JP5222260B2 - 弾性支持部材 - Google Patents
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Description
図9に示すように、自動車などの車両のサスペンション装置200は、例えば衝撃を吸収するためのコイルスプリング201と振動を減衰させるためのダンパ(図示省略)とを組み合わせた構造となっている。コイルスプリング201は、上端側が車体側部材204に支持されるとともに、下端側がサスペンションアーム側部材202に支持されている。そして、このコイルスプリング201の上端又は下端と、車体側部材204又はサスペンションアーム側部材202との間には、ノイズを抑制するために、例えばゴムなどの弾性体からなる弾性支持部材205,206が介装されている。
また、万が一、コイルスプリングが破損して、コイルスプリングの径方向外側に向かって発生するばね力の方向にコイルスプリングが飛び出そうとした場合でも、嵌合部のうち、当該ばね力の方向と反対側の部分が、取付孔の周縁に掛止されているので、弾性支持部材が取付孔の周縁に引っ掛かり、外れ難い。
そのため、コイルスプリングが破損しても、コイルスプリング及び弾性支持部材が車両から脱落するのを防止することができる。
また、取付孔の周縁に嵌合部を掛止するための凹凸を嵌合部に設ける必要がないので、例えば射出成形などによって弾性支持部材を形成する場合にオーバーハングとなる部分が少なくなり、弾性支持部材を容易かつ安価に生産することができる。
特に、嵌合部が取付孔の周縁に押圧されて弾発的に圧縮変形することで、取付孔の周縁に掛止されている場合に効果的である。
スプリングシート3の底面3cのうち、凸部31から前方に距離L2だけ離間した位置には、後記するスプリングシートラバー4の位置決め部45を嵌合固定するための位置決め孔33が貫通形成されている。
なお、スプリングシート3の底面3cには、複数の貫通孔が形成されている。
スプリングシートラバー4は、筒状部41と、フランジ部42と、規制部たる挿通部43と、嵌合部44と、位置決め部45と、を主に備えている。スプリングシートラバー4は、例えば射出成形などによって一体成形されている。
嵌合部44は、筒状部41の上底41a(図4参照)から下方に延出しており、水平断面視で略楕円形(小判形,図6(b),(c)参照)を呈する有底筒状に形成されている。嵌合部44は、スプリングシート3に設置したときに、楕円形の長径方向が車両の前後方向を向くように構成されている。また、嵌合部44の長径方向の幅寸法D1(図5参照)は、取付孔32の円弧状の周縁の直径R1(図6(b)参照)と略同径に形成されている。
また、嵌合部44は、筒状部41に対して全体的に車両前側に寄った位置に設けられている。そのため、図5に示すように、嵌合部44の前側の側壁44aと筒状部41との間隔t1よりも、嵌合部44の後側の側壁44bと筒状部41との間隔t2の方が大きくなっている。
これにより、嵌合部44の前側の側壁44aが、取付孔32の前側の周縁32aに強く引き付けられるので、嵌合部44を取付孔32に確実に掛止することができる。
スプリングシートラバー4をスプリングシート3の凸部31に取り付けるには、初めに、図6(b)に示すように、嵌合部44の長径方向を車両の左右方向に向けた状態にして、嵌合部44を取付孔32に挿入する。
このとき、嵌合部44の長径方向の幅寸法D1(図5参照)は、取付孔32の円弧状の周縁の直径R1と略同径であるので、嵌合部44をスムーズに挿入することができる。
このとき、嵌合部44の長径方向の幅寸法D1は、取付孔32の前後方向の幅寸法R2よりも大きく、かつ、嵌合部44は、筒状部41に対して前側に寄った位置に設けられているので、図6(a)に示すように、嵌合部44の前側の側壁44aが、取付孔32の前側の周縁32aに押圧されて弾発的に圧縮変形して、内向きに大きく撓んだ状態となる。これにより、嵌合部44の前側の側壁44aが、取付孔32の前側の周縁32aに引っ掛かって掛止され、抜け難くなる。
コイルスプリング5は、車両静止状態において、トレーリングアーム1と車体側部材6との間に挟まれて予圧縮されることにより、車両後方に向かって凸となるように、径方向に湾曲した状態に設置されている(図9参照)。そのため、万が一、コイルスプリング5が破断した場合には、上下方向のばね力のみならず、車両後方に飛び出そうとするばね力F(図9参照)が発生することとなる。
一方、コイルスプリング5の上端側は、図7(a)に示すように、車体側部材6に設けられたスプリング取付部60に取り付けられている。
凸部61の底部61aには、ボルト孔61bと位置決め孔61cとが貫通形成されている。
本体部71の高さ寸法は、凸部61の高さ寸法よりも、2倍乃至3倍程度大きくなっている。本体部71の上下方向の中間部の外周面には、中間フランジ部71aが環状に突出形成されている。本体部71は、コイルスプリング5の上端内周に挿入されている。
フランジ部72は、車体側部材6とコイルスプリング5の上端部との間に挟持されており、ノイズの発生を抑制している。
また、嵌合部44の前側の側壁44aが取付孔32の前側の周縁32aに押圧されて内向きに撓むことで周縁32aに引っ掛かっているので、コイルスプリング5が破損して車両後方に飛び出そうとした場合でも、スプリングシートラバー4がスプリングシート3から外れてコイルスプリング5と一緒に飛び出してしまうことがない。
そのため、コイルスプリング5が破損しても、コイルスプリング5及びスプリングシートラバー4がスプリングシート3から脱落するのを防止することができる。
第2実施形態に係るスプリングシートラバー4Aは、図8に示すように、嵌合部44の前側の側壁44aの外周面に、径方向外側に向かって突出する突起部46を有している点が、前記した第1実施形態と主に異なっている。
1 トレーリングアーム
2 トーションビーム
3 スプリングシート
31 凸部
32 取付孔
33 位置決め孔
4 スプリングシートラバー(弾性支持部材)
41 筒状部
42 フランジ部
43 挿通部(規制部)
43a 挿通孔
44 嵌合部
44a 側壁
45 位置決め部
46 突起部
5 コイルスプリング
6 車体側部材
Claims (6)
- サスペンション装置におけるコイルスプリングの軸方向端部に設置される弾性支持部材であって、
車体側部材又はサスペンションアーム側部材と前記コイルスプリングの軸方向端部との間に配置されるフランジ部と、
前記コイルスプリングの軸方向端部が前記弾性支持部材から離間するのを規制する規制部と、
前記車体側部材又はサスペンションアーム側部材に形成された取付孔に嵌合する嵌合部と、を有し、
前記取付孔及び前記嵌合部は、前記コイルスプリングの内側に配置されており、
前記嵌合部は、前記コイルスプリングが車両静止状態で予圧縮されることによって前記コイルスプリングの径方向外側に向かって発生するばね力の方向と反対側の部分が、前記取付孔の周縁に掛止されていることを特徴とする弾性支持部材。 - 前記嵌合部は、水平断面視で略楕円形状又は小判状の筒状に形成され、
前記嵌合部の長径方向の幅寸法は、前記取付孔の前記ばね力の作用方向の幅寸法よりも大きくなっており、
前記嵌合部は、前記長径方向を前記ばね力の作用方向に向けた状態で前記取付孔に嵌合することにより、前記コイルスプリングが車両静止状態で予圧縮されることによって前記コイルスプリングの径方向外側に向かって発生するばね力の方向と反対側の部分が、前記取付孔の周縁に押圧されて弾発的に圧縮変形することで、前記取付孔の周縁に掛止されていることを特徴とする請求項1に記載の弾性支持部材。 - 前記嵌合部は、前記コイルスプリングが車両静止状態で予圧縮されることによって前記コイルスプリングの径方向外側に向かって発生するばね力の方向と反対側の部分に、前記取付孔の周縁に掛止する突起部を有することを特徴とする請求項1に記載の弾性支持部材。
- 前記フランジ部は、前記コイルスプリングが車両静止状態で予圧縮されることによって前記コイルスプリングの径方向外側に向かって発生するばね力の方向と反対側の部分に、前記車体側部材又はサスペンションアーム側部材に形成された位置決め孔に嵌合固定する位置決め部を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の弾性支持部材。
- 前記嵌合部と前記位置決め部との間隔は、前記取付孔と前記位置決め孔との間隔よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載の弾性支持部材。
- 前記サスペンションアーム側部材は、少なくともトレーリングアームを備えており、
前記トレーリングアームの前端側は、前記車体側部材に回動自在に固定されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の弾性支持部材。
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