JP2019190573A - 取付構造、及び取付方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】下地材に対してパネル材を確実に固定することが可能となる取付構造、及び取付方法を提供すること。【解決手段】野縁13に対してパネル材14を取り付ける取付構造2であって、野縁13とパネル材14との間に設けられて、野縁13に対してパネル材14を取り付ける取付手段と、野縁13及びパネル材14に点接合して、野縁13に対してパネル材14を取り付けるビス22と、を備え、取付手段は、面ファスナー21であり、また、ビス22は、野縁13及びパネル材14に加えて面ファスナー21にも点接合し、あるいは、面ファスナーは、野縁13とパネル材14との間の一部に設けられており、ビス22は、面ファスナーが設けられていない位置において、野縁13及びパネル材14に点接合する。【選択図】図2

Description

本発明は、取付構造、及び取付方法に関する。
従来、建物の天井として吊天井が知られていた(例えば、特許文献1)。吊天井は、一般的に、梁等の建物の構造体から垂下する吊りボルトの下端に設けられた野縁受けにて支持されている下地材である野縁に対して、パネル材(例えば、石膏ボード等)をビス等を用いて固定することにより構成されていた。
特開2017−166144号公報
しかしながら、一般的に、吊天井のパネル材と建物の壁部との間には僅かな隙間が形成されているので、地震等の影響でパネル材が壁部に対して左右に揺れて衝突することがあるが、この場合、パネル材と野縁を相互に固定しているビス側にせん断力が付与されて、パネル材におけるビス周辺の部分が損傷することにより、いわゆるビスの頭抜けが引き起こされてしまい、パネル材の野縁に対する固定が不十分になる可能性があった。
本発明は上記事実に鑑み、下地材に対してパネル材を確実に固定することが可能となる取付構造、及び取付方法を提供する事を目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の取付構造は、下地材に対してパネル材を取り付ける取付構造であって、前記下地材と前記パネル材との間に設けられて、前記下地材に対して前記パネル材を取り付ける取付手段と、前記下地材及び前記パネル材に点接合して、前記下地材に対して前記パネル材を取り付ける接合手段と、を備え、前記取付手段は、面ファスナーである。
請求項2に記載の取付構造は、請求項1に記載の取付構造において、前記接合手段は、前記下地材及び前記パネル材に加えて前記面ファスナーにも点接合する。
請求項3に記載の取付構造は、請求項1に記載の取付構造において、前記面ファスナーは、前記下地材と前記パネル材との間の一部に設けられており、前記接合手段は、前記面ファスナーが設けられていない位置において、前記下地材及び前記パネル材に点接合する。
請求項4に記載の取付方法は、面ファスナーの第1面が取り付けられている下地材に対して、前記面ファスナーの第2面であって前記第1面と係合する前記第2面が取り付けられているパネル材を取り付ける取付方法であって、前記第2面を前記第1面に係合させることにより、前記下地材に対して前記パネル材を仮止めする仮止めステップと、前記パネル材及び前記下地材に接合手段を点接合することにより、前記下地材に対して前記パネル材を取り付ける取付ステップと、を含む。
請求項1に記載の取付構造によれば、下地材とパネル材との間に設けられて、下地材に対してパネル材を取り付ける面ファスナーを備えることにより、例えば、接合手段による点接合に加えて面ファスナーによる面接合にて下地材に対してパネル材を取り付けることができるので、下地材に対してパネル材を確実に固定することが可能となる。特に、例えば、地震等の影響で接合手段側にせん断力が付与されることにより、接合手段がゆるんだとしても(例えば、ビスの頭抜け等が引き起こされたとしても)、面ファスナーにてパネル材を下地材に対して固定することができるので、下地材に対してパネル材を確実に固定することが可能となる。また、例えば、下地材とパネル材との間に設けられる取付手段として面ファスナーを用いることにより、面ファスナーのオス面とメス面との間の相互間の係合の柔軟性により、下地材とパネル材との相互間の水平相対変位に対して面ファスナーの係合を追従させて維持することができるので、下地材に対するパネル材の固定を維持することが可能となる。また、例えば、面ファスナーが下地材とパネル材との相互間に設けられているので、視認不可能に隠蔽することができるので、パネル材が設けられている空間(例えば、建物の室内空間等)の意匠性を維持することが可能となる。また、例えば、従来は接合手段(一例としては、ビス等)のみで負担していた水平力と鉛直力を、本願においては、当該接合手段及び面ファスナーそれぞれに割り振ることができるため、接合手段であるビスの頭抜けでパネル材が落下する恐れを緩和することが可能となる。また、例えば、前述の水平力及び鉛直力を、接合手段及び面ファスナーそれぞれに割り振ることができるため、地震時の短期荷重から解放された接合手段を、長期荷重の負担に専念させることがきるので、接合手段の打ち付け本数を減らすことが可能となる。
請求項2に記載の取付構造によれば、接合手段が下地材及びパネル材に加えて面ファスナーにも点接合することにより、例えば、接合手段が面ファスナーの繊維にからみ、当該面ファスナーと接合手段との接合強度が増し、下地材に対してパネル材を確実に固定することが可能となる。また、例えば、面ファスナーでは、ループ面とフック面の絡みによって接合力が発揮されるが、下地材及びパネル材を接合手段で接合することにより、当該接合に起因して下地材及びパネル材で面ファスナーを挟む力が生じ、当該力によりループ面とフック面との絡みを促して強固に接合することが可能となる。また、例えば、面ファスナーのループとフックは、樹脂で形成されている場合があり、この場合、当該樹脂の特徴であるクリープ現象(つまり、荷重を付与し続けた場合に、時間の経過と共に樹脂が変形する現象)が発生する可能性がある。すなわち、当該クリープ現象により、長期荷重(パネル材の自重)で面ファスナーの接合面(つまり、ループ面とフック面)が弛緩や破断する可能性が考えられるが、本願の場合、下地材及びパネル材が、面ファスナーのみではなく、接合手段であるビス等も用いて接合されているので、この接合手段であるビスを所定の間隔で配置することで、前述のクリープ現象の発生を回避して、下地材に対してパネル材を固定し続けることが可能となる。
請求項3に記載の取付構造によれば、面ファスナーが設けられていない位置において接合手段が下地材及びパネル材に点接合することにより、例えば、接合手段を取り付ける場合に、面ファスナーを貫通させる必要がないので、当該接合手段の取り付け作業を容易に行うことが可能となる。
請求項4に記載の取付方法によれば、面ファスナーの第2面を当該面ファスナーの第1面に係合させることにより、下地材に対してパネル材を仮止めする仮止めステップと、パネル材及び下地材に接合手段を点接合することにより、下地材に対してパネル材を取り付ける取付ステップとを含むことにより、例えば、接合手段による点接合に加えて面ファスナーによる面接合にて下地材に対してパネル材を取り付けることができるので、下地材に対してパネル材を確実に固定することが可能となる。また、例えば、仮止めステップと取付ステップとを順次行うことにより下地材に対してパネル材を取り付けることができるので、少人数(例えば、1人等)の作業員が容易且つ確実に下地材に対してパネル材を取り付けることが可能となる。また、例えば、パネル材の自重を支持できる分の面ファスナーを設けることで、面ファスナーを接合手段であるビス等なしで下地材に仮止めすることが可能となる。すなわち、従来、複数の接合手段であるビスを打つまで、手や頭などでパネル材を暫く下地材に押し当て続ける必要があり、身体の動きが制限された状態で下地材にパネル材をビス固定する必要があったが、この「押し当て続ける」動作が不要になる。このため、パネル材張りにおける動作の自由度が向上し、1人でビス固定をやりきることができる。また、例えば、面ファスナーが繰り返し着脱できる特徴をもつため、接合手段であるビスで留める前に、パネル材の位置を修正することが可能となる。
本実施の形態に係る取付構造が適用される天井構造を示す斜視図である。 天井構造の断面図である。 天井構造の一部の分解斜視図である。 天井構造の断面図である。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る取付構造、及び取付方法の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、下地材に対してパネル材を取り付ける取付構造、及び取付方法に関する。
ここで、「取付構造」とは、下地材に対してパネル材を取り付ける構造であり、具体的には、建物の一部の構造等であり、例えば、建物の天井(水平に設けられた天井、あるいは、斜めに設けられた天井を含む)の構造、あるいは、建物の内壁(垂直材を含む)の構造等を含む概念であり、一例としては、取付手段、及び接合手段を備える構造等を含む概念である。
また、「下地材」とは、下地となる部材であり、具体的には、パネル材が取り付けられる部材であり、例えば、天井の野縁、あるいは、壁のスタッドおよびランナーを含む概念である。「パネル材」とは、平板部材であり、具体的には、下地材に取り付けられる部材であり、例えば、天井又は壁の石膏ボード等を含む概念である。
また、「取付手段」とは、下地材とパネル材との間に設けられて、下地材に対してパネル材を取り付ける手段であり、具体的には、面ファスナーである。「面ファスナー」とは、取付手段であり、例えば、下地材とパネル材との間の全体又は一部のみに設けられるものであり、また、相互に対となって面ファスナーを構成する第1ファスナー、及び第2ファスナーを備えるものである。
また、「第1ファスナー」とは、面ファスナーを構成するものであり、具体的には、第2ファスナーと面接合して係合するものであり、例えば、ループ面(メス面)を備えるものである。「第2ファスナー」とは、面ファスナーを構成するものであり、具体的には、第1ファスナーと面接合して係合するものであり、例えば、フック面(オス面)を備えるものである。この第1ファスナー又は第2ファスナーのうちの一方のファスナーは、下地材に取り付けられ、また、第1ファスナー又は第2ファスナーのうちの他方のファスナーは、パネル材に取り付けられることになるが、以下に示す実施の形態では、限定するものではないが、第1ファスナー(ループ面を備えるファスナー)が下地材に取り付けられ、また、第2ファスナー(フック面を備えるファスナー)がパネル材に取り付けられる場合について説明する。そして、これらの各ファスナーのループ面及びフック面のうちの、下地材に取り付けられるファスナーの面が「第1面」に相当し、また、パネル材に取り付けられるファスナーの面が「第2面」に相当する。
また、「接合手段」とは、下地材及びパネル材に点接合して、下地材に対してパネル材を取り付ける手段であり、例えば、下地材及びパネル材に加えて面ファスナーにも点接合する手段、及び面ファスナーが設けられていない位置において、下地材及びパネル材に点接合する手段等を含む概念であり、一例としては、ビス、釘、ステープル、及びリベット等を含む概念である。なお、「点接合」及び「面接合」とは、接合の種類であり、具体的には、相互に異なる接合の種類であり、例えば、「点接合」とは、点にて接合力を負って接合することであり、また、「面接合」とは、面にて接合力を負って接合することである。
また、「取付方法」とは、面ファスナーの第1面が取り付けられている下地材に対して、面ファスナーの第2面であって第1面と係合する第2面が取り付けられているパネル材を取り付ける方法であり、例えば、仮止めステップ、及び取付ステップを備える。
また、「仮止めステップ」とは、第2面を第1面に係合させることにより、下地材に対してパネル材を仮止めするステップであり、また、「取付ステップ」とは、パネル材及び下地材に接合手段を点接合することにより、下地材に対してパネル材を取り付けるステップである。なお、「仮止め」とは、仮に固定することであり、例えば、着脱可能に固定して位置決めすること等を含む概念である。
そして、以下に示す実施の形態では、「取付構造」を吊天井に適用する場合において、「接合手段」がビスであり、当該「接合手段」が下地材及びパネル材に加えて面ファスナーにも点接合する場合について説明し、また、「接合手段」が、面ファスナーが設けられていない位置において、下地材及びパネル材に点接合する場合については変形例にて説明する。
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
(構成)
まず、本実施の形態に係る取付構造が適用される天井構造の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る取付構造が適用される天井構造を示す斜視図であり、図2は、天井構造の断面図であり、図3は、天井構造の一部の分解斜視図である。なお、図1においては、一部のパネル材が取り外された状態の天井構造1が図示されており、また、壁91の図示が省略されている。図2においては、天井構造1における壁91側の一部の断面が図示されており、ビス22は実際には見えない状態となっているが、説明の便宜上、実線で図示されている。図3においては、−X側の一部及び+X側の一部が破断された状態の天井構造1の一部が図示されている。
また、以下の説明では、各図に示すX―Y―Z方向が互いに直交する方向であり、具体的には、Z方向が垂直方向であって、X方向及びY方向が垂直方向に対して直交する水平方向であるものとして、例えば、Z方向を高さ方向と称し、+Z方向を上側(平面)と称し、−Z方向を下側(底面)と称して説明する。
図1及び図2に示すように、天井構造1は、いわゆる吊天井を構成する構造であり、具体的には、図2の隙間92(壁91に接するように設ける場合に、施工の都合で不可避的に生じる隙間も含める)を介して壁91の近傍に設けられるものであり、例えば、吊りボルト11、野縁受け12、野縁13、パネル材14、及び取付構造2を備える。
(構成−吊りボルト)
吊りボルト11は、天井構造1の各要素(例えば、野縁受け12等)を保持する保持手段である。この吊りボルト11の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、天井構造1の床スラブや梁等の主要構造体に設けられたインサートに、当該吊りボルト11の上端(+Z方向)が固定されて当該主要構造体から垂下している部材であり、また、棒状のものであり、また、金属製のものである。
(構成−野縁受け)
野縁受け12は、天井構造1の各要素(例えば、野縁13等)を保持する保持手段である。この野縁受け12の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、図1に示すように、吊りボルト11の下端(−Z方向)に固定される公知の接合金物としてのいわゆるハンガーを介して固定する手法を含む任意の手法で固定される部材であり、また、水平方向において延在している棒状の部材であり、また、金属製のものである。なお、ハンガーを介して固定する手法は公知であるが、例えば、野縁受け12を挟持して支持するハンガーのフック部に当該野縁受け12を嵌め込むことにより、吊りボルト11の下端に固定されているハンガーにて野縁受け12が固定される。
(構成−野縁)
野縁13は、下地材であり、具体的には、天井構造1の各要素(例えば、パネル材14等)を保持する保持手段である。この野縁13の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、図2に示すように、野縁受け12の下端(−Z方向)に設けられる部材であり、また、公知の固定手段としてのいわゆるクリップである固定具121を用いて野縁受け12に固定されるものであり、また、図1に示すように、水平方向において野縁受け12に対して直交して延在している棒状のものであり、また、金属製のものである。なお、クリップである固定具121を用いて固定する手法は公知であるが、例えば、図2の固定具121の下端(図2の図面左側に図示されている野縁13に至る部分)が任意の手法(例えば、具体的には不図示であるが、固定具121の下端が図3のコ字状の野縁13の両側面の間に配設された状態で当該野縁13の両側面に保持されて野縁13に取り付けられる手法等)で野縁13に取り付けられ、固定具121の上側のフック部(図2の図面上側に図示されているコ字状の部分)にて野縁受け12を保持することにより、野縁13が野縁受け12に固定される。
(構成−パネル材)
パネル材14は、野縁13に取付られる部材である。このパネル材14の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、図2に示すように、野縁13の下側(−Z方向)に取り付けられるものであり、また、図1に示すように、水平方向に広がる矩形の平板状のものであり、また、いわゆる石膏ボードとして構成されているものである。
(構成−取付構造)
取付構造2は、野縁13に対してパネル材14を取り付ける構造である。この取付構造2の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、図2に示すように、面ファスナー21、及びビス22を備える。
(構成−取付構造−面ファスナー)
面ファスナー21は、前述の取付手段である。この面ファスナー21の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、野縁13とパネル材14との間に設けられるものであり、また、面接合するのであり、また、第1ファスナー211、及び第2ファスナー212を備えるものである。
(構成−取付構造−面ファスナー−第1ファスナー)
第1ファスナー211は、例えば、野縁13の下側(−Z方向)の面の全体に任意の手法(例えば、粘着剤又は接着剤等を用いる手法等)で固定されるものであり、また、当該第1ファスナー211の野縁13とは反対側(−Z方向)の面に公知のループ構造が設けられているものである。
(構成−取付構造−面ファスナー−第2ファスナー)
第2ファスナー212は、例えば、パネル材14の上側(+Z方向)の面における第1ファスナー211と対向する面全体に任意の手法(例えば、粘着剤又は接着剤等を用いる手法等)で固定されるものであり、また、当該第2ファスナー212のパネル材14とは反対側(+Z方向)の面に公知のフック構造であって、面接合するために前述のループ構造と係合するフック構造が設けられているものである。
(構成−取付構造−ビス)
ビス22は、前述の接合手段である。このビス22の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、野縁13及びパネル材14に加えて面ファスナー21にも点接合するものであり、図2及び図3に示すように、パネル材14の下側(−Z方向)から上側(+Z方向)に向かって打ち込まれるものであり、また、不図示ではあるが、図1の野縁13が延在する方向(X軸方向)に沿って所定間隔毎に設けられる複数のものである。なお、ここでのビス22を設ける「所定間隔」の実際の距離は任意であるが、例えば、前述の面ファスナー21と共にビス22を用いることができるので、面ファスナー21を用いない従来の場合に比べて、より長い距離を設定することが可能となる。すなわち、ビス22の個数を従来よりも低減することが可能となる。
(施工手法)
次に、このようにして構成された天井構造1の施工手法について説明する。なお、天井構造1における吊りボルト11、野縁受け12、及び野縁13の施工手法としては、従来と同様な手法を用いることができるので、これらの施工手法については概略を説明し、また、野縁13に対してパネル材14を取り付ける施工手法である取付手法については、詳細を説明する。
まず、図1の吊りボルト11の上端(+Z方向)を主要構造体に設けられたインサートに固定することにより、当該吊りボルト11を設ける。次に、吊りボルト11の下端(−Z方向)にハンガーを用いて前述の手法で野縁受け12を固定した上で、この野縁受け12の下側(−Z方向)に固定具121を用いて前述の手法で野縁13を設ける。
次に、野縁13の下側(−Z方向)の面に第1ファスナー211を任意の手法(例えば、粘着剤又は接着剤等を用いる手法等)で固定する。次に、パネル材14の上側(+Z方向)の面における第1ファスナー211と対向する位置に、第2ファスナー212を任意の手法(例えば、粘着剤又は接着剤等を用いる手法等)で固定する。
次に、野縁13に対してパネル材14を仮止めすることにより、仮止めステップを行う。具体的には任意であるが、例えば、図1のパネル材14を複数の野縁13に対する当該パネル材14を固定するべき位置(以下、固定位置)に仮止めして位置決めするが、例えば、野縁13に対してパネル材14の一部(例えば、図1の野縁13が延在する方向(X軸方向)に平行な1つの辺等)を野縁13に当接させつつ当該野縁13に対して滑らせて、パネル材14を固定位置に移動させて、当該パネル材14を野縁13に押し付けることにより仮止めする。この場合、第1ファスナー211のループ構造と第2ファスナー212のフック構造が相互に係合して、野縁13に対してパネル材14が仮止めされることになる。特に、ここでの仮止めが面ファスナー21にて行われているので、仮止め後も着脱可能となるので、仮止め後にパネル材14の位置を調整することが可能となる。
次に、野縁13に対してパネル材14を取り付けることにより、取付ステップを行う。具体的には任意であるが、例えば、図2又は図3に示すように、パネル材14、面ファスナー21、及び野縁13に対して、下側(−Z方向)から上側(+Z方向)に向かって連続的にビス22を打ち込むことにより取り付ける。この場合、野縁13に対してパネル材14が固定されて、天井構造1が施工されることになる。これにて、施工手法の説明を終了する。
(揺れによる力の伝達)
次に、地震等の任意の原因により天井構造1が設けられている建物が揺れた場合の、当該揺れによる力の伝達について説明する。ここでは、例えば、揺れが発生した場合、図2の天井構造1が揺れて、パネル材14が壁91に衝突してすることがあるが、この場合、当該衝突によって発生する水平方向の力は、第1ファスナー211及び第2ファスナー212の相互に面接合している部分に分散させることになるので、ビス22に付加されるせん断力(つまり、前述の水平方向の力のうちの一部の力)が減少することになる。このために、ビス22自体の損傷が引き起こされる可能性を低減することができ、また、パネル材14又は野縁13おけるビス22の周辺の部分の損傷が引き起こされる可能性を低減することができる。また、仮に、パネル材14又は野縁13おけるビス22の周辺の部分の損傷が引き起こされて、ビス22の頭抜けが引き起こされたとしても、パネル材14は野縁13に対して面ファスナー21にて固定された状態となっているので、当該パネル材14が落下することを防止して安全性を確保することが可能となる。
(本実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、野縁13とパネル材14との間に設けられて、野縁13に対してパネル材14を取り付ける面ファスナー21を備えることにより、例えば、ビス22による点接合に加えて面ファスナー21による面接合にて野縁13に対してパネル材14を取り付けることができるので、野縁13に対してパネル材14を確実に固定することが可能となる。特に、例えば、地震等の影響でビス22側にせん断力が付与されることにより、ビス22がゆるんだとしても(例えば、ビスの頭抜け等が引き起こされたとしても)、面ファスナー21にてパネル材14を野縁13に対して固定することができるので、野縁13に対してパネル材14を確実に固定することが可能となる。また、例えば、野縁13とパネル材14との間に設けられる面ファスナー21を用いることにより、面ファスナー21のオス面であるフック構造が設けられている面とメス面であるループ構造体が設けられている面との間の相互間の係合の柔軟性により、野縁13とパネル材14との相互間の水平相対変位に対して面ファスナー21の係合を追従させて維持することができるので、野縁13に対するパネル材14の固定を維持することが可能となる。また、例えば、面ファスナー21が野縁13とパネル材14との相互間に設けられているので、視認不可能に隠蔽することができるので、パネル材14が設けられている空間(例えば、建物の室内空間等)の意匠性を維持することが可能となる。また、例えば、従来は接合手段(一例としては、ビス等)のみで負担していた水平力と鉛直力を、本願においては、当該接合手段であるビス22及び面ファスナー21それぞれに割り振ることができるため、ビス22の頭抜けでパネル材14が落下する恐れを緩和することが可能となる。また、例えば、前述の水平力及び鉛直力を、ビス22及び面ファスナー21それぞれに割り振ることができるため、地震時の短期荷重から解放されたあるビス22を、長期荷重の負担に専念させることがきるので、ビス22の打ち付け本数を減らすことが可能となる。
また、ビス22が野縁13及びパネル材14に加えて面ファスナー21にも点接合することにより、例えば、ビス22が面ファスナー21の繊維にからみ、当該面ファスナー21とビス22との接合強度が増し、野縁13に対してパネル材14を確実に固定することが可能となる。また、例えば、面ファスナー21では、ループ面とフック面の絡みによって接合力が発揮されるが、野縁13及びパネル材14をビス22で接合することにより、当該接合に起因して野縁13及びパネル材14で面ファスナーを挟む力が生じ、当該力によりループ面とフック面との絡みを促して強固に接合することが可能となる。また、例えば、面ファスナー21のループ構造とフック構造は、樹脂で形成されている場合があり、この場合、当該樹脂の特徴であるクリープ現象(つまり、荷重を付与し続けた場合に、時間の経過と共に樹脂が変形する現象)が発生する可能性がある。すなわち、当該クリープ現象により、長期荷重(パネル材の自重)で面ファスナーの接合面(つまり、ループ面とフック面)が弛緩や破断する可能性が考えられるが、本願の場合、野縁13及びパネル材14が、面ファスナー21のみではなく、ビス22も用いて接合されているので、このビス22を所定の間隔で配置することで、前述のクリープ現象の発生を回避して、野縁13に対してパネル材14を固定し続けることが可能となる。
また、面ファスナー21の第2面を当該面ファスナー21の第1面に係合させることにより、野縁13に対してパネル材14を仮止めする仮止めステップと、パネル材14及び野縁13にビス22を点接合することにより、野縁13に対してパネル材14を取り付ける取付ステップと、を含むことにより、例えば、ビス22による点接合に加えて面ファスナー21による面接合にて野縁13に対してパネル材14を取り付けることができるので、野縁13に対してパネル材14を確実に固定することが可能となる。また、例えば、仮止めステップと取付ステップとを順次行うことにより野縁13に対してパネル材14を取り付けることができるので、少人数(例えば、1人等)の作業員が容易且つ確実に下地材に対してパネル材14を取り付けることが可能となる。また、例えば、パネル材14の自重を支持できる分の面ファスナー21を設けることで、面ファスナー21をビス22なしで野縁13に仮止めすることが可能となる。すなわち、従来、複数の接合手段であるビスを打つまで、手や頭などでパネル材を暫く下地材である野縁に押し当て続ける必要があり、身体の動きが制限された状態で下地材である野縁にパネル材をビス固定する必要があったが、この「押し当て続ける」動作が不要になる。このため、パネル材張りにおける動作の自由度が向上し、1人でビス固定をやりきることができる。また、例えば、面ファスナー21が繰り返し着脱できる特徴をもつため、接合手段であるビス22で留める前に、パネル材14の位置を修正することが可能となる。
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値(個数)、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
(接合手段について)
また、接合手段を、面ファスナーが設けられていない位置において、下地材及びパネル材に点接合してもよい。図4は、天井構造の断面図である。なお、図4においては、図2の天井構造1の取付構造2を取付構造2aに変更した天井構造1aの断面図である。
この図4に示すように、取付構造2aの面ファスナーにおける第1ファスナー211a、及び第2ファスナー212aを、野縁13とパネル材14との間の一部のみに設けて、ビス22を、当該面ファスナーが設けられていない位置に打ち込んでもよい。なお、ここでの取付構造2aの面ファスナーを設ける位置又は当該面ファスナーの形状は任意であり、少なくとも、ビス22が打ち込まれる位置(以下、ビス設置位置)を避ける形状である限りにおいて任意であり、例えば、実施の形態における面ファスナー21に対して、当該ビス設置位置を避ける開口を設けて構成してもよいし、あるいは、当該面ファスナー21を複数個に分割した上で、分割した面ファスナーを複数選択して、選択した複数の分割した面ファスナーを、野縁13が延在する方向(X軸方向)に沿って所定間隔(例えば、30cm〜50cm程度等)を隔てて設けることにより構成してもよいし、あるいは、所定長さ(例えば、50cm〜60cm程度等)の面ファスナーを野縁13が延在する方向(X軸方向)に沿って1箇所以上設けて構成してもよい。
このように構成することにより、面ファスナーが設けられていない位置において接合手段であるビス22が野縁13及びパネル材14に点接合することにより、例えば、接合手段であるビス22を取り付ける場合に、面ファスナーを貫通させる必要がないので、当該接合手段であるビス22の取り付け作業を容易に行うことが可能となる。
(付記)
付記1の取付構造は、下地材に対してパネル材を取り付ける取付構造であって、前記下地材と前記パネル材との間に設けられて、前記下地材に対して前記パネル材を取り付ける取付手段と、前記下地材及び前記パネル材に点接合して、前記下地材に対して前記パネル材を取り付ける接合手段と、を備え、前記取付手段は、面ファスナーである。
付記2の取付構造は、付記1に記載の取付構造において、前記接合手段は、前記下地材及び前記パネル材に加えて前記面ファスナーにも点接合する。
付記3の取付構造は、付記1に記載の取付構造において、前記面ファスナーは、前記下地材と前記パネル材との間の一部に設けられており、前記接合手段は、前記面ファスナーが設けられていない位置において、前記下地材及び前記パネル材に点接合する。
付記4の取付方法は、面ファスナーの第1面が取り付けられている下地材に対して、前記面ファスナーの第2面であって前記第1面と係合する前記第2面が取り付けられているパネル材を取り付ける取付方法であって、前記第2面を前記第1面に係合させることにより、前記下地材に対して前記パネル材を仮止めする仮止めステップと、前記パネル材及び前記下地材に接合手段を点接合することにより、前記下地材に対して前記パネル材を取り付ける取付ステップと、を含む。
(付記の効果)
付記1に記載の取付構造によれば、下地材とパネル材との間に設けられて、下地材に対してパネル材を取り付ける面ファスナーを備えることにより、例えば、接合手段による点接合に加えて面ファスナーによる面接合にて下地材に対してパネル材を取り付けることができるので、下地材に対してパネル材を確実に固定することが可能となる。特に、例えば、地震等の影響で接合手段側にせん断力が付与されることにより、接合手段がゆるんだとしても(例えば、ビスの頭抜け等が引き起こされたとしても)、面ファスナーにてパネル材を下地材に対して固定することができるので、下地材に対してパネル材を確実に固定することが可能となる。また、例えば、下地材とパネル材との間に設けられる取付手段として面ファスナーを用いることにより、面ファスナーのオス面とメス面との間の相互間の係合の柔軟性により、下地材とパネル材との相互間の水平相対変位に対して面ファスナーの係合を追従させて維持することができるので、下地材に対するパネル材の固定を維持することが可能となる。また、例えば、面ファスナーが下地材とパネル材との相互間に設けられているので、視認不可能に隠蔽することができるので、パネル材が設けられている空間(例えば、建物の室内空間等)の意匠性を維持することが可能となる。また、例えば、従来は接合手段(一例としては、ビス等)のみで負担していた水平力と鉛直力を、本願においては、当該接合手段及び面ファスナーそれぞれに割り振ることができるため、接合手段であるビスの頭抜けでパネル材が落下する恐れを緩和することが可能となる。また、例えば、前述の水平力及び鉛直力を、接合手段及び面ファスナーそれぞれに割り振ることができるため、地震時の短期荷重から解放された接合手段を、長期荷重の負担に専念させることがきるので、接合手段の打ち付け本数を減らすことが可能となる。
付記2に記載の取付構造によれば、接合手段が下地材及びパネル材に加えて面ファスナーにも点接合することにより、例えば、接合手段が面ファスナーの繊維にからみ、当該面ファスナーと接合手段との接合強度が増し、下地材に対してパネル材を確実に固定することが可能となる。また、例えば、面ファスナーでは、ループ面とフック面の絡みによって接合力が発揮されるが、下地材及びパネル材を接合手段で接合することにより、当該接合に起因して下地材及びパネル材で面ファスナーを挟む力が生じ、当該力によりループ面とフック面との絡みを促して強固に接合することが可能となる。また、例えば、面ファスナーのループとフックは、樹脂で形成されている場合があり、この場合、当該樹脂の特徴であるクリープ現象(つまり、荷重を付与し続けた場合に、時間の経過と共に樹脂が変形する現象)が発生する可能性がある。すなわち、当該クリープ現象により、長期荷重(パネル材の自重)で面ファスナーの接合面(つまり、ループ面とフック面)が弛緩や破断する可能性が考えられるが、本願の場合、下地材及びパネル材が、面ファスナーのみではなく、接合手段であるビス等も用いて接合されているので、この接合手段であるビスを所定の間隔で配置することで、前述のクリープ現象の発生を回避して、下地材に対してパネル材を固定し続けることが可能となる。
付記3に記載の取付構造によれば、面ファスナーが設けられていない位置において接合手段が下地材及びパネル材に点接合することにより、例えば、接合手段を取り付ける場合に、面ファスナーを貫通させる必要がないので、当該接合手段の取り付け作業を容易に行うことが可能となる。
付記4に記載の取付方法によれば、面ファスナーの第2面を当該面ファスナーの第1面に係合させることにより、下地材に対してパネル材を仮止めする仮止めステップと、パネル材及び下地材に接合手段を点接合することにより、下地材に対してパネル材を取り付ける取付ステップとを含むことにより、例えば、接合手段による点接合に加えて面ファスナーによる面接合にて下地材に対してパネル材を取り付けることができるので、下地材に対してパネル材を確実に固定することが可能となる。また、例えば、仮止めステップと取付ステップとを順次行うことにより下地材に対してパネル材を取り付けることができるので、少人数(例えば、1人等)の作業員が容易且つ確実に下地材に対してパネル材を取り付けることが可能となる。また、例えば、パネル材の自重を支持できる分の面ファスナーを設けることで、面ファスナーを接合手段であるビス等なしで下地材に仮止めすることが可能となる。すなわち、従来、複数の接合手段であるビスを打つまで、手や頭などでパネル材を暫く下地材に押し当て続ける必要があり、身体の動きが制限された状態で下地材にパネル材をビス固定する必要があったが、この「押し当て続ける」動作が不要になる。このため、パネル材張りにおける動作の自由度が向上し、1人でビス固定をやりきることができる。また、例えば、面ファスナーが繰り返し着脱できる特徴をもつため、接合手段であるビスで留める前に、パネル材の位置を修正することが可能となる。
1 天井構造
1a 天井構造
2 取付構造
2a 取付構造
11 吊りボルト
12 野縁受け
13 野縁
14 パネル材
21 面ファスナー
22 ビス
91 壁
92 隙間
121 固定具
211 第1ファスナー
211a 第1ファスナー
212 第2ファスナー
212a 第2ファスナー

Claims (4)

  1. 下地材に対してパネル材を取り付ける取付構造であって、
    前記下地材と前記パネル材との間に設けられて、前記下地材に対して前記パネル材を取り付ける取付手段と、
    前記下地材及び前記パネル材に点接合して、前記下地材に対して前記パネル材を取り付ける接合手段と、を備え、
    前記取付手段は、面ファスナーである、
    取付構造。
  2. 前記接合手段は、前記下地材及び前記パネル材に加えて前記面ファスナーにも点接合する、
    請求項1に記載の取付構造。
  3. 前記面ファスナーは、前記下地材と前記パネル材との間の一部に設けられており、
    前記接合手段は、前記面ファスナーが設けられていない位置において、前記下地材及び前記パネル材に点接合する、
    請求項1に記載の取付構造。
  4. 面ファスナーの第1面が取り付けられている下地材に対して、前記面ファスナーの第2面であって前記第1面と係合する前記第2面が取り付けられているパネル材を取り付ける取付方法であって、
    前記第2面を前記第1面に係合させることにより、前記下地材に対して前記パネル材を仮止めする仮止めステップと、
    前記パネル材及び前記下地材に接合手段を点接合することにより、前記下地材に対して前記パネル材を取り付ける取付ステップと、
    を含む取付方法。
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