JP5240100B2 - 炭化珪素単結晶の製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、パワーMOSFET等の素材に利用することができる炭化珪素(以下、SiCという)単結晶の製造装置に関するものである。
従来、SiC単結晶を成長させる方法として、昇華再結晶法が広く用いられている。この昇華再結晶法は、黒鉛製の坩堝内に配置した黒鉛台座に種結晶を接合すると共に、坩堝底部に配したSiC原料を加熱昇華させ、その昇華ガスを種結晶に供給することによって種結晶上にSiC単結晶を成長させるものである。このような昇華再結晶法を用いたSiC単結晶の製造方法として、例えば特許文献1、2に示される手法がある。
特許文献1に記載の製造方法では、C面成長において、{0001}面にオフ角(1°〜15°)をもった種結晶を用いて、低密度螺旋転位領域と螺旋転位発生可能領域に分け、特に{0001}面の上流側を螺旋転位発生可能領域として凸形状でSiC単結晶を成長させている。これにより、C面ファセット、つまり原子配列で段差(ステップ)のない面に螺旋転位を形成し、ステップ成長を促進することで異種多形の発生を抑制している。
通常のSiC単結晶の製造プロセスでは、種結晶は円筒状の坩堝の中央に設置される。このため、抵抗加熱や高周波により加熱された場合は、熱伝導および熱輻射により、図16に示すような温度分布となり、中央の温度が低く円対称に加熱される。そのため、図17のSiC単結晶成長時の断面模式図および図18の種結晶位置と成長量との関係を示したグラフに表されるように、結晶中央で成長レートが大きくなり、SiC単結晶J1が凸形状になる。その際、SiC単結晶J1を長尺成長させると、C面ファセットJ2がSiC単結晶基板J3の中央に移動し、螺旋転位発生可能領域J4から外れ、異種多形J5が発生して結晶欠陥を増加させるという問題が起こる。
このため、特許文献1では、種結晶を貼り付ける台座のうち、螺旋転位発生可能領域の台座の厚みを低密度螺旋転位領域の台座の厚みに対して薄くすることで、SiC単結晶の成長表面の温度分布を坩堝の中心に対して非対称にすることを提案している。これにより、螺旋転位発生可能領域の放熱性を上げ、温度を低くし成長量を大きくすることで螺旋転位発生可能領域にC面ファセットを留めることが可能となる。
また、特許文献2でも、SiC単結晶の成長表面の温度分布を坩堝の中心軸に対して非対称にする方法が提案されている。具体的には、種結晶を坩堝内の中心に設置するのではなく、非対称な位置に設置している。このようにしても、螺旋転位発生可能領域の方が低密度螺旋転位領域よりも温度が低くなるため、螺旋転位発生可能領域の方で成長量を大きくでき、螺旋転位発生可能領域にC面ファセットを留めることが可能となる。
特開2004−323348号公報 特開平8−245299号公報
しかしながら、特許文献1の手法では、種結晶を貼り付ける台座の厚みが非対称で部分的に変わるために、貼り付けによって種結晶に加わる応力に差ができてしまい、成長後にウェハの格子面に反りが発生して割れの原因になる。また、種結晶の周辺のみ黒鉛台座と貼り付けて応力の低減をする構造(以下、擬似フリー構造という)には適用できない。
一方、特許文献2の手法では、種結晶が坩堝の中心にないので、種結晶を設置したときの坩堝の重心が坩堝中心から移動する。このため、種結晶や成長したSiC単結晶が大きく重い場合は、自転させながらSiC単結晶を成長させる際に坩堝全体が偏心し易くなり、坩堝を支える棒と炉体の間でリークの原因になる。また、中心に設置した場合に比べて種結晶の大きさに対して十分に坩堝径を大きくする必要がある。そのため、成長炉も大きな炉体が必要となり、断熱材も大きくなるため、温度制御も困難になる。よって、種結晶を中心からずらして配置する手法では、坩堝回転時に炉内に温度ムラが存在した場合、種結晶に急峻な温度変化が生じ、異種多形や異方位結晶を発生させる可能性がある。
本発明は上記点に鑑みて、貼り付けによって種結晶に加わる応力に差ができることを抑制でき、かつ、自転させながらSiC単結晶を成長させる際に坩堝を支える棒と炉体の間でリークが発生することを抑制できると共に、坩堝回転時に炉内に温度ムラが存在した場合でも、種結晶に急峻な温度変化が生じず、異種多形や異方位結晶の発生を抑制できるSiC単結晶の製造装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、坩堝(1)に対して、種結晶(3)における螺旋転位発生可能領域(3a)が配置される場所を低密度螺旋転位領域(3b)が配置される場所よりも低温とし、種結晶(3)のうち最も低温となる領域が坩堝(1)の中心軸よりも螺旋転位発生可能領域(3a)側にずらす温度分布形成部材(5、10、20)を備えることを特徴としている。
このように、温度分布形成部材(5、10、20)を備えることにより、種結晶(3)のうち最も低温となる領域を坩堝(1)の中心軸よりも螺旋転位発生可能領域(3a)側にずらせる。このため、種結晶(3)の中心を坩堝(1)の中心と一致させて配置しても、種結晶(3)およびSiC単結晶(4)の成長途中表面(4a)に対して温度分布を形成することができる。
したがって、台座(1c)の厚みを非対称にしなくても良いため、台座(1c)に種結晶である種結晶(3)を貼り付けることによって種結晶(3)に加わる応力に差ができることを抑制できる。また、種結晶(3)の中心を坩堝(1)の中心からずらした場合のように、自転させながら成長する際に坩堝全体が偏心し易くならないため、坩堝(1)を支える棒と炉体の間でのリークの発生を抑制できる。さらに、種結晶(3)の大きさに対して十分に坩堝径を大きくする必要もなく、成長炉として大きな炉体が不要であるため、温度制御も容易に行える。このため、坩堝(1)の回転時に炉内に温度ムラが存在した場合でも、種結晶(3)に急峻な温度変化が生じず、異種多形や異方位結晶の発生を抑制できる。
具体的には、請求項に記載の発明では、温度分布形成部材は、台座(1c)を囲みつつ、一端側が蓋材(1b)の端面に結合されて一体化されたリング部材(5)を含んだ構成とされ、該リング部材(5)から螺旋転位発生可能領域(3a)までの距離(D2)よりも低密度螺旋転位領域(3b)までの距離(D1)の方が短くされるようにしている。これにより、種結晶(3)のうち最も低温となる領域を坩堝(1)の中心軸よりも螺旋転位発生可能領域(3a)側にずらすことが可能となる。
この場合、請求項に記載したように、リング部材(5)を円筒状で構成し、リング部材(5)のうち低密度螺旋転位領域(3b)と対応する場所に、該リング部材(5)の一部を弦とした平坦面(5c)を備えれば、該平坦面(5c)から螺旋転位発生可能領域(3a)までの距離(D2)よりもリング部材(5)の他の部位から低密度螺旋転位領域(3b)までの距離(D1)の方が短くなるようにすることができる。
さらにこの場合、請求項に記載したように、リング部材(5)のうち低密度螺旋転位領域(3b)と対応する場所について、該リング部材(5)のうちの他の部位よりも厚みを厚くすると好ましい。
このような構成とすれば、厚くした場所において熱容量を他の部位よりも多くすることができるため、低密度螺旋転位領域(3b)が多くの輻射熱を受けるようにできる。これにより、より種結晶(3)のうち最も低温となる領域を坩堝(1)の中心軸よりも螺旋転位発生可能領域(3a)側にずらすことが可能となる。
また、請求項に記載したように、リング部材(5)を円筒状で構成し、該リング部材(5)の中心を坩堝(1)の中心軸から偏心させるようにしても良い。このような構成としても、種結晶(3)のうち最も低温となる領域を坩堝(1)の中心軸よりも螺旋転位発生可能領域(3a)側にずらすことが可能となる。
また、請求項に記載したように、温度分布形成部材として、台座(1c)を囲みつつ、一端側が蓋材(1b)の端面に結合されて一体化されたリング部材(5)を用い、リング部材(5)のうち低密度螺旋転位領域(3b)と対応する場所について、該リング部材(5)のうちの他の部位よりも厚みを厚くするだけでも、厚くした場所において熱容量を他の部位よりも多くすることができるため、低密度螺旋転位領域(3b)が多くの輻射熱を受けるようにでき、請求項と同様の効果を得ることができる。
なお、このようなリング部材(5)は、SiC単結晶(4)の成長方向において寸法が変化しないものであっても良いが、請求項に記載したように、リング部材(5)の径が蓋材(1b)から離れるほど拡大していくテーパ状とされても良い。このように、リング部材(5)の径をSiC単結晶(4)の成長方向において拡大させれば、SiC単結晶(4)の成長と共に径を拡大させることが可能となる。
また、請求項に記載したように、リング部材(5)として、炭素リング(5a)と該炭素リング(5a)の内壁面に密着して固定されたTaC(炭化タンタル)リング(5b)を含んだものを用いると好ましい。このように、TaCリング(5b)を備えることにより、炭素リング(5a)内の炭素が成長したSiC単結晶(4)に混入するインクルージョンが発生することを抑制できる。
請求項に記載の発明では、台座(1c)に種結晶(3)を配置したときに、リング部材(5)から低密度螺旋転位領域(3b)までの距離(D1)が3mm以上に設定されていることを特徴としている。
このように、リング部材(5)から低密度螺旋転位領域(3b)までの距離(D1)が3mm以上となるようにすれば、種結晶(3)の表面に成長するSiC単結晶(4)の拡大する幅(L)として想定される長さを見込めるため、SiC単結晶(4)の横方向の拡大を阻害しないようにできる。
請求項に記載の発明では、リング部材(5)は、該リング部材(5)の外縁部における低密度螺旋転位領域(3b)と対応する位置に配置された断熱材(5d)を含んでいることを特徴としている。
このように、リング部材(5)の外縁部に断熱材(5d)を備えることにより、リング部材(5)のうち低密度螺旋転位領域(3b)側だけ熱容量を大きくできる。このため、低密度螺旋転位領域(3b)側においてリング部材(5)からの輻射熱をより多く受けることが可能となる。したがって、より種結晶(3)のうち最も低温となる領域を坩堝(1)の中心軸よりも螺旋転位発生可能領域(3a)側にずらすことが可能となる。
また、請求項10に記載したように、温度分布形成部材は、一端側が蓋材(1b)の端面に結合されて一体化され、坩堝(1)の中心軸よりも低密度螺旋転位領域(3b)側にのみ配置された板部材(10)を含んだ構成とされても良い。
このように、坩堝(1)の中心軸よりも低密度螺旋転位領域(3b)側にのみに板部材(10)を配置すれば、SiC単結晶(4)を成長させるときに、低密度螺旋転位領域(3b)が板部材(10)からの輻射熱を多く受ける。これにより、種結晶(3)のうち最も低温となる領域を坩堝(1)の中心軸よりも螺旋転位発生可能領域(3a)側にずらすことが可能となる。
例えば、請求項11に記載したように、板部材(10)の中央から引いた法線が坩堝(1)の中心軸を通過するよう配置することができる。
請求項12に記載の発明では、台座(1c)に種結晶(3)を配置したときに、板部材(10)から低密度螺旋転位領域(3b)までの距離(D1)が3mm以上に設定されていることを特徴としている。
このように、リング部材(5)から低密度螺旋転位領域(3b)までの距離(D1)が3mm以上となるようにすれば、種結晶(3)の表面に成長するSiC単結晶(4)の拡大する幅(L)として想定される長さを見込めるため、SiC単結晶(4)の横方向の拡大を阻害しないようにできる。
請求項13に記載の発明では、板部材(10)のうち坩堝(1)の中心軸と反対側の表面に断熱材が備えられていることを特徴としている。
このように、板部材(10)のうち坩堝(1)の中心軸と反対側の表面に断熱材を備えることにより、より低密度螺旋転位領域(3b)側の熱容量を大きくできる。このため、低密度螺旋転位領域(3b)側において板部材(10)からの輻射熱をより多く受けることが可能となる。したがって、より種結晶(3)のうち最も低温となる領域を坩堝(1)の中心軸よりも螺旋転位発生可能領域(3a)側にずらすことが可能となる。
なお、このような断熱材としては、請求項14に記載したように、柔軟性黒鉛シートを採用すると好ましい。このような柔軟性黒鉛シートを用いれば、容易に断熱材を変形させられるため、容易に炭化珪素単結晶の製造装置を実現することができる。
また、温度分布形成部材として、種結晶(3)に対して対向配置される遮蔽板(20)を含み、該遮蔽板(20)の中心が坩堝(1)の中心軸より螺旋転位発生可能領域(3a)から離れる方向へずらされる構成とすることもできる。
このような構成では、遮蔽板(20)のうち螺旋転位発生可能領域(3a)側に位置する部分よりも低密度螺旋転位領域(3b)側に位置する部分の方が坩堝(1)の壁面から近くなる。遮蔽板(20)の温度は、坩堝(1)の温度の影響を受け、坩堝(1)から近いほど温度が高くなる。このため、種結晶(3)のうち低密度螺旋転位領域(3b)側の方が螺旋転位発生可能領域(3a)側よりも遮蔽板(20)の輻射熱を多く受ける。したがって、種結晶(3)のうち最も低温となる領域を坩堝(1)の中心軸よりも螺旋転位発生可能領域(3a)側にずらすことが可能となる。
同様に、温度分布形成部材として、種結晶(3)に対して対向配置される遮蔽板(20)を含み、該遮蔽板(20)のうち低密度螺旋転位領域(3b)と対応する場所の方が螺旋転位発生可能領域(3a)と対応する場所よりも厚くされるようにした構成とすることもできる。
このような構成とすれば、遮蔽板(20)のうち低密度螺旋転位領域(3b)の方が螺旋転位発生可能領域(3a)よりも熱容量を大きくすることができる。このため、種結晶(3)のうち低密度螺旋転位領域(3b)側の方が螺旋転位発生可能領域(3a)側よりも遮蔽板(20)の輻射熱を多く受ける。したがって、上記と同様の効果を得ることができる。
請求項15に記載の発明では、台座(1c)および蓋材(1b)における台座(1c)の外縁部よりも内側が中空構造とされ、台座(1c)の外縁部のみに種結晶(3)が貼り付けられる擬似フリー構造とされていることを特徴としている。
このような擬似フリー構造とすることで、台座(1c)と種結晶(3)との接触面積を低減できるため、台座(1c)から種結晶(3)への応力をより低減することが可能となる。例えば、請求項16に記載したように、台座(1c)のうち種結晶(3)が貼り付けられる外縁部の幅は1〜5mmとされ、種結晶(3)の面積の5%以下のみが台座(1c)と接触させられるようにすれば良い。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の第1実施形態にかかる結晶成長装置を用いてSiC単結晶を成長させるときの様子を示した断面図である。 図1のA−A矢視断面図である。 図1に示す結晶成長装置を用いて成長させたSiC単結晶近傍の拡大図である。 種結晶となるSiC単結晶基板3の中心(つまり黒鉛製坩堝1の中心軸)からの距離に対する成長量を表したグラフである。 本発明の第2実施形態にかかる結晶成長装置を用いてSiC単結晶を成長させるときの様子を示した断面図である。 本発明の第3実施形態にかかる結晶成長装置を用いてSiC単結晶を成長させるときの様子を示した断面図である。 図6のB−B矢視断面図である。 本発明の第4実施形態にかかる結晶成長装置を用いてSiC単結晶を成長させるときの様子を示した断面図である。 図8のC−C矢視断面図である。 本発明の第5実施形態にかかる結晶成長装置を用いてSiC単結晶を成長させるときの様子を示した断面図である。 図10のD−D矢視断面図である。 本発明の第6実施形態にかかる結晶成長装置を用いてSiC単結晶を成長させるときの様子を示した断面図である。 本発明の第7実施形態にかかる結晶成長装置を用いてSiC単結晶を成長させるときの様子を示した断面図である。 本発明の第8実施形態にかかる結晶成長装置を用いてSiC単結晶を成長させるときの様子を示した断面図である。 本発明の第9実施形態にかかる結晶成長装置を用いてSiC単結晶を成長させるときの様子を示した断面図である。 種結晶の位置に対する温度分布を示したグラフである。 SiC単結晶成長時の様子を示した断面模式図である。 種結晶位置と成長量との関係を示したグラフである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかるSiC単結晶の製造装置としての結晶成長装置を用いてSiC単結晶を成長させるときの様子を示した断面図である。図2は、図1のA−A矢視断面図である。また、図3は、図1に示す結晶成長装置を用いて成長させたSiC単結晶近傍の拡大図である。
図1に示すように、結晶成長装置の容器として円筒状の黒鉛製坩堝1が用いられている。黒鉛製坩堝1は、黒鉛製坩堝1の底部に備えられたSiC原料粉末(SiC原料)2を加熱処理によって昇華させ、種結晶であるSiC単結晶基板3上にSiC単結晶4を結晶成長させるものである。
この黒鉛製坩堝1は、上面が開口している有底円筒状の坩堝本体1aと、坩堝本体1aの開口部を塞ぐ円盤状の蓋材1bとを備えて構成されている。また、黒鉛製坩堝1を構成する蓋材1bの中央部において突き出した部分を台座1cとして、台座1c上にSiC単結晶基板3が図示しない接着剤等を介して接合される。台座1cは、接合されるSiC単結晶基板3とほぼ同等の寸法とされている。本実施形態では、SiC単結晶基板3を正方形としており、台座1cも正方形とされている。そして、台座1cの中心が黒鉛製坩堝1の中心軸上に配置されることで、SiC単結晶基板3もその中心軸上に配置されるようにしている。なお、SiC単結晶基板3および台座1cの形状は任意であり、四角形に限らず、円形、六角形、八角形など、他の多角形状であっても構わない。
SiC単結晶基板3には、螺旋転位発生可能領域3aと低密度螺旋転位領域3bを有するC面{0001}面に1〜15°のオフ角が有る基板を用いている。このような基板は、例えば、螺旋転位をほとんど含有しないSiC単結晶からなる種結晶を準備したのち、この種結晶の成長面の一部に表面処理を施すことにより螺旋転位発生可能領域3aを形成して製造される。
具体的には、まず、{1−100}面を露出させた種結晶を用いて、その成長面である{1−100}面上に、SiC単結晶を成長させる。続いて、この炭化ケイ素単結晶から{11−20}面を露出する種結晶を作製する。次に、この種結晶の成長面である{11−20}面上に、SiC単結晶を成長させる。続いて、このSiC単結晶より、{0001}面から8°傾く面を成長面として露出させた種結晶を作製する。この種結晶は、いわゆるa面成長結晶から作製された種結晶であるため、螺旋転位をほとんど含有していない。その後、種結晶における一方の端部を機械加工により研削し、{0001}面から8°傾く成長面に対して、さらに10〜20°傾く研削面を設ける。このようにして、一端側に螺旋転位発生可能領域3aが形成され、残りの領域が低密度螺旋転位領域3bとされたSiC単結晶基板3を準備することができる。
なお、本明細書において、{0001}、{1−100}、及び{11−20}は、SiC結晶面の面指数を表している。
また、黒鉛製坩堝1の蓋材1bには、台座1cを囲むように、スカート状、すなわち中空部を有するリング部材5が固定されている。すなわち、リング部材5の一端側が蓋材1bの端面に結合されることで蓋材1bと一体化されている。このリング部材5は、SiC単結晶基板3の周辺の径方向温度分布を小さくし、SiC単結晶4の成長空間を均熱にする役割を果たす。また、このリング部材5により、SiC単結晶基板3やSiC単結晶4の成長表面が他の部位よりも低温となる。
具体的には、本実施形態では、リング部材5を外周側に配置された炭素リング5aとその内壁面を覆うように配置されたTaCリング5bにて構成している。TaCリング5bは、例えば、炭素リング5aよりも若干小さめの寸法とされたTaリングを用意したのち、それを炭化することで形成され、炭化時に膨張することから、炭素リング5aの内壁面に密着して固定される。
炭素リング5aおよびTaCリング5bが構成する壁面の一部は、部分的に平坦面(弦)5cとされることで、黒鉛製坩堝1の中心軸に近づけられている。このため、黒鉛製坩堝1の台座1cに対してSiC単結晶基板3を配置したときに、黒鉛製坩堝1の中心軸および平坦面5cの中心を通過する線上において、平坦面5cからSiC単結晶基板3までの距離D1が平坦面5cと反対側におけるリング部材5の壁面からSiC単結晶基板3までの距離D2よりも近くなる。距離D1、D2に関しては任意であるが、図3に示すように、SiC単結晶基板3の表面に成長するSiC単結晶4の拡大する幅Lとして想定される長さ、例えば3mmよりも距離D1が長くなるようにするのが好ましい。このようにすれば、SiC単結晶4の横方向の拡大を阻害しないようにできる。
なお、リング部材5は、後述するようにSiC単結晶基板3やSiC単結晶4の成長表面に温度分布を設けるためのものであるため、その機能が果たせれば良い。このため、例えば、リング部材5の形状を適宜変更したり、TaCリング5bを無くしても構わない。ただし、TaCリング5bをなくすと、炭素リング5a内の炭素が成長したSiC単結晶4に混入するインクルージョンを発生させ易くするため、これを抑制するために、TaCリング5bを備えるのが好ましい。
また、黒鉛製坩堝1は、回転装置6に搭載されている。具体的には、回転装置6は、黒鉛製坩堝1の中心軸を中心として回転する。このため、回転装置6を回転させると、その上に搭載された黒鉛製坩堝1も中心軸を中心として回転させられる。これにより、台座1cに接合されたSiC単結晶基板3も黒鉛製坩堝1の中心軸を中心として回転させることができる。
さらに、黒鉛製坩堝1の外部には、黒鉛製坩堝1の外周を囲むようにヒータ等の加熱装置7が備えられている。加熱装置7の中心は黒鉛製坩堝1や回転装置6の中心軸と同心軸とされている。このように配置された加熱装置7のパワーを制御することにより、黒鉛製坩堝1内の温度が適宜調整される。例えば、SiC単結晶4を結晶成長させる際には、この加熱装置7のパワーを調節することによって種結晶であるSiC単結晶基板3の温度がSiC原料粉末2の温度よりも100℃程度低温に保たれるようにすることができる。なお、図示しないが、黒鉛製坩堝1や回転装置6等は、アルゴンガスが導入できる真空容器の中に収容されており、この真空容器内で加熱できるようになっている。
このように構成された結晶成長装置を用いたSiC単結晶の製造工程について説明する。
まず、上記のように準備したSiC単結晶基板3を台座1cに貼り付ける。このとき、リング部材5の平坦面5cに対して、低密度螺旋転位領域3b側が対向すると共に螺旋転位発生可能領域3aがその反対側に向けられるようにSiC単結晶基板3を配置する。すなわち、低密度螺旋転位領域3bが平坦面5cから距離D1の位置に配置され、螺旋転位発生可能領域3aがリング部材5のうち平坦面5cの反対側に位置する壁面から距離D2の位置に配置されるようにする。そして、坩堝本体1a内にSiC原料粉末2を配置すると共に、蓋材1bおよびSiC単結晶基板3を坩堝本体1aに設置する。
続いて、黒鉛製坩堝1を加熱装置7内に配置することで、回転装置6上に設置する。そして、真空容器に備えられた図示しない排気機構を用いてガス排出を行うことで、黒鉛製坩堝1内を含めた真空容器内を真空にする。そして、加熱装置7にて黒鉛製坩堝1を加熱することで黒鉛製坩堝1内を所定温度にする。例えば、黒鉛製坩堝1を約1〜10Torr(1.3×102〜1.3×103Pa)の雰囲気圧で2100〜2300℃に加熱し、昇華再結晶法によりSiC原料粉末2の昇華ガスに含まれるSiC原料をSiC単結晶基板3上に堆積させることで、SiC単結晶4を作製する。
これにより、図3に示すように、SiC単結晶4の成長途中表面4aには、{0001}面と略平行なC面ファセット4bが形成される。SiC単結晶基板3は、{0001}面より8°傾いた面を成長面としているため、成長と共に形成されるC面ファセット4bは、成長途中表面4aの端部に形成される。
一方、SiC単結晶基板3の螺旋転位発生可能領域3aでは、成長中のSiC単結晶4中に螺旋転位4cが継承される。
このとき、上述したように、仮に、黒鉛製坩堝1の中心軸が最も低温で、中心軸からの距離に応じて温度が高くなるような温度分布になっていると、SiC単結晶を長尺成長させたときに、C面ファセット4bがSiC単結晶基板3の中央に移動し、螺旋転位発生可能領域から外れ、異種多形が発生して結晶欠陥を増加させるという問題が起こる。
しかしながら、本実施形態では、リング部材5を設け、平坦面5cから低密度螺旋転位領域3bまでの距離D1が螺旋転位発生可能領域3aからリング部材5のうち平坦面5cと反対側の壁面までの距離D2よりも短くなるようにしている。このため、平坦面5c側に向けられた低密度螺旋転位領域3bの方が平坦面5cからの輻射熱を受け、SiC単結晶基板3およびSiC単結晶4の成長途中表面4aでの温度分布に偏りが生じる。すなわち、螺旋転位発生可能領域3a側の方が低密度螺旋転位領域3b側よりも比較的低温となり、最も低温となる領域が黒鉛製坩堝1の中心軸よりも螺旋転位発生可能領域3a側となる。このため、その温度に則してSiC単結晶4の成長量が変化する。
図4は、種結晶となるSiC単結晶基板3の中心(つまり黒鉛製坩堝1の中心軸)からの距離に対する成長量を表したグラフである。この図に示されるように、成長途中表面4aのうち最も低温となる位置において成長量が最も多く、最も高温となる位置、つまり平坦面5cに最も近い低密度螺旋転位領域3bの端部において成長量が最も小さくなる。このため、種結晶の中心を黒鉛製坩堝1の中心と一致させても、SiC単結晶基板3の中心よりも螺旋転位発生可能領域3a側において最も成長量が大きくなった凸形状とすることが可能となる。
したがって、図3に示すごとく、SiC単結晶4の成長中に、常にC面ファセット4bが螺旋転位発生可能領域3a側に位置し、C面ファセット4b内には螺旋転位4c(または貫通欠陥)が存在し続け、4H多形のステップ供給源として機能させられる。その結果、SiC単結晶4に、異種多形結晶の二次元核生成が発生することを抑制でき、異方位結晶が生じないようにすることが可能となる。
これにより、SiC単結晶4における低密度螺旋転位領域3bを螺旋転位が少なく、SiC半導体などの用途に適したものとすることが可能となる。
以上説明したように、本実施形態では、温度分布形成部材としてリング部材5を備え、リング部材5に平坦面5cを形成することで、リング部材5から低密度螺旋転位領域3bまでの距離D1と螺旋転位発生可能領域3aまでの距離D2を変化させている。このため、SiC単結晶基板3の中心を黒鉛製坩堝1の中心と一致させて配置しても、結晶成長装置の構造上、SiC単結晶基板3およびSiC単結晶4の成長途中表面4aに対して温度分布を形成することができる。
したがって、台座1cの厚みを非対称にしなくても良いため、台座1cに種結晶であるSiC単結晶基板3を貼り付けることによってSiC単結晶基板3に加わる応力に差ができることを抑制できる。また、SiC単結晶基板3の中心を黒鉛製坩堝1の中心からずらした場合のように、自転させながら成長する際に黒鉛製坩堝全体が偏心し易くならないため、黒鉛製坩堝1を支える棒と炉体の間でのリークの発生を抑制できる。さらに、種結晶の大きさに対して十分に黒鉛製坩堝径を大きくする必要もなく、成長炉として大きな炉体が不要であるため、温度制御も容易に行える。このため、黒鉛製坩堝1の回転時に炉内に温度ムラが存在した場合でも、種結晶に急峻な温度変化が生じず、異種多形や異方位結晶の発生を抑制できる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の結晶成長装置は、第1実施形態に対してリング部材5の構成を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図5は、本実施形態にかかる結晶成長装置に対してSiC単結晶基板3を配置した様子を示した断面図である。この図は、図1のA−A矢視断面図に相当している。
図5に示されるように、本実施形態では、リング部材5を平坦面5cが無い単なる円筒部材にて構成している。そして、リング部材5の中心を黒鉛製坩堝1の中心軸から偏心させ、リング部材5の内壁面の一部が黒鉛製坩堝1の中心軸に近づけられている。このため、台座1cに対してSiC単結晶基板3を貼り付けた時に、黒鉛製坩堝1の中心軸に近づけられたリング部材5の内壁面からSiC単結晶基板3における低密度螺旋転位領域3bまでの距離D1が、リング部材5のうちその反対側の内壁面からSiC単結晶基板3における螺旋転位発生可能領域3aまでの距離D2よりも近くなる。
したがって、SiC単結晶4を成長させた場合、リング部材5から距離D1と近い位置に配置された低密度螺旋転位領域3bの方がリング部材5からの輻射熱を多く受け、SiC単結晶基板3およびSiC単結晶4の成長途中表面4aでの温度分布に偏りが生じる。すなわち、螺旋転位発生可能領域3a側の方が低密度螺旋転位領域3b側よりも比較的低温となり、最も低温となる領域が黒鉛製坩堝1の中心よりも螺旋転位発生可能領域3a側となる。
これにより、第1実施形態と同様、図3に示したように、SiC単結晶4の成長中に、常にC面ファセット4bが螺旋転位発生可能領域3a側に位置し、C面ファセット4b内には螺旋転位4c(または貫通欠陥)が存在し続け、4H多形のステップ供給源として機能させられる。その結果、SiC単結晶4に、異種多形結晶の二次元核生成が発生することを抑制でき、異方位結晶が生じないようにすることが可能となる。よって、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態の結晶成長装置は、第1実施形態に対してリング部材5の構成を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図6は、本実施形態にかかる結晶成長装置を用いてSiC単結晶を成長させるときの様子を示した断面図である。図7は、図6のB−B矢視断面図である。
図6および図7に示されるように、本実施形態では、リング部材5の外周は円形状のまま内周だけを平坦化することで平坦面5cを構成している。つまり、平坦面5cが形成された部分Rにおいて、リング部材5が厚くされている。具体的には、リング部材5のうち炭素リング5aを厚くすることで、上記のような構造のリング部材5を構成している。炭素部材の下降は精度良くでき、厚みや大きさを任意に変更できるため、炭素リング5aのみを厚くすることで精度良く厚み調整を行うことができる。このように、平坦面5cにおいてリング部材5を厚くしておけば、より平坦面5cの熱容量を大きくすることができ、平坦面5cからの輻射熱をより多くすることが可能となる。
したがって、SiC単結晶4を成長させた場合、低密度螺旋転位領域3bの方が螺旋転位発生可能領域3aよりもリング部材5からの輻射熱を多く受け、SiC単結晶基板3およびSiC単結晶4の成長途中表面4aでの温度分布に偏りが生じる。すなわち、螺旋転位発生可能領域3a側の方が低密度螺旋転位領域3b側よりも比較的低温となり、最も低温となる領域が黒鉛製坩堝1の中心よりも螺旋転位発生可能領域3a側となる。
これにより、第1実施形態と同様、図3に示したように、SiC単結晶4の成長中に、常にC面ファセット4bが螺旋転位発生可能領域3a側に位置し、C面ファセット4b内には螺旋転位4c(または貫通欠陥)が存在し続け、4H多形のステップ供給源として機能させられる。その結果、SiC単結晶4に、異種多形結晶の二次元核生成が発生することを抑制でき、異方位結晶が生じないようにすることが可能となる。よって、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態の結晶成長装置は、第1実施形態に対してリング部材5に変わる部材を温度分布形成部材として用いたものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図8は、本実施形態にかかる結晶成長装置を用いてSiC単結晶を成長させるときの様子を示した断面図である。図9は、図8のC−C矢視断面図である。
図8および図9に示すように、本実施形態では、第1実施形態で用いていたリング部材5に代えて板部材10を温度分布形成部材として用いている。板部材10は、一端側が蓋材1bの端面に結合されることで蓋材1bと一体化され、低密度螺旋転位領域3b側にのみ配置されている。板部材10は、板部材10の中央から法線を引くと、その法線が黒鉛製坩堝1の中心軸を通過するように配置されている。本実施形態では、板部材10をTaC板にて構成しているが、黒鉛板や断熱材の少なくとも1つ、もしくは、黒鉛板や断熱材のうち黒鉛製坩堝1の中心軸側に向けられる表面にTaCコーティングを施したものであっても構わない。
このような構成の結晶成長装置を用いて、黒鉛製坩堝1の台座1cに対してSiC単結晶基板3を配置し、SiC単結晶基板3における低密度螺旋転位領域3b側を板部材10に向け、螺旋転位発生可能領域3a側を板部材10と反対側に向ける。これにより、SiC単結晶4を成長させるときに、低密度螺旋転位領域3bが板部材10からの輻射熱を多く受け、SiC単結晶基板3およびSiC単結晶4の成長途中表面4aでの温度分布に偏りを生じせることができる。すなわち、螺旋転位発生可能領域3a側の方が低密度螺旋転位領域3b側よりも比較的低温となり、最も低温となる領域が黒鉛製坩堝1の中心よりも螺旋転位発生可能領域3a側となる。
これにより、第1実施形態と同様、図3に示したように、SiC単結晶4の成長中に、常にC面ファセット4bが螺旋転位発生可能領域3a側に位置し、C面ファセット4b内には螺旋転位4c(または貫通欠陥)が存在し続け、4H多形のステップ供給源として機能させられる。その結果、SiC単結晶4に、異種多形結晶の二次元核生成が発生することを抑制でき、異方位結晶が生じないようにすることが可能となる。よって、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
なお、板部材10の配置場所については任意であるが、低密度螺旋転位領域3bまでの距離D1が3mm以上となるように配置すると好ましい。このようにすれば、SiC単結晶基板3の表面に成長するSiC単結晶4の拡大する幅Lとして想定される長さを見込めるため、SiC単結晶4の横方向の拡大を阻害しないようにできる。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態の結晶成長装置は、第1実施形態に対して温度分布形成部材として用いるリング部材5の構造を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図10は、本実施形態にかかる結晶成長装置を用いてSiC単結晶を成長させるときの様子を示した断面図である。図11は、図10のD−D矢視断面図である。
図10および図11に示すように、本実施形態では、リング部材5を炭素リング5a、TaCリング5bに加えて断熱材5dを備えた構成としている。炭素リング5aおよびTaCリング5bは、第2実施形態と同様に単なる円筒状とされ、これらの中心が黒鉛製坩堝1の中心軸と一致するように、これらを蓋材1bに対して同心円状に配置している。そして、炭素リング5aの外周のうちSiC単結晶基板3における低密度螺旋転位領域3bと対応する場所に、さらに断熱材5dを配置している。断熱材5dは、炭素部材にて構成されるが、例えば、柔軟性黒鉛シート(グラファイトシート)のように、リング部材5の周方向へは高い熱伝導を示すが、径方向への熱伝導がほとんどない部材にて断熱材5dを構成することができる。断熱材5dとして柔軟性黒鉛シートを用いれば、炭素リング5aの形状に沿って容易に断熱材5dを変形させられるため、容易に本実施形態のような構造の結晶成長装置を実現することができる。
このように、リング部材5の外縁部に断熱材5dを備えることにより、リング部材5のうち低密度螺旋転位領域3b側だけ熱容量を大きくできる。このため、低密度螺旋転位領域3b側においてリング部材5からの輻射熱をより多くすることが可能となる。
したがって、SiC単結晶4を成長させた場合、低密度螺旋転位領域3bの方が螺旋転位発生可能領域3aよりもリング部材5からの輻射熱を多く受け、SiC単結晶基板3およびSiC単結晶4の成長途中表面4aでの温度分布に偏りが生じる。すなわち、螺旋転位発生可能領域3a側の方が低密度螺旋転位領域3b側よりも比較的低温となり、最も低温となる領域が黒鉛製坩堝1の中心よりも螺旋転位発生可能領域3a側となる。
これにより、第1実施形態と同様、図3に示したように、SiC単結晶4の成長中に、常にC面ファセット4bが螺旋転位発生可能領域3a側に位置し、C面ファセット4b内には螺旋転位4c(または貫通欠陥)が存在し続け、4H多形のステップ供給源として機能させられる。その結果、SiC単結晶4に、異種多形結晶の二次元核生成が発生することを抑制でき、異方位結晶が生じないようにすることが可能となる。よって、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態の結晶成長装置は、第5実施形態に対してリング部材5の形状を変更したものであり、その他に関しては第5実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図12は、本実施形態にかかる結晶成長装置を用いてSiC単結晶を成長させるときの様子を示した断面図である。
上記各実施形態では、SiC単結晶4の成長方向おいてリング部材5の寸法が変化しないようにしているが、図12に示すように、リング部材5を黒鉛製坩堝1の中心軸と平行な平面で切断したときの断面形状がテーパ状、つまりリング部材5の径が蓋材1bもしくは台座1cから離れるほど拡大していく形状としても良い。例えば、黒鉛製坩堝1の中心軸と同方向に対してリング部材5の傾斜角θが0<θ≦45°となるようにしても良い。リング部材5の形状が傾斜させられることから、炭素リング5aの外縁部(外周面)に断熱材5dを設置するのが難しくなるが、例えば、上述したように柔軟性黒鉛シートを用いれば、容易に本実施形態のような構造の結晶成長装置を実現することができる。このような構造としても、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。そして、リング部材5の径がSiC単結晶4の成長方向において拡大されているため、SiC単結晶4の成長と共に径を拡大させることが可能となる。
なお、ここではリング部材5における外縁部に断熱材5dを備えるようにしたが、リング部材5のうち低密度螺旋転位領域3bと対応する位置に、低密度螺旋転位領域3bまでの距離がその反対側の螺旋転位発生可能領域3aまでの距離よりも短くなるようにする平坦面5c(図2等参照)を設けるようにしても良い。また、リング部材5のうち低密度螺旋転位領域3bと対応する位置を他の部分よりも厚く形成するようにしても良い。これらの構造としても、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態について説明する。本実施形態の結晶成長装置は、温度分布形成部材としてリング部材5とは異なるものを用いたものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図13は、本実施形態にかかる結晶成長装置を用いてSiC単結晶を成長させるときの様子を示した断面図である。
この図に示すように、本実施形態の結晶成長装置には、台座1cと対向配置された遮蔽板20が備えられている。遮蔽板20は、炭素部材もしくは炭素部材の表面にTaCコーティングを施したもので構成され、支持棒20aを介して坩堝本体1aの底面に支えられている。遮蔽板20の中心は、黒鉛製坩堝1の中心軸より螺旋転位発生可能領域3aから離れる方向へ、つまり低密度螺旋転位領域3bの方向にずらされている。このため、遮蔽板20のうち螺旋転位発生可能領域3a側に位置する部分よりも低密度螺旋転位領域3b側に位置する部分の方が黒鉛製坩堝1の壁面から近くなる。遮蔽板20の温度は、黒鉛製坩堝1の温度の影響を受け、黒鉛製坩堝1から近いほど温度が高くなる。このため、SiC単結晶基板3のうち低密度螺旋転位領域3b側の方が螺旋転位発生可能領域3a側よりも遮蔽板20の輻射熱を多く受ける。
したがって、SiC単結晶4を成長させた場合、低密度螺旋転位領域3bの方が螺旋転位発生可能領域3aよりも遮蔽板20からの輻射熱を多く受け、SiC単結晶基板3およびSiC単結晶4の成長途中表面4aでの温度分布に偏りが生じる。すなわち、螺旋転位発生可能領域3a側の方が低密度螺旋転位領域3b側よりも比較的低温となり、最も低温となる領域が黒鉛製坩堝1の中心よりも螺旋転位発生可能領域3a側となる。
これにより、第1実施形態と同様、図3に示したように、SiC単結晶4の成長中に、常にC面ファセット4bが螺旋転位発生可能領域3a側に位置し、C面ファセット4b内には螺旋転位4c(または貫通欠陥)が存在し続け、4H多形のステップ供給源として機能させられる。その結果、SiC単結晶4に、異種多形結晶の二次元核生成が発生することを抑制でき、異方位結晶が生じないようにすることが可能となる。よって、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
なお、遮蔽板20の寸法については任意であるが、坩堝本体1aの底面側から見てSiC単結晶基板3が完全に覆われる寸法であると好ましい。このようにすれば、SiC原料粉末2から昇華した原料ガスが直接成長途中表面4aに供給されることよりインクルージョンが生じることを抑制できる。
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態について説明する。本実施形態の結晶成長装置は、第7実施形態に対して遮蔽板20の構造を変更したものであり、その他に関しては第7実施形態と同様であるため、第7実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図14は、本実施形態にかかる結晶成長装置を用いてSiC単結晶を成長させるときの様子を示した断面図である。
この図に示したように、遮蔽板20の中心を黒鉛製坩堝1の中心軸からずらしていないが、遮蔽板20の厚みを変化させ、遮蔽板20のうち低密度螺旋転位領域3bと対応する場所の方が螺旋転位発生可能領域3aと対応する場所よりも厚くなるようにしている。このような構成とすれば、遮蔽板20のうち低密度螺旋転位領域3bの方が螺旋転位発生可能領域3aよりも熱容量を大きくすることができる。このため、SiC単結晶基板3のうち低密度螺旋転位領域3b側の方が螺旋転位発生可能領域3a側よりも遮蔽板20の輻射熱を多く受ける。したがって、第7実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第9実施形態)
本発明の第9実施形態について説明する。本実施形態の結晶成長装置は、第1実施形態に対して蓋材1bおよび台座1cの構造を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図15は、本実施形態にかかる結晶成長装置を用いてSiC単結晶を成長させるときの様子を示した断面図である。
この図に示したように、種結晶となるSiC単結晶基板3を貼り付ける台座1cおよび蓋材1bのうち台座1cの外縁部よりも内側を中空構造にすることで、擬似フリー構造としている。つまり、台座1cのうち外縁部となる幅1〜5mm程度だけにSiC単結晶基板3が貼り付けられるようにすることで、SiC単結晶基板3の面積の5%以下のみが台座1cと接触する構造としている。このように、台座1cとSiC単結晶基板3との接触面積を低減することで、台座1cからSiC単結晶基板3への応力をより低減することが可能となる。
(他の実施形態)
上記各実施形態では、温度分布形成部材としてリング部材5、板部材10、遮蔽板20を適用した場合について説明したが、これらの形状や材質などは一例を示したに過ぎない。例えば、SiC単結晶基板3のうち低密度螺旋転位領域3bの方が螺旋転位発生可能領域3aよりも高温になるようにする温度分布を形成する部材であれば、他の形状であっても構わない。
また、上記第3実施形態では、リング部材5に対して平坦面5cを備えた構造としたが、SiC単結晶基板3から低密度螺旋転位領域3bまでの距離D1と螺旋転位発生可能領域3aまでの距離D2を一定とし、低密度螺旋転位領域3b側だけリング部材5を他の部位よりも厚くした構造としても良い。このようにしても、リング部材5のうち低密度螺旋転位領域3b側だけ熱容量を大きくできるため、上記効果を得ることができる。
また、上記第5実施形態では、炭素リング5aやTaCリング5bを単なる円筒状とした場合について説明したが、第1〜第3実施形態に示したリング部材5に対して断熱材5dを備えるようにしても良いし、板部材10をリング部材5の内側に備える構造としても良い。。また、第4実施形態に示した板部材10に対しても、黒鉛製坩堝1の中心軸と反対側の表面に断熱材を備えるようにしても良い。
また、上記第9実施形態では、第1実施形態に示した結晶成長装置に対して擬似フリー構造を採用した場合について説明したが、第2〜第8実施形態に対して適用することもできる。
なお、結晶の方位を示す場合、本来ならば所望の数字の上にバー(−)を付すべきであるが、パソコン出願に基づく表現上の制限が存在するため、本明細書においては、所望の数字の前にバーを付すものとする。
1 黒鉛製坩堝
1a 坩堝本体
1b 蓋材
1c 台座
2 SiC原料粉末
3 SiC単結晶基板
3a 螺旋転位発生可能領域
3b 低密度螺旋転位領域
4 SiC単結晶
4a 成長途中表面
4b C面ファセット
4c 螺旋転位
5 リング部材
5a 炭素リング
5b TaCリング
5c 平坦面
5d 断熱材
10 板部材
20 遮蔽板

Claims (16)

  1. 有底円筒状の容器本体(1a)と当該容器本体(1a)を蓋閉めするための蓋体(1b)とを有した中空状の円柱形状をなす坩堝(1)を備え、C面{0001}面にオフ角がある炭化珪素基板にて構成され、該炭化珪素基板の一端側が螺旋転位発生可能領域(3a)となり他端側が低密度螺旋転位領域(3b)となった種結晶(3)を前記蓋体(1b)に設けられた台座(1c)に対して、該種結晶(3)の中心を前記台座(1c)の中心に一致させて配置すると共に、前記容器本体(1a)に炭化珪素原料(2)を配置し、前記炭化珪素原料(2)を加熱して発生させた昇華ガスを供給することにより、前記種結晶(3)上に炭化珪素単結晶(4)を成長させる炭化珪素単結晶の製造装置において、
    前記坩堝(1)には、前記種結晶(3)における前記螺旋転位発生可能領域(3a)が配置される場所を前記低密度螺旋転位領域(3b)が配置される場所よりも低温とし、前記種結晶(3)のうち最も低温となる領域が前記坩堝(1)の中心軸よりも前記螺旋転位発生可能領域(3a)側にずらす温度分布形成部材が備えられ、
    前記温度分布形成部材は、前記台座(1c)を囲みつつ、一端側が前記蓋材(1b)の端面に結合されて一体化されたリング部材(5)を含み、該リング部材(5)から前記螺旋転位発生可能領域(3a)までの距離(D2)よりも前記低密度螺旋転位領域(3b)までの距離(D1)の方が短くされていることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。
  2. 前記リング部材(5)を円筒状で構成し、該リング部材(5)のうち前記低密度螺旋転位領域(3b)と対応する場所には、該リング部材(5)の一部を弦とした平坦面(5c)が備えられ、該平坦面(5c)から前記螺旋転位発生可能領域(3a)までの距離(D2)よりも該リング部材(5)の他の部位から前記低密度螺旋転位領域(3b)までの距離(D1)の方が短くされていることを特徴とする請求項に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  3. 前記リング部材(5)のうち前記低密度螺旋転位領域(3b)と対応する場所は、該リング部材(5)のうちの他の部位よりも厚みが厚くされていることを特徴とする請求項またはに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  4. 前記リング部材(5)は、円筒状で構成されていると共に、該リング部材(5)の中心が前記坩堝(1)の中心軸から偏心させられていることを特徴とする請求項に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  5. 有底円筒状の容器本体(1a)と当該容器本体(1a)を蓋閉めするための蓋体(1b)とを有した中空状の円柱形状をなす坩堝(1)を備え、C面{0001}面にオフ角がある炭化珪素基板にて構成され、該炭化珪素基板の一端側が螺旋転位発生可能領域(3a)となり他端側が低密度螺旋転位領域(3b)となった種結晶(3)を前記蓋体(1b)に設けられた台座(1c)に対して、該種結晶(3)の中心を前記台座(1c)の中心に一致させて配置すると共に、前記容器本体(1a)に炭化珪素原料(2)を配置し、前記炭化珪素原料(2)を加熱して発生させた昇華ガスを供給することにより、前記種結晶(3)上に炭化珪素単結晶(4)を成長させる炭化珪素単結晶の製造装置において、
    前記坩堝(1)には、前記種結晶(3)における前記螺旋転位発生可能領域(3a)が配置される場所を前記低密度螺旋転位領域(3b)が配置される場所よりも低温とし、前記種結晶(3)のうち最も低温となる領域が前記坩堝(1)の中心軸よりも前記螺旋転位発生可能領域(3a)側にずらす温度分布形成部材が備えられ、
    前記温度分布形成部材は、前記台座(1c)を囲みつつ、一端側が前記蓋材(1b)の端面に結合されて一体化されたリング部材(5)を含み、リング部材(5)のうち前記低密度螺旋転位領域(3b)と対応する場所は、該リング部材(5)のうちの他の部位よりも厚みが厚くされていることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。
  6. 前記リング部材(5)は、径が前記蓋材(1b)から離れるほど拡大していくテーパ状とされていることを特徴とする請求項ないしのいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  7. 前記リング部材(5)は、炭素リング(5a)と該炭素リング(5a)の内壁面に密着して固定されたTaCリング(5b)を含んでいることを特徴とする請求項ないしのいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  8. 前記台座(1c)に前記種結晶(3)を配置したときに、前記リング部材(5)から前記低密度螺旋転位領域(3b)までの距離(D1)が3mm以上に設定されていることを特徴とする請求項ないしのいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  9. 前記リング部材(5)は、該リング部材(5)の外縁部における前記低密度螺旋転位領域(3b)と対応する位置に配置された断熱材(5d)を含んでいることを特徴とする請求項ないしのいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  10. 有底円筒状の容器本体(1a)と当該容器本体(1a)を蓋閉めするための蓋体(1b)とを有した中空状の円柱形状をなす坩堝(1)を備え、C面{0001}面にオフ角がある炭化珪素基板にて構成され、該炭化珪素基板の一端側が螺旋転位発生可能領域(3a)となり他端側が低密度螺旋転位領域(3b)となった種結晶(3)を前記蓋体(1b)に設けられた台座(1c)に対して、該種結晶(3)の中心を前記台座(1c)の中心に一致させて配置すると共に、前記容器本体(1a)に炭化珪素原料(2)を配置し、前記炭化珪素原料(2)を加熱して発生させた昇華ガスを供給することにより、前記種結晶(3)上に炭化珪素単結晶(4)を成長させる炭化珪素単結晶の製造装置において、
    前記坩堝(1)には、前記種結晶(3)における前記螺旋転位発生可能領域(3a)が配置される場所を前記低密度螺旋転位領域(3b)が配置される場所よりも低温とし、前記種結晶(3)のうち最も低温となる領域が前記坩堝(1)の中心軸よりも前記螺旋転位発生可能領域(3a)側にずらす温度分布形成部材が備えられ、
    前記温度分布形成部材は、一端側が前記蓋材(1b)の端面に結合されて一体化され、前記坩堝(1)の中心軸よりも前記低密度螺旋転位領域(3b)側にのみ配置された板部材(10)を含んでいることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。
  11. 前記板部材(10)は、該板部材(10)の中央から引いた法線が前記坩堝(1)の中心軸を通過するよう配置されていることを特徴とする請求項10に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  12. 前記台座(1c)に前記種結晶(3)を配置したときに、前記板部材(10)から前記低密度螺旋転位領域(3b)までの距離(D1)が3mm以上に設定されていることを特徴とする請求項10または11に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  13. 前記板部材(10)のうち前記坩堝(1)の中心軸と反対側の表面に断熱材が備えられていることを特徴とする請求項10ないし12のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  14. 前記断熱材は、柔軟性黒鉛シートであることを特徴とする請求項または13に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
  15. 有底円筒状の容器本体(1a)と当該容器本体(1a)を蓋閉めするための蓋体(1b)とを有した中空状の円柱形状をなす坩堝(1)を備え、C面{0001}面にオフ角がある炭化珪素基板にて構成され、該炭化珪素基板の一端側が螺旋転位発生可能領域(3a)となり他端側が低密度螺旋転位領域(3b)となった種結晶(3)を前記蓋体(1b)に設けられた台座(1c)に対して、該種結晶(3)の中心を前記台座(1c)の中心に一致させて配置すると共に、前記容器本体(1a)に炭化珪素原料(2)を配置し、前記炭化珪素原料(2)を加熱して発生させた昇華ガスを供給することにより、前記種結晶(3)上に炭化珪素単結晶(4)を成長させる炭化珪素単結晶の製造装置において、
    前記坩堝(1)には、前記種結晶(3)における前記螺旋転位発生可能領域(3a)が配置される場所を前記低密度螺旋転位領域(3b)が配置される場所よりも低温とし、前記種結晶(3)のうち最も低温となる領域が前記坩堝(1)の中心軸よりも前記螺旋転位発生可能領域(3a)側にずらす温度分布形成部材(5、10、20)が備えられ、
    前記台座(1c)および前記蓋材(1b)における前記台座(1c)の外縁部よりも内側が中空構造とされ、前記台座(1c)の外縁部のみに前記種結晶(3)が貼り付けられる擬似フリー構造とされていることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。
  16. 前記台座(1c)のうち前記種結晶(3)が貼り付けられる外縁部の幅は1〜5mmとされ、前記種結晶(3)の面積の5%以下のみが前記台座(1c)と接触させられることを特徴とする請求項15に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
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