JP2003519464A - 代替の血清型のヘルパー依存型アデノウィルスベクターを使用することにより反復ベクター投与が可能になる - Google Patents

代替の血清型のヘルパー依存型アデノウィルスベクターを使用することにより反復ベクター投与が可能になる

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フランク エル. グラハム
ロビン パークス
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メルク アンド カンパニー インコーポレイテッド
フランク エル. グラハム
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、一態様において、全てのAdタンパク質コード配列を欠損するAdベクターを作製するためのCre/loxPシステムに使用するためにAd2血清型に基づいたヘルパーウィルスを提供することによって長期にわたって感じられていた必要性に応えるものである。このヘルパーウィルスおよびAd5に基づいたヘルパーウィルスを使用して、ヘルパーウィルスから誘導される、ビリオンタンパク質成分だけが異なる遺伝的に同一なhdAdを作製した。ベクターは、血清型にかかわらず、同一の発現特性を有し、異なる血清型のhdAdの逐次的な使用によりインビボにおける反復ベクター投与が成功する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】政府の援助: 本発明の開示に記載されている研究の一部は米国国立衛生研究所の補助金によ
って支持された。従って、米国政府は本発明に対してある種の権利を有する。
【0002】関連発明の相互参照: 本発明は、放棄されている、1993年6月24日に出願された米国特許出願第08/08
0,727号の一部継続出願である1994年5月31日に出願された同時継続中の米国特許
出願第08/250,885号の一部継続出願である1995年6月7日に出願された同時継続中
の米国特許出願第08/473,168号の一部継続出願である1999年2月17日に出願され
た同時継続中の米国特許出願第09/251,955号の一部継続出願である。
【0003】発明の背景 発明の分野: 本発明は遺伝子治療およびワクチン送達の分野に関し、ベクター中の導入遺伝
子の反復投与を容易にし、既知の遺伝子送達ベクターの効率を低下する抗ベクタ
ー免疫応答を回避することによって当技術分野に大きな進歩を提供する。
【0004】発明の背景: 最近、アデノウィルス(Ads)ベクターは、複製細胞および非複製細胞の両方を
含む種々の細胞種の高い形質導入効率、増殖の容易さ並びに相対的な安全性を含
む、他のベクター系を上回るいくつかの利点のために、一般的には哺乳類細胞へ
の導入遺伝子送達のために、詳細には、遺伝子治療のために大きな注目を集めて
いる(総説については、Hittら、1997参照)。しかし、前臨床検討および臨床検
討のデータは、主にベクター由来抗原に対する細胞性免疫応答および液性免疫応
答の誘発のために、Adsにも欠点がいくつかあることを示している(Yangら、1994
a、1995a、b、1996a、b、Daiら、1995、Gilgenkrantzら、1995、McCoyら、1995
、Christら、1997、Morralら、1997、van Ginkelら、1997、Kafriら、1998)。こ
れらの免疫応答のために、第1世代のAdベクター(すなわち、早期領域1(E1)また
はE1/E3を欠失している)の投与により、一般に、反復ベクター投与後に一時的
にしか導入遺伝子が発現せず、発現が不良であった(Dong ら、1996、Kaplanら
、1996、St. Georgeら、1996、Schulickら、1997)。宿主の免疫応答からのウィ
ルスの逸脱を援助する際に関与する機能をコードするE3領域を再導入することに
より、いくつかの動物モデルにおいて導入遺伝子発現を延長することができ(Le
eら、1995、Pollerら、1996、Bruderら、1997、Ilanら、1997、Schowalterら、1
997)、抗Ad中和抗体の形成を低下することが報告されている(Ilanら、1997)。E
2またはE4をさらに欠失または弱毒化されている第2世代のAdベクターを使用する
ことにより、炎症性応答が低下し、導入遺伝子の発現期間を延長することができ
るが(Engelhardtら、1994、Yangら、1994b、Goldmanら、1995、Gaoら、1996、De
dieuら、1997、Wangら、1997、Amalfitanoら、1998)、全ての場合においてでは
ない(Fangら、1996、Christら、1997、Morralら、1997、Luskyら、1998)。しか
し、誘発された抗体の力価は第1世代のベクターに対して形成されるものとほぼ
同じであり(Christら、1997)、従ってベクターを再投与する能力が低い。
【0005】 全てではないにしても、ほとんどのウィルスコード配列を欠失するヘルパー依
存型Adベクター(hdAd)作製のシステムの開発(Mitani ら、1995、Fisherら、1996
、Haekerら、1996、Kochanekら、1996、Kumar-Singh and Chamberlain 1996、Li
eberら、1996、Parksら、1996、Hardyら、1997、Hittら、1998による総説)によ
り、長期にわたって高いレベルの導入遺伝子を発現することができ(Chenら、199
7、Schiednerら、1998、Morsyら、1998)、炎症および細胞性免疫応答が実質的に
低下した(Morsyら、1998、Schiednerら、1998、Morralら、1998)hdAdを作製する
ことが可能になった。しかし、予測されるように、全てのAdコード配列を欠失し
ても液性免疫応答を克服せず、中和抗体が形成されるので(J. L. Bramson、R. J
. P. and F. L. G.、未発表の結果)、hdAdベクター再投与の有効性を低下する。
【0006】 ベクターに対する免疫応答を防止する試みにおいて、多数の研究グループがAd
ベクター投与時に一時的な免疫遮断を使用すること、またはAdに対する耐用性を
誘導することを探求している(Vilquinら、1995、Jooseら、1996、Kass-Eislerら
、1996、Kollsら、1996、Lochmullerら、1996、Sawchukら、1996、Smithら、199
6、Yangら、1996c、Zepeda and Wilson、1996、Kaplan and Smith 1997、Kuzmin
ら、1997、Lieberら、1997、Scariaら、1997、Wolffら、1997、Zsengellerら、1
997)。これらのストラテジーは何らかの形では成功しており、反復ベクター投与
を可能にしているが、合併症および副作用の可能性により免疫抑制は臨床使用で
きない場合がある。反復ベクター投与を可能にする別の方法は異なるAd血清型の
逐次的な使用である。1つの血清型に対して形成される中和抗体は異なる血清型
のその後の送達に影響を与えないはずであり、この方法により第1世代のAdベク
ターの反復投与が可能になった(Kass-Eislerら、1996、Mastrangeliら、1996、M
ackら、1997、Royら、1998、A. L. Beaudet、未発表の結果)。40種を越える異な
る血清型のヒトAdsが単離されており、理論では、患者の生涯にわたって何度も
異なる血清型のAdベクターを投与することができることを示唆している。しかし
、ヘルパー依存的ベクターについてこの方法を実施する方法は開示も示唆もされ
ていないようである。
【0007】 ヘルパー依存的Adベクターを作製するためのCre/loxPシステムは、loxP部位で
隣接するパッケージングシグナルを含有するヘルパーウィルスの使用に関係する
(Parksら、1996)。バクテリオファージP1 Creリコンビナーゼを安定に発現する2
93誘導型細胞系を感染すると(Chenら、1996)、パッケージングシグナルがヘル
パーウィルスDNAから切り出されて、パッケージングされなくする。ヘルパーウ
ィルスDNAは複製する能力を保持し、hdAdの複製およびパッケージングにイント
ランスにおいて必要な機能の全てを提供する。この系は、混在するヘルパー-ウ
ィルスの量が実質的に低下した高力価hdAd調製品の作製を容易にする。ヘルパー
依存型系の主要な特徴は、hdAdの血清型はヘルパーウィルスによってのみ決定さ
れるということである。従って、血清型を変えるために新たなベクターの構築を
必要とする第1世代のベクターとは異なって、異なる血清型の一連の遺伝的に同
一なhdAdsは、ヘルパーの血清型を変更することによって簡単に作製することが
できると思われる。
【0008】発明の概要 本発明者らは、全てのタンパク質コード配列を欠損するAdベクター(ヘルパー
依存的ADベクター(hdAd))を作製するために、Cre/loxP系(Parksら、1996、Proc
. Natl. Acad. Sci.、USA 93: 13565-13570)に使用するための血清型2に基づい
た新たなヘルパーアデノウィルス(Ad)、Ad2LC8cCARPを開発した。Ad2LC8cCARPと
本発明者らが以前に開発したヘルパーウィルス(血清型5に基づく、Ad5LC8cluc)
との比較は、2つのヘルパーウィルスはほぼ同じ効率でhdAdを増幅し、大規模な
ベクター作製ではほぼ同じ収率と純度を生じることを示した。インビトロでは、
得られるhdAd2は、hdAd5によって生じるものとほぼ同じ形質導入効率で、同一レ
ベルの導入遺伝子(β-gal)を発現した。ヘルパー依存型の系の重要な特徴は、ビ
リオンDNAを除く全てのビリオン成分はヘルパーウィルスに由来するということ
である。結果として、Ad2LC8cCARPの助けにより生じるベクターはAd5に対する抗
体によって中和されず、Ad5ヘルパーによって生じるベクターはAd2に対する中和
抗体に抵抗性であった。Ad2に基づいたhdAdの静脈内注射によるマウス肝臓の形
質導入後のインビボにおける導入遺伝子発現の分析は、ベクターは肝細胞を効率
的に形質導入することができ、Ad5ヘルパーウィルスで作製されたhdAdによって
発現されるものとほぼ同じ高いレベルの異種導入遺伝子(ヒト分泌型アルカリ性
ホスファターゼ)を産生することを示した。hdAd2で免疫化したマウスは、hdAd5
と交差反応しないAd2中和抗体を産生した。反復Adベクター投与の成功が別のAd
血清型の逐次的な使用によって達成することができるかどうかを判定するために
、本発明者らはhdAd2(hSEAP)をマウスに注射し、その後3ヶ月まで同じ血清型ま
たは異なる血清型のどちらかのlacZ発現hdAdを追跡した。同じ血清型のベクター
の投与により、未処理の動物と比較して、導入遺伝子発現が30〜100倍低下した
。一方、第2のベクターが異なる血清型であった場合には、導入遺伝子の発現の
低下は観察されなかった。これらの結果は、効果的なベクターの再投与は、別の
血清型に基づいたhdAdの逐次的な使用によって達成することができることを示唆
している。
【0009】 従って、本発明は長い間感じられていた必要性に応え、本発明は、一態様にお
いて、全てのAdタンパク質コード配列を欠損するAdベクターを作製するためにCr
e/loxP系に使用するためのAd2血清型に基づいたヘルパーウィルスを提供する。
本発明のヘルパーウィルスおよびAd5に基づいたヘルパーウィルスを使用して、
ヘルパーウィルス由来のビリオンタンパク質成分だけが異なる遺伝的に同一なhd
Adが作製された。ベクターは、血清型にかかわらず、インビトロにおいて同一の
発現特性を有し、異なる血清型のhdAdの逐次的な使用によりインビボにおける反
復ベクター投与が成功する。
【0010】 従って、本発明の目的の1つは、該hdAdに存在する全てのタンパク質がヘルパ
ーウィルス由来であり、その血清型が反復hdAd投与に使用するベクターを作製す
る際に変更されるhdAdを使用することによって、関心対象の遺伝子の反復投与が
容易になるヘルパー依存型アデノウィルスベクター(hdAd)投与系を提供すること
である。
【0011】 本発明の別の目的は、各投与時に高いレベルの遺伝子発現が生ずるように、遺
伝子の反復投与が容易になる、アデノウィルスに制限されない、遺伝的に適用可
能なストラテジーを提供することである。
【0012】 本発明の別の目的は、液性免疫応答および細胞性免疫応答が最小にされると同
時に、関心対象の遺伝子の反復投与を提供する一連のhdAdベクターを作製するた
めに異なる血清型のヘルパーアデノウィルスを使用する系を提供することである
【0013】 本発明の他の目的および利点は、完全な開示内容および添付の特許請求の範囲
を参照することから明らかになると思われる。
【0014】 好ましい態様および最良の様式の詳細な開示 本発明は、本発明の方法による遺伝子の反復投与が抗ベクター免疫応答を回避
することができる方法を提供するという点において、遺伝子治療およびワクチン
送達の当技術分野に大きな進歩を提供している。これは、各反復投与時にウィル
ス遺伝子ベクターのタンパク質外殻を改良することによって成し遂げられる。こ
れは任意のヘルパー依存的ウィルス系を使用して成し遂げることができるが、本
発明はヘルパー依存的アデノウィルスに言及して例示されている。本発明のこの
態様によると、ワクチン用途のためにコードされる遺伝子産物に対する特異的な
望ましい免疫応答を誘発するため、または特定の遺伝子機能が望ましいために、
その発現が望まれる遺伝子をコードするヘルパー依存的アデノウィルスが作製さ
れる。例えば、嚢胞性繊維症などの遺伝的欠損の補完(例えば、CFTR遺伝子産物
の提供、参照として本明細書に組み入れられている、米国特許第5,882,877号お
よび同第5,670,488号参照)、またはアンチセンスRNAの提供、または酵素もしく
は酵素阻害剤、または構造遺伝子産物または必要なホルモンまたはサイトカイン または免疫調節タンパク質 の提供は全て、遺伝子ベクターに事前に暴露すること
によって誘発されるレシピエントの液性免疫応答または細胞性免疫応答によって
阻害されることなく、本発明の方法により実施することができる。
【0015】 本発明の例示的な一用途において、関心対象の望ましい遺伝子を、左側アデノ
ウィルスITR、右側アデノウィルスITR、アデノウィルスパッケージングシグナル
およびこのように作製されるhdAdベクターの効率的なパッケージングを確実にす
るために十分な付加的配列を含む、ヘルパー依存的アデノウィルスベクター(hdA
d)にクローニングする。アデノウィルスベクターによって、適当な宿主細胞に導
入する場合に、関心対象の遺伝子の効率のよい転写および翻訳を確実にするため
に、当技術分野において周知の必要な転写開始(プロモーター)および終結シグ
ナルと共にhdAdベクターに関心対象の望ましい遺伝子をクローニングする。hdAd
ベクターは、好ましくは、アデノウィルスベクターゲノムの効率的なパッケージ
ングを確実にするために、アデノウィルスの天然型のゲノムサイズの約75%〜100
%のゲノムサイズを有する。hdAdベクターのストックを作製するために、hdAdを
ヘルパーウィルスと共にインビトロにおいて適当な細胞に同時トランスフェクト
する。好ましくは、E1コード配列のアデノウィルスベクター欠損を補完する293
細胞のように、hdAdベクターの複製またはパッケージングに必要な機能を細胞が
提供するか、またはこのような補完はヘルパーウィルスによって提供されてもよ
い。さらに、有効な方法が、作製されるhdAdベクターのストックからヘルパーウ
ィルスを排除するために提供されることが好ましい。本発明の目的のために参照
として本明細書に組み入れられている、本願に関連する同時係属出願およびPCT
公開国際公開公報第96/40955号、国際公開公報第95/00655号および国際公開公報
第98/13510号に開示されているように、パッケージングシグナルを有するヘルパ
ーウィルスがlox部位で隣接している系を使用してもよい。Creリコンビナーゼが
発現される細胞にこのようなウィルスを同時トランスフェクションすることによ
り、ヘルパーウィルスパッケージングシグナルが切り出され、ヘルパーウィルス
がパッケージングされなくなる。関心対象の遺伝子をコードするhdAdベクターゲ
ノムはパッケージングシグナルを有するので、hdAdベクターは効率的にパッケー
ジングされ、本質的にヘルパーウィルスゲノムが混在しない。ヘルパーウィルス
ゲノムの混在を排除する別の方法を使用してもよく、それらの技法は以前に報告
されていても、またはこのような技法が一般に利用可能である場合には、本発明
に適用可能である。ヘルパーウィルスゲノムの混在を制限する方法にかかわらず
、関心対象の望ましい遺伝子をコードするベクターゲノムを含有するhdAdベクタ
ーの本質的に純粋な調製品が作製される。パッケージングされるhdAdベクターの
キャプシドはヘルパーウィルスの構造タンパク質によって完全に規定される。
【0016】 従って、第1のhdAdベクター調製品をパッケージングするための、例えば、血
清型5のような第1のアデノウィルス血清型のヘルパーウィルスおよび第2のhdAd
ベクター調製品をパッケージングするための、ヒトAd血清型2、血清型1、血清型
6または他のヒトアデノウィルスまたはヒト以外の血清型由来のアデノウィルス
のような第2のアデノウィルス血清型由来のその後のヘルパーウィルス、および
第3のhdAdベクター調製品をパッケージングするための第3のアデノウィルス血清
型由来のその後のヘルパーウィルス等を作製することによって、hdAdベクターゲ
ノムに任意の改変を加える必要なく、キャプシド血清型の本質的に制限のない変
更物を作製することができる。従って、本発明の一局面において、任意の所定の
hdAdベクターを作製する結果、レシピエントに事前に誘発される抗ベクター免疫
応答によって阻害されることなく、本質的に制限されない回数の追加免疫hdAdベ
クター投与の完全な治療を開始することができる。また、第1の血清型に対して
向けられる免疫応答が減退するとき、その同じ血清型を再度使用することができ
、それによって使用することができるベクターの逐次的投与回数が増加する。
【0017】 以下の詳細な開示を評価する際、本発明の属する従来技術をより完全に説明す
るために、本明細書において参照された任意の出版物は、本明細書において参照
として組み入れられていることが留意されるべきである。
【0018】 本発明を理解する上で、特に明記しない限り、本明細書中の全ての技術的及び
科学的用語が当業者により通常理解されるのと同じ意味を有することに留意すべ
きである。また、ここで用いられる技術も、特に明記しない限り、当業者に公知
のものである。
【0019】 特定の緩衝液、培地、試薬、細胞、培養条件等についての言及、または、それ
らのより下位の分類についての言及は、限定的なものではなく、それについて論
じられている部分における特定の文脈からその対象、または有用なものとして当
業者により理解される全ての関連の材料が含まれるものとして捉えられるべきで
ある。例えば、示された方法、材料、または組成物の使用により定められた結果
と同じ結果が達成されるよう、或る緩衝液系、または、培養培地はしばしば別の
ものと入れ換え、代わりに別の公知の方法を用いることが可能である。
【0020】 本明細書中で使用される用語は、発明を限定することを目的とするものではな
い。例えば、「遺伝子」という用語には、cDNA、RNA、または他の遺伝子産物を
コードするポリヌクレオチドが含まれる。「外因性遺伝子」とは、その遺伝子が
発現される生物体または細胞型とは異なる生物体、または細胞型から得られた遺
伝子を指す。また、同じ生物体中で、ゲノム中の正常部位から転位(トランスロ
ケーション)された遺伝子も意味する。本明細書中において「核酸」、「RNA」
、「DNA」等の用語を使用する場合、特定の工程中で用いることができる化学的
な構造を限定することを意図しているわけではない。例えば、DNAを一般的にRNA
に代えることができることが当業者には周知であるので、「DNA」の用語が用い
られている場合、このような置換が含まれると解釈すべきである。さらに、多様
な核酸アナログ、及び誘導体が本発明の範囲に含まれることが理解される。遺伝
子、または核酸の「発現」には、細胞での遺伝子発現だけではなく、クローニン
グ系、並びに他のいずれかの状況下での核酸の転写、及び翻訳を包含する。「リ
コンビナーゼ」という用語には、組換えを誘導、媒介、または促進する酵素、及
び、核酸配列の再配列、または、第一の核酸配列の第二の核酸配列から、若しく
は、第二の核酸配列中への除去または挿入を起こすか、媒介するか、または促進
するその他の核酸改変酵素を包含する。リコンビナーゼの「標的部位」とは、リ
コンビナーゼにより認識(例えば、特異的に結合)、及び/または作用される(
除去、切断、または組換えが誘導される)核酸配列若しくは領域のことである。
「遺伝子産物」との用語は、主に他の核酸(例えば、tRNA、sRNP等の非コード、
及び制御RNA)によりコードされるタンパク質及びポリペプチドを指す。「発現
の制御」という用語は、或る遺伝子産物の合成、分解、有効性、または活性を増
加、若しくは減少させる事象、または、分子を指す。
【0021】 本発明はまた、本明細書中で使用される細胞型、及び細胞系に限定されるわけ
ではない。本発明において、異なる組織(乳上皮、結腸、リンパ球等)、または
異なる種(ヒト、マウス等)由来の細胞もまた有用である。
【0022】 本発明において組換え核酸、並びにそれによりコードされる遺伝子産物の産生
、及び発現を検出することが重要である。ここで使用される検出方法には、例え
ば、クローニング及び配列決定、オリゴヌクレオチドのライゲーション、ポリメ
ラーゼ連鎖反応(PCR)、及びそのバリエーションの利用(例えば、7-deazaGTP
を用いるPCR)、単一ヌクレオチドプライマーによる増幅分析(single nucleotid
e primer-guided extension assay)の利用、或るストリンジェントな条件下で相
補的配列と優先的に結合する標的特異的オリゴヌクレオチドを用いたハイブリダ
イゼーション技術、並びに、サンドイッチ型ハイブリダイゼーション法が含まれ
る。
【0023】 配列決定は、標識プライマー若しくは標識ターミネータ-を利用する市販の自
動配列決定装置、または配列決定ゲルを利用した方法を用いて行うことができる
。配列分析はまた、標的DNA若しくはRNA分子上で互いにすぐ横に隣接してアニー
リングするオリゴヌクレオチド配列のライゲーションに基づく方法(Wu及びWall
ace、Genomics 4:560-569 (1989);Landrenら、Proc.Natl.Acad.Sci. USA. 87:89
23-8927 (1990);Barany F.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 88:189-193 (1991))に
より行うこともできる。リガーゼ媒介共有連結(covalent attachment)は、オリ
ゴヌクレオチドが正確に塩基対形成された場合にのみ起こる。標的増幅に耐熱性
Taqリガーゼを用いたリガーゼ連鎖反応(LCR)は、後期発症型糖尿病(late onse
t diabetes)変異座を探すのに特に有用である。上昇された反応温度は、高いス
トリンジェンシーの連結反応を可能とする(Barany F、PCR Methods and Applic ations 1:5-16 (1991))。
【0024】 ハイブリダイゼーション反応は、標的各線をニトロセルロース膜またはナイロ
ン膜に固定し、オリゴヌクレオチドプローブにより試験する、膜を利用した形式
で行うことができる。サザンブロット、スロットブロット(slot blots)、「逆
向き(reverse)」ドットブロット、溶液ハイブリダイゼーション、固相上のサ
ンドイッチ型ハイブリダイゼーション、並びに、ビーズ、シリコンチップ、及び
マイクロタイターウェルを用いたハイブリダイゼーション法を含む何れかの公知
のハイブリダイゼーション法を用いることができる。
【0025】 検出用オリゴヌクレオチドプローブの大きさは10〜1,000塩基の範囲内である
。検出用オリゴヌクレオチドプローブを用いて目的標的反応物を得るため、ハイ
ブリダイゼーション反応は通常、20〜60℃、そして最も好ましくは30〜50℃の間
で行われる。当業者に知られるように、完全一致、及び、ミスマッチの二本鎖分
子の最適の区別は、温度、及び/または、塩濃度、または、ストリンジェントな
洗浄におけるホルムアミドを入れるか、入れないかにより操作することにより達
成される。
【0026】 本明細書中に記載されるクローニングベクター、及び発現ベクターは、細胞、
または組織に当分野において知られる多様な方法のいずれかにより導入される。
このような方法は、例えば、本明細書において参照として組み入れられているサ
ムブルック(Sambrook)らの「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular
Cloning:A Laboratory Manual)」Cold Spring Harbor Laboratory、New York
(1992)に記載される。また、同様に本明細書において参照として組み入れられて
いる、アウスユーベル(Ausubel)ら「分子生物学の最新プロトコール(Current
Protocols in Molecular Biology)」、John Wiley and Sons、Baltimore、MD
(1989));J.E.セリス(Celis)編「細胞生物学:実験室ハンドブック(Cell Bio
logy: A Laboratory Handbook)」におけるヒット(Hitt)ら「ヒトアデノウイ
ルスベクターの構築及び増殖(Construction and propagation of human adenov
irus vectors)」、Academic Press、第2版、第1巻、500-512(1998);K.W.ア
ドルフ(Adolph)編「分子遺伝学における方法(Methods in Molecular Genetic
s)」におけるヒット(Hitt)ら「ヒトアデノウイルスベクター構築及び特徴付
けのための技法(Techniques for human adenovirus vector construction and
characterization)」、Academic Press、Orlando、Florida、第7B巻、12-30(1
995);J.E.セリス(Celis)編「細胞生物学:実験室ハンドブック(Cell Biolo
gy: A Laboratory Handbook)」におけるヒット(Hitt)ら「ヒトアデノウイル
スベクターの構築及び増殖(Construction and propagation of human adenovir
us vectors)」、Academic Press、479-490(1994)も同様に参照されたい。こ
れらの方法には、例えば、安定性または一過性トランスフェクション、リポフェ
クション、エレクトロポレーション、及び、組換えウイルスベクターによる感染
が含まれる。
【0027】 組換え及び非組換えコード配列のタンパク質産物は免疫技術を用いて分析する
ことができる。例えば、タンパク質、またはその断片をアジュバントと共に宿主
動物へ注射し、免疫応答を起こさせる。組換え断片に結合する免疫グロブリンを
血清の形で回収し、場合によりさらにアフィニティークロマトグラフィー、また
はその他の方法により精製する。さらに、免疫したマウス宿主より脾臓細胞を採
取し、ミエローマ細胞と融合させ、抗体分泌ハイブリドーマ細胞バンクを作製す
る。野生型タンパク質と予め吸着させることにより、または、変異ポリペプチド
とは結合するが野生型ポリペプチドとは結合しない特定のイディオタイプについ
てハイブリドーマ細胞系をスクリーニングすることにより、変異ポリペプチドと
結合するが、野生型ポリペプチドとはほとんど、若しくは全く結合しない免疫グ
ロブリンを分泌するクローンについて、ハイブリドーマバンクをスクリーニング
する。
【0028】 所望の変異ポリペプチドを最終的に発現させることができる核酸配列は、多様
な種々のポリヌクレオチド(ゲノム、cDNA、RNA、合成オリゴヌクレオチド等)
から、また、多様な種々の技術により形成される。
【0029】 DNA配列は、発現調節配列に該配列が操作可能に(即ち、その作動が保証され
るように位置)連結された後、宿主中で発現される。これらの発現ベクターは、
典型的には宿主生物体中でエピソームとして、または、宿主染色体DNA中の一部
として複製可能である。通常、発現ベクターは選択マーカー(例えば、テトラサ
イクリン耐性、またはハイグロマイシン耐性に基づくマーカー)を含み、所望の
DNA配列と共に形質転換された細胞の検出、及び/または選択が可能である。さ
らなる詳細については、米国特許第4,704,362号に記載されている。
【0030】 変異ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、コードされるポリペプチ
ド産物が産生されるようにコード配列の転写(配列の発現)及び翻訳を促進する
ような配列を含む。このようなポリヌクレオチドの構築は、当分野において周知
である。例えば、このようなポリヌクレオチドはプロモーター、転写終結部位(
真核性発現宿主においてはポリアデニル化部位)、リボソーム結合部位、場合に
より真核性発現宿主で使用するためのエンハンサー、及び、ベクターの複製に必
要とされる配列を含む。
【0031】 大腸菌は、本発明のDNA配列を特にクローニングするのに有用な原核性の宿主
である。その他の使用に適する微生物宿主には、枯草菌等のバチルス属、サルモ
ネラ、セラチア、及び種々のシュードモナス等の他の腸内細菌が含まれる。発現
ベクターはこれらの原核性宿主内で作られ、典型的には宿主細胞に適合する発現
調節配列(例えば、複製起点)を含む。さらに、ラクトースプロモーター系、ト
リプトファン(Trp)プロモーター系、β-ラクタマーゼプロモーター系、または、
λファージのプロモーター系等の多様な周知のプロモーターが必要なだけ使用さ
れる。場合によりオペレーター配列を有し、リボソーム結合部位配列を持つプロ
モーターにより、転写及び翻訳が開始され、完了されるように発現は調節される
【0032】 その他、酵母等の微生物が発現に用いられる。サッカロマイセス属は好ましい
宿主であり、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ、または他の糖酵素を含むタンパク
質のプロモーター、複製起点、終止配列等の発現調節配列を所望により有する適
当なベクターが存在する。
【0033】 微生物に加え、哺乳動物組織細胞が本発明のポリペプチドを発現・生産するの
に用いられる。当業界において、無傷のヒトタンパク質を分泌できる数多くの適
した宿主細胞株が開発されているので、真核細胞が好ましく、CHO細胞株、COS細
胞株、HeLa細胞株、ミエローマ細胞株、ジャーカット(Jurkat)細胞などが含ま
れる。これらの細胞のための発現ベクターは、複製開始点、プロモーター、エン
ハンサーといった発現調節配列、リボゾーム結合部位、RNAスプライシング部位
、ポリアデニル化部位といった必須情報処理部位、および転写終結配列を含む。
好ましい発現調節配列は、イムノグロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウ
シパピローマウイルス、ヘルペスウイルスなど由来のプロモーターである。興味
の対象となるDNA断片(例えば、変異ポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ド)を含むベクターは、よく知られた方法で宿主細胞に移入される。その方法は
、細胞性宿主のタイプによって変わる。例えば、塩化カルシウムトランスフェク
ションは原核細胞のために一般的に用いられるが、リン酸カルシウム処理または
エレクトロポレーションは他の細胞性宿主のために有用である。
【0034】 本方法は、診断に用いるための試験キット、及び遺伝子治療又はワクチン化の
ためのベクター産生用キットの製剤化に直ちに役に立つ。このようなキットは、
一つまたはそれ以上の容器を近くに閉じこめて収納するように区画されたキャリ
アー(carrier)を含み、最初の容器は、酵素基質のようなラベルされたプロー
ブの局在化に有用な試薬を含む。更に他の容器は、制限酵素、緩衝液などを、使
用説明書と共に含む。
【0035】 当業者は、ウィルスDNAの複製およびビリオン粒子内へのウィルスDNAのパッケ
ージングには、ウィルスDNAの3つの領域だけがシスにおいて必要であることが周
知であることを評価している。これらは左側逆方向末端反復またはITR(1〜約103
bp)、パッケージングシグナル(約194〜358 bp)(HearingおよびShenk, 1983, C
ell 33: 695-703; GradeおよびHearing 1992, J. Virol. 64: 2047-2056)および
右側ITRである。トランスにおいて機能するタンパク質をコードするウィルスゲ
ノムの領域では、2つがアデノウィルスベクターの設計および開発に最も重要と
なっている。これらは、約76〜86 mu(mu=従来のように配向されるゲノムの左側
端からの距離%)に位置する早期領域3(E3)および約1〜11 muの間に位置する早期
領域1(E1)である。E3配列は、培養細胞におけるウィルスの複製に必須でないと
長く考えられており、多数のウィルスベクターがE3配列を欠損しており、その結
果、外因性DNAの挿入のための得られるベクター骨格の能力が野生型ウィルスに
よって許容されうるものより有意に増加する(Bett, A. J., Prevec, L.,およびG
raham, F. L.「ヒトアデノウィルス5型ベクターのパッケージング能力および安
定性(Packaging capacity and stability human adenovirus type 5 vectors.
)」J. Virol. 67: 5911-5921, 1993)。E1は必須機能をコードする。しかし、得
られるウィルスが293細胞系統、PER-C6細胞、911細胞などの宿主細胞であって、
E1遺伝子を含有して発現しE1(-)ウィルスの欠損を補完することができる宿主細
胞中で増殖する場合にはE1も欠損してもよい。
【0036】 E1配列の代わりに外因性DNAが挿入され、必要に応じてE3配列が欠損するウィ
ルスは、従来、「第1世代」アデノウィルスベクターとして周知である。第1世代
ベクターは多数の用途への利用性が証明されている。それらは、多数の組織およ
び多数の種に由来する哺乳類細胞中に外因性遺伝子を高い効率で導入し、発現す
る研究ツールとして使用されている。第1世代のベクターは、ベクターが病原生
物から誘導される抗原を含有し、発現する場合には、組換えウィルスワクチンを
開発する際に使用することができる。これらのベクターは、インビボにおいて外
因性遺伝子を効率的に導入し、発現する能力のため、および多数の異なる組織に
おいて複製細胞および非複製細胞を形質導入する能力のために、遺伝子治療に使
用することができる。アデノウィルスベクターはこれらの用途に広範に使用され
る。
【0037】 アデノウィルスベクターを構築するための多数の既知の方法がある。上記に考
察されているように、最も一般的に使用されている方法の1つは、いわゆる、「2
プラスミド」技法である。その手法では、以下の特性を有する2つの感染性のな
い細菌プラスミドが構築される:各プラスミドの単独では感染性ウィルスを作製
することができない。しかし、組み合わせたとき、含有されるウィルス配列が相
同組換えされて完全な感染性ウィルスDNAを構成する場合には、プラスミドはお
そらく感染性ウィルスを作製することができる。その方法によると、典型的には
一方のプラスミドは大型(約30,000〜35,000 nt)で、ウィルスゲノムのほとん
どを含有し、その欠損によりプラスミドが感染性ウィルスを作製することができ
ない(パッケージングシグナルを含むまたは必須遺伝子をコードするものなどの
)DNAセグメントを貯蓄している。第2のプラスミドは典型的には比較的小さく(
例えば、5000〜10,000 nt)、小さいサイズは、組換えDNA技法によるプラスミド
DNAの操作の助けとなる。第2のプラスミドは、より大きいプラスミドに存在する
配列と部分的に重複するウィルスDNA配列を含有する。より大きいプラスミドの
ウィルス配列と共に、第2のプラスミドの配列はおそらく感染性ウィルスDNAを構
成することができる。2つのプラスミドの宿主細胞への同時トランスフェクショ
ンは、2つのプラスミドに共通の重複ウィルスDNA配列間の相同組換えの結果とし
て感染性ウィルスを作製する。当業者に一般に使用される特定のシステムは、ベ
ット(Bett, A. J.)、ハダラ(Haddara, W.)、プレベック(Prevec, L.)およびグ
ラハム(Graham, F. L.):「初期領域1および3における挿入と欠失によるアデ
ノウィルスベクターの構築のための効果的で適応性のあるシステム(An efficie
nt and flexible system for construction of adenovirus vectors with inser
tions or deletions in early regions 1 and 3)」、Pro. Natl. Acad. Sci.,U
SA91: 8802-8806, 1994および米国特許出願第08/250,885号によって記載されて
おり、および国際公開公報第95/00655号(参照として本明細書に組み入れられて
いる)として公開されているpBHG10、pBHG11およびpBHGE3として周知の一連の大
型のプラスミドに基づいている。それらのプラスミドはウィルスゲノムのほとん
どを含有しており、野生型ウィルスゲノムの左側末端に位置するパッケージング
シグナルが欠損する以外は感染性ウィルスを作製することができる。そのシステ
ムの第2の構成要素は、パッケージングシグナルを含むAdゲノムの左側約340 nt
、必要に応じてポリクローニングサイトまたは必要に応じて発現カセット、およ
びそれに次いで、E1の右側末端付近から約15 muまで、または必要に応じてゲノ
ムのさらに右側の地点までのウィルス配列を含有する一連の「シャトル」プラス
ミドを含む。E1の右側のウィルス配列はpBHGプラスミドの配列と重複し、同時ト
ランスフェクトした宿主細胞における相同組換えを介して、感染性ウィルスを作
製する。得られるウィルスは、シャトルプラスミドに由来するパッケージングシ
グナル、並びにパッケージングシグナルと重複配列の間のシャトルプラスミドに
位置するポリクローニングサイトまたは発現カセットに挿入される外因性DNAな
どの任意の配列を含有する。プラスミド単独ではどちらも複製ウィルスを作製す
る能力を持たないので、感染性ウィルスベクターの子孫は、同時トランスフェク
トした宿主細胞内での組換えの結果としてのみ生ずることができる。組換えを実
施するための部位特異的な方法も、本発明を実施する場合に使用することができ
る。
【0038】 hdAdを使用することにより、第1世代のAdベクターと比較して、導入遺伝子の
発現が延長し、免疫および炎症応答が低下することが示されている(Morral ら、
1988、Morseyら、1998、Scheidnerら、1998)。HdAdsは他の有用なAdベクター特
性、主にベクターの増殖および精製中のビリオンの安定性、ならびに複製および
静止細胞の高い形質導入効率を保持すると同時に、第1および第2世代のAdsに関
して生ずる障害および懸念のいくつかを排除している。
【0039】 本発明の開示内容は、導入遺伝子の発現レベルが経時的に低下する場合には、
別の血清型のhdAdsを使用することにより、同一の遺伝子型のベクターの再投与
が可能になることを実証している。本発明者らの実験では、最初の動物の免疫化
に使用するベクターが保有するものと異なるレポーター遺伝子を用いて反復投与
を実施したことに注目することが重要である。ベクター持続性(従って、導入遺
伝子の発現)は、ベクターおよび導入遺伝子に対する免疫応答によって影響され
るので(Daiら、1995、Dongら、1996、Trioathyら、1996、Christら、1997、Mic
houら、1997、Morralら、1997)、hdAdを使用したベクター再投与の有効性は、
主に、治療用遺伝子の免疫原性に依存する。従って、本発明の開示内容は、導入
遺伝子の影響が存在しない場合、別の血清型のhdAdの逐次的な使用がベクター再
投与の効果的な方法であることを実証している。従って、免疫原性が低い産物を
コードする治療用遺伝子を本発明の開示内容により反復的に投与することができ
る。また、免疫応答が望ましい特定の遺伝子産物をコードする遺伝子の反復投与
であるワクチン用途、または第2、第3、第4等の遺伝子の投与が望ましい場合に
は、ベクターに対する以前の暴露によって誘発される望ましくない免疫応答を克
服できることが高く望まれる。
【0040】 本発明を一般的に記載するとき、以下の具体的な実施例は本発明の追加の記載
された例示的な説明およびその最良の形態を含む、本発明を実施する方法を提供
する。しかし、当業者は、これらの実施例に開示されている本発明の説明の改良
および変更は本発明の本質的な特徴から逸脱することなく加えることができ、そ
れらは添付の請求の範囲およびその等価物によって規定されることを理解してい
る。
【0041】実施例1 細胞およびウィルスの培養: 全ての細胞培養培地および試薬はギブコ ラボラトリーズ(Gibco Laboratorie
s)(Grand Island, NY)から入手した。293(Grahamら、1977)およびA549(ヒト肺癌
、ATCC CCL 185)細胞を、ウィルス感染後に100 Uのペニシリン/ml、100 mgのス
トレプトマイシン/ml、2.5 mgのフンギソン/ml、細胞維持のための10%ウシ胎仔
血清、または5%ウマ血清を補給したF-11最小必須培地中で単層増殖させた。以前
に記載したように、組換えAdヘルパーウィルスを増殖し、293細胞で滴定した(H
ittら、1995)。安定にCreリコンビナーゼを発現する293-由来細胞系統、293Cre
4(Chenら、1996)を、0.4mg/mlのG418を補給した完全F-11培地で増殖した。
【0042】実施例2 ヘルパー依存的アデノウィルスベクター構築物: 図1を参照すると、pRP1045(鎖状の形態で示す)は全てのAdタンパク質コー
ド配列を欠損しているが、Ad5頭部-尾部逆方向末端反復(ITR)接合部およびパッ
ケージングシグナルを含有し、マウスサイトメガロウィルス即時型プロモーター
およびシミアンウィルス40ポリアデニル化配列の調節下で大腸菌(E. coli)β-ガ
ラクトシダーゼ遺伝子をコードする。pRP1045はまた、効率的なAd DNAパッケー
ジングの範囲内に得られるベクターのサイズを維持するために、スタッファとし
てヒトヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)遺伝
子の〜22 kb断片を含有する(ParksおよびGraham 1997)。pRP1050はpRP1045とほ
ぼ同じであるが、HPRT配列から1.2 kbのStuI断片を欠損しており、得られるベク
ター(AdRP1045およびAdRP1050)は本質的に同一の発現特性を有する。pRP1046はp
RP1050と構造がほぼ同じであるが、lacZ遺伝子の代わりにヒト分泌型アルカリホ
スファターゼ遺伝子(hSEAP, Tropix)のcDNAをコードする。HPRTゲノム配列はベ
ット博士(Dr. Andrew J. Bett)(Merck Reseach Laboratories, West Point, P
A)から入手した。全てのhdAdベクターは、以前に記載したように(Parksら、1996
, ParksおよびGraham 1997)、293 Cre4細胞において適当なヘルパーウィルスを
使用して増幅し、全てのhdAdベクターのDNA構造は、ビリオンから単離したDNAの
制限消化分析によって確認した。各ベクターの力価は、1 mlあたりの形質導入し
た粒子の数または青色形成単位(BFU)として293細胞で測定した。AdRP1046では、
粒子:形質導入した粒子の比を100:1として、分光光度(1A260=1 mlあたり1.1×10 12 粒子)によって測定したときの総粒子数を使用して形質導入した粒子の数を推
定した。明確にするために、hdAdは適当な血清型を用いて命名した。例えば、Ad
5RP1050およびAd2RP1050は、それぞれ、Ad5LC8clucおよびAd2LC8cCARPを使用し
て作製した。
【0043】実施例3 ヘルパー依存型アデノウィルスベクターの作製: 以前に記載したように、ヘルパー依存型Adベクターを増殖し、滴定した(Park
sら、1996)。pRP1045は全てのAdタンパク質コード配列を欠損するhdAdであるが
、Ad5頭部-尾部逆方向末端反復(ITR)接合部およびパッケージングシグナル並び
に、マウスサイトメガロウィルス即時型プロモーターおよびシミアンウィルス40
ポリアデニル化(pA)配列の調節下で大腸菌(E. coli)β-ガラクトシダーゼを含
有する(図1[2])。効率的なDNAパッケージングの範囲内外にベクターのサイ
ズを維持するために(〜28 kb、ParksおよびGrahama 1997)、pRP1045はまた、別
の文献に記載するように(Parks ら、提出中)、ヒトヒポキサンチン-グアニン
ホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)遺伝子に由来する原核細胞DNAの〜22
kb断片を含有する。pRP1050はpRP1045と実質的に同じであるが、HPRT配列から1.
2 kbのStuI断片を欠損しており、pRP1045と同一の発現特性を有する(R. J. P.お
よびF. L. G.、未発表のデータ)。pRP1046はpRP1050と構造がほぼ同じであるが
、lacZ遺伝子の代わりにヒト分泌型アルカリホスファターゼcDNA(hSEAP, Tropix
)を含有する。明確にするために、hdAdは適当な血清型を用いて命名した。例え
ば、Ad5RP1050およびAd2RP1050は、それぞれ、Ad5LC8clucおよびAd2LC8cCARPを
使用して作製した。Ad2RP1046では、ベクターの力価は、1A260=1.1×1012粒子と
して、吸光光度によって測定した。
【0044】実施例4 Ad2に基づいたCre/loxPヘルパーウィルスの構築: Ad2に基づいたヘルパーウィルス、Ad2LC8cCARPは、分子クローニングおよびイ
ンビボにおける遺伝子組み換え技法を使用して構築した(図2A)。pLC8cは、ヘ
ルパーウィルスの「左側端」(すなわち、左側ITRおよびフロックスされた(flo
xed)パッケージングシグナル)を提供するために使用され、以前に記載されて
いる(Parksら、1996)。最初に、プラスミド内に含有されるAd5配列を削減する
ために、pLC8cからAatII断片を除去した。得られるプラスミド、pCE10を、PshAI
で消化したAd2ゲノムDNAと共に293細胞に同時トランスフェクトした。得られる
ウィルスを、Ad2ウィルスに由来するタンパク質コード配列の大多数を含有する
ものについて制限分析によってスクリーニングした。Ad2LC8cと命名した1つのウ
ィルスは、従来のAd2マップの9622 bpに位置するMfeI部位とAd5マップの7882 bp
に位置するBspHI部位との間の組換え事象によって生じた。従って、Ad2LC8cにお
いて、ビリオンキャプシドタンパク質の全てのコード配列は、pIXを除いて、Ad2
から誘導される。
【0045】 hdAdの力価を増加するためには多数回の逐次的な継代が必要であるので、複製
能力アデノウィルス(replication competent adenovirus)(RCA)の形成が問題と
なる。一旦作製されると、RCAは迅速にベクターを増殖し、高度に混在したベク
ターストックを形成することがある。本発明者らは、ヘルパーウィルスと293ま
たは293Cre細胞に含有されるAd5配列との組換えにより、Adビリオンのパッケー
ジング限界上限を上回る(野生型ゲノムの約105%、Bettら、1993)ウィルスが形
成されるように、E3領域内に「スタッファー」セグメントを含ませることにより
、RCAの可能性を排除することができることを示している(Parksら、1996)。従っ
て、本発明らは、以下のように、E3領域内に位置するλDNAの断片を含有するAd2
-に基づいたスタッファープラスミドを設計した(図2B)。Ad2の右側40マップ
を含有するpFG28(F. L. G., 未発表)をPacIで消化し、pABS1(Neor, Bett 1995
)の独自のBamHI部位にクローニングしたλDNAの5.6 kbの断片(従来のλマップ
の22346〜27972 bp)を含有する、PacI消化したpCARPABS1にライゲーションした(
Addison 1997)。得られたプラスミド、pFG28CARPをHpaIで部分的に消化して、ネ
オマイシン耐性遺伝子、λDNAの一部、およびpABS1に由来する他の細菌配列を欠
失させ、再循環して(recircularized)、pFG28CARPcを作製した。Ad2LC8cにス
タッファーセグメントを導入するために、Ad2LC8cビリオンから単離したDNAをSr
fIで消化して、293細胞にpFG28CARPcと共に同時トランスフェクトした(図2B)
。得られるウィルスを、E3領域内にλスタッファーセグメントを含有するものに
ついて制限酵素分析によってスクリーニングし、Ad2LC8cCARPと命名した陽性試
料を単離し、その後の実験に使用した。
【0046】Ad2に基づいたヘルパーウィルスの作製: hdAdがインビトロおよびインビボにおいて細胞を効率的に形質導入することが
でき、第1世代のAdベクターと比較して、細胞性および炎症反応が劇的に低下し
た長期導入遺伝子発現を生ずることができることを本発明者らは以前に示した(S
chiednerら、1998、Morsyら、1998、Morralら、1998)。hdAd DNAは非分裂細胞お
よびサイクルが遅い細胞内において長期に存続するが、Ads(およびhdAds)のエ
ピソーム性は、ベクターDNAが最終的には細胞から消失することを意味する場合
がある。従って、hdAdsは、第1世代Adsで観察されるより長期にわたって導入遺
伝子を発現することができるが、導入遺伝子発現レベルを「追加する」ためには
、反復ベクター投与が必要になる場合がある。ビリオンタンパク質の処理および
提示によって生ずると思われる、免疫化した動物における中和抗体の形成は、第
1世代のAdベクターで見られるように、hdAdsの反復投与の有効性を低下させると
思われる。同じサブグループ(Mackら、1997、Royら、1998、A. L. Beaudet、未
発表の結果)または異なるサブグループ(Mastrangeliら、1996、Kass-Eislerら
、1996)のいずれかの別のAd血清型を使用することにより、第1世代のベクター
の投与が可能になる。従って、本発明者らは、(1)本発明者らのAd5に基づい
たヘルパーウィルスとは異なる血清型に基づいたヘルパーウィルスを構築して、
特徴づけし、(2)異なる血清型から誘導されるベクターを逐次的に使用するこ
とにより効率的なhdAdベクターの再投与が可能になるかどうかを判定することを
行った。
【0047】 Ad2LC8cCARPは、「フロックスされた(floxed)」パッケージングシグナルを含
む、本発明者らの以前のヘルパーウィルスAd5LC8clucと同一のAd5左側末端を含
有する。従って、本発明者らは、パッケージングシグナル(Ψ)のCreを介する切
断の効率は2つのウィルスでほぼ同じであると予測してもよいと考えている。293
Cre4細胞の切除を試験する実験は、Ψは、Ad5LC8clucで観察されたものと同様の
効率で実際にAd2LC8cCARPから切断されたことを示した。従って、Ad2LC8cCARPは
、本発明者らのCre/loxP系において同等に効果的なヘルパーウィルスとして作用
するはずであり、得られるベクターストックのヘルパーウィルス混在は非常に低
いレベルとなる。
【0048】 Ad2LC8cCARPは、pIKを除いて、Ad2から誘導される全ての構造タンパク質をコ
ードする。pIX遺伝子はE1にすぐ隣接して配置され、中和抗体活性の主要な標的
であるとは報告されていない少数のビリオン構造要素をコードし(Wohlfart 1988
、Gahery-Segardら、1998)、2つの血清型間で高度に保存されている(139のアミ
ノ酸のうち138のアミノ酸がAd2およびAd5 pIX間で同一である)。従って、本発明
者らの「Ad2」hdAdベクター中にAd5-pIXが存在しても、抗Ad5抗体の存在下で細
胞を形質導入する能力を妨害するはずがない。本発明者らはまた、RCA形成を防
止するために、スタッファーとしてAd2LC8cCARPのE3領域内にλDNAの断片を含有
させた。293または293Cre細胞中に含有されるAd5配列とAd2LC8cCARPが組換える
なら、Ad DNAパッケージングの上限を遙かに上回る約39 kbのビリオンを形成す
ると思われる(Bettら、1993)。結果として、本発明者らの早期のヘルパーAd5L
C8clucの場合と同様に、本発明者らは、本発明者らのヘルパーウィルス調製物中
およびAd2LC8cCARPを使用して作製したベクターのストック中ではRCAを観察しな
かった。
【0049】Ad2LC8cCARPを使用したhdAdの増幅: Ad2LC8cCARPが、Ad5LC8clucと同じ効率でhdAdを増幅することができるかどう
かを判定するために、本発明者らは、5μgのpRP1050を用いて293Cre細胞の60mm
の培養皿を2重にトランスフェクトし、翌日、Ad2LC8cCARPで5 moiの程度に単層
に感染させた。完全なCPE(約72時間)後、単層を培地から回収し、凍結/融解し、
融解物の一部をlacZ-形質導入粒子について分析した。Ad2RP1050は、トランスフ
ェクトしたDNA 1 pmolあたり約400bfuの頻度でレスキューされ、これはAd5LC8cl
ucを使用した同じサイズのプラスミドで以前に観察された効率とほぼ同じであり
(ParksおよびGraham 1997)、Ad2LC8cCARPは、293Cre4細胞における効果的なヘ
ルパーウィルスとして実際に作用することができることを示唆している。次いで
、本発明者らは、ベクター増幅の動態を求めるために、Ad2LC8cCARPに感染した2
93Cre細胞において粗融解物の一部(500 μl)を逐次的に継代培養した。図3に
示すように、Ad2RP1050は、Ad5LC8clucヘルパーウィルスで以前に観察されたも
のと同様の速度で(R. J. P.およびF. L. G.、未発表の結果)、Ad2LC8cCARPを
使用して増幅され、ヘルパーウィルスに感染した293Cre細胞での4回の逐次的な
継代培養後に3.4×107bfu/mlに到達した。Ad2RP1050の大規模作製を実施し、20
枚の150mm培養皿から3×1011bfuを得、ヘルパーウィルス混在は3.2×107pfu/ml
(Ad2RP1050力価の〜0.02%)であった。本発明者らは、Ad2LC8cCARPは、Ad5LC8c
lucと同様の効率で、293Cre4細胞のヘルパーウィルスとして作用することができ
ると結論づける。
【0050】hdAd2に対するAd5中和抗体の影響: 理論では、Ad2血清型に基づいたhdAdは、Ad5中和抗体に影響されないはずで、
Ad5に基づいたhdAdで以前に処理した動物に対するベクターの再投与を可能にす
る。Ad2RP1050が、Ad5に対して形成される抗体に感受性であるかどうかを判定す
るために、106bfuのAd2RP1050、Ad5RP1045またはAd5CA35をAd5-中和血清の段階
希釈液と共にインキュベーションし、次いでA549細胞を感染するために使用した
。24時間後、粗細胞抽出物を感染した細胞から調製し、β-gal活性についてアッ
セイした。このアッセイ法では、感染性はβ-galと直接相関しており、従って、
抗体によるベクターの中和に対応してβ-gal活性が低下する。Ad5CA35およびAd5
RP1045は共にAd5抗体とインキュベーションすることによって中和され、最も高
い抗体濃度ではβ-gal活性はほぼ100倍低下した(図4)。一方、Ad2RP1050では
β-gal活性(またはウィルス感染性)の低下は見られなかった。これらの結果は
、Ad2LC8cCARPから誘導され、Ad2RP1050に存在するビリオンタンパク質成分はAd
5中和抗体に感受性でないことを示している。
【0051】実施例5 導入遺伝子発現試験: 細胞試料を調製する方法およびβ-galについてのアッセイ法は別のところで記
載されており(Parksら、提出中)、当技術分野において周知である。hSEAP活性
のアッセイを、アッセイ前に血清試料を加熱処理しないことによりAP活性のバッ
クグラウンドレベルのわずかな上昇がもたらされたことを除いて、製造業者(Tr
opix)により記載されているように化学発光キットを使用して実施した。インビ
ボにおける発現試験では、雌のFVB/nマウスの成獣(Harlan)に尾静脈を介して5×
1010粒子のベクターを200ulの容量で注射した。注射後の種々の時点で、眼窩採
血により血液試料を回収し、4℃で一晩インキュベートし、微小遠心管で16,000
×gで5分間の遠心分離を2回行うことによって血清を透明にした。実験終了時ま
で-70℃で血清試料を保存した。マウスの肝臓におけるβ-galレベルの調製法お
よび分析法は周知である。
【0052】インビトロにおける導入遺伝子の発現: Ad2RP1050およびAd5RP1050は遺伝的に同一であり、実質的に同一の発現特性を
有すると予測されるが、細胞形質導入の効率は異なるビリオンキャプシドタンパ
ク質の存在によって影響されると思われた。ビリオン内に含有されるタンパク質
外殻またはコアタンパク質のわずかな違いは、hdAd DNAの核への輸送の効率に影
響するか、またはプロモーター活性に影響しうる。従って、本発明者らは、形質
導入されたA549細胞におけるAd2RP1050およびAd5RP1050の導入遺伝子発現を試験
した。E1-欠損した第1世代ベクターはこれらの細胞における生産的感染を受けな
いので、本発明者らはA549を選択し、本発明者らの導入遺伝子発現の経時的な分
析は、少量のヘルパーウイルスの存在によって妨害されないと思われた。60mm培
養皿における単層のA549細胞を106bfuのAd2RP1050またはAdRP1050で二通り形質
導入し、形質導入後種々の時点で粗タンパク質抽出物を調製してβ-gal活性につ
いて分析した。hdAd2-lacZベクターおよびhdAd5-lacZベクターは、実験期間中イ
ンビトロにおいて実質的に同一の発現特性を有した(図5)。本発明者らは、Ad
2またはAd5に基づいたヘルパーウイルスを使用して作製されたhdAdは、インビト
ロにおいて同一の形質導入効率および導入遺伝子発現特性を有すると結論づける
【0053】インビボにおける導入遺伝子の発現: 次に、本発明者らは、hdAd2がインビボにおいてマウス肝細胞を形質導入する
能力を試験した。本発明者らは、5×1010粒子のAd2RP1046を尾静脈を介してFVB/
nマウスに注射し、形質導入後種々の時点での動物の血清中のhSEAPレベルを測定
した。尾静脈を介したAdベクターの注射により、ベクターの大多数が肝臓に送達
され、肝臓中に保持され、肝細胞の形質導入効率が高くなり(Guoら、1996)、
形質導入された細胞から効率的に分泌されるタンパク質については、処理された
動物の血清中の高レベルの導入遺伝子産物がもたらされる(Morralら、1998、Mo
rseyら、1998、Scheidnerら、1998)。図6に示すように、形質導入された動物
の血清中には高レベルのhSEAPが検出された。対照のAdベクターを注射したマウ
スでは、おそらくわずかな肝毒性のために、血清APレベルがわずかに増加しただ
けであった(バックグラウンドの約3倍、データは示していない)。最大レベル
の発現(血清1mlあたり約14 ng)が、ベクター注射から1週間以内に得られ、約2
週間一定に維持され、3週間以内にバックグラウンドのレベルまで低下した。最
大レベルのタンパク質発現は、同一の発現カセットをもつ第1世代のAdベクター
で観察されるものと同様であった(血清1mlあたり〜10ng, G.Maelandsmo, R.J.P
.及びF.L.G.、未発表の結果)。hSEAP発現の期間(〜14日)は、潜在的に免疫原
性な導入遺伝子をコードするhdAdを用いた他の試験において観察されたものと一
致している(Parksら、提出中)。本発明者らは、Ad2ヘルパーウイルスを使用し
て作製されたhdAdsは、インビボにおいて効率的に細胞を形質導入することがで
き、Ad-5に基づいたhdAdと同様に、高いレベルの導入遺伝子発現をもたらすこと
ができると結論づける。
【0054】実施例6 ウィルス中和アッセイ法: これらの実験に使用したAd5中和抗体は、第1世代Ad5ベクターを注射すること
によってウサギにおいて作製し(M. AntonおよびF. L. Graham、未発表)、Ad2
抗体は、血清型2hdAdを注射することによってマウスにおいて作製した。当業者
は、中和抗体は、野生型Ad2またはAd5ウィルスを注射することによってマウスま
たはウサギまたは他の動物においても作製することができることを評価している
。全て同一のβ-gal発現カセットを含有する、第1世代のAdベクター(Ad5CA35,
Addisonら、1997)、Ad5RP1045、AdRP1050またはAd2RP1050の一部(100 μl中10 6 bfu)を抗体含有血清の段階希釈液(100 μl)と共にインキュベーションした
。37℃において1時間後、処理したベクターを使用して、22mmの培養皿のA549細
胞を1時間感染し、単層をPBSで2回洗浄し、維持培地に交換し、細胞内に存在す
るβ-galの量を24時間後にアッセイした。このアッセイ法では、細胞内に作製さ
れるβ-galの量は細胞形質導入の効率と直接相関する。
【0055】hdAd2-免疫動物における中和抗体の産生: 次に、本発明者らは、hdAd2で免疫した動物がAd2に対する中和抗体を産生する
かどうか、およびこれらの抗体がhdAd5に何らかの影響を持つかどうかを判定す
ることを希望した。従って、本発明者らは、5×1010粒子のAd2RP1046を静脈内注
射したマウスから注射後28日目に採取した血清を、Ad2またはAd5に対する中和抗
体について分析した。血清試料を段階希釈し、ならびにAd2RP1050またはAd5RP10
50と共にインキュベーションし、ならびに得られたベクターを、上記のように、
A549細胞を形質導入する能力、およびlacZを発現する能力についてアッセイした
。Ad2RP1046で免疫化した動物はすべてAd2に対する中和抗体を産生し、検討した
もっとも高い抗体濃度ではAd2RP1050形質導入が30〜100倍低下した(図7)。一
方、Ad5RP1050には全く影響がなく、hdAd2で免疫した動物は、Ad2に特異的な抗
体を産生したことを示している。従って、別の血清型に基づいたヘルパー依存型
Adベクターは、第1世代のAdベクターのように、表面抗原の提示に関しては、同
じ一般的なビリオン特性を有すると思われる。これらの観察に基づいて、本発明
者らは、別のAd血清型に基づいたhdAdを使用することにより、ベクターの再投与
が可能になることを予測してもよいと思われる。
【0056】別の血清型のhdAdを使用することにより、反復ベクター投与が可能になる: hdAd2で免疫したマウスはAd2に対する抗体を産生し、それらの抗体はAd5と交
差反応しないので、次に、本発明者らは、hdAd2で事前に免疫したマウスへのhdA
d5のその後の送達は、Ad2に対する中和抗体の影響を克服し、hdAd2の再投与と比
較して導入遺伝子の発現レベルが高くなるかどうかを測定した。マウスを1010
子のAd2RP1046で免疫し、90日後に、108bfuのAd2RP1050またはAd5RP1050のどち
らかを注射した。対照として、未処理の動物に平行して同じセットのlacZ発現ベ
クターを注射した。lacZベクターの投与後3日目および6日目に、動物を犠牲にし
、肝臓を切除し、β-gal活性についてアッセイした。Ad2に対して免疫化した動
物への血清型2ベクターの投与により、未処理の動物と比較して、3日目に導入遺
伝子発現が30倍以上低下し(組織あたり4.0×105rlu対2.1×107rlu)、注射後6日
目に100倍低下した(組織あたり2.5×105rlu対2.6×107rlu)(図8A)。一方、
驚くべきことに、再投与したベクターが異なる血清型である場合には、未処理の
動物と比較して導入遺伝子発現の低下は観察されなかった(図8B)。興味深いこ
とに、本発明者らは、第1世代のAdベクターを使用した同様の処理で観察された
ように(Mackら、1997)、hdAd2-hdAd5処理では、3日目と6日目のlacZの発現の
低下を観察しなかった。マック(Mack)ら(1997)によって観察された発現の低
下は、細胞性免疫過程に寄与しており、どちらのhdAdもこのような破壊的過程も
誘発しないし、または不十分な標的であることを示唆している。
【0057】参照
【図面の簡単な説明】
【図1】 pRP1045(直線上の型で示す)は全てのAdタンパク質コード配列
を欠損しているが、Ad5頭部-尾部(head-to-tail)逆方向末端反復(ITR)接合部
およびパッケージングシグナルを含有し、かつマウスサイトメガロウィルス即時
型プロモーターおよびシミアンウィルス40ポリアデニル化配列の調節下で大腸菌
(E. coli)β-ガラクトシダーゼ遺伝子をコードする。pRP1045はまた、得られる
ベクターのサイズを効率的なAd DNAパッケージングのための範囲内に維持するた
めに、スタッファー(stuffer)としてヒトヒポキサンチン-グアニンホスホリボ
シルトランスフェラーゼ(HPRT)遺伝子の〜22 kb断片を含有する(Parks及びGraha
m 1997)。pRP1050はpRP1045と類似しているが、HPRT配列由来の1.2 kbのStuI断
片を欠損しており、得られるベクター(AdRP1045およびAdRP1050)は本質的に同一
の発現特性を有する。pRP1046はpRP1050と構造が類似しているが、lacZ遺伝子の
代わりにヒト分泌型アルカリ性ホスファターゼ遺伝子(hSEAP, Tropix)のcDNAを
コードする。HPRTゲノム配列を、アンドリュー J. ベット博士(Dr. Andrew J.
Bett)(Merck Reseach Laboratories, West Point, PA)から入手した。全てのhd
Adベクターを、以前に記載したように(Parksら、1996, Parks及びGraham 1997)
、293 Cre4細胞中で適当なヘルパーウィルスを使用して増幅し、全てのhdAdベク
ターのDNA構造を、ビリオンから単離したDNAの制限酵素消化分析によって確認し
た。各ベクターの力価を、1 mlあたりの形質導入粒子数または青色形成単位(BFU
)として293細胞において測定した。分光光度的に測定した場合(1A260=1 mlあた
り1.1×1012粒子)、AdRP1046に関しては、粒子:形質導入粒子の比を100:1と仮定
して、総粒子数を使用して形質導入粒子の数を推定した。明確にするために、hd
Adは適当な血清型を用いて示した。例えば、Ad5RP1050およびAd2RP1050は、それ
ぞれ、Ad5LC8clucおよびAd2LC8cCARPを使用して作製された。
【図2】 Ad2LC8cCARPの構築。図A:loxP-隣接パッケージングシグナルを用
いてAd2ウィルスを作製するための戦略。図B:Ad2LC8cのE3領域内のスタッファセ
グメントを解放するための戦略。Ad2LC8cCARPを、材料と方法の項に詳細に記載
するように、分子クローニングおよびインビボ組換え技法の組み合わせによって
構築した。最終的なウィルス構築物であるAd2LC8cCARPは、339bp〜3533bpの間の
Ad配列(E1)を欠損しており、loxP部位に隣接するパッケージングシグナルを含有
する。Ad2LC8cCARPはまた、E3領域内に挿入されたλDNAの5.6 kb断片も含有する
。Adゲノムの領域は、Ad2起源またはAd5起源であるかどうかによって、および従
来のAd2マップまたはAd5マップによる適当なヌクレオチド数によって、図示され
る。ウィルス構築に使用される制限酵素部位もまた示す。Ad5パッケージングシ
グナル(Ψ)、loxP部位(黒い三角)、Ad5ITR(黒い矢印)。
【図3】 Ad2LC8cCARPを使用したAd2RP1050の増幅。以前に記載したように
(Parksら、1996)、それぞれの連続的な継代の後、得られる粗ベクター溶解物の
アリコートを、lacZ-形質導入粒子(青色形成単位bfu)の存在について滴定した
。増幅を二通り実施し、平均bfu/mlを示す。
【図4】 hdAd2またはhdAd5に対するAd5中和抗体の影響。Ad5中和抗体の連
続希釈物を、E1領域の代わりに同一の発現カセットを含有する第1世代Adベクタ
ーである、106bfuのAd2RP1050もしくはAd5RP1045、または106pfuのAd5CA35と共
に1時間インキュベートした(Addisonら、1997)。得られるベクターを使用してA5
49細胞の22mmの培養皿を感染させ、形質導入後24時間においてβ-galの量をアッ
セイした。このアッセイを使用すると、発現されたβ-galの量はベクターの形質
導入効率(すなわち、力価)に比例する。
【図5】 Ad2に基づく、およびAd5に基づく、hdAd由来のインビトロにおけ
る発現。Ad2RP1050およびAd5RP1045は構造が類似しており、同一のMCMV-lacZ発
現カセットを含有するが、それぞれ、Ad2LC8cCARPおよびAdLC8clucを使用して作
製された。60mm培養皿のA549細胞の単層を106bfuのベクターにより二通り形質導
入ぢ、形質導入後種々の時点で粗タンパク質溶解物を調製し、β-gal活性につい
てアッセイした。二通りの試料の平均を示す。
【図6】 hdAd2からのインビボにおける発現。FVB/nマウス成獣に、5×101 0 粒子(約5×108形質導入粒子)のAd2RP1046を尾静脈を介して注射した(n=6)
。注射後種々の時点で、眼窩採血によって血液試料を回収し、血清を単離した。
血清のアリコートを、化学発光アッセイを使用してhSEAP活性についてアッセイ
し、精製hSEAPの検量線と比較して、各試料中のhSEAPの量を決定した。全てのマ
ウスの平均hSEAPを報告する。
【図7】 hdAd2で免疫化された動物におけるAd2特異的中和抗体の形成。FV
B/nマウス成獣(n=3)に5×1010粒子のAd2RP1046を尾静脈を介して注射した。注
射後28日目に、材料と方法の項に記載されるように、血清試料を回収し、Ad中和
抗体についてアッセイした。抗体の連続希釈物をAd2RP1050(図A)またはAd5RP105
0(図B)と共に1時間インキュベートし、A549細胞における形質導入効率につい
てアッセイした。3匹全てのマウスのデータを示す。
【図8】 同じ血清型(hdAd2)または別の血清型(hdAd5)のどちらかを使用し
て予め免疫化されたマウス(hdAd2)からの導入遺伝子の発現。FVB/nマウスを10 10 粒子のAd2RP1046で免疫化し、90日後に、108bfuのAd2RP1050またはAd5RP1050
を静脈内注射した。第2のベクターを投与してから3日または6日後に、マウスを
殺し、β-galに関して肝臓をアッセイした。各バーは2匹のマウスの平均を示し
、エラーバーは最大値を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 パークス ロビン カナダ国 オンタリオ州 オタワ ホブソ ン ロード 2569 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA80 CA04 DA02 DA03 EA02 FA02 GA11 HA17 4B065 AA93X AA95X AA95Y AB01 BA02 CA44 4C084 AA13 NA14 4C087 AA01 AA03 BC83 CA12 NA14

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)アデノウィルスタンパク質コード配列を実質的に欠損す
    るが、レシピエント細胞におけるその発現が望まれる、遺伝子および発現制御配
    列をコードするゲノムを含む、ヘルパー依存型アデノウィルスベクター、hdAdと
    、 (b)hdAdゲノムパッケージングおよび複製を容易にするために必要な全ての機能
    をコードするが、ヘルパーアデノウィルス自体は感染性ウィルス粒子にパッケー
    ジングしない異なる血清型のヘルパーアデノウィルスと、 (c)各別個の導入段階により、段階において細胞に同時導入されるヘルパーアデ
    ノウィルスの血清型を有するパッケージングされたhdAdが作製されるように、各
    々別個の該導入段階において導入することができる該細胞と、第1の血清型のヘ
    ルパーアデノウィルスと該hdAdと、 を含むアデノウィルスベクター遺伝子送達システム。
  2. 【請求項2】 異なる血清型の該ヘルパーアデノウィルスが血清型2および
    血清型5である、請求項1記載のアデノウィルスベクター遺伝子送達システム。
  3. 【請求項3】 各該ヘルパーアデノウィルスが、少なくとも1つのlox部位に
    よって、両側に隣接するパッケージングシグナルを含む、請求項1記載のアデノ
    ウィルスベクター遺伝子送達システム。
  4. 【請求項4】 Creリコンビナーゼが細胞において発現する、請求項3記載の
    アデノウィルスベクター遺伝子送達システム。
  5. 【請求項5】 生きている生物にウィルスベクター中の遺伝子を反復導入す
    るための方法であって、ウィルスベクターの最初の投与によって該ウィルスベク
    ターに対して誘発される免疫応答が遺伝子の各反復導入にほとんどまたは全く阻
    害作用を示さない条件下において生きている生物中での該遺伝子の発現が望まし
    い方法であって、 (a)異なる血清型の一連のヘルパーアデノウィルスを作製する段階と、 (b)該遺伝子と、アデノウィルスパッケージングシグナルと、アデノウィルス左
    側ITRおよびアデノウィルス右側ITRと、該遺伝子の効率的な発現およびhdAdゲノ
    ムの効率的なパッケージングを確実にするために必要な数の追加の核酸配列とを
    コードするが、アデノウィルス遺伝子産物をほとんどまたは全くコードしないゲ
    ノムを有する、ヘルパー依存型アデノウィルスベクターを作製する段階と、 (c)本質的に感染性のないヘルパーウィルス粒子が最終的なhdAdストックに存在
    するが、該hdAdゲノムおよび第1の血清型のヘルパーアデノウィルスによってコ
    ードされるキャプシドタンパク質を含む、感染性粒子中に前記ストックが高度に
    濃縮される条件下において該hdAdゲノムおよび第1の血清型のヘルパーアデノウ
    ィルスを細胞に同時導入することによってインビトロにおいて該hdAdの第1のス
    トックを作製する段階と、 (d)各該ストックが異なる血清型のキャプシドを有する一連の感染性hdAdストッ
    クが作製されるように、段階(c)が反復される各時点において、異なる血清型の
    ヘルパーアデノウィルスを使用して、望ましい回数だけ段階(c)を反復する段階
    と、 (e)該感染性hdAdストックの異なる血清型のキャプシドを有する部分を生きてい
    る該生物に逐次的に導入する段階と を含む方法。
  6. 【請求項6】 各ヘルパーアデノウィルスが、少なくとも1つのlox部位によ
    って両側に隣接するパッケージングシグナルを含む、請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 Creリコンビナーゼが細胞において発現される、請求項6記載
    の方法。
  8. 【請求項8】 (a)アデノウィルス右側ITRと、アデノウィルス左側ITRと、
    アデノウィルスパッケージング配列を含む、ゲノム内で転写プロモーターの制御
    下において遺伝子をコードするhdAdベクターと、 (b)一連の異なる血清型のヘルパーアデノウィルスと を含むキット。
  9. 【請求項9】 各ヘルパーアデノウィルスが、lox部位によって両側に隣接
    するアデノウィルスパッケージングシグナルを含む、ゲノムを有する請求項8記
    載のキット。
  10. 【請求項10】 生きている生物に遺伝子を反復投与するための方法であっ
    て、アデノウィルスベクターに対して生きている生物に誘発される免疫応答が、
    各反復投与時に異なるキャプシド血清型を有する該アデノウィルスベクターによ
    る前記遺伝子の発現を制限しないように、各該遺伝子投与の前に該ベクターのキ
    ャプシドタンパク質血清型が改変される、アデノウィルスベクターを作製する段
    階を含む方法。
  11. 【請求項11】 遺伝子が免疫応答が生きている生物において誘発される免
    疫原性遺伝子産物をコードする、請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 遺伝子が、生きている生物に存在する遺伝的欠損を補正す
    る機能をコードする、または生きている該生物において疾患状態を治療するため
    の治療産物をコードする、請求項10記載の方法。
  13. 【請求項13】 一連の遺伝的に同一なアデノウィルスベクターの望ましい
    遺伝子をレシピエントに送達し、発現するための、一連の各メンバーが異なる血
    清型を有する、一連の遺伝的に同一なアデノウィルスベクターを作製する方法で
    あって、 (a)異なる血清型の一連のヘルパーアデノウィルスを作製する段階と、 (b)遺伝子と、アデノウィルスパッケージングシグナルと、アデノウィルス左側I
    TRおよびアデノウィルス右側ITRと、該遺伝子の効率的な発現およびhdAdゲノム
    の効率的なパッケージングを確実にするために必要な数の追加の核酸配列とをコ
    ードするが、アデノウィルス遺伝子産物をほとんどまたは全くコードしないゲノ
    ムを有する、ヘルパー依存型アデノウィルスベクターを作製する段階と、 (c)本質的に感染性のないヘルパーウィルス粒子が最終的なhdAdストックに存在
    するが、該hdAdゲノムおよび第1の血清型のヘルパーアデノウィルスによってコ
    ードされるキャプシドタンパク質を含む、感染性粒子中に前記ストックが高度に
    濃縮される条件下において、該hdAdゲノムおよび第1の血清型のヘルパーアデノ
    ウィルスを細胞に同時導入することによって、インビトロにおいてhdAdの第1の
    ストックを作製する段階と、 (d)各ストックが異なる血清型のキャプシドを有する一連の感染性hdAdストック
    が作製されるように、段階(c)が反復される各時点において、異なる血清型のヘ
    ルパーアデノウィルスを使用して、望ましい回数だけ段階(c)を反復する段階と
    、 (e)一連の遺伝的に同一な該アデノウィルスベクターを得るために、異なる血清
    型のキャプシドを有する感染性hdAdを回収する段階と を含む方法。
  14. 【請求項14】 各メンバーが請求項13記載の方法により作製される異なる
    血清型を有する、一連の遺伝的に同一なアデノウィルスベクター。
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