JP5215487B1 - 下地材 - Google Patents

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Abstract

【課題】石膏ボード等の取り付け強度の低い壁体を補強して重量物を取り付ける。
【解決手段】下地材10は、一方の面に鋸歯状部2を有する基板1の他方の面にブロック4を接して並べて可撓性補強層5とした部材であり、鋸歯状部が凹となる方向にのみ可撓性がある。下地材を同方向に曲げて小さい壁体7の孔8から挿入し、紐7で保持しながら表から仮止めねじ14をねじ込み、下地材を壁体の裏側に仮固定する。下地材はねじの押圧を受けても反り返らないので紐で保持するだけで仮固定が可能であり、フィニッシャによる釘打ちは不要である。孔を埋め、壁体の表側から取り付け金具を壁体及び下地材にねじ込んで固定し、この取り付け金具に壁掛けテレビを取り付ける。
【選択図】図4

Description

本発明は、壁体に種々の物品を安全に取り付けるため、該壁体を補強するべく壁体の裏面側に設けられる下地材に関する。本発明は、壁体に設置する物品であれば、どのような種類の物品であっても安全確実に取り付けることができるが、例えば、壁掛け型の薄型テレビ、エアコン、吊戸棚等のようにそれ自体に相当の重量がある物品や、壁体に取り付ける手摺りや地震対策で壁体に固定する家具等のように、使用時や地震発生時に特に大きな荷重が加わるような物品等については、特に本発明は有効である。
例えば、壁掛け型の薄型テレビを室内の壁に取り付ける場合、壁に取り付け金具を固定し、この取り付け金具に薄型テレビを係止して取り付ける手法が一般的である。ここで、一般的な家屋における室内の壁は石膏ボード等で構成されている場合が多いが、石膏ボードの強度は重量物を取り付けるには必ずしも十分ではないため、石膏ボードからなる壁のみを対象として前記取り付け金具をボルト等で固定しても十分な取り付け強度が得られない場合があった。従って、相当の重量がある薄型テレビのような物品を、このような強度不足の固定状態にある取り付け金具に取り付けても、安全な取り付けができるものではなく、薄型テレビの重量に負けて取り付け金具が壁から外れてしまい、薄型テレビごと落下してしまう恐れがある。
そこで、石膏ボードのように強度が十分とはいえない壁体に対して重量物を取り付けようとする場合には、壁の裏面側にある下地材を利用して取り付け金具を固定することができる。すなわち、室内の壁に石膏ボードが用いられている一般的な家屋の構造においては、石膏ボードからなる室内壁と、隣室の壁又は外壁との間の空間に、間柱と呼ばれる構造部材が所定間隔で設けられており、室内壁はこの間柱に取り付けられている場合が多い。従って、取り付け金具を挿通した取り付けボルトを、壁体を貫通して間柱にねじ込めば、取り付け金具を十分な強度で壁体に固定することが可能となる。
しかしながら、薄型テレビにしても、エアコンその他の家電にしても、下地材となる間柱が裏側に存在する位置でしか壁に取り付けられないというのでは好ましくない。これらの家電製品はもちろん、その他のいかなる物品であっても、使用する一定の目的があって壁に設置するのであるから、下地材の有無とは関係なく、その目的に合致した所望の位置で壁に安全に固定したいというのがユーザーの一般的な要望である。
そこで、壁体の裏側にある間柱を、物品を固定する対象である下地材として利用できない場合には、物品を取り付けようとする位置の壁体を切り取って除去し、そこに現れた間柱と間柱の間に構造用合板を取り付けて固定し、この構造用合板を下地材として物品又は物品の取り付け金具を固定する工事が行なわれることがあった。ところが、このような工法は大掛かりで工費も嵩み、また、そもそも間柱がない又は少ない構造の場合には利用することができないという問題があった。
特許文献1には、下地材としての強度が弱く、固着具を嵌入しても十分な固定状態が得られない石膏ボードの欠点を解消するために、石膏ボードの裏面に有機質繊維により形成された繊維板からなる補強層を積層して一体化する発明が開示されている。ところが、このような補強タイプの石膏ボードは価格が高いだけでなく、新築時等、壁を新たに構築する場合にのみ利用するのが一般的であり、既設の石膏ボードの壁体に対して物品を取り付ける場合にこの補強タイプの石膏ボードを利用するとすれば、壁体自体をこの補強タイプの石膏ボードに置き換える工事を行なう必要があることから、材料費が嵩むことはもちろん、構造用合板に置き換える工事の場合と同様、高額な工費も必要となり、実際には実現が難しかった。
そこで、本願出願人は、このような従来の問題点を解決するために、下記特許文献2に示すように、強度の低い石膏ボードにも重量物を取り付けることができるようにするための下地材を発明し、提案した。
本願出願人が提案した下地材は、壁体の表面にテレビ等を安定的に固定するために壁体の裏面に設けられる補強材である。特許文献2の図1に示すように、この下地材は、長矩形状の第1板1と、第1板1に貼り合わされ、外面側に溝3が形成された同形の第2板2と、第2板2の溝側の面に貼り合わせたスポンジ4と、第2板2の溝が露出している部分に取り付けられた1本の紐5を有している。この下地材は、全体として溝側を凹とする方向及び溝側を凸とする方向の両方に曲がる可撓性を有している。施行時には、壁体に形成した孔から、溝を手前側にした向きで下地材を手前側に曲げながら壁体の裏面側に挿入し、内部に落下しないように外側から紐で保持しておき、フィニッシャで釘を壁体の外側から下地材に打ち込む。次に、壁体を貫通して下地材に突き刺した釘を壁体の外側から手前に引くことにより、壁体内の下地材を壁側に接する状態に保持しつつ、仮止めねじを壁体からねじ込んで下地材を壁体の裏面に仮固定する。仮止めねじで仮固定する際、フィニッシャで打ち込んだ釘で下地材を保持するのは、下地材が溝の側が凸となる向きに撓んで仮止めねじから逃げるのを防止するためである。このようにして、仮止めねじを壁体を通して下地材にねじ込み、壁体の裏面に下地材を仮固定する。その後、フィニッシャでで打ち込んだ釘を抜き取り、壁体の表面側から、テレビの固定金具に挿通した固定ボルトを壁体及び下地材にねじ込み、テレビの固定金具を壁体の表面に固定する。この固定金具にテレビを引っ掛ければテレビの取付は完了である。
特開2005−281979号公報 特許第4430729号公報
本願出願人が提案した特許文献2に記載の下地材によれば、一般的な薄型テレビ等の固定には十分な強度が得られるが、本願出願人は、この下地材の改良研究を進める中で、さらに次のような課題の存在を見出すに至った。
まず第1の課題は、下地材による壁体の補強機能のさらなる強化が求められている点である。例えば、壁掛け式の薄型テレビの設置工事においては、より大型でより重量の大きい薄型テレビをより安全に壁に取り付けるために、外径及び長さがより大きいボルトで確実に固定できる技術が求められるようになっている。これは、薄型テレビを壁に取り付けるための取付金具が、従来は少なくとも2個以上であったものが、より簡単な構造でそれ自体の重量も軽く、数も1個で済むようなシンプルな取付金具を用いることが一つのトレンドになってきていることが第1の要因になっている。また、第2の要因としては、薄型テレビの種類が豊富になり、これに伴って薄型テレビを壁に取り付けるための取付金具の種類が多種多様になり、多様な種類の取付金具について間違いなく壁に確実に固定するために、下地材による壁体の補強機能に一層の確実性が求められるようになっている点が挙げられる。また、第3の要因として、前述したシンプルな取付金具への要望というトレンドとは別に、取付金具の高機能化という別のトレンドが挙げられる。すなわち、従来は、薄型テレビを壁に取り付ける取付金具はテレビを壁に固定するだけのものであったが、近年では機能が進歩し、例えばテレビを壁に取り付けた位置から手前側にワンタッチで引き出したり、複数方向の中から所望の方向に傾けて角度の調整ができるような取付金具も提案されている。このような取付金具では、テレビの移動や角度調整に伴って取付金具に大きな力が加わり、また高機能化のために取付金具自体の重量も増大しているため、単に壁に取り付けられるだけの強度では不十分である。
このような課題を解決するため、本願出願人は、本願出願人が提案した前記下地材において従来よりも太く長いボルトを使用した場合に壁体の補強機能が向上する条件を検討したが、第1板の溝が形成された面に大径のボルトをねじ込んでいくと、第2板の溝と溝がつながって板材に対するボルトの固定力が効かなくなる場合があるため、この課題からは、第1板又は第2板の厚さをより大きくして下地材の全体としての強度を増すことが必要であるとの考えに至った。
他方、第2の課題は、本願出願人が提案した前記下地材によれば、フィニッシャを用いるために工程が煩雑になり、その分だけコストが高くなるという問題である。前述した通り、本願出願人が提案した前記下地材によれば、仮固定の前に下地材を紐で手前の壁側に引き付けながらフィニッシャを用いて釘を打ち込み、仮固定時にはこの釘を引きながら下地材の一時的な固定手段として使用し、仮固定後にはその釘を撤去する必要があった。これは、特許文献2に記載の下地材は、壁に形成した小さな穴から下地材を挿入する都合上、曲がりやすくするために第2板に比較的溝幅の大きい鋸歯状の溝を形成しており、そのため十分に曲がることができて孔から挿入しやすくなったものの、仮固定時に仮止めねじを壁から下地材にねじ込む際には、下地材が溝の側が凸となる向きに撓んで仮止めねじから逃げてしまうので、このような曲がりを防止する必要があるためである。
このような課題を解決するため、本願出願人は、フィニッシャで打ち込んだ釘を仮固定時における下地材の一時的な固定手段として使用する手法をとらないでも済むための条件を検討したが、そのためには、下地材を壁の孔から内部に挿入する際には手前側が凹となるように柔軟に曲がるだけの可撓性を発揮するが、仮固定時に壁の外側から仮止めねじをねじ込む際には壁内で下地材が手前側が凸となるような向きに曲がって仮止めねじから逃げることがないような剛性を発揮する必要があるとの考えに至った。
ところが、第1の課題である壁体の補強機能の向上のため、板材の厚さをより大きくして全体としての強度を増すと、手前側が凸となるような形態には曲がりにくくなるとしても、溝が形成された手前側にも曲がりにくくなるため、そもそも壁に形成した孔から内部に挿入することができなくなってしまう。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、一般的な石膏ボードのように十分な取り付け強度の得られない壁体の所望の位置に安全確実に重量物を取り付けられるようにするための下地材を提供することを基本的な目的としており、さらにこの目的を達成した本願出願人の提案になる下地材の発明を改良することを目的としている。すなわち、従来よりも太くて長いボルトによる壁の補強効果を十分に発揮しうる十分な厚さを備えていながら、手前側が凹になるように柔軟に曲がることができるために壁に形成した小さい孔から容易に挿入することができるとともに、壁の内部では、外側からの仮止めねじのねじ込みを受けても奥に逃げたり手前側が凸となるような変形をせずに板体としての平坦な形状を保持できるため、特段に仮止め時の保持手段がなくとも簡単な操作で仮止めねじによる壁への固定が可能であるような高機能の下地材を提供することを目的としている。
請求項1に記載された下地材は、
壁体の表面に被取り付け体を安定的に固定するために、前記壁体の裏面に設けられる下地材であって、
その全長よりも小さく前記壁体に形成された孔から前記壁体の裏面側に挿入しうる可撓性を備えるとともに、前記壁体を貫通する仮固定手段によって前記壁体の裏面に仮固定され、前記壁体の表面に設けた前記被取り付け体を挿通して前記壁体を貫通する固定手段によって前記壁体の裏面に固定され、前記被取り付け体とともに前記壁体を挟持して前記被取り付け体の荷重を支える下地材において、
長手方向についての縦寸法と前記長手方向と交差する幅方向についての横寸法が所定の値に定められた長矩形状の板体であって、前記幅方向に平行であるとともに前記長手方向について所定の長さを有する複数の溝部及び歯部が前記長手方向について交互に形成されてなる鋸歯状部を一方の面に備えており、少なくとも前記他方の面が凸となるように変形可能な可撓性を備えた基板と、
前記基板の前記他方の面に固定される互いに独立した複数個のブロックから構成される補強層であって、前記各ブロックは、前記幅方向についての長さが前記横寸法と実質的に同一であるとともに前記長手方向についての長さが前記横寸法よりも小さい所定の寸法に設定されるとともに、前記基板の前記他方の面に固定される裏面と、前記裏面に平行な表面と、前記裏面と前記表面に連続するとともに前記長手方向と直交する互いに平行な一対の側面とを有する形状であり、隣り合う前記各側面の全面が互いに接するような実質的に隙間のない配置で前記各ブロックを前記基板の前記他方の面にそれぞれ独立して固定することにより、基板の鋸歯状部が凹となるように前記下地材を曲げる際には、前記各ブロックの対面している側面同士が離れる方向に移動することにより前記基板の前記他方の面が凸となる方向に変形できるが、基板の鋸歯状部が凸となるように前記下地材を曲げようとしても、前記各ブロックの対面している側面の全面同士が互いに突き当たって外力に抗して前記基板の変形を阻止することにより基板の鋸歯状部が凸となる状態に曲がることができず前記基板が前記壁体の裏面に沿った平板状を維持できるような一方向のみの可撓性を有するよう構成された可撓性補強層と、
前記基板に取り付けられ、前記壁体の前記孔から前記壁体の裏面側に挿入された前記下地材を前記壁体の裏面の所定位置に保持するための長体と、
を有し、
前記基板の前記一方の面に、鋸歯状部の各溝部を互いに連通させる接着剤の導入溝を前記長手方向に沿って一端面から他端面まで連続的に形成し、注入した接着剤が下方に流れ落ちないように基板の他端面に開口している前記導入溝を開口しないように閉じた状態に形成したことを特徴としている。
請求項に記載された下地材は、請求項記載の下地材において、
前記基板の前記一方の面に前記導入溝の一部を覆うように設けられ、前記下地材を前記壁体に固定するために前記壁体を貫通させた前記仮固定手段の先端部が絡んで前記仮固定手段を前記基板に導入するとともに、前記仮固定手段で前記下地材を前記壁体に固定する際には前記導入溝に供給されて基板の全体に行き渡って浸透した接着剤の滲出によって前記壁体の裏面に接着される導入手段をさらに有することを特徴としている。
請求項1に記載された下地材は、従来よりも厚さが大きい十分な強度を有する板体であるとともに、基板の一方の面に鋸歯状部を形成し、基板の他方の面に複数の独立したブロックを隙間なく並べて可撓性補強層とした構成を有している。このため、この下地材は、基板の一方の面についてのみ凹となるように曲がる柔軟な可撓性は有しているが、基板の他方の面が凹となるような曲がり方はできない。従って、この下地材は、壁体に形成した下地材よりも小さい孔から、手前側とした基板の一方の面が凹となるように曲げて壁体の奥に容易に入れ込むことができるとともに、壁体を貫通する仮固定手段で壁体の裏面に仮固定する際には、壁体を貫通した仮固定手段に押されても、可撓性補強層の各ブロックが互いに突き当たって基板の変形を防止するため、手前側の一方の面が凸となるように変形して後方へ逃げることはなく、壁体の裏面に沿った平板状を維持することができる。このため、下地材から孔を経て外に出ている紐を外側に引っ張る他は、特に下地材を保持する手段を講じなくとも、仮固定手段を壁体に貫通させて下地材に突き刺し、下地材を壁体に固定する作業を一人で支障なく容易に行なうことができる。その後、仮固定された下地材に対応する壁体の表面の所定位置に被取り付け体を位置決めし、この被取り付け体を挿通した固定手段で壁体を貫通して裏側の下地材を固定する。この作業は、下地材が壁体の裏面に仮固定されているので一人で支障なく行なうことができる。これによって、従来よりも厚い下地材と被取り付け体が壁体を挟んだ状態で互いに固定されるので、被取り付け体により壁体に加わる荷重が従来より大きくても、従来より厚く強度のより高い下地材及びこれに補強された壁体によって従来よりさらに安定的に支持することができる。
さらに、この下地材によれば、可撓性補強層を構成するブロックが、長手方向に平行かつ互いに平行な裏面及び表面と、長手方向に直交する互いに平行な一対の側面を有する直方体状であり、隣接する各ブロックの各側面が互いに接するように基板の他方の面に互いに独立して固定されている。ここで、可撓性補強層が奥、鋸歯状部が手前になる姿勢で下地材を手前に曲げながら壁体の孔から内部に入れ込む場合を考える。可撓性補強層の各ブロックは対面している側面同士が離れる方向に移動して基板の変形を阻害しないため、手前側の基板の鋸歯状部は凹(可撓性補強層が設けられた他方の面が凸)となるように曲がることができ、下地材は全体として手前側の基板の鋸歯状部が凹で、可撓性補強層が設けられた他方の面が凸となった状態に曲がり、壁体の孔内に容易に入れ込むことができる。ところが、下地材を壁体の内部に挿入した後、壁体を貫通する仮固定手段で壁体の裏面に仮固定する際には、壁体を貫通した仮固定手段が可撓性補強層を押しても、各ブロックが互いに突き当たって基板の変形を防止する。このため、下地材は、壁体を貫通した仮固定手段に押されて基板の鋸歯状部の面が凸、すなわち可撓性補強層が凹となるように変形して後方へ逃げることはなく、壁体の裏面に沿った平板状を維持できる。このため、下地材に接続されて孔から外に出ている紐を外側に引っ張る他は、特に下地材を保持する手段を講じなくとも、壁体を貫通した仮固定手段で下地材を壁体に固定する作業を確実に行なうことができる。
さらに、この下地材によれば、一方の面に長手方向に沿って形成した接着剤の導入溝は、鋸歯状部の各溝部を互いに連通させており、この下地材を壁体の孔の内部に挿入して行なう仮固定の際には、壁体内で上下方向に平行な配置となる。このため、壁体に形成した孔から導入溝内に接着剤を供給すれば、接着剤は導入溝に沿って下方に流れて孔よりも下方にある基板の全体に行き渡る。従って、下地材は、仮固定手段だけでなく、この接着剤の接着力によっても壁体の裏面に固定されるので、仮固定する際の固定状態がより確実になり、最終的に壁体を補強する機能も向上し、被取り付け体の取り付け状態もより安定する。
さらに、この下地材によれば、導入溝は、製造上の便宜のため、基板の一方の面において長手方向に沿って一端面から他端面まで連続的に形成されているが、他端面は開口しないように閉じた状態に形成したので、注入した接着剤が下方に流れ落ちず、接着剤を導入溝内に留めて有効に使用し、接着を確実に行なうことができる。
請求項に記載された下地材によれば、基板の一方の面に形成した接着剤の導入溝の一部を導入手段で覆ったので、導入溝に供給された接着剤は導入手段に浸透し、下地材を壁体に仮固定する際には仮固定手段の固定力によって導入手段が基板との間で圧縮されて導入手段から接着剤が壁体側の表面に滲出するため、滲出して広い範囲に広がった接着剤によって導入手段が壁体の裏面に所定の面積をもって接着される。このため、仮固定の状態はさらに一層確実になり、最終的に壁体を補強する機能もさらに一層向上し、被取り付け体の取り付け状態もさらに一層安定化する。また、仮固定手段は、壁体を貫通した後、下地材の導入手段に当って絡み、下地材を捉えるので、その下層にある基板及び可撓性補強層に仮固定されやすくなる。
(a)は本発明の実施形態に係る下地材を基板の一方も面側から見た斜視図、(b)は本発明の実施形態に係る下地材を基板の他方の面側から見た斜視図であり、(c)は本発明の実施形態に係る下地材を仮固定時に必要な方向に曲げた状態を示す正面図(厚さ方向を正面とした図)であり、鋸歯状部及び可撓性補強層が変形した状態を表した部分拡大図をあわせ図示したものである。 本発明の実施形態に係る下地材を用いた壁体の補強方法において、壁内部に下地材を入れ込む工程を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る下地材を用いた壁体の補強方法において、壁内部に入れ込んだ下地材を壁裏面に保持する工程を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る下地材を用いた壁体の補強方法において、壁内部に入れ込んだ下地材を仮固定する工程を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る下地材を用いた壁体の補強方法において、壁内部に入れ込んだ下地材を仮固定する工程を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る下地材を用いた壁体の補強方法において、壁内部に入れ込んだ下地材を仮固定する工程を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る下地材を用いた壁体の補強方法において、壁内部に入れ込んだ下地材を仮固定した後、紐を除去する工程を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る下地材を用いた壁体の補強方法において、壁内部に入れ込んだ下地材を仮固定した後、壁体の孔を復旧する工程を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る下地材を用いた壁体の補強方法が完了した状態を示す正面図である。 本発明の実施形態に係る壁体の補強方法が完了した後に、壁体にテレビ掛用金具を取り付けた状態を示す斜視図である。 図10で取り付けたテレビ掛用金具にテレビを取り付けた状態を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る壁体の補強方法が完了した後に、壁体にエアコン掛用金具を取り付け、さらにエアコンを取り付けた状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る壁体の補強方法が完了した後に、壁体に吊り戸棚を取り付けた状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る壁体の補強方法が完了した後に、壁体に絵画を取り付けた状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る壁体の補強方法が完了した後に、壁体に家具転倒防止金具を取り付け、これに家具を取り付けた状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る壁体の補強方法が完了した後に、壁体に手摺りを取り付けた状態を示す斜視図である。
本実施形態は、壁体に物品を安全に取り付けるため、該壁体を補強するべく壁体の裏面側に固定される下地材と、該下地材を用いて壁体を補強し、壁掛けテレビを壁体に安全に取り付ける工法に関するものである。
1.下地材の構造
図1(a)、(b)に示すように、本実施形態の下地材10は可撓性を備えた基板1を基材として備えている。基板1は全体として長矩形状の板体であり、本実施形態では、長手方向の寸法を縦寸法と称し、長手方向と交差する幅方向についての寸法を横寸法と称するものとする。この基板1の一方の面(図1(a)において下側の面)には、下地材10に可撓性を与えるための構造として、幅方向に平行な複数の歯部2a及び溝部2bが長手方向について所定間隔で交互に形成されており、これら歯部2a及び溝部2bからなる領域乃至構造を鋸歯状部2と称する。図1(a)〜(c)に示すように、鋸歯状部2の溝部2bは、基板1を厚さ方向に貫通しておらず、基板1を長手方向に平行な断面で見ると、溝部2b及び歯部2aは矩形波の形状を呈している。すなわち、互いに隣接する歯部2aと歯部2aは、その間には溝部2bがあり、直接には接していない。
従って、この鋸歯状部2を有する基板1のみについて見れば、図1(c)から分かるように鋸歯状部2がある一方の面が凹となる方向について可撓性があり、また図示はしないが鋸歯状部2がある一方の面が凸となる方向についても可撓性があり、何れの方向についても柔軟に大きく曲がりうる構造となっている。
図1(b)に示すように、基板1の鋸歯状部2には、長手方向に沿って接着剤の導入溝3が形成されている。この導入溝3は、後出の「壁体の補強方法」で説明するように、下地材10を壁体の裏面に固定する際に使用する接着剤を流し込むための案内路となる。
図1(a)〜(c)に示すように、前記基板1の他方の面(鋸歯状部2が形成された一方の面と反対側の面)には、互いに独立した複数個のブロック4からなる可撓性補強層5が設けられている。各ブロック4は、前記幅方向についての長さが前記横寸法と実質的に同一であるとともに、前記長手方向についての長さは前記横寸法の1/3〜1/4程度の長さとなっており、前記幅方向に細長い直方体形状となっている。但し、長手方向の両端部の2個のブロック4a,4aは、前記長手方向についての長さが他のブロック4よりもやや大きく設定されている。そして、各ブロック4は、前記長手方向について互いに接するような配置で基板1の他方の面にそれぞれ独立して固定されている。すなわち、可撓性補強層5は、複数の独立したブロック4から構成されているが、前記基板1と実質的に同形の板体を前記幅方向に平行な切断面で前記長手方向について所定間隔で切断し、そのままの配置で基板1の他方の面に固定したのと同様の構造を備えている。この構造をさらに換言すれば、可撓性補強層5を構成する各ブロック4は、基板1の他方の面に固定される裏面と、裏面に平行な表面と、裏面と表面に連続するとともに前記長手方向と直交する互いに平行な一対の長尺の側面S,Sと、裏面と表面に連続するとともに前記幅方向と直交する互いに平行な一対の短尺の側面とを有しており、前記一対の長尺の側面S,Sが互いに接するような配置で各ブロック4を基板1の他方の面にそれぞれ独立して固定したものと言える。
従って、基板1は、鋸歯状部2が設けられているために単体では2方向の何れにも大きく曲がりうる構造であるにもかかわらず、基板1の他方の面に設けられている可撓性補強層5の各ブロック4が実質的に隙間なく又は微小な隙間をもって長尺の各側面Sが接するように配置されているため、対面している各ブロック4の長尺の各側面Sが互いに離れるように各ブロック4が移動するような向き、すなわち鋸歯状部2の側が凹となるような向きにしか曲がることができない。すなわち図1(c)に示すように、基板1の鋸歯状部2が凹(可撓性補強層5が設けられた他方の面が凸)となるように下地材10を曲げる際には、可撓性補強層5の各ブロック4は対面している長尺の側面S,S同士が離れる方向に移動するため、基板1の変形を阻害することがなく、図示のように下地材10は基板1の鋸歯状部2が凹(可撓性補強層5が設けられた他方の面が凸)となった状態に曲がることができる。しかし、図1(c)に示した向きと逆方向に下地材10を曲げようとしても、隣接する各ブロック4の対面している長尺の側面S,S同士が互いに突き当たって基板1の変形を阻止する。このため、下地材10は基板1の鋸歯状部2が凸(可撓性補強層5が設けられた他方の面が凹)となった状態に曲がることができず、同方向に曲がる力を受けても平板状を維持することになる。
なお、この可撓性補強層5の各ブロック4の厚さ乃至材質は、各ブロック4を上述したような配置で基板1に貼り合わせて構成した下地材10を従来よりも太くて長いボルトにで壁体に取り付けた場合に、従来よりも大きな補強効果を発揮できるように設定されている。
図1(a)〜(c)に示すように、この基板1の鋸歯状部2が形成されている一方の面には、鋸歯状部2の少なくとも一部を覆うようにスポンジ層6が貼着されている。このスポンジ層6は、後述するように仮固定部材としての仮止めねじや固定手段としての固定ボルトをねじ込む際に、これらねじやボルトの先端部に絡んでねじやボルトを基板1にねじ込みやすく案内するための導入手段として機能する。
図1(b)、(c)に示すように、基板1の一端部に近い一部分にはスポンジ層6のない領域があり、鋸歯状部2が露出している。このスポンジ層6がないために露出した基板1の一方の面には、長体である2本の紐7の各一端が取り付けられており、後に説明する工程において、壁体の孔から外側に突出させた2本の紐7の各他端側を作業者が保持することにより、壁体内に入れ込んだ下地材10を壁体の裏面の所定位置に安定して保持できるようになっている。
以上の構成によれば、図1(c)に示すように、基板1の鋸歯状部2及びスポンジ層6が凹状に変形するように下地材10に外力を加えると、可撓性補強層5は互いに接しているブロック4,4の長尺の側面S,S同士が離れる方向に変形するので、下地材10は全体として外力に耐えつつ長手方向に沿って曲がることができる。逆に、図1(c)とは逆方向に下地材10を曲げようとした場合、すなわち基板1の鋸歯状部2及びスポンジ層6が凸状に変形するように下地材10に外力を加えると、可撓性補強層5は互いに接しているブロック4,4の長尺の側面S,S同士が互いに押し付けられる方向に変形しようとするが、同側面S,S同士が突き当たってブロック4の移動を阻止して前記外力に抗するため、下地材10は全体として外力に耐えながら平板状を維持し、長手方向の変形は阻止される。なお、本例では下地材10の基板1及び可撓性補強層5は木材で構成可能であるが、適当な可撓性乃至ねじ・ボルト等によって固定可能な材質を有するものであれば、材質を特に限定する必要はない。
2.壁体の補強方法
次に、図2〜図11を参照して、本例に係る下地材10を用いて壁掛けテレビを壁体に設置する工程について具体的に説明する。図2等に示すように、本例における壁体8は、例えば隣室の壁体9との間に、図示しない間柱及び空間を挟んで設置されたものであり、例えば石膏ボード等から構成されている。なお、図2以降の各図では、下地材10の基板1に形成された鋸歯状部2や可撓性補強層5については構造の詳細は示さず、概略的な表現に留めるものとする。
図2に示すように、壁体8に貼られている壁紙11を後に復旧できるような状態で剥がし、上方に捲り上げておき、壁体8の露出した部分に孔12を形成する。この孔12を形成する位置は、テレビの取り付け体となる取り付け金具又はテレビを取り付けたいとユーザーが望んでおり、かつ下地材となりうる間柱がないために通常の手法では取り付けができないような位置である。後述する工程からわかるように、下地材10が設けられる範囲内では相対的に上方の位置となる。
図2及び図9に示すように、この孔12は、下地材10を曲げて壁体8の裏面側に挿入しうる形状・寸法とされている。具体的には、この孔12は矩形であり、その横の長さは、下地材10の横寸法を受け入れられるものであり、その縦の長さは、下地材10の縦寸法よりもはるかに小さくなっている。さらに具体的には、図9に一例を示すように、下地材10は縦横比が例えば概ね6:1〜3:1程度の矩形であり、孔12の横の長さは下地材10の横寸法と同等であり、孔12の縦の長さは下地材10の横寸法の概ね半分程度である。このような孔12の縦の長さは、前述した下地材10が長手方向に安全に曲がる程度を考慮し、下地材10を曲げて孔12から壁体8の奥に入れ込める条件でなるべく小さくなるように設定したものである。
図2に示すように、紐7を持って引きながら、紐7が取り付けられている側の端部を上にし、スポンジ層6が壁体8の裏面に対面する姿勢で、下地材10を手前に曲げながら孔12に挿入する。ここで、可撓性補強層5の互いに接している隣接したブロック4,4は互いに離れる方向に変位するので、基板1の鋸歯状部2及びスポンジ層6は容易に凹状に変形することができる。このように、下地材10は最終的にボルトによって壁体8に取り付けた際に高い強度を発揮する十分な厚さを全体として備えているにもかかわらず、破損することもなく外力に耐えながら長手方向に沿って手前側に向けて柔軟に曲がりながら、壁体8の奥に送り込まれる。下地材10の全長に比べて壁体8の孔12は小さいが、下地材10は、この向きについては十分に変形できるので支障なく壁体8の奥に送り込むことができる。
図3に示すように、下地材10の全体を壁体8の孔12から壁体8の裏面側に挿入する。この時点で下地材10を湾曲させるために加えられている外力はなくなり、下地材10は湾曲変形が弾性的に回復して元の平板状に復帰する。さらに、下地材10の上端部に固定されている紐7は壁体8の孔12から外に出ているので、作業者が外から紐7を引っ張っている限り、下地材10は壁体8の裏面の所定位置(取り付けようとする位置)にスポンジ層6で接した状態に保持される。また、この紐7は2本あり、それぞれ鋸歯状部2の幅方向に並んだ2位置にそれぞれ固定されているため、壁体8の外側から作業者が紐7を保持することによって行なう下地材10の保持は安定しており、左右にぶれることがないので、後述する仮固定の作業に都合がよい。
図4に示すように、2本の紐7を引っ張って下地材10を壁体8の裏面に安定的に保持した状態を維持しつつ、壁体8の表面から、仮固定部材である1本目の仮止めねじ14をドライバ15でねじ込み、下地材10を壁体8の裏面に仮固定する。この仮固定の工程では、壁体8を貫通してねじ込まれる仮止めねじ14が、紐7で手前側に引かれて固定されている下地材10を押すことになるが、下地材10が仮止めねじ14に押されて奥側に向けて撓むことはない。仮止めねじ14は、スポンジ層6側が凸になるように変形する力を下地材10に加えるが、可撓性補強層5の各ブロック4は長尺の各側面Sを互いに突き当てて基板1の変形を防止するので、下地材10は仮止めねじ14に押されても手前のスポンジ層6側が凸となるように変形して後方へ逃げることはなく、壁体8の裏面に沿った平板状を維持する。このため、下地材10から孔12を経て外に出ている紐7を外側に引っ張る他は、特に下地材10を保持する手段を講じなくとも、壁体8を貫通した1本目の仮止めねじ14は容易に下地材10に突き刺さって下地材10を壁体8の裏面に固定することができる。
下地材10を孔12から壁体8の内部に入れ込む便宜を考慮し、下地材10を手前側が凹となる変形が可能であるように構成するため、単に鋸歯状部2を有する基板1のみで下地材を構成し、又は鋸歯状部2を有する基板1を他の可撓性を有する板材に貼り付けて下地材を構成しただけでは、本願出願人が提案した先行技術の下地材(前記特許文献2の「下地材」)と同様、手前側が凸となるような変形も十分に可能となってしまう。このような下地材では、上記仮固定において仮止めねじ14を打ち込むと、紐7で手前に引っ張っている程度の支えでは、下地材が仮止めねじ14に押されて手前側が凸となるように変形し、奥側に逃げてしまう。このような不都合を避けるためには、フィニッシャ等を使用して当て部材及び壁体8を貫通するように下地材に釘を打ち込み、当て部材を手に持って釘を引くことで壁体8の中にある下地材をしっかりと保持する必要があった(特許文献2参照)。しかし、本実施形態では、下地材10は手前側が凹となる十分な可撓性はあるが、手前側が凸となるようには変形しないので、紐7で手前側に引く程度の保持でも変形することなく十分に仮止めねじ14のねじ込み力を受けることができ、確実な仮止めを行なうことができる。従って、下地材10を保持するために一時的に使用する釘を壁体8から打ち込むフィニッシャ等は不要であり、紐7だけでなく釘を持って下地材を保持する煩雑な作業も必要ない。
また、仮止めねじ14は、壁体8を貫通した後、下地材10のスポンジ層6に当たり、柔らかいスポンジ層6に絡んで下地材10を捉えるので、下地材10が仮止めねじ14に押されても変形せずに平板状を維持する作用と相俟って、下層にある基板ん1及び可撓性補強層5にねじ込みやすくなる。
なお、本実施形態では、上述したように紐7を引っ張って下地材10を支える必要があるのは1本目の仮止めねじ14を打ち込む工程までである。下地材10の上端部を1本の仮止めねじ14で固定すれば、下地材10は平板状のままスポンジ層6の全面で壁体8の裏面に密着した状態に固定されるが、前述したように下地材10はスポンジ層6の側に加わる外力に対抗する強い剛性を有するので、仮止めねじ14で押されても壁体8の裏面から浮き上がる方向に曲がることがない。従って、特に支えがなくとも2本目以降の仮止めねじ14を支障なく打ち込むことができる。
図4〜図6に示すように、仮止めねじ14の打ち込みについては好ましい位置と順序がある。図4に示すように、まず孔12の上縁に最も近くにある下地材10の上端部に1番目の仮止めねじ14(1)を打ち込む。この位置は、下地材10が紐7で引っ張っられている位置に最も近く、打ち込まれる仮止めねじ14の力を最も受け止めやすく施工がしやすいからである。
図5に示すように、1番目の仮止めねじ14(1)の次に、その上方に2番目の仮止めねじ14(2)を打ち込む。このように、孔12の上側にある下地材10の上端部から仮止めねじ14を打ち込み、上端部が壁体8に仮固定されれば、これよりも下方の部分が壁体8の裏面に接した状態となり、後の仮固定の作業が行ないやすくなる。なお、上述した通り、2本目以降の仮止めねじ14を打ち込む際には、紐7を引っ張る必要はない。
図5に示すように、孔12の上側にある下地材10の上端部を2本の仮止めねじ14(1),14(2)で壁体8に仮固定した後、壁体8の孔12から露出している下地材10の導入溝3に接着剤16を注入する。導入溝3は壁体8に沿って縦方向に配置されているので、接着剤16は導入溝3に沿って下地材10の下端まで流れ、孔12よりも下方にある基板1の全体に行き渡り、スポンジ層6に浸透する。従って、下地材10は、後述するように仮固定ねじ14だけでなく接着剤16の接着力によっても壁体8の裏面に仮固定されることになり、最終的にテレビを取り付けた際の強度も向上する。
なお、導入溝3は、本実施形態では製造上の便宜のため、基板1の一方の面において長手方向に沿って一端面から他端面まで連続的に形成され、図1(a)、(b)に示すように、取付け時に下側となる他端面に開口している。しかし、上述したように下地材10は壁体8に対して縦に取り付けられ、導入溝3に注入した接着剤16は注入位置よりも下方に流れるため、導入溝3は少なくとも孔12から露出しているスポンジ層6のない部分よりも下方に設けられていればよい。また、本実施形態では、導入溝3は基板1の他端面に開口しているが、開口しないように閉じた状態に形成すれば、注入した接着剤16が下方に流れ落ちないため、接着剤16を導入溝3内に留めて有効に使用し、接着を確実に行なうことができる。
図6に示すように、孔12の下側にある下地材10の略中央部及び下端部を、この順でそれぞれ3本目及び4本目の仮止めねじ14(3),14(4)によって壁体8に仮固定する。この3本目及び4本目の仮止めねじ14(3),14(4)の打ち込みによってスポンジ層6が圧縮されるので、導入溝3に供給されてスポンジ層6に浸透した接着剤16はスポンジ層6から壁体8の裏面に滲出する。従って、滲出してスポンジ層6の広い範囲に広がった接着剤16によってスポンジ層6は壁体8の裏面に接着される。このため、仮固定の状態はさらに一層確実になり、最終的に壁体を補強する機能もさらに一層向上し、被取り付け体の取り付け状態もさらに一層安定化する。
図7に示すように、孔12から飛び出ている紐7をカッター17で切り取る。
図8及び図9に示すように、壁体8の孔12を修復材料乃至充填材としての速乾パテ20で埋める。速乾パテ20で埋められた壁体8の孔12(図8中で斜線を付した部分)は、周囲の壁体8と同一高さになって、修復される。そして、図8に示すように、剥がして上方に捲り上げておいた壁紙11を元に戻して修復した壁体8の表面を覆い、壁体8の表面に貼り付ける。
図10に示すように、下地材10で補強された壁体8の当該位置に、壁掛けテレビ用の取り付け部である取り付け金具25を固定手段としての固定ボルト26で取り付ける。取り付け金具25は、壁体8に対する取り付け部分において、壁体8の表面に所定の面積をもって接するように設けられる。固定ボルト26は、取り付け金具25の取り付け部分のボルト孔を挿通して壁体8にねじ込まれ、壁体8を貫通して裏面側に仮固定された下地材10にさらにねじ込まれる。壁体8は、裏面に接して取り付けられた下地材10と、表面に所定の面積をもって接している取り付け金具25の取り付け部分とに挟まれ、これら3者は固定ボルト26によって強固に固定されて一体化される。これによって壁体8は補強され、取り付け金具25は壁体8に安定して取り付けられる。
図10及び11に示すように、壁体8に強固に固定された取り付け金具25に被取り付け体としての壁掛けテレビ27を取り付ける。なお図10中では、壁掛けテレビ27は破線で示し、図11中では、固定ボルト26は位置のみを一点鎖線で示す。
この取り付け金具25は、壁体8に取り付けられる基部40と、基部40に対して左右方向に揺動自在とされた上下一対のアーム41と、これらアーム41の先端に取り付けられて壁掛けテレビが直接装着される受け部42とを有している。壁掛けテレビ27はアーム41の揺動によって左右の位置を調整することができる。また、受け部42はアーム41の先端に対して所定の角度範囲で回動することができるので、壁掛けテレビ27の姿勢をチルト調整することもできる。このような取り付け金具25によれば、壁掛けテレビ27の重量がアーム41を介して大きなモーメントとして壁体8に作用するので、壁体8に加わる負荷は、壁体8に壁掛けテレビを固定的に取り付ける場合に比べて大きくなるが、本実施形態の下地材10及びこれを用いた壁補強方法は壁体8の補強効果が非常に大きいため、取り付け金具25及び壁掛けテレビ27の取り付けには全く問題が生じず、壁掛けテレビ27の重量は取り付け金具25と固定ボルト26を介して下地材10によって安定して安全に支えられる。
以上説明した実施形態では、下地材10で補強した壁体8に取り付け金具25を取り付け、これに壁掛けテレビ27を取り付けることとしていたが、取り付け部である取り付け金具25と、被取り付け体である壁掛けテレビ27を分けず、壁掛けテレビ27に一体に設けられている取り付け部を壁体8の下地材10に直接ボルトで固定するものと考えたとしても同様の効果が得られる。
また、本実施形態での説明のように、本例の下地材10で壁体8を補強し、補強された壁体8に前記取り付け金具25を取り付け、この取り付け金具25に壁掛けテレビ27を取り付けると考えても良いし、また、壁体8を挟んで固定された前記取り付け金具25と前記下地材10とによって壁掛けテレビ27の固定装置が構成され、この固定装置によって壁掛けテレビ27を壁体8に取り付けるものと考えても良い。
3.被取り付け体のその他の例について
本実施形態によれば、壁体8に設置する物品であれば、壁掛けテレビだけでなく、どのような種類の物品であっても安全確実に取り付けることができるが、例えば、前述した壁掛けテレビ27以外では、図12に示すような取り付け金具30で取り付けるエアコン31等の家電製品や、図13に示す吊戸棚32等のようにそれ自体に相当の重量がある物品や、エアコン31ほどの重量はないが、図14に示すような落下による破損が特に許されない貴重な絵画33の取り付けに本発明は有効である。
また、L字形の金具34で壁体8に固定する図15に示すような家具35等や、壁体8に固定される図16に示す階段37の手摺り36のように、地震発生時や使用時に特に大きな荷重が加わるような物品等についても、本発明は有効である。
本願出願人は、特願2009−31444号にて提案した先行技術の「下地材」の発明(前記「特許文献2」に記載の「特許第4430729号公報」参照)において、同公報記載のように条件を変えて数種類の実験を行い、圧縮試験機が示す試験力の最大点552.877kgfにおいても試験後の供試体には損傷、変形等がみられなかったことを確認しているが、本発明の実施形態に係る下地材10の発明によれば、この先行技術の「下地材10」の発明よりもさらに高い強度が得られる。
1…基板
2…鋸歯状部
3…導入溝
4…ブロック
5…可撓性補強層
6…導入手段としてのスポンジ層
7…長体としての紐
8…壁体
10…下地材
12…壁体に形成した孔
14,14(1),14(2),14(3),14(4)…仮固定部材としての仮止めねじ
25,30…取り付け部としての取り付け金具
26…固定手段としての固定ボルト
27…被取り付け体としての壁掛けテレビ
31…被取り付け体としてのエアコン
32…被取り付け体としての吊戸棚
33…被取り付け体としての絵画
34…取り付け部としての金具
35…被取り付け体としての家具
36…被取り付け体としての手摺り

Claims (2)

  1. 壁体の表面に被取り付け体を安定的に固定するために、前記壁体の裏面に設けられる下地材であって、
    その全長よりも小さく前記壁体に形成された孔から前記壁体の裏面側に挿入しうる可撓性を備えるとともに、前記壁体を貫通する仮固定手段によって前記壁体の裏面に仮固定され、前記壁体の表面に設けた前記被取り付け体を挿通して前記壁体を貫通する固定手段によって前記壁体の裏面に固定され、前記被取り付け体とともに前記壁体を挟持して前記被取り付け体の荷重を支える下地材において、
    長手方向についての縦寸法と前記長手方向と交差する幅方向についての横寸法が所定の値に定められた長矩形状の板体であって、前記幅方向に平行であるとともに前記長手方向について所定の長さを有する複数の溝部及び歯部が前記長手方向について交互に形成されてなる鋸歯状部を一方の面に備えており、少なくとも前記他方の面が凸となるように変形可能な可撓性を備えた基板と、
    前記基板の前記他方の面に固定される互いに独立した複数個のブロックから構成される補強層であって、前記各ブロックは、前記幅方向についての長さが前記横寸法と実質的に同一であるとともに前記長手方向についての長さが前記横寸法よりも小さい所定の寸法に設定されるとともに、前記基板の前記他方の面に固定される裏面と、前記裏面に平行な表面と、前記裏面と前記表面に連続するとともに前記長手方向と直交する互いに平行な一対の側面とを有する形状であり、隣り合う前記各側面の全面が互いに接するような実質的に隙間のない配置で前記各ブロックを前記基板の前記他方の面にそれぞれ独立して固定することにより、基板の鋸歯状部が凹となるように前記下地材を曲げる際には、前記各ブロックの対面している側面同士が離れる方向に移動することにより前記基板の前記他方の面が凸となる方向に変形できるが、基板の鋸歯状部が凸となるように前記下地材を曲げようとしても、前記各ブロックの対面している側面の全面同士が互いに突き当たって外力に抗して前記基板の変形を阻止することにより基板の鋸歯状部が凸となる状態に曲がることができず前記基板が前記壁体の裏面に沿った平板状を維持できるような一方向のみの可撓性を有するよう構成された可撓性補強層と、
    前記基板に取り付けられ、前記壁体の前記孔から前記壁体の裏面側に挿入された前記下地材を前記壁体の裏面の所定位置に保持するための長体と、
    を有し、
    前記基板の前記一方の面に、鋸歯状部の各溝部を互いに連通させる接着剤の導入溝を前記長手方向に沿って一端面から他端面まで連続的に形成し、注入した接着剤が下方に流れ落ちないように基板の他端面に開口している前記導入溝を開口しないように閉じた状態に形成したことを特徴とする下地材。
  2. 前記基板の前記一方の面に前記導入溝の一部を覆うように設けられ、前記下地材を前記壁体に固定するために前記壁体を貫通させた前記仮固定手段の先端部が絡んで前記仮固定手段を前記基板に導入するとともに、前記仮固定手段で前記下地材を前記壁体に固定する際には前記導入溝に供給されて基板の全体に行き渡って浸透した接着剤の滲出によって前記壁体の裏面に接着される導入手段をさらに有することを特徴とする請求項記載の下地材。
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