JP5216277B2 - 食用油脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、食用油脂の製造方法に関する。
エステル交換反応は、ワックスエステル、各種脂肪酸エステル、糖エステルやステロイド等の製造法、あるいは植物油、動物油の改質法として重要な技術である。このエステル交換反応の触媒として、油脂分解酵素の一種であるリパーゼを用いると、温和な条件下でエステル交換反応を行うことが可能となり、また、その基質特異性や位置特異性により目的物を効率よく生産することが可能となる。
最もよく使用される酵素としては、1、3位を特異的にエステル交換する酵素があるが、この酵素により油脂の1、3位を特異的にエステル交換する場合、2位の脂肪酸組成はできるだけ置換しないことが重要である。
上記エステル交換に用いる酵素としては既述したリパーゼが挙げられるが、リパーゼは、反応時間とともにその触媒活性が低下し、特に反応温度が高くなると、短時間で酵素活性がなくなることが知られている(特許文献1)。従って、上記エステル交換を行う油脂混合物中に、融点が50℃以上の油脂が含まれている場合などは、反応温度を上げる必要があり、酵素の種類によって、特に安価な汎用の酵素は、酵素反応が過剰に進んでしまうため、2位の異性化も起こってしまうという問題があった。また、融点が50℃以上あるようなトリグリセリドを含む油脂混合物を一段階で酵素エステル交換反応させた際、高温下で反応を行うため酵素の失活が早く、未反応の高融点トリグリセリドが残存するという問題もあった。さらに、反復使用によって酵素が失活すると、同様に未反応の高融点トリグリセリドが残存してしまい、結果として生成物の油脂の融点が上昇してしまうという問題もあった。
これまで、パーム油を含む2種以上の油脂を特定の固定化リパーゼの存在下でエステル交換する油脂の製造方法があり(特許文献2)、またパーム油を含まない2種以上の油脂を特定の担体に固定化したリパーゼの存在下でエステル交換する油脂の製造方法があるが(特許文献3)、何れの製造方法も酵素反応の反応効率が悪く、また酵素反応が過剰に進んでしまうため2位の異性化も起こってしまって、もし異性化率を低くしようとすると製造時間が長くなってしまう。
特開平11−103884号公報 特開平6−38753号公報 特開平6−38779号公報
出発原料に50℃以上の高い融点を持つ油脂を含み、酵素による1、3位特異的なエステル交換を行う油脂の製造において、安価な酵素を用いても、2位の脂肪酸組成の異性化率を低く保ち、しかも製造時間が短い方法を提供すること。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、50℃以上の融点を持つ油脂を原料に含んでいる場合であっても、油脂のエステル交換反応を2段階で行い、1段階目で50℃以上の融点を持つ油脂と融点が低い油脂の混合物をエステル交換して、融点が50℃以下の油脂にしてしまえば、2段階目で特定の油脂との1、3位特異的酵素によるエステル交換反応を低温で行っても、反応後の生成物の融点を上昇させず、油脂原料中に含まれる特定油脂の2位の脂肪酸の交換を抑制することが可能であることを見出した。
即ち、本発明の第一は、融点が50℃以下の油脂(A)を作製する工程(1)と、含有飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂(B)及び油脂(A)、又は、含有不飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂(C)及び油脂(A)を用いて1、3位特異的に酵素エステル交換する工程(2)を有する油脂の製造方法であって、工程(1)は、融点が50℃以上の油脂(a)を出発原料として含み、油脂(A)が、前記融点50℃以上の油脂(a)と融点50℃未満の油脂(b)を含む油脂混合物をエステル交換することにより作製されることを特徴とする油脂の製造方法に関する。好ましい実施態様は、工程(2)のエステル交換反応の反応温度が40〜55℃であることを特徴とする上記記載の油脂の製造方法上記記載の油脂の製造方法に関する。より好ましくは、工程(2)のエステル交換反応が、カラム式であることを特徴とする上記記載の油脂の製造方法に関する。本発明の第二は、融点が50℃以下の油脂(A)を作製する工程(1’)と、含有飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂(B)及び油脂(A)、又は、含有不飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂(C)及び油脂(A)を用いて1、3位特異的に酵素エステル交換する工程(2’)を有する油脂の製造方法であって、ヨウ素価が10以下となるまで水素添加を行った後の融点が50℃以上になる油脂(c)と、ヨウ素価が10以下となるまで水素添加を行った後の融点が50℃未満となる油脂(d)を含む油脂混合物をエステル交換した後、ヨウ素価が10以下となるまで水素添加して油脂(A)を作製する工程(1’)と、含有飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂(B)及び油脂(A)、又は、含有不飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂(C)及び油脂(A)を用いて1、3位特異的に酵素エステル交換する工程(2’)を有することを特徴とする油脂の製造方法に関する。好ましい実施態様は、工程(2’)のエステル交換反応の反応温度が40〜55℃であることを特徴とする上記記載の油脂の製造方法に関する。より好ましくは、工程(2’)のエステル交換反応が、カラム式であることを特徴とする上記記載の油脂の製造方法、に関する。
出発原料に50℃以上の高い融点を持つ油脂を含み、酵素による1、3位特異的なエステル交換を行う油脂の製造において、安価な酵素を用いても、2位の脂肪酸組成の異性化率を低く保ち、しかも製造時間が短い方法を提供することができる。
以下、本発明につきさらに詳細に説明する。本発明は、融点が50℃以下の油脂(A)を作製する工程と、含有飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂(B)及び油脂(A)、又は、含有不飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂(C)及び油脂(A)を用いて1、3位特異的に酵素エステル交換する工程を有する油脂の製造方法であって、安価な酵素を用いても、反応温度を低く抑え、2位の脂肪酸組成の異性化率を低く保ち、しかも製造時間が短かくて済む油脂の製造方法である。但し、工程中に水素添加の有無で、異なる部分がある。
<工程中水素添加を行わない場合>
本発明の油脂の製造方法は、水素添加を必要としない場合、融点が50℃以上の油脂(a)と融点50℃未満の油脂(b)を含む出発原料から融点が50℃以下の油脂(A)を作製する工程(1)と、含有飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂(B)及び油脂(A)、又は、含有不飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂(C)及び油脂(A)を用いて1、3位特異的に酵素エステル交換する工程(2)を有する。
本発明の工程(1)に用いる融点50℃以上の油脂(a)は、構成脂肪酸全体中ステアリン酸の含量が50重量%以上の油脂であり、例えば、完全水素添加低エルシン酸菜種油、完全水素添加高エルシン酸菜種油、完全水素添加大豆油、完全水素添加パーム油等を挙げることができる。同様に50℃未満の油脂(b)は、ラウリン酸やミリスチン酸のような炭素数14以下の脂肪酸を構成脂肪酸全体中50重量%以上含む油脂であり、例えば、完全水素添加ヤシ油、完全水素添加パーム核油等を挙げることができる。
本発明の工程(2)における油脂(B)は、含有飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂(B)、即ち油脂(B)に含まれる飽和脂肪酸全体中40重量%以上がトリグリセリドの2位に結合している油脂のことであり、例えば、ラードやラードの分別油、乳脂などが挙げられる。ここで、油脂(B)に含まれる飽和脂肪酸全体中40重量%以上がトリグリセリドの2位に結合しているとは、炭素数に関わらず油脂(B)中のトリグリセリドに結合する構成脂肪酸に含まれる全飽和脂肪酸の内、平均して40重量%以上が2位に結合しており、残りの60重量%以下の飽和脂肪酸が1、3位に結合しているようなトリグリセリドを指す。即ち、全ての脂肪酸がトリグリセリドの1、2、3位にランダムに分布している場合には2位に結合する飽和脂肪酸は33.3重量%となるため、脂肪酸がランダムに分布している場合と比較して2位に飽和脂肪酸が多いということを意味している。尚、本発明の工程(2)において、油脂(B)を使用することにより、1位と2位に飽和脂肪酸、3位に不飽和脂肪酸を有するトリグリセリドを主成分(約70〜80重量%)とする、マ−ガリン等の可塑性油脂に適する結晶化速度の速い油脂組成物を製造することが可能となり、有用である。なお、油脂(B)は、本発明の効果があり、所望の油脂が得られるのであれば、上記以外の油脂を含有していても良い。
本発明に工程(2)における油脂(C)は、含有不飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂のことであり、例えば、パーム油やパーム分別油、シア脂、カカオ脂などが挙げられる。ここで、含有不飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドとは、炭素数に関わらず油脂(C)中のトリグリセリドに結合する構成脂肪酸に含まれる全不飽和脂肪酸の内、平均して40重量%以上が2位に結合しており、残りの60重量%以下の不飽和脂肪酸が1、3位に結合しているようなトリグリセリドを指す。即ち、全ての脂肪酸がトリグリセリドの1、2、3位にランダムに分布している場合には2位に結合する不飽和脂肪酸は33.3重量%となるため、脂肪酸がランダムに分布している場合と比較して2位に不飽和脂肪酸が多いということを意味している。尚、本発明の工程(2)において、油脂(C)を使用することにより、含気性や口溶け感が良好な油脂を得ることができ、有用である。なお、油脂(C)は、本発明の効果があり、所望の油脂が得られるのであれば、上記以外の油脂を含有していても良い。
[工程(1)]
融点が50℃以上の油脂(a)と融点50℃未満の油脂(b)を主に含有する油脂混合物から作製された油脂の融点が50℃以下であれば、特にその作製方法に限定はないが、例えば一般的な条件でエステル交換することで、融点が50℃以下の油脂(A)を作製することができる。またエステル交換反応は、位置特異的でも位置特異的でなくても良く、化学エステル交換反応や酵素エステル交換反応等の各種の交換反応を用いることができる。
化学エステル交換では、油脂組成物100重量部に対して0.2重量部のナトリウムメチラートを油脂組成物中に混合して反応を行うが、工程(2)の前に、洗浄、漂白を行うため、油脂組成物から不要物は除去される。このため、その後の酵素を用いたエステル交換反応への影響はない。またここでは、特に融点50℃以上の油脂を含む油脂組成物をエステル交換することとなり、比較的高温で処理する必要がある為、酵素の失活等の問題が少ない化学エステル交換反応で行うことがより好ましい。
なお、工程(1)において、油脂の化学法および酵素法のどちらのエステル交換方法を実施する場合であっても、水分量が1000ppmを超えると脂肪酸の生成量が増える場合があるので、上記原料油脂の水分を、常法により、できる限り減少させておくことが望ましいが、工業的に実施することが困難なことからも、100〜800ppmに調整することが好ましく、より好ましくは100〜500ppmに調整する。
[工程(2)]
油脂(B)及び/又はその変性物、或いは油脂(C)及び/又はその変性物を50重量部以上含む油脂混合物と、工程(1)で得られた油脂(A)を混合してから1、3位特異的に酵素エステル交換することで、目的の油脂が得られる。上記エステル交換を行う際の方法については、カラム式でもバッチ式でも良い。ただし、カラムに充填した酵素中に油脂を通過させることで反応を行うことができること、流量を調整することで反応率を調整できること、さらに連続で油脂の反応を行うことができることより、カラム式がより好ましい。
酵素エステル交換の反応温度は、好ましくは40〜60℃、より好ましくは45〜55℃である。これは、反応温度が40℃未満となると、エステル交換反応速度が遅く工業的に実施することが困難な場合があり、一方、反応温度が60℃を越えると、2位の異性化、酵素の失活を抑えることが難しくなる場合がある。
前記酵素エステル交換に用い得る酵素としてはリパーゼが挙げられ、具体的にはリゾプス属、ムコール属、アスペルギルス属、アルカリゲネス属等の微生物由来のものや動植物由来のもの等を使用することができ、1、3位の脂肪酸を特異的にエステル交換する位置特異性を持ったリパーゼが好ましい。また、これらのリパーゼは、ケイソウ土、シリカゲル、イオン交換樹脂、アルミナ、セルロース等の担体に固定化して用いることが好ましい。該固定化リパーゼは、リパーゼの水溶液を上記担体と共に攪拌、混合した後、乾燥する等の方法により簡便に調製することができる。
酵素エステル交換をカラム式で行う場合は、カラムに充填した固定化酵素量と油脂流量の比(油脂量/固定化酵素量(重量/重量))は酵素の活性に応じ調整されるが、酵素エステル交換後の油脂を安定的に供給することや、固定化酵素量に対する油脂流量が多すぎると反応が不完全で終わってしまうことから、1.0〜5.0/時間であることが好ましく、1.0〜3.0/時間であることがより好ましい。また、工程(2)において、カラム式及びバッチ式のどちらにおいても、上記原料油脂の水分を、必ずしも調整の必要は無いが、水分量が1000ppmを超えると脂肪酸の精製量が増える場合があるので、常法により、できる限り減少させておくことが望ましい。しかし、工業的に実施することが困難なことからも、100〜800ppmに調整することが好ましく、より好ましくは100〜500ppmに調整する。
<工程中水素添加を行う場合>
本発明の油脂の製造方法は、水素添加を必要とする場合、ヨウ素価が10以下となるまで水素添加を行った後の融点が50℃以上になる油脂(c)と、ヨウ素価が10以下となるまで水素添加を行った後の融点が50℃未満となる油脂(d)を含む油脂混合物をエステル交換した後、ヨウ素価が10以下となるまで水素添加することで融点が50℃以下の油脂(A)を作製する工程(1’)と、含有飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂(B)及び油脂(A)、又は、含有不飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂(C)及び油脂(A)を用いて1、3位特異的に酵素エステル交換する工程(2’)を有する。
本発明の工程(1’)に用いる油脂(c)は、ヨウ素価が10以下となるまで水素添加を行った後の融点が50℃以上になる油脂のことで、例えば、パーム油、菜種油、大豆油などを挙げることができる。また油脂(d)は、ヨウ素価が10以下となるまで水素添加を行った後の融点が50℃未満となる油脂のことで、例えば、パーム核油、やし油などを挙げることができる。即ち、下記のような条件でヨウ素価が10以下となるまで水素添加を行うと、油脂(c)の融点は50℃以上となり、油脂(d)の融点は50℃未満となる。
ここで、水素添加の条件についてであるが、通常の水素添加の条件と同様に行えばよく、ニッケル触媒を使用し、180〜200℃の範囲の反応温度で行うことが好ましい。また、ニッケル触媒は食用油脂用途の触媒であれば特に限定はないが、ニッケルを主体とし珪藻土に担持させたフレークニッケルや安定化ニッケルを用いることができる。以上のような条件下で水素添加した油脂のうち、ヨウ素価が10以下になるまで水素添加した油脂を完全水素添加と呼ぶ。
本発明の工程(2’)における油脂(B)は、含有飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂(B)、即ち油脂(B)に含まれる飽和脂肪酸全体中40重量%以上がトリグリセリドの2位に結合している油脂のことであり、例えば、ラードやラードの分別油、乳脂などが挙げられる。ここで、油脂(B)に含まれる飽和脂肪酸全体中40重量%以上がトリグリセリドの2位に結合しているとは、炭素数に関わらず油脂(B)中のトリグリセリドに結合する構成脂肪酸に含まれる全飽和脂肪酸の内、平均して40重量%以上が2位に結合しており、残りの60重量%以下の飽和脂肪酸が1、3位に結合しているようなトリグリセリドを指す。即ち、全ての脂肪酸がトリグリセリドの1、2、3位にランダムに分布している場合には2位に結合する飽和脂肪酸は33.3重量%となるため、脂肪酸がランダムに分布している場合と比較して2位に飽和脂肪酸が多いということを意味している。尚、本発明の工程(2)において、油脂(B)を使用することにより、1位と2位に飽和脂肪酸、3位に不飽和脂肪酸を有するトリグリセリドを主成分(約70〜80重量%)とする、マーガリン等の可塑性油脂に適する結晶化速度の速い油脂組成物を製造することが可能となり、有用である。なお、油脂(B)は、本発明の効果があり、所望の油脂が得られるのであれば、上記以外の油脂を含有していても良い。
本発明の工程(2’)における油脂(C)は、含有不飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂のことであり、例えば、パーム油やパーム分別油、シア脂、カカオ脂などが挙げられる。ここで、油脂(C)に含まれる不飽和脂肪酸全体中40重量%以上がトリグリセリドの2位に結合しているとは、炭素数に関わらず油脂(C)中のトリグリセリドに結合する構成脂肪酸に含まれる全不飽和脂肪酸の内、平均して40重量%以上が2位に結合しており、残りの60重量%以下の不飽和脂肪酸が1、3位に結合しているようなトリグリセリドを指す。即ち、全ての脂肪酸がトリグリセリドの1、2、3位にランダムに分布している場合には2位に結合する不飽和脂肪酸は33.3重量%となるため、脂肪酸がランダムに分布している場合と比較して2位に不飽和脂肪酸が多いということを意味している。尚、本発明の工程(2)において、油脂(C)を使用することにより、含気性や口溶け感が良好な油脂を製造することができ、有用である。なお、油脂(C)は、本発明の効果があり、所望の油脂が得られるのであれば、上記以外の油脂を含有していても良い。
[工程(1’)]
油脂(c)と油脂(d)を主に含有する油脂混合物から作製された油脂の融点が50℃以下であれば、特にその作製方法に限定はないが、例えば一般的な条件でエステル交換することで、融点が50℃以下の油脂(A)を作製することができる。またエステル交換反応は、位置特異的でも位置特異的でなくても良く、化学エステル交換反応や酵素エステル交換反応等の各種の交換反応を用いることができる。
化学エステル交換では、油脂組成物100重量部に対して0.2重量部のナトリウムメチラートを油脂組成物中に混合し反応を行うが、工程(2’)の前に、洗浄、漂白を行うため、油脂組成物から不要物は除去される。このため、その後の水素添加処理や、酵素を用いたエステル交換反応への影響はない。またここでは、脂肪酸の位置特異性が必要とならず、エステル交換を行う上で工業的に安価に処理できることから、化学エステル交換反応で行うことがより好ましい。
なお、工程(1’)において、油脂の化学法および酵素法のどちらのエステル交換方法を実施する場合であっても、水分量が1000ppmを超えると脂肪酸の生成量が増える場合があるので、上記原料油脂の水分を、常法により、できる限り減少させておくことが望ましいが、工業的に実施することが困難なことからも、100〜800ppmに調整することが好ましく、より好ましくは100〜500ppmに調整する。
次に、工程(1’)で得られた油脂に対してヨウ素価が10以下になるまで水素添加を行うこととなる。水素添加の条件は、通常の水素添加の条件と同様に行えばよく、ニッケル触媒を使用し、180〜200℃の範囲の反応温度で行うことが好ましい。また、ニッケル触媒は食用油脂用途の触媒であれば特に限定はないが、ニッケルを主体とし珪藻土に担持させたフレークニッケルや安定化ニッケルを用いることができる。ただし、部分水素添加を行うか、完全水素添加を行うかについては、目的の油脂生成物によって異なる。
[工程(2’)]
油脂(B)及び/又はその変性物、或いは油脂(C)及び/又はその変性物を主に含む油脂混合物と、工程(1’)で得られた油脂(A)を混合してから1、3位特異的に酵素エステル交換することで、目的の油脂が得られる。なお、油脂(B)及び/又はその変性物、或いは油脂(C)及び/又はその変性物の含有量は、上記油脂混合物全体中70重量%以上であることが好ましい。また上記エステル交換を行う際の方法については、カラム式でもバッチ式でも良い。ただし、カラムに充填した酵素中に油脂を通過させることで反応を行うことができること、流量を調整することで反応率を調整できること、さらに連続で油脂の反応を行うことができることより、カラム式がより好ましい。
酵素エステル交換の反応温度は、好ましくは40〜60℃、より好ましくは45〜55℃である。これは、反応温度が40℃未満となると、エステル交換反応速度が遅く工業的に実施することが困難な場合があり、一方、反応温度が60℃を越えると、2位の異性化、酵素の失活を抑えることが難しくなる場合がある。
酵素エステル交換をカラム式で行う場合は、カラムに充填した固定化酵素量と油脂流量の比(油脂量/固定化酵素量(重量/重量))は酵素の活性に応じ調整されるが、酵素エステル交換後の油脂を安定的に供給することや、固定化酵素量に対する油脂流量が多すぎると反応が不完全で終わってしまうことから、1.0〜5.0/時間であることが好ましく、1.0〜3.0/時間であることがより好ましい。また、工程(2’)において、カラム式でもバッチ式のどちらにおいても、水分量が1000ppmを超えると脂肪酸の生成量が増える場合があるので、上記原料油脂の水分を、常法により、できる限り減少させておくことが望ましい。しかし、工業的に実施することが困難なことからも、100〜800ppmに調整することが好ましく、より好ましくは100〜500ppmに調整する。
本発明に従えば、油脂の酵素活性を長持ちさせることができるため、一定の物性を有する油脂を提供することができ、また、2段階の反応を用いることで、目的とする油脂を作成することが容易になるため、広く用いることができる。そして、本発明で得られる油脂は、一般の食用油脂と同様に使用できる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<エステル交換の反応率>
エステル交換の反応率は、ガスクロマトグラフによる総炭素数分析結果より求めた。分析は、ラード、及びパーム油に含まれる総炭素数52のトリグリセリドを基準とし、同一の配合で化学法により完全にエステル交換を進行させた時の総炭素数52の値を反応率100%とし、反応前のC52の値を反応率0%として計算した。
<脂肪酸組成の分析>
分析対象の油脂50mgをイソオクタン5mlに溶解し、0.2mol/Lナトリウムメチラート/メタノール溶液1mlを加えて70℃で15分間反応させることによりメチルエステル化し、酢酸により反応液を中和した後に適量の水を加え、有機相をガスクロマトグラフ(型番:6890N、Agilent社製)により分析した。
<トリグリセリドの2位の脂肪酸組成の分析>
分析対象の油脂7.5gとエタノール22.5gを混合しノボザイム435(ノボザイムジャパン社製)を1.2g加えて30℃で4時間反応させ、反応液を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(型番:シリカゲル60(0.063−0.200mm)カラムクロマトグラフィー用、メルク社製)によりトリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリドの各成分に分離し、そのうちモノグリセリド成分を回収して上記の方法と同様に脂肪酸組成を分析した。
<トリグリセリドの2位の交換率>
トリグリセリドの2位の交換率は、トリグリセリドの2位に結合しているオレイン酸の重量比率(%)を基準とし、反応前の数値を交換率0%として計算し、脂肪酸組成が1、2、3位に完全にランダムに配置したときの数値を交換率100%として計算した。
<油脂の上昇融点>
基準油脂分析試験法(日本油化学会制定)3.2.2.2−1996に従って分析した。
<酵素の活性測定>
各油脂作製時、反応に使用した酵素について、各水準同一の反応条件で酵素に対して1000倍重量の油脂を流した時の反応率により計算した。反応率の計算は炭素数52の値を基準にして行い、開封直後の酵素をカラムに詰め、油脂を流して反応させ、酵素に対して10倍量の油脂を反応させた時点での炭素数52の値を酵素活性100%の基準値と設定し、反応前の炭素数52の値を酵素活性0%の基準値として設定した。酵素に対して1000倍量の油脂を反応させた時の炭素数52の値を上記基準にあてはめて酵素活性を計算した。
(実施例1)
それぞれ脱酸処理を行った完全水素添加低エルシン酸ナタネ油(融点:67℃)20重量部と完全水素添加パーム核油(融点:40℃)80重量部を減圧下90℃に加熱し、そこへナトリウムメチラートを0.2重量部添加し、羽根突き撹拌棒を用いて500rpmで30分攪拌し反応させた。反応後、油脂を水洗して触媒を除いた。水洗後の油脂を90℃に加熱し、減圧下で白土2重量部を添加して30分攪拌することで脱色し、濾過により白土を除いた。濾過した脱色後のエステル交換油脂(融点:40℃)70重量部に、脱酸、脱色処理を行ったラード30重量部を混合した油脂を、固定化酵素(リパーゼ)Lipozyme TL−IM(ノボザイムズジャパン社製)を詰めたカラムに通して反応させた。酵素反応は50℃で行い、固定化酵素1gあたり、油脂3g/時間の流量で流して反応させた。反応後の油脂を減圧下240℃で1時間脱臭し、最終製品油脂を得た。反応に使用したラードの脂肪酸組成及び2位の脂肪酸組成を表1に、最終製品油脂の脂肪酸組成及び特性を表2に示す。
Figure 0005216277
Figure 0005216277
(実施例2)
それぞれ脱酸、脱色処理を行った完全水素添加低エルシン酸ナタネ油(融点:67℃)25重量部と完全水素添加パーム核油(融点:40℃)75重量部を65℃に加熱し、そこへリパーゼPL(名糖産業社製)を1重量部添加し、羽根突き撹拌棒を用いて500rpmで5時間攪拌し反応させた。反応後濾過により酵素を除去したエステル交換油脂(融点:40℃)64重量部に脱酸、脱色処理を行ったパーム油36重量部を混合し、固定化酵素(リパーゼ)Lipozyme TL−IM(ノボザイムズジャパン社製)を詰めたカラムに混合油脂を通して反応させた。酵素反応は50℃で行い、固定化酵素1gあたり、油脂3g/時間の流量で流して反応させた。反応後の油脂を減圧下240℃で1時間脱臭し、最終製品油脂を得た。反応に使用したパーム油の脂肪酸組成及び2位の脂肪酸組成を表1に、最終製品油脂の脂肪酸組成及び特性を表2に示す。
(実施例3)
それぞれ脱酸、脱色処理を行った大豆油(融点:−7℃)30重量部とやし油(融点:24℃)70重量部の混合油脂を50℃に加熱し、そこへリパーゼPL(名糖産業社製)を1重量部添加し、羽根突き撹拌棒を用いて500rpmで5時間攪拌し反応させた。反応後濾過により酵素を除去した後の油脂100重量部に対して0.2重量部のニッケル触媒を添加し、180℃、0.2Mpaの圧力下で油脂が水素を吸収しなくなるまで完全に水素添加反応を行った。反応後白土により濾過し、ニッケル触媒を除去した。この油脂(融点:39℃)60重量部に脱酸、脱色処理を行ったラード40重量部を混合し、固定化酵素(リパーゼ)Lipozyme RM−IM(ノボザイムズジャパン社製)を詰めたカラムに混合油脂を通して反応させた。酵素反応は50℃で行い、固定化酵素1gあたり、油脂2g/時間の流量で流して反応させた。反応後の油脂を減圧下240℃で1時間脱臭し、最終製品油脂を得た。反応に使用したラードの脂肪酸組成及び2位の脂肪酸組成を表1に、最終製品油脂の脂肪酸組成及び特性を表2に示す。
(実施例4)
それぞれ脱酸、脱色処理を行った完全水素添加低エルシン酸ナタネ油(融点:67℃)30重量部と完全水素添加やし油(融点:32℃)70重量部を減圧下90℃に加熱し、そこへナトリウムメチラートを0.2重量部添加し、羽根突き撹拌棒を用いて500rpmで30分攪拌し反応させた。反応後、油脂を水洗して触媒を除いた。水洗後の油脂を90℃に加熱し、減圧下で白土2重量部を添加して30分攪拌して脱色し、濾過により白土を除いた。脱色後のエステル交換油脂(融点:40℃)70重量部に脱酸、脱色処理を行ったパーム油30重量部を混合し、固定化酵素(リパーゼ)Lipozyme TL−IM(ノボザイムズジャパン社製)を詰めたカラムに混合油脂を通して反応させた。酵素反応は50℃で行い、固定化酵素1gあたり、油脂5g/時間の流量で流して反応させた。反応後の油脂を減圧下240℃で1時間脱臭し、最終製品油脂を得た。反応に使用したパーム油の脂肪酸組成及び2位の脂肪酸組成を表1に、最終製品油脂の脂肪酸組成及び特性を表2に示す。
(比較例1)
それぞれ脱酸、脱色処理を行った完全水素添加低エルシン酸ナタネ油(融点:67℃)14重量部と完全水素添加パーム核油(融点:40℃)56重量部、ラード30重量部を混合し、固定化酵素(リパーゼ)Lipozyme TL−IM(ノボザイムズジャパン社製)を詰めたカラムに混合油脂を通して反応させた。酵素反応は65℃で行い、固定化酵素1gあたり、油脂3g/時間の流量で流して反応させた。反応後の油脂を減圧下240℃で1時間脱臭し、最終製品油脂を得た。反応に使用したラードの脂肪酸組成及び2位の脂肪酸組成を表1に、最終製品油脂の脂肪酸組成及び特性を表2に示す。
(比較例2)
それぞれ脱酸、脱色処理を行った完全水素添加低エルシン酸ナタネ油(融点:67℃)16重量部と完全水素添加パーム核油(融点:40℃)48重量部、パーム油36重量部を混合し、固定化酵素(リパーゼ)Lipozyme TL−IM(ノボザイムズジャパン社製)を詰めたカラムに混合油脂を通して反応させた。酵素反応は65℃で行い、固定化酵素1gあたり、油脂3g/時間の流量で流して反応させた。反応後の油脂を減圧下240℃で1時間脱臭し、最終製品油脂を得た。反応に使用したパーム油の脂肪酸組成及び2位の脂肪酸組成を表1に、最終製品油脂の脂肪酸組成及び特性を表2に示す。
(比較例3)
それぞれ脱酸、脱色処理を行った完全水素添加大豆油(融点:67℃)18重量部と完全水素添加やし油(融点:32℃)42重量部及びラード40重量部を混合し、固定化酵素(リパーゼ)Lipozyme RM−IM(ノボザイムズジャパン社製)を詰めたカラムに混合油脂を通して反応させた。酵素反応は65℃で行い、固定化酵素1gあたり、油脂2g/時間の流量で流して反応させた。反応後の油脂を減圧下240℃で1時間脱臭し、最終製品油脂を得た。反応に使用したラードの脂肪酸組成及び2位の脂肪酸組成を表1に、最終製品油脂の脂肪酸組成及び特性を表2に示す。
(比較例4)
それぞれ脱酸、脱色処理を行った完全水素添加低エルシン酸ナタネ油(融点:67℃)21重量部と完全水素添加やし油(融点:32℃)49重量部、及びパーム油30重量部を混合し、固定化酵素(リパーゼ)Lipozyme TL−IM(ノボザイムズジャパン社製)を詰めたカラムに混合油脂を通して反応させた。酵素反応は65℃で行い、固定化酵素1gあたり、油脂5g/時間の流量で流して反応させた。反応後の油脂を減圧下240℃で1時間脱臭し、最終製品油脂を得た。反応に使用したパーム油の脂肪酸組成及び2位の脂肪酸組成を表1に、最終製品油脂の脂肪酸組成及び特性を表2に示す。
(比較例5)
それぞれ脱酸、脱色処理を行った完全水素添加低エルシン酸ナタネ油(融点:67℃)14重量部と完全水素添加パーム核油(融点:40℃)56重量部、ラード30重量部を混合し、減圧下90℃に加熱し、そこへナトリウムメチラートを0.2重量部添加し30分攪拌し反応させた。反応後、油脂を水洗して触媒を除いた。水洗後の油脂を90℃に加熱し減圧下で白土2重量部を添加して30分攪拌し脱色し、濾過により白土を除いた。反応後の油脂を減圧下240℃で1時間脱臭し、最終製品油脂を得た。反応に使用したラードの脂肪酸組成及び2位の脂肪酸組成を表1に、最終製品油脂の脂肪酸組成及び特性を表2に示す。
(比較例6)
それぞれ脱酸、脱色処理を行った完全水素添加低エルシン酸ナタネ油(融点:67℃)16重量部と完全水素添加パーム核油(融点:40℃)49重量部、パーム油35重量部を混合し、減圧下90℃に加熱し、そこへナトリウムメチラートを0.2重量部添加し30分攪拌し反応させた。反応後、油脂を水洗して触媒を除いた。水洗後の油脂を90℃に加熱し減圧下で白土2重量部を添加して30分攪拌し脱色し、濾過により白土を除いた。反応後の油脂を減圧下240℃で1時間脱臭し、最終製品油脂を得た。反応に使用したパーム油の脂肪酸組成及び2位の脂肪酸組成を表1に、最終製品油脂の脂肪酸組成及び特性を表2に示す。
(比較例7)
それぞれ脱酸、脱色処理を行った完全水素添加大豆油(融点:67℃)18重量部と完全水素添加やし油(融点:32℃)42重量部及びラード40重量部を混合し、減圧下90℃に加熱し、そこへナトリウムメチラートを0.2重量部添加し30分攪拌し反応させた。反応後、油脂を水洗して触媒を除いた。水洗後の油脂を90℃に加熱し減圧下で白土2重量部を添加して30分攪拌し脱色し、濾過により白土を除いた。反応後の油脂を減圧下240℃で1時間脱臭し、最終製品油脂を得た。反応に使用したラードの脂肪酸組成及び2位の脂肪酸組成を表1に、最終製品油脂の脂肪酸組成及び特性を表2に示す。
(比較例8)油脂12の作製
それぞれ脱酸、脱色処理を行った完全水素添加低エルシン酸ナタネ油(融点:67℃)21重量部と完全水素添加やし油(融点:32℃)49重量部、及びパーム油30重量部を混合し、減圧下90℃に加熱し、そこへナトリウムメチラートを0.2重量部添加し30分攪拌し反応させた。反応後、油脂を水洗して触媒を除いた。水洗後の油脂を90℃に加熱し減圧下で白土2重量部を添加して30分攪拌し脱色し、濾過により白土を除いた。反応後の油脂を減圧下240℃で1時間脱臭し、最終製品油脂を得た。反応に使用したパーム油の脂肪酸組成及び2位の脂肪酸組成を表1に、最終製品油脂の脂肪酸組成及び特性を表2に示す。

Claims (6)

  1. 融点が50℃以下の油脂(A)を作製する工程(1)と、含有飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂(B)及び油脂(A)、又は、含有不飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂
    (C)及び油脂(A)を用いて1、3位特異的に酵素エステル交換する工程(2)を有する油脂の製造方法であって、工程(1)は、融点が50℃以上の油脂(a)を出発原料として含み、油脂(A)が、前記融点50℃以上の油脂(a)と融点50℃未満の油脂(b)を含む油脂混合物をエステル交換することにより作製されることを特徴とする油脂の製造方法。
  2. 工程(2)のエステル交換反応の反応温度が40〜55℃であることを特徴とする請求
    に記載の油脂の製造方法。
  3. 工程(2)のエステル交換反応が、カラム式であることを特徴とする請求項1又は2に記載の油脂の製造方法。
  4. 融点が50℃以下の油脂(A)を作製する工程(1’)と、含有飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂(B)及び油脂(A)、又は、含有不飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂(C)及び油脂(A)を用いて1、3位特異的に酵素エステル交換する工程(2’)を有する油脂の製造方法であって、ヨウ素価が10以下となるまで水素添加を行った後の融点が50℃以上になる油脂(c)と、ヨウ素価が10以下となるまで水素添加を行った後の融点が50℃未満となる油脂(d)を含む油脂混合物をエステル交換した後、ヨウ素価が10以下となるまで水素添加して油脂(A)を作製する工程(1’)と、含有飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂(B)及び油脂(A)、又は、含有不飽和脂肪酸量の40重量%以上が2位に結合しているトリグリセリドからなる油脂(C)及び油脂(A)を用いて1、3位特異的に酵素エステル交換する工程(2’)を有することを特徴とする油脂の製造方法。
  5. 工程(2’)のエステル交換反応の反応温度が40〜55℃であることを特徴とする請求項に記載の油脂の製造方法。
  6. 工程(2’)のエステル交換反応が、カラム式であることを特徴とする請求項又はに記載の油脂の製造方法。
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