図1は、第1乃至第5実施形態のMFP(Multi-Function Peripheral)を含む印刷システムを示した図である。図1に示す印刷システムは、ユーザが利用するクライアント装置10と、画像形成装置の一例としてのMFP20とがネットワーク130を介して互いに通信可能に接続された構成とされている。ネットワーク130は、インターネットやイントラネットとすることができる。なお、クライアント装置10とMFP20とは、直接ケーブルで接続されていてもよいし、無線LAN等により無線通信される構成であってもよい。又、上記の如く、第1乃至第5実施形態では、画像形成装置の一例としてMFPを適用することができるが、画像形成装置として適用することができるものはMFPに限られない。すなわち第1乃至第5実施形態のMFP20が、印刷装置単体の機能を有するレーザプリンタ(LP)等であってもよい。
クライアント装置10は、MFP20を制御するためのプリンタドライバがインストールされており、MFP20を利用することができるようになっている。このため、クライアント装置10は、プリンタドライバを記憶するためのメモリ、プリンタドライバを読み出し実行するためのプロセッサ、MFP20と通信するための通信デバイス等を備える。また、クライアント装置10は、印刷対象となる印刷データを作成するために、文書作成アプリケーションや表計算アプリケーション等のアプリケーションも記憶し、文字を入力等するためのキーボードやマウス等の入力装置と、入力した文字等を表示するための表示装置とを備える。クライアント装置10は、例えばPC等とすることができる。
クライアント装置10に実装されるプリンタドライバは、MFP20を制御するためのプリンタドライバとすることができるが、機種に依存しない印刷データを出力可能な機種共通ドライバとすることもできる。この機種共通ドライバは、概ね機種間で共通する機能について互換性を有するものである。機種共通ドライバを用いて出力された印刷データは、部数、印刷対象、印刷範囲、フォント、余白、行数、列数等について、印刷設定情報として設定された通りに印刷出力することができ、機種共通ドライバを用いて出力された印刷データにおいても、ほぼ印刷設定情報として設定された通りに印刷出力することができる。
これらのプリンタドライバは、クライアント装置10が備えるアプリケーションを使用して作成された文書等のファイルを印刷データへ変換する。この印刷データは、設定項目とその設定項目に対応する設定内容とを有する印刷設定情報を含む。設定項目は、集約印刷設定、両面印刷設定、モノクロ/カラー印刷設定、用紙サイズ設定、部数設定、白紙除去モード設定、トナーセーブモード設定、パンチ設定、ステープル設定等を含み、設定内容は、集約印刷設定に対し1枚の用紙に印刷するページ数、両面印刷設定に対し両面印刷の有無、モノクロ/カラー印刷設定に対しモノクロ印刷かカラー印刷かの選択、用紙サイズ設定に対し用紙サイズの選択、部数設定に対し部数、白紙除去モード設定に対し白紙除去の有無、トナーセーブモード設定に対しトナーセーブの有無、パンチ設定に対しパンチの有無およびその位置、ステープル設定に対しステープル止めの有無およびその位置に関する情報を含む。
MFP20は、クライアント装置10から受け付けた印刷データに基づき画像を印刷出力する。このため、MFP20は、印刷装置(画像出力部)を備える。印刷装置は、電子写真式のカラープリンタであれば、感光体ドラムと、感光体ドラムを帯電させるための帯電ユニットと、感光体ドラム上に潜像を形成するためにレーザ光を照射させる露光装置と、感光体ドラム上に形成された潜像を現像するためのトナーカートリッジ等を含む現像ユニットと、感光体ドラムに形成されたトナー像を転写ベルトに転写させる一次転写ユニットと、用紙を給紙するための給紙ユニットと、転写ベルト上のトナー像を用紙へ転写させる二次転写ユニットと、用紙へ転写されたトナー像をその用紙に定着させるための定着ユニットとを備える。
また、MFP20は、露光装置におけるレーザ光の照射位置、強度、照射時間、転写ベルトの搬送速度、給紙速度、定着温度等の装置全体を制御するためのプロセッサ(CPU)、その制御をプロセッサに実行させるためのプログラムを記憶するメモリ、クライアント装置10との間で通信を行うための通信デバイス(ネットワークI/F)を備える。その他、排紙トレイ、パンチやステープル機能を実現するためのフィニッシャ等を備える。
また、MFP20は、複合機として、印刷装置の他、コピー機能、FAX機能、スキャナ機能を実現するために必要な読み取り装置や原稿を搬送するためのフィーダ等をさらに備えることができる。クライアント装置10とMFP20との間の通信は、HTTPやFTP等のプロトコルを使用して行うことができる。図1では、1つのクライアント装置10と1つのMFP20とが示されているが、これに限られるものではなく、2以上のクライアント装置、2以上のMFPやプリンタがネットワーク130に接続された構成であってもよい。
ユーザは、クライアント装置10においてアプリケーションを使用して文書等を作成し、文字サイズ、行数、列数、余白、拡大や縮小、部数、用紙サイズ、印刷ページ番号、集約印刷におけるページ数、両面印刷の有無等の印刷設定を行い、MFP20に対し印刷を指示する。従来のプリンタやMFPでは、この印刷指示を受けると、印刷を実行するが、このMFP20は、ユーザがMFP20のところへ行き、MFP20の種類や状態に応じて印刷設定情報の変更を行い、印刷実行ボタンを押下する等してはじめて印刷が実行される。
例えば、印刷指示した段階では用紙1枚に対し1ページずつ印刷するように印刷設定をしていたが、装置の状態を確認すると、トナー残量が少ないことがわかった場合、従来のプリンタ等ではそのまま印刷するしかなかったが、このMFP20では、ユーザがMFP20において印刷設定情報の中の集約印刷設定を変更することができ、このため、その変更された印刷設定情報に基づき印刷を実行することが可能となる。
図2は、MFP20のハードウェア構成例を示す図である。なお説明の便宜上、図2は、MFP20が画像形成装置として機能する際のハードウェア構成例を示すものであり、コピー機能、FAX機能、スキャナ機能を実現する際に特に必要となる読み取り装置や原稿を搬送するためのフィーダ等は省略されている。図2において、MFP20は、CPU101、メモリ102、記録媒体103、ネットワークI/F104、画像出力部105、画像処理部106、外部デバイスI/F107、表示部108、及び操作部109等を有する。
MFP20での機能を実現するプログラムは、HDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性の記録媒体103に記録(インストール)される。記録媒体103は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。メモリ102は、プログラムの起動指示があった場合に、記録媒体103からプログラムを読み出して格納する。CPU101は、メモリ102に格納されたプログラムに従ってMFP20に係る機能を実現する。ネットワークI/F104は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
表示部108は、LCD(Liquid Crystal Display)等によって構成され、操作画面やメッセージ等を表示させる。操作部109は、ハードウェア的なボタン(キー)によって構成され、ユーザによる操作入力を受け付ける入力手段である。なお、表示部108及び操作部109は、オペレーションパネルとして一体的に構成されてもよい。
画像処理部106は、画像データを出力(印刷)等する際に必要とされる各種の画像処理を実行する。画像出力部105は、画像データの出力(印刷)を行う。
外部デバイスI/F107は、認証のためのユーザ情報の入力に用いられるカードリーダと接続するためのインタフェースであり、例えば、USBポート(USBホストインタフェース)又はシリアルボート等によって構成される。カードリーダ55は、カード50から情報を読み取るいわゆるカードリーダであり、外部デバイスI/F107と接続可能なハードウェアインタフェース(例えば、USBコネクタ又はシリアルインタフェース等)を備える。但し、カードリーダ55は、MFP20に内蔵されていてもよい。カードリーダ55は、接触型又は非接触型のいずれであってもよい。カード50は、ICカードに限定されず、磁気カード等、少なくとも各カード50に一意なカードID(カード番号)が記録可能なものであればよい。カードIDは、一般的に、Universal ID又はCard Serial Numberと呼ばれる。カード50の具体例の一部としては、Proximityカード、Mifareカード、Java(登録商標)Card等が挙げられる。
カード50は各ユーザに配布されていることとする。但し、運用上必要とされるセキュリティのレベルに応じて、複数のユーザによって一枚のカード50を共用させてもよい。なお、各ユーザに配布されるカード50は一種類に限定されなくてもよい。上記のようにカードリーダ55は、USB等によって簡便にMFP20に接続することが可能である。したがって、それぞれ対応するカード50の種類(Proximityカード、Mifareカード、Java(登録商標)Card等)が異なる複数のカードリーダ55をMFP20に同時に接続させてもよい。この場合、複数種類のカード50を同時に利用することができる。
同図において、MFP20は、ネットワーク(有線又は無線の別を問わない。)を介してクライアント装置10と接続されている。クライアント装置10は、ユーザによる印刷指示の入力に応じて、印刷指示の対象とされた文書データをMFP20に解釈可能な印刷データに変換し、当該印刷データの印刷要求(印刷ジョブ)をMFP20に送信する。
図3を参照して、第1実施形態における、図1、図2に示したMFP20が備える機能について説明する。MFP20は、クライアント装置10で作成され、プリンタドライバにより変換された印刷データを受け取るデータ受信部21と、受け取った印刷データを蓄積するデータ保存部22と、印刷データを解析するデータ解析部23とを備える。これら各部は、MFP20にインストールされたプログラムがCPU101に実行させる処理によって実現される。データ解析部23は、印刷データに含まれる印刷設定情報を解析し、その設定項目と設定内容を確認する。
また、MFP20は、ユーザからの変更情報の入力を受け付ける変更受付部24と、データ保存部22に蓄積された印刷データに含まれる印刷設定情報を、変更受付部24で受け付けた変更情報に従って更新する設定情報更新部25とを備える。これら各部も、MFP20にインストールされたプログラムがCPU101に実行させる処理によって実現される。
MFP20は更に、ユーザからの指示により、更新された印刷設定情報に基づき画像を形成する画像形成部26と、更新された印刷設定情報に基づき形成された画像を用紙に印刷して出力する印刷実行部27とを備える。これら各部は、画像処理部106および画像出力部105に対応する。
MFP20は後述する機密印刷を実行する構成とすることができ、その場合、印刷制御部28を有する。印刷制御部28は後述する図4のステップS4でユーザ認証情報の入力を受けてステップS5でユーザ認証を行う。ユーザ認証に成功した場合、ユーザによる変更受付部24による印刷設定情報の変更が可能となる。更に、印刷制御部28は設定情報更新部25と画像形成部26との間に設けられ、設定情報更新部25から出力される印刷データを画像形成部26に出力し、画像形成部26および印刷実行部27に印刷データに基づいた印刷を実行させる。印刷制御部28も、MFP20にインストールされたプログラムがCPU101に実行させる処理によって実現される。尚、印刷制御部28を有しない構成の場合、設定情報更新部25から出力される印刷データは直接画像形成部26に出力され、画像形成部26および印刷実行部27が印刷データに基づいた印刷を実行する。
MFP20は、クライアント装置10に実装されるプリンタドライバから印刷データを受け取り、MFP20においてユーザによる印刷実行の指示があるまで、その印刷データをデータ保存部22に蓄積し、その間、ユーザからの印刷設定情報の変更を受け付ける。
ユーザは後述する図4中、ステップS6にて、例えば、操作部109上のキーやオペレーションパネルを介して変更情報を入力することができ、その際、変更受付部24は、表示部108に、現在設定されている印刷設定情報を表示させることができる。これにより、ユーザは、設定項目としてはどのようなものがあり、その設定内容がどのようなものであるか知ることができ、それに基づいて設定変更を行うことができる。
設定情報の変更は、例えば、クライアント装置10から印刷指示した段階では「両面印刷しない」と設定していたが、用紙節約のため、「両面印刷する」に設定内容を変更することにより行われる。
ユーザが操作部109上のキーやオペレーションパネルを介して「両面印刷しない」から「両面印刷する」に設定内容を変更すると、変更受付部24は、その設定内容を変更情報として受け付け、設定情報更新部25へその変更情報を送る。設定情報更新部25は、その印刷設定情報を含む印刷データに含まれる印刷設定情報内の設定内容をその変更情報に従って更新する(図4中、ステップS7)。ここでは、「両面印刷する」という情報に書き換える。
ユーザは、設定変更した後、その設定内容を確認し、印刷実行ボタンを押下して印刷を指示することから、設定情報更新部25は、印刷設定情報を更新すると、その指示に応答して印刷データを、機密印刷の場合印刷制御部28を介して、画像形成部26へ送る。画像形成部26は、印刷データに基づき画像を形成するが、その際、文字サイズ、余白、行数、列数、モノクロ印刷またはカラー印刷の選択、トナーセーブの有無、用紙1枚に印刷すべきページ数等の設定内容に従って画像を形成する。そして、印刷実行部27で、部数、両面印刷の有無、パンチの有無および位置、ステープル止めの有無および位置等の設定内容に基づき印刷出力を行う。
画像形成部26は、印刷設定情報でカラー印刷が設定されている場合、各色のトナーによりトナー像を形成し、印刷実行部27は、部数2、パンチあり、用紙に向かって左側に2つの穴を開けるという設定がされている場合、2枚の用紙にカラー印刷し、各用紙に向かって左側に2つの穴を開け、排紙トレイへ排紙する。
具体的な処理を、図4に示すシーケンス図を参照して詳細に説明する。ステップS1において、ユーザは、PC等のクライアント装置10を使用し、アプリケーションを起動させ、文書を作成する。作成した文書を印刷する際、出力先を指定し、印刷ページの範囲、部数、モノクロ/カラー印刷設定、集約印刷設定、用紙サイズ設定、両面印刷設定、トナーセーブ設定等を行い、出力先へ印刷データを出力するように指示する。
印刷ページの範囲は、2ページから5ページまでを印刷したい場合、「2−5」のように入力し、設定する。集約印刷設定は、用紙1枚に対し1ページを印刷する場合、一般的にデフォルト設定とされ、設定する必要はないが、用紙1枚に対し2ページ分の画像あるいは4ページ分の画像を印刷する場合、「2」や「4」のように入力し、設定する。
ステップS2にて、文書データおよび印刷設定情報は、プリンタドライバによって印刷データへ変換され、出力先へ送られる。ここで出力先に印刷データが蓄積されている場合、その処理が終了するまでクライアント装置10において一時的に蓄積される。出力先がMFP20である場合、MFP20に蓄積されている印刷データが処理され、蓄積可能なメモリ領域が確保された時点で、クライアント装置10に一時的に蓄積された印刷データは、ネットワーク130を介してMFP20へ送られる。MFP20は、ユーザからの指示があるまで印刷データを蓄積しておき(図4中、ステップS3)、ユーザからの指示を受け付けたこと(ステップS8)に応答して、後述する機密印刷を実行する際にはユーザ認証(ステップS3,S4)の成功を前提として、その印刷データ読み出し、その印刷データに基づき印刷を実行する(ステップS9)。
このMFP20は、ユーザからの指示を受けるまで印刷を実行しないことから、その間にMFP20において印刷設定を変更する(ステップS6,S7)ことができる。
MFP20を利用する際、後述する機密印刷を実行する場合のようにユーザ認証が要求される場合、ユーザは、操作部109上のキーまたはオペレーションパネルを使用してユーザ識別情報を入力する(図4中、ステップS4)。MFP20は、予め登録され、メモリ等に格納されているユーザ認証情報を基に、入力されたユーザ識別情報が登録されている情報と一致するものがあるか否かを判断し、一致するものがある場合、そのユーザを認証し、そのユーザによる操作を許可する(図4中、ステップS5)。このため、MFP20は印刷制御部28を備えることができる。
他方、上記入力されたユーザ識別情報が登録されている情報と一致するものがない場合、印刷制御部28は、そのユーザに新規登録を要求するか、そのユーザの操作を拒否する。ここでは、ユーザの操作を拒否する。ユーザ識別情報は、文字や数字等から構成されるユーザIDやパスワードとすることができる。
企業等では、セキュリティを強化するために認証サーバを備えるところが多い。ユーザ認証の際、この認証サーバを利用して行うこともできる。この場合のユーザ認証は、ユーザがユーザIDやパスワードを入力する場合のほか、ユーザ情報が記録されたICチップを実装したICカードを用いて行うことができる。ユーザは、ICカードをカードリーダの上に配置し、カードリーダがICチップに記録されたユーザ情報を読み取ると、それを認証サーバへ送る。認証サーバは、送られてきたユーザ情報が登録されているユーザ情報と一致するか否かを判断することによりユーザ認証を行う。
この場合のユーザ情報としては、ユーザIDやパスワードのほか、生年月日や所属する部署等の情報も含めることができる。このようにすることで、セキュリティをさらに強化することができる。また、このようにユーザ識別情報を入力あるいは読み取らせることにより、そのMFP20を複数のユーザで共用する場合でも、そのユーザの印刷データのみを、印刷設定情報の変更のために表示部108に表示させることが可能となる。
カードリーダは、認証サーバに限らず、図2とともに上述の如く、MFP20自体に接続され、ICチップが実装されたICカード50が配置された場合に、ICチップに記録されたユーザ情報を読み取ることができるようにされていてもよい。ICチップは、ユーザID、パスワード、生年月日、所属する部署等の情報を記録したものに限られるものではなく、単に一意に識別されるカード番号のみが記録されたものであってもよい。
MFP20は複数の印刷データを蓄積することができるデータ保存部22としての記録媒体103を備え、更に表示部108を備え、その表示部108に、蓄積されている印刷データの一覧を表示させることができる。その時の表示は、例えば、図5に示すような画面となる。
この画面は、機密印刷を行う場合印刷制御部28によるユーザ認証(図4中、ステップS4,S5)が成功した場合に表示される。又、この画面は、印刷データを選択可能なようにスクロール可能とされ、選択された印刷データの表示が反転して示される。1の印刷データを選択する場合、その印刷データの表示を反転させ、「決定」というボタンを押下することにより選択することができる。また、この選択画面から元の画面に戻るための「戻る」というボタンも設けられている。なお、元の画面は、1つの例では、上記した印刷制御部28によるユーザ認証に使用されるログイン画面とすることができる。その場合、当該ログイン画面から図5に示す画面へ移動し、その画面から後述する図6に示す画面へ移動する。
印刷データの選択が行われると、その印刷データに含まれる印刷設定情報を表示部108に表示する。印刷設定情報は、設定項目と設定内容とを含み、変更受付部24は、データ保存部22に蓄積された印刷データを読み出し、その印刷データから印刷設定情報を取り出し、表示部108に表示させる。
図6は、表示部に印刷設定情報を表示したところを示す画面である。図6に示す画面には、印刷データを識別するためのジョブ名、設定項目として「集約印刷設定」、「両面印刷設定」、「モノクロ/カラー印刷設定」、「用紙サイズ設定」と、設定内容として「OFF」、「ON」、「カラー」、「A4」と、それぞれに対応して「変更」というボタンとが表示されている。また、矢印を表すスクロールボタンによりスクロール可能とされ、その他の設定項目および設定内容も表示されるようになっている。さらに、この画面には、図5に示す印刷データの選択画面へ戻るための「戻る」というボタン、印刷を実行させるための「実行」というボタンも表示されている。
ユーザがクライアント装置10において印刷設定する際、集約印刷はしないと設定した場合、図6に示す画面には「集約印刷設定」が「OFF」と表示される。ユーザはMFP20の実際のトナー残量が少ないことを知った場合に、集約印刷したいと考える。この場合、ユーザは、「集約印刷設定」の「変更」ボタンを押下することで、「OFF」から「2ページ」(用紙1枚に対し2ページ分の画像を印刷する場合、以下同様)へと変更し、「実行」ボタンを押下する(図4中、ステップS6)ことで、MFP20が、その変更された設定内容に従って印刷設定情報を更新し(ステップS7)、更新された印刷設定情報に基づき印刷を実行する(ステップS8,S9)ことができる。
ここでは、「集約印刷設定」について「変更」を1度押下すると、「OFF」から「2ページ」へ変更され、さらに押下すると、「4ページ」へ変更することができるものとされている。しかしながら、これに限られるものではなく、「変更」を押下すると、別のウィンドウが表れ、そのウィンドウ内でスクロールにより、あるいは入力により「2ページ」、「4ページ」、「6ページ」、「8ページ」等を選択することができるようにされていてもよい。また、設定内容の表示も、「2ページ」等の表示でなくても、ページ数の設定が別ウィンドウ等で可能であるならば、単に「ON」のみの表示であってもよい。
機密印刷を実行する場合のようにユーザ認証が行われる場合、印刷データはユーザ識別情報を含むことができる。その場合、データ受付部としての印刷制御部28は、認証されたユーザのユーザ識別情報を含む印刷データを表示部108に表示させ、そのユーザのよる選択を受け付ける(図4中、ステップS6)ことができる。またこの場合、変更受付部24が変更情報を受け付けると、設定情報更新部25は、認証されたユーザのユーザ識別情報を含む印刷データに含まれる印刷設定情報を、その変更情報に従って更新することができる(図4中、ステップS7)。
一例として、ログイン画面から図5に示す画面へ移動し、その画面から図6に示す画面へ移動することを説明したが、この例に限られるものではなく、ユーザ認証を行わない場合は、直接図5に示す画面を表示することができ、また、複数の印刷データが蓄積されていない場合は、直接図6に示す画面を表示することができる。図6に示す画面では、すべての設定項目および設定内容を表示するため、ユーザによって一部の設定内容が変更された場合であっても、この画面に示す設定項目およびユーザ変更後の設定内容を上書きすることにより、印刷設定情報を更新する(図4中、ステップS6,S7)ことができる。
又、クライアント装置10は、機密印刷の実行をMFP20に要求することができる。機密印刷を行う場合、ユーザは、印刷指示と共にユーザID及びパスワードをクライアント装置10に入力する。クライアント装置10は、印刷対象とされた文書データの印刷データを生成し、当該印刷データに、ユーザ識別情報としてのユーザID及びパスワードを含めてMFP20に送信する。MFP20は、ユーザID及びパスワード(ユーザ識別情報)を含む印刷データを受信すると、直ちに印刷は実行せずに当該印刷データを記録媒体103に保存する(図4中、ステップS2,S3)。その後、ユーザがMFP20にログインし、保存されている印刷データの印刷を指示すると(ステップS8)、MFP20は、当該印刷データの印刷を実行する(ステップS9)。
このような機密印刷によれば、印刷指示を行ったユーザがMFP20の側に居ることが確認された場合にのみ印刷が実行される。したがって、特に、機密性の高い文書を印刷する際の情報漏洩の防止に有効である。
このような機密印刷を実行する場合、MFP20は印刷制御部28を備える。図7は、印刷制御部28の機能構成例を示す図である。同図において、印刷制御部28は、ログイン制御部12、機密印刷制御部13、印刷ジョブ制御部14、印刷データ認証部15、機器ステータス監視部16、及びユーザDB18等を有する。これら各部は、MFP20にインストールされたプログラムがCPU101に実行させる処理によって実現される。
機密印刷を行う場合、図3のデータ受信部21は、クライアント装置10より送信される印刷データを受信し、データ保存部22に保存する。データ保存部22は、印刷データをスプールしておくための記憶領域であり、例えば、記録媒体103上に形成される。図7の印刷制御部28のログイン制御部12は、MFP20に対する操作者(ユーザ)のログイン処理を制御する。ログイン処理の際に、ユーザDB18に登録されているユーザID及びパスワードに基づいて操作者(ユーザ)の認証が行われる。ユーザDB18は、例えば、記録媒体103を用いてユーザごとにユーザ情報を管理するデータベースである。ユーザ情報の一部としてユーザID及びパスワードが含まれている。なお、ユーザDB18は、MFP20とネットワーク130を介して接続するコンピュータにおいて一元的に管理されていてもよい。機密印刷制御部13は、データ保存部22に保存されている印刷データに関する印刷ジョブの実行要求を操作者より受け付けるための処理を制御する。印刷ジョブ制御部14は、機密印刷制御部13によって受け付けられた印刷ジョブの実行要求に応じ、印刷データの印刷を画像出力部105に実行させる。印刷データ認証部15は、印刷データに含まれているユーザID及びパスワードを、ユーザDB18に登録されているユーザID及びパスワードと照合することにより印刷データの認証を行う。機器ステータス監視部16は、MFP20の各種の状態を監視する。例えば、各トレイの状態(用紙切れしているか否か)や、各色のトナーの状態(トナー切れか否か)等を監視する。このような機能を有する機器ステータス監視部16は機密印刷を行う場合に限らず、MFP20が備えることができる。
以下、機密印刷を行う場合の、MFP20の処理手順について説明する。図8は、MFP20が実行する処理を説明するためのシーケンス図である。但し説明の便宜上、図8は図4とともに上述した変更情報の入力(ステップS6)および印刷設定情報の更新(ステップS7)を省略している。
クライアント装置10において、プリンタドライバ(図示を省略)は、機密印刷ジョブの実行要求の入力に応じ、ユーザID及びパスワードをユーザに入力させる(S101)。ユーザID及びパスワードは、認証情報入力画面を介して入力される。
図9は、プリンタドライバが表示させる認証情報入力画面の表示例を示す図である。同図において、認証情報入力画面410は、ユーザID入力領域411及びパスワード入力領域412等を有する。プリンタドライバは、認証情報入力画面410を介して入力されたユーザID及びパスワードを印刷データに設定してMFP20に送信する。なお、認証情報入力画面410は、例えば印刷条件を設定させる印刷設定画面上の所定のボタンが押下されると表示される。
続いて、プリンタドライバは、印刷対象とされた文書データの印刷データを生成すると共に入力されたユーザID及びパスワードを当該印刷データに設定し、当該印刷データをMFP20に送信する(S102)。
MFP20のデータ受信部21は、印刷データを受信すると、当該印刷データをデータ保存部22に保存する(S103)。保存された印刷データに関する印刷ジョブは、印刷データの受信に応じて同期的には実行されない。すなわち、当該印刷ジョブは、ロックされた状態となる。
その後、ユーザが、MFP20の操作者として操作部109に配置されているログインボタンを押下すると、ログイン制御部12は、ログイン画面を表示部108に表示させる。
図10は、MFP20におけるログイン画面の表示例を示す図である。同図において、ログイン画面510には、ユーザID及びパスワードの入力、又はカード50のセットを促すメッセージが表示されている。
ログイン画面510が表示部108に表示されている状態において、ユーザによってカード50がカードリーダ55にセットされると、又はユーザによってログイン画面510を介してユーザID及びパスワードが入力されると(S104)、ログイン制御部12は、カード50のカードIDに基づいて特定されるユーザID及びパスワード、又はユーザによって入力されたユーザID及びパスワードを、ユーザDB18に登録されているユーザID及びパスワードの一覧と照合することにより、ユーザ認証を行う(S105)。ユーザ認証に失敗すると、ログイン制御部12は、ユーザのログインを拒否し、エラー画面を表示部108に表示させる。
ユーザ認証に成功すると、機密印刷制御部13は、認証されたユーザ(以下、「ログインユーザ」という。)のユーザIDと一致するユーザIDが設定されている印刷データ(すなわち、ログインユーザが機密印刷を要求した印刷データ)をデータ保存部22より検索し、当該検索結果を含む印刷データ一覧画面を表示部108に表示させる(S106)。
図11は、印刷データ一覧画面の表示例を示す図である。同図の表示例は、上記した図5に示す印刷データの一覧の表示例の変形例である。図11において、印刷データ一覧画面520は、印刷データ一覧表示領域521、印刷ボタン522、及び削除ボタン523等を有する。
印刷データ一覧表示領域521には、データ保存部22に保存されている印刷データのうち、ログインユーザに係る印刷データ(の文書名)の一覧が表示される。削除ボタン523が押下されると、機密印刷制御部13は、印刷データ一覧表示領域521において選択されている印刷データをデータ保存部22より削除する。したがって、この場合、当該印刷データに係る印刷ジョブはキャンセルされる。
印刷ボタン522が押下されると、機密印刷制御部13は、印刷データ一覧表示領域521において選択されている一つ以上の印刷データに関する印刷ジョブの実行を印刷ジョブ制御部14に要求する(S107)。
印刷ジョブ制御部14は、印刷ジョブの対象とされた各印刷データの認証を印刷データ認証部15に実行させる(S108)。印刷データ認証部15は、各印刷データに含まれているユーザID及びパスワードと、ユーザDB18に登録されているユーザID及びパスワードの一覧と照合することにより、印刷データの認証を行う。印刷データが認証されると、印刷ジョブ制御部14は、各印刷データの印刷を画像処理部106,画像出力部105(画像形成部26,印刷実行部27)に実行させる(S109)。なお、ユーザDB18に、ユーザごとに印刷ジョブに関する権限が設定されている場合、印刷ジョブ制御部14は、当該権限に応じて印刷ジョブの実行を制限してもよい。例えば、ログインユーザに印刷ジョブの実行権限が無い場合は、印刷ジョブ制御部14は、印刷データが認証された場合であっても印刷ジョブの実行を拒否する。また、例えば、ログインユーザにカラー印刷の実行権限が無い場合であって、印刷データがカラー印刷に係るものである場合、印刷ジョブ制御部14は、印刷ジョブの実行を拒否する。
続いて、ステップS109の詳細について説明する。図12は、印刷ジョブ制御部14による処理手順を説明するためのフローチャートである。
まず、印刷ジョブ制御部14は、印刷ジョブの対象とされた印刷データの一覧(以下、「印刷対象リスト」という。)の中から一つの印刷データを処理対象として取得する(S210)。続いて、印刷ジョブ制御部14は、機器ステータス監視部16に問い合わせを行うことにより、MFP20が当該印刷データの印刷を可能な状態であるか否か(当該印刷データに設定された印刷条件を満たすことが出来る状態であるか否か)を判定する(S220)。当該印刷データの印刷が可能であると判定した場合(S220でYes)、印刷ジョブ制御部14は、画像出力部105(画像形成部26および印刷実行部27)を制御して当該印刷データの印刷ジョブを実行する(S230)。
一方、当該印刷データの印刷は不可能であると判定した場合(S220でNo)、印刷ジョブ制御部14は、当該印刷データの印刷ジョブをスキップ(無視)する。例えば、当該印刷データにおいて指定されている給紙トレイが空である場合や、当該印刷データにおいて利用される色のトナーが切れている場合等は、当該印刷データの印刷は不可能であると判定される。
ステップS230又はステップS220でNoの場合に続いて、印刷ジョブ制御部14は、印刷対象リストに未処理の印刷データが存在するか否かを判定する(S240)。未処理の印刷データが存在する場合(S240でNo)、ステップS210以降の処理を続けて実行する。したがって、以降の印刷データのジョブが継続して実行される。未処理の印刷データが存在しない場合(S240でYes)、処理を終了させる。
図12の処理手順を具体的なケースに当てはめて説明する。図13は、印刷ジョブ制御部14による処理の具体例を説明するためのシーケンス図である。同図では、印刷データ一覧画面520(図11参照)において三つの印刷データが印刷対象として選択された例(すなわち、印刷対象リストに三つの印刷データが含まれている例)を説明する。三つの印刷データのそれぞれにおいて指定されている用紙サイズは、レターサイズ、A4サイズ、レターサイズであるとする。なお、図13において、MFP20のA4の給紙トレイは用紙切れであるとする。
まず、印刷ジョブ制御部14は、1番目のレターサイズの印刷データを処理対象とし、機器ステータス監視部16にMFP20のレターサイズの給紙トレイの状態を問い合わせる(S310)。問い合わせ結果(ステータス情報)においてレターサイズは用紙切れでないことが示されているため、印刷ジョブ制御部14は、当該印刷データの印刷を画像出力部105に実行させる(S320)。
続いて、印刷ジョブ制御部15は、2番目のA4サイズの印刷データを処理対象とし、機器ステータス監視部16にMFP20のA4サイズの給紙トレイの状態を問い合わせる(S330)。問い合わせ結果(ステータス情報)においてA4サイズは用紙切れであることが示されているため、印刷ジョブ制御部15は、当該印刷データの印刷ジョブをスキップする(S340)。
続いて、印刷ジョブ制御部14は、3番目のレターサイズの印刷データを処理対象とし、機器ステータス監視部16にMFP20のレターサイズの給紙トレイの状態を問い合わせる(S350)。問い合わせ結果(ステータス情報)においてレターサイズは用紙切れでないことが示されているため、印刷ジョブ制御部14は、当該印刷データの印刷を画像出力部105に実行させる(S360)。
上述したように、印刷制御部28によれば、機密印刷時において複数の印刷データが印刷されたときに、いずれかの印刷データが印刷できない場合であっても、当該印刷データをスキップして他の印刷ジョブを継続する。したがって、印刷不可能は印刷データの存在により印刷可能な印刷データの印刷ジョブが中断されてしまうことを回避することができる。
次に、印刷制御部28の第1の変形例について説明する。図14は、印刷制御部28の第1の変形例における印刷ジョブ制御部14による処理手順を説明するためのフローチャートである。図14中、図12と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は適宜省略する。
図14では、処理対象の印刷データの印刷は不可能であると判定した場合(S220でNo)、印刷ジョブ制御部14は、当該印刷データの印刷は不可能であること、及びその原因(用紙切れ又はトナー切れ等)を示す情報(エラー情報)を表示部108に表示させる(S245)。
エラー情報の表示後、印刷ジョブ制御部14は、引き続き次の印刷データの処理を進める(S240)。
図14の処理手順を具体的なケースに当てはめて説明する。図15は、第1の変形例の印刷制御部28における印刷ジョブ制御部14による処理の具体例を説明するためのシーケンス図である。図15中、図13と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は適宜省略する。
図15では、ステップS340の代わりにステップS345が実行される。ステップS345において、印刷ジョブ制御部14は、A4の給紙トレイが用紙切れであるため印刷ができないことを示すエラー情報を表示部108に表示させる。その後、印刷ジョブ制御部14はステップS350以降を継続して実行する。
上述したように、第1の変形例の印刷制御部28によれば、印刷不可能な印刷データが印刷対象に含まれていた場合は、当該印刷データに関するエラー情報が表示される。したがって、ユーザは、エラー情報に基づいて、エラーに失敗したことを認識することができ、復旧作業等を行うことができる。
次に、第2の変形例の印刷制御部28について説明する。図16は、第2の変形例の印刷制御部28における印刷ジョブ制御部14による処理手順を説明するためのフローチャートである。図16中、図12と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は適宜省略する。
図16では、処理対象の印刷データの印刷は不可能であると判定した場合(S220でNo)、印刷ジョブ制御部14は、当該印刷データを他のMFPに送信することにより、当該印刷データの印刷を他のMFPに実行させる(S247)。
印刷データの送信後、印刷ジョブ制御部14は、引き続き次の印刷データの処理を進める(S240)。
図16の処理手順を具体的なケースに当てはめて説明する。図17は、第2の変形例の印刷制御部28における印刷ジョブ制御部14による処理の具体例を説明するためのシーケンス図である。図17中、図13と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は適宜省略する。
図17では、ステップS340の代わりにステップS347が実行される。ステップS347において、印刷ジョブ制御部14は、A4の印刷データを他のMFPに送信することにより、該印刷データの印刷を他のMFPに実行させる。その後、印刷ジョブ制御部14はステップS350以降を継続して実行する。
上述したように、第2の変形例の印刷制御部28によれば、機密印刷時において複数の印刷データが印刷されたときに、いずれかの印刷データが印刷できない場合であっても、当該印刷データの印刷を他のMFPに実行させることができる。
なお、印刷データの送信先とするMFPは、予め設定されていてもよいし(ケースA)、印刷が不可能であることが検知されたタイミングでユーザに設定させるようにしてもよい(ケースB)。また、印刷制御部14がネットワークに接続されているMFPを自動検索し、検索されたMFPに対して印刷データを送信するようにしてもよい(ケースC)。全てのケースについて、印刷データを送信する前に送信先のMFPの状態をHTTP(HyperText Transfer Protocol)やSNMP(Simple Network Management Protocol)等のネットワークプロトコルを利用して問い合わせ、当該送信先のMFPにおける印刷の可否を確認した上で印刷データを送信するようにしてもよい。また、ケースA及びケースCについては、他のMFPに印刷データを送信したこと、及び当該他のMFPの識別名等を表示部108に表示するようにするとよい。
ところで、MFP20では、操作者は、カード50をカードリーダ55にセットことによってログインすることができる。以下、カード50によるログイン(カード認証)を実現するためのログイン制御部12の構成及び処理手順について説明する。
図18は、ログイン制御部の構成例を示す図である。同図においてログイン制御部12は、カードID取得部121、ユーザ情報取得部122、認証制御部123、パスワード登録部124、及び対応情報管理部125等を有する。
カードID取得部121は、カードリーダ55がカード50より読み取ったカードIDをカードリーダ55より取得する。ユーザ情報取得部122は、カードID取得部121によって取得されたカードIDに対応するユーザIDを対応情報管理部125より取得すると共に、操作部109に対してユーザによって入力されるパスワードを操作部109より取得する。対応情報管理部125は、カードIDとユーザ情報との対応情報を管理する、記録媒体103における記憶領域である。認証制御部123は、ユーザ情報取得部122によって取得されたユーザID及びパスワードに基づく操作者(ユーザ)の認証処理をユーザDB18に登録されているユーザ情報に基づいて実行する。パスワード登録部124は、認証時においてパスワードを毎回入力する煩雑さを排除することを目的として、パスワードをカードIDに対応させて対応情報管理部125に登録する。したがって、パスワードが対応情報管理部125に登録されている場合、ユーザ情報取得部122は、操作部109からではなく、対応情報管理部125よりカードIDに対応するパスワードを取得する。
以下、ログイン制御部12の処理手順について説明する。図19は、ログイン制御部12による処理手順を説明するためのフローチャートである。
ユーザ情報取得部122が、表示部108にログイン画面510(図10参照)を表示させている状態において、ユーザによってカード50がカードリーダ55にセットされると(S501でYes)、カードID取得部121は、カードリーダ55がカード50より読み取ったカードIDをカードリーダ55より取得する(S502)。なお、カードリーダ55へのカード50のセットとは、カードリーダ55へカード50を挿入したり、カード50を翳したりといったように、カードリーダ55がカード50に記録されている情報を読み取れる状態にすることをいう。
続いて、ユーザ情報取得部122は、取得されたカードID(以下、「カレントカードID」という。)に対応するユーザIDを対応情報管理部125より取得する(S503)。
図20は、対応情報管理部が管理する対応情報の例を示す図である。同図において、対応情報170は、ユーザごとに、ユーザID、カードID、パスワード、及びカード効力を対応付けて(関連付けて)保持する情報である。したがって、ステップS503において、ユーザ情報取得部122は、対応情報管理部125において、カレントカードIDに対応付けられているユーザIDを対応情報管理部125より取得する。なお、カード効力とは、カード50の有効性を示す情報をいう。カード50が有効の場合、当該カード50を利用した認証は有効とされる。カード50が無効の場合、当該カード50を利用した認証は無効とされる。
ここで、パスワードは、必ずしも対応情報管理部125に登録されているとは限らない。カレントIDに対してパスワードが登録されている場合、ユーザ情報取得部122は、ログイン画面510において、パスワードの入力欄にパスワードの入力は不要であることを示す記号(例えば、「*********」)を表示させる。
ユーザIDが取得できなかった場合(S504No)、ユーザ情報取得部122は、認証エラーであると判定する。ユーザIDが取得できた場合(S504でYes)、ユーザ情報取得部122は、対応情報管理部125において、カレントカードIDに対応付けられているカード効力の値(有効又は無効)を参照し、カード50が有効であるか否かを判定する(S505)。カード50が無効である場合(S505でNo)、ユーザ情報取得部122は、認証エラーであると判定する。
カード50が有効である場合(S505でYes)、ユーザ情報取得部122は、対応情報管理部125においてカレントカードIDに対してパスワードが登録されているか否かを判定する(S506)。パスワードが登録されていない場合(S506でNo)、ユーザ情報取得部122は、図21に示されるパスワード画面550を表示部108に表示させる(S507)。パスワード画面550においてユーザによって入力ボタン551が押下され、パスワードが入力された後(S508でYes)、Cancelボタン553ではなく(S509でNo)、OKボタン552が押下されると(S510でYes)、認証制御部123は、ステップS503において取得されたユーザID及びステップS508で入力されたパスワードをユーザDB18に登録されているユーザID及びパスワードと照合することにより、認証処理を実行する(S512)。
一方、対応情報管理部125においてカレントカードIDに対してパスワードが登録されている場合(S506でYes)、ユーザ情報取得部122は、当該パスワードを取得する(S511)。続いて、認証制御部123は、ステップS503において取得されたユーザID及び当該パスワードをユーザDB18に登録されているユーザID及びパスワードと照合することにより、認証処理を実行する(S512)。
認証に成功した場合(S516でYes)、パスワード登録部124は、パスワード画面550のチェックボタン554の状態に基づいて、パスワード画面550に入力されたパスワードの登録(保存)の要否を判定する(S517)。チェックボタン554がチェックされている場合(S517でYes)、パスワード登録部124は、当該パスワードをカレントカードIDに対応させて対応情報管理部125に登録する(S518)。一方、チェックボタン554がチェックされていない場合(S517でNo)、パスワード登録部124は、対応情報管理部125においてカレントカードIDに対して登録されているパスワードを削除する(S519)。但し、カレントカードIDに対してパスワードが登録されていない場合、削除は不要である。
一方、ログイン画面510が表示されている状態において、カードリーダ55にカード50はセットされずに(S501でNo)、ログイン画面510にユーザID及び必要に応じてパスワードが入力された後(S513でYes)、Loginボタン511が押下された場合(S514でYes)について説明する。この場合、ユーザ情報取得部122は、ログイン画面510に入力されたユーザID及びパスワードを取得し(但し、カレントIDに対してパスワードが登録されている場合、当該パスワードが取得される)、認証制御部123は、当該ユーザID及びパスワードをユーザDB18に登録されているユーザID及びパスワードと照合することにより、認証処理を実行する(S515)。続いて、上述したステップS516以降の処理が実行される。
また、ステップS516において、認証に失敗した場合(S516でNo)、ユーザ情報取得部122は、認証に利用されたパスワードは、対応情報管理部125に登録されていたものか否かを判定する(S520)。当該判定は、対応情報管理部125に登録されていたパスワード(以下、「登録パスワード」という。)を用いた場合にそのことを示す情報をメモリ102に記録しておき、当該情報に基づいて行えばよい。認証に利用されたパスワードは登録パスワードでない場合(S520でNo)、認証制御部123は、認証エラーであると判定する。
認証に利用されたパスワードは登録パスワードである場合(S520でYes)、ユーザ情報取得部122は、改めてパスワード画面550を表示部108に表示させ、ユーザに新たなパスワードを入力させる(S521)。ここで、登録パスワードで認証に失敗した場合に、改めてユーザにパスワードを入力させるのは以下の理由による。
近年、セキュリティ向上のためにパスワードを定期的に変更することが多くなってきている。したがって、ユーザDB18のパスワードが更新されているにもかかわらず対応情報管理部125に登録されているパスワードが古いといった不整合が発生しうる。斯かる不整合に対して簡便に対処可能とするため、ステップS521において新たなパスワード(変更されているパスワード)を入力させる機会をユーザに与えるのである。
改めて表示されたパスワード画面550に対してパスワードが入力されると、ユーザ情報取得部122は、パスワード画面550に入力されたパスワードを取得し、認証制御部123は、ステップS503において取得されたユーザID及び当該パスワードをユーザDB18に登録されているユーザID及びパスワードと照合することにより、認証処理を実行する(S522)。
認証に失敗した場合(S523でNo)、認証制御部123は、認証エラーであると判定する。認証に成功した場合(S523でYes)、ステップS517以降の処理が実行される。したがって、チェックボタン554がチェックされている場合は、対応情報管理部125に登録されているパスワードは、新たなパスワードによって更新される。
このように、MFP20は、カードIDとユーザIDとの対応情報を管理しており、カードIDに基づいてユーザIDを判定することができる。また、MFP20における認証にはカードIDのセットだけでなくパスワードの入力も必要とされる。したがって、カードIDのみが記録されているカード50であっても、PIN(Personal Identification Number:個人暗証番号)を使用する高機能なICカードと同等のセキュリティレベルによる認証処理を実現することができる。
また、MFP20は、カードIDに対応させてパスワードを保存しておくことができ、当該パスワードを認証に利用することができるため、カード50利用時におけるパスワードの入力する手間を省くことができ、利便性を向上させることができる。
また、登録パスワードとユーザDB18において管理されているパスワードとの間に不整合が生じた場合であっても、認証処理の一連の流れの中でユーザに新たなパスワードを入力させる機会が与えられるため、簡便にシステムの一貫性を保つことが可能である。
図22は、MFP20の第2実施形態を示した機能ブロック図である。第2実施形態は、以下に述べる点を除き、図1乃至図21とともに上述した第1実施形態と同様の構成を有する。
図22に示すMFP20は、図3に示す構成に加え、表示部108に表示させる設定項目を格納する設定項目格納部40をさらに備えている。この設定項目は、MFP20の管理者がスクロールするのが大変な冗長表示を制限するために、表示すべき項目のみを設定したものである。
変更受付部24は、設定項目格納部40に格納されている設定項目と、データ保存部22に蓄積された印刷データに含まれる印刷設定情報の、その設定項目に対応する設定内容とを表示部108に表示させる。画面に表示される設定項目が少ないことから、ユーザによる設定変更が容易となる。
MFP20を複数のユーザで共用する場合、その設定項目をユーザ毎に格納することができる。すなわち、その設定項目をユーザ識別情報に対応付けて格納することができる。ユーザ識別情報は、ユーザ認証の際にユーザにより入力される。このため、その後の処理は、そのユーザ識別情報に基づき、データ保存部22に蓄積された印刷データの一覧を表示させ、ユーザが選択した印刷データにつき、設定項目格納部40に格納されているそのユーザ識別情報に対応付けられた設定項目と、選択された印刷データに含まれる印刷設定情報の、その設定項目に対応する設定内容とを表示部108に表示させる。
ユーザは当該表示された設定内容を見ながら必要に応じて設定内容を変更することができる。変更受付部24は、そのようにして変更された設定内容を受け付けると、当該設定内容を設定情報更新部25へ送る。設定情報更新部25は印刷設定情報をその変更された設定内容に従って更新する。その後の処理は、上述した第1実施形態における処理と同様である。すなわち、画像形成部26が、当該更新された印刷データの各設定内容に基づき画像を形成し、印刷実行部27が、更新された印刷データの各設定内容に基づき印刷出力を行う。
図23は、MFP20の第3実施形態を示した機能ブロック図である。第3実施形態は、以下に述べる点を除き、図1乃至図21とともに上述した第1実施形態と同様の構成を有する。
図23に示すMFP20は、図3に示す第1実施形態の構成に加え、当該MFP20に含まれる機器のうち、使用により状態が変動する機器に対し、一定間隔で問い合わせを行い、その機器の情報を収集する情報収集部41を有する。第3実施形態のMFP20は更に、上記収集された機器の情報から、表示部108に表示させる印刷設定情報の設定項目と設定内容とを判断する表示判断部42を有する。
MFP20は、トナーカートリッジを備える現像ユニット、給紙ユニット、パンチやステープル止めを可能にするフィニッシャ、露光装置、帯電ユニット、転写ユニット、定着ユニット、スキャナ、フィーダ等の機器を有している。これらの機器には、ICチップ等が設けられ、製品番号や製品名等の機器を識別するための情報、トナー残量や残りの用紙枚数等の現在の状態に関する情報が格納されている。
これらの機器のうち、使用により状態が変動する機器としては、使用によりトナーが減少する現像ユニット、印刷により用紙が減少する給紙ユニット、ステープル止めすることによりステープルが減少するフィニッシャ等を挙げることができる。
情報収集部41は、これらの機器に対して一定間隔で問い合わせを行い、その機器の状態に関する情報、すなわち各色のトナー残量や残っている用紙枚数や残っているステープル数等の情報を、機器に設けられるICチップ等から収集する。問い合わせを行う間隔は、いかなる時間間隔であってもよい。なお、機器の状態の変動の大きいものについてはその時間間隔は短いほうが好ましい。
表示判断部42は、例えば、トナー残量が一定量以下であることを検知すると、印刷すべき部数が10枚以上と大量にあり、「両面印刷なし」や「集約印刷なし」に設定されているとき、それらの設定内容を変更するようユーザに促すために、それらの設定項目および設定内容を表示すべきと判断することができる。この場合、表示判断部42は、その指示を変更受付部24へ送り、変更受付部24は表示部108にそれらの設定内容を表示させる。
表示判断部42は、表示させるべき設定項目の表示条件を保持することができる。表示条件は、一例として上記の「トナー残量が一定量以下で、印刷すべき部数が10枚以上で、両面印刷なしや集約印刷なしに設定されているとき、それらの設定項目および設定内容を表示する」というものとすることができる。このため、表示判断部42は、この表示条件に基づき、表示すべき設定項目および設定内容を判断することができる。
ユーザは、このようにして表示部108に表示された設定項目および設定内容を見て、トナー残量が少なく、設定変更をしたほうがよいことを知ることができる。そして例えば両面印刷設定の設定内容を「両面印刷する」へ変更したり、集約印刷設定の設定内容を「2ページ」や「4ページ」等へ変更し、残りのトナーによりすべてを印刷出力することができるように印刷枚数を減少させることができる。
図24は、MFP20の第4実施形態を示した機能ブロック図である。第4実施形態は、以下に述べる点を除き、図1乃至図21とともに上述した第1実施形態と同様の構成を有する。
図24に示す第4実施形態のMFP20は、図3に示す第1実施形態の構成に加え、MFP20の起動時、すなわち電源がONにされたとき、当該MFP20に含まれる各機器に対して問い合わせを行い、各機器から収集された情報から、どの機器が利用可能であるかを検知し、利用可能な機器の設定項目を設定可能な設定項目として取得する設定項目取得部43を有する。第4実施形態のMFP20は更に、印刷データに含まれる印刷設定情報の設定項目と、設定項目取得部43によって取得された設定項目とを比較し、追加すべき設定項目の有無を判断する項目追加判断部44を有する。
クライアント装置10で設定する印刷設定の設定項目と、実際にMFP20で設定可能な設定項目とが異なる場合がある。例えば、クライアント装置10が使用するプリンタドライバが機種共通ドライバのようにMFP20が備える機能をすべて網羅していない場合や、MFP20にオプションを追加した場合等である。例えばMFP20が、フィニッシャがついていない機種であって、後にオプションとしてフィニッシャを追加した場合、MFP20が含む機器が変更されることになる。追加された機器は、利用可能ではあるが、印刷しようとするユーザが、フィニッシャが追加されたことを知らない場合、フィニッシャに関する設定項目および設定内容は未設定となる。
このため、設定項目取得部43は、上記の如くに収集された機器の情報から、設定可能な設定項目を取得する。例えば上記のようにフィニッシャが追加され、MFP20が含む機器の情報としてフィニッシャの情報が得られた場合、その情報から、設定可能な設定項目としてパンチ設定やステープル設定といった設定項目を取得する。そのフィニッシャがステープル止めのみが可能な機器であれば、ステープル設定のみを設定項目として取得する。
追加項目判断部44は、表示部108に表示させる印刷設定情報の設定項目および設定内容を判断する。例えば上記の如くフィニッシャが追加された場合は、パンチやステープルが設定可能になるため、表示部108に表示させる印刷設定情報に「パンチ設定」、「ステープル設定」を追加する。このとき、設定内容は「OFF」にデフォルト設定される。
ユーザはこのように表示部108に表示された「パンチ設定」や「ステープル設定」を見て、それらの機能が使用できることを知る。そしてそれらの機能を利用したい場合、デフォルト設定された設定内容を「OFF」から「ON」へ変更し、また、穴を開ける位置やステープル止めする位置を入力して設定することができる。
このようにユーザよって設定変更がなされると、変更受付部24がその変更情報を受け付け、設定情報更新部25が設定項目を追加する。変更受付部24は更に、変更情報に従って設定内容を追加して印刷データを更新する。変更情報に他の設定内容の変更がある場合は、その変更内容に従って当該設定内容を書き換えて更新する。
次にユーザが印刷実行を指示すると、当該指示を受けて、画像形成部26は、上記の如く更新された印刷データに基づき画像形成を行い、印刷実行部27は、形成された画像を用紙に印刷して出力する。
なお、上記の例とは反対に、使用不能にされた機器がMFP20に存在する場合もありうる。このような場合は、その機器が使用されないだけであるから、特段の設定は不要である。しかしながら、ユーザに対しては、当該機器に関する設定内容を設定変更できないように、表示部108上で当該設定内容の表示を行わないようにすることができる。あるいは当該機器を使用できない旨のメッセージを表示部108に表示することも可能である。また、上記の如く追加項目判断部44により設定項目が比較されるため、不要な設定項目を検出することができ、当該不要な設定項目を、設定情報更新部25が更新時に削除することもできる。
図25は、MFP20の第5実施形態を示した機能ブロック図である。第5実施形態は、以下に述べる点を除き、図1乃至図21とともに上述した第1実施形態と同様の構成を有する。
図25に示すMFP20は、図3に示す第1実施形態の構成に加え、ユーザ識別情報に対応付けられ予め設定された印刷設定を格納する印刷設定格納部45をさらに備える。ユーザ識別情報は、上述したようにユーザIDやパスワードであり、この印刷設定は、設定項目および設定内容を含むものである。
印刷設定格納部45は、ユーザ毎に特定の設定項目およびその設定内容を格納することができ、例えば、ユーザAは設定項目「集約印刷設定」について設定内容「2ページ」、ユーザBは設定項目「モノクロ/カラー印刷設定」について設定内容「カラー」という印刷設定を格納することができる。この印刷設定は、ユーザが予め設定し、登録されるものである。
ユーザAがクライアント装置10において設定項目「集約印刷設定」について設定内容「OFF」として設定し、印刷データを出力した場合であっても、MFP20ではその設定内容が「2ページ」に設定されているため、設定情報更新部25は、その印刷設定格納部45に格納されている設定項目「集約印刷設定」について設定内容「2ページ」に、印刷データに含まれる印刷設定情報の設定内容を書き換え、印刷データを更新する。これにより、ユーザAが変更情報を入力してなくても、自動的に、機器の種類に合う、また、ユーザが求める印刷を実現することができる。
なお、設定情報更新部25は、変更受付部24が一定期間、変更情報を受け付けていない場合に、印刷設定格納部45に格納されている印刷設定を変更情報として使用し、データ保存部22に蓄積された印刷データに含まれる印刷設定情報を更新することができる。
図26は、第6乃至第10実施形態による印刷システム(情報処理システム)の構成例を示す。同図に示す印刷システムは、印刷サーバ30,1台以上の画像形成装置の一例としてのMFP20およびクライアント装置10を含む。これら各装置はLAN又はインターネット等のネットワークによって接続される。尚、上記の如く、第6乃至第10実施形態の印刷システムでは、画像形成装置の一例としてMFPを適用することができるが、画像形成装置として適用することができるものはMFPに限られない。すなわち第6乃至第10実施形態の印刷システムにおけるMFP20が、印刷装置単体の機能を有するレーザプリンタ(LP)等であってもよい。
第6乃至10実施形態では、ユーザはクライアント装置10を直接操作することにより印刷データを作成し、当該印刷データを印刷サーバ30に送信し、印刷サーバ30は当該印刷データを保存する。そしてユーザはMFP20を直接操作することにより、上記の如く印刷サーバ30に保存した印刷データを印刷サーバ30からMFP20に送信させ、当該印刷データに基づき、MFP20によって画像を印刷出力する。
クライアント装置10は、印刷対象とされるデータ(文書データ、画像データ等)を有し、ユーザによる印刷指示の入力に応じ、印刷対象とされたデータを含む印刷データを印刷サーバ30に送信するコンピュータである。クライアント装置10は、印刷指示の際に、ユーザにユーザ認証情報(例えば、ユーザ名及びパスワード)を入力させ、入力されたユーザ認証情報を印刷データに含めることができる。
印刷サーバ30は、クライアント装置10より受信される印刷データを蓄積するコンピュータ(情報処理装置)である。印刷サーバ30は、印刷データに含まれているユーザ認証情報に基づく認証処理を実行し、認証に成功した場合に、当該印刷要求に係る印刷データを蓄積するようにしてもよい。又認証処理を行わせるための認証サーバを別途設け、当該認証サーバに上記の如くの認証処理を行わせてもよい。
画像形成装置としてのMFP20は例えば図2とともに上述の如くのハードウェア構成を有し、ユーザによる操作指示に応じ、印刷サーバ30に蓄積されている印刷データを取得し、当該印刷データを印刷する。MFP20は、ユーザにユーザ認証情報を入力させ、入力させたユーザ認証情報に基づく認証処理を実行するようにすることができる。この認証処理は、例えば図7乃至図21ともに上述した手順で行われる。あるいは認証処理を行わせるための認証サーバを別途設け、当該認証サーバに上記の如くの認証処理を行わせてもよい。この場合MFP20は、認証に成功した場合に、印刷サーバ30からの印刷データの取得を実行する。
なお、印刷サーバ30に関しても複数台設けてもよい。
図27は上記印刷サーバ30のハードウェア構成例を示す図である。図27の印刷サーバ30は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置300と、補助記憶装置302と、メモリ303と、CPU304と、インタフェース305とを有する。
印刷サーバ30での処理を実現するプログラムは、CD−ROM等の記録媒体301によって提供される。プログラムを記録した記録媒体301がドライブ装置300にセットされると、プログラムが記録媒体301からドライブ装置300を介して補助記憶装置302にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体301より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置302は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
メモリ303は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置302からプログラムを読み出して格納する。CPU304は、メモリ303に格納されたプログラムに従って印刷サーバ30に係る機能を実行する。インタフェース305は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
図28を参照して、第6実施形態の印刷システムの機能について説明する。第6実施形態の印刷システムにおける印刷サーバ30は、クライアント装置10で作成され、プリンタドライバにより変換された印刷データを受け取るデータ受信部21と、受け取った印刷データを蓄積するデータ保存部22と、印刷データを解析するデータ解析部23とを備える。これら各部は、印刷サーバ30にインストールされたプログラムがCPU304に実行させる処理によって実現される。データ解析部23は、印刷データに含まれる印刷設定情報を解析し、その設定項目と設定内容を確認する。
また、印刷サーバ30は、MFP20を介してユーザからの変更情報の入力を受け付ける変更受付部24と、データ保存部22に蓄積された印刷データに含まれる印刷設定情報を、変更受付部24で受け付けた変更情報に従って更新する設定情報更新部25とを備える。これら各部も、印刷サーバ30にインストールされたプログラムがCPU304に実行させる処理によって実現される。
他方、MFP20は、ユーザから変更情報が入力されると、機密印刷の場合印刷制御部28の制御の下、当該変更情報を印刷サーバ30の変更受付部24に送信する変更送信部29を有する。印刷制御部28は上述の第1乃至第5実施形態のMFP20に含まれる印刷制御部28と同様の構成を有する。MFP20は更に、ユーザからの指示により、更新された印刷設定情報に基づき画像を形成する画像形成部26と、更新された印刷設定情報に基づき形成された画像を用紙に印刷して出力する印刷実行部27とを備える。これら各部は、図2とともに上記した画像処理部106および画像出力部105に対応する。
MFP20は、機密印刷を実行する構成とすることができ、その場合、印刷制御部28を有する。印刷制御部28は後述する図29のステップS14でユーザ認証情報の入力を受けてステップS15でユーザ認証を行う。当該ユーザ認証が成功した場合、印刷制御部28は変更送信部29を制御し、変更送信部29に、上記ユーザから入力された変更情報を印刷サーバ30の変更受付部24に送信させる。その結果、当該変更情報に基づく、印刷サーバ30の変更受付部24によるユーザによる印刷設定情報の変更が可能となる。
又、MFP20の印刷制御部28は、印刷サーバ30の設定情報変更部25から送信される印刷データを画像形成部26に出力し、画像形成部26および印刷実行部27に印刷データに基づいた印刷を実行させる。印刷制御部28も、MFP20にインストールされたプログラムがCPU101に実行させる処理によって実現される。尚、印刷制御部28を有しない構成の場合、印刷サーバ30の設定情報更新部25から出力される印刷データは直接画像形成部26に出力され、画像形成部26および印刷実行部27が印刷データに基づいた印刷を実行する。
印刷サーバ30は、クライアント装置10に実装されるプリンタドライバから印刷データを受け取り、ユーザによる印刷実行の指示があるまで、その印刷データをデータ保存部22に蓄積し、その間、MFP20の変更送信部29を介して送信される変更情報に基づく、ユーザからの印刷設定情報の変更を受け付ける。
ユーザは後述する図29中、ステップS16にて、例えば、MFP20の操作部109上のキーやオペレーションパネルを介して変更情報を入力することができる。その際、MFP20と印刷サーバ30との間の通信を通じ、変更送信部29は、印刷サーバ30の変更受付部24を介し、印刷サーバ30のデータ保存部22に保存されている印刷データに現在設定されている印刷設定情報を取得し、これをMFP20の表示部108に表示させることができる。これにより、ユーザは、設定項目としてはどのようなものがあり、その設定内容がどのようなものであるか知ることができ、それに基づいて設定変更を行うことができる。
尚、このようにしてMFP20が印刷サーバ30からデータ保存部22に保存されている印刷データの印刷設定情報を取得する際に使用される、取得先の印刷サーバ30の識別情報(例えばIPアドレス)は、予めMFP20の記録媒体103に登録されている。MFP20は当該登録された識別情報を使用することにより、印刷設定情報の取得先の印刷サーバ30と通信を行い、当該印刷設定情報を取得することができる。
印刷設定情報の変更は、例えば、クライアント装置10から印刷指示した段階では「両面印刷しない」と設定していたが、用紙節約のため、「両面印刷する」に設定内容を変更することにより行われる。
例えばユーザがMFP20の操作部109上のキーやオペレーションパネルを介して「両面印刷しない」から「両面印刷する」に設定内容を変更すると、印刷サーバ30の変更受付部24は該当する変更情報をMFP20の変更送信部29経由で受信する(図29中、ステップS16、S17)。印刷サーバ30の変更受付部24は設定情報更新部25へその変更情報を送る。設定情報更新部25は、その印刷設定情報を含む印刷データに含まれる印刷設定情報内の設定内容をその変更情報に従って更新する(図29中、ステップS18)。ここでは、「両面印刷する」という情報に書き換える。
ユーザは、このようにして印刷サーバ30のデータ保存部22に保存された印刷データの印刷設定情報に対する設定変更を行った後、MFP20の表示部108上でその設定内容を確認する。この場合も上記の如く、MFP20と印刷サーバ30との間の通信を通じ、MFP20の変更送信部29が、印刷サーバ30の変更受付部24を介し、印刷サーバ30のデータ保存部22に保存されている印刷データに現在設定されている印刷設定情報を取得し、これをMFP20の表示部108に表示させることができる。ユーザは表示部102上に表示される印刷実行ボタンを押下して印刷を指示する(図29中、ステップS19)。
MFP20の印刷制御部28はこれに応じ、MFP20と印刷サーバ30との間の通信を通じ、上記の如く印刷設定情報を更新した印刷データを印刷サーバ30の設定情報更新部25から受信し(ステップS20,S21)、画像形成部26へ送る。
この場合も上記同様、MFP20が印刷サーバ30からデータ保存部22に保存されている印刷データを取得する際に使用される、取得先の印刷サーバ30の識別情報(例えばIPアドレス)は、予めMFP20の記録媒体103に登録されている。MFP20は当該登録された識別情報を使用することにより、印刷データの取得先の印刷サーバ30と通信を行い、当該印刷データを取得することができる。
MFP20の画像形成部26は、印刷データに基づき画像を形成するが、その際、文字サイズ、余白、行数、列数、モノクロ印刷またはカラー印刷の選択、トナーセーブの有無、用紙1枚に印刷すべきページ数等の設定内容に従って画像を形成する。そして、印刷実行部27で、部数、両面印刷の有無、パンチの有無および位置、ステープル止めの有無および位置等の設定内容に基づき印刷出力を行う(ステップS22)。
MFP20の画像形成部26は、印刷設定情報でカラー印刷が設定されている場合、各色のトナーによりトナー像を形成し、印刷実行部27は、部数2、パンチあり、用紙に向かって左側に2つの穴を開けるという設定がされている場合、2枚の用紙にカラー印刷し、各用紙に向かって左側に2つの穴を開け、排紙トレイへ排紙する。
具体的な処理を、図29に示すシーケンス図を参照して詳細に説明する。ステップS11において、ユーザは、PC等のクライアント装置10を使用し、アプリケーションを起動させ、文書を作成する。作成した文書を印刷する際、出力先を指定し、印刷ページの範囲、部数、モノクロ/カラー印刷設定、集約印刷設定、用紙サイズ設定、両面印刷設定、トナーセーブ設定等を行い、出力先へ印刷データを出力するように指示する。
ステップS12にて、文書データおよび印刷設定情報は、プリンタドライバによって印刷データへ変換され、出力先へ送られる。ここで出力先に印刷データが蓄積されている場合、その処理が終了するまでクライアント装置10において一時的に蓄積される。第6実施形態の場合出力先は印刷サーバ30である。この場合、印刷サーバ30に蓄積されている印刷データが処理され、蓄積可能なメモリ領域が確保された時点で、クライアント装置10に一時的に蓄積された印刷データは、ネットワークを介して印刷サーバ30へ送られる。印刷サーバ30は、ユーザからの指示があるまで印刷データを蓄積しておく(図29中、ステップS13)。第6実施形態の場合、印刷サーバ30はMFP20を介してユーザから印刷の指示を受けると(ステップS19、S20)、機密印刷の場合、MFP20におけるユーザ認証(ステップS14,S15)の成功を前提として、その印刷データ読み出してMFP20に送信する(ステップS21)。MFP20はその印刷データに基づき印刷を実行する(ステップS22)。
この印刷サーバ30は、MFP20経由でユーザからの指示を受けるまで印刷データをMFP20へ送信しないことから、ユーザはその間にMFP20経由で、印刷サーバ30に保存された印刷データにおける印刷設定を変更する(ステップS16,S17、S18)ことができる。
上述した如くの機密印刷を実行する場合のようにユーザ認証が要求される場合、ユーザは、MFP20の操作部109上のキーまたはオペレーションパネルを使用してユーザ識別情報を入力する(図29中、ステップS14)。MFP20は、予め登録され、メモリ等に格納されているユーザ認証情報を基に、入力されたユーザ識別情報が登録されている情報と一致するものがあるか否かを判断し、一致するものがある場合、そのユーザを認証し、そのユーザによる操作を許可する(図29中、ステップS15)。このような処理を可能にするために、MFP20は印刷制御部28を備えることができる。
上記入力されたユーザ識別情報が登録されている情報と一致するものがない場合、印刷制御部28は、そのユーザに新規登録を要求するか、そのユーザの操作を拒否する。ここでは、ユーザの操作を拒否する。ユーザ識別情報は、文字や数字等から構成されるユーザIDやパスワードとすることができる。
印刷サーバ30には複数の印刷データを蓄積することができるデータ保存部22としての記録媒体301を備える。又、MFP20は表示部108を備え、MFP20と印刷サーバ30との間の通信を通じ、その表示部108に、印刷サーバ30の記録媒体301に蓄積されている印刷データの一覧を表示させることができる。その時の表示は、例えば、図5に示すような画面となる。
この画面は、印刷制御部28によるユーザ認証(図29中、ステップS14,S15)が成功した場合に表示される。又、この画面は、印刷データを選択可能なようにスクロール可能とされ、選択された印刷データの表示が反転して示される。1の印刷データを選択する場合、その印刷データの表示を反転させ、「決定」というボタンを押下することにより、印刷サーバ30との通信を通じて選択することができる。また、この選択画面から元の画面に戻るための「戻る」というボタンも設けられている。なお、元の画面は、1つの例では、上記した印刷制御部28によるユーザ認証に使用されるログイン画面とすることができる。
印刷データの選択が行われると、その印刷データに含まれる印刷設定情報を、印刷サーバ30との通信を通じ、表示部108に表示する。印刷設定情報は、設定項目と設定内容とを含み、印刷サーバ30の変更受付部24は、データ保存部22に蓄積された印刷データを読み出し、その印刷データから印刷設定情報を取り出してMFP20に送信し、MFP20ではこれを表示部108に表示させる。図6は、表示部に印刷設定情報を表示したところを示す画面である。
ユーザがクライアント装置10において印刷設定する際、集約印刷はしないと設定した場合、図6に示す画面には「集約印刷設定」が「OFF」と表示される。ユーザはMFP20の実際のトナー残量が少ないことを知った場合に、集約印刷したいと考える。この場合、ユーザは、「集約印刷設定」の「変更」ボタンを押下することで、「OFF」から「2ページ」へと変更し、「実行」ボタンを押下する(図29中、ステップS16)ことで、MFP20が該当する変更情報を印刷サーバ30へ送信する(ステップS17)。印刷サーバ30では、その変更された設定内容に従って印刷設定情報を更新する(ステップS18)。このようにして印刷設定情報が更新された印刷データは、MFP20経由の印刷指示(ステップS19,S20)に対する返信として、印刷サーバ30からMFP20へ送信される(ステップS21)。すなわちMFP20ではユーザの印刷指示(ステップS19)に応じ、印刷サーバ30から印刷データを取得し(ステップS20,S21)、当該更新された印刷設定情報に基づき印刷を実行する(ステップS22)。
又、前述した機密印刷を実行する場合のようにユーザ認証が行われる場合、印刷データはユーザ識別情報を含むことができる。その場合、データ受付部としてのMFP20の印刷制御部28は、認証されたユーザのユーザ識別情報を含む印刷データを表示部108に表示させ、そのユーザによる選択を受け付けることができる。また、印刷サーバ30の変更受付部24がMFP20の変更送信部29経由(図29中、ステップS16、S17)でユーザからの変更情報を受け付けると、設定情報更新部25は、認証されたユーザのユーザ識別情報を含む印刷データに含まれる印刷設定情報を、その変更情報に従って更新することができる(ステップS18)。
図30は、第7実施形態の印刷システムを示した機能ブロック図である。第7実施形態は、以下に述べる点を除き、図26乃至図29とともに上述した第6実施形態と同様の構成を有する。
図30に示す印刷サーバ30は、図28に示す構成に加え、MFP20の表示部108に表示させる設定項目を格納する設定項目格納部40をさらに備えている。この設定項目は、MFP20の管理者がスクロールするのが大変な冗長表示を制限するために、表示すべき項目のみを設定したものである。
印刷サーバ30の変更受付部24は、設定項目格納部40に格納されている設定項目と、データ保存部22に蓄積された印刷データに含まれる印刷設定情報の、その設定項目に対応する設定内容とをMFP20へ送信し、MFP20の表示部108に表示させる。画面に表示される設定項目が少ないことから、ユーザがMFP20に対し行う設定変更の操作が容易となる。
印刷サーバ30を複数のユーザで共用する場合、その設定項目をユーザ毎に格納することができる。すなわち、その設定項目をユーザ識別情報に対応付けて格納することができる。ユーザ識別情報は、ユーザ認証の際にMFP20上でユーザにより入力される。その結果、当該ユーザ識別情報に基づき、MFP20と印刷サーバ30との通信を通じ、印刷サーバ30のデータ保存部22に蓄積された印刷データの一覧がMFP20上で表示される。ユーザがMFP20上で一覧から印刷データを選択すると、選択された印刷データにつき、印刷サーバ30の設定項目格納部40に格納されているそのユーザ識別情報に対応付けられた設定項目と、選択された印刷データに含まれる印刷設定情報の、その設定項目に対応する設定内容とがMFP20の表示部108に表示される。
ユーザはこのようにしてMFP20上で表示された設定内容を見ながら必要に応じてMFP20上で設定内容を変更することができる。印刷サーバ30の変更受付部24は、そのようにして変更された設定内容を変更情報としてMFP20の変更送信部29経由で受け付けると、当該設定内容を設定情報更新部25へ送る。設定情報更新部25は印刷設定情報をその変更された設定内容に従って更新する。その後の処理は、上述した第6実施形態における処理と同様である。すなわち、印刷設定情報が更新された印刷データが印刷サーバ30からMFP20へ送信され、MFP20の画像形成部26が、当該更新された印刷データの各設定内容に基づき画像を形成し、印刷実行部27が、更新された印刷データの各設定内容に基づき印刷出力を行う。
図31は、第8実施形態の印刷システムを示した機能ブロック図である。第8実施形態は、以下に述べる点を除き、図26乃至図29とともに上述した第6実施形態と同様の構成を有する。
図31に示す印刷サーバ30は、図28に示す第6実施形態の構成に加え情報収集部41を有する。情報収集部41は、MFP20との通信により、MFP20に含まれる機器のうち、使用により状態が変動する機器に対し、一定間隔で問い合わせを行い、その機器の情報を収集する。第8実施形態の印刷サーバ30は更に、上記収集された機器の情報から、MFP20の表示部108に表示させる印刷設定情報の設定項目と設定内容とを判断する表示判断部42を有する。
MFP20は、トナーカートリッジを備える現像ユニット、給紙ユニット、パンチやステープル止めを可能にするフィニッシャ、露光装置、帯電ユニット、転写ユニット、定着ユニット、スキャナ、フィーダ等の機器を有している。これらの機器には、ICチップ等が設けられ、製品番号や製品名等の機器を識別するための情報、トナー残量や残りの用紙枚数等の現在の状態に関する情報が格納されている。
これらの機器のうち、使用により状態が変動する機器としては、使用によりトナーが減少する現像ユニット、印刷により用紙が減少する給紙ユニット、ステープル止めすることによりステープルが減少するフィニッシャ等を挙げることができる。
印刷サーバ30の情報収集部41は、MFP20との通信により、MFP20が有する上記機器に対して一定間隔で問い合わせを行い、その機器の状態に関する情報、すなわち各色のトナー残量や残っている用紙枚数や残っているステープル数等の情報を、機器に設けられるICチップ等から収集する。問い合わせを行う間隔は、いかなる時間間隔であってもよい。なお、機器の状態の変動の大きいものについてはその時間間隔は短いほうが好ましい。
表示判断部42は、例えば、トナー残量が一定量以下であることを検知すると、印刷すべき部数が10枚以上と大量にあり、「両面印刷なし」や「集約印刷なし」に設定されているとき、それらの設定内容を変更するようユーザに促すために、それらの設定項目および設定内容を表示すべきと判断することができる。この場合、表示判断部42は、その指示を変更受付部24へ送り、変更受付部24はMFP20との通信により、MFP20の表示部108にそれらの設定内容を表示させる。
表示判断部42は、表示させるべき設定項目の表示条件を保持することができる。表示条件は、一例として上記の「トナー残量が一定量以下で、印刷すべき部数が10枚以上で、両面印刷なしや集約印刷なしに設定されているとき、それらの設定項目および設定内容を表示する」というものとすることができる。このため、表示判断部42は、この表示条件に基づき、表示すべき設定項目および設定内容を判断することができる。
ユーザは、このようにしてMFP20の表示部108に表示された設定項目および設定内容を見て、トナー残量が少なく、設定変更をしたほうがよいことを知ることができる。そして例えば両面印刷設定の設定内容を「両面印刷する」へ変更したり、集約印刷設定の設定内容を「2ページ」や「4ページ」等へ変更し、残りのトナーによりすべてを印刷出力することができるように印刷枚数を減少させることができる。
図32は、第9実施形態の印刷システムを示した機能ブロック図である。第9実施形態は、以下に述べる点を除き、図26乃至図29とともに上述した第6実施形態と同様の構成を有する。
図32に示す第9実施形態の印刷サーバ30は、図28に示す第6実施形態の構成に加え、設定項目取得部43を有する。設定項目取得部43は、MFP20との通信を通じ、MFP20の起動時、すなわち電源がONにされたとき、当該MFP20に含まれる各機器に対して問い合わせを行い、各機器から収集された情報から、どの機器が利用可能であるかを検知し、利用可能な機器の設定項目を設定可能な設定項目として取得する。第9実施形態の印刷サーバ30は更に、印刷データに含まれる印刷設定情報の設定項目と、設定項目取得部43によって取得された設定項目とを比較し、追加すべき設定項目の有無を判断する項目追加判断部44を有する。
クライアント装置10で設定する印刷設定の設定項目と、実際にMFP20で設定可能な設定項目とが異なる場合がある。例えば、クライアント装置10が使用するプリンタドライバが機種共通ドライバのようにMFP20が備える機能をすべて網羅していない場合や、MFP20にオプションを追加した場合等である。例えばMFP20が、フィニッシャがついていない機種であって、後にオプションとしてフィニッシャを追加した場合、MFP20が含む機器が変更されることになる。追加された機器は、利用可能ではあるが、印刷しようとするユーザが、フィニッシャが追加されたことを知らない場合、フィニッシャに関する設定項目および設定内容は未設定となる。
このため、印刷サーバ30の設定項目取得部43は、上記の如くにMFP20との通信を通じて収集された機器の情報から、設定可能な設定項目を取得する。例えば上記のようにフィニッシャが追加され、MFP20が含む機器の情報としてフィニッシャの情報が得られた場合、その情報から、設定可能な設定項目としてパンチ設定やステープル設定といった設定項目を取得する。そのフィニッシャがステープル止めのみが可能な機器であれば、ステープル設定のみを設定項目として取得する。
印刷サーバ30の追加項目判断部44は、MFP20の表示部108に表示させる印刷設定情報の設定項目および設定内容を判断する。例えば上記の如くフィニッシャが追加された場合は、パンチやステープルが設定可能になるため、MFP20の表示部108に表示させる印刷設定情報に「パンチ設定」、「ステープル設定」を追加する。このとき、設定内容は「OFF」にデフォルト設定される。
ユーザはこのようにMFP20の表示部108に表示された「パンチ設定」や「ステープル設定」を見て、それらの機能が使用できることを知る。そしてそれらの機能を利用したい場合、デフォルト設定された設定内容を「OFF」から「ON」へ変更し、また、穴を開ける位置やステープル止めする位置を入力して設定することができる。
このようにユーザよってMFP20上で設定変更の操作入力がなされると、印刷サーバ30の変更受付部24がMFP20との通信を通じてその変更情報を受け付け、設定情報更新部25が設定項目を追加する。変更受付部24は更に、変更情報に従って設定内容を追加して印刷データを更新する。変更情報に他の設定内容の変更がある場合は、その変更内容に従って当該設定内容を書き換えて更新する。
次にユーザがMFP20上で印刷実行を指示する操作を行うと、印刷サーバ30はMFP20との通信を通じて当該指示を受けて対応する印刷データをMFP20に送信する。MFP20の画像形成部26は、このようにして印刷サーバ30から送信された、上記の如く更新された印刷データに基づき画像形成を行い、印刷実行部27は、形成された画像を用紙に印刷して出力する。
なお、上記の例とは反対に、使用不能にされた機器がMFP20に存在する場合もありうる。このような場合は、その機器が使用されないだけであるから、特段の設定は不要である。しかしながら、ユーザに対しては、当該機器に関する設定内容を設定変更できないように、MFP20の表示部108上で当該設定内容の表示を行わないようにすることができる。あるいは当該機器を使用できない旨のメッセージをMFP20の表示部108に表示することも可能である。また、上記の如く印刷サーバ30の追加項目判断部44により設定項目が比較されるため、不要な設定項目を検出することができ、当該不要な設定項目を、設定情報更新部25が更新時に削除することもできる。
図33は、第10実施形態の印刷システムを示した機能ブロック図である。第10実施形態は、以下に述べる点を除き、図26乃至図29とともに上述した第6実施形態と同様の構成を有する。
図30に示す印刷サーバ30は、図28に示す第6実施形態の構成に加え、ユーザ識別情報に対応付けられ予め設定された印刷設定を格納する印刷設定格納部45をさらに備える。ユーザ識別情報は、上述したようにユーザIDやパスワードであり、この印刷設定は、設定項目および設定内容を含むものである。
印刷サーバ30の印刷設定格納部45は、ユーザ毎に特定の設定項目およびその設定内容を格納することができ、例えば、ユーザAは設定項目「集約印刷設定」について設定内容「2ページ」、ユーザBは設定項目「モノクロ/カラー印刷設定」について設定内容「カラー」という印刷設定を格納することができる。この印刷設定は、ユーザが予め設定し、登録されるものである。
ユーザAがクライアント装置10において設定項目「集約印刷設定」について設定内容「OFF」として設定し、印刷データを出力した場合であっても、印刷サーバ30ではその設定内容が「2ページ」に設定されているため、設定情報更新部25は、その印刷設定格納部45に格納されている設定項目「集約印刷設定」について設定内容「2ページ」に、印刷データに含まれる印刷設定情報の設定内容を書き換え、印刷データを更新する。これにより、ユーザAが変更情報を入力してなくても、自動的に、機器の種類に合う、また、ユーザが求める印刷を実現することができる。
なお、印刷サーバ30の設定情報更新部25は、変更受付部24が一定期間、変更情報を受け付けていない場合に、印刷設定格納部45に格納されている印刷設定を変更情報として使用し、データ保存部22に蓄積された印刷データに含まれる印刷設定情報を更新することができる。
図34は、第11実施形態の印刷システムの構成例を示す。同図に示す印刷システムは、画像形成装置の一例としてのホストMFP20−1(第1の画像形成装置),同じく他の画像形成装置の一例としてのクライアントMFP20(第2の画像形成装置)およびクライアント装置10を含む。これら各装置はLAN又はインターネット等のネットワークによって接続される。尚、上記の如く、第11実施形態の印刷システムでは、画像形成装置の一例としてMFPを適用することができるが、画像形成装置として適用することができるものはMFPに限られない。すなわち第11実施形態の印刷システムにおけるホストMFP20−1又はクライアントMFP20、あるいはその両方が、印刷装置単体の機能を有するレーザプリンタ(LP)等であってもよい。同様に後述する第12乃至第15実施形態の印刷システムにおけるホストMFP20−1又はクライアントMFP20、あるいはその両方が、印刷装置単体の機能を有するレーザプリンタ(LP)等であってもよい。
第11実施形態では、ユーザはクライアント装置10を直接操作することにより印刷データを作成し、当該印刷データをホストMFP20−1に送信し、ホストMFP20−1は当該印刷データを保存する。そしてユーザはクライアントMFP20を直接操作することにより、上記の如くホストMFP20−1に保存した印刷データをホストMFP20−1からクライアントMFP20に送信させ、当該印刷データに基づき、クライアントMFP20から画像を印刷出力する。
クライアント装置10は、印刷対象とされるデータ(文書データ、画像データ等)を有し、ユーザによる印刷指示の入力に応じ、印刷対象とされたデータを含む印刷データをホストMFP20−1に送信するコンピュータである。クライアント装置10は、印刷指示の際に、ユーザにユーザ認証情報(例えば、ユーザ名及びパスワード)を入力させ、入力されたユーザ認証情報を印刷データに含めることができる。
ホストMFP20−1は例えば図2とともに上述の如くのハードウェア構成を有し、ユーザによる操作指示に応じ、印刷データを印刷する。尚、以下、ホストMFP20−1のハードウェア構成につき、図2に示される各構成要素の符号に添え字「−1」を付して称する。例えばホストMFP20−1のCPU101を、CPU101−1と称する。
このホストMFP20−1は、当該第11実施形態では、クライアント装置10より受信される印刷データを蓄積する。ホストMFP20−1は、印刷データに含まれているユーザ認証情報に基づく認証処理を実行し、認証に成功した場合に、当該印刷要求に係る印刷データを蓄積するようにしてもよい。又認証処理を行わせるための認証サーバを別途設け、当該認証サーバに上記の如くの認証処理を行わせてもよい。
クライアントMFP20もホストMFP20−1同様、例えば図2とともに上述の如くのハードウェア構成を有し、ユーザによる操作指示に応じ、ホストMFP20−1に蓄積されている印刷データを取得し、当該印刷データを印刷する。クライアントMFP20は、ユーザにユーザ認証情報を入力させ、入力させたユーザ認証情報に基づく認証処理を実行するようにしてよい(機密印刷)。この場合、認証処理は、例えば図7乃至図21ともに上述した手順で行われる。あるいは認証処理を行わせるための認証サーバを別途設け、当該認証サーバに上記の如くの認証処理を行わせてもよい。この場合クライアントMFP20は、認証に成功した場合に、ホストMFP20−1からの印刷データの取得を実行する。
なお、ホストMFP20−1に関しても複数台設けてもよい。
図34を参照して、第11実施形態の印刷システムの機能について説明する。第11実施形態の印刷システムにおけるホストMFP20−1は、クライアント装置10で作成され、プリンタドライバにより変換された印刷データを受け取るデータ受信部21と、受け取った印刷データを蓄積するデータ保存部22と、印刷データを解析するデータ解析部23とを備える。これら各部は、ホストMFP20−1にインストールされたプログラムがCPU101−1に実行させる処理によって実現される。データ解析部23は、印刷データに含まれる印刷設定情報を解析し、その設定項目と設定内容を確認する。
また、ホストMFP20−1は、クライアントMFP20を介してユーザからの変更情報の入力を受け付ける変更受付部24と、データ保存部22に蓄積された印刷データに含まれる印刷設定情報を、変更受付部24で受け付けた変更情報に従って更新する設定情報更新部25とを備える。これら各部も、ホストMFP20−1にインストールされたプログラムがCPU101−1に実行させる処理によって実現される。
他方、クライアントMFP20は、ユーザから変更情報が入力されると(後述する図35中、ステップS36)、機密印刷の場合には印刷制御部28の制御の下、当該変更情報をホストMFP20−1の変更受付部24に送信する変更送信部29を有する。この場合の印刷制御部28は上述の第1乃至第5実施形態のMFP20に含まれる印刷制御部28と同様の構成を有する。クライアントMFP20は更に、ユーザからの指示により、更新された印刷設定情報に基づき画像を形成する画像形成部26と、更新された印刷設定情報に基づき形成された画像を用紙に印刷して出力する印刷実行部27とを備える。これら各部は、図2とともに上記した画像処理部106および画像出力部105に対応する。
クライアントMFP20は機密印刷を実行する構成とすることができ、その場合、印刷制御部28を有する。印刷制御部28は後述する図35のステップS34でユーザ認証情報の入力を受けてステップS35でユーザ認証を行う。当該ユーザ認証が成功した場合、印刷制御部28は変更送信部29を制御し、変更送信部29に、上記ユーザから入力された変更情報をホストMFP20−1の変更受付部24に送信させる。その結果、当該変更情報に基づく、ホストMFP20−1の変更受付部24によるユーザによる印刷設定情報の変更が可能となる。
又、クライアントMFP20の印刷制御部28は、ホストMFP20−1の設定情報変更部25から送信される印刷データを画像形成部26に出力し、画像形成部26および印刷実行部27に印刷データに基づいた印刷を実行させる。印刷制御部28も、MFP20にインストールされたプログラムがCPU101に実行させる処理によって実現される。尚、印刷制御部28を有しない構成の場合、ホストMFP20−1の設定情報変更部25から送信される印刷データは直接画像形成部26に出力され、画像形成部26および印刷実行部27が印刷データに基づいた印刷を実行する。
ホストMFP20−1は、クライアント装置10に実装されるプリンタドライバから印刷データを受け取り、ユーザによる印刷実行の指示があるまで、その印刷データをデータ保存部22に蓄積し、その間、クライアントMFP20の変更送信部29を介して送信される変更情報に基づく、ユーザからの印刷設定情報の変更を受け付ける。
ユーザは後述する図35中、ステップS36にて、例えば、クライアントMFP20の操作部109上のキーやオペレーションパネルを介して変更情報を入力することができる。その際、クライアントMFP20の変更送信部29は、クライアントMFP20とホストMFP20−1との間の通信を通じ、ホストMFP20−1の変更受付部24を介して、ホストMFP20−1のデータ保存部22に保存されている印刷データに現在設定されている印刷設定情報を取得し、これをクライアントMFP20の表示部108に表示させることができる。これにより、ユーザは、設定項目としてはどのようなものがあり、その設定内容がどのようなものであるか知ることができ、それに基づいて設定変更を行うことができる。
尚、このようにしてクライアントMFP20がホストMFP20−1からデータ保存部22に保存されている印刷データの印刷設定情報を取得する際に使用される、取得先のホストMFP20−1の識別情報(例えばIPアドレス)は、予めクライアントMFP20の記録媒体103に登録されている。クライアントMFP20は当該登録された識別情報を使用することにより、印刷設定情報の取得先のホストMFP20−1と通信を行い、当該印刷設定情報を取得することができる。
設定情報の変更は、例えば、クライアント装置10から印刷指示した段階では「両面印刷しない」と設定していたが、用紙節約のため、「両面印刷する」に設定内容を変更することにより行われる。
例えばユーザがクライアントMFP20の操作部109上のキーやオペレーションパネルを介して「両面印刷しない」から「両面印刷する」に設定内容を変更すると、ホストMFP20−1の変更受付部24は該当する変更情報をクライアントMFP20の変更送信部29経由で受信する(図35中、ステップS36、S37)。ホストMFP20−1の変更受付部24は設定情報更新部25へ、その変更情報を送る。設定情報更新部25は、その印刷設定情報を含む印刷データに含まれる印刷設定情報内の設定内容をその変更情報に従って更新する(図35中、ステップS38)。ここでは、「両面印刷する」という情報に書き換える。
ユーザは、このようにしてホストMFP20−1のデータ保存部22に保存された印刷データの印刷設定情報に対する設定変更をクライアントMFP20上で行った後、クライアントMFP20の表示部108上でその設定内容を確認する。この場合も上記の如く、クライアントMFP20とホストMFP20−1との通信により、クライアントMFP20の変更送信部29が、ホストMFP20−1の変更受付部24を介し、データ保存部22に保存されている印刷データに現在設定されている印刷設定情報を取得し、これをクライアントMFP20の表示部108に表示させることができる。そのユーザはクライアントMFP20の表示部102上に表示される印刷実行ボタンを押下して印刷を指示する(ステップS39)。
クライアントMFP20の印刷制御部28はこれに応じ、ホストMFP20−1との通信を通じ、印刷設定情報を更新した印刷データをホストMFP20−1の設定情報更新部25から受信し(ステップS40,S41)、画像形成部26へ送る。この場合も上記同様、このようにしてクライアントMFP20がホストMFP20−1からデータ保存部22に保存されている印刷データを取得する際に使用される、取得先のホストMFP20−1の識別情報(例えばIPアドレス)は、予めクライアントMFP20の記録媒体103に登録されている。クライアントMFP20は当該登録された識別情報を使用することにより、印刷設定情報の取得先のホストMFP20−1と通信を行い、当該印刷データを取得することができる。
画像形成部26は、当該印刷データに基づき画像を形成するが、その際、文字サイズ、余白、行数、列数、モノクロ印刷またはカラー印刷の選択、トナーセーブの有無、用紙1枚に印刷すべきページ数等の設定内容に従って画像を形成する。そして、印刷実行部27で、部数、両面印刷の有無、パンチの有無および位置、ステープル止めの有無および位置等の設定内容に基づき印刷出力を行う(ステップS42)。
画像形成部26は、印刷設定情報でカラー印刷が設定されている場合、各色のトナーによりトナー像を形成し、印刷実行部27は、部数2、パンチあり、用紙に向かって左側に2つの穴を開けるという設定がされている場合、2枚の用紙にカラー印刷し、各用紙に向かって左側に2つの穴を開け、排紙トレイ(図示を省略)へ排紙する。
具体的な処理を、図35に示すシーケンス図を参照して詳細に説明する。ステップS31において、ユーザは、PC等のクライアント装置10を使用し、アプリケーションを起動させ、文書を作成する。作成した文書を印刷する際、出力先を指定し、印刷ページの範囲、部数、モノクロ/カラー印刷設定、集約印刷設定、用紙サイズ設定、両面印刷設定、トナーセーブ設定等を行い、出力先へ印刷データを出力するように指示する。
ステップS32にて、文書データおよび印刷設定情報は、プリンタドライバによって印刷データへ変換され、出力先へ送られる。ここで出力先に印刷データが蓄積されている場合、その処理が終了するまでクライアント装置10において一時的に蓄積される。第11実施形態の場合出力先はホストMFP20−1である。この場合、ホストMFP20−1に蓄積されている印刷データが処理され、蓄積可能なメモリ領域が確保された時点で、クライアント装置10に一時的に蓄積された印刷データは、ネットワークを介してホストMFP20−1へ送られる。ホストMFP20−1は、ユーザからの指示があるまで印刷データを蓄積しておく(図35中、ステップS33)。第11実施形態の場合、ホストMFP20−1は、クライアントMFP20を介してユーザから印刷の指示を受けると(ステップS39、S40)、その印刷データ読み出してクライアントMFP20に送信する(ステップS41)。クライアントMFP20はその印刷データに基づき印刷を実行する(ステップS42)。
このホストMFP20−1は、クライアントMFP20経由でユーザからの指示を受けるまで印刷データをクライアントMFP20へ送信しないことから、ユーザはその間にクライアントMFP20経由で、ホストMFP20−1に保存された印刷データにおける印刷設定を変更する(ステップS36,S37、S38)ことができる。
ここで、上述した如くの機密印刷を実行する場合のようにユーザ認証が要求される場合、ユーザは、クライアントMFP20の操作部109上のキーまたはオペレーションパネルを使用してユーザ識別情報を入力する(図35中、ステップS34)。クライアントMFP20は、予め登録され、メモリ等に格納されているユーザ認証情報を基に、入力されたユーザ識別情報が登録されている情報と一致するものがあるか否かを判断し、一致するものがある場合、そのユーザを認証し、そのユーザによる操作を許可する(図35中、ステップS35)。このユーザ認証動作を可能とするために、クライアントMFP20は、後述する印刷制御部28を備えることができる。
上記入力されたユーザ識別情報が登録されている情報と一致するものがない場合、印刷制御部28は、そのユーザに新規登録を要求するか、そのユーザの操作を拒否する。ここでは、ユーザの操作を拒否する。ユーザ識別情報は、文字や数字等から構成されるユーザIDやパスワードとすることができる。
ホストMFP20−1には複数の印刷データを蓄積することができるデータ保存部22としての記録媒体103−1を備える。又、クライアントMFP20は表示部108を備え、ホストMFP20−1との通信により、その表示部108に、ホストMFP20−1の記録媒体103−1に蓄積されている印刷データの一覧を表示させることができる。その時の表示は、例えば、図5に示すような画面となる。
この画面は、印刷制御部28によるユーザ認証(図35中、ステップS34,S35)が成功した場合に表示される。又、この画面は、印刷データを選択可能なようにスクロール可能とされ、選択された印刷データの表示が反転して示される。1の印刷データを選択する場合、その印刷データの表示を反転させ、「決定」というボタンを押下することにより、印刷サーバ30との通信を通じて選択することができる。また、この選択画面から元の画面に戻るための「戻る」というボタンも設けられている。なお、元の画面は、1つの例では、上記した印刷制御部28によるユーザ認証に使用されるログイン画面とすることができる。
印刷データの選択が行われると、クライアントMFP20は、その印刷データに含まれる印刷設定情報を、ホストMFP20−1との通信を通じ、表示部108に表示する。印刷設定情報は、設定項目と設定内容とを含み、ホストMFP20−1の変更受付部24は、データ保存部22に蓄積された印刷データを読み出し、その印刷データから印刷設定情報を取り出してクライアントMFP20に送信し、クライアントMFP20ではこれを表示部108に表示させる。図6は、表示部に印刷設定情報を表示したところを示す画面である。
ユーザがクライアント装置10において印刷設定する際、集約印刷はしないと設定した場合、図6に示す画面には「集約印刷設定」が「OFF」と表示される。ユーザはクライアントMFP20の実際のトナー残量が少ないことを知った場合に、集約印刷したいと考える。この場合、ユーザは、「集約印刷設定」の「変更」ボタンを押下することで、「OFF」から「2ページ」へと変更し、「実行」ボタンを押下する(図35中、ステップS36)ことで、クライアントMFP20が該当する変更情報をホストMFP20−1へ送信する(ステップS37)。ホストMFP20−1では、その変更された設定内容に従って印刷設定情報を更新する(ステップS38)。このようにして印刷設定情報が更新された印刷データはホストMFP20−1からMFP20へ、印刷指示(ステップS40)に対する返信によって送信される(ステップS41)。クライアントMFP20ではユーザの印刷指示(ステップS39)に応じ、ホストMFP20−1から印刷データを取得し(ステップS40,S41)、当該更新された印刷設定情報に基づき印刷を実行する(ステップS42)ことができる。
又、前述した機密印刷を実行する場合のようにユーザ認証が行われる場合、印刷データにユーザ識別情報を含ませることができる。その場合、データ受付部としてのクライアントMFP20の印刷制御部28は、認証されたユーザのユーザ識別情報を含む印刷データを表示部108に表示させ、そのユーザによる選択を受け付けることができる。また、ホストMFP20−1の変更受付部24がクライアントMFP20の変更送信部29経由(図35中、ステップS36、S37)で変更情報を受け付けると、設定情報更新部25は、認証されたユーザのユーザ識別情報を含む印刷データに含まれる印刷設定情報を、その変更情報に従って更新することができる(ステップS38)。
図36は、第12実施形態の印刷システムを示した機能ブロック図である。第12実施形態は、以下に述べる点を除き、図34,図35とともに上述した第11実施形態と同様の構成を有する。
図36に示すホストMFP20−1は、図34に示す構成に加え、クライアントMFP20の表示部108に表示させる設定項目を格納する設定項目格納部40をさらに備えている。この設定項目は、クライアントMFP20の管理者がスクロールするのが大変な冗長表示を制限するために、表示すべき項目のみを設定したものである。
ホストMFP20−1の変更受付部24は、設定項目格納部40に格納されている設定項目と、データ保存部22に蓄積された印刷データに含まれる印刷設定情報の、その設定項目に対応する設定内容とをクライアントMFP20へ送信し、クライアントMFP20の表示部108に表示させる。画面に表示される設定項目が少ないことから、ユーザによる設定変更が容易となる。
ホストMFP20−1を複数のユーザで共用する場合、その設定項目をユーザ毎に格納することができる。すなわち、その設定項目をユーザ識別情報に対応付けて格納することができる。ユーザ識別情報は、ユーザ認証の際にクライアントMFP20上でユーザにより入力される。このため、その後の処理は、そのユーザ識別情報に基づき、ホストMFP20−1との通信を通じ、ホストMFP20−1のデータ保存部22に蓄積された印刷データの一覧をクライアントMFP20上で表示させる。そして、ユーザが選択した印刷データにつき、ホストMFP20−1の設定項目格納部40に格納されているそのユーザ識別情報に対応付けられた設定項目と、選択された印刷データに含まれる印刷設定情報の、その設定項目に対応する設定内容とを、クライアントMFP20の表示部108に表示させる。
ユーザはこのようにしてクライアントMFP20上で表示された設定内容を見ながら必要に応じてクライアントMFP20上で設定内容を変更することができる(ステップS36)。ホストMFP20−1の変更受付部24は、クライアントMFP20との通信を通じて、そのようにして変更された設定内容を変更情報として、クライアントMFP20の変更送信部29経由で受け付けると(ステップS37)、当該設定内容を設定情報更新部25へ送る。設定情報更新部25は印刷設定情報をその変更された設定内容に従って更新する(ステップS38)。その後の処理は、上述した第11実施形態における処理と同様である。すなわち、印刷設定情報が更新された印刷データがホストMFP20−1からクライアントMFP20へ送信され(ステップS39,S40,S41)、クライアントMFP20の画像形成部26が、当該更新された印刷データの各設定内容に基づき画像を形成し、印刷実行部27が、更新された印刷データの各設定内容に基づき印刷出力を行う(ステップS42)。
図37は、第13実施形態の印刷システムを示した機能ブロック図である。第13実施形態は、以下に述べる点を除き、図34,図35とともに上述した第11実施形態と同様の構成を有する。
図37に示すホストMFP20−1は、図34に示す第11実施形態の構成に加え情報収集部41を有する。ホストMFP20−1の情報収集部41は、クライアントMFP20との通信により、クライアントMFP20に含まれる機器のうち、使用により状態が変動する機器に対し、一定間隔で問い合わせを行い、その機器の情報を収集する。第13実施形態のホストMFP20−1は更に、上記収集された機器の情報から、クライアントMFP20の表示部108に表示させる印刷設定情報の設定項目と設定内容とを判断する表示判断部42を有する。
クライアントMFP20は、トナーカートリッジを備える現像ユニット、給紙ユニット、パンチやステープル止めを可能にするフィニッシャ、露光装置、帯電ユニット、転写ユニット、定着ユニット、スキャナ、フィーダ等の機器を有している。これらの機器には、ICチップ等が設けられ、製品番号や製品名等の機器を識別するための情報、トナー残量や残りの用紙枚数等の現在の状態に関する情報が格納されている。
これらの機器のうち、使用により状態が変動する機器としては、使用によりトナーが減少する現像ユニット、印刷により用紙が減少する給紙ユニット、ステープル止めすることによりステープルが減少するフィニッシャ等を挙げることができる。
ホストMFP20−1の情報収集部41は、クライアントMFP20との通信により、クライアントMFP20が有する上記機器に対して一定間隔で問い合わせを行い、その機器の状態に関する情報、すなわち各色のトナー残量や残っている用紙枚数や残っているステープル数等の情報を、機器に設けられるICチップ等から収集する。問い合わせを行う間隔は、いかなる時間間隔であってもよい。なお、機器の状態の変動の大きいものについてはその時間間隔は短いほうが好ましい。
ホストMFP20−1の表示判断部42は、例えば、トナー残量が一定量以下であることを検知すると、印刷すべき部数が10枚以上と大量にあり、「両面印刷なし」や「集約印刷なし」に設定されているとき、それらの設定内容を変更するようユーザに促すために、それらの設定項目および設定内容を表示すべきと判断することができる。この場合、表示判断部42は、その指示を変更受付部24へ送り、変更受付部24はクライアントMFP20との通信により、クライアントMFP20の表示部108にそれらの設定内容を表示させる。
ホストMFP20−1の表示判断部42は、表示させるべき設定項目の表示条件を保持することができる。表示条件は、一例として上記の「トナー残量が一定量以下で、印刷すべき部数が10枚以上で、両面印刷なしや集約印刷なしに設定されているとき、それらの設定項目および設定内容を表示する」というものとすることができる。このため、表示判断部42は、この表示条件に基づき、表示すべき設定項目および設定内容を判断することができる。
ユーザは、このようにしてクライアントMFP20の表示部108に表示された設定項目および設定内容を見て、トナー残量が少なく、設定変更をしたほうがよいことを知ることができる。そして例えば両面印刷設定の設定内容を「両面印刷する」へ変更したり、集約印刷設定の設定内容を「2ページ」や「4ページ」等へ変更し、残りのトナーによりすべてを印刷出力することができるように印刷枚数を減少させることができる。
図38は、第14実施形態の印刷システムを示した機能ブロック図である。第14実施形態は、以下に述べる点を除き、図34,図35とともに上述した第11実施形態と同様の構成を有する。
図38に示す第14実施形態のホストMFP20−1は、図34に示す第11実施形態の構成に加え、設定項目取得部43を有する。設定項目取得部43は、クライアントMFP20との通信を通じ、クライアントMFP20の起動時、すなわち電源がONにされたとき、クライアントMFP20に含まれる各機器に対して問い合わせを行い、各機器から収集された情報から、どの機器が利用可能であるかを検知し、利用可能な機器の設定項目を設定可能な設定項目として取得する。第14実施形態のホストMFP20−1は更に、印刷データに含まれる印刷設定情報の設定項目と、設定項目取得部43によって取得された設定項目とを比較し、追加すべき設定項目の有無を判断する項目追加判断部44を有する。
クライアント装置10で設定する印刷設定の設定項目と、実際にクライアントMFP20で設定可能な設定項目とが異なる場合がある。例えば、クライアント装置10が使用するプリンタドライバが機種共通ドライバのようにクライアントMFP20が備える機能をすべて網羅していない場合や、クライアントMFP20にオプションを追加した場合等である。例えばクライアントMFP20が、フィニッシャがついていない機種であって、後にオプションとしてフィニッシャを追加した場合、クライアントMFP20が含む機器が変更されることになる。追加された機器は、利用可能ではあるが、印刷しようとするユーザが、フィニッシャが追加されたことを知らない場合、フィニッシャに関する設定項目および設定内容は未設定となる。
このため、ホストMFP20−1の設定項目取得部43は、上記の如くにクライアントMFP20との通信を通じて収集された機器の情報から、設定可能な設定項目を取得する。例えば上記のようにフィニッシャが追加され、クライアントMFP20が含む機器の情報としてフィニッシャの情報が得られた場合、その情報から、設定可能な設定項目としてパンチ設定やステープル設定といった設定項目を取得する。そのフィニッシャがステープル止めのみが可能な機器であれば、ステープル設定のみを設定項目として取得する。
ホストMFP20−1の追加項目判断部44は、クライアントMFP20の表示部108に表示させる印刷設定情報の設定項目および設定内容を判断する。例えば上記の如くフィニッシャが追加された場合は、パンチやステープルが設定可能になるため、クライアントMFP20の表示部108に表示させる印刷設定情報に「パンチ設定」、「ステープル設定」を追加する。このとき、設定内容は「OFF」にデフォルト設定される。
ユーザはこのようにクライアントMFP20の表示部108に表示された「パンチ設定」や「ステープル設定」を見て、それらの機能が使用できることを知る。そしてそれらの機能を利用したい場合、デフォルト設定された設定内容を「OFF」から「ON」へ変更し、また、穴を開ける位置やステープル止めする位置を入力して設定することができる。
このようにユーザよってクライアントMFP20上で設定変更の操作入力がなされると、ホストMFP20−1の変更受付部24がクライアントMFP20との通信を通じてその変更情報を受け付け、ホストMFP20−1の設定情報更新部25が設定項目を追加する。ホストMFP20−1の変更受付部24は更に、変更情報に従って設定内容を追加して印刷データを更新する。変更情報に他の設定内容の変更がある場合は、その変更内容に従って当該設定内容を書き換えて更新する。
次にユーザがクライアントMFP20上で印刷実行を指示する操作を行うと(ステップS39)、ホストMFP20−1はクライアントMFP20との通信を通じて当該指示を受けて対応する印刷データをクライアントMFP20に送信する(ステップS40,S41)。クライアントMFP20の画像形成部26は、このようにしてホストMFP20−1から送信された、上記の如く更新された印刷データに基づき画像形成を行い、印刷実行部27は、形成された画像を用紙に印刷して出力する(ステップS42)。
なお、上記の例とは反対に、使用不能にされた機器がクライアントMFP20に存在する場合もありうる。このような場合は、その機器が使用されないだけであるから、特段の設定は不要である。しかしながら、ユーザに対しては、当該機器に関する設定内容を設定変更できないように、クライアントMFP20の表示部108上で当該設定内容の表示を行わないようにすることができる。あるいは当該機器を使用できない旨のメッセージをクライアントMFPの表示部108に表示することも可能である。また、上記の如く追加項目判断部44により設定項目が比較されるため、不要な設定項目を検出することができ、当該不要な設定項目を、ホストMFP20−1の設定情報更新部25が更新時に削除することもできる。
図39は、第15実施形態の印刷システムを示した機能ブロック図である。第15実施形態は、以下に述べる点を除き、図34,図35とともに上述した第11実施形態と同様の構成を有する。
図39に示すホストMFP20−1は、図34に示す第11実施形態の構成に加え、ユーザ識別情報に対応付けられ予め設定された印刷設定を格納する印刷設定格納部45をさらに備える。ユーザ識別情報は、上述したようにユーザIDやパスワードであり、この印刷設定は、設定項目および設定内容を含むものである。
ホストMFP20−1の印刷設定格納部45は、ユーザ毎に特定の設定項目およびその設定内容を格納することができ、例えば、ユーザAは設定項目「集約印刷設定」について設定内容「2ページ」、ユーザBは設定項目「モノクロ/カラー印刷設定」について設定内容「カラー」という印刷設定を格納することができる。この印刷設定は、ユーザが予め設定し、登録されるものである。
ユーザAがクライアント装置10において設定項目「集約印刷設定」について設定内容「OFF」として設定し、印刷データを出力した場合であっても、ホストMFP20−1ではその設定内容が「2ページ」に設定されているため、ホストMFP20−1の設定情報更新部25は、その印刷設定格納部45に格納されている設定項目「集約印刷設定」について設定内容「2ページ」に、印刷データに含まれる印刷設定情報の設定内容を書き換え、印刷データを更新する。これにより、ユーザAが変更情報を入力してなくても、自動的に、機器の種類に合う、また、ユーザが求める印刷を実現することができる。
なお、ホストMFP20−1の設定情報更新部25は、変更受付部24が一定期間、変更情報を受け付けていない場合に、印刷設定格納部45に格納されている印刷設定を変更情報として使用し、データ保存部22に蓄積された印刷データに含まれる印刷設定情報を更新することができる。
これまで本発明を上述した実施の形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、他の実施の形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。