JP2015017378A - 天井構造 - Google Patents
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Abstract
Description
天井板は、一般的に野縁に下方からビスで固定され、野縁と一体化されている。地震時に、天井板が野縁から外れるのを防止するには、地震時においても、天井板と野縁が一体状態を維持し、一体挙動する必要がある。このためには、方式の異なる複数の固定手段で、天井板と野縁を固定する方法が考えられる。
特許文献1は、岩綿吸音板を天井に取付ける際に、下地となる石膏ボードを省略するため、野縁の表面に接着剤を塗布し、硬化した接着剤で岩綿吸音板と野縁を仮止めした後に、タッカーにより岩綿吸音板と野縁を固定する構成である。
しかし、接着剤は仮止め手段であり、タッカーだけで、岩綿吸音板が野縁に固定されているため、地震時には、天井板に相当する岩綿吸音板の重みで、タッカーのストッパー(先端の返し部)が変形して天井板が下がり、野縁との間に隙間が生じ、天井板と天井下地の一体状態が失われ、一体挙動ができなくなる。別途対策をしないと、地震時において天井板が野縁から外れることが考えられる。
これにより、支持部材と天井板を接着剤で強く一体化でき、地震時においても、天井板と支持部材が外れにくくなる。
これにより、支持部材と天井板が横方向にずれにくくなり、地震時においても、天井板と支持部材が外れにくくなる。
これにより、支持部材と天井板が横方向にずれにくくなり、地震時においても、天井板と支持部材が外れにくくなる。
図1〜図7を用いて第1実施形態に係る天井構造について説明する。
図1(A)の断面図、図1(B)の断面図(図1(A)のP部拡大図)に示すように、天井を構成する天井部材10は、建物の床スラブ(躯体)14から吊り下げられた吊りボルト18で、野縁受け30が支持され、野縁受け30に野縁16が固定され、野縁16に天井板12が固定された構成である。
ここに、野縁受け30は、ハンガー32で吊りボルト18と接合され、野縁16は、野縁受け30と直交する方向に配置され、図示しないクリップで、野縁受け30と接合されている。また、天井板12は、接着剤20を間に挟んで、ビス22で野縁16に固定されている。
天井板12は石膏ボード製とされ、下方(矢印Uの方向)からねじ込まれたビス22で、野縁16に固定されている。ビス22の頭部22Hは、天井板12の下面12Sから突出しないよう、天井板12の内部までねじ込まれている。野縁16の平面部と天井板12の上面の間には、接着剤20が塗布されている。接着剤20は、野縁16の全幅、且つ全長に渡り、所定の厚さTeで塗布されている。
先ず、図2(A)に示すように、天井下地施工後に野縁16に接着剤20を所定量塗布し、接着剤20が硬化する前に、石膏ボード12を、野縁16に押当ててビス22で固定する。このとき、接着剤20の塗布量は、石膏ボード12の幅方向、及び長さ方向に万遍なく塗布し、塗布した状態における厚さTsを2mm前後とするのが望ましい。
ビス22の取付け間隔aは、図2(C)の平面図、図2(D)の断面図に示すように、一般的な、石膏ボード12の天井に使用される、ビス留め付け間隔a(a=150〜200mm)で、必要な支圧力は十分に確保できる。このとき、ビス22は、接着剤20の一部20Sを、野縁16の側面の外側へ押し出すまで圧力を掛けることになる。この結果、野縁16の側面の外側へ押し出された接着剤20Sが、野縁16の側面と天井板12の上面の隅部で硬化して、野縁16の側面と天井板12の上面を接着させる。これにより、野縁16と天井板12をより強く一体化できる。
この結果、強度は見込めるが変形能力は小さいくなる。しかし、野縁16の側面へ押し出された接着剤20Sは、十分な厚みを有しており、後述するように、変形に追従することが可能となり、天井板12と野縁16を強く接着できる。また、接合部強度のバラツキも小さくなる。なお、実際に施工する場合は、シールガン等の使用も考えられるため、接着剤20は、厚みTeの管理ではなく、塗布量管理を行うのが望ましい。シールガン等を使用する場合には、野縁16の中央部に接着剤20を盛り、塗布長さと使用量を管理するとよい。
従来の天井部材は、図3(A)に示すように、石膏ボード製の天井板12は、ビス22で野縁16に固定され、天井板12と野縁16の間には接着剤20は用いられていない。野縁16に固定(留め付けられた)ビス22の引抜き耐力は高く、問題は生じないように思われていた。
しかし、図1(A)に示すように、地震時においては、地震動による慣性力、衝撃力が、天井部材10に矢印K方向に作用する。地震動が継続した場合には、図3(B)に示すように、ビス22が、野縁16との接合部22Kを中心に、矢印Rの方向へ繰り返し振動する。この結果、ビス22の頭部22Hが、ビス22周囲の石膏ボード12を徐々に破損し、破損が進行する。
最悪のケースでは、図3(C)に示すように、ビス22周囲の石膏ボード12が大きく破損され、破損された石膏ボード12の穴径d2が、ビス22の頭部22Hの径d1より大きくなる。この状態に至ると、石膏ボード12がビス22から抜け落ちる。
目標性能としては、石膏ボード12が、地震動による座屈や、衝突時に生じるパルス的な加速度応答を受けても、野縁16と石膏ボード12の接着状態が保たれることとした。
野縁16は300mmピッチで配置し、野縁16の全幅であり、且つ全長に接着剤を塗布すると仮定する。石膏ボード12の重量を1枚当たり10kg/m2とすれば、野縁16の単位長さ当たり3kg/mとなり、必要接着せん断耐力は、最大応答加速度が100Gであることから、約3.0kN/mとなる。
ここで、野縁幅を25mmとすると、必要なせん断接着強度Fは、下式となる。
F=3.0×1000/25/1000
=0.12N/mm2
これは、天井の一部にパルス的に生じる加速度に対する過大な必要耐力である。これから、一般的に使用されている接着剤のせん断強度で十分、必要強度を満たすといえる。
効果検証は、先ず、従来の天井部材の最大耐力と最大変位を把握した。続いて、本実施形態の天井部材と従来の天井部材を、同じ試験方法で試験して、接着強度を比較した。試験においては、石膏ボードと野縁との接合部の部分試験体を作り、部分試験体を所定方向へ加力して、接着強度を測定した。試験体への加力方向は、石膏ボードの長手方向、短手方向、面外方向の3方向とし、加力時の最大耐力、最大変位等を測定した。
図4(A)〜図3(D)に、試験体No1〜No4の平面図を示す。図4(A)〜図3(D)は、試験体No1〜No4を下方から見上げた状態の平面形状である。石膏ボード34、35、36、37は、いずれも、平面視において幅W1が225mm、長さL1が900mmとした。野縁26、28は、いずれも長さ900mmとし、石膏ボード34、35、36、37の長手方向へ配置し、ビス22で固定した。
ビス22の使用本数は、図4(A)〜図4(C)においては6本とし、6本を両端面から距離b1(b1=75mm)開けて、ピッチa1(a1=150mm)で設けられている。図4(D)においては、12本とし、12本のビス22を、上記と同じピッチで、石膏ボード37aと37bの接合部25の両側に設けている。
図4(B)に示す試験体No2は、2枚の石膏ボード35a、35bの短手同志を、長手方向の中央部の接合部24で突合せ(ジョイント部)、シングルタイプの野縁26を取り付けて、一体化させた構成である。
図4(C)に示す試験体No3は、継ぎ目(ジョイント部)なしの石膏ボード36に、ダブルタイプの野縁28を取り付けた構成である。
図4(D)に示す試験体No4は、2枚の石膏ボード37a、37bの長手部同志を、野縁位置の接合部25で突合せ(ジョイント部)、接合部25に、全長に渡りダブルタイプの野縁28を取り付けた構成である。
図4(E)に試験結果を示す。最大耐力は、ジョイント部を有する試験体No2、No4が、試験体No1、No3に比して小さい傾向を示した。2枚の石膏ボードを付き付けた構成が、強度上の弱点となっているものと思われる。最大変位は、ダブルタイプの野縁28を取り付けた試験体No3が最も大きく、長手方向の接合部25を有する試験体No4が最も小さい値を示した。
図5(A)〜図5(D)に試験体No5〜No8の平面形状を示す。石膏ボード40、41、42、43は、いずれも、平面視において幅W2が300mm、長さL2が900mmとした。野縁26、28は、長さ900mmとし、石膏ボード40、41、42、43の長手方向へ配置して、ビス22で固定した。野縁26は、シングルタイプの野縁であり、野縁28は、ダブルタイプの野縁である。野縁26の位置は、幅300mmを150mmと150mmに仕切る中央位置(Wa=150mm)とした。ビス22の使用本数は、図5(A)〜図5(C)については6本とし、中央部を150mmピッチとし、両端部を75mm開けた6本使用した。また、図3(D)については、12本とし、12本のビス22を、上記と同じピッチで、石膏ボード37aと37bの接合部25の両側に設けている。
図5(B)に示す試験体No6は、2枚の石膏ボード41の短手同志を、長手方向の中央部の接合部24で突合せ(ジョイント部)、シングルタイプの野縁26を取り付けた構成である。
図5(C)に示す試験体No7は、継ぎ目(ジョイント部)なしの石膏ボード42に、ダブルタイプの野縁28を取り付けた構成である。
図5(D)に示す試験体No8は、2枚の石膏ボード43の長手部同志を、野縁28の位置の接合部25で突合せ(ジョイント部)、ジョイント部に、全長に渡りダブルタイプの野縁28を取り付けた構成である。
図5(E)に試験結果を示す。石膏ボード40、41、42、43は、野縁26、28の応力伝達の過程でビス22の周りの石膏ボードが先に破壊する結果を示した。即ち、ビス22の挙動で、石膏ボード40、41、42、43の削られる箇所が、座屈時の石膏ボード40、41、42、43の弱点となっている。
なお、図示は省略するが、面外方向への加力試験を行い、石膏ボードの破壊を確認した。石膏ボードと野縁の接合部の耐力は、上述した図4、図5の結果より、更に小さい値であった。
図6(A)の平面図に示すように、試験体50は、野縁52と石膏ボード54を、接着剤又はビス留めした試験体である。石膏ボード54は、厚さ12.5mm、幅W3=150mm、長さL3=300mmとし、野縁52はシングルタイプとし、長さL5は600mmとした。野縁52の両端部は、石膏ボード54から長さL4=150mm突出している。
No1の試験体は、野縁52と石膏ボード54をビスのみで固定した構成であり、No2の試験体は、野縁52と石膏ボード54をビス及び接着剤で固定した構成であり、No3〜No6の試験体は、野縁52と石膏ボード54を接着剤のみ(ビスなし)で固定した構成である。
ここに、野縁52と石膏ボード54を接着する接着剤は、厚み(塗布厚さ)管理はせずに塗布量管理とした。なお、接着剤は、厚み2mmで一様に塗布した場合、十分に塗布できているものとした。また、接着剤は野縁52に塗布し、その後石膏ボードを押し付ける方法で塗布した。また、ビスを併用する場合(No2)は、接着剤が固まる前にビス留めを行った。
図7(A)の特性M1は、試験体No1の変位と荷重の関係を示しており、図7(B)の特性M2は、試験体No2の変位と荷重の関係を示している。
ここに、図からは判別しづらいが、試験体No2は、強制変位を3サイクル繰り返しても、石膏ボード54の脱落はなかった。一方、試験体No1は、強制変位を与えた試験サイクルの途中で、石膏ボード54が脱落した。
ここに、試験体No2において、石膏ボードが脱落しないのは、野縁52裏の接着剤は、強制変位量が2〜4mmの変位を加えた段階で破壊していた。しかし、その後、側面にはみ出た接着剤(図1(B)参照)が変形に追従することで脱落を防止していることが分かった。また、接着剤の塗布量が、すり切り(試験体No3)や、シールガンによる施工(試験体No5)では、その変形能力にバラつきが出やすかった。
また、接着剤20の塗布においては、塗布量管理を行うことで接合部の変形能力も確保することが可能となる。また、ビス22を有効利用することによって、接着剤が硬化するまで石膏ボード12と野縁16を固定することが可能となる。また、鉛直方向の強度を向上させることが可能となる。
本発明の第2実施形態に係る天井構造について、図8を用いて説明する。
図8(A)は天井板12を上方から見下ろした平面図であり、図8(B)は図8(A)のX−X線断面図である。
本実施形態に係る天井部材44は、片面に接着剤46Aが塗布された片面テープ46を、野縁16の下面に貼り付けた点において第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
施行時には、天井板12を野縁にビス22で固定する前に、紙用の接着剤47を、片面テープ46の紙46Bと野縁16の表面16Dとの間に塗布しながら、天井板12を野縁16に取付けて行く。接着剤47は、第1実施形態で使用した、野縁16と天井板12を接着させる接着剤20より安価で、且つ硬化が早いため、安価に早く施工できる。
この結果、野縁16と天井板12が横方向に相対的にズレにくくなり、地震時においても、天井板12と野縁16が外れにくくなる。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
本発明の第3実施形態に係る天井構造について、図9を用いて説明する。
図9(A)は天井板12を下方から見上げた平面図であり、図9(B)は図9(A)のX−X線断面図である。
本実施形態に係る天井部材64は、野縁66の天井板12側の表面66Bに目粗し(ザラメ)を設ける点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
なお、野縁66の製作時に加工できない場合には、野縁66のビス22でのビス留め予定位置の周辺を、ヤスリやサンドペーパー等で目粗し加工して形成してもよい。更に、他の構成として、片面が目粗し加工された紙を、接着剤で貼り付ける方法や、目粗し加工された紙を有する片面テープを貼リ付ける方法でもよい。
これにより、ビス留めしている野縁66近辺において、目粗し部68が天井板12の紙面に食い込んで、噛み合い、摩擦抵抗力を高める効果が生じる。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
本発明の第4実施形態に係る天井構造について、図10を用いて説明する。
図10(A)は天井材72の断面図であり、図10(B)は天井板72を下方から見上げた平面図である。
本実施形態に係る天井部材70は、複数枚の天井部材が積層された積層天井板である点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
本実施形態の積層天井板72は、このような機能を有することから、高い遮音効果が要求されるホール・裁判所・会議室等の天井に安心して使用することができる。
なお、本実施形態の積層天井板72は、第1実施形態のみでなく、第2実施形態、第3実施形態、更には、後述する第5実施形態と組み合わせて適用することができる。これにより、様々な天井に活用できる。
本発明の第5実施形態に係る天井構造について、図11を用いて説明する。
本実施形態に係る天井部材60は、接着剤62を天井板12の上面12Uと、野縁16の側面16Sで形成される隅部に塗布する点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
図11に示すように、接着剤62は、天井板12の上面12Uと、野縁16の側面16Sで形成される隅部2箇所に塗布される。即ち、接着剤62は、野縁16の両側面16Sの全長に渡り、天井板12の上面12Uとの隅部に、野縁16の外側から、所定量の接着剤62が塗布される。接着剤は、野縁16の両側にバランス良く、等量を塗布するのが望ましい。
また、本実施形態では、既存の天井板12と野縁16を、容易に補強することができる。即ち、既存の天井部材を解体せずに、野縁16と天井板12の隅部に、接着剤62を塗布すればよいため、広く、既存の天井部材を補強することができる。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
12 天井板
14 建物躯体(躯体)
16 野縁(支持部材)
18 吊りボルト(支持部材)
20 接着剤(ズレ防止手段)
22 ビス(ネジ部材)
30 野縁受け(支持部材)
34、35、36、37 石膏ボード(天井板)
40、41、42、43 石膏ボード(天井板)
46 片面テープ(シート状部材、ズレ防止部材)
68 目粗し(ズレ防止手段)
72 積層天井板
76 接着剤(接着手段)
Claims (6)
- 躯体から吊り下げられた支持部材と、
前記支持部材に固定される天井板と、
前記天井板と前記支持部材の間に設けられ、前記天井板と前記支持部材の横方向の相対的なズレを防止するズレ防止手段と、
前記天井板の下面から前記支持部材へねじ込まれるネジ部材と、
を有する天井構造。 - 前記ズレ防止手段は、前記天井板と前記支持部材の間に塗布される接着剤であり、
前記ネジ部材は、前記接着剤が未硬化の状態でねじ込まれ、前記接着剤の一部を前記支持部材の側面の外側へ押し出すまで圧力を掛ける請求項1に記載の天井構造。 - 前記ズレ防止手段は、前記支持部材又は前記天井板に貼り付けられ、前記支持部材と前記天井板の間に横方向の摩擦抵抗を付与するシート状部材であり、前記ネジ部材は、前記シート状部材に圧力を掛けて、前記支持部材と前記天井材を接合する請求項1に記載の天井構造。
- 前記ズレ防止手段は、前記支持部材の前記天井板との当接面に設けられた目粗しであり、前記ネジ部材は、圧力を掛けて、前記支持部材の目粗し面と前記天井板を噛み合わせる請求項1に記載の天井構造。
- 前記天井板は、複数枚の天井部材が積層された積層天井板であり、前記積層天井板の前記天井部材間には、前記天井部材同士を接着させる接着手段、又は、前記天井部材間の摩擦抵抗を増大させる摩擦増大部材が設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の天井構造。
- 躯体から吊り下げられた支持部材と、
前記支持部材に固定される天井板と、
前記天井板の下面から前記支持部材へねじ込まれるネジ部材と、
前記天井板の上面と前記支持部材の側面で形成された隅部に塗布された接着剤と、
を有する天井構造。
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