JP6904009B2 - 油脂の製造方法 - Google Patents

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本発明は、油脂の製造方法に関する。
油脂(トリグリセリド)と脂肪酸とをリパーゼ等によりエステル交換する方法はアシドリシスと呼ばれ、チョコレートに用いられるカカオ類似脂に代表される、特徴的な構造を有するトリグリセリドを製造する際に利用されている。
カカオ類似脂と同様に、特徴的な構造を有する油脂としては、ヒトの母乳脂肪が挙げられる。ヒトの母乳脂肪においては、パルミチン酸の70〜85%程度が、トリグリセリドのβ−位に存在し、α−位には、主にオレイン酸が結合した構造を有する。一方、通常の植物油脂では、パルミチン酸の多くがα−位に結合している。
乳児が油脂を摂取した際、膵リパーゼがトリグリセリドのα−位の脂肪酸を加水分解し、2分子の遊離脂肪酸と1分子の2−モノグリセリドに分解される。モノグリセリドは結合している脂肪酸種に関係なく吸収される。遊離脂肪酸に関しては、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸、鎖長が12以下の飽和脂肪酸は吸収性が良好であるものの、それに比較すると長鎖の飽和脂肪酸の吸収性は悪い。つまり、パルミチン酸モノグリセリドの吸収性は良好であるが、パルミチン酸単体での吸収性は悪い。そのため、β−位にパルミチン酸が結合したトリグリセリドの吸収性は良好であり、ヒト母乳脂肪のような構造を有する油脂の消化吸収性が高いと考えられる。
ヒト母乳脂肪と類似した構造のトリグリセリドを示す油脂として、唯一、ラード(豚脂)が挙げられる。ラード中のパルミチン酸含量は25%程度であり、その70〜80%程度がトリグリセリドのβ−位に結合している。しかしながら、ラードの使用により特有のけもの臭が発現するという問題や、ラードの使用が宗教的に忌避されるといった問題がある。そのため、植物油脂を基にしたヒト母乳脂肪に類似した構造のトリグリセリドから成る油脂組成物の開発が必要とされている。
植物油脂をベースとし、ヒト母乳脂肪と類似した油脂組成物の製造としては、パーム油と脂肪酸をエステル交換することにより得られる油脂組成物が挙げられる。例えば、特許文献1には、油脂を化学的ランダムエステル交換してβ−位にパルミチン酸を導入した後、α−位に特異的に作用するリパーゼを用いてα−位にオレイン酸を導入する方法が開示されている。また、この特許文献1における具体的な製造例としては、パーム油又はパーム高融点分別油をランダムエステル交換した後、α−位に特異的に作用するリパーゼを用いて、純度95%のオレイン酸と反応させる方法が記載されている。
特開平6−70786号公報
特許文献1に記載された方法では、高純度のオレイン酸を使用するため、原料コストが高いという問題がある。そこで、パーム油等から得られる安価な脂肪酸として、オレイン酸の含有量が70〜80質量%の脂肪酸の使用を検討した。
また、新たな課題として、リパーゼによるエステル交換の際に、モノグリセリドおよびジグリセリドからなる部分グリセリドの発生が認められた。
本発明は、β−位にパルミチン酸を有する油脂の製造方法において、オレイン酸の含有量が70〜80質量%の脂肪酸を使用しつつ、部分グリセリドの発生を抑制することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、パーム由来の油脂を含む油脂原料と、オレイン酸の含有量が70〜80質量%のオレイン酸含有脂肪酸をリパーゼにより反応する際、オレイン酸含有脂肪酸の配合量を40〜95質量%とすることにより、部分グリセリドの発生が抑制されることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は下記の〔1〕、〔2〕および〔3〕である。
〔1〕 パーム由来の油脂を含む油脂原料を5〜60質量%、及び、オレイン酸の含有量が70〜80質量%のオレイン酸含有脂肪酸を40〜95質量%、を含む配合油脂を調整する配合工程、並びに、
前記配合油脂を、α−位に特異的に作用するリパーゼで反応させるリパーゼ反応工程を、備える、β−位にパルミチン酸を有する油脂の製造方法。
〔2〕 前記パーム由来の油脂を含む油脂原料をランダムエステル交換するエステル交換反応工程、を備える、〔1〕に記載のβ−位にパルミチン酸を有する油脂の製造方法。
〔3〕 前記パーム由来の油脂を含む油脂原料は、大豆油を含有する、〔1〕又は〔2〕に記載のβ−位にパルミチン酸を有する油脂の製造方法。
本発明における第1の発明によれば、トリグリセリド中のパルミチン酸のβ−位結合比率を上昇させることができるうえ、部分トリグリセリドの生成を抑えることができる。これにより、その後の精製や加工工程におけるクロロプロパノール類およびその脂肪酸エステル、グリシドールおよびその脂肪酸エステルの生成を抑制できる、油脂の製造方法を提供できる。
本発明における第2の発明によれば、トリグリセリド中のパルミチン酸のβ−位結合比率をさらに上昇させることができるうえ、油脂原料中のクロロプロパノール類およびその脂肪酸エステル、グリシドールおよびその脂肪酸エステルを減少させることができる、油脂の製造方法を提供できる。
本発明における第3の発明によれば、より母乳脂肪の脂肪酸組成に近い油脂の製造方法を提供できる。
以下、本発明について実施するための形態を説明する。
本発明の油脂の製造方法は、以下となる。
パーム由来の油脂を含む油脂原料を5〜60質量%及び、オレイン酸の含有量が70〜80質量%のオレイン酸含有脂肪酸を40〜95質量%、を含む配合油脂を調整する配合工程、並びに、
前記配合油脂を、α−位に特異的に作用するリパーゼで反応させるリパーゼ反応工程を備える、β−位にパルミチン酸を有する油脂の製造方法。
[油脂原料]
本発明におけるリパーゼ反応前の油脂原料としては、パルミチン酸を多く含み、且つ安定的に入手できる油脂が望ましいため、パーム系油脂が適している。原料となるパーム系油脂は未加工のパーム油だけではなく、その分別油、極度硬化油であってもよい。また、目的とする脂肪酸組成の範囲内において、上記パーム油の一部をパーム核油、その分別油、その極度硬化油に置き換えてもよい。
本発明における油脂原料であるパーム由来の油脂は、脂肪酸とのリパーゼ処理以前にクロロプロパノール類およびその脂肪酸エステル、グリシドールおよびその脂肪酸エステルが含まれないことが望ましい。そこで、パーム由来の油脂に対して通常行なわれる物理精製ではなく、中和精製により得られたパーム由来の油脂を使用することが好ましい。物理精製とは、搾油後のパーム原油に対し、その中に含まれる遊離脂肪酸を、真空、高温下で水蒸気を吹き込みながら蒸留する脱臭工程にて行う精製方法である。一方、中和精製とは原油に含まれる遊離脂肪酸をアルカリにて中和し除去する精製方法である。
(ランダムエステル交換)
本発明における油脂原料であるパーム由来の油脂は、パーム由来の油脂のランダムエステル交換油であることがより好ましい。パーム由来の油脂をランダムエステル交換することにより、トリグリセリドのα−位に多く結合しているパルミチン酸が、α−位とβ−位へランダムに配列されるため、その後のリパーゼ処理によりβ−位へのパルミチン酸結合比率をより効率的に高めることができる。
ランダムエステル交換は、ナトリウムメチラート等のアルカリ触媒を用いる方法、あるいはリパーゼ製剤等の酵素触媒を用いた方法によって行うことができる。油脂原料に含まれる3−MCPD脂肪酸エステルやグリシドール脂肪酸エステルを除くうえで、アルカリ触媒によるランダムエステル交換の方がより好ましい。
さらに他の植物油脂として以下の油脂を配合して、エステル交換することも可能である。他の植物油脂としては、例えば、ヤシ油、カノーラ油、コーン油、大豆油、米油、米糠油、ヒマワリ油、ハイオレイックヒマワリ油、サフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、オリーブ油、綿実油、中鎖脂肪(MCT)、あるいはそれらの分別油等が挙げられ、それらを1種または2種以上選択することもできる。
ランダムエステル交換におけるパーム由来の油脂の配合量は、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、特に好ましくは60質量%以上である。
また、上記パーム由来の油脂のランダムエステル交換油には、その他植物油脂として、大豆油を配合しランダムエステル交換を行うことが好ましい。これにより、油脂におけるパルミチン酸のβ−位結合比率を下げることなく、必須脂肪酸等を強化することができ、母乳脂肪の脂肪酸組成に近い油脂を得ることができる。
ランダムエステル交換における大豆油の配合量は、好ましくは1〜40質量%であり、より好ましくは5〜35質量%であり、特に好ましくは10〜30質量%である。
[脂肪酸]
本発明における脂肪酸は、オレイン酸含量が70〜80質量%の脂肪酸である。オレイン酸含量が70質量%以下である場合、α−位に結合しているパルミチン酸との置換が不充分となるため、得られる油脂のパルミチン酸のβ−位結合比率が低い値となる。また、オレイン酸含量が80質量%以上である場合、脂肪酸の原価が上昇するため、実製造を想定した際に経済的に非現実的となる。
また、オレイン酸含量が70〜80質量%の脂肪酸を使用することにより、部分グリセリドの発生を抑制するという効果を奏する。
オレイン酸を多く含む脂肪酸の原料としてはパーム油やハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイック菜種油、オリーブ油、ラード、牛脂等が挙げられるが原料の安定供給や経済性を考えた場合、パーム油由来の脂肪酸が好ましい。
(油脂原料と脂肪酸との配合)
本発明における油脂原料と脂肪酸との配合において、パーム由来の油脂を含む油脂原料は5〜60質量%であり、オレイン酸含有脂肪酸は40〜95質量%である。
油脂原料が5質量%未満、オレイン酸が95質量%超では、得られるトリグリセリドが極端に少なく製造上非効率的となる。原料油脂が60質量%超、オレイン酸が40質量%未満では、パルミチン酸のβ−位結合比率が充分に上昇せず、また、部分グリセリドが一部残る場合がある。
[リパーゼ反応]
(リパーゼ)
本発明におけるリパーゼとしては、各種油脂および各種脂肪酸の混合物に対し、トリグリセリドのα−位に特異性を示すリパーゼである。具体的には、アルカリゲネス属、ジオトリウム属、クロモバクテリウム属、リゾプス属、アスペルギルス属、ペニシリウム属、キャンディダ属、シュードモナス属、ムコール属、またはジオトリクム属などの微生物由来のリパーゼが挙げられる。これらリパーゼは、リパーゼそのものであってもよく、固定化担体に吸着結合したものであっても構わない。ただし、固定化担体に吸着結合させた方が高温で反応させた場合においてもリパーゼの反応期間を延長させることができ、カラム容器に充填して連続的に反応させることができるため、好ましい。固定化担体を具体的に例示すれば、活性炭、白土、シリカゲル、ケイソウ土、炭酸カルシウム、セライト、セルロースおよびその誘導体、キトサンおよびその誘導体、ガラス、樹脂のような素材で多孔質の吸着型担体を挙げることができる。また、固定化したリパーゼを一定の粒系にするために賦形剤などを用いて造粒してもよい。本発明では、固定化酵素として任意の粒径のものを使用することができるが、一般に粒径は50〜1000μmのもの、特に500〜1000μmのものを使用することが好ましい。
(リパーゼ処理後の反応物中の遊離脂肪酸)
パーム由来の油脂原料と脂肪酸とをリパーゼ処理によりエステル交換をすると、得られた油脂中に遊離脂肪酸が含まれる。食用に適した状態とするという観点から、この遊離脂肪酸を除去することが好ましく、その除去方法としては蒸留が特に好ましい。蒸留の方法としては、薄膜蒸留や分子蒸留、水蒸気蒸留等が挙げられ、その工程を1回または2回以上行うことが好ましい。さらに、反応後の油脂中に微量に含まれる遊離脂肪酸は、通常の油脂の脱酸工程を行うことで食用に適した状態まで除去することができる。その脱酸工程は前述の中和精製、物理精製どちらを選択しても構わない。
上記手法により遊離脂肪酸を除去した油脂は、さらに、脱ガム工程、脱色工程、脱臭工程を行うことで、食用に適した状態とすることが好ましい。
上記工程を経て得られた油脂は、食用油脂として単体で使用することもできれば、他の油脂と混合して使用することもできる。その際、混合する油脂は前記に示した油脂と同様であるが、クロロプロパノール類およびその脂肪酸エステル、グリシドールおよびその脂肪酸エステルの含量が少ない油脂を選択する方が好ましい。
以下に、実施例および比較例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、表1に実施例および比較例に、使用する油脂成分の構成脂肪酸組成、原料脂肪酸の構成脂肪酸組成の分析例を示す。各油脂成分及び原料脂肪酸の脂肪酸組成は「基準油脂分析試験法2.4.2.2−2013」にて分析した。
〔製造例A〜F:原料となるパーム系油脂〕
本発明では原料となるパーム由来の油脂として以下の製造例A〜Fを用意した。また、ランダムエステル交換は下記の方法にて行った。製造例A〜Fに使用した油脂及びその配合を表2に示す。なお、表2の下段の「ランダムエステル交換」の項には、ランダムエステル交換を行ったものを「〇」、行っていないものを「×」と記載する。
製造例A:パーム油
製造例B:パーム油の分別高融点部
製造例C:パーム油のランダムエステル交換油
製造例D:パーム油の分別高融点部のランダムエステル交換油
製造例E:パーム油分別高融点部、パーム核油、大豆油のランダムエステル交換油
製造例F:パーム油分別高融点部、パーム核油、大豆油、カノーラ油のランダムエステル交換油
(ランダムエステル交換方法)
ランダムエステル交換の反応方法および条件を以下に示す。反応容器に原料混合油を仕込み、窒素気流中、撹拌しつつ加熱した。100℃〜120℃の状態で3時間以上この状態を保ち、油脂中の水分が100ppm以下になるまで脱水した。その後、油脂を80℃まで冷却し、アルカリ触媒(ナトリウムメチラート)を0.1〜0.2質量部加え、撹拌下窒素気流中で30分間反応させた。触媒除去のため、反応液に70℃の温水を加え撹拌して洗浄した後、静置して油層と水層を分離した。分離した水層のpHが8以下になるまで温水洗浄を繰り返した後、窒素気流中、撹拌しつつ加熱し、100℃〜120℃で水分が蒸発しなくなるまで脱水した。次いで、活性白土を3質量部加え15分間脱色した後、濾過した。
〔原料脂肪酸〕
本発明では以下の2種の脂肪酸を使用した。
脂肪酸I:オレイン酸含量74.3質量%、パーム油由来
脂肪酸II:オレイン酸含量95.4質量%、ハイオレイックヒマワリ油由来
Figure 0006904009
Figure 0006904009
〔実施例1〜8〕
上記の製造例A〜Fで得られた油脂原料(トリグリセリド)と脂肪酸Iを表3の割合で配合し、下記の方法によりリパーゼ処理によるエステル交換を行い油脂と遊離脂肪酸との混合物を得た。その混合物より遊離脂肪酸部を除去し、その組成を分析した。また、遊離脂肪酸除去後の油脂について部分トリグリセリド含量を分析した。
部分トリグリセライドは、「AOCS Official Method Cd11b−91」を基に分析を行った。また、その定量下限を0.05質量%とした。
(リパーゼ処理によるエステル交換)
リパーゼ処理によるエステル交換の反応方法および条件を以下に示す。「Novozym40086」(Rhizomucor miehei起源・固定化リパーゼ)35gを充填したカラムに60〜70℃の条件下において、上記実施例1〜8の原料を流量15〜50g油/時間で通液しながらエステル交換を行った。反応は、その反応率が90%以上となるよう通液流量を調節した。反応率は、理論値と測定値を基に算出したパルミチン酸における反応率にて確認した。
(反応物からの遊離脂肪酸の除去方法)
上記リパーゼによるエステル交換により得られた反応物から遊離脂肪酸を除去する方法および条件を以下に示す。本発明では薄膜蒸留を行った。まず、温度220〜230℃、真空度8〜12Paの条件下において、100〜200mL/hで反応物を通し蒸留を行った。得られた油脂に対し、再度同様の条件にて再度蒸留を行った。
(脱酸方法)
蒸留後の油脂に対し、中和精製による脱酸処理を行った。得られた油脂を反応容器中に仕込み、60〜70℃に加熱、その酸価に応じて水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、遊離脂肪酸を中和した。生成し沈殿した脂肪酸セッケンを遠心分離により除去した。
(β−位結合脂肪酸組成の分析)
さらに、上記方法にて得られた油脂の脂肪酸組成および、β−位に結合した脂肪酸組成の分析を行った。脂肪酸組成の分析は「基準油脂分析試験法2.4.2.2−2013」にて行い、β−位結合の脂肪酸組成分析は「基準油脂分析試験法2.4.5−2016」にて行った。これらの分析結果を基に、パルミチン酸のβ−位への結合比率を以下の計算式より求めた。
パルミチン酸のβ−位への結合比率(%)=
(β−位に結合したパルミチン酸含量/全体におけるパルミチン酸含量×3)×100
〔比較例1〜6〕
上記の製造例A〜Fにて得られた油脂原料と、脂肪酸Iもしくは脂肪酸IIとを表4の割合で配合し、上記方法にてリパーゼによるエステル交換、脂肪酸除去をした後、比較例1〜6の油脂を得た。また、上記方法に準じて除去した遊離脂肪酸の組成、および得られた油脂の脂肪酸組成とβ−位結合の脂肪酸組成を分析した。そして、油脂のパルミチン酸のβ−位結合比率を上記の計算式より求めた。
Figure 0006904009
Figure 0006904009
表3、表4を見ると、パーム由来の油脂を含む油脂原料(製造例A〜F)を5〜60質量%、オレイン酸の含有量が70〜80質量%のオレイン酸含有脂肪酸(脂肪酸I)を40〜95質量%配合した配合油脂をリパーゼ反応させることにより、部分グリセリドの発生の抑制が認められた。
なお、比較例1、2、5、6を見ると、油脂原料が多くなると、部分グリセリドの発生が多くなるという傾向が認められる。一方で、実施例3、4と比較例3、4を対比すると、実施例3、4では、油脂原料を多く含むが、部分グリセリド含有量が低下している。すなわち、オレイン酸の含有量が70〜80質量%のオレイン酸含有脂肪酸(脂肪酸I)を使用することにより、部分グリセリドの発生を抑制するといえる。



Claims (3)

  1. パーム由来の油脂を含む油脂原料を5〜40質量%、オレイン酸の含有量が70〜80質量%のオレイン酸含有脂肪酸を60〜95質量%、を含む配合油脂を調整する配合工程、並びに、
    前記配合油脂を、α−位に特異的に作用するリパーゼで反応させるリパーゼ反応工程を備える、β−位にパルミチン酸を有する油脂の製造方法。
  2. 更に、前記パーム由来の油脂を含む油脂原料をランダムエステル交換するエステル交換反応工程を備える、請求項1に記載のβ−位にパルミチン酸を有する油脂の製造方法。
  3. 前記パーム由来の油脂を含む油脂原料は、大豆油を含有する、請求項1又は2に記載のβ−位にパルミチン酸を有する油脂の製造方法。
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