JP2002526031A - 機能的ゲノム適用にライブラリーを使用される遺伝子機能に関する高度処理能力スクリーニング法 - Google Patents

機能的ゲノム適用にライブラリーを使用される遺伝子機能に関する高度処理能力スクリーニング法

Info

Publication number
JP2002526031A
JP2002526031A JP2000553572A JP2000553572A JP2002526031A JP 2002526031 A JP2002526031 A JP 2002526031A JP 2000553572 A JP2000553572 A JP 2000553572A JP 2000553572 A JP2000553572 A JP 2000553572A JP 2002526031 A JP2002526031 A JP 2002526031A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
adenovirus
nucleic acid
cells
dna
library
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000553572A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3672494B2 (ja
Inventor
ショウテン,ゴヘルト
フォーゲルス,ロナルド
ボウト,アブラハム
エス,ヘルムート ファン
Original Assignee
イントロゲーネ ビー.ブイ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by イントロゲーネ ビー.ブイ filed Critical イントロゲーネ ビー.ブイ
Publication of JP2002526031A publication Critical patent/JP2002526031A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3672494B2 publication Critical patent/JP3672494B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/10Processes for the isolation, preparation or purification of DNA or RNA
    • C12N15/1034Isolating an individual clone by screening libraries
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/85Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for animal cells
    • C12N15/86Viral vectors
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2710/00MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA dsDNA viruses
    • C12N2710/00011Details
    • C12N2710/10011Adenoviridae
    • C12N2710/10311Mastadenovirus, e.g. human or simian adenoviruses
    • C12N2710/10341Use of virus, viral particle or viral elements as a vector
    • C12N2710/10343Use of virus, viral particle or viral elements as a vector viral genome or elements thereof as genetic vector
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2830/00Vector systems having a special element relevant for transcription
    • C12N2830/42Vector systems having a special element relevant for transcription being an intron or intervening sequence for splicing and/or stability of RNA

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 新規な手段とそれらを使用するための諸方法が1つあるいはそれ以上のサンプル核酸の産物の機能を測定するために提供される。サンプル核酸は、合成オリゴヌクレオド、DNA、cDNAであり、またポリペプチド、アンチセンス核酸あるいはGSEをコード化する。サンプル核酸は宿主の少なくとも1つの表現型を変えるためにビーイクルにより宿主で発現する。サンプル核酸によりコード化される産物に対して生物学的機能を対応させる1つの手段として、改変表現型が同定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【従来の技術】
(発明の背景) 本発明は、サンプル核酸とその産物の機能を同定するための高度処理能力を有
する方法に関する。本発明は、サンプル核酸の産物を機能させるよう高度処理能
力設定で組換えアデノウイルスベクターを産生するために、E1欠失プラスミド
をベースとする生成システムと組み合わせたE1相補性アデノウイルスパッケー
ジング細胞系列PER.C6の使用により例示される。
【0002】 ヒトゲノム計画の最終目標は、ヒトゲノム全体を配列決定することである。こ
の努力により予想される結果はヒトにおいて発現される7万〜10万の遺伝子の
正確な遺伝子地図である。しかし、ヒトコード配列のかなり完全な一覧表が近い
うちに公表されて入手可能になる可能性が大きい。1980年代初頭以来、非常
に多くのEST(Expressed Sequence Tags;cDNA分子の末端から読み出され
た部分DNA配列)が政府および民間研究機関の両方により得られてきた。ワシ
ントン大学ゲノム配列決定センターおよびIMAGE(Integrated Molecular A
nalysis of Gene Expression;遺伝子発現の組込み分子分析)会議(http:/www-b
io.llnl.gov/bbrp/image/image.html)のメンバーの間の協力により実施されて
いるこうした努力の特徴は、公共のドメインへのそうした配列の急速な蓄積およ
びそれに付随していくつかの配信業者から得られるシーケンスタッグ(sequence
-tagged )されたcDNAクローンであった(Marraら, (1998)Trends Genet. 1
4 (1):4-7)。現在、cDNAのコレクションは、肝臓、脳、脾臓、B細胞、腎
臓、筋肉、心臓、消化管、網膜、視床下部を含むさまざまな組織で発現されるお
よそ5万の異なるヒト遺伝子を代表していると考えられており、またその数は日
に日に増加している。
【0003】 がんゲノム解剖計画のそれに類する、目立った動きが最近あって、1999年
までのUnigeneセット(公表されていて入手可能なcDNAクローンのセ
ット)のクローンの完全長配列を得るための努力を支援している。同時に、商業
ベースの団体が、1999年までに4万の完全長cDNAクローンを評価(再配
列決定)することを提案しており、また個々のクローンは関心をもっているいず
れの団体でも入手可能である。新規の遺伝子のコード配列が同定される速度は、
それらの遺伝子の機能が解明される速度とは非常に対照的である。データベース
のcDNAに対してそれらの機能を対応させること、あるいは機能的ゲノムは、
今日のバイオテクノロジーにおける1つの主要な挑戦となっている。
【0004】 数十年間、新規の遺伝子は生物学的プロセスあるいは遺伝性疾患およびその同
定よりも重要である遺伝子の機能を説明するために計画された研究の結果として
同定された。機能的ゲノムにおいては、遺伝子のコード配列はまずクローン化さ
れ、また配列決定され、またその配列はその後に機能を見出すために使用される
。ショウジョウバエ、C.elegans、ゼブラフィッシュなどのほかの生物
体が基本的な遺伝子の分析には高度に有用であり、複雑な哺乳動物の生理学的形
質(血糖、心血管系疾患、炎症)に関しては、動物モデル系列が欠かせない。し
かし、再生産の速度が遅いこと、また動物モデルの飼育収容コストの高さが、遺
伝子の機能的な高度処理能力分析には主要な制約となっている。労働集約的な努
力が、遺伝子機能の解明を可能にする表現型あるいはヒト疾患に関連している研
究における化学的にあるいは遺伝子工学的処理により変異した(標識された)遺
伝子によりマウス株のライブラリーを確定するために努力が行われているが、哺
乳動物遺伝子の完全なスペクトルの系列立った分析は、それがヒトあるいは動物
に関するものにせよ、1つの意義のある課題である。
【0005】 配列データの量に遅れないようにするため、機能的ゲノムの分野では、真のゲ
ノム機能の高度な処理能力の分析を行う能力が必要とされている。最近、遺伝子
発現に特異的な組織と細胞を遺伝子機能に結び付けるように設計された数々の技
術が開発されてきている。これら技術には、cDNAマイクロアレー、遺伝子チ
ップ技術、ディファレンシャルディスプレイmRNAが含まれる。SAGE(遺
伝子発現連続分析;Serial Analysis of Gene Expression)あるいはmRNAの
ディファレンシャルディスプレイにより、腫瘍組織では発現するが、各正常ある
いは健常組織にはない遺伝子を同定することができる。このように、調節機能を
有する潜在的な遺伝子が、少量薬剤スクリーニングあるいは遺伝子治療計画に有
用であるという機会がより少ない、普遍的に発現される過剰な遺伝子から選択す
ることができる。遺伝子チップ技術は、たった数時間のうちに、非常に数の多い
遺伝子の細胞におけるmRNA発現レベルの測定により遺伝子発現のモニタリン
グを可能にする潜在能力を有している。さまざまな条件下で培養される細胞は、
mRNA発現パターンに関して分析され、比較することができる。現在では、4
万の非冗長ヒト遺伝子を伴うDNAマイクロアレイチップが生産されており、ま
た1999年には市場に登場する計画がある(特集頁(1998)Nat. Genet. 18 (
3):195-7)。しかし、これらの技術は本来的には、がん細胞をスクリーニングす
るために設計されているもので、特定の遺伝子機能に関してスクリーニングする
ために設計されているわけではない。
【0006】 二重あるいは三重ハイブリッドシステムもまた、ゲノムデータベースに機能的
なデータを付け加えるために使用されている。これらの技術測定法は、酵母ある
いは哺乳動物細胞におけるタンパク質−タンパク質、タンパク質−RNA、ある
いはタンパク質−DNA相互作用に関して測定するために使用される(BrentとF
inley (1997) Annu. Rev. Genet. 31:663-704)。しかし、この技術は、分化、
運動性、シグナル形質導入、酵素および輸送活動などのほかの遺伝子機能の数々
に関しては測定するための手段を提供してはいない。酵母発現システムは、 哺
乳動物起源の天然に分泌されるものおよび膜タンパク質に関してスクリーニング
するのに使用されるものが開発されている(Kleinら, (1996)Proc. Natl. Acad.
Sci. USA 93 (14):7108-13)。このシステムはまた、大きなライブラリーを特
定の遺伝子および遺伝子産物の同定に助けとなるある種の特性をもったライブラ
リーへの分解を見込んでもいる。このシステムの短所は、主として分泌タンパク
質をコードする遺伝子が選択されることである。第2に、この技術は異種発現シ
ステムとしての酵母をベースにしており、またしたがって、偏ったライブラリー
に結果的になる、適切に折り込まれているのではない遺伝子産物が存在すること
であろう。
【0007】 ほかの現在の戦略には、トランスジェニックマウスあるいはノックアウトマウ
スの作成が含まれる。こうしたアプローチによる遺伝子発見の成功例は、オステ
オプロテジェリン(osteoprotegerin) 遺伝子の同定である。DNAデータベース
は、同族体の遺伝子にコードされる分泌タンパク質を示唆する特徴を備えたES
Tを選択するためにスクリーニングされた。その遺伝子の生物学的機能が、肝特
異的プロモーターの制御下に対応する完全長cDNAを置くことにより評価され
た。こうしたコンストラクトのそれぞれについて作成されたトランスジェニック
マウスは結果的には、該当するタンパク質の高いプラズマレベルを有している。
引き続き、トランスジェニック動物は定性的および定量的な表現型の研究調査の
総合的試験にかけられた。マウスのなかにトランスフェクションされた遺伝子の
1つが、骨密度が増加したマウスを産み、それが、その後に、潜在能力のある抗
骨粗鬆症因子の発見につながった(Simonetら, (1997) Cell. 89 (2):309-19)。
こうした方法は、コストがかかり、また非常に時間を費やすものであるという短
所を有している。
【0008】 機能的ゲノムにおける挑戦は、上述されたすべての技術を開発し、磨き上げ、
また、いかに遺伝子機能が細胞の代謝および新規な製剤の開発のなかで使用する
ために注入されるこの知識のための手段を構成しているかの青写真の発展を準備
するよく発展させたデータベースにおける既存のデータとその結果を総合するこ
とである。現在の技術には制約があり、また真の機能的なデータを必ずしも生じ
てはいない。したがって、適当なin vitro測定システムと動物モデルにおいて高
度な処理能力が設定されている、遺伝子のコレクション(遺伝子プールあるいは
個々のクローン)から単一の遺伝子機能の直接的な測定を見込んだ方法に対する
需要がそこにはある。
【0009】 高度な処理能力スクリーニングの開発は、JayawickremeとKost, (1997) Curr.
Opin. Biotechnol. 8:629-634のなかで論じられている。稀に転写される分化発
現遺伝子に関する高度な処理能力のスクリーニングが、von Steinら、(1997) Nu
cleic Acids Res. 35:2598-2602のなかで説明されている。高度な処理能力によ
り遺伝子型別に分けることは、Hallら, (1996) Genome Res. 6:781-790のなかに
開示されている。トランスドミナント細胞内エフェクターペプチドおよびRNA
分子はNolan, PCT国際公開第WO 97/ 27212号、第WO 97/ 27213号に開示され
ている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで使用される諸方法と成分は、プラスミドをベースにするE1欠損アデノ
ウイルスベクターシステムおよびE1相補性宿主細胞を使用して、機能が未知の
サンプル核酸の機能を高度な処理能力の設定で、直接的に、迅速にまた曖昧な点
のないように測定するために提供される。その方法には、cDNA、DNA、E
ST、遺伝子、合成オリゴヌクレオチドあるいは核酸のライブラリーのセットを
E1欠損アダプタープラスミドに挿入することによりアダプタープラスミドのセ
ットを構築する工程と、アダプターブラスミドのセットあるいはライブラリーお
よびアダプタープラスミドのセットのなかにある配列に相同性である配列を有す
るプラスミドとともにE1相補性細胞系列をコトランスフェクションする工程と
が含まれ、その方法にはまた、好ましくは、小型化した、高度な処理能力を有す
る設定において、組換え体アデノウイルスベクターのセットあるいはライブラリ
ーを産生するための複製およびパッケージングにするために必要であって、相補
性細胞系列あるいはアダプタープラスミドにより提供されることがないすべての
アデノウイルスが含まれる。サンプル核酸によりコードされる産物を同定し、ま
た機能を対応させるために、宿主は、サンプル核酸の産物を発現し、それによっ
て宿主の表現型を改変する組換えアデノウイルスベクターを高度な処理能力を有
する設定で形質導入される。改変された表現型は同定され、また、サンプル核酸
によりコードされる産物に機能を対応させるために基礎的なものとして使用され
る。プラスミドをベースとしたシステムは、高度な処理能力を有するスクリーニ
ングのために好適にはRCAが遊離したアデノウイルスベクターライブラリーを
迅速に産生するのに使用される。この方法の各ステップは複数ウエルフォーマッ
トで実施することができ、またこのシステムの容量をさらに増加するために自動
化することができる。この高度な処理能力システムは、in vitroおよびin vivo
でのヒトおよびほかの生物体から得られる非常に多数のサンプル核酸の発現分析
を容易にし、また当分野におけるそのほかの入手可能な技術を上回って著しく改
良されている。
【0011】
【発明の実施の形態】
1つの態様において、本発明は、多数の区画を有する発現可能な核酸のライブラ
リーを提供するものであり、各区画が、前記ライブラリーの少なくとも1つの核
酸を有する少なくとも1つのビーイクルを有している。これにより、前記ビーイ
クルは、その核酸を発現させることができるように、細胞のなかに前記少なくと
も1つの核酸を非常に効率的に導入することができる。前記ライブラリーの1つ
の長所は、前記ライブラリーが非常に効率的に細胞のなかに導入できることであ
る。前記ライブラリーのもう1つの長所は、各区画が少なくとも1つの核酸を有
する、多数の区画を有することである。前記ライブラリーは、細胞のなかで発現
させた核酸の効果を研究するのに好んで使用される。このアーキテクチュアを備
えたライブラリーは、細胞内で発現させるときにある一定の効果を発揮する少な
くとも1つの核酸を有するそうした区画を迅速に選択するのに好んで使用するこ
とができる。区画が、たった1つの核酸を有する場合には、その核酸は効果を発
揮することがわかる。1つの区画が1つよりも多い核酸を有する場合には、その
1以上の核酸のうちの少なくとも1つは、効果を発揮することがわかる。どの区
画が、ある一定の効果を発揮することができる核酸を有するかを知ることの有利
性は、前記区画がかなり少ない異なった核酸を有する場合により大きく、また、
前記区画が、たった1つの核酸を有する場合には、それが最高となる。とくに大
きなライブラリーでは、区画毎の異なる核酸の数を正確に知っていることもまた
長所となる。
【0012】 発現可能な核酸は、タンパク様分子、RNA分子あるいはDNA分子をコードす
る核酸などのいずれかの発現可能な核酸でありうる。 1つの好適な実施態様においては、前記ビーイクルは、ウイルスエレメント、あ
るいは機能的部分、その誘導体および/またはその類似体を有する。ウイルスエ
レメントは、アデノウイルスに限定するものではないが、そうしたものなどの外
被(enveloped)レトロウイルス粒子あるいは非外被(non−env
eloped)ウイルスのウイルスキャプシドに限定されないが、そうしたウイ
ルス粒子を包含する。一つのウイルス粒子は、1つの細胞のなかに前記少なくと
も1つの核酸を容易に効率よく導入することが可能であるので好ましい。ウイル
スエレメントはまた、細胞のなかで前記ライブラリーの増幅を可能にするウイル
ス核酸を含むことができる。ウイルスエレメントは、前記ビーイクルがウイルス
粒子である場合には、1つのビーイクルのなかに前記少なくとも1つの核酸をパ
ッケージングすることを可能にするウイルス核酸を含むことができる。
【0013】 1つの好適な実施態様においては、前記ウイルスエレメントは1つのアデノウイ
ルスから由来する。好適には、前記ビーイクルは1つのアデノウイルスキャプシ
ドのなかに詰め込まれたアデノウイルスベクターを有する。 細胞は、いかなる種類のものもありうる。例えば、前記ライブラリーが潜在的な
治療的価値を備えた核酸の存在に関してスクリーニングされる場合には、前記細
胞は好ましくは、真核細胞であり、好適には哺乳動物の細胞である。
【0014】 1つの実施態様においては、少なくとも1つの区画は、前記少なくとも1つのビ
ーイクルの少なくとも2つを有する。とくに、大きなライブラリーに限定される
わけではないが、行う必要のあるスクリーニング測定の数を少なくとも部分的に
減らすために、区画の数を減らすことは長所となる。例えば、そうしたケースで
は、1つよりも多いビーイクルを有するライブラリーが提供される。スクリーニ
ング測定に引き続いて、ある一定の効果がある一定の区画に相関している場合に
は、前記区画のなかの前記ビーイクルは、その発現が効果を発揮する核酸を有す
るビーイクルを選択するために、付加的なスクリーニング測定において、別に分
析されることができる。他方ではしかし、1つの区画のなかにビーイクルが1つ
よりも多く存在することは、もう1つの設定のなかで使用するのに都合がよいと
考えられる。例えば、区画毎に1つのビーイクルを含む1つのライブラリーが、
1つの特定のほかの核酸と組み合わせて効果を発揮することができる核酸に関し
てスクリーニングされる場合である。前記ほかの核酸は、その後に、そのスクリ
ーニング測定を行う前に、すべての区画に対して前記特定のほかの核酸から成る
1つのビーイクルを加えることにより、前記細胞に提供することができる。同様
に、前記少なくとも1つのビーイクルは、少なくとも2つの核酸を有することが
できる。
【0015】 1つの好適な実施態様においては、アデノウイルスから誘導される前記核酸は、
アデノウイルス後期タンパク質あるいは機能的な部分、その誘導体および/また
はその類似体をコードする核酸を含む。例えば、アデノウイルス後期タンパク質
であるアデノウイルス線維タンパク質は、ある一定の細胞に対して前記少なくと
も1つのビークイルを標的にするのに、あるいは前記細胞に対して前記少なくと
も1つのビーイクルの送達の促進を誘発するために、好んで使用することができ
る。好適には、アデノウイルスから誘導される前記核酸は、アデノウイルスキャ
プシド全体あるいは機能的な部分、その類似体および/またはその誘導体の形成
を可能にするすべてのアデノウイルス後期タンパク質を主にコードする。好適に
は、アデノウイルスから誘導された前記核酸は、アデノウイルスE2A又は機能
的な部分、その誘導体および/またはその類似体をコード化する核酸を含む。好
適には、アデノウイルスから誘導された前記核酸は、少なくとも1つのE4領域
タンパク質あるいは機能的な部分、その誘導体および/またはその類似体をコー
ドする核酸を含む。したがって、細胞内のアデノウイルス誘導核酸の少なくとも
部分的な複製を容易にする。
【0016】 1つの実施態様においては、アデノウイルスから誘導される前記核酸は、少なく
とも1つのE1領域タンパク質あるいは機能的な部分、誘導体および/またはそ
の類似体をコードする核酸を含む。E1領域タンパク質をコードするアデノウイ
ルス核酸は、細胞内の前記核酸の少なくとも部分的な複製を容易にする。こうし
た複製能力は、スクリーニングが、腫瘍細胞を照射することができる発現可能な
核酸に対して行われる場合に、例えば、ある一定の適用において好まれる。こう
した場合には、例えば、腫瘍細胞を有する哺乳動物における前記ビーイクルの増
幅につながるアデノウイルス核酸の複製は、また転移腫瘍細胞の照射にもつなが
る可能性がある。一方、E1領域タンパク質をコードするアデノウイルス核酸の
存在は、例えば、細胞内の前記核酸の少なくとも部分的な増幅を容易にし、例え
ば、前記アデノウイルス核酸を有するビーイクルの増幅を容易にする。 1つの実施態様においては、前記ビーイクルはさらに、アデノ関連ウイルス末端
反復あるいは機能的部分、誘導体および/またはその類似体を含む核酸を有する
。このように、細胞のなかの前記少なくとも1つの核酸の組込みは可能となる。
1つの実施態様においては、アデノウイルスから誘導される前記ウイルスエレメ
ントは、アデノウイルスキャプシド、あるいは機能的部分、誘導体および/また
はその類似体を含む。アデノウイルスの生物学は、分子レベルにおいてもまた比
較的よく知られている。アデノウイルスベクターに対する多くのツールが開発さ
れてきて、また引き続き開発されており、したがって、アデノウイルスキャプシ
ドを本発明のライブラリーのなかに組み込むための選り抜きの好適なビーイクル
とする。アデノウイルスは広範なさまざまな細胞を感染させることができる。し
かし、異なるアデノウイルス血清型が細胞に対する異なった選好を有する。好ま
しい実施態様において、本発明のアデノウイルスキャプシドが入ることができる
標的細胞集団を組み合わせ、及び広げるために、前記ビーイクルは、少なくとも
2つのアデノウイルス由来のアデノウイルス線維タンパク質を含む。
【0017】 もう1つの態様においては、本発明は、本発明によるライブラリーのなかに存在
する少なくとも1つの核酸の少なくとも1つの機能を測定するための方法であっ
て、前記ライブラリー由来の少なくとも1つの核酸を有する少なくとも1つのビ
ーイクルにより多様な細胞に形質導入する工程と、前記少なくとも1つの核酸の
発現を見込む一方で前記細胞を培養する工程と、及びその発現された機能を測定
する工程とを有する方法を提供する。現在、さらに多くの核酸が配列決定され、
またクローン化されている。事実、核酸のクローン化と配列決定は、新たにクロ
ーン化され配列決定されている核酸の大半のものは、こうした速度で進められて
いるが、その機能が分かっていない。公知の機能を備えた核酸に関してもまた、
すべての機能が分かっているわけではない。本発明の1つの目的は、核酸の機能
を測定するための方法を提供することである。それゆえ、本発明の一つの態様に
おいては、本発明のライブラリーをスクリーニングするための方法を提供するが
、核酸の機能を評価することができるスクリーニング測定法である。こうした測
定法においては、その機能が中心的なものである。また、本発明のライブラリー
は前記機能の少なくとも一部に影響を与えることができる発現可能な核酸の存在
に関してスクリーニングされる。
【0018】 1つの好適な実施態様においては、前記多様な細胞は、多くの区画化に区分けさ
れ、各区画は前記ライブラリー由来の少なくとも1つの核酸を有する少なくとも
1つのビーイクルを有する。前記の多くの区画の数は、好適には、前記ライブラ
リーの前記数多くの区画の多様性に対応する。1つの好適な実施態様においては
、前記方法はさらに、所望される機能を有するビーイクルを選択する工程を有す
る。
【0019】 もう1つの態様においては、本発明は、細胞のなかで発現するときに、所望され
る機能を有する発現可能な核酸を得るための方法を提供するが、前記方法は本発
明によるライブラリーにおいて存在する少なくとも1つの核酸の少なくとも1つ
の機能を測定する工程を有し、前記方法は、前記ライブラリー由来の少なくとも
1つの核酸を有する少なくとも1つのビーイクルにより多様な細胞に形質導入す
る工程と、前記少なくとも1つの核酸の発現を見込む一方、前記細胞を培養する
工程と、発現させた機能を測定する工程とを有する。
【0020】 もう1つの態様においては、本発明は、各区画が少なくとも1つの核酸送達ビー
イクルを有し、各区画が少なくとも1つの核酸から成る数多くの区画を有する1
つのライブラリーを産生するための方法を提供し、前記方法は、少なくとも1つ
の核酸によりビーイクル核酸を組み換える工程を有し、それによって、発現可能
な方法で、細胞に前記少なくとも1つの核酸を送達することができるビーイクル
を産生する。核酸の発現に関しては、当技術分野では周知の数多くの分子エレメ
ント、たとえば、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、翻訳
開始、停止シグナルなどの分子エレメントに限定されるわけではないが、それら
が必要となり、および/または、使用される。
【0021】 前記組換えは、PCRおよびNASBAなどの分子クローニングおよび/または
ポリメラーゼ仲介増幅技術といった手段などのいずれかの手段により、行うこと
が可能である。しかし、前記組換えは好適には、ビーイクル核酸において少なく
とも部分的に重複している配列と前記少なくとも1つの核酸の間の相同組換えを
含む。とくに、大きなウイルス由来核酸の創製には、相同組換えが好ましい。好
適には、前記ビーイクル核酸および/または前記少なくとも1つの核酸は、アデ
ノウイルス核酸あるいは機能的部分、その誘導体および/またはその類似体を含
む。1つの実施例においては、前記アデノウイルス核酸は、非ヒト霊長類細胞に
おいてアデノウイルスを複製することができる宿主域変異を含む。
【0022】 1つの態様においては、本発明は、本発明の方法により得ることができるライブ
ラリーを提供する。 本発明はさらに、本発明の1つのライブラリーのなかに存在する少なくとも1つ
の核酸の少なくとも1つの機能を測定するための本発明の方法により得ることが
できるライブラリーの使用法を提供する。
【0023】 本発明はさらに、前記ビーイクルを細胞に供給する工程と、前記ビーイクルの増
幅を可能にする前記細胞を培養する工程と、前記細胞により増幅されるビーイク
ルを収集する工程とを、本発明の1つのライブラリーのなかに存在するビーイク
ルを増幅するための方法において、提供する。好適には、前記細胞は霊長類の細
胞である。このように、前記ビーイクル核酸の複製を可能にするウイルスエレメ
ントを含むビーイクルの増幅を可能にする。好適には、前記細胞はアデノウイル
スE1領域タンパク質をコードする核酸を含む。このように、E1領域の少なく
とも一部分の機能的欠失を有するアデノウイルス核酸を有するアデノウイルスに
由来するウイルスエレメントを有するビーイクルの増幅を、とりわけ可能にする
。好適には、前記細胞は、PER.C6細胞(ECACC寄託番号960229
40)あるいは機能的なその誘導体および/またはその類似体である。前記PE
R.C6細胞あるいはその機能的誘導体および/またはその類似体における前記
アデノウイルス核酸と染色体核酸が、複製コンピテントアデノウイルスの形成に
つながる前記アデノウイルスと染色体核酸間の相同組換えを可能にする配列重複
を有していない例のなかで、PER.C6細胞あるいはその機能的誘導体および
/またはその類似体は、複製コンピテントな(複製応答能を有する)アデノウイ
ルスに付随する産生を伴うことなく、E1コード領域の欠失したアデノウイルス
核酸の複製を可能にする。
【0024】 好適には、前記細胞はさらに、アデノウイルスE2Aおよび/またはアデノウイ
ルスE4領域タンパク質あるいは機能的部分、その誘導体および/またはその類
似体をコードする核酸を含む。このように、アデノウイルスE2Aおよび/また
はアデノウイルスE4領域タンパク質をコードする核酸の機能的欠失したアデノ
ウイルス核酸の複製を可能にし、それによって、アデノウイルスE2Aおよび/
またはアデノウイルスE4領域タンパク質あるいは機能的部分、誘導体および/
またはその類似体をコードする核酸を有しない細胞、例えば、ある一定の機能を
表示することができる細胞のなかの前記アデノウイルス核酸の複製を阻害する。
【0025】 1つの実施例においては、ビーイクル核酸は、E1領域コードタンパク質が存在
しない場合に複製することができるビーイクル核酸の形成につながる、前記細胞
のなかに存在するほかの核酸との配列重複を有してはいない。
【0026】 本発明はさらに、前記多様な区画が複数ウエルフォーマットを含む、本発明によ
るライブラリーあるいは本発明による方法を提供する。複数ウエルフォーマット
は、本発明の諸方法の少なくとも一部分の自動化実施には非常に適している。
【0027】 1つの態様においては、本発明は、前記少なくとも1つの核酸が機能未知の産物
をコードするライブラリーを提供する。 本発明のライブラリーおよび/または本発明の諸方法は、好適には、少なくとも
実質的に自動化された設定において使用される、あるいは実施される。
【0028】 本発明はさらに、本発明によるライブラリーを含む多様性のある細胞を提供する
。 本発明は、サンプル核酸の発現産物に機能を対応させる1つの手段として、宿主
の表現型を改変するために、宿主のなかのアデノウイルスベクターライブラリー
の高度な処理能力を備えたスクリーニングにより追跡される1つあるいはそれ以
上のサンプルを含む組換え体アデノウイルスベクターライブラリーの高度処理能
力を備えた生成法を使用する。E1欠失アデノウイルスのライブラリーは、核酸
コンストラクトと形質転換相補性的パッケージング細胞を使用して、高度な処理
能力を備えた設定において創製される。サンプル核酸ライブラリーは、明確に定
義されたあるいは定義されていない配列のセットでありうるし、あるいは定義さ
れていない、あるいは定義された配列のプールでありうる。第1の核酸コンスト
ラクトは相対的に小さく、また、操作可能な形態で少なくとも左ITR、パッケ
ージングシグナル、及び発現カセットを有するアダプタープラスミドを、サンプ
ル核酸とともに操作するのが容易である。 第2の核酸コンストラクトには、各ほかのおよび/または第1のコンストラクト
における配列と部分的に重複する1つあるいはそれ以上の核酸分子が含まれてお
り、また、アダプタープラスミドあるいはパッケージング細胞によっては提供さ
れない組換えアデノウイルスの複製およびパッケージングのために必要な少なく
ともすべてのアデノウイルス配列が含まれる。第2の核酸コンストラクトは、ウ
イルス生成に必要な配列、および/またはE2A、E3および/またはE4領域
配列のほかに、E1領域配列および任意にはE2B領域配列において欠失を引き
起こしている。パッケージング細胞のなかへの第1および第2の核酸コンストラ
クトのコトランスフェクションは、第1および第2の核酸コンストラクトにおけ
る重複配列の間、および、それが1つの核酸分子以上のものから作り上げられて
いる場合には、第2のコンストラクトの間での相同組換えにつながる。一般的に
は、その重複配列は、5000 bp以上ではなく、またウイルス産生に欠かせ
ないE2B領域配列を包含する。組換えウイルスDNAは、組換え体アデノウイ
ルスベクターライブラリーを産生するためにE1相補性パッケージング細胞にお
いて複製および増幅することができるE1欠失により生成される。アデノウイル
スベクターライブラリーは、その生物学的活性の検出と分析を可能にするために
、サンプル核酸によりコードされる産物の十分な発現を可能にするように増殖さ
れる高度処理能力を備えた設定における宿主のなかに導入される。宿主は、in
vitroの細胞あるいは動物あるいは植物モデルでありうる。サンプル核酸
によりコードされる産物の十分な発現はその宿主の表現型を改変する。生物学的
活性に関するin vitroおよびまたはin vivoでのさまざまな測定法
のいずれかを使用して、改変された表現型が同定され、また分析され、機能はそ
れによって、サンプル核酸の産物に対応付けられる。本出願において説明されて
いるプラスミドをベースにするアデノウイルスベクターシステムは、ヒト疾患に
適用可能な新規な遺伝子に関してスクリーニングするのに使用することができる
大きな遺伝子転移ライブラリーの作成が提供される。特定のアデノウイルス仲介
形質導入による有用あるいは有益な生物学的効果の同定により、結果的には、ヒ
ト疾患の治療に対する小さな分子薬剤のための有用な遺伝子治療用産物あるいは
標的を得ることができる。
【0029】 現在入手可能な技術を上回る長所が、対象となっている本発明にはいくつかある
。プロセス全体では96ウエルあるいはそのほかの複数ウエルフォーマットにお
いて実施される場合にはとくに自動化に適合している。数多くの異なるin v
itro測定法を使用した高度な処理能力を備えたスクリーニングは、かなり短
い時間で機能情報を効率的に得る手段を提供する。in vitroあるいはi
n situで宿主に所望される表現型を示すあるいは導入する組換えアデノウ
イルスライブラリーの構成員(単数/複数)は、組換えアデノウイルスベクター
の管理可能な数あるいは動物モデルにおいてin vitroで試験することが
できるクローンにそのライブラリーを分解するために同定される。
【0030】 対象となっている本発明のもう1つの明確な長所は、本諸方法がRCA遊離アデ
ノウイルスライブラリーを産生することである。ライブラリーを通してRCA汚
染が、とくに、複数のスクリーニング計画で使用されるライブラリーが継続的に
増幅されている場合には、主要な障害となる可能性がある。さらに対象となる本
発明の長所は、プロセスに関係しているステップの数を少なくしている点である
。対象となっている本発明の諸方法は、高度な処理能力を備えたスクリーニング
計画において使用する前に、各個々のアデノウイルスのクローニングを必要とす
ることはない。ほかのシステムには、ベクター生成に必要な、さまざまなアデノ
ウイルスプラスミドに対して相同組換えを達成するために、E.coliにおい
て1つあるいはそれ以上のステップが含まれる(Chartierら, (1996)J. Viro. 7
0(7):4805-4810;Crouzetら, (1997)Proc. Natl. Acad. Sci. 94(4):1414-1419;H
eら, (1998)Proc. Natl. Acad. Sci. 95(5):2509-2514)。アデノウイルス組換
えおよびアデノウイルスベクター生成に使用されてきて、また、ヒト細胞におけ
る相同組換えをベースにしているもう1つのプラスミドシステムは、プラスミド
のpBHGシリーズである。しかし、これは293細胞で使用されており、その
プラスミドはE1配列との重複を有しており、それに加えて、そのプラスミドの
不安定性につながる2つのITRをプラスミドpBHGは一緒に近しく含んでい
る。すべてこれらの特徴は望ましいものではなく、またRCA産生あるいはそう
でなければ、欠陥の多いアデノウイルスベクター産生につながる(Bettら,(1994
)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91 (19):8802-8806)。対象となっている本発明
の組換え核酸は、これらの望ましくはない特徴を備えた構成を回避するために設
計された。 対象となっている本発明のさらに長所は、導入されたサンプル核酸の高度な発現
という結果になる、in vitroおよびin vivoでのさまざまな哺乳動
物細胞と組織における組換え遺伝子を効率的に導入し、また発現する組換えアデ
ノウイルスの能力である。静止状態の細胞に生産的に感染する能力は、さらに、
組換えアデノウイルスライブラリーの有用性を拡張する。さらに、高い発現レベ
ルが、サンプル核酸の産物(単数/複数)が、十分なレベルで発現されて、検出
されるべき宿主の表現型の変化を誘導し、かつその測定されるサンプル核酸によ
ってコードされる産物(単数/複数)の機能を許容することを保証する。
【0031】 サンプル核酸は、ゲノムDNA、cDNA、事前にクローン化されたDNA、遺
伝子、EST、合成二本鎖オリゴヌクレオチド、あるいは1つあるいは複数の関
連あるいは非関連配列から誘導される無作為な配列でありうるし、またポリペプ
チド、アンチセンス核酸あるいは遺伝抑制因子(GSE)として直接的に発現す
ることができる。サンプル核酸配列は、哺乳動物(例えば、ヒト、サル、マウス
)、魚(例えば、ゼブラフィッシュ、フグ、サケ)、線虫(例えば、C.ele
gans)、昆虫(例えば、ショウジョウバエ)、酵母、真菌、細菌、植物から
得ることができる。代替的には、サンプル核酸は商業的に入手可能なDNAシン
セサイザーおよびキットを使用して合成オリゴヌクレオチドとして作成される。
サンプル核酸と相補鎖のポリペプチドあるいは産物のオープンリーディングフレ
ームをコードする鎖は個々に作成され、また二本鎖DNAを形成するためにアニ
ーリングされる。特別なアニール化の条件は必要ない。サンプル核酸の配列は、
無作為化されるが、あるいは変異原性化あるいは組換えを促進する方法によらず
に行われる。サンプル核酸は生物学的活性が分かっていない産物をコードする。
生物学的活性という用語は、in situ、in vivo、あるいはin v
itroのいずれかで検出可能かあるいは測定可能である活性を意味することが
意図されている。生物学的活性の実施例には、改変された生存率、形態学的変化
、アポトーシス誘発、DNA合成、腫瘍発生、疾患あるいは薬物感受性、化学応
答性あるいは分泌、タンパク質発現に限定されるわけではないが、それらが含ま
れる。
【0032】 サンプル核酸には好適には、正しい配向でのベクターへの結合を容易に、また、
プロモーターにサンプル核酸を操作可能にリンクするために、適合性のある末端
が含まれる。合成二本鎖オリゴヌクレオチド結合の例では、ベクターに対して適
合性のある末端が、オリゴヌクレオチドのなかに入れるように設計することがで
きる。サンプル核酸はEST、ゲノムDNA、cDNA、遺伝子あるいは事前に
クローン化したDNAである場合には、適合性のある末端は制限酵素による消化
あるいは適当な制限酵素部位を含むDNAへのリンカーの結合により形成するこ
とができる。代替的には、ベクターはリンカーを使用することにより修飾するこ
とができる。ベクター由来のサンプル核酸の転写が所望される産物、すなわち、
ポリペプチド、アンチセンス核酸あるいはGSEを産生するように、制限酵素部
位は選択される。
【0033】 サンプル核酸が好適に導入されるベクターには、サンプル核酸のライブラリーの
挿入のためには、操作不可能な形態、ITR、少なくとも1つのクローン化部位
、あるいは好適には、マルチプルクローニングサイトが含まれ、そして、宿主に
おけるサンプル核酸の送達と発現には、転写調節構成要素が含まれる。一般的に
は、後期遺伝子発現、E2A領域配列、E3領域配列あるいはE4領域配列に必
要なそうしたもののほかには、E1領域配列、E2B領域配列は含まれない。E
1欠失送達ベクターあるいはアダプタープラスミドは、それが合成二本鎖オリゴ
ヌクレオチド、ゲノムDNA、cDNA、EST、あるいは事前にクローン化さ
れたDNAであるかどうか、サンプル核酸の直接的なクローニングのために適当
な末端を作り出すために、適当な制限酵素により、同時にか、順々にかのいずれ
かで、加水分解される。制限酵素分解は、製造業者のプロトコールに従って市販
されていて入手可能な試薬を使用して、日常的に行われ、また選択される制限酵
素によりさまざまに変化させられる。サンプル核酸の別個のセットあるいはプー
ルが、アデノウイルスベクターの産生用プラスミドの対応するセットあるいはラ
イブラリーを産生するためにE1欠失アダプタープラスミドのなかに挿入される
。アダプタープラスミドの1つの実施例は、アデノウイルスヌクレオチド1−4
58、それに続いてアデノウイルス主要後期プロモーター、機能的に単純疱疹ウ
イルスチミジンキナーゼ遺伝子にリンクされ、また続いてアデノウイルスヌクレ
オチド3511−6095により作り上げられるpMLPI.TKである。アダ
プタープラスミドの他の実施例は、pAd/L420−HSA(図1)およびp
Ad/Clip(図22)である。pAd/L420−HSAには、アデノウイ
ルスヌクレオチド1−454、マウスのHSA遺伝子にリンクされるL420プ
ロモーター、ポリAシグナル、それに続いてアデノウイルスヌクレオチド351
1−6095が含まれる。pAd/CLIPは、CMVプロモーター、マルチク
ローニングサイト、イントロン、ポリAシグナルを備えた発現カセット(L42
0−HSA)の置換によりpAd/L420−HSAから作成された。
【0034】 一旦加水分解されると、ベクターとサンプル核酸は、ゲル電気泳動法により精製
される。その核酸は、例えば、アガロース加水分解、電気溶出、溶解あるいは高
塩抽出法によりさまざまなゲルマトリックスから抽出することができる。これら
の諸方法と組み合わせて、あるいは代替的に、加水分解核酸は、クロマトグラフ
ィ(例えば、Qiagenあるいは等価のDNA結合レジン)あるいはフェノール/ク
ロロホルム抽出法、エタノール沈降法により精製することができる。最適な精製
方法は、ベクターとサンプル核酸のサイズとタイプによる。両方とも精製を行わ
ずに使用することができる。一般的には、サンプル核酸には、5’−リン酸基が
含まれ、またベクターは、核酸−ベクター結合を促進し、またベクター−ベクタ
ー結合を防ぐためにアルカリ性ホスファターゼにより処理される。サンプル核酸
が合成オリゴヌクレオチドである場合には、5’−リン酸基が化学的あるいは酵
素的な手段により加えられる。結合に際しては、サンプル核酸(挿入)のベクタ
ーDNAに対するモル比は、およそ10:1〜0.1:1の範囲である。結合反
応は、T4−DNAリガーゼあるいは、二本鎖DNAライゲーションを触媒する
いずれかのほかの酵素を使用して行われる。反応時間と温度はそれぞれ、約5分
間〜18時間、約15℃〜室温の範囲で変動させることができる。
【0035】 発現の強度は、転写活性において異なるプロモーター(CMV即時型プロモータ
ー、SV40プロモーター、レトロウイルスLTR)を使用して調節することが
できる。サンプル核酸を、CMV即時型プロモーターおよび任意に1つあるいは
それ以上のエンハンサー構成要素などの強力なプロモーターに操作可能にリンク
することにより、宿主の表現型を改変するために感染の数を少なくして使用する
ことを可能にする高発現率という結果を生じる。低めの感染の数を使用するとい
う選択肢は、ライブラリーをin situ、in vivo、およびin vi
troで使用することができる回数が増加する。さらに、スクリーニング計画、
測定、動物モデルで使用されている感染および投与量のウイルスライブラリーの
数を低くすると、形質導入宿主での毒性効果を喚起する機会が減少し、本発明の
主題であるシステムの信頼性が再び増大する。ライブラリーの発現に関連する可
能な毒性効果を減らすもう1つの方法は、一時的なおよび/または細胞型に特異
的な制御をスクリーニング測定を通して提供するために、調節可能なプロモータ
ー、とくにウイルス生産の間に抑制されるが、しかし、アデノウイルスライブラ
リーにより機能的なスクリーニングの間に始動することができ、あるいは活性化
する調節可能なプロモーターを使用することである。このように、ライブラリー
の構成員であり、また相補性細胞系列に毒性があり、あるいは阻害性があり、あ
るいはいずれかの方法でアデノウイルス複製および生産を干渉するサンプル核酸
が、いまだにアデノウイルスベクターとして産生することができる(WO 97/2094
3)。プロモーターのこのタイプの例としては、アデノウイルスE1遺伝子産物
により抑制されるAP1依存性プロモーターがあり、これによりアデノウイルス
ライブラリー産生時にサンプル核酸の発現が遮断されることになる(van Damら,
(1990)Mol.Cell.Biol. 10(11):5857-5864を参照)。こうしたプロモーターは、
コンビナトリアル技術を使用して作成することができ、あるいはプロモーターの
天然あるいは適応形態を含めることができる。AP1依存プロモーターの例とし
ては、コラーゲナーゼ、c−myc、単核細胞化学誘因物質タンパク質(JEあ
るいはmcp−1/JE)、ストロメライシン遺伝子由来のプロモーターがある
(Hagemyerら,(1993)EMBO J.12(9);3559-3572;Offringaら, (1990)Cell 62(23):
527-538; Offringaら,(1998)Nucleic Acids Res. 16(23):10973-10984; van Dam
ら, (1989) Oncogene 4(10):1207-1212)。代替的には、複合in vitroス
クリーニングが用いられるあるいはin vivoモデルが用いられ、また組織
調節発現が所望される場合にはとくに、ほかのさらに特異的であるが、しかしよ
り強力なプロモーターを使用することができる。選択された宿主のなかで機能的
ないずれかのプロモーター/エンハンサーシステムを使用することができる。組
織調節プロモーターの例としては、アルブミンプロモーターなどの肝臓において
特異的な活性あるいは促進活性を備えたプロモーターが含まれる(Troncheら, (
1990)Mol.Biol.Med. 7(2):173-185)。促進発現に対するもう1つのアプローチは
、3’−非翻訳領域における安定化配列を含めることにより、サンプル核酸から
転写されたmRNAの半減期を増加させることである。複製とパッケージングに
必要なすべての必要なアデノウイルス遺伝子を保持する、E1欠失アダプタープ
ラスミドにおける配列に相同的な配列を有する第2の核酸コンストラクトである
ヘルパープラスミドもまた作成される。好適には、ヘルパープラスミドは、複製
応答能のあるアデノウイルスの産生につながると考えられるパッケージング細胞
により発現される相補性配列は有していない。さらに、好適には、ヘルパープラ
スミド、アダプタープラスミド、パッケージング細胞は、相同組換えおよびRC
A形成につながると考えられる配列重複は有していない。アダプタープラスミド
とヘルパープラスミドの間で共有されている配列重複の領域は、相同組換えや、
E1欠失、複製欠損性組換えアデノウイルスゲノムの形成を可能にしている。一
般的には、重複領域は後期遺伝子発現に必要であるE2B領域配列を包含する。
ライブラリーのインサートサイズを認識できるほどに減らすことなくもっとも良
い効率を提供する重複領域のサイズは、経験的に決定することができる。配列重
複は、一般的には10bp〜5000bpであり、さらに好適には、2000〜
3000bpである。
【0036】 所望されるアデノウイルスライブラリーにおけるサンプル核酸あるいはDNAイ
ンサートのサイズは、数百塩基対(例えば、神経ペプチドをコードする配列)か
ら30 kbp(例えば、タイチン)まで変化することができる。アダプタープ
ラスミドを使用して産生されるアデノウイルスベクターのクローン化能力は、E
1相補性細胞系列の誘導体によりその後に容易に補足される付加的なアデノウイ
ルス遺伝子(単数/複数)により増加させることができる。1つの例としては、
欠失のための候補遺伝子には、E2、E3、および/またはE4が含まれる。例
えば、アデノウイルス複製およびパッケージングに欠かせない領域は、アダプタ
ーならびにヘルパープラスミドから欠失され、また、例えば、その相補性細胞系
列により、発現される。E3欠失に関しては、この領域における遺伝子は、in
vitroモデルに関してパッケージング細胞に補足される必要はなく、また
in vivoモデルに関して組換えウイルスの免疫原性上でのインパクトは、
その時々のものに限って対処することをベースにして評価することができる。
【0037】 特定のアダプタープラスミドのセットあるいはライブラリーあるいはアダプター
プラスミドのプール(単数/複数)は、アデノウイルスベクターのセットあるい
はライブラリーに変換される。サンプル核酸を含むアダプタープラスミドは線状
化され、アダプタープラスミドにある配列に相同な配列を有し、また複製とパッ
ケージングに必要なすべてのアデノウイルス遺伝子を含んでいるヘルパープラス
ミドと一緒に、好適には、96、384、1,536あるいはそれ以上のプレー
ト毎のウエル(穴)を備えたマイクロ力価組織培養培地プレートに接種されたE
1相補性細胞系列にトランスフェクトされる。好適には、E1相補性細胞系列に
おいて複製およびパッケージされるE1欠失、複製欠損性アデノウイルスゲノム
を生成するために、アダプターおよびヘルパープラスミドにより共有されている
相同性配列の間の組換えは、好ましくは、E1相補性細胞系列内において、複製
され、パッケージングされる、E1欠損、複製欠損性のアデノウイルスゲノムを
生成する。1つ以上のヘルパープラスミドが使用される場合には、一方の腕側で
のヘルパープラスミドの間で共有されている相同性領域の間の組換えと、アダプ
タープラスミドとの相同組換えとにより、結果として、複製欠損性組換えアデノ
ウイルスゲノムが形成される。アダプターおよびヘルパープラスミドの間の配列
重複の領域は、約数百ヌクレオチドあるいはそれ以上に変化させることができる
。組換え効率は、重複のサイズを増加することにより、増加することになる。
【0038】 転移相補性パッケージング細胞により供給されるE1機能は、E1欠失組換えア
デノウイルスゲノムの複製およびパッケージングを可能にする。アダプターおよ
び/またはヘルパープラスミドは、好適には、それらの間に配列重複を有さず、
あるいは複製応答能のあるアデノウイルス(RCA)の形成につながるパッケー
ジング細胞における相補性配列を含む配列重複を有しない。好適には、アダプタ
ー及びヘルパープラスミド上の少なくとも一つのITRが、アデノウイルス配列
あるいは発現カセットに存在しない一つの制限酵素部位によって隣接されており
、ITRがその制限酵素によるDNAの消化によってベクター配列から遊離され
るようになっている。このように、複製の開始はさらに効率的に起こる。組換え
アデノウイルス生成の効率を増加させるために、より高度な処理能力が、大きな
組織培養培地バイアルあるいはフラスコを使用する代わりに、プレート毎に96
、384、1,536穴を有するマイクロ力価組織培養プレートを使用すること
により得ることができる。E1相補性細胞系列が、マイクロ力価プレートのなか
で増殖され、また、アダプタープラスミドおよびヘルパーブラスミドのライブラ
リーとがコトランスフェクションされる。例えば、ロボットは、産生することが
できるアデノウイルスベクターの数をさらに増加することができる(Hawkinsら,
(1997)Science 276(5320):1887-9,Houston, (1997)Methods Find. Exp.Clin. P
harmacol. 19 Suppl.A:43-5)。
【0039】 アダプタープラスミドに対する1つの代替物として、サンプル核酸は「最小」ア
デノウイルスベクタープラスミドに結合することができる。本発明によるいわゆ
る「最小」アデノウイルスベクターは、複製に必要とされる線状アデノウイルス
ゲノムの末端に由来するDNA配列である逆方向末端反復配列(ITR)の少な
くとも機能的一部分あるいは誘導体の少なくとも1つのコピーだけではなく、ウ
イルス粒子のなかへのゲノムのインキャプシデーションに必要であるウイルスゲ
ノムの少なくとも一部分(インキャプシデーションシグナル)を保持している。
最小ベクターは、好適には、ヘルパーフリー及びRCAフリーの組換えアデノウ
イルスベクターのストックの創製と生産に使用され、また、38kbまでの外因
性DNAを収容することができる。最小アデノウイルスベクターのヘルパー機能
は、好適には、ベクターゲノムにある相補性細胞あるいは遺伝子に存在するそう
した遺伝子は例外として、必要とされる遺伝子産物をコードするすべてのウイル
ス遺伝子を含むインキャプシデーション欠損、複製応答能のあるDNA分子によ
ってトランスに供給される。
【0040】 「最小」アデノウイルスベクターのパッケージングは、ヘルパーウイルスによる
、あるいは代替的には、パッケージング欠損複製ヘルパーシステムによる、E1
相補性細胞系列のコトランスフェクションにより達成される。好適には、パッケ
ージング複製ヘルパーは、トランスフェクションの後に増幅され、またパッケー
ジング細胞系列によっては発現しない最小アデノウイルスベクターの複製および
パッケージングに必要な配列を発現させる。そのサイズがアデノウイルスビリオ
ンの容量を越えるため、および/またはそれは機能的インキャプシデーションシ
グナルを欠くため、パッケージング欠損複製ヘルパーはアデノウイルス粒子のな
かに詰め込まれることはない。パッケージング欠損複製ヘルパー、最小アデノウ
イルスベクター、相補性細胞系列は、好ましくは、RCA形成を可能にする配列
重複の領域は有していない。
【0041】 複製、パッケージング欠損ヘルパー分子には常に、パッケージング細胞系列に
より供給されるものにより、あるいはそれによらずに、複製およびパッケージン
グに必要なタンパク質を産生するすべてのアデノウイルスコード配列が含まれる
。前記ヘルパー分子それ自体の複製は、アデノウイルスタンパク質およびITR
により仲介される、あるいは仲介されないことがある。アデノウイルスタンパク
質(細胞タンパク質と一緒に作用するE2遺伝子産物である)の活性により複製
するヘルパー分子には、アデノウイルスから誘導される少なくとも1つのITR
が含まれる。E2遺伝子産物は、E1依存性あるいはE1依存性プロモーターに
より発現させることができる。1つだけのITRがアデノウイルスから誘導され
る場合には、ヘルパー分子には、好ましくは、ヘアピン様構造を形成するために
分子内でアニール化される配列も含まれる。
【0042】 E2遺伝子産物発現の後、アデノウイルスDNAポリメラーゼはヘルパー分子上
にITRを認識し、また一本鎖コピーを産生し、および3’−末端が分子内でア
ニール化され、逆鎖合成のためのプライマーとして役立つヘアピン様構造を形成
する。逆鎖合成の産物は1つの末端にITRを伴う二本鎖ヘアピンである。この
ITRは、ITRを両方の末端に伴う二本鎖分子を産生するアデノウイルスDN
Aポリメラーゼにより認識され(例えば、図13を参照)、またトランスフェク
ションされた分子の長さの2倍になる(われわれの実施例では、それは35Kb
〜70Kbから複製される)。ヘルパーDNAの複製はアデノウイルスタンパク
質の十分なレベルの産生を促進する。好適には、複製分子のサイズはアデノウイ
ルスビリオンのパッケージング容量を越え、また、したがって、アデノウイルス
粒子のなかには詰め込まれることはない。ヘルパー分子に機能的インキャプシデ
ーションシグナルがない場合は、そのヘルパー分子がパッケージング欠損である
ことが保証される。産生アデノウイルスタンパク質がコトランスフェクションさ
れた、あるいはコインフェクションされた最小ベクターの複製およびパッケージ
ングを仲介する。
【0043】 ヘルパー分子の複製がアデノウイルスE2タンパク質には依存していない場合に
は、ヘルパーコンストラクトには、好適には、SV40に由来する複製起点が含
まれる。SV40ラージTタンパク質をも誘導的に発現させる、あるいは効率的
な複製に必要とされる分量のSV40由来タンパク質を誘導的に発現させるE1
含有パッケージング細胞系列における最小アデノウイルスベクターと一緒にされ
たこのDNAのトランスフェクションは、ヘルパーコンストラクトの複製とアデ
ノウイルスタンパク質の発現につながる。これらは、その後に、コトランスフェ
クションあるいはコインフェクションされた最小アデノウイルスベクターの複製
およびパッケージングを開始する。好適には、そこには、RCAの生成につなが
ることがある複製欠損パッケージングコンストラクト、最小アデノウイルスベク
ター、相補性細胞系列によって共有される重複配列が存在しない。
【0044】 最小アデノウイルスベクターの増殖時には、最小ベクターはそれ自体はE1相補
性細胞上では複製することができないため、E1相補性細胞上の各増幅ステップ
は説明したヘルパー分子のいずれかのトランスフェクションに付随して行われて
いる。代替的には、安定的にゲノム内に組み込まれる複製およびパッケージング
に必要なすべてのアデノウイルス遺伝子を含有し、また切断および条件的に複製
が可能である細胞系列は使用することができる(ValerioとEinerhand, PCT/NL98
00061)。
【0045】 細胞への核酸のトランスフェクションは、ウイルス粒子のなかへの組換えベク
ターのパッケージングのために必要であり、またリポソーム、DEAE−デキス
トラン、ポリブレン、ホスファゼンあるいはホスファゼン誘導体を含むさまざま
な化学物質により媒介されうる。リポソームは、さまざまな商業的な供給者から
入手可能であり、それにはDOTAP(Boehringer-Mannheim社)、Tfx−5
R、TransfectamR、ProFectionR(Promega社,Madison市,
ウィスコンシン州)、LipofectAminR、LipofectinR、L
ipfectAceR(GibcoBRL,Gaithersburg,メリーランド州)が含まれる。溶
液中で、脂質は核酸に関連している小胞を形成し、また細胞膜との小胞の融合に
よりあるいはエンドサイトーシスにより細胞のなかへのその導入を容易にする。
ほかのトランスフェクション法には、電気穿孔法、リン酸カルシウム共沈降法、
マイクロインジェクション法がある。任意の細胞系列に対するトランスフェクシ
ョン条件が確立されていなかった場合、あるいは分からない場合には、それら条
件は経験的に決定することができる(Maniatisら, Molecular Cloning, 16.30-1
6.55頁)。
【0046】 組換え体アデノウイルスのウイルスベクターの収量は、E1相補性細胞系列へ
トランスフェクションする前に二本鎖プラスミドDNAを変性させることにより
増加させることができる。変性は、例えば、95〜100℃にて二本鎖プラスミ
ドDNAを融解することにより、それに引き続いて、重複配列を有するアダプタ
ーおよびヘルパープラスミドのさまざまな割合のものを使用して急速冷却するこ
とにより、行われる。また、E2A(DNA結合タンパク質)および/またはE
2B遺伝子(pTP−Pol)を安定的に、あるいは一過性に発現させるPER
.C6誘導体は、細胞当たりの複製比率を増加させることにより、ウエル当たり
のアデノウイルス産生を増加させるのに使用することができた。代替的には、リ
コンビナーゼタンパク質(単数/複数)あるいはリコンビナーゼDNA発現コン
ストラクト(単数/複数)すなわち、Kluyveromyces waltii由来のリコンビナー
ゼのコトランスフェクション(Ringroseら, (1997) Eur. J. Biochem. 248(3):90
3-912)、あるいは、いずれかのほかの遺伝子あるいは相同組換え効率を増加させ
ることができる遺伝子コード因子を使用することができる。パッケージング細胞
上でのトランスフェクションおよび/または複製中における0.1〜100mM
酪酸ナトリウムの封入は、ウイルス産生を増加させることができる。これらの改
良により、マイクロ力価ウエル当たりのウイルス収量が改善される結果となり、
またしたがって、単一のライブラリーにより実施することができる試験の数とタ
イプは増加し、また、ライブラリー中のさまざまな遺伝子あるいはサンプル核酸
間の変異性を克服することになるであろう。
【0047】 E1領域産物を発現するアデノウイルスベクターの産生に使用される細胞系列
には、例えば、293細胞、PER.C6(ECACC 96022940)、
あるいは911細胞が含まれる。これらの細胞系列のそれぞれはアデノウイルス
E1領域をコードする核酸によりトランスフェクションされている。これらの細
胞はE1領域遺伝子産物を安定的に発現させ、また、E1欠失組換え体アデノウ
イルスベクターをパッケージすることが示された。PER.C6細胞上で得られ
る組換え体アデノウイルスの収量は、293細胞上で得られるよりも高い。
【0048】 これらの細胞系列のそれぞれは、例えば、対応する遺伝子における変異、欠失
、あるいは挿入を有するアデノウイルスベクターの増殖を可能にするE2Bある
いはE2Aコンストラクト(例えば、ts125E2Aおよび/またはhrE2
A)、あるいはE4などの導入のための基礎を提供する。これらの細胞は、適当
なアデノウイルス遺伝子を安定的に発現させる組換え核酸の導入によって付加的
なアデノウイルス遺伝子産物を発現させるように修飾することができる、あるい
は、適当な遺伝子(単数/複数)、例えば、パッケージング欠損複製ヘルパー分
子あるいはヘルパープラスミドを一過性に発現させる組換え核酸を導入すること
ができる。
【0049】 マイクロ力価プレートウエル(96、384、1,536あるいはそれ以上の
ウエル)で増殖されるすべてあるいはすべてに近いトランス相補性細胞は、アダ
プタープラスミドかあるいは最小アデノウイルスプラスミドライブラリーおよび
適当なヘルパー分子(単数/複数)かのいずれかによりトランスフェクションの
後に、組換えアデノウイルスを産生する。非常に多くの数のアデノウイルス遺伝
子転移ベクターあるいはライブラリーは、それぞれ独特な遺伝子を発現するが、
このように、in vivoとin vitroの両方の特定遺伝子産物の生物
学的活性の分析を可能にする規模で都合よく生産することができる。アデノウイ
ルスベクターの広範な組織の向性のために、数多くの細胞および組織タイプは、
アデノウイルスライブラリーを形質導入可能である。
【0050】 遺伝子あるいはサンプル核酸のライブラリーは、好ましくは、RCAフリーの
アデノウイルスライブラリーに対する上述の諸方法を使用して変換される。未知
の機能を有する遺伝子あるいはサンプル核酸のアデノウイルスライブラリーは、
その後に、ELISA法を含む免疫学的測定法、増殖測定法、薬物耐性測定法、
酵素活性測定法、臓器培養、分化測定法、細胞毒性測定法など、数多くのin
vitro測定法を含めた高度な処理能力を備えたスクリーニングを行うのに使
用される。アデノウイルスライブラリーは、初代内皮および平滑筋細胞培養培地
を含む組織あるいは組織部位、あるいは組織誘導初代短期生存細胞培養培地(Wi
jnbergら,(1997) Thromb Haemost 78(2),880-6)、冠動脈バイパス移植ライブラ
リー(Vassalliら, (1997) Cardiovasc Res. 35(3), 459-69; FusterとChesebro
, (1985) Adv. Prostaglandin Thromboxane Leukot Res. 13, 285-99)、HUV
ECを含む臍帯組織(Gimbrone, (1976) Prog. Hemost. Thromb. 3, 1-28; Strik
erら, (1980)Methods Cell. Biol. 21A, 135-51)、couplet肝細胞( Grafら, (1
984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81(20), 6516-20)、表皮培養培地(Fabre,
(1991) Immunol. Lett. 29(1-2), 161-5; Phillips, (1991)Transplantation 51
(5), 937-41)上で試験することができる。懸濁培養培地を含む植物細胞培養培
地はまた、ヒト由来DNA配列ならびに植物由来配列を含むいずれかのDNA配
列を保持するアデノウイルスライブラリーに対する宿主細胞としても使用するこ
とができる(de Vriesら, (1994) Biochem. Soc. Symp. 60,43-50; Fukadaら, (1
994) Int. J. Devel. Biol. 38(2), 287-99; Jones, (1983)Biochem. Soc. Symp
. 48, 221-32; Kieranら, (1997) J. Biotechnol. 59(1-2), 39-52; Stanleyら,
(1993)Curr. Opin. Genet. Dev. 3(1), 91-6; Taticekら, (1994)Curr. Opin.
Biotechnol. 5(2), 165-74)。
【0051】 初期非選択ライブラリーのサイズにより、一旦遺伝子のアデノウイルスライブラ
リーが、in vitro測定により、合理的な数の候補群に分解されると、そ
のアデノウイルスは適当な動物モデルで試験することができる。使用することが
できる動物モデルの実施例には、アルツハイマー病、動脈硬化症、不活性化され
た遺伝子(単数/複数)を有するマウスを含む内因性あるいは外因性遺伝子の発
現を改変したトランスジェニック動物、特定部位に移植されたがんを有する動物
、がん転移モデル、パーキンソン病モデル、NOD−SCIDマウスなどのヒト
骨髄キメラマウスなどモデルが含まれる。付加的な試験が必要であるので、候補
であるアデノウイルスの菌株は、適当なトランス相補性条件下でアデノウイルス
を継代していくことにより拡張することができる。
【0052】 使用された動物モデルにより、アデノウイルスベクターあるいはアデノウイルス
ベクターの事前に選択されたプールの混合物を、非ヒト霊長類の肺(Seneら, (1
995)Hum. Gene Ther. 6(12):1587-93)、アルツハイマー病(Walkerら, (1997)B
rain Res. Brain Res. Rev. 25(1):70-84)のための正常およびアポE欠損マウ
スの脳(Robertsonら, (1998)Neuroscience 82(1):171-80)、パーキンソン病モ
デルの脳(Hockmanら, (1971)Brain Res. 35(2):613-8.; Zigmondと Stricker,
(1984)Life Sci. 35(1):5-18)などの所望される動物の適当な部位に点滴、ある
いは塗布あるいは投与することができ、肝不全およびウイルソン病を含む肝疾患
モデル(Cuthbert, (1995) J. Investig. Med. 43(4):323-36; Karrerら, (1984)
Curr. Surg. 41(6):464-7)や、転移モデルを含む腫瘍モデル(Esandiら, (1997)
Gene Ther. 4(4):280-7; Vincentら, (1996)J. Neurosug.85(4):648-54; Vincen
tら, (1996)Hum. Gene Ther. 7(2):197-205 )の血液流(例えば、静脈内)に注
射することができる。選択アデノウイルスベクターをヒトキメラNOD−SCI
Dマウスの骨髄中に直接注射することも可能である(Dickら, (1997)Stem Cells
15 Suppl. 1:199-203; Mosierら, (1998)Nature 335 (6187);256-9)。最終的
に選択されたアデノウイルスは、例えば、再狭窄動物モデルの疾患血管組織に局
所的に適用することができる(Karasら, (1992)J. Am. Coll. Cardiol. 20(2):46
7-74)。
【0053】 さらに、実験室での生の測定法は、アデノウイルスライブラリーが構築されてい
る配列データベースの電子版を使用することにより、補完することができる。こ
れにより、例えば、タンパク質モチーフ検索、およびしたがって、ファミリーの
新しい構成員を、同じファミリーの既知の機能を有する既知の構成員にリンクす
ることが可能になる。「隠蔽マルコウモデル(Hidden Markow Model)」(HM
M)(Eddy. (1996)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94(4):1414-1419)を使用する
と、ファミリーの重要な特徴を抽出し、またその構成員たちがどんな様子である
はずのものなのかについて1つのモデルを構築することにより、新規のファミリ
ーを確立することができる。最終的には、これは、既知の構造をスレッドとして
使用し、スレッデングアプローチを使用することにより新規なタンパク質の実際
の構造を決定することをせずに推定構造を見出すことを試み、構造的なデータと
組み合わせることができる(Rastanと Beeley (1997)Curr. Opin. Genet. Dev.
7(6):777-83)。当然のことながら、本出願において開示されている諸方法によ
り作成されるアデノウイルスライブラリーを使用して得られる機能的データは、
予想されるあるいは所望される諸機能を備えた新規な遺伝子を発見する努力の基
礎となり、また機能的ゲノム学の核となることであろう。最終的には、一度アデ
ノウイルスベクターの数が、動物実験を実施することができるレベルになれば、
その方法にもう1つ付け加えるのは、候補となる遺伝子を保持する候補となるア
デノウイルスベクターの選別法を発展させることである。これは、例えば、線維
のノブドメインのHiループで標識化されたアデノウイルスを使用することによ
り、そのクローンの精製によって得られるであろう。あるいは、大規模なHPL
C分析が、さらに精製されたアデノウイルス調製が所望される動物実験あるいは
in vitroスクリーニング用の部分的に精製されたアデノウイルスサンプ
ルを得るために、半調製的な形態で使用される。したがって、前記方法と試薬に
よれば、遺伝子のコレクションを、そうでなければ可能にならないであろう限ら
れた数の動物のin vivoでの研究へ迅速に移行させることが可能となる。
ロボットを使用した手順の各ステップを自動化すれば、さらに、機能させること
ができる遺伝子ならびにサンプル核酸の数を向上させることになる。
【0054】 1つの態様においては、本発明は組換え体アデノウイルスベクターライブラリー
を産生する方法であって、アデノウイルスE1−相補性配列を含む複数の細胞を
、 i)前記複数の細胞におけるE1領域配列、あるいは前記パッケージング細胞の
なかに挿入される組換え核酸と重複するE1領域配列を有していないアデノウイ
ルスをベースとするか、あるいはそのアデノウイルスに由来するアダプタープラ
スミドを含むアダプタープラスミドライブラリーであって、前記複数の細胞にお
いて複製応答能のあるアデノウイルスの生成につながり、本質的なE2B配列の
ほかにはE2B領域配列はなく、E2A領域配列がなく、E3領域配列がなく、
E4領域配列がなく、操作可能な形態において、機能的逆方向末端反復配列(I
TR)、機能的インキャプシデーションシグナル、前記組換え核酸との相同組換
えを許容するのに十分なアデノウイルス配列と、プロモーターに操作可能にリン
クされる前記アダプタープラスミドのなかに挿入されるサンプル核酸インサート
のライブラリーと、 ii)アデノウイルスをベースにし、あるいはアデノウイルスに由来する組換え核
酸であって、前記組換え核酸は、操作可能な形態において、機能的な逆方向末端
反復配列(ITR)と複製用の十分なアデノウイルス配列を含み、前記組換え核
酸は、複製欠損、組換えアデノウイルスに導くような相同組換えを許容する前記
アダプタープラスミドライブラリーと部分的に重複する組換え核酸; とを含む多数の細胞を含有する細胞培養を、組換え体アデノウイルスベクターラ
イブラリーが産生される条件下で増殖させる工程を、備える方法を提供する。
【0055】 好ましくは、前記アダプタープラスミドライブラリーの少なくとも1つと前記
組換え核酸は前記複数の細胞あるいは前記複数の細胞の子孫にトランスフェクシ
ョンする前に熱により変性される。 好ましくは、前記アデノウイルスE1相補性配列と、前記アダプタープラスミ
ドライブラリーと、前記組換え核酸が、それらが導入される細胞中での複製応答
能のあるウイルスに導くような相同組換えを許容する重複配列を有しない。
【0056】 1つの態様においては、本発明は組換え体アデノウイルスベクターライブラリー
を産生する方法であって、アデノウイルスE1−相補性配列を含む複数の細胞を
、 i)アデノウイルスをベースにするか、あるいはアデノウイルスに由来する第1
の組換え核酸を有する組換え核酸ライブラリーであって、操作可能な形態におい
て、2つの機能的逆方向末端反復配列(ITR)、1つの機能的インキャプシデー
ションシグナルを有し、また機能的なアデノウイルス遺伝子がなく、プロモータ
ーに操作可能にリンクされる前記第1の組換え核酸に挿入されるサンプル核酸の
ライブラリーを有する、ライブラリーと、 ii)アデノウイルスをベースとするか、あるいはそれに由来する第2の組換
え核酸であって、操作可能な形態において、2つの機能的逆方向末端反復配列(
ITR)と、複製のための十分なアデノウイルス配列とを有し、前記第2の組換
え核酸は、少なくともE1領域の欠失と、前記アデノウイルスのインキャプシデ
ーションシグナルとを有する、核酸、 とを含むアデノウイルスE1相補性配列を含む複数の細胞を含む細胞培養を、組
換えアデノウイルスベクターライブラリーが産生される条件下で、増殖させる工
程を有する、方法を提供する。 好適には、前記細胞培養培地は、複数ウエルフォーマットのなかにある。 好適には、前記アデノウイルスE1相補性配列と、前記第1の組換え核酸と、前
記第2の組換え核酸が、それらが導入される細胞中の複製応答能のあるウイルス
に導くような相同組換えを許容する重複配列を有しない。 好ましくは、前記細胞培養は、前記細胞培養培地がPER.C6細胞培養培地で
ある。 1つの実施例においては、前記細胞培養の増殖培地には、前記組換えアデノウイ
ルスベクターライブラリーの産生を促進するのに十分な量で酪酸ナトリウムを含
んでいる。 好適には、前記複数の細胞はさらに、アデノウイルス前期末端タンパク質と、ポ
リメラーゼ相補性配列の少なくとも1つを含む。 好適には、前記複数の細胞が、さらに、アデノウイルスE2相補性配列を含む
。好適には、前記E2相補性配列はE2A相補性配列あるいはE2B相補性配列
である。
【0057】 1つの態様においては、前記複数の細胞はさらに、リコンビナーゼタンパク質
から成り、それによって、複製欠損、組換えアデノウイルスにつながっていく前
記相同性組換えが促進される。好適には、前記リコンビナーゼタンパク質はKluy
veromyces waltiiリコンビナーゼである。
【0058】 もう1つの態様においては、前記複数の細胞はさらに、リコンビナーゼタンパ
ク質をコードするヌクレオチド配列を有する。好適には、前記組換えタンパク質
がKluyveromyces waltiiリコンビナーゼである。
【0059】 1つの態様においては、前記組換えアデノウイルスベクターライブラリーの構
成員が同一である。 1つの態様においては、前記プロモーターは誘導的プロモーターである。好適
には、前記プロモーターは、アデノウイルスE1遺伝子産物により抑制されるか
あるいはダウンレギュレーションされる。1つの態様においては、前記プロモー
ターは、AP1依存性プロモーターを有する。好適には、前記AP1依存性プロ
モーターは、コラーゲナーゼ、c−myc、単核細胞化学誘因物質タンパク質あ
るいはストロメライシン遺伝子に由来する。
【0060】 1つの態様においては、前記サンプル核酸は、機能未知の産物をコードする。 もう1つの態様においては、前記サンプル核酸は合成オリゴヌクレオチド、D
NA、cDNA、遺伝子、EST、アンチセンス核酸、あるいは遺伝子抑制構成
要素からなる群から選択される構成されるグループから選択される。
【0061】 1つの態様においては、本発明はサンプル核酸によりコードされる産物に機能
を対応させるための方法を提供し、 本発明の方法により産生される組換えアデノウイルスベクターライブラリーを
含む宿主細胞を増殖させる工程であって、それによって、前記サンプル核酸によ
りコードされる産物が、前記宿主細胞のなかで少なくとも1つの改変された表現
型を産生するように発現される工程と、 前記少なくとも1つの改変された表現型を同定する工程であって、それによっ
て、1つの機能を前記サンプル核酸によりコードされる前記産物に対応させる工
程と、 を備える方法を提供する。 好ましくは、前記宿主細胞は植物細胞あるいは動物細胞である。好ましくは、
前記動物細胞はヒト細胞である。
【0062】 1つの態様においては、前記宿主細胞は細胞培養の構成員である。好適には、
前記細胞培養は複数ウエルフォーマットのなかにある。 好適には、本発明の方法は自動化されたものである。
【0063】 本発明は、さらに、組換え複製欠損アデノウイルスベクターライブラリーを含
む非ヒト宿主細胞を提供する。 本発明はさらに、組換え複製欠損アデノウイルスベクターライブラリーを提供
し、前記複製欠損アデノウイルスベクターライブラリーは、本発明の方法による
方法によって産生される。
【0064】 本発明はさらに、複製欠損アデノウイルスベクターライブラリーを含む分離さ
れた宿主細胞を提供する。 本発明はさらに、複製欠損アデノウイルスベクターライブラリーを含む分離さ
れた宿主細胞を提供し、前記複製欠損アデノウイルスベクターライブラリーは、
本発明による方法によって産生される。好ましくは、前記宿主細胞はヒト細胞で
ある。
【0065】 本発明はさらに、組換えアデノウイルスベクターライブラリーを産生する方法
であって、 アデノウイルスE1−領域配列を発現し、E2A領域及びE4領域から選択さ
れる少なくともひとつのアデノウイルス領域によってコードされた1またはそれ
以上の機能的産物を発現する複数の細胞を含む細胞培養を増殖させる工程を有し
、前記複数の細胞は、 i)前記複数の細胞におけるE1領域配列あるいは前記パッケージング細胞に挿
入される組換え核酸と重複するE1領域配列を有していないアデノウイルスをベ
ースとして、あるいはそのアデノウイルスに由来するアダプタープラスミドを有
するアダプタープラスミドライブラリーであって、アデノウイルスは本質的なE
2B配列のほかにはE2B領域配列を有せず、E2A領域配列を有せず、E3領
域配列を有せず、E4領域配列を有せず、アデノウイルスは、操作可能な形態で
、機能的逆方向末端反復配列と、機能的インキャプシデーションシグナルと、前
記組換え核酸との相同組換えを許容する十分量のアデノウイルス配列と、プロモ
ーターに操作可能にリンクされる前記アダプタープラスミドのなかに挿入される
サンプル核酸のライブラリーを有する、ライブラリーと、 ii)前記複数の細胞中のE1配列と重複しているE1領域配列を有しておらず、
また、複製応答能のあるアデノウイルスの生産につながる、前記複数の細胞にお
いて発現されるE2A領域配列あるいはE4領域配列を有していない、アデノウ
イルスをベースにし、あるいは該アデノウイルスに由来する組換え核酸であって
、操作可能な形態において、機能的アデノウイルス逆方向末端反復配列と、前記
複数の細胞における複製のための十分なアデノウイルス配列を有し、前記組換え
核酸は、前記パッケージング細胞における組換えアデノウイルスの産生につなが
る相同組換えを提供するために前記アダプタープラスミドと十分な十分を有して
いる、組換え核酸、 とともに、 組換えアデノウイルスベクターライブラリーが前記複数の細胞中で産生される条
件下で、前記細胞培養を増殖させる工程を有する、方法を提供する。
【0066】 好適には、前記複数の細胞は、少なくとも1つの機能的E2A遺伝子産物を発現
させる。好適には、前記少なくとも1つの機能的E2A遺伝子産物は変異遺伝子
産物である。好適には、前記変異遺伝子産物は温度感受性である。 好適には、前記アダプタープラスミドライブラリーと前記組換え核酸の少なくと
も1つが、前記複数の細胞あるいは前記複数の細胞の子孫をトランスフェクショ
ンする前に熱により変性される。
【0067】 好適には、前記複数の細胞は、E2B領域配列によりコードされる1つあるいは
それ以上の機能的遺伝子産物を発現させ、また、ウイルス生成に必要とされるそ
うしたもの以外に、前記機能的E2B領域遺伝子産物のためのE2B領域配列が
、前記組換え核酸から削除され、また、任意にはすべてのE2B遺伝子領域配列
にいたるまでが前記アダプタープラスミドから削除される。
【0068】 好適には、前記複数の細胞は、E2B領域配列によりコードされるすべての遺
伝子産物を発現させ、また、ウイルス生成に必要とされるそうしたもの以外には
前記機能的E2B領域遺伝子産物のためのE2B領域配列が前記組換え核酸から
削除され、また任意には、すべてのE2B遺伝子領域配列にいたるまでが前記ア
ダプタープラスミドから削除される。
【0069】 好適には、前記細胞培養培地はPER.C6細胞培養培地である。 好適には、前記プロモーターは誘導可能なプロモーターである。
【0070】 1つの態様においては、本発明は、組換え複製欠損アデノウイルスベクターラ
イブラリーを含む複数の細胞を提供し、前記組換え複製欠損アデノウイルスベク
ターライブラリーは、本発明の方法により産生される。好適には、前記複数の細
胞はPER.C6細胞である。
【0071】 本発明はさらに、組換え核酸を提供し、 前記組換え核酸は、 E1領域配列を有しないアデノウイルスをベースにする、あるいは該アデノウ
イルスに由来する核酸を有し、前記核酸は、それが導入されるパッケージ細胞で
複製応答能を有するアデノウイルスの産生を導くE1領域配列を有さず、また、
前記核酸は、操作可能な形態で、機能的アデノウイルス逆方向末端反復配列と、
前記パッケージング細胞において組換えアデノウイルスの産生を導く相同組換え
のために供給されるアダプタープラスミドと十分な重複を有する、核酸である。
好適には、前記組換え核酸は、前記パッケージング細胞において発現するウイル
ス生成のために欠かせないE2B領域配列以外にE2B領域配列を有していない
。好適には、前記組換え核酸はE3領域配列を有していない。好適には、前記十
分な重複は約10 bp〜約5000 bpである。好適には、前記十分な重複は
、約2000bp〜約3000bpである。好適には前記十分な重複は、ウイル
ス生成に欠かせないE2B領域配列から成る。
【0072】 本発明はさらに、アダプタープラスミドを提供し、前記アダプタープラスミド
は、 アデノウイルスをベースにする、あるいは該アデノウイルスに由来する核酸を
有し、それが導入されるパッケージング細胞におけるE1領域配列と重複し、複
製応答能を有するアデノウイルスの産生に導く、E1領域配列を有さず、不可欠
なE2B配列以外にE2B領域配列を有さず、E2A領域配列を有さず、E3領
域配列を有さず、前記パッケージング細胞にインサートされる、あるいは前記パ
ッケージング細胞に含まれる他の核酸と重複するE4領域配列を有さず、そして
、操作可能な形態で、機能的逆方向末端反復配列と、機能的インキャプシデーシ
ョンシグナルと、複製欠損組換えアデノウイルスにつながる前記他の核酸との相
同組換えを許容する十分なアデノウイルスと、クローニングサイトあるいはマル
チクローニングサイトを備えている。好適には、前記クローニングサイトあるい
はマルチクローニングサイトはプロモーターに操作可能にリンクされる。好適に
は前記プロモーターは誘発性プロモーターである。好適には、前記プロモーター
は、アデノウイルスE1遺伝子産物により抑制され、あるいはダウンモデュレー
ションされる。好適には、前記プロモーターはAP1依存性プロモーターである
。好適には、前記AP1依存性プロモーターはコラーゲナーゼ遺伝子、c−my
c遺伝子、単核細胞化学誘因物質タンパク質遺伝子あるいはストロメライシン遺
伝子に由来する。好適には、サンプル核酸のライブラリーは前記マルチクローニ
ングサイトのなかに挿入される。 好適には、本発明の方法は自動化される。
【0073】 実施例 (実施例1)E1欠損組換えアデノウイルス・ベクターをトランス相補にできるセルラインの 作製 911セルライン E1欠失組換えアデノウイルスをトランス相補にすることのできるアデノウイ
ルス5型のE1配列を宿すセルラインが作製された(Fallauxら、Hum
.Gene.Ther.7巻:215−222頁(1996年))。このセルラ
インを、Ad5の番号80−5788を含むpAd5XhoICを用いたヒトニ
倍体ヒト胚網膜芽細胞(HER)の形質移入によって得た。生じる形質転換体の
内の1つは、911と称された。このセルラインは、E1欠損組換えアデノウイ
ルスの増殖に有用であることが示された。それは、293細胞より優れているこ
とが分かった。293細胞と異なり、911細胞は、アデノウイルス・パッケー
ジングラインとしてより優れた作用をする原因で最もありそうな十分に形質転換
した表現型を欠く: プラークアッセイを、いっそう迅速に行う(293では8−14日の代わりに
4−5日)ことができ、911細胞の単層は、プラークアッセイのために必要と
されるとおり寒天上塗り下でよりよく生存し、E1欠失ベクターの増幅が多くな
る。 さらに、共有したアデノウイルスDNAで形質移入された293細胞と異なり
、規定された構築物を用いて911細胞を形質移入させた。911細胞の形質移
入効率は、293のものに匹敵する。
【0074】新たなパッケージング構築物 アデノウイルス配列の源 アデノウイルス配列は、ヒトアデノウイルス5型(Bernardsら、Vi
rology 127巻:45−53頁(1983年))の番号80〜9460
を含むpAd5.SalBから、または野生型Ad5のDNAから由来する。P
Ad5.SalBを、SalIおよびXhoIで消化させ、そして大型断片を、
再連結し、そしてこの新規クローンを、pAd5.X/Sと名付けた。pTN構
築物(オランダ国、イントロジェンのR.Vogels博士によって構築された
)を、ヒトPGKプロモーターおよびNEO遺伝子の源として使用した。
【0075】ヒトPGKプロモーターおよびNEO遺伝子(NEOR gene;商標名)
新規パッケージング構築物中のE1A配列の転写は、骨格としてpUC119
(Vieiraら、酵素学における方法、Acad.Press Inc.、3
〜11頁(1987年))を使用するプラスミドpTN(R.Vogelsの贈
与)から誘導されるヒトPGKプロモーター(Michelsonら、Proc
.Natl.Acad.Sci.USA80巻:472−476頁(1983年
);Singer−Samら、Gene 32巻:409−417頁(1984
年))によって起動される。このプラスミドも、B型肝炎ウイルス(HBV)ポ
リアデニル化シグナルに融合したNEO遺伝子の源として使用した。
【0076】PGKプロモーターのE1遺伝子への融合(図1) Ad5のE1遺伝子配列(ITR、複製の起点およびパッケージングシグナル
)を、異質配列に交換するために、プライマーEa1(配列番号:27)および
Ea2(配列番号:28)を用いて、PCRによってAd5のE1配列(番号4
59から番号960まで)を増幅した(表I参照)。生じたPCR産物を、Cl
aIで消化させ、そしてBluescript(ストラタジーン(Strata
gene))に連結し、ClaIおよびEcoRVで予備消化させ、それにより
構築物pBS.PCRIを得た。
【0077】 ベクターpTNを、制限酵素EcoRI(部分的に)およびScaIで消化し
、そしてPGKプロモーター配列を含むDNA断片を、ScaIおよびEcoR
Iで消化したPBS.PCRIに連結させた。生じた構築物PBS.PGK.P
CRIは、Ad5 E1配列の番号459から番号916までに操作的に連結さ
れたヒトPGKプロモーターを含む。
【0078】pIG.E1A.E1Bの構築(図2) PIG.E1A.E1B.Xは、PGKプロモーターの指向性下でE1Aおよ
びE1Bコーディング配列を含む。Ad5配列番号459から番号5788まで
が、この構築物中に存在する場合、アデノウイルスのpIXタンパク質も、この
プラスミドによってコード化される。pIG.E1A.E1B.Xは、pAT−
X/SのScaI−BspEI断片を、PBS.PGK.PCRIから得られる
対応の断片(E1A配列に連結したPGKプロモーターを含む)に置換すること
によって作製した。
【0079】pIG.E1A.NEOの構築(図3) 完全なE1Bプロモーターを誘導し、そしてE1B 21kDのAUGコドン
が、NEO(NEOR;商標名)のAUGコドンとして正確に機能するような手
段でこのプロモーターを融合させるために、プライマーEa3(配列番号:29
)およびEp2(配列番号30)を使用して、E1Bプロモーターを増幅させた
。ここで、プライマーEp2は、PCR断片にNcoI部位を導入する。その結
果生じる、PCRIIと称されるPCR断片を、HpaIおよびNcoIで消化
させ、そしてpAT−X/Sに連結させ、そしてそれを、HpaIで、そしてN
coIで予備消化させた。生じるプラスミドを、pAT−X/S−PCR2と称
した。NEO遺伝子と部分的なB型肝炎ウイルス(HBV)ポリアデニル化シグ
ナルを含むpTNのNcoI−StuI断片を、NcoIおよびNruIで消化
されているpAT−X/S−PCR2にクローニングした。生じる構築物は、p
AT−PCR2−NEOであった。ポリアデニル化シグナルは、pAT−PCR
2.NEOのSacI−SalI断片を、pTNの対応の断片に置換することに
よって完了され、それによりpAT.PCR2.NEO.p(A)を生じた。p
AT.PCR2.NEO.p(A)のSacI−XbaIを、E1A遺伝子に連
結したPGKプロモーターを含んだpIG.E1A.E1B−Xの対応の断片に
置き換えた。生じる構築物を、pIG.E1A.NEOと名付け、そしてそれゆ
えヒトPGKプロモーターの制御下でAd5E1配列(番号459から番号17
13まで)を含む。
【0080】pIG.E1A.E1Bの構築(図4) pIG.E1A.E1Bは、E1AおよびE1Bタンパク質をコード化するA
d5の番号459から番号3510までを含む。E1B配列が、番号3511に
あるスプライシングアクセプターで終止される。pIX配列で、この構築物に存
在するものはない。 pIG.E1A.E1Bを、以下のとおり作製した。E1B 55kdのN末
端アミノ酸をコードする配列を、プライマーEb1(配列番号:31)、および
XhoI部位を導入するEb2(配列番号:32)を用いて増幅させた。生じる
PCR断片を、BglIIで消化させ、そしてpAT−X/SのBlII/Nr
uIにクローニングさせ、それによりpAT−PCR3を得た。pIG.E1A
.NEOのXba−SalI断片、およびpAT.PCR3のXbaI Xho
I断片の交換によって、pIG.E1A.NEOのHBVポリ(A)配列を、p
AT−PCR3のE1B配列の下流に導入した。
【0081】pIG.NEOの構築(図5) この構築物は、樹立細胞を、E1A.E1B構築物に形質移入させ、そしてN
EO選択を要求する場合の用途のものである。NEO発現が、E1Bプロモータ
ーによって指示されるので、NEO耐性細胞が、同時発現することが予想される
。E1A、それは細胞の長期培養期間じゅうのE1Aの発現を高いレベルに維持
することに有益でもある。Ad5 E1Bプロモーターの制御下でNEO遺伝子
を含むpIG.E1A.NEOのHpaI−ScaI断片を、EcoRVおよび
ScaIで消化させたpBSにクローニングすることによって、pIG.NEO
を作製した。
【0082】構築物の試験 構築物pIG.E1A.NEO、pIG.E1A.E1B.XおよびpIG.
E1A.E1Bの組込みを、制限酵素マッピングによって評価した。さらに、P
CR分析によって得られた構築物の一部を、配列分析によって確認した。ヌクレ
オチド配列における変化は、見られなかった。 構築物を、一次BRK(仔ラット腎臓)細胞に形質移入し、そしてこれらの細
胞を不死化する(pIG.E1A.NEO)、または十分に形質転換する(pA
d5.XhoIC、pIG.E1A.E1B.XおよびpIG.E1A.E1B
)それらの能力について試験した。6日齢のWAG−Rijラットの腎臓を単離
し、均質化し、そしてトリプシン消化した。BRK細胞培養のサブコンフルーエ
ント皿(直径5cm)を、1または5μgのpIG.NEO、pIG.E1A.
NEO、pIG.E1A.E1B、pIG/E1A.E1B.X、pAd5Xh
iICで、またはSV40初期プロモーターの制御下でAd5.E1B遺伝子を
担持するPDC26(Elsenら、Virology 128巻:377−3
90頁(1983年))と一緒にpIG.E1A.NEOで形質移入させた。発
生点が見える形質移入の3週後、皿を固定し、ギムサ染色し、そして発生点を計
数した。
【0083】 作製アデノウイルスパッケージング構築物の概観、およびBRKを形質転換す
るそれらの能力が、図6に表される。結果では、構築物pIG.E1A.E1B
およびpIG.E1A.E1B.Xが、用量依存手法で、BRK細胞を形質転換
することができることが示される。形質転換の効率は、両方の構築物に類似し、
そして911細胞、特にpAd5.XhoICを作製するのに使用された構築物
で見られるものに匹敵する。 予想されるとおり、pIG.E1A.NEOは、ほとんどBRKを不死化する
ことはできなかった。しかし、E1B発現構築物(PDC26)の同時形質移入
は、形質転換体の数の明らかな増加を起し(18対1)、それにより、pIG.
E1A.NEOによってコードされたE1Aが機能性があることが示された。し
たがって、我々は、新たに作製されたパッケージング構築物が、新規アデノウイ
ルスパッケージングラインの作成に適していると結論づけた。
【0084】新規パッケージング構築物セルラインを用いたセルラインの作製および細胞培養
ヒトA549気管支癌腫細胞(Shapiroら、Biochem.Biop
hys.Acta 530巻:197〜207頁(1978年)、ヒト胎児網膜
芽細胞(HER)、Ad5−E1−形質転換ヒト胎児腎臓(HEK)細胞(29
3;Grahamら、J.Gen.Virol.36巻:59〜72頁(197
7年)およびAd5−形質転換HER細胞(911;Fallauxら、Hum
.Gene Ther.7巻:215−222頁(1996年))およびPER
細胞を、37℃で、5%のCO2雰囲気下で10%胎仔ウシ血清(FCS)およ
び抗生物質で補足したダルベッコの修正イーグル培地(DMEM)中で育成した
。細胞培養培地、試薬および血清は、ジブコ・ラボラトリーズ(ニューヨーク州
、グランド・アイランド)から購入した。培養用可塑物は、グレニエール(Gr
einer)(ドイツ国ノッティンゲン(N,rtingen、Germany
))およびコーニング(ニューヨーク州コーニング)から購入した。
【0085】ウイルスおよびウイルス技術 組換えアデノウイルスベクターIG.Ad.MLP.nls.lacZ、IG
.Ad.MLP.luc、IG.Ad.MLP.TKおよびIG.Ad.CMV
.TKの構築は、欧州特許出願第95202213号に詳細に記述されている。
組換えアデノウイルスベクターIG.Ad.MLP.nls.lacZは、Ad
2主要後期プロモーター(MLP)の存在下で、β−ガラクトシダーゼをコード
するイー.コリlazZ遺伝子を含み、IG.Ad.MLP.lucは、Ad2
MLPによって起動されるホタルのルシフェラーゼ遺伝子を含み、そしてアデ
ノウイルスベクターIG.Ad.MLP.TKおよびIG.Ad.CMV.TK
は、それぞれ、Ad2 MLPおよびサイトメガロウイルス(CMV)エンハン
サー/プロモーターの制御下で単純ヘルペスウイルス・チミジンキナーゼ(TK
)遺伝子を含む。
【0086】形質移入 製造業者のプロトコルにしたがって、ジブコ・カルシウム・リン酸形質移入シ
ステム(ジブコ・ビーアールエル・ライフ・テクノロジーズ・インク.、米国カ
イザースバーグ)を用いて、カルシウム−リン酸沈殿DNA(Grahamら、
Virology 52巻:456−467頁(1973年))によって全ての
形質移入を行った。
【0087】ウエスタン・ブロッティング 急激に成長する293、911およびAd5−E1−形質転換A549および
PER細胞のサブコンフルーエント培養物を、PBSで洗浄し、そしてFos−
RIPA緩衝液(10mMトリス(pH7.5)、150mMのNaCl、1%
NP40,01%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1% NA−DOC、
0,5mMフェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)、0,5mMト
リプシン阻害剤、50mM NaFおよび1mMナトリウムバナデート)に掻き
寄せた。室温で10分後、溶解液を、遠心分離によって透明にした。バイオラッ
ド・タンパク質アッセイキッドを用いてタンパク濃度を測定し、そして25μg
の総細胞タンパク質を、12.5%SDS−PAAゲルに掛けた。電気泳動後、
タンパク質を、ニトロセルロース上に移した(300mAで1時間)。予め染色
した標準(シグマ、米国)を、平行に起動させた。フィルターを、1時間、TB
ST(10mMトリス(pH8)、15mM NaClおよび0.05%ツイー
ン−20)中の1%ウシ血清アルブミン(BSA)で遮断した。一次抗体は、マ
ウスのモノクローナル抗Ad5−E1B−55−kDA抗体A1C6(Zant
emaら、未出版)、ラットのモノクローナル抗Ad5−E1B−221−kD
a抗体C1G11(Zantemaら、Virology 142巻:44−5
8頁(1985年))であった。二次抗体は、西洋ワザビペルオキシダーゼ標識
ヤギ抗マウス抗体(プロメガ)であった。シグナルは、増強ケモルミネッセンス
(アマシャム・コープ.(Amersham Corp.)、英国)によって可
視化された。
【0088】サザン・ブロット分析 高分子量DNAを単離し、そして10μgを、完全に消化させ、そして0.7
%アガロースゲルで分画した。0.4MのNAOH、0.6MのNaCl転移溶
液(ChurchおよびGilbert、1984年)を用いて、ハイボンドN + (アマシャム、英国)へのサザン・ブロットの転移を行った。pAd5.Sa
lBから得られる2463−nt SspI−HindIII断片(Berna
rdsら、Virology 127巻:45−53頁(1983年))を用い
てハイブリダイゼーションを行った。この断片は、Ad5bp. 342〜28
05から構成される。ランダム・ヘキサヌクレオチド・プライマーおよびクレノ
ーDNAポリメラーゼを使用して、α32p=dCTPで断片を、放射性標識した
。サザン・ブロットを、−80℃で、コダックXAR−5フィルムに、そしてビ
ー・アンド・エル・システムズ・モレキュラー・ダイナミックス・ソフトウエア
によって分析されるホスホ−イメージャー・スクリーンにさらした。
【0089】A549 Ad5−E1−形質転換A549ヒト気管支癌腫セルラインを、pIG.E1
A.NEOで形質移入させ、そしてG418耐性について選択することによって
、作製した。31個のG418耐性クローンを樹立した。pIG.E1A.E1
Bと、pIG.NEOとの同時形質移入は、7個のG418耐性セルラインを生
じた。
【0090】PER Ad5−E1−形質転換ヒト胎児網膜(HER)細胞を、プラスミドpIG.
E1A.E1Bを用いた一次HER細胞の形質移入によって作製した。形質転換
セルラインは、十分に分離した発生点から樹立された。我々は、PER.C1、
PER.C3、PER.C4、PER.C5、PER.C6、PER.C8およ
びPER.C9と称する7つのクローナルセルラインを樹立できた。PERクロ
ーンの内の1つ、特にPER.C6は、番号96022940号の下にECAC
Cに寄託された。
【0091】形質転換A549およびPER細胞でのAd5 E1AおよびE1B遺伝子の発 樹立したA549およびPER細胞におけるAd5 E1Aおよび55−kD
aおよび21kDaのE1Bタンパク質の発現は、モノクローナル抗体(mAb
)の使用によるウエスタン・ブロッティングの手段によって調査された。mAb
M73は、E1A産生物を認識する一方で、MabのAIC6およびClG1
1は、それぞれ55−kDaおよび21kDaのE1Bタンパク質に向けられる
。抗体は、親株のA549または一次HER細胞からの抽出物中のタンパク質を
認識しなかった(データは示されず)。pIG.NEOおよびpIG.E1A.
E1Bの同時形質移入によって作製されたA549クローンで、検出可能なレベ
ルのE1AまたはE1Bタンパク質を発現したものはなかった(図示せず)。p
IG.E1A.NEOで形質移入されて作製されたA549クローンの内のいく
つかは、Ad5 E1Aタンパク質を発現した(図7)が、そのレベルは、29
3細胞から得られるタンパク質溶解液で検出されるものよりかなり低かった。R
ER細胞から得られるタンパク質抽出物で検出される安定な状態のE1Aレベル
は、A549由来の細胞から得られる抽出物で検出されるものよりかなり高かっ
た。全てのPERセルラインは、同様のレベルのE1Aタンパク質を発現した(
図7)。E1Bタンパク質の発現、特にE1B 55 kDaの場合には、いっ
そう変動する。911および293に比較すると、PERクローンの大半は、高
いレベルのE1B 55 kDaおよび2 kDaを発現する。安定な状態のE
1B 21 kDaのレベルは、PER.C3で最高であった。PERクローン
で、細胞の一連の継代でAd5 E1遺伝子の発現を失ったものはなかった(図
示せず)。PER細胞中でのE1発現のレベルは、少なくとも100の集団倍加
について安定性を維持することが分かった。我々は、いっそう詳細にPERクロ
ーンを特徴づけることを決断した。
【0092】PERクローンのサザン分析 PERクローンでのAd5−E1コード化配列の配置を調べるために、サザン
分析を行った。細胞性DNAを、全PERクローンから、そして293および9
11細胞から抽出させた。そのDNAを、Ad5 E1領域で一度切るHind
IIIで消化させた。放射性標識Ad5−E1−特異的プローブを用いた、Hi
ndIII消化したDNAにおけるサザンハイブリダイゼーションでは、PER
クローンのゲノム中にpIG.E1A.E1Bのいくつかの組込みコピーの存在
が示された。図8は、異なるPERセルラインの高い分子量のDNAでのE1配
列の分布パターンを示す。コピーを、単独バンドで濃縮し、そしてそれは、タン
デム反復しとして組込まれることを示唆する。PER.C3、C5、C6および
C9の場合に、pIG.E1A.E1Bの切断したコピーの存在を示す低分子量
の別のハイブリダイゼーションバンドを知見した。コピーの数を、ホスホイメー
ジャーを使用して測定した。我々は、PER.C1、C3、C4、C5、C6、
C8およびC9が、それぞれ、Ad5 E1コーディング領域の2、88、5、
4、5、5および3コピーを含むこと、および911および293細胞が、それ
ぞれ、Ad5 E1配列の1および4コピーを含むと概算した。
【0093】形質移入効率 組換えアデノベクターを、293細胞へのアダプター・プラスミドおよびAd
5の大型ClaI断片の同時形質移入によって作製する(欧州出願第95202
213号)。組換えウイルスDNAは、プラスミドおよびアデノウイルスDNA
に存在する相同ウイルスの配列の間で相同組換えによって形成される。選択的攻
略法のものと同様に、この方法の効力は、ヘルパー細胞の形質移入性におおいに
依存する。したがって、我々は、レセプターとしてイー.コリβ−ガラクトシダ
ーゼ・コード化lacZ遺伝子を用いて、PERクローンの内のいくつの形質移
入効率を、911細胞と比較した(図9)。
【0094】組換えアデノウイルスの産生 293、911、PER.C3、PER.C5およびPER.C6に様々なア
デノウイルス・ベクターを接種した後に得られる組換えアデノウイルスの収量は
、表IIに表される。 結果は、PER細胞で得られた組換えアデノウイルス・ベクターの収量が、少
なくとも、現存のセルラインで得られるものと同じくらい高いことを示す。さら
に、新規アデノウイルス・ベクターIG.Ad.MLPI.TKの収量が、試験
された全てのセルラインにおける他のウイルスベクターについて得られた収量に
類似であるか、またはそれより高い。
【0095】新規アデノウイルス・ベクターの作製(図10) 使用される組換えアデノウイルス・ベクター(欧州特許出願第9520221
3号参照)を、E1配列459からnt.3328までについて欠失させる。構
築物pE1A.E1Bが、Ad5配列459からnt.3510までを含むとき
、パッケージング構築物pIG.E1A.E1Bと、例えばIG.Ad.MLP
.TKのような組換えアデノウイルスにあるE1B配列の間に183nt.の配
列重複がある。重複配列が、新たなアデノウイルス・ベクターから欠失された。
さらに、元の構築物に存在するlacZから誘導される非コーディング配列も、
同様に欠失された。これは、プライマーSV40−1(配列番号:33)(Ba
mHI部位を導入する)およびSV40−2(配列番号:34)(BglII部
位を導入する)を用いて、pMLP.TKから得られるSV40ポリ(A)配列
のPCR増幅によって達成された(図10)。さらに、この構築物に存在するA
d5配列を、nt.2496(Ad5、BglII部位を導入する)からnt.
2779(Ad5−2)までを増幅させた。両方のPCR断片を、BglIIで
消化させ、そして連結させた。連結産物を、プライマーSV40−1およびAd
5−2(配列番号:36)を用いてPCR増幅させた。得られたPCR産物を、
BamHIおよびAflIIで切断し、そして同じ酵素で予め消化させたpML
P.TKに連結した。pMLPI.TKと称される生じた構築物は、nt.45
9からnt.3510までのアデノウイルスE1配列での欠失を含む。
【0096】パッケージング・システム なんら配列重複を有しない、新規パッケージング構築物pIG.E1A.E1
Bと、組換えアデノウイルスpMLPI.TKとの組合せは、図11に表される
。この図で、配列重複が示される元の状態も、表される。pIG.E1A.E1
BおよびpMLPI.TKの間の重複配列の不在(図11a)は、パッケージン
グ構築物と組換えウイルスとの間の相同組換えの可能性を排除し、したがって、
元の状況と比較すると組換えアデノウイルスの産生についての明らかな改善であ
る。 図11bでは、その状況は、pIG.E1A.NEOおよびIG.Ad.ML
PI.TKについて描写される。樹立細胞への形質移入された場合、pIG.E
1A.NEOは、E1欠失組換えアデノウイルスの増殖を支持するのに十分であ
ることが予想される。この組合せは、なんら配列重複を有せず、それにより、相
同組換えによるRCAの産生を予防する。さらに、この従来のパッケージング・
システムは、E1A配列のみについて欠失させて、そしてE1B配列については
欠失されていない組換えアデノウイルスの増殖を可能にする。 E1Aの不在下でE1Bを発現する組換えアデノウイルスは、E1Bタンパク
質と同様に活発であり、特に、E1B19kDは、感染ヒト細胞を、腫瘍壊死因
子(TNF)による溶解から守ることができる(Goodingら、J.Vir
ol.65巻:3083−3094頁(1991年))。
【0097】pMLPI.TKから誘導される組換えアデノウイルスの作製 組換えアデノウイルスを、SalI線状化pMLPI.TK DNAおよびC
laI線状化Ad5 wt DNAを用いた293細胞の同時形質移入によって
作製した。その手段は、図12に図式で表される。
【0098】 (実施例2) 組換えアデノウイルス・ベクターの高速RCA不含生成についてのプラスミド基
本システムアデノウイルス・クローンpBr/Ad.Bam−rITR(ECACC寄託P 97082122)の構築 ITR配列の平滑末端クローニングを促進するために、野生型ヒトアデノウイ
ルス5型(Ad5)DNAを、過剰のdNTPの存在下でクレノー酵素で処理し
た。クレノー酵素の不活性化およびフェノール/クロロホルム抽出、続いてエタ
ノール沈降させることによる精製の後、DNAを、BamHIで消化した。この
DNA製品を、以下のとおり製造されたpBr322由来ベクターDNAとの連
結反応でさらに精製することなしに使用した。pBr322DNAを、EcoR
VおよびBamHIで消化し、TSAP酵素(ライフ・テクノロジーズ)で処理
することによって脱リン酸化し、そしてLMPアガロースゲル(シープラーク・
ジーティージー(SeaPlaque GTG))上で精製した。コンピテント
・イー.コリDH5a(ライフ・テクノ)への形質転換およびアンピシリン耐性
コロニーの分析の後、Ad5にあるBamHI部位から、右側ITRまで伸長す
る挿入物ついて予想されるとおりの消化パターンを示す1つのクローンを選択し
た。右側ITRにあるクローニング境界の配列分析では、ITRの最も3’のG
残渣が失われたことが示され、そのITRの残りは、正しいことが分かった。上
記の失われたG残渣は、複製の間、他のITRによって相補される。pBr/Ad.Sal−rITR(ECACC受託番号P97082119号)
pBr/Ad.Bam−rITRを、BamHIおよびSalIで消化した。
アデノウイルス挿入物を含むベクター断片を、LMPアガロース(シープラーク
・ジーティージー)で単離し、そしてwt Ad5 DNAから得られた4.8
kbのSalI−BamHI断片に連結し、そしてジーンクリーンIIキット(
バイオ101,インク.)で精製した。1つのクローンを選択し、そしてAd5
配列の組込みを、制限酵素分析によって決定した。クローンpBr/Ad.Sa
l−rITRは、16746bpにあるSalI部位から、rITR(最も3’
のG残渣を欠く)まで、そしてそれを含むアデノ5型配列を含む。
【0099】pBr/Ad.Cla−Bam(ECACC受託番号P97082117号)
wtアデノ5型DNAを、ClaIおよびBamHIで消化し、そして20.
6kb断片を、電気溶離によってゲルから単離した。pBr322を、同じ酵素
で消化し、そして、ジーンクリーンによってアガロースゲルから精製した。両方
の断片を連結し、そしてコンピテントDH5αに形質転換させた。生じたクロー
ンpBr/Ad.Cla−Bamを、制限酵素消化によって分析し、そしてbp
919から21566までのアデノウイルス配列を有する挿入物を含むことが示
された。pBr/Ad.AflII−Bam(ECACC受託番号P97082114号 クローンpBr/Ad.Cla−Bamを、EcoRI(pBr322中)で
線状にし、そしてAflIIで部分的に消化した。65℃で、20分間、Afl
IIの加熱不活性化の後、断片末端を、クレノー酵素で満たした。その後、DN
Aを、PacI部位(5’−AATTGTCTTAATTAACCGCTTAA
−3’)(配列番号:1)を含む平滑二本鎖オリゴリンカーに連結した。このリ
ンカーを、以下の2つのオリゴヌクレオチド:5’−AATTGTCTTAAT
TAACCGC−3’(配列番号:2)および5’−AATTGCGGTTAA
TTAAGAC−3’(配列番号:3)をアニーリングすることによって作製し
、続いて、クレノー酵素で平滑にした。連結DNAを沈殿させて、緩衝液を交換
した後、連結物を、過剰のPacI酵素で消化して、オリゴのコンカテマーを除
去した。3534bpから21566までのAd5配列およびベクター配列を含
む22016bp部分断片を、LMPアガロース(シープラーク・ジーティージ
ー)中で単離させ、再連結し、そしてコンピテントDH5αに形質転換させた。
PacI部位を含むことが分かり、そして大型アデノ断片を保持した1つのクロ
ーンを選択し、そして(失われた)AflII部位にあるPacIリンカーの順
行挿入を確認する5’末端で配列決定した。
【0100】pBr/Ad.Bam−rITRpac番号2(ECACC受託番号P9708 2120号)およびpBr/Ad.Bam−rITR番号8(ECACC受託番 号P97082121号) クローンpBr/Ad.Bam−rITRにあるAd5のITRのそばにPa
cI部位を挿入させるために、約190ヌクレオチドを、pBr322骨格中の
ClaI部位と、ITR配列の出発点の間から除去した。これは、以下のとおり
行われた。pBr/Ad.Bam−rITRを、ClaIで消化し、そして可変
の時間の長さ(2分、5分、10分および15分)、ヌクレオチドBal31で
処理した。ヌクレオチド除去の程度は、同一の緩衝液および条件を用いて、pB
r322DNA(ClaI部位でも消化された)上で分離反応を続けた。Bal
31酵素を、10分間、75℃でのインキュベーションにより不活性化させ、D
NAを沈殿させ、そして少量のTE緩衝液に再懸濁させた。平滑末端を確保する
ために、DNAを、さらに過剰のdNTPの存在下で、T4DNAポリメラーゼ
で処理した。SalIを用いた(対照)pBr322DNAの消化後、10分ま
たは15分間、処理されたサンプル中に満足な分解(150bp)が観察され
た。10分または15分処理されたpBr/Ad.Bam−rITRサンプルを
、その後、上述の平滑PacIリンカー(pBr/Ad.AflII−Bam参
照)に連結した。沈殿によって連結物を精製し、過剰のPacIで消化し、そし
てLMPアガロースゲル上でリンカーから分離した。再連結後、DNAを、コン
ピテントDH5αに形質転換させ、そしてコロニーを分析した。およそ所望の長
さの欠失を示す10個のコロニーを、選択し、そしてさらにこれらを、Tトラッ
ク配列決定(T7配列決定キット、ファルマシア・バイオテク(Pharmac
ia Biotech))によって分析した。2つのコロニーが、rITRのち
ょうど下流に挿入されたPacIリンカーを有することが分かった。PacIで
の消化の後、クローン番号2は、28bpを有し、そしてクローン番号8は、I
TRに粘着した27bpを有する。
【0101】pWE/Ad.AflII−rITR(ECACC受託番号P97082116 号) コスミドベクターpWE15(クローンテック(Clontech))を使用
して、大型Ad5挿入物をクローン化した。第一に、特徴的なPacI部位を含
むリンカーを、pWE15のEcoRI部位に挿入し、それによりpWE.pa
cが作製された。このために、pBr/Ad.AflII−BamHIについて
記述されるとおり二本鎖PacIオリゴを使用したが、ここで、そのEcoRI
突出末端を有する。その後、以下の断片:PacIで消化されたpWE.pac
、PacIおよびBamHIで消化されたpBr/AflII−Bam、および
BamHIおよびPacIで消化されたpBr/Ad.Bam−rITR番号2
を、アガロースゲルから電気溶離によって単離した。これらの断片を、一緒に連
結させ、そして製造業者のプロトコルによって、λファージパッケージング抽出
物(ストラタジーン)を使用して封入した。宿主細菌への感染の後、コロニーを
、平板上に載せ、そして完全挿入物の存在について分析した。pWE/Ad.A
flII−rITRは、3534bp(AflII部位)から右側ITR(最も
3’G残渣を欠く)まで、そしてそれを含む全てのアデノウイルス5型配列を含
む。 アデノ5wtDNAを、過剰のdNTPの存在下でクレノー酵素で処理し、そ
して続いてSalIで消化した。それぞれ、左側ITR−Sal(9.4)およ
びSal(16.7)−右側ITRと称される、生じた断片の内の2つを、LM
Pアガロース(シープラーク・ジーティージー)で単離した。pBr322DN
Aを、EcoRVおよびSalIで消化し、そしてホスファターゼ(ライフ・テ
クノロジーズ)で処理した。ベクター断片を、ジーンクリーン法(バイオ101
,インク.)を使用して単離し、そしてAd5 SalI断片に連結した。9.
4kb断片との連結のみが、挿入物を有するコロニーを供した。コロニー境界の
分析および配列決定の後、全長ITR配列を含み、そして9462bpでSal
I部位まで伸長するクローンを選択した。
【0102】pBr/Ad.lITR−Sal(16.7)(ECACC受託番号P9708 2118号) pBr/Ad.lITR−Sal(9.4)を、SalIで消化し、そして脱
リン酸化(TSAP、ライフ・テクノロジーズ)した。このクローンを、Ad5
にある第三のSalI部位まで伸長するために、pBr/Ad.Cla−Bam
を、BamHIで線状にし、そしてSalIで部分的に消化した。9462−1
6746までのアデノウイルス配列を含む7.3kb SalI断片を、LMP
アガロースゲルで単離し、そしてSalI消化したpBr/Ad.lITR−S
al(9.4)ベクター断片に連結させた。
【0103】pWE/Ad.AflII−EcoRI pWE.pacを、ClaIで消化し、そして5’突出末端を、クレノー酵素
を用いて充填した。その後、DNAを、PacIで消化し、そしてアガロースゲ
ルから単離した。pWE/AflII−rITRを、EcoRIで消化し、そし
てクレノー酵素で処理した後、PacIで消化した。アデノウイルス配列を含む
大型24kb断片を、アガロースゲルから単離し、そしてクローンテックから得
たライゲーション・エクスプレス(商標名)キットを用いて、ClaI消化およ
び平滑pWE.pacベクターに連結した。ストラタジーンから得たウルトラコ
ンピテントXL10−金細胞の形質転換の後、予想される挿入物を含むクローン
を、同定した。pWE/AflII−EcoRIは、3534−27336bp
から得られるAd5配列を含む。
【0104】新規アダプタープラスミドの構築 パッケージングセルライン中の組換えアデノウイルスとE1配列との間の配列
重複の不在は、新規組換えウイルスの安全なRCA不含生成、および増殖に必須
である。アダプタープラスミドpMLPI.TK(図10)は、本発明の改善さ
れたパッケージング・セルラインとの組合せで、本発明による使用のために設計
されたアダプタープラスミドの例である。このプラスミドは、出発材料として使
用されて、特異的プロモーターおよび遺伝子配列を含む核酸分子が、容易に交換
されうる新たなベクターを作製した。 第一に、PCR断片を、以下のプライマー:LTR−1:5’−CTG TA
C GTA CCA GTG CAC TGG CCT AGG CAT GG
A AAA ATA CAT AAC TG−3’(配列番号:4)およびLT
R−2:5’−GCG GAT CCT TCG AAC CAT GGT A
AG CTT GGT ACC GCT AGC GTT AAC CGG G
CG ACT CAG TCA ATC G−3’(配列番号:5)を用いてp
ZipΔMo+PyF101(N-)テンプレートDNA(PCT/NL96/
00195で記述される)から作製した。Pwo DNAポリメラーゼ(Boe
hringer Mannheim)を、以下の温度サイクルで、製造業者のプ
ロトコルに従って使用した。すなわち、1回、5分間95℃で;3分間55℃で
;そして1分間72℃で、そして1分間95℃で、1分間60℃で、1分間72
℃での30サイクル、続いて、1回、10分間72℃で使用した。その後、PC
R産物を、BamHIで消化し、そしてPvuIIおよびBamHIで消化した
pMLP10(Levreroら、Gene101巻:195−202頁(19
91年))ベクターに連結し、それによりベクターpLTR10を生成した。こ
のベクターは、1bpから454bpまでのアデノウイルス配列、続いて野生型
エンハンサー配列が、突然変異ポリオーマウイルス(PyF101)から得たエ
ンハンサーに交換されているMo−MuLV LTRの一部を包含するプロモー
ターを含む。プロモーター断片は、L420と称された。 次に、ネズミHSA遺伝子のコーディング領域を挿入した。pLTR10を、
BstBIで消化し、続いてクレノー処理し、そしてNcoIで消化した。HS
A遺伝子を、以下のプライマー:HSA1、5’−GCG CCA CCA T
GG GCA GAG CGA TGG TGG C−3’(配列番号:6)お
よびHSA2、5’−GTT AGA TCT AAG CTT GTC GA
C ATC GAT CTA CTA ACA GTA GAG ATG TA
G AA−3’(配列番号:7)を使用して、pUC18−HSA(Kayら、
J.Immunol. 145巻:1952−1959頁(1990年))上で
のPCR増幅によって得た。269bp増幅断片を、NcoIおよびBglII
部位を用いて、シャトルベクターにサブクローニングした。配列決定は、HSA
遺伝子の順行コーディング配列の組込みを確認したが、TAG終止コドンに直接
続く余剰TAG挿入物を有した。その後、TAG複写を含むHSA遺伝子のコー
ディング領域を、NcoI(粘着)−SalI(平滑)断片として削除し、そし
てpLTR10から得た3.5kb NcoI(粘着)/BstBI(平滑)断
片にクローニングし、それによりpLTR−HSA10を生じた。 最後に、左側ITR、パッケージング・シグナル、L420プロモーターおよ
びHSA遺伝子を含む断片が、同じ酵素で消化されたベクターpMLPI.TK
に挿入され、それによりプロモーターおよび遺伝子配列を置換した後、pLTR
−HSA10を、EcoRIおよびBamHIで消化した。これは、プロモータ
ーおよび遺伝子配列の周囲に種々の制限酵素についての都合のよい認識部位を含
む新たなアダプター・プラスミドpAd/L420−HSA(図19)を生じた
。SnaBIおよびAvrIIは、HpaI、NheI、KpnI、HindI
IIと組合せて、プロモーター配列を交換することができる一方で、後者の部位
は、HSAコーディング領域かれ得られるClaIまたはBamHI3’部位と
組合せて、この構築物中の遺伝子を置換することができる。 pAd/L420−HSA中のプロモーター、遺伝子およびポリA配列を、C
MVプロモーター、多クローニング部位、イントロンおよびポリ−Aシグナルに
置換することによって、核酸分子の交換を容易にさせるように設計された別のア
ダプター・プラスミドを、作製した。この目的のために、pAd/L420−H
SAを、AvrIIおよびBglIIで消化し、続いてクレノーで処理して、平
滑末端を得た。pBr322ベクターおよびアデノウイルス配列を有する5.1
kb断片を単離し、そしてHhaIおよびAvrIIで消化し、続いてT4DN
Aポリメラーゼで処理することによって得られるpcDNA1/amp(インビ
トロゲン)から得られる平滑1570bp断片に連結した。このアダプター・プ
ラスミドは、pCLIPと名付けられた(図20)。
【0105】組換えアデノウイルスの作製 wt E3配列を有するE1−欠失組換えアデノウイルス 新たなプラスミド基本システムでE1−欠失組換えアデノウイルスを作製する
ために、以下の構築物を、作成した。重複アデノウイルスゲノム断片の3’部位
で切断する制限酵素で線状にした目的の遺伝子を有する発現カセットを含み、好
ましくはなんらpBr322ベクター配列を含まないアダプター構築物;Pac
Iで消化した相補的アデノウイルスゲノム構築物pWE/Ad.AflII−r
ITR。 さらに、これらの2つのDNA分子を、フェノール/クロロホルム抽出および
EtOH沈殿によって精製する。アデノウイルス・パッケージング・セルライン
、好ましくは本発明によるセルラインにこれらのプラスミドを形質移入させて、
アダプターと、相補的構築物(図21)との間の1段階の相同組換えによって、
組換え体複製欠失アデノウイルスを作製した。選択股として、pWE/Ad.A
flII−rITRの代わりに、他の断片、例えばEcoRIおよびBamHI
で消化したpBr/Ad.Cla−Bamを使用できるか、またはPacIおよ
びBamHIで消化したpBr/Ad.AflII−BamHIを、SalIで
消化したpBr/Ad.Sal−rITRと組合わせることができる。この場合
に、3つのプラスミドを組合せ、そして2つの相同組換えが、組換え体アデノウ
イルスを得るのに必要とされる(図22)。当業者は、本発明から逸脱すること
なしに、アダプターおよび相補的プラスミドの他の組合せを使用しうると解釈さ
れるべきである。 以下に概説される一般のプロトコルおよび本発明の限定されない例としての手
段が、種々のアダプター・プラスミドおよびAd.AflII−rITR断片を
用いて数種の組換えアデノウイルスを産生するために行われた。アデノウイルス
のパッケージング・セル(PER.C6)を、25cm2のフラスコに蒔き、
そしてそれらが、〜80%集密度にある次の日に、製造業者によって記述される
とおりDNAおよびリポフェクタミン剤(ライフ・テクノ)の混合物に形質移入
させた。日常的に、40μlリポフェクタミン、4μgアダプター・プラスミド
および4μgの相補的アデノウイルスゲノム断片AflII−rITR(または
二重相同組換えについては2μgの全ての3つのプラスミド)を使用した。これ
らの条件下で、pAd/CMV−LacZアダプターを用いた対照形質移入で測
定されるとおり、〜50%(形質移入後48時間)の一過性形質移入効率が得ら
れた。2日後、細胞を、〜80cm2フラスコに継代し、そしてさらに培養した
。およそ5日(単独の相同組換えのため)から11日(二重相同組換えのため)
後、細胞変性効果(CPE)が見られ、それにより、機能性アデノウイルスが形
成したことが示された。細胞および培地を、全CPEで回収し、そして組換えウ
イルスを、凍結−解凍によって放出する。当初の段階で、力価が、全CPEの発
生にもかかわらず可変性であることが分かったので収量を増加するために、80
cm2フラスコでの余剰の増幅段階を、日常的に行った。増幅後、ウイルスを回
収し、そしてプラークを、PER.C6細胞で精製した。個々のプラークを、活
性移入遺伝子を有するウイルスについて試験した。 ヒト・インターロイキン−3遺伝子(図1参照、WO88/04691)、ヒ
ト内皮硝酸遺伝子(Janssensら、J.Biol.Chem.267巻:
14519−14522頁(1992年))、Tc1Aトランスポサーゼ遺伝子
(Vosら、Genes Dev.7巻:1244−1253頁(1993年)
)、または細菌LacZ遺伝子(Kalderonら、Cell 39巻:49
9−509頁(1984年))を含む4つの異なる組換えアデノウイルスが、こ
のプロトコルを使用して生成された。全ての場合に、機能性アデノウイルスを形
成し、そして全単離プラークは、活性移入遺伝子を有するウイルスを含んだ。
【0106】E3またはE4領域中の修飾を伴うE1−欠失組換えアデノウイルス E1領域中の置換を別として、E3機能が、組換えウイルスの複製、パッケー
ジングおよび感染のために必要でないので、アデノウイルス中のE3領域を欠失
するか、またはE3領域の一部を置換することが可能である。これは、最大封入
可能サイズ(wtゲノム長のおよそ105%)を超えることなしに、大型挿入物
を使用するか、または1つ以上の遺伝子を挿入する機会を作り出す。これは、例
えば、XbaIで消化し、そして再連結することによってpBr/Ad.Bam
−rITRクローン中のE3領域の一部を欠失させることによって行うことがで
きる。これは、全ての公知E3コーディング領域を含むAd5wt配列2859
2−30470を除去する。別の例は、新たな配列の挿入をさせるポリリンカー
を有するE3領域中のgp19Kのコーディング領域の厳密な置換である。これ
は、全ての他の無傷のコーディング領域を残し、移入遺伝子が、E3プロモータ
ーおよびpA配列によって起動されるので異質プロモーターについての必要を回
避し、それによりコーディング配列のための空間をいっそう残し、そして少なく
とも、対照E1置換ベクターでと同じくらいよく非常に高い移入遺伝子発現を生
じる。 この末端に、E3領域の5’部分を含むwt Ad5から得られる2.7kb
のEcoRI断片を、pBluescript(KS-)(ストラタジーン)の
EcoRI部位にクローン化した。次に、ポリリンカー中のHindIII部位
を、EcoRVおよびHincIIを用いた消化によって除去し、続いて再連結
させた。生じるクローンpBS.Eco−Eco/ad5ΔHIIIを、gp1
9Kコーディング領域を欠失するのに使用した。プライマー1(5’−GGG
TAT TAG GCC AAAGGCGCA−3’)(配列番号:8)および
2(5’−GAT CCC ATG GAA GCT TGG GTG GCG
ACC CCA GCG−3’)(配列番号:9)を使用して、wt Ad5
DNA中の配列28511に対応するpBS.Eco−Eco/ad5ΔHI
IIから28734まで配列を増幅した。プライマー3(5’−GAT CCC
ATG GGG ATC CTT TAC TAA GTT ACA AAG
CTA−3’)(配列番号:10)および4(5’−GTC GCT GTA
GTT GGA CTG G−3’)(配列番号:11)を同じDNA上に使
用して、Ad5配列29217から29476までを増幅した。2つの生じたP
CR断片を、新たに導入されたNcoI部位に基づいて一緒に連結し、そしてX
baIおよびMunIで消化した。その後、この断片を、XbaIおよびMun
Iで部分的に消化されたpBS.Eco−Eco/ad5ΔHIIIベクターに
連結し、それによりpBS.Eco−Eco/ad5ΔHIII.Δgp19K
を生じた。 HindIIIおよびBamHI部位への外来遺伝子の挿入を可能にするため
に、XbaI欠失を、pBS.Eco−Eco/ad5ΔHIII.Δgp19
K中で行い、Bluescriptポリリンカー中のBamHI部位を除去した
。生じたプラスミドpBS.Eco−Eco/ad5ΔHIIIΔgp19KΔ
XbaIは、Ad5中で配列28733(HindIII)および29218(
BamHI)に対応する特徴的なHindIIIおよびBamHI部位を含む。
これらの部位への外来遺伝子の導入の後、欠失XbaI断片を、再導入するか、
または挿入物を、HindIIIおよび、例えばMunIを用いてpBS.Ec
o−Eco/ad5ΔHIIIΔgp19Kに再クローン化するかのいずれかで
ある。この手段を使用して、我々は、HSV−TK(McKnight、Nuc
l.Acid.Res.8巻:5949〜5964頁(1980年)およびVi
ncentら、Hum.Gene Ther. 7巻:197〜205頁(19
96年))、hIL−1α(Esandiら、Gene Therapy 5巻
:xxx−yyy(1998年))、ラットIL−3β(Esandiら、Ge
ne 11242:xxx−yyy(1998年))、ルシフェラーゼ(DeW
itら、Mol.Cell Biol. 7巻:725〜737頁(1987年
))またはLacZを発現するプラスミドを作製した。pBS.Eco−Eco
/ad5ΔHIII.Dgp19Kプラスミド中の特徴的なSrfIおよびNo
tI部位(目的の挿入遺伝子を有するか、または有しない)を使用して、目的の
遺伝子を含む領域を、pBr/Ad.Bam−rITRの対応の領域に移行させ
、それにより構築物pBr/Ad.Bam−rITRDgp19K(目的の挿入
遺伝子を有するか、または有しない)を生じる。この構築物を、上記に記述され
るとおり使用して、組換えアデノウイルスを生成する。ウイルスに関連して、挿
入遺伝子の発現は、アデノウイルスE3プロモーターによって起動される。 E1およびE3の両方を欠失させた組換えウイルスは、目的の第一の遺伝子の
挿入を伴うか、または伴わない本発明によるE1置換についてのアダプター・プ
ラスミド、pWE/Ad.AflII−EcoRI断片、および目的の第二の遺
伝子の挿入を伴うか、または伴わないpBr/Ad.Bam−rITRΔgp1
9Kプラスミドを含むプラスミド基本システムを用いたE1置換ベクターについ
て上に記述されるとおり二重相同組換え手段によって生成される。
【0107】 制限のない例では、我々は、E1領域にネズミHSA遺伝子、およびgp19
K領域にホタルのルシフェラーゼ遺伝子を含む組換えアデノウイルスの生成およ
び機能性を記述する。ルシフェラーゼ遺伝子を、HindIII−BamHI構
築物としてpAd/MLP−Luc(欧州特許第0707071号に記述される
)から削り、そしてpBS.Eco−Eco/ad5ΔHIII.Δgp19K
ΔXbaIのHindIII−BamHI部位にクローニングした。その後、ル
シフェラーゼ遺伝子を含むMscI−MunI断片を、pBS.Eco−Eco
/ad5Δgp19Kの対応の部位にクローニングして、pBS.Eco−Ec
o/ad5Δgp19K.lucを生成した。これは、Eco−Eco断片を保
持するが、ここで、gp19Kの代わりにルシフェラーゼ遺伝子を有する。 さらに操作を簡単にするために、ルシフェラーゼ挿入物中の内部EcoRI部
位を、ルシフェラーゼ遺伝子のアミノ酸配列を変えることなしに突然変異させた
。一方のEcoRI部位は、ルシフェラーゼ挿入物の5’−非コーディング領域
にあるHindIII部位に隣接し、そして他方は、出発のATGから588b
pの3’に配置された。695bp PCR産物を、以下のプライマー:5’−
CGA TAA GCT TAA TTC CTT TGT GTT T−3’
(配列番号:12)および5’−CTT AGG TAA CCC AGT A
GA TCC AGA GGA GTT CAT−3’(配列番号:13)を用
いて作製し、そしてHindIIIおよびBstEIIで消化した。その後、こ
の断片を、HindIII−BstEII消化pBS.Eco−Eco/ad5
Δgp19K.lucに連結し、それによりこのベクター中の対応の挿入物を置
換した。生じた構築物は、pBS.Eco−Eco/ad5Δgp19K.lu
2と称される。その後、ルシフェラーゼ遺伝子、およびE3領域の一部を、S
rfIおよびNotIを用いてこのクローンから削除し、そしてpBr/Ad.
Bam−rITR中の対応の部位に導入し、それによりクローンpBr/Ad.
Bam−rITRΔgp19K/luc2を生じた。 二重挿入ウイルス中のE1の置換のために使用されたアダプター・プラスミド
pAd5/S1800HSAは、レトロウイルスLTR−基本プロモーターによ
って起動されるネズミHSA遺伝子を含有する。このアダプター・プラスミドは
、プロモーター配列の置換によって、以下に記述されるpAd5/L420−H
SA構築物から作製された。第一に、PCR産物を、L420プロモーター断片
(以下に記述される)の増幅のためと同じプライマーを使用して、WO95/3
4669に記述されるMFG−Sベクターに基づいたレトロウイルス・ベクター
上で産生させた。このPCRは、MFG−Sベクター中の453〜877bpに
対応する配列を増幅する。その後、pAd5/L420−HSA中のL420プ
ロモーター(図21)を、特徴的なAvrIIおよびHindIII部位を用い
て、PCR断片について交換した。その後、生じた構築物pAd5/S430−
HSAを、NheIおよびScaIで消化し、そしてHSA遺伝子、pA配列、
Ad5配列およびアンピシリン遺伝子中のScaI部位に対するベクター配列を
含む4504bp断片を、単離した。
【0108】 構築物pAd5/S430−HSAを、XbaIおよびScaIで消化し、そ
して1252bp断片(アンピシリン遺伝子の残り、アデノウイルスから得られ
る左側ITRおよびパッケージング・シグナル、およびS430プロモーターの
5’部分を含む)を単離した。1576pbの第三の断片を、MFG−S−基本
レトロウイルス・ベクターから単離し、続いてXbaI消化を行い、そして69
5〜2271bpに対応するMFG−S配列を含む。 アダプター・プラスミドpAd5/S1800−HSAを、3つの単離断片を
連結することによって構築した。PER.C6細胞への以下のDNA断片の形質
移入によって(上述のとおり)、二重挿入ウイルスpAd5/S1800−HS
A.E3lucを作製した:EcoRIおよびSalI(2μg)で消化したp
Ad5/S1800−HSA。CPEの発生で、ウイルスを回収し、そしてPE
R.C6細胞での一連の継代によって増幅した。このHSA−lucウイルスの
活性を、E1領域中のS1800−HSAまたはCMV−luc転写単位のいず
れかを含むシングル挿入ΔE1ウイルスと比較した。A549細胞を、2×10 5 細胞/ウエルに蒔き、そして5時間後、様々な量のウイルスに感染させた。2
日後、移入遺伝子発現を測定した。ルシフェラーゼアッセイ・システム(プロメ
ガ)を用いてルシフェラーゼ活性を測定し、そしてネズミHSA遺伝子の発現を
、α−HSA抗体(M1/69、Pharmingen)で測定した。結果は、
表IIIに列記される。 この実験では、プラスミド基本組換えシステムを用いて、二重挿入ウイルスを
、作製できること、および両方の挿入物が機能性があることが示される。さらに
、二重挿入ウイルスのルシフェラーゼ活性は、対照ウイルスのCMV−起動ルシ
フェラーゼ活性に匹敵する。したがって、我々は、E3プロモーターが、E1A
タンパク質の不在下でさえ、A549細胞で非常に活性であると結論づけた。 E3領域での操作に加えて、E4領域の(一部の)変化は、pBr/Ad.B
am−rITRで容易に達成することができる。しかし、ある種の場合には、こ
のようなウイルスの産生および増殖は、トランス位で相補性を必要とする。
【0109】 (実施例3)アデノウイルス遺伝子を含有し、そして発現する細胞中の二本鎖DNA分子の産 生のための逆行鎖合成についてのプライマーとしての役割を果すヘアピン構造を 形成する能力のある合成DNA配列の感応性の例示 使用されるプラスミドの名付け慣例: p プラスミド I ITR(アデノウイルス逆方向末端反復) C サイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー/プロモーターの組合せ L ホタルのルシフェラーゼ・コーディング配列 hac、hawそれぞれ、順行および逆行の配向の両方で制限エンドヌクレア
ーゼAsp718で消化した後に形成されうる強力なヘアピン(図15)。 名付け慣例は、以下のおとり例示される。pICLhawは、アデノウイルス
ITR、続いて逆行(非機能性)配向でCMV−起動ルシフェラーゼ遺伝子およ
びAsp718ヘアピンを含むプラスミドである。プラスミドpICLhac、
pICLhaw、pICLIおよびpICLを、標準技術を用いて作製した。こ
れらのプラスミドの図式表示は、図16〜19に示される。 プラスミドpICLは、以下のプラスミドから誘導される。 nt.1 457 pMLP10(Levreroら、Gene 101巻:
195−202頁(1991年)) nt.458 1218 pCMVβ(クローンテック、EMBL Bank
番号U02451) nt.1219 3016 pMLP.luc(イントロジーン、未出版) nt.3017 5620 pBLCAT5(Steinら、Mol.Cel
l Biol. 9巻:4531〜4頁(1989年)) プラスミドは、以下のとおり構築された。 プラスミドpMLP10のtet遺伝子は、BamHI−SalI断片の欠失
によって不活性化されて、pBLP10ΔSBを生じた。プライマー組PCR/
MLP1(配列番号:37)およびPCR/MLP3(配列番号:38)を使用
して、合成SalI制限部位に隣接したAd5−ITRを有する210bpの断
片を、pMLP10DNAをテンプレートとして使用して増幅した。PCR産物
を、酵素EcoRIおよびSgrAIで消化して、196bpの断片を作製した
。プラスミドpMLP10ΔSBを、EcoRIおよびSgrAIで消化して、
ITRを除去した。この断片を、EcoRI−SgrAI処理PCR断片に置換
して、pMLP/SALを作製した。 プラスミドpCMV−Lucを、完了までPvuIIで消化し、そして再循環
させて、SV40−由来のポリアデニル化シグナル、およびAd5左側端末を除
いたAd5配列を除去した。生じたプラスミドで、XmnI−SacII断片を
交換することによって、pCMV−lucΔAd、Ad5 ITRを、プラスミ
ドpMLP/SALから得られるSal部位隣接ITRに置換した。生じたプラ
スミドで、pCMV−lucΔAd/SAL、Ad5左側末端およびCMV−起
動ルシフェラーゼ遺伝子を、SalI−SmaI断片として単離し、そしてSa
lIおよびHpaI消化プラスミドpBLCATSに挿入して、プラスミドpI
CLを形成した。プラスミドpICLは、図19に表され、その配列番号は、図
20に表される。 プラスミドpICLは、以下の特性を含む。 nt.1〜457 Ad5左側末端(ヒトアデノウイルス5型の配列1〜45
7) nt.458〜969 ヒトサイトメガロウイルス・エンハンサーおよび最初
期プロモーター(Boshartら、Cell 41巻:521〜530頁(1
985年))(プラスミドpCMVβから、クローンテック、米国パロアルト) nt.970〜1204 SV40 19Sエクソンおよび切断16/19S
イントロン(プラスミドpCMVβから) nt.1218〜2987 ホタルのルシフェラーゼ遺伝子(pMLP.lu
cから) nt.3018〜3131 後期転写から得られるSV40タンデム・ポリア
デニル化シグナル(プラスミドpBLCAT5から誘導される) nt.3132〜5620 pUC12骨格(プラスミドpBLCAT5から
誘導される) nt.4337〜5191 β−ラクタマーゼ遺伝子(Amp−耐性遺伝子、
逆配向)
【0110】プラスミドpICLhacおよびpICLhaw プラスミドpICLhacおよびpICLhawは、制限酵素Asp718を
用いたpICLの消化によって、プラスミドpICLから誘導された。線状化プ
ラスミドを、ウシ−インテスチンのアルカリ性ホスファターゼで処理して、51
のリン酸基を除去した。部分的に相補な合成一本鎖オリゴヌクレオチドHp/a
sp1(配列番号:39)およびHp/asp2(配列番号:40)を、アニー
ルし、そしてT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いてそれらの5’末端にリン酸
化した。 リン酸化二本鎖オリゴマーを、脱リン酸化pICL断片と混合し、そして連結
した。プラスミドに挿入された単独コピーの合成オリゴヌクレオチドを含むクロ
ーンを単離し、そして制限酵素消化物を用いて特徴づけた。1つの連結でのAs
p718部位へのオリゴヌクレオチドの挿入は、Asp718認識部位を再作製
する一方で、他方の連結部では、認識部位を、中断させる。挿入オリゴヌクレオ
チドの配向および組込みは、配列分析によって選択クローンで確認された。順行
配向(3205EcoRI部位に密接したAsp718部位)でオリゴヌクレオ
チドを含むクローンを、pICLhacと表した。逆行配向(SV40由来のポ
リシグナルに密接したAsp718部位)にオリゴヌクレオチドを有するクロー
ンを、pICLhawと表した。プラスミドpICLhacおよびpICLha
wは、図16および17に表される。 プラスミドpICLIを、pICLから得られるSalI−SgrAI断片の
挿入によってプラスミドpICLから作製し、それにより、pICLのAsp7
18部位へのAd5−ITRを含んだ。194bpのSalI−SgrAI断片
を、pICLから単離し、そしてイー.コリDNAポリメラーゼI(クレノー断
片)およびdNTPを用いて、粘着末端を、平滑末端に変換した。ブンドウのヌ
クレアーゼで処理することによって、Asp718粘着末端を、平滑末端に変換
した。連結によって、プラスミドpICLのAsp718部位中のITRを含む
クローンを、作製した。順行配向でITR断片を含むクローンを、pICLIと
称した(図18)。 アデノウイルスAd−CMV−hcTKの生産。組換えアデノウイルスを、特
許出願第95202213号に記述される方法にしたがって構築した。組換えア
デノウイルスを作製するのに2つの構成要素が、必要とされた。第一に、ITR
およびパッケージング・シグナルを含むアデノウイルスゲノムの左側末端、目的
の遺伝子を有する発現カセット、および相同組換えのために使用しうるアデノウ
イルスゲノムの一部を含有するアダプタープラスミド。さらに、アデノウイルス
DNAは、前述のアダプター・プラスミドを伴う組換えのために必要とされる。
Ad−CMV−hcTKの場合には、プラスミドPCMV.TKは、基本として
使用される。このプラスミドは、nt.1〜455のアデノウイルス5型ゲノム
、pCMVβから由来するnt.456〜1204(クローンテック、CMVエ
ンハンサー・プロモーターおよびシミアンウイルス40から得られる16S/1
9Sイントロンを含むPstI−StuI断片)、単純ヘルペスウイルス・チミ
ジンキナーゼ遺伝子(欧州特許出願第95202213.5号に記述される)、
SV40由来のポリアデニル化シグナル(SV40配列のnt.2533〜26
68)、続いてAd5のBglII−ScaI断片(Ad5配列のnt.332
8〜6092)を含む。これらの断片は、pMLP10由来(Levreroら
、Gene 101巻:195〜202頁(1991年))の骨格に存在する。
プラスミドpAD−CMVhc−TKを作製するために、プラスミドpCMV.
TKを、ClaI(特徴的なClaI部位は、TK開放読取枠のすぐ上流に配置
される)で消化し、そしてウシ−インテスチン・アルカリホスフェートで脱リン
酸化した。ヘアピン構造を作製するために、合成オリゴヌクレオチドHP/cl
a1(配列番号:41)およびHP/cla2(配列番号:42)をアニールし
、そしてT4−ポリヌクレオチドキナーゼおよびATPで、それらの5’−OH
基上でリン酸化した。二本鎖オリゴヌクレオチドを、線状ベクター断片に連結し
、そしてイー.コリ株Sureを形質転換するのに使用した。ClaI部位への
オリゴヌクレオチドの挿入は、ClaI認識部位を中断する。オリゴヌクレオチ
ドは、その末端の内の1つの側に新たなClaI部位を含む。選択クローンで、
挿入オリゴヌクレオチドの配向および組込みは、配列分析によって確認された。
順行配向(ITR側でClaI部位)でオリゴヌクレオチドを含むクローンは、
pAd−CMV−hcTKと表された。このプラスミドを、911細胞に、Cl
aI消化野生型アデノウイルス5型DNAとの同時形質移入をした。CMV−h
cTK発現カセットが、E1配列を置換する組換えアデノウイルスを単離し、そ
して標準手段を用いて増殖させた。 複製がITRで出発した後に、ヘアピンが、置換した鎖での逆行鎖の合成のた
めのプライマーとして使用されうるかどうかを調べるために、プラスミドpIC
Lhacを、911細胞、例えばアデノウイルスE1領域で形質転換したヒト胚
網膜細胞に導入した。プラスミドpICLhawは、対照として役割を果した。
これは、逆行配向でオリゴヌクレオチド対HP/asp1(配列番号:39)お
よび2(配列番号:40)を含むが、しかしそうでなければ、プラスミドpIC
Lhacと完全に一致する。さらに、この調査に含まれるのは、プラスミドpI
CLIおよびpICLである。プラスミドpICLIでは、ヘアピンは、アデノ
ウイルスITRに置換される。プラスミドpICLは、ヘアピンもITR配列の
いずれも含まない。これらのプラスミドは、対照として役割を果して、末端のヘ
アピン構造に基づいて、複製の効率を決定した。DNA複製のために必要とされ
るE1タンパク質以外のウイルス性産物(これらは911細胞によって製造され
る。)を供するために、培養物を、形質移入の後、ウイルスIG.Ad.MLP
I.TKで感染させた。数種のパラメーターは、形質移入DNA分子の適切な複
製を示すために調べられるべきであった。第一に、先述のプラスミドで形質移入
され、そしてIG.Ad.MLPI.TKウイルスで感染された細胞培養物から
得られるDNAを、サザンブロッティングによって、予測される複写中間体の存
在について、並びに、複写ゲノムの存在について分析した。さらに、形質移入し
、そしてIG.Ad.MLPI.TKで感染した細胞集団から、ルシフェラーゼ
マーカー遺伝子を、ルシフェラーゼ陰性細胞に移行し、そしてそれを発現できる
ウイルスを単離した。 プラスミドpICLhac、pCLhaw、pICLIおよびpICLのプラ
スミドDNAを、制限エンドヌクレアーゼSalIで消化し、そしてブンドウの
ヌクレアーゼで処理して、生じたDNA断片の4個のヌクレオチド一本鎖伸長を
除去した。この方法で、DNA断片上の天然のアデノウイルス5’ITR末端を
作製した。続いて、pICLhacおよびpICLhawプラスミドの両方を、
制限エンドヌクレアーゼAsp718で消化して、ヘアピン構造を形成する能力
のある末端を作製した。消化プラスミドを、標準リン酸カルシウム同時沈降技術
を使用して、911細胞に導入した(各プラスミドについて4つの皿)。形質移
入の間、各プラスミドについて、培養物の内の2つを、細胞当たり5つの感染性
IG.Ad.MLPI.TK粒子を用いて、IG.Ad.MLPI.TKウイル
スに感染させた。形質移入の24時間後、および後期形質移入の40時間に、1
つのAd.tkウイルス感染および1つの未感染培養物を使用して、Hirtに
より修正された手段(Einerhandら、Gene Therapy 2巻
:336〜343頁(1995年)に記述されるとおり)を用いて、低分子量D
NAを単離した。アリコート量の単離DNAを、サザン分析のために使用した。
プローブとしてルシフェラーゼ遺伝子を使用して制限エンドヌクレアーゼEco
RIでのサンプルの消化の後、およそ2.6kbのハイブリッド形成断片を、プ
ラスミドpICLhacで形質移入されたアデノウイルス感染細胞から得られた
サンプルから検出した。この断片のサイズは、ルシフェラーゼマーカー遺伝子の
予測複写と一致した。これは、挿入ヘアピンが、逆行鎖合成についてのプライマ
ーとして役割を果す能力があるという結論を支持する。ハイブリッド形成断片は
、IG.Ad.MLPI.TKウイルスが省略される場合、またはヘアピンオリ
ゴヌクレオチドが、逆配向に挿入される場合、不在であった。
【0111】 制限エンドヌクレアーゼDpnIは、テトラヌクレオチド配列5’−GATC
−3’を認識するが、しかしメチル化DNAのみを切断する(つまり、イー.コ
リで増殖され、誘導されるプラスミドDNAのみであって、哺乳類細胞に複製さ
れたDNAではない)。制限エンドヌクレアーゼMboIは、同じ配列を認識す
るが、しかし、未メチル化DNA(主に、哺乳類細胞で増殖されたDNA)のみ
を切断する。形質移入細胞から単離されたDNAサンプルを、MboIおよびD
pnIと共にインキュベートし、そしてサザンブロットで分析した。これらの結
果は、pICLhacおよびpICLプラスミドで形質移入された細胞でのみ、
大型DpnI耐性断片が存在し、それは、MboI処理サンプルでは不在であっ
たことを示した。これらのデータは、プラスミドpICLIおよびpICLha
cの形質移入の後にのみ、その断片の複製および複写が起こることを示す。 これらのデータは、一本鎖形態で存在している時に、アデノウイルス感染細胞
で、一方の末端にアデノウイルス由来の逆方向末端反復(ITR)を有し、そし
て他方の末端で、同じ鎖にある配列にアニールできるヌクレオチド配列を有する
線状DNA断片が、それによりヘアピン構造を生じ、そして両方の末端上に逆方
向末端反復配列を有する構造に変換されることを示す。生じたDNA分子は、野
生型アデノウイルスゲノムと同じ機構によって複製する。
【0112】 (実施例4) ルシフェラーゼマーカー遺伝子、ITRの単独コピー、封入シグナルおよびヘア
ピン構造を形成する能力のある合成DNA配列を含むDNA分子が、ビリオンに
封入されうるDNA分子を生成するのに十分であることの例示 CMV−lucマーカー遺伝子の2つのコピーを含む、実施例3で生じたDN
A分子が、ビリオンに封入されうることを例示するために、ウイルスを、3回サ
イクルの凍結−解凍破砕を介して残りの2つの培養物から回収し、そしてネズミ
繊維芽細胞を感染するのに使用した。感染の48時間後、感染細胞を、ルシフェ
ラーゼ活性について分析した。ルシフェラーゼ活性が、ウイルス粒子を介してよ
りむしろ遊離DNAの移行によって誘導されている可能性を排除するために、ウ
イルス保存物を、DNエースIで処理して、DNA混入物を除去した。さらに、
別の対照として、アリコート量のウイルス保存物を、56℃で60分間インキュ
ベートした。加熱処理は、混入DNAに影響を及ぼさないが、しかしウイルスを
不活性化する。明らかなルシフェラーゼ活性は、pICLhcおよびpICLI
プラスミドで形質移入されたIG.Ad.MLPI.TK−感染細胞から誘導さ
れるウイルス保存物に感染させた後の細胞にのみ見られた。非感染細胞でも、あ
るいはpICLhwおよびpICLで形質移入された感染細胞のいずれでも、明
らかなルシフェラーゼ活性が示されたものはなかった。DNエースI処理ではな
く、加熱不活性化が、ルシフェラーゼ発現を完全に排除し、それにより、アデノ
ウイルス粒子そして不含でない(混入)DNA断片は、ルシフェラーゼ・レポー
ター遺伝子の移行に起因したことが示された。 これらの結果は、これらの小型ウイルスゲノムを、アデノウイルス粒子に封入
できることを示し、そしてITRおよび封入シグナルが、アデノウイルス粒子へ
の線状DNA断片の封入に十分であることが示唆された。これらのアデノウイル
ス粒子は、有効な遺伝子移行のために使用できる。少なくともある程度のアデノ
ウイルス遺伝子(主に、E1、E2、E4およびLおよびVA)を含み、そして
発現する細胞に導入するとき、少なくとも1つのITR、少なくとも一部の封入
シグナル、並びにヘアピン構造を形成する能力のある合成DNA配列を含む組換
えDNA分子は、ビリオンに封入しうる組換えゲノムを独立に生成する固有の許
容量を示す。このようなゲノムおよびベクターシステムは、遺伝子移行に使用し
うる。
【0113】 (実施例5) アデノウイルス5型ゲノム(したがって、E1タンパク質コーディング領域、右
手ITRおよび封入配列を欠く)のヌクレオチド3510〜35953(主に、
9.7〜100地図単位)、およびITR以外の一本鎖形態で存在し、そしてそ
の結果として、ヘアピン構造を形成する能力のある場合にDNA分子の同じ鎖の
部分に相補的である末端DNA配列を含むDNA分子が、911細胞中で複製で
きることの例示 上述のICLhacベクターゲノムおよび似ていない最小アデノベクターに、
ヘルパー細胞を介してアデノウイルス粒子に封入させることが必要とされるアデ
ノウイルス産物を提供できる複製DNA分子を開発するために、Ad−CMV−
hcTKアデノウイルスベクターを開発した。CMVエンハンサー/プロモータ
ー領域およびチミジンキナーゼ遺伝子との間で、アニールしたオリゴヌクレオチ
ド対(表I)HP/cla1および2を挿入した。ベクターAd−CMV−hc
TKを増殖させ、そして標準手段を使用して911細胞中で生成した。このベク
ターを育成し、そして形質移入のために使用されるDNAの源として排他的に増
殖させた。アデノウイルスAd−CMV−hcTKのDNAを、標準技術によっ
てCsCl密度勾配遠心分離を使用して精製されたウイルス粒子から単離した。
ウイルスDNAを、制限エンドヌクレアーゼClaIで消化した。消化DNAを
、0.7%アガロースゲル上で寸法分取し、そして大型断片を単離し、そして別
の実験に使用した。911細胞の培養物を、標準リン酸カルシウム同時沈殿技術
を用いてAd−CMV−hcTK DNAの大型ClaI−断片で形質移入させ
た。プラスミドpICLhacを用いた先の実験でといっそう同様に、Ad−C
MV−hcは、右手ITRで出発しながら複製する。いったん一本鎖が置換され
ると、ヘアピンは、その断片の左手末端に形成されうる。これは、右手側に向か
って鎖のDNAポリメラーゼ伸長を促進する。その過程は、置換鎖が、その二本
鎖形態に完全に変換されるまで進行する。最終的に、右手ITRを再作製し、そ
してこの配置で、正常なアデノウイルス複製−開始および伸長が起こる。ポリメ
ラーゼは、ヘアピンを通して読取り、それにより分子を複写する。一方の側には
アデノウイルスITR配列を、そしてヘアピン構造を形成する許容量を示した他
方の側にはDNA配列を有する33250bpの入力DNA分子は、複写され、
その結果両方の末端が、ITR配列を含む。生じたDNA分子は、およそ665
00bpのパリンドロム構造から構成される。 この構造は、サザン分析を使用して、形質移入細胞から抽出される低分子量D
NAで検出される。DNA断片のパリンドロム特性は、適切な制限エンドヌクレ
アーゼおよびプローブとしてHSV−TK遺伝子を用いたサザンブロッティング
を用いた低分子量DNAの消化によって示されうる。この分子は、細胞内に存在
するアデノウイルス遺伝子産物に基づいて形質移入細胞でそれ自身を複製できる
。部分的に、アデノウイルス遺伝子は、標的細胞のゲノム(主に、E1遺伝子産
物)中に取り込まれるテンプレートから発現され、他方の遺伝子は、DNA断片
それ自身を複製する上で存在する。この線状DNA断片は、ビリオンに封入され
えない。それが、封入か要求される全てのDNA配列を欠くのみでなく、そのサ
イズも、大きすぎるので、封入されえない。
【0114】 (実施例6) アデノウイルス5型ゲノム(したがって、E1タンパク質コーディング領域、右
手ITRおよび封入配列を欠く)のヌクレオチド3503−35953(すなわ
ち、9.7−100マップ単位)、およびITR以外のDNA分子の同じ鎖の一
部に相補的であり、そして結果として、ヘアピン構造を形成する能力のある末端
DNA配列を含むDNA分子は、911細胞で複製でき、そしてpICLIおよ
びpICLhac由来のDNA断片を封入するのに必要とされるヘルパー機能を
提供できることの例示 次の一連の実験の目的は、実施例5に記述されるDNA分子が、実施例3およ
び4に記述される最小アデノベクターを封入するのに使用できることを示すこと
である。 Ad−CMV−hcTK DNAのエンドヌクレアーゼClaI−消化の後単
離された大型断片を、エンドヌクレアーゼSalI、ブンドウ・ヌクレアーゼ、
エンドヌクレアーゼAsp718処理プラスミドpICLhacと、あるいは対
照として同様に処理したプラスミドpICLhawと一緒に911細胞に導入し
た(実施例5に記述されるとおり)。48時間後、ウイルスを、形質移入細胞集
団の凍結−解凍破砕によって単離した。ウイルス製品を、DNエースIで処理し
て、混入している遊離DNAを除去した。ウイルスを、ラット2繊維芽細胞を感
染するのに連続して使用した。感染の48時間後、細胞を、ルシフェラーゼ活性
について分析した。pICLhawプラスミドでなく、pICLhacプラスミ
ドで形質移入した細胞から単離されたウイルスに感染した細胞でのみが、明らか
なルシフェラーゼ活性を示した。感染の前のウイルスの加熱不活性化は、ルシフ
ェラーゼ活性を完全に破壊し、それにより、ルシフェラーゼ遺伝子が、ウイルス
粒子によって移行されることが示された。ウイルス保存物を有する911細胞の
感染は、あらゆる細胞組織学上の効果を生じず、それによりpICLhacが、
911細胞で増殖されるべきなんらの感染性ヘルパーウイルスもなしに生成され
たことが示された。これらの結果は、提起の方法が、アデノウイルス形質転換ヒ
ト細胞で、または非アデノウイルス形質転換ヒト細胞で独立に複製できる感染性
ヘルパーウイルスを完全に欠いている最小アデノウイルスベクターの保存物を生
成するために使用できることを示す。
【0115】 (実施例7) 最小アデノウイルスベクターの産生および生成のためのプラスミドの構築 最小アデノウイルスベクターは、移行されるべき外来核酸分子と共に、または
なしに、操作可能に結合した成分として、複製およびパッケージングのために必
要であるアデノウイルス由来のシス要素を含む。最近、アデノウイルスベクター
の十分なパッケージングについての下の限界は、ゲノム長の75%で決定された
(ParksおよびGraham、1997年)。種々の長さの詰める断片の柔
軟な組込みを可能にするために、多クローニング部位(MCS)を、最小アデノ
ウイルスベクターに導入した。本発明による最小アデノウイルスベクターを得る
ために、以下の構築物を作製した:pAd/L420−HSA(図19)を、B
glIIおよびSalIで消化し、そしてベクター含有断片を単離した。この断
片は、Ad5から得られる左側ITRおよびパッケージングシグナル、改質した
レトロウイルスLTRによって起動されたネズミHSA遺伝子を含む。アデノウ
イルスの右側ITRを、以下のプライマー:ポリL−ITR:5’−AAC−T
GC−AGA−TCT−ATC−GAT−ACT−AGT−CAA−TTG−C
TC−GAG−TCT−AGA−CTA−CGT−CAC−CCG−CCC−C
GT−TCC−3’(配列番号:14)およびITR−BSN:5’−CGG−
GAT−CCG−TCG−ACG−CGG−CCG−CAT−CAT−CAA−
TAA−TAT−ACC−3’(配列番号:15)を用いたpBr/Ad.Ba
mHI−rITRテンプレートDNA上でのPCRによって増幅した。増幅断片
を、PstIおよびBamHIで消化し、そして同じ酵素で消化したpUC11
9にクローン化した。ITRおよびMCSの補正増幅の配列確認の後、BglI
I−SalI断片を単離し、そして上述されるBglII/SalI消化pAd
/L420−HSA断片にクローン化させた。生じたクローンは、pAd/L4
20−HSA.ITRと名付けられた。 30kbを越す長さの構築物を操作することができるために、最小アデノウイ
ルスベクターpAd/L420−HSA.ITRを、コスミドベクターのバック
グランドにサブクローニングした。この終わりに、コスミドベクターpWE15
を、改質して、骨格にある制限部位を除去した。pWE15を、PstIで消化
し、そして4kbおよび2,36kbの断片を、アガロースゲルから単離し、そ
して一緒に連結した。SV40ori/初期プロモーターおよびネオマイシン耐
性コーディング配列を剥いで生じたクローンは、pWE20と名付けられた。そ
の後、pWE20を、ClaIおよびHindIIIで消化し、そして粘着末端
を、クレノー酵素で充填した。6354bp平滑断片を、以下の配列:5’−C
GATGCATCG−3’(配列番号:16)を有するリン酸化NsiIリンカ
ーに連結した。連結したDNAを、フェノール/クロロホルム抽出し、EtOH
で沈殿させて、緩衝液を交換し、そして過剰NsiIで消化した。消化DNAを
、電気泳動によってリンカーから分離し、単離し、そして再連結した。生じたク
ローンを、pWE25と名付けた。NsiIリンカーの順行挿入を、制限酵素消
化および配列決定によって確認した。最小アデノウイルスベクターを構築するた
めに、pAd/L420−HSA.ITRを、ScaIおよびNotIで消化し
、そしてアンピシリン遺伝子の一部およびアデノITRを含む2kb断片を、S
acIおよびNotIで消化したpWE25にクローニングした。生じたクロー
ンは、pMV/L420Hと名付けられた(図24)。このクローンは、プロモ
ーターおよび/または遺伝子を変換する簡単な操作を可能にし、そしてさらに、
正常なプラスミド骨格に容易にクローン化されない長さのDNA断片の挿入を可
能にする。 L420−HSA断片(SnaBI−BamHI)を、CMVプロモーターお
よびLacZコーディング配列を含むpcDNA3−nlsLacZ(NruI
−BamHI)から得られる断片に交換することによって、プラスミドpMV/
CMV−LacZを作製した。pcDNA3−nlsLacZを、KpnIおよ
びBamHIで消化したpcDNA3(インビトロゲン)へのnlsLacZコ
ーディング配列のPCR増幅後に得られるKpnI−BamHI断片の挿入によ
って構築した。プライマー:5’−GGG−GTG−GCC−AGG−GTA
−CCT−CTA−GGC−TTT−TGC−AA−3’(配列番号:17)お
よび:5’−GGG−GGG−ATC−CAT−AAA−CAA−GTT−C
AG−AAT−CC−3’(配列番号:18)を用いて、pMLP.nlsLa
cZテンプレートDNA上でPCR反応を行った。911細胞における一過性形
質移入実験でβ−ガラクトシダーゼ発現を分析することによって、順行増幅およ
びクローニングを確認した。 ベクターpAd/MLPnlsLacZを、以下のとおり作製した。pMLP
10(Levreroら、Gene 101巻:195〜202頁(1991年
))を、HindIIIおよびBamHIで消化し、そして3つの部分のライゲ
ーションで、L7RHbgalから得た3.3kbのAvrII−BamHI断
片(Kalderonら、Cell 499〜509頁(1984年))、およ
びHindIIIおよびXbaIオーバーハングを有する合成リンカーに連結し
た。配列5’−AGC TTG AAT TCC CGG GTA CCT−
3’(配列番号:19)および5’−CTA GAG GTA CCC GGG
AAT TCA−3’(配列番号:20)の2つのオリゴヌクレオチドをアニ
ーリングすることによって、リンカーを作製した。生じたクローンを、pMLP
.nlsLacZ/−Adと名付けられた。次に、pMLP.nlsLacZ/
−Adを、BamHIおよびNruIで消化し、そして断片を含むベクターを、
pAd5SalB(Bernardsら、Virology 120巻:422
〜432頁(1982年))から得られる2766bpのBglII−ScaI
断片に連結した。これは、アダプター・プラスミドpMLP.nlsLacZを
生じた(欧州0 707 071号に記載された)。 最小アデノウイルスベクターの増殖は、アデノウイルス遺伝子産物の発現によ
ってのみ達成できる。多量のウイルスの産生を保持するのに十分な高さのレベル
で、アデノウイルス遺伝子産物の発現は、コーディング核酸分子の複製を必要と
する。したがって、通常に、ヘルパーウイルスを複製することは、最小アデノウ
イルスベクターを補足するに使用される。しかし、本発明は、ヘルパーウイルス
の使用なしに、最小アデノウイルスベクターについてのパッケージングシステム
を供する。本発明の方法の内の1つは、5’−ITRおよびbp3510と35
938の間の全アデノウイルス配列、すなわち、E1領域およびパッケージング
シグナルを除いた完全なアデノウイルスゲノムを含む複製DNA分子を利用する
。構築物pWE/Ad.Δ5’(図23)は、2つのアデノウイルスITR p
WE/Ad.Δ5’を含む、本発明による複製分子の例である。3つの断片から
得たコスミドベクターのバックグランドで行われた。第一に、以下のプライマー
ITR−EPH:5’−CGG−AAT−TCT−TAA−TTA−AGT−
TAA−CAT−CAT−CAA−TAA−TAT−ACC−3’(配列番号:
21)およびITR−pIX:5’−ACG−GCG−GCG−CTT−AAG
−CCA−CGC−CCA−CAC−ATT−TCA−GTA−CGT−ACT
−AGT−CTA−CGT−CAC−CCG−CCC−CGT−TCC−3’(
配列番号:22)を使用して、Ad5から得られる5’ITRを増幅した。生じ
たPCR断片を、EcoRIおよびAscIで消化し、そして同じ酵素で消化し
たベクターpNEB193(ニュー・イングランド・バイオラボズ)にクローン
化した。生じた構築物を、pNEB/ITR−pIXと名付けた。配列決定で、
ジーンバンク(GenBank)による予測配列(寄託番号:M73260/M
29978)との単独ミスマッチを除きpIXプロモーター(Ad5配列351
1から3538まで)に結合した左側ITR(Ad5配列1から103まで)に
あるAd5配列の順行増幅が確認された。すなわち、余剰のC残渣が、AflI
I部位のちょうど上流に見られた。このITR−pIX断片を、EcoRIおよ
びAflIIで単離し、そしてAd5配列3539〜21567を含むEcoR
I−AflIIベクター断片に連結した。EcoRIで、そして部分的にAfl
IIでpBr/Ad.Cla−Bam(上記)を消化することによって、後者の
断片を得た。生じたクローンは、pAd/LITR(Δ5’)−BamHIと名
付けられた。PacIで消化したコスミドベクターpWE15.Pac(上記)
を、PacI/BamHIで消化したpAd/LITR(Δ5’)−BamHI
およびPacI/BamHIで消化したpBr/Ad.Bam−rITR.pa
c番号2(上記)に連結されることによって、最終構築物pWE/Ad.Δ5’
を作製した(図23)。
【0116】 本発明によるヘルパーウイルスの使用なしに、最小アデノウイルスベクターに
ついてのパッケージングシステムを作製する別の方法は、E1領域およびパッケ
ージングシグナル以外の完全なアデノウイルスゲノムを含み、そしてITRの内
の1つが、ITR以外の同じ鎖の一部に相補であるDNA配列を含む断片に置換
され、そしてしたがって、ヘアピン構造を形成できる複製DNA分子を使用する
ことである(図10)。限定されない例では、ITR以外の同じ鎖の一部に相補
である上記DNA配列は、アデノ関連ウイルス(AAV)末端反復から誘導され
る。このような複製DNA分子は、pWE/Ad.Δ5’について記述されると
おり同じクローニング攻略法に続いて作製されが、しかしここで、アデノウイル
スpIXプロモーターの一部に結合したAAV末端反復で出発する。この終わり
に、AAV ITRを含むpsub201(+)(Samulskiら、J.V
irol. 63巻:3822〜3828頁(1989年))から得られるPv
uII/XbaI断片を導入することによって、構築物pNEB/ITR−pI
X中のHpaIおよびSpeI部位の間のアデノウイルスITR配列を、AAV
ITRに交換した。これは、E1相補セルラインで複製する構築物pWE/A
AV.Δ5’を生じる。 最小アデノウイルスベクターについての別の選択的パッケージングシステムは
、以下に記述され、そしてSV40の複製システムを利用する。この方法による
機能性ヘルパー分子は、E1配列およびパッケージングシグナルではなく最小構
築物のパッケージングを保持するのに必要である少なくともアデノウイルス配列
を含み、好ましくはITRをも欠く。このアデノウイルス由来の本質は、細菌で
の増殖のために必要とされる配列に加えて、SV40ウイルスから複製の起点を
含むベクターに存在しなければならない。E1タンパク質に加えて、SV40由
来の大型T抗原タンパク質を発現するパッケージングセルライン(例えば、PE
R.C6)への、上記で記述された最小アデノウイルスベクターと一緒のこのよ
うな分子の形質移入は、アデノウイルス由来のヘルパー構築物の大きなT依存性
複製を生じる。この複製は、最小アデノウイルスベクターの複製、およびウイル
ス粒子への封入のために必要である高いレベルのアデノウイルス・タンパク質に
なる。この方法で、最小アデノウイルスベクター構築物およびヘルパー分子の間
の相同組換えに至る配列重複はない。さらに、一方の側でヘルパー分子と最小ア
デノウイルスベクター、そして他方の側でパッケージング細胞のE1配列の間の
相同組換えに至る配列重複はない。 40kbアデノウイルス構築物の複製を、SV40大型Tタンパク質を発現す
る細胞について調査した。これに関して、2×106Cos−1細胞を、リポフ
ェクタミン試薬(ライフ・テクノ.):8kbコスミドベクターpWE.pac
、40.5kb構築物pWE/Ad.AflII−rITRおよび40.6kb
構築物pWE/Ad.Δ5’(以下に記述される)の3つのクローン(番号1、
番号5および番号9)と複合した以下の構築物を用いてT25フラスコに形質移
入させた。SV40ori配列なしに、PacI酵素およびCMV−LacZ発
現ベクターで消化した構築物pWE.pacおよびpWE/Ad.AflII−
rITRで対照形質移入を行った。形質移入効率は、48時間後CMV−Lac
ZベクターおよびX−gal染色を使用する別々の形質移入によって測定される
場合、50%であった。全ての細胞を、形質移入に続く48時間に回収し、そし
てDNAを、ハート(Hirt)の手段(Einerhandら、Gene T
herapy 2巻:336−343頁(1995年)に記述されるとおり)に
よって抽出した。最終ペレットを、50μlのTE+RNエース(20μg/m
l)中に再懸濁させ、そして10μlサンプルを、MboI(37℃で、一夜、
35単位)で消化させた。未消化サンプル(5μl)およびMboI消化サンプ
ルを、標準の手段によって、0.8%アガロースゲルにかけ、ナイロンフィルタ
ー(アメシャム)に移行し、そして放射性活性プローブにハイブリッド形成した
。1つのプローブは、コスミドベクターpWE.pacから得られる887bp
のDpnI断片から誘導され、そして1つは、アデノウイルス配列から得られる
1864bpのBsrGI−BamHI断片から誘導された。これらのプローブ
は、MboI消化材料中の、それぞれ887bpバンドおよび1416bpにハ
イブリッド形成する。細菌起点からの入力DNAを、メチル化させ、そしてした
がって、MboIで消化されない。この方法で、真核生物細胞で複製されるDN
Aを特異的に検出することが可能である。図26Aは、構築物pWE/Ad.Δ
5’および複製のSV40起点の配置、pWE由来のプローブおよびアデノウイ
ルス由来のプローブの図式表現を示す。下方部分は、アデノウイルスプローブ(
B)およびpWEプローブ(C)にハイブリッド形成したサザンブロットのオー
トラジオグラムを表す。サンプル負荷の説明についての記号一覧参照。これらの
実験は、SV40 oriを宿すプラスミドに形質移入されるCos−1細胞か
ら得られる材料を含む全てのレーンが、MboI感受性DNAを含むことを示し
、そして予想の長さの特定のバンドを示す。PacI消化材料で形質移入された
Cos−1細胞を有するレーン(レーンB17/18およびC15−18)での
複製に特異的なバンドは、おそらく不完全なPacI消化から生じる。これらの
実験から、真核生物細胞中でSV40大型T/oriシステムを用いて大型DN
A断片を複製する可能性があることが結論づけられる。 (実施例8) ITR配列を欠く機能性アデノウイルス・ヘルパー分子を、上記に記述される
クローンpWE/Ad.5’で出発しながら構築した。pWE/Ad.5’を、
Bst1107Iで消化し、17.5kbベクター含有断片を、再連結して、p
WE/Ad.5’−Bst1107Iを得た。その後、このクローンを使用して
、右側ITRなしにアデノウイルスゲノム配列の3’部分を増幅した。2645
bpのPCR断片を、プライマーAd3’/Forw:5’−CGG AAT
TCA TCA GGA TAG GGC GGT GG−3’(配列番号:2
3)およびAd3’/Rev:5’−CGG GAT CCT ATC GAT
ATT TAA ATG TTT TAG GGC GGA GTA ACT
TG−3’(配列番号:24)を用いて作製した。増幅断片を、EcoRIお
よびBamHIで消化し、そして同じ酵素で消化したpBr322にサブクロー
ニングした。配列決定による順行増幅の確認後、このクローンの2558bpの
SbfI−ClaI断片を、同じ酵素で消化したpWE/Ad.5’−Bst1
107Iに再クローン化した。生じた構築物は、右側ITRを欠き、そしてpW
E/ΔrI−Bst1107Iと名付けた。次に、このクローンで、左側ITR
を、PacIおよび以下のプライマー:PA−pIX1 5’−TAA GCC
ACT AGT ACG TAC TGA AAT GTG TGG GCG
TGG C−3’(配列番号:25)およびPA−pIX2 5’−TTA
AGC CAC GCC CAC ACA TTT CAG TAC GTA
CTA GTG GCT TAA T−3’(配列番号:26)をアニーリング
することによって作られるAflIIオーバーハングを有するリンカーに置換し
た。これは、左側ITRを除去し、そしてpIXプロモーターの順行配列を再保
存した。そのクローンは、pWE/ΔITR−Bst1107Iと称される。配
列決定によって二本鎖リンカーの順行挿入が確認された。その後、欠失Bst1
107I断片を、pWE/ΔITR−Bst1107Iに戻りクローニングし、
そして制限消化によって順行配向を検査した。生じたクローンは、pWE/Ad
−Hと称される。アデノウイルスE1タンパク質およびSV40大型T抗原を発
現するパッケージング細胞へのこのDNA分子の形質移入に続いて、その分子の
複製は、その分子でのアデノウイルスの本質によってコードされるアデノウイル
スタンパク質のレベルが高くなりながら、起こる。
【0117】 (実施例9) 組換えアデノウイルスベクターの小型化された多ウエル産生 96孔のマイクロタイター組織培養平板(プレート1)(グレイネル(Gre
iner)、オランダ国、カタログ番号6555180号)は、20〜120分
間、室温で各ウエルをインキュベートすることによって滅菌水中に溶解されたポ
リL−リシン(PLL、0.1mg/ml)(シグマ)で最初に被覆した。一方
、予め被覆した96孔平板を使用することができる(BectonおよびDic
kinson)。PLLでインキュベートした後、各ウエルを、100μl滅菌
水で2回洗浄し、そして室温で、少なくとも2時間、乾燥させた。形質移入の前
日に、PER.C6細胞を、トリプシン−EDTAを用いて回収し、そして計数
した。その後、その細胞を100μl当たり45,000個の細胞の懸濁液に希
釈し、続いて、PLL被覆96孔平板のウエル当たり100μlを種蒔きした。
次の日に、2.6μlのSal I線状化pAd/CMV−LacZおよび2.
6μlのPacI線状化pWE−Ad.AflII−rITRプラスミドDNA
(両方とも1μg/μl)および95μlの血清不含ダルベッコ修正イーグル培
地(DMEM)を、DNA混合液にリポフェクタミンを添加することによって、
74.4μlの血清不含DMEMで希釈した25.6μlのリポフェクタミンと
混合した。DNA/リポフェクタミン混合液を、1.3ml血清不含培地を添加
した後30分間、室温に放置した。その後、後者の混合液を、形質移入前に20
0μlのDMEMで洗浄したPER.C6播種ウエルに添加(ウエル当たり30
μl)した。湿潤CO2インキュベーター(37℃、10%CO2)で、10%仔
ウシ血清を有する200μlのDMEMを3時間後、各ウエルに添加し、そして
その平板を、湿潤CO2インキュベーター(37℃、10%CO2)に戻した。次
の日に、各ウエルの培地を、200μlのDMEM、10%FCS、10mM
MgCl2に換えた。その後、平板を、ウエルが、−20℃で、少なくとも1時
間、凍結にかけ、続いて解凍し、そして繰返しのピペット採取によって再懸濁さ
せた後さらに3日間、湿潤CO2インキュベーターに放置した。形質移入効率を
、別の平板でlacZ染色を使用して測定し、そしてPER.C6細胞の各形質
移入ウエルについておよそ40%であることが分かった。アリコート量の100
μlの凍結/解凍した形質移入細胞を、PLL被覆平板(平板2)なしに、上に
記述されるとおり播種した新たなPER.C6細胞を用いて平板の各ウエルに移
行させた。第一の形質移入平板の凍結/解凍細胞溶解物と共にインキュベートし
たPER.C6細胞を有する第二の96孔平板を、CPEについて検査した。ウ
エルの少なくとも5%は、2日後に透明なCPEを示した。平板1から得られる
溶解物で感染させた4日後、平板を、1回の凍結−乾燥サイクルにかけ、そして
各溶解ウエルから得られる10μlを、A549細胞を播種した平板のウエルに
添加した(DMEM中100μlに播種したウエル当たり1×104個の細胞、
前日に10%FCS)。感染の2日後、ウエルを、LacZ活性のために染色し
た。感染ウエルの内、96%が感染され、そして青色に染色した。染色した全て
のウエルおよび多数のウエルは、100%青色染色し、そしてそれゆえアデノウ
イルスベクターを有する全細胞の形質導入は、lacZを担持することを示した
。組織培養フラスコ中でのMOI実験から得られると推定すると、ウエル産生ウ
イルスのアデノウイルス滴定は、ml当たり106−107感染単位あたりである
。 目的の発明は、未知機能の産物をコードするサンプル核酸(類)の宿主での高
い生産量の送出および発現についての方法および組成物を開示する。方法は、セ
ルラインを相補する構築、サンプル核酸を含み、アデノウイルス由来のプラスミ
ドを、アデノウイルスベクターに封入し、宿主を、宿主中のサンプル核酸(類)
の産物を発現するアデノウイルスベクターで感染し、サンプル核酸の産物(類)
によって宿主で誘導される改変表現型を同定し、そしてそれにより、サンプル核
酸によってコードされる産物(類)に対する機能を付与するアデノウイルス由来
のプラスミドのライブラリーについて記述される。サンプル核酸は、例えば、合
成オリゴヌクレオチド、DNA、cDNAでありえ、そして例えば、ポリペプチ
ド、アンチセンス核酸またはGSEをコードできる。その方法は、十分に自動化
でき、そして従来の高い生産量分析サンプル核酸ライブラリーに充てる多ウエル
フォーマットで行われうる。
【0118】 (実施例10) 治療的およびマーカー移入遺伝子を担持するE1およびE2A欠失組換えアデノ
ウイルスベクターの小型化多ウエル産生 cDNA配列のそれぞれのレパートリーを有するcDNAライブラリーの構築
、小型化アデノウイルス産生システムのクローニング許容量を可能にするために
、PER.C6の誘導体、主にPER.C6/E2Aを使用した。このセルライ
ンは、アデノウイルス発現カセットの3つの欠失:E1、E2AおよびE3を有
するベクターの産生を可能にする。これらの3つの欠失は、約10.5kbまで
の長さの移入遺伝子サイズを示すベクターの理論的クローニングを認める。ここ
で、我々は、様々なヒトおよびマウスcDNA、並びに追加のマーカー遺伝子を
担持するE1およびE2A欠失ベクターの産生を示す。 形質移入の前日、PER.C6/E2A細胞を、トリプシン−EDTAを用い
て回収し、計数した。その後、細胞を、100μl当たり22.500細胞の懸
濁まで培養培地(10%仔ウシ血清および10mMのMgCl2を有するDME
M)で希釈し、続いてポリ−L−リシン(PLL)被覆96孔平板(ベクトン・
アンド・ディキンソン)のウエル当たり100μlを播種した。翌日、DNA混
合液にリポフェクタミン混合液を添加することによって、100μlの量の血清
不含ダルベッコ修正イーグル培地(DMEM)中の2.6μgの線状化アダプタ
ー分子および2.6μgのPacI線状化pWE/Ad.AflII−rITR
.デルタE2AプラスミドDNA(実施例19参照)を、74.4μl血清不含
DMEMに希釈した25.6μlリポフェクタミンと混合した。DNA/リポフ
ェクタミン混合液を、1.3ml血清不含培地が添加された後、室温に30分間
放置した。その後、後者の混合液を、形質移入の前に200μlのDMEMで洗
浄したPER.C6/E2A播種ウエルに添加(ウエル当たり30μl)した。
湿潤CO2インキュベーター(39℃、10%CO2)で3時間後、10%仔ウシ
血清および10mMのMgCl2を有する200μlのDMEMを各ウエルに添
加し、そしてその平板を、湿潤CO2インキュベーター(39℃、10%CO2
に戻した。翌日、各ウエルの培地を、10%仔ウシ血清および10mMのMgC
2を有する200μlのDMEMに交換した。その後、その平板を、ウエルが
−20℃で一夜凍結にかけ、続いて解凍し、そして反復ピペット採取によって再
懸濁させた後、さらに7日間、湿潤CO2インキュベーター(32℃、10%C
2)に戻した。アリコート量の100μlの凍結/解凍した形質移入細胞を、
上で正常な96孔組織培養平板(平板2)で記述されるとおりに播種した新たな
PER.C6/E2A細胞を有する平板の各ウエルに移行させた。培養し、それ
ゆえ第一の形質移入平板の凍結/解凍細胞溶解液で感染させたPER.C6/E
2A細胞を有する第二の96孔平板を、CPE形成について調べ(図27参照)
、そして−20℃で保存した。図27で、新たなPER.C6/E2A細胞に対
する凍結/解凍細胞の増殖の後等級付けされた細胞(CPE陽性)ウエルを産生
するウイルスの含有率が描かれた。明らかに、本出願の小型化システムは、様々
な移入遺伝子挿入物を有するデルタE1/E2A二重欠失ベクターの十分な産生
を可能にする。
【0119】 (実施例11) PER.C6/E2Aを用いた小型化産生システムで生成されたアデノウイルス
ベクター粒子の定量 96孔組織培養平板の1つのウエルで産生されるアデノウイルスベクターの力
価を決定するために、アデノウイルスプラークアッセイを行った。 PER.C6/E2A細胞を、トリプシン−EDTAを用いて回収し、そして
計数した。その後、細胞を、2ml当たり1.5×106細胞の懸濁まで培養用
培地(10%仔ウシ血清および10mMのMgCl2を有するDMEM)で希釈
し、続いてPLL被覆6孔平板(ベクトン・アンド・ディキンソン)のウエル当
たり2mlを播種した。アデノウイルスベクター溶解液を含むマイクロタイター
平板を解凍し、そして各アデノウイルスのランダムに選択したウエルの50μl
を使用して、培養用培地中のアデノウイルスの一連の10倍希釈を行った。同じ
日に種播きされたPER.C6/E2A細胞の培地を、ウエル希釈ウイルス当た
り2mlに交換し、そして50−60%単層を、湿潤CO2インキュベーター(
32℃、10%CO2)でおよそ16時間感染させた。感染後、細胞を、ウエル
当たり3mlのアガロース混合液(2×MEM、2%仔ウシ血清、1mMのMg
Cl2、PBSおよび1%アガロース)で上に載せ、そして湿潤CO2インキュベ
ーター(32℃、10%CO2)に戻した。2週間後、1つの陰性対照を含めた
9つの個々のプラークを、200μlの培養用培地に移し、そして−20℃で保
存した。アリコート量の25μlのこの材料を使用して、PER.C6/E2A
細胞(100μl中のウエル当たり2.25×104細胞)を感染し、感染前の
1日に、96孔組織培養平板に種蒔きした。これを、完全CPEの存在が観察さ
れるまで、湿潤CO2インキュベーター(32℃、10%CO2)にインキュベー
トし、そして続いて−20℃で保存した。 96孔組織培養平板のウエルで産生されるアデノウイルスの最終力価を、個々
のプラークを引き上げた1週間後に測定した。図28で、96孔平板のウエルに
産生されたpfu/mlでのアデノウイルスの力価が描かれる。0.8±0.7
×109pfu/mlの平均力価は、384孔平板を用いた機能性ゲノムスクリ
ーンでの特に細胞基本アッセイで必要とされるMOIによって、十分なウイルス
が、400−4000アッセイ(100−10のMOI)について産生されるこ
とを暗示する。これは、1つのライブラリーを用いた複数スクリーンを可能にす
る。
【0120】 (実施例12) PER.C6/E2A細胞におけるマイクロタイター平板で産生されるアデノウ
イルスベクターの品質 産生組換えアデノウイルスの機能性を試験するために、それぞれのアデノウイ
ルスベクターに感染した細胞における以下の機能性アッセイを行った。 −β−ガラクトシダーゼアッセイ −hIL3アッセイ −ルシフェラーゼアッセイ −ceNOSアッセイ −GLVR2アッセイ −EGFPアッセイ
【0121】 −β−ガラクトシダーゼアッセイ A549細胞を、トリプシン−EDTAを用いて回収し、そして計数した。そ
の後、細胞を、100μl当たり10,000個の細胞の懸濁まで培養用培地(
10%加熱不活性化FBSを有するDMEM)で希釈し、続いて、96孔組織培
養平板のウエル当たり100μlを種蒔きした。翌日、lacZ形質導入アデノ
ウイルス並びに陰性対照(新たなPER.C6/E2A細胞で増幅された一次ウ
エルおよびプラークの両方)を含む全CPE陽性PER.C6/E2Aウエルを
使用して、A549細胞を感染させた。この目的のために、凍結ウエルを解凍さ
せ、そして各ウエルの20μlの凍結/解凍細胞溶解液を使用して、A549細
胞の1つのウエルを感染させた。感染の2日後、感染A549細胞の培地を除去
し、そして各ウエルを、2回、100μlのPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で
洗浄した。洗浄後、ウエル当たり100μl固定剤(1%ホルムアルデヒド、0
.2%グルタルジアルデヒド)を添加することによって、細胞を、室温で5分間
固定化した。細胞を、2回、PBSで洗浄した後、100μlのX−gal染色
溶液(0.2MのK3Fe(CN)6、0.2MのK4Fe(CN)6、DMSO中
のX−galおよび0.1MのMgCl2)を各ウエルに添加した。 CPE陽性ウエルで感染されたウエルの全てが、青く染色した。多数のウエル
は、100%青色染色、そしてそれゆえlacZを担持するアデノウイルスベク
ターを有する全細胞の形質導入を示した(図29参照)。
【0122】 hIL−3アッセイ 感染の前日、A549細胞を、上述のとおり播いた。翌日、ヒトインターロイ
キン−3(hIL−3)形質導入アデノウイルス(新たにPER.C6/E2A
細胞で増幅された一次ウエルおよびプラークの両方)、並びに陽性および陰性対
照を含む全CPE陽性PER.C6/E2Aウエルを使用して、A549細胞を
感染させた。この目的のために、凍結ウエルを解凍し、そして各ウエルの20μ
lの凍結/解凍細胞培養液を使用して、A549細胞の1つのウエルを感染させ
た。感染の3日後、感染したA549細胞の100μlの上清上でのhIL−3
濃度の定量を、ヒトIL−3免疫アッセイ(商標クアンティキン)を用いて測定
した。 CPE陽性ウエルで感染されたウエルの全ては、高いhIL−3濃度を示した
(図29参照)。
【0123】 ルシフェラーゼアッセイ 感染の前日、A549細胞を、上述のとおり播種した。翌日、ルシフェラーゼ
形質導入アデノウイルス(新たにPER.C6/E2A細胞で増幅された一次ウ
エルおよびプラークの両方)、並びに陽性および陰性対照を含む全CPE陽性P
ER.C6/E2Aウエルを使用して、A549細胞を感染させた。この目的の
ために、凍結ウエルを解凍し、そして各ウエルの20μlの凍結/解凍細胞培養
溶解液を使用して、A549細胞の1つのウエルを感染させた。感染の2日後、
感染したA549細胞の培地を除去し、そして各ウエルを、100μlのPBS
で洗浄した。100μlの1×レポーター溶解緩衝液(プロメガ)を添加したの
ち、ウエルを凍結/解凍にかけ、続いて20μlの凍結/解凍細胞溶解液でのル
シフェラーゼ活性を測定した。 CPE陽性ウエルで感染されたウエルの全ては、高いルシフェラーゼ活性を示
した(図29参照)。
【0124】 ceNOSアッセイ PER.C6/E2A細胞を、トリプシン−EDTAを用いて回収し、そして
計数した。その後、細胞を、100μl当たり22,500個の細胞の懸濁まで
培養用培地(10%FBSおよび10mMのMgCl2でフェノール赤を欠いて
いるDMEM)で希釈し、続いて、96孔組織培養平板のウエル当たり100μ
lを種蒔きした。翌日、ceNOS形質導入アデノウイルス(新たなPER.C
6/E2A細胞で増幅された一次ウエルおよびプラークの両方)、並びに陰性対
照を含む全CPE陽性PER.C6/E2Aウエルを使用して、PER.C6/
E2A細胞を感染させた。この目的のために、凍結ウエルを解凍させ、そして各
ウエルの20μlの凍結/解凍細胞溶解液を使用して、PER.C6/E2A細
胞の1つのウエルを感染させた。感染の3日後、50μl着色溶液[1:1比で
のグリッセA試薬(0.1%N−(1−ナフチル)エチレンジアミン)およびグ
リッセB試薬(5%リン酸中の25%スルファニルアミド)]を、感染PER.
C6E2A細胞の50μlの上清に加えた。着色溶液を添加した後、陽性ceN
OS活性を示す上清は、直ぐにピンク色になった。 CPE陽性ウエルに感染されたウエルの全ては、陽性ceNOS活性を示した
(図29参照)。
【0125】 GLVR2両種性レセプターアッセイ 両種性レトロウイルスのためのレセプターであるGLVR2のアデノウイルス
指向性形質導入を、ヒト神経成長レセプター(NGFR)の切断バージョンを移
行する両種性レトロウイルスの上清を使用する以外は、基本的に記述される(L
ieberら、1995年)とおりに測定した。GLVR2アデノウイルスの上
清で感染されたCHO細胞のレトロウイルス形質導入を、抗NGFR抗体および
フローサイトメーターを用いて検出した。 GLVR2形質導入アデノウイルス(新たにPER.C6/E2A細胞で増幅さ
れたプラーク)を含むCPE陽性PER.C6/E2Aウエルで感染されたウエ
ルの全ては、陽性のGLVR2活性を示した(図29参照)。
【0126】 EGFPアッセイ マイクロタイター平板フルオリメーター上で、またはフローサイトメーターに
よってEGFP発現を測定した。 結論として、ウエルから生じた両方のウイルス、並びに生成ウエルから精製さ
れた(すなわち、クローン化された)プラークは、それらの別々の移入遺伝子の
形質導入を示した。したがって、システムは、機能性アデノウイルスベクターの
産生について高い忠実度を示し、そして試験された移入遺伝子の挿入物について
異常な形態をなんら産生しない。
【0127】 (実施例13) PER.C6およびPER.C6−E2A細胞におけるアデノウイルスベクター
の産生のための十分に精製したプラスミドDNAを産生するDNA単離法 真核生物の細胞での形質移入調査のために使用されるプラスミドDNAは、高
いレベルの形質移入効率を達成するのに十分な純度および内毒素不含のものでな
ければならないことはよく知られている。イー.コリからプラスミドDNAを精
製するための従来の方法は、アルカリ性溶解手段(Birnboim,H.C.
およびDoly,J.の組換えプラスミドDNAをスクリーニングする高速アル
カリ性溶解手段。Nucleic Acid Res. 7巻:1513−15
22頁(1979年))、続いて塩化セシウム(CsCl)勾配上でのプラスミ
ドDNAの結合(Sambrook,J.ら編、分子クローニング:実験室マニ
ュアル、第2版、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(1
989年)参照)、または陰イオン交換樹脂での結合および溶出(例えば、キア
ゲン・インク.の商標キアゲン・プラスミド精製法;およびライフ・テクノロジ
ーズの商標コンサート・プラスミド精製システム参照)を包含する。しかし、そ
れらは、単離当たりに相当な手作業時間を必要とするので、これらの方法の全て
は、高生産量DNA単離には不適切である。したがって、そして単離当たりの経
費を減少するために、他の方法を試験した。 SalI線状化アデノウイルスアダプタープラスミドpCLIP−SalI
LacZおよびE2A欠失ヘルパー断片pWE/Ad.AflII−rITR.
デルタE2Aを使用して試験された方法:アルカリ溶解、続いてカラム基本のプ
ラスミド精製(キアゲン) 1.アルカリ溶解、続いてイソプロパノール沈殿、およびTE緩衝液での溶解化 2.アルカリ溶解、続いてイソプロパノール沈殿、およびml当たり10マイク
ログラムでRNエースを含むTE緩衝液での溶解化 3.アルカリ溶解、続いてイソプロパノール沈殿、およびml当たり10マイク
ログラムでRNエースを含むTE緩衝液での溶解化、続いてフェノール/クロロ
ホルム抽出およびエタノール沈殿 4.標準臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)プラスミド単離(Nu
cleic Acids Res、1620;1488) 5.ml当たり10マイクログラムでRNエースを含むTE緩衝液での溶解化以
外は、標準CTABプラスミド単離、続いてフェノール/クロロホルム抽出 等容量の生じたプラスミドを、SalI、続いてフェノール/クロロホルム抽
出およびエタノール沈殿で線状化させた。TE緩衝液での溶解化およびアガロー
スゲル上での検査に続いて、等容量のDNA(臭化エチジウム染色によって測定
されるとおり)を、実施例9および10で記述されるとおりリポフェクタミンを
用いてPER.C6/E2A細胞に形質移入させた。増殖後、ウエルを、ウエル
産生についての測定としてCPE形成について等級付けした。 図30で、PER.C6/E2A細胞の形質移入の後、アデノウイルスベクタ
ー(CPE陽性)を産生する相当量のウエルが、pCLIP−LacZで形質移
入され、6つの異なるプロトコルで精製した。キアゲン:標準アルカリ溶解、続
いてキアゲン・プラスミド精製;AlkLys:アルカリ溶解、続いてイソプロ
パノール沈殿、およびTE緩衝液での溶解化;AL+RNエース:アルカリ溶解
、続いてイソプロパノール沈殿、およびml当たり10マイクログラムでRNA
エースを含むTE緩衝液での溶解化;AL+R+フェノール:アルカリ溶解、続
いてイソプロパノール沈殿、およびml当たり10マイクログラムでRNエース
を含むTE緩衝液での溶解化、続いてフェノール/クロロホルム抽出およびエタ
ノール沈殿;CTAB:標準CTABプラスミド単離CTAB+フェノール:m
l当たり10マイクログラムでRNエースを含むTE緩衝液での溶解化以外は標
準CTABプラスミド単離、続いてフェノール/クロロホルム;DNAの品質が
、6つ全て別々に単離されたプラスミドが、CPEで類似の量のウエルを産生し
たとき、PER.C6/E2A細胞の、そしてそのウイルス産生の形質移入につ
いての主な決定基でないことは明らかである。 結論として、PER.C6/E2A細胞の、そしてそのウイルス産生の高い生産
量の形質移入について、標準アルカリ溶解、続いてTE緩衝液での溶解化の後、
0.6容量のイソプロパノールで沈殿したプラスミドDNAを使用するのに十分
である。
【0128】 (実施例14) ミニチュア化された様式でのアデノウイルスベクターの創製のための未精製の
消化アダプターおよびヘルパーアデノウイルスDNA分子の使用 総じての価格、および手法における誤差の機会を最小化し、かつ高スループッ
ト様式で組換えアデノウイルスを生産する場合のスループットを最大化するため
に、可能な限り多くの工程を省くのが望ましい。より小さく低いスループット規
模でアデノウイルスベクターを創製する場合にもいずれのここでの改良も適用で
きる。組換えアデノウイルスを生産する場合に最も困難な自動化工程は、細胞の
DNAでのトランスフェクションに先立ってのDNAクリーンアップ工程バイフ
ェノールクロロホルム抽出(p/c)である。線状化後にDNAを精製して無酵
素DNAを得る。これは、アダプターおよびヘルパーDNA分子でのトランスフ
ェクション後に高パーセンテージのウイルス生成を得るのに重要であると考えら
れる。p/c精製手法を省くためのさらなる動機は、ウイルスの創製に負の効果
を有し得る、トランスフェクションで用いるDNAにおける痕跡量のフェノール
およびクロロホルムの危険性である。従って、p/cのクリーンアップの複雑な
工程を、本出願のミニチュア化されたアデノウイルスベクター創製プロトコル主
題から省くことができるか否かを調べた。この方法は、センスまたはアンチセン
スcDNA発現ライブラリーのごときライブラリーの高スループット構築の基礎
を形成する。いくつかの独立した実験を行って、アデノウイルスベクター創製の
効率に対するp/c工程を省く効果をテストした。p/c精製は以下のごとくに
行った。アダプター−DNAおよびrITR−DNAを適当に制限酵素で消化し
た後、等容量のフェノールおよびクロロホルム (1:1)を添加し、徹底的に
混合し、遠心した(5分、14,000rpm)。水性層を新しいミクロ遠心管
に移し、等容量のクロロホルムを加えた。再び、これを徹底的に混合し、遠心し
た(5分、14,000rpm)。水性層を新しいミクロ遠心管に移し、1/1
0容量3M酢酸ナトリウム(pH5.2)および2.5容量の無水エタノールを
添加した。これを−20℃で少なくとも20分間保持し、引き続いて遠心し(1
5分、14,000rpm)、ペレットを70%エタノールで洗浄した。DNA
を風乾し、適当な容量の滅菌水を添加した (層流気流キャビネット中)。PE
R.C6/E2A細胞を用いてトランスフェクションを実施例9に記載したごと
くに行った。全てのウイルスをE1およびE2A欠失し、PER.C6/E2A
細胞中で生産した。第1の実験では、(実施例13に記載したごとく)6つの異
なるDNA単離プロトコルのβ−ガラクトシダーゼ(pAd5.Clipsal
.LacZ)を含有するアダプター−DNAを分析し、CPE形成につきモニタ
リングすることによってアデノウイルスベクターを生産するその効率を比較した
。全てのDNA試料のうち、半分を適当な制限酵素 (SalI)を用いる線状
化後にp/c精製し、半分は線状化後に精製しなかった。制限酵素は加熱不活化
した。なぜならば、SalI部位は使用され、かくして、ヘルパーDNAの不慮
の消化を排除するrITRデルタE2Aヘルパー断片に存在するからである。こ
の実験においては、p/c精製rITRデルタE2AヘルパーDNAを用いた。
用いたDNA単離方法の全てにおいて、CPEは効率的に形成された(図31A
)。ある場合には、フェノールクロロホルム抽出による精製の省略は、より高い
CPE効率を与えた。結論として、線状化酵素で消化したアデノウイルスアダプ
ターDNAは先行精製なくしてトランスフェクションで用いることができる。 第2の実験において、増強された緑色蛍光蛋白質(EGFP)および増強され
た黄色蛍光蛋白質(EYFP)(pAd5.Clippac.EGFPおよびp
Ad5.Clippac.EYFP)を含有するアダプター−DNAを用いて精
製および精製しないことを比較した。Qiagen単離方法を用いてアダプター
プラスミド−DNAを単離した。用いたrITRデルタE2Aをp/cで精製し
た。トランスフェクション前に加熱不活化される必要のないPacIを用いてア
ダプター−DNAを線状化した。なぜならば、rITRに存在するPacI部位
はないからである。観察したCPEのパーセンテージで首尾一貫した差異は見い
だされず、アデノウイルスベクターの生産は効率的であった(図31B)。第3
の実験は過剰の変数を含むものであった。rITRを精製する必要性をテストし
た。用いたアダプターDNAはEGFP (pAd5.Clippac.EGF
P)を含有し、Qiagen単離方法を用いて単離した(図30C)。トランス
フェクションおよび増幅後の結果は、制限酵素消化後におけるアダプターおよび
rITR DNA双方の精製は必要ないことを示す。 全ての結果を考慮し、アダプターDNAおよびrITRのフェノールクロロホ
ルム精製工程は高パーセンテージのCPEを得るのには、かくして、アデノウイ
ルスベクター生産には必要ないことは明らかである。例えば実施例9および10
に記載された手法の前記修正の結果、自動設定においてアデノウイルスベクター
ライブラリーを創製した場合、およびより小さな規模で手動にてベクターを作成
した場合にスループットの有意な増加がもたらされる。
【0129】 (実施例15) 生産されたベクターの安定性に関するアデノウイルスベクターの生産 本明細書中で種々の実施例に記載した組換えアデノウイルスの創製は、マルチ
ウェル組織培養プレートで増殖させたトランスフェクトされたPER.C6細胞
(および誘導体)で生産されたウイルスの増幅から後ほぼ5ないし11日後に機
能的アデノウイルスが形成されるであろうことを示す。細胞病理学効果(CPE
)の観察は、機能的アデノウイルスが形成され、それが複製されつつあることを
示す。トランスジーンインサートの性質および実験条件の変動はウイルス創製の
速度論が可変的であるようにする。非常に多数のウェル、かくしてアデノウイル
スベクターを含有するプレートを取り扱う高スループット設定において、プレー
トを収穫するのに間に合わせ、アデノウイルスベクター生産につきスコアを取る
のは望ましい。アデノウイルスベクター創製における前記変動は、可能な限り長
い間、すなわち、よりゆっくりとしたウェルも生産されたアデノウイルスベクタ
ーを持つようになるまでプレートの収穫を遅延させることによって克服すること
ができる。この目的で、一旦、少数のウイルスから出発してそれが多数のウイル
スまで生産されれば、本発明者らは組換えlacZアデノウイルス(pCLIP
−lacZ)の安定性をテストし、次いで、力価を測定し(実施例11参照)、
加えて、3週間後までウイルスのlacZ形質導入能力を測定した。4.104
細胞/ウェルを用い、C6/E2A細胞を2列の96−ウェルマイクロタイター
組織培養プレートに接種した。プレートを39℃で一晩インキュベートした。翌
日、血清型5の精製されたLacZ−アデノウイルスベクターでPER.C6/
E2Aを感染させた。感染は、以下のスキームに従って異なるMOIで行った
(合計21プレート)。
【0130】
【表1】 ウェル中で生産されたアデノウイルスの安定性に対する温度の効果を測定する
ために、7つのプレートを32℃、7つのプレートを34℃、および7つのプレ
ートを39℃でインキュベートした。感染後2、3、6、9、13、16および
21日に、かくインキュベーション温度に対する1つのプレートを凍結させた。
以下の実験において細胞溶解物を用いた。生産されたアデノウイルスの形質導入
能力を測定するために、A549細胞を1.104細胞/ウェルにて96−ウェ
ルマイクロタイター組織培養プレートに接種し、37℃で一晩インキュベートし
た。次いで、細胞を50μl細胞溶解物で感染させ、37℃でインキュベートし
た。2日後、細胞を毒性につきスクリーニングし、続いてlacZ染色した。M
OIを増加させ、感染時間を増加させると明瞭な毒性効果が観察された。以下の
表は、全ての細胞がいつ全てのウェルで青色に染色されたかをまとめる。
【0131】
【表2】 感染から3週間後に、100%の青色細胞/ウェルが依然として観察され、かく
して、全ての細胞はlacZを担うアデノウイルスベクターを持つ。かくして、
これは3週間までのインキュベーションに際して低下した感染性を示さなかった
。細胞溶解物におけるウイルスの感染性ウイルス粒子の数を測定するために、各
インキュベート温度MOIに対応して感染から2、6および21日インキュベー
トした試料につき力価測定アッセイを行った。感染から3週間後、ML当たり2
×1010pfuの平均力価が観察された。力価の全体像を図32に与える。 前記実験は、プレートの収穫を可能な限り長く支援する、すなわち、より遅い
ウェルも生産されたアデノウイルスベクターを有するまで遅延することによって
、アデノウイルスベクター創製における変動が克服できることを示す。本発明者
らは増加するMOIおよび増加する感染時間にて明瞭な毒性効果を観察したが、
感染性の減少および生産されたアデノウイルスベクターの力価の減少はない。
【0132】 (実施例16) アンチセンスDNA配列を担い、アンチセンスmRNA配列を発現するアデノ
ウイルスベクターのミニチュア化された生産 アンチセンスcDNA発現ライブラリーを用いるスクリーンにおける内因性遺
伝子発現を減少させることは、機能的ゲノミックスプログラムで非常に有用であ
る。また、遺伝子有効化およびアンチセンス遺伝子治療剤の開発で個々のアンチ
センスアデノウイルスベクターを用いることができる。その例はアンチセンス−
血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の使用である。VEGFは、内皮細胞の増殖
を促進し、新生血管形成および神経膠細胞腫の増殖で主たる役割を果たす腫瘍血
管形成における非常に重要な分子である。VEGF−アンチセンス分子はイン・
ビボで腫瘍増殖を阻害する(Seock−Ahら, 1999, Cancer
Research 59, 895−900)。アデノウイルスベクターで大
きくかつ複雑なアンチセンスライブラリーを構築することは、機能的ゲノミック
ススクリーニングプログラムで価値があり非常に有用である。 実施例10に記載されたごとくに、アンチセンス向きの規定されたヒトcDN
A配列および線状化rITRデルタE2AヘルパーDNAを含有する線状化アダ
プターDNAでPER.C6/E2A細胞を共トランスフェクトした。アダプタ
ーDNA中のアンチセンス向きにクローン化された遺伝子を後記表に記載する。
pCLIPでは、トランスジーンインサートに応じて線状化するための部位とし
てのSalIまたはPacIにて2つの変異体を用いた。
【0133】
【表3】
【0134】 図33において、本発明のミニチュア化生産システムを用いるアンチセンスc
DNAアデノウイルスベクターの創製のための前記cDNAのいくつかの例を与
える。これらのウイルスを用いてテストした細胞の内因性発現を低下させようと
試みる。
【0135】 (実施例17) 組換えアデノウイルスの創製および生産のための、特に、アデノウイルス発現
ライブラリーの創製および生産のためのアダプタープラスミドの構築 センスまたはアンチセンスcDNA配列の効果的なクローニングおよびこれら
のベクターにおけるcDNAライブラリーを含めた核酸のライブラリーの創製を
可能とする、多重向きの多重クローニング部位を含有する(短いアダプター中の
)アデノウイルスアダプタープラスミドを構築した。さらに、これらの新しいア
ダプタープラスミドは、左側アデノウイルスITRと境界を接する新規制限酵素
認識配列およびAd5ウイルスゲノムのヌクレオチド6095までヘルパー断片
と重複する配列をこれらの新しいアダプタープラスミドは含有する。アデノウイ
ルスアダプタープラスミドのこれらの修飾は、挿入されたトランスジーンまたは
トランスジーンライブラリーの消化なくしてアダプタープラスミドを線状化する
可能性を有意に増強する。pWE/Ad.AflII−rITR.デルタE2A
での共トランスフェクションに続き、改良されたアダプタープラスミドおよびア
デノウイルスコスミドの間の相同組換えの結果、機能的アデノウイルスが創製さ
れる。 第1のアダプター構築体pCLIP−IppoI (図34A)およびpCL
IP−IppoI−polynew (図34B)はpAd5/CLIP−Pa
cに由来し、左側ITRの全面に−11bp位に新しいI−PpoI線状化部を
含有する。加えて、pCLIP−IppoI−polynewは、異なるまれな
切断制限エンドヌクレアーゼおよびイントロン−コード化エンドヌクレアーゼの
ための制限酵素認識配列を含むCMVプロモーターの下流に改良されたポリーリ
ンカー配列を含有する。イントロン−コード化エンドヌクレアーゼのための認識
配列は、ヒトゲノムを含めたゲノムで極端にまれであり、11−23塩基対より
なる。これらのイントロン−コード化エンドヌクレアーゼ−部位はアデノウイル
スゲノムに存在しないので、無インサートpCLIP−IPpoIから得られた
全アデノウイルスベクターゲノムに配列を直接挿入することができる(後記も参
照)。 このアダプタープラスミドを構築するために、以下のプライマー:PCLIP PACIPPO :5’−TTT TTA ATT AAT AAC TAT G
AC TCT CTT AAG GTA GCC AAA TCA TCA T
CA ATA ATA TAC CTT ATT TTG G−3’およびPC
LIPBSRGI:5’−GCG AAA ATT GTC ACT TCC
TGT G−3’およびLife Technologies (LTI; B
reda, オランダ国)からのElongaseポリメラーゼを用い、pCL
IP−PacI鋳型プラスミドDNAでのPCRによって、Ad5の左側ITR
の一部を増幅した。プライマーpCLIP−PacIはI−PpoI配列の5’
側にPacI部位を含有する。増幅された断片をPacIおよびBsrGIで消
化し、同一酵素で消化したpAd5/CLIP−PacIから得られた6471
bpの断片に255bpの得られた断片をクローン化し、1%アガロースゲルで
単離した。ジデオキシヌクレオチド配列分析によってヌクレオチド配列を確認し
た。各々、33ヌクレオチドおよび11ヌクレオチドの距離の左側ITRの5’
側にPacIおよびI−PpoI認識配列を含有するこの構築体をpCLIP−
I−PpoIと命名した(図34A)。この構築体を引き続いて、ゲルで分離し
たXbaIおよびHindIIIで消化し、これを用いて新しい合成リンカー配
列を挿入した。2つの一本鎖のアニールしたオリゴヌクレオチド:LINKER POLYNEW−S :5’−AGC TTT AAC TAT AAC GGT
CCT AAG GTA GCG ATT AAT TAA CAG TTT
AAT TAA TGG CAA ACA GCT ATT ATG GGT
ATT ATG GGT T−3’;およびLINKERPOLYNEW−A :5’−CTA GAA CCC ATA ATA CCC ATA ATA
GCT GTT TGC CAT TAA TTA AAC TGT TAA
TTA ATC GCT ACC TTA GGA CCG TTA TAG
TTA A−3’よりなるこのリンカー配列を消化した構築体に直接連結した
。 pCLIP−I−PpoI−polynewと名付けたこの構築体は、今や
、ポリリンカー中に制限酵素HindIII、I−CeuI、PacI、Pi−
PspIおよびXbaIのための認識配列を含有する(図34B)。このリンカ
ーの正しい挿入は、各酵素での消化および配列分析によって証明した。
【0136】 pCLIP−ベースのアデノウイルスアダプターよりも強力なCMVプロモー
ターならびに異なるポリ(A)配列を含有する異なるアダプター構築体pADA
PTを骨格として用いて、アダプタープラスミドのもう1つの組を構築した。線
状化の可能性を増強するために、多数のpADAPT誘導体を設計し、構築した
。この目的で、pADAPTプラスミドDNAをSalIで消化し、Shrim
pアルカリ性ホスフォアターゼで処理して再連結を減少させた。以下の2つのリ
ン酸化されアニールされたオリゴ:ExSalPacF 5’−TCG ATG
GCA AAC AGC TAT TAT GGG TAT TAT GGG
TTC GAA TTA ATT AA−3’;およびExSalPacR
5’−TCG ATT AAT TAA TTC GAA CCC ATA A
TA CCC ATA ATA GCT GTT TGC CA−3’よりなる
リンカーを消化された構築体に直接連結し、それにより、Pi−PspI、Sw
aIおよびPacIによってSalI制限部位を置き換えた。さらに、以下のプ
ライマー:PCLIPMSF:5’−CCC CAA TTG GTC GAC
CAT CAT CAA TAA TAT ACC TTA TTT TGG
−3’およびpCLIPBSRGI(前記参照)を用いるPCRによって、pA
DAPTの左側ITRの一部を増幅した。増幅した断片をMunIおよびBsr
GIで消化し、pCLIP−EcoRIにクローン化し、これを部分的にEco
RIで消化し、精製後にBsrGIで消化した。制限酵素分析後に、構築体をS
caIおよびSgrAIで消化し、800bp断片をゲルから単離し、ScaI
/SgrAI消化pADAPT+ExSalPacリンカーに連結した。pIP
spSalAdaptと命名された得られた構築体(図34C)をSalIで消
化し、脱リン酸化し、前記したリン酸化ExSalPacFExSalPac 二本鎖リンカーに連結した。PacI部位がITRに最も近いクローンを制限
分析によって同定し、配列分析によって配列を確認した。pIPspAdapt
と命名されたこの新規なpADAPT構築体(図34D参照)は、かくして、P
acI、PI−PspIおよびBstBIのための認識配列を含有する2つのE
xSalPacリンカーを保有し、これはアデノウイルスアダプター構築体のア
デノウイルス部分を囲み、かつアデノウイルスヘルパー断片での共トランスフェ
クションに先だってプラスミドDNAを線状化するのに用いることができる。
【0137】 さらにトランスジーンクローニング過突然変異を増大させるために、pIPs
pAdaptに基づいて多数のポリリンカー変異体を構築した。この目的で、p
IPspAdaptをまずEcoRIで消化し、脱リン酸化した。以下の2つの
リン酸化されアリールされたオリゴ:Ecolinker+ :5’−AAT T
CG GCG CGC CGT CGA CGA TAT CGA TAG C
GG CCG C 3’およびEcolinker- : 5’−AAT TGC
GGC CGC TAT CGA TAT CGT CGA CGG CGC
GCC G 3’よりなるリンカーをこの構築体に連結し、それにより、As
cI、SalI、EcoRV、ClaIおよびNotIのための制限部位を生じ
させた。両方の向きの、このリンカーが得られ、制限分析および配列分析によっ
て配列を確認した。順番5’ HindIII、KpnI、AgeI、EcoR
I、AscI、SalI、EcoRV、ClaI、NotI、NheI、Hpa
I、BamHIおよびXbaIでポリリンカーを含有するプラスミドをpIPs
pAdapt1と命名し(図34E参照)、他方、順番HindIII、Kpn
I、AgeI、NotI、ClaI、EcoRV、SalI、AscI、Eco
RI、NheI、HpaI、BamHIおよびXbaIでポリリンカーを含有す
るプラスミドをpIPspAdapt2と命名し(図34F参照)。cDNAラ
イブラリーを作成する分野の同業者であれば、オリゴGalMlu−F:5’−
CGA TCG GAC CGA CGC GTT CGC GAC C−3’
およびGalMlu−R:5’−GGC CGC TCG CGA ACG C
GT CGG TCC GAT−3’よりなる過剰ポリリンカーがpIPspA
dapt1のClaIおよびNotI部位の間に挿入してpIPspAdapt
6を生じることを認識するであろう(図34G参照)。pIPspAdapt6
はRsrII、MluIおよびNruIのための過剰制限部位を含有し、これを
導入してSalIおよびNotI部位の間の距離を増大させ、これはこれらの酵
素の組合せの消化を改良するであろう。さらに、それらは、SalIおよびNo
tIでの制限に先だってこのベクターのプレ−消化および脱リン酸化を可能とし
、これは個々のインサートまたはSalI−およびNot−適合突出を持つライ
ブラリーの場合にバックグラウンド組換えを減少させるであろう。また、Gal
MluオリゴをpIPspAdapt2にクローン化し、pIPspAdapt
7に至る(図34H参照)。 他のセンスまたはアンチセンス構築体のクローニングを容易とするために、以
下の2つのオリゴヌクレオチドよりなるリンカーを設計してpIPspAdap
tのポリリンカーを逆にした:HindXba+ 5’−AGC TCT AG
A GGA TCC GTT AAC GCT AGC GAA TTC AC
C GGT ACC AAG CTT A−3’:HindXba- 5’−C
TA GTA AGC TTG GTA CCG GTG AAT TCG C
TA GCG TTA ACG GAT CCT CTA G−3’。このリン
カーをHindIII/XbaI消化のpIPspAdaptに連結し、正しい
構築体を単離した。制限酵素分析および配列決定によって確認を成した。この新
しい構築体pIPspAdaptA(図34I参照)をEcoRIで消化し、前
記Ecolinkerをこの構築体に連結した。両方の向きの、このリンカーが
得られ、その結果、pIPspAdapt3が得られ(図34J参照)、これは
順番XbaI、BamHI、HpaI、NheI、EcoRI、AscI、Sa
lI、EcoRV、ClaI、NotI、AgeI、KpnIおよびHindI
IIでポリリンカーを含有する。pIPspAdapt4は順番XbaI、Ba
mHI、HpaI、NheI、NotI、ClaI、EcoRV、SalI、A
scI、EcoRI、AgeI、KpnIおよびHindIIIでポリリンカー
を含有する(図34K参照)。全ての配列は制限酵素分析および配列決定によっ
て確認した。
【0138】 前記したごとく、イントロン−コード化エンドヌクレアーゼはまれな切断酵素
であり、アデノウイルスゲノムを消化しない。当業者であれば、これらの酵素は
アデノウイルスゲノムにおける配列の直接的連結を可能とすることを認識するで
あろう。というのは、それらはアデノウイルスゲノムに認識配列を有しないから
である。ポリリンカー中のイントロン−コード化エンドヌクレアーゼのための認
識配列を含有するpADAPTバージョンを得るために、一本鎖配列:5’−A
GC TTA ACT ATA ACG GTC CTA AGG TAG C
GA TAG GGA TAA CAG GGT AAT TAA TTA A
TT TAA ATT AAT TAA TCT ATG TCG GGT G
CG GAG AAA GAG GTA ACT ATG ACT CTC T
TA AGG TAG CCA AAT−3’;および5’−CTA GAT
TTG GCT ACC TTA AGA GAG TCA TAG TTA
CCT CTT TCT CCG CAC CCG ACA TAG ATT
AAT TAA TTT AAA TTA ATT AAT TAC CCT
GTT ATC CCT ATC GCT ACC TTA GGA CCG
TTA TAG TTA−3’よりなる、HindIII/XbaIで消化した
pIPspAdaptにリンカーを連結した。このリンカーは4つのオリゴ:I
ntrolikerF1、IntrolikerF2、IntrolikerR
1およびIntrolikerR2よりなり、イントロン−コード化エンドヌク
レアーゼI−CeuI、I−SceI、PI−SceIおよびI−PpoIおよ
びエンドヌクレアーゼPacIおよびSwaIのための認識配列を含有する。構
築体の正しさは配列分析によって確認し、構築体はpIPspAdapt5と詠
んだ(図34L参照)。 pIPspAdapt5またはpCLIP−IppoI−polynewを含
有するウイルスからのアデノウイルスDNAを単離し、コスミドベクターpWE
15/SnaB1にクローン化した。リン酸化オリゴヌクレオチドPacSna
:5’−TAA TAC GTA TTA AT−3’を自己アニーリングし、
PacI−消化し、脱リン酸化したpWE15/PAC、pWE15の誘導体
における得られた二本鎖配列を連結することによって、pWE15/SnaB1
を創製した(Sambrook,J ら編 (1989) Molecular
Cloning: A Laboratory manual, 第2版.
Cold Spring Harbor Laboratory Press参
照)。 これはSnaB1についての制限部位を生じ、これはPacI部位によ
って近接挟まれている。アデノウイルスDNA−含有コスミドの創製については
、平滑末端化したアデノウイルスDNAをDNase、プロテイナーゼKを用い
る標準実験室的手法に従って単離し、続いてアニヨン交換樹脂回転カラムで溶出
した。モル過剰の得られた精製アデノウイルスDNAをSnaB1−制限pWE
15/SmaB1に連結し、得られた連結混合物をE. coli Stbl2
細胞 (LTI, Breda)にトランスフェクトした。 得られたプラスミドDNAをイン・ビトロ連結で引き続いて用いた(図34M
参照)。pIPspAdapt5−由来コスミドDNAの使用は以下における例
として使用されるであろう:適合する突出を含有する二本鎖オリゴヌクレオチド
をI−CeuIおよびPI−SceI部位の間、I−CeuIおよびI−Ppo
Iの間、I−SceIおよびPI−SceIの間、およびISceIおよびI−
PpoIの間で連結した。引き続いて、PacI制限エンドヌクレアーゼを用い
て連結後に構築体を線状化し、それにより、左側および右側ITRを遊離させる
のみならず、非組換え体を排除した。この場合、PER.C6/PER.C6/
E2Aパッキング細胞またはその変異体におけるトランスフェクションで連結混
合物を直接的に用い、それにより、機能的アデノウイルスを生じさせるための交
差または相同組換え事象の必要性を排除することができる。
【0139】 代替法として、pIPspAdapt5またはpCLIP−IppoI−po
lynewから作成したアデノウイルスDNAを含有するアダプタープラスミド
およびコスミドを用いて、左側ITRおよびポリリンカーの第1の部分の間の領
域を含むか、あるいはポリリンカーの第2の部分を右側ITRまで含む断片を生
じさせた。左側および右側ITRは区別される非適合制限酵素で線状化されるこ
とに注意されたい。というのは連結効率はさもなければひどく低下するからであ
る。pIPspAdapt5−由来コスミドDNAは例として用いられる:プラ
スミドpIPspAdapt5をBstbI−CeuIまたはBstBIおよび
I−SceIいずれかで切断して左側ITRを含有するアデノウイルス断片を生
じさせた。pIPspAdapt5−由来アデノウイルスDNAを含有するコス
ミドをI−PpoIおよびPacIまたはPI−SceIおよびPacIで制限
して、右側ITRを含有する断片を生じさせた。左側および右側ITRを含有す
る断片を0.8%アガロースゲルで単離し、アニオン交換樹脂で精製した。引き
続いて、5’末端におけるI−CeuIまたはI−SceIまたは3’末端にお
けるI−PpoIまたはPI−SceIいずれかのための適合突出を含有する二
本鎖オリゴヌクレオチドを、左側および右側ITRを含有する断片と等モル量に
て連結した。得られた連結混合物を、PER.C6/PER.C6/E2Aパッ
キング細胞またはその変異体へのトランスフェクションのために用い、再度、機
能的アデノウイルスを生じさせるための交差または相同組換え事象の必要性を排
除した。
【0140】 イン・ビトロで連結産物の直接的トランスフェクションは、アデノウイルスベ
クターDNAを単離する別の方法から利益を受ける。イン・ビトロ連結反応のト
ランスフェクション後にウイルス生産の効率を改良するために、アデノウイルス
ベクターDNAを精製アデノウイルス粒子から単離することができる(Pron
k, R.ら, Chromosoma 102:S39−S45 (1992
))。このビリオンDNAはITR配列に共有結合した末端蛋白質(TP)の2
分子を含有する。TP−DNAは無蛋白質DNAと比較して20倍を超えてアデ
ノウイルスDNA複製を刺激する。従って、pIPspAdapt5−またはP
CLIP−IppoI−polynew−由来アデノウイルスDNAは、記載さ
れているごとくグアニジニウム塩酸塩を用いてビリオンから単離することができ
る(Van Bergen, B.ら Nucleic Acids Res.
11:1975−1989 (1983))。このDNAをイントロン高度化
制限エンドヌクレアーゼの適当な組合せで消化し、イン・ビトロ連結反応で用い
た。連結後、PacIでの消化によって非組換え体を除去した。さらなる手法は
前記され、実施例10におけるものであり、およびそれを超えるものである。例
としてpIPspAdapt2についての図34Nに示されたごとく、pIPs
pAdaptアダプタープラスミドを、PER.C6/E2Aパッキング細胞に
おいてpWE/Ad.AflII−rITRBE2Aで共トランスフェクトして
、組換えアデノウイルスを生じさせた。
【0141】 (実施例18) ミニチュア化アデノウイルスベクター生産系におけるより大きなDNAインサ
ートのクローニングのためのE3領域に欠失を持つE1−欠失またはE1+E2
A−欠失組換えアデノウイルス 培養細胞ではアデノウイルスの複製、パッキングおよび感染にE3−コード化
蛋白質のいずれも要しないことは知られている。これは、組換えアデノウイルス
からのE3領域の可能な除去を成し、最大パッキング能力を超えることなくより
大きな遺伝子または複雑な調節エレメントを挿入する機会を生じる。例えば、E
3領域の一部は、(Ad5 wt配列28592−30470に対応する)Xb
aI−XbaI断片を欠失することによって除去することができる。もう1つの
例は、pVIIIの停止コドンおよび(Ad5 wt配列27865−3099
5に対応する)繊維の翻訳開始コドンの間の配列が除去されたE3領域の拡大さ
れた欠失である。 pWE/Ad.AflII−rITRΔE2Aの創製: pWE/Ad.AflII−rITR(ECACC寄託P97082116)
からのE2Aコーディング配列の欠失は以下のごとく達成された。左側および右
側部位におけるE2Aコーディング領域を近接挟むアデノウイルス配列を、製造
業者のプロトコルに従い、Expand PCRシステム (Boehring
er)でのPCR反応でプラスミドpBr/Ad.Sal.rITR (ECA
CC寄託P97082119)から増幅した。以下のプライマーを用いた:
【0142】 右側フランキング配列(対応するAd5ヌクレオチド24033ないし251 80): ΔE2A.SnaBI: 5’−GGC GTA CGT AGC CCT
GTC GAA AG−3’ ΔE2A.DBP−スタート: 5’−CCA ATG CAT TCG A
AG TAC TTC CTT CTC CTA TAG GC−3’ 増幅されたDNA断片をSnaBIおよびNsiIで消化した(NsiI部位
を下線を施した、プライマーΔE2A.DBP−スタート中に生じさせた)。
【0143】 左側フランキング配列(対応するAd5ヌクレオチド21557ないし224 42): ΔE2A.DBP−停止: 5’−CCA ATG CAT ACG GCG CAG ACG G−3’ ΔE2A.BamHI: 5’−GAG GTG GAT CCC ATG GAC GAG−3’ 増幅されたDNAをBamHIおよびNsiIで消化した (NsiI部位を
下線を施した、プライマーΔE2A.DBP−停止中に生じさせた)。引き続い
て、消化されたDNA断片をSnaBI/BamHI消化のpBr/ad.Sa
lrITRに連結した。配列決定により、プラスミドpBr/Ad.Sal−r
ITRΔE2AにおけるユニークなNsiI部位でのDBPコーディング領域の
正確な置換が確認された。ユニークなNsiI部位を用いて、組換えベクターに
よって導入されるべき遺伝子のための発現カセットを導入することができる。 E2Aコーディング配列の欠失は、頂部ストランドにおける100Kコーディ
ング24048位のL4−遺伝子のスプライスアクセプター部位が無傷のままで
あるように行った。加えて、E2Aコーディング配列の左側部位における元のE
2A−RNAおよびL3−RNAのポリアデニル化シグナルは無傷のままであっ
た。これは、アデノウイルスのライフサイクルの間におけるL3−遺伝子および
100K L4−蛋白質をコードする遺伝子の適切な発現を保証する。 次に、プラスミドpWE/Ad.AflII−rITRΔE2Aを生じさせた
。プラスミドpBr/Ad.Sal−rITRΔE2AをBamHIおよびSp
eIで消化した。E2Aコーディング領域がユニークなNsiI部位によって置
き換えられた3.9−kb断片を単離した。pWE/Ad.AflII−rIT
RをBamHIおよびSpeIで消化した。それからE2Aコーディング配列を
含有するBamHI/SpeI断片が除去された35 kb DNA断片を単離
した。断片を連結し、製造業者のプロトコル(Stratagene)に従って
λファージ−パッキング抽出物を用いてパッキングし、プラスミドpWE/Ad
.AflII−rITRΔE2Aを得た。このコスミドクローンを用いて、アデ
ノウイルスベクターを生じさせ、消化されたアダプタープラスミドと共にPac
I消化DNAを、機能的E2A遺伝子産物を発現するパッキング細胞に共トラン
スフェクションすることによってE2Aにつき欠失することができる。E2A補
充細胞系の例は後でおよび次に記載する:
【0144】 pBr/Ad.Bam−rITRspおよびpWE/Ad.AflII−rI TRspの創製 ベクターpWE/Ad.AflII−rITRにおける3’ITRは末端G−
ヌクレオチドを含まない。さらに、PacI部位は右側ITRからほとんど30
bpのところに位置する。これらの特徴は共に、3’ITRにおける複製の効果
的でない開始のためウイルス創製の効率を減少させ得る。ウイルスの創製の間に
、アダプタープラスミドにおける左側ITRは無傷であり、相同組換え後にウイ
ルスDNAの複製を可能とすることに注意されたし。 3’ITRにおける複製の開始の効率を改良するために、pWE/Ad.Af
lII−rITRを以下のごとく修飾した:構築体pBr/Ad.Bam−rI
TRpac#2をまずPacIでまず消化し、次いで、AvrIIで部分的に消
化し、断片を含有する17.8kbベクターを単離し、SAP酵素(Boehr
inger Mannheim)を用いて脱リン酸化した。この断片はヌクレオ
チド35464ないし該3’ITRからアデノウイルスを欠く。鋳型としてのp
WE/Ad.AflII−rITRおよびプライマーITR−EPH: 5’−CGG AAT TCT TAA TTA AGT TAA CAT C
AT CAA TAA TAT ACC−3’および Ad101: 5’−TGA TTC ACA TCG GTC AGT GC
−3’を用い、630bp PCR断片を3’Ad.5配列に対応させて生じさ
せた。この断片を引き続いてベクターpCR2.1(Invitrogen)に
クローン化し、PCR断片を含有するクローンを単離し、配列決定して該DNA
の正しい増幅をチェックした。次いで、PCRクローンをPacIおよびAvr
IIで消化し、0.5kbアデノインサートを、PacI/部分的AvrII消
化のpBr/Ad.Bam−rITRpac#2断片に連結し、pBr/Ad.
Bam−rITRspを生じさせた。次に、この構築体を用いて、アデノ配列3
534ないし35938に対応するインサートを有するコスミドクローンを生じ
させた。このクローンをpWE/AflII−rITRspと命名した。 pBr/Ad.Bam−rITRspΔXbaおよびpWE/Ad.AflI
I−rITRspΔXbaの創製 プラスミドpBr/Ad.Bam−rITRspをE. coli株DM1
(dam-, dcm-) (Life Technologies)において増
殖させた。プラスミドをXbaIで消化し、1.88−kb XbaI−Xba
I断片を除去し、再度連結した。得られたクローンpBr/Ad.Bam−rI
TRspΔXbaを用いて記載されているごとくにヘルパーコスミドpWE/A
d.AflII−rITRspΔXbaを構築した。略言すると、以下の断片を
アガロールゲル(QIAGEN)からの抽出によって単離し:pWE.pacを
PacIで消化し、pBr/AflII−BamをPacIおよびBamHIで
消化し、およびpBr/Ad.Bam−rITRΔXbaをBamHIおよびP
acIで消化した。これらの断片をいっしょに連結し、製造業者の指示 (St
ratagene)に従ってラムダファージパッキングを用いてパッキングした
。宿主細菌で組み立てたファージ感染後、得られたコロニーを無傷インサートの
存在につき分析した。pWE/Ad.AflII−rITRspΔXbaはpW
E/Ad.AflII−rITRspのそれと同一な配列を含有するが、Xba
I−XbaI断片は欠失している。
【0145】 pBr/Ad.Bam−rITRspΔE2AΔXbaおよびpWE/Ad. AflII−rITRspΔE2AΔXbaの創製 E2AおよびE3の二重欠失を持つE1−欠失組換え体アデノウイルスの創製
のために、プラスミドpBr/Ad.Bam−rITRspΔE2AΔXbaを
構築した。E2A欠失を含有するSpeI−BamHI断片をプラスミドpBr
/Ad.Sal−rITRΔE2Aから単離し、SpeI−BamHI−消化の
pBr/Ad.Bam−rITRspΔXbaに挿入し、プラスミドpBr/A
d.Bam−rITRspΔE2AΔXbaを得た。このプラスミドを用い、前
記したごとく3断片連結を用いてヘルパーpWE/Ad.AflII−rITR
spΔE2AΔXbaを構築した。pWE/Ad.AflII−rITRspΔ
E2AΔXbaはpWE/Ad.AflII−rITRspのそれと同一な配列
を含有するが、E2A領域およびXbaI−XbaI断片の二重欠失を有する。
【0146】 pBr/Ad.Bam−rITRspΔE3およびpWE/Ad.AflII −rITRspΔE3のおよびpBr/Ad.Bam−rITRspΔE2AΔ E3およびpWE/AflII−rITRspΔE2AΔE3の創製 なおより大きなDNA断片の挿入を行うために、完全なE3コーディング領域
が除去されたE3領域の拡大された欠失を構築した。プライマー1(5’−AA
A CCG AAT TCT CTT GGA ACA GGC GGC−3’
)(配列番号:1)および2(5’−GCT CTA GAC TTA ACT
ATC AGT CGT AGC CGT CCG CCG−3’)(配列番
号:2)を用いて、wtAd5ゲノムにおける配列27326ないし27857
に対応する、pBr/Ad.Bam−rITRspからの配列を増幅した。プラ
イマー3(5’−GCT CTA GAC CTC CTG TTC CTG
TCC ATC CGC−3’)(配列番号:3)および4(5’−TGA T
GT TGT TCT GGA GCG GGA GGG TGC−3’)(配
列番号:4)を用いて、wt/Ad5ゲノムにおける配列30994ないし35
502に対応する、同一DNA鋳型からの配列を増幅した。増幅産物を、各々、
EcoRI/XbaIおよびXbaI/AvrIIで消化し、一緒に連結した。
EcoRIおよびAvrIIで消化されたpBr/Ad.Bam−rITRsp
およびpBr/Ad.Bam−rITRspΔE2Aのベクターに得られたEc
oI−AvrII断片をクローン化し、各々、pBr/Ad.Bam−rITR
spΔE3およびpBr/Ad.Bam−rITRspΔE2AΔE3を得た。
これらの2つのプラスミドを用いて前記したごとくにコスミドヘルパー分子を構
築した。pWE/Ad.AflII−rITRspΔE3はpWE/Ad.Af
lII−rITRspのそれと同一の配列を含有するが、wt Ad5ゲノムに
おける配列27857−30994に対応するE3領域の欠失を用い、他方、p
WE/Ad.AflII−rITRspΔE2AΔdE3はpWE/Ad.Af
lII−rITRspΔE3と同一であるが、E2A領域のさらなる欠失を持つ
。 前記したコスミドは、アデノウイルス発現ライブラリ、特に、大きなインサー
トのコレクションを担うライブラリの生産で特に有用である。また、実施例19
および20参照。
【0147】 (実施例19) 治療およびマーカートランスジーンを担うE1、E2AおよびE3欠失組換え
体アデノウイルスベクターのミニチュア化されたマルチウェル生産 実施例10に記載したごとく、E1、E2AおよびE3の組合せ欠失は、サイ
ズがほぼ10.5kbまでの外来性DNA配列のクローニングを可能とする。こ
こに、本発明者らは、PER.C6/E2A細胞におけるcDNAならびにマー
カー遺伝子を担うE1、E2AおよびE3欠失ベクターの生産を示す。 細胞培養条件は実施例10に記載した。DNAトランスフェクションについて
は、実施例14に従ってアダプターおよびヘルパー分子を調製した。4つの異な
るPacI−線状化ヘルパーコスミド、すなわち、pWE/Ad.AflII−
rITRsp、pWE/Ad.AflII−rITRsp.dE2A、pWE/
Ad.AflII−rITRsp.dXba、およびpWE/Ad.AflII
−rITRでの組合せにおけるトランスフェクションのために、線状化アダプタ
ープラスミドpAD/CLIP−ceNOSおよびpAD/CLIP−lacZ
を用いた。DNAトランスフェクション手法は実施例10に記載したものと同一
であった。凍結−解凍溶解物の100μlのアリコットを用いて、第2の96−
ウェルプレートをPER.C6/E2A細胞で感染させ、CPE形成をモニター
した。図35は、凍結/解凍したトランスフェクト細胞の増殖後におけるPER
.C6/E2A細胞の96−ウェルプレートにおけるウイルス生産ウェル(CP
E陽性)のパーセントを示す。明らかに、PER.C6/E2A細胞において治
療およびマーカートランスジーンを担うE1およびE3欠失組換え体アデノウイ
ルスベクターを生産することが可能である。
【0148】 (実施例20) 表現型の選択のためのセンスまたはアンチセンスの整列されたアデノウイルス
発現ライブラリの構築 アデノウイルスベクター生産のミニチュア化はクローン化したまたはプールし
た遺伝子発現ライブラリの大規模、高スループット構築を可能とする。PER.
C6(および誘導体)に基づいてアデノウイルスベクター様式でクローン化し整
列させたcDNA発現ライブラリを構築するために、オリゴ(dT)セルロース
を用い、ヒト胎盤のポリ(A+)mRNAを単離し、Life Technol
ogies Inc.(LTI;Breda, オランダ国)ごとき販売業者に
よって供給された材料および試薬を用いてcDNAに変換した。得られた二本鎖
cDNA分子は5’末端にSalI−適合突出および3’末端にNotI−適合
突出を含有する。全cDNAを(cDNAインサートのセンス向きのための、p
IPspAdapt6または(cDNAインサートのアンチセンス向きのための
)pIPspAdapt7に連結した(アダプター立体配置については実施例1
7参照)。このために、pIPspAdapt6およびpIPspAdapt7
を制限エンドヌクレアーゼMluIで消化し、続いて熱感受性アルカリ性ホスフ
ァターゼ(LTI)を用いて5’突出を脱リン酸化した。SalIおよびNot
Iでの消化後、0.8%アガロースゲルで線状化プラスミドを単離し、アニオン
交換クロマトグラフィーによって精製した。プラスミドへのcDNA分子の連結
に続き、BTX600電気細胞操作機または同等物でのエレクトロポレーション
によってE. coli DH5aエレクトロコンピテント細菌に得られたライ
ブラリを導入した。非増幅ライブラリを分割し、グリセロールストックとして凍
結した。 平板培養の日に、バイアルを解凍し、1.5%寒天および1ml当たり50マ
イクログラムのアンピシリンを含むLB培地を含有する大きなペトリ皿に平板培
養した。平板培養したコロニーの均一な分布を得るために、平板培養しつつガラ
スビーズを用いた。37℃での一晩の増殖後、寒天−プレートを自動コロニーピ
ッキングロボットに移した(Flexys; Genome Solution
)。個々のコロニーを拾い、ロボットによって300μlのTerrific
Broth培地および1ml当たり50マイクログラムのアンピシリンを含むマ
イクロタイタープレートに移した。このようにして接種したプレートを、次いで
、酸素を通気するHiGroインキュベーター(Genemachines)に
移し、製造業者のマニュアルに従って12−16時間増殖させた。しかる後、個
々のプラスミドをSambrookら(Sambrook, J.ら編(198
9)Molecular Cloning:A Laboratory Man
ual, 第2版, Cold Spring Harbor Laborat
ory Press)に記載されたごとく通常のアルカリ性溶解プラスミドDN
A単離方法によって個々のプラスミドを単離した。このために、プレートをまず
遠心機(例えば、Eppendorf 5810RまたはHeraeus Me
gafuge 2.0)に移し、細菌を1500×gで20分間ペレット化した
。液体ロボットハンドラーを用い、個々のプレートの個々のウェル中の上清を取
り出し、捨てた。細菌ペレットを、50mMグルコースおよび10mM EDT
Aを含有する100μlの25mMトリス、pH8.0に懸濁させ、100μl
の0.2N NaOH/1%SDSを添加することによって細菌を溶解させる。
100μlの5M酢酸カリウムを添加することによる中和に続き、真空マニフォ
ールドを用い、MultiScreen−NA溶解物清浄プレート(Milli
pore B.V., Etten−Leur)またはその同等物での濾過によ
って清浄溶解物を得る。引き続いて、200μlの2−イソプロパノールを添加
し、4℃にて30分間1500×gで遠心することによって、清浄溶解物中のプ
ラスミドDNAを沈殿させる。70%エタノールで沈殿を一回洗浄し、風乾後、
20μlのTEに取る。 各ウェルからのプラスミドDNAのアリコットを適当な希釈の新鮮なプレート
に移すことによって、Molecular Probes (Eugene,
オレゴン州、米国)によって記載されているごとくPicogreen DNA
定量キットを用いて、各個々のウェル中の単離されたプラスミドDNAを定量す
る。一方、PER.C6細胞、またはPER.C6/E2Aのごとき誘導体を、
ミニチュア化アデノウイルス創製のための他の例下で記載されたごとく接種する
。各ウェルでは、55ナノグラムの精製されたプラスミドDNAを新しいプレー
トに移し、65℃で60分間PiPspIで線状化した。次いで、このプラスミ
ドを適当なヘルパーDNA分子(例えば、(pWE/Ad.AflII−rIT
R.デルタE2Aのごとき)E2A欠失またはE2A/E3欠失またはE2A/
E3/E4欠失、例えば、実施例18参照)でPER.C6またはPER.C6
/E2Aパッキング細胞に共トランスフェクトする。トランスフェクションは、
マイクロタイタープレートにおけるアデノウイルス創製のための実施例9、10
または25に記載された実験および方法と同様である。個々のウェルにおけるウ
イルス形成は、CPE形成、ブロットベースのウイルスアッセイまたはレポータ
ーシステムを用いて定量する。次いで、整列されたアデノウイルスライブラリー
は細胞ベースのスクリーニングで用いる準備ができており、ここに、特定の表現
型につき選択することができる。 図36において、前記したごとくに構築し整列されたアデノウイルスcDNA
発現ライブラリーのスキームにつき概観を与える。このスキームは、高スループ
ット様式での個々にクローン化されたアデノウイルスベクターライブラリーのラ
イブラリーの構築を記載する。プールされたライブラリーに対するこの戦略の改
良は、増殖利点を持つウイルスについての偏りが起こり得ないことである。これ
は、ライブラリーの個々のメンバーがライブラリーの平板培養後の個々のコロニ
ー戦略の様式であり、全てのさらなる手法の間に個々に維持されるからである。 アデノウイルス発現ライブラリーは、この目的で設計した適当な未修飾細胞タ
イプまたはレポーター細胞系いずれにおけるキャピラリー形成、細胞増殖、細胞
移動またはマーカー遺伝子発現のごとき特定の表現型の選択に適当な異なる細胞
の感染である。これらの表現型の検出は、例えば、形態変化またはレポーター蛋
白質の細胞内局所化の変化の自動イメージ分析を用いてなすことができる。一旦
これが選択されると、クローン化細菌DNAバージョンは、E. coliで生
産されたpIPspAdapt6またはpIPspAdapt7アダプタープラ
スミドの形態で配列分析に直ちに利用できる。これは、プールされたレトロウイ
ルスまたはプラスミド−ベースの発現ライブラリーの場合のように救済が必要で
はないことを意味する。 所望であれば、(例えば、液体ハンドラーロボットを用いまたは手動により)
、一列または一行あるいは1つのプレートまたは複数プレートに個々のアデノウ
イルスベクターを含有する個々のウェルをアッセイを行う前にプールすることが
できる。これは、もし所望のアッセイが高スループット分析に使用できず、合計
数のウェルが初代スクリーニングで減少させる必要がある場合に当てはまる。プ
ールされたが外来クローン化されたアデノウイルスベクターのさらなる改良また
は利点は、マルチ遺伝子依存性表現型が選択できることである。
【0149】 (実施例21) 384ウェル組織−培養プレートのウェルにおけるウイルス生産 特に、この実験は、以下の些細な変化を除き、実施例10に記載されたごとく
に行われた。トランスフェクションの前の日に、PER.C6/E2A細胞を培
養培地(10%胎児ウシ血清および10 mM MgCl2を含むDMEM)で
25μl当たり11.250細胞の懸濁液に希釈し、続いて、16チャンネルマ
ルチチャンネルピペット(Finn)を用い384−ウェル−組織−培養プレー
トのウェル当たり25μl接種した。1.3mlの無血清DMEMをDNA/リ
ポフェクチミン混合物に添加した後、ウェル当たり15μlのこの混合物を、次
いで、トランスフェクションに先だって25μlのDMEMで洗浄したPER.
C6/E2A接種ウェルに添加した。湿潤インキュベーター(39℃、10%C
O2)における3時間後、50μl培養培地を各ウェルに添加し、プレートを湿
潤インキュベーター(39℃、10%CO2)に移した。翌日、各ウェルの培地
を50μlの培養培地で置き換えた。次いで、プレートを湿潤インキュベーター
(32℃、10%CO2)にさらに4日間戻し、しかる後、ウェルを−20℃の
一晩の凍結に付し、続いて、解凍し、反復ピペッティングによって再懸濁した。
凍結/解凍トランスフェクト細胞の25μlのアリコットを、384−ウェル−
組織プレート(プレート2)上に前記したごとくに接種した新鮮PER.C6/
E2A細胞を含むプレートの各ウェルに移した。第1のトランスフェクトしたプ
レート凍結/解凍細胞溶解物と共にインキュベートし、かくしてそれで感染させ
たPER.C6/E2A細胞を含む第2の384−ウェルプレートをCPE形成
につきチェックし、−20℃で貯蔵した。前記実験は2回行った。図37におい
て、新しいPER.C6/E2A細胞に対する凍結/解凍トランスフェクト細胞
の増殖後にスコア取りしたパーセントCPE陽性ウェルを示す。
【0150】 (実施例22) ウイルス形成のスピードおよび生産効率に対する、増殖の省略または増殖の代
わりの培養培地の更新の効果 全手法の単純化のための自動コールにより適用できるミニチュア化アデノウイ
ルスベクター生産のプロセスを作成する。1つの労力がかかり時間を浪費する工
程は、新鮮な細胞でのトランスフェクトPER.C6/E2A細胞からの細胞溶
解物の増殖であり、従って、この工程の省略が望ましい。以下の実験がこの目標
に到達する。凍結/解凍トランスフェクトPER.C6/E2A細胞(例えば、
実施例10その他参照)を用いて新しいPER.C6/E2A細胞(増殖)感染
させるかまたは全く増殖を省略する代わりのトランスフェクト細胞の培地の変更
の効果を測定するために、以下の実験を行った。トランスフェクションの前日に
、PER.C6/E2A細胞を、トリプシン−EDTAを用いて収穫し、計数し
た。次いで、細胞を培養培地(10%胎児ウシ血清および10mM MgCl2
を含むDMEM)で100μl当たり22.500細胞の懸濁液に希釈し、続い
て、96−ウェル−組織培養プレートのウェル当たり100μl接種した。翌日
、100μlの無血清ダルベッコウの修飾イーグル培地(DMEM)の容量中の
2.6μgの線状化アダプター分子および2.6μgのPacI線状化pWE−
Ad.AflII−rITRdE2AプラスミドDNAを、リポフェクタミンミ
ックスをDNAミックスに添加することによって、74.4μl無血清DMEM
中に希釈した26.5μlリポフェクタミンを混合した。DNA/リポフェクタ
ミン混合物を室温で30分間放置し、しかる後1.3mlの無血清DMEMを添
加した。次いで、トランスフェクションに先だって200μlのDMEMで洗浄
したPER.C6/E2A接種ウェルに後者の混合物を添加された(ウェル当た
り30μl)。トランスフェクションの全ては二連で行った。湿潤CO2インキ
ュベーター(39℃、10%CO2)中の3時間後、200μl培養培地を各ウ
ェルに添加し、プレートを湿潤CO2インキュベーター(39℃、10%CO2
)に戻した。翌日、各ウェルの培地を200μl培養培地で置き換えた。次いで
、プレートを湿潤CO2インキュベーター(32℃,、10%CO2)に戻した
。数日後、トランスフェクトした2つのプレートのうち1つの培地を200μl
培養培地で置き換え、湿潤CO2インキュベーター(32℃、10%CO2)に
戻し、しかる後CPEの形成を追跡した。図38Aにおいて、増殖および増幅新
鮮PER.C6/E2A細胞の代わりにトランスフェクト細胞の培地を変更した
後にスコア取りしたウイルス生産細胞(CPE陽性ウェル)のパーセンテージを
示す。 第2のプレートのウェルを−20℃で一晩の凍結に付し、続いて解凍し、およ
び反復ピペッティングにより再懸濁した。100μlの凍結/解凍トランスフェ
クト細胞のアリコットを、感染の1日前に96−ウェル−組織−培養−プレート
中に接種した、新しいPER.C6/E2A細胞(100μl中のウェル当たり
2.25×104細胞)を含むプレートの各ウェルに移した。これを、十分なC
PEの存在が観察されるまで湿潤CO2インキュベーター(32℃、10%CO
2)中でインキュベートした。図38Bにおいて、新鮮なPER.C6/E2A
細胞での増殖後にスコア取りしたウイルス生産細胞(CPE陽性ウェル)のパー
センテージを示す。全ての実験において、非トランスフェクトウェルを交差汚染
の対照のために含めた。全ての3つのウェルはCPE形成につき陰性のままであ
った。図38Cにおいて、実施例10に記載したごとき平行正常手法の結果を与
える。これらの結果は、培地の置き換えまたはトランスフェクション後のいずれ
かの操作の完全な省略が、初代トランスフェクタントプレートからの溶解物での
新鮮なPER.C6/E2A細胞の再感染を置き換えることができることを示す
【0151】 (実施例23) ウイルス形成のスピードおよび生産効率に対するPER.C6/E2A細胞の
細胞増殖の影響の測定 アデノウイルス遺伝子発現ライブラリーの構築のため、アデノウイルスベクタ
ーのミニチュア化生産の条件は最適である必要がある。この目的で、ウイルス創
製に影響し得る多数のパラメーターを変化させ、アデノウイルスベクター生産に
おけるその効果を測定した。いかにしてマイクロタイタープレートにおける接種
に先だっての補充細胞系PER.C6/E2Aの細胞密集がウイルス生産のスピ
ードおよび効率に影響するかを測定するために、以下の実験を行った。第1日に
トリプシン−EDTAを用いてPER.C6/E2A細胞を収穫し、計数し、続
いて3つの異なる175cm2−組織−培養フラスコにおいて収穫された細胞の
1/10、1/5および1/2.5を接種した。表9において、3つの異なる実
験で各175−組織−培養フラスコに接種した細胞の数を示す。4日後、各フラ
スコからのPER.C6/E2A細胞を収穫し、計数し、次いで、培養培地(1
0%胎児ウシ血清および10 mM MgCl2を含むDMEM)で100μl
当たり22.500細胞の懸濁液に希釈した。各細胞懸濁液から、2つの96−
ウェル−組織−培養プレートをウェル当たり100μlの細胞懸濁液で接種した
。翌日、600μl無血清ダルベッコウ修飾イーグル培地(DMEM)の容量中
の10.6μgのSalI線状化pAd/Clip−lacZおよび10.6μ
gのPacI線状化pWE−Ad.AflII−rITRdE2AプラスミドD
NAを、リポフェクタミンミックスをDNAミックスに添加することによって、
446.4μl無血清DMEM中に希釈した153.6μlリポフェクタミンと
混合した。DNA/リポフェクタミン混合物を室温で30分間放置し、しかる後
、7.8ml無血清DMEMを添加した。次いで、トランスフェクションに先だ
って200μl DMEMで洗浄したPER.C6/E2A接種ウェルに後者の
混合物を添加した(ウェル当たり30μl)。湿潤CO2インキュベーター(3
9℃、10%CO2における3時間後、10%胎児ウシ血清および10/mM
MgCl2を含む200μl DMEMを各ウェルに添加し、プレートを湿潤C
O2インキュベーター(39℃、10% CO2)に戻した。翌日、各ウェルの
培地を、10%胎児ウシ血清および10 mM MgCl2を含む200μl
DMEMで置き換えた。次いで、プレートを湿潤CO2インキュベーター(32
℃、10%CO2)に戻した。2日後、トランスフェクトした2つのプレートの
うち1つを用いて、lacZ染色を用い、トランスフェクション効率を測定した
。表9において、3つの異なる実験におけるlacZ染色後にスコア取りした各
96−ウェル−組織−培養プレートのトランスフェクション効率を示す。2つの
トランスフェクトプレートの第2のプレートをウイルス生産で用いた。トランス
フェクションから7日後、第2のプレートのウェルを−20℃での一晩の凍結に
付し、続いて解凍し、反復したピペッティングにより再懸濁した。100μlの
凍結/解凍トランスフェクト細胞のアリコットを、感染の1日前に96−ウェル
−組織−培養−プレートに接種した、新しいPER.C6/E2A細胞(100
μl中のウェル当たり2.25×104細胞)を含むプレートの各ウェルに移し
た。十分なCPEが観察されるまで、これを湿潤CO2インキュベーター(32
℃、10%CO2)中でインキュベートした。図39において、新しいPER.
C6/E2A細胞への凍結/解凍トランスフェクト細胞の増殖後にスコア取りし
たウイルス生産細胞(CPE陽性)ウェルのパーセンテージを示す。データーは
、アデノウイルスアダプターおよびヘルパーDNA分子でのトランスフェクショ
ンに先だってのPER.C6/E2A細胞の密集のレベルがウイルス生産ウェル
の最終パーセンテージに影響を与えることを示し、より高い密集はウイルスを生
産するウェルの絶対的最終数およびウイルス創製がおこるスピードで最も最適で
ある。
【0152】 (実施例24) アデノウイルス上清での長期インキュベーションは遅い表現型の検出を可能と
する。 機能的ゲノム中のアデノウイルスベクターライブラリーの使用は、検出可能で
あって、実施例12で用いたもののごときものを探す遺伝子に重要な表現型に加
え、HTSに適用可能である適当な細胞ベースのアッセイおよびミニチュア化の
使用を必要とする。例えば、実施例20に記載された設定における、アデノウイ
ルス発現ライブラリーでの感染後にアッセイする時間は可変的であって、アッセ
イされるべき表現型を決定するパラメーターに依存する。例えば、自動イメージ
分析を用い、各ウェルにおける毛細血管の形成は、単に、毛細血管の形成を検出
することによってアッセイすることができる。脈管形成または血管形成の指標で
あるこれらの構造の形成は、関連前駆体細胞の感染によって誘導することができ
る。かかる細胞は、関連トランスジーンを担うアデノウイルスベクター、例えば
、血管内皮細胞様成長ベクター(VEGF)と共に、心臓または腫瘍起源からの
内皮細胞であり得る。しかしながら、毛細血管形成のごとき複雑な表現型のみが
数日ないし数週間後に出現する。従って、ある場合におけるアデノウイルス発現
カセットによって媒介される遺伝子のライブラリーの発現は、表現型が現れるの
を可能とするのに十分長い必要がある。図40において、96ウェルプレートで
A549細胞を感染させるのに用いられたEGFP−アデノウイルスベクターで
の実験結果を示す。実施例15に記載された安定性特徴に基づき、(DMEMに
おける)アデノウイルス希釈は除去されなかったが、2週間まで残り、正規の間
隔でEGFP発現を測定した。明らかに、これらの実験は、アデノウイルス形質
導入が半安定と見なすことができ、経時的に増加さえすることを示し、これは、
再感染および/または新しく分裂した細胞の感染が起こることを示唆する。これ
は、一過性アデノウイルスベクター系を用いて表現型につきスクリーンをするこ
とができ、マルチウェルプレート(96,384ウェルまたはそれより少)中の
細胞にアデノウイルス上清を残すことによって現れるのに2週間以上かかること
を意味する。
【0153】 (実施例25) DNAトランスフェクション剤としてのコスト的に有利なポリエチレンイミン
(PEI)を用いる組換えアデノウイルスベクターのミニチュア化されたマルチ
ウェル生産 コスト低下および可変的毒性低下の目的では、リポソームトランスフェクショ
ン試薬のリポフェクタミンを置き換えるのが望ましい。カチオン性ポリマーポリ
エチレンイミン(PEI)をこの目的で、ミニチュア化されたマルチウェル(9
6−ウェル)アデノウイルスベクター生産システムにおいてテストした。また、
実施例9および10参照。アデノウイルスヘルパープラスミド:LacZおよび
EGFPにおける異なるトランスジーンインサートにて、PER.C6ならびに
PER.C6/E2AのトランスフェクションにつきPEIをテストした。異な
るパラメーターをテストした:PEI/DNA比率、単一ウェル当たりのPEI
/DNA複合体のインキュベーション時間量。
【0154】 異なるPEI/DNA比率でのPEIのテスト 実施例10に記載したごとく、PER.C6またはPER.C6/E2A細胞
でのトランスフェクションの前日に96ウェルマイクロタイタープレートを接種
した。翌日、16ウェルにつき(異なるプレートに対し二連の8ウェル)、PE
R.C6についての3マイクログラムのSalI線状化pCLIP−LacZお
よび3マイクログラムのPacI線状化pWEAflIIrITRおよびPER
.C6/E2AについてのpWEAflIIrITRdE2Aを150μlの1
50mM NaCl中に希釈し、室温で10分間インキュベートした。また、2
0mM 25kDa PEI溶液を異なる量にて150μlの150ml Na
Clに希釈して異なるPEI/DNA比率を得、室温で10分間インキュベート
した。表4参照。 DNAへの滴下によりPEIを添加することによってDNAおよびPEI溶液
を混合し、室温で10分間インキュベートした。細胞を100μlの無血清ダル
ベッコウ修飾イーグル培地(DMEM)/ウェルで洗浄した。次いで、1.3m
lのDMEMをミックスに添加し、ウェル当たり80μlの各ウェル中の細胞に
添加した。陽性対照として、(実施例9に従って調製した)DNA/リポフェク
タミン複合体をトランスフェクトした。さらなる対照インキュベーションはDM
EMのみ、DNAなしのPEIのみ(比率13)であって、2倍量のPEI/D
NA比率13を含めた。PEIトランスフェクションでは、湿潤CO2インキュ
ベーターにおけるPER.C6についての37℃でのおよびPER.C6/E2
Aにおける39℃でのインキュベーションの4時間後に、80μlのPEIPE
R.C6培地(20%v/v胎児ウシ血清(FCS)および10mM MgCl
2)/ウェルを細胞に添加した。リポフェクタミントランスフェクションでは、
180μlのDMEM 10%v/v FCS 10 mM MgCl2/ウェ
ルを細胞に添加し、プレートを湿潤CO2インキュベーターに戻した。翌日、各
ウェルの培地を200μlのDMEM 10%/v/v FCS 10 mM
MgCl2で置き換えた。次いで、プレートを、湿潤CO2インキュベーター中
PER.C6プレートでは37℃で、PER.C6/E2Aプレートでは32℃
で放置した。3日後、二連プレートのうちの1つをX−galで染色してトラン
スフェクション効率を測定した。トランスフェクション効率結果を表5に示す。
トランスフェクションの4日後に、プレートを20℃での4時間の凍結に付し、
続いて解凍し、反復ピペッティングにより再懸濁した。前日、前記したごとく接
種したPER.C6またはPER.C6/E2A細胞の新しいプレートに100
マイクロリットルのアリコットを移した。次いで、プレートをCO2インキュベ
ーターに戻した。増殖後14日に、ウイルス形成用のインジケーターとしてのC
PEをスコア取りし、プレートを20℃での4時間の凍結に付し、続いて、解凍
し、反復ピペッティングによって再懸濁した。100μlの容量中の96ウェル
プレートのウェル当たり1.104 A549細胞で接種したプレートのウェル
に20μlのアリコットを移した。感染の2日後、実施例9に記載したごとくL
acZ活性につき、ウェルをX−Xalで染色した。結果を表6にまとめる。
【0155】 ウェル当たりの異なる量の複合体での組合せにおける異なるPEI/DNA比 率でのPEIのテスト 最適をテストするために、毒性であることなく細胞に適用することができる2
つの比率でのPEI/DNA複合体の最適な絶対量をテストするために、PEI
/DNA比率の5および11.7をテストした。これをPER.C6/E2Aで
テストした。標準濃度(1X)は前記したトランスフェクション実験に記載した
濃度である(表4参照)。 0.9および42μlの間のPEIの量でPEI溶液を作成するために、種々
の量の150 mM NaCl溶液を20 mM 25kDa PEI (Fl
uka cat.nr.03880)に300μlの最終容量まで添加した。こ
の溶液から、150マイクロリットルをDNAミックスに添加した(表7参照)
。 150 mM NaClでの150マイクロリットルへのDNA(50% p
CLIP−LacZおよび50% pWEAflIIrITRdE2A) トランスフェクションを前記したごとくに行った。リポフェクタミンを陽性対
照ならびにいずれの添加剤もなくしてのDNAまたはPEIまたはDMEMとし
て用いた。3日後、二連プレートをlacZ発現につき染色し、結果を表8に与
える。まず、細胞を毒性につきチェックした。2つの比率の間で差異が観察でき
た。比率11.7では2倍濃度(2X)はより毒性であるが、トランスフェクシ
ョン効率はXほど高い。両比率での濃度0.1Xでは染色後に青色細胞は観察さ
れず、これは細胞がトランスフェクトされなかったことを示す。 プロセッシング、CPEモニタリング、A549形質導入およびlacZ染色
を以下のごとく行った。定量的に毒性をテストするために、後者のトランスフェ
クションを反復し、培地置換の2日後、細胞増殖アッセイ(Promega)を
用いて、生細胞の数およびPEI/DNA複合体の毒性を測定した。全ての操作
は製造業者のプロトコルに従った。37℃でのインキュベーションの4時間後、
マイクロプレートマネージャー(Bio−Rad)を用いてプレートを読んだ。
PEI比率5および11.7についてのこの実験の結果は図41にまとめる。明
らかに、毒性は、比率5において(標準量の1.5倍)および標準状態の比率1
1.7において(標準量の0.5および1.5倍の間)最低であって、ウイルス
創製に最適である。
【0156】 異なるPEI/DNA比率での、異なる遺伝子および温−対−冷PEIでのD NAキャリアーとしてのPEIのテスト PEIの温度が複合体形成に影響するかをテストするために、前記プロトコル
を4℃および室温にてPEIでテストした。加えて、もう1つのトランスジーン
インサートをテストした;EGFP。また、2つの比率の最良濃度をこのトラン
スフェクション実験で用いた(450 mg DNA/ウェル PEI/DNA
比率5および300 ng DNA/ウェル PEI/DNA比率11.7)。
プロセッシング、CPEモニタリング、A549形質導入およびlacZ染色は
記載したごとくに行い、図42に観察することができる。温および冷PEI間で
観察された有意な差異はなかった。EGFPおよびPEIでのウイルス形成は非
常に良く働いた(PEI比率5温および陽性対照リポフェクタミン 共100%
CPE)。
【0157】 ウェル当たりの異なるPEI/DNA複合体容量でのDNAキャリアーとして のPEIのテスト DNA/PEI複合体の容量が前記したプロトコルでウイルス創製の効率に影
響するかのテストをするために、異なる容量のPEI/DNA複合体(ウェル当
たり比率5 450 ng DNA、PEI 20 mM 25kDa Flu
ka)を細胞に添加した。この場合、ウェル当たり30、80および120マイ
クロリットルを添加した。プロセッシング、CPEモニタリング、A549形質
導入およびlacZ染色は前記したごとくに成した。図43でわかるごとく、3
0μl、80μl、および120μlを適用する間でトランスフェクション効率
に有意な差異がある。30μlを用いると、ウェル内の細胞の1%のみが青色に
染色され、他方、80μlでは細胞の60%が青色に染色された。複合体の量を
120μlに増加させた結果、80μlを適用するのと同一の結果が得られた。
ウイルス形成では、同一の傾向が観察された;30μlではCPEは見いだされ
ず、他方、80および120μlは同様のパーセンテージを与えた(示さず)。
結論として、PEIを用いてミニチュア化設定でアデノウイルスベクターを生産
することができる。
【0158】 (実施例26) トランスフェクションに先だって細胞洗浄工程がない組換えアデノウイルスベ
クターのミニチュア化マルチウェル生産 組換えアデノウイルスベクターのミニチュア化マルチウェル生産の自動化にお
ける工程の減少およびコストの低下の目的で、トランスフェクションに先だって
のPER.C6またはPER.C6/E2A細胞または誘導体の無血清培地(S
FM)洗浄工程を標準プロトコルから取り除いた。トランスフェクションは実施
例10に記載したごとくに行った。ヒトceNOSをトランスジーンインサート
として用いてトランスフェクションを行い、細胞洗浄工程の除去をテストし、洗
浄を含む標準手法と比較した。プロセッシングおよびCPEモニタリングは前記
したごとくに成し、図44でわかるごとく、細胞がトランスフェクションに先だ
って洗浄されない場合、ウイルス生産で観察された有意な減少はない。 結論として、標準トランスフェクションプロトコルの一部としての血清蛋白質
のバルクを除去する細胞洗浄工程の取り除きはCPE効率に影響することなく可
能である。組換えアデノウイルスベクターのミニチュア化およびマルチウェル生
産を自動化する場合に望ましい全プロセスの複雑性を減少させる場合に後者は非
常に有用である。
【0159】 (実施例27) ゼブラフィッシュにおいて遺伝子発現を変調するためのアデノウイルス構築体
の使用 全動物におけるアデノウイルス構築体による遺伝子発現の変調は遺伝子の機能
について重要な情報を与えることができる。例えば、全長蛋白質をコードするセ
ンスcDNA構築体を発現するアデノウイルス構築体は動物モデル系においてそ
の蛋白質の過剰発現で用いることができ、他方、アンチセンスcDNAを発現す
るアデノウイルス構築体は内因性蛋白質の発現レベルを減少させるのに用いるこ
とができる。加えて、アデノウイルス−コード化蛋白質の過剰発現は突然変異体
表現型を救済し得る。動物モデルにおける遺伝子発現のアデノウイルス−媒介変
調は遺伝子の機能についての重要な情報を与えることができる。 本実施例では、ゼブラフィッシュ、Danio rerioはアプローチの可
能性を示すために動物モデル系として議論されるであろう。この目的で、本出願
に記載した方法によって同定され単離されたcDNAでゼブラフィッシュcDN
Aライブラリーがスクリーニングされるであろう。全長蛋白質をコードするかく
得られた相同ゼブラフィッシュcDNAは単離され、pIPSPAdaptシリ
ーズのアダプタープラスミドにおいて、両方の向き、センスおよびアンチセンス
にクローン化されるであろう(実施例17参照)。引き続いて、これらを用いて
組換えアデノウイルスが創製され、これを用いて野生型または突然変異体(例え
ば、Development 1996 Volume123, 12月参照)
ゼブラフィッシュ胚いずれかを感染させるであろう。ゼブラフィッシュを育種す
る方法は同業者によく知られている。 野生型または突然変異体胚または成体魚において、遺伝子発現の上昇−または
下降−変調の効果を実験することができる。胚は以下のごとくに収集されるであ
ろう:ゼブラフィッシュはその育種において光周期的であり、日の出後まもなく
の毎朝胚を生じる。比較的少数の胚(1日につきタンク当たり30−50)の連
続的生産には、等しい数の雄および雌を用いる。昼−夜のサイクルは自動タイマ
ー(14時間照射/10時間暗所)で制御する。タンクの底を単一層の大理石で
覆って、魚が新しく産んだ卵を食べないようにする。タンクの底からサイフォン
処理することによって新たに生産された胚を各朝収集し、組換えアデノウイルス
で感染させる。これは後記するごとくいくつかの方法で達成することができる。
選択された方法は遺伝子の発現パターンに依存する。 組換えウイルスは卵膜液に直接注入することができ、しかる後胚を洗浄し、系
の水中でさらに培養する。同様に、組換えアデノウイルスは、例えば、血流への
注入によって、あるいは経口もしくは直腸投与によって胚または成体魚中の特定
の部位に沈積させることができる。注入は、胚を1.5%アガロースにてプラス
チックモールドで作成した楔形形状の箱中に胚を保持することによって行うこと
ができ、ここに、その卵膜を除去する必要はない。各箱は(卵膜と共に)ほぼ3
5の胚を保持することができる。胚はそれをピンセットで軽く叩いて落とすこと
によって整列させることができる。もしピペット先端が事故により表面に接触し
てもそれは一般に壊れないので、アガロースは有用である。ピペットが卵膜に侵
入するにつれ、胚は箱の後方垂直壁に対して押し付けられる。胚内のピペット先
端の正確な位置決めは、ミクロマニプュレーターでのピペットのわずかな動きに
よって、あるいはステージの動きによって達成される。別法として、胚は脱卵膜
することができ(後記参照)、組換えアデノウイルスを含有する培地中でインキ
ュベートすることができる。 注入後、25−30の卵が250mlのビーカーに沈積されるであろう。孵化
の後、稚魚を新しいビーカーに移し、その卵膜から完全に分離する。稚魚は当業
者によく知られた標準条件下で育てる。 ゼブラフィッシュのアデノウイルス感染後のモニタリング変化は、胚段階ほど
早期に成すことができる。ゼブラフィッシュ発生のいくつかの観察は卵膜を直接
介して成すことができる。しかしながら、ほとんどの手法では、卵膜を除去する
のが良好である。卵膜は鋭いピンセットで容易に除去することができる。28.
5℃で育てると、ゼブラフィッシュはその卵膜の外部で正常に発育する。その卵
膜から取り出した胚は、火煙研磨したパスツールピペットでそれらを温和にピペ
ッティングすることによるか、温和な注入によって1つの容器からもう1つの容
器に移すことができる。小さなペトリ皿(35mm直径)が、発生の最初の数日
の間に25までの胚を保持するのに適切である。培地を円状運動で温和に撹拌す
ることによって観察するために胚を皿の中央まで運ぶことができる。稚魚および
成体魚をさらに処理することなくモニターすることができる。より精巧な分析方
法は、古典的な組織学的方法による、あるいは分子レベルでの差異を見るための
アンチセンスハイブリダイゼーションまたは抗体とのインキュベーションのごと
き特別の方法を用いることによるセクションの染色を含む。 組換えアデノウイルスでのゼブラフィッシュの感染後に観察された表現型変化
は、イン・ビボでコード化遺伝子の機能について重要な情報を与えることができ
る。また、前記した方法は他の動物モデルに適用することもできる。
【0160】
【表4】
【0161】
【表5】
【0162】
【表6】
【0163】
【表7】
【表8】
【表9】
【0164】 本明細書中で言及した全ての刊行物および特許出願は、本
発明が関する当業者のレベルを示す。各個々の刊行物または特許出願は引用によ
り具体的かつ個々に本明細書の一部と見なすごとく、引用によりここに同一程度
一体化させる。 さて、本発明を十分に記載してきたが、添付の請求の範囲の精神または範囲
から逸脱することなく多くの変形および修飾を成すことができるのは当業者に明
らかであろう。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 pBS.PGK.PCRI.の構築。pBS.PGK.PCRI
.は、アデノウイルス5(Ad5)E1ヌクレオチド459〜916に作用可能
にリンクされているヒトホスホグリセリン酸キナーゼプロモーター(PGK)を
コードする。このプラスミドを構築するために、アデノウイルス5(Ad5)E
1ヌクレオチド459〜916を、プライマーEa−1(配列識別番号:27)
およびEa−2(配列識別番号:28)によりPCR法によって増幅し、Cla
Iにより分解し、また、pBluescript(Stratagene)のCla I-EcoRV部位
にクローン化して、pBS.PCRI.を得た。PGKプロモーターを、Sca
Iによる完全な分解及びEcoRIによる部分的な分解によってpTNから切り
出し、またpBS.PCRIの対応する部位にクローン化することで、pBS.
PGK.PCRIを得た。
【図2】 pIG.E1A.E1B.X.の構築。pIG.E1A.E1B
.X.は、ヒトPGKプロモーターに作用的にリンクされているAd5ヌクレオ
チド459−5788(E1AとE1B領域)をコードする。pIG.E1A.
E1B.X.はまた、Ad5 pIXタンパク質をコードする。pIG.E1A
.E1B.X.は、pAT−X/SのScaI−BspE1断片を、pBS.PG
K.PCRIの対応する断片に置換することによって構築された。
【図3A】 pAT−PCR2−NEOの構築。このプラスミドを構築する
ために、E1BプロモーターおよびE1B 21kDaタンパク質の開始コドン
(ATG)を、プライマーEa−3(配列識別番号:29)およびEp−2(配
列識別番号:30)によりPCR法で増幅した。なお、E−2は21kDaタン
パク質開始コドンにNcoI部位(5’−CCATGG)を導入する。PCR産
物(PCRII)はHpaIおよびNcoIにより分解され、また、pAT−X
/Sの対応する部位に結合され、pAT−X/S−PCR2を産生した。Neo R を含むpTNのNcoI−StuI断片とHBVポリ(A)部位の一部分がp
AT−X/S−PCR2のNcoI−NruI部位に結合されて、pAT−PC
R2−NEOを産生した。
【図3B】 pIG.E1A.NEOの構築。pIG.E1A.NEOは、
ヒトPGKプロモーターに作用的にリンクされているAd5ヌクレオチド459
〜1713をコードする。また、ネオマイシン耐性遺伝子( NeoR)とB型肝
炎ウイルス(HBV)ポリ(A)シグナルに機能的にリンクされるE1Bプロモ
ーターもコードされる。この構築では、E1B 21kDaタンパク質のAUG
コドンがNeoRの開始コドンとして機能する。pAT−PCR2−NEOのH
BVポリ(A)シグナル(図3Aを参照)は、pAT−PCR2−NEOのSc
aI−Sa1I断片を、pTNの対応する断片に置換することで完成し、pAT
.PCR2−NEO.p(A)が産生され、またpAT.PCR2−NEO.p(A)
のScaI−XbaI断片をpIG.E1A.E1B.Xの対応する断片に置換し
て、pIG.E1A.NEOを産生した。
【図4】 pIG.E1A.E1Bの構築。pIG.E1A.E1Bは、PGK
プロモーターおよびHBVポリ(A)シグナルに作用的にリンクされるAd5ヌ
クレオチド459〜3510(E1AおよびE1Bタンパク質)を含む。このプ
ラスミドは、プライマーEb−1(配列識別番号:31)およびEb−2(配列
識別番号:32)によりE1B 55 kDタンパク質のN末端アミノ酸のPCR
法による増幅によって構築されたが、それはXhoI部位を導入しており、Bg
lIIで分解され、また、pAT−X/SのBglII−NruI部位にクロー
ン化されて、pAT−PCR3を産生した。pAT−PCR3のXbaI−Xh
oI断片は、pIG.E1A.NEOのXbaI−SalI(HBVポリ(A)
部位を含む)に置換されて、pIG.E1A.E1Bが産生された。
【図5】 pIG.NEOの構築。pIG.NEOは、E1Bプロモーター
に作用的にリンクされるNeoRを含有する。pIG.NEOは、E1Bプロモー
ターおよびNeoRを含むpIG.E1A.NEOのHpaI−ScaI断片を
、pBSのEcoRV−ScaI部位に結合することにより構築された。
【図6】 アデノウイルスのパッケージングコンストラクトによる初代仔ラ
ットの腎臓(BRK)の細胞の形質転換を示す。BRK細胞のサブ融合性培養皿
は、SV40初期プロモーターの制御下でAd5 E1B遺伝子を発現させるp
IG.NEO、pIG.E1A.NEO、pIG.E1A.E1B、pIG.E
1A.E1B.X、pAd5XhoIC、あるいはpDC26を加えたpIG.
E1A.NEOのいずれかの1あるいは5μgでトランスフェクトされた。トラ
ンスフェクト後3週間で、細胞増殖巣が観察されて、細胞が固定されたので、ギ
ムザ染色して、細胞増殖巣を数えた。図示の結果は、5複製培養皿毎に細胞増殖
巣の平均数である。
【図7】 pIG.E1A.NEOによってトランスフェクトされたA54
9クローンと、pIG.E1A.E1B(PERクローン)によりトランスフェ
クトされたヒト胚性網膜芽細胞(HER細胞)のウェスタンブロット分析。トラ
ンスフェクトされたA549細胞およびPER細胞におけるAd5 E1AとE
1B 55 kDおよび21 kDタンパク質の発現は、E1A遺伝子産物を認識
するマウスのモノクローナル抗体(Mab)M73、及びそれぞれE1B 55
kDaタンパク質および21.KDAタンパク質を認識するMabs AIC6
及びC1G11によるウェスタンブロットによって測定された。Mab結合は、
西洋ワサビペルオキシダーゼで標識化したヤギ抗マウス抗体を用いて、化学発光
を向上させることで視認化した。293と911細胞はコントロールとして使用
した。
【図8】 293、911とPER細胞系列のサザンブロット分析。細胞の
DNAを抽出し、HindIIIで分解して、電気泳動してHybond N+
膜(アマシャム社(Amersham))に移した。膜は、pAd5.SalB(Ad5
ヌクレオチド342〜2805)のSspI−HindIIIの無作為プライミ
ングにより生成された放射能標識されたプローブにハイブリダイズした。
【図9】 PER.C3、PER.C5、PERC6および911細胞のト
ランスフェクション効率。細胞は6−ウェルの皿に培養し、リン酸カルシウム共
同沈降法により5μg pRSV.lacZによって、二重にトランスフェクト
された。トランスフェクト後48時間で、細胞をX−Galで染色し、青色細胞
を数えた。示された結果はウェル毎の青色細胞の平均パーセンテージである。
【図10】 アデノウイルスベクター、pMLPI.TK.の構築。pML
PI.TKは、パッケージングコンストラクトであるpIG.E1A.EABと重
複する配列を有しないように設計された。pMLPI.TKは、pIG.E1A
.E1Bと重複する配列の領域を欠失させ、lacZから誘導されたコードしな
い配列を欠失させることによって、pMLP.TKから誘導された。pMLP.
TKのSV40ポリ(A)配列は、BamHI部位を導入するためのプライマー
SV40−1(配列識別番号:33)、およびBglII部位を導入するための
SV40−2(配列識別番号:34)とによってPCR法によって増幅された。
pMLP.TK Ad5の配列2496〜2779は、BglII部位を導入す
るプライマーAd5−1(配列識別番号:35)とAd5−2(配列識別番号:
36)とによって、PCR法によって増幅された。両方のPCR産物は、Bgl
IIで分解されて結合され、プライマーSV40−1およびAd5−2によりP
CR法によって増幅された。この第3のPCR法による産物は、BamHIおよ
びAflIIIで分解されて、pMLP.TKの対応部位に結合されて、pML
PI.TKが産生された。
【図11A】 新しいアデノウイルスのパッケージングコンストラクト、p
IG.E1A.EABは、新しいアデノウイルスベクター、pMLPI.TKと
重複する配列を有していない。911細胞に発現されるパッケージングコンスト
ラクト、pAd5XhoICと、相同性組換えおよび複製能力を有するアデノウ
ィルスの形成が可能なアデノウィルスベクター、pMLP.TKとの間の重複す
る配列領域を示す。対照的にPER.C6細胞で発現する新しいパッケージング
コンストラクト、pIG.EAI.EIBと、新しいアデノウィルスベクター、
pMLPI.TKの間には配列重複の領域はない。
【図11B】 新しいアデノウィルスパッケージングコンストラクト、pI
G.EIA.NEOは、新しいアデノウィルスベクターpMLPI.TK.と重
複する配列を有しない。新しいパッケージングコンストラクト、pIG.E1A
.NEOと、相同性組換えおよび複製能力を有するアデノウイルスの形成を可能
な、新しいアデノウイルスベクター、pMLPI.TKとの間には、配列が重複
する領域がない。
【図12】 組換え体アデノウイルス、IG.Ad.MLPI.TKの創製
。組換え体アデノウイルス、IG.Ad.MLPI.TKは、SalIによって
線形化されたpMLPI.TKと、ClaIで分解された野生型Ad5 DNA
の右アームとで、293細胞のコトランスフェクションにより生成された。線形
化されたpMLPI.TKと野生型Ad5 DNAとの間の相同性組換えによっ
て、ヌクレオチド459〜3510のE1欠失を含有するIG.Ad.MLPI
.TK DNAが産生される。293細胞は、欠失したAd5ゲノムをトランス
コンプリメントし、それによりIG.Ad.MLPI.TK DNAの複製と、
このDNAのウイルス粒子のへのパッケージングを可能にする。
【図13】 アデノウイルス複製タンパク質を発現する細胞において二重に
し、また複製するアデノウイルス由来の誘導組換えDNA分子の設計の原理。E
1、E2、E3、E4およびL領域のおおよその位置を示すアデノウイルス二本
鎖DNAゲノムの線図を示す。5’−末端に付加された末端ポリペプチド(TP
)は、閉サイクルで示される。アデノウイルスゲノムの右アームは、制限酵素加
水分解による左アームの除去によって精製することができる。293あるいは9
11細胞への右アームのトランスフェクションに続いて、右アームにコードされ
たアデノウイルスDNAポリメラーゼ(白矢印)は一本鎖の形態のみを産生する
。二本鎖あるいは一本鎖DNAのどちらも1つの末端にITRを欠いているため
に複製することができない。DNAポリメラーゼの基質として役立せることがで
き、3’−末端でヘアピン構造を形成することができる配列を一本鎖DNAに提
供することにより、分子の全長に沿ってヘアピン構造が伸長する。この分子はま
た、DNAポリメラーゼのための基質して用いることができるが、その産物は、
両末端にITRを有する二重分子で、アデノウイルスタンパク質の存在下で複製
することができる。
【図14】 アデノウイルスゲノムの複製。アデノウイルスゲノムを一番上
の左に示す。原始体あるいは複製体は、ゲノム末端にある左および右のITR内
に位置している。DNA複製は2段階で起こる。複製は、1つの右のITRが、
娘二本鎖とアデノウイルスDNA結合タンパク質(DBP、白丸)により被覆さ
れている、置換された親一本鎖を生成することから進行し、両末端でのITR配
列のアニーリングによりパンハンドル構造が形成される。このパンハンドル部分
は、二本鎖ゲノムDNAを産生するためのDNAポリメラーゼ(Pol:白矢印
)の基質である。あるいは、複製は両方のITRから進行して、2つの娘分子を
生成し、それによってパンハンドル構造の必要をなくす。
【図15】 HP/asp配列(配列識別番号:47)を含有する一本鎖D
NA分子の潜在的なヘアピンコンホメーション。クローン化されたオリゴヌクレ
オチド、HP/asp1およびHP/asp2を含有するpICLhaのAsp
718I加水分解は、1つの末端にAd5 ITRを有し、もう1つの末端にHP
/asp配列を有する線形二本鎖DNAを産生する。細胞内では、アデノウイル
スE2領域が発現し、5’末端にAd5 ITRを有し、また3'末端にヘアピン
コンホメーションを有する一本鎖DNAが産生される。一度形成されると、その
ヘアピンは、一本鎖DNAを二本鎖DNAに変換するための、細胞および/また
はアデノウイルスDNAポリメラーゼのプライマーとして利用することができる
【図16】 pICLhacの線図。pICLhacは、pICL(図19
)のすべての構成要素を含有するだけでなく、Asp718部位に、HP/as
p配列を、Asp718加水分解と、アデノウイルスE2タンパク質を発現する
細胞へのトランスフェクションによる線形化に引き続いて、図15に示されてい
るヘアピン構造を産生する配向で含有する。
【図17】 pICLhawの線図。pICLhawは、挿入されたHP/
asp配列が反対の配向であることを除いて、pICLhac(図16)と同一で
ある。
【図18】 pICLIの概略図。pICLIは、pICL(図19)のす
べての構成要素を含有し、Asp718部位にAd5 ITRを含有する。
【図19】 pICLの線図。pICLは以下のものから誘導される。すな
わち、(i)左ITRを含む、ヌクレオチド1〜457、Ad5ヌクレオチド1
〜457、(ii)ヌクレオチド458〜969、ヒトCMVエンハンサー、即
時型初期プロモーター、(iii)ヌクレオチド970〜1204、SV40
19Sエキソン、トランケート16/19Sイントロン、(iv)ヌクレオチド
1218〜2987、ホタルルシフェラーゼ遺伝子、(v)ヌクレオチド301
8〜3131、後期転写から得られるSV40縦列ポリアデニル化シグナル、(
vi)ヌクレオチド3132〜5620、Asp718部位を含むpUC12配
列、(vii)逆配向でのアンピシリン耐性遺伝子。
【図20】 pBr322(プラスミド)あるいはpWE15(コスミド)
誘導ベクターでクローン化されたアデノウイルス断片の概念図を示す。一番上の
列はそのITR(黒矩形)が側面に位置し、またいくつかの制限部位を示した完
全なアデノウイルスゲノムを示している。制限部位に続く数字は、Ad5ゲノム
におけるおおよその加水分解部位(kb単位で)示す。
【図21】 アダプタープラスミドpAd/L420−HSAの図である。
【図22】 アダプタープラスミドpAd/Clipの図である。
【図23】 プラスミドベースのシステムを使用した組換え体アデノウイル
スの創製の略図である。一番上には、Ad5のゲノム組織が、異なる初期および
後期転写領域ならびに側面に位置するITRを黒く塗った箱型で表して示されて
いる。中間には、単一相同性組換えに使用され、また、パッケージング細胞への
トランスフェクト後に、組換えウイルス(一番下に提示)を導入するのに使用さ
れるる2つのDNAを表わす。
【図24】 最小のアデノウイルスベクターpMV/L420Hの図である
【図25】 最少アデノウイルスベクターの複製とパッケージングのための
ヘルパーコンストラクトを示す。ヘルパーコンストラクトpWE/AdΔ5’生
成のためのクローン化ステップの略図である。
【図26】 COS−1細胞における大きなアデノウイルスコンストラクト
のSV40−LargeT/oriに仲介される複製の証拠。図26Aは、コン
ストラクトpWE/Ad.AdΔ5’の略図を示す。SV40 ori配列とプ
ローブを作成するのに使用される断片の位置が示されている。COS−1細胞に
おける大きなアデノウイルスコンストラクトのSV40−LargeT/ori
に仲介される複製の証拠である。図26Bは、アデノウイルスプローブにハイブ
リダイズされたサザンブロット法のオートラジオグラムを示す。図26Cは、p
WEにプローブハイブリダイズされたサザンブロッド法のオートラジオグラムを
示す。レーン1、マーカーレーン;EcoRI及びHindIIIにより加水分
解されたλDNA。レーン4は空白である。レーン2、5、7、9、11、13
、15、17には、未分解のDNAが含まれ、またレーン3、6、8、10、1
2、14、16、18には、MboIで加水分解されたDNAが含まれる。すべ
てのレーンには、本文で説明したように、pWE.pac(レーン2および3)
、pWE/Ad.Δ5’コンストラクト#1(レーン5および6)、#5(レー
ン7および8)、#9(レーン9および10)、pWE/Ad.AflII−r
ITR(レーン11および12)、pMV/CMV−LacZ(レーン13および
14)、PacIにより加水分解されたpWE.pac(レーン15および16
)あるいはPacIにより加水分解されたpWE/Ad.AflII−rITR
(レーン17および18)によりトランスフェクションされたCOS−1細胞由
来のDNAが含まれる。矢印は、1416 bp(図26B)および887bp
(図26C)の予想されるポジティブシグナルを指している。
【図27】 E1/E2A欠失アデノウイルスベクターの産生とに基づく小
型化PER.C6/E2Aをベースとする産生システム(実施例10)における
その効率。
【図28】 PER.C6/E2Aをベースにするプラーク測定(実施例1
1)を使用して測定した96ウェルプレートで産生される平均濃度を示す。
【図29】 種々のマーカーおよびヒトcDNA形質転換遺伝子の小型化P
ER.C6/E2Aをベースにする産生システム(実施例12)におけるアデノ
ウイルスベクター産生の適合度を示す。
【図30】 6つの異なるプロトコルにより精製された、pCLIP−La
cZとのPER.C6/E2A細胞のトランスフェクション後のCPEを有する
ウェルの相対的な量を示す(実施例13)。Qiagen:標準アルカリ性溶液への溶
解の後、Qiagenプラスミドの精製;AlkLys:アルカリ性溶液への溶解の後、イソ
プロパノール沈降とTE緩衝液における可溶化;AL+RNAse:アルカリ性
溶液へ溶解後、イソプロパノール沈降と、10マイクログラム/mlでRNAs
eを含むTE緩衝液による可溶化;AL+R+フェノール:アルカリ性溶液への
溶解後、イソプロパノール沈降と10マイクログラム/mlでRNAseを含む
TE緩衝液において可溶化し、その後にフェノール/クロロホルム抽出およびエ
タノール沈降;CTAB:標準CTABプラスミド分離;CTAB+フェノール
:標準CTABプラスミド分離、しかし、10マイクログラム/mlでRNAs
eを含むTE緩衝液において可溶化し、その後にフェノール/クロロホルム抽出
【図31】 フェノール−クロロホルム洗浄をしないトランスフェクション
で加水分解プラスミドを使用する効果(実施例14)。すべての実験の結果は、
CPE形成を示すウェルのパーセンテージとして示されまた表現される。A)L
acZ−アダプターDNAは、6つの異なる分離方法を使用して分離された(実
施例13を参照);1:Qiagen、2:アルカリ性溶解、3:アルカリ性溶解+R
NAse処理、4:アルカリ性溶解+RNAse処理+線形化の前にDNAのp
/c精製、5:CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)、6:CT
AB+線形化の前にDNAのp/c精製、rITRはp/c精製された、B)精
製および未精製EGFP−およびEYFP−アダプターDNA、rITRはp/
c精製された、C)EGFP−アダプターDNAおよびrITRは精製および精
製されていないものが試験された;1:両方のアダプターおよびrITRを精製
(コントロール)、2:rITRを精製、アダプターDNA未精製、3:rIT
Rおよびアダプターを未精製。
【図32】 小型化フォーマットで産生され、また3つの異なる温度で3週
間インキューベートされ、アデノウイルスベクターに関するプラーク形成検定を
使用して測定されたアデノウイルスの安定性(実施例15)。
【図33】 アンチセンス(AS)配向のcDNAを含むいくつかのアデノ
ウイルス(E1およびE2A欠失)のウイルス創製後の、CPEのパーセンテー
ジにみるウイルス創製の効率を示す(実施例16)。
【図34A〜M 】 アデノウイルスアダプタープラスミドのプラスミド遺
伝子地図を示す(実施例17)。これらのアデノウイルスアダプタープラスミド
は、本出願の目的物などのアデノウイルスベクターにおける発現ライブラリーの
構築に、特に有用である。それらは、アダプターやアダプターのライブラリーの
線形化(形質転換遺伝子の挿入による)に関しては非常に稀な制限部位を有して
おり、挿入断片の加水分解によりアダプターを不活性化することはない。
【図34M】 pIPspAdapt5−あるいはpCLIP−IppoI
−polynew−から誘導されたアデノウイルスDNAを含有するコスミドは
、in vitroでの結合に使用することができる。適合性のあるオーバーハ
ングを含有する二本鎖オリゴヌクレオチドは、I−CeuIとI−PpoIの間
、I−SceIとPI−SceIの間、I−SceIとI−PpoIの間で結合
される。PacI制限エンドヌクレアーゼは、結合後にコンストラクトを線形化
して、左と右のITRを解放するだけでなく、非組換え体を除外するのにも使用
される。
【図34N】 pCLIP−LacZおよびアダプタープラスミドpIPs
pAdapt2によるPER.C6/E2A細胞のトランスフェクション後のC
PEを伴うウェルの相対的な量を示す。
【図35】 (実施例19)凍結/融解トランスフェクトされた細胞リゼイト
の増殖後の、PER.C6/E2A細胞の96ウェルのプレートにおけるウイル
ス産生ウェル(CPE陽性)のパーセンテージを示す(実施例19)。コトラン
スフェクションに使用されるヘルパー分子は、(1)pWE/Ad.AflII
−rITRsp、(2)pWE/Ad.AflII−rITRsp.dE2A、
(3)pWE/Ad.AflII−rITRsp.dXba、及び(4)pWE
/Ad.AflII−rITRである。
【図36(IおよびII)】 (実施例20)配列されたアデノウイルスc
DNA発現ライブラリーを構築するところを示す概念図である。
【図37】 (実施例21)384ウェルプレートでの異なるアダプタープラ
スミドおよびpWE/Ad.AflII−rITRDE2Aのトランスフェクシ
ョンの96ウェルプレートでのコトランスフェクションとの比較を示す。図示さ
れているのは、トランスフェクション後5日(上方パネル)あるいはトランスフ
ェクション後7日(下方パネル)の新しいPER.C6/E2A細胞に対して、
凍結融解トランスフェクション細胞の増殖後に示された、異なる時点で評価され
たウイルス産生ウェル(CPEポジティブウェル)のパーセンテージである。
【図38A,B,C】(実施例22)トランスフェクションから7日後のト
ランスフェクトされた細胞の培地を変化させた後の異なる時点でのウイルス産生
ウェル(CPEポジティブウェル)のパーセンテージ(A)、培地を取り替えな
かった後(B)、新しいPER.C6/E2A細胞への凍結融解トランスフェク
ション細胞の標準的な増殖の後。
【図39】 (実施例23)トランスフェクション時に融合性を示すトラン
スフェクションのためにPER.C6/E2A細胞を使用した3つの異なる実験
において、新しいPER.C6/E2A細胞への凍結融解トランスフェクション
細胞の増殖後に評価されたウイルス産生細胞(CPE陽性)ウェルのパーセンテ
ージを示す。数字と凡例は、各実験における各フラスコから得られた細胞の絶対
数が数えられている表9を引用している。これらのフラスコから得られた細胞は
、アデノウイルスアダプターとヘルパーDNA分子によるトランスフェクション
のための96ウェルプレートに接種するのに使用された。
【図40】 アデノウイルス発現ライブラリーの感染後、表現型の遅延読み
出しを伴う測定法のための半安定発現システムとしてのアデノウイルス発現ベク
ターの使用を示す(実施例24)。使用されている形質転換遺伝子:グリーン蛍
光タンパク質(EGFP、Clontech社)。粗製PER.C6/E2A産
生リゼイトは、約500〜1000のMOIで使用された。
【図41】 小型化されたフォーマット(実施例25)におけるアデノウイ
ルスベクターの創製でのPEIの使用を示す。トランスフェクション効率、ウイ
ルス形成(CPE)および増殖(proliferation)(毒性)が示されている。
【図42】 CPE効率におけるトランスフェクション時のPEI温度の効
果を示す(実施例25)。W:暖温度(室温)およびC:冷温度(4_C)。
【図43】 トランスフェクション効率におけるPEIトランスフェクショ
ン容積の影響を示す(実施例25)。
【図44】 リポフェクタミン−DNA複合体を適用する前の無血清培地で
のPER.C6/E2Aの洗浄を示す(実施例26)。
【手続補正書】
【提出日】平成13年6月1日(2001.6.1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // A61K 48/00 C12N 5/00 A (72)発明者 ボウト,アブラハム オランダ エヌエル−2751 エーエル モ エルカペーレ コイマンスストラート 24 (72)発明者 ファン エス,ヘルムート オランダ エヌエル−2133 ディージェイ フッフドールプ バンドホルム 89 Fターム(参考) 4B024 AA11 AA20 CA04 DA03 EA02 GA11 HA12 4B065 AA93X AA93Y AA95X AB01 CA23 CA46 4C084 AA13 CA53 CA56 ZB261 ZB262 ZC781

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 数多くの区画から成る発現可能な核酸のライブラリーであっ
    て、 各区画は前記ライブラリーの少なくとも1つの核酸を有する少なくとも1つの
    ビーイクルを有し、前記核酸が発現できるように細胞中の前記少なくとも1つの
    核酸を非常に効率よく導入することができる、ライブラリー。
  2. 【請求項2】 前記ビーイクルがウイルス構成要素あるいは機能的部分、そ
    の誘導体および/またはその類似体を有する、請求項1に記載のライブラリー。
  3. 【請求項3】 前記ウイルス構成要素がアデノウイルスに由来することを特
    徴とする請求項1又は2記載のライブラリー。
  4. 【請求項4】 前記細胞は真核細胞であり、好ましくは、哺乳動物細胞であ
    ることを特徴とする請求項1〜3に記載のライブラリー。
  5. 【請求項5】 少なくとも1つの区画が、前記少なくとも1つのビーイクル
    の少なくとも2つを有する請求項1〜4に記載のライブラリー。
  6. 【請求項6】 前記少なくとも1つのビーイクルの少なくとも1つが、少な
    くとも2つの核酸を有する請求項1〜5に記載のライブラリー。
  7. 【請求項7】 前記ビーイクルがアデノウイルスに由来する核酸を有する請
    求項3に記載のライブラリー。
  8. 【請求項8】 アデノウイルス由来の前記核酸が、アデノウイルス後期タン
    パク質または機能的部分、その誘導体および/またはその類似体をコードする核
    酸を含む、請求項7に記載のライブラリー。
  9. 【請求項9】 アデノウイルス由来の前記核酸が、アデノウイルスE2Aま
    たは機能的部分、その誘導体および/またはその類似体をコードする核酸を有す
    る、請求項3、7または8に記載のライブラリー。
  10. 【請求項10】 アデノウイルス由来の前記核酸は、少なくとも1つのE4
    領域タンパク質または機能的部分、その誘導体および/またはその類似体をコー
    ドする核酸を有する、とする請求項3、7〜9のいずれかに記載のライブラリー
  11. 【請求項11】 アデノウイルス由来の前記核酸は、少なくとも1つのE1
    領域タンパク質または機能的部分、その誘導体および/またはその類似体をコー
    ドする核酸を有する、特徴とする請求項3、7〜10のいずれかに記載のライブ
    ラリー。
  12. 【請求項12】 前記ビーイクルがさらに、アデノ関連ウイルス末端反復配
    列または機能的部分、その誘導体および/またはその類似体を有する核酸を有す
    る請求項2〜11のいずれかに記載のライブラリー。
  13. 【請求項13】 アデノウイルス由来の前記ウイルス構成要素が、アデノウ
    イルスキャプシドまたは機能的部分、その誘導体および/またはその類似体を有
    する、請求項3〜12のいずれかに記載のライブラリー。
  14. 【請求項14】 前記ビーイクルが、少なくとも2つのアデノウイルスから
    得られるアデノウイルス線維タンパク質を有する請求項1〜13のいずれかに記
    載のライブラリー。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれかに記載のライブラリーに存在す
    る少なくとも1つの核酸の少なくとも1つの機能を測定する方法であって、 前記ライブラリーから得られる少なくとも1つの核酸を有する少なくとも1つ
    のビーイクルでさまざまな細胞に形質導入する工程と、 前記少なくとも1つの核酸の発現を許容して前記細胞を培養する工程と、 発現機能を測定する工程、 とを備える、方法。
  16. 【請求項16】 前記さまざまな細胞が多数の区画にわたって分けられ、各
    区画が前記ライブラリーから得られる少なくとも1つの核酸を有する少なくとも
    1つのビーイクルを有する請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 さらに、所望される機能を有するビーイクルを選択する工
    程を有する、請求項15または16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 請求項1〜14のいずれかによるライブラリーに存在する
    少なくとも1つの核酸の少なくとも1つの機能を測定する工程を有する、細胞中
    で発現される所望の機能を有する発現可能な核酸を得るための方法であって、 前記ライブラリーから得られる少なくとも1つの核酸を有する1つのビーイク
    ルをさまざまな細胞に形質導入する工程と、 前記少なくとも1つの核酸の発現を許容しつつ前記細胞を培養する工程と、 発現機能を測定する工程、 とを有する方法。
  19. 【請求項19】 多数の区画からなるライブラリーを産生するための方法で
    あって、 各区画は少なくとも1つの核酸送達ビーイクルを有し、各ビーイクルは少なく
    とも1つの核酸を有し、 前記方法は、前記少なくとも1つの核酸とビーイクル核酸を組換えする工程、
    とを有し、 それによって、発現可能な方法で、細胞に前記少なくとも1つの核酸を送達す
    ることができるビーイクルを産生する前記方法。
  20. 【請求項20】 前記組換えが、ビーイクル核酸において、ビーイクル核酸
    における少なくとも部分的に重複する配列と、前記少なくとも一つの配列少なく
    とも1つの核酸において少なくとも部分的に重複している配列の間で行われる相
    同性組換えを含む、請求項19に記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記ビーイクル核酸および/または前記少なくとも1つの
    核酸が、アデノウイルス核酸または機能的部分、その誘導体および/またはその
    類似体を有する、請求項19または請求項20に記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記アデノウイルス核酸が、非ヒト霊長類細胞においてア
    デノウイルスが複製することを可能にする宿主域変異を含む、請求項21に記載
    の方法。
  23. 【請求項23】 請求項19〜22のいずれかに記載の方法により入手可能
    なライブラリー。
  24. 【請求項24】 請求項15〜18のいずれかに記載の方法において請求項
    23に記載のライブラリーの使用方法。
  25. 【請求項25】請求項3〜14または23のいずれかに記載のライブラリー
    に存在するビーイクルを増幅するための方法であって、 前記ビーイクルを細胞に供給する工程と、 前記ビーイクルの増幅を可能にする前記細胞を培養する工程と、 前記細胞により増幅されるビーイクルを回収する工程、 とを有する、方法。
  26. 【請求項26】 前記細胞がアデノウイルスE1領域タンパク質をコードす
    る核酸を有する、請求項25に記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記細胞がPER.C6細胞(ECACC寄託番号960
    22940)またはその機能的部分、その誘導体および/またはその類似体であ
    ることを特徴とする請求項26に記載の方法。
  28. 【請求項28】 前記細胞がさらに、アデノウイルスE2Aおよび/または
    アデノウイルスE4領域タンパク質または機能的部分、その誘導体および/また
    はその類似体をコードする核酸を有する、請求項26または27に記載の方法。
  29. 【請求項29】 前記ビーイクル核酸は、E1−領域コードタンパク質が存
    在しない場合に、複製可能な状態にビーイクル核酸の形成を導く前記細胞におけ
    る他の核酸と重複する配列を含んでいない、請求項26〜28のいずれかに記載
    の方法。
  30. 【請求項30】 前記多数の区画が複数ウエルフォーマットを有する、請求
    項1〜14のいずれかに記載のライブラリーまたは請求項15〜22、25〜2
    9に記載の方法。
  31. 【請求項31】前記少なくとも1つの核酸が機能が未知の産物をコードする
    ことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のライブラリーまたは請求項
    15〜22、25〜30のいずれかに記載の方法。
  32. 【請求項32】 少なくとも実質的に自動化されている設定において前記ラ
    イブラリーが使用される、または前記方法が実施されることを特徴とする請求項
    1〜14のいずれかに記載のライブラリーまたは請求項15〜22、25〜32
    のいずれかに記載の方法。
  33. 【請求項33】 請求項1〜14または23のいずれかに記載のライブラリ
    ーを有する、多数の細胞。
JP2000553572A 1998-06-12 1999-06-11 機能的ゲノム適用にライブラリーを使用される遺伝子機能に関する高度処理能力スクリーニング法 Expired - Fee Related JP3672494B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US09/097,239 US6413776B1 (en) 1998-06-12 1998-06-12 High throughput screening of gene function using adenoviral libraries for functional genomics applications
US09/097,239 1998-06-12
PCT/NL1999/000367 WO1999064582A2 (en) 1998-06-12 1999-06-11 High-throughput screening of gene function using libraries for functional genomics applications

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002526031A true JP2002526031A (ja) 2002-08-20
JP3672494B2 JP3672494B2 (ja) 2005-07-20

Family

ID=22262382

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000553572A Expired - Fee Related JP3672494B2 (ja) 1998-06-12 1999-06-11 機能的ゲノム適用にライブラリーを使用される遺伝子機能に関する高度処理能力スクリーニング法

Country Status (10)

Country Link
US (3) US6413776B1 (ja)
EP (1) EP1022335B1 (ja)
JP (1) JP3672494B2 (ja)
AT (1) ATE263237T1 (ja)
AU (1) AU756605B2 (ja)
CA (1) CA2301403C (ja)
DE (1) DE69916005T2 (ja)
MX (1) MXPA00012401A (ja)
NZ (1) NZ508995A (ja)
WO (1) WO1999064582A2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007535962A (ja) * 2004-05-06 2007-12-13 ジーイー・ヘルスケア・ユーケイ・リミテッド 化合物のキャラクタリゼーション法

Families Citing this family (95)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5766891A (en) * 1994-12-19 1998-06-16 Sloan-Kettering Institute For Cancer Research Method for molecular cloning and polynucleotide synthesis using vaccinia DNA topoisomerase
SI0833934T2 (sl) * 1995-06-15 2013-04-30 Crucell Holland B.V. Pakirni sistemi za humani rekombinantni adenovirus za uporabo v genski terapiji
US6783980B2 (en) * 1995-06-15 2004-08-31 Crucell Holland B.V. Packaging systems for human recombinant adenovirus to be used in gene therapy
US7883872B2 (en) 1996-10-10 2011-02-08 Dyadic International (Usa), Inc. Construction of highly efficient cellulase compositions for enzymatic hydrolysis of cellulose
CA2307016A1 (en) * 1997-10-24 1999-05-06 Life Technologies, Inc. Recombinational cloning using nucleic acids having recombination sites
AU3548799A (en) * 1998-04-03 1999-10-25 Invitrogen Corporation Libraries of expressible gene sequences
US6670188B1 (en) * 1998-04-24 2003-12-30 Crucell Holland B.V. Packaging systems for human recombinant adenovirus to be used in gene therapy
CA2345356C (en) 1998-10-06 2012-10-02 Mark Aaron Emalfarb Transformation system in the field of filamentous fungal hosts
AU2799500A (en) * 1999-01-29 2000-08-18 Max-Planck-Gesellschaft Zur Forderung Der Wissenschaften E.V. Method for isolating apoptosis-inducing dna sequences and detection system
US6642052B2 (en) * 1999-02-25 2003-11-04 National Research Council Of Canada Efficient generation of adenovirus-based libraries by positive selection of adenoviral recombinants through ectopic expression of the adenovirus protease
US6492169B1 (en) 1999-05-18 2002-12-10 Crucell Holland, B.V. Complementing cell lines
US20030134265A1 (en) * 1999-12-23 2003-07-17 Peter Buckel Screening method for nucleic acids
AU2001234980A1 (en) 2000-02-09 2001-08-20 Genvec, Inc. Methods of preparing and using a viral vector library
WO2001062943A1 (en) 2000-02-25 2001-08-30 Invitrogen Corporation Topoisomerase linker-mediated amplification methods
US7216113B1 (en) * 2000-03-24 2007-05-08 Symyx Technologies, Inc. Remote Execution of Materials Library Designs
US7122330B2 (en) 2000-04-13 2006-10-17 Mark Aaron Emalfarb High-throughput screening of expressed DNA libraries in filamentous fungi
US20030104494A1 (en) * 2001-10-26 2003-06-05 Ilya Ravkin Assay systems with adjustable fluid communication
EP1276888A2 (en) * 2000-04-26 2003-01-22 Crucell Holland B.V. Adenovirus vectors with knobless fibers, and their uses
US7198924B2 (en) 2000-12-11 2007-04-03 Invitrogen Corporation Methods and compositions for synthesis of nucleic acid molecules using multiple recognition sites
US7033801B2 (en) * 2000-12-08 2006-04-25 Invitrogen Corporation Compositions and methods for rapidly generating recombinant nucleic acid molecules
EP1313851B1 (en) * 2000-08-21 2006-01-04 Invitrogen Corporation Methods and reagents for molecular cloning
US20090118139A1 (en) * 2000-11-07 2009-05-07 Caliper Life Sciences, Inc. Microfluidic method and system for enzyme inhibition activity screening
US20060008817A1 (en) * 2000-12-08 2006-01-12 Invitrogen Corporation Methods and compositions for generating recombinant nucleic acid molecules
EP1227157A1 (en) * 2001-01-19 2002-07-31 Galapagos Genomics B.V. Swap/counter selection: a rapid cloning method
CA2441209C (en) * 2001-01-25 2012-11-13 Virxsys Corporation Methods and compositions for identifying gene function
WO2002070744A2 (en) * 2001-03-07 2002-09-12 Galapagos Genomics B.V. Adenoviral library assay for e2f regulatory genes and methods and compositions for screening compounds
US20040132008A1 (en) * 2002-04-30 2004-07-08 Doranz Benjamin J Elucidation of gene function
EP1256803A1 (en) 2001-05-07 2002-11-13 Crucell Holland B.V. Methods for the identification of antiviral compounds
EP1409982A4 (en) * 2001-06-14 2006-05-24 Anadys Pharmaceuticals Inc PROCESS FOR SCREENING ON LIGANDS OF TARGET MOLECULES
EP1273667A1 (en) * 2001-07-04 2003-01-08 Galapagos Genomics N.V. High throughput identification of modulators of angiogenesis
BR0211111A (pt) 2001-07-12 2004-06-22 Univ Massachusetts Molécula de ácido nucleico isolada, vetor, célula hospedeira, transgene, precursor de rna engenheirado, animal transgênico não humano, e, método de induzir a interferência de ácido ribonucleico de um gene alvo em uma célula
EP1417306A2 (de) * 2001-08-10 2004-05-12 Xantos Biomedicine AG Hochdurchsatz dna-isolierung und -transfektion zur analyse der funktion von genen bzw. genprodukten
CA2457879A1 (en) * 2001-08-22 2003-03-06 Galapagos Genomics N.V. Modulators of bone homeostasis identified in a high-throughput screen
US7647184B2 (en) 2001-08-27 2010-01-12 Hanall Pharmaceuticals, Co. Ltd High throughput directed evolution by rational mutagenesis
US20030198627A1 (en) * 2001-09-01 2003-10-23 Gert-Jan Arts siRNA knockout assay method and constructs
US20080187949A1 (en) * 2001-10-26 2008-08-07 Millipore Corporation Multiplexed assays of cell migration
US7381375B2 (en) 2001-10-26 2008-06-03 Millipore Corporation Assay systems with adjustable fluid communication
US20030180766A1 (en) * 2002-01-24 2003-09-25 Ecopia Biosciences, Inc. Method, system and knowledge repository for identifying a secondary metabolite from a microorganism
DK1511843T3 (da) * 2002-06-07 2006-07-24 Sophion Bioscience As Screeningsmetoder
USRE47770E1 (en) 2002-07-18 2019-12-17 Merus N.V. Recombinant production of mixtures of antibodies
ES2442615T5 (es) 2002-07-18 2023-03-16 Merus Nv Producción recombinante de mezclas de anticuerpos
WO2004009768A2 (en) * 2002-07-18 2004-01-29 Invitrogen Corporation Viral vectors containing recombination sites
AU2003263552A1 (en) 2002-09-09 2004-03-29 Nautilus Biotech Rational evolution of cytokines for higher stability, the cytokines and encoding nucleic acid molecules
JP4287633B2 (ja) * 2002-09-18 2009-07-01 独立行政法人科学技術振興機構 オルガネラ局在タンパク質の解析方法と解析材料
EP1553983A2 (en) 2002-10-23 2005-07-20 Crucell Holland B.V. New settings for recombinant adenoviral-based vaccines
US20080153083A1 (en) 2003-10-23 2008-06-26 Crucell Holland B.V. Settings for recombinant adenoviral-based vaccines
US20080207465A1 (en) * 2002-10-28 2008-08-28 Millipore Corporation Assay systems with adjustable fluid communication
CA2506894A1 (en) * 2002-11-21 2004-06-03 Genomidea Inc. Method of isolating nucleic acid having desired functional property and kit therefor
EP1573012B1 (en) 2002-12-17 2011-11-30 Crucell Holland B.V. Recombinant viral-based malaria vaccines
EP1639009B1 (en) 2003-05-30 2013-02-27 Merus B.V. Fab library for the preparation of a mixture of antibodies
US20100069614A1 (en) 2008-06-27 2010-03-18 Merus B.V. Antibody producing non-human mammals
WO2005001133A2 (en) * 2003-06-03 2005-01-06 Collateral Therapeutics, Inc. Compositions and methods for high throughput construction and functional analysis of expression libraries
US20050059083A1 (en) * 2003-09-15 2005-03-17 Becton Dickinson And Company High throughput method to identify ligands for cell attachment
US20050060100A1 (en) * 2003-09-15 2005-03-17 Becton Dickinson And Company Computer software and algorithms for systems biologically linked to cellular phenotype
ATE469984T1 (de) * 2003-12-01 2010-06-15 Life Technologies Corp Rekombinationsstellen enthaltende nukleinsäuremoleküle und verfahren zur verwendung davon
AU2003300239A1 (en) * 2003-12-29 2005-07-21 Galapagos Genomics N.V. Modulators of bone homeostasis identified in a high-throughput screen
DK1737971T3 (da) 2004-01-20 2017-11-13 Merus Nv Blandinger af bindingsproteiner
WO2005118885A2 (en) * 2004-04-15 2005-12-15 Allied Biotech, Inc. Methods and apparatus for detection of viral infection
WO2005103713A2 (en) 2004-04-20 2005-11-03 Galapagos N.V. Methods, compositions and compound assays for inhibiting amyloid-beta protein production
US7306923B2 (en) 2004-06-14 2007-12-11 Galapagos N.V. Methods for identification, and compounds useful for the treatment of degenerative & inflammatory diseases
ES2427046T3 (es) 2004-06-21 2013-10-28 Galapagos N.V. Métodos y medios para el tratamiento de la osteoartritis
US7485468B2 (en) 2004-10-15 2009-02-03 Galapagos Bv Molecular targets and compounds, and methods to identify the same, useful in the treatment of joint degenerative and inflammatory diseases
CA2958259C (en) 2004-10-22 2020-06-30 Revivicor, Inc. Ungulates with genetically modified immune systems
EP2505651A3 (en) 2006-12-10 2013-01-09 Dyadic International, Inc. Isolated fungus with reduced protease activity
CA2690685A1 (en) 2007-06-20 2008-12-24 Galapagos N.V. Molecular targets and compounds, and methods to identify the same, useful in the treatment of bone and joint degenerative diseases
US8551751B2 (en) 2007-09-07 2013-10-08 Dyadic International, Inc. BX11 enzymes having xylosidase activity
AR071619A1 (es) 2008-05-07 2010-06-30 Galapagos Nv Compuestos de pirazina fusionados utiles para el tratamiento de enfermedades degenerativas e inflamatorias y composiciones farmaceuticas que los contienen.
EP2816113A3 (en) 2008-09-11 2015-03-25 Galapagos N.V. Method for identifying compounds useful for increasing the functional activity and cell surface expression of cf-associated mutant cystic fibrosis transmembrane conductance regulator
EP2348827B1 (en) 2008-10-27 2015-07-01 Revivicor, Inc. Immunocompromised ungulates
WO2011015572A1 (en) 2009-08-03 2011-02-10 Galapagos Nv Molecular targets and compounds, and methods to identify the same, useful in the treatment of neurodegenerative diseases
WO2011015573A1 (en) 2009-08-03 2011-02-10 Galapagos Nv Molecular targets and compounds, and methods to identify the same, useful in the treatment of neurodegenerative diseases
TW201120043A (en) 2009-11-05 2011-06-16 Galapagos Nv Fused pyrazine compounds as their salts, useful for the treatment of degenerative and inflammatory diseases
IN2014CN04742A (ja) 2011-11-28 2015-09-18 Crucell Holland Bv
NZ630551A (en) 2012-04-20 2017-11-24 Merus Nv Methods and means for the production of ig-like molecules
WO2015077717A1 (en) 2013-11-25 2015-05-28 The Broad Institute Inc. Compositions and methods for diagnosing, evaluating and treating cancer by means of the dna methylation status
WO2015085147A1 (en) 2013-12-05 2015-06-11 The Broad Institute Inc. Polymorphic gene typing and somatic change detection using sequencing data
CA2934073A1 (en) 2013-12-20 2015-06-25 The Broad Institute, Inc. Combination therapy with neoantigen vaccine
US20170247762A1 (en) 2014-10-27 2017-08-31 The Board Institute Inc. Compositions, methods and use of synthetic lethal screening
EP3757211A1 (en) 2014-12-19 2020-12-30 The Broad Institute, Inc. Methods for profiling the t-cell-receptor repertoire
EP3234193B1 (en) 2014-12-19 2020-07-15 Massachusetts Institute of Technology Molecular biomarkers for cancer immunotherapy
RU2020132040A (ru) 2015-05-20 2020-10-12 Те Брод Инститьют Инк. Общие неоантигены
WO2017184590A1 (en) 2016-04-18 2017-10-26 The Broad Institute Inc. Improved hla epitope prediction
US10707531B1 (en) 2016-09-27 2020-07-07 New Dominion Enterprises Inc. All-inorganic solvents for electrolytes
EP3336169A1 (en) * 2016-12-15 2018-06-20 Institut Polytechnique de Grenoble Robotic method for coating a multiwell plate by a polyelectrolyte multilayer film
WO2018140391A1 (en) 2017-01-24 2018-08-02 The Broad Institute, Inc. Compositions and methods for detecting a mutant variant of a polynucleotide
ES2965475T3 (es) 2017-02-12 2024-04-15 Biontech Us Inc Métodos y composiciones basados en HLA y usos de los mismos
WO2019126186A1 (en) 2017-12-18 2019-06-27 Neon Therapeutics, Inc. Neoantigens and uses thereof
WO2019136169A1 (en) * 2018-01-04 2019-07-11 Arizona Board Of Regents On Behalf Of Arizona State University Versatile amplicon single-cell droplet sequencing-based shotgun screening platform to accelerate functional genomics
WO2020072700A1 (en) 2018-10-02 2020-04-09 Dana-Farber Cancer Institute, Inc. Hla single allele lines
US20220062394A1 (en) 2018-12-17 2022-03-03 The Broad Institute, Inc. Methods for identifying neoantigens
JP2022541915A (ja) 2019-07-23 2022-09-28 ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド 生物製造のための合成遺伝子要素
KR20230029673A (ko) 2020-05-26 2023-03-03 디오니스 테라퓨틱스, 아이엔씨. 핵산 인공 미니-프로테옴 라이브러리
CN117083081A (zh) 2020-12-14 2023-11-17 百欧恩泰美国公司 用于癌症免疫疗法的组织特异性抗原
WO2023076733A1 (en) 2021-11-01 2023-05-04 Dana-Farber Cancer Institute, Inc. Biologically selected nucleic acid artificial mini-proteome libraries
WO2024015892A1 (en) 2022-07-13 2024-01-18 The Broad Institute, Inc. Hla-ii immunopeptidome methods and systems for antigen discovery

Family Cites Families (27)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4497796A (en) 1980-03-26 1985-02-05 The Regents Of The University Of California Gene transfer in intact mammals
US4727028A (en) 1981-06-22 1988-02-23 Eli Lilly And Company Recombinant DNA cloning vectors and the eukaryotic and prokaryotic transformants thereof
US4405712A (en) 1981-07-01 1983-09-20 The United States Of America As Represented By The Department Of Health And Human Services LTR-Vectors
US5190931A (en) 1983-10-20 1993-03-02 The Research Foundation Of State University Of New York Regulation of gene expression by employing translational inhibition of MRNA utilizing interfering complementary MRNA
US5208149A (en) 1983-10-20 1993-05-04 The Research Foundation Of State University Of New York Nucleic acid constructs containing stable stem and loop structures
US4740463A (en) 1984-04-13 1988-04-26 Massachusetts Institute Of Technology Methods and artificial genes for antagonizing the function of an oncogene
CA2053187A1 (en) 1991-10-10 1993-04-11 National Research Council Of Canada High level recombinant protein production using conditional helper-free adenovirus vector
US5518913A (en) 1991-10-10 1996-05-21 National Research Council Of Canada High level recombinant protein production using conditional helper-free adenovirus vector
US6057427A (en) 1991-11-20 2000-05-02 Trustees Of Dartmouth College Antibody to cytokine response gene 2(CR2) polypeptide
FR2698880B1 (fr) 1992-11-25 1995-02-24 Inst Nat Sante Rech Med Procédé de production de récepteurs T solubles, produits ainsi obtenus et leur utilisation dans des compositions diagnostiques ou thérapeutiques.
EP0673431A1 (en) 1992-12-03 1995-09-27 Genzyme Corporation Gene therapy for cystic fibrosis
FR2705686B1 (fr) 1993-05-28 1995-08-18 Transgene Sa Nouveaux adénovirus défectifs et lignées de complémentation correspondantes.
FR2707664B1 (fr) 1993-07-13 1995-09-29 Centre Nat Rech Scient Vecteurs viraux et utilisation en thérapie génique.
CA2144040A1 (fr) 1993-07-13 1995-01-26 Michel Perricaudet Vecteurs adenoviraux defectifs et utilisation en therapie genique
US5401744A (en) 1993-10-04 1995-03-28 Bristol-Myers Squibb Company Useful hemi-hydrate form of a cerebral function enhancing agent
US5731172A (en) 1994-03-09 1998-03-24 Sumitomo Pharmaceuticals Company, Ltd. Recombinant adenovirus and process for producing the same
ATE336587T1 (de) 1994-06-10 2006-09-15 Genvec Inc Adenoviren-vektor systeme und zelllinien
DK0707071T3 (da) 1994-08-16 2003-11-17 Crucell Holland Bv Rekombinante vektorer afledt fra adenovirus til anvendelse i genterapi
US5856152A (en) * 1994-10-28 1999-01-05 The Trustees Of The University Of Pennsylvania Hybrid adenovirus-AAV vector and methods of use therefor
FR2727689A1 (fr) 1994-12-01 1996-06-07 Transgene Sa Nouveau procede de preparation d'un vecteur viral
SI0833934T2 (sl) * 1995-06-15 2013-04-30 Crucell Holland B.V. Pakirni sistemi za humani rekombinantni adenovirus za uporabo v genski terapiji
US5837511A (en) 1995-10-02 1998-11-17 Cornell Research Foundation, Inc. Non-group C adenoviral vectors
US6156497A (en) * 1996-01-05 2000-12-05 Genetic Therapy, Inc. Recombinase-mediated generation of adenoviral vectors
JP2000504220A (ja) 1996-01-23 2000-04-11 ライガル ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド トランス支配性細胞内作用因子ペプチドおよびrna分子のスクリーニング方法
US6197502B1 (en) 1997-11-17 2001-03-06 Cytos Biotechnology Ag Expression cloning processes for the discovery characterization, and isolation of genes encoding polypeptides with a predetermined property
AU2100499A (en) * 1997-12-19 1999-07-12 Genetrace Systems, Inc. Non-bacterial cloning in delivery and expression of nucleic acids
US6670188B1 (en) * 1998-04-24 2003-12-30 Crucell Holland B.V. Packaging systems for human recombinant adenovirus to be used in gene therapy

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007535962A (ja) * 2004-05-06 2007-12-13 ジーイー・ヘルスケア・ユーケイ・リミテッド 化合物のキャラクタリゼーション法

Also Published As

Publication number Publication date
DE69916005T2 (de) 2004-09-09
CA2301403A1 (en) 1999-12-16
US6340595B1 (en) 2002-01-22
JP3672494B2 (ja) 2005-07-20
US6413776B1 (en) 2002-07-02
CA2301403C (en) 2009-01-06
DE69916005D1 (de) 2004-05-06
EP1022335A1 (en) 2000-07-26
EP1022335B1 (en) 2004-03-31
AU4294799A (en) 1999-12-30
ATE263237T1 (de) 2004-04-15
MXPA00012401A (es) 2003-07-14
WO1999064582A2 (en) 1999-12-16
AU756605B2 (en) 2003-01-16
US7029848B2 (en) 2006-04-18
US20030027170A1 (en) 2003-02-06
WO1999064582A3 (en) 2000-04-06
NZ508995A (en) 2003-12-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3672494B2 (ja) 機能的ゲノム適用にライブラリーを使用される遺伝子機能に関する高度処理能力スクリーニング法
CA2166118C (en) Adenovirus vectors for gene therapy
KR100449181B1 (ko) 유전자요법에사용할수있는사람의재조합아데노바이러스패키징시스템
JP4495588B2 (ja) 安定なアデノウイルスベクターおよびその増殖方法
AU698250B2 (en) Recombinant DNA viral vector for transfecting animal cells
JP3492700B2 (ja) 遺伝子治療のためのアデノウィルスベクター
AU747847B2 (en) A simplified system for generating recombinant adenoviruses
JP4686670B2 (ja) 組換えウイルスの製造方法
JP2002507897A (ja) 遺伝子治療で用いるべきヒト組換えアデノウイルス用のパッケージングシステム
JPH11504502A (ja) 組換えアデノウイルスの製造用細胞
JP2004513657A (ja) 相補細胞株
JP2003501041A (ja) 細胞特異的な感染およびゲノム組み込みのためのキメラファイバータンパク質を発現する組換えアデノウイルスベクター
CZ294338B6 (cs) Prokaryontní plazmid, prokaryontní buňka tento plazmid obsahující, způsob produkce rekombinantních adenovirálních genomů a způsob přípravy rekombinantních adenovirů
US6642052B2 (en) Efficient generation of adenovirus-based libraries by positive selection of adenoviral recombinants through ectopic expression of the adenovirus protease
JP5260815B2 (ja) 組換えアデノウイルスおよびアデノウイルスライブラリーの調製
US20050123898A1 (en) System for producing clonal or complex populations of recombinant adenoviruses, and the application of the same
US20030170633A1 (en) Adenoviral library assay for adipogenesis genes and methods and compositions for screening compounds
US20020106382A1 (en) Modified adenovirus and uses thereof
JP2003519464A (ja) 代替の血清型のヘルパー依存型アデノウィルスベクターを使用することにより反復ベクター投与が可能になる
AU7560500A (en) Modified adenoviral vectors for use in gene therapy

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040622

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20040921

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20041008

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041222

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20041222

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050322

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050419

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3672494

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090428

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090428

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100428

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110428

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120428

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120428

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130428

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130428

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140428

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees