JP5236745B2 - 銅箔又は銅張り積層板の巻取り方法 - Google Patents

銅箔又は銅張り積層板の巻取り方法 Download PDF

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Description

本発明は、銅箔又は銅張り積層板のコアへの巻取り方法に関する。
ポリイミドフィルム等の樹脂フィルムに銅箔を積層したFCCL(Flexible Copper Clad Laminate)は、電子産業における回路基板の素材として広く用いられている。銅箔には圧延銅箔と電解銅箔があるが、それぞれ芯管(「コアロール」とも言う。)へ巻取られており、これらを巻き戻しながら、ポリイミドフィルム等の樹脂フィルムに接着して金属被覆ポリイミド複合体が製造されている。
従来、これらの巻取りの開始に際しては、芯管に接着剤を塗布するか又は離型紙が付いた両面接着テープを用いて巻取りが行われている。その代表的なものとして特許文献1を挙げることができる。
この特許文献1では、銅箔を芯管に離型紙付両面接着テープを用いて巻き付けし、巻取りロール状とする巻取り方法で、2個の離型紙付両面接着テープを用いて、固定するものである。
このような接着テープを用いる方法や接着剤を巻取りの芯管に適用する方法には大きな問題を有する。それは巻取りの始端において段差あるいは凸状になり、しわやバギーを発生することである。
この段差は、銅箔をうまく貼り付けなかった場合又はきれいに切断しなかったような場合に発生するが、巻取りを行う銅箔の始端の発生はどうしても生ずるので、止むを得ない事情と言える。
問題は、この銅箔に接着剤が加算され、始端の厚みが増大することである。巻取りは繰り返されるので、接着剤が加算された始端の部分で、上記のように常に段差が生ずることになる。巻取りの強度を高めるために接着性の向上は、ある意味では重要であるが、このような段差がある銅箔は好ましくない。
また、前記しわやバギーを低減するためには、巻取りのテンションを低くする必要があった。しかし、巻取りのテンションが低いと、巻き取った銅箔を再使用する時の巻き戻し(「巻き出し」とも言う。)の際に、巻き崩れが生ずるという問題があった。
巻取りの径が増加するにしたがって、段差の影響は小さくなるが、巻取りの径が小さい段階では、この段差による銅箔への品質の低下は無視できず、その部分の銅箔は製品として使用できない。したがって、このような状況は、製品歩留まりを大きく低下させることになる。
特許第3565424号公報
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、巻取り時のしわやバギーの発生を抑制すること及び巻き取りのテンションを上げ、巻き崩れを防止することができる銅箔又は銅張り積層板の巻取り方法を提供するものである。
以上から、本発明は
1.芯管への銅箔又は銅張り積層板の巻取りに際し、長さが銅箔又は銅張り積層板の幅と同一長さである小幅の両面接着剤付テープを2本と、長さが銅箔又は銅張り積層板の幅よりも長い広幅の粘着性のバックアップテープ1本を用意し、1本目と2本目の両面接着剤付テープを、それぞれ隙間を空けて芯管の表面へ芯管軸と平行に貼り付け、次に銅箔又は銅張り積層板を1本目の両面接着剤付テープを始端として貼り付け、隣り合う2本目の両面接着剤付テープが存在する方向とは逆方向に銅箔又は銅張り積層板が周回するように芯管を回転させ、2本目の両面接着剤付テープが存在する位置に至ったところで、銅箔又は銅張り積層板を2本目の両面接着剤付テープを貼り付けると共に、この地点で芯管の回転を停止させ、さらに1本目と2本目の両面接着剤付テープとその上に周回された銅箔又は銅張り積層板の上から、前記長さが銅箔又は銅張り積層板の幅よりも長い広幅の粘着性のバックアップテープを芯管上へ貼り付けた後、巻取りを継続することを特徴とする銅箔又は銅張り積層板の巻取り方法
2.両面接着剤付テープの幅を10〜50mmとすることを特徴とする上記1記載の銅箔の巻取り方法
3.1本目と2本目の両面接着剤付テープの隙間を0.1〜30mmとすることを特徴とする上記1又は2記載の銅箔又は銅張り積層板の巻取り方法
4.広幅の粘着性のバックアップテープの幅を25〜150mmとすることを特徴とする上記1〜3のいずれか一項に記載の銅箔又は銅張り積層板の巻取り方法
5.広幅の粘着性のバックアップテープの長さが銅箔又は銅張り積層板の両端からそれぞれ25〜500mm突出する長さの粘着性のバックアップテープを使用することを特徴とする上記1〜4のいずれか一項に記載の銅箔又は銅張り積層板の巻取り方法
6.離型紙付両面接着剤付テープを使用し、巻取り操作を開始する前に、離型紙付両面接着剤付テープを芯管に予め貼り付けておくことを特徴とする上記1〜5のいずれか一項に記載の銅箔又は銅張り積層板の巻取り方法を、提供する。
本発明は、巻取り時のしわやバギーの発生を抑制すること及び巻き取りのテンションを上げ、巻き崩れを防止することにより、製品歩留まりを高め、生産性を向上させることができるという優れた効果を有する。
芯管へ銅箔巻取りを開始した初期の概略説明図である。 芯管に貼付けた両面接着剤付テープ(1本目)に銅箔を貼付け、巻取りを開始する状況を示す断面説明図である。 巻きつけを開始し、銅箔が芯管一巡した時点で、両面接着剤付テープ(2本目)に貼付けた状況を示す断面説明図である。 巻きつけを開始し、銅箔が芯管一巡した時点で、両面接着剤付テープ(2本目)に貼付けた銅箔の、さらにその上にバックアップテープを貼付けた状況を示す断面説明図である。
次に、本願発明の代表的な例を、図面に添って説明する。なお、以下の説明は好適な一例を示すもので、本発明はこれらに限定されるものではない。したがって、本願特許請求の範囲及び明細書に記載する発明の技術思想に含まれる変形、他の例又は態様は、全て本発明に含まれるものである。
なお、本願発明は銅又は銅張り積層板に適用できるものであるが、以下の例では代表的に銅箔を用いて説明することとする。なお、当然のことではあるが、以下に説明する例において「銅箔」を「銅張り積層板」に置き換えることにより、銅張り積層板にも適用できることは容易に理解されるべきことである。
図1に、芯管への銅箔巻取りを開始した初期の概略説明図を示す。図1は巻取り用の芯管1へ銅箔2を巻取る様子を示す。芯管1には、通常ABS、FRPにエポキシ樹脂又はNBRをコートしたロール、フェノール樹脂を使用するが、表面がある程度の濡れ性を持ちかつ水、水溶液又は有機溶剤が染み込まない材質であれば、必ずしもこのロールに限定されるものではない。
芯管1への銅箔2の巻取りに際しては、長さが銅箔2の幅と同一長さである小幅の両面接着剤付テープ3、4を2本用意し、また、長さが銅箔の幅よりも長い広幅の粘着性のバックアップテープ2を1本用意する。
この両面接着剤付テープ3、4のサイズは特に制限はないが、銅箔2のサイズ、芯管1のサイズにより変更できる。通常、両面接着剤付テープの幅を10〜50mmのものを使用する。
1本目と2本目の両面接着剤付テープ3、4を、図1に示すように、それぞれ隙間を空けて、芯管の表面へ芯管軸と平行に貼り付ける。1本目と2本目の両面接着剤付テープ3、4の隙間も任意であるが、効率を考慮して0.1〜30mmとするのが良い。
次に、図2に示すように、銅箔2を1本目の両面接着剤付テープ3を始端として貼り付け、隣り合う2本目の両面接着剤付テープ4が存在する方向とは逆方向に銅箔2が周回(一巡)するように芯管1を回転させる。
この回転により、2本目の両面接着剤付テープ4が存在する位置に至ったところで、図3に示すように、銅箔2を2本目の両面接着剤付テープ4に貼り付ける。同時に、この地点で芯管の回転を停止させる。
次に、図4に示すように、1本目と2本目の両面接着剤付テープ3、4とその上に周回された銅箔2の上から、前記長さが銅箔2の幅よりも長い広幅の粘着性のバックアップテープ5を芯管1上へ貼り付ける。その後、巻取りを継続する。広幅の粘着性のバックアップテープ5は、当然ながら片面(貼り付け面)が接着性を有すものである。
また、この広幅の粘着性のバックアップテープ5を貼り付けた後は、貼り付けの強度が大きく増すので、巻取りのテンション(張力)を上げることができる。これによってしわの発生や凸部の形成を抑制できる。
また、狭幅の両面接着剤付テープ3、4により発生する段差は、広幅の粘着性のバックアップテープ5によって緩和されるので、段差が目立たなくなるという大きな利点がある。
広幅の粘着性のバックアップテープ5の幅は、25〜150mmとするのが望ましい。この広幅の粘着性のバックアップテープ5の幅は、図1に示すように、銅箔の幅よりも長く、かつ両面接着剤付テープ3、4の幅とその間の隙間を加算した幅よりも大きいものであれば、特に制限されないが、通常25〜150mmの幅のビニールテープ5を使用する。この幅も巻き取る銅箔2のサイズ、芯管1のサイズにより変更できる。
前記特許文献1では、両面テープを銅箔より広く張付け、銅箔を両面テープに貼った後、この両面テープを除去するとある。この切取りの際に、銅箔まで切取る場合や、逆に除去が不完全で両面テープが残る場合がある。銅箔を切取った場合には巻取りのやり直しが必要となり、またそのまま巻き取ると、そこからシワが発生することになる。また両面テープが残っていると、両面テープにごみが付着し、銅箔の汚染原因となる。
しかし、本願発明のように、バックアップテープを用いると、両面テープの除去が不要であり、両面テープの粘着剤を覆うことになるので、ごみの付着も防止できるという大きな効果を有する。
広幅の粘着性のバックアップテープ5の長さは、銅箔の両端からそれぞれ25〜150mm突出する長さの粘着性のバックアップテープを使用することができる。離型紙付両面接着剤付テープを使用し、巻取り操作を開始する前に、離型紙付両面接着剤付テープを芯管に予め貼り付けておくことも可能である。これによって、操作が集中せず、より簡単になるという利点がある。
以上により、巻取りが緩むことあるいは巻き重ねが崩れることがない。また、巻きほごし(巻き戻し)に際しても、銅箔製品の巻取りが緩むことあるいは巻き重ねが崩れることはなく、銅箔の連続した使用が可能である。
次に、実施例及び比較例について説明する。
(実施例)
厚さ12μm、幅1280mmの銅箔を、外形φ110mm、長さ1380mmの芯管に巻き取る。
幅が15mmであり、長さは銅箔の幅より長い1285mmとした両面接着剤付テープを2本用意し、これを図1及び図2に示すように芯管の貼付けた。1本目と2本目の両面接着剤付テープは、図1及び図2に示すように、それぞれ隙間2mmとした。
この他、幅50mmとし、銅箔の両端からそれぞれ25mm突出する長さの広幅の粘着性のバックアップテープを準備した。
図3に示すように、銅箔を芯管の周囲に一巡するように、芯管を回転し、2個目の両面接着剤付テープの位置で、銅箔を両面接着剤付テープに貼付け、さらにその上から、図1及び図4に示すように広幅の粘着性のバックアップテープを貼付け固定した。
そしてテンション27kg、巻き取り速度60m/minで700−900m巻き取った。巻き取り開始後、5mから50mで、しわ等の不良の有無を確認し、不良の場合は、再度、コアへ銅箔の貼り付けを実施した。
このとき、しわ等の巻付け不良が発生した回数、その時廃棄した銅箔の長さを記録し、不良発生率、製品率及び巻きずれ発生率を求めた。計算方法は以下の通りである。
不良発生率=不良発生回数/製品ロール本数 ×100(%)
製品率=(製品長さ)/(製品長さ+廃棄した銅箔長さ)×100 (%)
巻きずれ発生率=巻きずれ発生ロール(本)/製品ロール(本)×100(%)この結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例では、不良発生率は1.0%と少なく、製品率は99.9%に達し、巻きずれ発生率は0.04%と少なかった。後述する比較例に比べて良好な結果が得られた。
(比較例)
次に、バックアップテープ無しで巻取りを行った結果を示す。バックアップテープを使用しないこと以外は、実施例と同一条件とした。
すなわち、 図3に示すように、銅箔を芯管の周囲に一巡するように、芯管を回転し、2個目の両面接着剤付テープの位置で、銅箔を両面接着剤付テープに貼付け、さらにその上から、図1及び図4に示すように広幅の粘着性のバックアップテープを貼付け固定した。
そしてテンション27kg、巻き取り速度60m/minで700−900m巻き取った。巻き取り開始後、5mから50mで、しわ等の不良の有無を確認し、不良の場合は、再度、コアへ銅箔の貼り付けを実施した。
そして、実施例と同様に、しわ等の巻付け不良が発生した回数、その時廃棄した銅箔の長さを記録し、不良発生率、製品率及び巻きずれ発生率を求めた。
この結果、表1に示すように、比較例では、不良発生率は11.5%と多くなり、製品率は99.3%と低下し、巻きずれ発生率は0.12%と多くなった。
これは実施例に比べ明らかに不良であり、これはバックアップテープを用いなかった結果である。したがって、バックアップテープという簡単な構造でありながら、その存在の有無は、製品に大きな影響を与えることが分かった。
本発明は、銅箔又は銅張り積層板巻取り時のしわやバギーの発生を抑制すること及び巻き取りのテンションを上げ、巻き崩れを防止することにより、製品歩留まりを高め、生産性を向上させることができる方法を提供するものであり、これによって、巻取り時発生する段差による銅箔又は銅張り積層板への品質の低下を少なくして、その部分の銅箔を製品として使用できるようにすることにより、製品歩留まりを高め、生産性を向上させることができるという優れた効果を有するものである。これによって、フレキシブルプリント基板、TAB、COF(Chip on Film)等の電子部品の実装素材として用いられる銅箔又は銅張り積層板の巻取り材として有用である。
1:芯管
2:銅箔
3:両面接着剤付テープ(1本目)
4:両面接着剤付テープ(2本目)
5:バックアップテープ

Claims (6)

  1. 芯管への銅箔又は銅張り積層板の巻取りに際し、長さが銅箔の幅と同一長さであるか、あるいは若干長い小幅の両面接着剤付テープを2本と、長さが前記両面接着剤付テープ及び銅箔又は銅張り積層板の幅よりも長い広幅の粘着性のバックアップテープ1本を用意し、1本目と2本目の両面接着剤付テープを、それぞれ隙間を空けて芯管の表面へ芯管軸と平行に貼り付け、次に銅箔又は銅張り積層板を1本目の両面接着剤付テープを始端として貼り付け、隣り合う2本目の両面接着剤付テープが存在する方向とは逆方向に銅箔又は銅張り積層板が周回するように芯管を回転させ、2本目の両面接着剤付テープが存在する位置に至ったところで、銅箔又は銅張り積層板を2本目の両面接着剤付テープを貼り付けると共に、この地点で芯管の回転を停止させ、さらに1本目と2本目の両面接着剤付テープとその上に周回された銅箔又は銅張り積層板の上から、前記長さが銅箔又は銅張り積層板の幅よりも長い広幅の粘着性のバックアップテープを芯管上へ貼り付けた後、巻取りを継続することを特徴とする銅箔又は銅張り積層板の巻取り方法。
  2. 両面接着剤付テープの幅を10〜50mmとすることを特徴とする請求項1記載の銅箔又は銅張り積層板の巻取り方法。
  3. 1本目と2本目の両面接着剤付テープの隙間を0.1〜30mmとすることを特徴とする請求項1又は2記載の銅箔又は銅張り積層板の巻取り方法。
  4. 広幅の粘着性のバックアップテープの幅を25〜150mmとすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の銅箔又は銅張り積層板の巻取り方法。
  5. 広幅の粘着性のバックアップテープの長さが銅箔又は銅張り積層板の両端からそれぞれ25〜150mm突出する長さの粘着性のバックアップテープを使用することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の銅箔又は銅張り積層板の巻取り方法。
  6. 離型紙付両面接着剤付テープを使用し、巻取り操作を開始する前に、離型紙付両面接着剤付テープを芯管に予め貼り付けておくことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の銅箔又は銅張り積層板の巻取り方法。
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