JP6628640B2 - 炭化珪素単結晶インゴットの製造装置及び製造方法 - Google Patents

炭化珪素単結晶インゴットの製造装置及び製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、種結晶を用いた昇華再結晶法によって炭化珪素単結晶を成長させ、炭化珪素単結晶インゴットを製造する際に用いられる炭化珪素単結晶インゴット製造装置、及びこの製造装置を用いて炭化珪素単結晶インゴットを製造する炭化珪素単結晶インゴットの製造方法に関する。
高熱伝導率を持ち、バンドギャップの大きい炭化珪素単結晶は、高温で用いられる電子材料や、高耐圧の求められる電子材料の基板として有用な材料である。そして、このような炭化珪素単結晶の作製法の一つとして、昇華再結晶法(レーリー法)が知られている。この昇華再結晶法は、2000℃を超える高温において原料の炭化珪素粉末を昇華させ、生成した昇華ガス(原料ガス)を低温部に再結晶化させることにより、炭化珪素単結晶を製造する方法である。また、このレーリー法において、炭化珪素単結晶からなる種結晶を用いて炭化珪素単結晶を製造する方法は、特に改良レーリー法と呼ばれ(非特許文献1)、バルク状の炭化珪素単結晶インゴットの製造に利用されている。
この改良レーリー法においては、種結晶を用いているために結晶の核形成過程を最適化することができ、また、不活性ガスによる雰囲気圧力を10Paから15kPa程度にすることにより、炭化珪素単結晶の成長速度等の再現性を良くすることができる。このため、一般に、原料と種結晶との間で適切な温度差を設け、種結晶の上に炭化珪素単結晶を成長させることが行われている。また、得られた炭化珪素単結晶(炭化珪素単結晶インゴット)については、電子材料の基板としての規格の形状にするために、研削、切断、研磨といった加工が施されて利用されている。
ここで、図7を用いて、改良レーリー法の原理を説明する。
昇華再結晶法で用いる炭化珪素原料3として炭化珪素結晶粉末〔通常、アチソン(Acheson)法で作製された炭化珪素結晶粉末を洗浄・前処理したものが使用される。〕が用いられ、また、黒鉛製坩堝1として上端開口筒状の坩堝本体1aとこの坩堝本体1aの上端開口部を閉塞する坩堝上蓋1bとを備えた坩堝が用いられる。そして、前記坩堝本体1a下部の原料充填部1c内に前記炭化珪素原料3が充填され、また、前記坩堝上蓋1bの内面に炭化珪素単結晶からなる種結晶2が設置される。坩堝1内では、前記炭化珪素原料3が、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中(10Pa〜15kPa)で2400℃以上に加熱される。この加熱の際に、坩堝1内には炭化珪素原料3側に比べて種結晶2側がやや低温になるように温度勾配が設定され、加熱されて炭化珪素原料3から昇華した炭化珪素の昇華ガスは、濃度勾配(温度勾配により形成される)により種結晶2方向へと拡散し、輸送され、この種結晶2の表面で再結晶し、結晶成長が進行して単結晶インゴット4が生成する。なお、図7中、符号5は断熱材である。
ところで、炭化珪素単結晶基板の口径については、電子デバイスを作製するための基板として用いる際の製造コストをできるだけ下げるために、大口径化が求められている。そして、このために、炭化珪素単結晶基板を製造するためのインゴットについては、その大口径化と同時に、一つのインゴットから多数の基板を製造することができ、また、切断加工時や研削加工時の生産性をより高めることができるように、結晶成長により得られるインゴットの長尺化も求められている。しかしながら、改良レーリー法においては、前記のような方法で結晶成長を行っているため、炭化珪素原料を結晶成長の途中で追加することが困難である。そこで、大口径かつ長尺の炭化珪素単結晶インゴットを作製するためには、小口径のインゴットを結晶成長させる場合に比べて、坩堝の原料充填部により多量の炭化珪素原料を充填する必要があり、原料充填部の径及び深さをより大きくする必要が生じるが、このように多量に充填した炭化珪素原料を結晶成長のために有効に利用するためには、原料充填部内の炭化珪素原料全体を昇華温度まで効率良く加熱し、昇華させることが不可欠になる。
そして、坩堝内の炭化珪素原料を加熱する方法としては、一般に、高周波誘導加熱を用いて黒鉛製の坩堝を発熱させ、この発熱した坩堝を介して炭化珪素原料を加熱し、坩堝内に前述の温度勾配を形成することが行われている。また、このような高周波誘導加熱においては、誘導される高周波電流の発生が高周波の浸透深さに依存しているため、坩堝の形状によって定まる発熱分布が発生し、坩堝の側壁内面の表面近傍で強い発熱が生じ、この熱が熱伝導若しくは熱輻射により原料充填部内の炭化珪素原料へと伝達され、これによって炭化珪素原料が加熱される。これを坩堝の原料充填部内に充填された炭化珪素原料に着目してみると、坩堝が円筒状でその原料充填部内に炭化珪素原料が円柱状に充填されていると、誘導加熱により円柱状の炭化珪素原料の側面が強く加熱されることから、炭化珪素原料の外周部(坩堝の原料充填部の外周部)近傍がより加熱され易く、炭化珪素原料の中心軸(坩堝の原料充填部の中心軸)近傍に比べてより高温に加熱され、炭化珪素原料に対する加熱温度が炭化珪素原料の外周部から中心軸に向けて低下する温度分布を持つ傾向がある。
このように原料充填部が加熱されると、原料充填部内の炭化珪素原料はその外周部近傍が高温部となってこの高温部から昇華ガスが発生し、種結晶上に結晶成長が生じるが、原料充填部内の炭化珪素原料はその中心軸近傍が低温部となってこれら高温部と低温部との間に不可避的に温度分布が生じ、原料充填部の中心軸近傍の原料は低温部となる。そして、この低温部の温度を昇華温度まで上昇させて低温部となる中心軸近傍の原料を昇華させるためには、誘導電流の電流値を大きくして黒鉛坩堝の側壁部分の温度をより高温にする必要がある。しかしながら、坩堝の側壁部分の温度を高くすると、坩堝全体の温度が高くなり、種結晶や成長中の単結晶の温度も高くなって、種結晶と原料との温度勾配が小さくなるため、温度勾配に基づいた結晶成長の駆動力が小さくなり、結晶成長が途中で停止する結晶成長停止の問題が発生する。
そこで、従来においても、原料充填部を加熱する方法について、例えば、以下に示すような幾つかの提案がされている。
坩堝の原料充填部の底壁部(坩堝底壁部)の温度低下を防ぐために前記坩堝底壁部に断熱材を配置することで、原料充填部の下部における再結晶化を抑制し、効率的に原料を加熱する方法が開示されている(特許文献1)。また、原料充填部の坩堝の側壁の形状を工夫し、原料内部の温度分布を均一化する方法が開示されている(特許文献2)。更に、このような坩堝底壁部を直接加熱する方法として、坩堝底壁部の下に誘導加熱コイルを配置する方法が開示されている(特許文献3)。更にまた、坩堝側壁部分に発熱部材を配置し、原料部の温度制御性を向上させる方法が開示されている(特許文献4)。そして、種結晶近傍部分の温度分布を非軸対称温度分布とすることで、成長した結晶の品質を高くする方法が開示されている(特許文献5)。
特開2010-76,990号公報 特開2007-230,846号公報 特開2013-216,549号公報 特開2014-234,331号公報 特開2012-131,679号公報
Yu. M. Tairov and V. F. Tsvetkov, Journal of Crystal Growth, 52 (1981) pp.146
しかしながら、特許文献1の方法では、発熱部分が坩堝の側壁部分であることから、原料充填部の中心軸近傍の温度が外周部の温度よりも低下するという問題が依然とし残り、大口径化のために坩堝の口径を増大させた場合に、原料充填部の中心軸近傍の原料を効率良く加熱するという目的のためには採用し難い方法である。また、特許文献2の方法では、坩堝側壁の発熱分布が変化することに伴い、種結晶上に成長している結晶成長部分近傍での発熱分布も変化し、しかも、前記結晶成長は等温線に沿って進むと考えられることから、発熱分布の変化に伴って成長する結晶の成長面形状も影響を受けるので、原料充填部の均温化と前記結晶成長部分の温度の最適化とを両立させることが必要となり、これら均温化と最適化の両立が非常に難しい。
また、特許文献3の方法では、坩堝下部を直接加熱することができるが、装置の構造が複雑になると同時に、側部誘導加熱コイルと下部誘導加熱コイルとの相互作用があるために、それぞれの誘導加熱コイルに流す電流の最適化が非常に難しい。更に、特許文献4の方法では、依然として外周部分からの熱を中心部分に伝えることが必要であり、発熱した外周部分からの距離が遠い中心部分の効率的な加熱は困難である。更にまた、特許文献5の方法では、非軸対称な温度分布を坩堝内部に形成することで加熱が困難な部分を中心軸上から移動させることができるが、成長している結晶部分の温度分布の調整であり、成長している結晶から離れている原料の中心部分の温度分布を変化させるものではなく、依然として、原料の中心部分の温度が低く、その中心部分の原料を効率的に昇華させることは困難である。
本発明は、炭化珪素単結晶の成長中に坩堝の原料充填部に充填された炭化珪素原料を効率良く昇華させ、炭化珪素単結晶インゴット、特に限定されるものではないが、特に大口径かつ長尺の炭化珪素単結晶インゴットを効率良く製造するのに適した炭化珪素単結晶インゴットの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、高周波誘導加熱により炭化珪素単結晶インゴットを製造する場合に、黒鉛製の坩堝の原料充填部内に充填された炭化珪素原料を効率良く昇華させることができる方法について鋭意検討した。その結果、坩堝の原料充填部の外側に坩堝の中心軸に対して非軸対称な形状を有すると共に高周波誘導加熱可能な発熱部材を配設し、原料充填部内の炭化珪素原料を非軸対称に加熱することにより、従来は坩堝本体の中心軸上にあった原料充填部内の低温部を前記中心軸上とは異なる位置にずらすことができ、更に、前記発熱部材と前記坩堝とを坩堝の中心軸を回転軸として相対的に回転させることにより、結晶成長中に原料充填部内において非軸対称な温度分布を坩堝の中心軸周りに移動させ、原料充填部内の中心軸近傍の原料を効率良く加熱して原料充填部の均温化が達成できることを見出した。
そして、この方法によれば、従来の軸対称な加熱では坩堝の原料充填部の中心軸近傍にあって最も加熱され難かった原料を、有効に加熱して昇華させることができ、坩堝の原料充填部内に充填された炭化珪素原料を効率良く昇華させ、大口径かつ長尺の炭化珪素単結晶インゴットであっても製造することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
(1) 上端開口筒状に形成された黒鉛製の坩堝本体とこの坩堝本体の上端開口部を閉塞する黒鉛製の坩堝上蓋とを有すると共に、前記坩堝本体下部には炭化珪素原料が充填される原料充填部を有する坩堝と、前記坩堝の外側に配設され、高周波誘導加熱により坩堝本体を発熱させるワークコイルとを備え、昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を製造するための炭化珪素単結晶インゴットの製造装置において、
前記坩堝本体下部の原料充填部の外側に、前記坩堝本体の中心軸に対して非軸対称な形状を有すると共に、前記ワークコイルによる高周波誘導加熱により発熱する発熱部材を配設し、また、前記発熱部材と前記坩堝本体とを坩堝本体の中心軸を回転軸として相対的に回転させる回転機構を設けたことを特徴とする炭化珪素単結晶インゴットの製造装置。
(2) 前記発熱部材が、前記坩堝本体下部の原料充填部の外側を取り囲むように配設され、外周の中心軸が内周の中心軸に対して偏心した非軸対称形状を有する筒状加熱部材であることを特徴とする前記(1)の炭化珪素単結晶インゴットの製造装置。
(3) 前記発熱部材は、高さが原料充填部の高さに対して0.6倍以上1倍以下であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造装置。
(4) 前記発熱部材と前記坩堝本体との間の相対回転速度が1時間当り2〜60回転であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造装置。
(5) 黒鉛製の坩堝本体下部の原料充填部内に充填された炭化珪素原料を加熱して昇華させ、生成した昇華ガスを前記坩堝上蓋の内面に設置された炭化珪素単結晶からなる種結晶の表面で再結晶化させる炭化珪素単結晶インゴットの製造方法において、
前記坩堝本体下部の原料充填部の外側に、前記坩堝本体の中心軸に対して非軸対称形状を有する高周波誘導加熱可能な発熱部材を配設し、この発熱部材と前記坩堝本体とを坩堝本体の中心軸を回転軸として相対的に回転させながら、高周波誘導加熱により前記坩堝本体と前記発熱部材とを発熱させ、前記原料充填部の内部に非軸対称の温度分布を形成しつつ前記炭化珪素原料を昇華させることを特徴とする炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
本発明の炭化珪素単結晶インゴットの製造装置によれば、この黒鉛製の坩堝を用いて炭化珪素単結晶インゴットを効率良く成長させる際に、坩堝の原料充填部に充填された炭化珪素原料を適切に加熱することが可能であり、従来の方法では比較的低温となる原料充填部の中心軸近傍での炭化珪素原料の再結晶化を未然に防ぎ、原料充填部に充填された炭化珪素原料を有効に昇華させること、すなわち炭化珪素原料の結晶化率〔=(成長した炭化珪素単結晶インゴットの重量)/(充填された炭化珪素原料の重量)〕を高くすることができる。
また、本発明の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法は、坩堝の原料充填部に充填された炭化珪素原料を効率良く昇華させて炭化珪素単結晶インゴットを製造することができ、大口径かつ長尺の炭化珪素単結晶インゴットの製造に適しているほか、種結晶の結晶成長面に昇華ガスが効率的かつ安定的に供給されるようになり、種結晶の結晶成長面に昇華ガスの供給が変動することに起因する欠陥の発生を抑制することができ、高品質の炭化珪素インゴットを製造することができる。また、本発明の方法で製造された高品質の炭化珪素単結晶インゴットを用いて電子材料用の炭化珪素単結晶基板を製造すれば、炭化珪素原料に対して製造される基板の歩留まりが向上し、炭化珪素単結晶基板のコスト低減を図ることができる。
図1は、本発明の実施形態1に係る炭化珪素単結晶インゴットの製造装置を説明するための説明図である。 図2は、図1に示す坩堝、発熱部材、及び断熱材を説明するために、これらの関係を概略的に拡大して示す拡大説明図である。 図3は、本発明の非軸対称な温度分布を概念的に説明するための説明図である。 図4は、本発明の実施形態2に係る炭化珪素単結晶インゴットの製造装置を示す図2と同様の説明図である。 図5は、本発明の実施形態3に係る炭化珪素単結晶インゴットの製造装置を示す図2と同様の説明図である。 図6は、図5の坩堝が上方に移動した状態を説明するための図4と同様の説明図である。 図7は、改良レーリー法の原理を説明するための説明図である。
以下、添付図面に示す炭化珪素単結晶インゴットの製造装置を用いて、本発明の炭化珪素単結晶インゴットの製造装置、及びこの製造装置を用いた本発明の炭化珪素単結晶インゴットの製造方法について、その実施の形態を説明する。
〔実施形態1〕
図1は、本発明の実施形態1に係る炭化珪素単結晶インゴットの製造装置を説明するためのものであり、この製造装置において、二重石英管13内には黒鉛製の黒鉛坩堝1(以下、「坩堝」と略す。)とこの坩堝1を取り囲むように覆う黒鉛製の断熱材5(5a,5b)とが配設されている。そして、前記坩堝1は、上端開口筒状に形成された黒鉛製の坩堝本体1aとその上端開口部を閉塞する黒鉛製の坩堝上蓋1bとで構成されており、また、前記坩堝本体1a下部には炭化珪素原料(以下、単に「原料」という。)3を充填する原料充填部1cが位置しており、更に、前記坩堝上蓋1bの内面には炭化珪素単結晶からなる種結晶2が取り付けられている。そして、前記坩堝1は、坩堝支持体10の上に配置され、この坩堝支持体10が有する図示外の回転機構により、前記二重石英管13に対して回転可能な機能を有しており、また、この坩堝1を取り囲む前記断熱材5(5a,5b)は、坩堝本体1aの外周側を覆う断熱材5aと坩堝本体1a下部の原料充填部1cの底壁部(以下、単に「坩堝底壁部」ということがある。)を覆う断熱材5bとからなり、前記断熱材5(5a,5b)を坩堝1に対して鉛直方向に上下動を行うための上下動駆動装置12を介して断熱材支持部材11により支持されている。
なお、この図1において、符号6は切欠き孔を示し、符号13は二重石英管を示し、符号14は真空排気装置を示し、符号15はArガス配管を示し、符号16はArガス用マスフローコントローラを示し、符号17は発熱部材として機能する前記坩堝1の坩堝本体1a及び後述する発熱部材7を発熱させるための高周波誘導加熱用のワークコイルを示し、前記ワークコイル17には高周波電流を流すための図示外の高周波電源が取り付けられている。また、ワークコイル17には坩堝1に対して鉛直方向に上下動を行うための上下動駆動装置18が取り付けられている。
この実施形態1においては、図1及び図2に示すように、前記断熱材支持部材11により支持された断熱材5bの上に、坩堝1と同じ黒鉛製であって高周波誘導加熱可能な両端開口円筒状の発熱部材7が配設されている。そして、この両端開口円筒状の発熱部材7は、前記坩堝本体1a下部に位置する原料充填部1cの外周側とこの原料充填部1cの外周側を覆う前記断熱材5aとの間において、原料充填部1cの外周を取り囲むように位置しており、また、その内周の中心軸Oiが前記坩堝1(坩堝本体1a)の坩堝中心軸Ocと略一致して位置していると共に、その外周の中心軸Ooが前記内周の中心軸Oi(又は坩堝中心軸Oc)から偏心して位置しており、結果として、発熱部材7の壁厚が横断面円周方向に沿って変化する非軸対称な形状を有している。
この実施形態1の製造装置において、二重石英管13内部は、真空排気装置14により高真空排気(10-3Pa以下)とすることができ、かつArガス配管15とArガス用マスフローコントローラ16を用いて、内部雰囲気をArガスにより圧力制御することができるようになっている。そして、坩堝1の温度の計測は、坩堝1の上下部を覆う黒鉛製の断熱材5の中央部にそれぞれ光路を設け、坩堝1の上部(坩堝上蓋1b)及び下部〔坩堝本体1a下部の原料充填部1cの底壁部(坩堝底壁部)〕からの光を取り出して、二色温度計を用いて行い、坩堝1下部の温度から原料温度を判断し、また、坩堝1上部の温度から種結晶2の温度を判断するようになっている。
そして、この実施形態1の製造装置を用いて、種結晶2上に炭化珪素単結晶の結晶成長させる際には、坩堝1内部の上下方向に温度勾配を形成し、原料充填部1cの温度を高くして種結晶2の結晶成長部分の温度を相対的に低くさせるが、この際に、坩堝本体1a下部の原料充填部1cに充填された原料3の低温部は、発熱部材7の発熱に起因して、坩堝本体1aのみの発熱による加熱によって原料3の低温部が発生する従来の坩堝中心軸Oc上ではなくて、この従来の坩堝中心軸Oc(すなわち、発熱部材7の内周の中心軸Oi)上からずれた位置に発生する。
この原料3の低温部が従来の坩堝中心軸Oc(発熱部材7の内周の中心軸Oi)上よりも発熱部材7の外周の中心軸Oo側にずれた状態を概念的に図示したのが図3である。
すなわち、図2において、高周波誘導加熱により発熱する製造装置の坩堝本体1a及び発熱部材7のうちで、坩堝本体1aのみに着目した場合の坩堝1の径方向の温度分布は、従来の製造装置と同様に、坩堝本体1aの側壁で高周波誘導加熱により発生した熱を、原料充填部1c内の原料3から種結晶2を経由させて系外へと放出させているので、原料充填部1c内の原料3の外周部近傍の温度が高く、その中心軸近傍に向かって温度が低下し、坩堝1の径方向には図3中に一点鎖線で示したような温度分布が生じ、坩堝本体1aの坩堝中心軸OC近傍に低温部が生じることになる。また、図2において、製造装置に設けられた発熱部材7のみに着目した場合の坩堝1の径方向の温度分布については、発熱部材7が上記の如く横断面円周方向に壁厚が変化する非軸対称な形状を有しているので、原料充填部1c内の原料3には、例えば図3中に実線で示したように、上記一点鎖線で示した温度分布とは異なる坩堝1の径方向にずれた温度分布が生じることになる。そして、本願発明の如くこれら坩堝本体1aと発熱部材7とが共に高周波誘導加熱により発熱した場合には、上記の坩堝本体1aに基づく一点鎖線の温度分布と上記の発熱部材7に基づく実線の温度分布とが重なり合い、原料充填部1c内の原料3に発生する低温部Bは、発熱部材7が存在しない場合の坩堝中心軸OC(すなわち、発熱部材7の内周の中心軸Oi)近傍から外れた位置にずれて形成されることになる。
また、この実施形態1においては、図1に示す坩堝支持体10に組み込まれた図示外の回転機構を用い、結晶成長中に坩堝1を発熱部材7に対して回転させ、これによって、坩堝中心軸OC(すなわち、発熱部材7の内周の中心軸Oi)近傍から外れた位置に形成されている原料3の低温部Bを、原料3内部において坩堝中心軸OCの軸周りに移動させることができるようになっている。すなわち、低温部Bを回転機構を用いて坩堝中心軸OCの軸周りに回転させ、温度分布を変化させることにより、この低温部Bを高温に加熱するものであり、低温部で再結晶化した原料をその後の坩堝の回転による温度変化で高温に加熱し、原料3を有効に昇華させて利用するものである。
〔実施形態2〕
図4は本発明の実施形態2に係る炭化珪素単結晶インゴットの製造装置を示す図2と同様の説明図であり、実施形態1の場合と異なり、発熱部材7は、その内周が円形状であって中心軸が坩堝本体1aの中心軸(坩堝中心軸)と一致した位置に形成されていると共に、その外周が楕円形状に形成されており、また、外周の中心軸が内周の中心軸(坩堝中心軸)から偏心して位置した非軸対称の両端開口円筒形状に形成されている。
この実施形態2の製造装置においても、実施形態1の場合と同様に、発熱部材7の壁厚が横断面円周方向に沿って変化する非軸対称な形状となっており、原料充填部1c内の原料3に発生する低温部を従来の坩堝中心軸OC(すなわち、発熱部材7の内周の中心軸)近傍から外れた位置にずらして形成させることができ、坩堝1の回転機構を用いてこの低温部を坩堝中心軸OCの軸周りに回転させることにより、原料3を有効に昇華させて利用することができる。
〔実施形態3〕
図5及び図6は、本発明の実施形態3に係る炭化珪素単結晶インゴットの製造装置を示す図2と同様の説明図であり、実施形態1の場合と異なり、断熱材5aには、坩堝1の上方にこの坩堝1を断熱材5(5a,5b)に対して上下方向に相対的に移動可能にする上下動スペースSが設けられており、図1に示す上下動駆動装置12により断熱材5(5a,5b)を上下方向に移動させ、高周波誘導加熱により原料充填部1c内の原料3に発生する温度分布を変化させ、この原料3をより均一に加熱できるようになっている。
この実施形態3の製造装置においても、実施形態1の場合と同様に、発熱部材7の壁厚が横断面円周方向に沿って変化する非軸対称な形状となっており、原料充填部1c内の原料3に発生する低温部を従来の坩堝中心軸OC(すなわち、発熱部材7の内周の中心軸)近傍から外れた位置にずらして形成させることができ、坩堝1の回転機構を用いてこの低温部を坩堝中心軸OCの軸周りに回転させることにより、原料3を有効に昇華させて利用することができる。
ここで、以下に本発明で用いる非軸対称な発熱部材について、より詳細に説明する。
先ず、発熱部材の素材については、高周波誘導加熱で加熱される材料であればよいが、成長した結晶に不純物を導入しない材料であることが望ましく、坩堝と同様の黒鉛材であることが好ましい。また、発熱部材の形状については、上記の実施形態1及び3や実施形態2に示した壁厚が横断面円周方向に沿って変化する非軸対称な両端開口円筒形状に限らず、周壁が横断面円周方向に沿って複数の壁厚の異なる壁部材に分割され、これら複数の壁部材が全体として筒形状を構成する構造であってもよく、本発明の目的を達成できる構造であれば特に限定され眼ものではない。
また、本発明において、坩堝の坩堝本体上部については、高周波誘導加熱により軸対称な誘導電流が流れ、軸対称な発熱分布が形成されることが望ましく、また、本発明において、発熱部材7を設けることの理由は原料充填部内の原料内部に非軸対称な温度分布を形成させることが目的であるため、発熱部材の高さ及び設置位置については、原料の高さと同じ、若しくは、その高さより低くするのがよく、通常原料の高さの0.6倍以上1倍以下であるのがよく、また、坩堝1の底面と発熱部材7の底面とが一致する位置、若しくは、坩堝1の底面より発熱部材7が低い位置にすることが好ましい。発熱部材の高さを原料の高さより高くした場合には、成長している結晶の温度分布が非軸対称となる傾向が生じて適切な成長条件を得られなくなる虞がある。
更に、坩堝を発熱部材に対して回転させる際の回転速度については、坩堝本体や発熱部材が発熱し、これによって発生する温度分布の変化が十分に温度分布として反映される程度の時間があることが必要であり、坩堝と発熱部材との相対的な回転速度は1時間当り通常2回転以上60回転以下であることが好ましい。この回転速度より遅い場合には、原料内部の低温部の移動が遅くなって、高温部が比較的長時間に亘って加熱され続けることになり、昇華ガスの枯渇を引き起こし易く、原料を有効に昇華させる効果が得られない虞が生じる。また、この回転速度より早い場合には、坩堝本体や発熱部材が発熱して発生する温度分布の変化が十分に温度分布に影響を及ぼすことができなくなり、非軸対称な温度分布が高速回転により平均化されて軸対称な温度分布になり、発明の効果が得られなくなる虞がある。
そして、非軸対称な形状を持つ発熱部材の厚さについては、高周波誘導加熱に用いられる誘導加熱周波数に応じて決めることが望ましい。
一般に、高周波を導体に流した場合、磁場との相互作用により、電流密度は導体表面が高く、内側に入るに従って低下する。表面の電流密度が1/eの電流密度に減衰する際の厚さが「表皮厚さ」と呼ばれ、次式のdで記述される。
d=(2/σωμ)1/2
〔ここで、σ:導体の導電率、ω:電流の角速度=2πf(f:電流の周波数)、μ:導体の透磁率〕
つまり、高周波電流の周波数が高くなるに従って表皮厚さdは薄くなり、高周波電流が表面に集中することになる。そのため、発熱部材の厚さが表皮厚さdに比べて十分に厚い場合には、発熱部材の表面近傍での発熱は、発熱部材の厚さに依存しなくなって周方向に亘って一様となる。この場合、温度分布の非軸対称性は発熱部材の形状の非軸対称性のみに依存し、温度分布の非軸対称性の発現の程度までは得られるもののその効果は小さい。発熱部材の厚さが、表皮深さdと同程度、若しくは、表皮厚さdよりも薄い場合には、発熱部材の内側の坩堝まで磁場が浸透する。この際、発熱部材の厚さが薄い部分の電流密度が高くなるために、発熱が大きくなる。同時に、発熱部材の厚さが薄い部分は発熱部材の厚さが厚い部分に比べて、坩堝との距離が近い部分で発熱が生じ、温度が高くなる。これらのことから、発熱部材は、その薄い部分の厚さが表皮厚さdの0.1倍以上0.8倍以下であって、その厚い部分の厚さが表皮厚さdの1倍以上1.5倍以下であることが好ましい。
本発明の製造方法により成長高さが40mm以上100mm以下の炭化珪素単結晶インゴットを製造した場合には、坩堝内に充填した炭化珪素原料を有効に利用することができるため、結晶化率を向上させることができる。また、結晶成長中の結晶成長速度の変動が小さくなって高品質の炭化珪素単結晶を得ることができる。このため、電子材料用の炭化珪素単結晶を効率良く作製することが可能になり、炭化珪素単結晶インゴットをより安価に製造することができる。
〔実施例1〕
実施例1においては、図1及び図2に示す実施形態1の炭化珪素単結晶インゴットの製造装置を用いた。この製造装置の発熱部材は、坩堝と同じ黒鉛材で形成されており、原料充填部と同じ高さでこの原料充填部の周囲に配置されており、黒鉛製の坩堝本体と発熱部材とが高周波誘導加熱により発熱するようになっている。
発熱部材は、その高さが坩堝の原料充填部の高さの0.9倍であり、円柱状の黒鉛材料を用い、その中心軸から偏心させて円筒状に刳り貫いて作製した。厚い部分の厚さは20mmであって表皮厚さdの1倍であり、また、薄い部分の厚さは10mmであって表皮厚さdの0.5倍である。
坩堝の坩堝本体下部の原料充填部内には、アチソン法により作製された炭化珪素結晶粉末からなる炭化珪素原料を2.6kg充填し、また、坩堝の坩堝上蓋には、種結晶として、口径105mmの(0001)面を有する4Hポリタイプの炭化珪素単結晶ウェハを配置した。
このようにして準備された坩堝及び発熱部材等からなる構成部材を、図1に示すように、二重石英管の内部に設置し、前記手順で常法に従って炭化珪素単結晶の結晶成長を行った。すなわち、原料温度を目標温度である2300℃まで上昇させた後、二重石英管内のArの圧力を成長圧力1.3kPaまで30分かけて減圧し、炭化珪素単結晶の成長を開始させ、加熱を160時間継続して炭化珪素単結晶を成長させた。また、この際に、坩堝を発熱部材に対して10回転/時間の一定速度で回転させた。
この実施例1の炭化珪素単結晶インゴットの製造において、成長速度は約0.35mm/時であって、口径が105mm程度で、高さが55mm程度の炭化珪素単結晶インゴットが得られた。坩堝内の原料の残渣を観察したところ、原料充填部の坩堝中心軸近傍においても原料が効率良く昇華したことが確認され、高周波誘導加熱の際に原料に対する加熱温度を効果的に変化させることができ、結果として中心軸近傍の原料も効率良く加熱することができた。また、得られた単結晶インゴットの重量は1.5kg程度であり、また、結晶化率は60%であった。
更に、得られた炭化珪素単結晶インゴットについて、X線回折及びラマン散乱により分析したところ、4Hの単一ポリタイプからなるインゴットであり、また、マイクロパイプ等の結晶欠陥が少ない極めて高品質であることが確認された。
このインゴットから切り出された炭化珪素単結晶基板は、電子デバイスを作製するための基板として有用である。
〔実施例2〕
実施例2においては、発熱部材の高さを原料充填部の高さの0.6倍とし、厚い部分の厚さを28mmとして表皮厚さdの1.4倍とし、また、薄い部分の厚さを6mmとして表皮厚さdの0.3倍とし、そして、坩堝の坩堝本体下部の原料充填部内に炭化珪素原料を5.4kg充填し、また、坩堝の坩堝上蓋に、種結晶として、口径155mmの(0001)面を有する4Hポリタイプの炭化珪素単結晶ウェハを配置したこと以外については、上記実施例1の場合と同様にして、坩堝及び発熱部材等からなる構成部材を準備した。
このようにして準備された坩堝及び発熱部材等からなる構成部材を、図1に示すように、二重石英管の内部に設置し、前記手順で常法に従って炭化珪素単結晶の結晶成長を行った。すなわち、原料温度を目標温度である2300℃まで上昇させた後、二重石英管内のArの圧力を成長圧力1.3kPaまで30分かけて減圧し、炭化珪素単結晶の成長を開始させ、加熱を140時間継続して炭化珪素単結晶を成長させた。また、この際に、坩堝を発熱部材に対して50回転/時間の一定速度で回転させた。
この実施例2の炭化珪素単結晶インゴットの製造において、成長速度は約0.4mm/時であって、口径が155mm程度で、高さが56mm程度の炭化珪素単結晶インゴットが得られた。坩堝内の原料の残渣を観察したところ、原料充填部の坩堝中心軸近傍においても原料が効率良く昇華したことが確認され、高周波誘導加熱の際に原料に対する加熱温度を効果的に変化させることができ、結果として中心軸近傍の原料も効率良く加熱することができた。また、得られた単結晶インゴットの重量は3.4kg程度であり、また、結晶化率は63%であった。
更に、得られた炭化珪素単結晶インゴットについて、X線回折及びラマン散乱により分析したところ、4Hの単一ポリタイプからなるインゴットであり、また、マイクロパイプ等の結晶欠陥が少ない極めて高品質であることが確認された。
このインゴットから切り出された炭化珪素単結晶基板は、電子デバイスを作製するための基板として有用である。
〔実施例3〕
実施例3においては、図1、図5、及び図6に示す実施形態3の炭化珪素単結晶インゴットの製造装置を用いた。この製造装置においても、実施例1及び2と同様に、黒鉛製の坩堝本体と発熱部材とが高周波誘導加熱により発熱するようになっている。
発熱部材は、その高さが坩堝の原料充填部の高さの0.8倍であり、円柱状の黒鉛材料を用い、その中心軸から偏心させて円筒状に刳り貫いて作製した。厚い部分の厚さは24mmであって表皮厚さdの1.2倍であり、また、薄い部分の厚さは12mmであって表皮厚さdの0.6倍である。
坩堝の坩堝本体下部の原料充填部内には、アチソン法により作製された炭化珪素結晶粉末からなる炭化珪素原料を7.5kg充填し、また、坩堝の坩堝上蓋には、種結晶として、口径155mmの(0001)面を有する4Hポリタイプの炭化珪素単結晶ウェハを配置した。
このようにして準備された坩堝及び発熱部材等からなる構成部材を、図1に示すように、二重石英管の内部に設置し、前記手順で常法に従って炭化珪素単結晶の結晶成長を行った。すなわち、原料温度を目標温度である2300℃まで上昇させた後、二重石英管内のArの圧力を成長圧力1.3kPaまで30分かけて減圧し、炭化珪素単結晶の成長を開始させ、加熱を180時間継続して炭化珪素単結晶を成長させた。また、この際に、坩堝を発熱部材に対して20回転/時間の一定速度で回転させ、更に、結晶成長中に発熱部材を図5に示す坩堝に対して高い位置から図6に示す低い位置へと0.02mm/hの速度で移動をさせた。
この実施例3の炭化珪素単結晶インゴットの製造において、成長速度は約0.45mm/時であって、口径が155mm程度で、高さが56mm程度の炭化珪素単結晶インゴットが得られた。坩堝内の原料の残渣を観察したところ、原料充填部の坩堝中心軸近傍においても原料が効率良く昇華したことが確認され、高周波誘導加熱の際に原料に対する加熱温度を効果的に変化させることができ、結果として中心軸近傍の原料も効率良く加熱することができた。また、得られた単結晶インゴットの重量は4.9kg程度であり、また、結晶化率は65%であった。
更に、得られた炭化珪素単結晶インゴットについて、X線回折及びラマン散乱により分析したところ、4Hの単一ポリタイプからなるインゴットであり、また、マイクロパイプ等の結晶欠陥が少ない極めて高品質であることが確認された。
このインゴットから切り出された炭化珪素単結晶基板は、電子デバイスを作製するための基板として有用である。
〔比較例1〕
比較例1においては、発熱部材を用いることなく、また、この発熱部材以外は、各部材の配置も含めて、実施例1と同様の条件で同様にして結晶成長を行った。
この比較例1の炭化珪素単結晶インゴットの製造において、成長速度は約0.17mm/時であって、口径が155mm程度で、高さが16mm程度の炭化珪素単結晶インゴットが得られた。坩堝内の原料の残渣を観察したところ、原料の中心軸近傍において原料が再結晶し、結晶成長に有効に活用されていないことが判明した。この原料の中心軸近傍での昇華ガスの再結晶のため、結晶成長の途中で原料ガスの供給が途絶え、成長した結晶の成長面が昇華し、成長面が炭化した。得られた単結晶インゴットの重量は0.4kg程度であり、結晶化率は17%過ぎなかった。
更に、得られた炭化珪素単結晶インゴットについて、X線回折により分析したところ、マイクロパイプ等の結晶欠陥が発生し、電子デバイス作製のための基板には不適であることが判明した。
1…坩堝、1a…坩堝本体、1b…坩堝上蓋、1c…原料充填部、2…種結晶、3…炭化珪素原料(原料)、4…単結晶インゴット、5,5a,5b…断熱材、6…切欠き孔、7…発熱部材、10…坩堝支持体、11…断熱材支持部材、12…上下動駆動装置、13…二重石英管、14…真空排気装置、15…Arガス配管、16…Arガス用マスフローコントローラ、17…ワークコイル、18…上下動駆動装置、Oc…坩堝中心軸、Oi…発熱部材の内周の中心軸、Oo…発熱部材の外周の中心軸、B…低温部、S…上下動スペース。

Claims (4)

  1. 上端開口筒状に形成された黒鉛製の坩堝本体とこの坩堝本体の上端開口部を閉塞する黒鉛製の坩堝上蓋とを有すると共に、前記坩堝本体下部には炭化珪素原料が充填される原料充填部を有する坩堝と、前記坩堝の外側に配設され、高周波誘導加熱により坩堝本体を発熱させるワークコイルとを備え、昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を製造するための炭化珪素単結晶インゴットの製造装置において、
    前記坩堝本体下部の原料充填部の外側に、前記坩堝本体の中心軸に対して非軸対称な形状を有すると共に、前記ワークコイルによる高周波誘導加熱により発熱する発熱部材を配設し、前記発熱部材は、高さが前記原料充填部の高さに対して0.6倍以上1倍以下であり、
    また、前記発熱部材と前記坩堝本体とを坩堝本体の中心軸を回転軸として相対的に回転させる回転機構を設けたことを特徴とする炭化珪素単結晶インゴットの製造装置。
  2. 前記発熱部材が、前記坩堝本体下部の原料充填部の外側を取り囲むように配設され、外周の中心軸が内周の中心軸に対して偏心した非軸対称形状を有する筒状加熱部材であることを特徴とする請求項1記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造装置。
  3. 前記発熱部材と前記坩堝本体との間の相対回転速度が1時間当り2〜60回転であることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭化珪素単結晶インゴットの製造装置。
  4. 黒鉛製の坩堝本体下部の原料充填部内に充填された炭化珪素原料を加熱して昇華させ、生成した昇華ガスを前記坩堝上蓋の内面に設置された炭化珪素単結晶からなる種結晶の表面で再結晶化させる炭化珪素単結晶インゴットの製造方法において、
    前記坩堝本体下部の原料充填部の外側に、前記坩堝本体の中心軸に対して非軸対称形状を有する高周波誘導加熱可能な発熱部材を配設し、前記発熱部材は、高さが前記原料充填部の高さに対して0.6倍以上1倍以下であり、この発熱部材と前記坩堝本体とを坩堝本体の中心軸を回転軸として相対的に回転させながら、高周波誘導加熱により前記坩堝本体と前記発熱部材とを発熱させ、前記原料充填部の内部に非軸対称の温度分布を形成しつつ前記炭化珪素原料を昇華させることを特徴とする炭化珪素単結晶インゴットの製造方法。
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