠失したもの、E1およびE4領域を欠失したもの、E1、E4およびE3領域を欠失したもの、あるいは、アデノウイルスのコード領域のすべてを欠失したもの(ガットレス(gutless)ベクター)がある。こうしたベクターは一般に細胞に転移させるか研究しようとする異種核酸を含む。この核酸は、削除領域を置換したりあるいはその中に組み込まれることによって組換えゲノムの様々な部位に挿入される。アデノウイルスベクターの例は、特にLevrero他、Gene 101(1991)195;Gosh−Choudhury他、Gene 50(1986)161、WO94/12649、WO94/28152、WO94/28938、WO95/34671、WO96/10088、WO95/02697、WO95/27071等に記載されており、これらの刊行物は参照により本願に組み込まれる。
組換えアデノウイルスは、組換えウイルスのDNAをコンピテントなカプシド形成細胞系にトランスフェクトすることにより製造される。トランスフェクションは、組換えウイルスの全ゲノムを運ぶコンストラクトが利用できる場合は単一トランスフェクションでよいが、より多くの場合、複数のDNA断片の同時トランスフニクションを行う。これは組換えウイルスゲノムの異なる複数の部分を供給する。この場合、プロセスは異なるコンストラクト間での相同的組換えを1つまたは複数ステップ含み、これらのステップをカプシド形成細胞系中で行うことにより、組換えウイルスのDNAを生成する。したがって、これらの方法のいずれかを実施するためには、製造しようとする組換えアデノウイルスのゲノムの全部または一部を運ぶ適当なコンストラクトを入手可能である必要がある。
従来技術は、こうしたコンストラクトをin vitroで調製するための様々な方法を記載している。最も一般的に用いられてきた手法は、ウイルスDNAを分離し、次いで、分子生物学で慣用されている方法(消化、ライゲーション等)を用いて、それをin vitroで変更するものである。次いで、得られたコンストラクトを精製し、カプシド形成細胞系をトランスフェクトするのに用いる。しかし、この手法では、各コンストラクトまたは組換えウイルスのDNAの操作のために、ウイルスのストックを製造しウイルスDNAを精製するステップが必要であり、従って、様々なストックやライブラリーを製造するには適していない。これらの欠点を解決するため、原核生物のプラスミドを用いてウイルスDNAを調製しトランスフェクションに使用できるようにすることが提案されている。特に、Bett他(PNAS 91(1994)8802)は大腸菌中で複製され、変更されたアデノウイルスゲノムを含むプラスミド(プラスミドpBHG10)の構築について記載している。より正確には、このプラスミドは、E1、E3およびPsi領域の削除されたアデノウイルスゲノムを運ぶもので、ITR配列を互いに結合することにより環化され、プラスミド pBR322の一部を含む(これは、アデノウイルスゲノムの188〜1339領域内に挿入されている)。このプラスミドは大腸菌中で複製され検討対象の遺伝子中に挿入操作できるが、依然、問題点がある。すなわち、これを用いてウイルスを製造するためには、特に、連続ITRを線状化し、組換えを行うことが必要となるが、この結果、コンストラクトのせいで、原核細胞プラスミドに由来する領域が組換えアデノウイルスゲノム中に組み込まれてしまう。これと同タイプで同様な問題点のある他のプラスミドが、例えば、Graham(EMBOJ.3(12)(1984)2917)に記載されている。もっと最近では、新しい方法、特に2種のプラスミドの相同的組換えに基づき、酵母人工染色体(YACs、Ketner他、1994)あるいは細菌(Chartier他、1996、Crouzet他、1997、He他、1998)を用いる方法が記載されている。これらの方法は、以前の方法と比べ効率的ではあるが、より複雑である。YAC系は、酵母を培養し操作する必要がある(Ketner他、1994)。大腸菌系は、いくつかの連続するステップ(その中のいくつか、具体的にはエレクトロトランスフォーメーションおよびショ糖選択は重要である)を含む。特に、注意すべきは、これらのいずれのケースでも、感染させるアデノウイルスゲノムを運ぶ最終的なクローナル組換えベクターを選択するために、クローンをスクリーニングする1つまたは複数のステップが必要であるという点である。これらの方法は、治療効果を有する所与の遺伝子を運ぶアデノウイルスのストックの効率的かつクローンとしての製造を可能にするとしても、組換えアデノウイルスを高収率で、特に異なる核酸を組み込んだ多数の組換えアデノウイルスを同時に製造するために用いるにほ満足の行くものではない。
これらのウイルスを製造するために必要な操作は複雑でステップ数が多いため、これらのアデノウイルスベクターを遺伝子の分析および転移に用いる障害となっている。したがって、従来技術では、組換えアデノウイルスゲノムを調製するためにin vitroでの操作および増幅が容易な利用可能な適当なプラスミドが明らかに必要である。また、このようにして製造されたゲノムは、(i)免疫応答を誘導し、(ii)抵抗性タンパク質をコードし、(iii)ウイルスのベクターとしての能力を低減する可能性のあるプラスミドに由来する領域を実質的に含まないことも重要である。さらに、多数の組換えアデノウイルスをクローンとして迅速かつより簡単に生成することを可能にする方法が求められている。
本発明は、特に、これらの問題点の解決を可能とする。すなわち、本発明は、こうした条件に適つた組換えアデノウイルスを製造するための新規な組成物および方法を記載する。特に本発明の組成物および方法は、治療目的または薬学的標的を探索するために用い得る組換えアデノウイルスをクローンとして迅速かつ効率的に、また、高収率で製造することを可能にする。
本発明は、特に、基本的に2種のプラスミド(特に原核生物のプラスミド)を用いるもので、この2種のプラスミドから、宿主細胞(特に原核細胞)中での1回の相同的組換えステップにより、完全なアデノウイルスゲノムを含み、また、切り出しにより容易に組換えアデノウイルスを製造できるプラスミドを生成できる。
したがって、概括的に言えば、本発明の方法は、以下のステップを含む。
第1ステップとして、少なくとも1つの異種核酸を含む第1の切断型(truncated)組換えアデノウイルスゲノムを含む第1のプラスミド(「シャトル」プラスミドと言う)、好ましくは原核生物プラスミドを構築する(クローニングステップ)。この第1の切断型ゲノムは、好ましくは、ITR、異種核酸、アデノウイルス相同性領域、また、適宜、カプシド形成配列を含む。
第2のステップでは、第1のプラスミドを、第2の切断型紙換えアデノウイルスゲノムを含む第2のプラスミド(「親」プラスミドと言う)に接触させる(組換えステップ)。ここで、第2の切断型組換えアデノウイルスゲノムは、第1のゲノムと相補的であり、相同的組換えにより、完全な組換えアデノウイルスゲノムを含む最終プラスミドを製造し得るものである。第2の切断型アデノウイルスゲノムは、好ましくは、少なくとも1つのITR、アデノウイルス相同性領域(第1のゲノム中に存在するのと同一のもの)、およびカプシド形成配列(後者は第1のゲノムに存在しない場合)を含む。この第2の切断型アデノウイルスゲノムは、検討対象とする別の核酸を含むこともできる。
第3ステップでは、完全な組換えアデノウイルスゲノムを、最終プラスミドから切り出してカプシド形成細胞系に導入し、完全な組換えアデノウイルスゲノムを組み込んだ組換えアデノウイルスを製造する(アデノウイルス製造ステップ)。
第4ステップは、必要に応じて行われ、組換えアデノウイルスを用いて以下のものに感染させる。
核酸の性質を分析する目的では、細胞を含む生物学的材料(機能分析ステップ)、
異種核酸によってコードされるタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドを製造する目的では、in vitroまたはex vivoの細胞培養物、
異種核酸によってコードされるタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドをin vivoで製造する目的では、細胞、組織、器官または生物。
このように、本発明によれば、1つのステップ(相同的組換えステップ)で、(完全な)機能性アデノウイルスゲノムを含み、1種または2種以上の酵素で切り出し可能な原核細胞プラスミドを得ることが可能である。この最終プラスミドは、アデノウイルス配列(最低限、ITRおよびカプシド形成配列)を含み検討対象とする異種核酸を含む第1のプラスミド(シャトルプラスミド)を、相補的アデノウイルス配列(最低限、第2のITR配列)を含む第2のプラスミド(親プラスミド)に、これら2種のプラスミドに共通な配列(アデノウイルス相同性配列)を介した相同的組換えイベントにより、組み込むことによって得られる。このコアギュレートを介する相同的組換えは機能性アデノウイルスゲノムをもたらす。
本発明方法の利点の1つは、その単純さにある。つまり、多数のシャトルプラスミドを並行して用いることを可能にする点である。このように、本発明の方法の第1ステップは、核酸ライブラリーをシャトルプラスミド中にクローニングし、これにより最終プラスミドを生成することを含み、この最終プラスミドは、機能的なアデノウイルスゲノムを含み、その構造はそれが含まれるインサートから離れて同一であるという利点を有する。このクローニングステップは、好ましくは、それぞれのクローンを分離して、例えば、マイクロタイトレーションプレートのウエル上にて行われる。さらに、このステップは自動化することもできる。得られたシャトルプラスミドライブラリーは、次いで、ライブラリー中のそれぞれのシャトルプラスミドを親プラスミドと接触させることで、組換えステップに用いられる。この方法によれば、同時並行でそれぞれ異種核酸を含む多数の組換えアデノウイルス(すなわち、アデノウイルス発現ライブラリー)の製造ができる。次いで、このライブラリーを生物材料に対し用いて試験(ステップ4)すれば、探求している生物学的活性を示すクローンの識別ができる。
以下、詳細に説明するように、本発明は、いずれのタイプのアデノウイルスおよび原核細胞についても用いることが可能であり、種々の核酸ライブラリーに基づいて実施できる。
定義
・組換えアデノウイルス:組換えアデノウイルスとは、本発明の意味においては、ゲノムが塩基の削除および/または挿入および/または置換により変更された任意のアデノウイルスを指す。したがって、組換えアデノウイルスは、より特定して言えば、概ね感染性を有し組換えアデノウイルスゲノムを含むアデノウイルス粒子である。ゲノムに加えられた変更によって、組換えウイルスは、複製欠陥性、すなわち、細胞中で自律的な複製および/または増殖ができなくなる場合がある。組換えアデノウイルスは、任意のセロタイプ(血清型)、特にヒト(例えば、Ad5、Ad2、Ad7、Ad12等のようなタイプCアデノウイルス)または動物(例えばCAV−2のようなイヌアデノウイルス)アデノウイルスから調製できる
・アデノウイルスゲノム:「アデノウイルスゲノム」という語は、アデノウイルスもしくはその配列またはそのコピーもしくはレプリカ(複製)に存在するDNA分子を指す。組換えアデノウイルスゲノムは、その配列がアデノウイルスゲノムに対応する配列であるが、1または2以上の変更を含む核酸である。変更は、例えば、削除(例えば、E1、E2、E3、E4等の領域の全部または一部の削除)、挿入(例えば、1つまたは複数の異種核酸の挿入のような)またはコドン使用の変更を含む。
本発明の組成物および方法により生成する組換えアデノウイルスゲノムは、「完全な」または「機能性」ゲノムである、つまり、選択されたカプシド形成細胞系内においてウイルスストックを製造するために、組換えやライゲーションにより他の領域を加える必要がないという点で有利である。したがって、こうした「完全な」ゲノムは、有利には、少なくとも1つのカプシド形成配列および異種核酸を有し、ここで、カプシド形成配列と異種核酸はともにそれぞれの端部がITR配列と隣接(flanked)している。本発明によるプラスミドの他の有利な特徴は、得られた完全な組換えアデノウイルスゲノムが原核生物プラスミド領域によって中断されていないという事実によるものである。この理由のために、製造されたゲノムは、プラスミド領域を含む(このことによる不利益は上述の通りである)ことが実質的にない。しかも、本発明によるプラスミドでは、アデノウイルスゲノムのITRは、連続的ではなく、このため、組換えウイルスを製造するのに直接用い得る完全かつ線状なウイルスゲノムを得ることができる。
組換えアデノウイルスゲノムは、好ましくは、少なくともITR配列およびカプシド形成配列を含む。逆方向反復配列(ITR)はアデノウイルスの複製起点をなす。これは、ウイルスゲノムの端部に位置し、そこから、当業者には知られた慣用の分子生物学的手法を用いて容易に分離することができる。ヒトアデノウイルスのITR配列(特にセロタイプAd2およびAd5のもの)のヌクレオチド配列は文献に記載があり、イヌアデノウイルス(特にCAV1およびCAV2)のそれも同様である。例えば、Ad5アデノウイルスにおいては、左側ITR配列はゲノムのヌクレオチド1から103を含む領域に対応する。
カプシド形成配列(Psi配列とも言う)はウイルスゲノムのカプシド形成に必要である。野生型のアデノウイルスのゲノムでは、これは左側ITRとE1領域との間に位置する。これは、慣用の分子生物学的手法を用いて単離または人工的に合成することができる。ヒトアデノウイルスのカプシド形成配列(特にセロタイプAd2およびAd5のもの)のヌクレオチド配列は文献に記載があり、イヌアデノウイルス(特にCAV1およびCAV2)のそれも同様である。例えば、Ad5アデノウイルスにおいては、機能性カプシド形成配列はゲノムのヌクレオチド194〜358間に存在する。
本発明の1つの好適な実施形態においては、アデノウイルスゲノムはE1領域の全部または一部を欠失している。これはE1領域が、ウイルス複製のために不可欠であり、その不活性化は複製欠陥性、すなわち、遺伝子をin vivoで転移させても、自律的な複製ができないウイルスの形成につながるためである。E1領域その他、ウイルス中の考慮される任意の他の領域は、当業者には知られたいずれかの方法、特に、考慮される遺伝子の全削除、置換、部分的な削除、1つまたは複数の塩基の追加により非機能性にすることができる。こうした変更は、本発明のプラスミドに対し、例えば遺伝子工学の手法を使って簡単に直接的に行うことができる。有利には、生成されたアデノウイルスのゲノムはE1領域の一部、ヌクレオチド454から3328(PvuII/BpIII断片)または382から3446(HinfII−Sau3A断片)を欠失している。
切断型組換えアデノウイルスゲノムとは、アデノウイルスゲノムの一端(ITR)からの端部配列に対応するDNAを指す。2つの切断型組換体ゲノムが、アデノウイルスゲノムの互いに補う部分を有し、相同的組換えによって完全なアデノウイルスゲノムを構成する場合に、これらの組換体ゲノムは相補的であるという。
・異種核酸:「異種核酸」という語は、組換えアデノウイルスゲノムに挿入されその転移、発現および機能の研究が行われる任意の核酸を指す。異種核酸は本質的にはアデノウイルス以外(「異種」)の起源を有する核酸である。例えば、ヒトの細胞、または動物、植物、ウイルス(アデノウイルス以外でベクターとして使われるもの)、原核生物、下等な真核生物、合成または半合成のものが挙げられる。異種核酸のサイズは、それを含む組換えアデノウイルスゲノムが、アデノウイルス粒子内にカプシド形成され得る最大のサイズ(全長で40kb未満)を超えない限りにおいて変更可能である。従って、異種核酸は、アデノウイルス領域が十分に削除されている場合には、30kb以上の長さを有する核酸とすることができる。この点から、異種核酸は、所与のタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドをコードする領域、例えば、cDNA、gDNAまたは合成DNAを含み得る。核酸はまた未知の構造を有するもの、例えば、核酸ライブラリーに属するクローンに由来するものでもよい。さらに、組換えアデノウイルスゲノムは、ゲノムの異なる部位に挿入された複数の異種核酸を含んでもよい。
プラスミドの説明
上に指摘した通り、本発明は、アデノウイルスゲノムの相補的断片を互いに含む2種類の(原核生物の)プラスミド、すなわち、シャトルプラスミドと親プラスミドを必要とする。これらのプラスミドの少なくとも一方は異種核酸(またはこうした核酸のための挿入部位)を含む。この異種核酸は、例えば、遺伝子治療、タンパク質の製造、機能的ゲノムアプローチのために検討対象となる核酸である。有利には、それぞれのプラスミドに含まれる切断型ゲノムそれぞれの端部(ITR配列)は、当該ゲノムには存在しない部位によって隣接され(左側ITRの場合は5’、右側ITRの場合は3’)、これにより、組換え後に完全なゲノムを切り出すことができる。これらのプラスミドは、切断型アデノウイルスゲノムを含んでおり、個別には感染性アデノウイルスゲノムを生成することができない。これらの2種の各プラスミドは、互いに相補的な部分を有しており、同時組込みによって最終プラスミドを生成する。この最終プラスミドは、2つのITRおよび少なくとも1つの制限酵素認識部位(前記ゲノムには存在しないもの)によって隣接されているアデノウイルスゲノムを有する。こられのプラスミドに含まれる組換えアデノウイルスゲノム断片は、それ自体では実質的に感染性を示さない不完全なゲノムである。これは2種のプラスミドの同時組込みがなされた場合にのみ機能性ゲノムを生成するという点で有利である。
これらのプラスミドは、例えば、図1に描かれており、以下の記載により詳細に説明する。これらのプラスミドは、好ましくは原核細胞プラスミドであり、大まかに言えば、プラスミド領域とアデノウイルス領域とを有する。プラスミド領域は、プラスミドの増殖および/または宿主細胞(特に原核宿主細胞)内での選択を可能にする。アデノウイルス領域(切断型ゲノム)は、組換えアデノウイルスゲノムの一部を供与するものであり、この部分は、相補的(親またはシャトル)プラスミドのアデノウイルス領域との組換え後に、完全な組換えアデノウイルスゲノムを再構成する。
原核細胞内での増殖を可能にし、本発明のプラスミドで用いられる領域は、選択された細胞内において機能性を有するものであれば、どのような複製起点を有するものでもよい。P−不和合性(P−incompatibility)グループ(例=pRK290)に属するプラスミドに由来する複製起点でもよい。これは、大腸菌polA株内での増殖が可能である。より一般的には、原核細胞内で増殖するプラスミドに由来する複製起点であればいずれも可能である。このプラスミドは、pBR322(Bolivar他、1977)誘導体、pUC(VieraおよびMessing、1982)誘導体、または同じ不和合性グループに由来する他のプラスミド(例えば、ColE1またはpMB1)の誘導体でもよい。これらのプラスミドはさらに大腸菌内で増殖する他の不和合性グループから選択してもよい。それらは、例えば、A、B、FI、FII、FIII、FIV、H1、H11、I1、I2、J、K、L、N、OF、P、Q、T、U、W、X、Y、Zまたは9つの不和合性グループに属するプラスミドに由来するプラスミドでもよい。大腸菌内では増殖しないが、他の宿主細胞内で増殖する他のプラスミドを用いることもできる。こうした他の宿主細胞の例としては、B.subtilis、Streptomyces、P.putida、P.aeruginosa、Rhizobium meliloti、Agrobacterium tumefacience、Staphylococcus aureus、Streptomyces pristinaespiralis、Enterococcus faeciumまたはClostridium等が挙げられる。好ましくは、大腸菌内で増殖するプラスミドに由来する複製起点のものを用いる。
本発明のプラスミドを保有する原核細胞の選択を可能にする領域は、製品、特に抗生物質への抵抗性を与えるいずれかの遺伝子を含む。例えば、カナマイシン抵抗性(Kan)、アンピシリン抵抗性(Amp)、テトラサイクリン(tet)抵抗性またはスペクチノマイシン抵抗性を示す遺伝子など、分子生物学で広く使用されている(Maniatis他、1989)ものを挙げることができる。プラスミド選択のため、抗生物質に抵抗性を示すマーカーをコードする他の遺伝子を用いてもよい。一般に、遺伝子は、もはや有しない機能(染色体から削除され不活性にされた遺伝子に対応する機能)をプラスミド上の遺伝子とともに再構成して当該機能を細菌に与える。一例としては、遺伝子は、欠損した染色体機能を再構成するトランスファーRNAの遺伝子とすることができる(Somoes他、1991)。
シャトルプラスミドおよび親プラスミドは、好ましくは、それぞれの要素の選択を可能にするために、異なる複製起点および/またはマーカーを有する。
各プラスミドに含まれるアデノウイルスウイルス領域は、本質的には切断型アデノウイルスゲノムの配列に対応する。こうした切断型ゲノムは、プラスミドの両方に含まれており、相同的組換えにより、相補的な、すなわち、完全な(かつ線状の)アデノウイルスゲノムを生成できる。さらに、切断型ゲノムは、各プラスミドに含まれているが、好ましくは、アデノウイルスゲノムには含まれていない1つまたは複数の制限酵素認識部位によって隣接され、組換えによって製造される完全な組換えアデノウイルスゲノムがこれらの部位により隣接されるようにする。
シャトルプラスミドに存在する切断型ゲノム
上に指摘した通り、シャトルプラスミドは、検討対象の核酸を受容し、これを組換えアデノウイルスゲノムに導入するためのものである。
シャトルプラスミドのアデノウイルス領域は、アデノウイルスゲノムの左側領域または右側領域に対応し、その端部(ITR配列)から2種のプラスミドの間で相同的組換えが起こるように選ばれたアデノウイルスの相同性領域までとする。このアデノウイルスは、さらに1つまたは複数の変更を含む。
第1の実施形態では、シャトルプラスミドに含まれる切断型ゲノムは、最終的な組換えアデノウイルスゲノムの左側部分に対応する。この実施形態では、切断型ゲノムは、例えば、左側ITRからpIX(および/またはIva2)タンパク質をコードする領域までに至る配列を、E1領域の全部または一部に置換によって挿入された異種核酸とともに含む。この実施形態では、アデノウイルス相同性領域はpIX(および/またはIva2)タンパク質をコードする領域からなる。
別の実施形態では、シャトルプラスミドに存在する切断型ゲノムは、最終的な組換えアデノウイルスゲノムの右側部分に対応する。この実施形態では、切断型ゲノムは、例えば、右側ITRからpIX(および/またはIva2)タンパク質をコードする領域までに至る配列を、E4またはE3領域の全部または一部に置換によって挿入された異種核酸とともに含む。この実施形態では、アデノウイルス相同性領域はpIX(および/またはIva2)タンパク質をコードする領域からなる。
さらに、本発明の一実施形態においては、相同性領域は変更されたアデノウイルス配列からなる。したがって、この相同性領域は、例えば、遺伝子コードの縮重性を利用してコドンが変更されたアデノウイルス領域からなる。こうした変更はWO99/25861に記載されており、参照により本願に組み込まれる。1つの実施形態では、アデノウイルスの相同性領域は、縮重(degenerate)pIX(および/またはIva2)タンパク質をコードする領域からなる。
アデノウイルス相同性領域は、最終的な組換えアデノウイルスゲノム(組換え後に変更されたもの)の選択された構造によっては、ゲノムの別の領域に対応してもよいことが理解されるであろう。実際、親プラスミドのアデノウイルス領域が、左側ITR領域からE3領域に至るまで延び、アデノウイルス相同性ゾーンを構成することも可能である。より一般的にいえば、アデノウイルス相同性領域は、野生型のいずれかの領域またはシャトルプラスミドと親プラスミドとの間で組換えが起こって最終的な組換えアデノウイルスゲノムを生成するような変更されたアデノウイルスゲノムに対応する領域である。この相同性領域は、本質的には、シャトルプラスミドと親プラスミドとで同一である。これは、使用するコンストラクトのタイプによってアデノウイルスゲノムの異なる部分に対応する。
本発明の一実施形態は、左側ITR領域、カプシド形成配列、異種核酸、および野生型または縮重pIX(および/またはIva2)タンパク質をコードする領域からなるアデノウイルス相同性領域を含む切断型ゲノムを含むシャトルプラスミドにある(例えば、プラスミドpJJ1およびpIG5参照)。
さらに本発明の好ましい実施形態では、切断型アデノウイルスゲノムは、ITRの方向に、アデノウイルスゲノムには存在しない部位(例えば、PacI)によって隣接されている。
親プラスミドに存在しない切断型ゲノム
上に指摘した通り、親プラスミドは、切断型アデノウイルスゲノムを含み、これは、シャトルプラスミドに含まれる切断型ゲノムを組換えによって補完し得る。したがって、その構造は、シャトルプラスミドの構造に依存する。また、親プラスミドはシャトルプラスミドが有するのとは異なる核酸を含んでいてもよい。
したがって、シャトルプラスミドのアデノウイルス領域がアデノウイルスゲノムの左側部分に対応するときは、親プラスミドに存在する切断型ゲノムは、右側部分に対応し、これはITRからアデノウイルス相同性領域に至るまで延びる。反対に、シャトルプラスミドのアデノウイルス領域がアデノウイルスゲノムの右側部分に対応するときは、親プラスミドに存在する切断型ゲノムは、左側部分に対応し、これはITRからアデノウイルス相同性領域に至るまで延びる。
本発明の第1の実施形態においては、親プラスミドに存在する切断型ゲノムは最終的な組換えアデノウイルスゲノムの右側部分に対応する。この実施形態では、切断型ゲノムは、例えば、右側ITRからpIX(および/またはIva2)タンパク質をコードする領域までに至る配列を含む。さらに、ゲノムは、例えば、E4またはE3領域の全部または一部の削除のような遺伝子の変更を含んでもよい。
本発明の別の実施形態においては、親プラスミドに存在する切断型ゲノムは最終的な組換えアデノウイルスゲノムの左側部分に対応する。この実施形態では、切断型ゲノムは、例えば、左側ITRからE4領域に近い配列までに至る配列を含む。さらに、ゲノムは、例えば、E1領域の全部または一部の削除のような遺伝子の変更を含んでもよい。
親プラスミドは、好ましくは、アデノウイルスゲノムの右側部分に対応し非機能性E3領域を含む切断型ゲノムを含む。より好ましくは、非機能性E4領域を含む。さらに好ましくは、E4領域のORF3および/またはORF6リーディングフレームの全部もしくは一部の削除を含む。別の実施形態では、親プラスミドはアデノウイルスゲノムの右側部分に対応し機能性E3およびE4領域を含む切断型ゲノムを含む。
pOSE1、pOSE10−00、pOSE30−00、pOSE17−00およびpOSE37−00(図1および4参照)は、これらのプラスミドの具体例を示すものである。
この実施形態では、シャトルプラスミドは、アデノウイルスゲノムの左側部分に対応しE1領域の全部または一部が削除された切断型ゲノムを含む。
本発明の意味において特に好ましい2種のプラスミドは、プラスミドpOSE17−00およびプラスミドpIG5である。pOSE17−00(親プラスミド)はプラスミドRK2の複製起点を有し、テトラサイクリン抵抗性遺伝子を含み、さらに、Ad5の3520塩基から始まり右側ITRまで延び、PacI部位によって隣接されているアデノウイルスゲノム断片を有する。このゲノム断片は、WO99/25861に記載されているように、非機能性E3領域とpIXおよびIva2が削除された配列を含む。pIG5プラスミド(シャトルプラスミド)は、RK6の複製起点を有し、大腸菌pir株中では増殖ができない。pIG5は、ITR、およびPacI部位が先行したカプシド形成領域、所望の発現カセットおよびpOSE17−00(WO99/25861に記載されているように、pIXおよびIva2が変更された配列)を有する。2種のプラスミドで相同的な領域(すなわち、WO99/25861に記載されているように、pIXおよびIva2が変更された配列)が存在するので、相同的組換えにより、所望のゲノムが再構成される。
本発明の方法は、それぞれゲノムの一部をもたらす2種のプラスミド(一方のプラスミドはPacI部位が先行した左側ITR、およびウイルス性のまたは非ウイルス性の配列のセットを含み、他方のプラスミドはウイルス性のまたは非ウイルス性の配列が先行し、右側ITR、およびこれに続くPacI部位を含み、ウイルス性のまたは非ウイルス性の配列は計画するコンストラクトにより選択され、組換えアデノウイルスベクターは、ウイルス遺伝子の全部または一部が削除されている)から完全な(感染性の)組換えゲノムを生成することを可能とし;ここで、2種のプラスミドは、相同的組換えをなすのに十分で、かつ、相同的組換えイベントを発生可能とするように配列中にオーバーラップを有する共通配列として含む。特に本発明の方法は外来性の配列をE1領域に導入するために提案された方法に匹敵する構成で、適当なプラスミドを用いてE4領域に導入することを可能にする。この場合、組換えが親プラスミド(左側ITRとカプシド形成領域を有し、酵素PacIのための制限酵素認識部位とE4領域近傍の切断型アデノウイルスゲノムが先行している)とシャトルプラスミド(親プラスミドベクターと同一のE4領域に近接した領域――これは組換えイベントに関係する――を有し、検討対象の配列を発現するためにカセット、右側ITRおよび一意な酵素PacI部位が後続している)との間で起こる。
有利な実施形態の1つによれば、製造されるアデノウイルスゲノムは、E3および/またはE4および/またはIVA2領域の全部または一部も欠失している。こうした追加的な削除はベクターの安全性を増し、その能力を拡大する。好ましくは、アデノウイルスゲノムはE4領域(少なくともオープンリーディングフレームORF3およびORF6を含む)の一部を欠失している。アデノウイルスゲノムは、フランス国出願FR9413355(この内容は参照により本願に組み込まれる)に記載されているように複製粒子による汚染の危険を回避するために改変されていてもよい。1つの特定の実施形態によれば、得られる完全な組換えアデノウイルスゲノムは、いわゆるガットレスゲノムである。すなわち、アデノウイルスのいずれのコード領域も欠くゲノムである。この実施形態においては、プラスミドの切断型ゲノムは、一方の側においてはITRおよびカプシド形成領域を他方の側においてはITRを有し、これは相同性領域が異種核酸自身からなるか、各プラスミドに含まれる人工的な配列からなることを可能にする。
この点で、各プラスミドに存在する相同性領域は、一般に、非ウイルス配列であり、これは人工的であっても非人工的でもよいが、相同的組換えを可能にするものである。
組換えゲノムはまた、in vivoで切り出されるカセット(WO97/47757)または変更された遺伝子配列(ファイバーまたはペントンの遺伝子)であって、ウイルス親和性を変更し得るものを含むことができる。さらに、製造されるウイルスの安全性を向上するために、ウイルスのゲノム組織を変更してもよい(WO96/13596)。
上に指摘した通り、組換えアデノウイルスゲノムは、当該ゲノムに存在しない1つまたは複数の制限酵素認識部位によって隣接されていることが有利である。この部位は組換えアデノウイルスゲノムが、プラスミドから簡単かつ効率的に切り出されるようにする。アデノウイルスのゲノム配列は知られておりその情報もアクセス可能であるので、当業者は通常の実験により、このゲノムに存在しない制限酵素認識部位を選択することができる。例としては、PacI、NspVおよびSwaI(Ad5の場合)、SnabI(Ad2の場合)等の部位を挙げることができる。また、アデノウイルスゲノムの配列を変更してユニークな部位を作ることも可能である。したがって、大腸菌中で構築されたアデノウイルス配列において対応する制限酵素認識部位を抑圧、変更または削除すれば、他の酵素を用いることもできる。こうした部位は、アデノウイルスゲノムの末端に直接隣接するものでもよいし、その末端から数塩基対離れていてもよい。
本発明によるプラスミドは、様々な起源のアデノウイルスを用いて構築できる。したがって、構造や性質の異なる様々のアデノウイルスのセロタイプが特徴付けされている。こうしたセロタイプの中では、ヒトのタイプ2またはタイプ5のアデノウイルス(Ad2またはAd5)、または動物起源のアデノウイルス(WO94/26914参照)。本発明の範囲内において好ましい。本発明の範囲内において、利用できるアデノウイルスとしては、イヌ、ウシ、マウス(例:Mavl、Beard他、Virology 75(1990)81)、ヒツジ、ブタ、トリまたはサル(例:SAV)起源のものが挙げられる。動物起源のアデノウイルスは、好ましくは、イヌアデノウイルスであり、より好ましくはCAV2アデノウイルス〔(Manhattan株またはA26/61(ATCC VR−800))である。本発明のある実施形態によれば、用いられるアデノウイルスはヒト起源のアデノウイルスである。また、他の実施形態によれば、用いられるアデノウイルスは動物起源のアデノウイルスである。
ウイルスの相同的組換えおよび製造
ゲノム再構築を可能にするウイルスの相同的組換えステップは、当業者には知られた手法を用いて、プラスミドを適当な細胞(好ましくは、原核細胞)にトランスフェクトまたは同時トランスフェクトすることにより行うことができる。1つの特定の実施形態は大腸菌中で、相同的組換えイベントを選択するためPolA株を用いて行われる。こうしたコンストラクトは、組換えイベントを選択するための系なしでも調製できることは明らかである。これは、こうした組換えイベントが、ミニプレパレーションを作成することにより、もしくはマーカーの損失または獲得によりスクリーニングされ、または、(獲得されるか失われるかのジャンクションに特異的である)放射性プローブを用いたスクリーニングが可能だからである。さらに、大腸菌中での組換えイベントを選択するためのほかの手法も存在する。こうした手法の例としては、その増殖体が温度感受性であるプラスミドの利用(Hamilton他、1989)、非複製性環状分子の使用(例えば、SlaterおよびMaurer、1993)、使用されるベクターが増殖しない株の使用(MillerおよびMekalanos、1988、Zeef他、1994)等が挙げられる。これらの系のいずれもPolA株の代わりに使用でき、pBR322に由来するプラスミドもしくはその多くの誘導体、またはPolA依存で増殖する他のプラスミド、または大腸菌中で増殖しない他のプラスミドを用いて形質転換される。
本願の主題の別の部分は、上に定義したプラスミドを保有する原核細胞に関する。こうした細胞は特に、組換えDNAが導入できるベクター系が存在する任意の細菌である。例としては、大腸菌、Salmonella typhimurium、Bacillus subtilis、Pseudomonas putida、Pseudomonas aeruginosa、Agrobacterium tumefacience、Rhizobium melilotiまたはStreptomyces属の細菌が挙げられる。こうした細胞は、有利には、当業者によって知られている手法によって形質転換することにより得られる。形質転換は、CaClを用いた手法(DagertおよびEhrlich、1979)またはHanahan他(1983)により開発された手法もしくはこれから派生した手法(Maniatis他、1989)の任意のもの、さらにエレクトロトランスフォーメーション(Wirth他、1989)により行うことができる。さらに以下に示す一般的な分子生物学的な手法を参照されたい。
本発明の主題の別の部分は、組換えゲノムの製造方法にある。この方法によれば、上記したような原核細胞を培養し、次いで、第2ステップでプラスミドを回収する。培養は、有利には、適当な量のプラスミドを製造するのに十分な時間をかけて行われる。プラスミドは当業者に知られたプラスミドDNAの製造方法を用いて回収できる。したがって、透明な溶解物を調製した後、塩化セシウムグラジエント中での遠心分離により回収できる(Maniatis他、1989)。他の溶菌法による手法、例えば、トライトンX−100を用いたもの(Ausubel他、1987)、または溶菌ステップ後に陰イオン交換カラムを用いて大部分の染色体DNAおよびタンパク質からプラスミドDNAを分離する。このようにして回収したプラスミドを、次いで精製し、ウイルスゲノムの境界に位置する部位に対応する制限酵素の存在下に処理する。これにより、直線状の組換えアデノウイルスゲノムが得られ、これは組換えウイルスのクローン製造に直接使用でき、ワンステップでの生成が可能になる。
この点で、組換えウイルスを製造する第1の方法は、製造されたウイルスを本発明のプラスミドからコンピテントなカプシド形成細胞系、つまり、欠損ウイルスを完全化するためにすべての機能をトランスで(in trans)保持している系にトランスフェクトすることとなる。こうした機能は、好ましくは、細胞のゲノム中に組み込まれ、これにより組換えのリスクが減少し、細胞系の増大した安定性が付与される。
第2のアプローチは、適当な細胞系に、調製した組換えゲノムと1つまたは複数のヘルパーウイルスもしくはベクターのDNAをトランスフェクトさせることからなる。この方法を用いる場合には、組換えアデノウイルスの欠損機能のすべてを補うコンピテントな細胞系は必要ない。これは、こうした機能のいくつかは、ヘルパーウイルスにより補足されるからである。こうしたヘルパーウイルスはそれ自体欠損性である。
使用できる細胞系の例としては、ヒトの胎性腎細胞系293(Graham他、J.Gen.Virol、36(1977)59)が挙げられる。この細胞系は、特にそのゲノム中に、ヒトAd5アデノウイルスの左側部分が組み込まれている(12%)。トランスフェクションは、有利には、上記の方法に従って得られたプラスミド消化生成物を用いて直接行うことが可能で、この場合、アデノウイルスゲノムを精製するステップは必要ない。他の細胞系の例は、胎性網膜細胞(HER)、肝細胞等から得られる細胞系である。細胞系は、E1(293、PERC−6細胞)、E1およびE4(IGRP2)、E1およびE2の機能等を補う細胞系である。これらの細胞系は文献に記載されており、当業者であれば用いることができる。
この方法により製造されたアデノウイルスは、当業者には知られた手法(塩化セシウム法、クロマトグラフィー等)により単離または精製できる。これらは様々な用途を有するが、例えば、in vitro、ex vivoもしくはin vivoでの治療もしくは予防のための製品の製造、またはゲノムの機能解析(およびライブラリー組成物)等である。
本発明の新規な方法を用いることによる利点は以下の通りである。組換体の精製がより容易かつ高速に行え、多数の選択系(プロセス自体および非機能性親ベクターの構造に課される)に関連したスクリーニングステップが必要ない。
これまでに知られている従来法とは異なり、プロセスの堅牢さが選択圧の自発性に基づいているため、単一ステップで、機能性アデノウイルスゲノムを含む最終プラスミドのみを選択できる。単一ステップでの新しい組換えベクターの生成は、これまでに知られている方法と比較して必要な作業時間を実質的に減少させる。また、スクリーングステップが必要ないため、必要な作業量もこれまでに知られている方法と比較して大きく減少する。さらに、スクリーニングが必要ないため、多数の組換えアデノウイルスベクターを、ただ1つの中間体を経由して同時に生成する途が開かれた。
本発明の方法の別の利点は、機能性ゲノムを含む最終プラスミドを生成するために用いられる2種のプラスミドの非生存性である。これらの2種の最初のプラスミドは個別には機能性アデノウイルスゲノムを生成可能にする全機能を有していない。さらに、選択のために課された条件(抗生物質)を逃れるといった極端な場合でも、2種のコンストラクト(所望のコンストラクトおよび最初のプラスミド)が組換え後に細菌株内に共存しても、一度、この混合物が真核製造細胞にトランスフェクトされると、所望の組換えベクターの生成には何ら影響しない。これは、相同的組換えの結果得られる所望のコンストラクトのみが、生存可能であり、真核製造細胞において増殖可能である一方、最初のプラスミドは生存不可能(いずれのプラスミドにも少なくとも1つのITRが存在しない)だからである。
本発明の方法の上記の特徴は、アデノウイルスベクター構築の単純化に役立ち、組換えベクターを高いアウトプットで生成する可能性を拓く。これは、これまでに知られている配列を含む組換えアデノウイルスベクターの同時構築と関係しており、そうした配列の機能を有効にしたい、または、その機能を見出したい性質未知の配列を含む組換えベクターの集合を同時に構築する。後者の場合、ベクターの集合をアデノウイルス発現ベクターという。
遺伝子治療における応用
本発明のアデノウイルスは、治療用途にも用いることができる。この目的のためには、異種核酸は、1つまたは複数の治療効果を有する遺伝子および/または抗原ペプチドをコードする1つまたは複数の遺伝子を含むことができる。
このようにして転移することのできる治療効果を有する遺伝子は、標的細胞内で転写、および適宜、翻訳されることにより治療効果を有する産生物を生じるすべての遺伝子である。
この産生物は標的細胞に関して相同的なものであってもよい(すなわち、標的細胞が病原性を示さない場合に、通常その標的細胞で発現する産生物)。この場合、発現によって、例えば、細胞内での不十分な発現、または修飾の結果としての不活性もしくは活性の弱いタンパク質の発現を補うか、あるいはそのタンパク質を過剰に発現させることができる。治療効果のある遺伝子はさらに、安定性が高まった、あるいは活性の変化した細胞タンパク質の変異体をコードすることもできる。タンパク質産生物はさらに、標的細胞に関して異種であることもできる。この場合、発現タンパク質は、例えば、細胞に不足している活性を補充もしくは提供して、細胞が病気と戦うことができるようにすることができる。
治療効果を有する産生物の具体例としては、酵素、血液誘導体、ホルモン、リンホカイン(すなわち、インターロイキン、インターフェロン、TNF等(WO93/19191))、成長因子、神経伝達物質もしくはこれらの前駆体またはこれらを合成するための酵素、栄養因子(すなわち、BDNF、CNTF、NGF、IGF、GMF、aFGF、bFGF、NT3、NT5等)、アポリポタンパク質(すなわち、ApoAI、ApoAIV、ApoE等(WO94/25073))、ジストロフィンもしくはミニジストロフィン(FR9111947)、腫瘍抑制遺伝子(すなわち、p53、Rb、Rap1A、DCC、k−rev等(WO94/24297)、凝集に関与する因子をコードする遺伝子(すなわち、因子VII、VIII、IX等)、自殺遺伝子(TK等)等が挙げられる。
治療効果を有する遺伝子はさらに、標的細胞中での発現によって細胞性遺伝子の発現や細胞性mRNAの転写を制御可能とする遺伝子またはアンチセンス配列であることもできる。そのような配列は、例えば、欧州特許140308号に記載の方法に従って、標的細胞において、細胞性mRNAに対して相補的なRNAに転写されることで、そのmRNAがタンパク質に翻訳されるのを妨害することができる。
上述のように、興味の対象となる遺伝子はさらに、ヒトにおいて免疫応答を生じさせ得る抗原性ペプチドをコードする遺伝子であることもできる。従って、この実施形態では、本発明によって、特に微生物もしくはウイルスに対してヒトを免疫感作することができるワクチンの産生が可能となる。ワクチンは、特に、エプスタインバールウイルス、HIVウイルス、B型肝炎ウイルス(EP185573)または擬似狂犬病(pseudorabies)ウイルス、あるいは腫瘍に対して特異的な(EP259212)抗原性ペプチドであってもよい。
通常、検討対象の異種核酸は、感染した細胞において、治療効果を有する遺伝子および/または抗原ペプチドをコードする遺伝子を発現可能とする配列を含む。こうした配列は、それが感染細胞において機能できる場合には、当然問題の遺伝子の発現を起こさせる配列となり得る。この配列はさらに、各種由来の配列であってもよい(他のタンパク質の発現を起こすもの、あるいは合成の配列であってもよい)。特に、配列は真核生物遺伝子もしくはウイルス遺伝子のプロモーター配列であってもよい。例えば、配列は、それが感染することが望ましい細胞のゲノム由来のプロモーター配列であってもよい。同様に、配列は、使用されるアデノウイルスを含むウイルスのゲノム由来のプロモーター配列であってもよい。この点に関しては、例えばE1A、MLP(Major Late Promotor;主要後期プロモーター)、CMV(Cytomegalovirus;部位メガロウイルス)、RSV(Rous Sarcoma virus;ラウス肉腫ウイルス)遺伝子等のプロモーターを挙げることができる。さらに、これらの発現配列は、活性化、調節その他の配列を加えることで変更することができる。好ましくは、Tet on/offまたはTetoff/onタイプのプロモーター(これはテトラサイクリンによって調節可能である)またはエキダイソンもしくはデキサメタゾンによって誘導可能なプロモーターを用いることができる。さらに、挿入された遺伝子がプロモーター配列を持たない場合には、それをそのような配列の下流で欠陥ウイルスのゲノムに挿入することができる。さらに、検討対象の異種核酸は、特に治療効果を有する遺伝子の上流で、治療効果を有する合成産生物を標的細胞の分泌経路に載せるべく指示するシグナル配列を有することもできる。このシグナル配列は、治療産生物の天然のシグナル配列であってもよいが、他の機能性シグナル配列または人為的シグナル配列であることもできる。
本発明はさらに、本発明の方法に従って製造された欠陥組換えアデノウイルスを含有してなる医薬組成物に関するものでもある。本発明の医薬組成物は、局所投与、経口投与、非経口投与、経鼻投与、静脈投与、筋肉投与、皮下投与、眼内投与、経皮投与等として製剤することができる。
好ましくは、医薬組成物は、注射剤用に医薬的に許容される補助剤を含有する。そのような補助剤としては特に、無菌で等張性の塩水溶液(リン酸一ナトリウムもしくは二ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムもしくは塩化マグネシウム等、またはそのような塩の混合物)、あるいは状況に応じて無菌水もしくは生理食塩水を加えることで注射液を調製することができる乾燥組成物(特には凍結乾燥組成物)が挙げられる。
注射に使用されるウイルスの用量は各種パラメータに従って、特には実施する投与形態、問題となる病気、発現させる遺伝子あるいは所望の治療期間に従って調整することができる。一般的に言えば、本発明による組換えアデノウイルスは、10から1014pfu、好ましくは10から1010pfuの用量で製剤・投与する。pfu(プラーク形成単位)という語は、ウイルス溶液の感染力に対応するもので、適切な細胞培養を感染させ、一般には15日後に感染細胞のプラーク数を測定することで求められる。ウイルス溶液のpfu力価の測定方法については、文献に詳細に記載されている。
挿入する異種DNA配列に応じて、本発明のアデノウイルスを用いて、遺伝性疾患(異栄養症、嚢胞性線維症等)、神経変性性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS等)、癌、凝血障害もしくは異常リポタンパク質血症に関連する病気、ウイルス感染関連の病気(肝炎、AIDS等)等の多数の病気の治療または予防を行うことができる。
組換えタンパク質を生成するための適用例
本発明の方法によって、特に培養中のヒト細胞中で組換えタンパク質を生成することができるアデノウイルスベクターを生成させることができる。組換えタンパク質はヒト血清アルブミン、ヒトインターフェロン、ヒト抗体、ヒトインシュリン、血球因子、IX因子またはVII因子などの因子、組織プラスミノゲン活性剤などのトロンビン因子、さまざまな成長因子、栄養因子、サイトカイン、中央神経系のペプチド、オピオイド、酵素およびウイルス性抗原、および植物のなどの他の生物からのタンパク質などのタンパク質であってよい。
機能的なゲノムの適用例
前述の調製ツールと同じものを使用して、製薬産業に理解される意味において、新規の標的を立証または発見するための適用例でこの方法が利用される。
本発明は、記載の方法を使用する組成物のあらゆる利用にも関する。さらにそれだけではなく、どんな性質のものであれ核酸を得て本発明の意味の範囲内の第1のシャトルプラスミドに組み込むこと、さまざまな自動化の方法を使用して1つまたは多数の組換えアデノウイルスを生成させるために前記プラスミドを使用することを可能にする、あらゆる調製に関する。したがってこれらの組換えアデノウイルスを、それらが保有する配列の機能的能力を評価するために、in vitroおよびin vivoモデルで多数使用することができる。当業者が利用可能な多数の機能的試験の1つを使用して、生成された組換えアデノウイルスによって保有される配列の機能的能力を評価することができる。
したがって本発明の主題の一部は、アデノウイルスの発現ライブラリーを作製するための方法中にも存在し、この方法は以下のステップを含む。
前述のシャトルベクター中にプライマリーライブラリーを構築するステップ、
本発明の親プラスミドの存在下で前記プライマリーライブラリーを用いて細菌培養物を形質転換するステップ、
結果として生じるプラスミド、または後に酵素による消化によって切断される完全なアデノウイルスゲノムをアデノウイルス生成細胞に導入するステップ、
適切な場合は、細胞を含む生物学的物質を感染させてライブラリー中のクローンを分析するステップ。
したがってこの方法は、本発明を適用し実験モデルのアデノウイルスライブラリーを使用する前に、本発明のシャトルプラスミド中で核酸のプライマリーライブラリーを作製する第1のステップを含む。当業者に知られる分子生物学的な方法を使用して、本発明のプラスミド(シャトルプラスミド)中にこの性質のプライマリーライブラリーを構成することができる。詳細には、以下の操作を連続的にを行うことによって、プライマリーライブラリーを構築することができる。a)細胞群からmRNA(またはRNA全体)を得る、b)単離したmRNA群と相補的なDNAを作製する、c)適切な場合は、強力なプロモーターの制御下、特に調節可能なプロモーターの制御下で、cDNA分子が配置されている核酸ライブラリーを作製する、d)cDNA分子(または発現カセット)を本発明のシャトルプラスミド中に取り込ませる。
したがって本発明は、前に記載したベクターまたはシャトルプラスミドにクローン化される核酸ライブラリーにも関する。
第2のステップでは、本発明に記載するようにシャトルプラスミドのプライマリーライブラリーと親プラスミドの同時形質転換によって、機能的なアデノウイルスゲノムを保有するプラスミドのライブラリーが結果として生じる。同時にプラスミドを細菌に同時形質転換させること、または連続的なトランスフェクションを行うことによって、このステップを行うことができる。このようにして、親プラスミドを最初に細菌に導入することができ、次いでシャトルプラスミドがその後トランスフェクトされる。
第3のステップでは、プラスミドまたは切断した機能的組換えゲノムがトランス相補的な細胞にトランスフェクトされ、これによって組換えアデノウイルスのライブラリーを生成させることができる。結果として生じるプラスミドを単離および/または精製すること、アデノウイルスゲノムを切断しない適切な酵素(酵素群)を用いた処理によって組換えゲノムが切断されることが好ましい。
第4のステップでは、組換えアデノウイルスのライブラリーによって選択した細胞群(または生物学的物質)を感染させることにより、ライブラリー中のクローンの生物学的または機能的性質を分析することが可能になる。このため、選択され感染させられる細胞群は核酸の発現が可能な条件下に置くことができ、したがってその細胞群を研究することによって所望の表現型が同定される。したがって、表現型を誘導するベクターに戻って所望の表現型を与えるDNAを特徴付けることが可能である。
機能的能力の研究をより確固たるものにするために、1つのプール中でではなく別々にクローンを処理することが有利である。したがって、シャトルプラスミド中のプライマリーライブラリーのクローンはミクロプレート中で、親の切断型アデノウイルスプラスミドを既に有している細菌に独立に形質転換される。選択した酵素(たとえばPacI)を使用してゲノムを切断した後に、ミクロプレート中において淘汰圧(抗生物質)下での生育によって生成されるDNA分子を精製し、真核生物の生産者細胞にトランスフェクトする。この性質の方法を略図によって図2に示す。
本発明のアデノウイルス発現ライブラリーを作製するための方法の好ましい実施形態によると、Life Technologies、Inc.(LTI、Rockville、MA、USA)によって開発されたGateway(登録商標)クローニング技術を使用することが可能であり、特にこの技術によって、挿入体を保有する1組のアデノウイルスを同時に生成することが可能であり、この挿入体はたとえば相補的DNAライブラリー、または当業者によく知られるさまざまな方法を使用して特徴付けられ選択された配列のグループに由来する。
米国特許第5,888,732号中に特に記載されるGateway(登録商標)クローニング技術によって、大腸菌のラムダ(λ)バクテリオファージの特定部位attL、attR、attBおよびattPにおける組換え反応によるin vitroでの反応中に、たとえば2つのプラスミド間に挿入体を移動させることができる。遺伝子の挿入にはベクター中の適切な制限部位の存在はもはや必要ではなく、att配列と呼ばれる短い組換え配列の存在のみが必要とされる。
一方Gateway(登録商標)クローニングシステムは、LR反応と呼ばれる反応を行うことにあり、この反応中にattLに囲まれる当該の挿入体を含むエントリー(Entry)クローンが、attR部位を含むデスティネーション(Destination)クローンと組換わり、発現(Expression)クローンが生成される。次いでエントリークローンによって保有されている当該の挿入体を、デスティネーションクローンに由来しattB部位を含む発現ベクターに移動させる。一方Gateway(登録商標)システムは、BP反応と指定される逆の反応を行うことにあり、この反応中にattB組換え部位に囲まれる当該の挿入体を含む発現クローンが、attP部位を含むドナー(Donor)ベクターと組換わり、attL部位を含むエントリークローンが与えられる。
さらに具体的には、第1の戦略によれば、シャトルプラスミド、たとえば前に記載したpJJ1を改変して、Gateway(登録商標)システムと適合性があり適切なatt部位を有するプラスミドを生成させることが可能である。この第1の手法によれば、シャトルプラスミドの発現カセットのプロモーター(CMV)とSV40ポリアデニル化部位の間に、att部位が導入されることが好ましい。結果として生じるプラスミドは、Gateway(登録商標)技術の術語に従って、デスティネーションプラスミドと呼ばれ、次いでGateway(登録商標)技術のエントリークローンとの反応に入ることができる。その結果、DNAライブラリーまたは選択された配列のグループに由来し、エントリークローンまたはベクターにクローン化されるあらゆる挿入体を、本発明の意味の範囲内のシャトルプラスミド中に移動させ、対応するアデノウイルスベクターを生成するために本発明において使用することができる発現シャトルプラスミドを与えることができる。
第2の戦略によれば、Gateway(登録商標)技術に適合させるために完全なアデノウイルスプラスミドを改変する。したがって、それは適切なatt部位をアデノウイルスゲノムを保有するプラスミド中に導入して、Gateway(登録商標)クローニングシステム中に記載される反応を行うのを可能にすることである。アデノウイルスゲノムのE1領域の代わりにプロモーターとポリアデニル化配列の間に、att部位が導入されることが好ましい。したがってこの戦略によって、元来はエントリークローン中に存在したさまざまな挿入体を含む、アデノウイルスゲノム保有プラスミドを生成することが可能である。これらの挿入体は作製される相補的なDNAライブラリー、1つおよび同じファミリーの遺伝子を示す挿入体、または任意の他の起源の挿入体に由来するものであってよい。アデノウイルスゲノムを保有するプラスミドが生成され、そのプラスミドは改変されatt配列を有しており、Gateway(登録商標)技術の意味の範囲内のデスティネーションクローンである。このプラスミドはpAdDESTで示される(実施例6、図10)。このようにして得られるデスティネーションクローン、すなわちpAdDESTを任意のエントリークローンと反応させて、アデノウイルスゲノム、実施例6および図11において以下に記載するpAdExpを保有する発現プラスミドを生成することができる。
したがって本発明は、特徴的な表現型を誘導する生理学的または遺伝学的効果と関係のある配列を、立証または同定するための新規な方法である。さらに具体的には、その配列は遺伝的欠陥を生み出す遺伝子、または遺伝的異常の指標または特徴である遺伝子であってよい。
機能的ゲノム活性のコンテクスト内で、1つまたは複数の配列の機能を立証または判定するための適用例では、配列は任意の性質のもの、特に前述の配列であってよいが、知られていない非常にさまざまな性質の任意の配列の群に由来するものであってもよい。これらの配列は、後に所望のアデノウイルスゲノム中に導入されるために、異なるカセット中に並列していてもよい。
これらの配列は任意のタイプの生きている細胞から誘導するか、または新生経路、突然変異誘発、配列の組み合わせなどのさまざまな方法によって人工的に生成させることができる。
本発明のコンテクスト内で、多数のライブラリーをヌクレオチド配列の源として使用することができる。ライブラリーにはゲノムDNAライブラリー(たとえばYACまたはBAC中のライブラリーを含めた、特に染色体領域のライブラリー)、cDNAライブラリーおよび合成DNAライブラリーがあり、これらのライブラリーは標準化されている(またはされていない)か、あるいはセンスまたはアンチセンス発現用の異なる生体組織、ランダムに生成されさまざまな性質を生み出すことができる配列、知られている配列から作製した縮重配列、知られている配列のモザイク配列などから作製されるが、これらだけには限られない。
詳細には、研究されるプライマリー配列は遺伝子抑圧用のアンチセンス分子または要素を生成することができる。これらは、発現されると研究中の生物学的系内の特定の遺伝子を不活性化させることができる配列である。この配列はリボザイム配列であってよい。
さまざまな合成方法から、ライブラリーを作製するために使用する配列を誘導することができる。詳細には、組換えを使用する制御された分子進化のシミュレーションによって、同定されている進化のメカニズムを使用して、さまざまな遺伝子を生成させることができる(Curr.Op.in Biotech.1997、8:724−733)。
ヒトゲノムからのデータを記録しているデータベースの生物学的情報の分析から、ライブラリーを作製するために使用する配列を誘導することもできる。さまざまな方法(EST、ミクロ配列、DNAチップ、ディファレンシャルディスプレイ)によって得られる遺伝子発現の分析を使用して、これらの配列を選択することができる。TIBtech 1996、14 p294−298;Nature Biotechnology 1998、16、p27−31。
詳細には、この方法によってランダムなペプチド配列の発現用のアデノウイルスライブラリーを生成することができる。したがってこのことは、当該のタンパク質に結合することができるランダムなペプチド配列の選択および同定を容易にする。ランダムな配列のオリゴヌクレオチドのライブラリーが天然または合成タンパク質の柔軟なループに対応する(ポリリンカー)部位に導入され、その結果ペプチドがタンパク質の表面に現れる。このことはこれらのペプチドが細胞内で(Colas他、1996、Nature 380:548−550)、または細胞の表面に(Tramonto他、1994、J.Mol.Recognit.7:9−24)現れたということであってよい。最後に、分泌シグナルを発現カセットに挿入することによって、ペプチドが細胞の外側に現れてもよい(Rice他、1992、PNAS 89、5467−5471)。
1つまたは複数の当該の配列をベクター中に組み込むことができる。
配列(発現カセット)の組み合わせを評価すること、または当該の配列を他の当該の遺伝子、たとえばマーカー遺伝子と同時発現させることが最終的に問題となる可能性がある。したがって、ポリシストロン配列を使用するため、または発現される配列を当該の配列のゲノムと異なるアデノウイルスゲノム中の位置に配置するために、それを決定することができる。さまざまなポリシストロン配列を使用することができる。IRES要素によって、2つ以上のオープンリーディングフレームを1つのmRNAから効率的に翻訳することができる。特に、1つのオープンリーディングフレームは当該のタンパク質(cDNAライブラリーから誘導される)をエンコードしているが、もう1つのオープンリーディングフレームはGEPなどのマーカーをエンコードしている。
この方法によって、酵素活性に関係がある切断/組み込みシステムを使用することが可能になる。このシステムはCRE−Loxシステム(Baubonis他、Nucl.Acids Res.21:2025−2029)、FLPリコンビナーゼ−FRTシステム(Dang他、Dev.Gent.13;367−375)、Moraxella lacunata Pivシステム(Lenic他、1994、J.Bacteriol.176−4160)またはラムダインテグラ−ゼシステム(Kwon他、1997 Science 276、126)であってよい。より具体的には、cDNAを発現している配列またはカセットが複製しているエピソームベクターに結合し、アデノウイルスゲノムのCRE−loxシステムによって切断され、分裂している感染細胞に運ばれるはずである(WO97/47757)。
この方法によって、DNA−タンパク質相互作用の検出が容易になる。したがってライブラリーは、DNAに結合することができる配列の群に対応する。これらの配列は、元来DNAに結合することができるタンパク質に由来するポリペプチド、または人工的なポリペプチドのいずれかである。所与のDNA配列に最も特異的な配列が求められる。
この方法によって、タンパク質−タンパク質相互作用を検出することができる。アデノウイルスベクターの同時感染する能力が使用される。LacZ相補性試験を行うことが好ましい(PNAS 1997、94、8405−8410)。細胞系は第1の構築体およびcDNAライブラリーと同時感染する。
本発明のアデノウイルス発現ライブラリーを分析するために、非常にさまざまな数の機能性試験を行うことができる。
たとえば、その発現が所望の細胞表現型につながるライブラリーに由来するヌクレオチド配列を同定することにある、相補性試験を使用することができる。より具体的には、アデノウイルス発現ライブラリーを使用して、表現型形質に異常があるヒト細胞を感染させることができる。したがって感染した細胞の分析およびその細胞の特定によって、所望の表現型形質が示される。ウイルスによって保有されるcDNAの分析は、表現型形質の出現を担っている。アンチセンス活性または機能的ノックアウトが原因である、感染後の表現型形質の消失を測定することも可能である。
この方法は、生物学的な系における化学分子の作用の形態の研究を容易にする。アデノウイルス発現ライブラリーを使用して、薬剤の作用に応答する生物学的な系の細胞を感染させる。感染後、薬剤の効果が変わらない、増大する、または阻害される可能性がある。後者の2つの場合、ウイルスゲノムによって保有されているcDNA分子を分析することによって、化学的化合物の影響を伴なう細胞内および/または細胞外経路の発見が容易になる。
したがって本発明の方法は、以下のことのために行うことができる。
成長およびアポトーシス停止のプロセスにおけるp53の影響を避けることができる核酸(標的)を探すこと、
サイトカインを同定すること、
細胞プロセスに影響を与える合成ペプチドを同定すること、
細胞外でペプチドであることができる分子を探すこと、
いかなる特異的な腫瘍抑制も示さない腫瘍細胞の標的を同定すること、
転移のプロセスに関する遺伝子を同定すること。
本発明は、
第1の切断型アデノウイルスゲノムを含むシャトルプラスミド、
第2の切断型アデノウイルスゲノムを含む親プラスミド、
を含むキットにも関し、2つの切断型アデノウイルスゲノム間の相同的組換えによってこの2つのプラスミドを生成することができ、前記ゲノム中に存在しない1つまたは複数の制限部位の側面に位置する完全な線状の組換えアデノウイルスゲノムを含む最終的なプラスミドも含む。
以下の実施例によって、本発明をより完全に記載する。これらの実施例は例示的なものであり、制限的なものであるとみなすべきではない。
図の説明
図1は本発明の原理を示す図である。それぞれ相補的な断片を有するシャトルプラスミドpJJ1および親プラスミドpOSE1は、大腸菌中の相同的組換えによって凝集体を形成し、これによって外来性の配列を保有する完全な組換えアデノウイルスゲノムが生成する。KmR:カナマイシン耐性の遺伝子。Tet R:テトラサイクリン耐性の遺伝子。RK2 Ori:プラスミドRK2からの複製の起点。RK6 Ori:プラスミドRK6からの複製の起点。
図2は、シャトルプラスミド中で構築されたcDNAライブラリーに由来するcDNAを保有する、96の組換えアデノウイルスの同時生成を示す図である。OSEDRAG技術の性質を適用する。
図3は、本発明による親プラスミドを得るためのEDRAG技術(Crouzet他)の使用を示す図である。このプラスミドは不完全体を保有し、してがって非機能的なアデノウイルスゲノム配列である。プラスミドpJJ301、pXL3215およびプラスミドpOSE17−00のマップを示す。
図4は、親プラスミドの異なる形のマップを示す図である。本発明によってこのプラスミドを使用して、異なる形の組換えアデノウイルスベクター、特にE1およびE3が欠失しているベクター(pOSE10−00)、E1およびE3が欠失しておりその同一遺伝子#2の形のpIX領域を備えるベクター(WO99/25861)(pOSE17−00)、E1、E3およびE4が欠失しているベクター(pOSE30−00)、E1、E3およびE4が欠失しておりその同一遺伝子#2の形のpIX領域を備えるベクター(pOSE37−00)を生成することができる。
図5は、LacZ遺伝子を発現するためのカセットを保有する組換えアデノウイルスゲノムを得るための、本発明の方法の使用を示す図である。シャトルプラスミドpIG5、親プラスミドpOSE17−00および最終プラスミドpAd17−01のマップを示す。プラスミドpIG5、pOSE17−00およびpAd17−01のマップを示す。
図6は、3つの異なるシャトルプラスミドによってアデノウイルスゲノムを得るための、本発明の方法の使用を示す図である(pIG5:LacZ遺伝子を発現するためのカセットを保有する、プラスミドpIG18:ルシフェラーゼ遺伝子を発現するためのカセットを保有する、pIG7:いかなる発現カセットも有していない)。シャトルプラスミドおよび親プラスミドの同時形質転換から生じたクローンの酵素による消化を示す。
図7は、アデノウイルスベクターを得て、その後プラスミドpAd17−01の異なるクローンを293の生産者細胞にトランスフェクションするための本発明の方法の使用を示す図である。293細胞中で増幅したウイルスから精製したウイルスDNAの酵素による消化を示す。
図8は、シャトルプラスミドpTA00中のcDNAのプライマリーライブラリーによって生じた、アデノウイルスゲノムのライブラリーを得るための本発明の方法の使用を示す図である。pOSE37−00に由来するプラスミドである親プラスミドpOSE37−10を使用して、アデノウイルスゲノムのライブラリーを得る。プラスミドpTA00、pOSE37−10およびpAd37−10のマップを示す。
図9は、発現プラスミド、すなわちpAdGWExpLacZの獲得を示す図である。プラスミドpSHExpLacZおよびPx12689を相同的に組換えることによって、これはGateway(登録商標)システム(LTI、Rockeville、MA、USA)と適合する。
図10は、デスティネーションプラスミド、すなわちpAdDESTを得るためのいわゆるBP反応の使用を示す図である。このプラスミドは完全なアデノウイルスゲノムを保有しており、大腸菌にとって致死的であり組換え部位attR1およびattR2によって囲まれている遺伝子ccdBを有している。
図11は、いわゆるLR反応による、当該の挿入体を保有するアデノウイルスプラスミドpAdExpの獲得を示す図である。
一般的なクローニング、分子生物学的および細胞生物学的技法
塩化セシウム−臭化エチジウム勾配中でのプラスミドDNAの遠心分離、制限酵素による消化、ゲル電気泳動、大腸菌への形質転換、核酸の沈殿などの従来型の分子生物学的方法は文献中に記載されている(Maniatis他、1989)。
New England Biolabs(Beverly、MA)によって酵素が提供された。連結のために、0.8〜1.5%アガロースゲル上でその大きさに従ってDNA断片を分離させ、GeneClean(BIO101、LaJolla CA)を使用して精製し、ファージT4 DNAリガーゼの存在下で50mMのトリス−HCl、pH7.4、10mM Mgcl、10mM DTT、2mM ATPバッファー中において14℃で一晩インキュベートした。
コンピテントにした大腸菌菌株TG1〔Δ(lac proA、B)、supE、thi、hsdD5/F’traD36、proA、B、lacl、lacZΔM15〕(Maniatis他、1982)、大腸菌Top10菌株細胞(Top10 One Shot kit、Invitrogen、Netherlands)または大腸菌polA菌株SF800(Heffron他、1977)を形質転換するために、連結したDNAを使用する。
以下の列挙事項:変性温度95℃、ハイブリダイゼーション温度55℃、延長温度72℃を使用して、 Maniatis他、1989に記載されるようにPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)増幅も行った。PTC−200 Peltier Thermal Cycler(MJ Research、Massachusetts、US)中で、このサイクルを25回繰り返した。
GENSET社(Enry、France)によって、オリゴヌクレオチドが合成された。ESGS社(Enry、France)によって、配列決定が行われた。
実施例
実施例1:親プラスミドの構築
この実施例では、非適合型グループPに属し大腸菌中で複製するプラスミド中での、ヒトタイプ5アデノウイルスゲノムの獲得を記載し、このゲノムはその5’部分が切断されE1およびE3領域が欠失しており、その3’部分は独特な制限部位の側面に位置する。
本発明によるプラスミドは、いくつかの異なる方法で構築することができる。好ましい方法によれば、プラスミドpXL3215およびpJJ301を使用してEDRAG法(FR2,730,504)に従い、プラスミドpOSE17−00が構築される。プラスミドpXL3215はADゲノムすべて(E1およびE3領域中の2箇所の欠失がない)を含み、E1領域中でRSVプロモーターの制御下でLacZ遺伝子を発現するためのカセットを有する。プラスミドpXL3215はプラスミドpXL2689の誘導体であり、プラスミドRK2からの複製の起点およびテトラサイクリン耐性遺伝子を含む(J.Crouzet PNAS、1997)。
プラスミドpJJ301は複製のR6K起点を有し、大腸菌pir−菌株中で複製することはできない。プラスミドpJJ301はカナマイシン耐性遺伝子を有する。プラスミドpJJ301は、pOSE17−00によって保有されているアデノウイルスゲノムの起点と相同性がある領域を有する。この領域は、同一遺伝子#2と呼ばれ(WO99/25861)に記載されるpIX領域の特別な形である。
この配列の上流には、プラスミドpXL3215中の完全なアデノウイルスゲノムの上流の領域と相同性がある配列が挿入される。プラスミドpXL3215とpJJ301の間の二重組換えによって、pOSE17−00が生じる。このプラスミドpOSE17−00は本発明の意味の範囲内の親プラスミドに対応し、図3中で図式的に示される。
同じスキームを使用して、他の親プラスミド(pOSE10−00、pOSE30−00、pOSE37−00)が構築されており、これによってE1およびE3領域が欠失しているアデノウイルスゲノムが生成する(野生型pIX領域形または縮重pIX形(WO99/25861)、またはE1、およびE3およびE4領域が欠失しているアデノウイルスゲノム(野生型pIX領域形または縮重pIX領域形(図4)))。
実施例2:シャトルプラスミドの構築
この実施例では、ヒトタイプ5アデノウイルスゲノムの5’領域(ITR領域およびタンパク質外殻で包まれた領域)を保有するシャトルプラスミドの獲得を記載し、この領域はPacI制限部位に先行する。
前記プラスミドは複製のRK6起点を有し、大腸菌中で複製することはできず、pirタンパク質についてトランス相補することができない。前記プラスミドpIG5はLacZを発現するためのカセットを含み、これはpOSE17−00中に存在する配列(pIX Iva2領域の一部分に対応する配列)と相同的な配列に先行する。このプラスミドは本発明の意味の範囲内でシャトルプラスミドと呼ばれ、カナマイシン耐性遺伝子を有する(図5)。
実施例3:機能的組換えアデノウイルスゲノムの生成
この実施例では、大腸菌中で複製するP非適合型グループでありLacZ遺伝子を発現するためのカセットを保有するプラスミド中での、ヒトタイプ5アデノウイルスゲノムの獲得を記載し、このゲノムはE1およびE3領域が欠失しており、その末端がPacI制限部位の側面に位置する。
選択する組み込み戦略は、大腸菌菌株中でpOSE17−00とpIG5の間の相同的な組換えを行う戦略である。大腸菌菌株JM83RecLacZの細胞に、プラスミドpOSE17−00を導入した。次に、テトラサイクリン耐性クローンに由来する細胞に反応能を与え、プラスミドpIG5を用いて形質転換し、次いでテトラサイクリンおよびカナマイシンの存在下でLB培地上に拡散させた。プラスミドpIG5がJM83菌株中で複製しないとすれば、テトラサイクリンおよびカナマイシン耐性の獲得は、2つのプラスミド間で起こる相同的な組換えによってのみもたらすことができる。2つのプラスミドはAd5ゲノムのpIX領域を共通に有しているので、このことは起こりうる。結果として生じるプラスミドは、PacI部位の側面に位置する組換えアデノウイルスベクターの完全なゲノムを有している。酵素PacIおよびHindIIIを用いて消化すると、EcoRIまたはPacIおよびDraIによって、予期したプラスミド構造が得られたかどうかチェックすることが可能である。機能的アデノウイルスゲノムを保有するこの最終プラスミドを、pAd17−01と指定した(図5)。
同様にして、プラスミドpIG5およびプラスミドpOSE37−00が、E1、およびE3およびE4が欠失しておりその同一遺伝子#2の形のpIX領域を備える完全なアデノウイルスゲノムを有するプラスミドを生成する(WO99/25861)。
同じ戦略を使用して、発現カセットを保有する(または保有しない)同じファミリーの他の組換えゲノムを構築することも可能である。pIG7およびpIG18が使用され、これらはpIG5に由来する。pIG7はいかなる発現カセットも有していないが、pIG18はルシフェラーゼ遺伝子を発現するためのカセットを有している。発現カセットが細菌染色体のゲノム配列と配列相同性を示さない限り、クローンは100%陽性であると考えられる。図6中に示すように、これらの実験の終期に分析したクローンは100%、予期したヌクレオチド構造を実際に示すこととなった(図6)。
PacIを用いてpAd17−01を消化し、これによって組換えアデノウイルスのゲノムが切り離された。アデノウイルスのE1機能に関してトランス相補的であるホ乳類細胞(293細胞)をトランスフェクトするためなどに、この消化による生成物を使用することができる。
実施例4:組換えアデノウイルスの生成
(i)1つまたは複数の遺伝子およびこれらの遺伝子を発現するための適切な調節シグナルを含む断片を、研究中のホ乳類細胞に挿入すること、(ii)アデノウイルスのゲノムのある断片を欠失させること、またはこれら2つのことを組み合わせることによって、組換えアデノウイルスクローンを大腸菌中で構築することができ、したがって生産者細胞がトランスフェクトされた後に、このような組換えウイルスのストックを得ることが可能である。
プラスミドpAd17−01を、形質転換され反応能力のある大腸菌DH5細胞の培養物から精製する。酵素PacIの存在下で消化することによって、アデノウイルスゲノムを切り離す。組換えアデノウイルスを生成するために、この消化産物を直接使用する。このため、Effectene(Quiagen、Germany)の存在下で、消化されるpAd17−01から得られる産物を用いて293細胞株の細胞をトランスフェクトする。この組換えアデノウイルスを293細胞株中で増幅させ、約1010pfu/mlのタイターを有する未精製組換えアデノウイルスを含む培養上澄み液がその結果生じる。
増幅したウイルスに由来するDNAを精製した後、酵素による消化によってウイルスDNAの適合性を確認する(図7)。
次いで知られている技法(特にGraham他、Virology52(1973)456を参照のこと、すなわちクロマトグラフィによる)を使用する、塩化セシウム勾配上での遠心分離によって、ウイルス粒子を精製する。20%グリセロール中において−80℃で、アデノウイルスを保存することができる。
実施例5.アデノウイルス発現ライブラリーの構築
次に使用するシャトルプラスミドのプライマリーライブラリーを相同的な組換えによって得るため、複製のRK2起点を有するプラスミド中で組換えアデノウイルスゲノムのライブラリーを得るために、複製のRK6起点を備えるシャトルプラスミドを使用する。次いで組換えアデノウイルスゲノムのこのプラスミドライブラリーをトランス相補的な生産者細胞中にトランスフェクトして、組換えアデノウイルスのライブラリーを得る。
一連のステップを図2に図式的に示し、アデノウイルス発現ライブラリーを得るために使用するプラスミド構造を図8に示す。
実施例5.1 シャトルベクター中でのcDNAライブラリーの作製
シャトルベクター(pIG5の誘導体であり、その中ではLacZ遺伝子が切断されマルチクローニングサイト、特にXhoIおよびEcoRI部位に置き換えられている)中にライブラリーを作製するために、セシウム勾配精製したベクター10〜20μgを、37℃で90分間、1μgあたり5Uの酵素XhoIおよびEcoRIを用いて消化する。その消化物をアガロースゲル(1% Seakem GTG)上に載せ、線状化したベクターをTAEバッファー中において電気泳動によって分離する。ベクターに対応するバンドを切断し、次にUVテーブル上で視覚化する。アガロースからベクターを溶離させ(Qiaquick DNA Cleanup System、Quiagen、Germany)、フェノール/クロロホルム抽出によって精製し、次にエタノールを用いて沈殿させる。XhoIおよびEcoRIを用いて消化した試験挿入体の連結後、このベクターは1μgあたり約500万個のクローンを生じ、バックグラウンドは10%未満である。
cDNA分子の作製:mRNAが豊富なRNA群を使用して、cDNAを合成する。Superscript IIトランスクリプターゼ(Stratagene)および5’端にXhoI部位の配列を有するオリゴdTプライマーを使用して、標準的なプロトコルに従って第1の鎖を合成する。RNAse Hおよび大腸菌DNAリガーゼの存在下で、大腸菌DNAポリメラーゼI酵素を使用して、第2の鎖を合成する。第2の鎖によって生じた末端を、T4DNAポリメラーゼの作用によって充填する。
前に記載した(Soares他、PNAS、91:9228−9232)Biogel A50Mを使用するゲル濾過クロマトグラフィによって、cDNA分子をサイズ分別する。サイズ分別したcDNA分子を市販のEcoRIアダプター(Stratagene)に連結させ、次いでEcoRIを用いて消化して(5’)EcoRIおよび(3’)XhoI端を備えるcDNA断片を作製する。Sepharose CL4Bカラム(Pharmacia)上でのクロマトグラフィによって、連結していないアダプターを取り除く。アダプターを保有しているcDNA分子をT4ポリヌクレオチドキナーゼを使用してリン酸化し、T4DNAリガーゼを使用し16℃で48時間かけて、前述のように作製した(10〜20μlの体積中にベクター600ngおよび挿入体300ng)シャトルベクターのEcoRIおよびXhoI部位に連結させる。ライブラリーをpir.116+菌株中にエレクトロポレーションすることによってライブラリーを増幅させ、これによって複製のRK6起点を有するプラスミドの複製が可能になり、次いで直径150mmの100個のディッシュ中のカナマイシンを含む寒天LB培地上にこの菌株を拡散させる。500万個のクローンのライブラリーを得る。次いでシャトルプラスミド中のプライマリーcDNAライブラリーを、Soares他.1994によって記載されるプロトコルに従って標準化する。クローンの発現プロファイルを判定することができる技術を使用して、たとえばANDチップ(Amersham、Molecular Dynamics、Affymetrix)を使用して、次いでクローンのサブセットを選択ステップにかけることができる。
シャトルプラスミド中の標準化したcDNAライブラリーに由来する選択したクローンを、96穴ウエルのミクロプレート中に1ウエルあたり1クローンの割合で配置する。適切な抗生物質(カナマイシン)の存在下で、これらのクローンを液体培地(LB)中で増幅させる。Quiagen robot(Quiagen Biorobot 9600)およびQuiaprep 96 Turbo Biorobot kit(Quiagen、Germany)を使用して、96の培養サンプルのバッチ中のそれぞれのクローンからのDNAを同時に作製する。DNAサンプルを50μlのTExl中に取り出す。96のプラスミドDNAサンプルを、それぞれのいわゆる主要プレート中に配置する。
実施例5.2 cDNA分子を保有する機能的アデノウイルスゲノムのプラスミドライブラリーの作製
RK2プラスミド(pOSE37−00)によって保有されている親アデノウイルスゲノムを、従来の形質転換によってJM83菌株に導入する。プラスミド(JM83xpOSE37−00)を宿しているこの菌株の培養物に、100mMのCaCl中での連続的な洗浄を含む標準的な技法によってコンピテントにする。
コンピテント細胞(JM83xpOSE37−00)を、96穴ウエルのミクロプレート中に1ウエルあたり40μlの割合で分布させる。それぞれのシャトルプラスミドのDNAをこの菌株に形質転換して、機能的アデノウイルスゲノムを生成する相同的な組替え体を得る。次いでいわゆる主要プレートから誘導されるDNA5μlを、レイアウトに付着させながら反応能力のある細胞40μlに加える。プレートを1分間かけて42℃にし、次いで氷上に2分間置いた。2つの適切な抗生物質(カナマイシンおよびテトラサイクリン)を含む培地(LB)1mlを、ウエル毎に加える。最初に細胞を6時間生育させ、その後この第1の成長体50μlを使用して、ウエル毎に2つの適切な抗生物質(カナマイシンおよびテトラサイクリン)を含む培地(LB)1mlを備える、新しい96穴ウエルのプレートに植え付ける。次いで14時間培養を続ける。
Quiagen robot(Quiagen Biorobot 9600)およびR.E.A.L.Prep.96 Biorobot kitを使用して、この後者の成長から生じるプラスミドDNAを精製し、イソプロパノール中での沈殿の前に、これにQuiawell 96 Ultra Biorobot kitに由来するQuiawell分離ステップを加える(Quiagen、Germany)。DNAを50μlのTExl中に取り出す。
次いでそれぞれのDNA(約0.4μg)20μlを、レイアウトに付着させながら新しい96ウエルのプレートに移す。このDNAを酵素PacIを用いて消化して、ウイルスゲノムを切断する。反応混合物10μl(Nelバッファー3μl、H20 6μl、PacI 1μl(2.5U))に、ウエル当たり20μlのDNAを加える。反応は37℃で1時間30分かけて行う。プレートを遠心分離にかけて、次のステップのために使用するまで−20℃で凍結させる。
アデノウイルスゲノムを切断するためにウイルスDNAはPacIを用いて消化しなければならず、次いでトランス相補的な真核細胞ヘトランスフェクトしてウイルスライブラリーを生成する。
実施例5.3 アデノウイルス発現ライブラリーの獲得
PacIで消化したDNAサンプルを保有する96ウエルのプレートを周囲温度にする。Enhancer2μlおよびEffectene(Effectene Transfection Reagent、Quiagen、Germany)50μlを、それぞれのウエル中に存在するPacIで消化したDNA30μlに加える。次いでトランスフェクトする混合物を96ウエルまたは48ウエルプレートのウエルに分布させるか、またはIGRP2細胞(WO96/22378)を1cm当たり10個の細胞の割合で植え付ける。
トランスフェクションから14日後、ウエル当たり培養上澄み50〜75μlを取り除き、新鮮に植え付けたトランス相補的な細胞の新しいプレートを感染させるための接種原として使用する。この増幅ステップを3〜5回繰り返して、ウエルのそれぞれにおいて得られるウイルスのタイターの相同性を保証する。ウエルのそれぞれにおいて得られるタイターは、1ml当たり5×10と5×10の間のウイルス粒子である。プレートを遠心分離にかけて、−20℃で凍結させる。
適切な生物学的系において、これらのウイルスを直接使用することができる。細胞モデルをライブラリーを用いて感染させた後、機能的分析を決定し次いで行う。使用する細胞モデルに応じて、プロアポトーシス、アンチアンギオゲニンまたはアンチアポトーシス活性を探求することがより好ましい。ライブラリーの構築中のクローン、したがってウイルスのレイアウトによって、機能的活性と関係があるヌクレオチド配列に戻すこと、これによって新しい標的を定義することが容易になる。
実施例6 アデノウイルスゲノムを有しており、Life Technologies、Inc.(LTI、Rockville、MA、USA)によって市場に出されているGateway(登録商標)クローニングシステムと適合性があるプラスミドの構築
プラスミドpSHExplacZを生成させる;これはpIg5タイプのシャトルベクター中にCMVプロモーター、attB1部位、LacZ遺伝子、attB2部位およびSV40ポリアデニル化部位を有する(図2)。このプラスミドを得るために、LacZ遺伝子に対応し、プラスミドpSV40−lacZ(Promega)に由来するcDNAを、HindIIIおよびDraIを用いて消化し、pENTR1AのXmnIおよびEcoRV部位に挿入し、(このことはLife Technologiesによって米国特許第5,888,732号中に記載されている)、これによってプラスミドpENTR−LacZが生成する。pENTR−LacZとpDest12.2の間のLRタイプの反応(Gateway(登録商標)クローニング技術)によって、pExpLacZ(Gateway(登録商標)技術の名称)が与えられる。サブクローニングの2ステップが、pSHExplacZの最終的な単離を容易にした:pExplacZのNcoI/AseI断片を、pCA350(pIG5の誘導体)のAseIとNcoIの間に挿入し、これによってプラスミドpSHExpLacZが生成する。最後に、pSExpLacZのPacI/SalI断片を、プラスミドpIG7(pIG5の誘導体)のPacIとSalI部位の間に挿入する。最終的に、配列:CMVプロモーター、attB1部位、LacZ遺伝子、attB2部位およびSV40ポリアデニル化部位が、CMV−LacZカセットの代わりに、シャトルプラスミドpIG5中に位置する(実施例2)。このようにして得たプラスミドをpSHExpLacZと指定し、これを図9に示す。
EDRAG法(FR2,730,504)に従い、プラスミドpSHExpLacZおよびpXL2689を使用して、pAdGWExpLacZと指定されGateway(登録商標)システムと適合性があるプラスミドを次いで構築する。
Crouzet他(PNAS1997)によって記載されるプラスミドpXL2689は、プラスミドRK2の起点、テトラサイクリン耐性の遺伝子、およびE1およびE3の欠失体を有する感染性アデノウイルスゲノムを有する。プラスミドpXL2689とpSHExpLacZの組換えによってプラスミドpAdGWExpLacZが生じ、これはアデノウイルスゲノム、およびCMVプロモーター、attB1部位、LacZ遺伝子、attB2部位およびSV40ポリアデニル化部位を含む挿入体を保有している(図9)。
このようにして得られるプラスミドpAdGWExpLacZは、大腸菌ファージラムダの2箇所のattB組換え部位の間に、LacZによって表される当該の遺伝子を含み、attP部位、カナマイシン耐性の遺伝子(Kn)および大腸菌にとって致死的な遺伝子ccdBを保有するGateway(登録商標)システム(pDONR201)のドナーベクターと反応する。Gateway(登録商標)クローニング技術において使用される術語に従ってBP反応と呼ばれる、この反応から生じるプラスミドをpAdDEST(指定プラスミド)と指定し、これを図10に示す。
最後に、attR1およびattR2部位のために、プラスミドpAdDESTはGateway(登録商標)システムのエントリークローンと反応し、このクローンはいわゆるLR反応によるattL1およびattL2組換え部位によって囲まれた当該の挿入体を保有する。結果として生じるプラスミドをpAdExpと指定し、これは完全なアデノウイルスゲノムおよび当該の挿入体を保有している(図11)。
Figure 0005260815
本発明の原理を示す図である。 シャトルプラスミド中で構築されたcDNAライブラリーに由来するcDNAを保有する、96の組換えアデノウイルスの同時生成を示す図である。 本発明による親プラスミドを得るためのEDRAG技術(Crouzet他)の使用を示す図である。 親プラスミドの異なる形のマップを示す図である。 LacZ遺伝子を発現するためのカセットを保有する組換えアデノウイルスゲノムを得るための、本発明の方法の使用を示す図である。 3つの異なるシャトルプラスミドによってアデノウイルスゲノムを得るための、本発明の方法の使用を示す図である(pIG5:LacZ遺伝子を発現するためのカセットを保有する、プラスミドpIG18:ルシフェラーゼ遺伝子を発現するためのカセットを保有する、pIG7:いかなる発現カセットも有していない)。 アデノウイルスベクターを得て、その後プラスミドpAd17−01の異なるクローンを293の生産者細胞にトランスフェクションするための本発明の方法の使用を示す図である。 シャトルプラスミドpTA00中のcDNAのプライマリーライブラリーによって生じた、アデノウイルスゲノムのライブラリーを得るための本発明の方法の使用を示す図である。 発現プラスミド、すなわちpAdGWExpLacZの獲得を示す図である。 デスティネーションプラスミド、すなわちpAdDESTを得るためのいわゆるBP反応の使用を示す図である。 いわゆるLR反応による、当該の挿入体を保有するアデノウイルスプラスミドpAdExpの獲得を示す図である。

Claims (39)

  1. アデノウイルスの製造方法であって、
    a)少なくとも1つの異種核酸を含む第1の切断型(truncated)組換えアデノウイルスゲノムを含む第1のプラスミド(「シャトル」プラスミドと言う)を構築するステップ、
    b)この第1のプラスミドを、前記第1のゲノムと相補的な第2の切断型組換えアデノウイルスゲノムを含む第2のプラスミド(「親」プラスミドと言う)とin vitroの宿主細胞中で接触させて、相同的組換えにより、完全な組換えアデノウイルスゲノムを含む最終プラスミドの製造を可能にするステップ、および
    c)線状の完全な組換えアデノウイルスゲノムを最終プラスミドから切り出して、カプシド形成細胞系に導入し、完全な組換えアデノウイルスゲノムを組み込んだ組換えアデノウイルスを製造するステップ
    を含む前記方法。
  2. 製造された組換えアデノウイルスを用いて、
    核酸の性質を分析する目的では、細胞を含む生物学的材料(ヒトの生体を除く)に;
    異種核酸によってコードされるタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドを製造する目的では、in vitroまたはex vivoの細胞培養物に;および
    異種核酸によってコードされるタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドをin vivoで製造する目的では、ヒト以外の細胞、組織、器官または生物に;
    感染させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. ステップa)において、第1の切断型ゲノムが、ITR、異種核酸、アデノウイルス相同性領域、また、適宜、カプシド形成配列を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記ITRが、アデノウイルスゲノムには存在しない制限酵素認識部位により隣接されていることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. ステップb)において、第2の切断型アデノウイルスゲノムが、少なくとも1つのITR、第1の切断型アデノウイルスゲノム中に存在するのと同一のアデノウイルス相同性領域、およびカプシド形成配列が第1の切断型アデノウイルスゲノムに存在しない場合はカプシド形成配列を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  6. 前記ITRが、アデノウイルスゲノムには存在しない制限酵素認識部位により隣接されていることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. アデノウイルス発現ライブラリーの作製を目的とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. アデノウイルスITR、異種核酸もしくは異種核酸の挿入部位およびアデノウイルス相同性配列を含む切断型アデノウイルスゲノムを含み、前記アデノウイルスITRがアデノウイルスゲノムには存在しない制限酵素認識部位により隣接されていることを特徴とするシャトルプラスミド。
  9. 前記切断型ゲノムが、5’→ 3’の方向に、アデノウイルスITR、アデノウイルスカプシド形成部位、異種核酸もしくは異種核酸の挿入部位およびアデノウイルス相同性配列を含むことを特徴とする、請求項8に記載のプラスミド。
  10. 前記アデノウイルス相同性配列が、野生型または縮重アデノウイルスタンパク質pIXをコードする配列の全部または一部を含むことを特徴とする、請求項9に記載のプラスミド。
  11. 前記切断型ゲノムが、左側ITRからpIXおよび/またはIva2タンパク質をコードする領域の末端まで、アデノウイルスゲノム配列を含み、この左側ITRからpIXおよび/またはIva2タンパク質をコードする領域の末端までの領域において、E1領域の全部または一部を欠失しており、このE1領域の全部または一部を欠失している領域へ異種核酸が挿入されていることを特徴とする、請求項10に記載のプラスミド。
  12. 前記切断型ゲノムが、5’→ 3’の方向に、アデノウイルス相同性配列、異種核酸およびアデノウイルスITRを含むことを特徴とする、請求項8に記載のプラスミド。
  13. 前記アデノウイルス相同性配列がアデノウイルスpIXタンパク質をコードする配列の全部または一部を含むことを特徴とする、請求項12に記載のプラスミド。
  14. 前記切断型ゲノムが、pIXタンパク質をコードする領域から右側ITRまで、アデノウイルスゲノム配列を含み、このpIXタンパク質をコードする領域から右側ITRまでの領域がアデノウイルス配列に加えてまたはアデノウイルス配列に置換して挿入されている異種核酸を含むことを特徴とする、請求項12または13に記載のプラスミド。
  15. pIXタンパク質をコードする領域が野生型アデノウイルス配列であることを特徴とする、請求項10、11、13または14のいずれか一項に記載のプラスミド。
  16. pIXタンパク質をコードする領域が縮重型のアデノウイルス配列であることを特徴とする、請求項10、11、13または14のいずれか一項に記載のプラスミド。
  17. 異種核酸が生物学的生成物をコードすることを特徴とする、請求項8から16のいずれか一項に記載のプラスミド。
  18. 異種核酸が核酸ライブラリーからのクローンであることを特徴とする、請求項8から16のいずれか一項に記載のプラスミド。
  19. さらに抗生物質抵抗性遺伝子および複製起点を含むことを特徴とする、請求項9に記載のプラスミド。
  20. 請求項8から19のいずれか一項に記載のプラスミド中にクローン化された核酸ライブラリー。
  21. 請求項8から19のいずれか一項に記載のシャトルプラスミド中に存在する切断型ゲノムと相補的である切断型アデノウイルスゲノムを含み、当該切断型アデノウイルスゲノムがアデノウイルスゲノムには存在しない制限酵素認識部位により隣接されているITRを含むことを特徴とする親プラスミド。
  22. さらに抗生物質抵抗性遺伝子および複製起点を含むことを特徴とする、請求項21に記載のプラスミド。
  23. 請求項8から19および21から22のいずれか一項に記載のプラスミドを1つまたは複数保有することを特徴とする細胞。
  24. アデノウイルスライブラリーの作製方法であって、
    請求項8から19のいずれか一項に記載のシャトルプラスミド中にプライマリーライブラリーを構築すること、
    請求項21または22に記載の親プラスミドの存在下、細菌培養物を前記プライマリーライブラリーを用いて形質転換すること、および
    形質転換された細菌培養物から得られたプラスミドまたは、該プラスミドから酵素消化により切り出して得た完全なアデノウイルスゲノムを、アデノウイルス産生細胞に導入すること
    を含む前記方法。
  25. ライブラリー中のクローンを分析する目的で、細胞を含む生物学的材料(ヒトの生体を除く)に感染させることをさらに含む、請求項24に記載の方法。
  26. プライマリーライブラリーが、cDNA、gDNAまたは合成DNAのライブラリーから調製されることを特徴とする、請求項24または25に記載の方法。
  27. プライマリーライブラリーが、ランダムまたはセミランダムなオリゴヌクレオチドのライブラリーから調製されることを特徴とする、請求項24または25に記載の方法。
  28. プライマリーライブラリーが、DNAに結合可能なポリペプチド配列をコードする核酸ライブラリーから調製されることを特徴とする、請求項24または25に記載の方法。
  29. ライブラリー中のクローンを個別に処理することを特徴とする、請求項24から28のいずれか一項に記載の方法。
  30. プライマリーライブラリー中のクローンを個別に、マイクロプレートにおいて、細菌培養物にトランスフェクトさせることを特徴とする、請求項29に記載の方法。
  31. 細菌培養物が親プラスミドを保有するものであることを特徴とする、請求項30に記載の方法。
  32. ライブラリー中のクローンの機能の研究を目的とする、請求項24から31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 遺伝子の探索を目的とする、請求項24から31のいずれか一項に記載の方法。
  34. 核酸またはタンパク質の生物学的機能を決定するために、製造された組換えアデノウイルスをヒトの生体外で使用することをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  35. 機能および/または構造が未知の核酸を分析するために発現ライブラリーを構築することを目的として、製造された組換えアデノウイルスをヒトの生体外で使用することをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  36. 少なくとも1つの異種核酸を含む第1の切断型アデノウイルスゲノムを含むシャトルプラスミドと、
    前記第1のゲノムと相補的な第2の切断型アデノウイルスゲノムを含む親プラスミドと
    を含み、これら2種のプラスミドが、2種の切断型アデノウイルスゲノム間の相同的組換えにより、線状の完全な組換えアデノウイルスゲノムであって前記ゲノム中には存在しない1つまたは複数の制限酵素認識部位によって隣接されたゲノムを含む最終プラスミドを生成し得るものであるキット。
  37. 第1のプラスミドが原核生物プラスミドである、請求項1に記載の方法。
  38. 抗生物質がカナマイシンであり、複製起点がRK6である、請求項19に記載のプラスミド。
  39. 抗生物質がテトラマイシンであり、複製起点がRK2である、請求項22に記載のプラスミド。
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