JP5221837B2 - ポリアリーレンスルフィドの精製方法 - Google Patents

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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Description

本発明は、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略称する。)に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、PASと略称する)の精製方法に関する。さらに具体的には、簡便な装置で効率よく金属イオン含有量の少ないPASを製造する方法に関するものである
PASの製造方法としては、例えば、工業的に広く用いられている製造方法として、特公昭52−12240号公報等に開示されている方法がある。
この方法では、N−メチル−2−ピロリドン等の比較的極性の高い有機溶媒中で、硫化ナトリウムに代表される硫化アルカリ金属等のスルフィド化剤とp−ジクロルベンゼンに代表されるジハロ芳香族化合物とを反応させる方法によってPASが得られる。
重合反応は、通常、高温加圧下で行われ、重合反応後の反応混合物、所謂「粗反応生成物」にはPAS以外に、副生する食塩及び未反応の原料やオリゴマー等が含有される。
重合反応後の粗反応生成物に含有されている反応溶媒は減圧蒸留装置や濾過器、遠心分離機等の適当な装置を用いてPASから分離回収され、必要に応じて精製した後再利用される。一方、溶媒と分離した「粗ポリアリーレンスルフィド」は、一般には水洗と濾過が繰り返され食塩等の不純物が除去された後に乾燥される。
但し、単純に水洗・濾過を行っただけではナトリウム等の金属イオンの含有量が高いという問題があった。
そこで、ナトリウム等の金属イオンを低減する方法が種々提案されている。例えば、反応混合物を強酸と接触させ方法が挙げられている(例えば、特許文献1参照。)。あるいは反応混合物からPASを分離した後、強酸溶液で処理する方法が挙げられている(例えば、特許文献2参照。)。しかし前記の方法では、強酸を使用する為、装置や設備に対する腐食性の面で重大な問題を有していると共に、酸がポリマー中に残存し、得られたPASの特性の低下を招く原因になっていた。
特開昭62−223232号公報 特開昭63−63721号公報
本発明の課題は、金属イオン含有量の低いPASを前記のような腐食性の高い強酸を用いることなく、製造する方法を提供することである。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、下記の知見を得た。
(1)反応後の粗ポリアリーレンスルフィドは水洗の繰り返しだけではナトリウム等の金属イオンの含有量を低減することは困難である。
(2)粗ポリアリーレンスルフィドを強酸に接触させれば金属イオン含有量を低減できるが、強酸を扱う為には、高価な耐食性の高い素材を用いた特殊な装置が必要となり、また製品であるPASに用いた酸が残存し、PASの色調等が悪くなる。
(3)二酸化炭素ガスを用いる場合には、特殊な耐食性の高い素材を用いた特殊な装置を用いる必要が無い。
(4)反応後の粗ポリアリーレンスルフィドを水存在下、高温で二酸化炭素と接触させると金属イオン含有量を低減できる。
(5)二酸化炭素を用いると最終製品のPASには酸が残存する可能性が無い。
本発明は、これらの技術的知見に基づくものである。
すなわち、本発明は、有機極性溶媒中でジハロ芳香族化合物とスルフィド化剤とを反応させ、ポリアリーレンスルフィドを含有した反応混合物を得た後、該反応混合物中から分離して得られた粗ポリアリーレンスルフィドと二酸化炭素とを水存在下120℃以上で接触させることを特徴とするポリアリーレンスルフィドの精製方法を提供する・
また、本発明は、有機極性溶媒中でジハロ芳香族化合物、ポリハロ化合物及びスルフィド化剤を反応させ、ポリアリーレンスルフィドを含有した反応混合物を得た後、該反応混合物中から分離して得られた粗ポリアリーレンスルフィドと二酸化炭素とを水存在下120℃以上で接触させることを特徴とするポリアリーレンスルフィドの精製方法をも提供する。
本発明のポリアリーレンスルフィドの精製方法によれば、特殊な装置を必要としないし、金属イオン含有量が少なく、酸の残存の問題が無い優れたポリマーを得ることが可能である。
本発明において用いられるスルフィド化剤としては、例えばアルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。
前記アルカリ金属硫化物としては、例えば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム等が挙げられるが、これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記硫化アルカリ金属は無水物、水和物、水溶液のいずれを用いてもよい。
上記硫化アルカリ金属の中では硫化ナトリウムと硫化カリウムが好ましく、特に硫化ナトリウムが好ましい。
これら硫化アルカリ金属は、例えば水硫化アルカリ金属とアルカリ金属塩基、硫化水素とアルカリ金属塩基とを反応させることによっても得られるが、反応系外で調製されたものを用いてもかまわない。
アルカリ金属水硫化物としては、例えば水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウム等が挙げられるが、これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記水硫化アルカリ金属は、無水物、水和物、水溶液のいずれを用いてもよい。
上記水硫化アルカリ金属の中では水硫化ナトリウムと水硫化カリウムが好ましく、特に水硫化ナトリウムが好ましい。
これら水硫化アルカリ金属は、硫化水素とアルカリ金属塩基とを反応させることによっても得られるが、反応系外で調製された物を用いてもかまわない。
アルカリ金属塩基としては、例えば水酸化アルカリ金属があげられる。水酸化アルカリ金属としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等が挙げられるが、これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記水酸化アルカリ金属化合物の中では水酸化リチウムと水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが好ましく、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
なお上記のいずれの場合にも、硫化アルカリ金属、水硫化アルカリ金属中に微量存在する不純物を除去するために、アルカリ金属塩基を少量過剰に加えてもさしつかえない。
上記スルフィド化剤は無水物でもかまわないが、入手の容易性と反応の制御性から等から含水物が好ましく、無水物を使用する場合には、水を加えて用いる。
本発明で使用するジハロ芳香族化合物は、芳香族核及び芳香族核と直接結合する2ケのハロゲン原子とを有する化合物を指し、アルカリ金属硫化物とアルカリ金属水硫化物との混合物で作られるスルフィド化剤による脱ハロゲン化/硫化反応を介して重合体化できれば良く、特に限定されない。
従って、芳香族核は芳香族炭化水素のみからなる場合の外に、この脱ハロゲン化/硫化反応を阻害しない各種の置換基を有していてもよい。前記ジハロ芳香族化合物としては、例えば下記一般式(1)〜(4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005221837
前記一般式(1)〜(4)中、Xはハロゲン原子を、またYは水素原子、水酸基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、カルボキシル基、炭素数1〜18のアルコキシカルボニル基、ナトリウムカルボキシレート基、シアノ基、アミノ基若しくはニトロ基を表す。また、前記Xとしては塩素原子または臭素原子が好ましい。
また、前記一般式(4)中のVとしては、下記構造式(5)〜(10)
Figure 0005221837
(式中、R’及びR”は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基を表す。)で表わされる2価の連結基が挙げられる。
また、前記一般式(1)中のmは2を、nは、0〜4の整数を表す。また、前記一般式(2)中のaは2を、bは0〜6の整数を表す。前記一般式(3)中でcは0〜2、dは0〜2、eは0〜3、fは0〜2の整数をそれぞれ表わし、且つcとdはc+d=2を満足する。また、前記一般式(4)中でgは0〜2、hは0〜2、iは0〜2、jは0〜2の整数を表し、且つg+h=2を満足する。
前記、一般式(1)〜(4)のジハロ芳香族化合物の具体例としては、p−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、o−ジハロベンゼン、2,5−ジハロトルエン、1,4−ジハロナフタリン、1−メトキシ−2,5−ジハロベンゼン、4,4’−ジハロビフェニル、3,5−ジハロ安息香酸、2,4−ジハロ安息香酸、2,5−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロアニソール、2,5−ジハロアニリン、3,5−ジハロアニリン、p,p’−ジハロジフェニルエーテル、4,4’−ジハロベンゾフェノン、4,4’−ジハロジフェニルスルホン、4,4’−ジハロジフェニルスルホキシド、4,4’−ジハロジフェニルスルフィド等が挙げられ、なかでも、p−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、4,4’−ジハロベンゾフェノンおよび4,4’−ジハロジフェニルスルホンが好ましく、その中でもp−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、4,4’−ジクロロベンゾフェノンおよび4,4’−ジクロロジフェニルスルホンは特に好適に使用される。
また、ジハロ芳香族化合物の適当な選択組み合わせによって2種以上の異なる反応単位を含む共重合体を得ることもでき、その組み合わせには特に制限はない。例えば、p−ジクロロベンゼンと4,4’−ジクロロベンゾフェノンとを組み合わせて、もしくは、p−ジクロロベンゼン4,4’−ジクロロフェニルスルホンとを組み合わせて使用すれば、種々の物性に優れたPASを得ることができるので、好ましい。また、p−ジハロベンゼンをジハロ芳香族化合物中70モル%以上、好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上用いて重合すると種々の物性に優れたPASが得られるのでとくに好ましい。また、ジハロベンゼンのみの重合体であるPPSは種々の物性に優れており、中でもジクロロベンゼンの使用は生産性等の点でより好ましい。
本発明で使用するポリハロ化合物は、3個以上のハロゲン原子を有するもので、アルカリ金属硫化物とアルカリ金属水硫化物との混合物のスルフィド化剤による脱ハロゲン化/硫化反応を介して重合体化しうるものであれば、特に限定しない。従って、この脱ハロゲン化/硫化反応を阻害しない各種の置換基を有しても、特に問題ない。
本発明で使用するポリハロ化合物は必ずしも芳香族化合物である必要はないが、芳香族化合物であることがより好ましい。芳香族化合物のポリハロ化合物を使用するとより高い耐熱性のポリマーを得ることができるので好ましい。
このようなポリハロ化合物の例としては、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,3−トリブロモベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリブロモベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリブロモベンゼン、1,3−ジクロロ−5−ブロムベンゼン等のトリハロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラブロモベンゼン、1,2,3,5−テトラクロロベンゼン、1,2,3,5−テトラブロモベンゼン等のテトラハロベンゼン、1,4,6−トリクロロナフタレン等のトリハロナフタレン類、トリハロベンゼンやテトラハロベンゼンあるいはトリハロナフタレンのアルキル置換体、これらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、経済性、反応性、生成PASの物性等の点から、1,2,4−トリハロベンゼン及び1,3,5−トリハロベンゼンが好ましい。
前記ポリハロ化合物を用いることで、得られるPASに分岐構造を与え、非ニュートン性を高めることが可能である。従って、非ニュートン性を高めず高分子量化を実現する為には、ポリハロ化合物の使用割合は全ハロ化合物に対して0.01〜0.15モル%、好ましくは0.02〜0.12モル%、更に好ましくは0.03〜0.10モル%である。
また高い非ニュートン性を実現するためにはポリハロ化合物の使用割合は全ハロ化合物の0.2モル%以上であることが好ましい。前記ポリハロ化合物の使用割合の上限は、PAS製造時の反応条件あるいは得られるPASの使用目的によっても異なるので一概に規定できないが、ジハロ芳香族化合物1モルに対してポリハロ化合物が5モル%以下であることが好ましい。また、この範囲の中でも、ジハロ芳香族化合物1モルに対してポリハロ化合物が0.3〜4モル%であることが、更に好ましく、特に0.3〜1.0モル%の範囲が好ましい。ポリハロ化合物の使用割合が上記範囲の場合にあれば、得られるポリマーはある程度の鎖長伸長がありかつ分岐構造を有し、高粘度化できる。
なお、本発明のPASの精製方法で得られるPASは、上記ジハロ芳香族化合物の重合体或いはジハロ芳香族化合物とポリハロ化合物との共重合体であるが、生成重合体の末端に不活性基を置く目的で、又は、重合反応を止め分子量を調節する目的でモノハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくとも良い)を併用することも可能である。又、この場合も、反応性、耐熱性等の点から、モノハロ芳香族化合物がより好ましい。なお、モノハロ化合物が芳香族化合物の場合には、前記ジハロ芳香族化合物のハロゲン原子の数が1個になると考えればよい。モノハロ化合物の使用量は添加の目的、種類、反応条件によっても異なるので特に制限は無い。
前記重合反応に使用する有機極性溶媒は、活性水素を有しない有機極性溶媒、すなわちアプロチックタイプの有機極性溶媒である。前記有機極性溶媒は、前記重合反応を阻害せず、原料であるジハロ芳香族化合物及びS2−を与えるスルフィド化剤を反応に必要な濃度に溶解することができる程度の溶解能を持つものであれば、とくに限定されない。これらの中でも、この溶媒は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を有する極性溶媒であることが好ましい。更に、この溶媒は原料ジハロ芳香族化合物と同様な脱ハロゲン化/硫化反応に関与しうるものでないことが望ましい。従って、例えば、本発明の重合反応に使用する有機極性溶媒としてはハロ芳香族炭化水素ではないことが望ましい。また、有機極性溶媒としては、制御された少量の水を重合反応に提供する事も使用目的の一つであり、その為、水を溶媒和しうる事が望ましい。
また、前記有機極性溶媒の沸点は水の沸点よりも高いことが望ましい。これらの条件を満足するもの有機極性溶媒としては、例えば、(1)N−メチルピロリドン(以下、NMPと略記する。)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)、N−シクロヘキシルピロリドン(NCP)、N−メチルカプロラクタム、テトラメチル尿素(TMU)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド類、(2)ポリエチレングリコールジアルキルエーテル(重合度は2000以下で、炭素数1〜20のアルキル基を有するもの)等のエーテル化ポリエチレングリコール類、(3)テトラメチレンスルホキシド、ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類が挙げられる。前記溶媒の中でも、NMPおよびN−メチルカプロラクタムは、化学的安定性が高いので、特に好ましい。
前記有機極性溶媒の使用量は、使用する溶媒の種類及び系内の溶媒に対する水分量によっても異なるが均一な重合反応が可能な反応系の粘度を保持すること、また、ある程度の生産性を維持するためには、重合に用いるスルフィド化剤中の硫黄原子1モル当り1.0〜8.0モルの範囲が好ましい。また、生産性を更に考慮すると、重合に用いるスルフィド化剤中の硫黄原子1モル当り1.0〜6.0モルの範囲が好ましく、また、更に好ましい使用溶媒量は重合に用いるスルフィド化剤中の硫黄原子1モル当り1.2〜5.0モルである。
重合系内の水分量、あるいはスルフィド化剤の含水量を調整するための水は、反応を阻害するものが含まれていなければ良く、そのため蒸留水、イオン交換水等、反応を阻害するアニオンやカチオン等を除いた水が好ましい。また、水洗工程において用いる水も金属イオン含有量が5ppm以下の水が好ましく、そのため、例えば蒸留水、イオン交換水等を用いるのが好ましい。
一般に、PASの重合反応中に存在させるべき水分は、加水分解反応などの併発を回避させるために、なるべく少ない方がよい。系内の水分量はスルフィド化剤1モル当たり好ましくは0.01〜2.0モル、好ましくは0.02〜1.5モル、更に好ましくは0.05〜1.3モルである。
前記重合は、必要に応じて脱水操作を行った後、あるいは脱水操作行いながら200〜300℃、好ましくは210〜280℃の温度に加熱して0.1〜40時間、好ましくは0.5〜20時間、更に好ましくは1〜10時間加熱して行うことが好ましい。この範囲内であると反応の進行がスムーズである。
すなわち、この反応温度が200℃未満では反応速度が遅く、また反応が不均一になる可能性があり、一方、300℃を超えると生成ポリマーあるいは溶媒の分解等の副反応が起こりやすい。
また、反応時間は使用した原料の種類や量、あるいは反応温度に依存するので一概に規定できないが、未反応成分の量が少なく、生成するポリマーが高分子量となることから0.1時間以上が好ましく、生産性が良好であることから40時間以下が好ましい。
前記重合反応においては、接液部がチタンあるいはクロムあるいはジルコニウム等でできた重合缶を用い、通常、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、特に、経済性及び取扱いの容易さの面から窒素が好ましい。
反応圧力については、使用した原料及び溶媒の種類や量、あるいは反応温度等に依存するので一概に規定できないので、特に制限はない。また、反応液の調整及び重合体の生成反応は一定温度で行う1段反応でも良いし、段階的に温度を上げていく多段階反応でも良いし、あるいは連続的に温度を変化させていく形式の反応でもかまわない。
本発明のポリアリーレンスルフィドの精製方法は、上記のようにして得られた有機極性溶媒とPASを含む反応混合液から分離した粗アリーレンスルフィドのスラリーについて精製操作を行うことである。このスラリーには、通常、有機極性溶媒、PASだけでなく、原料モノマーあるいは副生塩等の不純物が含まれている。
前記PASを含むスラリーをそのまま、あるいは反応溶媒(もしくはそれと同等の低分子重合体の溶解度を有する溶媒)を加えて攪拌した後、乾燥、濾過、圧搾、遠心分離などの適当な分離方法により、固液分離する。なお上記分離方法は2種以上組み合わせても良く、中でも濾過と乾燥(蒸発留去)を組み合わせる方法が、得られるPASの性状が優れかつ、使用する溶媒のロスが少なくなる等工程面でも優れているので好ましい。
前記濾過としては、例えば濾過機、遠心分離機等を用いて固液分離する操作が挙げられ、この濾過後、得られた固形分をそのまま乾燥あるいは水洗処理してももちろん良いが、該スラリーを濾過した後、固形分に付着した母液を、加温された溶媒にて更に洗浄して、母液の付着分を除去した方がより好ましい。
この母液付着分を除去する量は、洗浄する前に付着していた母液に対して50%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上である。この除去量が多いほど、溶融時のカラー等の物性に優れる。
前記乾燥(蒸発留去)は、反応後のスラリーをそのまま、あるいは濾過等により固液分離した後、減圧下あるいは加圧下、該有機溶媒が蒸発可能な温度以上に加熱することによって行う。また、この蒸発留去する際、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスをキャリアーガスとして用いても良い。なお、蒸発留去する際のスラリーまたはケーキの温度は、一定温度でもちろん良いが、段階的に温度を変化させるか、あるいは連続的に温度を変化させてもよい。また、蒸発留去する際の圧力についても、一定圧力でも良いが、段階的に圧力を変化させる形式、あるいは連続的に変化させる形式でも良い。
上記のようにして溶媒を分離した後の粗アリーレンスルフィドを含有した固形分は水による洗浄を行い、金属塩等の副生成物あるいは未反応物等を除去した後、水存在下120℃以上で二酸化炭素とPASを接触させ、必要に応じて更に水洗を行い、乾燥後、製品のPASとする。
また、前記反応終了時から製品のPASを得るまでの工程(精製工程)のいずれかで有機溶媒による洗浄を行っても良い。用いる溶媒としては、反応に用いた有機極性溶媒、あるいはアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール等の、アルコール類などの溶媒が挙げられる。
有機溶媒による洗浄は水洗前に反応に用いた有機極性溶媒で洗浄することがオリゴマーの除去を効率的に実行できるので好ましい。
なお、洗浄に使用する有機溶媒の量には特に制限は無いが、好ましくはPAS100重量部に対して、20〜1000重量部、より好ましくは50〜700重量部、更に好ましくは100〜500重量部である。
PASと二酸化炭素とを水存在下で接触させる際の温度は、120℃以上であれば特に限定されないが、PAS中の金属イオンの含有量の低減効果が顕著であることから、好ましくは140℃以上、より好ましくは150℃以上、更に好ましくは160℃以上である。また、この際の温度の上限は特に限定されないが、270℃以下が好ましい。
接触させる温度が低い場合には、本発明の目的であるPAS中の金属イオンの含有量を低くする効果が十分では無い。
またPASと二酸化炭素を接触させる際に用いる水の量についても特に制限は無いが、好ましくはPAS100重量部に対して、50〜2000重量部、より好ましくは100〜1000重量部、更に好ましくは200〜800重量部である。水の量がこの範囲内にあればPAS粒子と炭酸水との接触が良好に行われ精製効率が好適でありより好ましい。
本発明のPASの精製条件において、加えるべき二酸化炭素の量については、精製対象となるPASの種類あるいは合成条件等によっても異なるし、また、二酸化炭素とPASを接触させる温度・時間等によっても異なる為、一概に規定できないが、接触させる水溶液中に二酸化炭素が飽和していることが好ましい。従って、接触させている温度における水の蒸気圧よりも高い圧力になるように二酸化炭素で圧力を高めていることが好ましく、その際の高めるべき圧力は、0.005MPa以上、好ましくは0.01MPa以上、より好ましくは0.02MPa以上である。
PASと二酸化炭素とを接触させる時間は、接触させる際の温度・二酸化炭素の使用量によっても異なる為、制限は無いが、金属イオン含有量の低減が充分できることから0.05時間以上が好ましく、PASの生産性が良好となることから40時間以下が好ましい。中でも、特に、0.1〜20時間、更に好ましくは0.2〜10時間である。
本発明においては、水存在下でのPASと二酸化炭素の接触は連続的に行っても良いし、バッチ式に行ってもいずれでも良い。
水存在下で二酸化炭素と接触させたPASは固液分離した後そのまま乾燥しても良いし、更に水洗した後、固液分離し、乾燥を行っても良い。
乾燥は実質的に水等の溶媒が蒸発する温度に加熱して行う。乾燥は真空下で行っても良いし、空気中あるいは窒素のような不活性雰囲気下で行っても良い。
本発明により得られる重合体は従来のPASと同様、そのまま各種成形材料等に利用できるが、空気あるいは酸素富化空気中あるいは減圧下で熱処理することにより増粘することが可能であり、必要に応じてこのような増粘操作を行った後、各種成形材料等に利用しても良い。この熱処理温度は処理時間によっても異なるし処理する雰囲気によっても異なるので一概に規定できないが、通常は180℃以上で行うことが好ましい。熱処理温度が180℃未満では増粘速度が非常に遅く生産性が悪く好ましくない。熱処理は押出機等を用いて重合体の融点以上で、溶融状態で行っても良い。但し、重合体の劣化の可能性あるいは作業性等から、融点プラス100℃以下で行うことが好ましい。
本発明により得られた重合体は、従来のPAS同様そのまま射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形のごとき各種溶融加工法により、耐熱性、成形加工性、寸法安定性等に優れた成形物にすることができる。しかしながら強度、耐熱性、寸法安定性等の性能をさらに改善するために、本発明の目的を損なわない範囲で各種充填材と組み合わせて使用することも可能である。充填材としては、繊維状充填材、無機充填材等が挙げられる。
また、成形加工の際に添加剤として本発明の目的を逸脱しない範囲で少量の、離型剤、着色剤、耐熱安定剤、紫外線安定剤、発泡剤、防錆剤、難燃剤、滑剤、カップリング剤を含有せしめることができる。更に、同様に下記のごとき合成樹脂及びエラストマーを混合して使用できる。これら合成樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリアリーレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ四弗化エチレン、ポリ二弗化エチレン、ポリスチレン、ABS樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、液晶ポリマー等が挙げられ、エラストマーとしては、ポリオレフィン系ゴム、弗素ゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
本発明の重合体及びその組成物は、従来の方法で得られるPPS同様耐熱性、寸法安定性等が優れるので、例えば、コネクタ・プリント基板・封止成形品などの電気・電子部品、ランプリフレクター・各種電装部品などの自動車部品、各種建築物や航空機・自動車などの内装用材料、あるいはOA機器部品・カメラ部品・時計部品などの精密部品等の射出成形・圧縮成形品、あるいは繊維・フィルム・シート・パイプなどの押出成形・引抜成形品等として幅広く利用可能である。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
使用原料
(1)スルフィド化剤
含水フレーク状硫化ナトリウム(以下、NaS・xHOと略称する。純度−NaS:58.9重量%、NaSH:1.3重量%)はナガオ(株)製品を使用した。
(2)溶媒
NMPはBASFジャパン(株)製品を使用した。
(3)ジハロ芳香族化合物
p−ジクロロベンゼン(以下、p−DCBと略称する)は呉羽化学(株)製品を使用した。
(4)水は水道水をイオン交換した後、蒸留したものを使用した。
(5)水酸化ナトリウム(以下、NaOHと略称する。)は和光純薬工業(株)試薬を使用した。
(6)1,3,5−トリクロロベンゼン(以下、1,3,5−TCBと略称する。)は東京化成(株)試薬を使用した。
物性評価
得られた重合体の溶融粘度(η)は、東洋精機(株)製キャピログラフ1Bを用いて測定した(300℃、剪断速度100/秒、ノズル孔径1mm、長さ10mm)。
得られた重合体のナトリウム含有量はポリマーを焼成した残存物を水溶液とし、原子吸光光度計にて測定した。
得られた重合体のカラーはポリマーを320℃でプレスして、膜厚2mmにシートを作成し、そのシートのL値を測定・評価した。
参考例1
温度センサー、精留塔、滴下槽、滴下ポンプ、留出物受け槽を連結した撹拌翼付ステンレス製(チタンライニング)4リットルオートクレーブにNaS・xHO 642.9g及びNaOH 6g(NaSとして5.0モル)、NMP 1487g(15.0モル)を仕込み、窒素雰囲気下、205℃まで昇温することにより水−NMP混合物を留去した。留出液中の組成はNMP20g、水155g、イオン性硫黄55mmolであった。系を閉じ、ついでこの系を220℃まで昇温しp−DCB 735g(5.0モル)をNMP500gに溶かした溶液を2時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後、220℃で3時間保持した。この後、250℃まで1時間かけて昇温し、その温度で2時間保持して反応を終了し、2℃/分の速度で150℃まで冷却し、その後は室温まで放冷した後、スラリー(I)を得た。
得られたスラリー400gを水2000gに注いで80℃で1時間撹拌した後、ブフナーロートで吸引濾過した。この固形分(ケーキ)には上部より80℃の水400gを注ぎ置換洗浄した。この置換洗浄後のケーキは水400gでスラリー化した後、80℃で30分間撹拌し、濾過し、更に得られたケーキを80℃の水400gで置換洗浄した。得られたケーキは更に水400gでスラリー化した後、撹拌機付ステンレス製(SUS316L)1Lオートクレーブに仕込み、窒素置換した後、撹拌しながら160℃まで昇温し、その温度で2時間保持した後、室温まで冷却した。冷却したスラリーは濾過し、更に80℃の水400gで置換洗浄し、更に水400gでスラリー化した後、80℃で30分間撹拌した後、濾過し、更に得られたケーキを80℃の水400gで置換洗浄した。濾過後、熱風乾燥器中(120℃)で8hr乾燥して白色の粉末状のポリマーを62g得た。得られたポリマーの溶融粘度は41Pa・sであった。ナトリウム含有量は820ppmであった。シートのL値は53.1であった。
実施例1
参考例1で得られた反応後のスラリー(I)400gにNMP100gを加え、窒素雰囲気下、攪拌しながら120℃まで加温し、10分間その温度で保持した後、その温度で吸引濾過を行った。得られた固形分(ケーキ)に水500gを加え80℃で30分間撹拌した後、吸引濾過した。この固形分(ケーキ)には上部より80℃の水400gを注ぎ置換洗浄した。この置換洗浄後のケーキは水400gでスラリー化した後、80℃で30分間撹拌した後、濾過し、更に得られたケーキを80℃の水400gで置換洗浄した。得られたケーキは更に水400gでスラリー化した後、撹拌機付ステンレス製(SUS316L)1Lオートクレーブに仕込み、窒素置換した後、撹拌しながら160℃まで昇温した。昇温完了後二酸化炭素で0.60MPaまで10分間かけて加圧した。なお昇温完了時の圧力は0.55MPaであった。この温度・圧力で2時間保持した後、室温まで冷却した。冷却したスラリーは濾過し、更に80℃の水400gで置換洗浄し、更に水400gでスラリー化した後、80℃で30分間撹拌した後、濾過し、更に得られたケーキを80℃の水400gで置換洗浄した。濾過後、熱風乾燥器中(120℃)で8hr乾燥して白色の粉末状のポリマーを61g得た。得られたポリマーの溶融粘度は47Pa・sであった。ナトリウム含有量は250ppmであった。シートのL値は59.1であった。
実施例2
参考例1で得られた反応後のスラリー(I)400gにNMP100gを加え、窒素雰囲気下、攪拌しながら120℃まで加温し、10分間その温度で保持した後、その温度で吸引濾過を行った。得られたケーキを更に120℃のNMP200gで置換洗浄を実施した。得られたNMPを含むケーキに水500gを加え80℃で30分間撹拌した後、吸引濾過した。この固形分(ケーキ)には上部より80℃の水400gを注ぎ置換洗浄した。この置換洗浄後のケーキは水400gでスラリー化した後、80℃で30分間撹拌した後、濾過し、更に得られたケーキを80℃の水400gで置換洗浄した。得られたケーキは更に水400gでスラリー化した後、撹拌機付ステンレス製(SUS316L)1Lオートクレーブに仕込み、窒素置換した後、撹拌しながら160℃まで昇温した。昇温完了後二酸化炭素で0.60MPaまで10分間かけて加圧した。なお昇温完了時の圧力は0.55MPaであった。この温度・圧力で2時間保持した後、室温まで冷却した。冷却したスラリーは濾過し、更に80℃の水400gで置換洗浄し、更に水400gでスラリー化した後、80℃で30分間撹拌した後、濾過し、更に得られたケーキを80℃の水400gで置換洗浄した。濾過後、熱風乾燥器中(120℃)で8hr乾燥して白色の粉末状のポリマーを59g得た。得られたポリマーの溶融粘度は51Pa・sであった。ナトリウム含有量は110ppmであった。シートのL値は68.5であった。
実施例3
二酸化炭素で加圧して洗浄する温度を130℃とする以外は実施例2と同様に実施した。得られたポリマーの溶融粘度は53Pa・sであった。ナトリウム含有量は190ppmであった。シートのL値は67.5であった。
実施例4
二酸化炭素で加圧して洗浄する温度を145℃とする以外は実施例2と同様に実施した。得られたポリマーの溶融粘度は53Pa・sであった。ナトリウム含有量は160ppmであった。シートのL値は67.8であった。
実施例5
二酸化炭素で加圧して洗浄する際、昇温前に0.3MPaまで加圧し、昇温後加圧しない以外は実施例2と同様に実施した。得られたポリマーの溶融粘度は50Pa・sであった。ナトリウム含有量は90ppmであった。シートのL値は68.4であった。
実施例6
参考例1で得られた反応後のスラリー(I)400gにNMP100gを加え、窒素雰囲気下、攪拌しながら120℃まで加温し、10分間その温度で保持した後、その温度で吸引濾過を行った。得られた固形分をSUS316L製容器中撹拌下、10mmmHgに減圧し、160℃に加熱して、NMP等の液分を留去した。蒸留残渣の固形分濃度を測定したところ、96%であった。蒸留残渣に水500gを加え80℃で30分間撹拌した後、吸引濾過した。この固形分(ケーキ)には上部より80℃の水400gを注ぎ置換洗浄した。この置換洗浄後のケーキは水400gでスラリー化した後、80℃で30分間撹拌した後、濾過し、更に得られたケーキを80℃の水400gで置換洗浄した。得られたケーキは更に水400gでスラリー化した後、撹拌機付ステンレス製(SUS316L)1Lオートクレーブに仕込み、窒素置換した後、撹拌しながら160℃まで昇温した。昇温完了後二酸化炭素で0.60MPaまで10分間かけて加圧した。なお昇温完了時の圧力は0.55MPaであった。この温度・圧力で2時間保持した後、室温まで冷却した。冷却したスラリーは濾過し、更に80℃の水400gで置換洗浄し、更に水400gでスラリー化した後、80℃で30分間撹拌した後、濾過し、更に得られたケーキを80℃の水400gで置換洗浄した。濾過後、熱風乾燥器中(120℃)で8hr乾燥して白色の粉末状のポリマーを61g得た。得られたポリマーの溶融粘度は48Pa・sであった。ナトリウム含有量は290ppmであった。シートのL値は58.1であった。
実施例7
参考例1で得られた反応後のスラリー(I)400gにNMP100gを窒素雰囲気下、攪拌しながら120℃まで加温し、10分間その温度で保持した後、その温度で吸引濾過を行い、ケーキを更に120℃のNMP200gで置換洗浄を実施した。得られた固形分については実施例6と同様に液分の留去、水洗、二酸化炭素を用いた160℃熱水洗浄を実施した。得られたポリマーの溶融粘度は52Pa・sであった。ナトリウム含有量は120ppmであった。シートのL値は67.8であった。
実施例8
p−DCB5モルの代わりに、p−DCB4.975モル、1,3,5−TCB0.025モルを用いる以外は参考例1と同様に重合し、実施例2と同様にポリマーを精製した。得られたポリマーの溶融粘度は1350Pa・sであった。ナトリウム含有量は100ppmであった。シートのL値は69.1であった。
比較例1
160℃での水洗時に二酸化炭素を用いない以外は実施例6と同様に行った。得られたポリマーの溶融粘度は48Pa・sであった。ナトリウム含有量は1200ppmであった。シートのL値は57.1であった。実施例に比較して著しくナトリウム含有量が多かった。
比較例2
二酸化炭素の代わりに塩酸を用いる以外は実施例5と同様に実施した。なお、塩酸を加える量は水溶液のpHが3.0になるように加えた。160℃2時間保持後冷却し、取り出した後のオートクレーブは壁面が一部腐食していた。得られたポリマー溶融粘度は44Pa・sであった。ナトリウム含有量は100ppmであった。シートのL値は40.3であり、実施例に比較して著しくカラーが悪化していた。
比較例3
二酸化炭素を用いて水洗する温度が80℃である以外は実施例5と同様に実施した。得られたポリマー溶融粘度は52Pa・sであった。ナトリウム含有量は600ppmであった。シートのL値は63.8であった。実施例に比較して著しくナトリウム含有量が多かった。
金属イオン含有量の低いPASを効率よく製造する方法に関するもので、特に、電気・電子部品等に有用である。

Claims (8)

  1. 有機極性溶媒中でジハロ芳香族化合物とスルフィド化剤とを反応させ、ポリアリーレンスルフィドを含有した反応混合物を得た後、該反応混合物中から分離して得られた粗ポリアリーレンスルフィドと二酸化炭素とを水存在下120℃以上で接触させることを特徴とするポリアリーレンスルフィドの精製方法。
  2. 有機極性溶媒中でジハロ芳香族化合物、ポリハロ化合物及びスルフィド化剤を反応させ、ポリアリーレンスルフィドを含有した反応混合物を得た後、該反応混合物中から分離して得られた粗ポリアリーレンスルフィドと二酸化炭素とを水存在下120℃以上で接触させることを特徴とするポリアリーレンスルフィドの精製方法。
  3. 前記反応混合物中の有機極性溶媒を除去した後、得られた粗ポリアリーレンスルフィドと二酸化炭素ガスとを水存在下120℃以上で接触させる請求項1または2記載のポリアリーレンスルフィドの精製方法。
  4. 少なくとも一度はポリアリーレンスルフィドを有機溶媒で洗浄することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のポリアリーレンスルフィドの精製方法。
  5. 洗浄に使用する有機溶媒が反応に用いた有機極性溶媒と同じものであることを特徴とする請求項4記載のポリアリーレンスルフィドの精製方法。
  6. ポリアリーレンスルフィドと二酸化炭素ガスとを接触させる温度が150℃以上である請求項1〜5の何れかに記載のポリアリーレンスルフィドの精製方法。
  7. ジハロ芳香族化合物がジハロベンゼンである請求項1または2記載のポリアリーレンスルフィドの精製方法。
  8. ポリハロ化合物がトリハロベンゼンである請求項2記載のポリアリーレンスルフィドの精製方法。
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